JP2004099842A - 放熱部材用粘着性シリコーン組成物 - Google Patents

放熱部材用粘着性シリコーン組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導性充填剤を多量に配合することができ、表面が粘着性を有することにより界面接触熱抵抗を低減させ、放熱性能に優れる放熱部材を提供する。
【解決手段】(A)(a)R SiO1/2単位(式中、Rは独立にアルケニル基以外の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表わす)およびSiO単位を含み、R SiO1/2単位/SiO単位のモル比が0.6〜1.7であるオルガノポリシロキサンを含む硬化性シリコーン粘着剤:100重量部、(B)熱伝導性充填剤:500〜3,000重量部、並びに(C)下記一般式(1):R Si(OR4−a−b   (1)(式中、Rは炭素原子数6〜15の1価アルキル基、Rは非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基、Rは独立に炭素原子数1〜6の1価アルキル基であり、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、a+bの和は1〜3の整数である)で表わされるオルガノシラン:0.1〜50重量部
を含む放熱部材用粘着性シリコーン組成物。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化性シリコーン粘着剤、熱伝導性充填剤および(炭素原子数6〜15の1価アルキル基含有)オルガノシランを含有する放熱部材用粘着性シリコーン組成物に関し、特にICパッケージ等の動作時に室温より高温となる発熱性電子部品と、該発熱性電子部品から発生した熱を放熱する放熱部品との間に挟まれて配置される熱伝導性に優れた粘着性を有する放熱部材を形成するために好適な粘着性シリコーン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビ、ラジオ、コンピュータ、医療器具、事務機械、通信装置等、最近の電子機器の回路設計は複雑性を増している。例えば、これらおよびその他の機器のためにトランジスタ数十万個相当分を内包する集積回路が製造されるようになったことに伴い、設計の複雑性が増す一方、一層小型の電子部品が製造され、ますます縮小された面積に更に多数の部品を組み込むことが可能となり、デバイスの寸法は引き続き小型化している。
【0003】
これら電子部品、特にプリント配線基板上に実装されるCPU等のICパッケージは、使用時の発熱による温度上昇によって性能が低下したり、故障、機能不全が生じるという問題が発生しており、この問題を改善するために、従来、ICパッケージと放熱フィン等の放熱部品の間に、熱伝導性の良い放熱シートや放熱グリースを介在させることが行われている。しかしながら、電子部品の小型化、高性能化に伴ってその発熱量が年々増加するために、より放熱性能に優れた放熱部材の開発が求められている。従来の放熱シートは、手軽にマウントすることができるというメリットはあるものの、その製造過程の加工性の観点から熱伝導性充填剤の含有量に制限があり、さらには実装時の界面熱抵抗が大きいため実際の放熱性能が十分に発揮されないという欠点があった。また、放熱グリースは、CPUや放熱フィン等の表面の凸凹に影響されることなく、それらの被着面に追随、密着し、界面熱抵抗が低いという利点がある一方、他の部品を汚したり、長時間使用するとオイルが流出する等の欠点があった。
【0004】
これに対して、特表2000−509209号公報および特開2000−327917号公報には相転移放熱シートについて記載されている。しかしながら、これらの場合には加工性の観点および作業性の問題から熱伝導性充填剤の含有量に限界があるうえに、相転移後の接触面が樹脂成分を主体として追随・密着するため、空隙生成による界面熱抵抗の上昇は防げるものの、樹脂自体が界面熱抵抗の原因になるという欠点があった。
【0005】
また、特開平1−215855号公報には、放熱シート組成物に分子中に、4官能性シロキサン単位(即ち、SiO単位)と単官能性シロキサン単位(即ち、RSiO1/2単位)からなるオルガノポリシロキサンを添加することが記載されているが、この放熱シートでは、粘着性が不充分であり実装時の界面熱抵抗が大きいため、実際の放熱性能が十分に発揮されないという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的とするところは、特に発熱性電子部品と放熱フィン等の放熱部品との間に挟まれて配置されるシート等の形状の表面が粘着性を有する粘着性放熱部材であって、界面に空隙を生じさせることなく、界面接触熱抵抗を著しく低減させ、放熱性能に優れる粘着性放熱部材を形成することができる、熱伝導性充填剤が高充填された粘着性シリコーン組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、硬化性シリコーン粘着剤を熱伝導性充填剤および長鎖アルキル基含有オルガノシランと組み合わせた組成物から、上記性能を有する放熱部材が得られることを見出し本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、
(A)(a)R SiO1/2単位(式中、Rは独立にアルケニル基以外の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表わす)およびSiO単位を含み、R SiO1/2単位/SiO単位のモル比が0.6〜1.7であるオルガノポリシロキサン
