JP2003071610A - 切削工具用硬質皮膜およびその製造方法並びに硬質皮膜形成用ターゲット - Google Patents

切削工具用硬質皮膜およびその製造方法並びに硬質皮膜形成用ターゲット

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 TiAlN膜よりも耐摩耗特性に優れた切削
工具用硬質皮膜を提供する。 【解決手段】 (Tia,Alb,Crc)(C1-dd
からなる硬質皮膜であって、Ti,Al,Crそれぞれ
の原子比a,b,cが、0.02≦a≦0.30、0.
55≦b≦0.765、0.06≦c、a+b+c=
1、または0.02≦a≦0.175、0.765≦
b、4(b−0.75)≦c、a+b+c=1を満たす
ようにし、かつNの原子比dが0.5≦d≦1となるよ
うにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チップ、ドリル、
エンドミル等の切削工具の耐摩耗性を向上するための硬
質皮膜およびその製造方法、更には、この様な硬質皮膜
の製造において蒸発源として使用されるターゲットに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、超硬合金、サーメットまたは
高速度工具鋼を基材とする切削工具の耐摩耗性を向上さ
せることを目的に、TiNやTiCN、TiAlN等の
硬質皮膜をコーティングすることが行われている。
【0003】特に、TiとAlの複合窒化皮膜(以下、
TiAlNと記す)が、優れた耐摩耗性を示すことか
ら、前記チタンの窒化物や炭化物、炭窒化物等からなる
皮膜に代わって高速切削用や焼き入れ鋼等の高硬度材切
削用の切削工具に適用されつつある。
【0004】前記TiAlN皮膜は、Alを添加するこ
とによって膜の硬度が上昇し、耐摩耗特性が向上するこ
とが知られているが、特許第2644710号には、T
iAlNを(Alx,Ti1-x)Nと表現した場合のAl
の組成比xが0.7以上で、ZnS型の軟質AlNが析
出していることが示されている。また同特許には「Al
量(x)が0.75を超える場合は、硬質皮膜がAlN
に近似してくる結果、皮膜の軟質化を招き、十分な硬度
が得られなくなり、フランク摩耗を容易に引き起こす」
ことが記述されている。更に同特許の図3には、Al組
成比と膜硬度の関係が示され、Al組成が0.6を超え
た付近から硬度が低下しているが、これはAl組成比x
が0.6〜0.7の間でZnS型のAlNが析出し始
め、Alの組成比増加とともにZnS型AlNの析出が
増加して、膜強度が低下することを示唆している。更に
同特許には、耐酸化性について、Al組成比xが0.5
6以上で酸化開始温度が800℃以上となり、前記x値
の増加に伴い酸化開始温度も上昇していく傾向が示され
ているが、硬度を考慮して規定しているAl組成比の上
限:0.75においては850℃程度である。
【0005】即ちTiAlN膜では、Alの組成比を増
加させて硬度を高めるにも限界があるため硬度と耐酸化
性を同時に高めていくことができず、結果として耐摩耗
性の向上にも限界がある。
【0006】しかしながら、近年では、切削工具の使用
条件としてより高速化・高能率化が要求されており、こ
の様な切削工具を実現するため、更に優れた耐摩耗性を
発揮する切削工具用硬質皮膜が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高速・
高能率切削が可能な、TiAlNよりも耐摩耗性に優れ
た切削工具用硬質皮膜、およびこの様な硬質皮膜を得る
ための有用な製造方法、更には前記製造にて本発明の切
削工具用硬質皮膜を効率よく得ることのできるターゲッ
トを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る切削工具用
硬質皮膜とは、(Tia,Alb,Crc)(C1-dd
からなる硬質皮膜であって、 0.02≦a≦0.30、 0.55≦b≦0.765、 0.06≦c、 a+b+c=1、 0.5≦d≦1 (a,b,cはそれぞれTi,Al,Crの原子比を示
し、dはNの原子比を示す)、または 0.02≦a≦0.175、 0.765≦b、 4(b−0.75)≦c、 a+b+c=1、 0.5≦d≦1であることを要旨とし、上記dの値が1
の場合を好ましい形態とする。
【0009】本発明の切削工具用硬質皮膜は、その結晶
構造が岩塩構造型を主体とするものであることが好まし
く、またθ−2θ法によるX線回折で測定される岩塩構
造型の(111)面、(200)面および(220)面
の回折線強度をそれぞれI(111)、I(200)お
よびI(220)とするとき、これらの値が下記式
(1)および/または式(2)と、式(3)を満足する
ものがよい。
【0010】 I(220)≦I(111) …(1) I(220)≦I(200) …(2) I(200)/I(111)≧0.1 …(3) また本発明の硬質皮膜は、CuのKα線を用いたθ−2
θ法によるX線回折で測定される岩塩構造型の(11
1)面の回折線の回折角度が37.0〜38.0°の範
囲内にあり、且つ(111)面の回折線の半値幅が1°
以下を満足するものであり、ビッカース硬さが2850
以上かつ酸化開始温度が840℃以上であることを好ま
しい条件とするものである。
【0011】本発明の切削工具用硬質皮膜には、上記要
件を満たし、且つ相互に異なる硬質皮膜が2層以上形成
されているものを含む。
【0012】また本発明の切削工具用硬質皮膜には、前
記1層もしくは2層以上の本発明の硬質皮膜の片面側ま
たは両面側に、岩塩構造型を主体とする結晶構造を有
し、且つ前記硬質皮膜とは異なる成分組成の金属窒化物
層、金属炭化物層および金属炭窒化物層よりなる群から
選択される少なくとも1層や、4A族、5A族、6A
族、AlおよびSiよりなる群から選択される少なくと
も1種の金属を含む金属層または合金層が1以上積層さ
れているものも含まれる。
【0013】本発明は、上記切削工具用硬質皮膜を形成
する方法も規定するものであって、成膜ガス雰囲気中で
金属を蒸発させイオン化して、前記金属とともに成膜ガ
スのプラズマ化を促進しつつ成膜することを要旨として
いる。また、アーク放電を行ってターゲットを構成する
金属を蒸発およびイオン化して被処理体上に本発明で規
定する皮膜を形成するアークイオンプレーティング法
(AIP法)において、前記ターゲットの蒸発面にほぼ
直交して前方に発散ないし平行に進行する磁力線を形成
し、この磁力線によって前記被処理体近傍における成膜
ガスのプラズマ化を促進しつつ成膜することを好ましい
形態とする。尚、この場合に前記被処理体に印加するバ
イアス電位は、アース電位に対して−50V〜−300
Vとすることが好ましい。また、成膜時の被処理体温度
(以下、基板温度ということがある)は300℃以上で
800℃以下の範囲内とすることが望ましく、成膜時の
反応ガスの分圧または全圧を0.5Pa以上7Pa以下
とすることが望ましい。
【0014】尚、本発明における上記反応ガスとは、窒
素ガス、メタンガス、エチレン、アセチレン、アンモニ
ア、水素、またはこれら2種以上を混合させた皮膜の成
分組成に必要な元素を含むガスをいい、これら以外に用
いられるArなどの様な希ガス等をアシストガスとい
い、これらをあわせて成膜ガスということとする。
【0015】更に本発明は、Ti,AlおよびCrから
なり、且つ相対密度が95%以上であることを特徴とす
る硬質皮膜形成用ターゲットも含み、該ターゲット中に
存在する空孔の大きさが半径0.3mm未満であること
を好ましい形態とする。
【0016】前記ターゲットは、その成分組成が(Ti
x,Aly,Crz)からなり、 0.02≦x≦0.30、 0.55≦y≦0.765、 0.06≦z、 x+y+z=1 (x,y,zはそれぞれTi,Al,Crの原子比を示
す)、または 0.02≦x≦0.175、 0.765≦y、 4(y−0.75)≦z、 x+y+z=1を満足するものがよい。
【0017】また前記ターゲット中の酸素含有量が0.
