JP6240593B2 - 熱伝導性シリコーン組成物及びその硬化物 - Google Patents

熱伝導性シリコーン組成物及びその硬化物 Download PDF

Info

Publication number
JP6240593B2
JP6240593B2 JP2014247878A JP2014247878A JP6240593B2 JP 6240593 B2 JP6240593 B2 JP 6240593B2 JP 2014247878 A JP2014247878 A JP 2014247878A JP 2014247878 A JP2014247878 A JP 2014247878A JP 6240593 B2 JP6240593 B2 JP 6240593B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
component
bonded
silicon atom
groups
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014247878A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016079378A (ja
Inventor
健一 稲福
健一 稲福
柏木 努
努 柏木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Publication of JP2016079378A publication Critical patent/JP2016079378A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6240593B2 publication Critical patent/JP6240593B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、熱伝導性を有するシリコーン組成物およびその硬化物に関する。
従来、パワートランジスタ、CPU、GPUといった発熱性部品は、熱の発生により性能が低下するため、これらを設置する場合には、ヒートシンクを取り付けて熱を放散している。このとき、発熱性部品とヒートシンクとの間に、シリコーン樹脂に熱伝導性充填材を配合した熱伝導性のシートを配置することにより、上記部品とヒートシンクとを密着させて放熱性を高めている。
近年、半導体部品の小型化、高性能化により、発熱性部品の発熱量が増大しており、さらなる放熱性能の向上が求められている。
熱伝導性シートの熱伝導性を高めるために、熱伝導率が金属中で最大である銀を高充填した熱硬化性シリコーン樹脂組成物が知られている。例えば、ケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含むシリコーン樹脂組成物に、熱伝導性充填剤としての銀粉末および接着性付与剤としての、ケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物を配合した組成物が提案されている(特許文献1)。また、ケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノシロキサンに、熱伝導性充填剤としての銀粉末および架橋剤および/または接着付与剤としての、アルキレン基を介してケイ素原子と結合したアルコキシ基および/またはエポキシ基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを配合したシリコーン樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。しかし、これらのシリコーン樹脂組成物の硬化物は、ヒートシンクの材料として一般的に使用されている、ニッケルでコートされた銅との接着性が十分でなく、発熱性部品とヒートシンクとの間に空隙ができ、目標とする放熱性能が得られないという問題がある。
特開2011−152352号公報 特開2012−067153号公報
本発明は上記問題に鑑み、高い熱伝導性と金属ニッケル表面への良好な接着性を両立した熱伝導性シリコーン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、銀粉末を含む熱硬化性シリコーン組成物が、エポキシ基を有する特定のオルガノポリシロキサンと、ケイ素原子結合アルコキシ基を有する特定のオルガノポリシロキサンとの組み合わせを含むことにより、上記目的を達成することを見出した。
すなわち、本発明は、
(A)ケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基から選択される基を一分子中に2個以上有し、かつ該ケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基の少なくとも2個が分子鎖末端に存在するところのオルガノポリシロキサン、
(B)一分子中に2個以上のケイ素原子結合水素原子を有し、但し該ケイ素原子結合水素原子の少なくとも1つがHRSiO2/2(Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基である)またはHSiO3/2を構成する、かつアルコキシ基およびエポキシ基を有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ここで、成分(B)の量が、成分(A)中のケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基の合計個数と成分(B)および成分(E)中のケイ素原子結合水素原子の合計個数との比が1:0.1〜5.0となる量である、
(C)白金族金属系触媒、
(D)銀粉末、
(E)一分子中に2個以上のエポキシ基および1個以上のケイ素原子結合水素原子を有し、かつアルコキシ基を有しないオルガノポリシロキサン、ここで、成分(E)の量が成分(A)100質量部に対して0.1〜10質量部である、および
(F)Si(OR)(Rは炭素数が1〜3の飽和炭化水素基である)で表される化合物の部分加水分解縮合物
を含む熱伝導性シリコーン組成物である。
また、本発明は、上記シリコーン組成物の硬化物を提供する。
本発明のシリコーン組成物は、その硬化物が熱伝導性およびニッケルとの接着性に優れる。したがって、発熱性部品とヒートシンクとの間に配置される熱伝導性シートとして好適に使用される。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
成分(A)
成分(A)は、ケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基から選択される基を一分子中に2個以上有し、該ケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基の少なくとも2個が分子鎖末端に存在するオルガノポリシロキサンであり、本発明組成物のベースポリマーとして使用される。成分(A)は、一般的には、主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のものであるが、分子の一部に分岐状の構造を含んでいてもよく、また分子全体が環状であってもよい。硬化物の機械的強度等の物性の点から、直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。成分(A)はケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基から選択される基を少なくとも2個有する。上記ケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基は、分子鎖の末端のみに存在していても、或いは分子鎖の2以上の末端及び分子鎖の途中に存在していてもよい。
