JP2002150923A - 電子放出素子、電子源および画像形成装置、並びに電子放出素子の製造方法 - Google Patents
電子放出素子、電子源および画像形成装置、並びに電子放出素子の製造方法Info
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Abstract
率の向上を図るとともに、高精細なビームを得ることが
できる電子放出素子および電子源および画像形成装置お
よび電子放出素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 絶縁性の基板1上に引き出し電極2と陰
極電極3を設け、陰極電極3上に繊維状カーボンの成長
選択性を有する層5を形成し、層5上に形成した触媒粒
子を介して繊維状カーボンを成長させる。
Description
めの電子放出素子、および電子放出素子を具備する電子
源、および電子源を用いて応用した画像形成装置に関
し、テレビジョン放送の表示装置、テレビ会議システム
やコンピューター等の表示装置の他、感光性ドラム等を
用いて構成された光プリンターとしての画像形成装置に
関する。さらには、電子放出素子の製造方法に関するも
のである。
装置の開発が進んでいる。
かけて金属表面から電子を放出させる電界放出型(FE
型)電子放出素子が冷電子源の一つとして注目されてい
る。
の自発光画像表示装置が可能となり、消費電力の低減、
軽量化にも貢献する。
エミッター135が基板131から略鉛直方向に円錐あ
るいは四角錐の形状を呈すもの、例えばC.A.Spi
ndt,”Physical Properties
of thin−filmfield emissio
n cathodes with molybdeni
um cones”,J.Appl.Phys.,4
7,5248(1976)等に開示されたもの(以下ス
ピント型)が知られている。
お、図中、141は基板、142はエミッター電極、1
43は絶縁層、144はゲート電極、145はエミッ
タ、146はアノード、147はアノードに照射される
電子ビームの形状をあらわしている。先端が先鋭化され
たエミッター145と、エミッタ−先端から電子を引き
出すゲート電極144とが基板上に平行に配置され、ゲ
ート電極144とエミッタ−電極142とが配置された
基板141の上方にコレクタ(アノード電極)146が
構成される(USP4728851,USP49048
95など参照)。
子の例としては、特開平8−115652号公報に示さ
れるように、有機化合物ガスを用いて微細な触媒金属上
で熱分解を行い、繊維状カーボンを、微細な間隙に堆積
させた構成が開示されている。
ては、特開平11−194134号公報およびヨーロッ
パ特許EP0913508A2号公報にチタン(T
i),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),タンタ
ル(Ta),モリブデン(Mo)の金属層が示されてい
る。また特開平11−139815号公報では導伝性基
体としてSiが示されている。
用いた画像形成装置では、電子源から蛍光体までの距離
Hとアノード電圧Vaと素子の駆動電圧Vfに応じた電
子ビームスポット(以下ビーム径と呼ぶ)が得られる。
このビーム径はサブミリメートル程度であり、画像形成
装置としては十分な解像度を持っているとされていた。
近年、より高精細な解像度が要求さされるようになって
きた。
には、電子放出素子の持つ素子容量に起因する消費電力
が増大するため、素子容量の低減、駆動電圧の低減と電
子放出素子の効率向上が望まれている。
ような問題が生じていた。
れて構成されることで、大きなゲート容量と多数のエミ
ッターとの間に寄生容量が形成されていた。さらに駆動
電圧が数十ボルトと高く、その構成上、容量性の消費電
力が大きい欠点があった。また、陽極(アノード)での
ビーム形状は広がってしまうという問題があった。
減できる利点はあるものの、エミッターとゲートとの距
離が遠いために駆動に数百ボルトを必要とするため、駆
動装置が大きくなる欠点があった。また、陽極(アノー
ド)でのビーム形状は広がってしまうという問題があっ
た。
出素子に対してビーム収束手段を設けることも考えられ
るが、作製方法の複雑さや、素子面積の増加、電子放出
効率の低下等の問題がある。
れたもので、その目的とするところは、素子容量および
駆動電圧の低減と電子放出効率の向上を図るとともに、
高精細なビームを得ることができる電子放出素子および
電子源および画像形成装置および電子放出素子の製造方
法を提供することにある。
になされた本発明の電子放出素子は、炭素を主成分とす
るファイバーと、Ti,Zr,NbもしくはAlの中か
ら選択された材料の酸化物からなる層、またはTi,Z
rもしくはNbの中から選択された材料の酸化物半導体
からなる層とを有し、前記炭素を主成分とするファイバ
ーが、前記層上に配置されており、そして前記炭素を主
成分とするファイバーが、その一部にPdを有すること
を特徴とするものである。
本発明の電子放出素子は、基体表面に間隔を置いて配置
された第1および第2の電極と、該第1の電極と電気的
に接続した炭素を主成分とする複数のファイバーと、前
記第1の電極よりも高い電位を前記第2の電極に印加す
る手段とを有しており、前記炭素を主成分とする複数の
ファイバーの先端の前記基体表面からの高さが、前記第
2の電極表面の前記基体表面からの高さよりも高い位置
に配置されおり、そして、前記第1の電極と前記炭素を
主成分とする複数のファイバーとの間に、Ti,Zr,
NbもしくはAlの中から選択された材料の酸化物から
なる層、またはTi,Zr,Nbの中から選択された材
料の酸化物半導体からなる層が配置されていることを特
徴とするものである。
本発明の電子放出素子は、炭素を主成分とするファイバ
ーと、Ti,Zr,NbもしくはAlの中から選択され
た材料の酸化物からなる層、またはTi,Zrもしくは
Nbの中から選択された材料の酸化物半導体からなる層
とを有しており、前記炭素を主成分とするファイバー
は、前記層上に配置されており、そして前記炭素を主成
分とするファイバーは、積層された複数のグラフェンを
有することを特徴とするものである。
本発明の炭素を主成分とするファイバーを有する電子放
出素子の製造方法は、基板上にTi,Zr,Nbもしく
はAlの中から選択された材料の酸化物からなる層、ま
たはTi,ZrもしくはNbの中から選択された材料の
酸化物半導体からなる層を配置する工程と、前記層上に
カーボンの成長を促進する触媒粒子を配置する工程と、
前記触媒粒子が配置された前記基板を、炭素化合物を含
む雰囲気中で加熱する工程とを有することを特徴とす
る。
た電子源ならびに画像形成装置にその特徴を有するもの
である。また、本発明は、上記電子放出素子の製造方法
を用いた電子源ならびに画像形成装置の製造方法にその
特徴を有するものである。
イバーを、成長選択性を有する材料を含む層上に設けた
ことにより、炭素を主成分とするファイバーに安定した
電気的接合を取ることが可能となると共に、簡易なプロ
セスで特性の優れた電子放出素子を形成することができ
る。
