JP2004004806A - 静電荷像現像トナー用バインダー及び静電荷像現像トナー - Google Patents

静電荷像現像トナー用バインダー及び静電荷像現像トナー Download PDF

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Showa Iwata
岩田 将和
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Abstract

【課題】熱定着方式用の静電荷像現像トナーにおいて、環境安定性に優れ、特異臭がきわめて少ないポリエステル樹脂系トナーバインダーを提供する。
【解決手段】カルボン酸成分(a)とアルコール成分(b)とを構成成分とするポリエステル樹脂(A)からなる静電荷像現像トナー用バインダーにおいて、(a)及び/又は(b)の少なくとも一部が炭素数100〜1000の脂肪族炭化水素基(x)を有する成分(X)からなることを特徴とするバインダー。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真、静電記録、静電印刷等に用いられる静電荷像現像トナー用バインダー及び静電荷像現像トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ等における画像の定着方式として一般的に採用されている熱定着方式用の静電荷像現像トナーは、高い定着温度でもトナーが熱ロールに融着せず(耐ホットオフセット性)、定着温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)、更に低温低湿から高温多湿の条件下でも安定した画質が得られること(環境安定性)等が求められる。低温定着性に優れることからポリエステル樹脂がトナーバインダーとして従来から検討されているが、特に、構成成分としてビスフェノールA系モノマー及び炭素数12〜44のアルケニルコハク酸系モノマー成分を含むポリエステル樹脂を使用することにより適正な複写画像を安定に提供できることが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−202374号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記に提案されているポリエステル樹脂は、環境安定性に優れるものの特異臭を有するため、そのポリエステル樹脂からなるトナーを使用した場合、コピー機あるいはプリンタ周辺に特異臭が発生することから、静電荷像現像トナー用バインダーとしては十分とは言えなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、カルボン酸成分(a)とアルコール成分(b)とを構成成分とするポリエステル樹脂(A)からなる静電荷像現像トナー用バインダーにおいて、(a)及び/又は(b)の少なくとも一部が炭素数100〜1000の脂肪族炭化水素基(x)を有する成分(X)からなることを特徴とするバインダー;並びに該バインダーと着色剤を含有する静電荷像現像トナーである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
脂肪族炭化水素基(x)の炭素数は、通常100〜1000である。下限は、好ましくは120であり、上限は、好ましくは800、更に好ましくは300である。
炭素数が100〜1000の範囲では環境安定性が良好であり、得られるポリエステル樹脂の臭気が極めて少ない。
(x)の炭素数は、(x)を有する成分(X)の数平均分子量(Mn)と(X)における1分子当たりの官能基の数(平均官能基数)から次式により求めることができる。
炭素数=(Mn−平均官能基数×官能基の分子量)÷14
上記及び以下において、(X)のMn及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される(溶媒:オルソジクロロベンゼン、基準物質:ポリスチレン)。
【0007】
(X)には、(x)を有するカルボン酸成分(Xa)、(x)を有するアルコール成分(Xb)、及びこれらの併用が含まれる。
(X)の平均官能基数は、ポリエステル樹脂合成の観点から、通常1以上であり、下限は、好ましくは1.6個、更に好ましくは1.8個、特に1.9個であり、上限は、好ましくは6個、更に好ましくは4個、特に2.1個である。但し、酸無水物基1個は官能基2個として扱う。
ここで平均官能基数は(X)のMnと、水酸基価、酸価又はケン化価から次式▲1▼又は▲2▼により求めることができる。
▲1▼官能基が水酸基、カルボキシル基又はエステル基の場合:
平均官能基数=Mn×[(X)の水酸基価、酸価又はケン化価]÷56100▲2▼官能基が酸無水物基の場合:
平均官能基数=Mn×[(Xa)の酸価]×2÷56100
尚、本発明においては、(Xa)の酸価は、(Xa)をキシレンに加熱溶解して、加熱状態でアルコール性KOH溶液を用いて滴定して測定するので、官能基が酸無水物基の場合に得られる酸価は半エステル化酸価となるため、酸無水物基の場合の平均官能基数は▲2▼式により求める。
【0008】
(Xa)には、カルボキシ変性ポリオレフィン(Xa1)、例えば炭素数100〜1000のポリオレフィンを不飽和カルボン酸又は酸化により変性したポリオレフィンが含まれる。
