JP2005346882A - 光ヘッド装置、再生装置、記録装置、トラッキングエラー信号生成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
光ヘッド装置内には、0次回折光のプッシュプル信号を得るための第1の受光素子(A〜D)、±1次回折光のプッシュプル信号を得るための第2の受光素子部(E、FとG、H)を設けることに加え、第3の受光素子部として層間迷光成分を検出する受光素子部(I、J)を設ける。そして±1次回折光の規格化のための信号を、第3の受光素子部の検出信号を用いて生成することで、層間迷光の影響を低減させる。即ち、第2の受光素子部の和信号(±1次回折光の和信号)から、第3の受光素子部の検出信号(迷光成分)に係数を乗じた信号を減算して規格化のための信号を生成し、この信号を用いて第2の受光素子部のプッシュプル信号(±1次回折光のプッシュプル信号)を規格化する。
【選択図】 図6
Description
光ディスクには、例えばCD、CD−ROM、DVD−ROMなどとして知られているように再生専用タイプのものと、MD、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなどで知られているようにユーザーデータが記録可能なタイプがある。記録可能タイプのものは、光磁気記録方式、相変化記録方式、色素膜変化記録方式などが利用されることで、データが記録可能とされる。色素膜変化記録方式はライトワンス記録方式とも呼ばれ、一度だけデータ記録が可能で書換不能であるため、データ保存用途などに好適とされる。一方、光磁気記録方式や相変化記録方式は、データの書換が可能であり音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム等の各種コンテンツデータの記録を始めとして各種用途に利用される。
更に近年、ブルーレイディスク(Blu-Ray Disc)と呼ばれる高密度光ディスクが開発され、著しい大容量化が図られている。
また、同様のフォーマットで、線密度を0.112μm/bitの密度とすると、25GBの容量を記録再生できる。
さらに、記録層を多層構造とすることでさらに飛躍的な大容量化が実現できるる。例えば記録層を2層とすることにより、容量は上記の2倍である46.6GB、又は50GBとすることができる。
この手法においては、一例として、図11に示す8つの分割受光素子(A,B,C,D,E,F,G,H)が用いられる。具体的には、主ビームから検出されるプッシュプル信号(A+B)−(C+D)から、2つの副ビームによって検出される各プッシュプル信号(E−F)と(G−H)の和(E−F)+(G−H)を、係数を乗じて減算することにより、差動プッシュプル誤差信号が検出される。
このような設定において、2層ディスクなど、記録層が複数設けられているディスクの記録再生を考えると、次の問題が生ずる。
例えば2層ディスクからの信号再生をおこなうためにアクセス目標としての一方の情報記録層に集光スポットを照射した場合、アクセス対象となっていない、もう一方の情報記録層からの余分な反射光(迷光)を分離することが困難なため、上記迷光成分も受光素子によって検出されてしまう。
この現象は層間迷光とも称されるが、差動プッシュプル信号を生成する上では、誤差信号をディスク反射率や、記録、或いは再生時の照射パワーによって規格化するAGC(Automatic Gain Control)回路において、主ビームの層間迷光が副ビームの受光素子によって検出され、同信号の規格化を不正確なものとしてしまう。これによって適切なトラッキングエラー信号が得られず、サーボ性能が低下する。
また上記第3の受光素子部の受光素子は、アクセス対象となっていない全ての情報記録層で反射された上記0次回折光の迷光、上記+1次回折光の迷光、及び上記−1次回折光の迷光を、ほぼ均一に受光することが可能な位置に配置される。
また上記第3の受光素子部の受光素子は、上記第2の受光素子部の受光素子と同等の面積を有する。
また本発明の記録装置は、複数の情報記録層を有する記録媒体への記録動作のために、上記記録媒体に対してレーザ光照射を行うとともに、その反射光を検出する光ヘッド手段と、上記光ヘッド手段によって検出された反射光に基づいてフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する信号生成手段と、上記信号生成手段で得られたフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に基づいて、フォーカスサーボ動作、トラッキングサーボ動作を行うサーボ手段とを備える。そして上記光ヘッド手段は、上記光ヘッド装置としての構成を備えるとともに、上記信号生成手段は、光ヘッド手段の第1,第2,第3の受光素子部により検出された信号を用いて、差動プッシュプル方式で上記トラッキングエラー信号の生成を行うものとする。
