JP2000105907A - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

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JP2000105907A JP10320963A JP32096398A JP2000105907A JP 2000105907 A JP2000105907 A JP 2000105907A JP 10320963 A JP10320963 A JP 10320963A JP 32096398 A JP32096398 A JP 32096398A JP 2000105907 A JP2000105907 A JP 2000105907A
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芳高 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁極幅を縮小化した場合においても、磁極幅
の正確な制御を可能にすると共に、十分なオーバーライ
ト特性が得られる薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を
提供する。 【解決手段】 上部磁極17における、中間部17bと
トラック幅を規定する先端部17cとの連結部の位置
を、スロートハイトTHの基準となるスロートハイトゼ
ロ位置(TH0位置)に一致させ、ここにほぼ直角に変
化する幅方向の段差を設ける。この連結部における中間
部17bの幅を、連結部における先端部17cの幅より
も十分大きくする。先端部17cを形成するためのフォ
トレジストのパターン幅の広がりを防止でき、書込トラ
ック幅の微小化が可能となる。大きい幅の中間部17b
の存在により、ヨーク部17aに発生した磁束が先端部
17cに到達する前に飽和することを防止でき、十分な
オーバーライト特性が確保可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも書き込
み用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハードディスク装置の面記録密度
の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められ
ている。薄膜磁気ヘッドとしては、書き込み用の誘導型
磁気変換素子を有する記録ヘッドと読み出し用の磁気抵
抗(以下、MR(Magneto Resistive )と記す。)素子
を有する再生ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気
ヘッドが広く用いられている。MR素子としては、異方
性磁気抵抗(以下、AMR(Anisotropic Magneto Resi
stive )と記す。)効果を用いたAMR素子と、巨大磁
気抵抗(以下、GMR(Giant Magneto Resistive )と
記す。)効果を用いたGMR素子とがある。AMR素子
を用いた再生ヘッドはAMRヘッドあるいは単にMRヘ
ッドと呼ばれ、GMR素子を用いた再生ヘッドはGMR
ヘッドと呼ばれる。AMRヘッドは、面記録密度が1ギ
ガビット/(インチ)2 を超える再生ヘッドとして利用
され、GMRヘッドは、面記録密度が3ギガビット/
(インチ)2 を超える再生ヘッドとして利用されてい
る。
【0003】AMRヘッドは、AMR効果を有するAM
R膜を備えている。GMRヘッドは、AMR膜を、GM
R効果を有するGMR膜に置き換えたもので、構造上は
AMRヘッドと同様である。ただし、GMR膜は、AM
R膜よりも、同じ外部磁界を加えたときに大きな抵抗変
化を示す。このため、GMRヘッドは、AMRヘッドよ
りも、再生出力を3〜5倍程度大きくすることができる
と言われている。
【0004】再生ヘッドの性能を向上させる方法として
は、MR膜をAMR膜からGMR膜等の磁気抵抗感度の
優れた材料に変える方法や、MR膜のパターン幅、特
に、MRハイトを適切化する方法等がある。このMRハ
イトとは、MR素子のエアベアリング面側の端部から反
対側の端部までの長さ(高さ)をいい、エアベアリング
面の加工の際の研磨量によって制御されるものである。
なお、ここにいうエアベアリング面は、薄膜磁気ヘッド
の、磁気記録媒体と対向する面であり、トラック面とも
呼ばれる。
【0005】一方、再生ヘッドの性能向上に伴って、記
録ヘッドの性能向上も求められている。記録ヘッドの性
能を決定する要因としては、スロートハイト(Throat H
eight :TH)がある。スロートハイトは、エアベアリン
グ面から、磁束発生用の薄膜コイルを電気的に分離する
絶縁層のエッジまでの磁極部分の長さ(高さ)をいう。
記録ヘッドの性能向上のためには、スロートハイトの縮
小化が望まれている。このスロートハイトも、エアベア
リング面の加工の際の研磨量によって制御される。
【0006】記録ヘッドの性能のうち、記録密度を高め
るには、磁気記録媒体におけるトラック密度を上げる必
要がある。このためには、記録ギャップ(write gap)を
挟んでその上下に形成された下部磁極(ボトムポール)
および上部磁極(トップポール)のエアベアリング面で
の幅を数ミクロンからサブミクロンオーダーまで狭くし
た狭トラック構造の記録ヘッドを実現する必要があり、
これを達成するために半導体加工技術が利用されてい
る。
【0007】ここで、図39ないし図44を参照して、
従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例として、複合型
薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例について説明する。
【0008】この製造方法では、まず、図39に示した
ように、例えばアルティック(Al2 3 ・TiC)よ
りなる基板101上に、例えばアルミナ(Al2 3
よりなる絶縁層102を、約5〜10μm程度の厚みで
堆積する。次に、絶縁層102上に、再生ヘッド用の下
部シールド層103を形成する。次に、下部シールド層
103上に、例えばアルミナを100〜200nmの厚
みでスパッタ堆積し、シールドギャップ膜104を形成
する。次に、シールドギャップ膜104上に、再生用の
MR素子を構成するためのMR膜105を、数十nmの
厚みに形成し、高精度のフォトリソグラフィで所望の形
状にパターニングする。次に、MR膜105の両側に、
このMR膜105と電気的に接続する引き出し電極層と
してのリード層(図示せず)を形成したのち、このリー
ド層、シールドギャップ膜104およびMR膜105上
に、シールドギャップ膜106を形成し、MR膜105
をシールドギャップ膜104,106内に埋設する。次
に、シールドギャップ膜106上に、再生ヘッドと記録
ヘッドの双方に用いる磁気材料、例えばパーマロイ(N
iFe)からなる上部シールド兼下部磁極(以下、下部
磁極と記す。)107を形成する。
【0009】次に、図40に示したように、下部磁極1
07上に、絶縁膜、例えばアルミナ膜よりなる記録ギャ
ップ層108を形成し、この記録ギャップ層108上
に、フォトレジスト層109を、高精度のフォトリソグ
ラフィで所定のパターンに形成する。次に、フォトレジ
スト層109上に、例えばめっき法により、例えば銅
(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の第1層目の薄
膜コイル110を形成する。次に、フォトレジスト層1
09およびコイル110を覆うようにして、フォトレジ
スト層111を、高精度のフォトリソグラフィで所定の
パターンに形成する。次に、コイル110の平坦化およ
びコイル110間の絶縁化のために、例えば250°C
の温度で熱処理する。次に、フォトレジスト層111上
に、例えばめっき法により、例えば銅よりなる第2層目
の薄膜コイル112を形成する。次に、フォトレジスト
層111およびコイル112の上に、フォトレジスト層
113を、高精度のフォトリソグラフィで所定のパター
ンに形成し、コイル112の平坦化およびコイル112
間の絶縁化のために、例えば250°Cの温度で熱処理
する。
【0010】次に、図41に示したように、コイル11
0,112よりも後方(図41における右側)の位置に
おいて、磁路形成のために、記録ギャップ層108を部
分的にエッチングして開口部108aを形成する。次
に、記録ギャップ層108およびフォトレジスト層10
9,111,113上に、記録ヘッド用の磁気材料、例
えばパーマロイからなる上部ヨーク兼上部磁極(以下、
上部磁極と記す。)114を選択的に形成する。この上
部磁極114は、上記した開口部108aにおいて下部
磁極107と接触し、磁気的に連結している。次に、上
部磁極114をマスクとして、イオンミリングによっ
て、記録ギャップ層108と下部磁極107を、約0.