上記ポリオレフィンとしては、エチレン、炭素数3〜8(好ましくは3〜4、特に3)のα−オレフィン(プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン及び1−オクテン等)、及びこれらの2種以上の混合物(例えばエチレン10〜90%と炭素数3〜8のα−オレフィン10〜90%の混合物)等のオレフィンの(共)重合体が含まれる。これらのうち好ましいものは、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン/プロピレン共重合体である。なお、上記及び以下において%は、別に規定しない限り重量%を意味する。
ポリオレフィンには、前記オレフィンを公知のオレフィン重合触媒(チーグラー型触媒及びカミンスキー型触媒等)により重合させたポリオレフィンや高圧重合で得られる低密度ポリエチレン(LDPE)、及び同様に重合した高分子量ポリオレフィン(Mn5万〜50万又はそれ以上)を高温(例えば280〜390℃)で熱分解(熱減成)することで得られる熱減成型ポリオレフィンが含まれる。これらのうち好ましいものは不飽和結合含有ポリオレフィン、特に熱減成型ポリオレフィンである。不飽和結合の含有量は、炭素数1000個当たり、好ましくは0.4〜10個、特に0.6〜8個である。
【0009】
変性に用いる不飽和カルボン酸には、炭素数3〜10又はそれ以上の、モノ−、及びポリカルボン酸、例えば不飽和ジカルボン酸(無水物)(例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等、及びこれらの酸無水物)、不飽和モノカルボン酸[例えば、(メタ)アクリル酸、(イソ)クロトン酸、ケイヒ酸]が挙げられる。  これらの中で好ましくは不飽和ジカルボン酸(特にマレイン酸)(無水物)であり、更に好ましくは無水マレイン酸である。
【0010】
(Xa)は、例えば次のような方法で得ることができる。
▲1▼ ポリオレフィンにラジカル発生剤(例えばベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及びt−ブチルパーオキシベンゾエート)の存在下で不飽和ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を反応させる方法。
▲2▼ 不飽和結合含有ポリオレフィンと、不飽和ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体をエン反応により熱的に(例えば190℃以上の温度で)付加させる方法。
▲3▼ 酸素及び/又はオゾンによる酸化(例えば、米国特許3,692,877号明細書に記載の方法)。
上記及び以下において、カルボン酸のエステル形成性誘導体には、酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)、及び酸ハライド(酸のクロライド等)が含まれる。
これらのうち好ましくは▲1▼及び▲2▼の方法であり、更に好ましくは▲2▼の方法である。▲1▼、▲2▼の変性に用いる不飽和ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体の量は、ポリオレフィンの重量に基づいて、好ましくは0.5〜40%、更に好ましくは1〜30%である。
【0011】
(Xa)の酸価は、好ましくは5〜100(mgKOH/g)である。更に好ましくは下限は10、上限は70である。また、Mnは、好ましくは1500〜14000、更に好ましくは1800〜10000である。
【0012】
(Xb)には、水素化されていてもよいヒドロキシ末端ポリアルカジエン(Xb1)、例えば、Mnが1500〜14000のヒドロキシ末端ポリジエン類[ヒドロキシ末端を有するポリブタジエン及びポリイソプレン等]、及びそれらの水添化物等;ヒドロキシ変性ポリオレフィン[例えば上記(Xa)(無水マレイン酸変性ポリオレフィン等)とアルカノールアミン(炭素数2〜4:エタノールアミン等)との反応生成物;並びに不飽和結合含有ポリオレフィンから誘導されたオキソアルコール;が含まれる。これらの中で好ましくは(Xb1)である。
(Xb)の水酸基価は、好ましくは10〜100(mgKOH/g)、更に好ましく下限は20、上限は70である。
【0013】
(Xb)は、例えば次のような方法で得ることができる。
▲1▼ ジエンモノマー(ブタジエン及びイソプレン等)を過酸化水素を開始剤として重合させ、必要により更に水素添加を行う方法。
▲2▼ ジエンモノマーをリビングアニオン性重合が可能な開始剤(例えばナフタレンナトリウム)で重合させた後、重合活性末端に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下AOと略記)[エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びテトラヒドロフラン(以下それぞれ、EO、PO及びTHFと略記)、及び1,2−、2,3−、又は1.3−ブチレンオキサイド]等を付加させ、必要により、更に水素添加を行う方法。
これらのうち好ましくは▲1▼の方法である。
【0014】
これらの(X)のうち、トナーの流動性の観点から、好ましいのは(Xa)である。最も好ましいのは、ポリオレフィンの熱減成により得られるポリエチレン、ポリα−オレフィン(炭素数3〜8)、又はエチレン・α−オレフィン(炭素数3〜8)共重合体に、無水マレイン酸をエン反応により熱的に付加させた変性ポリオレフィンである。
【0015】