この場合、上記第2の受光素子部の和信号から、上記第3の受光素子部の検出信号に係数を乗じた信号を減算して、上記+1次回折光のプッシュプル信号又は上記−1次回折光のプッシュプル信号の規格化のための信号を生成する。
この場合、上記+1次回折光のプッシュプル信号、上記−1次回折光のプッシュプル信号の規格化のための信号は、上記第2の受光素子部の和信号から、上記第3の受光素子部の検出信号に係数を乗じた信号を減算して生成する。
より具体的に言えば、第2の受光素子部の和信号(±1次回折光の和信号)から、第3の受光素子部の検出信号(迷光成分)に係数を乗じた信号を減算して規格化のための信号を生成し、この信号を用いて第2の受光素子部のプッシュプル信号(±1次回折光のプッシュプル信号)を規格化することで、層間迷光の影響を低減した規格化が可能となる。
そしてこれにより、2層以上の多層記録層ディスクに対しても適切な差動プッシュプル方式を用いたトラッキングエラー信号の生成が適正化され、安定したトラッキングサーボ動作を実現でき、装置性能を向上させることができる。
一般に、光磁気記録方式、色素膜変化記録方式、相変化記録方式などの記録可能なディスクに対してデータを記録するには、データトラックに対するトラッキングを行うための案内手段が必要になり、このために、プリグルーブとして予め溝(グルーブ)を形成し、そのグルーブもしくはランド(グルーブとグルーブに挟まれる断面台地状の部位)をデータトラックとすることが行われている。
すなわち、データを記録するトラックが例えばプリグループとして予め形成されるが、このプリグループの側壁をアドレス情報に対応してウォブリングさせる。
このようにすると、記録時や再生時に、反射光情報として得られるウォブリング情報からアドレスを読み取ることができ、例えばアドレスを示すピットデータ等を予めトラック上に形成しておかなくても、所望の位置にデータを記録再生することができる。
このようにウォブリンググルーブとしてアドレス情報を付加することで、例えばトラック上に離散的にアドレスエリアを設けて例えばピットデータとしてアドレスを記録することが不要となり、そのアドレスエリアが不要となる分、実データの記録容量を増大させることができる。
光ディスク1のグルーブGVは接線方向に対して蛇行形成されているが、このグルーブGVの蛇行形状は、アドレス等を変調して得たウォブル信号に応じた形状となっている。そのため、光ディスクドライブでは、グルーブGVに照射したレーザスポットLSの反射光からそのグルーブGVの両エッジ位置を検出し、レーザスポットLSを記録トラックに沿って移動させていった際におけるその両エッジ位置のディスク半径方向に対する変動成分を抽出することにより、ウォブル信号を再生し、アドレス情報等を復調することができる。このようなウォブリングされたグルーブにより表現される絶対時間(アドレス)情報は、ATIP(Absolute Time In Pregroove)又はADIP(Adress In Pregroove)と呼ばれる。
そして波長405nmのレーザ(いわゆる青色レーザ)とNAが0.85の対物レンズの組み合わせという条件下で、例えばフェーズチェンジマーク(相変化マーク)を記録再生を行うものとし、トラックピッチ0.32μm、線密度0.12μm/bitで、64KB(キロバイト)のデータブロックを1つの記録再生単位として、フォーマット効率約82%としたとき、直系12cmのディスクに23.3GB(ギガバイト)程度の容量を記録再生できる。
記録層を多層構造とすることで、さらなる大容量化が実現でき、例えば記録層を2層とすることにより、容量は上記の2倍である46.6GBとすることができる。
もちろん3層以上のn層構造も可能であり、容量を上記のn倍とすることができる。
ディスク厚は1.2mmであり、ポリカーボネートによる基板RLの厚みが約1.1mmとなる。
ディスク1に対して記録再生を行うディスクドライブ装置(記録再生装置)からの光学ビームを一点鎖線で示しているが、この光学ビームは波長405nmの青色レーザであり、NAが0.85の対物レンズによって、図示するようにカバー層(サブストレート)CVL側から集光される。
記録再生時には、カバー層CVL側から光学ビームが記録層L0に集光される。
図3(b)の2層ディスクの場合は、例えば1.1mmの厚みの基板RLの上に、記録層L0を形成し、25μmの中間層MLをはさみ、第2の記録層L1を形成し、75μmのカバー層CVLを形成してある。
記録再生時には、カバー層CVL側から光学ビームが記録層L0、L1に集光される。