3質量%以下で、水素含有量が0.05質量%以下であ
り、更に塩素含有量が0.2質量%以下であることが好
ましく、更にCu含有量が0.05質量%以下で、Mg
含有量が0.03質量%以下であることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明者らは、前述した様な状況
の下で、より優れた耐摩耗性を発揮する切削工具用硬質
皮膜の実現を目指して鋭意研究を進めた。その結果、指
標として皮膜の硬度と耐酸化性を同時に高めることがで
きれば耐摩耗性が著しく向上することを見出した。そし
て、その手段としてTiAlN膜に着目して研究を進め
た結果、TiAlNにCrを添加することによって膜の
硬度および耐酸化性が向上し、結果として耐摩耗性が飛
躍的に向上することを突き止め、前記TiAlNとCr
の定量的作用効果について更に追求を重ねた結果、上記
本発明に想到したのである。
【0019】即ち、本発明の硬質皮膜とは、Ti、Al
およびCrの窒化物または炭窒化物(Tia,Alb,C
c)(C1-dd)からなる皮膜であって、該窒化物ま
たは炭窒化物の組成が、 0.02≦a≦0.30、0.55≦b≦0.765、
0.06≦c、 a+b+c=1、0.5≦d≦1 または 0.02≦a≦0.175、0.765≦b、4(b−
0.75)≦c、 a+b+c=1、0.5≦d≦1 のものであるが、この様に皮膜中のTi、Al、Cr、
CおよびNの組成を規定した理由について、以下詳細に
説明する。
【0020】TiAlNは岩塩構造型の結晶であり、岩
塩構造型のTiNのTiのサイトにAlが置換して入っ
た岩塩構造型の複合窒化物である。岩塩構造型のAlN
は高温高圧相であるため、高硬度物質であると予想され
る。したがって岩塩構造を維持しながらTiAlN中の
Alの比率を高めればTiAlN膜の硬度を高めること
ができる。しかしながら岩塩構造型のAlNは常温常圧
や高温低圧では非平衡相であることから、気相コーティ
ングを行っても通常は軟質のZnS型AlNしか生成せ
ず、岩塩構造型AlN単体を生成することができない。
【0021】ところがTiNは、岩塩構造型でかつ岩塩
構造型のAlNと格子定数が近いため、TiにAlを添
加して窒化物を成膜すれば、TiNの構造にAlNが引
き込まれて、常温常圧や高温低圧でも岩塩構造型のTi
AlNを生成させることができるのである。しかし前述
したように、TiAlNを(Alx,Ti1-x)Nと表現
した場合のAlの組成比xが0.6〜0.7を超える
と、TiNによる引き込み効果が弱くなって軟質のZn
S型AlNが析出する。
【0022】ところでCrNの格子定数は、TiNより
も更に岩塩構造型AlNに近いため、TiAlNのTi
を一部Crに置換することで岩塩構造型AlNの比率を
より一層高めることができる。この様にCr添加により
膜中の岩塩構造型AlNの比率を高めることができれ
ば、TiAlN膜よりも高硬度とすることが可能である
と考えられる。
【0023】一方、AlNおよびCrNは、耐酸化性も
TiNより優れているため、耐酸化性向上の観点から
も、Tiの割合を減らしてAlとCrを添加することが
好ましいのである。
【0024】以下、本発明の(Tia,Alb,Crc
(C1-dd)皮膜を構成する金属元素Ti、Alおよび
Crの原子比a、bおよびcを規定した理由について詳
細に述べる。
【0025】まずAlについては、前記従来技術におけ
る皮膜;TiAlN(0.56≦Al≦0.75)と同
等以上の硬度および耐酸化性を得るため、その原子比b
の下限を0.55とする。またCrを添加することで、
上述の通り、皮膜中の岩塩構造型AlNの割合を増加さ
せて硬度を高め、かつ耐酸化性も向上させることができ
るが、この様な効果を有効に発揮させるには、Crの原
子比cの下限を0.06とする必要がある。ただし、A
lの原子比bが0.765を超える場合には、Crの原
子比cを下記範囲内となるようにする。
【0026】即ち、図1は、(Ti,Al,Cr)N膜
における金属成分Ti、AlおよびCrの組成図を示し
たものであるが、この図1におけるc=4(b−0.7
5)のラインより左側、即ち、c<4(b−0.75)
になると、Crを添加しても膜中のAlNの結晶構造は
軟質のZnS型の割合が高くなることから、膜の硬度が
急激に低下する。従って、Alの原子比bが0.765
を超える場合に、前記TiAlN(0.56≦Al≦
0.75)と同等以上の硬度を得るには、Crの割合を
c≧4(b−0.75)とする必要がある。
【0027】また、前記TiAlN(0.56≦Al≦
0.75)と同等以上の硬度を得るには、Tiの原子比
aを0.02以上とする必要がある。その理由として、
上述の如くCrを添加することで岩塩構造型AlNの比
率を高めることができるが、CrNはTiNよりも硬度
の低い物質であるので、TiをCrで置換するとその分
硬度の低下が懸念される。従って一定以上の硬度を得る
には、ある程度のTiを含む必要があること、また格子
定数がCrN(4.14Å)および岩塩構造型AlN
(4.12Å)と若干異なるTiN(4.24Å)を混
入させることによって、結晶の格子が歪んで硬くなるこ
とが挙げられる。
【0028】一方、Tiの原子比が高すぎると、耐酸化
性が前記TiAlN(0.56≦Al≦0.75)より
も劣ることとなるため、Tiの原子比aを0.30以下
とする。
【0029】尚、Tiの原子比を0.20未満とするこ
とで、耐酸化性が更に向上し、TiAlN(0.56≦
Al≦0.75)膜が示す酸化開始温度の最高値850
℃よりも更に高い酸化開始温度を示し、より優れた耐酸
化性を確保することができる。従って、上記規定した
a、bおよびcの範囲の中でも、 0.02≦a<0.20、0.55≦b≦0.765、
0.06≦c a+b+c=1 または 0.02≦a<0.20、0.765≦b、4(b−
0.75)≦c a+b+c=1とすることが好ましい。
【0030】また、Alの原子比bを0.6以上にする
とともに、Alの原子比上限を膜の結晶構造がほぼ岩塩
構造単相となる領域に限定することで、耐酸化性だけで
なく、TiAlN(0.56≦Al≦0.75)のう
ち、最も高硬度を示すTi0.4Al0.6Nよりも更に高い
硬度を得ることができる。
【0031】従って、より好ましいa、bおよびcの範
囲は、 0.02≦a<0.20、0.60≦b≦0.709、 a+b+c=1、 または 0.02≦a<0.20、0.709≦b、 11/6×(b−0.66)≦c、 a+b+c=1である。
【0032】皮膜中にCを添加することにより、皮膜中
にTiC等の高硬度の炭化物を析出させて、皮膜自身の
硬度を高めることができる。しかしながら、過剰に添加
すると化学的に不安定なアルミの炭化物を析出させてし
まうこととなり、また耐酸化性も劣化し易くなる。従っ
て、(Tia,Alb,Crc)(C1-dd)におけるd
の値が0.5以上となるようにする。前記dの値は、望
ましくはAlとCrの合計添加量(b+c)と同等であ
って、0.7以上とすることが好ましく、より好ましく
は0.8以上であり、最も好ましくはd=1である。
【0033】尚、本発明の硬質皮膜の結晶構造は、実質
的に岩塩構造型を主体とするものであることが好まし
い。前述のようにZnS型構造が混入すると高強度を確
保することができないからである。
【0034】上記岩塩構造型を主体とする結晶構造と
は、θ−2θ法によるX線回折における岩塩構造を示す
ピークのうち、(111)面、(200)面、(22
0)面、(311)面、(222)面、(400)面の
ピーク強度をそれぞれ、IB(111)、IB(20
0)、IB(220)、IB(311)、IB(22
2)、IB(400)とし、ZnS型構造を示すピーク
のうち、(100)面、(102)面、(110)面の
ピーク強度をそれぞれ、IH(100)、IH(10
2)、IH(110)とした場合に、下記式(4)の値
が0.8以上となるような結晶構造のことをいう。0.