成分(A)の代表例としては、例えば、下記一般式(1):
Figure 0006240593
(式中、Rはそれぞれ独立して脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、Rは炭素数2〜8のアルケニル基または炭素数3〜8のシクロアルケニル基であり、RはRまたはRで示される基であり、mおよびnはそれぞれ独立して0以上の整数であり、ただし、10≦m+n≦10,000かつ0≦n/(m+n)≦0.2である)で表されるジオルガノポリシロキサンが挙げられる。
上記一般式(1)におけるRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基;並びにこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部がフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等の、ハロゲン置換アルキル基、シアノ置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基などが挙げられる。Rは、炭素原子数が1〜10、特に1〜6のものが好ましく、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基;及びフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基等の非置換又は置換のフェニル基である。メチル基が特に好ましい。
一般式(1)におけるRとしては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基およびヘキセニル基等の炭素原子数2〜8のアルケニル基、およびシクロヘキセニル基等の炭素原子数3〜8のシクロアルケニル基が挙げられ、中でも、ビニル基およびアリル基が好ましい。
一般式(1)におけるRとしては、上記R及びRの具体例として挙げられた基を同様に挙げることができる。中でも、炭素数1〜6のものが好ましく、更に好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2〜3のアルケニル基、及びフェニル基である。
一般式(1)において、mは0以上の整数であり、nは0以上の整数である。ただし、m及びnは、10≦m+n≦10,000かつ0≦n/(m+n)≦0.2を満たし、好ましくは50≦m+n≦2,000かつ0≦n/(m+n)≦0.05を満たす。
また、成分(A)は、好ましくは、JIS K 7117−1記載の方法にしたがって測定される23℃における粘度が100〜10,000mPa・sである。
成分(B)
成分(B)は硬化剤であり、一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子結合水素原子(即ち、SiH基)を有し、かつアルコキシ基およびエポキシ基を有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、該ケイ素原子結合水素原子の少なくとも1つがHRSiO2/2(Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基である)またはHSiO3/2を構成する。成分(B)は、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状のいずれの構造でもよい。
成分(B)の代表例としては、例えば、下記平均組成式(2)
SiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、Rは独立して、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、a及びbは、0<a<2、0.7≦b≦2かつ0.8≦a+b≦3、好ましくは0.001≦a≦1.2、0.8≦b≦2かつ1≦a+b≦2.7、より好ましくは0.01≦a≦1、1.5≦b≦2かつ1.8≦a+b≦2.4を満足する数である)で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
上記平均組成式(2)におけるRとしては、前記一般式(1)のRとして例示したものと同じものが挙げられる。Rは好ましくは、炭素原子数が1〜10、より好ましくは1〜7のものであり、特に好ましくはメチル基およびエチル基等の炭素原子数1〜3のアルキル基またはフェニル基である。
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの例としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8−ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体等のポリシロキサン;およびR (H)SiO1/2単位とSiO4/2単位からなり、任意的にR SiO1/2単位、R SiO2/2単位、R(H)SiO2/2単位、HSiO3/2単位又はRSiO3/2単位を含み得るシリコーンレジン(但し、式中、Rは前記と同様のものである)等が挙げられる。
具体的には、下記式で表わされるものが挙げられる。
Figure 0006240593
(mは0〜100の整数、nは2〜100の整数である)
Figure 0006240593
(mは0〜100の整数、nは1〜100の整数である)
Figure 0006240593
(mは0〜100の整数、rは1〜50の整数、qは2〜100の整数である)
Figure 0006240593
(mは0〜100の整数、rは1〜50の整数、qは1〜100の整数である)
Figure 0006240593
(mは0〜100の整数、rは1〜50の整数、qは2〜100の整数である)
Figure 0006240593
(mは0〜100の整数、rは1〜50の整数、qは1〜100の整数である)
成分(B)は、好ましくは、JIS K 7117−1記載の方法に従って測定される23℃における粘度が0.2〜1,000mPa・s、特に0.5〜500mPa・sである。この粘度範囲であれば、組成物の粘度が高くなり過ぎないので、作業性に優れるため好ましい。
成分(B)の量は、成分(A)中のケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基の合計個数と成分(B)及び後述する成分(E)中のケイ素原子結合水素原子(即ち、SiH基)の合計個数との比が1:0.5〜5、好ましくは1:0.5〜2.5であるような量である。成分(B)の量が上記下限未満であると、得られる組成物の硬化を十分に行うことができない。また、上記上限を超えると、得られる組成物が硬化不良を起こしたり、残存する成分(B)のSiH基含有化合物が経時で脱水素反応をおこしたりするため、好ましくない。
成分(C)
