JP2002001748A - 化粧ボードの製造方法 - Google Patents

化粧ボードの製造方法

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JP2002001748A JP2000183894A JP2000183894A JP2002001748A JP 2002001748 A JP2002001748 A JP 2002001748A JP 2000183894 A JP2000183894 A JP 2000183894A JP 2000183894 A JP2000183894 A JP 2000183894A JP 2002001748 A JP2002001748 A JP 2002001748A
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Ichiro Kawabata
一郎 川幡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面保護層に電離放射線硬化性樹脂層を設け
た化粧シートを木質板に積層した化粧板は、メラミン化
粧板に比較して、低コストで製造できるが、衝撃による
耐陥没性、耐擦傷性、耐シガレット性が劣っている。 【解決手段】 半硬化の架橋型樹脂を含浸した紙等の繊
維質基材の表面に、絵柄層及び硬化した電離放射線硬化
性樹脂からなる透明な保護層を設けた化粧シート2の裏
面を、ダブルベルトプレス装置20等の連続的に加熱プ
レスできる装置を用いて、MDF(中密度繊維板)、パ
ーチクルボード等の木質板3の表面(又は両面)に連続
的に加熱プレスして接着することにより、化粧シート2
の半硬化の架橋型樹脂を架橋、硬化せしめて、表面に耐
陥没性、耐擦傷性、耐シガレット性等に優れた物性を付
与する化粧ボード1を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の床面、壁
面、天井等の内装、家具並びに各種キャビネット等の表
面装飾材料、建具の表面化粧等に用いる表面化粧用とし
て利用させれる化粧シートを用いて化粧ボードを製造す
るときの、加熱プレス方式による連続的製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物の内装や家具、キャビネッ
ト等の装飾用の材料として、メラミン化粧板、ダップ化
粧板、ポリエステル化粧板、プリント合板、塩化ビニル
化粧板等の各種化粧材が用いられている。特に、建築物
の内装や家具、キャビネット等の表面装飾に、表面硬
度、耐薬品性、耐汚染性等の物性が要求される化粧材と
して、メラミン樹脂化粧板が用いられてきた。メラミン
樹脂化粧板は絵柄を印刷したチタン紙に未硬化のメラミ
ン樹脂を含浸し、更に未硬化のメラミン樹脂を含浸した
オーバーレイ紙を表面に、また、裏面にフェノール樹脂
を含浸したコア紙を積層した上で、加熱、加圧(熱プレ
ス)して、各層の含浸した未硬化の樹脂を硬化させ、且
つ各層を一体化させてなるものである。
【0003】しかし、メラミン樹脂化粧板は価格が高
く、又可撓性に乏しいという欠点も有しているので、よ
り低価格で可撓性を必要とする場合には、化粧材とし
て、紙を基材とする化粧材(化粧シート)が用いられて
きた。かかる化粧シートとしては、基材シートの片面に
絵柄層又はベタ印刷層等の印刷インキ層を設け、このイ
ンキ層を保護するために、トップコート層として、熱硬
化型のウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂等を塗布
し、熱乾燥、熱硬化させて硬化した熱硬化性樹脂層を形
成するもの、又はトップコート層として電離放射線硬化
性樹脂を塗布し、電離放射線を照射して塗膜を硬化し
て、表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層を形成する
ものがある。特に、架橋密度の高い電離放射線硬化性樹
脂を用いて硬化した電離放射線硬化性樹脂層は、表面硬
度、耐薬品性、耐汚染性等の物性に優れたものである。
【0004】上記の如く表面保護層として硬い樹脂を使
用することで、確かに表面硬度が高く耐摩耗性、耐薬品
性、耐汚染性も保持した上で価格も下がり且つ可撓性は
向上する。また、可撓性が向上するため、化粧シートを
連続帯状のシートとして連続的に量産し、巻き取ること
により、保管、搬送も容易となる。且つ該化粧シートは
曲面部への化粧も可能となる。しかし、基材として、厚
みの薄い紙やプラスチックシートのような可撓性、柔軟
性を有する基材を使用する場合は、樹脂の架橋密度を高
くすると樹脂層の可撓性、柔軟性が損なわれて、巻き取
ったり、或いは曲面部に貼着する際に、表面樹脂層が衝
撃によって割れたり、亀裂が発生し易くなる等の問題が
生じる。また、化粧シートを巻き取り状で製造し、該化
粧シートが曲面部分にも貼着できる程度に、可撓性、柔
軟性を上げるには、表面樹脂の架橋密度を低下させる必
要があり、表面保護層の硬度も低下するので、化粧シー
トを巻き取り状で生産する場合には、耐摩耗性等の物性
には限界があった。
【0005】そのため、表面保護層の可撓性、柔軟性を
低下させずに耐摩耗性を改良する方法として、可撓性、
柔軟性を有するが、表面硬度等の物性が低い低架橋密度
の樹脂を用いて、これに高硬度の無機粒子を添加するこ
とにより、表面硬度の不足を補う方法が従来から行われ
ている。例えば、特開昭60ー23642号公報には、
サンドブラスト法やブラシ研磨法等の研磨剤として使用
されている平均粒径が1〜50μmのシリカ(Si
2)及びアルミナ(Al23 )を主成分とする天然
ガラスの粉末を配合した塗料を用いて、表面樹脂層を形
成することが開示されている。上記塗料によって形成さ
れた表面保護層は、従来品に比べて、硬度が硬く、耐摩
耗性等の物性も良好で、且つ可撓性、柔軟性も両立して
有しており、優れた物性を有するものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、表面に電離放
射線硬化性樹脂層を形成した化粧シートを中密度繊維板
(以下MDFと略記する)、パーチクルボード等の木質
板にラミネートした化粧板は、メラミン樹脂化粧板に比
較して耐擦傷性、衝撃による耐陥没性、耐シガレット性
(火のついた煙草や熱い煙草の灰に対する耐性を示す)
が劣っており、これらの性能を向上させることが望まれ
ている。
【0007】メラミン化粧板を製造する方法として、一
般的には、半硬化のメラミン樹脂を含浸した化粧シート
とパーティクルボード等の木質板を重ねて、高圧メラミ
ン化粧板の場合は多段プレスにより加熱、加圧し、低圧
メラミン化粧板の場合はショートサイクルプレスで加
熱、加圧して化粧板を製造する。そのため、化粧板の表
面に絵柄に同調したエンボス模様を形成して高意匠性を
付与することは非常に困難である。また、高圧メラミン
化粧板、低圧メラミン化粧板いずれの場合も、化粧シー
トは木質板のサイズに合わせて枚葉に断裁する必要があ
る。しかし、表面保護層として硬化した電離放射線硬化
性樹脂層を形成した化粧シートの場合、枚葉に断裁した
とき、カールが生じ易いので、カールなしの枚葉の化粧
シートを得ることは非常に困難であるので、高圧メラミ
ン化粧板や低圧メラミン化粧板のように、枚葉の化粧シ
ートを用いる化粧板の製造には適さない。そのため、メ
ラミン化粧板に匹敵する表面物性を有し、同調エンボス
等による高意匠性を付与でき、且つ巻取状の化粧シート
を用いて製造できる生産性に優れた化粧板の製造方法が
望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、化粧ボードの製造方法を以下のようにした。半硬化
の架橋型樹脂を含浸した繊維質基材の表面に、絵柄層及
び硬化した電離放射線硬化性樹脂からなる透明な保護層
を設けた化粧シートの裏面を木質板の片面又は両面に、
加熱プレス方式により連続的に積層することを特徴とす
る化粧ボードの製造方法とした。また、前記化粧シート
が、繊維質基材の表面に絵柄層及び硬化した電離放射線