ポリエステル樹脂(A)には、(Xa)及び必要により他のポリカルボン酸[ジカルボン酸(a1)及び/又は3〜6価若しくはそれ以上のポリカルボン酸(a2)]からなる成分(a)と、(Xb)及び/又は他のポリオール[ジオール(b1)及び/又は3〜8価若しくはそれ以上のポリオール(b2)]からなる成分(b)から構成されるポリエステル(A1);(Xb)及び必要により他のポリオール[(b1)及び/又は(b2)]からなる成分(b)と、他のカルボン酸[(a1)及び/又は(a2)]からなる成分(a)から構成されるポリエステル(A2);並びにこれらの2種以上の混合物が含まれる。これらの中で好ましくは(A1)である。
【0016】
ジカルボン酸(a1)としては、脂肪族炭化水素基の炭素数が100未満のジカルボン酸、具体的には、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク、アジピン、及びセバシン酸)及びアルケニルコハク酸(例えばドデセニルコハク酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えばマレイン、フマル、シトラコン、及びメサコン酸);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル、イソフタル、テレフタル、及びナフタレンジカルボン酸等);及びこれらのエステル形成性誘導体;等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
【0017】
3〜6価若しくはそれ以上のポリカルボン酸(a2)としては、脂肪族炭化水素基の炭素数が100未満のポリカルボン酸、具体的には、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット、及びピロメリット酸等)、及びこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
これらのうち好ましいものはトリメリット酸及びピロメリット酸並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
【0018】
ジオール(b1)としては、脂肪族炭化水素基の炭素数が100未満のジオール、具体的には、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜4、以下のポリオキシアルキレン基も同じ)エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;及び2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、及びビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられる。
【0019】
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)及びこれらの併用(重量比0:100〜80:20)である。更に好ましいものは、ビスフェノール類(特にビスフェノールA)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜8)、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコール(特にエチレングリコール)との併用(重量比100:0〜20:80)である。
【0020】
3価〜8価若しくはそれ以上のポリオール(b2)としては、脂肪族炭化水素基の炭素数が100未満のポリオール、具体的には、炭素数3〜36の3価〜8価若しくはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオール及びその分子内若しくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、及びジペンタエリスリトール;糖類及びその誘導体、例えばショ糖及びメチルグルコシド);上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(AO単位の数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられる。
【0021】
これらのうち好ましいものは、3〜8価若しくはそれ以上の脂肪族多価アルコール及びノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
【0022】
また、(X)、(a1)、(a2)、(b1)、(b2)の他にも炭素数4〜20の脂肪族又は芳香族のヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシステアリン酸及び硬化ヒマシ油脂肪酸等)、炭素数6〜12のラクトン(カプロラクトン等)を使用することもできる。
【0023】
(A)が(X)と前記の他のポリオール及び/又は他のポリカルボン酸を構成成分として含有する場合、(A)の分子鎖における隣接する(X)の間及び分子末端と分子末端に最も近い(X)との間は、他のポリオール、他のカルボン酸、又は他のポリオールと他のポリカルボン酸との重縮合体で構成されるが、定着温度幅を広くする観点から、他のカルボン酸は分子量98〜Mn950であることが好ましく、他のポリオールは分子量62〜Mn950であることが好ましい。他のカルボン酸と他のポリオールとの重縮合体のMnが950以下であることが更に好ましい。
【0024】
(A)は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、(b)と(a)とを重縮合(エステル化及び/又はエステル変性)させる方法、(b)に(a)のうちの酸無水物及びAOを反応させる方法が挙げられる。
