JP2004017889A - 自動ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】運転者が意識低下などにより運転に集中できないときに、専用装置を設けることなく、運転者に確実な覚醒を促す。
【解決手段】ブレーキ制御ECU1は、ブレーキペダルやアクセルペダルの操作およびシフト操作やハンドル操作の有無や視線の動きの低下状態に応じて覚醒度を算出し、覚醒度が低下したと判定したときに、油圧ブレーキ装置2を制御して、各輪に与える制動力を、一定期間、所定周期で増減させる。これにより、走行中の車体に制動力の増減による振動が発生し、この振動により意識が低下した運転者の覚醒を促すことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ブレーキ制御ECU1は、ブレーキペダルやアクセルペダルの操作およびシフト操作やハンドル操作の有無や視線の動きの低下状態に応じて覚醒度を算出し、覚醒度が低下したと判定したときに、油圧ブレーキ装置2を制御して、各輪に与える制動力を、一定期間、所定周期で増減させる。これにより、走行中の車体に制動力の増減による振動が発生し、この振動により意識が低下した運転者の覚醒を促すことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の自動停車装置、特に運転者の意識低下など、車両の運転に不適当な場合に、運転者の覚醒や車両の停止を制御するものに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、運転者の居眠りを検出した場合、運転者に対してブザーによる警報を発したり、あるいは運転者に覚醒を促すための刺激を与え、さらには周囲の車両へのハザード点滅および自動ブレーキによる車両停止を行うものがあった(特開平7−32995号公報)。
【0003】
しかし、ブザーによる警報では確実な覚醒は困難であり、また、運転者に与える刺激として示されている、シートへの微小電流、オーディオ装置からの急激な大音量、空調装置による車室温度低下などの手段を用いる場合は、それぞれ専用の装置が必要となりコストが高くなるという問題があった。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、運転者が意識低下などにより運転に集中できないときに、専用装置を設けることなく、運転者に確実な覚醒を促すことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、運転者の覚醒度を検出する覚醒度検出手段と、車両の各車輪にそれぞれ制動力を与えるブレーキ手段と、前記検出された覚醒度が低いと判定される場合に、前記ブレーキ手段を制御して前記各制動力を所定の付与条件で繰り返し増減させる覚醒ブレーキモードを実行する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、検出された運転者の覚醒度が低い場合に、車両の各車輪に与える制動力を所定の付与条件で繰り返し増減させるので、この制動力の増減の繰り返しにより車体に振動を発生させることができ、専用装置を用いることなく、この車体の振動により運転者に覚醒を促すことができる。
【0007】
前記覚醒ブレーキモードにおける付与条件は、請求項2に記載のように、前記繰り返し増減される制動力を定める付与制動力と前記繰り返し増減の期間を定める付与期間を含むように設定することができ、さらに、請求項3に記載のように、前記繰り返し増減の周期を定める制動周期を有するように設定することができる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記制御手段は、覚醒度が低いと判定される期間と前記付与期間とのいずれか短い期間、前記制動力の繰り返し増減を行うことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、運転者の覚醒のために行う制動力の繰り返し増減を、覚醒度が低いと判定される期間と予め設定された制動力増減の繰り返し期間である付与期間との何れか短い期間行うことにより、付与期間内に運転者の覚醒度が高まればその時点で制動力の増減を終了することができ、不必要な制動力を発生させることがない。
【0010】
また、上記付与条件について、前記制御手段は、請求項5に記載のように、前記制動周期を時間経過と共に短くなるよう変化させて、走行中の車体に、運転者にとって予想外の振動を発生させて覚醒効果を高めることができ、あるいは、請求項6に記載のように、前記覚醒度の大きさが低い場合に前記付与期間を長く設定することことにより、覚醒度が低い場合にも運転者の覚醒効果を高めることができる。
【0011】
各車輪への制動力増減の与え方として、前記制御手段は、請求項7に記載のように、前記車両の全車輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる全輪制動モードを実行することや、請求項8に記載のように、前記車両の前輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる前輪制動モードおよび後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる後輪制動モードのいずれか一方を実行すること、または、請求項9に記載のように、前記車両の前輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる前輪制動モードと後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる後輪制動モードとを交互に実行すること、さらには、請求項10に記載のように、前記車両の左側前後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる左輪制動モードと右側前後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる右輪制動モードとを交互に実行すること等、種々の付与方法を採用することができる。
【0012】
請求項11に記載の発明は、前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記検出された走行状態を表わす情報に基づいて前記付与条件を変化させることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、覚醒ブレーキモードにおける制動力増減の付与条件を、走行中の走行状態に基づいて変化させるので、例えば、走行安全を損なうことなく覚醒ブレーキモードを実行することができる。
【0014】
上記走行状態は、請求項12に記載のように、走行路面の摩擦係数、前記車両の速度および横加速度の少なくとも1つを含むことができる。
【0015】
また、前記覚醒度は、請求項13に記載のように、前記運転者の動作頻度に応じて大きさが定められるものとすることができる。なお、運転者の動作としては、運転操作(ブレーキペダルやアクセルペダルなどのペダル操作、ハンドル操舵操作、変速機のシフト操作など)や運転者の視線の動きなどがある。
【0016】
請求項14に記載の発明は、前記制御手段は、前記付与期間経過後に、前記検出された覚醒度が低いと判定される場合に、前記車両を自動的に減速および停止する自動停車モードを実行することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、覚醒ブレーキモードにおける制動力の増減の繰り返しによって、車体に振動を与えて、運転者に覚醒を促しても、なお、運転者の覚醒度が低い場合には、車両を自動的に減速および停止する自動停車モードを実行するので、運転操作ができなくなった運転者に代わって車両を安全に停車させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の自動ブレーキ装置について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の全体構成を示す図である。なお、車両VLの右前輪、左前輪、右後輪、左後輪をそれぞれ、FR、FL、RR、RLで表わす。
【0019】
本実施形態は、車両VLに搭載されている、制御手段としてのブレーキ制御ECU1と、第1のブレーキ手段としての油圧ブレーキ装置2と、油圧ブレーキ装置2と第1配管系統11および第2配管系統21でそれぞれダイアゴナル接続されている各車輪4FR、4RL、4FL、4RR毎のホイールシリンダ(以下、W/Cという)41FR、41RL、41FL、41RRと、第2のブレーキ手段としての電動パーキングブレーキ(以下、PKBという)3と、PKB3と後輪4RL、4RRの各ブレーキキャリパーとをそれぞれ接続するブレーキワイヤ38a、38bと、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ5(5FR、5RL、5FL、5RR)と、各種電子機器の入出力信号を伝送する車内LANバス6と、制動要求出力手段7としての車間距離制御ECU71、と、横加速度センサ81、操舵角センサ82、シフト位置センサ83、ブレーキペダルセンサ84、およびアクセルペダルセンサ85からなる運転操作状態を検出する各種センサおよび運転者の視線を検出する視線センサ86、さらには前方車両の相対速度および距離を検出する車間センサ87などの各種センサ群8、およびハザードランプなどの各種ランプやブザーなどの警報装置からなるランプ・警報装置91、シートベルト巻取り装置92およびドアロックアクチュエータ93からなるアクチュエータ手段9とを備える。なお、操舵角センサ82、シフト位置センサ83、ブレーキペダルセンサ84、アクセルペダルセンサ85および視線センサ86は、後述するようにブレーキ制御ECU1とともに覚醒度検出手段を構成する。
【0020】
ブレーキ制御ECU1は、コンピュータにより構成されており、車輪速センサ5からの車輪速度、車内LANバス6を介して制動要求出力手段7からの制動要求、および各種センサ群8からのセンサ信号を入力し、後述する油圧ブレーキ装置2およびPKB3を制御するための駆動信号やアクチュエータ手段9を動作させるための動作信号を出力する。
【0021】
PKB3は、車両停止時に、停止保持をするため、ブレーキ制御ECU1からの駆動信号により動作し、ブレーキワイヤ38a、38bを駆動して、ブレーキワイヤによって左右の後輪4RR、4RLのブレーキキャリパおよび摩擦材を各ブレーキディスク(ともに図示せず)に押し付けて制動力を発生させるものである。
【0022】
このPKB3は、ブレーキ制御ECU1からの駆動信号が解除されてもブレーキワイヤ38a、38bの駆動は解除されず、これにより車両の停止が保持される。そして、再度ブレーキ制御ECU1または運転者により入力される解除スイッチ(図示せず)からPKB3に対して駆動信号(解除信号)が出力されて、ブレーキワイヤ38a、38bがリリースされるまで車両停止状態が維持される。
【0023】
車速センサ5の各車輪の回転速度信号は、直接ブレーキ制御ECU1へ入力される。ブレーキ制御ECU1は、この回転速度信号、すなわち車輪速度に基づき、車体速度を演算し、これら車輪速度および車体速度に基づいてABS制御やTRC制御を行う。
【0024】
制動要求出力手段7としての車間距離制御ECU71は、所定速度以上で走行中に車間センサ87により検出された前方車両と自車VLとの相対速度に基づき、前方車両との車間距離を予め設定された、あるいは運転者により設定変更された所定値に保つよう、エンジン出力制御による駆動制御やブレーキ制御および変速機制御による制動制御を行うものであり、本実施形態においては、車内LANバス6を介してブレーキ制御ECU1へ、制動要求値として目標制動距離を出力する。
【0025】
ブレーキ制御ECU1では、現在車速と目標制動距離とから目標減速度を求め、これを例えば、減速度1G=10MPa(Pa:圧力単位、パスカル)により、制動圧(制動油圧)に変換して目標制動力に換算し、これに基づき油圧ブレーキ装置2およびPKB3の駆動信号とする。
【0026】
次に、車内LANバス6を介してブレーキ制御ECU1へ信号を出力するセンサ群8を構成する各センサについて説明する。
【0027】
横加速度センサ81は車両走行中に車体に発生する横加速度を検出し、出力する。
【0028】
操舵角センサ82は、図示しないステアリングホイールの操舵角を検出し、出力する。
【0029】
シフト位置センサ83は、図示しない変速機レバーの位置情報(P、R、N、D、D1など)を出力するものであるが、本実施形態における自動ブレーキ制御においては、特に通常の走行中に設定されているD(ドライブ)から他のレバー位置に変更された場合にブレーキECU1においてその情報が用いられる。
【0030】
ブレーキペダルセンサ84およびアクセルペダルセンサ85は、それぞれ図示しないブレーキペダルおよびアクセルペダルが運転者により踏まれた場合に、それぞれのペダルストローク量を検出し、出力する。また、それぞれペダルストロークが所定値を越えた場合にオン信号を出力する。
【0031】
上記操舵角センサ82、シフト位置センサ83、ブレーキペダルセンサ84およびアクセルペダルセンサ85は、運転者の運転操作状態、より詳しくは運転操作の有無を検出するものである。
【0032】
視線センサ86は、車両VLの運転席近傍に設けられた赤外光源と画像処理装置とを備え、運転者の視線を検出する。その方法は、所定の時間間隔で赤外光源より赤外光が照射された運転者の顔画像を画像処理装置により撮像し、取り込む。そして画像処理装置が、顔画像から運転者の視線方向を検出し、所定時間経過したときに視線方向角の変化量が閾値を越えたときにオン信号を車内LANバス6へ出力する。
【0033】
なお、画像処理装置による視線検出の方法としては、例えば、目の虹彩を抽出して視線を検出するもの(特開平4−225478号公報)や、照明光の眼球による反射像を抽出して視線を検出するもの(特開平6−261863号公報)等を用いればよい。
