JP2002535519A - 自動車に設けられた固定するべき部品をロックするための装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、自動車が障害物に衝突した際に発生する加速力の作用により、固定するべき部品（３；２１；３１）のスロット状をしたキャビティ（７；２８；３８）に係合する固定部品（１１；２６；３６）を、自動車において移動できる、固定するべき部品（３；２１；３１）をロックするための装置に関する。固定するべき部品に、異なる方向からの加速力が加えられた時に、自動車のドアの意図しない開放を確実に防止するための、簡単かつかさばらない態様で、装置を取り付けできるようにするため、本発明では、ドーム状または円錐形制御表面（９）を介し、ガイド（８；２３；３３）に当接する、球形の制御要素（１０；２２；３２）により、固定部品（１１；２２；３２）を制御するようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、自動車に設けられた、固定するべき部品をロックするための装置に
関する。

【０００２】 このタイプの装置は、ドイツ国特許公開第1428579号公報に記載されており、
自動車の制動中または始動中、もしくは曲げ部を飛び越す際に、不意に移動する
恐れのある自動車部品、例えばスライドドア、ティルト座席、またはティルトバ
ックレストを固定するのに使用されている。

【０００３】 この公知の装置は、枢動固定部品を有し、この固定部品は、自動車の動きが変
わったときに、質量による力の作用により枢動し、第２の固定部品に係合するよ
うになっている。

【０００４】 この公知の装置は、次のような欠点を有する。すなわち、動きの変化の結果と
して固定部品に作用する力が、全体として所定の方向にこの部品に作用した時に
しか（またはケースによっては固定部品に接続されている質量部材に作用した時
にしか）固定するべき部品をロックすることができない。

【０００５】 この公知の装置は、例えば正面衝突に起因する動きに抗し、または側方からの
衝撃に起因する動きに抗し、固定するべき部品を固定するような形状にすること
ができるが、この公知の装置は、正面衝突の時だけでなく、側方からの衝撃時に
も、部品を作動させることはできない。

【０００６】 自動車が回転した時、加速力は異なる方向から生じることがあり、このことは
、自動車が障害物と衝突した際に遭遇する予期しない動きに抗して固定する必要
のある自動車部品を十分に固定することができないことを意味している。

【０００７】 ドイツ国特許公告第2023859号公報は、自動車の締結具をロックするための装
置について述べている。このロック装置は、ドア内に突出するハンドルステムを
有するドアハンドルが枢動できるように取り付けられている自動車のドアに固定
されたハンドルガイドを備えている。

【０００８】 側方衝撃時に、ドアハンドルが枢動することによるドアの開放を防止するため
に、この公知の装置は、固定部品として２アームタイプのレバーを有する。この
レバーの第１アームは、増加質量部材を有し、第２アームは、ハンドルに接続さ
れたハンドルステムに当接している。側方からの衝撃時に、増加質量部材は、レ
バーアームによって倍力された慣性力を発生し、この発生した慣性力は、ハンド
ルに作用する慣性力と反対方向を向くので、意図しないドアの開放を防止するこ
とができる。

【０００９】 この公知の装置では、必要な増加質量部材は、通常、対応する衝撃時にハンド
ルに作用する慣性力を補償するよう、ハンドルの質量の大きさとなっている。更
にこの公知の装置は、加速力に開放方向の力の対応する成分がある場合にしかド
アハンドルを固定しない。

【００１０】 従って、自動車が回転する場合に発生する加速力は、一般に固定部品を枢動さ
せることはない。このことは、かかる場合において、自動車のドアの意図しない
開放を防止できないということを意味している。

【００１１】 この最後の説明は、自動車の締結具をロックするためのドイツ国特許第441831
7号に記載の装置にも当てはまる。

【００１２】 この公知の装置も、固定部品として２アーム式レバーを含んでいる。しかし、
この第１アームは、比較的小さい、増加質量部材しか有しない。この増加質量部
材が開放方向に移動すると、レバーの第２アームは、ハンドルのシャフトのスロ
ット状をしたキャビティ内に側方に係合するので、ハンドルが外側へ変位するこ
が防止される。

【００１３】 本発明の目的は、このドイツ国特許第4418317号公報をベースとし、簡単でか
さばることなく構成され、かつ異なる方向からの加速力が、固定するべき部品に
作用した場合でも、自動車のドアの意図しない開放を確実に防止する装置を提供
することにある。