【0025】
(A)を得るための反応温度は、特に制限されないが、好ましくは150〜280℃、更に好ましくは160〜250℃、特に170〜235℃である。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、特に2〜40時間である。このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することもできる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒(例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、及びテレフタル酸チタン)、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、及び酢酸亜鉛等がある。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
【0026】
(A)を構成する成分(b)の水酸基[OH]と、(a)のカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]は、通常2/1〜1/2、好ましくは1.8/1〜1/1.8、特に1.5/1〜1/1.5である。
(a2)及び(b2)の使用比率は、(a2)と(b2)のモル数の和が(a)と(b)のモル数の合計に対して、通常0〜40モル%、好ましくは0〜25モル%、特に0〜20モル%である。なお、(X)中に3価以上のものを含む場合は、それを含めたモル数の合計比率が、(a)と(b)と(X)のモル数の合計に対して上記範囲内であることが好ましい。
【0027】
(A)中の(x)の含有量は、通常任意に設定できるが、トナーの保存性と定着性能及び粉砕性のバランスの観点から、0.1〜20%であることが好ましい。下限は、更に好ましくは0.2%、特に0.5%であり、上限は、更に好ましくは10%、特に5%である。
また、(a)中の(Xa)の含有量、及び(b)中の(Xb)の含有量は、(A)中の(x)の含有量が上記範囲となる量で用いるのが好ましい。
【0028】
本発明において、(A)のTHF可溶分とTHF不溶分は以下の方法で得られたものである。
200mlの共栓付きマイヤーフラスコに、試料約0.5gを精秤し、THF50mlを加え、3時間撹拌還流させて冷却後、グラスフィルターにてTHF不溶分をろ別する。このろ液をTHF可溶分として使用する。
また、後述のTHF不溶分の%は、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥した後の重量と試料の重量比から算出する。
【0029】
(A)のTHF可溶分の最大ピーク分子量(Mp)、Mn、Mwの好ましい範囲は、Mpが1000〜30000、Mnが800〜100000、Mwが1500〜10000000であり;更に好ましくはMpが1500〜25000、Mnが1000〜95000、Mwが1800〜8000000;特に好ましくはMpが1800〜20000、Mnが1500〜70000、Mwが2000〜5000000である。Mpが1000以上、Mnが800以上及びMwが1500以上で、トナーとしたときの耐熱保存安定性及び粉体流動性が良好となり、Mpが30000以下、Mnが100000以下及びMwが10000000以下でトナーとしたときの粉砕性が向上し、生産性が良好となる。
【0030】
上記及び以下においてポリエステル樹脂のTHF可溶分のMp、Mn及びMwは、GPCを用いて以下の条件で測定される。
Figure 2004004806
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量を最大ピーク分子量(Mp)と称する。
【0031】
低温定着性の点から、(A)のTHF不溶分が70%を越えないことが好ましく、更に好ましくは0〜60%、特に0〜50%である。
【0032】
(A)のガラス転移点(Tg)は、耐熱保存安定性と低温定着性の点から、好ましくは40〜90℃、更に好ましくは45〜80℃、特に50〜75℃である。
尚、上記及び以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製 DSC20,SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
【0033】
また、(A)の100kHzで測定した電気抵抗値(LogR)は、好ましくは10〜12、更に好ましくは10.4〜11.6である。電気抵抗値は、例えば安藤電気(株)製、誘導体損測定器TR−1000で測定できる。
【0034】
本発明のトナーバインダーは、その特性を著しく損なわない範囲で他のバインダー樹脂と併用することができる。
他の樹脂としては、例えば(x)を有しないポリエステル樹脂[(b1)及び/又は(b2)からなる(b)と(a1)及び/又は(a2)からなる(a)とのポリエステル]、スチレン系樹脂、エポキシ樹脂及びウレタン樹脂が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、スチレンの重合体及びスチレンとその他のビニルモノマーとの共重合体(例えば重量比、99:1〜30:70)等が使用できる。
重合反応には、公知の重合反応触媒等が使用できる。
【0035】
その他のビニルモノーとしては、以下の▲1▼〜▲7▼のモノマー及びこれらの併用が挙げられる。
▲1▼カルボキシル基若しくはカルボン酸エステル基含有ビニル系モノマー:
▲1▼−1)炭素数3〜20の不飽和モノカルボン酸:(メタ)アクリル、クロトン及び桂皮酸等;
▲1▼−2)炭素数4〜30の不飽和ジカルボン酸並びにその酸無水物及びモノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル:例えばマレイン、フマル、イタコン、及びシトラコン酸、並びにこれらの無水物及びこれらのモノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル(メチル、及びエチルエステル等);
▲1▼−3)炭素数3〜30の不飽和カルボン酸ハイドロカルビル(炭素数1〜24)エステル:例えばメチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル、ステアリル、エイコシル、シクロヘキシル、及びベンジル(メタ)アクリレート;
【0036】
▲1▼−4)炭素数3〜30の不飽和カルボン酸多価(2〜3)アルコールエステル:例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、及び1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;
▲1▼−5)炭素数2〜20の不飽和アルコール[ビニル、イソプロペニル等]と炭素数1〜12のモノ若しくはポリカルボン酸とのエステル:ビニルアルカノエート(アセテート、プロピオネート、及びブチレート)等。
【0037】
▲2▼ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:
▲2▼−1)炭素数5〜16のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;
▲2▼−2)炭素数2〜12のアルケノール、例えば(メタ)アリルアルコール、1−ブテン−3−オール及び2−ブテン−1−オール;
▲2▼−3)炭素数4〜12のアルケンジオール、例えば2−ブテン−1,4−ジオール;
▲2▼−4)炭素数3〜30のアルケニルエーテル、例えば2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び蔗糖アリルエーテル等。
【0038】
▲3▼ビニル系炭化水素:
▲3▼−1)スチレン以外の芳香族ビニル系炭化水素(炭素数8〜20):スチレンのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン;並びにビニルナフタレン。
▲3▼−2)脂肪族ビニル系炭化水素:炭素数2〜20のアルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン及び前記以外のα−オレフィン等;炭素数4〜20のアルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン;
▲3▼−3)脂環式ビニル系炭化水素(炭素数5〜20):モノ及びジシクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン;テルペン類、例えばピネン、リモネン及びインデン。
【0039】
▲4▼エポキシ基含有ビニル系モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート等。
▲5▼ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル等。
▲6▼イソシアネート基含有ビニルモノマー:(メタ)アクリロイルイソシアネート等。
▲7▼アミノ基含有ビニル系モノマー:1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリレート〔例えば、アミノエチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、及びt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート〕、相当する(メタ)アクリルアミド〔例えば、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド〕、アルケニルアミン〔例えば、(メタ)アリルおよびクロチルアミン〕、複素環アミノ基含有ビニル系モノマー〔例えば、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、及びビニルイミダゾール〕等。
【0040】
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシドと(b1)及び/又は(b2)との重付加物、並びにポリエポキシドと(a1)及び/又は(a2)との硬化物等が使用できる。
重付加反応及び硬化反応には、公知の触媒等が使用できる。
ポリエポキシドとしては、2〜10個またはそれ以上のエポキシ基を有する、芳香族ポリエポキシド、複素環含有ポリエポキシド、脂環族ポリエポキシド及び脂肪族ポリエポキシド等が用いられる。
【0041】
芳香族ポリエポキシドとしては、多価フェノールグリシジルエーテル(例えば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル及びビスフェノールSジグリシジルエーテル);芳香族多価カルボン酸グリシジルエステル(例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル及びテレフタル酸ジグリシジルエステル);グリシジル芳香族ポリアミン(例えば、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン)等が挙げられる。