【0034】
ランプ・警報装置91は、車内のブザーおよび警告灯と車外のハザードランプを備えている。ブレーキ制御ECU1は、後述する自動ブレーキ制御時の運転者を覚醒させるための覚醒ブレーキモードでは、油圧ブレーキ装置2の制動力増減とともに、車内のブザーおよび警告灯を作動して運転者の覚醒効果を高める。また、車外のハザードランプは、運転者の覚醒が不十分で、自動停車モードにおいて車両を停止および停止保持をする場合に作動し、他車へ異常を知らせる。
【0035】
シートベルト巻取り装置(ELR:Emergency Locking Retractor)92は、ブレーキ制御ECU1からの信号により、自動停車モードに入ったときに、上記ハザードランプの点灯とともにシートベルトのロックを行う。
【0036】
ドアロックアクチュエータ93は、ブレーキ制御ECU1からの信号により、自動停車モードにおいて車両の停止保持状態に入ったときに、車両のドアロックを解除する。
【0037】
次に、第1ブレーキ手段としての油圧ブレーキ装置2の構成および動作について説明する。図2は、油圧ブレーキ装置2の構成を示す図である。
【0038】
マスターシリンダ(以下、M/Cという)10は、運転者により図示しないブレーキペダルが踏み込まれるとその踏力に応じたM/C圧を発生し、それぞれ第1配管系統11および第2配管系統21を介して各車輪に備えられたW/C41FR、41RL及び41FL、41RRに伝達され、第1の制動力を発生するようになっている。以下では、第1配管系統11、特に、右前輪4FRに関わる配管系統を中心に説明するが、他の車輪および第2配管系統についても同様である。
【0039】
第1配管系統11には、右前輪4FRおよび左後輪4RLのそれぞれに対して、アンチスキッド制御(以下、ABS制御という)において各W/C41FR、41RLの増圧および保持を調整する増圧制御弁14a、14bが設けられている。また、増圧制御弁14a、14bにそれぞれ並列に逆止弁141a、141bが設けられ、増圧制御弁14a、14bの遮断時にW/C圧が過剰となった場合に液流をM/C10側へ逃がすようになっている。この増圧制御弁14a、14bとW/C41FR、41RLとの間から伸びる減圧管路12にはABS制御におけるW/C41FR、41RLの減圧、保持を調整する減圧制御弁15a、15bが設けられている。
【0040】
この減圧管路12はリザーバ16と接続されている。このリザーバ16に貯溜されるブレーキ液はモータ20により駆動されるポンプ17によって汲み上げられ第1配管系統11に吐出される。この吐出先は、増圧制御弁14a、14bと後述するマスタカット弁18との間となっている。モータ20は第2配管系統21におけるポンプ27も駆動している。なお、ポンプ17の吐出口には逆止弁171が設けられている。
【0041】
M/C10と増圧制御弁14a、14bとの間には、マスタカット弁(以下、SM弁という)18が配置されている。SM弁18は、非通電時は連通状態、通電時には図示方向の逆止弁による遮断状態となる2位置弁である。この遮断状態では、W/C41FR、41RL側の圧が逆止弁のばねによるクラッキング圧分M/C10側の圧よりも高くなったときにリリースされ、圧を逃がす構造となっている。このSM弁18には並列に逆止弁181が設けられており、M/C10側からW/C41FR、41RL側への流動のみが許容される。
【0042】
M/C10とSM弁18との間と、リザーバ16とは吸引管路13で接続されている。
【0043】
第1配管系統11のM/C10とSM弁18との間には油圧センサ30が設けられ、M/C10の発生圧を検出する。この圧力はM/C10の図示しないセカンダリ室の発生圧力であるが、第2配管系統が接続されるプライマリ室にも同圧が発生しているので、この油圧センサ30は実質的にM/C圧を検出する。また、増圧制御弁14a、14bとW/C41FR、41RLとの間にも油圧センサ19a、19bが設けられ、それぞれW/C圧を検出する。これらの油圧センサの出力信号は、ブレーキ制御ECU1において、要求制動力と比較され、この結果に基づき各モードでのブレーキ制御が行われる。
【0044】
上記増圧制御弁14a、14b、減圧制御弁15a、15bは2位置弁であり、ブレーキペダルの非操作時および通常ブレーキ時などの非通電(OFF)時には図示の弁体位置、すなわち、増圧制御弁は連通状態、減圧制御弁は遮断(カット)状態にある。また、SM弁18も通常の非通電時には図示の弁体位置、すなわち連通状態にある。これら各制御弁は、ブレーキ制御ECU1からの作動信号により動作する。また、ポンプ17、27を駆動するモータ20もブレーキ制御ECU1からの作動信号により動作する。
【0045】
上記油圧ブレーキ装置2の基本的な制御方法について説明する。
【0046】
運転者によりブレーキペダルが踏み込まれるときの通常のブレーキ操作においては、全ての制御弁(SM弁18、増圧制御弁14a、減圧制御弁15a)は非通電(OFF)状態とされ、M/C圧がそのままW/Cに作用し、W/C圧=M/C圧となる。
【0047】
ABS制御中は、タイヤロックを回避するためにW/C圧を減圧する過程と制動力を回復するためにW/C圧を増圧する過程とでそれぞれ動作が異なる。なお、SM弁18はABS制御中は、通常OFF(連通状態)となっている。
【0048】
ABS制御の減圧過程では、増圧制御弁14aを通電状態(ON)すなわち遮断(カット)状態とし、かつ、減圧制御弁15aをON/OFFのデューティー比制御することにより連通/カットの切換えが繰り返されて、W/C41FRよりブレーキ液が所定の変化勾配でリザーバ16へ流れ出しW/C圧が減圧する。
【0049】
ABS制御の増圧過程では、減圧制御弁15aを非通電状態(OFF)すなわちカット状態とし、かつ、増圧制御弁14aをOFF/ONのデューティー比制御することにより連通/カットの切換えが繰り返されて、M/C10よりブレーキ液がW/C41FRに供給されてW/C圧は増圧する。
【0050】
次に、本発明の自動ブレーキ制御、すなわち、ブレーキペダルの踏み込み操作の有無に拘わらず制動力を増加または減少させる増圧過程および減圧過程について、右前輪41FRを例にして説明する。なお、この自動ブレーキ制御中の増圧および減圧過程は、後述する運転者の覚醒のために油圧ブレーキ装置2により制動力の繰り返し増減を行う覚醒ブレーキモード、および、運転不可状態が継続したとき自動的に車両を減速、停車させる自動停車モードにおいて、それぞれ実行される。
【0051】
自動ブレーキ制御の増圧過程では、SM弁18をON(カット状態)に、かつ、減圧制御弁15aをOFF(カット状態)にするとともに、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引して吐出圧を発生させた状態で、油圧センサ19aの検出値との比較を行いながら、増圧制御弁14aをOFF/ONのデューティー比制御により所定の変化勾配で、あるいは設定された目標の圧力までW/C圧を増圧する。このとき、必要に応じてM/C10から吸引管路13、リザーバ16を介してブレーキ液がポンプ17の吸引口に補充される。
【0052】
自動ブレーキ制御の減圧過程では、SM弁18をON(カット状態)に、かつ、増圧制御弁14aをON(カット状態)にするとともに、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引して吐出圧を発生させた状態で、油圧センサ19aの検出値との比較を行いながら、減圧制御弁15aをON/OFFのデューティー比制御により所定の勾配で、あるいは設定された目標の圧力までW/C41FRよりブレーキ液を吸引してW/C圧を減圧する。この時、増圧制御弁14aおよびSM弁18がともにカット状態であるため,ポンプ17の吐出圧は増大するが、その圧がSM弁18の逆止弁のばねのクラッキング力より大きくなるとリリースされて圧力が低下する。
【0053】
他の車輪についても、それぞれ同様に、ブレーキ制御ECU1からの作動信号により動作させる。すなわち、何れの車輪においても、増圧過程および減圧過程ではともに、SM弁18および28をON(カット)、ポンプ17および27を駆動した状態で実行され、左後輪41RLの増圧過程は、減圧制御弁15b:OFF(カット)、増圧制御弁14b:OFF/ONとし、減圧過程では、増圧制御弁14b:ON(カット)、減圧制御弁15b:ON/OFFにより動作する。
【0054】
また、左前輪41FLの増圧過程は、減圧制御弁25a:OFF(カット)、増圧制御弁24a:OFF/ONとし、減圧過程では、増圧制御弁24a:ON(カット)、減圧制御弁25a:ON/OFFにより動作する。
【0055】
さらに、右後輪41RRの増圧過程は、減圧制御弁25b:OFF(カット)、増圧制御弁24b:OFF/ONとし、減圧過程では、増圧制御弁24b:ON(カット)、減圧制御弁25b:ON/OFFにより動作する。
【0056】
本実施形態の自動ブレーキ制御においては、車両VLの各車輪は、それぞれ単独に、または適当な2輪の組合せを同時に、さらには4輪すべてを同時に、上述のように増圧および減圧を行わせて、それぞれの車輪に制動力を発生または制動力を減少させることができる。
【0057】
次に、ブレーキ制御ECU1が実行する、本実施形態における自動ブレーキ制御の処理手順について説明する。図3は、メインフローを示している。
【0058】
イグニッションオンとともに処理がはじまり、ステップS100でイニシャルチェックが行われる。
【0059】
このイニシャルチェックでは、油圧ブレーキ装置2およびPKB3の各アクチュエータの動作チェックを行う。油圧ブレーキ装置2では、各電磁弁に実際に通電し、ブレーキ制御ECU1側でそれぞれの端子電圧のチェックを行うことで電磁弁の断線チェックを行ったり、油圧センサ30、19a、19b、29a、29bの検出値から油圧異常を判断して、故障個所の特定を行う。
【0060】
また、PKB3では、実際に通電したときの検出電流が正常か、ブレーキワイヤ38a、38bを駆動するモータが正常に回転しているか等を判定し、故障個所の特定を行う。なお、故障が発見された場合には、ブレーキ装置各部で異常動作の発生など致命的な状態にならないよう、故障診断の後、制御の禁止、代替制御への切換え、警告灯の点灯などの処置ができるようシステム構成されている。
【0061】
次にステップS105で各種入力処理が行われ、車速センサ5や横Gセンサ81他の各センサ群8、および車間距離制御ECU71からの情報を取り込む。
【0062】
ステップS110では、各車輪速度センサ5の検出値より各輪の車輪速度、および全輪の車輪速度より車体速度をそれぞれ演算する。
【0063】
ステップS120で、ブレーキペダルの踏み込みが大きい場合にM/C圧を増加させるブレーキアシスト(BA)制御、アンチロックブレーキ(ABS)制御、車輪速度が車体速度より大きくなってスリップ量が所定値以上の場合にエンジン出力および制動力を制御してスリップ量を小さくするトラクション(TRC)制御、および車両の横加速度やヨーレートに基づき車体の安定性を確保できるよう各輪の制動力を制御する横滑り防止(VSC)制御が、それぞれ、走行状況に応じて行われる。
【0064】
ステップS130では、運転者の覚醒度を検出し、これに基づいて自動ブレーキ制御、すなわち、後述するように運転者の覚醒のための制動制御(以下、覚醒ブレーキモードまたは覚醒ブレーキ(制御)あるいは覚醒制動という)、および覚醒ブレーキによって運転者が覚醒しない場合に車両VLを安全に停止させる自動停車モードが実行される。
【0065】
ステップS140では、車間距離制御ECU71などの他の制御システムECUからの制動要求に基づく制動動作を行う。
【0066】
ステップS145では、各ブレーキ制御要求に対し調停を行い、油圧ブレーキ装置2およびPKB3に出力を行う。
【0067】
ステップS150では、イグニッションオン中のフェールセーフチェックを行う。すなわち、ブレーキ制御ECU1、油圧ブレーキ装置2、PKB3、およびその他各センサ8の状態を常時診断する。故障が検出されると、車両VLが危険な状態にならないよう所定の処置を行う。
【0068】
次に、ステップS130における本実施形態の自動ブレーキの制御フローについて、図4を参照して説明する。
【0069】
ステップS200で、運転者の覚醒状態を覚醒度を演算することにより検出する。この覚醒度の演算は、イグニッションオンとともに開始され、イグニッションOFFされるまで所定時間毎に繰り返される。
【0070】
ステップS210では、演算された覚醒度に基づいて、車両VLに与える制動力の付与方法を選択し、実行する(覚醒ブレーキモード)。
【0071】
ステップS220では、ステップS210で運転能力低下状態が解消されない場合に自動停車モードが実行される。
【0072】
以下、各ステップS200〜S220における処理内容について詳細に説明する。
【0073】
図5は、ステップS200の覚醒度演算、検出のフローチャートである。本フローチャートは、ブレーキ制御ECU1により所定の判定周期(たとえば5秒毎)で繰り返し実行される。
【0074】
ステップS300で、意識低下カウンタを0にリセットする。ステップS310では、アクセルペダルセンサ85から所定時間内にオン信号(または、所定量以上のアクセルペダルストローク量信号)があったか、すなわち所定時間内にアクセル操作があったか否かを判定し、有った場合はステップS320へ移行し、無かった場合は、ステップS315で意識低下カウンタを1インクリメントしたのちステップS320へ移行する。
【0075】
ステップS320では、ブレーキペダルセンサ84から所定時間内にオン信号(または、所定量以上のブレーキペダルストローク量信号)があったか、すなわち所定時間内にブレーキ操作があったか否かを判定し、有った場合はステップS330へ移行し、無かった場合は、ステップS325で意識低下カウンタを1インクリメントしたのちステップS330へ移行する。