5μm程度エッチングした後、上部磁極114上に、例
えばアルミナよりなるオーバーコート層115を形成す
る。最後に、スライダの機械加工を行って、記録ヘッド
および再生ヘッドのトラック面(エアベアリング面)1
20を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0011】図42〜図44は、完成した状態の薄膜磁
気ヘッドの構造を表すものである。ここで、図42はエ
アベアリング面120に垂直な薄膜磁気ヘッドの断面を
示し、図43は磁極部分のエアベアリング面120に平
行な断面を拡大して示し、図44は平面図を示す。な
お、図39ないし図42は、図44におけるA−A′線
に沿った矢視断面に対応する。また、図42ないし図4
4では、オーバーコート層115の図示を省略してい
る。
【0012】薄膜磁気ヘッドの性能を向上させるには、
図42および図43に示したスロートハイトTH、エイ
ペックスアングルθ、磁極幅P2Wおよび磁極長P2L
を正確に形成することが重要である。ここで、エイペッ
クスアングル(Apex Angle)θは、フォトレジスト層1
09,111,113のトラック面側の側面の角部を結
ぶ直線と上部磁極114の上面とのなす角度である。磁
極幅P2Wは、記録媒体上の記録トラック幅を規定する
ものである。磁極長P2Lは磁極の厚さを表している。
また、図42および図44において、‘TH0位置’と
あるのは、薄膜コイル110,112を電気的に分離す
る絶縁層であるフォトレジスト層109のトラック面側
のエッジであり、スロートハイトTHの基準位置0を示
している。
【0013】図43に示したように、上部磁極114、
記録ギャップ層108および下部磁極107の一部の各
側壁が垂直に自己整合的に形成された構造は、トリム
(Trim)構造と呼ばれる。このトリム構造によれば、狭
トラックの書き込み時に発生する磁束の広がりによる実
効トラック幅の増加を防止することができる。なお、図
43に示したように、MR膜105の両側には、このM
R膜105と電気的に接続する引き出し電極層としての
リード層121が設けられている。但し、図39〜図4
2および図44ではリード層121の図示を省略してい
る。
【0014】図45は、上部磁極114の平面構造を表
すものである。この図に示したように、上部磁極114
は、その大部分を占めるヨーク部114aと、磁極幅P
2Wとしてほぼ一定の幅W1を有するポールチップ部1
14bとを有している。ヨーク部114aとポールチッ
プ部114bとの連結部分において、ヨーク部114a
の外縁はエアベアリング面120と平行な面に対して角
度αをなし、また、上記連結部分において、ポールチッ
プ部114bの外縁はエアベアリング面120と平行な
面に対して角度βをなしている。ここで、αは、例えば
45度程度であり、βは90度である。ポールチップ部
114bの幅は、記録媒体上の記録トラック幅を規定す
るものである。ポールチップ部114bは、TH0位置
よりも前方側(エアベアリング面120側)の部分F
と、TH0位置よりも後方側(ヨーク部114a側)の
部分Rとを含んでいる。図42から判るように、部分F
は、平坦な記録ギャップ層108の上に延在し、部分R
およびヨーク部114aは、フォトレジスト層109,
111,113で覆われて山状に盛り上がったコイル部
分(以下、エイペックス部と言う。)の上に延在してい
る。
【0015】なお、上部磁極の形状に関しては、例え
ば、特開平8−249614号公報に記載がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】磁極幅P2Wは、記録
ヘッドのトラック幅を決定するため、正確な形成が要求
される。特に、近年は、高面密度記録を可能とするた
め、すなわち、狭トラック構造の記録ヘッドを形成する
ために、上部磁極の磁極幅P2Wを1.0μm以下の寸
法にするという微細加工が要求される。
【0017】上部磁極を形成する方法としては、例え
ば、特開平7−262519号公報に示されるように、
フレームめっき法が用いられる。フレームめっき法を用
いて上部磁極114を形成する場合は、まず、エイペッ
クス部の上に全体的に、例えばパーマロイよりなる薄い
電極膜を、例えばスパッタリングによって形成する。次
に、その上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラ
フィ工程によりパターニングして、めっきのためのフレ
ーム(外枠)を形成する。そして、先に形成した電極膜
をシード層として、めっき法によって上部磁極114を
形成する。
【0018】ところで、エイペックス部と他の部分とで
は、例えば7〜10μm以上の高低差がある。このエイ
ペックス部上に、フォトレジストを3〜4μmの厚みで
塗布する。エイペックス部上のフォトレジストの膜厚が
最低3μm以上必要であるとすると、流動性のあるフォ
トレジストは低い方に集まることから、エイペックス部
の下方では、例えば8〜10μm以上の厚みのフォトレ
ジスト膜が形成される。
【0019】前述のように狭トラックを形成するために
は、フォトレジスト膜によって1.0μm程度の幅のフ
レームパターンを形成する必要がある。すなわち、8〜
10μm以上の厚みのあるフォトレジスト膜によって、
1.0μmもしくはそれ以下の幅の微細なパターンを形
成しなければならない。ところが、このような厚い膜厚
のフォトレジストパターンを狭パターン幅で形成するこ
とは製造工程上極めて困難であった。
【0020】しかも、フォトリソグラフィの露光時に、
露光用の光が、シード層としての下地電極膜で反射し、
この反射光によってもフォトレジストが感光して、フォ
トレジストパターンのくずれ等が生じ、シャープかつ正
確なフォトレジストパターンが得られなくなる。その結
果、上部磁極の側壁が丸みを帯びた形状になる等、上部
磁極を所望の形状に形成できなくなる。特に、図46に
示したように、磁極幅P2Wをさらに微小化してW1′
としたときには、この所望の幅W1′を得ることがさら
に困難となる。これは、ポールチップ部114bのう
ち、エイペックス部上に延在している部分Rでは、下地
電極膜で反射して戻ってくる反射光には、垂直方向の反
射光のみならず、エイペックス部の斜面からの斜め方向
または横方向からの反射光も含まれており、これらの反
射光がフォトレジスト層の感光に影響を与える結果、磁
極幅P2Wを規定するフォトレジストパターン幅が所期
の値よりも大きくなり、その形状が図46における破線
で示したような形になってしまうからである。ポールチ
ップ部114bの中でも、TH0位置より前方の部分R
の幅は、記録媒体上のトラック幅を規定する上で極めて
重要なファクタである。このため、部分Rの幅が上記し
た値W2よりも大きくなると、目標とする微小なトラッ
ク幅を得ることができない。
【0021】このような問題は、上記の特開平8−24
9614号公報に記載された磁気ヘッドにおいても同様
に存在する。この公報に記載された磁気ヘッドでは、T
H0位置からヨーク部に向かって磁極幅がなだらかに変
化しているので、エイペックス部の斜面からの斜め方向
または横方向からの反射光がフォトレジスト層の感光に
与える影響により、TH0位置より前方の部分の幅を正
確に制御できないからである。
【0022】また、図46に示したように、ポールチッ
プ部114bのうち、TH0位置からヨーク部114a
との連結部までの部分Rは、TH0位置の前方の部分F
とほぼ同じ幅となっていてその断面積が小さいため、ヨ
ーク部114aからの磁束が部分Rで飽和してしまい、
トラック幅を規定する部分Fにまで十分到達することが
できない。このため、オーバーライト特性、すなわち、
記録媒体上に既に書き込んである上からさらにデータを
重ね書きする場合の特性が、例えば10〜20dB程度
と低い値となり、十分なオーバーライト特性を確保する
ことができないという問題があった。
【0023】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、磁極幅を縮小化した場合において
も、磁極幅の正確な制御を可能にすると共に、十分なオ
ーバーライト特性を得ることができる薄膜磁気ヘッドお
よびその製造方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜磁気ヘッド
は、磁気的に連結され、かつ記録媒体に対向する側の一
部がギャップ層を介して対向する2つの磁極を含む少な
くとも2つの磁性層と、これらの少なくとも2つの磁性
層の間に絶縁層を介して配設された薄膜コイル部とを有
する薄膜磁気ヘッドであって、2つの磁性層のうちの少
なくとも一方の磁性層が、記録媒体に対向する記録媒体
対向面から絶縁層における記録媒体に近い側の端縁部ま
たはその近傍にかけて延在し、記録媒体の記録トラック
の幅を規定する一定幅を有する第1の磁性層部分と、絶
縁層の上記の端縁部またはその近傍において第1の磁性
層部分と磁気的に連結する第2の磁性層部分とを含み、
第1の磁性層部分と第2の磁性層部分との連結部におけ
る第1の磁性層部分の幅がこの連結部における第2の磁
性層部分の幅よりも小さくなるように、連結部に幅方向
の段差を形成したものである。
【0025】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、磁気的に連結され、かつ記録媒体に対向する側の一
部がギャップ層を介して対向する2つの磁極を含む少な
くとも2つの磁性層を形成する工程と、少なくとも2つ
の磁性層の間に絶縁層を介して配置されるように薄膜コ
イル部を形成する工程とを含み、上記の少なくとも2つ
の磁性層のうちの一の磁性層が、記録媒体に対向する記
録媒体対向面から絶縁層における記録媒体に近い側の端
縁部またはその近傍にかけて延在して記録媒体の記録ト
ラックの幅を規定する一定幅を有する第1の磁性層部分
と、絶縁層の上記の端縁部またはその近傍において第1
の磁性層部分と磁気的に連結する第2の磁性層部分とを
含むように形成し、第1の磁性層部分と第2の磁性層部
分との連結部における第1の磁性層部分の幅がこの連結
部における第2の磁性層部分の幅よりも小さくなるよう
に、連結部に幅方向の段差を形成したものである。
【0026】本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその製造方
法では、第1の磁性層部分の一定幅によって記録媒体の
記録トラックの幅が規定される。第1の磁性層部分は、
絶縁層における記録媒体に近い側の端縁部またはその近
傍において、第1の磁性層部分の幅よりも大きい幅の第
2の磁性層部分に磁気的に連結され、その連結部には幅
方向の段差が形成される。
【0027】本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその製造方
法では、連結部における第2の磁性層部分の段差面が第
1の磁性層部分の延在方向と実質的に垂直をなすように
してもよい。
【0028】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法では、第2の磁性層部分の段差面における幅方
向の端縁に面取りを施すようにしてもよい。
【0029】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法では、第2の磁性層部分の幅が位置によらずに
ほぼ一定であるようにしてもよい。
【0030】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法では、第2の磁性層部分の幅が位置により異な
るようにしてもよい。
【0031】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法では、第2の磁性層部分の幅が上記の連結部か
ら遠ざかるに従って広くなるようにしてもよい。
【0032】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法では、一方の磁性層が、さらに、第2の磁性層
部分に磁気的に連結され、この第2の磁性層部分よりも
大きな幅および面積を有する第3の磁性層部分を含むよ
うにしてもよい。
【0033】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法では、第1の磁性層部分および第2の磁性層部