を含む硬化性シリコーン粘着剤:  100重量部、
(B)熱伝導性充填剤:  500〜3,000重量部、並びに
(C)下記一般式(1):
Si(OR4−a−b   (1)
(式中、Rは炭素原子数6〜15の1価アルキル基、Rは非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基、Rは独立に炭素原子数1〜6の1価アルキル基であり、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、a+bの和は1〜3の整数である)
で表わされるオルガノシラン:  0.1〜50重量部
を含むことを特徴とする放熱部材用粘着性シリコーン組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
[(A)成分]
(A)成分の硬化性シリコーン粘着剤は、本発明組成物から得られる放熱部材に粘着性を付与するものであって、前記放熱部材は、該成分の配合により発熱性電子部品および放熱部品の双方に良好に粘着して、界面における空隙の生成による界面熱抵抗の上昇を回避できるとの優れた特性を有するものである。
【0011】
この(A)成分は、上記のとおり、(a)R SiO1/2単位(式中、Rは独立にアルケニル基以外の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表わす)およびSiO単位を含み、R SiO1/2単位/SiO単位のモル比が0.6〜1.7であるポリオルガノシロキサンを含むものである。
【0012】
上記(a)成分中のRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等が挙げられ、これらの中でも、特にメチル基が好ましい。
【0013】
また、R SiO1/2単位/SiO単位のモル比は0.6〜1.7、好ましくは0.6〜1.0である。前記モル比が0.6未満では粘着力が低下することがあり、また、1.7を越えるとやはり粘着力が低下したり、熱伝導性充填剤を保持する力が低下することがあるとの問題を生じる。
【0014】
(a)成分は、更に、シラノール基(≡SiOH)を含有するものであってもよく、その含有量は4.0モル%以下である。シラノール基を含有した場合、縮合反応により粘着性が向上するとの特性が付加できる。
【0015】
また、(a)成分は、従来より公知の方法に準じて、例えば、トリアルコキシアルキルシランとテトラアルコキシシランとからなる、上記特定の組成比のシラン化合物混合物を加水分解・縮合させることにより容易に得ることができる。
【0016】
この(a)成分は、他の成分と配合するに際して、分散性を高めるため、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール等の有機溶剤で希釈して使用することができる。(但し、前記有機溶剤の使用量は、後記(B)成分等に対応する、(A)成分の硬化性シリコーン粘着剤の使用量には、算入しない。)
【0017】
<付加反応硬化型シリコーン成分>
上記(a)成分のみでは、後記(B)成分の熱伝導性充填剤を高充填して、放熱部材としても、その安定した形状を保持することができず、また、十分な粘着性を有する放熱部材を得ることができない。したがって、本発明組成物は、架橋構造を有する放熱部材が得られるようにするため、(A)成分が硬化性シリコーン成分を含む硬化性シリコーン粘着剤であることが、重要な特徴点である。
【0018】
(A)成分の硬化性シリコーン粘着剤は、付加反応硬化型のものとすることができる。
この場合の(A)成分の組成としては、
前記(a)成分:  80〜20重量部、
(b)1分子中にケイ素原子に結合している2個以上のアルケニル基を有し、25℃における粘度が10,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサン:  20〜80重量部(但し、(a)+(b)の合計量は、100重量部である)
(c)下記一般式(2):
【0019】
【化4】
Figure 2004099842
【0020】
(式中、Rは独立に炭素原子数1〜6の1価アルキル基であり、mおよびnは1以上の整数であり、m+nの和は3〜300の範囲にあり、更にm/(m+n)の比の値は0.3よりも大である)
で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:  上記(b)成分中のアルケニル基1モルに対する、該(c)成分中のSiH基のモル数が0.5〜20モルとなる量、
(d)白金系触媒:  有効量、および
(e)付加反応制御剤:  0.01〜1重量部
としたものが好適に用いられる。
【0021】
上記(b)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、その分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状が挙げられ、好ましくは直鎖状、一部分岐を有する直鎖状である。また、このオルガノポリシロキサンは、これらの分子構造を有する単一の重合体、これらの分子構造からなる共重合体、またはこれらの重合体の混合物である。
【0022】
また、(b)成分中のケイ素原子に結合しているアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基等が挙げられる。これらのなかでも、合成上の容易性、コスト等の点から、特にビニル基が好ましい。
【0023】
アルケニル基以外のケイ素原子に結合している基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらのうち、合成上の容易性、コスト等の点から、90モル%以上がメチル基とすることが好ましい。
