JP3781399B2 - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録ヘッドと読み出し用の磁気抵抗(以下、MR(Magneto Resistive )と記す。)素子を有する再生ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。MR素子としては、異方性磁気抵抗(以下、AMR(Anisotropic Magneto Resistive )と記す。)効果を有する膜を用いたAMR素子と、巨大磁気抵抗(以下、GMR(Giant Magneto Resistive )と記す。)効果を有する膜を用いたGMR素子とがあり、AMR素子を用いた再生ヘッドはAMRヘッドあるいは単にMRヘッドと呼ばれ、GMR素子を用いた再生ヘッドはGMRヘッドと呼ばれる。AMRヘッドは、面記録密度が1ギガビット/(インチ)2 を超える再生ヘッドとして利用され、GMRヘッドは、面記録密度が3ギガビット/(インチ)2 を超える再生ヘッドとして利用されている。
【0003】
一般的に、AMR膜は、MR効果を示す磁性体を膜としたもので、単層構造になっている。これに対して、多くのGMR膜は、複数の膜を組み合わせた多層構造になっている。GMR効果が発生するメカニズムにはいくつかの種類があり、そのメカニズムによってGMR膜の層構造が変わる。GMR膜としては、超格子GMR膜、スピンバルブ膜、グラニュラ膜等が提案されているが、比較的構成が単純で、弱い磁界でも大きな抵抗変化を示し、量産を前提とするGMR膜としては、スピンバルブ膜が有力である。
【0004】
再生ヘッドの性能を決定する要因としては、パターン幅、特に、MRハイトがある。MRハイトはMR素子のエアベアリング面側の端部から反対側の端部までの長さ(高さ)をいう。このMRハイトは、本来、エアベアリング面の加工の際の研磨量によって制御される。なお、ここにいうエアベアリング面(ABS)は、薄膜磁気ヘッドの磁気記録媒体に対向する面であり、トラック面ともいう。
【0005】
一方、再生ヘッドの性能向上に伴って、記録ヘッドの性能向上も求められている。記録ヘッドの性能のうち、記録密度を高めるには、磁気記録媒体におけるトラック密度を上げる必要がある。そのためには、記録ギャップ(write gap)を挟んでその上下に形成された下部磁極(ボトムポール)および上部磁極(トップポール)のエアベアリング面での幅を数ミクロンからサブミクロンオーダーまで狭くした狭トラック構造の記録ヘッドを実現する必要があり、そのため半導体加工技術が利用されている。
【0006】
記録ヘッドの性能を決定するその他の要因としては、スロートハイト(Throat Height:TH) がある。スロートハイトは、エアベリング面から、薄膜コイルを電気的に分離する絶縁層のエッジまでの部分(磁極部分)の長さ(高さ)をいう。記録ヘッドの性能向上のためには、スロートハイトの縮小化が望まれている。このスロートハイトも、エアベアリング面の加工の際の研磨量によって制御される。
【0007】
薄膜磁気ヘッドの性能の向上のためには、上述のような記録ヘッドと再生ヘッドをバランスよく形成することが重要である。
【0008】
ここで、図10(a),(b)乃至図15(a),(b)を参照して、従来の薄膜磁気ヘッドの一例として複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例を説明する。
【0009】
まず、図10に示したように、例えばアルティック(Al2 3 ・TiC)よりなる基板101上に、例えばアルミナ(酸化アルミニウム,Al2 3 )よりなる絶縁層102を、約5〜10μm程度の厚みで形成する。続いて、絶縁層102上に例えばパーマロイ(NiFe)からなる再生ヘッド用の下部シールド層103を形成する。
【0010】
次に、図11に示したように、下部シールド層103上に、例えばアルミナを100〜200nmの厚みで堆積し、シールドギャップ膜104を形成する。次に、シールドギャップ膜104上に、再生用のMR素子を構成するためのMR膜105を数十nmの厚みに形成し、高精度のフォトリソグラフィで所望の形状とする。続いて、このMR膜105に対するリード端子層106をリフトオフ法により形成する。次いで、シールドギャップ膜104、MR膜105およびリード端子層106上に、シールドギャップ膜107を形成し、MR膜105およびリード端子層106をシールドギャップ膜104,107内に埋設する。続いて、シールドギャップ膜107上に、再生ヘッドと記録ヘッドの双方に用いる磁気材料、例えばパーマロイ(NiFe)からなる膜厚3μmの上部シールド兼下部磁極(以下,下部磁極と記す。)108を形成する。
【0011】
次に、図12に示したように、下部磁極108上に、絶縁層例えばアルミナ膜よりなる膜厚200nmの記録ギャップ層109を形成する。更に、この記録ギャップ層109をフォトリソグラフィによりパターニングし、上部磁極と下部磁極との接続用の開口109aを形成する。続いて、めっき法によりパーマロイ(NiFe)や窒化鉄(FeN)からなる磁気材料により磁極先端部(ポールチップ)110を形成すると共に、上部磁極と下部磁極との接続部パターン110aを形成する。この接続部パターン110aにより下部磁極108と後述の上部磁極層116とが接続され、後述のCMP(Chemical and Mechanical Polishing : 化学的機械研磨)工程後の開口(スルーホール)の形成が容易になる。