【0076】
ステップS330では、シフト位置センサ83から所定時間内にシフト位置の変更を示す信号があったか、すなわち所定時間内にシフト操作があったか否かを判定し、有った場合はステップS340へ移行し、無かった場合は、ステップS335で意識低下カウンタを1インクリメントしたのちステップS340へ移行する。
【0077】
ステップS340では、操舵角センサ86から所定時間内に所定量以上の操舵角信号があったか、すなわち所定時間内に所定量以上のハンドル操作があったか否かを判定し、有った場合はステップS350へ移行し、無かった場合は、ステップS345で意識低下カウンタを1インクリメントしたのちステップS350へ移行する。
【0078】
ステップS350では、視線センサ83から所定時間内にオン信号があったか、すなわち所定時間内に視線の動きがあったか否かを判定し、有った場合はステップS360へ移行し、無かった場合は、ステップS355で意識低下カウンタを1インクリメントしたのちステップS360へ移行する。
【0079】
ステップS360では、意識低下カウンタ値に基づいて、数式1により覚醒度を演算する。
【0080】
【数1】
覚醒度(%)=100×(5−意識低下カウンタ値)/5
すなわち、このように演算された覚醒度は、判定周期内に運転者の運転操作および視線移動の発生頻度を示しており、数値が小さい(最小値=0)ほど、覚醒しておらず、意識低下が大きく、運転操作ができない状態であることを示している。以上、ステップS300〜S360は覚醒度検出手段に相当する。
【0081】
図6、図7は、ステップS210の覚醒ブレーキモードのフローチャートである。
【0082】
ステップS400では、数式1により演算された覚醒度が70%を越えているか否かを判定し、YESならばステップS540へ移行し、NOならばステップS410へ移行する。
【0083】
ステップS410では、覚醒度が50%を越えているか否かを判定し、YESならばステップS430へ移行し、NOならばステップS420へ移行する。
【0084】
ステップS420では、覚醒度が30%を越えているか否かを判定し、YESならばステップS440へ移行し、NOならばステップS450へ移行する。
【0085】
ステップS430〜S450は、上記のように覚醒度の大きさによって、覚醒ブレーキモードにおける制動力付与条件を変えるものである。
【0086】
ステップS430では、覚醒度が中レベル、すなわち50<覚醒度≦70の範囲にあるときに、付与条件として、付与制動力=1.0MPa(Pa:圧力単位、パスカルであり、1MPa=0.1G(重力加速度)の減速度に換算される。)、付与期間KT=5秒、制動周期=1秒となるよう、各輪に制動力を発生させる。これは、1回の制動力の増減を、0.5秒で制動力を0から1MPaへ増加させ、続く0.5秒で制動力を1MPaから0へ減少させる(すなわち、時間波形では三角波)こととし、これを制動周期1秒、すなわち付与期間KTの5秒間に5回繰り返すことを表わしている。
【0087】
ステップS440では、覚醒度が低レベル、すなわち30<覚醒度≦50の範囲にあるときに、付与条件として、付与制動力=1.5MPa、付与期間KT=7秒、制動周期=1秒となるよう、各輪に制動力を発生させる。ステップS430の場合と比べて、付与制動力が高くなっているとともに、付与期間KTも長くして繰り返し回数を7回に増加させて、運転者の覚醒効果を高めている。
【0088】
ステップS450では、覚醒度が最低レベル、すなわち覚醒度≦30の範囲にあるときに、付与条件として、付与制動力=2.0MPa、付与期間KT=10秒、制動周期=2秒となるよう、各輪に制動力を発生させる。ステップS430およびS440の場合と比べて、付与制動力が高く、付与期間KTも長くなって、より運転者の覚醒を促すように設定されている。また、制動周期も長く、すなわち比較的ゆっくり、かつ大きく制動力の増減を行うことで、覚醒効果を高めている。
【0089】
覚醒ブレーキモードにおける制動力付与条件が選択されると、次に、ステップS460で、走行状態を表わす情報の1つである路面摩擦係数(路面μ)が所定値より小さいか、すなわち滑り易い状態である低μか否かが判定され、YES(低μである)ならばステップS490へ、NO(低μではない)ならばステップS470へ移行する。
【0090】
なお、路面μは、ブレーキ制御ECU1によって、車輪速度に基づいて、例えば特開2000−55790号公報に示された方法で演算することができる。
【0091】
ステップS470では、走行状態を表わす情報の1つである車速が所定値より大きいか否かが判定され、YESならばステップS490へ移行し、NOならばステップS480へ移行する。
【0092】
ステップS480では、走行状態を表わす情報の1つである横加速度センサ81の検出値である横G(横加速度)αが所定値より大きいか否かを判定し、YESすなわち急激な旋回中である場合はステップS490へ移行し、NOすなわち直線走行中または比較的緩やかな旋回中である場合はステップS500へ移行する。
【0093】
なお、ステップS480では、横Gの代わりに旋回半径Rを走行状態を表わす情報の1つとしてもよい。すなわち、α:横G(検出値)、v:車速(検出値または車輪速検出値からの演算値)とすると、旋回半径RはR=v×v/αにより算出できる。したがって、このように算出された旋回半径Rが所定値より小さいか否かを判定することにより、上述の横Gによる判定と同様、急激な旋回かどうかを判定することができる。
【0094】
なお、走行状態を表わす情報である車速、路面μ、および旋回半径Rはブレーキ制御ECU1により演算ざれ、また、横Gは横Gセンサ81により検出される。これら走行状態を表わす情報の演算、検出の処理は、本発明の走行状態検出手段に相当する。
【0095】
ステップS490は、検出された走行状態が、路面が滑り易いまたは、比較的高速での走行中である、あるいは急激な旋回中である、の少なくとも1つを満たす状況であるときに、前輪制動モードとして、前2輪、41FRおよび41FLのみを同時に、ステップS430〜S450で選択された覚醒ブレーキモードにおける制動力増減の付与条件で、制動させる。
【0096】
一方、ステップS460からS480の何れも満たさない状況であるときには、ステップS500で、左右輪を交互に覚醒制動させる。すなわち、右輪制動モードとして右2輪41FRおよび41RRのみに対して同時に1制動周期分の制動力増減を行った後、左制動モードとして左2輪41FLおよび41RLのみに対して同時に、1制動周期分の制動力増減を行う。このように2制動周期を1組として右2輪および左2輪に対して交互に制動力増減を行う。
【0097】
この左右のアンバランスな制動によって、車体に通常とは異なる振動、すなわち、運転者に予想外の違和感を与えることができ、運転者に対する覚醒効果を高めることができる。ただし、左右のアンバランスな制動は、走行安全を考慮して、外乱の影響を受け難い、高μ路での比較的低速かつ直進または緩やかな旋回走行中に限って行うこととしている。
【0098】
次に、ステップS510では、覚醒ブレーキモードの作動継続時間TがステップS430〜S450で与えられた付与期間KTを越えたか否かを判定し、越えていない場合は、ステップS530にて作動継続時間Tのカウンタ値を増加させ、ステップS400へ戻る。
【0099】
作動継続時間Tが付与時間KTを越えた場合は、ステップS520で、運転不可状態フラグをONとし、後述する自動停車モードへ移行する。
【0100】
また、ステップS400で、覚醒度が高レベル、すなわち覚醒度>70%であると判定された場合は、ステップS540で運転不可状態フラグをOFFとするとともに、覚醒ブレーキモードの作動継続時間Tをクリア(0にリセット)し、ステップS400へ戻り、上記ルーチンを繰り返す。
【0101】
なお、以上のステップS400〜ステップS530のルーチンは、所定時間毎に計算される覚醒度に基づいて繰り返されるので、作動継続時間Tが付与期間KTに達する前に覚醒度が増加し70%を越えると、ステップS400→S540により、覚醒ブレーキモードを終了することとなる。したがって、覚醒ブレーキモードの動作開始後直ちに(すなわち付与期間が終了する前に)運転者の覚醒度が高まれば、その時点で覚醒ブレーキモードの動作を終了することができ、逆に、覚醒度が低下(70%以下に)すれば、その時点で直ちに覚醒ブレーキモードの動作を始めることができる。
【0102】
本実施形態は、運転者の覚醒度の変化に即応して、覚醒ブレーキの動作を行うことができる。
【0103】
次に、ステップS220の自動停車モードについて、説明する。図8は、自動停車モードにおけるフローチャートである。
【0104】
ステップS600では、運転不可状態フラグがONであるか否かを判定し、NOであればステップS710へ移行し、停止経過時間tをクリアして、ステップS600へ戻る。YESであれば、ステップS610へ移行する。
【0105】
ステップS610では、車両VLを減速、停止させるために油圧ブレーキ装置2を加圧制御、すなわち上述した増圧過程である、ポンプ17、27の駆動、SM弁18、28のカット、減圧制御弁15a、15b、25a、25bのカット、および増圧制御弁14a、14b、24a、24bのON/OFF制御により、W/C圧を発生させる。
【0106】
また同時に、車外に対する警告のためにハザードランプを点滅させ、運転者をシートに固定するためELR92に対してロック要求を出力し、さらには、外部の警察、消防・救急あるいは道路管理者などに対して通信装置を介して緊急通報を行う。
【0107】
ステップS620では、車速センサ5の信号に基づき、車速が例えば、0.2m/秒以下となったか否かで車両の停止状態を判定する。NOであればステップS710へ移行し、YESであればステップS630へ移行する。
【0108】
ステップS630では、停止経過時間tをカウントアップし、ステップS640で停止経過時間tが第1経過時間ST1(たとえば、0.8秒)を越えたか否かを判定する。NOであれば、ステップS650で油圧ブレーキ装置2を減圧駆動してステップS600へ戻る。YESであれば、ステップS660へ移行する。
【0109】
ステップS660では、停止経過時間tが第2経過時間ST2(たとえば、1.3秒)を越えたか否かを判定する。NOであれば、ステップS670で油圧ブレーキ装置2を増圧駆動してステップS600へもどる。YESであれば、ステップS680へ移行する。
【0110】
ステップS680では、PKB3をロックさせるようブレーキ制御ECU1より駆動信号が出力される。
【0111】
次のステップS690で、停止経過時間tが第3経過時間ST3(たとえば、4.3秒)を越えたか否かを判定する。NOであればステップS600へ戻り、YESであればステップS700へ移行する。
【0112】
ステップS700では、油圧ブレーキ装置2およびPKB3の駆動を解除、すなわちポンプ17、27の停止および全ての電磁弁(SM弁、増圧制御弁、減圧制御弁)への通電OFFとして各W/C圧をリリースするとともに、PKB3の駆動信号も解除する。PKB3は駆動信号が解除されても、その制動力は維持され、車両VLの停止状態が保持される。
【0113】
同時に、ドアロックアクチュエータ93がドアロックを解除して、自動停車モードを終了する。
【0114】
上記、ステップS640〜S700は、車両VLがほぼ停止状態に近づいて停止経過時間t=0の時点から停止保持するまでの間、いわゆるショックレス停車を行う、ショック低減手段に相当するものである。
【0115】
すなわち、tが0からST1までの期間は、油圧ブレーキ装置2を前記自動ブレーキ制御の減圧過程に沿って減圧駆動し制動力を低下させる。tがST1からST2までの期間は、逆に油圧ブレーキ装置2を自動ブレーキ制御の増圧過程に沿って増圧駆動して制動力を増加させる。
【0116】
そして、tがST2を経過したらPKB3を同時に作動させて制動力を発生させ、さらにtがST3を経過して車両が完全に停車した時点で油圧ブレーキ装置2による制動力を解除し、PKB3のみの制動力で停車状態を維持するものである。また、停車後にドアロックを解除することにより、車外からの緊急対応(運転者の救急作業など)を容易にする。
【0117】
以上説明した、本実施形態の自動ブレーキ制御における覚醒ブレーキモードおよび自動停車モードの実行により、車両VLの走行、停止がどのように推移するかを図9の時間線図によって説明する。
【0118】
走行中、a時点で運転者が、例えば気を失って運転操作を行わなくなると、覚醒度が低下する。覚醒度は常に検出されており(ステップS300〜S360)、b時点で覚醒度が70%以下になったと判定される(ステップS400〜S420)と、覚醒ブレーキモードが開始される(ステップS460〜S530)。
【0119】
覚醒ブレーキモード中は、覚醒度に応じて選択された覚醒ブレーキ付与条件(ステップS430〜S450)に基づき、各車輪の制動力の周期的増減を、付与期間KTを上限として、図中c時点まで継続し、この間、車体へ断続的な振動を与えることにより運転者の覚醒を促す。
【0120】
c時点で付与期間KTが終了しても運転者の覚醒度が高レベル(70%以上)まで回復しないときには、運転不可状態フラグがONとなり(ステップS520)、自動停車モードへ移行する。
【0121】
自動停車モードが開始すると、油圧ブレーキ装置2が増圧駆動されて制動力が所定勾配でゆっくり減速できる制動力まで増加する。また、同時に、ハザードランプの点滅により他車へ警報を発するとともに、シートベルトのロックにより運転者を座席に固定して、運転者がより危険な状態とならないようにする。あわせて、車外の警察や救急などへ通信装置を用いて緊急通報を行う(ステップS610)。
【0122】
