JP2007245600A - パテ状マスキング材組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】型取り用シリコーンゴム材料に対して優れた離型性を有するパテ状マスキング材料を提供する。
【解決手段】(A)1分子中に平均1個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合の水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子が(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モル当たり1〜10モルとなる量、
(C)付加反応触媒:有効量、
(D)無機質充填剤:150〜600質量部、
(E)25℃における粘度が50mPa・s以上である脂肪族炭化水素:20〜60質量部、
(F)フェニル基含有シリコーンオイル:1〜10質量部
を含有してなることを特徴とする型取りシリコーンゴム材料用のパテ状マスキング材組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シリコーンゴムによる型取りに関連し、特にマスターの型取りを避けたい部分への型取り用シリコーンゴム材料の流入を防ぐために使用するパテ状マスキング材料に関する。
液状シリコーンゴム組成物は、その優れた流動性、離型性を利用して、アクセサリー、人形、美術工芸品、工業部品等の複製品を製造する際のシリコーンゴム型を形成するため使用される。
マスターモデルの型取りを液状シリコーンゴム組成物で行う際に、シリコーンゴム組成物の流入を防ぎたい部分がある場合、一般的に粘土等をその部分にマスキング材として使用する。しかし、粘土の種類等によっては粘土中の成分によって、型取り用シリコーンゴム組成物の硬化不良を起す問題がある。また硬化不良対策として、特開昭63−215770号公報(特許文献1)に開示されているパテ状の付加硬化型シリコーンゴム材料を粘土の代わりに使用すると、パテ材が型取り用シリコーンゴムに接着するという問題があった。
特開昭63−215770号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、型取り用シリコーンゴム材料に対して優れた離型性を有するパテ状マスキング材料を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、(A)1分子中に平均1個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合の水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)付加反応触媒、(D)無機質充填剤、(E)25℃における粘度が50mPa・s以上である脂肪族炭化水素及び(F)フェニル基含有シリコーンオイルの特定量を含有してなるパテ状マスキング材組成物が、型取り用シリコーンゴム材料に対して優れた離型性を有することを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、
(A)1分子中に平均1個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合の水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子が(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モル当たり1〜10モルとなる量、
(C)付加反応触媒:有効量、
(D)無機質充填剤:150〜600質量部、
(E)25℃における粘度が50mPa・s以上である脂肪族炭化水素:20〜60質量部、
(F)フェニル基含有シリコーンオイル:1〜10質量部
を含有してなることを特徴とする型取りシリコーンゴム材料用のパテ状マスキング材組成物を提供する。
本発明によれば、型取り用シリコーンゴム材料に対して優れた離型性を有するパテ状マスキング材組成物が得られる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、この組成物の主剤(ベースポリマー)であり、1分子中に平均1個以上、好ましくは1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するものであり、このアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、Rは互いに同一又は異種の炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは1.8〜2.3の正数である。)
ここで、Rは互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられる。これらの中で、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、Rの少なくとも50モル%以上、特に80モル%以上がメチル基であることが好ましい。
この場合、Rのうち少なくとも1個はアルケニル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは炭素数2〜6である)であることが必要である。アルケニル基の含有量はR中0.0001〜20モル%、特に0.001〜10モル%とすることが好ましい。このアルケニル基は、分子末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していても、両者に結合していてもよい。
aは1.8〜2.3、好ましくは1.9〜2.1の正数であり、このような(A)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、分岐鎖状が挙げられるが、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された、直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましい(なお、ここでのオルガノ基にはアルケニル基も包含し得る。)。