分が同一工程により一体に形成されたものであるように
してもよい。
【0034】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法では、第1の磁性層部分、第2の磁性層部分お
よび第3の磁性層部分が同一工程により一体に形成され
たものであるようにしてもよい。
【0035】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法では、第1の磁性層部分および第2の磁性層部
分が、同一工程により一体に形成されたものであり、第
3の磁性層部分が、第1の磁性層部分および第2の磁性
層部分の形成工程と異なる工程により、これらの部分と
は別体として形成されたものであるようにしてもよい。
【0036】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法では、第3の磁性層部分が、第2の磁性層部分
の少なくとも一部とオーバーラップして延在するように
してもよい。
【0037】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法では、第3の磁性層部分が、連結部を越えて第
1の磁性層部分の一部ともオーバーラップするように延
在し、そのオーバーラップした部分における第3の磁性
層部分の、記録媒体に近い側の端縁面が、第1の磁性層
部分の延在方向と直交するようにしてもよい。この場合
には、第1の磁性層部分と第2の磁性層部分との連結部
が、第3の磁性層部分の上記端縁面から後退しているの
で、この連結部における幅方向の段差の角部に丸みがあ
ったとしても、記録媒体の記録トラック幅を規定するこ
ととなる第1の磁性層部分の幅は、上記の直交部分から
先端部までの全域にわたって正確に一定となる。ここ
で、さらに、第3の磁性層部分の上記端縁面の位置が、
絶縁層における記録媒体に近い側の端縁部の位置と一致
するようにしてもよい。この場合には、いわゆるスロー
トハイトと呼ばれる範囲の全域にわたって、記録媒体の
記録トラック幅を規定することとなる第1の磁性層部分
の幅が正確に一定となる。
【0038】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法では、第2の磁性層部分の少なくとも一部が、
絶縁層により形成される斜面上に配置されるようにして
もよい。この場合には、たとえ、第2の磁性層部分を上
記の斜面上に形成することに起因して、第1の磁性層部
分の形成のためのフォトリソグラフィ工程での露光状態
の悪影響が生じ、これにより上記の連結部における幅方
向の段差の角部に比較的大きな丸みが生じたとしても、
第1の磁性層部分の実質的な幅にばらつきが生ずるとい
う事態は回避される。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0040】〔第1の実施の形態〕まず、図1ないし図
8を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁
気ヘッドの製造方法としての複合型薄膜磁気ヘッドの製
造方法について説明する。なお、本実施の形態に係る薄
膜磁気ヘッドは、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの
製造方法によって具現化されるので、以下併せて説明す
る。図1ないし図7において、(a)はエアベアリング
面に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のエアベアリ
ング面に平行な断面を示している。また、図8は、複合
型薄膜磁気ヘッドの平面構成を示している。
【0041】本実施の形態に係る製造方法では、まず、
図1に示したように、例えばアルティック(Al2 3
・TiC)からなる基板1上に、例えばアルミナ(Al
2 3 )よりなる絶縁層2を、約3〜5μm程度の厚み
で堆積する。次に、絶縁層2上に、フォトレジスト膜を
マスクとして、めっき法にて、パーマロイ(NiFe)
を約3μmの厚みで選択的に形成して、再生ヘッド用の
下部シールド層3を形成する。
【0042】次に、下部シールド層3上に、例えばアル
ミナを100〜200nmの厚みでスパッタ堆積し、シ
ールドギャップ膜4を形成する。次に、シールドギャッ
プ膜4上に、再生用のMR素子を構成するためのMR膜
5を数10nm以下の厚みに形成し、高精度のフォトリ
ソグラフィで所望の形状とする。次に、MR膜5の両側
に、このMR膜5と電気的に接続する引き出し電極層と
してのリード層(図示せず)を形成したのち、このリー
ド層、シールドギャップ膜4およびMR膜5上に、シー
ルドギャップ膜6を形成して、MR膜5をシールドギャ
ップ膜4,6内に埋設する。
【0043】次に、図2に示したように、シールドギャ
ップ膜6上に、例えばパーマロイよりなる上部シールド
兼下部磁極(以下、下部磁極と記す。)7を、約3〜4
μmの厚みで選択的に形成する。ここで、下部磁極7が
本発明における「少なくとも2つの磁性層」のうちの1
つに対応する。
【0044】次に、下部磁極7上に、無機系絶縁膜、例
えばシリコン酸化膜(SiO2 )を約1〜2μmの厚み
で形成した後、テーパエッチングを施して、選択的にパ
ターニングして、エイペックスアングルとスロートハイ
トを規定するための絶縁層8を形成する。なお、絶縁層
8としては、シリコン酸化膜に限らず、アルミナ膜や、
シリコンチッ化膜(SiN)等の他の無機系絶縁膜を用
いてもよい。また、上記膜はスパッタまたはCVD(Ch
emical Vapor Deposition )法にて形成してもよい。次
に、下部磁極7および絶縁層8上に、絶縁膜、例えばア
ルミナ膜よりなる記録ギャップ層9を形成する。
【0045】次に、図3に示したように、記録ギャップ
層9上に、例えば電解めっき法により、例えば銅(C
u)よりなる誘導型の記録ヘッド用の第1層目の薄膜コ
イル10を2〜3μmの厚みで形成する。
【0046】次に、図4に示したように、記録ギャップ
層9およびコイル10上に、フォトレジスト層11を、
高精度のフォトリソグラフィで所定のパターンに形成す
る。次に、コイル10の平坦化およびコイル10間の絶
縁化のために、例えば250°Cの温度で熱処理する。
【0047】次に、フォトレジスト層11上に、例えば
電解めっき法により、例えば銅よりなる第2層目の薄膜
コイル12を2〜3μmの厚みで形成する。次に、フォ
トレジスト層11およびコイル12上に、フォトレジス
ト層13を、高精度のフォトリソグラフィで所定のパタ
ーンに形成し、コイル12の平坦化およびコイル12間
の絶縁化のために、例えば250°Cの温度で熱処理す
る。
【0048】次に、図5に示したように、コイル10,
12よりも後方(図5(a)における右側)の位置にお
いて、磁路形成のために、記録ギャップ層9を部分的に
エッチングして開口部9aを形成する。次に、上部磁極
を形成する前に、高飽和磁束密度材のNiFe系合金
を、例えばスパッタリングにより、約70nmの厚みで
形成して、電解めっき法におけるシード層となる電極膜
(図示せず)を形成する。次に、上記の電極膜上に、フ
ォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりパタ
ーニングして、フレームめっき法によって上部磁極を形
成するためのフレーム(外枠)となるフォトレジストパ
ターン(図示せず)を形成する。次に、このフォトレジ
ストパターンをマスクとし、先に形成した電極膜をシー
ド層として、電解めっき法によって、上部ヨーク兼上部
磁極(以下、上部磁極と記す。)17を、約3〜5μm
の厚みに形成し、その後、フォトレジストパターンを除
去する。この上部磁極17は、例えば図9に示したよう
な平面形状を有し、上記の開口部9aにおいて下部磁極
7と接触して磁気的に連結される。上部磁極17として
は、例えば、高飽和磁性材料であるパーマロイ(NiF
e)や窒化鉄(Fen)等が用いられる。この上部磁極
17の形状については後述する。ここで、上部磁極17
が本発明における「2つの磁性層のうちの少なくとも一
方の磁性層」に対応する。
【0049】次に、図6に示したように、上部磁極17
をマスクとして、例えばイオンミリングによって、記録
ギャップ層9と下部磁極7を、約0.5μm程度エッチ
ングして、トリム構造を形成する。
【0050】次に、図7に示したように、全面を覆うよ
うにして、例えばアルミナよりなるオーバーコート層1
8を形成する。最後に、スライダの機械加工を行って、
記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリング面(トラ
ック面)を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0051】図8は、本実施の形態に係る製造方法によ
って製造される薄膜磁気ヘッドの平面図である。なお、
この図では、オーバーコート層18を省略している。こ
の図に示したように、スロートハイトTHは、絶縁層8
の磁極部分側の端縁(TH0位置)からエアベアリング
面20までの長さである。なお、図1ないし図7は、図
8におけるA−A′線に沿った矢視断面に相当する。
【0052】図9は、上部磁極17の平面構造を表すも
のである。この図に示したように、上部磁極17は、幅
W3を有し上部磁極17の大部分を占めるヨーク部17
aと、ほぼ一定の幅W1を有する中間部17bと、W1
よりも小さいほぼ一定の幅W2を有する先端部17cと
を有している。ヨーク部17a、中間部17bおよび先
端部17cの各幅方向の中心は互いに一致している。ヨ
ーク部17aと中間部17bとの連結部分において、ヨ
ーク部17aの外縁はエアベアリング面20と平行な面
に対して角度αをなし、また、上記連結部分において、
中間部17bの側縁面はエアベアリング面20と平行な
面に対して角度βをなしている。中間部17bの幅は位
置によらずにほぼ一定であり、先端部17cの幅もま
た、位置によらずにほぼ一定である。本実施の形態にお
いて、αは、例えば45度程度であり、βはほぼ90度
である。
【0053】上部磁極17の中間部17bと先端部17
cとの連結部は、TH0位置またはその近傍に位置して
いる。ここで、「その近傍」とは、TH0位置に対して
例えばプラス/マイナス0.5μmの範囲内をいう。上
記連結部における中間部17bの幅はW1であり、一
方、上記連結部における先端部17cの幅はW1よりも
小さいW2である。すなわち、TH0位置またはその近
傍において、中間部17bと先端部17cとの間には幅
方向の段差が存在している。この段差部における中間部
17b側の端面(以下、段差面という。)21は、中間
部17bの側縁面と角度γをなし、先端部17cの側縁
面の方向(すなわち、先端部17cの延在方向)と角度
δをなしている。本実施の形態では、角度γおよびδは
共にほぼ90度である。すなわち、先端部17cと中間
部17bとの間の段差面21は、先端部17cの側縁面
と実質的に垂直をなしている。ここで、「実質的に垂
直」とは、先端部17cの側縁面の主たる部分と段差面
21の主たる部分とのなす角度δがほぼ90度であるこ
とを意味すると共に、先端部17cの側縁面と段差面2
1とが交差する角部がシャープなエッジになっている場
合のみならず丸みを帯びている場合をも含む意である。
なお、上記の角度δは、例えば75〜120度の範囲に
あるのが好適である。上記角部の丸み形状は、フォトレ
ジストパターンを形成するためのマスクにおける上記角
部に対応する部分がたとえシャープなエッジになってい
たとしても生じ得るものである。また、フォトレジスト
パターンを形成するためのマスクにおける上記角部に対
応する部分の角度を正確に90度にしたとしても、フォ
トリソグラフィ工程における露光量を増加させると、こ
れにより形成される上部磁極17の角度δが110〜1
20度まで広がる場合もある。ここで、上部磁極17の
先端部17cが本発明における「第1の磁性層部分」に
対応し、中間部17bが本発明における「第2の磁性層
部分」に対応し、ヨーク部17aが本発明における「第
3の磁性層部分」に対応する。
【0054】図7から判るように、先端部17cは、平
坦な記録ギャップ層9の上に延在し、中間部17bおよ
びヨーク部17aは、フォトレジスト層11,13等か
らなる丘陵状に盛り上がったエイペックス部の上に延在
している。先端部17cの幅W2は、磁極幅P2Wに相
