JP2004134442A - Tab用テープキャリア - Google Patents
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Abstract
【解決手段】TAB用テープキャリア1の絶縁層2の表面に、各インナリード9のピッチIPが60μm以下に設定されている導体パターン7を形成し、その裏面に、ステンレス箔からなる補強層4を、絶縁層2の幅方向両側縁部において長手方向に沿って形成する。これによって、絶縁層2を薄く形成できながら、搬送時、実装時およびボンディング時の寸法精度や位置精度を向上させ、軽量化、薄型化を図りつつ、導体パターン7における各インナリード9のピッチが60μm以下となる高密度配線において、確実に電子部品を実装することができる。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、TAB用テープキャリア、詳しくは、TAB法によって、電子部品を実装するためのTAB用テープキャリアに関する。
【0002】
【従来の技術】
TAB用テープキャリアは、TAB(Tape Automated Bonding)法によって、半導体素子などからなる電子部品を実装するために広く用いられている。
【0003】
このようなTAB用テープキャリアは、近年、電子機器の軽量化、薄型化および小型化の要求に伴って、軽薄短小化がますます要求されている。
【0004】
一方、このようなTAB用テープキャリアは、通常、その幅方向両端部において長手方向に沿って形成される送り孔に、スプロケットを噛み合わせて、所定のテンションが加わる状態で搬送されるため、過度に薄く形成すると、搬送時に、送り孔が破損したり、電子部品の実装時およびボンディング時に位置ずれを生じる。
【0005】
そのため、例えば、特開平5−29394号公報、特開2000−332062号公報、特開2000−340617号公報などでは、導体パターンが形成される絶縁フィルムの裏面に、銅箔を設けて補強することが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−29394号公報
【特許文献2】
特開2000−332062号公報
【特許文献3】
特開2000−340617号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、軽薄短小化の要求、および、導体パターンの微細化や高密度化の要求がより一層高まっており、そのような要求に対応するためには、銅箔による補強効果では十分でなく、より一層、搬送時、実装時およびボンディング時の寸法精度や位置精度を向上させることが必要となってきている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、TAB用テープキャリアにおいて、搬送時、実装時およびボンディング時の寸法精度や位置精度を向上させることができながら、軽量化、薄型化を図りつつ、高密度配線を実現することのできるTAB用テープキャリアを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のTAB用テープキャリアは、絶縁層の表面には、互いに所定間隔を隔てて配置される複数の配線からなる導体パターンが形成されており、前記絶縁層の裏面には、その幅方向両側縁部において、前記絶縁層の長手方向に沿ってステンレス箔からなる補強層が形成されており、前記各配線のピッチが、60μm以下であることを特徴としている。
【0009】
また、本発明のTAB用テープキャリアでは、前記絶縁層の厚みを、50μm以下として形成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のTAB用テープキャリアの一実施形態を示す部分平面図、図2は、図1に示すTAB用テープキャリアの部分拡大平面図、図3は、図1に示すTAB用テープキャリアの部分底面図である。
【0011】
図1において、このTAB用テープキャリア1は、長手方向に連続して延びるテープ状の絶縁層2に、電子部品(図示せず。)を実装するための実装部3と、絶縁層2を補強するための補強層4(図3参照)と、このTAB用テープキャリア1を搬送するための搬送部5とを備えている。
【0012】
実装部3は、絶縁層2において、絶縁層2の長手方向(TAB用テープキャリア1の長手方向と同じ、以下、単に長手方向という場合がある。)において、互いに所定間隔を隔てて連続するように、複数設けられている。各実装部3は、図2に示すように、略矩形状をなし、その中央が電子部品(図示せず。)を実装(載置)するための略矩形状の実装エリア6とされている。また、実装エリア6の長手方向両側には、導体パターン7がそれぞれ形成されている。
【0013】
この導体パターン7は、絶縁層2の表面に形成されており、互いに所定間隔を隔てて配置される複数の配線8からなり、各配線8は、インナリード9、アウタリード10および中継リード11を連続して一体的に備えている。
【0014】