8未満になると膜の硬度が本発明で好ましいとする硬度
よりも低くなるからである。
【0035】前記ZnS型構造のピーク強度は、X線回
折装置にてCuのKα線を用い、(100)面は2θ=
32°〜33°付近、(102)面は2θ=48°〜5
0°付近、また(110)面は2θ=57°〜58°付
近に現れるピークの強度を測定して求める。尚、ZnS
型の結晶はAlNが主体であるが、TiやCrが混入し
ているため、実測されるZnS型AlNのピーク位置
は、JCPDSカードのZnS型AlNのピーク位置と
若干ずれる。
【0036】
【数1】
【0037】また本発明の皮膜の結晶構造をX線回折で
測定した場合に、岩塩構造型の結晶構造における回折線
強度が、I(220)≦I(111)および/またはI
(220)≦I(200)を満たしていることが望まし
い。これは、岩塩構造型の密に充填した面である(11
1)面や(200)面が皮膜表面に対して平行に配向す
ることで、耐摩耗性が向上するからである。
【0038】更に(200)面と(111)面の回折線
強度比;I(200)/I(111)が0.1以上であ
ることが好ましい。I(200)/I(111)は、成
膜時に基板に印可するバイアス電圧や、ガス圧、成膜温
度などの条件により、概ね0.1から5程度の範囲内で
変化するが、本発明では、I(200)/I(111)
が0.1以上を満足する場合に、皮膜の切削特性が良好
となることを見出した。その理由について詳細は明らか
でないが次の様に考えることができる。即ち、岩塩構造
型の結晶構造では、基本的に金属元素(Ti、Al、C
r)が窒素または炭素と結合し、金属元素同士、窒素原
子同士、または炭素原子同士の結合はほとんど存在せ
ず、(111)面では、最隣接原子が金属元素同士、窒
素原子同士、または炭素原子同士であるが、お互いに結
合していないと考えられる。これに対して(200)面
では、隣接している原子(最隣接原子)は金属元素と窒
素あるいは金属元素と炭素の組み合わせで、(200)
面内における金属元素と窒素原子または炭素原子とは結
合している割合が高いことから安定していると考えられ
る。従って、面内の安定性の高い(200)面を、(1
11)面に対してある一定以上の割合で表面に対して配
向させれば、硬度が増加して切削特性を向上させること
ができると考えられる。前記I(200)/I(11
1)の値は、好ましくは0.2以上である。
【0039】(111)面の回折線の回折角度は、皮膜
の成分組成、残留応力の状態、または基板の種類によっ
て変化しうるものであり、本発明の硬質皮膜についてC
uのKα線を用いたθ−2θ法によるX線回折を行った
結果、回折角度はおおよそ37.0°〜38.0°の範
囲内で変化し、皮膜中のTi量が増加すると該回折角度
が小さくなる傾向が示された。この様に、皮膜中のTi
量の増加により前記(111)面の回折角度が低角側と
なる、即ち(111)面間距離が大きくなるのは、前述
の如く、TiNの格子定数(4.24Å)が岩塩構造型
のAlNの格子定数(4.12Å)やCrNの格子定数
(4.14Å)と比較して大きいことに起因していると
考えられる。
【0040】岩塩構造型の(111)面における回折角
度は、下記ブラッグの式(5)に代入して算出すること
ができる。尚、式(5)中の(111)面の面間距離
は、岩塩構造型のTiN、AlN、およびCrNの標準
格子定数(4.24Å、4.12Åおよび4.14Å)
およびこれらの組成比から、混合則(low of mixture)
を用いて得た下記式(6)にて求めることができる。
【0041】 2×面間距離(Å)×sin(回折角度2θ/2)=使用X線の波長(Å) …(5) [使用するX線の波長:CuのKα線 1.54056Å] (111)面間距離(Å)=[2.4492×Ti量(at%)+2.379×Al量(at%) +2.394×Cr量(at%)]/100 …(6 ) [尚、各元素量は金属元素のみで100%換算]例え
ば、本発明の硬質皮膜;(Ti0.1Al0.72Cr0.18
N皮膜を超硬合金基板上に形成した場合、上記式(5)
より求めた回折角度は37.6°であるが、成膜条件や
残留応力の影響により37.2°〜37.7°の範囲内
で変化する。この本発明の硬質皮膜の場合、形成ままの
状態で皮膜に圧縮応力が作用していたことから、基板に
平行な方向に位置する面の面間距離が、ポアソン効果に
より標準状態[上記式(6)から求められる面間距離]
よりも広がり、θ−2θのX線回折法における(11
1)面の回折角度が標準状態[上記式(6)より求めた
標準状態の面間距離を上記式(5)に代入して求めた回
折角度]よりも低角度側に検出された。
【0042】尚、CuのKα線を用いたθ−2θ法によ
るX線回折にて求められる(111)面の回折角度は、
皮膜中の金属元素の組成から上記式(5)および式
(6)を用いて算出される標準の回折角度に対し、±
0.3°の範囲内にあることが望ましい。
【0043】また(111)面の回折線の半値幅[通
常、FWHM(Full WidthHalf Max
imum)、即ち、回折線最大強度の半分を示す部分の
回折線の幅を示す]は、皮膜の結晶サイズ、皮膜中の不
均一残留応力等の要因によって変化しうるものであり、
前記半値幅が大きくなると皮膜の結晶が小さくなる傾向
がある。本発明の要件を満足する硬質皮膜の場合、前記
半値幅は概ね0.2°以上で1°以下であり、一例とし
て示す前記(Ti0.1Al0.72Cr0.18)N皮膜の場
合、成膜条件により0.3°〜0.8°の範囲内で変化
した。
【0044】本発明の硬質皮膜は、上記要件を満足する
単層の皮膜の他、上記要件を満たし、且つ相互に異なる
皮膜を複数積層して用いることもできる。また用途によ
っては、前記1層または2層以上の本発明で規定する
(Ti,Cr,Al)(CN)膜の片面側または両面側
に、岩塩構造型主体の結晶構造を有し、且つ前記硬質皮
膜とは異なる成分組成の金属窒化物層、金属炭化物層お
よび金属炭窒化物層よりなる群から選択される少なくと
も1層が積層されていてもよい。
【0045】尚、ここでいう「岩塩構造型主体の結晶構
造」も、前述の如く、θ−2θ法によるX線回折におけ
る岩塩構造を示すピークのうち、(111)面、(20
0)面、(220)面、(311)面、(222)面、
(400)面のピーク強度をそれぞれ、IB(11
1)、IB(200)、IB(220)、IB(31
1)、IB(222)、IB(400)とし、ZnS型
構造を示すピークのうち、(100)面、(102)
面、(110)面のピーク強度をそれぞれ、IH(10
0)、IH(102)、IH(110)とした場合に、
上記式(4)の値が0.8以上となるような結晶構造の
ことをいうものとする。岩塩構造型であって前記硬質皮
膜とは異なる成分組成の金属窒化物層、金属炭化物層ま
たは金属炭窒化物層として、例えばTiN、TiAl
N、TiVAlN、TiCN、TiAlCN、TiNb
AlCN、TiC等の皮膜が挙げられる。
【0046】また本発明の切削工具用硬質皮膜には、前
記1層もしくは2層以上の本発明の硬質皮膜の片面側ま
たは両面側に、4A族、5A族、6A族、AlおよびS
iよりなる群から選択される少なくとも1種の金属を含
む金属層または合金層が1以上積層されているものであ
ってもよく、前記4A族、5A族、6A族の金属とし
て、Cr、Ti、Nb等が挙げられ、合金としてはTi
−Al等を用いることができる。この様な積層皮膜の形
成は、特に、硬質皮膜との密着性が超硬合金母材よりも
低い鉄系母材(HSS、SKH51、SKD等)を基板
とする場合に有効であり、前記鉄系母材上に、本発明で
規定する皮膜よりも比較的硬度の低い前記CrN、Ti
N、TiAlN等の皮膜、あるいはCr、Ti、Ti−
Al等の金属中間層を形成し、その上に本発明の硬質皮
膜を形成することで、基材への密着性が良好な硬質皮膜
が得られるのである。
【0047】上記(i)本発明の要件を満たし、かつ相
互に異なる皮膜や、(ii)岩塩構造型であって前記硬質
皮膜とは異なる成分組成の金属窒化物層、金属炭化物層
または金属炭窒化物層、(iii)4A族、5A族、6A
族、AlおよびSiよりなる群から選択される少なくと
も1種の金属を含む金属層または合金層を、複数層形成
して本発明の硬質皮膜とする場合には、1層の厚みが
0.005〜2μmの範囲内にあればよいが、本発明の
硬質皮膜は、単層の場合であっても上記複数層の場合で
あっても、トータルとしての膜厚は、0.5μm以上2
0μm以下の範囲内とすることが望ましい。0.5μm
未満だと膜厚が薄すぎて耐摩耗性が好ましくなく、一
方、上記膜厚が20μmを超えると切削中に膜の欠損や
剥離が発生するからである。尚、より好ましい膜厚は1
μm以上で15μm以下である。
【0048】更に、Alの組成比が高くても結晶構造が
実質的に岩塩構造型を主体とする本発明の硬質皮膜を作
製するには、本発明で規定する様な方法で成膜すること
が大変有効である。即ち、成膜ガス雰囲気中でアーク放
電を行ってターゲットを構成する金属を蒸発させてイオ
ン化し、被処理体上に本発明の硬質皮膜を形成する方法
にて、前記金属とともに成膜ガスのプラズマ化を促進し
つつ成膜することが必要であり、このとき前記被処理体
近傍における成膜ガスのプラズマ化を、ターゲットの蒸
発面にほぼ直交して前方に発散ないし平行に進行するよ
う形成した磁力線によって促進しつつ成膜することを好
ましい形態とする。
【0049】尚、本発明の成膜方法は、本発明で規定す
る岩塩構造型を主体とする(Ti,Al,Cr)(C
N)皮膜の成膜に有効であるのは勿論のこと、それ以外
の皮膜を成膜するにあたっても大変有効な方法であるこ
とは言うまでもない。
【0050】アークイオンプレーティング(AIP)装
置においては、従来のように磁場がターゲットの裏側に
配置されたカソード蒸発源では本発明の皮膜を作製する
