JP6050207B2 - 放熱シート、高放熱性シート状硬化物、及び放熱シートの使用方法 - Google Patents

放熱シート、高放熱性シート状硬化物、及び放熱シートの使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、放熱シート、該放熱シートを加熱硬化させた高放熱性シート状硬化物、及び上記放熱シートの使用方法に関する。
従来、CPU、GPU、パワーモジュール等の大きな発熱を伴う電子部品をヒートシンクに取り付ける際に、部品間に生じる隙間をなくし、電子部品で発生する熱を効率よくヒートシンクに伝達するために使用される熱伝導性材料として、特許文献1に示されるようなシリコーン樹脂に熱伝導性粉末を混合してシート化したものが広く用いられている。
しかしながら、例えば、特許文献2に示されるような熱伝導性シリコーンゴムシートでは、取り扱いが容易ではあるが、加熱硬化後のゴムシートを用いるため、電子部品やヒートシンクの表面の凹凸に密着することが難しく、これらの隙間を十分に埋めることができず、効率的に外部へ熱を逃がすことが難しい。
この問題を解決するために、特許文献3ではシート両面に粘着層を有する放熱シートが提案されているが、粘着面同士が貼り付くなど取り扱いが困難である上に、シートと粘着層の界面で接触熱抵抗が生じる問題があった。
他にも特許文献4や特許文献5に示されるように、柔らかいシリコーン樹脂を金属やセラミックスの補強材の両面に配置した放熱シートが提案されているが、粘着性や接触熱抵抗の問題を解決するには至っていない。
特開2005―54099号公報 特開平11−209618号公報 特開2005−228955号公報 特開平7−14950号公報 特開2004―39829号公報
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、表面に粘着性がないため取り扱いが容易であり、優れた自己接着性と電気絶縁性を有し、放熱性にも優れた放熱シート及びその硬化物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、
金属層の両面に、熱伝導性充填材を含有する常温で固体又は半固体状の付加硬化型シリコーン樹脂組成物が塗工された放熱シートであって、該放熱シートの表面が非粘着性のものである放熱シートを提供する。
このような本発明の放熱シートであれば、表面に粘着性がないため取り扱いが容易であり、金属層を芯材に持つため放熱性に優れ、シリコーン樹脂が優れた自己接着性を有するために金属との界面での接触熱抵抗を抑えることができ、また電気絶縁性にも優れた放熱シートとなる。
またこのとき、前記付加硬化型シリコーン樹脂組成物が、
(A)RSiO3/2単位、R SiO2/2単位、及びR SiO(4−a−b)/2単位からなり(ここで、R、R、及びRは独立に水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、及びフェニル基のいずれかを示し、Rは独立にビニル基又はアリル基を示し、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)、
前記R SiO2/2単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が10〜50個である構造を含むレジン構造のオルガノポリシロキサン、
(B)RSiO3/2単位、R SiO2/2単位、及びR SiO(4−c−d)/2単位からなり(ここで、R、R及びRは独立に前記の通りであり、cは0、1又は2で、dは1又は2で、かつc+dは2又は3である。)、
前記R SiO2/2単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が10〜50個である構造を含むレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A)成分中のビニル基及びアリル基の合計に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量、
(C)白金族金属系触媒:硬化有効量、及び
(D)熱伝導性充填材
を含有し、未硬化時に常温で固体又は半固体状のものであることが好ましい。
このような付加硬化型シリコーン樹脂組成物であれば、粘着性がなく、より自己接着性、電気絶縁性に優れた熱伝導性付加硬化型シリコーン樹脂組成物となるため、これを用いた放熱シートは、取り扱いが容易でありながら、より放熱性、自己接着性、電気絶縁性に優れた放熱シートとなる。
またこのとき、前記付加硬化型シリコーン樹脂組成物が、前記(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して、前記(D)熱伝導性充填材を100〜1,500質量部含有するものであることが好ましい。
このような付加硬化型シリコーン樹脂組成物であれば、より熱伝導性に優れた付加硬化型シリコーン樹脂組成物となるため、これを用いた放熱シートは、取り扱いが容易でありながら、より放熱性に優れた放熱シートとなる。
前記(D)熱伝導性充填材の20℃における電気抵抗率が1×1010Ω・cm以上であることが好ましい。
熱伝導性充填材がこのような電気抵抗率を有するものであれば、付加硬化型シリコーン樹脂組成物が良好な電気絶縁性を示し、得られる放熱シートやその硬化物もまた良好な電気絶縁性を示す。
またこのとき、前記金属層が、アルミニウム、銅、銀及びそれらの合金から選ばれる金属からなるものであることが好ましい。
このような金属層であれば、高い熱伝導率を有するため、より放熱性に優れた放熱シートとなる。
さらに、本発明では前記放熱シートの加熱硬化物である高放熱性シート状硬化物を提供する。
このような高放熱性シート状硬化物であれば、自己接着性、電気絶縁性、及び放熱性に優れた高放熱性シート状硬化物となる。
またこのとき、前記高放熱性シート状硬化物のJIS K 6253記載のタイプDデュロメータ硬さが30以上であることが好ましい。
このような硬さであれば、十分な強度を有する高放熱性シート状硬化物となる。
またこのとき、前記高放熱性シート状硬化物の表面が非粘着性であることが好ましい。
このような高放熱性シート状硬化物であれば、表面が非粘着性であり、取り扱いが容易である。
またこのとき、前記高放熱性シート状硬化物が、1.5W/m・K以上の熱伝導率を有するものであることが好ましい。
このような熱伝導率を有するものであれば、より放熱性に優れた高放熱性シート状硬化物となる。
さらに、本発明では、上記の放熱シートを電子部品に密着させたのち、加熱硬化して使用する放熱シートの使用方法を提供する。
このように、本発明の放熱シートは電子部品に密着させたのち、加熱硬化して使用することができる。
以上説明したように、本発明の放熱シートであれば、粘着性がなく、優れた自己接着性と電気絶縁性を有する熱伝導性付加硬化型シリコーン樹脂組成物を、高い熱伝導率を有する金属層の両面に配置することで、表面に粘着性がないため取り扱いが容易であり、自己接着性が良いため芯材となる金属層との接触熱抵抗が抑えられ、かつ発熱体とヒートシンクとの間を隙間なく埋めることができ、高い熱伝導率を有する金属層を芯材とするため放熱性に優れ、また電気絶縁性にも優れた放熱シートとなる。このため、本発明の放熱シートは、電子部品で発生する熱を効率よくヒートシンクに伝達するための熱伝導性材料として好適である。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
上述のように、従来の放熱シートは、作業性と放熱性を両立することが困難であった。
本発明者らは、上記問題点を解決するべく鋭意検討を行った結果、常温で固体又は半固体の付加硬化型シリコーン樹脂組成物を両面に配置した金属からなり、表面が非粘着性のものである放熱シートであれば、上記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、金属層の両面に、熱伝導性充填材を含有する常温で固体又は半固体状の付加硬化型シリコーン樹脂組成物が塗工された放熱シートであって、該放熱シートの表面が非粘着性のものである放熱シートである。
以下、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
なお、本明細書において、「常温」とは通常の状態における周囲温度を意味し、通常15〜30℃の範囲の温度であり、典型的には25℃である。
また、本発明の「固体状」の組成物は可塑性を有するものである。
「半固体状」とは可塑性を有し、特定の形状に成形されたときに少なくとも1時間、好ましくは8時間以上その形状を保持し得る物質の状態を言う。したがって、例えば、常温で非常に高い粘度を有する流動性物質が本質的には流動性を有するものの、非常に高い粘度のために少なくとも1時間という短時間では付与された形状に変化(即ち、くずれ)を肉眼では認めることができないとき、その物質は半固体の状態にある。