硬化性樹脂からなる透明な保護層を設け、裏面に半硬化
の架橋型樹脂層を形成した化粧シートであることを特徴
とする化粧ボードの製造方法とした。
【0009】更に、前記化粧シートが、アクリル系樹脂
又はウレタン系樹脂を含浸した繊維質基材の表面に絵柄
層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂からなる透明な保
護層を設け、裏面に半硬化の架橋型樹脂層を形成した化
粧シートであること、または、半硬化又は硬化した架橋
型樹脂を含浸した繊維質基材の表面に絵柄層及び硬化し
た電離放射線硬化性樹脂からなる透明な保護層を設け、
裏面に半硬化の架橋型樹脂層を形成した化粧シートであ
ることを特徴とする化粧ボードの製造方法とした。
【0010】本発明の化粧ボードの製造方法は、先ず、
紙又は不織布等の繊維質基材に未硬化の架橋型樹脂(熱
硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂)を塗布して繊維
質基材に未硬化の架橋型樹脂を含浸し、次いで、加熱に
より架橋型樹脂を架橋、硬化させて半硬化の状態にす
る。即ち、架橋型樹脂を含浸した繊維質基材がベトツキ
やブロッキングがしない程度に架橋型樹脂を硬化させる
が、架橋型樹脂を含浸した繊維質基材が可撓性や柔軟性
を失わず、巻き取り状態で取り扱えるように半硬化の状
態で留める。尚、架橋型樹脂に電離放射線硬化性樹脂を
用いる場合は、紫外線又は電子線等の電離放射線を照射
して電離放射線硬化性樹脂を半硬化の状態にする。
【0011】次に、前記半硬化の架橋型樹脂を含浸した
繊維質基材の表面に、印刷等により絵柄層を形成した
後、その絵柄層の上に電離放射線硬化性樹脂をコーティ
ングし、これに電離放射線を照射して電離放射線硬化性
樹脂を架橋、硬化せしめて表面に硬化した電離放射線硬
化性樹脂からなる透明な保護層を形成して化粧シートを
作製する。以上のように作製した巻き取り状の化粧シー
トを、ダブルベルトプレス装置等の連続的に加熱プレス
ができる装置を用いて、MDF(中密度繊維板)やパー
チクルボード等の木質板の表面に連続的に加熱、加圧し
て接着することにより、化粧シートの半硬化の架橋型樹
脂を完全に架橋、硬化して、硬度の高い表面保護層を形
成した化粧ボード(化粧板)を作製する。
【0012】本発明において、化粧シートは可撓性、柔
軟性があるため巻取から連続的に供給されるので、従来
の高圧メラミン化粧板、低圧メラミン化粧板に比較し
て、生産スピードが格段に向上する。また、MDFやパ
ーチクルボードに曲面部分がある場合でも連続的に効率
よく貼着することができる。得られた化粧ボードは硬化
した架橋型樹脂(例えば硬度の硬いメラミン樹脂)が含
浸した繊維質基材の上に、絵柄層及び硬化した電離放射
線硬化性樹脂層が形成されているので、化粧ボードの表
面は硬度が硬く、耐熱性、耐擦傷性、耐陥没性、耐シガ
レット性に優れたものとなり、メラミン化粧板に匹敵す
る表面物性を有するようになる。
【0013】また、本発明の化粧ボードの製造方法に
は、前記の化粧シートの他に以下のような化粧シートも
使用することができる。即ち、繊維質基材として薄紙等
の比較的薄いものを用いて、その薄紙に絵柄層と硬化し
た電離放射線硬化性樹脂層を形成して印刷シートを作製
し、その印刷シートの裏面(薄紙の面)に、前述のよう
に、未硬化の架橋型樹脂を塗布し、直ちに加熱により未
硬化の架橋型樹脂を架橋、硬化して、半硬化の架橋型樹
脂層を形成して化粧シートとする。上記のように、薄紙
に未硬化の架橋型樹脂を塗布したとき、薄紙には未硬化
の架橋型樹脂が浸透し、薄紙の中で加熱により半硬化の
状態になるので、化粧シートは半硬化の架橋型樹脂を含
浸した薄紙の表面に絵柄層及び硬化した電離放射線硬化
性樹脂層が形成され、裏面には半硬化の架橋型樹脂層が
形成された状態となる。
【0014】上記化粧シートは裏面の架橋型樹脂が半硬
化の状態であるため、加熱プレスにより、MDF(中密
度繊維板)やパーチクルボード等の木質板に接着剤なし
で連続的に積層することができる。また、上記化粧シー
トを加熱プレスにより、木質板に接着することにより、
化粧シートの半硬化の架橋型樹脂は加熱、加圧の際に、
溶融した架橋型樹脂は薄紙に浸透し、薄紙の中で架橋、
硬化するので、得られた化粧ボードの表面は硬化した架
橋型樹脂が含浸された薄紙の上に、絵柄層及び硬化した
電離放射線硬化性樹脂層が形成された状態となり、硬度
が硬く、耐熱性、耐擦傷性、耐陥没性、耐シガレット性
に優れたものとなる。
【0015】更に、化粧シートの別の態様として、印刷
用基材シートにアクリル系樹脂又はポリウレタン系樹脂
を含浸した薄紙等の繊維質基材を用いて、その樹脂含浸
繊維質基材に絵柄層と硬化した電離放射線硬化性樹脂層
を形成して印刷シートを作製し、その印刷シートの裏面
(繊維質基材面)に、前述と同様に、半硬化の架橋型樹
脂層を形成して化粧シートとする場合がある。この場
合、樹脂含浸繊維質基材に未硬化の架橋型樹脂を塗布し
たとき、樹脂含浸繊維質基材には未硬化の架橋型樹脂は
浸透しないので、樹脂含浸繊維質基材の裏面には所定の
厚さの半硬化の架橋型樹脂層を形成することができる。
上記化粧シートを加熱プレスにより木質板に連続的に接
着するとき、化粧シートの半硬化の架橋型樹脂層が厚い
ので、木質板との安定した接着強度が得られ、生産性が
向上する。また、印刷用基材シートとして、半硬化又は
硬化した架橋型樹脂(熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化
性樹脂)を含浸した繊維質基材を用い、表面には前述と
同様に、絵柄層と硬化した電離放射線硬化性樹脂層を設
け、裏面に更に半硬化の架橋型樹脂層を形成した場合
は、得られた化粧ボードの表面には、より厚い硬化した
架橋型樹脂層が形成されるので、高い表面硬度が得ら
れ、耐陥没性、耐シガレット性に優れた化粧ボードとな
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照にしながら本
発明を詳細に説明する。図1は本発明の化粧ボードの製
造方法の概要を示した模式図である。図2は本発明の製
造方法により作製した化粧ボードの一例を示した模式断
面図である。図3は本発明の製造方法により作製した別
の態様の化粧ボードの模式断面図である。図4は化粧ボ
ードの製造に用いる化粧シートの一例を示した模式断面
図である。図5は化粧ボードの製造に用いる別の態様の
化粧シートの模式断面図である。図6は化粧ボードの製
造に用いる更に別の態様の化粧シートの模式断面図であ
る。図7は化粧ボードの製造に用いる化粧シートを作製
するときの説明図である。図8は化粧ボードの製造に用
いる木質板の模式断面図である。図9は本発明の化粧ボ
ードの製造方法により化粧ボードを製造するときの説明
図である。図10は実施例1により化粧ボードを製造す
るときの説明図で、それに用いる化粧シートを作製する
ときの説明図である。図11は実施例1により化粧ボー
ドの製造するときの説明図で、それに用いるMDFの模
式断面図である。図12は実施例1により化粧ボードの
製造するときの説明図で、化粧シートとMDFを用いて
化粧ボードを連続的に製造するときの説明図である。図
13は実施例2により化粧ボードを製造するときの説明
図である。
【0017】本発明の化粧ボードの製造方法は、基本的
には、半硬化の架橋型樹脂を含浸した紙等の繊維質基材
の表面に、絵柄層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂か
らなる透明な保護層を設けた化粧シート2の裏面を、図
1に示すように、ダブルベルトプレス装置20等の連続
的に加熱プレスできる装置を用いて、MDF(中密度繊
維板)、パーチクルボード等の木質板3の表面(又は両
面)に連続的に加熱プレスして接着することにより、化
粧ボード1を連続的に低コストで製造する方法である。
そして、木質板3の表面に化粧シート2を加熱プレスし
て接着することにより、図4に示すように、化粧シート
2の繊維質基材11に含浸した半硬化の架橋型樹脂12
aを架橋、硬化させて、木質板3の表面に、図2に示す