d時点で車両が停止状態になったと判定されると(ステップS620)、停止経過時間tのカウントアップが始まり、tが第1経過時間ST1となるe時点までは油圧ブレーキ装置2を減圧駆動し、所定勾配で制動力を低下させ、tがe時点を越えて第2経過時間ST2になるf時点までは、逆に油圧ブレーキ装置2を増圧駆動して制動力を回復させる。このd時点からf時点までの制動力の「抜き」は、車両の停止時のノーズダイブを軽減して、車体姿勢変化の少ない、すなわちショックの少ない停車を行う。
【0123】
なお、このd時点からf時点までの油圧ブレーキ装置2の減圧および増圧駆動は、4輪に対して行うことができるが、それ以外にも前2輪に対してのみ行うこともできる。
【0124】
f時点で、停止経過時間tが第2経過時間ST2を越えると、PKB3のロックが作動する(ステップS680)。なお、図中、PKB3の制動力は、瞬時には発生しないので所定勾配による立ち上がりとして表わしている。また、PKB3は、一旦ロック駆動した後、ロック駆動の信号を解除しても、その機構上、制動力は保持されたままになり、次に解除信号が出されるまで制動力を解除しない。
【0125】
f時点より以降、PKB3に制動力を発生させても、油圧ブレーキ装置2による制動力はまだ解除せず、停止経過時間tが第3経過時間ST3に達するg時点まで維持する。g時点で、油圧ブレーキ装置2の駆動を解除する(すなわち、作動信号をすべてOFFする)と、各車輪のW/C圧が徐々に低下して制動力が0になるが、PKB3による制動力は、ロック駆動信号が解除されても解除信号が入力されない限り持続される。
【0126】
以上のように、本実施形態の自動ブレーキ装置によれば、走行中に運転者が居眠りや気を失ったりして意識が低下し、運転操作ができなくなると、運転操作や視線の動きを反映した覚醒度低下に対応して、各車輪に付与する制動力を所定期間断続的あるいは周期的に増減して、車体に振動を生じさせ、これにより意識が低下した運転者の覚醒を促すことができる(覚醒ブレーキモード)。
【0127】
この覚醒ブレーキモードにおける制動力の増減方法は、覚醒度の大きさに応じて変更することができ、覚醒度の低下が少ない、すなわち覚醒度が中レベルの場合は増減幅および増減繰り返し周期をともに小さくし、覚醒度の低下が大きい、すなわち覚醒度が低レベル、さらには最低レベルの場合は、増減幅を大きくする、および、繰返し周期も大きくする。これにより、覚醒度のレベルに応じて、運転者の覚醒効果を高めることができる。
【0128】
さらに、本実施形態の自動ブレーキ装置によれば、覚醒のための断続的、周期的制動力増減を行っても、運転者の覚醒度が向上しない場合は、覚醒ブレーキモードから自動停車モードへ移行し、油圧ブレーキ装置を緩やかに増圧駆動して車両をゆっくり減速させ、車両が停止するときにはショックの無い停止を可能にし、更に、停止後は油圧ブレーキ装置による制動から電動パーキングブレーキによる制動に切換えることができる。すなわち、運転者に運転操作ができない状態が続く場合は、自動的に車両をゆっくりとショックなく停車させるとともに、停車後は電気エネルギーを必要とせずに長期間制動力を維持できる。
【0129】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本第2実施形態は、覚醒ブレーキモードにおいて、上記第1実施形態と同様に演算された覚醒度に応じて選択された覚醒ブレーキの制動力付与条件である覚醒制動条件を、車両の走行状態に応じて補正する点が上記第1実施形態と異なっている。以下、上記第1実施形態との相違点のみを説明し、その他の構成、および、処理フローは同じであるので説明を省略する。
【0130】
図10は、本第2実施形態の覚醒ブレーキモードにおける、上記第1実施形態とは異なる処理部分のフローチャートであり、第1実施形態の図6のフローチャートに続く部分のみを示している。なお、図10中、第1実施形態と同じ処理内容のステップには同一符号を付して、説明を簡略化する。
【0131】
図6のステップS430〜S450において制動力増減の付与条件を選択した後、ステップS505で、選択された付与制動力の条件を基準値として、その基準値(基準付与制動力および基準付与期間)を次のように補正する。
【0132】
付与制動力は、基準付与制動力に、路面μ、車速および横G(または、旋回半径)に応じてそれぞれ設定された補正係数を掛けることにより補正する。補正係数は、図11に示すように、路面μが大きくなる(滑り難い路面状態)に応じて1以下の値から1へ増加する補正係数KP1と、車速が大きくなるに応じて1から1以下の値へ減少する補正係数KP2と、横Gが大きくなる(急激な旋回)に応じて1から1以下の値へ減少する補正係数KP3とが、予めマップ化されて設定されている。なお、補正係数KP3は、横Gの代わりに旋回半径Rに対して、Rが大きくなるに応じて1以下の値から1へ増加するように設定してもよい。
【0133】
これらの補正係数KP1〜KP3を用いて、付与制動力および付与期間を数式2により補正する。
【0134】
【数2】
付与制動力=基準付与制動力×KP1×KP2×KP3
付与期間=基準付与期間×KP1×KP2×KP3
これにより、付与制動力は、基準付与制動力に対して、路面μが小さくなるほど小さく、車速が大きくなるほど小さく、横Gが大きくなる(または、旋回半径が小さくなる)ほど小さく、それぞれ補正される。また、付与期間も同様に、基準付与期間に対して、路面μが小さくなるほど短く、車速が大きくなるほど短く、横Gが大きくなる(または、旋回半径が小さくなる)ほど短く、それぞれ補正される。
【0135】
なお、上記路面μ、車速、および横G(あるいは旋回半径)は、ともに上記第1実施形態と同様に検出または算出されるものである。
【0136】
ステップS510で〜S530で、ステップS505で補正された制動力付与条件に基づいて全輪制動モードとして4輪全部に対して制動力増減による覚醒ブレーキ制御を行う。これは、第1実施形態において、路面μ、車速および横G(または旋回半径)の大小により前輪のみ覚醒ブレーキを作用させるか、左右輪を交互に制動させることにより覚醒ブレーキを作用させるかの代わりに行うものである。
【0137】
なおステップS540では、上記第1実施形態と同じ処理が行われる。
【0138】
本第2実施形態では、走行状態として路面μ、車速および横G(または旋回半径)の大きさに応じて、制動力の増減条件、詳しくは付与制動力および付与期間を補正するので、運転者に対して走行状況に応じた覚醒効果の高い制動力増減方法を実現できる。
【0139】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、次のように種々の変形を施すことができる。
【0140】
(1)上記第1、および第2実施形態において覚醒ブレーキモードでの制動力増減の付与パターンは、図9に例示するように三角波パターンとして説明したが、これに限らず、矩形波形状のようにステップ的に増加および減少するパターンを繰り返すものでもよい。さらには、増加勾配と減少勾配が異なる鋸歯波形状でもよい。
【0141】
(2)さらに、覚醒ブレーキモードにおける制動力の増減パターンは、上記各実施形態のように周期的、すなわち一定周期での繰り返しであってもよいが、これに限らず、覚醒ブレーキモードの開始直後は繰り返し期間を長くし、時間経過とともに繰り返し期間を徐々に短くするようにしてもよい。さらに、覚醒ブレーキモードの経過時間とともに繰り返し期間をランダム(不定期)に変更してもよい。このランダム性に1/f揺らぎ特性をもたせてもよい。
【0142】
(3)上記第1実施形態では、各車輪に対する覚醒制動の付与方法は、前2輪のみON−OFF制動(前輪制動モード)、または左2輪と右2輪との交互制動(左輪制動モードと右輪制動モードとの交互実行)の例を示したが、これに限らず、後2輪のみON−OFF制動(後輪制動モード)しても、前2輪と後2輪との交互制動(前輪制動モードと後輪制動モードとの交互実行)であっても、全4輪を同時にON−OFF制動(全輪制動モード)しても、さらには、ダイアゴナルの関係にある右前輪と左後輪のみまたは左前輪と右後輪のみをON−OFF制動してもよい。さらには、全4輪をON−OFF制動する場合でも、前2輪と後2輪とに時間差をもたせて制動の増加減を行うようにしてもよい。
【0143】
(4)上記(1)〜(3)の各要素を適宜組み合わせて覚醒制動パターンを設定してもよい。要は、何れの覚醒制動パターンでも、走行上の安全を保ちながら、覚醒制動により車体に運転者にとって予想外の振動を発生させることが、運転者の覚醒を促す上で効果的である。
【0144】
(5)上記各実施形態で、ショック低減手段による車両停止時の制動に伴うショックを低減する方法として、油圧ブレーキ装置2による制動力を一旦減少させた後、増加させ、車両が停止した後に油圧ブレーキ装置2からPKB3へと制動力の発生機構を切換えるものを示したが、これに限らず、例えば、図12の時間線図に示すように油圧ブレーキ装置2の制動力を一旦緩和せず、PKB3の制動力を組み合わせて発生するようにしてもよい。
【0145】
図12において、運転者が運転操作ができなくなったa時点から車両が停止状態になったと判定されるd時点までは、前記図9と同じである。図12においては、d時点で車両が停止したと判定されると、油圧ブレーキ装置2は緩やかな勾配で制動力が0になるまで減圧するよう駆動され、それと同時にPKB3をロック駆動して比較的緩やかに制動力を発生させる。
【0146】
このように、車両停止時に油圧ブレーキ装置2による制動力を減少させ、同時にPBK3による制動力を増加させることにより、上記各実施形態と同様に、停車時の制動によるショックを低減することができる。
【0147】
なお、この場合の油圧ブレーキ装置2の減圧駆動は、4輪に対して行うことができるが、それ以外にも前2輪に対してのみ行うこともできる。
【0148】
(6)上記各実施形態で、覚醒度を演算、検出するための運転者の動作を検出するセンサとして、視線センサ86を用いたが、これに限らず、運転者の瞬きを検出する瞬きセンサ等を用いてもよい。瞬きは視線センサと同様に画像処理装置を用い、この画像処理装置により運転者の顔画像から目または瞼の画像を取り出し、眼球の面積変化または瞼部分の面積変化より瞬き動作を検出するもので、この瞬き動作から演算により得られる瞬きの頻度や瞬きの開度に基づいて、運転者の覚醒度を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の自動ブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態の自動ブレーキ装置の油圧ブレーキ装置の構成を示す図である。
【図3】本実施形態の自動ブレーキ装置が実行するメインルーチンを示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の自動ブレーキ制御おいて実行されるフローチャートである。
【図5】本実施形態の覚醒判定おいて実行されるフローチャートである。
【図6】本実施形態の覚醒ブレーキモードにおいて実行されるフローチャートの前半部分である。
【図7】本実施形態の覚醒ブレーキモードにおいて実行されるフローチャートの後半部分である。
【図8】本実施形態の自動停車モードにおいて実行されるフローチャートである。
【図9】本実施形態の自動ブレーキ装置の動作過程を示す時間線図である。
【図10】本発明の第2実施形態の覚醒ブレーキモードにおいて実行されるフローチャートの後半部分である。
【図11】(a)〜(d)は、第2実施形態の覚醒ブレーキモードにおいて、覚醒制動の付与条件を補正する補正係数特性を示す図である。
【図12】他の実施形態における、自動ブレーキ装置の動作過程を示す時間線図である。
【符号の説明】
1…ブレーキ制御ECU、2…油圧ブレーキ装置(第1のブレーキ手段)、
3…PKB(第2のブレーキ手段)、38…ブレーキワイヤ、4…車輪、
5…車輪速センサ、6…車内LANバス、71…車間距離制御ECU、
8…センサ群、81…横加速度センサ、82…操舵角センサ、
83…シフト位置センサ、84…ブレーキペダルセンサ、
85…アクセルペダルセンサ、86…視線センサ、87…車間センサ、
91…警報・ランプ手段、92…シートベルト巻取り装置、
93…ドアロックアクチュエータ、
10…M/C、11,21…配管系統、12,22…減圧配管、
13、23…吸引配管、14,24…増圧制御弁、15,25…減圧制御弁、
16,26…リザーバ、17,27…ポンプ、18,28…マスタカット弁、
19,29,30…圧力センサ、20…モータ、41…W/C。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の自動停車装置、特に運転者の意識低下など、車両の運転に不適当な場合に、運転者の覚醒や車両の停止を制御するものに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、運転者の居眠りを検出した場合、運転者に対してブザーによる警報を発したり、あるいは運転者に覚醒を促すための刺激を与え、さらには周囲の車両へのハザード点滅および自動ブレーキによる車両停止を行うものがあった(特開平7−32995号公報)。
【0003】
しかし、ブザーによる警報では確実な覚醒は困難であり、また、運転者に与える刺激として示されている、シートへの微小電流、オーディオ装置からの急激な大音量、空調装置による車室温度低下などの手段を用いる場合は、それぞれ専用の装置が必要となりコストが高くなるという問題があった。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、運転者が意識低下などにより運転に集中できないときに、専用装置を設けることなく、運転者に確実な覚醒を促すことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、運転者の覚醒度を検出する覚醒度検出手段と、車両の各車輪にそれぞれ制動力を与えるブレーキ手段と、前記検出された覚醒度が低いと判定される場合に、前記ブレーキ手段を制御して前記各制動力を所定の付与条件で繰り返し増減させる覚醒ブレーキモードを実行する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、検出された運転者の覚醒度が低い場合に、車両の各車輪に与える制動力を所定の付与条件で繰り返し増減させるので、この制動力の増減の繰り返しにより車体に振動を発生させることができ、専用装置を用いることなく、この車体の振動により運転者に覚醒を促すことができる。