分子量については、特に限定なく粘度の低い液状のものから、粘度の高い生ゴム状(即ち、10,000,000mPa・s(25℃)以上)のものまで使用でき、重合度(又は、分子中のケイ素原子数)は50〜100,000、特に100〜20,000であることが好ましい。生ゴム状を除く液状のものについては、25℃の粘度が通常、50〜5,000,000mPa・s、好ましくは100〜1,000,000mPa・s程度のものが使用できる。
また、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種でも分子構造や重合度の異なる2種以上を併用してもよい。
このような(A)成分のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、式:R1 3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R1 22SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R1 2SiOで示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R1 3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R1 22SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R1 22SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R1 2SiOで示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R12SiOで示されるシロキサン単位と式:R1SiO1.5で示されるシロキサン単位もしくは式:R2SiO1.5で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの二種以上からなる混合物が挙げられる。
上記式中のR1はアルケニル基以外の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられる。また、上記式中のR2はアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基などが挙げられる。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分と反応し、架橋剤として作用するものであり、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている例えば線状、環状、分岐状、三次元網状(樹脂状)等各種のものが使用可能であるが、一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上の珪素原子に結合した水素原子(SiHで表されるヒドロシリル基)を有する必要があり、通常、2〜300個、好ましくは3〜200個、より好ましくは3〜100個程度のSiH基を有することが望ましい。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(2)で示されるものが好適に用いられる。
3 bcSiO(4-b-c)/2 (2)
上記式(2)中、R3は、脂肪族不飽和結合を除く、好ましくは炭素数1〜10の、珪素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基であり、このR3における非置換又は置換の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基等が挙げられる。R3の非置換又は置換の一価炭化水素基としては、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基である。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cが0.8〜3.0を満足する正数であり、好ましくは、bは1.0〜2.0、cは0.01〜1.0、b+cが1.5〜2.5である。
一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有されるSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、一分子中の珪素原子の数(又は重合度)は、通常2〜300個、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜150個程度のものが望ましく、25℃における粘度が、通常、0.1〜1,000mPa・s、好ましくは0.5〜500mPa・s程度の、室温(25℃)で液状のものが使用される。なお、本発明において、粘度は回転粘度計等により測定することができる(以下、同様。)。
このような(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサンやこれらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたもの、式:R3 3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R3 2HSiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R3 2HSiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R3HSiOで示されるシロキサン単位と式:R3SiO1.5で示されるシロキサン単位もしくは式:HSiO1.5で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及び、これらのオルガノポリシロキサンの二種以上からなる混合物が挙げられる。上式中のR3はアルケニル基以外の一価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示される。
(B)成分の配合量は、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が1〜10モルの範囲内となる量であり、特に1〜5モルの範囲内となる量であることが好ましい。これは(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、また、これが10モルを超えると、得られるシリコーンゴムの耐熱性が極端に劣るためである。