【0024】
また、ケイ素原子に結合したアルケニル基の結合部位は、分子鎖の末端、途中のいずれでもよいが、(A)成分の粘着性の点から分子鎖両末端のみとすることが好ましい。
【0025】
(b)成分のオルガノポリシロキサンの性状は、オイル状、生ゴム状であればよく、25℃における粘度は10,000mPa・s以上であり、取り扱い作業性の点から20,000mPa・s以下であることが好ましい。前記粘度が10,000mPa・s未満であると、得られる放熱部材の形状安定性が低下する傾向がある。
【0026】
このような(b)成分のオルガノポリシロキサンの具体例としては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせて使用することができる。
【0027】
また、(A)成分の硬化性シリコーン粘着剤中の(a)および(b)成分の配合量は、(a)成分80〜20重量部、好ましくは70〜30重量部、また、(b)成分20〜80重量部、好ましくは30〜70重量部(但し、(a)+(b)=100重量部)とするのがよく、(a)成分の量が少なすぎても、また逆に多すぎても、粘着力(タック)が低下することがあるという問題がある。
【0028】
上記(c)成分の下記一般式(2):
【0029】
【化5】
Figure 2004099842
(式中、R、mおよびnは前記のとおりである)
で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは架橋剤として作用するものである。
【0030】
上記式中のRとしては、(b)成分のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する基として挙げたものが例示される。中でも好ましくはメチル基である。
上記mおよびnに関し、m/(m+n)の比の値は0.3を越え、好ましくは0.5以上である。前記値が0.3以下であると、(A)成分に十分な粘着性を付与できない。
また、(c)成分の25℃における粘度は、1〜5,000mPa・s、特に5〜500mPa・sであることが取り扱い性の点から好ましい。
【0031】
(c)成分の使用量は、(b)成分中のアルケニル基1モルに対して、(c)成分中のSiH基のモル数が0.5〜20モル、特に好ましくは0.8〜15モルの範囲となる量である。前記モル数が0.5未満では架橋密度が低くなり、熱伝導性充填剤の保持力が低下することがあり、逆に20モルを越えると粘着力が低下する場合がある。
【0032】
このような(c)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等がが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
【0033】
上記(d)成分の白金系触媒は、(b)成分中のアルケニル基と(c)成分中のSiH基とのヒドロシリル化付加反応を促進する成分である。
(d)成分としては、例えば、白金黒、塩化白金酸(アルコール溶液)、白金のオレフィン錯体、白金のアルコール錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体等が挙げられる。本組成物において、白金系触媒の含有量は、特に限定されず、触媒としての有効量でよいが、通常、(b)成分に対して本成分中の白金金属原子が重量単位で1〜500ppmとなる量であり、好ましくは、10〜200ppmとなる量である。本成分の含有量が少なすぎると触媒効果がなく、多量に使用しても特に架橋・硬化速度は向上せず、経済的に不利となることがある。
【0034】
上記(e)成分の付加反応制御剤は、室温における付加反応による硬化を防止し、付加反応硬化型の本発明組成物のシェルフライフ、ポットライフを確保するため、触媒活性を抑制する成分であって、例えば、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレン化合物、各種窒素化合物、有機リン化合物、オキシム系化合物、有機クロロ化合物等の公知の制御剤が用いられる。その配合量は、0.01〜1重量部、好ましくは0.03〜0.30重量部の範囲である。
【0035】
この(e)成分は、シリコーン成分への分散性を高めるため、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール等の有機溶剤で希釈して使用することができる。(但し、前記有機溶剤の使用量は、後記(B)成分等に対応する、(A)成分の硬化性シリコーン粘着剤の使用量には、算入しない。)
【0036】
<有機過酸化物硬化型シリコーン成分>
また、(A)成分の硬化性シリコーン粘着剤は、有機過酸化物硬化型のものとすることができる。
この場合の(A)成分の組成としては、
前記(a)成分:  80〜20重量部、
(f)25℃における粘度が、10,000mPa・s以上であるオルガノポリシロキサン:  20〜80重量部(但し、(a)+(f)の合計量は、100重量部である)、および
(g)有機過酸化物:  0.2〜10重量部
としたものが好適に用いられる。
【0037】
上記(f)成分のオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する基としては、例えば、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基等のアルケニル基;ベンジル基、フェネチル基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの中でも、特にメチル基が好ましい。
【0038】