【００１４】 この目的は、請求項１に記載の特徴事項を有する本発明により達成される。本
発明の他の有利な特徴については、従属請求項に記載してある。

【００１５】 本発明は、固定するべき部品のスロット状をしたキャビティに係合しなければ
ならない固定部品を、球形をした制御要素により制御し、ドーム状または切頭円
錐形をした制御表面を介して、ガイド上にこの制御要素を押圧し、スプリングに
よって、通常位置に保持するという思想に基づくものである。

【００１６】 固定するべき部品のキャビティと合致する固定ピンを含む固定部品は、枢動ま
たは移動を行うことができるような形状にすることができる。

【００１７】 本発明の別の特徴および利点は、図面を参照して説明する次の実施例から明ら
かとなると思う。

【００１８】 図１および図２において、符合１は、自動車のサイドドア用の外側ドアハンド
ルの前方ゾーンを示す。このドアの外側ドアハンドル１は、主にハンドルガイド
２と、実際のハンドル３とから成り、ハンドルガイド２は、符号４によって示さ
れている外側ドアパネル内に挿入され、このパネルに固定されている。

【００１９】 ハンドル３は、ドアハンドルを開けるように外側に枢動できるハンドルボウ５
と、このドアハンドルに接続されたハンドルステム６とを有する。ハンドルステ
ム６はドア内に突出し、図示しない接続部品を介して、図示しないドアロックと
連動している。またハンドルステム６の側方に、スロット状をしたキャビティ７
がある。このキャビティ７の目的については、後で詳細に説明する。

【００２０】 ハンドルガイド２内には、球形のカップ状をした制御表面９を備えるガイドと
して成形されたキャビティ８が形成されている。制御表面９の球形カップ内に、
球形の制御要素１０が配置されている。この制御要素１０は、スプリングによっ
て、図１に示す位置へ押圧されている固定部品１１により、通常の位置に保持さ
れている。

【００２１】 固定部品１１は、主に１つのブランチを備えたレバー１２から成り、ハンドル
ステム６のスロット状のキャビティ７に向くレバーの側面に、固定ピン１３が配
置されている。レバー１２を始動位置に保持するスプリング１４は、図示の実施
例では、ねじりスプリングとしてある。

【００２２】 次に、本発明の装置の作動の態様について説明する。この装置は、図１に示す
通常の位置でスタートするものとする。自動車のドアに対して、矢印１５（図２
）によって示す側方から加えられた衝撃力は、矢印１６の方向に作用する質量に
起因する力を、ハンドル３に与える。

【００２３】 質量に起因する対応する力（矢印１７）は、球形の制御要素１０にも作用する
ので、この制御要素は、ガイド８の制御表面に押圧され、従ってレバー１２にも
押圧される。

【００２４】 レバー１２は、ねじりスプリング１４の力に抗して枢動し、固定ピン１３は、
ハンドルステム６のスロット状をしたキャビティ７内に圧入される（図２）。従
って、ハンドル５は枢動できず、ドア締結具は、ロックされた位置に固定された
状態となる。

【００２５】 制御要素１０に対するガイド８の制御表面９の球形のカップ形状により、矢印
１７で示す質量に起因する力に対して、直角に制御要素に作用する加速力により
、ハンドルステム６のスロット状キャビティ７内への固定ピン１３の移動も生じ
ることが、図１および図２から明らかである。

【００２６】 同様に、自動車が矢印１８の方向（図１）に移動し、障害物と衝突（正面衝突
）すると、制御要素１０の慣性力により、固定ピン１３はスロット状のキャビテ
ィ７内で移動する。

【００２７】 ハンドルボウ５のロックが生じないのは、後方からの衝撃時だけである。従っ
て、図示した実施例において、後方からの衝撃時に、ハンドルもロックする必要
がある場合、例えばハンドルステム６のキャビティ７８と反対側に、この装置を
１つ増設しなければならない。

【００２８】 当然ながら、本発明は、上記実施例のみに限定されるものではない。例えば、
球形の制御要素によって制御される固定部品を、必ずしも枢動レバー状とする必
要はないが、移動もできるように容易に取り付けることができる。自動車のテー
ルゲートに対するプッシュボタン状に成形された締結具シリンダの一部ゾーンを
示す図３には、代表的な実施例が示されている。