の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただ
し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、
材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載が
ない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣
旨のものではない。
ーダー)な核(触媒粒子)を形成し、熱分解により上記
核から成長した繊維状カーボンと、安定な電気的接合を
形成する材料について、検討した。
成長し、かつ電気的な結合が得られる材料としては、T
i,Zr,NbもしくはAlであって、その一部分(繊
維状カーボンあるいは触媒と接する界面)が酸化したも
の、またはTi,ZrもしくはNbの酸化物半導体が好
適であることを見出した。
Zr,NbもしくはAlの中から選ばれた材料の酸化物
上に触媒粒子(特にはPd)を配置した部材を用いるこ
とで、再現性よく、触媒粒子を配置した位置に繊維状カ
ーボンを生成することができることを見出した。
い、もしくは成長が遅い材料はTa,Cr,Au,A
g,Ptおよび触媒材料と同一種類の材料であることを
見い出した。
長は、積層構成においても成り立つ。例えば、基板上に
Crを全面に形成し、さらにCrの上に酸化チタンの微
小領域を形成し、基板全面に酸化パラジウムを被覆した
基板を用いると、繊維状カーボンが酸化チタンの上だけ
に選択成長した。
置に繊維状カーボンを形成する技術を用いた、本発明の
繊維状カーボンを用いた電子放出素子、電子源および画
像形成装置について以下に、従来例と比較しながら述べ
る。
ソン方程式によって導かれるエミッター先端部の電界
と、その電界とエミッター部の仕事関数をパラメーター
としてFowler−Nordheimの式と呼ばれる
関係式に従って求められる電子放出電流の電流密度によ
って決定される。
ー先端とゲート電極間の距離dが小さいほど、またエミ
ッター先端の半径rが小さいほど得られる電界が大きく
なる。
るX方向の最大の大きさXd(例えば図13における円
形ビーム形状137の中心からの最大到達距離)は、単
純な計算では、√(Vf/Va)に比例する形で表され
る。
ビーム径の増大を招く。
は極力距離d及び曲率rを小さくしなければならない。
4を用いて説明する。なお、図中、共通の番号として1
31,141は基板、132,142はエミッター電
極、133,143は絶縁層、135,145はエミッ
タ、136,146はアノード、137,147はアノ
ードに照射される電子ビームの形状をあらわしている。
ように、エミッター135とゲート134間にVfを印
加すると、エミッター135の突起先端の電界が高ま
り、電子がコーン状のエミッター先端近傍から真空中に
取り出される。
ー135先端の形状に沿うように、ある有限の面積を持
って形成されるため、取り出される電子はエミッター1
35先端の有限の面積から電位に対して、鉛直方向に引
き出される。
るが、大きな角度成分を持つ電子はゲートの方向に引き
出されることになる。円形のゲート134が形成されて
いる場合には、アノード136上に得られる電子分布
は、図に示すようにほぼ円形のビーム形状137とな
る。
ゲートの形状及びエミッターとの距離に密接に関係して
いる。
(図14)の場合には、エミッタ145とゲート144
との間に、基板141表面に実質的に平行な非常に強い
電界(横方向電界)が生じ、その結果、エミッター14
5から放出された電子はゲート144上において、一部
の電子149は真空中に取り出され残りの電子はゲート
電極144に取り込まれる。
ド(アノード電極)146に向かう電界ベクトルの方向
に対して、電子放出を行なう電界ベクトル(エミッター
145からゲート144に向かう電界)が異なる方位を
持つ。そのため、放出された電子がアノード146上で
形成する電子分布(ビームスポット)が大きくなる。
から引き出される電界(ここでは便宜的に、「横方向電
界」と呼び、エミッター形状による電界の増強効果は無
視する)とアノードに向かう電界(ここでは「縦方向電
界」と呼ぶ)について考える。
図14の構成において、「基板131(141)の表面
と実質的に平行な方向における電界」と言う事も出来
る。また、特に図14の構成においては「ゲート144
とエミッタ145とが対向する方向における電界」とも
言う事が出来る。
よび図14の構成において、「基板131(141)の
表面と実質的に垂直な方向における電界」、あるいは
「基板131(141)とアノード136(146)と
が対向する方向における電界」と言う事も出来る。
出された電子は最初、横方向電界によって引き出され、
ゲート144方向に向かった後に、縦方向電界によって
引き上げられアノード146に到達する。
および電子放出点の相対位置が重要となる。
異なる程度に強い場合には、エミッタから取り出された
電子のほとんどは、横方向電界によって形成される放射
状電位によって次第に軌道を曲げられ、ゲートに向かう
軌道をとる。ゲートに衝突した電子の一部は、散乱によ
って再び放出されるが、放出後、縦方向電界に捉えられ
るまでは、何度も楕円に似た軌道を描いてゲート上を広
がりながら、同時に放出される電子の数を減じながら散
乱を繰り返す。そして、散乱した電子が、ゲート電位の
作る等電位線を越えると(これを「淀み点」と呼ぶこと
がある)、ここで初めて縦方向電界によって引き上げら
れるようになる。
は、取り出された電子は、やはり放射状電位によって軌
道が曲げられるものの、電界による束縛がゆるくなり、
ゲート144に衝突することなしに縦方向電界に捉えら
れる電子軌道が出現する。
時、エミッター145からの電子の放出点位置を、ゲー
ト144の属する平面からアノード146の属する平面
側に次第に持ち上げる(図6参照)と、放出された電子
は全くゲート144に衝突せずに、縦方向電界に捉えら
れる軌道を描くことが可能であることが分かった。
ート電極144とエミッタ電極145の先端との間隔を
d、素子を駆動したときの電位差(ゲート電極とエミッ
タ電極との電位差)をV1、陽極(アノード)と基板
(素子)との距離をH、陽極(アノード)と陰極(エミ
ッタ電極)との電位差をV2 とした時、横方向電界が
縦方向電界の50倍以上大きくなると、取り出された電
子がゲートに衝突する軌道が描かれることを見出した。
乱を実質的に生じない高さs(ゲート電極2表面の一部
を含み、基板1表面と実質的に平行な平面と、電子放出
部材4の表面を含み、基板1表面と実質的に平行な平面
との距離で定義される(図6参照))が存在することを
見出した。上記高さsは、縦方向電界と横方向電界との
比(縦方向電界強度/横方向電界強度)に依存し、縦−
横方向電界比が低いほど、その高さが低く、横方向電界
が大きいほど高さが必要である。
sは10nm以上10μm以下である。
44とエミッター(142,145)とが同一平面上
に、同じ高さで構成されているだけでなく、横方向電界
が縦方向電界と比較して一桁以上強いため、ゲートに衝
突することに起因して、真空中に取り出される電子の量
