JP2005088130A - 硬質皮膜被覆工具及び硬質皮膜形成用ターゲット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、(Ti a ,Al b ,Mc )(C1-d N d )からなる硬質皮膜であって、
0.02≦a≦0.2 、0.8 ≦b≦0.95、a+b+c=1、 0.5 ≦d≦1 (M は1種または2種以上の金属又は半金属元素であり、a、b、cはそれぞれTi、Al、M の原子比を示し、dはNの原子比を示す。以下同じ) の組成の硬質皮膜を、を少なくとも1層以上被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
【選択図】図1
Description
さらに、出願人が出願中で未公開の特許文献4には、少なくとも2種類以上の金属もしくは金属間化合物を含む合金を蒸発原料とし、電界または磁界により収束されたプラズマを用いて原料を単一のルツボ又はハースから溶解・蒸発させる多元系皮膜の製造装置において、蒸発原料を蒸発させる際に原料を溶解するために用いる電力供給装置は、前記蒸発原料を蒸発させるに必要な最初の電力供給と、所定時間を置いて前記最初の電力より順次増大した電力を加えた電力の供給を、必要な最大の電力供給に至るまで繰り返して増大させて供給して、未溶融部位を順次溶解させるようにした逐次増大電力供給装置を有し、同時に、前記蒸発原料を蒸発させる際に、プラズマを収束させるために用いる電界または磁界を制御するプラズマ制御装置は、前記蒸発原料を蒸発させるに必要な最初のプラズマ領域にプラズマを収束させるために用いるプラズマ制御と、前記最初のプラズマ領域よりプラズマを順次移動・拡大せしめて最大のプラズマ領域に至るまで連続的に順次移動・拡大させるプラズマ制御を行い、未溶融部位を順次溶解させるようにしたプラズマ制御装置を有することを特徴とする溶融蒸発型イオンプレーティング法により作製する多元系皮膜の製造装置及び製造方法が開示されている。
また、特許文献2では、請求項15でTi、AlおよびCrからなり、且つ相対密度が95%の硬質皮膜形成用ターゲットが開示され、さらに、特許文献2では、TiAlN にCrを添加することで岩塩構造型AlN の割合を増加させて硬度を高め、且つ耐酸化性も向上させることができると記載されているが、ここでのAl組成比の上限は 0.8にとどまっている。即ち従来の方法では、Alの組成比を増加させて硬度を高めるにも限界があるため硬度と耐酸化性を同時に高めていくことができず、結果として耐摩耗性の向上にも限界があった。しかしながら、近年では、切削工具の使用条件としてより高速化・高能率化が要求されており、この様な切削工具を実現するため、更に優れた耐熱性と耐摩耗性を発揮する切削工具用硬質皮膜が求められている。
0.02≦a≦0.2 、0.8 ≦b≦0.95、a+b+c=1、 0.5 ≦d≦1 (M は1種または2種以上の金属又は半金属元素であり、a、b、cはそれぞれTi、Al、M の原子比を示し、dはNの原子比を示す。以下同じ) の組成の硬質皮膜を、を少なくとも1層以上被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具を提供することにより上記課題を解決した。
さらに好ましくは、前記元素M がSi、Cr又はNiであることがのぞましい。
また、好ましくは、前記TiAlMN皮膜の膜厚が0.5μm以上5μm以下であることがのぞましい。
さらに好ましくは、前記1層もしくは2層以上の前記硬質皮膜の片面側または両面側に、岩塩構造型を主体とする結晶構造を有し、且つ前記硬質皮膜とは異なる成分組成の金属窒化物層、金属炭化物層および金属炭窒化物層あるいはこれらの積層、組成傾斜層からなる少なくとも1層、又は4A族、5A族、6A族、AlおよびSiよりなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む金属層または合金層が1層以上積層することにより、より硬度と耐酸化性を同時に高めた硬質皮膜被覆工具を提供するものとなった。
また、好ましくは、前記硬質皮膜の前記基材と逆側に、NiO 、DLC 、MoS 2 又はBNの潤滑機能皮膜を形成することにより、切削時の摩擦を減少させ、好ましい切削性能を得ることができる。
(本発明の第2発明の効果)
さらに好ましくは、前記元素M がSi、Cr又はNiであることがのぞましい。
また、好ましくは、前記TiAlMN皮膜の膜厚が0.5μm以上5μm以下であることがのぞましい。膜厚が0.5μm以上ないと効果が少なく、5μmを越えると割れやすくなるので、この範囲に限定した。
さらに好ましくは、前記1層もしくは2層以上の前記硬質皮膜の片面側または両面側に、岩塩構造型を主体とする結晶構造を有し、且つ前記硬質皮膜とは異なる成分組成の金属窒化物層、金属炭化物層および金属炭窒化物層あるいはこれらの積層、組成傾斜層からなる少なくとも1層、又は4A族、5A族、6A族、AlおよびSiよりなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む金属層または合金層が1層以上積層することにより、より硬度と耐酸化性を同時に高めた硬質皮膜被覆工具を提供するものとなった。