【0007】
前記覚醒ブレーキモードにおける付与条件は、請求項2に記載のように、前記繰り返し増減される制動力を定める付与制動力と前記繰り返し増減の期間を定める付与期間を含むように設定することができ、さらに、請求項3に記載のように、前記繰り返し増減の周期を定める制動周期を有するように設定することができる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記制御手段は、覚醒度が低いと判定される期間と前記付与期間とのいずれか短い期間、前記制動力の繰り返し増減を行うことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、運転者の覚醒のために行う制動力の繰り返し増減を、覚醒度が低いと判定される期間と予め設定された制動力増減の繰り返し期間である付与期間との何れか短い期間行うことにより、付与期間内に運転者の覚醒度が高まればその時点で制動力の増減を終了することができ、不必要な制動力を発生させることがない。
【0010】
また、上記付与条件について、前記制御手段は、請求項5に記載のように、前記制動周期を時間経過と共に短くなるよう変化させて、走行中の車体に、運転者にとって予想外の振動を発生させて覚醒効果を高めることができ、あるいは、請求項6に記載のように、前記覚醒度の大きさが低い場合に前記付与期間を長く設定することことにより、覚醒度が低い場合にも運転者の覚醒効果を高めることができる。
【0011】
各車輪への制動力増減の与え方として、前記制御手段は、請求項7に記載のように、前記車両の全車輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる全輪制動モードを実行することや、請求項8に記載のように、前記車両の前輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる前輪制動モードおよび後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる後輪制動モードのいずれか一方を実行すること、または、請求項9に記載のように、前記車両の前輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる前輪制動モードと後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる後輪制動モードとを交互に実行すること、さらには、請求項10に記載のように、前記車両の左側前後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる左輪制動モードと右側前後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる右輪制動モードとを交互に実行すること等、種々の付与方法を採用することができる。
【0012】
請求項11に記載の発明は、前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記検出された走行状態を表わす情報に基づいて前記付与条件を変化させることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、覚醒ブレーキモードにおける制動力増減の付与条件を、走行中の走行状態に基づいて変化させるので、例えば、走行安全を損なうことなく覚醒ブレーキモードを実行することができる。
【0014】
上記走行状態は、請求項12に記載のように、走行路面の摩擦係数、前記車両の速度および横加速度の少なくとも1つを含むことができる。
【0015】
また、前記覚醒度は、請求項13に記載のように、前記運転者の動作頻度に応じて大きさが定められるものとすることができる。なお、運転者の動作としては、運転操作(ブレーキペダルやアクセルペダルなどのペダル操作、ハンドル操舵操作、変速機のシフト操作など)や運転者の視線の動きなどがある。
【0016】
請求項14に記載の発明は、前記制御手段は、前記付与期間経過後に、前記検出された覚醒度が低いと判定される場合に、前記車両を自動的に減速および停止する自動停車モードを実行することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、覚醒ブレーキモードにおける制動力の増減の繰り返しによって、車体に振動を与えて、運転者に覚醒を促しても、なお、運転者の覚醒度が低い場合には、車両を自動的に減速および停止する自動停車モードを実行するので、運転操作ができなくなった運転者に代わって車両を安全に停車させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の自動ブレーキ装置について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の全体構成を示す図である。なお、車両VLの右前輪、左前輪、右後輪、左後輪をそれぞれ、FR、FL、RR、RLで表わす。
【0019】
本実施形態は、車両VLに搭載されている、制御手段としてのブレーキ制御ECU1と、第1のブレーキ手段としての油圧ブレーキ装置2と、油圧ブレーキ装置2と第1配管系統11および第2配管系統21でそれぞれダイアゴナル接続されている各車輪4FR、4RL、4FL、4RR毎のホイールシリンダ(以下、W/Cという)41FR、41RL、41FL、41RRと、第2のブレーキ手段としての電動パーキングブレーキ(以下、PKBという)3と、PKB3と後輪4RL、4RRの各ブレーキキャリパーとをそれぞれ接続するブレーキワイヤ38a、38bと、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ5(5FR、5RL、5FL、5RR)と、各種電子機器の入出力信号を伝送する車内LANバス6と、制動要求出力手段7としての車間距離制御ECU71、と、横加速度センサ81、操舵角センサ82、シフト位置センサ83、ブレーキペダルセンサ84、およびアクセルペダルセンサ85からなる運転操作状態を検出する各種センサおよび運転者の視線を検出する視線センサ86、さらには前方車両の相対速度および距離を検出する車間センサ87などの各種センサ群8、およびハザードランプなどの各種ランプやブザーなどの警報装置からなるランプ・警報装置91、シートベルト巻取り装置92およびドアロックアクチュエータ93からなるアクチュエータ手段9とを備える。なお、操舵角センサ82、シフト位置センサ83、ブレーキペダルセンサ84、アクセルペダルセンサ85および視線センサ86は、後述するようにブレーキ制御ECU1とともに覚醒度検出手段を構成する。
【0020】
ブレーキ制御ECU1は、コンピュータにより構成されており、車輪速センサ5からの車輪速度、車内LANバス6を介して制動要求出力手段7からの制動要求、および各種センサ群8からのセンサ信号を入力し、後述する油圧ブレーキ装置2およびPKB3を制御するための駆動信号やアクチュエータ手段9を動作させるための動作信号を出力する。
【0021】
PKB3は、車両停止時に、停止保持をするため、ブレーキ制御ECU1からの駆動信号により動作し、ブレーキワイヤ38a、38bを駆動して、ブレーキワイヤによって左右の後輪4RR、4RLのブレーキキャリパおよび摩擦材を各ブレーキディスク(ともに図示せず)に押し付けて制動力を発生させるものである。
【0022】
このPKB3は、ブレーキ制御ECU1からの駆動信号が解除されてもブレーキワイヤ38a、38bの駆動は解除されず、これにより車両の停止が保持される。そして、再度ブレーキ制御ECU1または運転者により入力される解除スイッチ(図示せず)からPKB3に対して駆動信号(解除信号)が出力されて、ブレーキワイヤ38a、38bがリリースされるまで車両停止状態が維持される。
【0023】
車速センサ5の各車輪の回転速度信号は、直接ブレーキ制御ECU1へ入力される。ブレーキ制御ECU1は、この回転速度信号、すなわち車輪速度に基づき、車体速度を演算し、これら車輪速度および車体速度に基づいてABS制御やTRC制御を行う。
【0024】
制動要求出力手段7としての車間距離制御ECU71は、所定速度以上で走行中に車間センサ87により検出された前方車両と自車VLとの相対速度に基づき、前方車両との車間距離を予め設定された、あるいは運転者により設定変更された所定値に保つよう、エンジン出力制御による駆動制御やブレーキ制御および変速機制御による制動制御を行うものであり、本実施形態においては、車内LANバス6を介してブレーキ制御ECU1へ、制動要求値として目標制動距離を出力する。
【0025】
ブレーキ制御ECU1では、現在車速と目標制動距離とから目標減速度を求め、これを例えば、減速度1G=10MPa(Pa:圧力単位、パスカル)により、制動圧(制動油圧)に変換して目標制動力に換算し、これに基づき油圧ブレーキ装置2およびPKB3の駆動信号とする。
【0026】
次に、車内LANバス6を介してブレーキ制御ECU1へ信号を出力するセンサ群8を構成する各センサについて説明する。
【0027】
横加速度センサ81は車両走行中に車体に発生する横加速度を検出し、出力する。
【0028】
操舵角センサ82は、図示しないステアリングホイールの操舵角を検出し、出力する。
【0029】
シフト位置センサ83は、図示しない変速機レバーの位置情報(P、R、N、D、D1など)を出力するものであるが、本実施形態における自動ブレーキ制御においては、特に通常の走行中に設定されているD(ドライブ)から他のレバー位置に変更された場合にブレーキECU1においてその情報が用いられる。
【0030】
ブレーキペダルセンサ84およびアクセルペダルセンサ85は、それぞれ図示しないブレーキペダルおよびアクセルペダルが運転者により踏まれた場合に、それぞれのペダルストローク量を検出し、出力する。また、それぞれペダルストロークが所定値を越えた場合にオン信号を出力する。
【0031】
上記操舵角センサ82、シフト位置センサ83、ブレーキペダルセンサ84およびアクセルペダルセンサ85は、運転者の運転操作状態、より詳しくは運転操作の有無を検出するものである。
【0032】
視線センサ86は、車両VLの運転席近傍に設けられた赤外光源と画像処理装置とを備え、運転者の視線を検出する。その方法は、所定の時間間隔で赤外光源より赤外光が照射された運転者の顔画像を画像処理装置により撮像し、取り込む。そして画像処理装置が、顔画像から運転者の視線方向を検出し、所定時間経過したときに視線方向角の変化量が閾値を越えたときにオン信号を車内LANバス6へ出力する。
【0033】
なお、画像処理装置による視線検出の方法としては、例えば、目の虹彩を抽出して視線を検出するもの(特開平4−225478号公報)や、照明光の眼球による反射像を抽出して視線を検出するもの(特開平6−261863号公報)等を用いればよい。
【0034】
ランプ・警報装置91は、車内のブザーおよび警告灯と車外のハザードランプを備えている。ブレーキ制御ECU1は、後述する自動ブレーキ制御時の運転者を覚醒させるための覚醒ブレーキモードでは、油圧ブレーキ装置2の制動力増減とともに、車内のブザーおよび警告灯を作動して運転者の覚醒効果を高める。また、車外のハザードランプは、運転者の覚醒が不十分で、自動停車モードにおいて車両を停止および停止保持をする場合に作動し、他車へ異常を知らせる。
【0035】
シートベルト巻取り装置(ELR:Emergency Locking Retractor)92は、ブレーキ制御ECU1からの信号により、自動停車モードに入ったときに、上記ハザードランプの点灯とともにシートベルトのロックを行う。
【0036】
ドアロックアクチュエータ93は、ブレーキ制御ECU1からの信号により、自動停車モードにおいて車両の停止保持状態に入ったときに、車両のドアロックを解除する。
【0037】
次に、第1ブレーキ手段としての油圧ブレーキ装置2の構成および動作について説明する。図2は、油圧ブレーキ装置2の構成を示す図である。
【0038】
マスターシリンダ(以下、M/Cという)10は、運転者により図示しないブレーキペダルが踏み込まれるとその踏力に応じたM/C圧を発生し、それぞれ第1配管系統11および第2配管系統21を介して各車輪に備えられたW/C41FR、41RL及び41FL、41RRに伝達され、第1の制動力を発生するようになっている。以下では、第1配管系統11、特に、右前輪4FRに関わる配管系統を中心に説明するが、他の車輪および第2配管系統についても同様である。
【0039】
第1配管系統11には、右前輪4FRおよび左後輪4RLのそれぞれに対して、アンチスキッド制御(以下、ABS制御という)において各W/C41FR、41RLの増圧および保持を調整する増圧制御弁14a、14bが設けられている。また、増圧制御弁14a、14bにそれぞれ並列に逆止弁141a、141bが設けられ、増圧制御弁14a、14bの遮断時にW/C圧が過剰となった場合に液流をM/C10側へ逃がすようになっている。この増圧制御弁14a、14bとW/C41FR、41RLとの間から伸びる減圧管路12にはABS制御におけるW/C41FR、41RLの減圧、保持を調整する減圧制御弁15a、15bが設けられている。
【0040】
この減圧管路12はリザーバ16と接続されている。このリザーバ16に貯溜されるブレーキ液はモータ20により駆動されるポンプ17によって汲み上げられ第1配管系統11に吐出される。この吐出先は、増圧制御弁14a、14bと後述するマスタカット弁18との間となっている。モータ20は第2配管系統21におけるポンプ27も駆動している。なお、ポンプ17の吐出口には逆止弁171が設けられている。