が減少する傾向が強かった。
を強めることを目的として、ゲート電極の厚さや幅、お
よび、ゲート,エミッター,アノードの相対位置が決め
られていたため、アノードに得られる電子分布は広がっ
ていた。
る電子の分布を小さくするには、1)駆動電圧(Vf)
を下げる、2)電子の引き出し方向を揃える、3)電子
の軌道、さらに、ゲートでの散乱がある場合には4)電
子の散乱機構(特に弾性散乱)を考慮しなければならな
い。
電子放出素子においては、アノード電極上に照射される
電子分布の微細化と、電子放出効率の向上(ゲート電極
に吸収される放出電子の低減)との両立を実現するもの
である。
下に詳述する。
を示す平面模式図である。図1(b)は図1(a)のA
−A間断面図である。図6は本発明の電子放出素子の上
方にアノード電極を配置した本発明の電子放出装置を駆
動している時の様子を示す模式断面図である。
は引き出し電極(「ゲート電極」または「第2電極」と
も言う)、3は陰極電極(「カソード電極」または「第
1電極」とも言う)、4は陰極電極3上に配置された電
子放出材料(「電子放出部材」あるいは「エミッタ−材
料」とも言う)、5は繊維状カーボンを選択成長させる
ための層であり、前述した、Ti,Zr,Nbもしくは
Alの中から選ばれた材料の酸化物である。電子放出材
料4を構成する繊維状カーボンと電極3とは電気的に接
続される。
の層5を厚く形成しようとすると、層5は酸化物である
ので、繊維状カーボンと電極3との電気的接続性が低下
する場合がある。そのため、繊維状カーボンと電極3と
の電気的接続を十分確保する場合には、少なくとも、繊
維状カーボンを形成するため層5の表面を、Ti,Z
r,NbもしくはAlの中から選ばれた材料の酸化物と
し、残る部分を金属のままとすればよい。
図6に示したように、電子放出部材4の表面を含み、基
板1表面と実質的に平行な平面が、ゲート電極2表面の
一部を含み、基板1表面と実質的に平行な平面よりも、
基板表面よりも離れた位置に配置される。換言すると、
本発明の電子放出装置においては、電子放出部材4の表
面の一部を含み、基板1表面に実質的に平行な平面が、
引き出し電極2の表面の一部を含み、前記基板表面に実
質的に平行な平面と、アノード電極61との間に配置さ
れる。この様な構成とすることで、ゲート電極に吸い込
まれる電子の低減と、アノード電極上に照射される電子
ビームのスポット径の低減とを実現することができる。
おいては、ゲート電極2上での散乱を実質的に生じない
高さs(ゲート電極2表面の一部を含み、基板1表面と
実質的に平行な平面と、電子放出部材4の表面を含み、
基板1表面と実質的に平行な平面との距離で定義され
る)に電子放出部材4が配置される。
比(縦方向電界強度/横方向電界強度)に依存し、縦方
向電界と横方向電界比が低いほど、その高さが低く、横
方向電界が大きいほど高さが必要であるが、実用的な範
囲として、高さsは10nm以上10μm以下である。
いては、図6に示した構成において、陰極電極3とゲー
ト電極2との間隙の距離をd、電子放出素子を駆動した
ときの電位差(陰極電極3とゲート電極2間の電圧)を
Vf、アノード電極61と素子が配置された基板1表面
との距離をH、アノード電極61と陰極電極3との電位
差をVaとした時、駆動時の電界(横方向電界):E1
=Vf/dは、アノード−カソード間の電界(縦方向電
界):E2=Va/Hの1倍以上50倍以下に設定され
る。
から放出された電子がゲート電極2に衝突する割合をほ
ぼ無くすことができる。その結果、放出された電子ビー
ムの広がりが極めて少なく、高効率な、電子放出素子お
よび電子放出装置が得られる。
板1の表面と実質的に平行な方向における電界」と言う
事が出来る。あるいは、また、「ゲート電極2とカソー
ド電極3とが対向する方向における電界」とも言う事が
出来る。また、本発明で言う「縦方向電界」とは、「基
板1の表面と実質的に垂直な方向における電界」、ある
いは「基板1とアノード電極61とが対向する方向にお
ける電界」と言う事も出来る。
に洗浄した、石英ガラス,Na等の不純物含有量を減少
させてKなどに一部置換したガラス,青板ガラスもしく
はシリコン基板等にスパッタ法等によりSiO2を積層
した積層体、またはアルミナ等のセラミックスの絶縁性
基板が挙げられる。
を有しており、蒸着法,スパッタ法等の一般的真空成膜
技術またはフォトリソグラフィー技術により形成され
る。素子電極の材料は、例えば、炭素,金属,金属の窒
化物,金属の炭化物,金属のホウ化物,半導体,半導体
の金属化合物から適宜選択され、好ましくは炭素,金
属,金属の窒化物または金属の炭化物の耐熱性材料が望
ましい。素子電極の厚さは数十nmから数十μmの範囲
で設定される。
下などが心配される時、あるいはマトリクス配列でこの
素子を用いる場合は、必要に応じて低抵抗の配線用金属
材料を用いてもよい。ただし、電子放出に関与しない部
分に限られる。
ーボンを選択成長させるための層5とを別部材で形成し
た例を示したが、例えば、Ti,Zr,NbもしくはA
lの中から選ばれた材料の電極で陰極電極3を構成し、
その表面を酸化することで繊維状カーボンを選択成長さ
せるための層5を構成する場合もある。
ター(電子放出部材)4として、繊維状カーボンから構
成される。尚、本発明における「繊維状カーボン」と
は、「炭素を主成分とする柱状物質」あるいは、「炭素
を主成分とする線状物質」ということもできる。また、
「繊維状カーボン」とは、「炭素を主成分とするファイ
バー」ということもできる。そして、また、本発明にお
ける「繊維状カーボン」とは、より具体的には、カーボ
ンナノチューブ,グラファイトナノファイバー,アモル
ファスカーボンファイバーを含む。そして、中でも、グ
ラファイトナノファイバーが電子放出部材4として最も
好ましい。
駆動電圧については、前述したとおり、用いる陰極材料
の電子放出電界(横方向電界)と画像形成に必要な縦方
向電界との電界を比較した時に、電子放出電界が縦方向
電界よりも1倍から50倍程度の値になるように設計す
ることが好ましい。
光体を配置する場合は、必要な縦方向電界は10-1V/
μm以上10V/μm以下の範囲が好ましい。例えば、
陽極(アノード電極)と陰極電極との間隔を2mmと
し、その間隔に10kVを印加する場合、この時の縦方
向電界は5V/μmとなる。この場合、用いるべきエミ
ッター材料(電子放出部材)4の電子放出電界は5V/
μmよりも大きな電子放出電界を持つ材料であり、選択
した電子放出電界に相当するように、その間隔と、駆動
電圧を決めればよい。
料として、上述の繊維状カーボンが好適となる。
ーボンの形態の一例を示す。各図では一番左側に光学顕
微鏡レベル(〜1000倍)で見える形態、中央は走査
電子顕微鏡(SEM)レベル(〜3万倍)で見える形
態、右側は透過電子顕微鏡(TEM)レベル(〜100
万倍)で見えるカーボンの形態を模式的に示している。
(円筒形が多重構造になっているものはマルチウォール
ナノチューブと呼ばれる)の形態をとるものはカーボン
ナノチューブと呼ばれ、特にチューブ先端を開放させた
構造の時に、最もその閾値が下がる。
カーボンを図12に示す。この形態の繊維状カーボン