また、好ましくは、前記硬質皮膜の前記基材と逆側に、NiO 、DLC 、MoS 2 又はBNの潤滑機能皮膜を形成することにより、切削時の摩擦を減少させ、好ましい切削性能を得ることができる。
x+y+z=1、 (M は1種または2種以上の金属又は半金属元素であり、x、y、zはそれぞれTi、Al、M の原子比を示す。以下同じ) の組成であり、且つ相対密度即ち製品完全固体に対する原料体積比が50%以上70%以下であることを特徴とする硬質皮膜形成用ターゲットを提供するものである。
(超硬エンドミル切削条件)
工具:φ10超硬6 枚刃スクェアエンドミル
切削方法:側面切削ダウンカット
被削材:SKD61(硬さ53HRC)
切り込み:軸方向10mm、径方向0.2mm
切削速度:785m/min、送り:0.07mm/ 刃
切削長:20m 、潤滑剤:無し(エアーブロー)
△ AlN(ZnS構造)
Claims (8)
- 超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、(Ti a ,Al b ,Mc )(C1-d N d )からなる硬質皮膜であって、
0.02≦a≦0.2 、0.8 ≦b≦0.95、a+b+c=1、 0.5 ≦d≦1 (M は1種または2種以上の金属又は半金属元素であり、a、b、cはそれぞれTi、Al、M の原子比を示す、dはNの原子比を示す。以下同じ) の組成の硬質皮膜を、少なくとも1層以上被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具。 - 前記dの値が1である請求項1記載の硬質皮膜被覆工具。
- 前記元素M がSi、Cr又はNiである請求項1または請求項2記載の硬質皮膜被覆工具。
- 前記TiAlMN皮膜の膜厚が0.5μm以上5μm以下である請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載の硬質皮膜被覆工具。
- 前記1層もしくは2層以上の前記硬質皮膜の片面側または両面側に、岩塩構造型を主体とする結晶構造を有し、且つ前記硬質皮膜とは異なる成分組成の金属窒化物層、金属炭化物層および金属炭窒化物層あるいはこれらの積層、組成傾斜層からなる少なくとも1層、又は4A族、5A族、6A族、AlおよびSiよりなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む金属層または合金層が1層以上積層されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載の硬質皮膜被覆工具。
- 前記硬質皮膜の前記基材と逆側に、NiO 、DLC 、MoS 2 又はBNの潤滑機能皮膜を形成した請求項1乃至請求項5のいずれか1に記載の硬質皮膜被覆工具。
- (Ti x 、Aly 、M Z ) からなる硬質皮膜形成用ターゲットであって、
0.5 ≦x≦0.8 、0.2 ≦y≦0.5 、z≦0.1 、x+y+z=1、(M は1種または2種以上の金属又は半金属元素であり、x、y、zはそれぞれTi、Al、M の原子比を示す。以下同じ) の組成であり、且つ相対密度即ち製品完全固体に対する原料体積比が50%以上70%以下であることを特徴とする硬質皮膜形成用ターゲット。 - 超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、請求項7記載の硬質皮膜形成用ターゲットを蒸発原料とし、電界または磁界により収束されたプラズマを用いて原料を単一のルツボ又はハースから溶解・蒸発させる溶融蒸発型イオンプレーティング装置を使用し、
前記硬質皮膜形成用ターゲットを蒸発させる際に原料を溶解するために用いる電力供給装置は、前記硬質皮膜形成用ターゲットを蒸発させるに必要な最初の電力供給と、所定時間を置いて前記最初の電力より順次増大した電力を加えた電力の供給を、必要な最大の電力供給に至るまで繰り返して増大させて供給して、未溶融部位を順次溶解させるようにし、又は、代わりに、前記硬質皮膜形成用ターゲットを蒸発させる際に、プラズマを収束させるために用いる電界または磁界を制御するプラズマ制御装置は、前記硬質皮膜形成用ターゲットを蒸発させるに必要な最初のプラズマ領域にプラズマを収束させるために用いるプラズマ制御と、前記最初のプラズマ領域よりプラズマを順次移動・拡大せしめて最大のプラズマ領域に至るまで連続的に順次移動・拡大させるプラズマ制御を行い、未溶融部位を順次溶解させるようにし、TiAlM(CN) からなる硬質皮膜を少なくとも1層以上被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
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