【0012】
次に、図13に示したように、磁極先端部110をマスクとしてイオンミリングによって記録ギャップ層109と下部磁極108とを約0.3〜0.5μm程度エッチングする。下部磁極108までエッチングしてトリム構造とすることにより、実効書き込みトラック幅の広がりが防止される(すなわち、データの書き込み時において、下部磁極における磁束の広がりが抑制される)。続いて、全面に、膜厚約3μmの例えばアルミナからなる絶縁層111を形成した後、全面をCMPにより平坦化する。
【0013】
次に、図14に示したように、絶縁層111上に、例えばめっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の第1層目の薄膜コイル112を選択的に形成し、更に、絶縁層111および薄膜コイル112上に、フォトレジスト膜113を高精度のフォトリソグラフィで所定のパターンに形成する。続いて、フォトレジスト膜113の平坦化および薄膜コイル112間の絶縁化のために所定の温度で熱処理する。更に、同様に、フォトレジスト膜113上に、第2層目の薄膜コイル114およびフォトレジスト膜115を形成し、フォトレジスト膜115の平坦化および薄膜コイル114間の絶縁化のために所定の温度で熱処理する。
【0014】
次に、図15に示したように、磁極先端部110、フォトレジスト膜113,115上に、記録ヘッド用の磁気材料、例えばパーマロイからなる上部ヨーク兼上部磁極層(以下、上部磁極層と記す。)116を形成する。この上部磁極層116は、薄膜コイル112,114よりも後方の位置において、下部磁極108と接触し、磁気的に連結される。続いて、上部磁極層116上に、例えばアルミナよりなるオーバーコート層117を形成する。最後に、スライダの機械加工を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドのトラック面(エアベアリング面)118を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0015】
図15において、THはスロートハイトを表し、MR−HはMRハイトをそれぞれ表している。また、P2Wはトラック(磁極)幅を表している。
【0016】
薄膜磁気ヘッドの性能を決定する要因として、スロートハイトTHやMRハイトMR−H等の他に、図15においてθで示したようなエイペックスアングル(Apex Angle)がある。このエイペックスアングルは、フォトレジスト膜113,115のトラック面側の側面の角部を結ぶ直線と上部磁極層116の上面とのなす角度をいう。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
薄膜磁気ヘッドの性能を向上させるには、図15に示したようなスロートハイトTH、MRハイトMR−H、エイペックスアングルθおよびトラック幅P2Wを正確に形成することが重要である。
【0018】
特に、近年は、高面密度記録を可能とするため、すなわち、狭トラック構造の記録ヘッドを形成するために、トラック幅P2Wには、1.0μm以下のサブミクロン寸法が要求されている。そのために、半導体加工技術を利用して上部磁極をサブミクロンに加工する技術が必要となる。また、狭トラック構造となるに伴って、磁極には、より高い飽和磁束密度を持った磁性材料の使用が望まれている。
【0019】
ここで、問題となるのは、フォトレジスト膜(例えば、図15のフォトレジスト膜113,115)で覆われて山状に盛り上がったコイル部分(エイペックス部)の上に形成される上部磁極層(トップポール)116を微細に形成することが困難であることである。
【0020】
上部磁極を形成する方法としては、例えば特開平7−262519号公報に示されるように、フレームめっき法が用いられる。フレームめっき法を用いて上部磁極を形成する場合は、まず、エイペックス部の上に全体的に、例えばパーマロイよりなる薄い電極膜を形成する。次に、その上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりパターニングして、めっきのためのフレーム(外枠)を形成する。そして、先に形成した電極膜をシード層として、めっき法によって上部磁極を形成する。
【0021】
ところで、上述のエイペックス部では、例えば7〜10μm以上の高低差がある。このエイペックス部上に形成されるフォトレジストの膜厚が最低3μm以上必要であるとすると、流動性のあるフォトレジストは低い方に集まることから、エイペックス部の下方では、例えば8〜10μm以上の厚みのフォトレジスト膜が形成されることとなる。前述のように狭トラックを形成するためには、フォトレジスト膜によってサブミクロン幅のパターンを形成する必要がある。従って、8〜10μm以上の厚みのあるフォトレジスト膜によって、サブミクロン幅の微細なパターンを形成する必要が生じるが、これは極めて困難であった。