各インナリード9は、実装エリア6内に臨み、長手方向に沿って延び、互いに所定間隔を隔ててTAB用テープキャリア1の幅方向(長手方向と直交する方向、以下、単に幅方向という場合がある。)において並列するように配置されている。各インナリード9のピッチ(すなわち、1つのインナリード9の幅と、2つのインナリード9間の幅(間隔)との合計の長さ)IPが、60μm以下、好ましくは、50μm以下で、通常、10μm以上に設定されている。このように、各インナリード9のピッチIPを、60μm以下に設定することにより、高密度配線を実現することができる。なお、このTAB用テープキャリア1では、後述するように、補強層4として腰の強いステンレス箔が用いられているので、このような高密度配線が可能とされている。
【0015】
また、各インナリード9の幅は、5〜50μm、好ましくは、10〜40μm、2つのインナリード9間の幅(間隔)は、5〜50μm、好ましくは、10〜40μmに設定されている。
【0016】
各アウタリード10は、実装部3における長手方向両端部に臨み、長手方向に沿って延び、互いに所定間隔を隔てて幅方向において並列するように配置されている。各アウタリード10のピッチ(すなわち、1つのアウタリード10の幅と、2つのアウタリード10間の幅(間隔)との合計の長さ)OPは、各インナリード9のピッチIPに対して、例えば、100〜1000%程度に設定されている。すなわち、各アウタリード10のピッチOPは、各インナリード9のピッチIPに対して、広幅に設定されていてもよく、また、各インナリード9のピッチIPと実質的に同幅で設定されていてもよい。
【0017】
各中継リード11は、各インナリード9と各アウタリード10とが連続するように、各インナリード9と各アウタリード10とを中継しており、ピッチの狭い各インナリード9側からピッチの広い各アウタリード10側に向かって、長手方向において、放射状に広がるように配置されている。
【0018】
また、各中継リード11が配置されるエリアには、ソルダレジストなどの絶縁層12が設けられている。すなわち、ソルダレジストなどの絶縁層12は、実装エリア6を囲むようにして、略矩形枠状に形成されており、すべての中継リード11を覆うように設けられている。
【0019】
なお、インナリード9およびアウタリード10は、後述するように、ニッケルめっき層や金めっき層によって適宜被覆されていることが好ましい。
【0020】
補強層4は、図3に示すように、絶縁層2の裏面において、絶縁層2における各実装部3が形成される位置が開口部18となるような、各実装部3との対向位置を除くすべてのエリアに設けられている。より具体的には、補強層4は、ステンレス箔からなり、TAB用テープキャリア1の幅方向両側縁部において、長手方向に沿って連続して設けられる搬送部補強部13と、長手方向において互いに所定間隔を隔てて配置される各実装部3の間において、幅方向に沿って設けられる実装部間補強部14とが一体的に連続して形成されている。搬送部補強部13を形成することで、搬送時の強度の向上を図ることができる。また、実装部間補強部14を形成することで、実装時などの取り扱い性の向上を図ることができる。
【0021】
なお、各搬送部補強部13の幅方向長さL1は、例えば、5〜15mm、好ましくは、5〜10mmに設定され、実装部間補強部14の長手方向長さL2が、例えば、1〜10mm、好ましくは、1〜5mmに設定されている。
【0022】
搬送部5は、図1に示すように、TAB用テープキャリア1の幅方向両側縁部において、長手方向に沿って設けられている。各搬送部5には、このTAB用テープキャリア1を搬送するために、スプロケットなどと噛み合わせるための複数の送り孔15が、それぞれ幅方向において対向するように形成されている。各送り孔15は、TAB用テープキャリア1の長手方向において、等間隔毎に、TAB用テープキャリア1を貫通する(絶縁層2および補強層4を貫通する)ように、略矩形状に穿孔形成されている。
【0023】
なお、各送り孔15は、例えば、1.981×1.981mm角孔に穿孔され、各送り孔15の間隔は、例えば、4.75mmに設定されている。
【0024】
次に、このTAB用テープキャリア1の製造方法を、図4および図5を参照して説明する。
【0025】
この方法では、まず、図4(a)に示すように、補強層4を用意する。補強層4には、ステンレス箔が用いられる。なお、ステンレスには、AISI(米国鉄鋼協会)の規格に基づいて、例えば、SUS301、SUS304、SUS305、SUS309、SUS310、SUS316、SUS317、SUS321、SUS347など種々の種類があるが、いずれのステンレスも、特に制限されることなく用いることができる。また、その厚さが、3〜100μm、さらには、5〜30μm、とりわけ、8〜20μmのものが好ましく用いられる。このようなステンレス箔は、実際には、その幅が、100〜1000mm、好ましくは、150〜400mm程度の長尺なテープ状のものが用意される。
【0026】