なお図示していないが、3層以上のn層ディスクを考えた場合、例えば図3(b)の記録層L1よりカバー層表面CVLs側に、25μmの中間層MLをはさんで記録層Lnを形成していくことが考えられる。
つまり第nの記録層L(n-1)は、第n−1の記録層L(n-2)の上に、中間層MLをはさんで形成される。第nの記録層L(n-1)について言えば、カバー層CVLの厚みは、100−(n-1)×25μmとなる。
ディスク1は、図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ52によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そして光学ピックアップ(光学ヘッド)51によってディスク1上のデータの読出が行われる。またグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報やディスクインフォメーションの読み出しがおこなわれる。
またディスク1に対する記録時には光学ピックアップによってグルーブトラックにデータがピットマーク(ディスク1がライトワンスディスクの場合は色素変化マーク、リライタブルディスクの場合はフェイズチェンジマーク)として記録される。
ピックアップ51内において対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ51全体はスレッド機構53によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ51におけるレーザダイオードはレーザドライバ63からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
マトリクス回路54には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
なお、マトリクス回路54は、ピックアップ51内に形成される場合もある。
変復調回路56は、再生時のデコーダとしての機能部位と、記録時のエンコーダとしての機能部位を備える。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。
再生時には、スクランブル処理に対するデスクランブル処理を行うとともに、エラー訂正のためのECCデコード処理を行う。
この再生時には、変復調回路56で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、デスクランブル処理及びエラー検出/訂正処理を行って再生データを得ることになる。
アドレスデコーダ59は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ60に供給する。
またアドレスデコーダ59はウォブル回路58から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
この場合ECC/スクランブル回路57は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やスクランブル処理、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコード及びスクランブル処理されたデータは、変復調回路56においてRLL(1−7)PP方式の変調が施され、リーダ/ライタ回路55に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは上述したようにウォブル信号から生成したクロックを用いる。
レーザドライバ63では供給されたレーザドライブパルスをピックアップ51内のレーザダイオードに与え、レーザ発光駆動を行う。これによりディスク1に記録データに応じたピットマークが形成されることになる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、ピックアップ51内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ51、マトリクス回路54、サーボ回路61、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
またサーボ回路61は、システムコントローラ60からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
スピンドルサーボ回路62は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路55内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路62は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ62のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路62は、システムコントローラ60からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