当し、記録媒体上のトラック幅を規定するものである。
【0055】なお、図9に示した各部の寸法としては、
例えば次のような値が好適である。 ヨーク部17aの長さL1=10〜40μm 中間部17bの長さL2=3.0〜5.0μm 先端部17cの長さL3(=スロートハイトTH)=
0.5〜1.0μm 中間部17bの幅W1=2.0〜4.0μm 先端部17cの幅W2=0.6〜1.2μm ヨーク部17aの幅W3=20〜40μm
【0056】このような形状を有する上部磁極17をも
つ薄膜磁気ヘッドは、オーバーライト特性において高い
性能を発揮する。すなわち、この上部磁極17は、図9
に示したように、TH0位置において先端部17cと連
結している中間部17bの幅は、記録媒体上のトラック
幅を規定する先端部17cの幅W2よりもかなり大きい
幅W1を有し、中間部17bのボリュームは、従来の場
合(図45)の部分Rのそれに比べて大きい。このた
め、薄膜コイル10,12によってヨーク部17aに発
生した磁束は、中間部17bで飽和せず、先端部17c
にまで十分に到達する。したがって、先端部17cが例
えばサブミクロンという狭トラック幅に対応したもので
あっても、オーバーライト用の磁束として十分な大きさ
が得られる。すなわち、狭トラック化を実現しつつ、十
分なオーバーライト特性を確保することが可能である。
【0057】図12は、従来の薄膜磁気ヘッドのオーバ
ーライト特性と本実施の形態の薄膜磁気ヘッドのオーバ
ーライト特性とを比較して表すものである。この図の
(A)は、図35に示したような形状の上部磁極114
を有する従来の薄膜磁気ヘッドのオーバーライト特性を
表し、(B)は図9に示したような形状の上部磁極17
を有する本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドのオーバー
ライト特性を表す。この図に示したように、従来の薄膜
磁気ヘッドでは、26.0dBという値であったのに対
し、本実施の形態の薄膜磁気ヘッドでは、35.5dB
という高い値が得られており、オーバーライト特性が改
善されている。
【0058】また、上記のような形状を有する上部磁極
17をもつ薄膜磁気ヘッドは、製造工程上においても、
次のような利点を有する。すなわち、図10に示したよ
うに、本実施の形態の薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極
17では、ほぼTH0位置における、先端部17cと中
間部17bとの段差面21が先端部17cの側縁面とな
す角度δはほぼ90度である。このため、フォトリソグ
ラフィ工程でマスクを用いてフォトレジストを選択的に
露光してパターニングする場合に生ずる、エイペックス
部からの斜め方向および横方向の反射光は、TH0位置
またはその近傍における段差面21と先端部17cの側
縁面とがなすほぼ90度の角部において大部分が遮断さ
れ、先端部17cを形成するためのフォトレジスト領域
にまで到達しにくくなる。このため、先端部17cを形
成するためのフォトレジスト領域のパターン幅が広がる
のを抑制することができる。具体的には、図10に示し
たように、先端部17cの長手方向の長さのうち、先端
部17cにおける所期の目標幅W2よりも広がる部分
(図中の破線)の長さd1を極めて小さくすることが可
能である。
【0059】これに対して、例えば図11に示したよう
に、TH0位置における段差面21が先端部17cの側
縁面となす角度γが90度よりもはるかに大きい場合
(例えば130度以上)には、上記した角部における反
射光の遮蔽効果が小さくなり、先端部17cにおける所
期の目標幅W2よりも広がる部分(図中の破線)の長さ
d2は、より大きくなる。
【0060】このように、本実施の形態の薄膜磁気ヘッ
ドによれば、上部磁極17の先端部17cを形成するた
めのフォトレジスト領域のパターン幅の広がりを防止す
ることができるので、記録媒体上の書込トラック幅を規
定する先端部17cの幅をほぼ目標の値W2とすること
ができ、書込トラック幅の狭小化が可能である。
【0061】以上のように、本実施の形態の薄膜磁気ヘ
ッドによれば、TH0位置またはその近傍において上部
磁極17の先端部17cと中間部17bとの間に、実質
的に直角に変化する幅方向の段差を設けると共に、中間
部17bの幅をトラック幅を規定する先端部17cの幅
よりも十分大きくしたので、先端部17cを形成するた
めのフォトレジストのパターン幅の広がりを防止して書
込トラック幅を微小化することができると共に、ヨーク
部17aに発生した磁束が先端部17cに到達する前に
飽和するのを防止して、十分なオーバーライト特性を確
保することができる。
【0062】また、本実施の形態では、スロートハイト
THを規定する絶縁層8を、無機系絶縁膜で形成したの
で、コイル10,12を形成する際の250°C程度の
温度による熱処理によって、絶縁層8の端縁の位置変動
(パターンシフト)およびプロファイル悪化が生じるこ
とがない。そのため、スロートハイトの正確な制御が可
能になる。更に、MRハイトの正確な制御や、エイペッ
クスアングルθの正確な制御も可能となる。
【0063】また、本実施の形態では、スロートハイト
を規定する絶縁層8を、無機系絶縁膜で形成したので、
トリム構造を形成するために記録ギャップ層9と下部磁
極7をエッチングする際における絶縁層8の位置変動が
なく、これによっても、スロートハイトの正確な制御が
可能となる。
【0064】また、本実施の形態によれば、下部磁極
(上部シールド)7と薄膜コイル10,12の間に、薄
い記録ギャップ層9の他に、厚い絶縁層8を形成するよ
うにしたので、下部磁極(上部シールド)7と薄膜コイ
ル10,12との間に、大きな絶縁耐圧を得ることがで
きると共に、薄膜コイル10,12からの磁束を漏れを
低減することができる。
【0065】なお、本実施の形態において、上部磁極1
7として、例えばNiFeやチッ化鉄(FeN)を用い
るようにしたが、このほか、例えばFe−Co−Zrの
アモルファス等の高飽和磁束密度材を用いてもよいし、
これらの材料を2種類以上重ねて使用してもよい。ま
た、下部磁極7としても、NiFeと上記の高飽和磁束
密度材を重ねた磁性材料を用いてもよい。
【0066】また、上部磁極17は、図9に示した形状
に限定されず、例えば以下の図13〜図15に示したよ
うな形状にしてもよい。
【0067】図13は、TH0位置における中間部17
bの段差面21の両外側角部をわずかに面取りした場合
の上部磁極17の平面図である。面取り部以外の部分の
構造は図9の場合と同様である。この場合には、面取り
後の段差面21の幅がW1となるようにする。
【0068】図14は、TH0位置における段差面21
が先端部17cの側縁面となす角度δを90度より大き
くした場合の上部磁極17の平面図である。角度δは、
例えば90〜150度とするが、より好適には90〜1
20度の範囲とする。
【0069】図15は、中間部17bの側縁面がエアベ
アリング面20と平行な面となす角度γを90度より小
さくした場合の上部磁極17の平面図である。角度γ
は、例えば70〜80度の範囲とするのが好適である。
【0070】なお、図13〜図15において、先端部1
7cと中間部17bとの連結位置はTH0位置と厳密に
一致しなければならないものではなく、TH0位置に対
して例えばプラス/マイナス0.5μm程度の範囲でず
れていてもよい。
【0071】これらの図13〜図15に示した上部磁極
17を有する薄膜磁気ヘッドにおいても、上記の図9に
示した上部磁極17を有する薄膜磁気ヘッドの場合と同
様の効果を得ることができる。
【0072】〔第2の実施の形態〕次に、本発明の第2
の実施の形態を説明する。
【0073】まず、図16ないし図19を参照して、本
発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方
法としての複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法について説
明する。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によって
具現化されるので、以下併せて説明する。図16ないし
図19において、(a)はエアベアリング面に垂直な断
面を示し、(b)は磁極部分のエアベアリング面に平行
な断面を示している。これらの図で、上記各実施の形態
における要素と同一部分には同一の符号を付すものとす
る。
【0074】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法において、図16に示した下部磁極7を形成すると
ころまでの工程は、上記第1の実施の形態における図3
の途中までの工程と同様であるので、説明を省略する。
【0075】本実施の形態では、図16に示したように
下部磁極7の形成が終了すると、次に、図17に示した
ように、記録ギャップ層9を形成し、その上に、スロー
トハイトTHを規定するための絶縁膜パターン25を形
成する。次に、後工程で薄膜コイル29を形成する領域
よりも後方(図17(a)における右側)の位置におい
て、磁路形成のために、記録ギャップ層9を部分的にエ
ッチングして開口部9aを形成する。次に、絶縁膜パタ
ーン25からトラック対向面(エアベアリング面)とな
る側にかけての領域に、例えば電解めっき法により、上
部磁極の一部を構成することとなる上部ポールチップ2
7aを選択的に形成する。このとき、同時に、開口部9
aにも磁路形成パターン27bを形成する。上部ポール
チップ27aおよび磁路形成パターン27bとしては、
例えば、高飽和磁束密度材であるパーマロイ(NiF
e)系の合金や窒化鉄(Fen)系の合金等が用いられ
る。
【0076】上部ポールチップ27aおよび磁路形成パ
ターン27bの形成は、例えば、次のようにして行う。
すなわち、まず、高飽和磁束密度材であるNiFe系合
金を、例えばスパッタリングにより、約70nmの厚み
で形成して、電解めっき法におけるシード層となる電極
膜(図示せず)を形成する。次に、上記の電極膜上に、
フォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりパ
ターニングして、フレームめっき法によってフォトレジ
ストパターン(図示せず)を形成する。次に、このフォ
トレジストパターンをマスクとし、先に形成した電極膜
をシード層として、電解めっき法によって、上部ポール
チップ27aおよび磁路形成パターン27bを、約3〜
5μmの厚みに形成し、その後、フォトレジストパター
ンを除去する。この上部ポールチップ27aは、例えば
図20および図21に示したような形状とする。この上
部ポールチップ27aの形状については後述する。
【0077】次に、上部ポールチップ27aをマスクと
して、例えばイオンミリングによって、記録ギャップ層
9と下部磁極7とを、約0.3〜0.5μm程度エッチ
ングして、書き込み時における実効トラック幅の広がり
を抑制するためのトリム構造を形成する。
【0078】次に、全体に、例えばアルミナ膜等の絶縁
膜28を0.5〜1.5μm程度の膜厚に形成したの
ち、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)より
なる誘導型の記録ヘッド用の薄膜コイル29を2〜3μ
mの厚みで形成する。次に、全体に、例えばアルミナ膜
等の絶縁膜30を3〜4μm程度の膜厚に形成したの
ち、例えばCMP(化学機械研磨)法により全体を研磨
して平坦化し、上部ポールチップ27aおよび磁路形成
パターン27bの表面を露出させる。
【0079】次に、図18に示したように、上部ポール
チップ27aおよび磁路形成パターン27bの場合と同
様の工程の電解めっき法によって、上部ヨーク兼上部磁
極(以下、上部磁極という。)27cを、約3〜5μm
の厚みに形成する。この上部磁極27cは、例えば図2
0に示したような形状を有し、上記の開口部9aにおい
て下部磁極7と接触して磁気的に連結されると共に、上
部ポールチップ27aとも接触して磁気的に連結され
る。上部磁極17としては、例えば、高飽和磁性材料で
あるパーマロイ(NiFe)や窒化鉄(Fen)等が用
いられる。ここで、上部磁極27cが本発明における
「第3の磁性層部分」に対応する。
【0080】次に、全体を覆うようにして、例えばアル
ミナよりなるオーバーコート層38を形成する。最後