【0041】
M/C10と増圧制御弁14a、14bとの間には、マスタカット弁(以下、SM弁という)18が配置されている。SM弁18は、非通電時は連通状態、通電時には図示方向の逆止弁による遮断状態となる2位置弁である。この遮断状態では、W/C41FR、41RL側の圧が逆止弁のばねによるクラッキング圧分M/C10側の圧よりも高くなったときにリリースされ、圧を逃がす構造となっている。このSM弁18には並列に逆止弁181が設けられており、M/C10側からW/C41FR、41RL側への流動のみが許容される。
【0042】
M/C10とSM弁18との間と、リザーバ16とは吸引管路13で接続されている。
【0043】
第1配管系統11のM/C10とSM弁18との間には油圧センサ30が設けられ、M/C10の発生圧を検出する。この圧力はM/C10の図示しないセカンダリ室の発生圧力であるが、第2配管系統が接続されるプライマリ室にも同圧が発生しているので、この油圧センサ30は実質的にM/C圧を検出する。また、増圧制御弁14a、14bとW/C41FR、41RLとの間にも油圧センサ19a、19bが設けられ、それぞれW/C圧を検出する。これらの油圧センサの出力信号は、ブレーキ制御ECU1において、要求制動力と比較され、この結果に基づき各モードでのブレーキ制御が行われる。
【0044】
上記増圧制御弁14a、14b、減圧制御弁15a、15bは2位置弁であり、ブレーキペダルの非操作時および通常ブレーキ時などの非通電(OFF)時には図示の弁体位置、すなわち、増圧制御弁は連通状態、減圧制御弁は遮断(カット)状態にある。また、SM弁18も通常の非通電時には図示の弁体位置、すなわち連通状態にある。これら各制御弁は、ブレーキ制御ECU1からの作動信号により動作する。また、ポンプ17、27を駆動するモータ20もブレーキ制御ECU1からの作動信号により動作する。
【0045】
上記油圧ブレーキ装置2の基本的な制御方法について説明する。
【0046】
運転者によりブレーキペダルが踏み込まれるときの通常のブレーキ操作においては、全ての制御弁(SM弁18、増圧制御弁14a、減圧制御弁15a)は非通電(OFF)状態とされ、M/C圧がそのままW/Cに作用し、W/C圧=M/C圧となる。
【0047】
ABS制御中は、タイヤロックを回避するためにW/C圧を減圧する過程と制動力を回復するためにW/C圧を増圧する過程とでそれぞれ動作が異なる。なお、SM弁18はABS制御中は、通常OFF(連通状態)となっている。
【0048】
ABS制御の減圧過程では、増圧制御弁14aを通電状態(ON)すなわち遮断(カット)状態とし、かつ、減圧制御弁15aをON/OFFのデューティー比制御することにより連通/カットの切換えが繰り返されて、W/C41FRよりブレーキ液が所定の変化勾配でリザーバ16へ流れ出しW/C圧が減圧する。
【0049】
ABS制御の増圧過程では、減圧制御弁15aを非通電状態(OFF)すなわちカット状態とし、かつ、増圧制御弁14aをOFF/ONのデューティー比制御することにより連通/カットの切換えが繰り返されて、M/C10よりブレーキ液がW/C41FRに供給されてW/C圧は増圧する。
【0050】
次に、本発明の自動ブレーキ制御、すなわち、ブレーキペダルの踏み込み操作の有無に拘わらず制動力を増加または減少させる増圧過程および減圧過程について、右前輪41FRを例にして説明する。なお、この自動ブレーキ制御中の増圧および減圧過程は、後述する運転者の覚醒のために油圧ブレーキ装置2により制動力の繰り返し増減を行う覚醒ブレーキモード、および、運転不可状態が継続したとき自動的に車両を減速、停車させる自動停車モードにおいて、それぞれ実行される。
【0051】
自動ブレーキ制御の増圧過程では、SM弁18をON(カット状態)に、かつ、減圧制御弁15aをOFF(カット状態)にするとともに、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引して吐出圧を発生させた状態で、油圧センサ19aの検出値との比較を行いながら、増圧制御弁14aをOFF/ONのデューティー比制御により所定の変化勾配で、あるいは設定された目標の圧力までW/C圧を増圧する。このとき、必要に応じてM/C10から吸引管路13、リザーバ16を介してブレーキ液がポンプ17の吸引口に補充される。
【0052】
自動ブレーキ制御の減圧過程では、SM弁18をON(カット状態)に、かつ、増圧制御弁14aをON(カット状態)にするとともに、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引して吐出圧を発生させた状態で、油圧センサ19aの検出値との比較を行いながら、減圧制御弁15aをON/OFFのデューティー比制御により所定の勾配で、あるいは設定された目標の圧力までW/C41FRよりブレーキ液を吸引してW/C圧を減圧する。この時、増圧制御弁14aおよびSM弁18がともにカット状態であるため,ポンプ17の吐出圧は増大するが、その圧がSM弁18の逆止弁のばねのクラッキング力より大きくなるとリリースされて圧力が低下する。
【0053】
他の車輪についても、それぞれ同様に、ブレーキ制御ECU1からの作動信号により動作させる。すなわち、何れの車輪においても、増圧過程および減圧過程ではともに、SM弁18および28をON(カット)、ポンプ17および27を駆動した状態で実行され、左後輪41RLの増圧過程は、減圧制御弁15b:OFF(カット)、増圧制御弁14b:OFF/ONとし、減圧過程では、増圧制御弁14b:ON(カット)、減圧制御弁15b:ON/OFFにより動作する。
【0054】
また、左前輪41FLの増圧過程は、減圧制御弁25a:OFF(カット)、増圧制御弁24a:OFF/ONとし、減圧過程では、増圧制御弁24a:ON(カット)、減圧制御弁25a:ON/OFFにより動作する。
【0055】
さらに、右後輪41RRの増圧過程は、減圧制御弁25b:OFF(カット)、増圧制御弁24b:OFF/ONとし、減圧過程では、増圧制御弁24b:ON(カット)、減圧制御弁25b:ON/OFFにより動作する。
【0056】
本実施形態の自動ブレーキ制御においては、車両VLの各車輪は、それぞれ単独に、または適当な2輪の組合せを同時に、さらには4輪すべてを同時に、上述のように増圧および減圧を行わせて、それぞれの車輪に制動力を発生または制動力を減少させることができる。
【0057】
次に、ブレーキ制御ECU1が実行する、本実施形態における自動ブレーキ制御の処理手順について説明する。図3は、メインフローを示している。
【0058】
イグニッションオンとともに処理がはじまり、ステップS100でイニシャルチェックが行われる。
【0059】
このイニシャルチェックでは、油圧ブレーキ装置2およびPKB3の各アクチュエータの動作チェックを行う。油圧ブレーキ装置2では、各電磁弁に実際に通電し、ブレーキ制御ECU1側でそれぞれの端子電圧のチェックを行うことで電磁弁の断線チェックを行ったり、油圧センサ30、19a、19b、29a、29bの検出値から油圧異常を判断して、故障個所の特定を行う。
【0060】
また、PKB3では、実際に通電したときの検出電流が正常か、ブレーキワイヤ38a、38bを駆動するモータが正常に回転しているか等を判定し、故障個所の特定を行う。なお、故障が発見された場合には、ブレーキ装置各部で異常動作の発生など致命的な状態にならないよう、故障診断の後、制御の禁止、代替制御への切換え、警告灯の点灯などの処置ができるようシステム構成されている。
【0061】
次にステップS105で各種入力処理が行われ、車速センサ5や横Gセンサ81他の各センサ群8、および車間距離制御ECU71からの情報を取り込む。
【0062】
ステップS110では、各車輪速度センサ5の検出値より各輪の車輪速度、および全輪の車輪速度より車体速度をそれぞれ演算する。
【0063】
ステップS120で、ブレーキペダルの踏み込みが大きい場合にM/C圧を増加させるブレーキアシスト(BA)制御、アンチロックブレーキ(ABS)制御、車輪速度が車体速度より大きくなってスリップ量が所定値以上の場合にエンジン出力および制動力を制御してスリップ量を小さくするトラクション(TRC)制御、および車両の横加速度やヨーレートに基づき車体の安定性を確保できるよう各輪の制動力を制御する横滑り防止(VSC)制御が、それぞれ、走行状況に応じて行われる。
【0064】
ステップS130では、運転者の覚醒度を検出し、これに基づいて自動ブレーキ制御、すなわち、後述するように運転者の覚醒のための制動制御(以下、覚醒ブレーキモードまたは覚醒ブレーキ(制御)あるいは覚醒制動という)、および覚醒ブレーキによって運転者が覚醒しない場合に車両VLを安全に停止させる自動停車モードが実行される。
【0065】
ステップS140では、車間距離制御ECU71などの他の制御システムECUからの制動要求に基づく制動動作を行う。
【0066】
ステップS145では、各ブレーキ制御要求に対し調停を行い、油圧ブレーキ装置2およびPKB3に出力を行う。
【0067】
ステップS150では、イグニッションオン中のフェールセーフチェックを行う。すなわち、ブレーキ制御ECU1、油圧ブレーキ装置2、PKB3、およびその他各センサ8の状態を常時診断する。故障が検出されると、車両VLが危険な状態にならないよう所定の処置を行う。
【0068】
次に、ステップS130における本実施形態の自動ブレーキの制御フローについて、図4を参照して説明する。
【0069】
ステップS200で、運転者の覚醒状態を覚醒度を演算することにより検出する。この覚醒度の演算は、イグニッションオンとともに開始され、イグニッションOFFされるまで所定時間毎に繰り返される。
【0070】
ステップS210では、演算された覚醒度に基づいて、車両VLに与える制動力の付与方法を選択し、実行する(覚醒ブレーキモード)。
【0071】
ステップS220では、ステップS210で運転能力低下状態が解消されない場合に自動停車モードが実行される。
【0072】
以下、各ステップS200〜S220における処理内容について詳細に説明する。
【0073】
図5は、ステップS200の覚醒度演算、検出のフローチャートである。本フローチャートは、ブレーキ制御ECU1により所定の判定周期(たとえば5秒毎)で繰り返し実行される。
【0074】
ステップS300で、意識低下カウンタを0にリセットする。ステップS310では、アクセルペダルセンサ85から所定時間内にオン信号(または、所定量以上のアクセルペダルストローク量信号)があったか、すなわち所定時間内にアクセル操作があったか否かを判定し、有った場合はステップS320へ移行し、無かった場合は、ステップS315で意識低下カウンタを1インクリメントしたのちステップS320へ移行する。
【0075】
ステップS320では、ブレーキペダルセンサ84から所定時間内にオン信号(または、所定量以上のブレーキペダルストローク量信号)があったか、すなわち所定時間内にブレーキ操作があったか否かを判定し、有った場合はステップS330へ移行し、無かった場合は、ステップS325で意識低下カウンタを1インクリメントしたのちステップS330へ移行する。
【0076】
ステップS330では、シフト位置センサ83から所定時間内にシフト位置の変更を示す信号があったか、すなわち所定時間内にシフト操作があったか否かを判定し、有った場合はステップS340へ移行し、無かった場合は、ステップS335で意識低下カウンタを1インクリメントしたのちステップS340へ移行する。
【0077】
ステップS340では、操舵角センサ86から所定時間内に所定量以上の操舵角信号があったか、すなわち所定時間内に所定量以上のハンドル操作があったか否かを判定し、有った場合はステップS350へ移行し、無かった場合は、ステップS345で意識低下カウンタを1インクリメントしたのちステップS350へ移行する。
【0078】
ステップS350では、視線センサ83から所定時間内にオン信号があったか、すなわち所定時間内に視線の動きがあったか否かを判定し、有った場合はステップS360へ移行し、無かった場合は、ステップS355で意識低下カウンタを1インクリメントしたのちステップS360へ移行する。
【0079】
ステップS360では、意識低下カウンタ値に基づいて、数式1により覚醒度を演算する。
【0080】
【数1】
覚醒度(%)=100×(5−意識低下カウンタ値)/5
すなわち、このように演算された覚醒度は、判定周期内に運転者の運転操作および視線移動の発生頻度を示しており、数値が小さい(最小値=0)ほど、覚醒しておらず、意識低下が大きく、運転操作ができない状態であることを示している。以上、ステップS300〜S360は覚醒度検出手段に相当する。
【0081】
図6、図7は、ステップS210の覚醒ブレーキモードのフローチャートである。
【0082】
ステップS400では、数式1により演算された覚醒度が70%を越えているか否かを判定し、YESならばステップS540へ移行し、NOならばステップS410へ移行する。
【0083】
ステップS410では、覚醒度が50%を越えているか否かを判定し、YESならばステップS430へ移行し、NOならばステップS420へ移行する。
【0084】
ステップS420では、覚醒度が30%を越えているか否かを判定し、YESならばステップS440へ移行し、NOならばステップS450へ移行する。
【0085】
ステップS430〜S450は、上記のように覚醒度の大きさによって、覚醒ブレーキモードにおける制動力付与条件を変えるものである。
【0086】
ステップS430では、覚醒度が中レベル、すなわち50<覚醒度≦70の範囲にあるときに、付与条件として、付与制動力=1.0MPa(Pa:圧力単位、パスカルであり、1MPa=0.1G(重力加速度)の減速度に換算される。)、付与期間KT=5秒、制動周期=1秒となるよう、各輪に制動力を発生させる。これは、1回の制動力の増減を、0.5秒で制動力を0から1MPaへ増加させ、続く0.5秒で制動力を1MPaから0へ減少させる(すなわち、時間波形では三角波)こととし、これを制動周期1秒、すなわち付与期間KTの5秒間に5回繰り返すことを表わしている。
