WO2024142354A1 - 熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物 - Google Patents

熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物 Download PDF

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Abstract

液状であって硬化性を有する熱伝導シリコーン組成物は、(A)液状シリコーン、(B)ヒドロシリル化触媒、および(C)フィラーを含有し、液状であって硬化性を有する熱伝導シリコーン組成物であって、フィラーは、少なくとも、(C-1)液状シリコーンの密度よりも大きな真密度を有する熱伝導フィラー、および、(C-2)液状シリコーンの密度以下の真密度を有する低密度フィラー、を含み、液状シリコーンからなるマトリックスにおいてフィラーが最密充填に近い状態で分散するように、フィラーの粒度分布が制御されている。

Description

熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物
 本発明は、熱伝導シリコーン組成物とその硬化物に関する。
 近年、電気部品や電子部品ではその小型化や高集積化が進行し、それに伴って発熱量が増大している。同様に二次電池においてもその容量や出力が大きくなってきており、発熱量も増大している。電気部品や電子部品、二次電池などの発熱体ではその温度が過度に上昇することを防ぐ必要があり、そのため、発熱体で発生した熱をヒートシンクや外装ケースのような放熱体に逃がす構成が採用される。熱伝導組成物あるいはその硬化物は、発熱体と放熱体との間に介在させることによって発熱体と放熱体との熱的結合を高め、発熱体からの熱を効率よく放熱体に伝達させるために用いられる。熱伝導組成物として、マトリックスとしてシリコーンを含み、シリコーンマトリックスに対して種々のフィラーを添加した熱伝導シリコーン組成物が広く用いられている。熱伝導シリコーン組成物あるいはその硬化物は、放熱グリースや放熱シートなどの種々の形態で市販されている。中でも、ギャップフィラーと呼ばれる熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物は、発熱体や放熱体に対する塗工時には液体であって凹凸に対する追従性(すなわちギャップフィル性)に優れて精密な塗装が可能であり、経時により硬化することでポンピングアウト現象や液だれの発生を防止できるため、広く用いられている。
 発熱体と放熱体との間に熱伝導シリコーン組成物またはその硬化物を介在させて放熱性能を高めるためには、まず、熱伝導シリコーン組成物やその硬化物の熱伝導率が高いことが重要であり、熱伝導率を高めるために熱伝導シリコーン組成物には高い熱伝導率を有する熱伝導フィラーが混合される。また、発熱体と熱伝導シリコーン組成物またはその硬化物との界面、および、放熱体と熱伝導シリコーン組成物またはその硬化物との界面における熱抵抗を低減させることも、放熱特性を高めるために重要である。しかしながら、高い熱伝導率を得るために熱伝導フィラーの混合割合を高めたときは、熱伝導シリコーン組成物の粘度が上昇し、その結果、熱伝導シリコーン組成物やその硬化物が発熱体や放熱体と接触するときの密着性が低下し、界面における熱抵抗が大きくなる。粘度を小さくするために未硬化の熱伝導シリコーン組成物を有機溶剤によって希釈する手法が用いられることもある。しかしながら有機溶剤を用いたことによって熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物が揮発成分を含んでいると、経時に伴い、熱伝導シリコーン組成物やその硬化物の内部に気泡が発生したり、放熱体または発熱体との界面に空隙が生じたりして、熱が伝わりにくくなる。同様の理由で、熱伝導シリコーン組成物またはその硬化物が化学反応によって揮発成分を生成することも、好ましくない。
 また、熱伝導シリコーン組成物における熱伝導フィラーの混合割合を高めると、硬化物の硬さも上昇する。このため、衝撃吸収力が低下するとともに、電気部品や電子部品、二次電池等の温度変化による膨張および収縮に伴って発生する応力緩和の効果も低下する。ところで、熱伝導フィラーとしては、熱伝導率が大きい無機材料からなるフィラーすなわち無機フィラーが一般に使用される。しかしながら無機フィラーはその密度がシリコーンよりもかなり高い。そのため、熱伝導シリコーン組成物における熱伝導フィラーの混合割合を高めた場合には、熱伝導シリコーン組成物及びその硬化物の密度も高くなり、電子機器や自動車の質量の増大をもたらす。質量が増大すると、例えば電子機器の場合であれば携帯性が低下し、自動車の場合であれば航続距離が短くなる。したがって、熱伝導フィラーが配合された熱伝導シリコーン組成物の軽量化が望まれている。
 熱伝導フィラーを含有する熱伝導組成物に関するものとして特許文献1は、架橋ゴムを用いた絶縁性放熱フィルムにおいて、ゴムに配合される無機フィラーの配合量を減らしつつ高い熱伝導率を達成するために、無機フィラーのほかに有機物質からなる粒子すなわち有機フィラーをゴムに添加することを開示している。特許文献1に記載された技術では、無機フィラーとして板状粒子である窒化ホウ素を使用し、有機フィラーとして無機フィラーよりも平均粒径が大きいポリアミド粒子または架橋ポリアクリル酸エステル粒子を使用することで、架橋ゴムにおいて有機フィラーの間隙に無機フィラーを局在化させている。有機フィラーの間隙に無機フィラーを局在化しているので無機フィラーによる伝熱経路が形成されやすくなり、無機フィラーの配合量が少なくても熱伝導性が向上し、機械的特性に優れる絶縁性放熱フィルムを得ることができる。
特開2012-224711号公報
 特許文献1に記載された技術では、高い熱伝導率を有する無機フィラーとして板状粒子の窒化ホウ素を使用しているが、板状のフィラーは未硬化の熱伝導組成物の粘度を上昇させ、その結果硬化物の硬度が高くなり、柔軟性が損なわれてしまう。さらに、有機フィラーの間隙に無機フィラーを適切に配置させるためには、熱伝導組成物における無機フィラーと有機フィラーとを合わせたフィラー全体での体積分率すなわちフィラーの総体積分率が一定値以上であることが必要である。これらのことから、特許文献1に記載された技術では、未硬化の熱伝導組成物の粘度が高くなりやすい。熱伝導組成物の粘度が高いとその硬化物の硬さも高くなることがある。
 したがって、本発明の目的は、軽量であって高い熱伝導率を有すると同時に、未硬化の組成物の粘度が小さく硬化物の硬度も低い柔軟性に優れた熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物を提供することにある。
 本発明者は、高い熱伝導率を有する第1のフィラーと密度が小さな第2のフィラーとをシリコーンに配合して熱伝導シリコーン組成物を得るときに、フィラーの粒径分布を制御することで熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物の柔軟性を向上できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明の一態様によれば、熱伝導シリコーン組成物は、
 (A) 液状シリコーン、
 (B) ヒドロシリル化触媒、および
 (C) フィラー
 を含有し、液状であって硬化性を有する熱伝導シリコーン組成物であって、
 前記フィラーは、少なくとも、
 (C-1) 前記液状シリコーンの密度よりも大きな真密度を有する熱伝導フィラー、および
 (C-2) 前記液状シリコーンの密度以下の真密度を有する低密度フィラー、
 を含み、
 前記フィラーの体積基準での累積粒径分布における累積頻度の算出点となる粒径の個数をR、
 前記累積頻度の算出点となる粒径のうちの最小および最大となる前記熱伝導フィラーの粒径をそれぞれP(μm)およびQ(μm)、
 下記式(a1)および式(a2)を満たすように定めたn番目の前記算出点での前記フィラーの粒径をx(μm)(ただしnは1≦n≦Rをみたす整数)、
 前記累積粒径分布での前記粒径xに対応する前記熱伝導フィラーの粒径の体積基準での累積頻度をc(%)としたときに、
 前記フィラーの粒径分布に関し、下記式(a3)で表される平均二乗誤差Eの最小値Eminと、該最小値Eminに対応する下記式(a4)中の係数aの値aが、
 0≦Emin≦40、かつ
 6.0≦a≦13.0
 を満たす、熱伝導シリコーン組成物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
 本発明の別の態様によれば、硬化物は、上記の熱伝導シリコーン組成物をヒドロシリル化反応により硬化させた硬化物である。
 本発明によれば、軽量であって高い熱伝導率を有すると同時に、未硬化の組成物の粘度が小さく硬化物の硬度も低い柔軟性に優れた熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物を得ることができる。
低密度フィラー添加の有無とフィラーの総体積分率の大小とによる熱伝導フィラー分布の違いを示す模式図である。 熱伝導フィラーにおける粒径と累積頻度との関係を示すグラフである。 熱伝導フィラーにおける粒径と累積頻度との関係を示すグラフである。 熱伝導フィラーにおける粒径と累積頻度との関係を示すグラフである。