ことが困難であり、磁石がターゲットの横または前方に
配置されて、ターゲット蒸発面にほぼ直交して前方に発
散ないし平行に進行する磁力線を形成し、この磁力線に
よって成膜ガスのプラズマ化を促進することが本発明の
硬質皮膜を形成する上で大変有効なのである。
【0051】本発明を実施するための装置の一例とし
て、図2にAIP装置を示しながら簡単に説明する。
【0052】このAIP装置は、真空排気する排気口1
1および成膜ガスを供給するガス供給口12とを有する
真空容器1と、アーク放電によって陰極を構成するター
ゲットを蒸発させてイオン化するアーク式蒸発源2と、
コーティング対象である被処理体(切削工具)Wを支持
する支持台3と、この支持台3と前記真空容器1との間
で支持台3を通して被処理体Wに負のバイアス電圧を印
加するバイアス電源4とを備えている。
【0053】前記アーク式蒸発源2は、陰極を構成する
ターゲット6と、このターゲット6と陽極を構成する真
空容器1との間に接続されたアーク電源7と、ターゲッ
ト6の蒸発面Sにほぼ直交して前方に発散ないし平行に
進行し、被処理体Wの近傍まで伸びる磁力線を形成する
磁界形成手段としての磁石(永久磁石)8とを備えてい
る。被処理体Wの近傍付近における磁束密度としては、
被処理体の中心部において磁束密度が10G(ガウス)
以上、好ましくは30G以上とするのが良い。尚、蒸発
面にほぼ直交するとは、蒸発面の法線方向に対して0°
を含み、30°程度以下の角度をなすことを意味する。
【0054】図3は、本発明の実施に供するアーク式蒸
発源要部の一例を拡大した断面概略図であるが、前記磁
界形成手段としての磁石8は、ターゲット6の蒸発面S
を取り囲むように配置されている。磁界形成手段として
は、前記磁石に限らず、コイルとコイル電源とを備えた
電磁石でも良い。また、磁石の配置場所は図4に示すよ
うに、ターゲット6の蒸発面Sの前方(被処理体側)を
取り囲むように設けても良い。尚、図2では、チャンバ
ーをアノードとしたが、例えばターゲット側面前方を取
り囲むような円筒形状の専用アノードを設けても良い。
【0055】尚、図5に示す従来のAIP装置のアーク
式蒸発源102にも、アーク放電をターゲット106上
に集中させるための電磁石109を備えたものがある
が、電磁石109がターゲット106の裏側に位置して
いるため、磁力線がターゲット蒸発面近傍でターゲット
表面と平行となり、磁力線が被処理体Wの近傍にまで伸
びないようになっている。
【0056】本発明で使用するAIP装置のアーク式蒸
発源と、従来のそれとの磁場構造の違いは、成膜ガスの
プラズマの広がり方の違いにある。
【0057】前記図4に示すように、放電で発生した電
子eの一部が磁力線に巻き付くように運動を行い、この
電子が成膜ガスを構成する窒素分子等と衝突することに
よって成膜ガスがプラズマ化する。前記図5における従
来の蒸発源102では、磁力線がターゲット近傍に限ら
れるため、上記の様にして生成された成膜ガスのプラズ
マの密度はターゲット近傍が最も高く、被処理体Wの近
傍ではプラズマ密度がかなり低いものとなっている。こ
れに対し、図3および図4に示す様な本発明で使用する
蒸発源では、磁力線が被処理体Wにまで伸びるため、被
処理体W近傍における成膜ガスのプラズマ密度が従来の
蒸発源に比べ格段に高いものとなっている。
【0058】そして、この様な成膜ガスのプラズマ密度
の違いが、生成される膜の結晶構造に影響を与えると考
えられる。図6はこの様な影響を確認した一実施例であ
り、組成が(Ti0.1,Cr0.2,Al0.7)Nの膜を、
従来の蒸発源と本発明者等の蒸発源をそれぞれ用いて成
膜したときのTiCrAlN膜のX線回折結果を示した
ものである。図6中の「B1」は岩塩構造、「Hex」
はZnS型構造を表し、( )は結晶面を表している。
また、図6中における記号のないピークは、基板(超硬
合金)のピークを示している。成膜条件は、両蒸発源と
もにアーク電流100A、窒素ガス圧力2.66Pa、
基板(被処理体)温度400℃とし、基板(被処理体)
のバイアス電圧を50V〜300Vの範囲内で変化させ
ている。尚、バイアスの電位は、アース電位に対してマ
イナスとなるように印加しており、例えばバイアス電圧
100Vとは、アース電位に対してバイアス電位が−1
00Vであることを示す。
【0059】この図6(2)に示されるように、磁石が
ターゲットの背面に位置している従来のAIP装置の蒸
発源では、バイアス電圧を300Vまで上げても、立方
晶である岩塩構造型と六方晶であるZnS型との混合相
しか生成できないが、図6(1)に示されるように、磁
石がターゲット側面に位置している本発明のAIP装置
の蒸発源を用いると、バイアス電圧をアース電位に対し
て70V以上とすることで岩塩構造型単相の膜が得られ
ることがわかる。
【0060】もともと岩塩構造型AlNは、常温常圧で
は非平衡相であり生成しにくい物質であるが、本発明者
等の蒸発源によって窒素のプラズマ化が促進されて、窒
素が高エネルギーの粒子となっているため、非平衡相で
ある岩塩構造型AlNが生成し易くなっているものと考
えられる。
【0061】前記バイアス電圧を上げることで、プラズ
マ化した成膜ガスや金属イオンのエネルギーが高くな
り、膜の岩塩構造化が促進されることとなるため、バイ
アス電圧は50V以上とすることが好ましく、より好ま
しくは70V以上、さらに好ましくは100V以上であ
る。しかしバイアス電圧が高すぎると、プラズマ化した
成膜ガスによって膜がエッチングされ、成膜速度が極端
に小さくなるためあまり実用的でない。従って、バイア
ス電圧は300V以下とすることが好ましく、より好ま
しくは260V以下で、さらに好ましくは200V以下
である。バイアス電圧を印加する目的は、前述の如く入
射する成膜ガスやターゲットからの金属原子のイオンに
エネルギーを与え、皮膜の岩塩構造化を促進することに
あるが、Al量の比較的少ない皮膜あるいはCr量の比
較的多い皮膜の形成においては、バイアス電圧が多少低
くても前述の引き込み効果が有効に作用し、岩塩構造化
を容易に図ることができる。皮膜中のAl量が約65原
子%以下、またはCr量が約25原子%を越える皮膜の
形成では、バイアス電圧を70V以下としても岩塩構造
型単層の皮膜を得ることができる。
【0062】また本発明では、皮膜形成時の基板温度の
範囲を300℃以上800℃以下とすることが好ましい
としているが、これは形成した皮膜の応力と関係してい
る。図7は、一例として(Ti0.1Al0.7Cr0.2)N
皮膜形成時の基板(被処理体)温度と形成した皮膜の残
留応力の関係を示したものであり、アーク電流を100
A、成膜時の基板のバイアス電圧を150V、窒素ガス
の圧力を2.66Paとして実験を行っている。
【0063】この図7より、基板温度が上昇すれば得ら
れる硬質皮膜の残留応力は低減する傾向にあることが分
かる。得られた硬質皮膜に過大な残留応力が作用してい
ると、成膜ままの状態で剥離が生じ易く密着性に劣る。
従って、基板温度は300℃以上とするのが好ましく、
より好ましくは400℃以上である。一方、基板(被処
理体)温度を高めれば上記残留応力は低減するが、残留
応力が小さすぎる場合には圧縮応力が小さくなり、基板
の抗折力増加作用が損なわれ、また高温による基板の熱
的変質も生じることとなる。従って基板温度は800℃
以下とすることが好ましい。より好ましくは700℃以
下である。
【0064】基板が超硬合金母材の場合、前記基材温度
は特に制限されるものではないが、基材がHSS(高速
度工具鋼、SKH51等)あるいはSKD11、SKD
61等の熱間工具鋼である場合には、成膜時の基板温度
を基板材料の焼き戻し温度以下にして基板の機械的特性
を維持するのがよい。焼き戻し温度は基板材料によって
異なり、例えば前記SKH51で550〜570℃程
度、前記SKD61で550〜680℃、前記SKD1
1の高温焼き戻しでは500〜530℃であり、成膜時
の基板温度はこれらの焼き戻し温度以下とすることが好
ましい。より好ましくはそれぞれの焼き戻し温度に対し
て50℃程度低い基板温度とするのがよい。
【0065】さらに本発明では、形成時の反応ガスの分
圧または全圧を0.5Pa〜7Paの範囲とすることを
好ましい成膜条件としている。ここで反応ガスの「分圧
または全圧」と表示しているのは、本発明が、前述のよ
うに窒素ガスやメタンガスといった皮膜の成分組成に必
要な元素を含むガスを反応ガス、それ以外のアルゴン等
のような希ガスなどをアシストガスといい、これらを併
せて成膜ガスとしており、成膜ガスとしてアシストガス
を用いず反応ガスのみを用いる場合には、反応ガスの全
圧を制御することが有効で、また反応ガス及びアシスト
ガスの両方を用いる場合には反応ガスの分圧を制御する
ことが有効だからである。この反応ガスの分圧または全
圧が0.5Pa未満の場合は、アーク蒸発の場合発生す
るマクロパーティクル(ターゲットの溶融物)の発生が
多く表面粗度が大きくなり、用途によっては不都合を生
じるので好ましくないのである。一方、反応ガスの分圧
または全圧が7Paを超える場合は、蒸発粒子の反応ガ
スとの衝突による散乱が多くなり、成膜速度が低下する
ため好ましくないのである。好ましくは1Pa以上で5
Pa以下であり、より好ましくは1.5Pa以上で4P
a以下である。
【0066】本発明では、成膜方法としてAIP法につ
いて述べたが、金属元素とともに成膜ガスのプラズマ化
が促進される成膜方法であれば、AIP法に限定される
ものではなく、例えば、パルススパッタリング法や窒素
のイオンビームアシストデポジション法で成膜すること
もできる。
【0067】本発明の硬質皮膜は、上述の如くターゲッ
トを蒸発またはイオン化させて、被処理体上に成膜する
イオンプレーティング法やスパッタリング法等の気相コ
ーティング法にて製造するのが有効であるが、該ターゲ