に、スライダの機械加工を行って、記録ヘッドおよび再
生ヘッドのエアベアリング面(トラック面)を形成し
て、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0081】なお、ここでは、1層の薄膜コイル29の
みを形成するようにしたが、図19に示したように、薄
膜コイル29を覆う絶縁層30の上に第2層の薄膜コイ
ル35を形成し、これをフォトレジスト層36で覆った
後、その上に上部磁極37を選択的に形成するようにし
てもよい。
【0082】図20は、上部磁極27cおよび上部ポー
ルチップ27aの平面構造を表し、図21は上部ポール
チップ27aの平面構造を表すものである。図20に示
したように、上部磁極27cは、幅W3を有し上部磁極
27cの大部分を占めるヨーク部27c(1) と、上部ポ
ールチップ27aと一部オーバーラップして接続される
接続部27c(2) とを有している。ヨーク部27c(1)
の形状は、上記第1の実施の形態における上部磁極17
のヨーク部17aと同様である。接続部27c(2) の幅
は、上記第1の実施の形態における上部磁極17の中間
部17bの幅よりも広くなっている。ヨーク部17aお
よび接続部27c(2) の各幅方向の中心は互いに一致し
ている。
【0083】図21に示したように、上部ポールチップ
27aは、記録媒体上の書込トラック幅を規定する先端
部27a(1) と、上部磁極27cの接続部27c(2) と
接続される中間部27a(2) とを有している。中間部2
7a(2) は、上記第1の実施の形態における上部磁極1
7の中間部17bと同じ幅W1を有し、長さはL4であ
る。先端部27a(1) は、上記第1の実施の形態におけ
る先端部17cと同じ幅W2を有する。先端部27a
(1) と中間部27a(2) との連結部は、TH0位置とほ
ぼ一致し、同時に、上部磁極27cの接続部27c(2)
における前側(エアベアリング面側)の端縁面とも一致
している。この連結部(すなわち、ほぼTH0位置)に
おいて、中間部27a(2) の幅はW1であり、先端部2
7a(1) の幅は、W1よりも小さいW2である。すなわ
ち、TH0位置またはその近傍において、中間部27a
(2) と先端部27a(1) との間には幅方向の段差が存在
している。この段差部における中間部27a(2) 側の段
差面21は、中間部27a(2) の側面と角度γ1をな
し、先端部27a(1) の側縁面と角度δをなしている。
本実施の形態では、角度γ1およびδは共にほぼ90度
である。すなわち、すなわち、中間部27a(2) および
先端部27a(1) は共に矩形をなしており、段差面21
は先端部27a(1) の側縁面と実質的に垂直をなしてい
る。ここで、先端部27a(1) が本発明における「第1
の磁性層部分」に対応し、中間部27a(2) が本発明に
おける「第2の磁性層部分」に対応する。
【0084】図18および図20から明らかなように、
先端部27a(1) は、平坦な記録ギャップ層9の上に延
在し、中間部27a(2) は、絶縁パターン25の上に位
置している。
【0085】なお、図20に示した各部の寸法として
は、例えば次のような値が好適である。 中間部27a(2) の幅W1=2.0〜5.0μm 中間部27a(2) の長さL4=1.0〜5.0μm 先端部27a(1) の幅W2=0.4〜1.2μm ヨーク部17aの幅W3=30〜40μm 接続部27c(2) の長さ=3.0〜5.0μm
【0086】このような形状を有する上部磁極17をも
つ薄膜磁気ヘッドは、上記第1の実施の形態の場合と同
様の理由から、オーバーライト特性において高い性能を
発揮する。また、このような形状の上部磁極27cおよ
び上部ポールチップ27aを有する薄膜磁気ヘッドは、
製造工程上においても、上記第1の実施の形態の場合と
同様の利点を有する。
【0087】すなわち、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド
によれば、上部ポールチップ27aの先端部27a(1)
を形成するためのフォトレジストのパターン幅の広がり
を防止して書込トラック幅を微小化することができると
共に、ヨーク部27c(1) に発生した磁束が上部ポール
チップ27aの先端部27a(1) に到達する前に飽和す
るのを防止して、十分なオーバーライト特性を確保する
ことができる。
【0088】また、本実施の形態では、上部磁極27c
をCMP研磨後の平坦部上に形成できるため、フォトリ
ソグラフィによるフォトレジストパターンの形成を高精
度に行うことができる。
【0089】また、本実施の形態では、記録ギャップ層
9と薄膜コイル10との間に、アルミナ等からなる厚い
絶縁膜28が形成されているため、薄膜コイル10と下
部磁極7との間の絶縁耐圧を高めることができると共
に、薄膜コイル10からの磁束の洩れを低減することが
できる。
【0090】なお、上部磁極27cおよび上部ポールチ
ップ27aは、図20,図21に示した形状に限定され
ず、例えば以下の図22〜図24に示したような形状に
してもよい。
【0091】図22は、中間部27a(2) の段差面21
の両外側角部を面取りした場合の上部ポールチップ27
aの平面図である。面取り部以外の部分の構造は図21
の場合と同様である。面取り角ηは、段差面21に対し
て例えば30〜60度とするのが好適である。
【0092】図23は、上部磁極27cの接続部27c
(2) および上部ポールチップ27aの中間部27a(2)
がテーパを有する場合の平面構成を表し、図24は、上
部ポールチップ27aの平面構成を表すものである。こ
れらの図で、上部磁極27cの接続部27c(2) のテー
パ角γは、接続部27c(2) の端縁面22に対して例え
ば45〜60度の範囲とし、上部ポールチップ27aの
中間部27a(2) のテーパ角γ1は、段差面21に対し
て例えば60〜80度の範囲とするのが好適である。
【0093】これらの図22〜図24に示した上部磁極
27cおよび上部ポールチップ27aを有する薄膜磁気
ヘッドにおいても、上記の図20に示した上部磁極27
cおよび上部ポールチップ27aを有する薄膜磁気ヘッ
ドの場合と同様の効果を得ることができる。
【0094】なお、上部磁極27cの接続部27c(2)
における前側(エアベアリング面側)の端縁面22の位
置は、TH0位置と一致している上部ポールチップ27
aの段差面21の位置と正確に一致しなければならない
ものではなく、例えば図25に示したように、接続部2
7c(2) の端縁面22の位置が段差面21の位置よりも
後方(エアベアリング面と反対の側)にずれるようにし
てもよい。
【0095】また、上記第2の実施の形態(図20)に
おける上部磁極27cの接続部27c(2) は、必須のも
のではなく、例えば図26に示したように、上部磁極2
7cをヨーク部27c(1) のみで構成し、上部ポールチ
ップ27aの中間部27a(2) の上にヨーク部27c
(1) の一部をオーバーラップさせるようにしてもよい。
この場合も、ヨーク部27c(1) の前側の端縁面22の
位置は、TH0位置と一致している上部ポールチップ2
7aの段差面21の位置と正確に一致しなければならな
いものではなく、例えば図27に示したように、ヨーク
部27c(1) の前側の端縁面22の位置が上部ポールチ
ップ27aの段差面21の位置よりも後方(エアベアリ
ング面と反対の側)にずれるようにしてもよい。
【0096】[第3の実施の形態]次に、本発明の第3
の実施の形態を説明する。
【0097】図28は本発明の第3の実施の形態に係る
薄膜磁気ヘッドの上部磁極27cおよび上部ポールチッ
プ27aの平面構成を表し、図29は図28における要
部を拡大して表すものである。なお、これらの図で、上
記第2の実施の形態における図20で示した構成要素と
同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略
する。
【0098】図28および図29に示したように、本実
施の形態では、上部磁極27cの接続部27c(2) は、
その前側(エアベアリング面側)の端縁面22の位置が
上部ポールチップ27aの段差面21の位置を越えて先
端部27a(1) の一部ともオーバーラップすることとな
るように延在している。このオーバーラップした部分に
おける接続部27c(2) の端縁面22は、先端部27a
(1) の延在方向、すなわち先端部27a(1) の側縁面2
3の方向と直交している。また、本実施の形態では、T
H0の位置と一致するのは、上部ポールチップ27aの
段差面21の位置ではなく、接続部27c(2) の端縁面
22の位置である。その他の構成および製造方法は、上
記第2の実施の形態の場合と同様であり、例えば、先端
部27a(1) を通りエアベアリング面21と垂直な面に
沿った断面構造は、図18または図19に示したものと
同様である。
【0099】ところで、図18において説明したよう
に、上部ポールチップ27aを形成するためのフォトリ
ソグラフィ工程と、上部磁極27cを形成するためのフ
ォトリソグラフィ工程とは、全く別個に行われる。この
ため、たとえ、上部ポールチップ27aの形成用のフォ
トリソグラフィ工程における露光状態の悪さによってフ
ォトレジストの角部が丸まってしまい、例えば図29に
示したように、上部ポールチップ27aの段差面21と
先端部27a(1) の側縁面23との交差部24がシャー
プな直角にならずに丸みが生じたとしても、先端部27
a(1) の側縁面23と上部磁極27cの接続部27c
(2) とは、必ず、シャープな直角をなすこととなる。す
なわち、記録媒体のトラック幅を規定する先端部27a
(1) の幅が、TH0の位置からエアベアリング面20ま
での全域(スロートハイトTHの全域)にわたって正確
にW1となるようにすることができる。したがって、ト
ラック幅の縮小に伴って、先端部27a(1) の幅W1を
1μm以下、さらには0.5μm以下にする場合におい
ても、TH0位置の近傍で先端部27a(1) の幅W1が
広がることがない。特に、より高性能の薄膜磁気ヘッド
を得るためにスロートハイトTHを従来の1μm程度か
ら0.5〜0.2μmという値に縮小した場合において
も、スロートハイトTHの全域にわたって正確な設計値
幅W1を保証することが可能となる。これにより、記録
媒体上の記録トラック幅を正確にコントロールすること
ができ、あるトラックに書き込まれるべきデータが隣の
トラックにも書き込まれてしまうというサイドライト現
象の発生を効果的に防止することができる。
【0100】また、本実施の形態では、先端部27a
(1) のTH0位置の直ぐ後方に、直角に広がる接続部2
7c(2) が存在すると共に、段差面21の直ぐ後方に中
間部27a(2) が存在しているので、これらによって十
分な磁気ボリュームが確保されている。このため、ヨー
ク部27c(1) に発生した磁束が上部ポールチップ27
aの先端部27a(1) に到達する前に飽和するのを効果
的に防止することができ、十分なオーバーライト特性を
確保することが可能である。
【0101】なお、本実施の形態のように、上部磁極2
7cの接続部27c(2) の端縁面22を上部ポールチッ
プ27aの段差面21を越えたところに位置させるよう
にする場合において、上部ポールチップ27aおよび上
部磁極27cの形状は、図28に示したものには限定さ
れない。例えば図30に示したように、上部磁極27c
の接続部27c(2) および上部ポールチップ27aの中
間部27a(2) が、それぞれ、テーパをもつような形状
にしてもよい。上部磁極27cの接続部27c(2) のテ
ーパ角および上部ポールチップ27aの中間部27a
(2) のテーパ角は、上記した図23の場合と同様とする
のが好適である。
【0102】また、図31に示したように、上部磁極2
7cから接続部27c(2) を除いて上部磁極27cをヨ
ーク部27c(1) のみで構成し、ヨーク部27c(1) の
端縁面22が上部ポールチップ27aの段差面21を越
えて先端部27a(1) の上に位置するようにヨーク部2
7c(1) をオーバーラップさせてもよい。
【0103】また、例えば図32に示したように、上部
ポールチップ27aの段差面21が先端部27a(1) の
側縁面23と90度以上の角度をなすようにしてもよ
い。但し、段差面21が側縁面23と90度をなすよう
にするのが好適である。
【0104】なお、上記第2および第3の実施の形態で