 本発明を実施するための形態について説明する。本発明に基づく熱伝導シリコーン組成物は液状であり、そのままの状態(未硬化)、あるいは硬化させた状態で(すなわち硬化物として)、発熱体と放熱体の間に介在させて発熱体と放熱体との熱的結合を高めるために用いられる。熱伝導シリコーン組成物は、一般に、シリコーンポリマーからなる液状シリコーンに対し、シリコーンポリマーに架橋反応を生じさせるためのヒドロシリル化触媒と、熱伝導率を向上させる熱伝導フィラーを配合したものである。熱伝導フィラーは、通常、密度の大きな無機材料からなるので、熱伝導フィラーの配合量を多くすると熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物の質量も大きくなってしまう。そこで、本発明に基づく熱伝導シリコーン組成物では、熱伝導フィラーのほかに、液状シリコーンの密度と同等であるかそれよりも小さい真密度を有する低密度フィラーを液状シリコーンに配合する。なお本明細書においてフィラーの体積とは粒子としてのフィラーの真の体積のことであり、真密度や体積分率は真の体積に基づいて定められる。後述するように低密度フィラーとして中空体を用いることもあるが、中空体である低密度フィラーでは、その中空部分を含めた体積をその低密度フィラーの真の体積とし、その低密度フィラーの質量をその真の体積で除算したものをその低密度フィラーの真密度とする。熱伝導シリコーン組成物における熱伝導フィラーの体積分率が同じであっても低密度フィラーが存在することで、マトリックスである液状シリコーンの体積に対する熱伝導フィラーの体積の割合が高くなる。そのため、マトリックスにおいて熱伝導フィラーが相互に接近するようになり、熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物の熱伝導率が向上する。このように低密度フィラーを添加することによって、少ない量の熱伝導フィラーの添加で、高い熱伝導率が得られるため、熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物の軽量化を達成することができる。
 ところで、マトリックスに粒子を分散させるときには、大粒子で囲まれた空間を小粒子で充填し、さらに小粒子で囲まれた空間を微小な粒子で充填することで、最密充填に近い状態となるように粒径と粒径ごとの添加比率とを制御する。こうすることで、粒子を高密度に充填しつつマトリックスの粘度や硬度を小さくできることが知られている。本発明に基づく熱伝導シリコーン組成物でも、熱伝導フィラーと低密度フィラーとを合わせたフィラー全体での粒径分布を最適化することにより、十分な熱伝導率を得るとともに、熱伝導シリコーン組成物の粘度を低く、かつ硬化物の硬度を低くすることで十分な柔軟性が得られるようにしている。本発明におけるフィラーの粒径分布の最適化については後述する。
 図1は、熱伝導シリコーン組成物において、シリコーンからなるマトリックスに低密度フィラー添加の有無とフィラーの総体積分率の大小とによる熱伝導フィラー分布の違いを示す模式図である。図示されるように、フィラーの総体積分率が小さいときは低密度フィラーを添加しても熱伝導フィラーの相互間の距離はあまり変化せず熱伝導率の向上も小さい。これに対し、フィラーの総体積分率がある程度以上になれば、低密度フィラーを添加することにより熱伝導フィラーの相互間の距離が劇的に短くなり、熱伝導率が大幅に向上する。
 以下、熱伝導シリコーン組成物を構成する主な成分について説明する。
 <(A)成分:液状シリコーン(シリコーンオイル)>
 (A)成分であって液状シリコーン組成物のマトリックスを構成する液状シリコーンは、ヒドロシリル化触媒によって架橋反応を起こすシリコーンポリマーによって構成されるものであれば任意のものであってもよい。しかしながら一般的なシリコーン組成物では、液状シリコーンとして、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを混合したものを用いることが多い。本発明者もこのような一般的なシリコーン組成物に用いられる液状シリコーンを熱伝導シリコーン組成物に適用することを検討した。
 一般的なシリコーン組成物で使用される液状シリコーンは、触媒の存在下でヒドロシリル化反応を進行させることによって架橋が進み、硬化物となる。熱伝導シリコーン組成物の粘度を低くするためには、マトリックスとなる液状シリコーンの粘度を低くする必要がある。液状シリコーンの粘度を低くするための1つの方法として、分子量の小さな液状シリコーンを用いる方法がある。しかしながら、分子量の小さな液状シリコーンを架橋させると架橋密度が高くなり、硬化物の硬さが高くなってしまう。一方、低分子量の液状シリコーンを用いつつ硬化物の硬度を低くするために、分子内にケイ素原子結合水素原子をもつオルガノハイドロジェンポリシロキサンを液状シリコーンに対して多量に配合して分子鎖を延長する必要がある。しかしながらこの場合には、アルケニル基に対するケイ素原子結合水素原子の量が多くなってしまう。さらに、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子鎖側鎖に存在するケイ素原子結合水素原子は、立体障害により完全には反応しきらず、硬化後も残存しやすい。これらのことから、液状シリコーンにおけるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの割合を大きくしたときは、架橋による硬化後においてもケイ素原子結合水素原子が多量に残存することになる。
 硬化後においても残存したケイ素原子結合水素原子は、触媒の存在下で水と反応してシラノール基に変化する。そしてこの生成したシラノール基と、残存しているケイ素原子結合水素原子との間で架橋反応が進行する。したがって、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを架橋させることで得られた熱伝導シリコーンの硬化物は、初期には低い硬度を示しても、長期間にわたって使用したときに次第に硬度が高くなることがある。そこで本発明に用いる液状シリコーンにおいては、分子鎖末端にケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを架橋延長剤として用い、分子内に少なくとも3個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを架橋点として用いることが好ましい。ケイ素原子結合水素原子を分子鎖側鎖ではなく分子鎖末端に有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることで、立体障害による反応性低下を防ぐことができ、残存するケイ素原子結合水素原子を少なくすることができる。このように、分子鎖の延長を施すことで架橋密度を低下させることにより、硬化物は低い硬度を有するようになるとともに、残存するケイ素原子結合水素原子が少ないため、長期間にわたってその低い硬度を維持することができる。
 上述したように、本発明に基づく熱伝導シリコーン組成物に用いられる液状シリコーンは、
 (A-1) 分子鎖の両方の末端にそれぞれアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
 (A-2) 分子鎖の一方の末端にアルケニル基を有し、他方の末端には反応性官能基を有さないオルガノポリシロキサン、
 (A-3) 分子内に少なくとも3個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、および
 (A-4) 分子鎖末端にケイ素原子結合水素原子を有し、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有さないオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
 の4種類のポリマーを含んでいることが好ましい。(A-1)から(A-4)の各成分のポリマーのうち分子鎖の両方の末端にそれぞれアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである(A-1)成分のポリマーは、液状シリコーンのベースポリマーとして機能する。
 また、分子鎖の一方の末端にアルケニル基を有し、他方の末端には反応性官能基を有さないオルガノポリシロキサンである(A-2)成分のポリマーは、分子鎖の一方の末端にヒドロシリル化反応の対象となるアルケニル基を有し、他方の末端には反応性官能基を有しないから、一方の末端でのみ架橋し、他方のもう一端が自由に運動できる。このように、(A-2)成分のポリマーが液状シリコーンに含まれるようにすることで、ブリードアウトを抑制しつつ架橋度を低下させることができ、柔軟な熱伝導シリコーン組成物を得ることができる。(A-2)成分のポリマーの一例として、分子鎖の一方の末端がビニルジメチルシリル基で封鎖され、もう一方の末端がトリメチルシリル基またはtert-ブチルジメチルシリル基で封鎖されたオルガノポリシロキサンが例示される。また、(A-2)成分の添加量は、液状シリコーン100質量部のうち、10~90質量部であることが好ましい。(A-2)成分の添加量が10質量部を下回ると、硬化物の硬度を低くする効果が不十分となり、添加量が90質量部を超えると、ヒドロシリル化反応によって液状シリコーンを硬化させるときの架橋度が低くなりすぎて硬化しにくくなる。なお、ここでいう反応性官能基としては、アルケニル基、ケイ素原子結合水素原子、シラノール基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、アクリル基、メルカプト基、アルコキシ基などが例示される。