ように、硬化した架橋型樹脂12を含浸した繊維質基材
11の上に、絵柄層13及び硬化した電離放射線硬化性
樹脂層14を形成した状態にして、硬度が硬く、耐熱
性、耐擦傷性、耐陥没性、耐シガレット性に優れた保護
層を形成した化粧ボード1を作製するものである。
【0018】本発明の化粧ボードの製造方法は、図1に
示すように、ダブルベルトプレス装置20を用いて、化
粧シート2を巻取から繰り出して木質板3に連続的にラ
ミネートするため、化粧シート2は枚葉に断裁する必要
がなくなるので、従来の高圧メラミン化粧板や低圧メラ
ミン化粧板に比較して、生産性が格段に向上する。ま
た、高圧メラミン化粧板のように化粧シート表面に高圧
がかからないので、化粧シートとして、表面に電離放射
線硬化性樹脂を用いて絵柄に同調したエンボス模様等を
形成した化粧シートを使用することができる。そのた
め、化粧ボード表面に意匠性の高い絵柄模様を形成する
ことができる。
【0019】以上説明したように、本発明の化粧ボード
の製造方法によって作製された化粧ボード1は、図2に
示すように、木質板3の表面に、硬化した架橋型樹脂1
2が含浸した繊維質基材11、絵柄層13及び硬化した
電離放射線硬化性樹脂層14が積層された構成となる。
即ち、繊維質基材11に含浸している半硬化の架橋型樹
脂は、加熱により完全に架橋、硬化して硬度が非常に硬
くなっているで、木質板3の表面は高圧メラミン化粧板
に匹敵する物性が得られる。従って、得られた化粧ボー
ドは硬度が硬く、耐熱性、耐擦傷性、耐陥没性、耐シガ
レット性に優れた表面保護層を有するものとなる。
【0020】また、本発明の化粧ボードの製造方法によ
って、図3に示すように、木質板3の表面に、硬化した
架橋型樹脂層15、繊維質基材11、絵柄層13及び硬
化した電離放射線硬化性樹脂層14が積層された別の態
様の化粧ボード1を作製することもできる。即ち、化粧
シート2として、図5に示すように、繊維質基材11の
表面に絵柄層13及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層
14を設け、裏面に半硬化の架橋型樹脂層15aを形成
した化粧シート2を用いて、前述と同様に、木質板3の
表面に加熱プレスすることにより、繊維質基材11の裏
面の半硬化の架橋型樹脂層15aは加熱により架橋、硬
化して、図3に示すように、硬化した架橋型樹脂層15
となり硬度の高い架橋型樹脂層が形成された化粧ボード
1となる。
【0021】それと同時に、繊維質基材11の裏面の半
硬化の架橋型樹脂層15aは加熱プレスにより、繊維質
基材11の中にも浸透して硬化するので、繊維質基材1
1は硬度の高い硬化した架橋型樹脂を含浸した状態にな
る。そのため、硬化した電離放射線硬化性樹脂層14及
び絵柄層13の下には硬度の高い架橋型樹脂層が形成さ
れることになり、前述と同様に、木質板3の表面は硬度
が硬く、耐熱性、耐擦傷性、耐陥没性、耐シガレット性
に優れた表面保護層を有するようになる。
【0022】本発明の化粧ボードの製造方法は、ダブル
ベルトプレス装置等の連続的に加熱プレスができる装置
を用いて、木質板に化粧シートを連続的に積層する方法
が採られるため、化粧シートとしては可撓性、柔軟性を
有し、巻き取り状で生産できる化粧シートが使用され
る。以下に、その代表的な化粧シートについて説明す
る。基本的な化粧シートとしては、図4に示すように、
半硬化の架橋型樹脂12aを含浸した紙等の繊維質基材
11に絵柄層13及び硬化した電離放射線硬化性樹脂1
3を形成したものである。即ち、紙等の繊維質基材11
に未硬化の架橋型樹脂を塗布し、繊維質基材11に未硬
化の架橋型樹脂を含浸した後、加熱等により未硬化の架
橋型樹脂を架橋、硬化させるが、架橋型樹脂を完全に硬
化せずに、架橋型樹脂を含浸した繊維質基材11がベト
ツキやブロッキングがしない程度の半硬化の状態に留め
て、化粧シートを帯状の巻き取り形状で生産できるよう
にする。
【0023】次に、前記半硬化の架橋型樹脂112aを
含浸した繊維質基材11の表面に、印刷等により木目柄
等の絵柄層13を設けて印刷シートを作製する。次い
で、図4に示すように、その絵柄層13の上に電離放射
線硬化性樹脂を塗布し、直ちに、電子線や紫外線等の電
離放射線を照射して電離放射線硬化性樹脂を架橋、硬化
せしめて、絵柄層13の上に硬化した電離放射線硬化性
樹脂層14からなる保護層を形成して化粧シート2を作
製する。以上のように絵柄層13の上に硬化した電離放
射線硬化性樹脂層14からなる保護層を形成することに
より、絵柄層が繊維質基材から剥離することがなくなる
と共に、化粧シート表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品
性等が付与される。得られた化粧シートは繊維質基材1
1に含浸した架橋型樹脂が半硬化の状態であり、可撓
性、柔軟性があるため、化粧シートを巻き取り状で保管
してもブロッキングしたり、表面に白化や亀裂が生じる
こともない。
【0024】そして、以上のように作製した化粧シート
2は、図1に示すように、MDFやパーティクルボード
等の木質板3の表面(又は両面)に、加熱、加圧により
連続的に接着することにより、化粧シート2の半硬化の
架橋型樹脂12aを完全に硬化せしめて、前述のよう
に、化粧ボード1の表面に耐熱性、耐擦傷性、耐摩耗
性、耐候性、耐陥没性、耐シーガレット性を付与するも
のである。また、上記化粧シートは可撓性、柔軟性があ
るため、木質板3に曲面部がある場合でも、連続的に積
層することができると共に、曲面部に積層した化粧シー
トの表面に白化や亀裂が発生することもない。
【0025】また、化粧シートの別の態様として、図5
に示すように、前述と同様に、繊維質基材11の表面
に、絵柄層13及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層1
4を設けた後、繊維質基材11の裏面に未硬化の架橋型
樹脂を塗布し、これを加熱等により架橋、硬化せしめて
半硬化の状態にして、半硬化の架橋型樹脂層15aを形
成して化粧シート2とする。得られた化粧シートは、前
述と同様に、可撓性、柔軟性があるため、化粧シートを
巻き取り状で保管してもブロッキングしたり、表面に白
化や亀裂が生じることがない。
【0026】次に、化粧シート2は、前述と同様に、木
質板3の表面に、加熱、加圧により連続的に接着するこ
とにより、化粧シート2の半硬化の架橋型樹脂層15a
の一部の架橋型樹脂は繊維質基材11に浸透して硬化す
るので、繊維質基材11は硬化した架橋型樹脂が含浸し
た状態になる。更に、半硬化の架橋型樹脂層15aの繊
維質基材11に浸透した残りの架橋型樹脂は加熱により
架橋、硬化するので、木質板3の表面には、図3に示す
ように、硬化した架橋型樹脂層15、繊維質基材11
(硬化した架橋型樹脂を含浸している)、絵柄層13、
及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層14が積層された
状態になり、化粧ボード1の表面は耐熱性、耐擦傷性、
耐摩耗性、耐候性、耐陥没性、耐シーガレット性に優れ
たものとなる。
【0027】更に化粧シートの別の態様として、図6に
示すように、印刷用基材シートとしてアクリル樹脂やウ
レタン樹脂等の熱可塑性樹脂16を含浸した繊維質基材
11を用いて、この熱可塑性樹脂16を含浸した繊維質
基材11の表面に、前述と同様に、絵柄層13及び硬化
した電離放射線硬化性樹脂層14を設けた後、熱可塑性
樹脂16を含浸した繊維質基材11の裏面に、半硬化の
架橋型樹脂層15aを形成して化粧シート2を作製す
る。得られた化粧シートは繊維質基材11に熱可塑性樹
脂が含浸しているため、図4及び図5に示した化粧シー
トに比較して可撓性、柔軟性に優れている。そのため、
曲面を有する木質板表面でも接着不良等の問題を生じる
ことなく連続的に積層することができる。更に、その曲
面部分に接着した化粧シートの表面に白化や亀裂が発生
することもない。上記化粧シートは、前述と同様に、木
質板3の表面に、加熱、加圧することにより、木質板3