【0022】
しかも、フォトリソグラフィの露光時に、露光用の光が、例えばパーマロイよりなる電極膜で反射し、この反射光によってもフォトレジストが感光して、フォトレジストパターンのくずれ等が生じる。その結果、上部磁極の側壁が丸みを帯びた形状になる等、上部磁極を所望の形状に形成できなくなる。このように、従来は、トラックP2Wを正確に制御して、狭トラック構造とするための上部磁極を精度よく形成することが極めて困難であった。
【0023】
このようなことから、上述の従来例の図12〜図15の工程でも示したように、記録ヘッドの狭トラックの形成に有効な磁極先端部110で1.0μm以下のトラック幅を形成した後、この磁極先端部110とヨーク部を兼ねる上部磁極層116とを接続させる方法、すなわち、通常の上部磁極を、トラック幅を決定する磁極先端部110と、磁束を誘導するためのヨーク部となる上部磁極層116との2つに分割する方法が採用されている(特開昭62−245509,特開昭60−10409号公報参照)。このように上部磁極を2分割することにより、一方の磁極先端部110を記録ギャップ層109の平坦面上においてサブミクロン幅に微細に加工することが可能になる。
【0024】
しかしながら、この薄膜磁気ヘッドにおいては、依然、以下のような問題があった。
【0025】
(1)まず、従来の磁気ヘッドでは、磁極先端部110のトラック面118から遠い側の端部においてスロートハイトを決定している。しかし、この磁極先端部110の幅が狭くなると、フォトリソグラフィーにおいてパターンエッジが丸みを帯びて形成される。そのため、高精度な寸法を要求されるスロートハイトが不均一となり、トラック面の加工,研磨工程において、磁気抵抗効果素子のトラック幅との間のバランスに欠ける事態が発生していた。例えば、トラック幅として、0.5〜0.6μm必要なときに、磁極先端部110のトラック面118から遠い側の端部がスロートハイト零の位置からトラック面側にずれ、大きく書き込みギャップが開き、記録データの書き込みができなくなるという問題がしばしば発生していた。
【0026】
(2)次に、前述のように、従来の磁気ヘッドでは、2分割された上部磁極のうちの一方の磁極先端部110により記録ヘッドのトラック幅が規定されるため、他方の上部磁極層116は磁極先端部110程には微細に加工する必要はないといえる。しかしながら、上部磁極層116は磁極先端部110の上部にフォトリソグラフィーの位置合わせにより位置が決定されるため、トラック面118(図15)側から見た場合、双方が片側に大きく位置ずれすると、上部磁極層116側で書き込みを行う、所謂サイドライトが発生する。そのため実効トラック幅が広くなり、ハードディスクにおいて、本来のデータ記録領域以外の領域においても書き込みが行われる、という不具合が発生する。
【0027】
また、記録ヘッドのトラック幅が極微細、特に0.5μm以下になってくると、上部磁極層116においてもサブミクロン幅の加工精度が要求される。すなわち、トラック面118(図15)側から見た場合、磁極先端部110と上部磁極層116との横方向の寸法差が大き過ぎると、上記と同様に、サイドライトが発生し、本来のデータ記録領域以外の領域においても書き込みが行われる、という不具合が発生する。
【0028】
このようなことから、磁極先端部110だけでなく、上部磁極層116もサブミクロン幅に加工する必要があるが、上部磁極層116の下のエイペックス部には、依然、前述のような大きな高低差があるため、上部磁極層116の微細加工が困難であった。
【0029】
(3)更に、従来の磁気ヘッドでは磁路長(Yoke Length)を短くすることが困難であるという問題があった。すなわち、コイルピッチが狭い程、磁路長の短いヘッドを実現することができ、特に高周波特性に優れた記録ヘッドを形成することができるが、コイルピッチを限りなく小さくしていった場合、スロートハイト零の位置から、コイルの外周端の距離が磁路長を妨げる大きな要因となっていた。磁路長は、一層のコイルよりは2層のコイルの方が短くできることから、多くの高周波用の記録ヘッドは2層コイルを採用している。
【0030】
従来の磁気ヘッドでは、1層目のコイルを形成した後、コイル間の絶縁膜を形成するために、フォトレジスト膜を約2μmの厚さで形成している。そのため、1層目のコイルの外周端には丸みを帯びた小さなエイペックス部が形成される。次に、その上に2層目のコイルを形成するが、その際に、エイペックス部の傾斜部では、コイルのシード層のエッチングができず、コイルがショートするため、2層目のコイルを形成することができない。そのため、2層目のコイルは平坦部に形成する必要がある。コイルの厚みが2〜3μmで、更にコイル間絶縁膜の厚みを2μmとすると、エイペックス部の傾斜が45〜55度の場合、コイルの外周端からスロートハイトの零の位置近傍まで3〜4μmの距離の2倍(上部磁極と下部磁極とのコンタクト部からコイル外周端までの距離も4〜5μm必要)の6〜8μmが必要であり、これが磁路長の縮小を妨げる要因となっていた。例えば、ライン/スペースが1.5μm/0.5μmの11巻コイルを2層で形成する場合、1層目を6巻、2層目を5巻とすると、磁路長のコイルを占める部分の長さは11μmである。ここで、上記コイル外周端のエイペックス部に6〜8μmが必要なことから、これ以上磁路長の縮小は不可能で、これが高周波特性の改善を妨げていた。