 さらに、分子内に平均して少なくとも3個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである(A-3)成分のポリマーは、ケイ素原子結合水素原子と反応し、架橋点として機能する。(A-1)成分および(A-2)成分は鎖状ポリマーであるが、この(A-3)成分は鎖状ポリマーであっても環状ポリマーであってもよく、分岐構造を有していてもよい。(A-3)成分としては、例えば、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンなどの環状ポリマーや、側鎖または末端にビニル基を4個有する直鎖ジメチルシリコーンオイルなどが例示される。(A-3)成分は、液状シリコーンにおいて錯体を構成することなく存在してもよいし、例えば白金(0)-2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン錯体のように、白金錯体として存在してもよい。さらには、非錯体型の(A-3)成分と錯体型の(A-3)成分とが液状シリコーンにおいて共存していてもよい。(A-3)成分の添加量は、液状シリコーン100質量部のうち、0.01~2質量部であることが好ましい。(A-3)成分の添加量が0.01質量部を下回ると架橋点の数が少なくなりすぎて硬化が進行せず、逆に添加量が2質量部を超えると、架橋点の数が多くなりすぎて硬化物の硬さが高くなってしまう。
 加えて、分子鎖末端にケイ素原子結合水素原子を有し、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有さないオルガノハイドロジェンポリシロキサンである(A-4)成分のポリマーは、(A-1)から(A-3)の各ポリマー成分と反応する。この(A-4)成分は、分岐構造の有無を問わない鎖状のポリマーである。(A-4)成分としては、分子鎖両末端にケイ素原子結合水素原子を有し、かつ分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有さない直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンや、分子鎖末端にケイ素原子結合水素原子を有するが分子鎖側鎖にはケイ素原子結合水素原子を有さず、かつ分岐構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンなどが例示される。(A-4)成分を用いることにより、ヒドロシリル化反応によって(A-1)成分のポリマーを延長することができ、低粘度のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンを用いた場合であっても硬化物の架橋密度が高くならず、熱伝導シリコーン組成物の硬化物として硬度の低いものを得ることができる。さらに、(A-4)成分は、ケイ素原子結合水素原子が分子鎖側鎖ではなく分子鎖末端に存在するため、立体障害による反応性低下が起きにくく、硬化物内に未反応のケイ素原子結合水素原子が残存しにくくなる。ところで、(A-4)成分は、液状シリコーン中のアルケニル基1モルに対して、この成分に含まれるケイ素原子結合水素原子が0.6~1.6モルになるように添加されることが好ましい。アルケニル基1モルに対するケイ素原子結合水素原子の量が0.6モルを下回ると硬化せず、一方、1.6モルを上回ると、残存するケイ素原子結合水素原子が増え、触媒存在下でこのケイ素原子結合水素原子が水と反応してシラノール基を生成させる。このように生成したシラノール基は、なおも残存するケイ素原子結合水素原子と架橋するので、長期使用時に硬化物の硬度が上昇することの原因となる。
 なお、(A)成分である液状シリコーンには、上記(A-1)~(A-4)の各成分のポリマーに加えて、(A-5)成分のポリマーとして、下記式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを含有してもよい。(A-5)成分は、アルケニル基およびケイ素原子結合水素原子などの反応性官能基を有しないから、液状シリコーンを硬化させるときの架橋密度を低下させ、硬化物の硬さを低くすることができる。(A-5)成分の添加量は、液状シリコーン100質量部のうち、0質量部以上80質量部以下であることが好ましい。(A-5)成分の添加量が80質量部を超えると架橋密度が低くなりすぎて、形状を保持できなくなる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 (A-1)から(A-4)の各成分を含有する液状シリコーンまたは(A-1)から(A-5)の各成分を含有する液状シリコーンの粘度は、10~10000mPa・sであることが好ましい。粘度が10mPa・sを下回ると、熱伝導シリコーン組成物の保管中に(C-1)成分である熱伝導フィラーが沈降しやすくなり、粘度が10000mPa・sを超えると、熱伝導シリコーン組成物の粘度が上昇し、発熱体や放熱体に対する熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物の密着性が悪くなって熱抵抗が上昇する。
 <(B)成分:ヒドロシリル化触媒>
 (B)成分であるヒドロシリル化触媒は、上記に説明した液状シリコーンにおいて架橋反応を進行させるために熱伝導シリコーン組成物に添加される。ヒドロシリル化触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒などの金属含有触媒が例示され、さらに具体的には、白金(0)-2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン錯体、白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体などが例示される。これらの触媒の1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上の触媒を併用して用いてもよい。熱伝導シリコーン組成物におけるヒドロシリル化触媒の含有量は、いわゆる触媒量であればよく、触媒に含まれる金属元素の質量換算で液状シリコーンに対して0.1~1500ppmであることが好ましい。ヒドロシリル化触媒の添加量が0.1ppmを下回ると硬化が進行せず、1500ppmを上回ると硬化速度が速くなりすぎて取り扱いが煩雑になる。なお、ヒドロシリル化触媒の添加量は、所望の硬化速度が得られるように適宜調整される。
 <(C)成分:フィラー>
 本発明に基づく熱伝導シリコーン組成物において(C)成分として添加されるフィラーは、(C-1)成分である熱伝導フィラーと(C-2)成分である低密度フィラーとの少なくとも2つのフィラー成分を含んでいる。(C-1)成分および(C-2)成分に加え、(C-1)成分でも(C-2)成分でもないフィラー成分が熱伝導シリコーン組成物に添加されていてもよい。
 (C-1)成分である熱伝導フィラーは、熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物に対して熱伝導性を付与するために用いられ、一例として、熱伝導率が液状シリコーンの熱伝導率よりも高い材料を有する物質をフィラー粒子形状としたものである。熱伝導フィラーは、液状シリコーンの密度よりも大きな真密度を有する。熱伝導フィラーとしては、例えば、単体の金属、合金、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属炭酸塩、二酸化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素などが用いられ、これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。熱伝導フィラーに用いられる単体金属として、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウムなどが挙げられ、合金としては真鍮や各種のアルミニウム合金などが挙げられる。また、金属酸化物としては酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどが挙げられ、金属水酸化物としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられ、金属窒化物としては窒化アルミニウムなどが挙げられ、金属炭酸塩としては無水炭酸マグネシウムなど挙げられる。さらに、液状シリコーンに添加される熱伝導フィラーは、1種類の熱伝導フィラーを用いてもよいし、2種類以上の熱伝導フィラーを併用してもよい。
 さらに、熱伝導シリコーン組成物の粘度を低くし硬化物の硬度を低くするという観点からは、熱伝導フィラーの形状は、板状、針状および繊維状のいずれでもないことが好ましく、球形や多面体形状、不定形であることが好ましい。熱伝導フィラーにおいてその形状のアスペクト比は1に近い方が好ましい。板状や針状、繊維状のフィラーを用いた場合には、フィラー粒子相互の接触確率や接触面積が大きくなるためフィラー間の機械的な相互作用も大きくなり、熱伝導シリコーン組成物の粘度が高くなり、硬化物の硬さも高くなる。加えて、熱伝導フィラーは柔らかい材料で構成されていることが好ましく、熱伝導フィラーを構成する材料のモース硬度は低い方が好ましい。モース硬度が高くなると、熱伝導シリコーン組成物の塗工に用いられるディスペンサーや、混練に用いられる練り装置の内面を熱伝導フィラーが削ってしまい、熱伝導シリコーン組成物に異物が混入したり、装置のメンテナンス頻度が高くなったりするという問題が発生しやすくなる。また、軽量かつ高熱伝導率の熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物を得るためには、熱伝導フィラーそのものも軽量かつ高熱伝導率であることが好ましい。