システムコントローラ60は、ホスト機器からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
例えばホスト機器から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ60は、まず書き込むべきアドレスにピックアップ51を移動させる。そしてECC/スクランブル回路57、変復調回路56により、AVシステム120から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータや、オーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにリーダ/ライタ回路55からのレーザドライブパルスがレーザドライバ63に供給されることで、記録が実行される。
その後、その指示されたデータ区間のデータをAVシステム120に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク1からのデータ読出を行い、リーダ/ライタ回路55、変復調回路56、ECC/スクランブル回路57におけるデコード/バファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
半導体レーザ9からの出射光は、コリメータレンズ2で平行光とされ、1/2波長板3を通過して回折格子4に達する。回折格子4ではトラッキングエラー信号の生成のためのサイドスポットを形成する副ビーム(+1次回折光及び−1次回折光)が生成され、メインスポットを形成する主ビーム(0次回折光)とともに偏光ビームスプリッタ5に導かれる。
このメインビーム(0次回折光)及びサイドビーム(±1次回折光)は、ビームスプリッタ5を通過し、さらに液晶素子6,1/4波長板7を通って、対物レンズ8によって例えばレイヤ0,レイヤ1として2層記録層とされたディスク1の或る記録層に集光される。
このモニタ用フォトディテクタ11への入射光量は1/2波長板3を回転することによって調整が可能であり、実際のレーザ出力は、レーザドライバ63における上述したAPC(Automatic Power Control)回路によって任意の発光出力値に制御される。
本例においては、フォーカスエラー信号として非点収差法を、またトラッキングエラー信号として差動プッシュプル法を用いており、集光レンズ12、並びにシリンドリカルレンズ13を通った収束光は、サーボエラー信号及び再生情報信号検出用の受光素子(フォトディテクタ)14へと入射し、光電変換が施される。
本例のフォトディテクタ14は、図示するように、第1の受光素子部として、1つの4分割光検出素子(A,B,C,D)と、第2の受光素子部として、2つの2分割検出素子(E,F、及びG,H)とを有し、さらに、第3の受光素子部として、上記2分割検出素子の近傍に配置した2つの検出素子(I及びJ)を有している。
回折格子4によって3つのビームに分割されたレーザ光のうち、0次光の反射光は受光素子A,B,C,Dによって、また+1次光、−1次光の反射光は受光素子E,F及びG,Hによって受光されることとなる。
これら各受光素子の出力に基づいてフォーカスエラー信号、並びに差動プッシュプル方式でのトラッキングエラー信号が演算される。
非点収差方式のフォーカスエラー信号FEについては、マトリクス回路54において、
FE=(A+C)−(B+D)
の演算が行われて生成され、サーボ回路61に供給される。
2層ディスクにおける層間迷光の強度比(η)は、記録層L0と記録層L1の反射率が等しい場合、概ね次の式によって与えられる。
η=S/π/M2・(2d・tanθ)2
ちなみに、開口数0.85の対物レンズ8と屈折率1.6のカバー層CLVを有する光ディスク1の組み合わせではθが約32度となり、フォトディテクタ14の受光素子を150μm角、光学系の倍率を20倍、層間間隔を25μmと想定すると、η= 1.8%と求められる。
従って、主ビーム同士の層間迷光に関する影響は小さいものの、強度比を10:1とした主ビームが副ビームへ与える影響はこの10倍となり、無視できない。また、一方の層のみに信号が記録されている場合には、更に大きな層間迷光を生じるため、差動プッシュプル信号の演算に大きな影響を及ぼし、トラックへの追従によって生じる対物レンズ8の視野振りに対して、残留誤差(Detrack)を生じる恐れがある。