【0042】
複素環ポリエポキシドとしては、トリスグリシジルメラミン等が挙げられる。
脂環族ポリエポキシドとしては、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド及びビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテルが挙げられる。
【0043】
脂肪族ポリエポキシドとしては、脂肪族多価アルコール〔前記(b1)及び(b2)〕のポリグリシジルエーテル(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル及びテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル);ポリカルボン酸〔前記(a1)及び(a2)〕のポリグリシジルエステル(例えば、ジグリシジルオキサレート及びジグリシジルマレート);グリシジル脂肪族アミン(例えばN,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン)等が挙げられる。
【0044】
ポリウレタン樹脂としては、有機ポリイソシアネートとポリオール[例えば(Xb)、(b1)、(b2)、(b1)及び/又は(b2)と(a1)の重縮合により得られるポリエステルポリオール、炭素数6〜12のラクトンの開環重合体及びこれらの併用]との重付加物等が使用できる。
重付加反応には、公知の重付加反応触媒等が使用できる。
【0045】
ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート[例えば、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及び粗製MDI];炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート[例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びドデカメチレンジイソシアネート];炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート[例えばイソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート及びメチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)];炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート[例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート];及びこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン、カルボジイミド、アロファネート、ウレア、ビューレット、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、又はオキサゾリドン基含有変性物等);並びにこれらの2種以上の混合物等が用いられる。
【0046】
他の樹脂のMwは、通常1000〜200万である。
他の樹脂の含有量は、ポリエステル樹脂(A)と他の樹脂の合計重量に基づいて、通常0〜80%、好ましくは0〜50%、特に0〜25%である。
【0047】
本発明の静電荷像現像トナーは、本発明のトナーバインダー、着色剤及び必要により離型剤、荷電制御剤、流動化剤等種々の添加剤等を含有する。
着色剤としては、顔料、染料を用いることができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエロ−G、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、バラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、プリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末若しくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
【0048】
離型剤としては、軟化点が50〜170℃のものが好ましく、通常、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、及びサゾールワックス等が挙げられる。
【0049】
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックスが挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
【0050】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩、スルホン酸基含有ポリマー、含フッソ系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
【0051】
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
【0052】