 本発明の熱伝導シリコーン組成物において使用される熱伝導フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム(モース硬度3、密度2.42g/cm、熱伝導率5~10W/(m・K))、無水炭酸マグネシウム(モース硬度3.5、密度3.04g/cm、熱伝導率約15W/(m・K))などが挙げられる。熱伝導フィラーの添加量は、熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物中に占める熱伝導フィラーの体積分率が50.0体積%~72.0体積%の範囲となるようなものであることが好ましい。添加量が50.0体積%を下回ると、熱伝導シリコーン組成物とその硬化物の密度が低くなるものの熱伝導率が低くなる。一方、添加量が72.0体積%を超えると、熱伝導シリコーン組成物とその硬化物の熱伝導率は高くなるものの、密度が上昇してしまう。熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物は電気・電子部品に使用されることが多く、その場合、電気的な短絡を防ぐために電気絶縁性が求められることがある。(C-1)成分である熱伝導フィラーにおいても電気絶縁性の高い材料を用いることが好ましい。
 (C-2)成分である低密度フィラーは、熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物において、軽量化を達成するとともに、液状シリコーンであるマトリックスにおいて複数の熱伝導フィラーによる熱伝導路形成を促進することで、高い熱伝導率を達成するために液状シリコーンに添加される。低密度フィラーの熱伝導率は、一般に、熱伝導フィラーの熱伝導率よりも小さい。低密度フィラーを添加することにより、熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物における熱伝導フィラーの体積分率が同じであっても液状シリコーンに対する熱伝導フィラーの体積分率が上昇するため、熱伝導フィラーの相互間の距離が短くなって熱を効率よく伝えることができるようになる。その結果として、軽量でありながら熱伝導率が高い熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物が得られる。軽量化の観点から、(C-2)成分である低密度フィラーは、液状シリコーンの密度と同等であるかそれよりも小さい真密度を有する。一例として液状シリコーンの典型的な密度は0.97g/cmであるから、低密度フィラーの真密度は、0.97g/cm以下であることが好ましい。さらに低密度フィラーの真密度は、0.01g/cm以上であることが好ましい。真密度が0.01g/cmを下回ると秤量時や混練り時に低密度フィラーが空中に舞いやすく、取り扱いが煩雑になる。
 低密度フィラーは、熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物において熱伝導フィラーを相互に近接させることもその添加の目的であるから、中実体、中空体、多孔質体いずれでも良く、真密度が所望の値を有するのであれば、低密度フィラーの材質についても制限はない。具体例として低密度フィラーとしては、ポリエチレン中実粒子、ポリプロピレン中実粒子、樹脂バルーンとも呼ばれる樹脂中空粒子、ガラスバルーンとも呼ばれるガラス中空粒子などが用いられる。ポリエチレン中実粒子からなる低密度フィラーは、耐荷重性に優れるとともに、混練り時のせん断によりフィラー粒子が変形する可能性が低く、ポリエチレンがマトリックスである液状シリコーンよりも高い熱伝導率を有する点で優れる。液状シリコーンの熱伝導率は約0.2W/(m・K)であり、ポリエチレンの熱伝導率は約0.3~0.5W/(m・K)である。樹脂中空粒子あるいはガラス中空粒子からなる低密度フィラーは、添加したときに熱伝導シリコーン組成物の熱伝導率を向上させる効果は得にくいが、真密度が液状シリコーンに比べて特に低いため、軽量化の点で優れる。低密度フィラーの形状は球状であることが好ましい。球状の低密度フィラーの場合、フィラー粒子同士の接触面積が小さくなるため、フィラー粒子間の機械的な相互作用が小さくなる。その結果、熱伝導シリコーン組成物の粘度は低くなり、その硬化物の硬さも低くなる。液状シリコーンに添加される低密度フィラーとしては、1種類あるいは2種以上の低密度フィラーを併用してもよい。
 本発明に基づく熱伝導シリコーン組成物では、(C-1)成分である熱伝導フィラーと(C-2)成分である低密度フィラーとが液状シリコーンに添加される。このとき、低密度フィラーの体積基準のメディアン径(D50)と熱伝導フィラーの体積基準のメディアン径(D50)との比であるメディアン径比、すなわち[低密度フィラーのD50/熱伝導フィラーのD50]は0.3以上20以下であることが好ましい。メディアン径比が0.3を下回ると、熱伝導フィラーの粒子間の隙間に低密度フィラーがはまり込んでしまい、低密度フィラーが熱伝導フィラーを押しのけて熱伝導フィラーを相互に近接させる効果が小さくなる。一方、メディアン径比が20を超えると、熱伝導シリコーン組成物の厚さを薄くすることができなくなるため、熱抵抗が大きくなり、発熱体からの放熱が行いにくくなる。
 熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物に占める(C)成分であるフィラー全体の体積分率は、70.0体積%以上80.0体積%以下であることが好ましい。熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物に対するフィラーの体積分率が70.0体積%を下回ると、低密度フィラーを添加しても、液状シリコーンに対する熱伝導フィラーの体積分率が十分大きくならず熱伝導フィラーを相互に十分に近接させることができなくなる。一方、フィラーの体積分率が80.0体積%を超えると、熱伝導シリコーン組成物の粘度が高くなり、硬化物は硬くなる。熱伝導フィラーと低密度フィラーの添加量に関し、液状シリコーンに添加されるフィラーにおいて熱伝導フィラーの体積と低密度フィラーの体積との比である体積比、すなわち[熱伝導フィラーの体積/低密度フィラーの体積]は、1.67以上22.0以下であることが好ましい。この体積比が1.67を下回ると、マトリックス内において低密度フィラーによるネットワーク構造が形成されて熱伝導フィラーによる熱伝達経路を切断してしまう可能性が高くなり、その結果、熱を伝えにくくなる。一方、体積比が22.0を超えると、低密度フィラーが熱伝導フィラーを押しのけて熱伝導フィラーを相互に近接させる効果が小さくなり、熱伝導率の向上効果が小さくなる。
 ここで説明する熱伝導シリコーン組成物では、その体積に対するフィラー全体での体積分率が例えば70体積%以上であるというように、高い充填率でフィラーを液状シリコーンに配合する。このようにフィラーを高い充填率で配合しつつ粘度の低い熱伝導シリコーン組成物と硬度の低い硬化物とを得るためには、大きな粒子の隙間に小さな粒子が入り込む最密充填に近い構造体となるように、フィラーの粒径と添加比率を適切に制御し、これによってフィラーの粒径分布を最適化することが重要である。なお、フィラーの粒径分布とは、液状シリコーンに添加されるすべてのフィラーを1つの集団と見なした時の粒径分布のことである。フィラーの種類ごとに粒径分布の最適化を図るわけではないが、熱の伝達経路を確立するという観点からは、低密度フィラーとしては比較的均一な粒径のものを使用し、熱伝導フィラーとして異なる粒径のものを使用した上で、フィラー全体での粒径分布を最適化することにより、組成物の柔軟性を保ちつつ熱伝導率を大きく向上させることができる。
 ところで、最密充填に近い構造体とするために異なる粒径の粒子を混合するとして、これらの粒子の好ましい混合割合についてはこれまでも種々の研究がなされているが、いずれも粒子を単一粒径と仮定し、あるいは平均粒径のみを用いて粒径と添加比率の最適化を議論していることが多い。しかしながら、熱伝導フィラーであっても低密度フィラーであっても市販のフィラーでは、粒径は単一ではなくて粒径分布に幅があり、しかも、粒子の種類や製造方法によって同じ平均粒径であっても粒径分布は異なっている。このため、平均粒径ごとの添加比率を検討するだけでは、熱伝導シリコーン組成物の粘度を低くすることも、硬化物の硬度を低くすることもできないことがある。特に、フィラーの添加量を多くしたときには、低粘度と低硬度とを両立させることが困難であった。そこで本発明者は、粒径の異なる複数種類のフィラーを混合した後の体積基準での累積粒径分布に着目して最適な粒径分布について検討した。以下、本発明者による検討内容及び結果を説明する。
 <検討内容>
 非特許文献1は、エポキシ樹脂に混合される窒化アルミニウム(AlN)フィラーに関し、粒径の大きな粒子と粒径の小さな粒子との添加比率を体積基準で0.735:0.265とすることにより、最密充填に近い高い充填率とすることができることが開示されている。最密充填に近い状態を達成するという点では、エポキシ樹脂に混合される窒化アルミニウムフィラーと、液状シリコーンに混合されるフィラーとでは状況は同じであるので、粒径の大きな粒子と粒径の小さな粒子とを体積比で0.735:0.265で混合する場合を考える。