ットの特性が好ましくない場合には、成膜時に安定した
放電状態が保てず、得られる皮膜の成分組成が均一でな
い等の問題が生じる。そこで、優れた耐摩耗性を発揮す
る本発明の切削工具用硬質皮膜を得るにあたり、使用す
るターゲットの特性についても検討したところ、下記の
様な知見が得られた。
【0068】まず、ターゲットの相対密度を95%以上
とすることで、成膜時の放電状態が安定し、効率よく本
発明の硬質皮膜が得られることが分かった。即ち、ター
ゲットの相対密度が95%未満であると、ターゲット中
にミクロポア等の合金成分の粗な部分が生じるようにな
り、この様なターゲットを成膜に用いた場合、該合金成
分の蒸発が不均一となって、得られる皮膜の成分組成が
ばらついたり膜厚が不均一となったりしてしまう。ま
た、空孔部分は成膜時に、局所的かつ急速に消耗するの
で、減耗速度が速くなりターゲットの寿命が短くなる。
空孔が多数存在する場合には、局所的な減耗が急速に進
むのみならず、ターゲットの強度が劣化して割れが生じ
る原因ともなるのである。上記ターゲットの相対密度は
96%以上であることが好ましく、より好ましくは98
%以上である。
【0069】ターゲットの相対密度が95%以上であっ
ても、ターゲット中に存在する空孔が大きい場合には、
放電状態が不安定となり良好に皮膜が成膜されないため
好ましくない。ターゲット中に半径0.5μm以上の空
孔が存在すると、ターゲットを構成する合金成分の蒸発
またはイオン化のためのアーク放電が中断して成膜を行
うことができないことが知られている。本発明者らが検
討したところ、空孔の半径が0.3μm以上になると放
電中断には至らずとも放電状態が不安定となることが分
かった。従って、安定した放電状態を保ち、良好にかつ
効率よく成膜を行うには、ターゲット中に存在する空孔
の半径を0.3μm未満、好ましくは0.2μm以下と
するのがよいのである。
【0070】AIP法等の気相コーティング法では、使
用するターゲットの成分組成が、形成される皮膜の成分
組成を決定付けることから、ターゲットの成分組成は、
目的とする皮膜の成分組成と同一であることが好まし
い。即ち、耐摩耗性に優れた本発明の硬質皮膜を得るに
は、ターゲットとして、(Tix,Aly,Crz)から
なるものであって、 0.02≦x≦0.30、 0.55≦y≦0.765、 0.06≦z、 x+y+z=1 (x,y,zはそれぞれTi,Al,Crの原子比を示
す。以下同じ)、または 0.02≦x≦0.175、 0.765≦y、 4(y−0.75)≦z、 x+y+z=1 を満足するものを用いることが好ましいのである。
【0071】上記ターゲットの成分組成を満足していて
も、ターゲットの成分組成分布がばらついていると、得
られる硬質皮膜の成分組成分布も不均一となり、該皮膜
の耐摩耗性が部分的に異なることとなってしまう。また
ターゲットの成分組成分布にばらつきがあると、ターゲ
ットに局所的な電気伝導性や融点等の差異が生ずること
となり、これが放電状態を不安定にして良好に成膜され
ないのである。従って、本発明のターゲットは、組成分
布のばらつきが0.5at%以内にあることが好まし
い。
【0072】更に本発明者らは、ターゲットの製造に用
いる原料あるいはターゲット製造時の雰囲気が原因で、
ターゲット中に不可避的に混入する不純物(酸素、水
素、塩素、銅およびマグネシウム)の含有量が、成膜時
の放電状態等に及ぼす影響についても調べた。
【0073】その結果、酸素、水素および塩素がターゲ
ット中に多量に含まれていると、成膜時にターゲットか
らこれらのガスが突発的に発生し、放電状態が不安定と
なったり最悪の場合にはターゲットそのものが破損して
良好に成膜されないことが分かった。従って、ターゲッ
ト中に含まれる酸素は0.3質量%以下、水素は0.0
5質量%以下、塩素は0.2質量%以下に抑えるのがよ
いのである。より好ましくは、酸素を0.2質量%以
下、水素を0.02質量%以下、塩素を0.15質量%
以下に抑える。
【0074】また、銅やマグネシウムは、本発明のター
ゲットを構成するTi,AlおよびCrよりも蒸気圧が
高く気化しやすいので、多量に含まれる場合には、ター
ゲット製造時にガス化してターゲット内部に空孔が形成
され、この様な欠陥が原因で成膜時の放電状態が不安定
となるのである。従って、ターゲット中に含まれる銅の
含有量は、0.05質量%以下に抑えることが好まし
く、より好ましくは0.02質量%以下である。また、
マグネシウムの含有量は、0.03質量%以下に抑える
ことが好ましく、より好ましくは0.02質量%以下で
ある。
【0075】この様な不純物の含有量を本発明で規定す
る範囲にまで低減する方法として、例えば原料粉末の真
空溶解や、清浄雰囲気で原料粉末の配合・混合を行うこ
と等が挙げられる。
【0076】ところで本発明は、ターゲットの製造方法
についてまで特定するものではないが、例えば、量比や
粒径等を適切に調整した原材料のTi粉末、Cr粉末お
よびAl粉末を、V型ミキサー等で均一に混合して混合
粉末とした後、これに冷間静水圧加圧処理(CIP処
理)あるいは熱間静水圧加圧処理(HIP処理)を施す
ことが本発明のターゲットを得る有効な方法として挙げ
られる。これらの方法の他、熱間押出法や超高圧ホット
プレス法等によっても本発明のターゲットを製造するこ
とができる。
【0077】尚、上記の様にして混合粉末を調製した
後、ホットプレス処理(HP)にてターゲットを製造す
る方法も挙げられるが、この方法では、本発明で用いる
Crが高融点金属であるため相対密度の高いターゲット
が得られ難いといった問題点がある。また、上記の様に
混合粉末を用いて製造する方法の他、予め合金化させた
粉末を用いて、CIP処理やHIP処理を行ったり、溶
解・凝固させてターゲットを得る方法も挙げられる。し
かし前記合金化粉末を用いてCIP処理またはHIP処
理を行う方法では、組成の均一なターゲットが得られる
という利点があるものの、合金粉末が難焼結性であるた
め、高密度ターゲットが得られ難いといった問題点があ
る。また後者の合金化粉末を溶解・凝固させる方法で
は、組成が比較的均一なターゲットが得られるという利
点があるが、凝固時に割れや引け巣が発生し易いといっ
た問題があり、本発明のターゲットを得ることは難し
い。
【0078】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】[実施例1]前記図2に示すAIP装置の
カソードにTi、Cr、Alからなるターゲット合金を
取り付け、さらに、支持台上に基板(被処理体)として
超硬合金製チップ、超硬合金製スクエアエンドミル(直
径10mm、2枚刃)および白金箔(0.1mm厚)を
取り付けた。そして、チャンバー内を真空排気後、チャ
ンバー内にあるヒーターで被処理体の温度を400℃に
加熱し、3×10-3Pa以下の真空度とした後に、0.
66PaのArガス雰囲気中で、基板(被処理体)に7
00Vのバイアス電圧を印可してArイオンによる前記
基板のクリーニングを10分間行った。その後、窒素ガ
スを導入し、チャンバー内の圧力を2.66Pa、アー
ク電流を100Aとしてアーク放電を開始し、基板(被
処理体)の表面に膜厚4μmの皮膜を形成した。尚、成
膜中にアース電位に対して基板(被処理体)がマイナス
電位となるよう150Vのバイアス電圧を基板(被処理
体)に印加した。
【0080】成膜終了後、膜中の金属成分組成、膜の結
晶構造、ビッカース硬度および酸化開始温度を調べた。
ビッカース硬度はマイクロビッカース硬度測定器を用
い、荷重0.25N、保持時間を15秒として測定し
た。膜中のTi、Cr、Alの成分組成はEPMAによ
り測定した。尚、皮膜中の金属元素およびNを除くO、
C等の不純物元素量は、前記EPMAによる定量分析で
酸素が1at%以下、炭素が2at%以下のレベルであ
った。また、膜の結晶構造はX線回折により同定した。
酸化開始温度は、白金サンプルを用いて、熱天秤により
人工乾燥空気中で室温から5℃/minの昇温速度で加
熱したときに重量変化が生じる温度を測定し、その温度
を酸化開始温度とした。前記式(4)の値は、前述のよ
うにX線回折装置にてCuのKα線を用いて各結晶面の
ピーク強度を測定して求めた。得られた膜の成分組成、
結晶構造、ビッカース硬度、酸化開始温度および前記式
(4)の値を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】表1より、No.21,22および23に
示すTiAlN(0.56≦Al≦0.75)の皮膜硬
度は2700〜3050で、酸化開始温度は800〜8
50℃であるが、皮膜硬度および酸化開始温度の両方を
同時に高めることはできていない。これに対し、本発明
の成分組成範囲を満たすNo.1〜17では、高いビッ
カース硬度および酸化開始温度を同時に達成することが
できた。
【0083】図8は、(Ti,Al,Cr)N膜におけ
る金属成分Ti、AlおよびCrの組成図にて本発明範
囲とNo.1〜27の実施例を示したものであるが、こ
の図8の●、▲および■に示されるように、本発明の範
囲内にあるNo.1〜17は、TiAlN(0.56≦
Al≦0.75)の示す高硬度および高酸化開始温度を
同時に達成させることができた。特に、図8にて■で示
す好ましい成分組成範囲内にあるNo.3〜5は、酸化
開始温度がTiAlN(0.56≦Al≦0.75)と
ほぼ同程度でかつ非常に高い硬度を示し、No.15〜
17は、硬度がTiAlN(0.56≦Al≦0.7
5)の最高レベルと同等でかつ高い酸化開始温度を示す
結果となった。
【0084】また、図8にて●で示すより好ましい成分
組成範囲内にあるNo.6〜9、10〜14は、従来の
TiAlN(0.56≦Al≦0.75)では実現し得
なかった最高の硬度および最高の酸化開始温度を達成す
ることができ、いずれにしても従来のTiAlN(0.