は、薄膜磁気ヘッドの上部磁極部が上部磁極27cおよ
び上部ポールチップ27aの2つの部分に分割されて形
成されると共に薄膜磁気ヘッド全体が図19に示したよ
うな断面構造を有するものである場合について説明した
が、本発明はこれに限定されず、以下の第4および第5
の実施の形態に示すような構造を有するものであっても
よい。
【0105】[第4の実施の形態]次に、図33〜図3
5を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る薄膜磁
気ヘッドの製造方法としての複合型薄膜磁気ヘッドの製
造方法を説明する。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気
ヘッドは、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方
法によって具現化されるので、以下併せて説明する。図
33ないし図35において、(a)はエアベアリング面
に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のエアベアリン
グ面に平行な断面を示している。これらの図で、上記各
実施の形態における要素と同一部分には同一の符号を付
すものとする。
【0106】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法において、図33における下部磁極7を形成すると
ころまでの工程は、上記第1の実施の形態における図1
から図3の途中までの工程と同様であるので、説明を省
略する。
【0107】本実施の形態では、図33に示したように
下部磁極7の形成が終了すると、次に、下部磁極7上
に、下部ポールチップ41aおよび下部接続部41bを
約2.0〜2.5μmの厚みで形成する。ここで、下部
ポールチップ41aは、そのエアベアリング面側の先端
部がMR(GMR)ハイト零の位置の近辺になるように
成形し、同時に、エアベアリング面の反対側がスロート
ハイト零の位置となるようにする。なお、この下部ポー
ルチップ41aおよび下部接続部41bは、NiFe等
のめっき膜により形成してもよく、FeN,FeZrN
P,CoFeNなどのスパッタ膜により形成してもよ
い。
【0108】続いて、全面に、例えばスパッタ法または
CVD法により、例えばアルミナ等の絶縁材料よりなる
膜厚0.3〜0.6μmの絶縁膜42を形成する。
【0109】次に、下部ポールチップ41aと下部接続
部41bとの間に形成された凹部領域に、例えば電解め
っき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録
ヘッド用の1層目の薄膜コイル43を1.5〜2.5μ
mの厚みで形成する。このとき同時に、下部接続部41
bの後方領域(図の右側領域)に、薄膜コイル43を後
述する第2層の薄膜コイルと接続するためのコイル接続
部43Cを形成する。
【0110】次に、全面に、スパッタ法により絶縁材
料、例えばアルミナよりなる膜厚3.0〜4.0μmの
絶縁層44を形成した後、例えばCMP法により表面を
平坦化し、下部ポールチップ41aおよび下部接続部4
1bの表面を露出させる。
【0111】次に、図34に示したように、スパッタ法
により、例えばアルミナ絶縁材料よりなる膜厚0.2〜
0.3μmの記録ギャップ層9を形成する。記録ギャッ
プ層9は、アルミナの他、窒化アルミニウム(Al
N)、シリコン酸化物系、シリコン窒化物系の材料など
により形成するようにしてもよい。続いて、この記録ギ
ャップ層9をフォトリソグラフィーによりパターニング
し、上部磁極と下部磁極との接続用の開口9aを形成す
ると共に、記録ギャップ層9および絶縁層44をパター
ニングして、コイル接続部43Cに達する開口9bを形
成する。
【0112】続いて、記録ギャップ層9上に、上部ポー
ルチップ45a、および、上部磁極と下部磁極とを磁気
的に接続させるための上部接続部45bを形成する。こ
のとき、上部接続部45bは、下部接続部41bとオー
バーラップして接触するように形成する。一方、上部ポ
ールチップ45aは、エアベアリング面から後方に向か
って下部ポールチップ41aよりも長く延在するように
形成する。また、上部ポールチップ45aは、上記第3
の実施の形態(図28等)の場合と同様に、磁気ボリュ
ームの確保のための中間部27a(2) と、トラック幅を
規定するための先端部27a(1) と、これらの連結部に
おける段差面21とを有するように形成する。上部ポー
ルチップ45aの平面形状は、図28、図30、図31
または図32に示したような形状とする。さらに、上部
ポールチップ45aは、その段差面21が、下部ポール
チップ41aの後側の端縁面の位置(すなわち、TH0
位置)よりも僅かに後方に位置するようにする。
【0113】続いて、上部ポールチップ45aをマスク
として、その周辺の記録ギャップ層9および下部ポール
チップ41aを自己整合的にエッチングする。すなわ
ち、上部ポールチップ45aをマスクとした塩素系ガス
(Cl2 ,CF4 ,BCl2 ,SF6 等)によるRIE
により、記録ギャップ層9を選択的に除去した後、露出
した下部ポールチップ41aを、再び、例えばArのイ
オンミリングによって約0.3〜0.6μm程度エッチ
ングして、トリム構造を形成する。
【0114】続いて、全面に、例えばスパッタ法または
CVD法により、膜厚約0.3〜0.6μmの例えばア
ルミナからなる絶縁層46を形成する。続いて、上部ポ
ールチップ45aおよび上部接続部45bにより形成さ
れた凹部内の絶縁膜46上に、例えば電解めっき法によ
り、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の
2層目の薄膜コイル47を1.5〜2.5μmの厚みで
形成する。このとき、同時に、開口9bを介してコイル
接続部43Cと接触するコイル接続部47Cを形成す
る。
【0115】続いて、全面に、例えばスパッタ法または
CVD法により、膜厚約3〜4μmの例えばアルミナか
らなる絶縁層48を形成する。なお、この絶縁層48や
絶縁膜46は、アルミナに限らず、二酸化珪素(SiO
2 )や、窒化珪素(SiN)等の他の絶縁材料により形
成してもよい。
【0116】続いて、例えばCMP法により、上部ポー
ルチップ45aおよび上部接続部45bの表面が露出す
るように、絶縁層48および絶縁膜46を研磨し、これ
らの絶縁層48および絶縁膜46の表面と上部ポールチ
ップ45aおよび上部接続部45bの各表面とが同一面
を構成するように平坦化する。
【0117】次に、図35に示したように、例えば上部
ポールチップ45aと同じ材料を用いて、例えば電解め
っき法やスパッタ法などの方法により、上部磁極49を
約3〜4μmの厚みに選択的に形成する。その際、上部
磁極49の一部が上部ポールチップ45aの一部とオー
バーラップし、かつ、上部磁極49の前側(エアベアリ
ング面側)の端縁面22の位置が下部ポールチップ41
aの後側の端縁の位置(すなわち、TH0位置)と一致
することとなるようにする。また、上部磁極49の後側
の端部が上部接続部45b上に差し掛かるようにする。
これにより、上部磁極49は、上部ポールチップ45a
と磁気的に連結されると共に、上部接続部45bおよび
下部接続部41bを介して下部磁極7と磁気的に連結さ
れる。
【0118】最後に、全面を覆うように、例えばスパッ
タ法によりアルミナよりなる膜厚約30μmのオーバー
コート層50を形成する。その後、スライダの機械加工
を行い、記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリング
面(ABS)を形成することにより、薄膜磁気ヘッドが
完成する。
【0119】本実施の形態において、上部磁極49は、
その前側の端縁面22の位置は、TH0位置と一致する
と共に、上部ポールチップ45aの段差面21の位置よ
りも前方にあるように形成されている。このため、上記
第3の実施の形態における図29の場合と同様に、上部
ポールチップ45aの段差面21と先端部27a(1)の
側縁面23との交差部24がシャープな直角にならずに
丸みが生じたとしても、先端部27a(1) の側縁面23
と上部磁極49の接続部27c(2) の端縁面22とは、
必ず、シャープな直角をなし、TH0位置の近傍で先端
部27a(1) の幅W1が広がることがない。したがっ
て、上記第3の実施の形態の場合と同様に、スロートハ
イトTHの全域にわたって正確な設計値幅W1を保証す
ることが可能となるので、記録媒体上の記録トラック幅
を正確にコントロールすることができ、サイドライト現
象の発生を効果的に防止することができる。なお、ここ
での説明では、図29において上部磁極27cを上部磁
極49と読み替え、上部ポールチップ27aを上部ポー
ルチップ45aと読み替えている。
【0120】また、本実施の形態において、上部ポール
チップ45aの先端部27a(1) のTH0位置の直ぐ後
方に、直角に広がる接続部27c(2) が存在すると共
に、段差面21の直ぐ後方に中間部27a(2) が存在し
ているので、これらによって十分な磁気ボリュームが確
保されている。このため、上記第3の実施の形態の場合
と同様に、ヨーク部27c(1) に発生した磁束が上部ポ
ールチップ27aの先端部27a(1) に到達する前に飽
和するのを効果的に防止することができ、十分なオーバ
ーライト特性を確保することが可能である。
【0121】また、本実施の形態では、上部ポールチッ
プ45aを平坦部上に形成することができるため、フォ
トリソグラフィによるフォトレジストパターンの形成を
高精度に行うことができ、上部ポールチップ45aの先
端部27a(1) の幅を0.5〜0.25μmの精度で微
細化することも可能となる。また、上部磁極49もま
た、CMP研磨後の平坦部上に形成できるため、同様の
理由から高精度のパターニングが可能である。
【0122】また、本実施の形態では、下部磁極7と薄
膜コイル43との間にアルミナ等からなる厚い絶縁膜4
2が形成されると共に、記録ギャップ層7と薄膜コイル
47との間にアルミナ等からなる厚い絶縁膜46が形成
されているため、薄膜コイル43と下部磁極7との間の
絶縁耐圧、および薄膜コイル43,47間の絶縁耐圧を
高めることができると共に、薄膜コイル43,47から
の磁束の洩れを低減することができる。
【0123】[第5の実施の形態]次に、図36〜図3
8を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る薄膜磁
気ヘッドの製造方法としての複合型薄膜磁気ヘッドの製
造方法を説明する。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気
ヘッドは、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方
法によって具現化されるので、以下併せて説明する。図
36ないし図38において、(a)はエアベアリング面
に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のエアベアリン
グ面に平行な断面を示している。これらの図で、上記各
実施の形態における要素と同一部分には同一の符号を付
すものとする。
【0124】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法において、図36における下部磁極7を形成すると
ころまでの工程は、上記第1の実施の形態における図1
から図3の途中までの工程と同様であるので説明を省略
する。
【0125】本実施の形態では、図36に示したように
下部磁極7の形成が終了すると、次に、下部磁極7上
に、下部ポールチップ61aおよび下部接続部61bを
形成する。ここで、下部ポールチップ41aは、そのエ
アベアリング面側の先端部がMR(GMR)ハイト零の
位置の近辺になるように成形し、同時に、エアベアリン
グ面の反対側がスロートハイト零の位置となるようにす
る。
【0126】次に、全面に、スパッタ法により絶縁材
料、例えばアルミナよりなる膜厚3.0〜4.0μmの
絶縁層62を形成した後、例えばCMP法により表面を
平坦化し、下部ポールチップ61aおよび下部接続部6
1bの表面を露出させる。
【0127】次に、図37に示したように、スパッタ法
により、例えばアルミナ等の絶縁材料よりなる膜厚0.