本発明の放熱シートに用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物は、熱伝導性充填材を含有し、常温で固体又は半固体状のものである。
このような付加硬化型シリコーン樹脂組成物は、特に限定されないが、
(A)RSiO3/2単位、R SiO2/2単位、及びR SiO(4−a−b)/2単位からなり(ここで、R、R、及びRは独立に水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、及びフェニル基のいずれかを示し、Rは独立にビニル基又はアリル基を示し、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)、
前記R SiO2/2単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が10〜50個である構造を含むレジン構造のオルガノポリシロキサン、
(B)RSiO3/2単位、R SiO2/2単位、及びR SiO(4−c−d)/2単位からなり(ここで、R、R及びRは独立に前記の通りであり、cは0、1又は2で、dは1又は2で、かつc+dは2又は3である。)、
前記R SiO2/2単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が10〜50個である構造を含むレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A)成分中のビニル基及びアリル基の合計に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量、
(C)白金族金属系触媒:硬化有効量、及び
(D)熱伝導性充填材
を含有し、未硬化時に常温で固体又は半固体状のものであることが好ましい。
−(A)レジン構造のオルガノポリシロキサン−
本発明の放熱シートに用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物の重要な(A)成分であるレジン構造(即ち、三次元網状構造)のオルガノポリシロキサンは、RSiO3/2単位、R SiO2/2単位、及びR SiO(4−a−b)/2単位からなり(ここで、R、R、及びRは水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、又はフェニル基を示し、Rは独立にビニル基又はアリル基を示し、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)、
上記R SiO2/2単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が10〜50個、好ましくは15〜45個、より好ましくは20〜35個である構造を部分的に含有するレジン構造のオルガノポリシロキサンである。
上記R SiO2/2単位が10個以上であれば、組成物が可塑性を失って取り扱いづらくなったり、組成物を硬化した際の硬化物が脆い状態となったりすることがないため好ましい。また、上記R SiO2/2単位が50個以下であれば、組成物が固体又は半固体の状態を維持できなくなったり、硬化物が軟らかくなりすぎたりすることがないので、取扱性や作業性が悪くならないため好ましい。
なお、上記のR SiO2/2単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が10〜50個である構造とは、下記一般式(1):
Figure 0006050207
(ここで、mは10〜50の整数)
で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン連鎖構造を意味する。
(A)成分のオルガノポリシロキサン中に存在するR SiO2/2単位全体の少なくとも一部、好ましくは50モル%〜100モル%、特には80モル%〜100モル%が、分子中で上記一般式(1)で表される連鎖構造を形成していることが好ましい。
(A)成分の分子中においては、R SiO2/2単位はポリマー分子を直鎖状に延伸するように働き、RSiO3/2単位はポリマー分子を分岐させ或いは三次元網状化させる。R SiO(4−a−b)/2単位の中のR(独立にビニル基又はアリル基)は、後述する(B)成分が有するR SiO(4−c−d)/2単位のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)とヒドロシリル化付加反応することにより本発明の組成物を硬化させる役割を果たす。
(A)成分を構成する必須の三種のシロキサン単位のモル比、即ち、RSiO3/2単位:R SiO2/2単位:R SiO(4−a−b)/2単位のモル比は、90〜24:75〜9:50〜1、特に70〜28:70〜20:10〜2(但し、合計で100)であることが得られる硬化物の特性上好ましい。
また、この(A)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、3,000〜1,000,000、特に10,000〜100,000の範囲にあると、作業性、硬化性等から好適である。
なお、本発明中で言及する重量平均分子量とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量を指すこととする。
[測定条件]
展開溶媒:THF
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolomn SuperH−L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5重量%のTHF溶液)
このようなレジン構造のオルガノポリシロキサンは、各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で上記三種のシロキサン単位が所要のモル比となるように組み合わせ、例えば、酸等の触媒の存在下で共加水分解縮合を行うことによって合成することができる。
ここで、RSiO3/2単位の原料としては、MeSiCl、EtSiCl、PhSiCl(以下、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す)、n−プロピルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等のクロロシラン類、これらそれぞれのクロロシラン類に対応するメトキシシラン類等のアルコキシシラン類等を例示できる。
SiO2/2単位の原料としては、
Figure 0006050207
Figure 0006050207
Figure 0006050207
(ここで、m1=8〜48の整数(平均値)、m2=5〜48の整数(平均値)、m3=0〜43の整数(平均値)、ただし、m2+m3は8〜48の整数)
等を例示することができる。
また、R SiO(4−a−b)/2単位は、RSiO2/2単位、R SiO1/2単位、R SiO2/2単位、及びR SiO1/2単位から選ばれる1種のシロキサン単位又は2種以上のシロキサン単位の組み合わせであることを示す。その原料としては、MeViSiCl、MeViSiCl、PhViSiCl、PhViSiCl(以下、Viはビニル基を示す)等のクロロシラン類、これらのクロロシランのそれぞれに対応するメトキシシラン類等のアルコキシシラン類等を例示することができる。
なお、本発明において、(A)成分のオルガノポリシロキサンを上記の原料化合物の共加水分解及び縮合により製造する際には、得られる(A)成分のオルガノポリシロキサンに、RSiO3/2単位、R SiO2/2単位及び/又はR SiO(4−a−b)/2単位に、シラノール基を有するシロキサン単位が含まれていてもよい。(A)成分のオルガノポリシロキサンは、かかるシラノール基含有シロキサン単位を、通常、全シロキサン単位に対して0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%程度含有することが好ましい。
上記シラノール基含有シロキサン単位としては、例えば、(HO)SiO3/2単位、R’(HO)SiO2/2単位、(HO)SiO2/2単位、R(HO)SiO2/2単位、R (HO)SiO1/2単位、R’R(HO)SiO1/2単位、R(HO)SiO1/2単位(ここで、R’及びR’は水酸基以外の上記でR及びRについて定義した通りの基であり、Rは上記定義の通りである。)が挙げられる。
なお、R、R及びRにおける水酸基とは、上記シラノール基含有シロキサン単位中の水酸基を意味する。