図6においてヘッドアンプ31a〜31jは、それぞれフォトディテクタ14の受光素子A〜Jに対応して設けられており、それぞれ受光素子A〜Jからの信号を電流/電圧変換し、後段で処理するために必要となる所定のレベルに増幅する。
またオペアンプ32a〜32lが設けられ、ヘッドアンプ31a〜31jの出力に対する演算処理を行い、所要の信号を得る。
なお、以下、受光素子A〜Jの受光光量に応じてヘッドアンプ31a〜31jから出力される信号を、受光素子A〜Jの符号をそのまま用いて、信号A〜Jと記す。
まず、ヘッドアンプ31a、31bからの信号A,Bは、オペアンプ32aで加算され、信号A+Bとされる。
またヘッドアンプ31c、31dからの信号C、Dは、オペアンプ32bで加算され、信号C+Dとされる。
オペアンプ32aからの信号A+Bと、オペアンプ32bからの信号C+Dは、オペアンプ32cで加算され、和信号M_SUMとされてAGC回路33aに供給される。
M_SUM =A+B+C+D
またオペアンプ32aからの信号A+Bと、オペアンプ32bからの信号C+Dは、オペアンプ32dで減算処理され、規格化前のプッシュプル信号MPPとされてAGC回路33aに供給される。
MPP=(A+B)−(C+D)
AGC回路33aでは、和信号M_SUMを用いてプッシュプル信号MPPを規格化することで、主ビームのプッシュプル信号に対してAGCが施される。これが規格化されたプッシュプル信号MPP_AGCとされる。
MPP_AGC = MPP/M_SUM
ヘッドアンプ31e、31fからの信号E,Fは、オペアンプ32eで減算され、規格化前のプッシュプル信号SPP1とされてAGC回路33bに供給される。
SPP1=E−F
またヘッドアンプ31e、31fからの信号E,Fは、オペアンプ32fで加算され、信号E+Fとされる。
ヘッドアンプ31iからの信号Iは、オペアンプ32iで係数mが乗算され、信号m・Iとされる。
そしてオペアンプ32kでは、オペアンプ32fの出力(E+F)からオペアンプ32iの出力(m・I)を減算し、規格化のための和信号S1_SUMを生成する。
S1_SUM=E+F−m ・I
AGC回路33bでは、和信号S1_SUMを用いてプッシュプル信号SPP1を規格化することで、+1次回折光のプッシュプル信号に対してAGCが施される。これが規格化されたプッシュプル信号SPP1_AGCとされる。
SPP1_AGC = SPP1/S1_SUM
ヘッドアンプ31g、31hからの信号G,Hは、オペアンプ32hで減算され、規格化前のプッシュプル信号SPP2とされてAGC回路33cに供給される。
SPP2=G−H
またヘッドアンプ31g、31hからの信号H、Gは、オペアンプ32gで加算され、信号G+Hとされる。
ヘッドアンプ3jからの信号Jは、オペアンプ32jで係数mが乗算され、信号m・Jとされる。
そしてオペアンプ32lでは、オペアンプ32gの出力(G+H)からオペアンプ32jの出力(m・J)を減算し、規格化のための和信号S2_SUMを生成する。
S2_SUM=G+H−m ・J
AGC回路33cでは、和信号S2_SUMを用いてプッシュプル信号SPP2を規格化することで、−1次回折光のプッシュプル信号に対してAGCが施される。これが規格化されたプッシュプル信号SPP2_AGCとされる。
SPP2_AGC = SPP2/S2_SUM
つまり和信号S1_SUMは、迷光成分Iに係数mを乗算した値をE+Fから減算したものであり、また和信号S2_SUMは、迷光成分Jに係数mを乗算した値をH+Jから減算したものである。
この和信号S1_SUM、S2_SUMを用いてAGC回路33b、33cで行われる規格によっては、迷光によるオフセットを取り除いた状態のAGC動作が実現される。つまり規格化されたプッシュプル信号SPP1_AGC、SPP2_AGCは、迷光成分が効果的に低減された適切な信号となる。
まずオペアンプ34で±1次回折光に対応するプッシュプル信号SPP1_AGC、SPP2_AGCが加算される(SPP1_AGC+SPP2_AGC)。
この加算値に対して、オペアンプ35で係数kが乗算される(k・(SPP1_AGC+SPP2_AGC))。
そして、オペアンプ36では、0次回折光に対応するプッシュプル信号MPP_AGCから、オペアンプ35の出力が減算されて、差動プッシュプル方式によるトラッキングエラー信号TEが生成される。
TE=MPP_AGC −k・(SPP1_AGC + SPP2_AGC)
従って、多層ディスクへの信号記録或いは再生時に層間迷光によって生じる、差動プッシュプル方式トラッキングエラー信号TEの演算係数kの誤差を軽減することが可能となる。そして本例のディスクドライブ装置では、単層ディスクから、2層以上の多層ディスクに至る様々な記録媒体に対して、差動プッシュプル方式を用いたトラッキング制御が可能となり、対物レンズ8の視野振りに対して堅牢なトラッキング制御が実現できる。