【0031】
また、各薄膜コイルはスロートハイトが零の位置に近い程、起磁力が磁極先端部(トップポール)に伝わりやすく記録特性の優れた薄膜磁気ヘッドを実現することができる。従って、薄膜コイルはスロートハイトが零の位置にできるだけ近くすることが望ましい。
【0032】
なお、磁路長を縮小するための関連技術として、特開平6−176318号公報および特開平5−120628号公報に開示されたものがある。特開平6−176318号公報には、コイル間の間隙幅を小さくして高密度で低抵抗の多層コイルを形成し、磁路長を小さくするために、第1のコイルを形成した後、この第1のコイル間に絶縁層を形成し、この絶縁層をマスクとして第1のコイル上に厚い第2のコイルを形成する技術が開示されている。しかしながら、この技術では、薄膜コイルをスロートハイトが零の近傍位置に形成することや、薄膜コイルからの起磁力を効率良く磁極に伝えることができず、また、記録ヘッドにおけるスロートハイトの正確な制御などの上述の問題点は解決することができない。一方、特開平5−120628号公報では、導体コイルを形成する部分において、ギャップ層を構成する第1の金属層を導体コイルの下側に設け、絶縁層と第2の金属層を導体コイルの上側に設けるようにし、磁路長の短縮化を図っている。しかし、この技術においても、薄膜コイルからの起磁力を効率良く磁極に伝えることができず、スロートハイトの正確な制御などの上述の問題点は解決することができない。
【0033】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、記録ヘッドにおいて、薄膜コイルからの起磁力を効率良く磁極に伝えることができ、記録特性を向上させることができる薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0034】
また、本発明の第2の目的は、記録ヘッドにおけるスロートハイトの正確な制御が可能であると共に、磁路長を縮小し、薄膜コイルからの起磁力を効率良く、磁極に伝えることができ、高周波特性および記録面密度を向上させることができる薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0035】
更に、本発明の第3の目的は、上記効果に加え、磁極先端部だけでなく、上部磁極層のサブミクロン幅の極微細加工が可能であり、更に記録ヘッドの特性を改善することができる薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明による薄膜磁気ヘッドは、磁気的に連結され、且つ記録媒体に対向する側の一部が記録ギャップ層を介して対向する第1の磁極および第2の磁極を含む少なくとも2つの磁性層と、磁束発生用の1層あるいは2層以上の薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドであって、第1の磁性層と、この第1の磁性層と分割して形成されると共に、前記記録ギャップ面との隣接面の反対側の面が、前記第1の磁性層の一部領域に磁気的に結合された第1の磁極と、無機系材料に形成されると共に、少なくとも前記第1の磁極の前記記録媒体に対向する側の反対面から前記第1の磁性層の一方の面に連続的に形成された絶縁層と、この絶縁層が形成された領域内に埋め込まれた第1薄膜コイルと、前記記録ギャップ層を介して前記第1の磁極に対向すると共に、前記記録媒体に対向する面から奥側に向けて前記第1の磁極よりも長く形成され、少なくとも前記第1薄膜コイルの一部に対向する第2の磁極と、この第2の磁極と分割して形成されると共に、前記第2の磁極の前記記録ギャップ層との隣接面の反対側の面の少なくとも一部において前記第2の磁極に磁気的に結合され、かつ前記記録媒体に対向する面側の端部が、前記記録媒体に対向する面から後退した位置になるように形成された第2の磁性層とを備え、第1の磁極は、その前記記録媒体に対向する面に沿った幅が前記第2の磁極の幅よりも広く形成されると共に、前記記録媒体に対向する面からの長さが、前記第2の磁極との対向部分において記録ヘッドのスロートハイトに等しく、かつ幅方向に拡がるに従って長くなっていることを特徴とするものである。
【0037】
この薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁極が第1の磁極よりも相対的に長く形成されると共に、第2の磁極に対して第1薄膜コイルの一部が対向しているため、第1薄膜コイルからの起磁力が第2の磁極に効率良く伝わる。また、短い方の第1の磁極の長さによりスロートハイトが決定されるので、スロートハイトを可能な限り短くすることができると共に、第1薄膜コイルを第1の磁極の端縁のスロートハイト零の近傍位置に形成することができ、記録ヘッドとしての性能が向上する。