シラノール基含有シロキサン単位を上記の範囲内で含んでいると、ヒートシンクやシリコンウエハ、金属、樹脂等に対する接着性が向上するため好ましい。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの構造の構成比として例えば、(PhSiO3/2x1(MeSiO2/2m1(MeViSiO1/2y1、(PhSiO3/2x1(MeSiO2/2m1(MeViSiO2/2y1、(PhSiO3/2x1(MeSiO2/2m2(PhSiO2/2m3(MeViSiO1/2y1、(PhSiO3/2x1(MeSiO2/2m2(MePhSiO2/2m3(MeViSiO1/2y1、(HOSiO3/2x1(MeSiO2/2m1(MeViSiO1/2y1、(PhSiO3/2x1(MeSiO2/2m1(Me(OH)ViSiO1/2y1、(HOSiO3/2x1(MeSiO2/2m2(PhSiO2/2m3(MeViSiO1/2y1、(PhSiO3/2x1(MeSiO2/2m2(PhSiO2/2m3(Me(HO)ViSiO1/2y1等を例示することができる。
なお、m1、m2、m3は上記で定義した通りであり、x1及びy1はx1:m1:y1あるいはx1:m2+m3:y1が90〜24:75〜9:50〜1を満たすような正の整数であり、x1+m1+y1及びx1+m2+m3+y1は100である。
−(B)レジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン−
本発明の放熱シートに用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物の重要な(B)成分であるレジン構造(即ち、三次元網状構造)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、RSiO3/2単位、R SiO2/2単位、及びR SiO(4−c−d)/2単位からなり(ここで、R、R、及びRは上記の通りであり、cは0,1又は2で、dは1又は2で、かつc+dは2又は3である)、
上記R SiO2/2単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が10〜50個、好ましくは15〜45個、より好ましくは20〜35個である構造を部分的に含有するレジン構造のオルガノポリシロキサンである。
上記R SiO2/2単位が10個以上であれば、組成物が可塑性を失って取り扱いづらくなったり、組成物を硬化した際の硬化物が脆い状態となったりすることがないため好ましい。また、上記R SiO2/2単位が50個以下であれば、組成物が固体又は半固体の状態を維持できなくなったり、硬化物が軟らかくなりすぎたりすることがないので、取扱性や作業性が悪くならないため好ましい。
なお、R SiO2/2単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が10〜50個である構造とは、(A)成分に関して上述した通り、(B)成分中に存在するR SiO2/2単位の少なくとも一部、好ましくは50モル%〜100モル%、特には80モル%〜100モル%が、(B)成分の分子中で上記一般式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン連鎖構造を形成していることを意味する。
(B)成分の分子中においても、R SiO2/2単位はポリマー分子を直鎖状に延伸するように働き、RSiO3/2単位はポリマー分子を分岐させ或いは三次元網状化させる。R SiO(4−c−d)/2単位の中のケイ素に結合した水素原子は、上述した(A)成分が有するアルケニル基とヒドロシリル化付加反応することにより本発明の組成物を硬化させる役割を果たす。
(B)成分を構成する必須の三種のシロキサン単位のモル比、即ち、RSiO3/2単位:R SiO2/2単位:R SiO(4−c−d)/2単位のモル比は、90〜24:75〜9:50〜1、特に70〜28:70〜20:10〜2(但し、合計で100)であることが得られる硬化物の特性上好ましい。
また、この(B)成分のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は、3,000〜1,000,000、特に10,000〜100,000の範囲にあるものが、作業性、硬化物の特性等の点から好適である。
このようなレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で上記三種のシロキサン単位が所要のモル比となるように組み合わせ、例えば、酸等の触媒の存在下で共加水分解を行うことによって合成することができる。
ここで、RSiO3/2単位の原料としては、MeSiCl、EtSiCl、PhSiCl、n−プロピルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシランや、それぞれのクロロシランに対応するメトキシシラン等のアルコキシシラン等が例示できる。
SiO2/2単位の原料としては、
Figure 0006050207
Figure 0006050207
Figure 0006050207
(ここで、m1=8〜48の整数(平均値)、m2=5〜48の整数(平均値)、m3=0〜43の整数(平均値)、ただし、m2+m3=8〜48の整数)
等を例示することができる。
また、R SiO(4−c−d)/2単位は、RHSiO2/2単位、R HSiO1/2単位、HSiO2/2単位、RSiO1/2単位から選ばれる1種又は2種以上のシロキサン単位の任意の組み合わせであることを示し、その原料としては、MeHSiCl、MeHSiCl、PhHSiCl、PhHSiCl等のクロロシラン類、これらのクロロシラン類に対応するメトキシシラン類等のアルコキシシラン類等を例示することができる。
なお、本発明において、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを上記の原料化合物の共加水分解及び縮合により製造する際には、得られる(B)成分のオルガノポリシロキサンに、RSiO3/2単位、R SiO2/2単位及び/又はR SiO(4−c−d)/2単位に、シラノール基を有するシロキサン単位が含まれていてもよい。(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、かかるシラノール基含有シロキサン単位を、通常、全シロキサン単位に対して0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%程度含有することが好ましい。
上記シラノール基含有シロキサン単位としては、例えば、(HO)SiO3/2単位、R’(HO)SiO2/2単位、(HO)SiO2/2単位、H(HO)SiO2/2単位、H(HO)SiO1/2単位、R’H(HO)SiO1/2単位、H(HO)SiO1/2単位(ここで、R’及びR’は水酸基以外の上記でR及びRについて定義した通りの基である。)が挙げられる。
なお、R、R及びRにおける水酸基とは、上記シラノール基含有シロキサン単位中の水酸基を意味する。
シラノール基含有シロキサン単位を上記の範囲内で含んでいると、ヒートシンクやシリコンウエハ、金属、樹脂等に対する接着性が向上するため好ましい。
(B)成分のオルガノポリシロキサンの構造の構成比として例えば、(PhSiO3/2x2(MeSiO2/2m1(MeHSiO1/2y2、(PhSiO3/2x2(MeSiO2/2m1(MeHSiO2/2y2、(PhSiO3/2x2(MeSiO2/2m2(PhSiO2/2m3(MeHSiO1/2y2、(PhSiO3/2x2(MeSiO2/2m2(MePhSiO2/2m3(MeHSiO1/2y2、(HOSiO3/2x2(MeSiO2/2m1(MeHSiO1/2y2、(PhSiO3/2x2(MeSiO2/2m1(Me(OH)HSiO1/2y2、(HOSiO3/2x2(MeSiO2/2m2(PhSiO2/2m3(MeHSiO1/2y2、(PhSiO3/2x2(MeSiO2/2m2(PhSiO2/2m3(Me(HO)HSiO1/2y2等を例示することができる。
なお、m1、m2、m3は上記で定義した通りであり、x2及びy2はx2:m1:y2あるいはx2:m2+m3:y2が90〜24:75〜9:50〜1を満たすような正の整数であり、x2+m1+y2及びx2+m2+m3+y2は100である。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分中のビニル基及びアリル基の合計量に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)のモル比で0.1〜4.0となる量、特に好ましくは0.5〜3.0、更に好ましくは0.8〜2.0となる量であることが好ましい。0.1以上で硬化反応が良好に進行しシリコーン硬化物を得ることができ、4.0以下であれば、硬化物中の未反応(残存)SiH基が少量となり、硬化物の物性が経時的に変化する恐れがないために好ましい。
−(C)白金族金属系触媒−