また、この(f)成分のオルガノポリシロキサンとしては、下記式:
SiO−(RSiO)−SiR
(HO)R−(RSiO)−SiR(OH)
(式中、Rは前記例示と同じ、cおよびdは各々500〜20,000の整数である)
で表わされるジオルガノポリシロキサンを好適に例示することができる。
【0039】
(f)成分のオルガノポリシロキサンの性状は、オイル状、生ゴム状であればよく、25℃における粘度は10,000mPa・s以上であり、取り扱い作業性の点から20,000mPa・s以下であることが好ましい。前記粘度が10,000mPa・s未満であると、得られる放熱部材の形状安定性が低下する傾向がある。
【0040】
このような(f)成分のオルガノポリシロキサンの具体例としては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせて使用することができる。
【0041】
また、(A)成分の硬化性シリコーン粘着剤中の(a)および(f)成分の配合量は、(a)成分80〜20重量部、好ましくは70〜30重量部、また、(f)成分20〜80重量部、好ましくは30〜70重量部(但し、(a)+(f)=100重量部)とするのがよく、(a)成分の量が少なすぎても、また逆に多すぎても、粘着力(タック)が低下することがあるという問題がある。
【0042】
上記(g)成分の有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、4,4’−ジメチルベンゾイルパーオキサイド、3,3’−ジメチルベンゾイルパーオキサイド、2,2’−ジメチルベンゾイルパーオキサイド、2,2’,4,4’−テトラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。この有機過酸化物の添加量は、上記(a)成分と(f)成分の合計100重量部に対して0.5〜20重量部、特に0.7〜5重量部であることが好ましい。
【0043】
なお、(a)成分と(f)成分とは単に混合して用いてもよいし、また、(f)成分が分子鎖の両末端にシラノール基(SiOH)を有するものである場合は、(a)成分と(f)成分とを縮合反応させて得られる縮合反応生成物として用いても差し支えない。後者の縮合反応を行うには、トルエンなどの溶剤に溶解した前記両成分の混合物を、アルカリ性触媒を用い、室温乃至還流下で反応させればよい。
【0044】
[(B)成分]
本発明の(B)成分の熱伝導性充填剤は、高割合で配合され、本発明組成物から得られる粘着性放熱部材に良好な熱伝導性を付与し、発熱性電子部品の放熱特性を向上させる成分である。
【0045】
この(B)成分としては、例えば、非磁性の銅、アルミニウム等の金属;酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、マグネシア、チタニア、ジルコニア等の金属酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化硼素等の金属窒化物;人工ダイヤモンド;炭化珪素等の他、一般に公知の熱伝導充填剤とされる物質を全て用いることができる。また、これらは1種単独でも2種以上組合わせても使用することができる。
【0046】
(B)成分は、形状としては球状が望ましく、平均粒径が0.1〜100μm、特に0.1〜25μmのものを用いることが好ましい。平均粒径が0.1μm未満であると、混合充填時の粘度が高くなり作業性に乏しくなる。また、実際に放熱部材として形成して用いた場合にも加熱圧着時の粘性が高く電子部品と放熱部品の間隙が大きくなり熱抵抗として高くなり十分な放熱性能を発現することが難しくなる。一方、100μmを越えると、作業上の粘度は低下するものの、やはり実際に放熱部材として用いた場合に、加熱圧着時の電子部品と放熱部品の間隙が100μm以下には圧着され得ないこととなり、熱抵抗として高くなり十分な放熱性能を発現することが難しくなる。流動性と熱伝導性の双方を良好なものとするためには、25μm以下のものが望ましい。また、熱伝導向上のためには平均粒径の異なる粒子を2種以上用いて最密充填に近づくような配合が推奨される。
【0047】
上記(A)成分100重量部に対して、この(B)成分の配合量は、500〜3000重量部の範囲とされ、好ましくは850〜2000重量部である。前記配合量が500重量部未満であると得られる放熱部材の熱伝導率が乏しいものとなるし、3000重量部を越えると加工性の乏しいものとなる。
【0048】
[(C)成分]
本発明の粘着性放熱部材を構成する(C)成分は、下記一般式(1):
Si(OR4−a−b   (1)
(式中、Rは炭素原子数6〜15の1価アルキル基、Rは非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基、Rは炭素原子数1〜6の1価アルキル基であり、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、a+bの和は1〜3の整数である)
で表わされるオルガノシランである。
【0049】
この(C)成分は、(A)成分の硬化性シリコーン粘着剤と(B)成分の熱伝導性充填剤との「濡れ性」を向上させ、本発明組成物において、(A)成分がマトリックスとなって、均一に(B)成分が高充填割合で分散させることを可能とする重要な役割りを有するものである。
【0050】
上記Rとしては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。このR基に代えて、炭素原子数が6未満のアルキル基としたオルガノシランを用いた場合には、充填剤との「濡れ性」が充分でなく、また、同じく炭素原子数が15より大きなアルキル基としたオルガノシランを用いた場合には、オルガノシランが常温で固化するので、取り扱いが不便な上、得られる放熱部材の低温特性が低下する。