このとき、第1の磁極では、その長さを相対的に短くしたことにより磁束が飽和する虞があるが、その幅が第2磁極よりも広く、しかも幅方向に拡がるに従って記録媒体に対向する面からの長さが次第に長くなっており、第1の磁極の第1の磁性層との接触面積が十分に確保され、第1の磁極部分での磁束の飽和を防止することができる。一方、第2の磁性層は、記録媒体に対向する面から後退した位置に形成され、記録媒体への所謂サイドライトの発生が防止されると共に、第2の磁極は第1の磁極よりも相対的に長く形成されているため、第2の磁性層と第2の磁極との接触面積は十分確保される。
【0039】
また、本発明による薄膜磁気ヘッドの製造方法は、磁気的に連結され、且つ記録媒体に対向する側の一部が記録ギャップ層を介して対向する第1の磁極および第2の磁極を含む少なくとも2つの磁性層と、磁束発生用の1層あるいは2層以上の薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、前記第1の磁性層を形成した後、前記第1の磁性層の上に前記第1の磁性層の一部領域と磁気的に結合されるように第1の磁極を形成する工程と、少なくとも前記第1の磁極の前記記録媒体に対向する側の反対面から前記第1の磁性層の一方の面にかけて無機系材料からなる絶縁層を連続的に形成する工程と、前記絶縁層が形成された凹部領域内に第1薄膜コイルを形成する工程と、少なくとも前記第1の磁極の上に記録ギャップ層を形成した後、前記第2の磁極を、前記記録媒体に対向する面から奥側に向けて前記第1薄膜コイルの少なくとも一部に対向するように第1の磁極よりも長く形成する工程と、前記第2の磁極に磁気的に結合し、かつ前記記録媒体に対向する面側の端部が、前記記録媒体に対向する面から後退した位置になるように第2の磁性層を形成する工程とを含み、前記第1の磁極を、その前記記録媒体に対向する面に沿った幅が前記第2の磁極の幅よりも広くなるように形成すると共に、前記記録媒体に対向する面からの長さが、前記第2の磁極との対向部分において記録ヘッドのスロートハイトに等しく、かつ幅方向に拡がるに従って長くなるように形成することを特徴とするものである。
【0040】
本発明による薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の磁極が第1の磁極層上に突状に形成され、第1の磁極に隣接した凹部領域に第1薄膜コイルが形成される。従って、無機材料からなる絶縁層を第1の磁極に隣接した凹部内に埋め込むことができ、これにより第1の磁極のトラック面と反対側の端縁によって正確にスロートハイトが規定される。
【0041】
また、第1の磁極に隣接した凹部内に薄膜コイルを埋め込むことにより、その分、エイペックス部の段差を従来構造に比べて低くすることができる。従って、その後の工程において、第2の磁性層をフォトリソグラフィーにより形成する際に、エイペックス部の上部と下部においてフォトレジスト膜の厚さの差が低減される。よって、第2の磁性層のサブミクロン寸法の微細化を図ることが可能になる。
【0043】
本発明による薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法では、上記構成に加えて、更に、以下の態様とすることができる。
【0044】
まず、本発明による薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、上記のように、第1の磁極の記録媒体に対向する面からの長さを記録ヘッドのスロートハイトに等しくすることが望ましい。すなわち、第1の磁極が第1の磁性層と分割され、第1の磁性層に対して突状に形成されているため、無機系材料により形成された絶縁層が第1の磁極に隣接して形成される。従って、第1の磁極の記録媒体に対向する面からの奥行き方向への長さを、記録ヘッドのスロートハイトに等しくすることにより、スロートハイトが正確に規定される。
【0045】
また、本発明による薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、第1の磁極の記録媒体に対向する側の反対面から第1の磁性層の一方の面に沿って連続的に第1の絶縁層を形成し、第1薄膜コイルの巻線間に第2の絶縁層を形成するようにしてもよい。
【0046】
更に、本発明による薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、第2の絶縁層の第1の磁性層との隣接面の反対面が、第1の磁極の記録ギャップ層との隣接面と実質的に同一面となるように平坦化するようにしてもよい。
【0049】
また、本発明による薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、更に、第3の絶縁層を、少なくとも、第2の磁極の記録媒体に対向する側の反対面から、記録ギャップ層の第の磁極との隣接面の反対側の面にかけて連続的に形成するようにしてもよい。
【0050】
更に、本発明による薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、第3の絶縁層が形成された領域内に第2薄膜コイルを配設し、この第2薄膜コイルを、第3の絶縁層と第2の磁性層との間において、第1ないし第3の絶縁層とは異なる他の絶縁層により覆うようにしてもよい。
