JP2011016923A - 熱伝導性シリコーン組成物およびそれを用いた熱伝導性シリコーン成形物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)少なくとも側鎖にアルケニル基を含有し、側鎖のアルケニル基の個数が2〜9個であるオルガノポリシロキサン、(b)少なくとも両末端がSiH基で封鎖されているオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(c)熱伝導性充填剤、および(d)白金族金属系硬化触媒、を含有して成り、(a)成分のオルガノポリシロキサンにおいてアルケニル基が結合している非末端部分のケイ素原子間の平均シロキサン結合数をLとし、(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの平均重合度をL'としたとき、L'/L=0.6〜3.0を満たす、熱伝導性シリコーン組成物;上記組成物の硬化物からなるシート状の熱伝導性シリコーン成形物。
【選択図】なし
Description
(a)少なくとも非末端部分のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有し、非末端部分のケイ素原子に結合したアルケニル基の個数が2〜9個であるオルガノポリシロキサン:100質量部、
(b)少なくとも両末端がケイ素原子に結合した水素原子で封鎖されているオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中のケイ素原子に結合した水素原子のモル数が(a)成分中のアルケニル基1.0モルに対して0.1〜2.0モルとなる量、
(c)熱伝導性充填剤:200〜2500質量部、および
(d)白金族金属系硬化触媒:(a)成分に対して白金族金属元素の質量換算で0.1〜1000ppm
を含有して成り、
(a)成分のオルガノポリシロキサンにおいてアルケニル基が結合している非末端部分のケイ素原子間の平均シロキサン結合数をLとし、(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの平均重合度をL'としたとき、L'/L=0.6〜3.0を満たす
熱伝導性シリコーン組成物を提供する。
本発明は第二に、上記組成物の硬化物からなるシート状の熱伝導性シリコーン成形物を提供する。
(a)成分であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、少なくとも非末端部分のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有し(即ち、少なくとも側鎖にアルケニル基を含有し)、非末端部分のケイ素原子に結合したアルケニル基の個数が2〜9個であるオルガノポリシロキサンである。(a)成分のオルガノポリシロキサンは、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のものであるのが一般的であるが、シロキサン結合の連鎖からなるポリシロキサン構造の一部に分枝状の構造を含んだものであってもよく、また環状体であってもよい。アルケニル基は、非末端部分のケイ素原子にのみ結合していても、非末端部分のケイ素原子と末端のケイ素原子の両方に結合していてもよい。硬化物の機械的強度等、物性の点から、(a)成分は直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。(a)成分は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
(b)成分は、少なくとも両末端がケイ素原子に結合した水素原子(即ち、Si-H基)で封鎖されているオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、通常は直鎖状のものである。(b)成分は、Si-H基を両末端にのみ有しても、両末端と非末端部分(即ち、側鎖)の両方に有してもよい。(b)成分は、少なくとも両末端がSi-H基で封鎖されているため、一分子中に少なくとも2個のSi-H基を有するが、好ましくは平均で2〜4個のSi-H基を有する。(b)成分中のSi-H基の数が2個未満の場合、得られる組成物は硬化しない恐れがある。(b)成分は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
M-D1S1-D2S2-・・・-DnSn-M
で表される。Lは、式:
L=(S1+S2+・・・+Sn)/(N+1)
から求められる。Lは、アルケニル基が直接結合した非末端部分のケイ素原子が(a)成分の分子中に偏りなく存在しているとしたときの平均構造において、アルケニル基が直接結合した非末端部分のケイ素原子の間のシロキサン結合数を表す。このLの値は、アルケニル基が結合している非末端部分のケイ素原子間の酸素原子の数の平均値に一致する。
(H3C)3SiO-[(CH3)2SiO]t-[(CH3)(Alk)SiO]u-Si(CH3)3
(式中、Alkはアルケニル基を表す)
で表され、Lは、式:
L=(t+u)/(u+1)
から求められる。
M'-D'1S'1-D'2S'2-・・・-D'nS'n-M'
で表され、(b)成分の平均重合度L'は、式:
L'=S'1+S'2+・・・+S'n
から求められる。
H(H3C)2SiO-[(CH3)2SiO]t'-Si(CH3)2H
で表され、L'=t'となる。