図5のパタンの場合、受光素子I,Jは、アクセス対象となっていない(記録又は再生をしていない)全ての情報記録層で反射された0次回折光の迷光、+1次回折光の迷光、及び−1次回折光の迷光を、ほぼ均一に受光することが可能な位置に配置されているものである。
図示するように、主ビーム(0次回折光)は受光素子A,B,C,Dで受光される。
副ビームSB1は受光素子E,Fで受光される。副ビームSB2は受光素子G、Hで受光される。そして主ビームと副ビームSB1,SB2による迷光は、それぞれ図示するように受光素子A〜Jに対して広い範囲に照射される。
即ちこの場合、迷光用の受光素子Iでは、副ビームSB2の迷光が均一に受光されず、またもう1つの迷光用の受光素子Jでは副ビームSB1の迷光が均一に受光されない。このため、迷光用の受光素子I,Jで受光される迷光の光量は、副ビーム用の受光素子E,F及びG、Hで受光される迷光の光量とは異なる。すると、上述したトラッキングエラー信号TEの生成方式によって迷光成分を完全に除去できるとはいえない。
図8(a)の受光素子パタン(即ち図5の受光素子パタン)は、それを満たす受光素子配置例である。
図からわかるように、この場合、受光素子I、Jとも、情報を記録または再生中ではない他の全ての情報記録層から反射される0次回折光及び±1次回折光(即ち迷光)を、均一に受光できるものとなる。すると、迷光用の受光素子I,Jは、副ビーム用の受光素子E,F及びG,Hと同等に、副ビームSB1の迷光及び副ビームSB2の迷光を受光できるため、上述した迷光除去の演算によって完全に迷光を除去する事が可能となるものである。
即ち、迷光用の受光素子I,Jについては、0次回折光及び±1次回折光受光素子によって情報を記録または再生中ではない他の全ての情報記録層から反射される0次回折光及び±1次回折光を、ほぼ均一に受光することが可能な位置に配置する事が適切となる。
なお、このように均一に受光できる配置パタンは図5の例に限られない。
上記例においては、主ビーム(0次回折光)、副ビーム(±1次回折光)はそれぞれ4分割、2分割された受光素子(A〜H)で検出し、迷光は分割されない受光素子(I,J)によって検出する光学系を示したが、それ以外の分割数を有する受光素子を用いることも可能である。
但し、迷光用の受光素子I,Jを副ビーム用の受光素子と同等の面積とすることで、次の点で有利となる。
受光素子上の光スポットの強度分布は、主ビーム迷光及び副ビーム迷光による干渉の影響によって必ずしも均一とは限らないという事情がある。
迷光が干渉によって例えば図9のような強度分布を持つ場合、迷光用の受光素子I,Jの面積が±1次光の受光素子(E,F)(G,H)の面積と異なると、迷光用の受光素子I,Jで受光される迷光光量と、±1次光の受光素子(E,F)(G,H)で受光される迷光光量とが異なる可能性がある。
一方、迷光用の受光素子I,Jの面積を±1次光の受光素子(E,F)(G,H)の面積と同等とすれば、上記のような強度分布の場合でも、迷光用の受光素子I,Jで受光される迷光光量と、±1次光の受光素子(E,F)(G,H)で受光される迷光光量とを一致させることが可能となり、上述のトラッキングエラー信号TEの生成演算方式によって迷光を除去することに有利となるものである。
S1_SUM=E+F−m ・I
S2_SUM=G+H−m ・I
とすればよい。
また、ディスク1のカバー層の厚さ誤差により生じる球面収差の補正素子として、液晶素子6を用いた例を示したが、エキスパンダレンズ等、他の球面収差補正素子を用いた装置においても実現が可能である。
さらに、本発明はブルーレイディスクに限らず、多層の光ディスク記録媒体全般に対して有用であることは言うまでもない。
Claims (11)
- レーザ光源と、
上記レーザ光源から出射されたレーザ光から0次回折光、+1次回折光、−1次回折光を生成し、上記0次回折光、+1次回折光、−1次回折光を、複数の情報記録層を有する記録媒体に対して照射する光路を形成するとともに、上記記録媒体からの反射光の光路を形成する光学系手段と、
上記光学系手段によって導かれた反射光を受光して検出する受光手段と、
を備え、
上記受光手段は、
上記0次回折光の反射光を検出する、上記記録媒体上の記録トラックに対して少なくとも接線方向に分割された第1の受光素子部と、
上記+1次回折光の反射光及び上記−1次回折光の反射光を検出する、上記記録媒体上の記録トラックに対して少なくとも接線方向に分割された2つの第2の受光素子部と、
上記2つの第2の受光素子部の両方または一方の近傍で、かつアクセス対象となっている情報記録層から反射される上記0次回折光の反射光、上記+1次回折光の反射光、及び上記−1次回折光の反射光を受光しない位置において、アクセス対象となっていない情報記録層から反射される迷光を受光する第3の受光素子部と、