の表面に耐熱性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐候性、耐陥没
性、耐シーガレット性を付与することができる。
【0028】また、印刷用基材シートとして、上記の熱
可塑性樹脂の代わりに、半硬化又は硬化した架橋型樹脂
(熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂)を含浸した
繊維質基材を用いて、上記と同様に化粧シートを作製す
る場合がある。この場合、得られた化粧ボードの表面に
は、より厚い硬化した架橋型樹脂層が形成されるので、
高い表面硬度が得られ、耐陥没性、耐シガレット性に優
れた化粧ボードとなる。
【0029】以下に、本発明の化粧ボードの製造方法に
ついて工程順に説明する。先ず、図7(a)に示すよう
に、繊維質基材11として、含浸性のある紙、合成紙、
不織布等を用いて、この繊維質基材11に、熱硬化性樹
脂又は電離放射線硬化性樹脂等の未硬化の架橋型樹脂を
塗布、又は未硬化の架橋型樹脂に繊維質基材11を浸漬
して、繊維質基材11に未硬化の架橋型樹脂を含浸し、
次いで、未硬化の架橋型樹脂を含浸した繊維質基材11
を加熱又は電離放射線を照射して未硬化の架橋型樹脂を
架橋、硬化させるが、架橋型樹脂を完全に硬化せずに、
架橋型樹脂を含浸した繊維質基材11がベトツキやブロ
ッキングがしない程度の半硬化の状態に留めて、繊維質
基材11は半硬化の架橋型樹脂12aを含浸した状態に
する。この半硬化の架橋型樹脂12aを含浸した繊維質
基材11は可撓性、柔軟性があるので、帯状の巻き取り
形状で印刷、コーティング等がきるようになる。
【0030】次に、前記半硬化の架橋型樹脂12aを含
浸した繊維質基材11の表面に、図7(a)に示すよう
に、グラビア印刷等により木目柄等の絵柄層13を形成
して印刷シート4を作製する。次いで、図7(b)に示
すように、印刷シート4の絵柄層13側に、電離放射線
硬化性樹脂脂を塗布して未硬化の電離放射線硬化性樹脂
層14aを形成し、この未硬化の電離放射線硬化性樹脂
層14aの上から、直ちに、電子線や紫外線等の電離放
射線17を照射して、未硬化の電離放射線硬化性樹脂層
14aを架橋、硬化させて、図7(c)に示すように、
表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層14からなる保
護層を形成して化粧シート2を作製する。
【0031】印刷シート4の表面に前記硬化した電離放
射線硬化性樹脂層14からなる保護層を形成することに
より、絵柄層が繊維質基材から剥離することがなくなる
と共に、化粧シート表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品
性等が付与される。また、硬化した電離放射線硬化性樹
脂層14にアルミナやシリカ等の無機質のフィラーを添
加することにより、更に、耐熱性、耐摩耗性、耐陥没
性、耐シーガレット性等を向上させることもできる。一
方、図8に示すように、化粧ボードを製造するために化
粧ボードの基材となる木質板3としてMDF(中密度繊
維板)やパーティクルボード等を用意する。
【0032】次に、本発明の化粧ボードの製造方法に
は、図9(a)に示すように、ダブルベルトプレス装置
20のような化粧シート2と木質板3を連続的に、加
熱、加圧して接着できる装置が用いられる。ダブルベル
トプレス装置20は、図9(a)に示すように、上側ロ
ーラ21と下側ローラ22の外側に、それぞれステンレ
ス製、又は耐熱ゴム等からなるエンドレスの上側ベルト
23と下側ベルト24が取り付けられており、化粧シー
ト2と木質板3を重ねて上下のベルト23と24の間を
通すことにより、連続的に加熱、加圧できる装置であ
る。即ち、上側ローラ21は加熱しながら回転できるよ
うになっており、上側ローラ21を所定の温度に加熱す
ることにより、それに接する上側ベルト23が加熱され
て所定の温度に維持されるようになっている。また、下
側ローラ22は回転しながら上下に移動できるようにな
っており、下側ローラ22を上昇させることにより、上
下のロール間に圧力が加わり、上下のベルト23及び2
4に挟まれた化粧シート2と木質板3が加圧される。
尚、ダブルベルトプレス装置20は、下側のローラを固
定し、上側のローラを上下に移動できるようにして、化
粧シート2と木質板3を加熱、加圧することもある。
【0033】従って、図9(b)に示すように、所定の
温度に加熱された上側ベルト23と下側ベルト24の間
に、木質板3の上に化粧シート2をを重ねて通し、下側
ローラ22を上昇させて、上側ローラ21と下側ローラ
22を加圧することにより、化粧シート2は加熱、加圧
されて木質板3の上に接着される。このように、化粧シ
ート2を加熱、加圧することにより、化粧シート2の繊
維質基材11に含浸している半硬化の架橋型樹脂12a
は架橋、硬化されて硬化した架橋型樹脂となり、図9
(c)に示すように、木質板3の表面には硬化した架橋
型樹脂12を含浸した繊維質基材11、絵柄層13及び
硬化した電離放射線硬化性樹脂層14が積層された化粧
ボード1となる。
【0034】本発明においては、図9(b)に示すよう
に、ダブルベルトプレス装置20の上下のベルト23と
24の間に、巻き取りから供給された化粧シート2を木
質板3の上に重ねて通すことにより、化粧シート2は加
熱、加圧されて木質板3の表面に接着するので、化粧ボ
ード1を連続的に生産することができる。即ち、巻き取
りから供給された化粧シート2の下に木質板3を連続的
に供給することにより、化粧ボードは連続的に効率よく
生産される。そのため、従来の高圧メラミン化粧板のよ
うに基材の木質板の大きさに合わせて化粧シートを断裁
し、その化粧シートを木質板の上に重ね合わせる等の作
業が不要になるので、生産能率が向上し生産コストを大
幅に低減することがでる。得られた化粧ボード1は、図
9(c)に示すように、木質板3の表面に硬化した架橋
型樹脂12を含浸した繊維質基材11が積層されて硬度
の高い層になっており、その上に絵柄層13及び硬化し
た電離放射線硬化性樹脂層14が形成されているので、
従来の高圧メラミン化粧板に匹敵する物性を有し、耐熱
性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐候性、耐陥没性、耐シーガ
レット性に優れたものとなる。
【0035】本発明に使用される化粧シートの繊維質基
材11としては、紙、合成紙、不織布等のシート状のも
のが用いられる。繊維質基材に用いられる紙としては、
薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、上質紙、
コート紙、パーチメント紙、和紙等が挙げられる。ま
た、紙類似シートとしては、ガラス繊維、石綿、チタン
酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊
維、等の無機繊維質のシート状のもの、ポリエステル、
ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂
繊維からなる不織布又は織布等が使用される。
【0036】また、繊維質基材として用いられる不織布
としては、セルロース系繊維又は無機繊維からなる不織
布が使用される。セルロース系繊維からなる不織布とし
ては、綿、レーヨン、パルプ等の繊維を公知の湿式法又
は乾式法で製造した不織布が使用される。例えば、綿は
ニードルパンチング法、スパンレース法、その他多くの
方法で製造されたもの、レーヨンはケミカルボンド法、
ニードルパンチ法、スパンレース法、パルプは主として
湿式法で製造されたものが使用される。また、無機繊維
からなる不織布としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラ
ミック繊維を主として湿式法で製造したものが使用され
る。
【0037】繊維質基材11には、印刷等により絵柄層
13が形成される。また、絵柄層を設ける前に、基材表
面にベタ印刷層を設ける場合がある。絵柄層としては、