2〜0.3μmの記録ギャップ層9を形成する。続い
て、この記録ギャップ層9をフォトリソグラフィーによ
りパターニングし、上部磁極と下部磁極との接続用の開
口9aを形成する
【0128】次に、記録ギャップ層9上に、上部ポール
チップ63a、および、上部磁極と下部磁極とを磁気的
に接続させるための上部接続部63bを形成する。この
とき、上部接続部63bは、下部接続部61bとオーバ
ーラップして接触するように形成する。一方、上部ポー
ルチップ63aは、エアベアリング面から後方に向かっ
て下部ポールチップ61aよりも長く延在するように形
成する。また、上部ポールチップ63aは、上記第3の
実施の形態(図28等)の場合と同様に、磁気ボリュー
ムの確保のための中間部27a(2) と、トラック幅を規
定するための先端部27a(1) と、これらの連結部にお
ける段差面21とを有するように形成する。上部ポール
チップ63aの平面形状は、図28、図30、図31ま
たは図32に示したような形状とする。さらに、上部ポ
ールチップ63aは、その段差面21が、下部ポールチ
ップ61aの後側の端縁面の位置(すなわち、TH0位
置)よりも僅かに後方に位置するようにする。
【0129】続いて、上部ポールチップ63aをマスク
として、その周辺の記録ギャップ層9および下部ポール
チップ61aを自己整合的にエッチングして、トリム構
造を形成する。
【0130】次に、上部ポールチップ63aと上部接続
部63bとの間に形成された凹部領域の記録ギャップ層
9上に、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)
よりなる誘導型の記録ヘッド用の1層目の薄膜コイル6
4を1.5〜2.5μmの厚みで形成する。このとき同
時に、上部接続部63bの後方領域(図の右側領域)
に、薄膜コイル64を後述する第2層の薄膜コイルと接
続するためのコイル接続部64Cを形成する。
【0131】次に、図38に示したように、全面に、ス
パッタ法により、例えばアルミナ等の絶縁材料よりなる
膜厚3.0〜4.0μmの絶縁層65を形成した後、例
えばCMP法により表面を平坦化し、上部ポールチップ
63aおよび上部接続部63bの表面を露出させる。
【0132】続いて、絶縁層65を選択的にエッチング
して、コイル接続部64Cに達する開口65aを形成す
る。
【0133】次に、絶縁層65上に、例えば電解めっき
法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッ
ド用の2層目の薄膜コイル66を1.5〜2.5μmの
厚みで形成する。このとき、同時に、開口65aを介し
てコイル接続部64Cと接触するコイル接続部66Cを
形成する。
【0134】次に、高精度のフォトリソグラフィによ
り、薄膜コイル66およびコイル接続部64Cを覆うよ
うにしてフォトレジスト層67を形成したのち、このフ
ォトレジスト層67の表面の平坦化および薄膜コイル6
6間の絶縁化のために、例えば250°Cの温度で熱処
理する。
【0135】次に、例えば上部ポールチップ45aと同
じ材料を用いて、例えば電解めっき法などの方法によ
り、上部磁極68を約3〜4μmの厚みに選択的に形成
する。その際、上部磁極68の一部が上部ポールチップ
63aの一部とオーバーラップし、かつ、上部磁極68
の前側(エアベアリング面側)の端縁面22の位置が下
部ポールチップ61aの後側の端縁の位置(すなわち、
TH0位置)と一致することとなるようにする。また、
上部磁極68の後側の端部が上部接続部63b上に差し
掛かるようにする。これにより、上部磁極68は、上部
ポールチップ63aと磁気的に連結されると共に、上部
接続部63bおよび下部接続部61bを介して下部磁極
7と磁気的に連結される。
【0136】最後に、全面を覆うように、例えばスパッ
タ法によりアルミナよりなる膜厚約30μmのオーバー
コート層69を形成する。その後、スライダの機械加工
を行い、記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリング
面(ABS)を形成することにより、薄膜磁気ヘッドが
完成する。
【0137】本実施の形態においても、上記第3および
第4の実施の形態の場合と同様の作用、効果を奏する。
すなわち、記録媒体上の記録トラック幅を正確にコント
ロールしてサイドライト現象の発生を効果的に防止でき
ると共に、十分なオーバーライト特性を確保することが
可能である。
【0138】また、本実施の形態では、上部ポールチッ
プ63aを平坦部上に形成することができるため、フォ
トリソグラフィによるフォトレジストパターンの形成を
高精度に行うことができ、上部ポールチップ63aの先
端部27a(1) の幅を0.5〜0.25μmの精度で微
細化することも可能である。
【0139】以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発
明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定さ
れず、種々の変形が可能である。例えば、上記の各実施
の形態およびその変形例では、複合型薄膜磁気ヘッドの
製造方法について説明したが、本発明は、書き込み用の
誘導型磁気変換素子を有する記録専用の薄膜磁気ヘッド
や記録・再生兼用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁
気ヘッドにも適用することができる。また、本発明は、
書き込み用の素子と読み出し用の素子の積層順序を逆転
させた構造の薄膜磁気ヘッドにも適用することができ
る。
【0140】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし請
求項14のいずれか1に記載の薄膜磁気ヘッド、または
請求項15ないし請求項28のいずれか1に記載の薄膜
磁気ヘッドの製造方法によれば、2つの磁性層のうちの
少なくとも一方の磁性層が、記録媒体に対向する記録媒
体対向面から絶縁層における記録媒体に近い側の端縁部
またはその近傍にかけて延在し、記録トラックの幅を規
定する一定幅を有する第1の磁性層部分と、絶縁層にお
ける上記の端縁部またはその近傍において第1の磁性層
部分と磁気的に連結する第2の磁性層部分とを含むよう
にし、連結部における第1の磁性層部分の幅が連結部に
おける第2の磁性層部分の幅よりも小さくなるように、
連結部に幅方向の段差を形成することとしたので、第1
の磁性層部分を形成する際のフォトリソグラフィ工程に
おける下地層からの無用な反射光の影響を抑制して第1
の磁性層部分の幅を精度よく形成することができると共
に、薄膜コイルによって発生した磁束が第1の磁性層部
分に流れ込む前に第2の磁性層部分で飽和してしまうの
を抑制することができる。したがって、第1の磁性層部
分の幅を例えばサブミクロン領域にまで微細化しつつ、
十分なオーバーライト特性を担保することができるとい
う効果を奏する。
【0141】特に、請求項2記載の薄膜磁気ヘッドまた
は請求項16記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、連結部における第2の磁性層部分の段差面が第1の
磁性層部分の延在方向と実質的に垂直をなすようにした
ので、第1の磁性層部分を形成する際のフォトリソグラ
フィ工程における下地層からの無用な反射光の影響を抑
制する作用が十分となり、第1の磁性層部分の幅をさら
に精度よく形成することができるという効果を奏する。
【0142】また、請求項12記載の薄膜磁気ヘッドま
たは請求項26記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、第3の磁性層部分が連結部を越えて第1の磁性層部
分の一部ともオーバーラップするように延在し、そのオ
ーバーラップした部分における第3の磁性層部分の、記
録媒体に近い側の端縁面が第1の磁性層部分の延在方向
と直交するようにしたので、この連結部における幅方向
の段差の角部に丸みがあったとしても、記録媒体の記録
トラック幅を規定することとなる第1の磁性層部分の幅
は、その影響を受けず上記の直交部分から先端部にわた
って正確に一定となる。したがって、本実施の形態によ
れば、記録媒体の記録トラック幅を正確にコントロール
することができるという効果を奏する。
【0143】また、請求項13記載の薄膜磁気ヘッドま
たは請求項27記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、さらに、第3の磁性層部分の上記端縁面の位置が、
絶縁層における記録媒体に近い側の端縁部の位置と一致
するようにしたので、いわゆるスロートハイトと呼ばれ
る範囲の全域にわたって、第1の磁性層部分の幅が正確
に一定となり、記録媒体の記録トラック幅をより正確に
コントロールすることができるという効果を奏する。
【0144】また、請求項14記載の薄膜磁気ヘッドま
たは請求項28記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、たとえ、第2の磁性層部分を上記の斜面上に形成す
ることに起因して、第1の磁性層部分の形成のためのフ
ォトリソグラフィ工程での露光状態の悪影響が生じ、こ
れにより上記の連結部における幅方向の段差の角部に比
較的大きな丸みが生じたとしても、第1の磁性層部分の
実質的な幅にばらつきが生ずるという事態は回避され
る。すなわち、従来困難であった、斜面に差しかかるよ
うに形成される記録用磁極の幅の安定化が可能であると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの製造方法における一工程を説明するための断面図で
ある。
【図2】図1に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図3】図2に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図4】図3に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図5】図4に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図6】図5に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図7】図6に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図8】完成した薄膜磁気ヘッドの平面構造を表す平面
図である。
【図9】図8に示した薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極
の平面構造を表す平面図である。
【図10】図8に示した薄膜磁気ヘッドにおける作用を
説明するための上部磁極の拡大平面図である。
【図11】図8に示した薄膜磁気ヘッドに対する比較例
における作用を説明するための上部磁極の拡大平面図で
ある。
【図12】図8に示した薄膜磁気ヘッドと従来の薄膜磁
気ヘッドのオーバーライト特性を表す図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの上部磁極の変形例を表す平面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの上部磁極の他の変形例を表す平面図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの上部磁極のさらに他の変形例を表す平面図であ
る。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの製造方法における一工程を説明するための断面図
である。
【図17】図16に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図18】図17に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの変形例を表す断面図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの上部磁極および上部ポールチップの平面構造を表
す平面図である。
【図21】図20に示した上部ポールチップの平面構造
を拡大して表す平面図である。
【図22】図21に示した上部ポールチップの変形例を
表す平面図である
【図23】図20に示した上部磁極および上部ポールチ
ップの変形例を表す平面図である。
【図24】図23に示した上部ポールチップの平面構造
を拡大して表す平面図である。
【図25】図20に示した上部磁極および上部ポールチ
ップの他の変形例を表す平面図である。
【図26】本発明の薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極お
よび上部ポールチップの変形例を表す平面図である。
【図27】本発明の薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極お
よび上部ポールチップの他の変形例を表す平面図であ
る。
【図28】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの上部磁極および上部ポールチップの平面構造を表
す平面図である。
【図29】図28に示した上部磁極および上部ポールチ
ップの要部を拡大した平面図である。
【図30】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの上部磁極および上部ポールチップにおける変形例
を表す平面図である。
【図31】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの上部磁極および上部ポールチップにおける他の変
形例を表す平面図である。
【図32】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの上部磁極および上部ポールチップにおけるさらに
他の変形例を表す平面図である。
【図33】本発明の第4の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの製造方法における一工程を説明するための断面図