 図2において折れ線Aは、粒径が10μmである単一粒径の粒子と粒径が1μmである単一粒径の粒子とを体積比が0.735:0.265であるように混合した場合の粒径の累積頻度すなわち累積粒径分布を示している。また折れ線Bは、粒径が50μm、5μmおよび0.5μmである単一粒径の粒子それぞれを、粒径50μmの粒子と粒径5μmの粒子の体積比を0.735:0.265とし、粒径5μmの粒子と粒径0.5μmの粒子の体積比を0.735:0.265とするように混合させた場合の累積粒径分布を示している。同様に折れ線Cは、粒径が80μm、4μmおよび0.2μmである単一粒径の粒子それぞれを、粒径80μmの粒子と粒径4μmの粒子の体積比を0.735:0.265とし、粒径4μmの粒子と粒径0.2μmの粒子の体積比を0.735:0.265とするように混合させた場合の累積粒径分布を示している。しかしながら、平均粒径により粒子の種類を特定したとしても、実際の粒子はある程度のばらつきを有する粒径分布を示す。平均粒径が異なる複数種のフィラーを単純に上記の比率で混合したとしても、図2の折れ線A~Cで示すような累積粒径分布を有する熱伝導シリコーン組成物を得ることは困難である。
 そこで本発明者は、図2の折れ線A~Cで示した各累積粒径分布が、体積基準での累積頻度をy(%)、粒径をx(μm)とした場合、aを正のパラメータすなわち係数として、式(2)によっておおよそ近似できることに着目した。例えば、図2の折れ線Aは、式(2)においてa=19.3とした曲線によって近似でき、同様に、折れ線Bはa=9.6とした曲線で、折れ線Cはa=7.6とした曲線で近似できる。図2において破線で示す各曲線は、係数aを種々の値としたときに式(2)によって示される近似曲線である。式(2)は、最密充填に対応する最適な累積粒径分布を表すものと考えられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 式(2)においてax1/2≧100のときにy=100%となるのは、定義上、累積粒径分布の最大値が100%であるからである。図2に示すように、係数aを大きくすれば式(2)の近似曲線は小粒径側にシフトし、係数aを小さくすれば大粒径側にシフトする。粒径分布が式(2)になるべく近づくように平均粒径の異なる複数種類のフィラーを混合することによって、高い熱伝導率を有しながら粘度が低い熱伝導シリコーン組成物が得られ、そのような熱伝導シリコーン組成物を硬化させることによって、高い熱伝導率を有しながら硬度が低い硬化物が得られる。複数種類のフィラーを混合した後の体積基準での累積粒径分布は、それぞれ種類のフィラーについてフィラーの粒度分布との配合比率とから算出することができる。フィラーの粒度分布として、フィラーの製造事業者が行った粒径分布の測定結果を用いることができる。
 実際に複数種類のフィラーを混合するときは、混合後のフィラーの実際の累積粒径分布が、式(2)で示される累積粒径分布からどれくらいずれているかを示す指標を導入することが好ましく、この指標によって示されるずれがなるべく小さくなるようにフィラーの混合比率を設定することが好ましい。累積粒径分布におけるずれの度合いを示す指標としては、平均二乗誤差Eが有効である。累積粒径分布を考えるときの累積頻度算出の始点(最小値)である粒径をP(μm)、終点(最大値)である粒径をQ(μm)(ただしQ>P)とし、kをk>1を満たす定数とし、1≦n≦R(nは整数)であるとして、下記式(3),(4)を満たすように、数列としてR個の粒径{xn}を考える。
  x=kn-1P,     (3)
  x=Q         (4)
 明らかに粒径{x}は、始点である粒径Pと終点である粒径Qとの間に始点および終点を含めてR個の粒径を公比がkである等比数列の関係となるように定めたものであり、累積頻度の算出を行う算出点である。
 そして、粒径xにおける実際のフィラーにおける累積頻度をc(%)とし、式(2)のxにxを代入して得られる累積頻度をyとして、下記式(5)のように平均二乗誤差Eを定める。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
 平均二乗誤差Eが大きいほど実際のフィラーにおける粒径分布と式(2)で表される粒径分布とのずれが大きく、Eが小さいほどずれが小さいといえる。実際には平均二乗誤差Eは係数aの2次関数となるから、係数aを変化させたときの平均二乗誤差Eの最小値を求めることができ、その最小値をEminとし、最小値Eminに対応する係数aの値をaとして求める。
 <検討結果>
 上述した検討の結果、Eminとaとが下記式(7)および(8)を同時に満たすように複数種類のフィラーを混合したときに、粘度が低くかつ硬化物の硬度が低い熱伝導シリコーン組成物が得られることがわかった。
 0≦Emin≦40     (7)
 6.0≦a≦13.0  (8)
 なお、平均二乗誤差Eの最小値Eminが40を超えると、式(2)で示した理想的な粒径分布からのずれが大きくなるため、熱伝導シリコーン組成物の粘度が高くなるとともにその硬化物の硬度も高くなる。aが6.0よりも小さいときは粒径分布が過度に大粒径側に偏り、そのため発熱体と放熱体との間に熱伝導シリコーン組成物を介在させたときに発熱体と放熱体の間隔が広がってしまい、熱の伝達効率が悪くなる。一方、aが13.0を超えると粒径分布が過度に小粒径側へ偏るため、フィラーの表面積が増えて熱伝導シリコーン組成物の粘度が高くなり、その硬化物の硬度も高くなる。式(2)から(5)はフィラーの粒径分布にのみ基づいて導出されたものであり、ここで説明したEminおよびaの最適範囲は、低密度フィラーであろうが高密度フィラーであろうがフィラーの種類によらず適用可能であり、低密度フィラーと高密度フィラーを含め液状シリコーンに混合されるすべてのフィラーをまとめて1つのフィラー集団として扱ったときにも適用可能である。熱伝導フィラーは、1種類でも、2種類以上の熱伝導フィラーを併用してもよい。さらに、2種類以上の熱伝導フィラーは、平均粒径、材質については、いかなる組み合わせでも良い。同様に、低密度フィラーとして、1種類でも、2種類以上を併用してもよい。さらに、2種類以上の低密度フィラーは、平均粒径、材質については、いかなる組み合わせでもよい。
 一例として、フィラーの粒径分布における始点の粒径Pを0.33μm、終点の粒径Qを204μm、Rを47としたときのkは、式(3),(4)よりk≒1.15となる。平均二乗誤差Eを算出する粒径の始点P(μm)と終点Q(μm)には、フィラーの累積粒径頻度が0%を超え100%を満たない範囲が包含されていれば、任意の値を選択することができる。Rは、実際の累積粒径分布と式(2)に基づく累積粒径分布との平均二乗誤差Eの算出において要求される計算精度によって適宜定められる。Rを大きくすれば精度はよくなるが演算量が増加し、Rを小さくすれば演算量も少なくて済むが精度はやや悪くなる。
 図3は、累積粒径分布を考えるときの始点の粒径Pが0.33μm、終点の粒径Qが204μm、Rが47のときのフィラーの実際の粒径分布と式(2)に示す粒径分布との差を説明する図である。図3では、実線の曲線が実際の粒径分布を示し、破線の曲線が式(2)に示す粒径分布を示している。これら2つの曲線の間にあって垂直方向に延びる一群の線分の長さは、それぞれ、|y-c|である。図4は、係数aの値を変えたときに式(2)に基づいて算出された粒径分布と実際の粒径分布との関係がどのように変化するかを示している。図4に示すようにa=9.2のときに実際の粒径分布が式(2)に基づく粒径分布とよく一致した。また、図4より、a=5やa=15のときには実際の粒径分布と式(2)に基づく粒径分布とのずれが大きいことが分かる。
 <フィラーの表面処理剤>
 (C-1)成分である熱伝導フィラーおよび(C-2)成分である低密度フィラーを含む、(C)成分であるフィラーは、マトリックスである液状シリコーンとの濡れ性を向上させるために、表面処理剤によって表面の疎水化処理が行われていてもよい。液状シリコーンとの濡れ性を向上させることで、フィラーを液状シリコーン中に高い分散度で分散させることができ、得られる熱伝導シリコーン組成物の粘度が低くなり、かつその硬化物の硬度も低くなる。特に熱伝導フィラーは、表面処理剤によって処理されていることが好ましい。フィラーに用いられる表面処理剤としては、オクチルトリエトキシシランやデシルトリメトキシシランなどの分子内に炭素原子数6以上のアルキル基を有するアルコキシシラン、分子内にヒドロキシ基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリグリセリル変性シリコーンオイル、グリセリンモノオレエートなどのグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノオレエートやソルビタントリオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸やオレイン酸などの炭素原子数6以上の脂肪酸などが例示される。表面処理剤の添加量は、フィラーの質量に対して、0.005質量%以上2.5質量%以下であることが好ましい。表面処理剤の添加量が0.005質量%を下回ると、表面処理剤による処理効果が小さくなり、熱伝導シリコーン組成物の粘度が高くなる。一方、添加量が2.5質量%を超えると、ヒドロシリル化反応が阻害されて熱伝導シリコーン組成物が硬化しにくくなることがある。種々の表面処理剤の中でも、アルコキシシランに代表される、フィラー表面に存在する水酸基(-OH)と化学的に結合できる表面処理剤は、水素結合や分子間力により結合する表面処理剤に比べて熱伝導シリコーン組成物の貯蔵安定性を向上させるので、好ましく使用される。
 <その他の添加剤>
 熱伝導シリコーン組成物を構成する液状シリコーンには、必要に応じ、硬化遅延剤、顔料などのその他の添加剤が含まれていてもよい。
 <熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物の製造方法>