なお、図4および図5においては、1列のTAB用テープキャリア1の形態について示しているが、通常は、ステンレス箔の幅方向に複数列のTAB用テープキャリア1を同時に作製した後、1列ごとにスリットする。
【0027】
例えば、幅250mmのステンレス箔では、幅48mmのTAB用テープキャリア1を4列、幅300mmのステンレス箔では、幅70mmのTAB用テープキャリア1を4列同時に作製することができる。
【0028】
次いで、図4(b)に示すように、その補強層4の上に絶縁層2を形成する。絶縁層2を形成する絶縁体としては、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂が用いられ、好ましくは、ポリイミド樹脂が用いられる。
【0029】
そして、補強層4の上に絶縁層2を形成するには、例えば、樹脂溶液を補強層4の上に塗布し、乾燥後に加熱硬化させればよい。樹脂溶液は、上記した樹脂を、有機溶媒などに溶解することによって調製することができる。樹脂溶液としては、例えば、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸樹脂の溶液などが用いられる。また、樹脂の塗布は、ドクターブレード法、スピンコート法などの公知の塗布方法を、適宜用いることができる。そして、適宜加熱することによって乾燥させた後、例えば、200〜600℃で加熱硬化させることにより、補強層4の上に、可撓性を有する樹脂フィルムからなる絶縁層2が形成される。
【0030】
また、絶縁層2は、予めフィルム状に形成された樹脂フィルムを、接着剤を介して補強層4に貼着することによって、形成することもできる。
【0031】
さらに、絶縁層2は、例えば、感光性ポリアミック酸樹脂などの感光性樹脂の溶液を、補強層4の上に塗布し、露光および現像することにより、所定のパターンとして形成することもできる。
【0032】
このようにして形成される絶縁層2の厚みは、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下、さらに好ましくは、15μm以下、通常、3μm以上である。なお、このTAB用テープキャリア1では、補強層4として腰の強いステンレス箔が用いられているので、絶縁層4の厚みを、このように薄く形成することができる。
【0033】
次いで、この方法では、この絶縁層2の表面に、導体パターン7を、上記した配線回路パターンとして形成する。導体パターン7を形成するための導体としては、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、またはこれらの合金などが用いられ、好ましくは、銅が用いられる。また、導体パターン7の形成は、特に制限されることなく、絶縁層2の表面に、導体パターン7を、例えば、サブトラクティブ法、アディティブ法、セミアディティブ法などの公知のパターンニング法によって、上記した配線回路パターンとして形成すればよい。
【0034】
サブトラクティブ法では、まず、絶縁層2の表面の全面に、必要により接着剤層を介して導体層を積層し、次いで、この導体層の上に、上記した配線回路パターンに対応するエッチングレジストを形成し、このエッチングレジストをレジストとして、導体層をエッチングして、その後に、エッチングレジストを除去すればよい。
【0035】
また、アディティブ法では、まず、絶縁層2の上に、上記した配線回路パターンと逆パターンでめっきレジストを形成して、次いで、絶縁層2におけるめっきレジストが形成されていない表面に、めっきにより、上記した配線回路パターンとして導体パターン7を形成し、その後に、めっきレジストを除去するようにすればよい。
【0036】
また、セミアディティブ法では、まず、絶縁層2の上に下地となる導体の薄膜を形成して、次いで、この下地の上に、上記した配線回路パターンと逆パターンでめっきレジストを形成した後、下地におけるめっきレジストが形成されていない表面に、めっきにより、上記した配線回路パターンとして導体パターン7を形成し、その後に、めっきレジストおよびそのめっきレジストが積層されていた下地を除去するようにすればよい。
【0037】
これらのパターンニング法のうちでは、図4(c)〜図5(h)に示すように、セミアディティブ法が好ましく用いられる。
【0038】
すなわち、セミアディティブ法では、まず、図4(c)に示すように、絶縁層2の全面に、下地16となる導体の薄膜を形成する。下地16の形成は、真空蒸着法、とりわけ、スパッタ蒸着法が好ましく用いられる。また、下地16となる導体は、クロムや銅などが好ましく用いられる。より具体的には、例えば、絶縁層2の全面に、クロム薄膜と銅薄膜とをスパッタ蒸着法によって、順次に形成することが好ましい。なお、下地16の形成においては、例えば、クロム薄膜の厚さが、100〜600Å、銅薄膜の厚さが、500〜2000Åとなるように設定することが好ましい。
【0039】