【0051】
上記Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基、2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3,−トリフロロプロピル基、2−(ナノフルオロブチル)エチル基、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられるが、これらの中でも特にメチル基、エチル基が好ましい。
【0052】
上記Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の1種または2種以上のアルキル基であり、特にメチル基、エチル基が好ましい。
また、aは、1、2または3であるが、特に1であることが好ましい。
【0053】
上記一般式(1)で表されるオルガノシランの具体例としては、下記のものを挙げることができる。
12Si(OCH、C1021Si(OCH
1225Si(OCH、C1225Si(OC
1021Si(CH)(OCH、C1021Si(C)(OCH
1021Si(CH)(OC、C1021Si(CH=CH)(OCH
1021Si(CHCHCF)(OCH
これらは、1種単独でも2種以上を組合わせても使用することができる。
【0054】
上記(A)成分100重量部に対して、この(C)成分の配合量は、0.1〜50重量部の範囲とされ、好ましくは0.5〜20重量部である。前記配合量が0.1重量部未満であると「濡れ性」の乏しいものとなり、(A)成分のマトリックス中に(B)成分が均一に分散した状態とすることができず、また、50重量部より多くしても特に効果が増大することがなく、不経済である。
【0055】
[付加的成分−1]
本発明組成物を構成する上記(A)〜(C)成分に加えて、得られる放熱部材の強度を向上させることを目的として、更に、下記成分を付加的に配合することができる。
【0056】
<(D)成分>
(D)成分として、1分子中にケイ素原子に結合している2個以上のアルケニル基を有し、25℃における粘度が10mPa・s以上、10,000mPa・s未満、好ましくは100〜5,000mPa・sのオルガノポリシロキサンを、10〜500重量部配合することができる。
本(D)成分のケイ素原子に結合しているアルケニル基およびその他の基、並び本(D)成分の基本的構造については、上記(b)成分に関しての例示と同じものが例示される。また、この(D)成分の25℃における粘度が10mPa・s未満であると組成物の保存安定性が悪くなり、10,000mPa・s以上であると組成物の伸展性が損なわれる。
【0057】
<(E)成分>
(E)成分として、下記(E1)成分および/または(E2)成分を配合することができる。
(E1)下記一般式(3):
【0058】
【化6】
Figure 2004099842
(式中、Rは独立に炭素原子数1〜6の1価アルキル基であり、pおよびqは1以上の整数であり、p+qの和は5〜100の範囲にあり、更に、0.01≦p/(p+q)≦0.3、好ましくは0.05≦p/(p+q)≦0.2の範囲である)
で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【0059】
本(E1)成分の上記Rおよび基本的構造については、上記(c)成分に関しての例示と同じものが例示される。また、上記p/(p+q)の比の値が0.01未満であると架橋構造の形成による網状化が不十分となり、0.3より大きいと初期硬化後の未反応のSiH基の残存量が多くなり、水分等による経時的な余剰の架橋反応が進行し、得られる放熱部材の柔軟性が損なわれることとなる。
【0060】
(E2)下記一般式(4):
【0061】
【化7】
Figure 2004099842
(式中、Rは独立に炭素原子数1〜6の1価アルキル基であり、rは5〜1,000、好ましくは10〜100の整数である)
で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【0062】
本(E2)成分のRについては、上記(c)成分に関しての例示と同じものが例示される。また、上記rが5未満であると揮発性成分となりやすいため電子部品に適用するうえで好ましくないし、1,000より大きいと組成物の粘度が高くなり取り扱いが困難となる。
【0063】
本(E)成分の配合量は、上記(D)成分中のアルケニル基1モルに対する、該(E)成分中のSiH基のモル数が0.6〜5.0モル、好ましくは0.7〜3.5モルとなる量である。前記配合量が0.6未満であると十分な架橋構造を形成できず、必要な硬度が得られないことから好ましくない。また、5.0よりも大きいと未反応のSiH基が残存して水分等により余剰の架橋反応を生じ、得られる放熱部材の硬度が高くなり柔軟性が損なわれるため好ましくない。
【0064】
上記(E1)および(E2)成分を併用する場合、その配合割合は、[(E1)中のSiH基の個数/(E2)中のSiH基の個数]の比の値が1.0〜10.0、好ましくは1.5〜5.0となる範囲である。前記値が1.0未満であると得られる放熱部材の柔軟性が損なわれ、また、10.0より大きいと硬化が不十分となることがある。
【0065】
<場合により配合する成分>
上記(A)成分の硬化性シリコーン粘着剤が、有機過酸化物硬化型のものである場合、更に、上記(d)成分の白金系触媒および(e)成分の付加反応制御剤を配合することが必要となる。その種類等については上記と同じである。白金系触媒の配合量は、特に限定されず、触媒としての有効量でよいが、通常、(D)成分に対して本成分中の白金金属原子が重量単位で1〜500ppmとなる量とするのがよい。付加反応制御剤の配合量は0.01〜1重量部の範囲とするのがよい。