本発明の静電荷像現像トナーの組成比は、トナー重量に基づき、トナーバインダーが通常30〜97%、好ましくは40〜95%、更に好ましくは45〜92%;着色剤が通常0.05〜60%、好ましくは0.1〜55%、更に好ましくは0.5〜50%;添加剤のうち、離型剤が通常0〜30%、好ましくは0.5〜20%、更に好ましくは1〜10%;荷電制御剤が通常0〜20%、好ましくは0.1〜10%、更に好ましくは0.5〜7.5%;流動化剤が、通常0〜10%、好ましくは0〜5%、更に好ましくは0.1〜4%である。また、添加剤の合計含有量は、通常3〜70%、好ましくは4〜58%、更に好ましくは7〜50%である。トナーの組成比が上記の範囲にあることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
【0053】
本発明の静電荷像現像トナーを得る方法は特に制限はないが、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェット粉砕機等を用いて微粒化して、更に分級することにより粒径(D50)が通常5〜20ミクロンの微粒とした後、流動化剤を混合してトナーを得る方法等を挙げることができる。
尚、粒径(D50)は、コールターカウンター[例えば、商品名:マルチタイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
【0054】
本発明の静電荷像現像トナーは必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリアー粒子との重量比は、通常1/99〜100/0である。
また、キャリア粒子のかわりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明の静電荷像現像トナーは複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
【0055】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
試験方法は以下の通りである。
【0056】
(1)現像剤の調製
トナー30部とフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)800部を均一混合し二成分現像剤とする。
【0057】
(2)最低定着温度(MFT)及びホットオフセット発生温度(HOT)
上記二成分現像剤を用いて市販複写機[AR5030、シャープ(株)製]で現像した未定着画像を、市販フルカラー複写機[LBP−2160、キヤノン(株)製]の定着ユニットを改造し熱ローラー温度を可変にした定着機を用いてプロセススピード80mm/秒で定着する。定着画像を布パッドで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる熱ローラー温度を最低定着温度(MFT)とする。また目視判定でホットオフセットが発生し始める温度をホットオフセット発生温度(HOT)とする。
【0058】
(3)画像濃度及び環境安定性
上記二成分現像剤を用いて市販複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて現像した未定着画像を、市販フルカラー複写機[LBP−2160、キヤノン(株)製]の定着ユニットを用いて熱ローラー温度190℃、プロセススピード80mm/秒で定着する。定着画像の画像濃度をマクベス濃度計を用いて測定する。
現像を23℃/50%RHで行ったものを画像濃度(N/N)、35℃/85%RHで行ったものを画像濃度(H/H)とする。
更に画像濃度(N/N)と画像濃度(H/H)の差が
▲1▼0以上0.2未満のものを環境安定性A
▲2▼0.2以上0.4未満のものを環境安定性B
▲3▼0.4以上のものを環境安定性C
とする。A及びBが実用範囲である。
【0059】
(4)臭気
トナーをガラス製臭気ビンに入れて密閉し、35℃で24時間温調した後に、ふたを開けて臭気を評価する。評価は5人の官能試験により行い、
▲1▼1人以下が不快な異臭を感じた場合○
▲2▼2〜3人が不快な異臭を感じた場合△
▲3▼4人以上が不快な異臭を感じた場合×
とする。
【0060】
製造例1
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、三洋化成(株)製ビスコールHTP(熱減成ポリオレフィン;Mn2300、Mw7700、炭素数約164、溶融粘度70mPa・s/at160℃、環球式軟化点148℃)100部、キシレン400部及び無水マレイン酸3部を入れ、加圧窒素雰囲気下173℃にてt−ブチルパーオキシド0.25部とキシレン5部の混合溶液を滴下し、170℃で2時間反応後、系内を徐々に減圧にして5mmHgとし、溶媒と未反応の無水マレイン酸を留去して、無水マレイン酸変性ポリオレフィン(X−1)を得た。(X−1)の酸価は14、Mnは4100、平均官能基数は2.05であった。
【0061】
製造例2
撹拌及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、ビスコール660P[三洋化成工業(株)製熱減成ポリオレフィン;平均炭素数約180、炭素数1000当たりの不飽和結合数5.5]100部、無水マレイン酸10部を入れ、210℃で20時間反応させ、エン反応による無水マレイン酸変性ポリオレフィン(X−2)を得た。(X−2)の酸価は21.9、Mnは2510、平均官能基数は1.96であった。
【0062】
製造例3