この触媒成分は、本発明の放熱シートに用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物の付加硬化反応を促進させるために配合されるものであり、白金系、パラジウム系、ロジウム系のものがある。当該触媒としてはヒドロシリル化反応を促進するものとして従来公知であるいずれのものも使用することができる。コスト等を考慮して、白金、白金黒、塩化白金酸等の白金系のもの、例えば、HPtCl・nHO、KPtCl、KHPtCl・nHO、KPtCl、KPtCl・nHO、PtO・nHO,(ここで、nは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を例示することができる。これらの触媒は一種単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。
(C)成分の配合量は、硬化のための有効量でよく、通常、上記(A)成分及び(B)成分の合計量に対して白金族金属として質量換算で0.1〜500ppm、特に好ましくは0.5〜100ppmの範囲で使用される。
−(D)熱伝導性充填材−
(D)成分の熱伝導性充填材は、付加硬化型シリコーン樹脂組成物中の他の成分と反応せず、安定した熱伝導性、電気絶縁性が確保されるものであれば特に限定されない。例えば、アルミナのような金属酸化物や、窒化アルミ、窒化ホウ素などの金属窒化物、有機樹脂、シリコーンゴム等の粉末が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上混合して使用することができる。
その配合量は(A)〜(C)の全成分100質量部に対して、通常100〜1500質量部の範囲が好ましく、400〜1000質量部の範囲がより好ましい。このような範囲であれば、より放熱性に優れた放熱シートとすることができる。
(D)成分の熱伝導性充填材としては、これらの中でも、20℃における電気抵抗率が1×1010Ω・cm以上であるものが好ましく、アルミナが特に好ましい。熱伝導性充填材がこのような電気抵抗率を有するものであれば、付加硬化型シリコーン樹脂組成物が良好な電気絶縁性を示し、得られる放熱シートやその硬化物もまた良好な電気絶縁性を示す。
なお、本発明における電気抵抗率とは、JIS K 6249記載の方法による20℃における測定値を示すものとする。
−その他の配合剤−
本発明の放熱シートに用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には、上述した(A)〜(D)成分以外にも、必要に応じて、それ自体公知の各種の添加剤を配合することができる。
・無機充填材:
(D)熱伝導性充填材の他に、放熱シートの可塑性、形状保持性、シート状硬化物のゴム物性、耐熱性、耐薬品性、耐光性などを改善する目的で補強性無機充填材や非補強性無機充填材を添加することができる。これらの無機充填材は、合計で、(A)及び(B)成分の合計量100質量部あたり0〜600質量部の範囲で適宜配合することが好ましい。
・接着助剤:
また、本発明の放熱シートに用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には、接着性を付与するため、接着助剤を必要に応じて添加できる。接着助剤としては、例えば、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)、ケイ素原子に結合したアルケニル基(例えばSi−CH=CH基)、アルコキシシリル基(例えばトリメトキシシリル基)、エポキシ基(例えばグリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基)から選ばれる官能性基を少なくとも2種、好ましくは2種又は3種含有する直鎖状、分岐状、レジン状(三次元構造)又は環状のケイ素原子数4〜50個、好ましくは4〜20個程度のオルガノシロキサンオリゴマー、下記一般式(2)で示されるオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物、又はその加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)及びこれらの組合せ等が挙げられる。
Figure 0006050207
〔式中、Rは、下記式(3)
Figure 0006050207
(ここで、Rは水素原子又は炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、vは1〜6、特に1〜4の整数である。)
で表される有機基、又は脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基であるが、Rの少なくとも1個は上記式(3)の有機基である。〕
上記一般式(2)におけるRの脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素原子数2〜8、特に2〜6のアルケニル基、シクロヘキセニル基等の炭素原子数6〜8のシクロアルケニル基等が挙げられる。また、上記式(3)におけるRの一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、上記Rについて例示したアルケニル基及びシクロアルケニル基、さらにフェニル基等のアリール基等の炭素原子数1〜8、特に1〜6の一価炭化水素基が挙げられ、好ましくはアルキル基である。
さらに、接着助剤としては、下記式に示される化合物が例示される。
Figure 0006050207
(式中、g及びhは各々0〜50の範囲の正の整数であって、しかもg+hが2〜50、好ましくは4〜20を満足するものである。)
Figure 0006050207
Figure 0006050207
上記の有機ケイ素化合物のうち、得られる硬化物に特に良好な接着性をもたらす化合物としては、一分子中にケイ素原子結合アルコキシ基と、アルケニル基もしくはケイ素原子結合水素原子(SiH基)とを有する有機ケイ素化合物である。
接着助剤の配合量は、(A)成分100質量部に対して、通常0〜10質量部、好ましくは0.1〜8質量部、より好ましくは0.2〜5質量部程度配合することができる。10質量部以下であれば、硬化物の硬度に悪影響を及ぼしたりすることもなく、表面に粘着性を生じることもない。
さらに本発明の放熱シートに用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には、必要に応じて液状シリコーン成分を添加することができる。このような液状シリコーン成分としては、JIS K 7117−1に準拠した方法でブルックフィールド回転粘度計により測定した25℃での粘度が1〜100,000mPa・sのものが好ましく、例えばビニルシロキサン、ハイドロジェンシロキサン、アルコキシシロキサン、ハイドロキシシロキサン及びこれらの混合物が挙げられ、添加量は、付加硬化型シリコーン樹脂組成物が常温で固体ないし半固体を維持することが条件であり、通常、付加硬化型シリコーン樹脂組成物全体に対して50質量%以下である。
・硬化抑制剤:
本発明の放熱シートに用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物には、硬化速度を調整する等の目的で、必要に応じて適宜硬化抑制剤を配合することができる。硬化抑制剤としては、例えば、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンやヘキサビニルジシロキサンのようなビニル基高含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類及びそのシラン変性物及びシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物等が挙げられる。硬化抑制剤は(A)成分100質量部あたり通常0.001〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部添加される。
・シランカップリング剤:
上述の(D)熱伝導性充填材は、樹脂への分散性を向上させるため、シランカップリング剤で処理することができる。シランカップリング剤としては、下記一般式(A)で表されるような化合物や、
Si(OR (A)
(ここで、Rは脂肪族アルキル基、Rはメチル基あるいはエチル基である。)
SiO3/2単位、R SiO2/2単位、及びR SiO(4−a−b)/2単位からなり(ここで、R、R、及びRは独立に水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、又はフェニル基を示し、Rは独立にビニル基又はアリル基を示し、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)、
上記R SiO2/2単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が5〜50個である構造を含み、末端がSi(OR単位で封鎖されたポリシロキサン(ここで、Rは上記と同じ。)
が挙げられる。