印刷による印刷模様、エンボス加工によるエンボス模
様、ヘアライン加工による凹凸模様等があり、更に、凹
凸模様の凹部に公知のワイピング加工法によって着色イ
ンキを充填して絵柄層を形成することもできる。印刷絵
柄層としては、木目柄、石目柄、布目柄、皮絞模様、幾
何学図形、文字、記号、各種抽象模様、或いは全面ベタ
印刷等がある。全面ベタ印刷の隠蔽層は化粧シートを貼
付する木質板の表面状態によって省略されることがあ
る。
【0038】絵柄印刷のインキとしては、基材の材質や
形態によって異なるが、一般的には、塩素化ポリエチレ
ン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、
硝化綿、酢酸セルロース、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩
化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラー
ル、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等
の単独又は2種以上の樹脂を混合したものをビヒクルと
し、これと通常の顔料、染料等の着色剤、体質顔料、硬
化剤、添加剤、溶剤等からなるインキが使用される。
【0039】着色剤として、チタン白、亜鉛華、弁柄、
朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブラッ
ク等の無機顔料、イソインドリノン、バンザイイエロー
A、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシ
アニンブルー等の有機顔料あるいは染料、アルミニウ
ム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆
雲母、塩基性炭酸亜鉛等、の箔粉からなる真珠光沢顔料
等が用いられる。また、必要に応じて、無機充填剤を添
加してもよく、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレ
ー、タルク、シリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化ア
ルミニウム)等の粉末等が挙げられる。添加量は通常5
〜60重量%である。
【0040】絵柄の印刷としては、グラビア印刷、凹版
印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シル
クスクリーン印刷、静電印刷、インクジェット印刷等通
常の印刷方式が使用できる。もしくは、別に離型性シー
ト上に一旦絵柄模様を形成して転写シートを作成し、得
られた転写シートからの転写印刷方式によって印刷模様
を転写して設けてもよい。印刷模様の代りに、アルミニ
ウム、クロム、金、銀、銅等の金属を真空蒸着、スパッ
タリング等によって、基材に、金属薄膜を全面又は部分
的に形成して絵柄層とすることもできる。
【0041】本発明に用いられる化粧シート2の保護層
として形成される硬化した電離放射線硬化性樹脂層14
は、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗工した後、その
塗膜に電子線や紫外線などの電離放射線を照射して塗膜
を硬化させたものである。電離放射線硬化性樹脂は架橋
密度によって硬化塗膜の物性が変化するので、化粧シー
トの用途に応じて電離放射線硬化性樹脂を選定する必要
がある。電離放射線硬化性樹脂は架橋密度が高くなるほ
ど硬化塗膜の硬度が高くなり、耐摩耗性は向上するが、
柔軟性は低下する。そのため、柔軟性があり且つ耐摩耗
性に優れた表面塗膜を得るには、電離放射線硬化性樹脂
に球状のアルミナ等のフィラーを添加して、フィラーに
よって耐摩耗性を向上させる場合がある。
【0042】本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂
としては、分子中に重合不飽和結合又はカチオン重合性
官能基を有するプレポリマー(所謂オリゴマーも包含す
る)及び/又はモノマーを適宜混合した組成物で、電離
放射線により硬化可能なものが用いられる。尚、ここ
で、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線の中で、分
子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するもの
を意味し、通常、電子線又は紫外線が用いられる。
【0043】電離放射線硬化性樹脂としては、具体的に
は、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリ
ロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ
基等のカチオン重合性官能基又はチオール基を2個以上
有する単量体、又はプレポリマーからなるものである。
これら、単量体、又はプレポリマーは単体で用いるか、
又は数種類混合して用いる。尚、ここで、(メタ)アク
リロイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイル
基の意味で用いており、以下(メタ)は同様の意味で用
いるものとする。
【0044】ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリ
マーの例としては、ポリエステル(メタ)クリレート、
エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アク
リレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミ
ン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレ
ート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用でき
る。分子量としては、通常250〜100,000程度
のものが用いられる。
【0045】ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単
量体の例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】カチオン重合性不飽和基を有するプレポリ
マーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノ
ボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、脂肪族系ビ
ニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエー
テル系樹脂が挙げられる。チオール基を有する単量体の
例としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレ
ート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、
ジペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等があ
る。ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の例として
は、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体、例え
ば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アク
リレート等が挙げられる。
【0047】以上の化合物を必要に応じ1種もしくは2
種以上混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂に通常
の塗工適性を付与するために、前記プレポリマー又はオ
リゴマーを5重量%以上、前記単量体及び/又はポリチ
オールを95重量%以下とすることが好ましい。
【0048】単量体の選定に際しては、硬化物の可撓性