製造例1と同様の反応槽中に、(X−1)7部、ビスフェノールAのPO2モル付加物739部、テレフタル酸176部、無水マレイン酸78部及び縮合触媒としてジブチルスズオキシド3部を入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで20〜40mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(A−1)を得た。(A−1)中の炭化水素基(x)の含有量は0.7%である。
【0063】
製造例4
(X−1)を(X−2)に代えた以外は製造例3と同様にしてポリエステル樹脂(A−2)を得た。(A−2)中の(x)の含有量は0.7%である。
【0064】
製造例5
製造例1と同様の反応槽中に、(X−2)7部、ビスフェノールAのPO2モル付加物309部、ビスフェノールAのEO2モル付加物355部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のEO5モル付加物21部、テレフタル酸121部、フマル酸74部及び縮合触媒としてジブチルスズオキシド3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸87部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下に反応させ軟化点が120℃になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(A−3)を得た。(A−3)中の(x)の含有量は0.7%である。
【0065】
製造例6
(A−2)500部、(A−3)500部をプラストミルに入れ、155℃で5分間撹拌して溶融混合し、ポリエステル樹脂(A−4)を得た。(A−4)中の(x)の含有量は0.7%である。
【0066】
製造例7
製造例1と同様の反応槽中に、ポリテールH〔三菱化学(株)製、水添アルカジエン末端水酸基化物、炭素数約170、水酸基価約45)6部、ビスフェノールAのPO2モル付加物730部、テレフタル酸176部、無水マレイン酸78部及び縮合触媒としてジブチルスズオキシド3部を入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら18時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(A−5)を得た。(A−5)中の(x)の含有量は0.6%である。
【0067】
比較製造例1
(X−1)をドデセニルコハク酸に代えた以外は製造例3と同様にして比較のポリエステル樹脂(B−1)を得た。
これらの樹脂の分析値を表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 2004004806
【0069】
実施例1〜5及び比較例1
【0070】
表2に記載の樹脂からなるトナーバインダー100部、着色剤▲1▼[シアニンブルーKRO、山陽色素(株)製]若しくは着色剤▲2▼[カーボンブラックMA−100、三菱化学(株)製]4部、及び離型剤▲1▼[カルナバワックス(軟化点82℃)]、離型剤▲2▼[ビスコール550P(軟化点150℃);三洋化成工業(株)製]若しくは離型剤▲3▼[サゾールワックス(軟化点98℃)]4部を、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で溶融混合した。混練物を冷却後、粗粉砕し、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径(D50)が約9μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子108部と流動化剤[日本アエロジル(株)製 アエロジルR972]0.7部とを混合(外添)して、トナーを得た。
これらのトナーの評価結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
Figure 2004004806
【0072】
【発明の効果】
本発明の電子写真用トナーバインダーを用いることにより定着温度幅が広く、環境安定性にも優れ、かつコピー機等から異臭を発生させないため連続コピーを行ってもコピー機周辺に異臭が漂わないトナーとすることができる。また粉砕性にも優れることから工業生産を行うとき経済的にトナーを生産することができる。

Claims (8)

  1. カルボン酸成分(a)とアルコール成分(b)とを構成成分とするポリエステル樹脂(A)からなる静電荷像現像トナー用バインダーにおいて、(a)及び/又は(b)の少なくとも一部が炭素数100〜1000の脂肪族炭化水素基(x)を有する成分(X)からなることを特徴とするバインダー。
  2. (A)が構成成分中に(x)を0.1〜20重量%含有する請求項1記載のバインダー。
  3. (a)が(x)を有するカルボン酸(Xa)からなる請求項1又は2記載のバインダー。
  4. (Xa)がカルボキシ変性ポリオレフィン(Xa1)である請求項3記載のバインダー。
  5. (Xa1)が(無水)マレイン酸変性ポリオレフィンである請求項4記載のバインダー。
  6. (b)が(x)を有するアルコール(Xb)からなる請求項1〜5のいずれか記載のバインダー。
  7. (Xb)が水素化されていてもよいヒドロキシ末端ポリアルカジエン(Xb1)である請求項6記載のバインダー。
  8. 請求項1〜7のいずれか記載のバインダー及び着色剤を含有することを特徴とする静電荷像現像トナー。
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