を有することを特徴とする光ヘッド装置。 - 上記第3の受光素子部の受光素子は、アクセス対象となっていない全ての情報記録層で反射された上記0次回折光の迷光、上記+1次回折光の迷光、及び上記−1次回折光の迷光を、ほぼ均一に受光することが可能な位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド装置。
- 上記第3の受光素子部の受光素子は、上記第2の受光素子部の受光素子と同等の面積を有することを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド装置。
- 複数の情報記録層を有する記録媒体に対してレーザ光照射を行い、その反射光を検出する光ヘッド手段と、
上記光ヘッド手段によって検出された反射光に基づいてフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、及び情報信号を生成する信号生成手段と、
上記信号生成手段で得られた情報信号に対して再生処理を行い、再生情報を得る再生処理手段と、
上記信号生成手段で得られたフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に基づいて、フォーカスサーボ動作、トラッキングサーボ動作を行うサーボ手段と、
を備えるとともに、
上記光ヘッド手段は、
レーザ光源と、
上記レーザ光源から出射されたレーザ光から0次回折光、+1次回折光、−1次回折光を生成し、上記0次回折光、+1次回折光、−1次回折光を、複数の情報記録層を有する記録媒体に対して照射する光路を形成するとともに、上記記録媒体からの反射光の光路を形成する光学系手段と、
上記光学系手段によって導かれた反射光を受光して検出する受光手段と、
を備え、
上記受光手段は、
上記0次回折光の反射光を検出する、上記記録媒体上の記録トラックに対して少なくとも接線方向に分割された第1の受光素子部と、
上記+1次回折光の反射光及び上記−1次回折光の反射光を検出する、上記記録媒体上の記録トラックに対して少なくとも接線方向に分割された2つの第2の受光素子部と、
上記2つの第2の受光素子部の両方または一方の近傍で、かつアクセス対象となっている情報記録層から反射される上記0次回折光の反射光、上記+1次回折光の反射光、及び上記−1次回折光の反射光を受光しない位置において、アクセス対象となっていない情報記録層から反射される迷光を受光する第3の受光素子部と、
を有し、
さらに上記信号生成手段は、上記第1,第2,第3の受光素子部により検出された信号を用いて、差動プッシュプル方式で上記トラッキングエラー信号の生成を行うことを特徴とする再生装置。 - 上記信号生成手段は、
上記第1の受光素子部の検出信号から上記0次回折光についてのプッシュプル信号を生成し、
上記2つの第2の受光素子部の検出信号からそれぞれ上記+1次回折光、−1次回折光についてのプッシュプル信号を生成し、
上記0次回折光のプッシュプル信号、上記+1次回折光のプッシュプル信号、及び上記−1次回折光のプッシュプル信号をそれぞれ規格化した後、規格化された各プッシュプル信号の演算処理により差動プッシュプル方式のトラッキングエラー信号を生成するとともに、
上記+1次回折光のプッシュプル信号、及び上記−1次回折光のプッシュプル信号の規格化のための信号を、上記第3の受光素子部の検出信号を用いて生成することを特徴とする請求項4に記載の再生装置。 - 上記第2の受光素子部の和信号から、上記第3の受光素子部の検出信号に係数を乗じた信号を減算して、上記+1次回折光のプッシュプル信号又は上記−1次回折光のプッシュプル信号の規格化のための信号を生成することを特徴とする請求項5に記載の再生装置。
- 複数の情報記録層を有する記録媒体への記録動作のために、上記記録媒体に対してレーザ光照射を行うとともに、その反射光を検出する光ヘッド手段と、
上記光ヘッド手段によって検出された反射光に基づいてフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する信号生成手段と、
上記信号生成手段で得られたフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に基づいて、フォーカスサーボ動作、トラッキングサーボ動作を行うサーボ手段と、
を備えるとともに、
上記光ヘッド手段は、
レーザ光源と、
上記レーザ光源から出射されたレーザ光から0次回折光、+1次回折光、−1次回折光を生成し、上記0次回折光、+1次回折光、−1次回折光を、複数の情報記録層を有する記録媒体に対して照射する光路を形成するとともに、上記記録媒体からの反射光の光路を形成する光学系手段と、