【0066】
[付加的成分−2]
<(F)成分>
本発明組成物を構成する上記(A)〜(C)成分等に加えて、得られる放熱部材が、発熱性電子部品と放熱部品との間に配置された際に、強固に密着してしまいリワーク性を損ねることを抑制すること、および、シート等の形状に成形した際に、表面粗さを低減させることを目的として、更に、
(F)ケイ素原子に結合しているアルケニル基および水素原子を含まない、25℃における粘度が3,000mPa・s以下の直鎖状オルガノポリシロキサン:  1〜200重量部
を付加的に配合することが有効である。
【0067】
この(F)成分としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、プロピルメチルポリシロキサン等のアルキルメチルシポリシロキサン;フェニルメチルポリシロキサン、トリルメチルポリシロキサン等のアリールメチルポリシロキサン;3,3,3−トリフロロプロピルメチルポリシロキサン、2−ノナフルオロブチルメチルポリシロキサン等のハロゲン化炭化水素基を有するポリシロキサンが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にコストの点から、ジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサンが好ましい。
【0068】
この(F)成分の25℃における粘度は、取り扱い性の点から3,000mPa・s以下とすることが好ましい。
(A)成分に対する該(F)成分の配合量が1重量部未満であると上記効果が得られず、また、200重量部より多いと得られる放熱部材の熱伝導率が乏しいものとなる。
【0069】
[その他の添加剤]
本発明組成物には、任意成分として、作業性および加工性向上のため、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン等の溶剤を配合することができる。
【0070】
[粘着性放熱部材の製造方法]
(1)本発明組成物は、上記の各成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)、ゲートミキサー、プラネタリーミキサー等のゴム練機を用い、場合によっては加熱することによって均一に混合した後、場合により含有される溶剤を揮発・蒸散させることにより得ることができる。
【0071】
(2)次いで、上記混練り後の組成物を溶剤に溶解させた後、発熱性電子部品または放熱部品面にシート状、フィルム上に塗工成形して、溶剤を揮発・蒸散させ、次いで80〜180℃程度の温度で加熱処理を施して(A)成分の架橋・硬化反応を行うすることにより粘着性放熱部材を形成することができる。
【0072】
(3)また、離型処理したポリマーフィルム、例えば、フッ素系離型剤を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルム、フッ素系離型剤を塗布したポリプロピレンフィルム、シリコーン系離型剤を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルム、シリコーン系離型剤を塗布したポリプロピレンフィルム等の上に、上記混練り後の組成物を溶剤に溶解させた後、塗工成形して、溶剤を揮発・蒸散させ、更に前記離型処理したポリマーフィルムで表面を被覆して、シート、フィルム等の形状を有する(未硬化状態の)粘着性放熱部材を得ることができる。なお、この放熱部材の使用・実装に際して、前記ポリマーフィルムは剥離・除去される。次いで、発熱性電子部品と放熱部品との間に密着させて介装し、80〜180℃程度の温度で加熱処理を施して(A)成分の架橋・硬化反応を行う。
【0073】
(4)更に、本発明組成物から得られる粘着性放熱部材の適用形態により、上記(3)のポリマーフィルム被覆された(未硬化段階の)粘着性放熱部材を、80〜180℃程度の温度で加熱処理を施して(A)成分の架橋・硬化反応を行って、シート、フィルム等の形状を有する粘着性放熱部材としてもよい。この場合も、使用・実装に際して、前記ポリマーフィルムは剥離・除去される。
【0074】
【実施例】
以下に、調製例、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない制限されるものではない。なお、下記例中の「部」は重量部を示す。「Me」はメチル基を、「Vi」はビニル基を表す。
【0075】
[調製例1]((A)成分:硬化性シリコーン粘着剤の調製)
5Lゲートミキサー(商品名:5リットルフ゜ラネタリーミキサー、井上製作所(株)製)を用いて、室温で下記成分を下記の混合比の割合でで30分間混合し、硬化性シリコーン粘着剤(A−1〜A−5)を得た。
【0076】
(a)MeSiO1/2単位/SiO単位のモル比が0.85であるオルガノポリシロキサンの60重量%トルエン溶液
(b)下記構造式で表わされるメチルビニルポリシロキサン
【0077】
【化8】
Figure 2004099842
(c)下記構造式で表わされるメチルハイドロジェンポリシロキサン
【0078】
【化9】
Figure 2004099842
(d)白金−ジビルテトラメチルジシロキサン錯体を1重量%含有するトルエン溶液(白金金属原子として重量単位で5,000ppm含有)
【0079】
(e)1−エチニル−1−シクロヘキサノールの50重量%トルエン溶液
(f)下記構造式で表わされるジメチルポリシロキサン
【0080】
【化10】
Figure 2004099842