は、グラフェンの積層体(このため「グラファイトナノ
ファイバー」と呼ばれることがあるが、温度によりアモ
ルファス構造の割合が増加する)で構成されている。よ
り具体的には、グラファイトナノファイバーは、その長
手方向(ファイバーの軸方向)にグラフェンが積層され
たファイバー状の物質を指す。換言すると、図12に示
す様に、グラフェンがファイバーの軸に対して非平行に
配置されたファイバー状の物質である。
方向(ファイバーの軸方向)を囲むよう(円筒形状)に
グラフェンが配置されているファイバー状の物質であ
る。換言すると、グラフェンがファイバーの軸に対して
実質的に平行に配置されるファイバー状の物質である。
ン」あるいが「グラフェンシート」と呼ぶ。より具体的
には、グラファイトは、炭素原子がsp2混成により共
有結合でできた正六角形を敷き詰める様に配置された炭
素平面が、3.354Å(0.3354nm)の距離を
保って積層してできたものである。この一枚一枚の炭素
平面を「グラフェン」あるいは「グラフェンシート」と
呼ぶ。
が1〜10V/μm程度であり、本発明のエミッター
(電子放出部材)4の材料として非常に好適である。
た電子放出素子では、図1などに示した本発明の素子構
造に限らず、低電界で電子放出を起こすことができ、大
きな放出電流を得ることができ、簡易に製造ができ、安
定な電子放出特性をもつ電子放出素子を得ることが出来
る。例えば、グラファイトナノファイバーをエミッタと
し、このエミッタからの電子放出を制御する電極を用意
することで電子放出素子とすることができ、さらに、グ
ラファイトナノファイバーから放出された電子の照射に
より発光する発光体を用いればランプなどの発光装置を
形成することができる。また、さらには、上記グラファ
イトナノファイバーを用いた電子放出素子を複数配列す
ると共に、蛍光体などの発光体を有するアノード電極を
用意することでディスプレイなどの画像表示装置をも構
成することができる。グラファイトナノファイバーを用
いた電子放出装置や発光装置や画像表示装置において
は、内部を従来の電子放出素子のように超高真空に保持
しなくても安定な電子放出をすることができ、また、低
電界で高い電子放出量を確保できるため、信頼性の高い
装置を非常に簡易に製造することができる。
堆積を促進する材料)を用いて炭化水素ガスを分解して
形成することができる。カーボンナノチューブとグラフ
ァイトナノファイバーは触媒の種類、及び分解の温度に
よって異なる。
Niもしくはこれらの中から選択された材料の合金が繊
維状カーボン形成用の核として用いることが出来る。
の温度)でグラファイトナノファイバーを生成すること
が可能である。一方、FeまたはCoを触媒として用い
た場合、カーボンナノチューブの生成温度は800℃以
上必要である。Pdを用いてのグラファイトナノファイ
バー材料の作成は、低温で可能なため、他の部材への影
響や、製造コストの観点からも好ましい。
り低温(室温)で還元される特性を用いて、核形成材料
として酸化パラジウムを用いることが可能である。
一般的な核形成技法として従来から使用されている金属
薄膜の熱凝集や、爆発の危険を伴う超微粒子の生成と蒸
着を用いずとも、比較的低温(200℃以下)で初期凝
集核の形成が可能となった。
チレン,メタン,プロパン,プロピレンなどの炭化水素
ガス、あるいはエタノールやアセトンなどの有機溶剤の
蒸気を用いることができる。
の炭化水素ガスだけでなく、CO,CO2などの原料も
用いることが出来る。
は、前述したように、繊維状カーボンの成長選択性を有
するTi,Zr,NbもしくはAlの中から選ばれた材
料の酸化物、またはTi,ZrもしくはNbの中から選
ばれた材料の酸化物半導体を用いる。
物は絶縁体であるが、弱い酸化あるいは低級の酸化物
は、内部に多くの欠陥を保有し、酸素欠損型等の半導体
を形成する。
成されない。このためAlの酸化物を用いる場合には、
Alの表面に形成される酸化膜層の厚さを薄くすること
で、電子が絶縁層をトンネリングする導電機構を用いて
繊維状カーボンと陰極電極3との電気的接続を確保する
必要がある。
はAlの中から選ばれた材料の酸化物の上にPdを30
0℃程度の温度で数十分程度焼成して酸化パラジウムを
形成した。このときTi,Zr,NbまたはAlも酸化
するが、この程度の焼成温度と時間では、最初に堆積し
た層5の厚さにもよるが、層5全体が酸化せず、その表
面だけが酸化する。さらに、前述したように半導体的な
性質もあることから、結果、上記のように形成した層5
には導電性を確保することができる。
5の表面を上述した酸化物で構成することで、繊維状カ
ーボンを成長させる際の、層5の材料と触媒粒子との反
応を抑制することができる。その結果、安定に、且つ高
密度に繊維状カーボンを成長させることができる。
複数の繊維状カーボンが成長し、電子放出部材(エミッ
ター)4が形成される。
像形成装置においては、電子放出の関与に係わらず、エ
ミッター(電子放出部材)4の存在する領域を以後「エ
ミッター領域」と呼ぶ。
位置(電子放出部位)とその動作について図6,7を用
いて説明する。
μmに設定した本発明の電子放出素子を、図6に示すよ
うな真空装置60に設置し、真空排気装置65によって
10 -4Pa程度に到達するまで十分に排気した、図6に
示したように基板1の表面から数ミリの高さHの位置に
陽極(アノード電極)61の表面が位置するように設
け、陰極電極3および引き出し電極よりも数キロボルト
高い電位(電圧Va)を電圧源(「第2の電圧印加手
段」または「第2の電位印加手段」)を用いて、陽極6
1に印加した。ここでは、電圧Vaを陰極電極3と陽極
61との間に印加したが、陽極に印加する電圧はグラン
ド電位を基準としても良い。尚、基板1の表面と陽極6
1の表面は実質的に平行になるように配置される。
印加手段」または「第1の電位印加手段」)により駆動
電圧Vfとして数十V程度からなる電圧を陰極電極3と
引き出し電極2との間に印加し、電極2、3間に流れる
素子電流Ifと、アノード電極に流れる電子放出電流I
eを計測した。
され(基板1表面に実質的に平行に電界(電界の向き)
が形成され)、最も電界の集中する点は符号64で示さ
れる電子放出部材4の最もアノード電極寄り、且つギャ
ップに面する場所と想像される。この電界集中点近傍に
位置する電子放出材料の中で最も電界集中する場所から
電子が主に放出されると考えられる。素子のIe特性は
図7に示すような特性であった。すなわち印加電圧の約
半分からIeが急激に立ち上がり、不図示のIfはIe
の特性に類似していたが、その値はIeと比較して十分
に小さな値であった。
に基づく電子放出素子を複数個配列して構成した電子源
および画像形成装置について説明する。図8において、
81は電子源基体、82はX方向配線、83はY方向配
線である。84は電子放出素子、85は結線である。
・,Dxmのm本の配線からなり、真空蒸着法,印刷
法,スパッタ法等を用いて形成された導電性金属等で構
成することができる。配線の材料,膜厚,巾は適宜設計
される。
・,Dynのn本の配線よりなり、X方向配線82と同
様に形成される。
向配線83との間には、不図示の層間絶縁層が設けられ