【００２９】 図３において、２０はシリンダのスリーブを示し、２１は、スリーブ内で移動
できる対応する締結具シリンダのプラグを示す。シリンダのスリーブ２０では、
球形をした制御要素２２のためのガイドとして成形された球形カップ状をしたキ
ャビティ２３が設けられている。この制御要素２２は、ガイド部品２４内で移動
を行うことができるようになっており、固定ピン２７によって圧縮スプリング２
５に押圧された固定部品２６に対し、シリンダのプラグ２１に向く面が押圧され
ている。この特定のケースでは、ガイド部品２４とシリンダのスリーブ２０は、
互いに固定されている。

【００３０】 制御要素２２が対応する大きい加速力により通常位置から変位されると、この
制御要素は固定ピン２７をシリンダのプラグ２１内のスロット状をしたキャビテ
ィ２８内に押圧するので、シリンダプラグの変位、従って後方締結具の意図しな
い開放を防止する。

【００３１】 図４は、本発明の更に別の実施例を示す。この実施例では、固定部品は、移動
時に枢動できるような形状となっている。このような特定のケースでは、３０は
、再び締結具シリンダのシリンダスリーブを示し、３１は、図面の平面内で移動
できるシリンダプラグを示す。

【００３２】 球形制御要素３２が円錐形ガイド３３を押圧し、スプリング３５によって押圧
されている固定部品３６を介し、ガイド部品３４内に配置されている固定ピン３
７に作用するようになっている。このガイド部品は、対応する加速力が発生した
時に、シリンダプラグ内のスロット状をしたキャビティ３８内に係合し、従って
、シリンダプラグの移動を防止し、この結果、例えば自動車のドアの後方締結具
の意図しない開放を防止する。

【００３３】 固定部品３６は、制御要素３２に向く第１端部３９にキャビティ４０を有する
。このキャビティ４０は、制御要素３２の表面と合致した球形カップ状となって
いる。固定ピン３７に向く第２端部４１で、固定部品３６は球形となっており、
この端部を介して、固定ピン３７内の対応するキャビティ４２に嵌合している。

【００３４】 固定部品３６は、球形端部４１の中心点を貫通する軸線４３を中心として枢動
できるようになっているので、制御要素３２がガイド３３によって制御される側
方の移動を行うと、固定部品の第１端部３９の所定の最終位置へ移動し、同時に
固定ピン３７は、スロット状をしたキャビティ３８内へ進入する。

【００３５】 図４に示す実施例では、制御要素３２と、スプリング３５を備える固定部品３
６と、固定ピン３７とは、シリンダスリーブ３０に固定されたケーシング４４内
に共に配置することが好ましく、スプリング３５によって制御要素３２が押圧さ
れるケーシング４４の壁４５の外側表面は、ガイド３３として形成されており、
ケーシング４４の対向する壁４６は、固定ピン３７に対するガイド部品３４を形
成している。