本発明の放熱シートに用いられる付加硬化型シリコーン樹脂組成物の一典型例として、実質的に(A)〜(D)成分からなる組成物が挙げられる。ここで、「実質的に(A)〜(D)成分からなる」とは、当該組成物が(A)〜(D)成分以外に上述した任意成分の少なくとも1種を、目的等に合わせ、必要に応じて含み得ることを意味する。
−調製−
本発明の放熱シートは、上記のような付加硬化型シリコーン樹脂組成物を芯材となる金属層の両面に配置することによって形成される。通常は、シリコーン樹脂組成物の硬化が進行しないように冷蔵庫や冷凍庫にて低温保存され、使用時に必要により加熱することにより直ちに硬化する。
本発明の放熱シートの芯材である金属層は、その使用目的上、高い熱伝導率を持つことが望ましいが、厚みや形状などは特に限定されず、用途に応じたものを選ぶことができる。
金属層としては、アルミニウム、銅、銀及びそれらの合金から選ばれる金属からなるものであれば、高い熱伝導率を有するため好ましい。
一方、付加硬化型シリコーン樹脂組成物は、厚みが100μm以下であることが好ましい。厚みが薄いほど芯材の金属層による寄与が大きくなり、熱伝導性は向上するが、電気絶縁性が低下することに加え、(D)成分の熱伝導性充填材の種類や含有量が限定されるため、用途に応じて適宜調整される。
本発明の放熱シートを作製する手段として、例えばフィルムコータ、熱プレス機等を挙げることができる。これらの手段を用いて放熱シートを作製するには、例えば金属を、上述の付加硬化型シリコーン樹脂組成物との間に挟み、さらに片面に加圧用ベースフィルムともう片面に剥離フィルムを配置し、熱プレス機を用いて通常60〜120℃、好ましくは70〜100℃の温度で、0.5〜10t/cm、好ましくは1〜7t/cmの圧力下で、1〜30分間、好ましくは2〜10分間圧縮成形を行う。
加圧用ベースフィルム、剥離フィルムとしては、フッ素系樹脂コートしたPETフィルム、シリコーン樹脂コートしたPETフィルム、フッ素系樹脂フィルム等が挙げられ、それぞれ同じ種類の材質のフィルムを用いても、異なったものを用いてもよい。
上記のようにして作製した放熱シートは、常温で固体状又は半固体状であり、表面が非粘着性であるため、取り扱いが容易である。加えて、芯材である金属層と付加硬化型シリコーン樹脂組成物との密着性が良好であるため、優れた熱伝導性が得られる。また、付加硬化型シリコーン樹脂組成物はさらに加熱することで硬化し、接着性を示す。
このような放熱シートを用いる方法としては、発熱部品(電子部品)の表面に、任意の形状、大きさで配置し、加熱して密着させる。その後ヒートシンクを乗せて二次硬化することで、付加硬化型シリコーン樹脂組成物が硬化し、発熱部品とヒートシンクとの間を隙間なく埋めることができる。
本発明の放熱シートの硬化は、通常50〜200℃、特に70〜180℃の温度で行われ、加熱時間は1〜30分、特に2〜10分程度でよい。また、二次硬化(ポストキュア)を行うことができ、そのための温度は通常50〜200℃、特に70〜180℃であり、時間は0.1〜10時間、特に1〜4時間でよい。通常、一次硬化の後二次硬化させる。
上述のようにして放熱シートを加熱硬化したシート状硬化物は、自己接着性、電気絶縁性、及び放熱性に優れた高放熱性シート状硬化物となる。
また、このシート状硬化物は上述のように高熱伝導性を有するものであり、その熱伝導率は、JIS H 7801記載の方法で測定した値が1.5W/m・K以上であることが好ましく、1.8W/m・K以上であることが特に好ましい。
また、この高放熱性シート状硬化物が、JIS K 6253記載のタイプDデュロメータ硬さが30以上であれば、十分な強度を有する高放熱性シート状硬化物となるため好ましい。
また、この高放熱性シート状硬化物の表面が非粘着性であれば、硬化した後も取り扱いが容易であるため好ましい。
以上説明したように、本発明の放熱シートであれば、粘着性がなく、優れた自己接着性と電気絶縁性を有する熱伝導性付加硬化型シリコーン樹脂組成物を、高い熱伝導率を有する金属層の両面に配置することで、表面に粘着性がないため取り扱いが容易であり、自己接着性が良いため芯材となる金属層との接触熱抵抗が抑えられ、かつ発熱体とヒートシンクとの間を隙間なく埋めることができ、高い熱伝導率を有する金属層を芯材とするため放熱性に優れ、また電気絶縁性にも優れた放熱シートとなる。このため、本発明の放熱シートは、電子部品で発生する熱を効率よくヒートシンクに伝達するための熱伝導性材料として好適である。
以下、合成例、調製例、実施例、及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。また、Phはフェニル基、Meはメチル基、Viはビニル基を示す。
[合成例1]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A1)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)23SiMeCl:1mol、MeViSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有樹脂(A1)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)23−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)23−SiMe2/20.01[MeViSiO1/20.06で示される。この樹脂の重量平均分子量は65,000、融点は58℃であった。
[合成例2]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(B1)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)23SiMeCl:1mol、MeHSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有樹脂(B1)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)23−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)23−SiMe2/20.01[MeHSiO1/20.06で示される。この樹脂の重量平均分子量は56,000、融点は56℃であった。
[合成例3]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A2)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)23SiMeCl:1mol、MeViSiCl:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有樹脂(A2)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)23−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)23−SiMe2/20.01[MeViSiO2/20.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は62,000、融点は60℃であった。
[合成例4]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(B2)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)23SiMeCl:1mol、MeHSiCl:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有樹脂(B2)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)23−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)23−SiMe2/20.01[MeHSiO2/20.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は58,000、融点は58℃であった。
[合成例5]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A3)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)33SiMeCl:1mol、MeViSiCl:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有樹脂(A3)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)33−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)33−SiMe2/20.01[MeViSiO1/20.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は63,000、融点は63℃であった。