ており、両者を電気的に分離している(m,nは共に正
の整数)。
法,スパッタ法等を用いて形成されたSiO2等で構成
される。例えば、X方向配線82を形成した電子源基体
81の全面あるいは一部に所定の形状で形成され、特
に、X方向配線82とY方向配線83の交差部の電位差
に耐え得るように膜厚,材料,製法が適宜設定される。
X方向配線82とY方向配線83はそれぞれ外部端子と
して引き出されている。
(不図示)は、m本のX方向配線82とn本のY方向配
線83と導電性金属等からなる結線85によって電気的
に接続されている。
る材料、結線85を構成する材料及び一対の素子電極を
構成する材料は、その構成元素の一部あるいは全部が同
一であっても、またそれぞれ異なってもよい。これら材
料は、例えば前述の素子電極の材料より適宜選択され
る。素子電極を構成する材料と配線材料が同一である場
合には、素子電極に接続した配線は素子電極ということ
もできる。
子放出素子84の行を選択するための走査信号を印加す
る不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方
向配線83には、Y方向に配列した電子放出素子84の
各列を入力信号に応じて変調するための不図示の変調信
号発生手段が接続される。各電子放出素子に印加される
駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号
の差電圧として供給される。
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
用いて構成した画像形成装置について、図9を用いて説
明する。図9は、画像形成装置の表示パネルの一例を示
す模式図である。
配した電子源基体、91は電子源基体81を固定したリ
アプレート、96はガラス基体93の内面に蛍光膜94
とメタルバック95等が形成されたフェースプレートで
ある。92は、支持枠であり該支持枠92には、リアプ
レート91、フェースプレート96がフリットガラス等
を用いて接続されている。外囲器97は、例えば大気
中、真空中あるいは、窒素中で、400〜500度の温
度範囲で10分以上焼成することで、封着して構成され
る。
レート96,支持枠92,リアプレート91で構成され
る。リアプレート91は主に電子源基体81の強度を補
強する目的で設けられるため、電子源基体81自体で十
分な強度を持つ場合は別体のリアプレート91は不要と
することができる。すなわち、電子源基体81に直接支
持枠92を封着し、フェースプレート96、支持枠92
及び電子源基体81で外囲器97を構成しても良い。一
方、フェースプレート96とリアプレート91の間に、
スペーサーとよばれる不図示の支持体を設置することに
より、大気圧に対して十分な強度をもつ外囲器97を構
成することもできる。
明する。
実施例に係る電子放出素子を素子上部から見た模式図で
あって、図1(b)は図1(a)のA−A間断面図であ
る。
出し電極、3は陰極電極、4は電子放出部材、5は繊維
状カーボンが成長する層を示している。
素子の製造工程を詳細に説明する。
洗浄を行った後、スパッタ法により厚さ5nmのTi
(不図示)及び厚さ30nmのPtを連続的に蒸着を行
なう。
型フォトレジスト(AZ1500/クラリアント社製)
を用いてレジストパターンを形成する。
トをマスクとし、Arガスを用いてPt層およびTi層
のドライエッチングを行い、電極ギャップ間(間隔)が
5μmからなる引き出し電極2および陰極電極3を形成
する(図5(a))。
蒸着にて約100nmの厚さに堆積する。
型フォトレジスト(AZ1500/クラリアント社製)
を用いてレジストパターンを形成する。
トをマスクとし、電子放出材料を被覆すべき領域(10
0μm角)を陰極電極3上に形成し、開口部のCrを硝
酸セリウム系のエッチング液で取り除く。
の厚さに蒸着する。
する(リフトオフ法)(図5(b))。
ール等を加えた錯体溶液を、スピンコートにて基板全体
に塗布する。
酸化パラジウム51を約10nmの厚さに形成した後、
残る全てのCrを硝酸セリウム系のエッチング液にて取
り除く。
ているが、層5のシート抵抗は1×102Ω/□とな
り、導電性は確保されている(図5(c))。
℃に加熱し、窒素で希釈した2%水素気流中で熱処理を
行う。この段階で素子表面には粒子の直径が約3〜10
nmの粒子52が形成される。この時の粒子の密度は約
1011〜1012個/cm2と見積もられる(図5
(d))。
エチレン気流中で500℃、10分間加熱処理して繊維
状カーボンを形成する。
を走査電子顕微鏡で観察すると、Pd塗布領域に直径1
0nm〜25nm程度で、屈曲しながら繊維状に伸びた
多数の繊維状カーボンが形成されているのがわかった。
このとき繊維状カーボンの厚さは約500nmとなって
いた(図5(e))。
位置に描かれているが、繊維状カーボンの先端あるいは
繊維の中間位置に存在することもあった。
子を図6に示すような真空装置60に設置し、真空排気
装置65によって2×10-5Paに到達するまで十分に
排気した。そして、素子からH=2mm離れた陽極(ア
ノード)61に、陽極(アノード)電圧としてVa=1
0kVを印加し、さらに、素子には駆動電圧Vf=20
Vからなるパルス電圧を印加して、このときに流れる素
子電流Ifと電子放出電流Ieを計測した。
示した。具体的には、印加電圧の約半分からIeが急激
に増加し、Vfが15Vのときに約1μAの電子放出電
流Ieが測定された。一方If(不図示)はIeの特性
に類似していたが、その値はIeと比較して一桁以上小
さな値であった。
3の上に繊維状カーボンの成長選択性を有する層5を設
けたことで、繊維状カーボンを所定の位置に一定の高い
密度で成長させることが可能となった。
電気的接続層として用いたことにより、繊維状カーボン
と電極3との間に安定した電気的接合を確保でき、安定
に電子放出させることが可能となった。
一部分が酸化したものまたはTiの酸化物半導体を用い
たが、TiのかわりにZr,NbまたはAlを用いても
よい。また、これら以外であっても、繊維状カーボンの
成長選択性を有する材料であれば好適に利用できる。
した後、陰極電極3の上に層5を積層したが、陰極電極
3と層5を同一の材料で一度に形成してもよい。このと
きの材料として上述の繊維状カーボンの成長選択性を有
する材料を用いることで、より簡易なプロセスで電子放
出素子を作ることができる。
はY方向に細長く、X方向に短い、略矩形形状であっ
た。
を2mmに固定し、アノード電圧Vaを5kV,10k
V、ギャップを1μm,5μmにした時のビーム幅を測
定したところ表1のようになった。
の成長条件を変えることで変化させることが可能であっ
た。特に酸化パラジウムを還元処理してできるPdの平
均粒径が、その後の成長でできる繊維状カーボンの直径
と関連している。Pdの平均直径は塗布するPd錯体の
Pd濃度とスピンコートの回転数で制御することが可能
であった。
察したところ、グラフェンが図12の右に示すように、
繊維状カーボンの軸方向に沿って積層された構造であっ
た。グラフェンの積層間隔(Z軸方向)は温度が低い5
00℃程度では不鮮明であり、その間隔が0.4nmで