56≦Al≦0.75)膜より高い耐摩耗性を発揮でき
ることとなった。
【0085】これに対し、図8にて○で示す本発明の規
定成分組成を満たさないNo.18〜20、24〜27
は、高いビッカース硬度および酸化開始温度を同時に示
すものではなく、上記TiAlN(0.56≦Al≦
0.75)と同程度かまたはそれ以下となったため、T
iAlN(0.56≦Al≦0.75)よりも優れた耐
摩耗性を期待することはできない。
【0086】[実施例2]前記実施例1で得られた硬質
皮膜を被覆したエンドミルのうち、No.1,4,7,
11,16,18,19,22,24および27につい
て切削試験を行い、摩耗評価を行った。被削材としてS
KD61焼き入れ鋼(HRC50)を用いた。切削条件
は以下の通りである。摩耗評価は、上記各エンドミルを
用いて被削材を20m切削後、刃先を光学顕微鏡で観察
して摩耗幅を測定した。その結果を表2に示す。
【0087】切削条件 切削速度:200m/min 送り速度:0.07mm/刃 切り込み:5mm ピックフィード:1mm 切削油:エアーブローのみ 切削方向:ダウンカット
【0088】
【表2】
【0089】表2より、本発明の要件を満たす皮膜をコ
ーティングしたNo.1,4,7,11および16のエ
ンドミルは、本発明の要件を満足しない皮膜をコーティ
ングしたNo.18,19,22,24および27のエ
ンドミルと比較して摩耗幅が小さく、耐摩耗性に優れて
いることがわかる。
【0090】[実施例3]組成がTi:9at%、C
r:19at%、Al:72at%の合金ターゲットを
用い、成膜時間を変化させて行ったことを除き、前記実
施例1と同様にして超硬合金製スクエアエンドミル(直
径10mm、2枚刃)上に表3に示す種々の膜厚のTi
CrAlN膜を成膜した。この時、蒸発源には前記図4
に示す蒸発源を用いた。また、成膜時のバイアス電圧は
100Vとした。尚、得られた膜の金属成分をEPMA
にて組成分析したところ、Ti:10at%、Cr:2
0at%、Al:70at%であった。成膜後のエンド
ミルの耐摩耗性を、前記実施例2と同様にして切削試験
を行い評価した。その結果を表3に併記する。
【0091】
【表3】
【0092】表3より、本発明で好ましいとする膜厚の
No.1〜5は、摩耗幅が小さく優れた耐摩耗性を示す
のに対し、No.6は、膜厚が薄いため耐摩耗性に劣る
結果となった。またNo.7は膜厚が厚すぎるため切削
中に刃先が欠損した。
【0093】[実施例4]組成がTi:13at%、C
r:15at%、Al:72at%の合金ターゲットを
用い、支持台上に被処理体として超硬合金製チップ、超
硬合金製スクエアエンドミル(直径10mm、2枚刃)
および白金箔(0.1mm厚)を前記図2に示したAI
P装置に取り付け、チャンバー内を真空状態にした。そ
の後、チャンバー内にあるヒーターで被処理体温度を5
50℃に加熱し、窒素とメタンの混合ガスを導入してチ
ャンバー内の圧力を2.66Paとし、アーク電流10
0Aでアーク放電を開始して、前記基板(被処理体)の
表面に膜厚3μmの(TiAlCr)(CN)皮膜を形
成した。成膜中はアース電位に対して基板(被処理体)
がマイナス電位となるよう150Vのバイアス電圧を基
板(被処理体)に印加した。その他の成膜条件に関して
は前記実施例1と同様である。
【0094】成膜終了後、膜中の金属成分組成、酸化開
始温度および耐摩耗性について調べた。得られた皮膜中
のTi、Al、Crの成分組成はEPMAにより測定し
た。金属元素およびC、Nを除く皮膜中の不純物元素量
は、前記EPMAによる定量分析で酸素が1at%以下
のレベルであった。酸化開始温度は前記実施例1の方法
と同様にして測定した。また成膜後のエンドミルの耐摩
耗性は、前記実施例2と同様にして切削試験を行い評価
した。これらの結果を表4に併記する。
【0095】
【表4】
【0096】表4より本発明の要件を満たす皮膜をコー
ティングしたNo.1〜3のエンドミルは(TiAlC
r)(CN)皮膜におけるCおよびNの比率が本発明の
規定を外れているNo.4のエンドミルと比較して、酸
化開始温度が高くかつ切削試験における摩耗幅が小さ
く、耐摩耗性に優れていることが分かる。
【0097】[実施例5]組成がTi:9at%、C
r:19at%、Al:72at%の合金ターゲットを
用い、前記実施例1と同様に超硬合金製エンドミル(直
径10mm、2枚刃)を基材(被処理体)として以下の
皮膜を形成した。
【0098】即ち、バイアス電圧、成膜温度等を変化さ
せて、結晶配向の異なる(Ti、Al、Cr)N皮膜を
形成した他、成膜ガスとして(窒素+メタン)ガスを用
いて、CおよびNの比率の異なる(Ti、Al、Cr)
(CN)皮膜を形成した。また、(Ti、Al、Cr)
N皮膜とTi50Al50N皮膜の積層皮膜を形成した。表
5に示す実験No.8は、超硬合金製エンドミル表面に
(Ti、Cr、Al)(CN)皮膜を形成した後、更に
Ti50Al50N皮膜を形成したものであり、実験No.
9は、超硬合金製エンドミル表面に、(Ti、Cr、A
l)(CN)皮膜およびTi50Al50N皮膜の各10層
を交互に積層させたものである。尚、総膜厚は約3μm
であった。得られた皮膜の耐摩耗性は、前記実施例2と
同様にして切削試験を行い、摩耗幅で評価した。
【0099】
【表5】
【0100】表5より、実験No.3、6および7で
は、摩耗試験における摩耗幅が大きいことから、結晶配
向や(Ti、Al、Cr)(CN)皮膜におけるCおよ
びNの比率が、本発明の要件を満足するよう制御するこ
とで、より耐摩耗性に優れた硬質皮膜が得られることが
分かる。
【0101】[実施例6]組成がTi:10at%、C
r:18at%、Al:72at%の合金ターゲットを
用い、前記図2に示したAIP装置を使用して、表6ま
たは表7に示す様にバイアス電圧、基板温度、窒素ガス
圧を変化させて、超硬合金製スクエアエンドミル(直径
10mm、2枚刃)または超硬合金製チップ上に膜厚約
3μmの(Ti、Al、Cr)N皮膜を形成した。成膜
時のアーク電流は150Aとし、その他の成膜条件は前
記実施例1と同様とした。
【0102】成膜終了後、得られた皮膜の金属成分組
成、結晶構造、結晶方位、岩塩構造型の(111)面の
回折線の回折角度および半値幅、ビッカース硬度および
耐摩耗性を調べた。結晶構造、結晶方位、岩塩構造型の
(111)面の回折線の回折角度および半値幅はCuの
Kαを用いたθ−2θ法のX線回折で測定した。耐摩耗
性は、前記実施例2と同様にして切削試験を行い摩耗幅
で評価した。得られた皮膜の金属成分組成はEPMAで
測定した。その結果、表7に示す通り、成膜条件により
Ti:10〜12at%、Cr:10〜23at%、A
l:66〜68at%の範囲内でわずかに成分組成が異
なっていることが分かった。これらの結果を表6および
表7に示す。皮膜中の金属元素および窒素以外の不純物
元素量は、前記EPMAによる定量分析で酸素が1原子
%以下、炭素が2原子%以下のレベルであった。また金
属元素の合計量と窒素との比率は、いずれも原子比で
0.9〜1.1の範囲内であった。
【0103】
【表6】
【0104】
【表7】
【0105】表6および表7より、本発明で好ましいと
する基板電圧、反応ガス圧、基板温度に制御したNo.