上記光学系手段によって導かれた反射光を受光して検出する受光手段と、
を備え、
上記受光手段は、
上記0次回折光の反射光を検出する、上記記録媒体上の記録トラックに対して少なくとも接線方向に分割された第1の受光素子部と、
上記+1次回折光の反射光及び上記−1次回折光の反射光を検出する、上記記録媒体上の記録トラックに対して少なくとも接線方向に分割された2つの第2の受光素子部と、
上記2つの第2の受光素子部の両方または一方の近傍で、かつアクセス対象となっている情報記録層から反射される上記0次回折光の反射光、上記+1次回折光の反射光、及び上記−1次回折光の反射光を受光しない位置において、アクセス対象となっていない情報記録層から反射される迷光を受光する第3の受光素子部と、
を有し、
さらに上記信号生成手段は、上記第1,第2,第3の受光素子部により検出された信号を用いて、差動プッシュプル方式で上記トラッキングエラー信号の生成を行うことを特徴とする記録装置。 - 上記信号生成手段は、
上記第1の受光素子部の検出信号から上記0次回折光についてのプッシュプル信号を生成し、
上記2つの第2の受光素子部の検出信号からそれぞれ上記+1次回折光、−1次回折光についてのプッシュプル信号を生成し、
上記0次回折光のプッシュプル信号、上記+1次回折光のプッシュプル信号、及び上記−1次回折光のプッシュプル信号をそれぞれ規格化した後、規格化された各プッシュプル信号の演算処理により差動プッシュプル方式のトラッキングエラー信号を生成するとともに、
上記+1次回折光のプッシュプル信号、及び上記−1次回折光のプッシュプル信号の規格化のための信号を、上記第3の受光素子部の検出信号を用いて生成することを特徴とする請求項7に記載の記録装置。 - 上記第2の受光素子部の和信号から、上記第3の受光素子部の検出信号に係数を乗じた信号を減算して、上記+1次回折光のプッシュプル信号又は上記−1次回折光のプッシュプル信号の規格化のための信号を生成することを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
- レーザ光源と、
上記レーザ光源から出射されたレーザ光から0次回折光、+1次回折光、−1次回折光を生成し、上記0次回折光、+1次回折光、−1次回折光を、複数の情報記録層を有する記録媒体に対して照射する光路を形成するとともに、上記記録媒体からの反射光の光路を形成する光学系手段と、
上記光学系手段によって導かれた反射光を受光して検出する受光手段とを備え、
上記受光手段は、
上記0次回折光の反射光を検出する、上記記録媒体上の記録トラックに対して少なくとも接線方向に分割された第1の受光素子部と、
上記+1次回折光の反射光及び上記−1次回折光の反射光を検出する、上記記録媒体上の記録トラックに対して少なくとも接線方向に分割された2つの第2の受光素子部と、
上記2つの第2の受光素子部の両方または一方の近傍で、かつアクセス対象となっている情報記録層から反射される上記0次回折光の反射光、上記+1次回折光の反射光、及び上記−1次回折光の反射光を受光しない位置において、アクセス対象となっていない情報記録層から反射される迷光を受光する第3の受光素子部と、
を有する光ヘッド装置が備えられた記録又は再生装置におけるトラッキングエラー信号生成方法として、
上記第1の受光素子部の検出信号から上記0次回折光についてのプッシュプル信号を生成するステップと、
上記0次回折光についてのプッシュプル信号を規格化するステップと、
上記2つの第2の受光素子部の検出信号からそれぞれ上記+1次回折光についてのプッシュプル信号、及び−1次回折光についてのプッシュプル信号を生成するステップと、
上記+1次回折光のプッシュプル信号、及び上記−1次回折光のプッシュプル信号のそれぞれの規格化のための信号を、上記第3の受光素子部の検出信号を用いて生成するステップと、
上記+1次回折光のプッシュプル信号、上記−1次回折光のプッシュプル信号をそれぞれ、上記第3の受光素子部の検出信号を用いて生成された信号を用いて規格化するステップと、
規格化された上記0次回折光のプッシュプル信号、上記+1次回折光のプッシュプル信号、及び上記−1次回折光のプッシュプル信号の演算処理により差動プッシュプル方式のトラッキングエラー信号を生成するステップと、
を備えたことを特徴とするトラッキングエラー信号生成方法。 - 上記+1次回折光のプッシュプル信号、上記−1次回折光のプッシュプル信号の規格化のための信号は、上記第2の受光素子部の和信号から、上記第3の受光素子部の検出信号に係数を乗じた信号を減算して生成することを特徴とする請求項10に記載のトラッキングエラー信号生成方法。
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