成分(C)は、成分(A)中のアルケニル基およびシクロアルケニル基と成分(B)中のSiH基との付加反応(ヒドロシリル化反応)を促進するための白金族金属系触媒であり、周知のヒドロシリル化反応用触媒が使用できる。具体例としては、例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;HPtCl・nHO、HPtCl・nHO、NaHPtCl・nHO、KHPtCl・nHO、NaPtCl・nHO、KPtCl・nHO、PtCl・nHO、PtCl、およびNaHPtCl・nHO(但し、式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書および同第3,775,452号明細書参照);白金黒およびパラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカおよびカーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。
成分(C)の量は、所謂触媒量でよく、通常、成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、白金族金属の重量換算で0.1〜1,000ppm、特に0.5〜500ppm程度である。
成分(D)
成分(D)は銀粉末であり、任意の公知の銀粉末を使用することができる。成分(D)の量は、成分(A)〜(F)の合計量に対して、80質量%〜95質量%が好ましく、85質量%〜95質量%がより好ましい。この範囲内であれば、実用上十分な熱伝導性を有し、成分(D)を配合するのも容易なので、組成物製造時の生産性にも優れる。
成分(D)は、例えばシーラスレーザー測定装置などのレーザー光回折法による粒度分布測定に基づく平均粒径が10nm以上であるのが好ましく、より好ましくは10nm〜100μm、さらに好ましくは100nm〜50μm程度のものが使用される。この範囲内であれば、成分(D)を配合することが容易なので、組成物製造時の生産性にも優れる。
成分(E)
成分(E)は本発明の組成物に接着性を付与するものであり、一分子中に2個以上のエポキシ基および1個以上のケイ素原子結合水素原子を有し、かつアルコキシ基を有しないオルガノポリシロキサンである。成分(E)は、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状のいずれの構造であってもよい。
成分(E)の代表例としては、例えば、下記式(3)および(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006240593
Figure 0006240593
成分(E)は好ましくは、900以下のエポキシ当量を有する。
成分(F)
成分(F)は、Si(OR)(Rは、炭素数が1〜3の飽和炭化水素基である)で表される化合物の部分加水分解縮合物である。上記部分加水分解縮合物は、上記化合物のOR基を公知の方法で部分的に加水分解し、そして縮合させて得られる生成物である。成分(F)は、本発明組成物における成分同士の親和性を改善するバインダーの役割を担う。特に、銀粉末(D)やエポキシ基を有する成分(E)などの、ポリシロキサンと混ざりにくい成分が、成分(F)が存在することにより、組成物に良好に混入され得、その結果、組成物の接着性を高めることができる。
基Rの具体例としては、メチル基、エチル基およびプロピル基などが挙げられ、メチル基が好適に用いられる。
成分(F)の具体例としては、例えば、下記式で表される化合物及びこれらの混合物が挙げられる。
Figure 0006240593
(上記式中、x、yおよびzは1以上の整数である。)
成分(F)は、その縮合度や架橋密度が高くなるほど粘度が高くなる。成分(F)は好ましくは、JIS K 7117−1記載の方法に従って測定される23℃における粘度が1mPa・s〜10mPa・s、好ましくは2mPa・s〜8mPa・sである。このような範囲の粘度を有する成分(F)は、各成分との親和性に優れ、したがって、バインダーとしての役割を十分に果たすことができる。
成分(E)および(F)の各々の配合量は、成分(A)100質量部に対して、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜8質量部、より好ましくは0.2〜5質量部である。
任意成分
本発明の組成物は、硬化速度を調整する等の目的で、必要に応じて硬化抑制剤を配合することができる。硬化抑制剤としては、例えば、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンやヘキサビニルジシロキサンのようなビニル基高含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類及びそのシラン変性物及びシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイト、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物が挙げられる。硬化抑制剤の量は、成分(A)100質量部当り、通常0.001〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部である。
また、本発明の組成物の粘度を調節するため、希釈剤としてシランカップリング剤を必要に応じて加えることができる。シランカップリング剤としては、例えば、下記一般式(5):
Si(OR (5)
(ここで、Rは脂肪族アルキル基、Rはメチル基またはエチル基である。)で表される化合物が挙げられる。
本発明の組成物は、上記成分を公知の方法によって均一に混合することにより調製され得る。
得られた組成物は、加熱することにより硬化され得る。硬化条件は、組成物が十分硬化するものであれば、特に制限はないが、好ましい硬化温度としては、100℃〜200℃、より好ましくは120℃〜180℃であり、好ましい硬化時間としては、1時間〜10時間、より好ましくは2時間〜6時間である。また、硬化温度は硬化終了まで一定の温度であっても、段階的に昇温してもよい。このようにして得られる硬化物は、好ましくは、5W/m・K以上の熱伝導率を有する。
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。以下において、部は質量部を示す。粘度はJIS K 7117−1記載の方法に従って測定された23℃における粘度(ブルックフィールド社製 デジタル粘度計DV−II+Proにより測定)である。また、H/Viは、成分(A)中のケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基の合計個数に対する成分(B)および成分(E)(または比較成分(E))中のケイ素原子結合水素原子の合計個数の比である。
[調製例]
成分(A)として、粘度が1,000mPa・sであり、分子鎖両末端がビニル基によって封鎖されたポリジメチルシロキサン(式(1)において、RがRであり、Rが全てメチル基であり、Rが全てビニル基であり、m=220、n=20であるポリジメチルシロキサン)1kgを用い、これを、成分(D)としての銀粉末AgC−237(福田金属箔粉社製)10kgと、プラネタリーミキサーを用いて混合することにより、ベース樹脂を得た。
[実施例1]
調製例で得られたベース樹脂11kgを、成分(B)としての下記式(6):
Figure 0006240593
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン12g、成分(C)としての白金のビニルシロキサン錯体3g、硬化抑制剤としてのアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール4g、成分(E)としての下記式(3):
Figure 0006240593