【0051】
また、本発明による薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、第3の絶縁層および他の絶縁層を、第2の磁極の記録ギャップ層との隣接面の反対面と実質的に同一面となるように平坦化するようにしてもよい。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0053】
〔第1の実施の形態〕
図1(a),(b)ないし図6(a),(b)は、それぞれ、本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドとしての複合型薄膜磁気ヘッドの製造工程を表すものである。なお、図1ないし図6において、(a)はトラック面(ABS)に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のトラック面に平行な断面をそれぞれ示している。
【0054】
まず、図6(a),(b)を参照して本実施の形態に係る複合型薄膜磁気ヘッドの構成について説明する。この磁気ヘッドは、再生用の磁気抵抗効果読み出しヘッド部(以下,再生ヘッド部という)1Aと、記録用のインダクティブ記録ヘッド部(以下,記録ヘッド部という)1Bとを有している。
【0055】
再生ヘッド部1Aは、例えばアルティック(Al2 3 ・TiC)からなる基板11上に、例えばアルミナ(酸化アルミニウム,Al2 3 )により形成された絶縁層12、例えば珪化鉄アルミニウム(FeAlSi)により形成された下部シールド層13、例えばアルミナにより形成されたシールドギャップ層14を順次介して磁気抵抗効果膜(以下,MR膜という)15のパターンを形成したものである。また、シールドギャップ層14上には、例えばタンタル(Ta)やタングステン(W)等のMR膜に拡散しない材料により形成されたリード端子層15aも形成されており、このリード端子層15aがMR膜15に電気的に接続されている。MR膜15は、例えばパーマロイ(NiFe合金)やニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金など磁気抵抗効果を有する各種材料により形成されている。MR膜15およびリード端子層15aの上には例えばアルミナよりなるシールドギャップ層17が積層されている。つまり、MR膜15とリード端子層15aとはシールドギャップ層14,17間に埋設されている。なお、MR膜15は、特に限定するものではなく、AMR膜やGMR膜あるいは他の磁気抵抗効果膜などでもよい。
【0056】
記録ヘッド部1Bは、この再生ヘッド部1A上に、MR膜15に対する上部シールド層を兼ねる下部磁極および記録ギャップ層22を介して上部磁極を形成したものである。
【0057】
本実施の形態では、下部磁極は、シールドギャップ層17上に形成された下部磁極層(下部ポール)18と、トラック面側において下部磁極層18上に形成された下部磁極先端部(下部ポールチップ)19aとに2分割して形成されている。同様に、上部磁極も2分割されており、トラック面側において、下部磁極先端部19a上に記録ギャップ層22を間にして形成された上部磁極先端部(上部ポールチップ)23aと、この上部磁極先端部23aに接触すると共に、後述のコイルを含むエイペックス部の上面に沿って形成された、ヨーク部を兼ねる上部磁極層(上部ポール)25とにより構成されている。上部磁極層25は、エイペックス部のトラック面と反対側の位置(図6(a)において右側)において、上部接続部23bおよび下部接続部19bを介して下部磁極層18と磁気的に結合されている。
【0058】
以上の下部磁極層18、下部磁極先端部19a、下部接続部19b、上部磁極先端部23a、上部接続部23bおよび上部磁極層25は、それぞれ、例えば高飽和磁束密度材料(Hi−Bs材)、例えばNiFe(Ni:50重量%,Fe:50重量%),NiFe(Ni:80重量%,Fe:20重量%),FeN,FeZrNP,CoFeNなどにより形成されている。
【0059】
この記録ヘッド部1Bでは、上部磁極先端部23aに対向する下部磁極先端部19aは、その表面部分を一部突状に加工したトリム(Trim)構造となっている。これにより、実効書き込みトラック幅の広がり、すなわち、データの書き込み時において、下部磁極における磁束の広がりが抑制されるようになっている。
【0060】
なお、本実施の形態においては、下部磁極層18が本発明の第1の磁性層、下部磁極先端部19aが本発明の第1の磁極にそれぞれ対応し、また、上部磁極先端部23aが本発明の第2の磁極、上部磁極層25が本発明の第2の磁性層にそれぞれ対応している。
【0061】
本実施の形態では、1層目の薄膜コイル21が、下部磁極層18上の下部磁極先端部19aおよび下部接続部19bに隣接する凹部領域に形成されている。すなわち、凹部領域の内壁面(底面および側壁面)には絶縁層20aが形成され、この絶縁層20a上に薄膜コイル21が形成されている。薄膜コイル21のコイル間は絶縁層20bにより埋め込まれており、この絶縁層20bの表面と下部磁極先端部19aの表面とが同一面を構成するように平坦化されている。よって、この薄膜コイル21の分だけ、後述の薄膜コイル24を含むエイペックス部の段差が低くなっている。なお、絶縁層20aが本発明の第1の絶縁層、絶縁層20bが本発明の第2の絶縁層にそれぞれ対応している。