1〜6、9〜12、および15〜17は、No.7、
8、13、14および18と比較して、硬度が高く、か
つ摩耗幅が小さく優れた耐摩耗性を有することから、成
膜条件を本発明の規定を満たすよう制御することによっ
て、皮膜の結晶配向、回折線の角度および半値幅を本発
明で好ましい範囲内とすることができ、結果として耐摩
耗性に優れた皮膜が得られることが分かる。
【0106】[実施例7]組成がTi:10at%、C
r:18at%、Al:72at%の合金ターゲットを
用い、図2に示したAIP装置を用い(但し、この場合
は蒸発源2を2つ設置)、皮膜の種類に応じてアーク電
流を100〜150A、窒素(または窒素とメタンの混
合)ガス圧を0Pa(金属膜)〜2.66Pa、膜種に
応じて基板に印加するバイアス電圧を30〜150Vの
範囲内で変化させ、基板温度を550℃にして、表8に
示す種々の金属窒化物、炭化物、炭窒化物または金属膜
の積層膜を超硬合金製スクエアエンドミル(直径10m
m、2枚刃)上に形成した。その他の成膜条件に関して
は前記実施例1と同様である。積層の仕方は、超硬合金
製エンドミル上に、表8における皮膜1、次に表8にお
ける皮膜2の順に、交互に蒸発源を切り替えて表8に示
す膜厚の皮膜を積層した。表8に示す積層数は[皮膜1
+皮膜2]を1単位とした時の繰り返し数を示す。尚、
総膜厚は約3μmであった。成膜後の皮膜の耐摩耗性は
前記実施例2と同様にして切削試験を行い評価した。こ
れらの結果を表8に示す。
【0107】
【表8】
【0108】表8の実験No.1〜12より、切削工具
用硬質皮膜を複数層とする場合であっても、本発明の要
件を満たす皮膜をコーティングしたものであれば、切削
試験の摩耗幅は30μm以下と優れた耐摩耗性を示すこ
とが分かる。
【0109】[実施例8]組成がTi:9at%、C
r:19at%、Al:72at%の合金ターゲットを
用い、アーク電流を100A、基板(被処理体)温度を
500℃とし、アース電位に対して基板(被処理体)側
がマイナスとなるようバイアス電圧を50〜400Vの
範囲内で変化させて30分間成膜を行ったことを除き、
前記実施例1と同様にして超硬合金製チップまたは超硬
合金製スクエアエンドミル(10mm直径、2枚刃)上
に成膜を行った。得られた皮膜の結晶構造をX線回折に
より同定した。また成膜後の超硬合金製チップを破断
し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察して膜厚を測定
した。更に前記実施例2と同様にして切削試験を実施し
た。これらの結果を表9に示す。尚、得られた皮膜の金
属元素組成をEMPAで測定したところ、成膜時のバイ
アス電圧の相違によりTi:9〜11at%、Cr:1
9〜21at%、Al:68〜71at%の範囲内でわ
ずかに成分組成が異なっていることが分かった。
【0110】
【表9】
【0111】表9より、No.2〜5は、本発明で好ま
しいとするバイアス電圧範囲内としたものであり、この
様なバイアス電圧で成膜することによって最適な結晶構
造または膜厚とすることができた。これに対し、No.
1は本発明で好ましいとするバイアス電圧よりも低いた
め、結晶構造がB1+Hexの混合相となり、優れた耐
摩耗性を期待することができない。また、No.6およ
び7は、本発明で好ましいとするバイアス電圧よりも高
く、膜厚が薄いかほとんど成膜されないため、優れた耐
摩耗性を期待することができない。また、切削試験を行
った結果についても、本発明で望ましいとするバイアス
電圧で成膜した皮膜は、摩耗量が小さく切削性に優れて
いることが分かる。
【0112】[実施例9]組成がTi:10at%、C
r:18at%、Al:72at%の合金ターゲット、
Ti:50at%、Al:50at%の合金ターゲッ
ト、または純Ti金属、純Cr金属のターゲットを用
い、前記図2に示したAIP装置を使用して、超硬合金
チップ及び超硬合金製ボールエンドミル(直径10m
m、センター半径5R、2枚刃)上に、膜厚約3μmの
TiAlCrN、TiAlN、TiNまたはCrN膜を
形成した。前記基板に印加するバイアス電圧は、TiA
lCrN成膜時には150V、TiAlN、TiNまた
はCrN成膜時には50Vとし、基板温度は550〜5
80℃の範囲とし、反応ガス(窒素)の圧力は2.66
Pa、アーク電流は150Aとした。その他の成膜条件
は前記実施例1と同様である。
【0113】成膜終了後、得られた皮膜の金属成分組
成、ビッカース硬度および耐摩耗性を調べた。耐摩耗性
は、下記の条件で切削試験を実施し、ボールエンドミル
の先端部の摩耗幅および境界部の摩耗幅で評価した。E
PMAにより成分組成を測定した結果、合金ターゲット
を用い成膜したTiCrAlN膜およびTiAlN膜の
成分組成は、ターゲットの成分組成と多少異なり、それ
ぞれターゲットよりもAl量のわずかに少ない(Ti
0.1Cr0.22Al0.68)Nおよび(Ti0.54Al0.4 6
Nの組成の皮膜が得られた。また、皮膜中の金属元素と
窒素原子との比率は、いずれの皮膜も原子比で0.9〜
1.1の範囲内であった。
【0114】切削試験条件 被削材:S55C(ブリネル硬度220) 切削速度:100m/分 送り速度:0.05mm/刃 深さ切り込み:4.5mm ピックフィード:0.5mm その他:ダウンカット、エアブロー 切削長:30m
【0115】
【表10】
【0116】表10より、本発明の要件を満たす皮膜
は、前記切削試験における先端部摩耗量および境界部摩
耗量が従来知られているTiAlN、TiN、CrNの
皮膜と比較して小さく、被切削材;S55C(HB22
0)に対して優れた切削特性を示すことが分かる。
【0117】[実施例10]ターゲットの相対密度や不
純物含有量が成膜時の放電状態に及ぼす影響について調
べた。
【0118】それぞれ100メッシュ以下のTi粉末、
Cr粉末およびAl粉末を所定量混合し、温度:900
℃かつ圧力:8×107Paの条件でHIP処理を行っ
て、表11に示す各成分組成のターゲットを作製した。
上記ターゲットの成分組成はICP−MSにて測定し
た。また得られたターゲットの放電特性を調べるため、
外径254mm、厚さ5mmに成形したターゲットをス
パッタリング装置に装着し、反応性スパッタリング法に
より膜厚3μmの皮膜を被処理体である超硬合金製チッ
プ上に成膜した。成膜は反応ガスとしてN2ガスを用
い、出力500Wで行った。
【0119】得られた硬質皮膜の成分組成はXPSで測
定し、耐摩耗性は下記の条件で切削試験を行って評価し
た。また成膜時の放電状態については、表面における放
電状況を目視で観察したり、放電電圧のモニターを観察
して行った。これらの結果を表11に示す。
【0120】切削試験条件 被削材:SKD61(HRC50) エンドミル:超硬合金製 4枚刃 切削速度:200m/min 切り込み:1mm 送り速度:0.05mm/刃 切削長:20m 評価基準 ◎:すくい面摩耗深さが25μm未満 ○:すくい面摩耗深さが25〜50μm △:すくい面摩耗深さが50μm以上 放電状態 ・安定 :放電電圧の瞬間的な上昇や放電の場所的
な偏りが認められないもの ・やや不安定:放電電圧の瞬間的な上昇や放電の場所的
な偏りが多少認められるもの ・不安定 :放電電圧の瞬間的な上昇や放電の場所的
な偏りがかなり認められるもの ・放電中断 :放電が停止するもの
【0121】
【表11】
【0122】表11より、No.1〜7は、本発明で規
定する相対密度を満足するものであることから放電状態
は良好で、その結果、ターゲットと成分組成が同一で、
良好な耐摩耗性を発揮する皮膜が得られていることが分
かる。これに対し、No.8〜10は、ターゲットの相
対密度が本発明の要件を満足するものではないため、放
電状態が不安定であったり継続不可能となり、その結
果、得られる皮膜の成分組成がターゲットの成分組成と
大きくずれ、耐摩耗性の好ましくない皮膜が得られる結
果となった。
【0123】[実施例11]100メッシュ以下のTi
粉末、100メッシュ以下のCr粉末、および240メ
ッシュ以下のAl粉末を所定量混合し、温度:500〜
900℃、圧力:8×107Paの条件でHIP処理し
て表12に示す各成分組成のターゲットを作製した。得
られたターゲットを削り出すか、あるいは銅製バッキン
グプレートのろう付けを行って、底面に外径104m
m、厚さ2mmの固定つばが設けられたターゲットを作
製し、アーク放電方式イオンプレーティング装置に該タ
ーゲットを装着して、膜厚3μmの皮膜を被処理体であ
る超硬合金製チップ上に成膜した。成膜は、反応ガスと
してN2ガスまたはN2/CH4ガスを用い、被処理体の
温度を500℃、アーク電流を100A、かつ被処理体
のバイアス電圧を150Vにして行った。
【0124】ターゲットの成分組成はICP−MSにて
測定した。得られた皮膜の耐摩耗性は、前記実施例6と
同様の切削試験方法で評価した。また、得られた皮膜の
成分組成をXPSにより測定したところ、いずれの皮膜
の成分組成もターゲットの成分組成の±2at%の範囲
内にありターゲットの成分組成とほぼ一致していた。タ
ーゲット中の欠陥(空孔)の有無ならびに空孔サイズの
測定は、超音波探傷法により行った。また成膜時の放電
状態は、前記実施例6と同様の方法で評価した。これら
の結果を表12に示す。
【0125】
【表12】
【0126】表12より、No.1〜4は、ターゲット
の相対密度およびターゲット中に存在する空孔の大きさ
が本発明で規定する要件を満足していることから、成膜
時の放電状態が安定で、良好な耐摩耗性を有する皮膜が
得られていることが分かる。
【0127】これに対しNo.5および7は、ターゲッ
ト中に存在する空孔の大きさが本発明の規定を満足する
ものではなく、No.9および10は、ターゲットの相
対密度が本発明の規定を満たさず、またNo.6および
8は、本発明で規定するターゲットの相対密度およびタ
ーゲット中に存在する空孔の大きさのどちらも満足して
いないため、成膜時に放電状態が不安定もしくは中断し
てしまい、成膜不可能となるか、皮膜が得られた場合で
あっても耐摩耗性に劣るものとなってしまった。
【0128】[実施例12]次にターゲット中の不純物
(酸素、水素、塩素、銅およびマグネシウム)の含有量
が成膜時の放電状態に与える影響について調べた。
【0129】表13に示す各成分組成のターゲットを前
記実施例7と同様の方法で作製した。得られたターゲッ