(c)成分である熱伝導性充填剤としては、一般に熱伝導充填剤とされる物質であれば特に制限されず用いることができる。(c)成分としては、例えば、銅、アルミニウム等の非磁性の金属;アルミナ、シリカ、マグネシア、ベンガラ、ベリリア、チタニア、ジルコニア等の金属酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化硼素等の金属窒化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;人工ダイヤモンド;炭化珪素等が挙げられる。
(d)成分の白金族金属系硬化触媒は、(a)成分中のアルケニル基と(b)成分中のSi-H基との付加反応を促進するための触媒であり、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒を用いることができる。(d)成分は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
(e)成分の片末端がトリアルコキシシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサンは表面処理剤として用いられる任意成分である。(e)成分のジメチルポリシロキサンは、通常、一方の末端がトリアルコキシシリル基で封鎖され、他方の末端がトリメチルシリル基で封鎖されている。(e)成分は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
この他に、本発明の目的および作用効果を損なわない範囲で、本発明の組成物には任意成分として、硬化速度を調整するための付加反応制御剤、着色のための顔料・染料、難燃性付与剤、金型またはセパレーターフィルムからの型離れを良くするための内添離型剤、組成物の粘度、成形物の硬度またはこれら両方を調整する可塑剤など、機能を向上させるための様々な添加剤を有効量添加することができる。
以下に、付加反応制御剤と可塑剤を例として挙げるが、本発明で用いられる任意成分はこれらに限定されるものではない。
付加反応制御剤は通常の付加反応硬化型シリコーン組成物に用いられる公知の付加反応制御剤を全て用いることができる。例えば、1-エチニル-1-ヘキサノール、3-ブチン-1-オール、エチニルメチリデンカルビノールなどのアセチレン化合物、各種窒素化合物、有機リン化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が挙げられる。その使用量としては、(a)成分100質量部に対して0.01〜1質量部程度が望ましい。
可塑剤としては下記一般式(4)で表されるジメチルポリシロキサンが挙げられる。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、上記(a)〜(d)成分ならびに必要に応じて(e)成分およびその他の任意成分をプラネタリーミキサー等の混合機器で混合することにより調製することができる。
本発明の熱伝導性シリコーン成形物は、本発明の熱伝導性シリコーン組成物の硬化物からなるシート状の熱伝導性シリコーン成形物である。本発明の成形物は、本発明の組成物をシート状に成形し硬化させることで製造することができる。本発明の成形物は熱伝導性に優れる。
本発明の成形物のアスカーC硬度、即ち、SRIS 0101に準拠してアスカーC硬度計で測定した25℃における硬度は25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。硬度が25を超える成形物は、被放熱物の形状に沿うように変形し、被放熱物に応力をかけることなく良好な放熱特性を示すことが困難になる場合がある。
本発明の成形体の熱伝導率は1.0W/mK以上であることが好ましく、1.5W/mK以上であることがより好ましい。熱伝導率が1.0W/mK未満である成形体は、発熱量の大きい発熱体に適用することができない場合がある。なお、本明細書において、本発明の成形体の熱伝導率は、ISO 22007-2:2008に準拠してホットディスク法により測定した25℃における熱伝導率である。
下記実施例および比較例で用いた(a)〜(g)成分を下記に示す。
(a-1)n+m=300、m=2である下記一般式(1a)で表されるオルガノポリシロキサン
(a-2)n+m=240、m=2である下記一般式(1a)で表されるオルガノポリシロキサン
(a-3)n+m=300、m=10である下記一般式(1a)で表されるオルガノポリシロキサン
(a-4)n+m=300、m=20である下記一般式(1a)で表されるオルガノポリシロキサン
(a-5)両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖された25℃における粘度600mm2/sのジメチルポリシロキサン
なお、上記一般式(1a)において、n+mは平均重合度を表し、mは平均の側鎖ビニル基数を表す。ここで、上記(a-1)について、アルケニル基が結合している非末端部分のケイ素原子間の平均シロキサン結合数Lは以下のとおりにして計算された。まず、(a-1)の29Si-NMRを測定することにより、8ppm付近に末端のトリメチルシロキシ基中のケイ素原子由来のピークAが検出され、-22ppm付近にジメチルシロキサン単位中のケイ素原子由来のピークBが検出され、-36ppm付近にメチルビニルシロキサン単位中のケイ素原子由来のピークCが検出された。ピークAの積分面積を2としたとき、ピークBおよびCの積分面積はそれぞれ298および2であった。即ち、(a-1)は平均構造式:
で表すことのできるものであった。Lは、ビニル基が直接結合した非末端部分のケイ素原子が(a-1)の分子中に偏りなく存在しているとしたときの平均構造において、ビニル基が直接結合した非末端部分のケイ素原子の間のシロキサン結合数を表すものであり、式:
L=(298+2)/(2+1)
から100と計算された。上記(a-2)〜(a-5)についても同様にしてLの値が計算された。