[合成例6]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(B3)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)33SiMeCl:1mol、MeHSiCl:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有樹脂(B3)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)33−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)33−SiMe2/20.01[MeHSiO1/20.03で示される。この樹脂の重量平均分子量は57,000、融点は56℃であった。
[合成例7]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A4)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)SiMeCl:1mol、MeViSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有樹脂(A4)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)−SiMe2/20.01[MeViSiO1/20.06で示される。この樹脂の重量平均分子量は45,000、融点は56℃であった。
[合成例8]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(B4)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)SiMeCl:1mol、MeHSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有樹脂(B4)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)−SiMe2/20.01[MeHSiO1/20.06で示される。この樹脂の重量平均分子量は42,000、融点は60℃であった。
[合成例9]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A5)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)48SiMeCl:1mol、MeViSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有樹脂(A5)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)48−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)48−SiMe2/20.01[MeViSiO1/20.06で示される。この樹脂の重量平均分子量は60,000、融点は62℃であった。
[合成例10]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(B5)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)48SiMeCl:1mol、MeHSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有樹脂(B5)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)48−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)48−SiMe2/20.01[MeHSiO1/20.06で示される。この樹脂の重量平均分子量は58,000、融点は54℃であった。
[比較合成例1]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A6)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)SiMeCl:1mol、MeViSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有樹脂(A6)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)−SiMe2/20.01[MeViSiO1/20.06で示される。この樹脂の重量平均分子量は45,000、融点は56℃であった。
[比較合成例2]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(B6)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、ClMeSiO(MeSiO)SiMeCl:1mol、MeHSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有樹脂(B6)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)−SiMe2/20.01[MeHSiO1/20.06で示される。この樹脂の重量平均分子量は42,000、融点は54℃であった。
[比較合成例3]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A7)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、HOMeSiO(MeSiO)98SiMeOH:1mol、MeViSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有樹脂(A7)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)98−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)98−SiMe2/20.01[MeViSiO1/20.06で示される。この樹脂は重量平均分子量64,000のペースト状であった。
[比較合成例4]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(B7)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、HOMeSiO(MeSiO)98SiMeOH:1mol、MeHSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有樹脂(B7)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)98−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)98−SiMe2/20.01[MeHSiO1/20.06で示される。この樹脂は重量平均分子量62,000のペースト状であった。
[比較合成例5]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(A8)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、HOMeSiO(MeSiO)49SiMeOH:1mol、MeViSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有樹脂(A8)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)49−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)49−SiMe2/20.01[MeViSiO1/20.06で示される。この樹脂は重量平均分子量64,000のペースト状であった。
[比較合成例6]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン樹脂(B8)−
PhSiClで示されるオルガノシラン:27mol、HOMeSiO(MeSiO)49SiMeOH:1mol、MeHSiCl:6molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、さらに水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有樹脂(B8)を合成した。