【0062】
平坦化された絶縁層20bおよび薄膜コイル21上には記録ギャップ層22が延在している。本実施の形態では、上部磁極先端部23aは、記録ギャップ層22上において下部磁極先端部19aよりも長く形成され、薄膜コイル21の一部に対向する位置まで延在している。上部磁極先端部23aおよび上部接続部23bに隣接する凹部領域内には絶縁層20cが形成されている。この絶縁層20c上に2層目の薄膜コイル24が形成されている。薄膜コイル24は例えばアルミナからなる絶縁層20d内に埋め込まれている。薄膜コイル21,24は上部接続部23bおよび下部接続部19bの後方位置において、コイル接続部21a,24aを介して互いに電気的に接続されている。なお、絶縁層20cが本発明の第3の絶縁層、絶縁層20dが本発明の他の絶縁層に対応している。
【0063】
絶縁層20d上にはヨーク部を兼ねる上部磁極層25が形成されている。この上部磁極層25はオーバーコート層26により覆われている。
【0064】
本実施の形態の磁気ヘッドでは、再生ヘッド部1Aにおいて、MR膜15の磁気抵抗効果を利用して磁気ディスク(図示せず)から情報の読み出しが行われると共に、記録ヘッド部1Bにおいて、薄膜コイル21,24による、上部磁極先端部23aと下部磁極先端部19aとの間の磁束の変化を利用して磁気ディスクに対して情報が書き込まれる。
【0065】
次に、複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。
【0066】
本実施の形態では、まず、図1に示したように、例えばアルティック(Al2 3 ・TiC)からなる基板11上に、例えばスパッタ法により例えばアルミナ(Al2 3 )よりなる絶縁層12を、約3〜5μm程度の厚みで形成する。次に、絶縁層12上に、フォトレジスト膜をマスクとして、めっき法にて、パーマロイ(NiFe)を約3μmの厚みで選択的に形成して、再生ヘッド用の下部シールド層13を形成する。続いて、例えばスパッタまたはCVD(Chemical Vapor Deposition )法により約4〜6μmの厚さのアルミナ膜(図示せず)を形成し、CMPによって平坦化する。
【0067】
次に、図2に示したように、下部シールド層13上に、例えばアルミナを100〜200nmの厚みでスパッタ法により堆積し、シールドギャップ層14を形成する。続いて、シールドギャップ層14上に、再生用のMR素子等を構成するMR膜15を、数十nmの厚みに形成し、高精度のフォトリソグラフィで所望の形状とする。続いて、このMR膜15に対するリード端子層15aをリフトオフ法により形成する。次いで、シールドギャップ層14、MR膜15およびリード端子層15a上に、シールドギャップ層17を形成し、MR膜15およびリード端子層15aをシールドギャップ層14,17内に埋設させる。
【0068】
続いて、シールドギャップ膜17上に、例えばパーマロイ(NiFe)よりなる上部シールドを兼ねた下部磁極層(下部ポール)18を、約1.0〜1.5μmの厚みで形成する。
【0069】
次に、図3に示したように、下部磁極層18上に、下部磁極先端部(下部ポールチップ)19aおよび下部接続部19bを約2.0〜2.5μmの厚みで形成する。ここで、下部磁極先端部19aは、そのトラック側の先端部がMR(GMR)ハイト零の位置の近辺になるように成形し、同時に、トラック面の反対側がスロートハイト零の位置となるようにする。なお、この下部磁極先端部19aおよび下部接続部19bは、前述のようにNiFe等のめっき膜により形成してもよく、FeN,FeZrNP,CoFeNなどのスパッタ膜により形成してもよい。
【0070】
続いて、全面に、例えばスパッタ法またはCVD法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚0.3〜0.6μmの絶縁層20aを形成する。次いで、フォトレジスト膜16のパターンをマスクとして、下部磁極先端部19aおよび下部接続部19bにより形成された凹部領域に、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の1層目の薄膜コイル21およびコイル接続部21aを、例えば1.0〜2.0μmの厚み、コイルピッチ1.2〜2.0μmで形成する。
【0071】
次に、図4に示したように、フォトレジスト膜16を除去した後、全面に、スパッタ法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚3.0〜4.0μmの絶縁層20bを形成した後、例えばCMP法により表面を平坦化し、下部磁極先端部19aの表面を露出させる。このとき、本実施の形態では、薄膜コイル21の表面は露出していないが、露出させるようにしてもよい。
【0072】