で表される化合物(信越化学工業(株)製、エポキシ当量:402g/eq)10g、成分(F)としてのSi(OCの部分加水分解縮合物(粘度3.7mPa・s)10g、および希釈剤としてのデシルトリメトキシシラン10gと混合して、組成物を得た。H/Vi=2.46
[実施例2]
成分(E)として下記式(4):
Figure 0006240593
で表される化合物(信越化学工業(株)製、エポキシ当量:234g/eq)10gを用いた以外は実施例1と同様にして、組成物を得た。H/Vi=2.05
[実施例3]
成分(B)として下記式(7):
Figure 0006240593
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン25gを用い、かつ希釈剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、組成物を得た。H/Vi=2.27
[比較例1]
成分(E)に代えて比較成分(E)として下記式(8):
Figure 0006240593

で表される化合物(共栄社化学(株)製)10gを用いた以外は実施例1と同様にして組成物を得た。H/Vi=1.66
[比較例2]
成分(E)に代えて比較成分(E)として下記式(9)
Figure 0006240593
で表される化合物(信越化学工業(株)製、エポキシ当量:177g/eq)10gを用いた以外は実施例1と同様にして組成物を得た。H/Vi=1.92
[比較例3]
成分(E)に代えて比較成分(E)として下記式(10)
Figure 0006240593
で表される化合物(信越化学工業(株)製)10gを用いた以外は実施例1と同様にして組成物を得た。H/Vi=1.66
[比較例4]
成分(F)に代えて比較成分(F)としてテトラメトキシシラン10gを用いた以外は実施例1と同様にして組成物を得た。H/Vi=2.46
[比較例5]
実施例1において、成分(F)としての部分加水分解縮合物を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして組成物を得た。H/Vi=2.46
得られた組成物について、下記試験(1)〜(3)を行った。結果を表1に示す。
(1)硬さ
組成物を150℃で4時間加熱することにより硬化させて、厚さ2mmのシートを得た。このシートを、厚みが6mmとなるように3枚重ね合わせ、JIS K 6249に従って、デュロメータタイプAにて硬さを測定した。
(2)熱伝導率
上記(1)で得られた厚さ2mmのシートを直径1cmとなるように打ち抜き、全体をカーボンブラックでコーティングした。これを試験片とし、JIS R 1611に準拠して、レーザーフラッシュ法(LFA 447 Nanoflash ネッチゲレイデバウ社製)を用いて熱伝導率を測定した。
(3)接着強度
ニッケルでコートされた銅板と3mm×3mmのシリコンチップとの間に組成物を硬化後の厚さが0.2mmになるように挟み、150℃で4時間加熱することにより硬化させ、万能型ボンドテスター(DAGE社製 Series4000)を用いて接着強度を測定した。
Figure 0006240593
表1から分かるように、本発明の組成物の硬化物は高い熱伝導率を有し、またニッケル表面に対して高い接着性を有する。したがって、発熱量の大きい電子部品とヒートシンクとの間に配置される熱伝導性シートとして有用である。
一方、成分(E)として、本発明のものと異なる公知の接着付与剤を使用した比較例1〜3では、ニッケル表面への接着性に劣った。成分(F)として、部分加水分解縮合物でなく、モノマーであるテトラメトキシシランを使用した比較例4では、ニッケル表面への接着性に劣った。成分(F)を使用しなかった比較例5では、ニッケル表面への接着性に劣った。