次いで、この方法では、図4(d)に示すように、TAB用テープキャリア1の幅方向両側縁部において、長手方向に沿って、上記した複数の送り孔15を、補強層4、絶縁層2および下地16の厚さ方向を貫通するように穿孔形成する。送り孔15の穿孔形成は、例えば、ドリル穿孔、レーザ加工、パンチング加工、エッチングなどの公知の加工方法を用いることができ、好ましくは、パンチング加工が用いられる。
【0040】
そして、この方法では、図5(e)に示すように、下地16の上に、上記した配線回路パターンと逆パターンのめっきレジスト17を形成する。めっきレジスト17は、例えば、ドライフィルムレジストなどを用いて公知の方法により、所定のレジストパターンとして形成すればよい。なお、このめっきレジスト17は、補強層4の全面にも形成する。
【0041】
次いで、図5(f)に示すように、下地16におけるめっきレジスト17が形成されていない部分に、めっきにより、上記した配線回路パターンとして導体パターン7を形成する。めっきは、電解めっき、無電解めっきのいずれでもよいが、電解めっきが好ましく用いられ、なかでも、電解銅めっきが好ましく用いられる。
【0042】
そして、図5(g)に示すように、めっきレジスト17を、例えば、化学エッチング(ウェットエッチング)などの公知のエッチング法または剥離によって除去した後、図5(h)に示すように、めっきレジスト17が形成されていた下地16を、同じく、化学エッチング(ウェットエッチング)など公知のエッチング法により除去する。これによって、絶縁層2の上に、導体パターン7が、上記したように、インナリード9、アウタリード10および中継リード11が連続して一体的に形成される配線8の配線回路パターンとして形成される。
【0043】
このようにして形成される導体パターン7の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、5〜25μmである。
【0044】
次いで、図示しないが、ソルダレジストなどの絶縁層12を、各配線8の中継リード11が被覆されるように、実装エリア6を囲むようにして形成した後、各配線8における露出部分、すなわち、インナリード9およびアウタリード10を、ニッケルめっき層および金めっき層によって被覆する。絶縁層12の形成は、例えば、感光性のソルダレジストを用いて、上記したパターンとして形成すればよい。また、ニッケルめっき層および金めっき層は、それぞれ、ニッケルめっきおよび金めっきにより形成すればよい。
【0045】
そして、図5(i)に示すように、補強層4における実装部3と重なる位置に、開口部18を形成することによって、TAB用テープキャリア1を得る。
【0046】
なお、補強層4の幅方向に複数列のTAB用テープキャリア1を同時に作製した後、1列ごとにスリットする場合は、TAB用テープキャリア1間のスリット部の補強層4は、開口部18と同様に除去しておくことが好ましい。
【0047】
補強層4に開口部18を形成するには、補強層4における実装部3に対向する部分を、例えば、ドリル穿孔、パンチ加工、ウエットエッチング(化学エッチング)などの公知の方法によって、開口形成すればよい。例えば、エッチングするには、開口部18以外をエッチングレジストによって被覆した後、塩化第二鉄溶液などの公知のエッチング液を用いて、エッチングした後、エッチングレジストを除去すればよい。その後、補強層4の幅方向に複数列のTAB用テープキャリア1を作製している場合は、1列ごとにスリットする。
【0048】
このようにして得られるTAB用テープキャリア1は、絶縁層2の裏面に、銅箔よりも腰の強いステンレス箔からなる補強層4が形成されているので、絶縁層2を薄く形成することができながら、搬送時、実装時およびボンディング時において、TAB用テープキャリア1の強度を十分に補強することができる。そのため、搬送時、実装時およびボンディング時の寸法精度や位置精度を向上させることができ、軽量化、薄型化を図りつつ、導体パターン7における各インナリード9のピッチが60μm以下となる高密度配線において、確実に電子部品を実装することができる。
【0049】
なお、以上の説明では、補強層4を、絶縁層2の裏面において、各実装部3との対向位置を除くすべてのエリアに設けたが、補強層4を設ける位置は、特に限定されず、その目的および用途において、適宜選択することができる。例えば、各実装部3との対向位置に設ければ、熱放散性を向上させることができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0051】
実施例1
厚さ20μmのステンレス箔(SUS304、幅250mm)を補強層として用意し(図4(a)参照)、ポリアミック酸樹脂の溶液を塗布し、乾燥後、加熱硬化させることにより、厚さ12μmのポリイミド樹脂からなる絶縁層を形成した(図4(b)参照)。次いで、絶縁層の表面に、スパッタ蒸着法により、クロム薄膜および銅薄膜を順次形成することにより、厚さ2000Åの下地を形成した(図4(c)参照)。
【0052】
なお、図4および図5においては、1列のTAB用テープキャリアの形態について示しているが、この実施例1では、幅250mmのステンレス箔上に幅48mmのTAB用テープキャリアを4列同時に作製した。