(b-1)o=18である下記一般式(2a)で表されるハイドロジェンポリシロキサン
(b-2)o=58である下記一般式(2a)で表されるハイドロジェンポリシロキサン
(b-3)o=80である下記一般式(2a)で表されるハイドロジェンポリシロキサン
(b-4)o=100である下記一般式(2a)で表されるハイドロジェンポリシロキサン
(b-5)o=120である下記一般式(2a)で表されるハイドロジェンポリシロキサン
(b-6)o=200である下記一般式(2a)で表されるハイドロジェンポリシロキサン
(b-7)Me3SiO(Me2SiO)27(HMeSiO)2SiMe3
なお、上記一般式(2a)において、oは平均重合度L'を表す。oの値は以下のとおりにして求めた。即ち、(b-1)〜(b-6)のおのおのの29Si-NMRを測定し、-8ppm付近に末端のジメチルハイドロジェンシロキシ基中のケイ素原子由来のピークA'を検出し、-22ppm付近にジメチルシロキサン単位中のケイ素原子由来のピークB'を検出して、ピークA'の積分面積を2としたときのピークB'の積分面積を求め、その値をoの値とした。
(c-1)平均粒径1μmの水酸化アルミニウム
(c-2)平均粒径10μmの水酸化アルミニウム
(c-3)平均粒径50μmの水酸化アルミニウム
(c-4)平均粒径75μmのアルミナ
5質量%塩化白金酸2-エチルヘキサノール溶液
下記式(3a)で表される平均重合度30の片末端がトリメトキシシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン
付加反応制御剤として、エチニルメチリデンカルビノール
可塑剤として、下記式(4a)で表されるジメチルポリシロキサン
得られた組成物を60mm x 60mm x 6mmの金型に流し込み、プレス成形機を用い120℃で10分間成形硬化させた。これにより、前記組成物の硬化物からなる6mm厚のシート状の熱伝導性シリコーン成形物が得られた。
・硬度:得られたシート状の成形物を2枚重ねてアスカーC硬度計で測定した。
・熱伝導率:得られたシート状の成形物2枚を試料として用いて、熱伝導率計(TPA−501(商品名)、京都電子工業株式会社製)により該成形物の熱伝導率を測定した。
・復元率:得られたシート状の成形物から20mm角の試験片を型抜きし、PETフィルムで挟み、厚み方向に50%に圧縮し、圧縮したまま室温で24時間静置した。その後、試験片を圧縮から解放し、10分後及び24時間後の試験片の厚みを測定し、復元率(=測定時の厚み/圧縮前の厚み×100)を算出した。
結果を表1または2に示す。
実施例1〜6と比較例1を比べると、L'/Lが0.6〜2.0の範囲内ではシート状成形物が良好な復元性を示すことが明らかとなった。
比較例2及び3のように(a)成分中の側鎖のビニル基の数が9よりも多くなると復元率が低下した。
実施例1〜6と比較例4を比べると、両末端がビニル基で封鎖されたジメチルポリシロキサンa-5と側鎖にSi-H基を有するハイドロジェンポリシロキサンb-7との組み合わせを用いたシート状成形物よりも、側鎖にビニル基を有するジメチルポリシロキサンa-1〜a-4と両末端が水素原子で封鎖されたハイドロジェンポリシロキサンb-3〜b-6との組み合わせを用いたシート状成形物の方が良い復元性を示すことが明らかとなった。
実施例8と比較例8を比べると、硬度が非常に低い場合でも、側鎖にビニル基を有するジメチルポリシロキサンと両末端が水素原子で封鎖されたハイドロジェンポリシロキサンとの組み合わせを用いたシート状成形物は良い復元性を示すことが明らかとなった。
比較例6では、(c)成分である熱伝導性充填剤の添加量が多すぎたため、各成分どうしが均一に混合せず、組成物が得られなかった。
比較例7では、最も良い復元率が得られたが、熱伝導性充填剤の添加量が少ないために熱伝導率が著しく低下してしまった。
Claims (5)
- (a)少なくとも非末端部分のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有し、非末端部分のケイ素原子に結合したアルケニル基の個数が2〜9個であるオルガノポリシロキサン:100質量部、
(b)少なくとも両末端がケイ素原子に結合した水素原子で封鎖されているオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中のケイ素原子に結合した水素原子のモル数が(a)成分中のアルケニル基1.0モルに対して0.1〜2.0モルとなる量、
(c)熱伝導性充填剤:200〜2500質量部、および
(d)白金族金属系硬化触媒:(a)成分に対して白金族金属元素の質量換算で0.1〜1000ppm
を含有して成り、
(a)成分のオルガノポリシロキサンにおいてアルケニル基が結合している非末端部分のケイ素原子間の平均シロキサン結合数をLとし、(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの平均重合度をL'としたとき、L'/L=0.6〜3.0を満たす
熱伝導性シリコーン組成物。 - (e)片末端がトリアルコキシシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン:0.1〜40質量部
をさらに含有する請求項1に係る熱伝導性シリコーン組成物。 - 請求項1又は2に記載の組成物の硬化物からなるシート状の熱伝導性シリコーン成形物。
- アスカーC硬度が25以下である請求項3に係る熱伝導性シリコーン成形物。
- 熱伝導率が1.0W/mK以上である請求項3又は4に係る熱伝導性シリコーン成形物。
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