この樹脂は、構成するシロキサン単位及び[−SiMeO−(MeSiO)49−SiMe2/2]で表される構造の構成比が式:[PhSiO3/20.27[−SiMeO−(MeSiO)49−SiMe2/20.01[MeHSiO1/20.06で示される。この樹脂は重量平均分子量62,000のペースト状であった。
[調製例1]
合成例1で得られたビニル基含有樹脂(A1):50g、合成例2で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B1):50g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール:0.2g、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液:0.1gを加えてベース組成物を調製した。このベース組成物100質量部に対して、さらにアルミナ粉末(AC−9200;アドマテックス製)を500質量部加えた後、プラネタリーミキサーでよく撹拌し、アルミナ含有シリコーン樹脂組成物1を調製した。この組成物1は、25℃において可塑性の固体であった。
[実施例1]
こうして得られた組成物1を、PETフィルム(加圧用ベースフィルム)とフッ素樹脂コートしたPETフィルム(剥離フィルム)との間に挟み、熱プレス機を用いて80℃で5t/cmの圧力下で5分間圧縮成形を行い、厚さ50μmのシート状に成形した。
このシート状樹脂組成物から剥離フィルムをはがし、厚さ75μmの銅箔の両面に樹脂面を貼り付け、熱プレス機を用いて80℃で5t/cmの圧力下で5分間圧縮成形を行い、放熱シート1を得た。
次に、このようにして作製された放熱シート1を、下記の評価項目1)〜4)によって評価した。
1)表面粘着性の評価
放熱シート1からベースフィルムをはがし、表面の粘着性を指触にて確認した。
2)絶縁破壊電圧測定
放熱シート1を150℃で4時間置いて硬化させ、ベースフィルムをはがして、JIS K 6249に記載の方法に従い、絶縁破壊電圧を測定した。
3)熱伝導率測定
熱伝導率はレーザーフラッシュ法(LFA 447 Nanoflash ネッチゲレイデバウ社製)を用いて測定した。直径1cm、厚さ1mmのアルミ板2枚の間に、上記放熱シート1を挟み込み、150℃で4時間加熱して硬化物とし、測定用のレーザー光が反射しないように全体をカーボンブラックでコーティングした。これを試験片として熱伝導率を測定した。
4)接着性
放熱シート1からベースフィルムをはがし、厚さ35μm、幅1cmの銅箔に貼りあわせた後、熱プレス機を用いて100℃で5t/cmの圧力下で5分間圧縮して接着させ、150℃で4時間加熱硬化した。接着させた銅箔をJIS K 6854−1に記載された方法で90°はく離試験を行い、接着強度を測定した。(オートグラフ AG―IS 島津製作所製)
上記評価項目1)〜4)までの各測定結果を表1に示す。
[調製例2]
ビニル基含有樹脂(A−1)のかわりに合成例3で得られたビニル基含有樹脂(A−2):50g、ヒドロシリル基含有樹脂(B−1)のかわりに合成例4で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−2):50gを用いた他は、調製例1と同様の方法でアルミナ含有シリコーン樹脂組成物2を調製した。この組成物2は、25℃において可塑性の固体であった。
[実施例2]
組成物1のかわりに調製例2で得られた組成物2を用いて実施例1と同様の操作を行い、放熱シート2を作製した。
この放熱シート2を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜4)によって評価した。結果を表1に示す。
[調製例3]
ビニル基含有樹脂(A−1)のかわりに合成例5で得られたビニル基含有樹脂(A−3):50g、ヒドロシリル基含有樹脂(B−1)のかわりに合成例6で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−3):50gを用いた他は、調製例1と同様の方法でアルミナ含有シリコーン樹脂組成物3を調製した。この組成物3は、25℃において可塑性の固体であった。
[実施例3]
組成物1のかわりに調製例3で得られた組成物3を用いて実施例1と同様の操作を行い、放熱シート3を作製した。
この放熱シート3を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜4)によって評価した。結果を表1に示す。
[調製例4]
ビニル基含有樹脂(A−1)のかわりに合成例7で得られたビニル基含有樹脂(A−4):50g、ヒドロシリル基含有樹脂(B−1)のかわりに合成例8で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−4):50gを用いた他は、調製例1と同様の方法でアルミナ含有シリコーン樹脂組成物4を調製した。この組成物4は、25℃において可塑性の固体であった。
[実施例4]
組成物1のかわりに調製例4で得られた組成物4を用いて実施例1と同様の操作を行い、放熱シート4を作製した。
この放熱シート4を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜4)によって評価した。結果を表1に示す。
[調製例5]
ビニル基含有樹脂(A−1)のかわりに合成例9で得られたビニル基含有樹脂(A−5):50g、ヒドロシリル基含有樹脂(B−1)のかわりに合成例10で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−5):50gを用いた他は、調製例1と同様の方法でアルミナ含有シリコーン樹脂組成物5を調製した。この組成物5は、25℃において可塑性の固体であった。
[実施例5]
組成物1のかわりに調製例5で得られた組成物5を用いて実施例1と同様の操作を行い、放熱シート5を作製した。
この放熱シート5を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜4)によって評価した。結果を表1に示す。
[調製例6]
ビニル基含有樹脂(A−1)のかわりに比較合成例1で得られたビニル基含有樹脂(A−6):50g、ヒドロシリル基含有樹脂(B−1)のかわりに比較合成例2で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−6):50gを用いた他は、調製例1と同様の方法でアルミナ含有シリコーン樹脂組成物6を調製した。この組成物6は、25℃において可塑性を有さない固体であった。
[比較例1]
調製例6で得られた組成物6を、実施例1と同様に評価しようとしたが、硬化物が非常に脆く、形状を維持することができなかったため、評価することができなかった。
[調製例7]
ビニル基含有樹脂(A−1)のかわりに比較合成例3で得られたビニル基含有樹脂(A−7):50g、ヒドロシリル基含有樹脂(B−1)のかわりに比較合成例4で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−7):50gを用いた他は、調製例1と同様の方法でアルミナ含有シリコーン樹脂組成物7を調製した。この組成物7は、25℃においてペースト状であり、形状を保持することができなかった。
[比較例2]
組成物1のかわりに調製例7で得られた組成物7を用いて実施例1と同様の操作を行い、放熱シート7を作製した。
この放熱シート7を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜4)によって評価した。結果を表1に示す。
[調製例8]
ビニル基含有樹脂(A−1)のかわりに比較合成例5で得られたビニル基含有樹脂(A−8):50g、ヒドロシリル基含有樹脂(B−1)のかわりに比較合成例6で得られたヒドロシリル基含有樹脂(B−8):50gを用いた他は、調製例1と同様の方法でアルミナ含有シリコーン樹脂組成物8を調製した。この組成物8は、25℃においてペースト状であり、形状を保持することができなかった。
[比較例3]
組成物1のかわりに調製例8で得られた組成物8を用いて実施例1と同様の操作を行い、放熱シート8を作製した。
この放熱シート8を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜4)によって評価した。結果を表1に示す。
[調製例9]
調製例1において、ベース組成物100質量部に代えて、常温で液体のビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂を主剤とする市販の付加硬化型シリコーンワニスであるKJR−632(信越化学工業(株)製)100質量部を用いた以外は、調製例1と同様にしてアルミナ含有シリコーン樹脂組成物9を調製した。この組成物9は、25℃において液体であり、形状を保持することができなかった。
[比較例4]
組成物1のかわりに調製例9で得られた組成物9を用いて実施例1と同様の操作を行い、放熱シート9を作製した。