 本発明に基づく熱伝導シリコーン組成物は、(A)成分である液状シリコーンに対し、(B)成分であるヒドロシリル化触媒と(C)成分であるフィラーを添加し、混練することによって製造することができる。しかしながら、(A-1)から(A-4)成分あるいは(A-1)から(A-5)成分を含有する液状シリコーンを使用するときは、熱伝導シリコーン組成物の使用前に架橋反応が進行することを抑制するために、例えば、液状シリコーンを構成するポリマー成分のうち(A-4)成分を除くポリマー成分を混合し、そこに(C-1)成分である熱伝導フィラーを少しずつ添加して混練し、その後、混練物を2分して一方に(B)成分であるヒドロシリル化触媒と(C-2)成分である低密度フィラーの2分の1量を添加してA剤とし、他方に(A-4)成分と(C-2)成分である低密度フィラーの2分の1量を添加してB剤とし、使用時あるいはその直前にA剤とB剤とを混合することが好ましい。熱伝導シリコーン組成物の硬化物は、熱伝導シリコーン組成物を常温に放置して硬化させるか加熱して硬化させることにより得られる。
 次に、実際に熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物を製造し評価した実施例および比較例に基づいて、本発明を詳しく説明する。評価項目として、熱伝導シリコーン組成物の物性(未硬化物性)については可塑度を測定し、硬化物の物性(硬化物性)については硬さ、密度、熱伝導率、および硬さの経時変化を測定した。また、実施例および比較例について、上記の式(5)によって規定される平均二乗誤差Eの最小値Eminと、係数aの最小値Eminに対応した値aとを求めた。
 <熱伝導シリコーン組成物および硬化物の製造方法>
 実施例および比較例においては、熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物を次のようにして製造した。まず、液状シリコーンのうち(A-4)成分(比較例においては分子鎖の側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン)を除くポリマー成分を混合し、そこに(C-1)成分である熱伝導フィラーと表面処理剤を少量ずつ添加して、600ccのバンバリー型ミキサーで150℃で加熱混練りを行った。得られた組成物を冷却後、2つに分け、一方に(B)成分であるヒドロシリル化触媒と(C-2)成分である低密度フィラーの2分の1量を添加してA剤とし、もう一方に(A-4)成分と(C-2)成分である低密度フィラーの2分の1量を添加してB剤とした。その後、A剤とB剤とを真空撹拌機で混合しながら真空脱泡した後、金型へ充填し、90℃で30分加熱硬化して硬化物を得た。この製造方法により、100mm×100mm×厚さ10mmの硬化物を得てこれを試験片とした。
 <熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物の評価方法>
 (1)可塑度測定方法
 熱伝導シリコーン組成物の可塑度は、A剤およびB剤をそれぞれ2cm3採取し、JIS K6249にしたがい、ウィリアムスプラストメーター(株式会社東洋精機製作所製)により測定した。23±2℃の環境下で、A剤、B剤の各々について荷重印加後5分後の値を測定した。そして、A剤の可塑度とB剤の可塑度の平均値を熱伝導シリコーン組成物の可塑度とした。可塑度の数値が小さいほど組成物の粘度が低いことを表す。
 (2)硬さ測定方法
 上記の製造方法によって得た厚さ10mmの試験片を23±2℃の環境下で状態調節後、JIS K7312にしたがい、Asker C硬さ計(高分子計器株式会社製)を用いて測定した。このとき、硬さ計を押し付けた後の最大値を硬さの値として採用した。
 (3)密度測定方法
 上記の製造方法によって得た厚さ10mmの試験片を23±2℃の環境下で状態調節後、JIS K6249にしたがい、密度計(株式会社東洋精機製作所製)を用いて密度を測定した。
 (4)熱伝導率測定方法
 上記の製造方法によって得た厚さ10mmの試験片の表面を、気泡を挟まないように注意しながらポリラップ(宇部フィルム株式会社製)で覆い、試験片を23±2℃に安定させた。ラップで覆った試験片を準リファレンスプレート(京都電子工業株式会社製、材質:ジルコニア、熱伝導率:3.36W/m・K)の上に静置し、熱伝導率測定装置QTM-500(京都電子工業株式会社製)にプローブPD-13(京都電子工業株式会社製)を接続して熱伝導率を測定した。電流値はI=9.000Aとした。
 (5)硬さの経時変化測定方法
 試験片に対して上記(3)の「硬さ測定方法」に記載の方法によって硬さHを測定し、その後、当該試験片を温度85℃、相対湿度85%に設定した恒温槽中に500時間静置したのち、23±2℃の環境下で状態調節を行い、再び上記(3)の「硬さ測定方法」を実施してその試験片の硬さHを測定した。そして、下記式(9)により、硬さ経時変化ΔHを算出した。
 ΔH=H-H     (9)
 (6)平均二乗誤差Eの最小値Eminとそれに対応する係数aの値aの算出方法
 上記の式(3)におけるkとして1.15を用いることとして、粒径0.0100μmを数列の要素(項)として含んで公比が1.15である等比数列(…,0.0076,0.0087,0.0100,0.0115,0.0132,…)を考え、この等比数列の各項によって累積粒径の算出点の候補が表されるものとした。そして、算出点の候補の中から、平均二乗誤差Eを算出する粒径の始点P(μm)および終点Q(μm)を選択した。始点P(μm)は、(C)成分であるフィラーの累積頻度が実質的に0%であるとみなせる最大の粒径とし、終点Q(μm)は、(C)成分であるフィラーの累積頻度が100%となる最小の粒径とした。そして、このようにP,Qを定めた上で、前述の公比kの等比数列において、始点Pと終点Qを含めて始点Pと終点Qの間にある各要素を累積粒径の算出点とした。このようにして設定された算出点の個数はRである。そして式(5)に基づいて平均二乗誤差Eを算出し、平均二乗誤差Eの最小値Eminと。この最小値Eminに対応した係数aの値aを算出した。
 [実施例1]
 熱伝導シリコーン組成物の製造において、表1に示す配合量により、(A-1)として分子鎖の両方の末端にビニル基を有するジメチルポリシロキサン(DMS-V21、粘度100cSt、Gelest, Inc製)、(A-2)成分として分子鎖の一方の末端のみにビニル基を有するジメチルポリシロキサン(RH-Vi305B、粘度1000cSt、Zhejiang Runhe Silicone New Material Co., Ltd.製)、(A-3)成分として分子鎖側鎖にビニル基を4個有する環状シロキサンである2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン(Sigma-Aldrich Co. LLC製)、(A-4)成分として分子鎖の両方の末端にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルポリシロキサン(FLD620V20、粘度20mm/s、エルケムジャパン株式会社製)、(A-5)成分として反応性官能基を有さないジメチルポリシロキサン(KF-96-100CS、粘度100cSt、信越化学工業株式会社製)、(B)成分として白金触媒である白金(0)-2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン錯体(SIP6832.2、Gelest, Inc製)を配合した。なお、表1では、(A-1)成分である分子鎖の両方の末端にビニル基を有するジメチルポリシロキサンのことを「両末端にビニル基を有する鎖状ポリシロキサン」と記載し、(A-2)成分である分子鎖の一方の末端のみにビニル基を有するジメチルポリシロキサンのことを「片末端にビニル基を有する鎖状ポリシロキサン」と記載し、(A-3)成分である分子鎖側鎖にビニル基を4個有する環状シロキサンのことを「ビニル基を4個有する環状シロキサン」と記載し、(A-4)成分である分子鎖の両方の末端にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルポリシロキサンのことを「両末端にケイ素原子結合水素原子を有する鎖状ポリシロキサン」と記載し、(A-5)成分である反応性官能基を有さないジメチルポリシロキサンのことを「反応性官能基を有しない鎖状ポリシロキサン」と記載している。またここでは(A-4)成分として、分子鎖の両方の末端にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルポリシロキサンを用いているが、ジメチルポリシロキサンであって分子鎖両末端にケイ素原子結合水素原子を有するので、これは、分子鎖末端にケイ素原子結合水素原子を有し、分子鎖側鎖にはケイ素原子結合水素原子を有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサンであると言える。
 また、(C-1)成分である熱伝導フィラーには、平均粒径が54μmの水酸化アルミニウム(BW53、真密度2.42g/cm、不定形、日本軽金属株式会社製)、平均粒径が10μmの水酸化アルミニウム(BW103、真密度2.42g/cm、不定形、日本軽金属株式会社製)、平均粒径が1μmの水酸化アルミニウム(BF013、真密度2.42g/cm、不定形、日本軽金属株式会社製)の3種類を使用し、(C-2)成分である低密度フィラーには、平均粒径155μmのポリエチレン粒子(ハイゼックスミリオン630M、真密度0.93g/cm、球状、三井化学株式会社製)を用い、これらを表1に記載の配合量で添加した。さらに、熱伝導フィラーの表面処理剤としてオクチルトリエトキシシラン(Silquest A-137、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)とグリセリンモノオレエート(レオドールMO-60、花王株式会社製)とを用い。これらを表1に示す配合量で添加した。