トの相対密度はいずれも99%以上で、0.3mm以上
の空孔や連続した欠陥はいずれにも存在しなかった。得
られたターゲットを用い、反応ガスとしてN2ガスのみ
を使用する以外は前記実施例7と同様の条件で成膜を行
った。ターゲット中の不純物の含有量は原子吸光法で測
定した。また成膜時の放電状態は、前記実施例6と同様
にして評価した。これらの結果を表13に示す。
【0130】
【表13】
【0131】表13より、No.1,3〜9,16およ
び17は、酸素、水素、塩素、銅およびマグネシウムの
すべての不純物の含有量が本発明の要件を満足するもの
であることから、放電状態が良好となっていることが分
かる。これに対し、No.2,10および11では酸素
含有量、No.12では水素含有量、No.13では塩
素含有量、No.14では銅含有量、No.15ではマ
グネシウム含有量、No.18では酸素およびマグネシ
ウムの含有量、No.19では、塩素、銅およびマグネ
シウムの含有量が本発明で好ましいとする規定範囲を超
えている。この結果より、成膜時の放電状態を良好にし
て効率よく本発明の切削工具用硬質皮膜を得るには、タ
ーゲット中の不純物(酸素、水素、塩素、銅およびマグ
ネシウム)の含有量を本発明の規定範囲内とすることが
好ましいことが分かる。
【0132】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、従
来のTiAlNにCrを添加し、かつこれらTi、A
l、Crの成分組成を本発明の如く制御することによっ
て、従来の切削工具用硬質皮膜よりも耐摩耗性に優れた
硬質皮膜を得ることができた。こうした硬質皮膜の実現
によって、高速切削や焼き入れ鋼など高硬度鋼の切削に
用いることのできる長寿命の切削工具を供給できること
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(Ti,Al,Cr)N膜における金属成分T
i、AlおよびCrの組成図にて本発明範囲を示したも
のである。
【図2】本発明の実施に使用するアークイオンプレーテ
ィング(AIP)装置の一例を示した概略図である。
【図3】本発明の実施に供するアーク式蒸発源要部の一
例を拡大した断面概略図である。
【図4】本発明の実施に供する別のアーク式蒸発源要部
を拡大した断面概略図である。
【図5】従来の本発明の実施に供するアーク式蒸発源要
部の一例を拡大した断面概略図である。
【図6】成膜した(Ti0.1Al0.7Cr0.2)N膜のX
線回折結果を示したものであり、(1)は本発明者らの
蒸発源、(2)は従来の蒸発源を用いて成膜した結果を
示す。
【図7】一例として(Ti0.1Al0.7Cr0.2)N皮膜
を成膜した場合の基板(被処理体)温度と皮膜の残留応
力との関係を示したグラフである。
【図8】(Ti,Al,Cr)N膜における金属成分T
i、AlおよびCrの組成図にて本発明範囲と実施例を
示したものである。
【符号の説明】
1 真空容器 2、2A アーク式蒸発源 3 支持台 4 バイアス電源 6 ターゲット 7 アーク電源 8 磁石(磁界形成手段) 9 電磁石(磁界形成手段) 11 排気口 12 ガス供給口 W 被処理体 S ターゲットの蒸発面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森川 恭臣 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 花栗 孝次 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内 (72)発明者 高原 一樹 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内 Fターム(参考) 3C046 FF10 FF11 FF13 FF21 FF22 4K029 BA01 BA03 BA07 BA11 BA16 BA17 BA35 BA54 BA55 BA58 BB02 BB07 BC02 BD05 CA04 CA13 DB04 DC04 EA08

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (Tia,Alb,Crc)(C1-dd
    からなる硬質皮膜であって、 0.02≦a≦0.30、 0.55≦b≦0.765、 0.06≦c、 a+b+c=1、 0.5≦d≦1(a,b,cはそれぞれTi,Al,C
    rの原子比を示し、dはNの原子比を示す。以下同
    じ)、または 0.02≦a≦0.175、 0.765≦b、 4(b−0.75)≦c、 a+b+c=1、 0.5≦d≦1であることを特徴とする切削工具用硬質
    皮膜。
  2. 【請求項2】 前記dの値が1である請求項1に記載の
    切削工具用硬質皮膜。
  3. 【請求項3】 結晶構造が岩塩構造型を主体とするもの
    である請求項1または2に記載の切削工具用硬質皮膜。
  4. 【請求項4】 θ−2θ法によるX線回折で測定される
    岩塩構造型の(111)面、(200)面および(22
    0)面の回折線強度をそれぞれI(111)、I(20
    0)およびI(220)とするとき、これらの値が下記
    式(1)および/または式(2)と、式(3)を満足す
    る請求項1〜3のいずれかに記載の切削工具用硬質皮
    膜。 I(220)≦I(111) …(1) I(220)≦I(200) …(2) I(200)/I(111)≧0.1 …(3)
  5. 【請求項5】 CuのKα線を用いたθ−2θ法による
    X線回折で測定される岩塩構造型の(111)面の回折
    線の回折角度が37.0〜38.0°の範囲内にあり、
    かつ該(111)面の回折線の半値幅が1°以下である
    請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具用硬質皮膜。
  6. 【請求項6】 ビッカース硬さが2850以上かつ酸化
    開始温度が840℃以上である請求項1〜5のいずれか
    に記載の切削工具用硬質皮膜。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の要件を
    満たし、且つ相互に異なる硬質皮膜が2層以上形成され
    ていることを特徴とする切削工具用硬質皮膜。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の硬質皮
    膜の片面側または両面側に、岩塩構造型主体の結晶構造
    を有し、且つ前記硬質皮膜とは異なる成分組成である金
    属窒化物層、金属炭化物層および金属炭窒化物層よりな
    る群から選択される少なくとも1層が積層されているこ
    とを特徴とする切削工具用硬質皮膜。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の硬質皮
    膜の片面側または両面側に、4A族、5A族、6A族、
    AlおよびSiよりなる群から選択される少なくとも1
    種の金属を含む金属層または合金層が1以上積層されて
    いることを特徴とする切削工具用硬質皮膜。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の切削
    工具用硬質皮膜の製造方法であって、成膜ガス雰囲気中
    で金属を蒸発させイオン化して、前記金属とともに成膜
    ガスのプラズマ化を促進しつつ成膜することを特徴とす
    る切削工具用硬質皮膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 ターゲットを構成する金属の蒸発およ
    びイオン化をアーク放電にて行うアークイオンプレーテ
    ィング法において、該ターゲットの蒸発面にほぼ直交し
    て前方に発散ないし平行に進行する磁力線を形成し、こ
    の磁力線によって被処理体近傍における成膜ガスのプラ
    ズマ化を促進しつつ成膜する請求項10に記載の切削工
    具用硬質皮膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記被処理体に印加するバイアス電位
    をアース電位に対して−50V〜−300Vとする請求
    項11に記載の切削工具用硬質皮膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 成膜時の前記被処理体温度を300℃
    以上800℃以下とする請求項11または12に記載の
    切削工具用硬質皮膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 成膜時の反応ガスの分圧または全圧を
    0.5Pa以上7Pa以下とする請求項11〜13のい
    ずれかに記載の切削工具用硬質皮膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 Ti,AlおよびCrからなり、且つ
    相対密度が95%以上であることを特徴とする硬質皮膜
    形成用ターゲット。
  16. 【請求項16】 (Tix,Aly,Crz)からなるタ
    ーゲットであって、 0.02≦x≦0.30、 0.55≦y≦0.765、 0.06≦z、 x+y+z=1 (x,y,zはそれぞれTi,Al,Crの原子比を示
    す。以下同じ)、または 0.02≦x≦0.175、 0.765≦y、 4(y−0.75)≦z、 x+y+z=1である請求項15に記載の硬質皮膜形成
    用ターゲット。
  17. 【請求項17】 前記ターゲット中に存在する空孔の大
    きさが半径0.3mm未満である請求項15または16
    に記載の硬質皮膜形成用ターゲット。
  18. 【請求項18】 酸素含有量が0.3質量%以下で、水
    素含有量が0.05質量%以下であり、更に塩素含有量
    が0.2質量%以下である請求項15〜17のいずれか
    に記載の硬質皮膜形成用ターゲット。
  19. 【請求項19】 Cu含有量が0.05質量%以下で、
    Mg含有量が0.03質量%以下である請求項15〜1
    8のいずれかに記載の硬質皮膜形成用ターゲット。
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