【0053】
その後、送り孔を、補強層、絶縁層および下地の厚さ方向を貫通させるようにして、パンチング加工により穿孔形成した後(図4(d)参照)、めっきレジストを、下地の表面に所定のパターンとして形成するとともに、補強層の全面に形成した(図5(e)参照)。
【0054】
次いで、これを、電解硫酸銅めっき液中に浸漬して、下地におけるめっきレジストが形成されていない部分に、2.5A/dm2で約20分間電解銅めっきすることにより、厚さ10μmの導体パターンを形成した(図5(f)参照)。
【0055】
なお、この導体パターンは、互いに所定間隔を隔てて配置され、インナリード、アウタリードおよび中継リードが連続して一体的に形成される複数の配線のパターンとして形成された。また、インナリードのピッチが30μm、アウタリードのピッチが100μmであった。
【0056】
次いで、めっきレジストを化学エッチングによって除去した後(図5(g)参照)、めっきレジストが形成されていた下地を、同じく、化学エッチングにより除去した。(図5(h)参照)。
【0057】
その後、感光性ソルダレジストを、各配線の中継リードが被覆されるように、実装エリアを囲むようにして形成した後、インナリードおよびアウタリードを、ニッケルめっきおよび金めっきすることにより被覆した。
【0058】
そして、補強層における実装部と重なる位置以外を、エッチングレジストによって被覆した後、塩化第二鉄溶液を用いて、補強層をエッチングすることにより開口部およびTAB用テープキャリア間のスリット部を形成し、その後、エッチングレジストを除去し、スリットすることにより、TAB用テープキャリアを得た。
【0059】
比較例1
厚さ20μmの銅箔を補強層として用いた以外は、実施例1と同様の操作により、TAB用テープキャリアを得た。
【0060】
評価
実施例1および比較例1で得られたTAB用テープキャリアにおいて、幅方向両端に位置する2つのインナリードの間の距離(両端に位置する各インナリードの幅方向中心間の距離であって、図2において、符号「X」で示されている。)を測定して、設計寸法と比較した。その結果を下記に示す。なお、測定値は、側定数20での平均値である。
【0061】
設計寸法:21000μm
実施例1:21002μm 寸法ずれ2μm
比較例1:21020μm 寸法ずれ20μm
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のTAB用テープキャリアによれば、絶縁層の裏面に、銅箔よりも腰の強いステンレス箔からなる補強層が形成されているので、絶縁層を薄く形成することができながら、搬送時、実装時およびボンディング時における寸法精度や位置精度を向上させることができる。そのため、軽量化、薄型化を図りつつ、導体パターンにおける各配線のピッチが60μm以下となる高密度配線において、確実に電子部品を実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のTAB用テープキャリアの一実施形態を示す部分平面図である。
【図2】図1に示すTAB用テープキャリアの部分拡大平面図である。
【図3】図3は、図1に示すTAB用テープキャリアの部分底面図である。
【図4】本発明のTAB用テープキャリアの製造方法の一実施形態を示す、図2におけるA−A’線断面における工程図であって、
(a)は、補強層を用意する工程、
(b)は、補強層の上に絶縁層を形成する工程、
(c)は、絶縁層の全面に下地を形成する工程、
(d)は、送り孔を穿孔形成する工程を示す。
【図5】図4に続いて、本発明のTAB用テープキャリアの製造方法の一実施形態を示す、図2におけるA−A’線断面における工程図であって、
(e)は、下地の上にめっきレジストを形成する工程、
(f)は、下地におけるめっきレジストが形成されていない部分に、めっきにより、導体パターンを形成する工程、
(g)は、めっきレジストを除去する工程、
(h)は、めっきレジストが形成されていた下地を除去する工程、
(i)は、補強層における実装部と重なる位置に開口部を形成する工程を示す。
【符号の説明】
1 TAB用テープキャリア
2 絶縁層
4 補強層
7 導体パターン
8 配線
IP インナリードのピッチ
OP アウタリードのピッチ
Claims (2)
- 絶縁層の表面には、互いに所定間隔を隔てて配置される複数の配線からなる導体パターンが形成されており、
前記絶縁層の裏面には、その幅方向両側縁部において、前記絶縁層の長手方向に沿ってステンレス箔からなる補強層が形成されており、
前記各配線のピッチが、60μm以下であることを特徴とする、TAB用テープキャリア。 - 前記絶縁層の厚みが、50μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のTAB用テープキャリア。
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