この放熱シート9を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜4)によって評価した。結果を表1に示す。
[調製例10]
調製例1において、ベース組成物100質量部に代えて、常温で液体のビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂を主剤とする市販の付加硬化型シリコーンワニスであるKJR−632L−1(信越化学工業(株)製)100質量部を用いた以外は、調製例1と同様にしてアルミナ含有シリコーン樹脂組成物10を調製した。この組成物10は、25℃において液体であり、形状を保持することができなかった。
[比較例5]
組成物1のかわりに調製例10で得られた組成物10を用いて実施例1と同様の操作を行い、放熱シート10を作製した。
この放熱シート10を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜4)によって評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006050207
表1に示すように、付加硬化型シリコーン樹脂組成物のRSiO2/2単位の繰り返し数が10〜50個の範囲内である組成物1〜5を用いた実施例1〜5は、常温で固体状であり、粘着性もないため、取扱性が良好であった。また、硬化させたものは優れた電気絶縁性、熱伝導率、及び接着強度を有していた。
一方、付加硬化型シリコーン樹脂組成物のRSiO2/2単位の繰り返し数が9個の組成物6を用いた比較例1は、硬化物が非常に脆いものであり、形状を維持することができなかったため、評価することができなかった。また、付加硬化型シリコーン樹脂組成物のRSiO2/2単位の繰り返し数が50個を超える組成物7及び組成物8を用いた比較例2及び比較例3は、常温でペースト状であり、また、常温で液体のビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂を主剤とする市販の付加硬化型シリコーンワニスを用いた比較例4及び比較例5は、常温で液体であった。これらの比較例2〜5では、放熱シートを作製した際に粘着性が強く、ポストキュア前にベースフィルムをはがすと樹脂の部分が芯材の金属から剥離してしまい、熱伝導率及び接着性を測定することができなかった。
[実施例6]
調製例1で得られた組成物1を用い、厚さ75μmの銅箔のかわりに厚さ75μmのアルミ箔を芯材として実施例1と同様の操作を行い、放熱シート11を作製した。
この放熱シート11を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜3)によって評価した。結果を表2に示す。
[実施例7]
厚さ75μmのアルミ箔のかわりに厚さ75μmの銀箔を芯材として実施例6と同様の操作を行い、放熱シート12を作製した。
この放熱シート12を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜3)によって評価した。結果を表2に示す。
[実施例8]
厚さ75μmのアルミ箔のかわりに厚さ1mmのアルミ板を芯材として実施例6と同様の操作を行い、放熱シート13を作製した。この放熱シート13を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜3)によって評価した。評価は、上記と同様の方法で行ったが、熱伝導率の測定は、2枚のアルミ板で挟みこむことなく、加熱硬化した放熱シートにカーボンブラックをスプレーし、直接熱伝導率を測定した。結果を表2に示す。
[比較例6]
厚さ75μmのアルミ箔のかわりに厚さ75μmのシリコーン樹脂であるKJR−632L−1(信越化学工業(株)製)を芯材として実施例6と同様の操作を行い、放熱シート14を作製した。
この放熱シート14を実施例1と同様に上記の評価項目1)〜3)によって評価した。結果を表2に示す。
[比較例7]
厚さ75μmのアルミ箔のかわりに厚さ1mmのシリコーン樹脂であるKJR−632L−1(信越化学工業(株)製)を芯材として実施例6と同様の操作を行い、放熱シート15を作製した。
この放熱シート15を実施例8と同様に上記の評価項目1)〜3)によって評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006050207
表2に示すように、絶縁破壊電圧はシリコーン樹脂の厚さのみに依存して変化し、熱伝導率は、芯材が金属である場合は種類によらず、厚さのみに依存していた。これは、金属の熱伝導率が、シリコーン樹脂組成物に比べてはるかに大きいためと考えられる。このことから、本発明の放熱シートを作製する際に、付加硬化型シリコーン樹脂組成物及び芯材となる金属層の厚さを調整することで、所望の電気絶縁性及び放熱性を有する放熱シートを作製できることが示唆された。
以上のように、本発明の放熱シートは、表面に粘着性がないため取り扱いが容易であり、自己接着性が良いため芯材となる金属層との接触熱抵抗が抑えられ、かつ高い熱伝導率を有する金属層を芯材とするため放熱性に優れ、また電気絶縁性にも優れることが明らかとなった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (9)

  1. 金属層の両面に、熱伝導性充填材を含有する常温で固体又は半固体状の付加硬化型シリコーン樹脂組成物が塗工された放熱シートであって、該放熱シートの表面が非粘着性のものであり、
    前記付加硬化型シリコーン樹脂組成物が、
    (A)R SiO 3/2 単位、R SiO 2/2 単位、及びR SiO (4−a−b)/2 単位からなり(ここで、R 、R 、及びR は独立に水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、及びフェニル基のいずれかを示し、R は独立にビニル基又はアリル基を示し、aは0、1又は2で、bは1又は2で、かつa+bは2又は3である。)、
    前記R SiO 2/2 単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が10〜50個である構造を含むレジン構造のオルガノポリシロキサン、
    (B)R SiO 3/2 単位、R SiO 2/2 単位、及びR SiO (4−c−d)/2 単位からなり(ここで、R 、R 及びR は独立に前記の通りであり、cは0、1又は2で、dは1又は2で、かつc+dは2又は3である。)、
    前記R SiO 2/2 単位の少なくとも一部が連続して繰り返してなり、その繰り返し数が10〜50個である構造を含むレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A)成分中のビニル基及びアリル基の合計に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量、
    (C)白金族金属系触媒:硬化有効量、及び
    (D)熱伝導性充填材
    を含有し、未硬化時に常温で固体又は半固体状のものであることを特徴とする放熱シート。
  2. 前記付加硬化型シリコーン樹脂組成物が、前記(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して、前記(D)熱伝導性充填材を100〜1,500質量部含有するものであることを特徴とする請求項に記載の放熱シート。
  3. 前記(D)熱伝導性充填材の20℃における電気抵抗率が1×1010Ω・cm以上であることを特徴とする請求項又は請求項に記載の放熱シート。
  4. 前記金属層が、アルミニウム、銅、銀及びそれらの合金から選ばれる金属からなるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の放熱シート。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の放熱シートの加熱硬化物であることを特徴とする高放熱性シート状硬化物。
  6. 前記高放熱性シート状硬化物のJIS K 6253記載のタイプDデュロメータ硬さが30以上であることを特徴とする請求項に記載の高放熱性シート状硬化物。
  7. 前記高放熱性シート状硬化物の表面が非粘着性であることを特徴とする請求項又は請求項に記載の高放熱性シート状硬化物。
  8. 前記高放熱性シート状硬化物が、1.5W/m・K以上の熱伝導率を有するものであることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか一項に記載の高放熱性シート状硬化物。
  9. 請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の放熱シートを電子部品に密着させたのち、加熱硬化して使用することを特徴とする放熱シートの使用方法。
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