Claims (6)

  1. (A)ケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基から選択される基を一分子中に2個以上有し、かつ該ケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基の少なくとも2個が分子鎖末端に存在するところのオルガノポリシロキサン、
    (B)一分子中に2個以上のケイ素原子結合水素原子を有し、但し該ケイ素原子結合水素原子の少なくとも1つがHRSiO2/2(Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基である)またはHSiO3/2を構成する、かつアルコキシ基およびエポキシ基を有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ここで、成分(B)の量が、成分(A)中のケイ素原子結合アルケニル基およびケイ素原子結合シクロアルケニル基の合計個数と成分(B)および成分(E)中のケイ素原子結合水素原子の合計個数との比が1:0.1〜5.0となる量である、
    (C)白金族金属系触媒、
    (D)銀粉末、
    (E)一分子中に2個以上のエポキシ基および1個以上のケイ素原子結合水素原子を有し、かつアルコキシ基を有しないオルガノポリシロキサン、ここで、成分(E)の量が成分(A)100質量部に対して0.1〜10質量部である、および
    (F)Si(OR)(Rは炭素数が1〜3の飽和炭化水素基である)で表される化合物の部分加水分解縮合物
    を含む熱伝導性シリコーン組成物。
  2. 成分(A)が下記式(1):
    Figure 0006240593
    (式中、Rはそれぞれ独立して脂肪族不飽和結合を含有しない置換または非置換の1価炭化水素基であり、Rは炭素数2〜8のアルケニル基または炭素数3〜8のシクロアルケニル基であり、RはRまたはRで示される基であり、mおよびnはそれぞれ独立して0以上の整数であり、ただし、10≦m+n≦10,000かつ0≦n/(m+n)≦0.2である)で示されるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  3. 式(1)におけるRが全てメチル基であることを特徴とする請求項2記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  4. 成分(E)のエポキシ当量が900以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  5. 成分(A)〜(F)の合計量に対する成分(D)の量が80質量%以上95質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物を硬化して得られる硬化物であって、5W/m・K以上の熱伝導率を有することを特徴とする硬化物。
JP2014247878A 2014-10-09 2014-12-08 熱伝導性シリコーン組成物及びその硬化物 Active JP6240593B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014208208 2014-10-09
JP2014208208 2014-10-09

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016079378A JP2016079378A (ja) 2016-05-16
JP6240593B2 true JP6240593B2 (ja) 2017-11-29