(g)ジベンゾイルパーオキサイド
【0081】
・付加反応硬化型シリコーン粘着剤A−1の組成
(a):83部(固形分=50部)、(b):50部、(c):0.37部、(d):0.8部(固形分=0.008部)、(e)0.2部(固形分=0.1部)、トルエン:34部
・付加反応硬化型シリコーン粘着剤A−2の組成
(a):100部(固形分=60部)、(b):40部、(c):0.74部、(d):0.8部(固形分=0.008部)、(e)0.2部(固形分=0.1部)、トルエン:27部
・付加反応硬化型シリコーン粘着剤A−3の組成
(a):108部(固形分=65部)、(b):35部、(c):0.74部、(d):0.8部(固形分=0.008部)、(e)0.2部(固形分=0.1部)、トルエン:34部
【0082】
・有機過酸化物硬化型シリコーン粘着剤A−4の組成
(a):100部(固形分=60部)、(f):40部、(c):0.74部、(g):28部、トルエン:27部
・A−5((b)成分を配合しない比較用)の組成
(a):167部(固形分=100部)、(c):0.37部、(d):0.8部(固形分=0.008部)、(e)0.2部(固形分=0.1部)
【0083】
[実施例1〜11、比較例1〜5]
5Lゲートミキサー(商品名:5リットルフ゜ラネタリーミキサー、井上製作所(株)製)を用いて、上記[調製例1]で得たA−1〜A−5の組成を有する組成物(但し、固形分含有量を100重量部としたもの)に、更に、室温で下記成分を表1〜表3に記載の配合量(重量部)を加えて1時間混合して、粘着性放熱部材用の組成物を得た。
【0084】
(B)熱伝導性充填剤
B−1:平均粒径7.4μmのアルミニウム粉末
B−2:平均粒径5.3μmのアルミナ粉末
B−3:平均粒径1.0μmの酸化亜鉛粉末
【0085】
(C)下記構造のオルガノシラン
C−1:C1021Si(OCH
C−2:C13Si(OCH
(D)両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における粘度が600mPa・sのジメチルポリシロキサン
(E1)下記構造式で表わされるメチルハイドロジェンポリシロキサン
【0086】
【化11】
Figure 2004099842
(E2)下記構造式で表わされるメチルハイドロジェンポリシロキサン
【0087】
【化12】
Figure 2004099842
(F)直鎖型オルガノポリシロキサン:KF−54(商品名、信越化学工業(株)製)
【0088】
[粘着性放熱部材の調製]
上記実施例1〜11、比較例1〜5で得られた組成物をフッ素系離型剤を塗布したポリエチレンテレフタレート製フィルムの上にマルチコーター(商品名:マルチコーターMODEL200、(株)ヒラノテクシード製)を用いて、塗工成形して溶剤を揮発・蒸散させ、フッ素系離型剤を塗布したポリエチレンテレフタレート製フィルムで表面を被覆して(未硬化段階の)粘着性放熱部材を得た。次いで、これを、120℃の温度で30分間加熱処理し、架橋・硬化反応を行って、シート状の粘着性放熱部材を得た。
【0089】
[諸特性値の測定・評価方法]
上記で得られた各粘着性放熱部材の特性値を、下記の試験方法による測定した。その結果を表1〜表3に示した。
【0090】
厚み、熱抵抗
二枚の標準アルミニウムプレートの間に(フッ素系離型剤を塗布したポリエチレンテレフタレート製フィルムを剥離・除去した)放熱部材シートを挟んで、熱抵抗測定用サンプルを調製した。このサンプルの厚みを測定し、予め厚みが分かっている標準アルミプレートの厚み分を差し引くことによって、実質的なシートの厚みを求めた。
なお、上記測定に際しては、マイクロメーター((株)ミツトヨ製、型式;M820−25VA)を用いた。
また、前記サンプルについて熱抵抗(単位:℃−cm/w)を熱抵抗測定器(ホロメトリックス社製、マイクロフラッシュ)を用いて測定した。
【0091】
粘着性
シートに成形した放熱部材(フッ素系離型剤を塗布したポリエチレンテレフタレート製フィルムを剥離・除去したもの)をステンレス板に貼りつけ、ゴム層で被覆された重さ2kgのローラーを1往復させることにより圧着し、室温で約1時間放置した後、接着面が垂直となるよう設置し、1分間放置して脱落の有無を確認し、次のとおり評価した。
評価A:脱落無し
評価B:脱落あり
【0092】
ヒートサイクル試験
25mm角にカットした(フッ素系離型剤を塗布したポリエチレンテレフタレート製フィルムを剥離・除去した)放熱部材シートを2枚の透明なガラス板(厚さ1mm,50mm×75mm)に挟み、次いでダブルクリップで左右両側を挟んで(圧力:196kPa(2kgf/cm))サンプルとした。このサンプルを−30℃〜100℃のサイクル試験機に投入し、500サイクル後(1サイクル:30分間)のサンプルに発生したクラックの数を目視により観察し、次のとおり、評価した。
評価A:クラック数 0〜5
評価B:クラック数 6以上
【0093】
放熱部材シートの表面粗さ
(フッ素系離型剤を塗布したポリエチレンテレフタレート製フィルムを剥離・除去した)放熱部材シートの表面粗さを、表面粗さ測定器((株)ミツトヨ製、型式;Sufect−501)を用いて、算術平均粗さ(カットオフ値:λc=8mm)により評価した。
【0094】
【表1】
Figure 2004099842
【0095】
【表2】
Figure 2004099842
【0096】
【表3】
Figure 2004099842
【0097】
[評価]