 実施例1の熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物に関して得られた結果を表2に示す。熱伝導シリコーン組成物に配合した各フィラーの粒径分布と添加比率から算出された式(5)に基づく平均二乗誤差Eはa=9.2のときに最小となり(すなわちa=9.2)、その時のEの値(すなわちEmin)は6.6であった。得られた熱伝導シリコーン組成物の可塑度は39と低くて低粘度であり、硬化物の初期の硬さは15度であり、85℃、相対湿度85%の条件下で500時間経過したのちの硬さは初期値に比べて+2ポイントだけ変化した。すなわち、高温多湿条件下での硬さの変化は小さかった。硬化物の密度は1.93g/cmと低くて軽量であり、熱伝導率は2.7W/(m・K)であった。これらの数値は、熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物として満足できるものである。なお表2には、フィラーの体積分率として、フィラーの配合比率から算出された、熱伝導シリコーン組成物の体積に対する熱伝導フィラーの体積、低密度フィラーの体積およびフィラーの総体積と、フィラーの総体積に対する熱伝導フィラーの体積の比とが示されている。また表2には、フィラーの粒径分布を特徴付ける量として、熱伝導フィラーのメディアン径(D50)、低密度フィラーのメディアン径(D50)、およびフィラー全体(すなわち熱伝導フィラーおよび低密度フィラー)でのメディアン径(D50)も示されている。
 [実施例2~4]
 表1に示すように各熱伝導フィラー、低密度フィラーおよび表面処理剤の配合量を変更した以外は実施例1と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例5]
 熱伝導シリコーン組成物の製造において、表1に示す配合量により、(A-1)成分として分子鎖の両方の末端にビニル基を有するジメチルポリシロキサン(DMS-V31、粘度1000cSt、Gelest, Inc製)、(A-2)成分として分子鎖の一方の末端にビニル基を有するジメチルポリシロキサン(MCR-V25、粘度500cSt、Gelest, Inc製)、(A-3)成分として分子鎖側鎖にビニル基を4個有する環状シロキサンである2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン(Sigma-Aldrich Co. LLC製)、(A-4)成分として分子鎖の両方の末端にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルポリシロキサン(FLD620V20、粘度20mm2/s、エルケムジャパン株式会社製)、(B)成分として白金触媒である白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(P2075、東京化成工業株式会社製)を配合した。(A-5)成分である反応性官能基を有さないジメチルポリシロキサンは使用しなかった。熱伝導フィラーと低密度フィラーには実施例1におけるものと同じものを表1に示す配合量で使用した。さらに、熱伝導フィラーの表面処理剤としてオクチルトリエトキシシラン(Silquest A-137、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)とステアリン酸(ステアリン酸50S、新日本理化株式会社製)とを表1に示す配合量で使用した。そして実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例6]
 表1に示すように各熱伝導フィラー、低密度フィラーおよび表面処理剤の配合量を変更した以外は実施例5と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例7]
 熱伝導シリコーン組成物の製造において、表1に示す配合量により、(A-1)成分として分子鎖の両方の末端にビニル基を有するジメチルポリシロキサン(DMS-V21、粘度100cSt、Gelest, Inc製)、(A-2)成分として分子鎖の一方の末端にビニル基を有するジメチルポリシロキサン(MCR-V25、粘度500cSt、Gelest, Inc製)、(A-3)成分として分子鎖側鎖にビニル基を4個有する環状シロキサン(2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン、Sigma-Aldrich Co. LLC製)、(A-4)成分として分子鎖両末端にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルポリシロキサン(FLD620V20、粘度20mm/s、エルケムジャパン株式会社製)、(A-5)成分として反応性官能基を有さないジメチルポリシロキサン(KF-96-100CS、粘度100cSt、信越化学工業株式会社製)、(B)成分として白金触媒である白金(0)-2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン錯体(SIP6832.2、Gelest, Inc製)を配合した。熱伝導フィラーおおよび低密度フィラーには実施例1におけるものと同じものを使用し、熱伝導フィラーの表面処理剤には実施例5におけるものと同じものを使用し、これらを表1に示す配合量で配合した。そして実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例8]
 表1に示すように各熱伝導フィラー、低密度フィラーおよび表面処理剤の配合量を変更した以外は実施例7と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例9~11]
 表1に示すように各熱伝導フィラー、低密度フィラーおよび表面処理剤の配合量を変更した以外は実施例5と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例12]
 (C-2)成分である低密度フィラーとして平均粒径110μmのポリエチレン粒子(ハイゼックスミリオン030S、真密度0.95g/cm、球状、三井化学株式会社製)を使用し、表1に示す配合量で熱伝導フィラー、低密度フィラーおよび表面処理剤を添加したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例13~14]
 (C-2)成分である低密度フィラーとして平均粒径65μmのポリエチレン粒子(ミペロンXM-330、真密度0.94g/cm、球状、三井化学株式会社製)を使用し、表1に示す配合量で熱伝導フィラー、低密度フィラーおよび表面処理剤を添加したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例15]
 (C-2)成分である低密度フィラーとして平均粒径30μmのポリエチレン粒子(ミペロンXM-220、真密度0.94g/cm、球状、三井化学株式会社製)を使用し、表1に示す配合量で熱伝導フィラー、低密度フィラーおよび表面処理剤を添加したこと以外は実施例5と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例16]
 (C-2)成分である低密度フィラーとして炭酸カルシウムでコーティングされた平均粒径60μmのアクリロニトリル系コポリマーから成る樹脂中空粒子(マツモトマイクロスフェアMFL-UPR60、真密度0.12g/cm、球状、松本油脂製薬株式会社製)を使用し、表1に示す配合量で熱伝導フィラー、低密度フィラーおよび表面処理剤を添加したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例17]
 (C-1)成分である熱伝導フィラーとして、平均粒径54μmの水酸化アルミニウム(BW53、真密度2.42g/cm、不定形、日本軽金属株式会社製)、平均粒径10μmの水酸化アルミニウム(BW103、真密度2.42g/cm、不定形、日本軽金属株式会社製)および平均粒径1μmの無水炭酸マグネシウム(マグサーモMS-S、真密度3.04g/cm、多面体状、神島化学工業株式会社製)の3種類を使用し、表1に示す配合量で熱伝導フィラー、低密度フィラーおよび表面処理剤を添加したこと以外は実施例16と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例18]
 (C-2)成分である低密度フィラーとして平均粒径40μmのガラス中空粒子(グラスバブルズS38、真密度0.38g/cm、球状、スリーエムジャパン株式会社製)を使用し、表1に示す配合量によりシリコーンポリマー、熱伝導フィラー、低密度フィラー及び表面処理剤を配合したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例19]
 (C-2)成分である低密度フィラーとして、平均粒径16μmのガラス中空粒子(グラスバブルズiM30K、真密度0.60g/cm、球状、スリーエムジャパン株式会社製)を使用し、表1に示す配合量により熱伝導フィラー、低密度フィラー及び表面処理剤を添加したこと以外は実施例18と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 [実施例20]