【図面の簡単な説明】

【図１】 通常位置に配置された本発明に係わる装置を備えた、自動車のドア締結具の前
方ゾーンの図である。

【図２】 本発明に係わる装置がロックされている状態にある、図１に示された自動車の
ドア締結具を示す。

【図３】 本発明に係わる装置の別の実施例を示す。

【図４】 本発明に係わる装置の更に別の実施例を示す。

【符号の説明】

１ ドアの外側のハンドル ２ ハンドルガイド、固定部品 ３ ハンドル、固定するべき部品 ４ ドアの外側のパネル ５ ハンドルボウ ６ ハンドルステム ７ スロット状をしたキャビティ ８ ガイドキャビティ ９ 制御表面 １０ 制御要素 １１ 固定部品 １２ レバー １３ 固定ピン １４ スプリング、トーションスプリング １５〜１８ 矢印 ２０ シリンダスリーブ ２１ シリンダプラグ ２２ 制御要素 ２３ ガイドキャビティ ２４ ガイド部品 ２５ スプリング、圧縮スプリング ２６ 固定部品 ２７ 固定ピン ２８ スロット状をしたキャビティ ３０ シリンダスリーブ ３１ シリンダプラグ ３２ 制御要素 ３３ ガイドキャビティ ３４ ガイド部品 ３５ スプリング、圧縮スプリング ３６ 固定部品 ３７ スロット状をしたキャビティ ３９ 第１端部 ４０ 球形カップ形状をしたキャビティ ４１ 球形第２端部 ４２ キャビティ ４３ 軸線 ４４ ケーシング ４５〜４６ 壁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＪＰ，ＵＳ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 移動できるように自動車に設けられた、固定するべき部品（
   ３；２１；３１）をロックするための装置であって、 ａ）球形をした制御要素（１０；２２；３２）と、自動車の固定部品（２；
   ２０；３０）内に固定すべき部品（３；２１；３１）に対して配置された制御要
   素（１０；２２；３２）のためのガイドとして成形されたキャビティ（８；２３
   ；３３）と、制御要素（１０；２２；３２）が通常の位置にある時にこの制御要
   素をガイド（８；２３；３３）内に押圧するスプリング（１４；２５；３５）と
   を備え、 ｂ）前記制御要素（１０；２２；３２）のための前記ガイド（８；２３；３
   ３）は、自動車が移動中に所定の振動を受けた際に、前記スプリング（１４；２
   ５；３５）の圧力の作用に抗して固定するべき前記部品（３；２１；３１）に向
   かう前記制御要素（１０；２２；３２）の移動を生じさせるドーム状または円錐
   形の制御表面（９）を有し、 ｃ）固定するべき前記部品（３；２１；３１）は、前記制御要素（１０；２
   ２；３２）に向く側に、スロット状のキャビティ（７；２８；３８）を有し、 ｄ）制御要素（１０；２２；３２）の移動時に、固定ピン（１３；２７；３
   ７）が前記スロット状をしたキャビティ（７；２８；３８）に嵌合するよう、ス
   ロット状をした球形（７；２８；３８）に合わせた固定ピン（１３；２７；３７
   ）に作用する固定部品（１１；２６；３６）に、固定するべき部品（３；２１；
   ３１）に向く側で、前記制御要素（１０；２２；３２）が接続されていることを
   特徴とする、固定するべき部品をロックするための装置。
2. 【請求項２】 固定部品（１１）が枢動レバー（１２）である、請求項１記
   載の装置。
3. 【請求項３】 ガイド部品（２４）内で軸方向の移動を行うことができるよ
   うに、前記固定部品（２６）が取り付けられている、請求項１記載の装置。
4. 【請求項４】 前記固定部品（３６）が、前記制御要素（３２）に向く第１
   端部（３９）に、前記制御要素（３２）の表面に合致した球形カップ状のキャビ
   ティ（４０）を有し、前記ロックピン（３７）に向く第２端部（４１）が球形と
   なっており、 前記球形端部（４１）が、固定ピン（３７）内の対応するキャビティ（４２）
   に嵌合しており、前記第１端部（３９）を前記制御要素（３２）に押圧し、制御
   要素（３２）をガイド（３３）に押圧するスプリング（３５）によって、前記固
   定部品（３６）が押圧されており、 前記固定部品（３６）が、球形端部の中心点を貫通する軸線（４０）を中心と
   して枢動できるようになっており、これによって、前記ガイド（３３）によって
   制御される制御要素（３２）が横方向に運動する際に、前記固定部品の前記第１
   端部（３９）も、所定の最終位置に横方向に移動できるようになっている、請求
   項３記載の装置。
5. 【請求項５】 前記制御要素（３２）と、前記スプリング（３５）が設けら
   れた固定部品（３６）と、固定ピン（３７）がケーシング（４４）内に共に配置
   されており、前記スプリング（３５）によって前記制御要素（３２）が押圧され
   る前記ケーシング（４４）の壁（４５）の内側表面が、ガイド（３３）として、
   形成されており、ケーシング（４４）の反対側の壁（４６）が、前記固定ピン（
   ３７）のためのガイド部品（３４）を形成している、請求項４記載の装置。
6. 【請求項６】 自動車のドアに突出するハンドルステム（６）を有するハン
   ドルガイド（２）内で枢動するように取り付けられたハンドル（３）を有する自
   動車のドアの締結具をロックするために、前記ハンドルガイド（２）内に、球形
   の制御要素（１０）のガイド状をしたキャビティ（８）が設けられており、かつ
   ハンドルステム（６）内に、スロット状をしたキャビティ（７）が設けられてい
   る、請求項１記載の装置。
7. 【請求項７】 シリンダスリーブ（２０；３０）内のプッシュボタンとして
   形成されたシリンダプラグ（２１；３１）により、自動車のドアの締結具をロッ
   クするために、前記シリンダスリーブ（２０）内、またはこのシリンダスリーブ
   に接続されたケーシング（４４）の壁（４５）内に、球形をした制御要素（２２
   ；３２）のガイド状をしたキャビティ（２３；３３）が配置されており、シリン
   ダプラグ（２１；３１）内に、スロット状をしたキャビティ（２８；３８）が配
   置されている、請求項１記載の装置。