Family

ID=55955881

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014247878A Active JP6240593B2 (ja) 2014-10-09 2014-12-08 熱伝導性シリコーン組成物及びその硬化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6240593B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102656007B1 (ko) 2019-05-06 2024-04-08 와커 헤미 아게 폴리오르가노실록산 및 이의 열전도성 실리콘 조성물

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6754317B2 (ja) * 2017-04-27 2020-09-09 信越化学工業株式会社 付加硬化型シリコーン組成物、該組成物の製造方法、シリコーン硬化物、及び光学素子
EP3966269B1 (en) * 2019-05-06 2022-11-30 Wacker Chemie AG Polyorganosiloxane and thermally conductive silicone composition thereof
JP2021001312A (ja) * 2019-06-19 2021-01-07 住友化学株式会社 混合組成物、膜、及び車両用ガラス
WO2022047776A1 (en) * 2020-09-07 2022-03-10 Wacker Chemie Ag Hydrogenpolyorganosiloxane and thermally conductive silicone composition thereof
JP2023101313A (ja) * 2022-01-07 2023-07-20 信越化学工業株式会社 高熱伝導性シリコーン組成物
CN115260984A (zh) * 2022-08-19 2022-11-01 广州市瑞合新材料科技有限公司 一种加成型密封胶及其制备方法和应用

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0655899B2 (ja) * 1988-11-28 1994-07-27 信越化学工業株式会社 シリコーンゴム組成物
JP3447964B2 (ja) * 1997-09-12 2003-09-16 信越化学工業株式会社 酸化亜鉛充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物
JP4393817B2 (ja) * 2002-08-07 2010-01-06 東レ・ダウコーニング株式会社 熱伝導性充填剤、熱伝導性シリコーンエラストマー組成物および半導体装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102656007B1 (ko) 2019-05-06 2024-04-08 와커 헤미 아게 폴리오르가노실록산 및 이의 열전도성 실리콘 조성물

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016079378A (ja) 2016-05-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6240593B2 (ja) 熱伝導性シリコーン組成物及びその硬化物
KR102360378B1 (ko) 실리콘 조성물
KR102477726B1 (ko) 충전제를 포함하는 실리콘 조성물
JP6654593B2 (ja) ダイボンディング用シリコーン樹脂組成物及び硬化物
JP2009209165A (ja) 熱伝導性硬化物及びその製造方法
JP7116703B2 (ja) 熱伝導性シリコーン組成物及びその製造方法、並びに熱伝導性シリコーン硬化物
JP6050207B2 (ja) 放熱シート、高放熱性シート状硬化物、及び放熱シートの使用方法
JP2014080546A (ja) シリコーン組成物
JP7285231B2 (ja) 熱伝導性シリコーン組成物及びその硬化物
JP6791815B2 (ja) 熱伝導性シリコーン樹脂組成物
TWI824104B (zh) 高熱傳導性聚矽氧組成物及其製造方法
JP5969049B2 (ja) 熱安定性シリコーン混合物
JP2009215420A (ja) 高硬度シリコーンゴムを与える組成物およびそれを封止材として用いた半導体装置
JP6933198B2 (ja) 熱伝導性シリコーン組成物及びその製造方法
JP6620703B2 (ja) 熱伝導性シリコーン樹脂組成物及びその硬化方法
JP2020070402A (ja) 付加硬化型シリコーン樹脂組成物、その硬化物、及び光半導体装置
JP7290118B2 (ja) 熱伝導性シリコーン接着剤組成物
WO2022030108A1 (ja) 熱伝導性2液付加硬化型シリコーン組成物及びその製造方法
JP5539283B2 (ja) 熱伝導性シリコーンゴム組成物
JP2012140548A (ja) 付加硬化型熱伝導性シリコーン組成物
KR102555551B1 (ko) 정착 부재 형성용 실리콘 고무 조성물 및 정착 부재
JP2010215763A (ja) 定着ロール用付加硬化型シリコーン接着剤及び定着ロール
JP2021001239A (ja) 熱硬化型熱伝導性シリコーンゴム組成物
JP2022174600A (ja) 熱伝導性シリコーン組成物及びその硬化物
JP5974977B2 (ja) 耐熱性シリコーンゴム組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170802

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170815

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171011

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171106

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6240593

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150