 (C-1)成分である熱伝導フィラーとして、平均粒径105μmの水酸化アルミニウム(SB93、真密度2.42g/cm、不定形、日本軽金属株式会社製)、平均粒径10μmの水酸化アルミニウム(BW103、真密度2.42g/cm、不定形、日本軽金属株式会社製)、平均粒径1μmの水酸化アルミニウム(BF013、真密度2.42g/cm、不定形、日本軽金属株式会社製)の3種類を使用し、表1に示す配合量で熱伝導フィラー、低密度フィラーおよび表面処理剤を添加したこと以外は実施例5と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
 表2に示されるように、実施例1と同様に、実施例2~20のいずれにおいても、式(5)に基づく平均二乗誤差Eの最小値EminとEminに対応する係数aの値aは、上記の式(7)および(8)を満たしており、得られた熱伝導シリコーン組成物の可塑度は低くて低粘度であった。また、硬化物の硬さおよび密度は低く、硬さの変化は小さく、熱伝導率は高かった。
 [比較例1]
 熱伝導シリコーン組成物の製造において、表1に示す配合量により、液状シリコーンとして、分子鎖の両方の末端にビニル基を有するジメチルポリシロキサン(SF3000EDK001、粘度1000cSt、KCC Corporation製)(各実施例での(A-1)成分に対応)と分子鎖の側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(HMS-501,粘度10~15cSt、Gelest, Inc製)(表1では「側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する鎖状ポリシロキサン」と記載)とを使用し、(B)成分である白金触媒として白金(0)-1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(P2075、東京化成工業株式会社製)を配合した。さらに表1に示す配合量により、(C-1)成分である熱伝導フィラーとして平均粒径54μmの水酸化アルミニウム(BW53、真密度2.42g/cm、不定形、日本軽金属株式会社製)と平均粒径10μmの水酸化アルミニウム(BW103、真密度2.42g/cm、不定形、日本軽金属株式会社製)とを添加し、熱伝導フィラーの表面処理剤としてグリセリンモノオレエート(レオドールMO-60、花王株式会社製)を添加した。得られた熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物に対して実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
 熱伝導シリコーン組成物に配合した各熱伝導フィラーの粒径分布と添加比率から算出された式(5)に基づく平均二乗誤差Eはa=8.1のときに最小となり(すなわちa=8.1)、その時のEの値(すなわちEmin)は96.4であった。したがって比較例1の熱伝導シリコーン組成物は上記の式(7)を満たしていない。また、熱伝導シリコーン組成物の可塑度は119であって粘度が高く、硬化物の初期の硬さは65度であって硬かった。硬化物の密度は1.93g/cmと低かったが、熱伝導率は2.2W/(m・K)と低くて十分な値ではなかった。硬化物の硬さの変化は+26ポイントと大きかった。これは、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて低粘度かつ低硬度を達成しようとすると、残存するケイ素原子結合水素原子の量が多くなり、そのため、ケイ素原子結合水素原子が反応することによって生成するシラノール基と残存するケイ素原子結合水素原子との間の架橋反応が徐々に進行したためと考えられる。
 [比較例2]
 表1に示すように各熱伝導フィラーと表面処理剤の配合量を変更した以外は比較例1と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。比較例2の熱伝導シリコーン組成物は上記の式(7)を満たしていない。熱伝導率を向上させるために熱伝導フィラーの配合量を増やすと熱伝導率は3.0W/(m・K)と高くなるが、同時に密度も2.05g/cmと高くなった。比較例2の熱伝導シリコーン組成物の可塑度も135と高くて粘度が高く、硬化物の硬さも81度と高かった。比較例1で説明したものと同様の理由により、硬化物の硬さの変化も+11ポイントと大きかった。
 [比較例3]
 (C-1)成分である熱伝導フィラーとして平均粒径8μmの窒化ホウ素(UHP-1K、板状、昭和電工株式会社製)を用い、(C-2)成分である低密度フィラーとして平均粒径30μmのポリエチレン粒子(ミペロンXM-220、真密度0.94g/cm、球状、三井化学株式会社製)を用い、表1に示す配合量で熱伝導フィラーおよび低密度フィラーを添加した以外は比較例1と同様に熱伝導シリコーン組成物を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。比較例2の熱伝導シリコーン組成物は上記の式(7),(8)のいずれをも満たしていない。板状フィラーである窒化ホウ素を用いると、熱伝導シリコーン組成物の可塑度が306と高くなって粘度が高く、また、硬化物の硬さも83度と高くなった。
 実施例と比較例とを比較することにより、上記の式(7),(8)の条件をともに満たす本発明に基づく熱伝導シリコーン組成物は、可塑度が110未満であって粘度が低く、その硬化物においても2.3W/(m/K)を超える良好な熱伝導率を示すとともに密度が2g/cm未満であってAsker Cによる硬さも70度未満であり、硬さの変化も±5ポイント未満であった。すなわち、本発明により、熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物として満足できるものが得られることが分かった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011

Claims (7)

  1.  (A) 液状シリコーン、
     (B) ヒドロシリル化触媒、および
     (C) フィラー
     を含有し、液状であって硬化性を有する熱伝導シリコーン組成物であって、
     前記フィラーは、少なくとも、
     (C-1) 前記液状シリコーンの密度よりも大きな真密度を有する熱伝導フィラー、および
     (C-2) 前記液状シリコーンの密度以下の真密度を有する低密度フィラー、
     を含み、
     前記フィラーの体積基準での累積粒径分布における累積頻度の算出点となる粒径の個数をR、
     前記累積頻度の算出点となる粒径のうちの最小および最大となる前記熱伝導フィラーの粒径をそれぞれP(μm)およびQ(μm)、
     下記式(a1)および式(a2)を満たすように定めたn番目の前記算出点での前記フィラーの粒径をx(μm)(ただしnは1≦n≦Rをみたす整数)、
     前記累積粒径分布での前記粒径xに対応する前記熱伝導フィラーの粒径の体積基準での累積頻度をc(%)としたときに、
     前記フィラーの粒径分布に関し、下記式(a3)で表される平均二乗誤差Eの最小値Eminと、該最小値Eminに対応する下記式(a4)中の係数aの値aが、
     0≦Emin≦40、かつ
     6.0≦a≦13.0
     を満たす、熱伝導シリコーン組成物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
  2.  前記熱伝導シリコーン組成物に占める前記フィラー(C)の体積分率が70.0体積%以上80.0体積%以下であり、
     前記フィラー(C)における前記低密度フィラーの体積に対する前記熱伝導フィラーの体積の比が1.67以上22.0以下である、請求項1に記載の熱伝導シリコーン組成物。
  3.  前記低密度フィラーが、ポリエチレン中実粒子、樹脂中空粒子、およびガラス中空粒子の少なくとも1種以上を含む、請求項1または2に記載の熱伝導シリコーン組成物。
  4.  前記熱伝導フィラーが水酸化アルミニウムからなるフィラーを含む、請求項1または2に記載の熱伝導シリコーン組成物。
  5.  前記液状シリコーンは、
     (A-1) 分子鎖の両方の末端にそれぞれアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
     (A-2) 分子鎖の一方の末端にアルケニル基を有し、他方の末端には反応性官能基を有さないオルガノポリシロキサン、
     (A-3) 分子内に少なくとも3個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、および
     (A-4) 分子鎖末端にケイ素原子結合水素原子を有し、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有さないオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
     を含む、請求項1に記載の熱伝導シリコーン組成物。
  6.  前記液状シリコーンは、下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを含む、請求項5に記載の熱伝導シリコーン組成物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
  7.  請求項1または2に記載の熱伝導シリコーン組成物をヒドロシリル化反応により硬化させた硬化物。
PCT/JP2022/048512 2022-12-28 熱伝導シリコーン組成物およびその硬化物 WO2024142354A1 (ja)

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