が要求される場合は塗工適性上支障の無い範囲で単量体
の量を少なめにしたり、1官能又は2官能アクリレート
単量体を用い比較的低架橋密度の構造とする。又、硬化
物の耐熱性、硬度、耐溶剤性等を要求される場合には塗
工適性上支障の無い範囲で単量体の量を多めにしたり、
3官能以上の(メタ)アクリレート系単量体を用い高架
橋密度の構造とするのが好ましい。1、2官能単量体と
3官能以上の単量体を混合し塗工適性と硬化物の物性と
を調整することも出来る。
【0049】電離放射線硬化性樹脂として紫外線又は可
視光線にて硬化させる場合には、電離放射線硬化型樹脂
中に光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基
を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセト
フェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベ
ンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合
して用いることができる。また、カチオン重合性官能基
を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族
ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨード
ニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エ
ステル等を単独又は混合物として用いることができる。
尚、これらの光重合開始剤の添加量としては、該電離放
射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重
量部程度である。
【0050】上記電離放射線硬化性樹脂には、必要に応
じて各種添加剤を添加する場合がある。これらの添加剤
としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等の
熱可塑性樹脂、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリ
カ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填剤)、
染料、顔料等の着色剤等がある。
【0051】電離放射線硬化性樹脂のコーティング法と
しては、グラビアコート、グラビアリバースコート、グ
ラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコ
ート、リバースロールコート、キスコート、ディップコ
ート、シルクスクリーンコートによるベタコート、ワイ
ヤーバーコート、コンマコート、スプレーコート、フロ
ートコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコー
ト等を用いることができる。その中でもグラビアコート
が好ましい。
【0052】電離放射線硬化性樹脂を硬化させる電離放
射線照射装置としては、紫外線照射装置や電子線照射装
置が用いられる。紫外線照射装置としては、例えば、超
高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアー
ク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の
光源が使用される。紫外線の波長としては、通常、19
0〜380nmの波長領域が主として用いられる。電子
線照射装置としては、コックロフトワルト型、バンデグ
ラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型或いは直線
型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器
が用いられる。
【0053】そして、電子線を照射する場合、加速電圧
100〜1000KeV、好ましくは100〜300K
eVで照射し、吸収線量としては、通常、1〜300k
Gy(キログレイ)程度である。吸収線量が1kGy未
満では、塗膜の硬化が不十分となり、又、照射量が30
0kGyを超えると硬化した塗膜及び繊維質基材が黄変
したり、損傷したりする。また、紫外線照射の場合、そ
の照射量は50〜1000mJ/cm2 の範囲が好まし
い。紫外線照射量が50mJ/cm2 未満では、塗膜の
硬化が不十分となり、また、照射量が1000mJ/c
2 を超えると硬化した塗膜が黄変したりする。また、
電離放射線の照射方法として、先ず紫外線を照射して電
離放射線硬化性樹脂を少なくとも表面が指触乾燥する程
度以上に硬化させ、而る後に、電子線を照射して塗膜を
完全に硬化させる方法もある。
【0054】本発明に用いる化粧シートの架橋型樹脂と
しては、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂が使用
される。電離放射線硬化性樹脂としては前記保護層に用
いられたものが使用される。熱硬化性樹脂としては、フ
ェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタ
レート樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹
脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキ
ッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリ
シロキサン樹脂等が使用される。これらの樹脂には必要
に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進
剤、溶剤、粘度調整剤、体質顔料等を添加して塗料とし
て用いる。通常、硬化剤としては、有機スルホン酸塩が
不飽和ポリエステル系樹脂に、イソシアネートが不飽和
ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂に、アミンが
エポキシ樹脂に、メチルエチルケトンパーオキサイド等
の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル
開始剤が不飽和ポリエステル系樹脂に多く使用される。
【0055】イソシアネートとしては、二価以上の脂肪
族又は芳香族イソシアネートを使用できるが、熱変色防
止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。
具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシレン
ジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジ
イソシアネート等が挙げられる。熱硬化性樹脂の硬化方
法としては、硬化反応を促進するために、必要に応じて
加熱することがある。例えば、イソシアネート硬化型不
飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン硬化型ポリウレタン
系樹脂の場合は40〜60℃で1〜5日間、ポリシロキ
サン樹脂の場合は80〜150℃で1〜30分、メラミ
ン樹脂は90〜160℃で30秒〜3分、程度加熱す
る。本発明においては、耐熱性、耐汚染性があり、硬度
の硬いメラミン樹脂が好適である。
【0056】メラミン樹脂はメラミン(2,4,6−ト
リアミノ−1,3,5−トリアジン)とホルムアルデヒ
ドの付加縮合によって得られる熱硬化性樹脂である。透
明で硬度が高く、着色性、耐熱性、耐汚染性に優れてい
るため、化粧板、成形材料、塗料等幅広い用途をもって
いる。また、メラミン樹脂にはアクリル成分をブレンド
することにより、半硬化のメラミン樹脂を含浸した化粧
シートをパーチクルボード等の被着体に接着するまでの
見掛け上のライフを延ばすことがある。アクリル成分と