である。
【図34】図33に続く断面図である。
【図35】図34に続く断面図である。
【図36】本発明の第5の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの製造方法における一工程を説明するための断面図
である。
【図37】図36に続く断面図である。
【図38】図37に続く断面図である。
【図39】従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法における一
工程を説明するための断面図である。
【図40】図39に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図41】図40に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図42】従来の薄膜磁気ヘッドの構造を表す断面図で
ある。
【図43】従来の薄膜磁気ヘッドにおけるエアベアリン
グ面に平行な断面を示す断面図である。
【図44】従来の薄膜磁気ヘッドの構造を示す平面図で
ある。
【図45】従来の薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極の構
造を示す平面図である。
【図46】従来の薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極を微
細化する場合の問題点を説明するための上部磁極の平面
図である。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁層、3…下部シールド層、4,6…
シールドギャップ膜、5…MR膜、7…下部磁極、8…
絶縁層、9…記録ギャップ層、10,12,29,3
5,43,47,64,66…薄膜コイル、11,1
3,36,67…フォトレジスト層、17,27c,3
7,49,68,…上部磁極、17a…ヨーク部、17
b…中間部、17c…先端部、18,31,38,5
0,69…オーバーコート層、20…エアベアリング
面、21…段差面、22…端縁面、23…側縁面、25
…絶縁膜パターン、27a,45a,63a…上部ポー
ルチップ、27b…磁路形成パターン、27a(1) …先
端部、27a(2) …中間部、27c(1) …ヨーク部、2
7c(2) …接続部、28,42,46…絶縁膜、30,
44,48,62,65…絶縁層、41a,61a…下
部ポールチップ、41b,61b…下部接続部、45
b,63b…上部接続部、TH…スロートハイト。

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気的に連結され、かつ記録媒体に対
    向する側の一部がギャップ層を介して対向する2つの磁
    極を含む少なくとも2つの磁性層と、 これらの少なくとも2つの磁性層の間に絶縁層を介して
    配設された薄膜コイル部とを有する薄膜磁気ヘッドであ
    って、 前記2つの磁性層のうちの少なくとも一方の磁性層は、 記録媒体に対向する記録媒体対向面から前記絶縁層にお
    ける記録媒体に近い側の端縁部またはその近傍にかけて
    延在し、記録媒体の記録トラックの幅を規定する一定幅
    を有する第1の磁性層部分と、 前記絶縁層の前記端縁部またはその近傍において前記第
    1の磁性層部分と磁気的に連結する第2の磁性層部分と
    を含み、 前記第1の磁性層部分と第2の磁性層部分との連結部に
    おける第1の磁性層部分の幅が、この連結部における第
    2の磁性層部分の幅よりも小さくなるように、前記連結
    部に幅方向の段差が形成されていることを特徴とする薄
    膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記連結部における第2の磁性層部分
    の段差面は、前記第1の磁性層部分の延在方向と実質的
    に垂直をなすことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気
    ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記第2の磁性層部分の段差面におけ
    る幅方向の端縁には、面取りが施されていることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の薄膜磁気ヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 前記第2の磁性層部分の幅は、位置に
    よらずにほぼ一定であることを特徴とする請求項1ない
    し請求項3のいずれか1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記第2の磁性層部分の幅は、位置に
    より異なることを特徴とする請求項1ないし請求項3の
    いずれか1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記第2の磁性層部分の幅は、前記連
    結部から遠ざかるに従って広くなることを特徴とする請
    求項5記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記一方の磁性層は、さらに、 前記第2の磁性層部分に磁気的に連結され、この第2の
    磁性層部分よりも大きな幅および面積を有する第3の磁
    性層部分を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項
    6のいずれか1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記第1の磁性層部分および前記第2
    の磁性層部分は、同一工程により一体に形成されたもの
    であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいず
    れか1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記第1の磁性層部分、前記第2の磁
    性層部分および前記第3の磁性層部分は、同一工程によ
    り一体に形成されたものであることを特徴とする請求項
    7記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記第1の磁性層部分および前記第
    2の磁性層部分は、同一工程により一体に形成されたも
    のであり、 前記第3の磁性層部分は、前記第1の磁性層部分および
    前記第2の磁性層部分の形成工程と異なる工程により、
    これらの部分とは別体として形成されたものであること
    を特徴とする請求項7記載の薄膜磁気ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記第3の磁性層部分は、前記第2
    の磁性層部分の少なくとも一部とオーバーラップするよ
    うに延在していることを特徴とする請求項10記載の薄
    膜磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記第3の磁性層部分は、前記連結
    部を越えて前記第1の磁性層部分の一部ともオーバーラ
    ップするように延在し、 そのオーバーラップした部分における前記第3の磁性層
    部分の、記録媒体に近い側の端縁面が、前記第1の磁性
    層部分の延在方向と直交していることを特徴とする請求
    項11記載の薄膜磁気ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記第3の磁性層部分の前記端縁面
    の位置は、前記絶縁層における記録媒体に近い側の端縁
    部の位置と一致していることを特徴とする請求項12記
    載の薄膜磁気ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記第2の磁性層部分の少なくとも
    一部は、前記絶縁層により形成される斜面上に配置され
    ていることを特徴とする請求項1ないし請求項13のい
    ずれか1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  15. 【請求項15】 磁気的に連結され、かつ記録媒体に
    対向する側の一部がギャップ層を介して対向する2つの
    磁極を含む少なくとも2つの磁性層を形成する工程と、 前記少なくとも2つの磁性層の間に絶縁層を介して配置
    されるように薄膜コイル部を形成する工程とを含み、 前記少なくとも2つの磁性層のうちの一の磁性層が、記
    録媒体に対向する記録媒体対向面から前記絶縁層におけ
    る記録媒体に近い側の端縁部またはその近傍にかけて延
    在して記録媒体の記録トラックの幅を規定する一定幅を
    有する第1の磁性層部分と、前記絶縁層の前記端縁部ま
    たはその近傍において前記第1の磁性層部分と磁気的に
    連結する第2の磁性層部分とを含むように形成すると共
    に、 前記第1の磁性層部分と第2の磁性層部分との連結部に
    おける第1の磁性層部分の幅が、この連結部における第
    2の磁性層部分の幅よりも小さくなるように、前記連結
    部に幅方向の段差を形成することを特徴とする薄膜磁気
    ヘッドの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記連結部における第2の磁性層部
    分の段差面が前記第1の磁性層部分の延在方向と実質的
    に垂直をなすようにしたことを特徴とする請求項15記
    載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記第2の磁性層部分の段差面にお
    ける幅方向の端縁に面取りを施すようにしたことを特徴
    とする請求項15または請求項16に記載の薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記第2の磁性層部分の幅が位置に
    よらずにほぼ一定であるようにしたことを特徴とする請
    求項15ないし請求項17のいずれか1に記載の薄膜磁
    気ヘッドの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記第2の磁性層部分の幅が位置に
    より異なるようにしたことを特徴とする請求項15ない
    し請求項17のいずれか1に記載の薄膜磁気ヘッドの製
    造方法。
  20. 【請求項20】 前記第2の磁性層部分の幅が前記連
    結部から遠ざかるに従って広くなるようにしたことを特
    徴とする請求項19記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  21. 【請求項21】 前記一方の磁性層が、さらに、 前記第2の磁性層部分に磁気的に連結され、この第2の
    磁性層部分よりも大きな幅および面積を有する第3の磁
    性層部分を含むようにしたことを特徴とする請求項15
    ないし請求項20のいずれか1に記載の薄膜磁気ヘッド
    の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記第1の磁性層部分および前記第
    2の磁性層部分を、同一工程により一体に形成するよう
    にしたことを特徴とする請求項15ないし請求項21の
    いずれか1に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  23. 【請求項23】 前記第1の磁性層部分、前記第2の
    磁性層部分および前記第3の磁性層部分を、同一工程に
    より一体に形成するようにしたことを特徴とする請求項
    21記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  24. 【請求項24】 前記第1の磁性層部分および前記第
    2の磁性層部分を、同一工程により一体に形成し、 前記第3の磁性層部分を、前記第1の磁性層部分および
    前記第2の磁性層部分の形成工程と異なる工程により、
    これらの部分とは別体として形成するようにしたことを
    特徴とする請求項21記載の薄膜磁気ヘッドの製造方
    法。
  25. 【請求項25】 前記第3の磁性層部分が前記第2の
    磁性層部分の少なくとも一部とオーバーラップして延在
    することとなるように、前記第3の磁性層部分を形成す
    ることを特徴とする請求項24記載の薄膜磁気ヘッドの
    製造方法。
  26. 【請求項26】 前記第3の磁性層部分が前記連結部
    を越えて前記第1の磁性層部分の一部ともオーバーラッ
    プして延在すると共に、 そのオーバーラップした部分における第3の磁性層部分
    の、記録媒体に近い側の端縁面が、前記第1の磁性層部
    分の延在方向と直交することとなるように、前記第3の
    磁性層部分を形成することを特徴とする請求項25記載
    の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  27. 【請求項27】 前記第3の磁性層部分の前記端縁面
    の位置が前記絶縁層における記録媒体に近い側の端縁部
    の位置と一致することとなるように、前記第3の磁性層
    部分を形成することを特徴とする請求項26記載の薄膜
    磁気ヘッドの製造方法。
  28. 【請求項28】 前記第2の磁性層部分の少なくとも
    一部が前記絶縁層により形成される斜面上に配置される
    こととなるように、前記第2の磁性層部分を形成するこ
    とを特徴とする請求項15ないし請求項27のいずれか
    1に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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