あったが、温度が高くなればなるほど、格子間隔が鮮明
となり、700℃では0.34nmとなりグラファイト
0.335nmに近い値となった。
されている。
nm、引き出し電極2の厚さを30nmに形成した以外
は第1実施例と同様にして電子放出素子の作製を行い、
If,Ieの計測を行った。
施例と同一なので、同一の構成部分については同一の符
号を付して、その説明は省略する。
厚くすることで、電子放出位置を引き出し電極2から見
て、確実に高い位置(アノード側)にすることが出来
た。
る軌道が減少し、効率の低下や、ビーム径の増大を招く
現象を防ぐことができた。
20Vでは約1μAの電子放出電流Ieが測定された。
一方IfはIeの特性に類似していたが、その値はIe
と比較して二桁小さな値であった。
あった。
されている。
陰極電極3上に形成したが、本実施例では、層5cおよ
び電子放出部材4cが、陰極電極3とゲート電極2との
ギャップ(間隙)部と、陰極電極3上にまたがるように
形成した。
ターンを形成する位置を変える以外は、第1実施例と同
じ工程により形成することができるので、同一の部分に
ついては説明を省略する。
引き出し電極2の離間幅が狭くなるように、陰極電極3
とゲート電極2間のギャップ部のほぼ中間位置(ギャッ
プ間距離の約半分)まで層5cおよび電子放出部材4c
を延設した。
間距離が小さい分、電界が約2倍程度強い。このため駆
動の電圧は8V程度まで低下させることが可能となっ
た。
として用いたことによりギャップ内の繊維状カーボンか
ら安定に電子放出させることが可能となった。
されている。
と2を以下に示すように変更した。
洗浄を行った後、スパッタ法により、陰極電極3dとし
て厚さ5nmのTi及び厚さ30nmのPtを、さら
に、繊維状カーボン成長可能な層5dとして厚さ100
nmのTiを、連続的に蒸着を行う。
型フォトレジスト(AZ1500/クラリアント社製)
を用いてレジストパターンを形成する。
トをマスクとして、CF4によりTi層(層5d)のド
ライエッチングを行い、続いて、Pt,Ti層(陰極電
極3d)をArにてドライエッチングを行って陰極電極
3dを形成する。
フッ酸とフッ化アンモニウムからなる混酸を用いて、約
500nmの深さ、石英基板をエッチングする。
ッタ法により厚さ5nmのTi及び厚さ30nmのPt
を連続的に蒸着を行う。陰極電極3dのフォトレジスト
を剥離後、再びポジ型フォトレジスト(AZ1500/
クラリアント社製)を用いて引き出し電極形状を形成す
るためのレジストパターンを形成する。
トをマスクとしてPt層,Ti層をArを用いてドライ
エッチングを行い、電極間に形成された段差がギャップ
として作用するように引き出し電極2を形成する。
工程である。
成長用触媒材料としてNiを用いた。このとき、レジス
トパターンを導電層5d上に形成して、直進性のよい抵
抗加熱蒸着でNi粒子を約5nmの厚さに形成し、その
後酸化処理を350℃で30分行うとよい。
電極に高低差をつけた構成にしたので、より微細なギャ
ップを作ることが可能となり、約6V程度から電子放出
させることが出来るようになった。
とに起因して、膜の上部からだけでなく中間位置から電
子が出ることで、引き出し電極2dに電子が衝突し、効
率の低下や、ビーム径の増大を防ぐことが出来た。
電子放出素子を複数配列して構成される画像形成装置に
ついて、図8,9,10を用いて説明する。図8におい
て、81は電子源基体、82はX方向配線、83はY方
向配線である。84は電子放出素子、85は結線であ
る。
い素子の容量が増大すると、図8に示すマトリクス配線
においては、パルス幅変調に伴う短いパルスを加えても
容量成分により波形がなまり、期待した階調が取れない
などの問題が生じる。このため本実施例では電子放出部
のすぐ脇に層間絶縁層を配し、電子放出部以外での容量
性分の増加を低減する構造を採用した。
Dx2,・・・,Dxmのm本の配線からなり、蒸着等
にて形成された厚さ約1μm、幅300μmのアルミニ
ウム系配線材料で構成されている。配線の材料,膜厚,
巾は適宜設計される。
0μmのDy1,Dy2,・・・,Dynのn本の配線
よりなり、X方向配線82と同様に形成される。
向配線83との間には、不図示の層間絶縁層が設けられ
ており、両者を電気的に分離している(m,nは共に正
の整数)。
いて厚さ約0.8μmに形成したSiO2からなり、X
方向配線82を形成した電子源基体81の全面あるいは
一部に所定の形状で形成され、特に、X方向配線82と
Y方向配線83の交差部の電位差に耐え得るように膜厚
を決定する。本実施例では1素子当たりの素子容量が1
pF以下、素子耐圧が30Vになるように層間絶縁層の
厚さを決定した。
れ外部端子として引き出されている。
(不図示)は、m本のX方向配線82とn本のY方向配
線83と導電性金属等からなる結線85によって電気的
に接続されている。
子放出素子84の行を選択するための走査信号を印加す
る不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方
向配線83には、Y方向に配列した電子放出素子84の
各列を入力信号に応じて変調するための不図示の変調信
号発生手段が接続される。各電子放出素子に印加される
駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号
の差電圧として供給される。
位、X方向配線82は低電位になるように接続した。こ
のように接続することで、ビームの収束効果が得られ
た。
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
用いて構成した画像形成装置について、図9を用いて説
明する。
ムガラスを用いた画像形成装置の表示パネルの概略斜視
図である。
配した電子源基体、91は電子源基体81を固定したリ
アプレート、96はガラス基体93の内面に蛍光膜94
とメタルバック95等が形成されたフェースプレートで
ある。92は、支持枠であり該支持枠92には、リアプ
レート91、フェースプレート96がフリットガラス等
を用いて接続されている。97は外囲器であり、真空中
で、450℃の温度範囲で10分焼成することで、封着
して構成される。
レート96,支持枠92,リアプレート91で構成され
る。そして、フェースプレート96とリアプレート91
の間に、スペーサーとよばれる不図示の支持体を設置す
ることにより、大気圧に対して十分な強度をもつ外囲器
97を構成した。
蛍光膜94の内面側表面の平滑化処理(通常、「フィル
ミング」と呼ばれる。)を行い、その後Alを真空蒸着
等を用いて堆積させることで作られた。
4の導電性を高めるため、蛍光膜94の外面側に透明電
極(不図示)を設けた。
各色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、
十分な位置合わせが不可欠となる。
ト電極側に出射されるので、10kVのアノード電圧、
アノード間距離2mmの時は、200μmだけゲート側
に偏移させて蛍光体を配置した。
成を示す模式図である。
ング素子(図中、S1〜Smで模式的に示している。)
を備えたものである。各スイッチング素子は、直流電圧