【0087】
ステップS440では、覚醒度が低レベル、すなわち30<覚醒度≦50の範囲にあるときに、付与条件として、付与制動力=1.5MPa、付与期間KT=7秒、制動周期=1秒となるよう、各輪に制動力を発生させる。ステップS430の場合と比べて、付与制動力が高くなっているとともに、付与期間KTも長くして繰り返し回数を7回に増加させて、運転者の覚醒効果を高めている。
【0088】
ステップS450では、覚醒度が最低レベル、すなわち覚醒度≦30の範囲にあるときに、付与条件として、付与制動力=2.0MPa、付与期間KT=10秒、制動周期=2秒となるよう、各輪に制動力を発生させる。ステップS430およびS440の場合と比べて、付与制動力が高く、付与期間KTも長くなって、より運転者の覚醒を促すように設定されている。また、制動周期も長く、すなわち比較的ゆっくり、かつ大きく制動力の増減を行うことで、覚醒効果を高めている。
【0089】
覚醒ブレーキモードにおける制動力付与条件が選択されると、次に、ステップS460で、走行状態を表わす情報の1つである路面摩擦係数(路面μ)が所定値より小さいか、すなわち滑り易い状態である低μか否かが判定され、YES(低μである)ならばステップS490へ、NO(低μではない)ならばステップS470へ移行する。
【0090】
なお、路面μは、ブレーキ制御ECU1によって、車輪速度に基づいて、例えば特開2000−55790号公報に示された方法で演算することができる。
【0091】
ステップS470では、走行状態を表わす情報の1つである車速が所定値より大きいか否かが判定され、YESならばステップS490へ移行し、NOならばステップS480へ移行する。
【0092】
ステップS480では、走行状態を表わす情報の1つである横加速度センサ81の検出値である横G(横加速度)αが所定値より大きいか否かを判定し、YESすなわち急激な旋回中である場合はステップS490へ移行し、NOすなわち直線走行中または比較的緩やかな旋回中である場合はステップS500へ移行する。
【0093】
なお、ステップS480では、横Gの代わりに旋回半径Rを走行状態を表わす情報の1つとしてもよい。すなわち、α:横G(検出値)、v:車速(検出値または車輪速検出値からの演算値)とすると、旋回半径RはR=v×v/αにより算出できる。したがって、このように算出された旋回半径Rが所定値より小さいか否かを判定することにより、上述の横Gによる判定と同様、急激な旋回かどうかを判定することができる。
【0094】
なお、走行状態を表わす情報である車速、路面μ、および旋回半径Rはブレーキ制御ECU1により演算ざれ、また、横Gは横Gセンサ81により検出される。これら走行状態を表わす情報の演算、検出の処理は、本発明の走行状態検出手段に相当する。
【0095】
ステップS490は、検出された走行状態が、路面が滑り易いまたは、比較的高速での走行中である、あるいは急激な旋回中である、の少なくとも1つを満たす状況であるときに、前輪制動モードとして、前2輪、41FRおよび41FLのみを同時に、ステップS430〜S450で選択された覚醒ブレーキモードにおける制動力増減の付与条件で、制動させる。
【0096】
一方、ステップS460からS480の何れも満たさない状況であるときには、ステップS500で、左右輪を交互に覚醒制動させる。すなわち、右輪制動モードとして右2輪41FRおよび41RRのみに対して同時に1制動周期分の制動力増減を行った後、左制動モードとして左2輪41FLおよび41RLのみに対して同時に、1制動周期分の制動力増減を行う。このように2制動周期を1組として右2輪および左2輪に対して交互に制動力増減を行う。
【0097】
この左右のアンバランスな制動によって、車体に通常とは異なる振動、すなわち、運転者に予想外の違和感を与えることができ、運転者に対する覚醒効果を高めることができる。ただし、左右のアンバランスな制動は、走行安全を考慮して、外乱の影響を受け難い、高μ路での比較的低速かつ直進または緩やかな旋回走行中に限って行うこととしている。
【0098】
次に、ステップS510では、覚醒ブレーキモードの作動継続時間TがステップS430〜S450で与えられた付与期間KTを越えたか否かを判定し、越えていない場合は、ステップS530にて作動継続時間Tのカウンタ値を増加させ、ステップS400へ戻る。
【0099】
作動継続時間Tが付与時間KTを越えた場合は、ステップS520で、運転不可状態フラグをONとし、後述する自動停車モードへ移行する。
【0100】
また、ステップS400で、覚醒度が高レベル、すなわち覚醒度>70%であると判定された場合は、ステップS540で運転不可状態フラグをOFFとするとともに、覚醒ブレーキモードの作動継続時間Tをクリア(0にリセット)し、ステップS400へ戻り、上記ルーチンを繰り返す。
【0101】
なお、以上のステップS400〜ステップS530のルーチンは、所定時間毎に計算される覚醒度に基づいて繰り返されるので、作動継続時間Tが付与期間KTに達する前に覚醒度が増加し70%を越えると、ステップS400→S540により、覚醒ブレーキモードを終了することとなる。したがって、覚醒ブレーキモードの動作開始後直ちに(すなわち付与期間が終了する前に)運転者の覚醒度が高まれば、その時点で覚醒ブレーキモードの動作を終了することができ、逆に、覚醒度が低下(70%以下に)すれば、その時点で直ちに覚醒ブレーキモードの動作を始めることができる。
【0102】
本実施形態は、運転者の覚醒度の変化に即応して、覚醒ブレーキの動作を行うことができる。
【0103】
次に、ステップS220の自動停車モードについて、説明する。図8は、自動停車モードにおけるフローチャートである。
【0104】
ステップS600では、運転不可状態フラグがONであるか否かを判定し、NOであればステップS710へ移行し、停止経過時間tをクリアして、ステップS600へ戻る。YESであれば、ステップS610へ移行する。
【0105】
ステップS610では、車両VLを減速、停止させるために油圧ブレーキ装置2を加圧制御、すなわち上述した増圧過程である、ポンプ17、27の駆動、SM弁18、28のカット、減圧制御弁15a、15b、25a、25bのカット、および増圧制御弁14a、14b、24a、24bのON/OFF制御により、W/C圧を発生させる。
【0106】
また同時に、車外に対する警告のためにハザードランプを点滅させ、運転者をシートに固定するためELR92に対してロック要求を出力し、さらには、外部の警察、消防・救急あるいは道路管理者などに対して通信装置を介して緊急通報を行う。
【0107】
ステップS620では、車速センサ5の信号に基づき、車速が例えば、0.2m/秒以下となったか否かで車両の停止状態を判定する。NOであればステップS710へ移行し、YESであればステップS630へ移行する。
【0108】
ステップS630では、停止経過時間tをカウントアップし、ステップS640で停止経過時間tが第1経過時間ST1(たとえば、0.8秒)を越えたか否かを判定する。NOであれば、ステップS650で油圧ブレーキ装置2を減圧駆動してステップS600へ戻る。YESであれば、ステップS660へ移行する。
【0109】
ステップS660では、停止経過時間tが第2経過時間ST2(たとえば、1.3秒)を越えたか否かを判定する。NOであれば、ステップS670で油圧ブレーキ装置2を増圧駆動してステップS600へもどる。YESであれば、ステップS680へ移行する。
【0110】
ステップS680では、PKB3をロックさせるようブレーキ制御ECU1より駆動信号が出力される。
【0111】
次のステップS690で、停止経過時間tが第3経過時間ST3(たとえば、4.3秒)を越えたか否かを判定する。NOであればステップS600へ戻り、YESであればステップS700へ移行する。
【0112】
ステップS700では、油圧ブレーキ装置2およびPKB3の駆動を解除、すなわちポンプ17、27の停止および全ての電磁弁(SM弁、増圧制御弁、減圧制御弁)への通電OFFとして各W/C圧をリリースするとともに、PKB3の駆動信号も解除する。PKB3は駆動信号が解除されても、その制動力は維持され、車両VLの停止状態が保持される。
【0113】
同時に、ドアロックアクチュエータ93がドアロックを解除して、自動停車モードを終了する。
【0114】
上記、ステップS640〜S700は、車両VLがほぼ停止状態に近づいて停止経過時間t=0の時点から停止保持するまでの間、いわゆるショックレス停車を行う、ショック低減手段に相当するものである。
【0115】
すなわち、tが0からST1までの期間は、油圧ブレーキ装置2を前記自動ブレーキ制御の減圧過程に沿って減圧駆動し制動力を低下させる。tがST1からST2までの期間は、逆に油圧ブレーキ装置2を自動ブレーキ制御の増圧過程に沿って増圧駆動して制動力を増加させる。
【0116】
そして、tがST2を経過したらPKB3を同時に作動させて制動力を発生させ、さらにtがST3を経過して車両が完全に停車した時点で油圧ブレーキ装置2による制動力を解除し、PKB3のみの制動力で停車状態を維持するものである。また、停車後にドアロックを解除することにより、車外からの緊急対応(運転者の救急作業など)を容易にする。
【0117】
以上説明した、本実施形態の自動ブレーキ制御における覚醒ブレーキモードおよび自動停車モードの実行により、車両VLの走行、停止がどのように推移するかを図9の時間線図によって説明する。
【0118】
走行中、a時点で運転者が、例えば気を失って運転操作を行わなくなると、覚醒度が低下する。覚醒度は常に検出されており(ステップS300〜S360)、b時点で覚醒度が70%以下になったと判定される(ステップS400〜S420)と、覚醒ブレーキモードが開始される(ステップS460〜S530)。
【0119】
覚醒ブレーキモード中は、覚醒度に応じて選択された覚醒ブレーキ付与条件(ステップS430〜S450)に基づき、各車輪の制動力の周期的増減を、付与期間KTを上限として、図中c時点まで継続し、この間、車体へ断続的な振動を与えることにより運転者の覚醒を促す。
【0120】
c時点で付与期間KTが終了しても運転者の覚醒度が高レベル(70%以上)まで回復しないときには、運転不可状態フラグがONとなり(ステップS520)、自動停車モードへ移行する。
【0121】
自動停車モードが開始すると、油圧ブレーキ装置2が増圧駆動されて制動力が所定勾配でゆっくり減速できる制動力まで増加する。また、同時に、ハザードランプの点滅により他車へ警報を発するとともに、シートベルトのロックにより運転者を座席に固定して、運転者がより危険な状態とならないようにする。あわせて、車外の警察や救急などへ通信装置を用いて緊急通報を行う(ステップS610)。
【0122】
d時点で車両が停止状態になったと判定されると(ステップS620)、停止経過時間tのカウントアップが始まり、tが第1経過時間ST1となるe時点までは油圧ブレーキ装置2を減圧駆動し、所定勾配で制動力を低下させ、tがe時点を越えて第2経過時間ST2になるf時点までは、逆に油圧ブレーキ装置2を増圧駆動して制動力を回復させる。このd時点からf時点までの制動力の「抜き」は、車両の停止時のノーズダイブを軽減して、車体姿勢変化の少ない、すなわちショックの少ない停車を行う。
【0123】
なお、このd時点からf時点までの油圧ブレーキ装置2の減圧および増圧駆動は、4輪に対して行うことができるが、それ以外にも前2輪に対してのみ行うこともできる。
【0124】
f時点で、停止経過時間tが第2経過時間ST2を越えると、PKB3のロックが作動する(ステップS680)。なお、図中、PKB3の制動力は、瞬時には発生しないので所定勾配による立ち上がりとして表わしている。また、PKB3は、一旦ロック駆動した後、ロック駆動の信号を解除しても、その機構上、制動力は保持されたままになり、次に解除信号が出されるまで制動力を解除しない。
【0125】
f時点より以降、PKB3に制動力を発生させても、油圧ブレーキ装置2による制動力はまだ解除せず、停止経過時間tが第3経過時間ST3に達するg時点まで維持する。g時点で、油圧ブレーキ装置2の駆動を解除する(すなわち、作動信号をすべてOFFする)と、各車輪のW/C圧が徐々に低下して制動力が0になるが、PKB3による制動力は、ロック駆動信号が解除されても解除信号が入力されない限り持続される。
【0126】
以上のように、本実施形態の自動ブレーキ装置によれば、走行中に運転者が居眠りや気を失ったりして意識が低下し、運転操作ができなくなると、運転操作や視線の動きを反映した覚醒度低下に対応して、各車輪に付与する制動力を所定期間断続的あるいは周期的に増減して、車体に振動を生じさせ、これにより意識が低下した運転者の覚醒を促すことができる(覚醒ブレーキモード)。
【0127】
この覚醒ブレーキモードにおける制動力の増減方法は、覚醒度の大きさに応じて変更することができ、覚醒度の低下が少ない、すなわち覚醒度が中レベルの場合は増減幅および増減繰り返し周期をともに小さくし、覚醒度の低下が大きい、すなわち覚醒度が低レベル、さらには最低レベルの場合は、増減幅を大きくする、および、繰返し周期も大きくする。これにより、覚醒度のレベルに応じて、運転者の覚醒効果を高めることができる。
【0128】
さらに、本実施形態の自動ブレーキ装置によれば、覚醒のための断続的、周期的制動力増減を行っても、運転者の覚醒度が向上しない場合は、覚醒ブレーキモードから自動停車モードへ移行し、油圧ブレーキ装置を緩やかに増圧駆動して車両をゆっくり減速させ、車両が停止するときにはショックの無い停止を可能にし、更に、停止後は油圧ブレーキ装置による制動から電動パーキングブレーキによる制動に切換えることができる。すなわち、運転者に運転操作ができない状態が続く場合は、自動的に車両をゆっくりとショックなく停車させるとともに、停車後は電気エネルギーを必要とせずに長期間制動力を維持できる。