しては、モノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いるこ
とができる。また、添加量は3〜16重量%程度であ
る。
【0057】モノマーの例としては、単官能モノマーで
は、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アク
リレート等がある。また、多官能モノマーでは、ジエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
エチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペン
タエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペン
タエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等もあ
る。
【0058】また、ポリマーの例としては、ポリ(メ
タ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチ
ル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル
酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メ
タ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体、(メタ)ア
クリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)
アクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体、(メタ)
アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−(メ
タ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル−スチレン共重
合体等のアクリル樹脂が挙げられる。
【0059】本発明により作製した化粧ボードは、所定
の成形加工等を施して、各種用途に用いることができ
る。例えば、化粧シートをパーチクルボード、MFD等
の木質基材に積層した化粧ボードは、壁、天井、床等の
建築物の内装、家具又は弱電・OA機器のキャビネット
等に利用できる。本発明に用いる木質板としては、木材
単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板
(MDF)等が挙げられる。
【0060】
【実施例】以下に、実施例に基づいて、本発明を更に詳
しく説明する。 (実施例1)繊維質基材として、坪量45g/m2 のチ
タン紙11a(三興製紙(株)製「EBT」)を用い
て、これに未硬化のメラミン樹脂(日産化学(株)製
「M−700」)を三本ロールコート方式にて塗布量5
0g/m2 でコーティングし、チタン紙11aに未硬化
のメラミン樹脂を含浸させた。次いで、120℃のフロ
ードライヤーにて1.5分間加熱してメラミン樹脂をタ
ックフリー及び巻取状態でブロッキングがしない程度に
硬化し、図10(a)に示すように、半硬化のメラミン
樹脂12bをチタン紙11aに含浸した状態にした。
【0061】次に、図10(a)に示すように、前記半
硬化のメラミン樹脂12bを含浸したチタン紙11aの
表面に、グラビア印刷により木目柄を印刷して絵柄層1
3を形成して印刷シート4を作製した。次いで、図10
(b)に示すように、半硬化のメラミン樹脂12bを含
浸したチタン紙11aの絵柄層13の上に、下記の電子
線硬化性樹脂(A)を用いて、ロールコート方式にてコ
ーティングして未硬化の電子線硬化性樹脂層14bを形
成し、直ちに電子線照射装置を用いて、加速電圧175
keVにて、吸収線量が50kGy(キログレイ)にな
るように電子線17aを照射して未硬化の電子線硬化性
樹脂を硬化させて、塗布量10g/m2 の硬化した電子
線硬化性樹脂層14cを形成して、図10(c)に示す
ような化粧シート2を、幅920mm、長さ2000m
の巻き取り状態で作製した。
【0062】 電子線硬化性樹脂(A)の組成 ・ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート 70重量部 ・トリメチロールプロパン変性トリアクリレート 29重量部 ・両末端メタクリレート変性シリコーン 1重量部
【0063】一方、図11に示すように、木質板とし
て、長さ1800mm、幅900mm、厚さ30mmの
MDF3a(中密度繊維板)を用意した。次に、図12
(a)に示すように、上記MDF3aの上に、巻き取り
から繰り出した化粧シート2を、半硬化のメラミン樹脂
12bを含浸したチタン紙11aの面がMDF3aに接
するように重ね合わせ、図11(b)に示すように、ダ
ブルベルトプレス装置20の上下のベルト23と24の
間を通して、化粧ボード1を作製した。
【0064】前記ダブルベルトプレス装置20は、図1
2(b)に示すように、上側ローラ21と下側ローラ2
2の外側に耐熱ゴム等からなるエンドレスの上側ベルト
23と下側ベルト24が取り付けられており、化粧シー
ト2とMDF3aを重ねて上下のベルト23と24の間
を通すことにより、連続的に加熱、加圧できる装置を使
用した。即ち、上側ローラ21は120〜170℃の範
囲で加熱しながら回転できるローラを用い、また、下側
ローラ22は回転しながら上下に移動できるもので、下
側ローラ22を上昇させることにより、上下のロール2
1と22間に20〜80kg/cm2 の圧力がかけら
れ、ラインスピードが15〜25m/分で化粧ボードを
製造できるダブルベルトプレス装置20を用いた。
【0065】次に、上記ダブルベルトプレス装置20の
上側ベルト23の表面温度を150℃、上側ロール21
と下側ロール22の圧力を40kg/cm2 、ラインス
ピードを20m/分に設定して、化粧ボード1を製造し
た。即ち、図12(b)に示すように、化粧シート2を
巻取から繰り出して、半硬化のメラミン樹脂12bを含
浸したチタン紙11aの面がMDF3aに接するように
重ね合わせて、ダブルベルトプレス装置20の上下のベ
ルト23と24の間を通すことにより、化粧シート2は
150℃に加熱され、40kg/cm2 の圧力でMDF
3aの表面に接着されて、図12(c)に示すような化
粧ボード1となってダブルベルトプレス装置20から搬
出された。更に、ダブルベルトプレス装置20の中にM
DF3aを連続的に供給し、化粧シートを巻取から連続
的に供給することにより、化粧シート2はMDF3aの
表面に連続的に加熱、加圧されて接着し、化粧ボード1
を連続的に生産することができた。
【0066】化粧シート2はダブルベルトプレス装置2
0の中で加熱、加圧によりMDF3aの表面に接着した
とき、化粧シート2のチタン紙11aに含浸していた半
硬化のメラミン樹脂12bは、加熱により架橋、硬化し
て、図12(c)に示すように、硬化したメラミン樹脂
12cとなり硬度の高い樹脂層となった。そのため、M
DF3aの表面は、硬度の高い硬化したメラミン樹脂1
2cを含浸したチタン紙11aの上に、絵柄層13及び
硬化した電離放射線硬化性樹脂層14cが形成された状
態になるので、得られた化粧ボード1は従来の高圧メラ
ミン化粧板に匹敵する物性を有し、耐熱性、耐擦傷性、
耐摩耗性、耐候性、耐陥没性、耐シーガレット性に優れ
たものとなった。
【0067】(実施例2)実施例1と同様に、繊維質基
材としてチタン紙11aを使用し、これに絵柄層13及
び硬化した電子線硬化性樹脂層14cを形成して、図1
3(a)に示すように、印刷シート4を作製した。次い
で、図13(b)に示すように、前記印刷シート4の裏
面に、未硬化のメラミン樹脂(日産化学(株)製「M−
700」)を三本ロールコート方式にて塗布量80g/
2 でコーティングし、直ちに、120℃のフロードラ
イヤーにて1.5分間加熱してメラミン樹脂をタックフ
リー及び巻取状態でブロッキングがしない程度に硬化
し、印刷シート4の裏面に半硬化のメラミン樹脂層15