比較例1は、硬化性ではないシリコーン粘着剤(A−5)を用いた例であり、また、比較例2は、付加硬化型シリコーン組成のものであるが、上記(a)成分のオルガノポリシロキサンを欠如しており、ともに、粘着性の点で劣るものであることが分る。また、比較例3は、(C)成分のオルガノシランを欠如し、また、比較例4は、(B)成分の熱伝導性充填剤の配合量が多すぎるため、ともに、均一な組成物が得られていない。比較例5は、比較例4とは逆に(B)成分の熱伝導性充填剤の配合量が少なすぎるものであり、このため熱抵抗が高いものしか得られないことが分る。
【0098】
【発明の効果】
本発明組成物からは、表面が粘着性を有する放熱部材を得ることができ、その粘着性の故に、ICパッケージ等の発熱性電子部品とフィン等の放熱部品との間に介装した場合に、前記放熱部材が前記両者間で圧接固定されると、発熱性電子部品または放熱部品の表面に凹凸が存在する場合でも、その凹凸に放熱部材が追従して空隙を生じさせることがなく、界面熱抵抗の上昇を効果的に抑制することができることから、放熱効果を確実に発揮することができ、電子部品全体の信頼性を向上させることができる。

Claims (6)

  1. (A)(a)R SiO1/2単位(式中、Rは独立にアルケニル基以外の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表わす)およびSiO単位を含み、R SiO1/2単位/SiO単位のモル比が0.6〜1.7であるオルガノポリシロキサン
    を含む硬化性シリコーン粘着剤:  100重量部、
    (B)熱伝導性充填剤:  500〜3,000重量部、並びに
    (C)下記一般式(1):
    Si(OR4−a−b   (1)
    (式中、Rは炭素原子数6〜15の1価アルキル基、Rは非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基、Rは独立に炭素原子数1〜6の1価アルキル基であり、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、a+bの和は1〜3の整数である)
    で表わされるオルガノシラン:  0.1〜50重量部
    を含むことを特徴とする放熱部材用粘着性シリコーン組成物。
  2. 前記(A)成分の硬化性シリコーン粘着剤が、
    前記(a)成分:  80〜20重量部、
    (b)1分子中にケイ素原子に結合している2個以上のアルケニル基を有し、25℃における粘度が10,000mPa・s以上のオルガノポリシロキサン:  20〜80重量部(但し、(a)+(b)の合計量は、100重量部である)
    (c)下記一般式(2):
    Figure 2004099842
    (式中、Rは独立に炭素原子数1〜6の1価アルキル基であり、mおよびnは1以上の整数であり、m+nの和は3〜300の範囲にあり、更にm/(m+n)の比の値は0.3よりも大である)
    で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:  上記(b)成分中のアルケニル基1モルに対する、該(c)成分中のSiH基のモル数が0.5〜20モルとなる量、
    (d)白金系触媒:  有効量、および
    (e)付加反応制御剤:  0.01〜1重量部
    を含む付加反応硬化型のシリコーン粘着剤であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 前記(A)成分の硬化性シリコーン粘着剤が、
    前記(a)成分:  80〜20重量部、
    (f)25℃における粘度が、10,000mPa・s以上であるオルガノポリシロキサン:  20〜80重量部(但し、(a)+(f)の合計量は、100重量部である)、および
    (g)有機過酸化物:  0.2〜10重量部
    を含む有機過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  4. 更に
    (D)1分子中にケイ素原子に結合している2個以上のアルケニル基を有し、25℃における粘度が10mPa・s以上、10,000mPa・s未満のオルガノポリシロキサン:
    10〜500重量部、並びに
    (E)(E1)下記一般式(3):
    Figure 2004099842
    (式中、Rは独立に炭素原子数1〜6の1価アルキル基であり、pおよびqは1以上の整数であり、p+qの和は5〜100の範囲にあり、更に、0.01≦p/(p+q)≦0.3の範囲である)
    で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および/または
    (E2)下記一般式(4):
    Figure 2004099842
    (式中、Rは独立に炭素原子数1〜6の1価アルキル基であり、rは5〜1,000の整数である)
    で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:  上記(D)成分中のアルケニル基1モルに対する、該(E)成分中のSiH基のモル数が0.6〜5.0モルとなる量
    を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 更に、
    (F)ケイ素原子に結合しているアルケニル基および水素原子を含まない、25℃における粘度が3,000mPa・s以下の直鎖状オルガノポリシロキサン:  1〜200重量部
    を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物を、シートまたはフィルムの形状に成形し、加熱処理を施こすことによって得られる粘着性放熱部材。
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