源Vxの出力電圧もしくは0V(グランドレベル)のい
ずれか一方を選択し、表示パネル101の端子Dox1
〜Doxmと電気的に接続される。
回路103が出力する制御信号TSC ANに基づいて動作す
るものであり、例えばFETのようなスイッチング素子
を組み合わせることにより構成することができる。
子放出しきい値電圧)に基づき、走査されていない素子
に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電圧以下とな
るような一定電圧を出力するよう設定されている。
信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動
作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同期
信号分離回路106より送られる同期信号TSYNCに基づ
いて、各部に対してTSCAN,TSFTおよびTMRYの各制御
信号を発生する。
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波数
分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信
号分離回路106により分離された同期信号は、垂直同
期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜
上TSYNC信号として図示した。前記テレビ信号から分離
された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表し
た。該DATA信号はシフトレジスタ104に入力され
る。
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号TSFTに基づいて動
作する(すなわち、制御信号TSFTはシフトレジスタ1
04のシフトクロックであるということもできる。)。
シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放
出素子N素子分の駆動データに相当)のデータは、Id
1〜IdnのN個の並列信号として前記シフトレジスタ
104より出力される。
データを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号TMRYに従っ
て適宜Id1〜Idnの内容を記憶する。記憶された内
容は、Id’1〜Id’nとして出力され、変調信号発
生器107に入力される。
d’1〜Id’nの各々に応じて電子放出素子の各々を
適切に駆動変調する為の信号源であり、その出力信号
は、端子Doy1〜Doynを通じて表示パネル101
内の電子放出素子に印加される。
る電子放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性
を有している。
圧Vthがあり、Vth以上の電圧を印加された時のみ
電子放出が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対し
ては、素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化
する。
印加する場合、例えば電子放出しきい値以下の電圧を印
加しても電子放出は生じないが、電子放出しきい値以上
の電圧を印加する場合には電子ビームが出力される。
事により出力電子ビームの強度を制御することが可能で
ある。また、パルスの幅Pwを変化させることにより出
力される電子ビームの電荷の総量を制御する事が可能で
ある。
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。
信号発生器107として、一定長さの電圧パルスを発生
し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値を変
調するような電圧変調方式の回路を用いることができ
る。
ては、変調信号発生器107として、一定の波高値の電
圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧
パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を
用いることができる。
5は、デジタル信号式を用いた。
は、例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回
路などを付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号
発生器107には、例えば高速の発振器および発振器の
出力する波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器
の出力値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コン
パレータ)を組み合せた回路を用いた。
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限
られるものではなく、PAL,SECAM方式など他、
これよりも多数の走査線からなるTV信号(例えば、M
USE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用で
きる。
カーボンの成長選択性を有する導電層を設けたので、繊
維状カーボンを所定の位置に高密度で成長させ安定した
電気的接合を確保でき、素子容量および駆動電圧の低減
と電子放出効率の向上を図るとともに、高精細なビーム
を得ることができた。
構成図である。
構成図である。
構成図である。
構成図である。
工程を示す図である。
るときの模式図である。
を示す模式図である。
回路の概略構成図である。
ルの概略構成図である。
成の概略構成図である。
ある。
式図である。
Claims (35)
- 【請求項1】炭素を主成分とするファイバーと、 Ti,Zr,NbもしくはAlの中から選択された材料
の酸化物からなる層、またはTi,ZrもしくはNbの
中から選択された材料の酸化物半導体からなる層と、を
備え、 前記炭素を主成分とするファイバーは、前記層上に配置
されており、且つ、その一部にPdを有することを特徴
とする電子放出素子。 - 【請求項2】前記Pdは、前記層に前記炭素を主成分と
するファイバーが接する位置に配置されてなることを特
徴とする請求項1に記載の電子放出素子。 - 【請求項3】前記Pdは、前記炭素を主成分とするファ
イバーの先端あるいは前記炭素を主成分とするファイバ
ーの中間に配置されてなることを特徴とする請求項1に
記載の電子放出素子。 - 【請求項4】前記炭素を主成分とするファイバーは、前
記層上に配置されたPd粒子を介して成長されたもので
あることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載
の電子放出素子。 - 【請求項5】前記炭素を主成分とするファイバーは、グ
ラフェンを有することを特徴とする請求項1乃至4のい
ずれかに記載の電子放出素子。 - 【請求項6】前記炭素を主成分とするファイバーは、積