(C)成分の付加反応触媒としては、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と(B)成分中のSiH基とのヒドロシリル化付加反応を促進するものであればいかなる触媒を使用してもよい。例えば、白金、パラジウム、ロジウム等や塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属又はこれらの化合物が使用されるが、特に好ましくは白金系化合物である。
付加反応触媒の配合量は有効量であるが、通常、(A)、(B)成分の合計質量に対して触媒金属元素の質量として1〜500ppmの割合であることが好ましく、より好ましくは10〜100ppmの範囲である。配合量が1ppm未満では付加反応が著しく遅くなるか、もしくは硬化しない場合があり、配合量が多すぎると、コスト的に高いものとなり、不経済となる。
本発明に用いられる(D)成分の無機質充填剤は、通常この種のオルガノポリシロキサン組成物に用いられる公知のものでよく、従ってヒュームドシリカ、沈降性シリカなどの微粉末シリカ、結晶性シリカ、中空フィラー、シルセスキオキサン、ヒュームド二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、カーボンブラック、ケイ藻土等の、通常、0.01〜100μm程度の粒径範囲のものなどが例示される。
(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して150〜600質量部の範囲とする必要があるが、好ましくは200〜400質量部の範囲とされる。150質量部未満ではパテ状になりにくく、600質量部を超えるとこのパテが硬すぎて取り扱いが難しくなる。
本発明に用いられる(E)成分の25℃における粘度が50mPa・s以上、通常50〜1,000mPa・s、好ましくは80〜500mPa・sである脂肪族炭化水素は、混練時に手に付着しないで混合できるように離型剤として作用するものであり、流動パラフィン、ワセリンなどが例示される。
(E)成分の添加量は、(A)成分100質量部に対して20〜60質量部であり、好ましくは30〜50質量部である。(E)成分の添加量が20質量部未満であると混合時、手に付き易く、60質量部を超えるとパテからのにじみが激しく、またシリコーンゴム型取り材料と接着し易くなる。
(F)成分のフェニル基含有シリコーンオイルは、型取り用シリコーンゴムに対して離型性を発現する成分である。(F)成分としては、下記一般式(3)で示されるフェニル基含有シリコーンオイルが好ましい。
Figure 2007245600
(式中、R4は脂肪族不飽和基を含有しない置換又は非置換の一価炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよいが、少なくとも1つはフェニル基であり、nは1〜1,000の整数である。)
ここで、式中R4は、脂肪族不飽和基を含有しない同一又は異種の置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、炭素数1〜10、特に1〜8のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、これらの水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置換した、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。R4のうち少なくとも1個はフェニル基であり、フェニル基含有量は全R4の2〜50モル%、特に5〜30モル%であることが好ましい。なお、式中の複数のR4は同一でも異なっていてもよい。
また、nは1〜1,000、好ましくは5〜800、特に好ましくは10〜500の整数である。
このフェニル基含有シリコーンオイルは、25℃の粘度が、通常、50〜50,000mPa・s、特に100〜10,000mPa・s程度のものが好ましい。
このようなフェニル基含有オルガノポリシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・フェニルメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・フェニルメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体等が例示される。
(F)成分のフェニル基含有シリコーンオイルの配合量は、(A)成分100質量部に対して1〜10質量部であり、好ましくは2〜8質量部である。配合量が10質量部を超えても、1質量部未満でも型取り用シリコーンゴム型材料に接着し易くなる。
本発明の組成物においては、上記の(A)〜(F)成分以外の任意の成分として、付加反応触媒に対して硬化抑制効果を持つ化合物とされている従来公知の制御剤化合物をすべて使用することができる。このような化合物としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物、トリブチルアミンやテトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物、硫黄含有化合物、アセチレン系化合物、アルケニル基を2個以上含む(通常、ケイ素原子数が8個以下の)シロキサンオリゴマー、ハイドロパーオキシ化合物、マレイン酸誘導体などが例示される。制御剤化合物による硬化遅延効果の度合は、制御剤化合物の化学構造によって大きく異なるため、制御剤化合物の添加量は、使用する制御剤化合物の個々について最適な量に調整することが好ましく、一般には、その添加量が少なすぎると室温での長期貯蔵安定性が得られない場合があり、逆に多すぎるとかえって硬化が阻害されるおそれがある。
更に、この組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、その他任意の成分として、例えば、ケイ素原子結合水素原子及びアルケニル基を含有しないジメチルポリシロキサン(無官能性ジメチルシリコーンオイル)、有機溶剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チクソ性付与剤、顔料、染料、防かび剤などを配合することができる。