【0129】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本第2実施形態は、覚醒ブレーキモードにおいて、上記第1実施形態と同様に演算された覚醒度に応じて選択された覚醒ブレーキの制動力付与条件である覚醒制動条件を、車両の走行状態に応じて補正する点が上記第1実施形態と異なっている。以下、上記第1実施形態との相違点のみを説明し、その他の構成、および、処理フローは同じであるので説明を省略する。
【0130】
図10は、本第2実施形態の覚醒ブレーキモードにおける、上記第1実施形態とは異なる処理部分のフローチャートであり、第1実施形態の図6のフローチャートに続く部分のみを示している。なお、図10中、第1実施形態と同じ処理内容のステップには同一符号を付して、説明を簡略化する。
【0131】
図6のステップS430〜S450において制動力増減の付与条件を選択した後、ステップS505で、選択された付与制動力の条件を基準値として、その基準値(基準付与制動力および基準付与期間)を次のように補正する。
【0132】
付与制動力は、基準付与制動力に、路面μ、車速および横G(または、旋回半径)に応じてそれぞれ設定された補正係数を掛けることにより補正する。補正係数は、図11に示すように、路面μが大きくなる(滑り難い路面状態)に応じて1以下の値から1へ増加する補正係数KP1と、車速が大きくなるに応じて1から1以下の値へ減少する補正係数KP2と、横Gが大きくなる(急激な旋回)に応じて1から1以下の値へ減少する補正係数KP3とが、予めマップ化されて設定されている。なお、補正係数KP3は、横Gの代わりに旋回半径Rに対して、Rが大きくなるに応じて1以下の値から1へ増加するように設定してもよい。
【0133】
これらの補正係数KP1〜KP3を用いて、付与制動力および付与期間を数式2により補正する。
【0134】
【数2】
付与制動力=基準付与制動力×KP1×KP2×KP3
付与期間=基準付与期間×KP1×KP2×KP3
これにより、付与制動力は、基準付与制動力に対して、路面μが小さくなるほど小さく、車速が大きくなるほど小さく、横Gが大きくなる(または、旋回半径が小さくなる)ほど小さく、それぞれ補正される。また、付与期間も同様に、基準付与期間に対して、路面μが小さくなるほど短く、車速が大きくなるほど短く、横Gが大きくなる(または、旋回半径が小さくなる)ほど短く、それぞれ補正される。
【0135】
なお、上記路面μ、車速、および横G(あるいは旋回半径)は、ともに上記第1実施形態と同様に検出または算出されるものである。
【0136】
ステップS510で〜S530で、ステップS505で補正された制動力付与条件に基づいて全輪制動モードとして4輪全部に対して制動力増減による覚醒ブレーキ制御を行う。これは、第1実施形態において、路面μ、車速および横G(または旋回半径)の大小により前輪のみ覚醒ブレーキを作用させるか、左右輪を交互に制動させることにより覚醒ブレーキを作用させるかの代わりに行うものである。
【0137】
なおステップS540では、上記第1実施形態と同じ処理が行われる。
【0138】
本第2実施形態では、走行状態として路面μ、車速および横G(または旋回半径)の大きさに応じて、制動力の増減条件、詳しくは付与制動力および付与期間を補正するので、運転者に対して走行状況に応じた覚醒効果の高い制動力増減方法を実現できる。
【0139】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、次のように種々の変形を施すことができる。
【0140】
(1)上記第1、および第2実施形態において覚醒ブレーキモードでの制動力増減の付与パターンは、図9に例示するように三角波パターンとして説明したが、これに限らず、矩形波形状のようにステップ的に増加および減少するパターンを繰り返すものでもよい。さらには、増加勾配と減少勾配が異なる鋸歯波形状でもよい。
【0141】
(2)さらに、覚醒ブレーキモードにおける制動力の増減パターンは、上記各実施形態のように周期的、すなわち一定周期での繰り返しであってもよいが、これに限らず、覚醒ブレーキモードの開始直後は繰り返し期間を長くし、時間経過とともに繰り返し期間を徐々に短くするようにしてもよい。さらに、覚醒ブレーキモードの経過時間とともに繰り返し期間をランダム(不定期)に変更してもよい。このランダム性に1/f揺らぎ特性をもたせてもよい。
【0142】
(3)上記第1実施形態では、各車輪に対する覚醒制動の付与方法は、前2輪のみON−OFF制動(前輪制動モード)、または左2輪と右2輪との交互制動(左輪制動モードと右輪制動モードとの交互実行)の例を示したが、これに限らず、後2輪のみON−OFF制動(後輪制動モード)しても、前2輪と後2輪との交互制動(前輪制動モードと後輪制動モードとの交互実行)であっても、全4輪を同時にON−OFF制動(全輪制動モード)しても、さらには、ダイアゴナルの関係にある右前輪と左後輪のみまたは左前輪と右後輪のみをON−OFF制動してもよい。さらには、全4輪をON−OFF制動する場合でも、前2輪と後2輪とに時間差をもたせて制動の増加減を行うようにしてもよい。
【0143】
(4)上記(1)〜(3)の各要素を適宜組み合わせて覚醒制動パターンを設定してもよい。要は、何れの覚醒制動パターンでも、走行上の安全を保ちながら、覚醒制動により車体に運転者にとって予想外の振動を発生させることが、運転者の覚醒を促す上で効果的である。
【0144】
(5)上記各実施形態で、ショック低減手段による車両停止時の制動に伴うショックを低減する方法として、油圧ブレーキ装置2による制動力を一旦減少させた後、増加させ、車両が停止した後に油圧ブレーキ装置2からPKB3へと制動力の発生機構を切換えるものを示したが、これに限らず、例えば、図12の時間線図に示すように油圧ブレーキ装置2の制動力を一旦緩和せず、PKB3の制動力を組み合わせて発生するようにしてもよい。
【0145】
図12において、運転者が運転操作ができなくなったa時点から車両が停止状態になったと判定されるd時点までは、前記図9と同じである。図12においては、d時点で車両が停止したと判定されると、油圧ブレーキ装置2は緩やかな勾配で制動力が0になるまで減圧するよう駆動され、それと同時にPKB3をロック駆動して比較的緩やかに制動力を発生させる。
【0146】
このように、車両停止時に油圧ブレーキ装置2による制動力を減少させ、同時にPBK3による制動力を増加させることにより、上記各実施形態と同様に、停車時の制動によるショックを低減することができる。
【0147】
なお、この場合の油圧ブレーキ装置2の減圧駆動は、4輪に対して行うことができるが、それ以外にも前2輪に対してのみ行うこともできる。
【0148】
(6)上記各実施形態で、覚醒度を演算、検出するための運転者の動作を検出するセンサとして、視線センサ86を用いたが、これに限らず、運転者の瞬きを検出する瞬きセンサ等を用いてもよい。瞬きは視線センサと同様に画像処理装置を用い、この画像処理装置により運転者の顔画像から目または瞼の画像を取り出し、眼球の面積変化または瞼部分の面積変化より瞬き動作を検出するもので、この瞬き動作から演算により得られる瞬きの頻度や瞬きの開度に基づいて、運転者の覚醒度を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の自動ブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態の自動ブレーキ装置の油圧ブレーキ装置の構成を示す図である。
【図3】本実施形態の自動ブレーキ装置が実行するメインルーチンを示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の自動ブレーキ制御おいて実行されるフローチャートである。
【図5】本実施形態の覚醒判定おいて実行されるフローチャートである。
【図6】本実施形態の覚醒ブレーキモードにおいて実行されるフローチャートの前半部分である。
【図7】本実施形態の覚醒ブレーキモードにおいて実行されるフローチャートの後半部分である。
【図8】本実施形態の自動停車モードにおいて実行されるフローチャートである。
【図9】本実施形態の自動ブレーキ装置の動作過程を示す時間線図である。
【図10】本発明の第2実施形態の覚醒ブレーキモードにおいて実行されるフローチャートの後半部分である。
【図11】(a)〜(d)は、第2実施形態の覚醒ブレーキモードにおいて、覚醒制動の付与条件を補正する補正係数特性を示す図である。
【図12】他の実施形態における、自動ブレーキ装置の動作過程を示す時間線図である。
【符号の説明】
1…ブレーキ制御ECU、2…油圧ブレーキ装置(第1のブレーキ手段)、
3…PKB(第2のブレーキ手段)、38…ブレーキワイヤ、4…車輪、
5…車輪速センサ、6…車内LANバス、71…車間距離制御ECU、
8…センサ群、81…横加速度センサ、82…操舵角センサ、
83…シフト位置センサ、84…ブレーキペダルセンサ、
85…アクセルペダルセンサ、86…視線センサ、87…車間センサ、
91…警報・ランプ手段、92…シートベルト巻取り装置、
93…ドアロックアクチュエータ、
10…M/C、11,21…配管系統、12,22…減圧配管、
13、23…吸引配管、14,24…増圧制御弁、15,25…減圧制御弁、
16,26…リザーバ、17,27…ポンプ、18,28…マスタカット弁、
19,29,30…圧力センサ、20…モータ、41…W/C。
Claims (14)
- 運転者の覚醒度を検出する覚醒度検出手段と、
車両の各車輪にそれぞれ制動力を与えるブレーキ手段と、
前記検出された覚醒度が低いと判定される場合に、前記ブレーキ手段を制御して前記各制動力を所定の付与条件で繰り返し増減させる覚醒ブレーキモードを実行する制御手段と、
を備えることを特徴とする自動ブレーキ装置。 - 前記覚醒ブレーキモードにおける付与条件は、前記繰り返し増減される制動力を定める付与制動力と前記繰り返し増減の期間を定める付与期間を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動ブレーキ装置。
- 前記覚醒ブレーキモードにおける付与条件は、前記繰り返し増減の周期を定める制動周期をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の自動ブレーキ装置。
- 前記制御手段は、覚醒度が低いと判定される期間と前記付与期間とのいずれか短い期間、前記制動力の繰り返し増減を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の自動ブレーキ装置。
- 前記制御手段は、前記制動周期を時間経過と共に短くなるよう変化させることを特徴とする請求項3に記載の自動ブレーキ装置。
- 前記制御手段は、前記覚醒度の大きさが低い場合に前記付与期間を長く設定することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の自動ブレーキ装置。
- 前記制御手段は、前記車両の全車輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる全輪制動モードを実行することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の自動ブレーキ装置。
- 前記制御手段は、前記車両の前輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる前輪制動モードおよび後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる後輪制動モードのいずれか一方を実行することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の自動ブレーキ装置。
- 前記制御手段は、前記車両の前輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる前輪制動モードと後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる後輪制動モードとを交互に実行することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の自動ブレーキ装置。
- 前記制御手段は、前記車両の左側前後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる左輪制動モードと右側前後輪に発生させる制動力を繰り返し増減させる右輪制動モードとを交互に実行することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の自動ブレーキ装置。
- 前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出された走行状態を表わす情報に基づいて前記付与条件を変化させることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の自動ブレーキ装置。 - 前記走行状態は、走行路面の摩擦係数、前記車両の速度および横加速度の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項11に記載の自動ブレーキ装置。
- 前記覚醒度は、前記運転者の動作頻度に応じて大きさが定められるものであることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の自動ブレーキ装置。
- 前記制御手段は、前記付与期間経過後に、前記検出された覚醒度が低いと判定される場合に、前記車両を自動的に減速および停止する自動停車モードを実行することを特徴とする請求項2ないし13のいずれか1つに記載の自動ブレーキ装置。
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