bを形成して、実施例1と同様に、化粧シート2を巻き
取り状で作製した。尚、未硬化のメラミン樹脂をコーテ
ィングした際に、一部のメラミン樹脂はチタン紙に浸透
して、チタン紙は一部メラミン樹脂を含浸した状態とな
った。
【0068】次に、図13(c)に示すように、木質板
としてMDF3aを用いて、このMDF3aの表面に、
前記化粧シート2の半硬化のメラミン樹脂層15bの面
が接するように重ね合わせ、実施例1と同様に、ダブル
ベルトプレス装置20の上下のベルト23と24の間を
通して、図13(d)に示すような化粧ボード1を作製
した。得られた化粧ボード1は、実施例1で得られた化
粧ボードと同様に、MDF3aの表面に硬度の高い硬化
したメラミン樹脂層15cが形成され、その上に絵柄層
13及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層14cが形成
されているので、従来の高圧メラミン化粧板に匹敵する
物性を有し、耐熱性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐候性、耐
陥没性、耐シーガレット性に優れたものとなった。
【0069】
【発明の効果】本発明の化粧ボードの製造方法は、ダブ
ルベルトプレス装置等の連続的に加熱プレスができる装
置を用いて、半硬化の架橋型樹脂を含浸した繊維質基材
の表面に、絵柄層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層
を設けた巻き取り状の化粧シートを、MDF(中密度繊
維板)やパーチクルボード等の木質板の表面に連続的に
加熱、加圧して接着することにより、化粧シートの半硬
化の架橋型樹脂を完全に架橋、硬化して、木質板の表面
に耐熱性があり、硬度の高い樹脂層を連続的に形成して
化粧ボードを製造する方法である。得られた化粧ボード
は絵柄層を形成した繊維質基材が硬化した架橋型樹脂
(例えば硬度の硬いメラミン樹脂)を含浸しているの
で、従来の化粧シートを用いた化粧ボードに比較して、
化粧ボードの表面は硬度が硬く、耐熱性、耐擦傷性、耐
陥没性、耐シガレット性に優れたものとなる。また、本
発明の化粧ボードの製造方法に用いる化粧シートは可撓
性、柔軟性があるので、巻取から繰り出してダブルベル
トプレス装置に連続的に供給できるため、化粧ボードを
連続的に製造することができる。そのため、耐熱性、耐
擦傷性、耐陥没性、耐シガレット性に優れたメラミン樹
脂板等と同等の性能を有する化粧ボードを、巻取り状の
化粧シートを用いて生産できるので、生産能率が向上
し、生産コストの低減を図ることができる。更に、化粧
シートは可撓性、柔軟性があるため、木質板に曲面部が
ある場合でも、連続的に積層することができると共に、
曲面部に積層した化粧シートの表面に白化や亀裂が発生
することもなくなる。また、最表面の電離放射線硬化性
樹脂層にアルミナやシリカ等の無機質粒子を含有させる
ことにより、低圧メラミン樹脂板以上の物性を有する化
粧板を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧ボードの製造方法の概要を示した
模式図である。
【図2】本発明の製造方法により作製した化粧ボードの
一例を示した模式断面図である。
【図3】本発明の製造方法により作製した別の態様の化
粧ボードを示した模式断面図である。
【図4】化粧ボードの製造に用いる化粧シートの一例を
示した模式断面図である。
【図5】化粧ボードの製造に用いる別の態様の化粧シー
トの模式断面図である。
【図6】化粧ボードの製造に用いる更に別の態様の化粧
シートの模式断面図である。
【図7】化粧ボードの製造に用いる化粧シートを作製す
るときの説明図である。
【図8】化粧ボードの製造に用いる木質板の模式断面図
である。
【図9】本発明の化粧ボードの製造方法により化粧ボー
ドを製造するときの説明図である。
【図10】実施例1により化粧ボードを製造するときの
説明図で、それに用いる化粧シートを作製するときの説
明図である。
【図11】実施例1により化粧ボードの製造するときの
説明図で、それに用いるMDFの模式断面図である。
【図12】実施例1により化粧ボードの製造するときの
説明図で、化粧シートとMDFを用いて化粧ボードを連
続的に製造するときの説明図である。
【図13】実施例2により化粧ボードを製造するときの
説明図である。
【符号の説明】
1 化粧ボード 2 化粧シート 3 木質板 3a MDF(中密度繊維板) 4 印刷シート 11 繊維質基材 11a チタン紙 12 含浸した硬化した架橋型樹脂 12a 含浸した半硬化の架橋型樹脂 12b 含浸した半硬化のメラミン樹脂 12c 含浸した硬化したメラミン樹脂 13 絵柄層 14 硬化した電離放射線硬化性樹脂層 14a 未硬化の電離放射線硬化性樹脂層 14b 未硬化の電子線硬化性樹脂層 14c 硬化した電子線硬化性樹脂層 15 硬化した架橋型樹脂層 15a 半硬化の架橋型樹脂層 15b 半硬化のメラミン樹脂層 15c 硬化したメラミン樹脂層 16 含浸した熱可塑性樹脂 17 電離放射線 17a 電子線 20 ダブルベルトプレス 21 上側ローラ 22 下側ローラ 23 上側ベルト 24 下側ベルト
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 101:10 B29K 101:10 105:08 105:08 711:14 711:14 B29L 9:00 B29L 9:00 (72)発明者 川幡 一郎 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2B250 AA06 AA13 BA03 CA11 FA21 FA28 4D075 BB05Z DC02 DC31 EA21 EB22 EB38 4F204 AA36 AA42 AA43 AA44 AC03 AD06 AD08 AD16 AD32 AG03 AH48 FA11 FB02 FB11 FB13 FB24 FF01 FF50 FG02 FG07 FH06 FJ30 FN11 FN15 FN17 FQ22 FQ26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半硬化の架橋型樹脂を含浸した繊維質基
    材の表面に、絵柄層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂
    からなる透明な保護層を設けた化粧シートの裏面を木質
    板の片面又は両面に、加熱プレス方式により連続的に積
    層することを特徴とする化粧ボードの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記化粧シートが、繊維質基材の表面に
    絵柄層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂からなる透明
    な保護層を設け、裏面に半硬化の架橋型樹脂層を形成し
    た化粧シートであることを特徴とする請求項1に記載の
    化粧ボードの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記化粧シートが、アクリル系樹脂又は
    ウレタン系樹脂を含浸した繊維質基材の表面に絵柄層及
    び硬化した電離放射線硬化性樹脂からなる透明な保護層
    を設け、裏面に半硬化の架橋型樹脂層を形成した化粧シ
    ートであることを特徴とする請求項1に記載の化粧ボー
    ドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記化粧シートが、半硬化又は硬化した
    架橋型樹脂を含浸した繊維質基材の表面に絵柄層及び硬
    化した電離放射線硬化性樹脂からなる透明な保護層を設
    け、裏面に半硬化の架橋型樹脂層を形成した化粧シート
    であることを特徴とする請求項1に記載の化粧ボードの
    製造方法。
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