本発明の組成物は、上記各成分の所定量を常法に準じて混合することにより調製することができる。
得られた組成物は、型取り用シリコーンゴム材料に対して優れた離型性を有するため、マスターの型取りを避けたい部分への型取り用シリコーンゴム材料の流入を防ぐために使用するパテ状マスキング材料として使用される。
本発明の組成物の硬化条件としては、公知の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物と同様でよく、例えば常温でも十分硬化するが、必要に応じて加熱してもよい。具体的な硬化条件としては、使用状況に応じて制御剤の種類と量を選択し、25℃で10分程度から24時間、また、40〜80℃程度に加熱して10分から1時間程度で硬化してもよい。
また、使用方法として、具体的には、積層法による割型でシリコーンゴム母型を作製したい場合に、マスターの片面を埋める材料として使用したり、またマスターのアンダーカット部に充填してパーティング面を形成したりする場合に使用することができる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、平均粒径はレーザー光回折法による粒度分布測定における累積重量平均値D50(又はメジアン径)を示し、粘度は回転粘度計により測定した25℃における値を示す。
[実施例1]
分子鎖両末端がビニルジメチルシリル基で封鎖され、25℃での粘度が約600mPa・s(平均重合度:約180)のジメチルポリシロキサン60質量部、ジメチルシロキサン単位99.85モル%、メチルビニルシロキサン単位0.125モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなる、平均重合度が約8,000であるオルガノポリシロキサン生ゴム40質量部、25℃における粘度が25mPa・sの分子鎖両末端と分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.42質量%)4.1質量部((A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基に対する(B)成分中のSiH基のモル比;1.8(モル/モル))、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン0.1質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液0.1質量部、ビタミンE0.2質量部、流動パラフィン(比重(25℃)d=0.88、粘度140mPa・s)31質量部、平均粒径4μmのアルミナ粉490質量部、ジフェニルシロキサン単位20モル%、ジメチルシロキサン単位80モル%からなる、粘度200mPa・sの末端トリメチルシリル基封鎖直鎖状ジオルガノポリシロキサン(前記一般式(3)においてn(平均値)=15に相当する)3質量部を混合してパテ状の組成物Aを調製した。
[実施例2]
実施例1において、ジフェニルシロキサン単位20モル%、ジメチルシロキサン単位80モル%からなる、粘度200mPa・sの末端トリメチルシリル基封鎖オルガノポリシロキサン3質量部の代わりに、ジフェニルシロキサン単位5モル%、ジメチルシロキサン単位95モル%からなる、粘度3,000mPa・sの末端トリメチルシリル基封鎖直鎖状ジオルガノポリシロキサン(n(平均値)=360に相当する)6質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして組成物Bを調製した。
[比較例1]
ジフェニルシロキサン単位20モル%、ジメチルシロキサン単位80モル%からなる、粘度200mPa・sの末端トリメチルシリル基封鎖直鎖状ジオルガノポリシロキンを使用しなかった以外は、実施例1に従って組成物Cを調製した。
[比較例2]
実施例1において、ジフェニルシロキシ単位20モル%、ジメチルシロキサン単位80モル%からなる、粘度200mPa・sの末端トリメチルシリル基封鎖オルガノポリシロキサン3質量部の代わりに、ジメチルシロキサン単位100モル%からなる、粘度3,000mPa・sの末端トリメチルシリル基封鎖直鎖状ジオルガノポリシロキサン3質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして組成物Dを調製した。
《離型性の評価方法》
上記で調製した組成物を直径25mm、高さ15mmの円柱に成形して室温で6時間硬化させた。この硬化物を紙コップの底の中心に置き、付加硬化型の型取り用シリコーンゴム材料KE1316(信越化学工業(株)製)を円柱の高さまで紙コップに注入し、室温にて24時間硬化させた。KE1316硬化物(型取り材料)から上記組成物の円柱硬化物(マスキング硬化物)を脱型させたときの脱型状態を評価した。
○:マスキング硬化物が型取り材料からスムーズに脱型できた
△:マスキング硬化物が型取り材料に一部接着し、一部欠けて脱型できた
×:マスキング硬化物が型取り材料に接着して脱型できなかった
その結果を表1に示す。
Figure 2007245600

Claims (1)

  1. (A)1分子中に平均1個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合の水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子が(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モル当たり1〜10モルとなる量、
    (C)付加反応触媒:有効量、
    (D)無機質充填剤:150〜600質量部、
    (E)25℃における粘度が50mPa・s以上である脂肪族炭化水素:20〜60質量部、
    (F)フェニル基含有シリコーンオイル:1〜10質量部
    を含有してなることを特徴とする型取りシリコーンゴム材料用のパテ状マスキング材組成物。
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