層された複数のグラフェンを有することを特徴とする請
求項1乃至4のいずれかに記載の電子放出素子。 - 【請求項7】前記複数のグラフェンは、前記炭素を主成
分とするファイバーの軸方向に積層されてなることを特
徴とする請求項6に記載の電子放出素子。 - 【請求項8】前記炭素を主成分とするファイバーは、グ
ラファイトナノファイバー,カーボンナノチューブもし
くはアモルファスカーボン、またはこれらのうち2種類
以上の混合物であることを特徴とする請求項1乃至7の
いずれかに記載の電子放出素子。 - 【請求項9】基板の表面上に設けた第1電極と、 前記第1電極と間隙を挟んで前記基板の表面上に設けた
第2電極と、 前記第1電極よりも高い電位を前記第2電極に印加する
手段と、 をさらに有し、 前記層の少なくとも一部分を前記第1電極上に配置した
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電
子放出素子。 - 【請求項10】前記第1電極の厚みを、前記第2電極の
厚みよりも厚くしたことを特徴とする請求項9に記載の
電子放出素子。 - 【請求項11】前記炭素を主成分とするファイバーが、
前記第2電極よりも前記基板表面から離れて位置するこ
とを特徴とする請求項9または10に記載の電子放出素
子。 - 【請求項12】前記第1電極を設ける位置が前記第2電
極を設ける位置より高くなるように、前記基板表面に段
差を設けたことを特徴とする請求項9乃至11の何れか
に記載の電子放出素子。 - 【請求項13】複数の電子放出素子からなる電子源であ
って、前記電子放出素子が、請求項1乃至12のいずれ
か1項に記載の電子放出素子であることを特徴とする電
子源。 - 【請求項14】請求項13に記載の電子源と、該電子源
から放出された電子が衝突するアノードと、を有するこ
とを特徴とする画像形成装置。 - 【請求項15】前記アノードは蛍光体を有することを特
徴とする請求項14に記載の画像形成装置。 - 【請求項16】基体表面に間隔を置いて配置された第1
および第2の電極と、 該第1の電極と電気的に接続した炭素を主成分とする複
数のファイバーと、 前記第1の電極よりも高い電位を前記第2の電極に印加
する手段と、を備え、 前記炭素を主成分とする複数のファイバーの先端の前記
基体表面からの高さが、前記第2の電極表面の前記基体
表面からの高さよりも高い位置に配置されており、且
つ、 前記第1の電極と前記炭素を主成分とする複数のファイ
バーとの間に、Ti,Zr,NbもしくはAlの中から
選択された材料の酸化物からなる層、またはTi,Z
r,Nbの中から選択された材料の酸化物半導体からな
る層が配置されていることを特徴とする電子放出素子。 - 【請求項17】前記層と前記炭素を主成分とする複数の
ファイバーとが、触媒材料を介して接続してなることを
特徴とする請求項16に記載の電子放出素子。 - 【請求項18】前記触媒材料は、Pd,Ni,Fe,C
oまたはこれらの合金の中から選択された材料であるこ
とを特徴とする請求項17に記載の電子放出素子。 - 【請求項19】前記第1の電極の厚みを、前記第2の電
極の厚みよりも厚くしたことを特徴とする請求項16乃
至18のいずれかに記載の電子放出素子。 - 【請求項20】複数の電子放出素子からなる電子源であ
って、前記電子放出素子が、請求項16乃至19のいず
れかに記載の電子放出素子であることを特徴とする電子
源。 - 【請求項21】請求項20に記載の電子源と、該電子源
から放出された電子を受けて画像を形成する画像形成部
材とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 【請求項22】炭素を主成分とするファイバーと、 Ti,Zr,NbもしくはAlの中から選択された材料
の酸化物からなる層、またはTi,ZrもしくはNbの
中から選択された材料の酸化物半導体からなる層と、を
備え、 前記炭素を主成分とするファイバーは、前記層上に配置
されており、且つ、積層された複数のグラフェンを有す
ることを特徴とする電子放出素子。 - 【請求項23】前記複数のグラフェンは、前記炭素を主
成分とするファイバーの軸方向に積層されてなることを
特徴とする請求項22に記載の電子放出素子。 - 【請求項24】前記炭素を主成分とするファイバーは、
前記層上に配置したPd粒子を介して成長したものであ
ることを特徴とする請求項22または23に記載の電子
放出素子。 - 【請求項25】前記炭素を主成分とするファイバーは、
Pdを有することを特徴とする請求項22乃至24のい
ずれかに記載の電子放出素子。 - 【請求項26】複数の電子放出素子からなる電子源であ
って、前記電子放出素子が、請求項22乃至25のいず
れかに記載の電子放出素子であることを特徴とする電子
源。 - 【請求項27】請求項26に記載の電子源と、該電子源
から放出された電子を受けて画像を形成する画像形成部
材とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 【請求項28】炭素を主成分とするファイバーを有する
電子放出素子の製造方法であって、 基板上にTi,Zr,NbもしくはAlの中から選択さ
れた材料の酸化物からなる層、またはTi,Zrもしく
はNbの中から選択された材料の酸化物半導体からなる
層を配置する工程と、 前記層上にカーボンの成長を促進する触媒粒子を配置す
る工程と、 前記触媒粒子が配置された前記基板を、炭素化合物を含
む雰囲気中で加熱する工程と、を含むことを特徴とする
電子放出素子の製造方法。 - 【請求項29】前記炭素化合物が炭化水素ガスであるこ
とを特徴とする請求項28に記載の電子放出素子の製造
方法。 - 【請求項30】前記層は、前記基板上に配置された電極
上に形成されることを特徴とする請求項28または29
に記載の電子放出素子の製造方法。 - 【請求項31】前記層は、前記基板上にTi,Zr,N
bもしくはAlの中から選択された材料からなる導電層
を形成し、該導電層の表面を酸化する工程により形成さ
れることを特徴とする請求項28乃至30のいずれかに
記載の電子放出素子の製造方法。 - 【請求項32】前記導電層の表面を酸化する工程は、前
記導電層表面に前記触媒粒子を構成する材料を形成し、
該材料を酸化する工程により行われることを特徴とする
請求項31に記載の電子放出素子の製造方法。 - 【請求項33】前記触媒粒子は、Pd,Ni,Fe,C
oまたはこれらの合金の中から選択された材料からなる
粒子であることを特徴とする請求項28乃至32のいず
れかに記載の電子放出素子の製造方法。 - 【請求項34】複数の電子放出素子からなる電子源の製
造方法であって、前記電子放出素子が、請求項28乃至
33のいずれかに記載の製造方法により製造されること
を特徴とする電子源の製造方法。 - 【請求項35】電子源と、画像形成部材とを有する画像
形成装置の製造方法であって、前記電子源が、請求項3
4に記載の製造方法により製造されることを特徴とする
画像形成装置の製造方法。
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