次に、図5に示したように、スパッタ法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚0.2〜0.3μmの記録ギャップ層22を形成する。記録ギャップ層22は、アルミナの他、窒化アルミニウム(AlN)、シリコン酸化物系、シリコン窒化物系の材料などにより形成するようにしてもよい。続いて、この記録ギャップ層22をフォトリソグラフィーによりパターニングし、上部磁極と下部磁極との接続用の開口22aを形成する。
【0073】
続いて、記録ギャップ層22上に記録ヘッドのトラック幅を決定するための上部磁極先端部(ポールチップ)23aをフォトリソグラフィーにより形成する。すなわち、記録ギャップ層22上に、例えばスパッタ法により高飽和磁束密度材料(Hi−Bs材)、例えばNiFe(Ni:50重量%,Fe:50重量%),NiFe(Ni:80重量%,Fe:20重量%),FeN,FeZrNP,CoFeNなどからなる、膜厚2.0〜3.0μmの磁極層を形成する。続いて、この磁極層を、フォトレジストマスクを用いた例えばAr(アルゴン)のイオンミリングによって選択的に除去し、上部磁極先端部23aを形成すると共に、上部磁極と下部磁極とを磁気的に接続させるための上部接続部23bを形成する。上部磁極先端部23aおよび上部接続部23bはフォトレジストマスクの代わりにアルミナ等の無機系絶縁層によるマスクを用いてエッチングするようにしてもよく、また、このようなフォトリソグラフィーによらず、その他、めっき法、スパッタ法などによって形成するようにしてもよい。
【0074】
ここで、本実施の形態では、上部磁極先端部23aを、トラック面から奥側に下部磁極先端部19aよりも長く形成し、この上部磁極先端部23aが、記録ギャップ層22を介して、下部磁極先端部19aだけでなく、薄膜コイル21の最外周端側の一部に対向するようにする。
【0075】
続いて、上部磁極先端部23aをマスクとして、その周辺の記録ギャップ層22および下部磁極先端部19aを自己整合的にエッチングする。すなわち、上部磁極先端部23aをマスクとした塩素系ガス(Cl2 ,CF4 ,BCl2 ,SF6 等)によるRIE(Reactive Ion Etching) により、記録ギャップ層22を選択的に除去した後、露出した下部磁極先端部19aを、再び、例えばArのイオンミリングによって約0.3〜0.6μm程度エッチングして、トリム構造の記録トラックを形成する。
【0076】
続いて、全面に、例えばスパッタ法またはCVD法により、膜厚約0.3〜0.6μmの例えばアルミナからなる絶縁層20cを形成する。次いで、絶縁層20c、記録ギャップ層22および絶縁層20bを選択的にエッチングし、薄膜コイル21のコイル接続部21aの表面部分を露出させる。次に、絶縁層20cの上の上部磁極先端部23aおよび上部接続部23bにより形成された凹部領域に、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の2層目の薄膜コイル24およびコイル接続部24aを例えば1.0〜2.0μmの厚み、コイルピッチ1.2〜2.0μmで形成する。このときコイル接続部21a,24aにより、上下の薄膜コイル21,24が電気的に接続される。
【0077】
次に、図6に示したように、全面に、例えばスパッタ法またはCVD法により、膜厚約3〜4μmの例えばアルミナからなる絶縁層20dを形成する。なお、この絶縁層20dや絶縁層20cは、アルミナに限らず、二酸化珪素(SiO2 )や、窒化珪素(SiN)等の他の絶縁材料により形成してもよい。続いて、例えばCMP法により、上部磁極先端部23aおよび上部接続部23bの表面が露出するように絶縁層20dおよび絶縁層20cをエッチングし、絶縁層20c,20dの表面と上部磁極先端部23aおよび上部接続部23bの各表面とが同一面を構成するように平坦化する。
【0078】
続いて、例えば上部磁極先端部23aと同じ材料を用いて、例えば電解めっき法やスパッタ法などの方法により、上部磁極層25を約2〜3μmの厚みに形成する。この上部磁極層25は、トラック面側から見て、薄膜コイル21,24よりも後方の位置において、上部接続部23bを介して、下部接続部19bと接触し、下部磁性層18と磁気的に連結される。最後に、上部磁極先端部23a、上部磁極層25および絶縁層20d上に、例えばスパッタ法によりアルミナよりなる膜厚約30μmのオーバーコート層26を形成する。その後、スライダの機械加工を行い、記録ヘッドおよび再生ヘッドのトラック面(ABS)を形成することにより、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0079】
図7は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの平面図を示している。この図は、スライダの機械加工を行う前の状態を表している。この図において、THはスロートハイトを表しており、このスロートハイトTHは、絶縁層20aの磁極部分側の端縁、すなわち下部磁極先端部19aのトラック面と反対側の端縁によって規定される。この図では、スロートハイトTHはGMRハイトと一致しているため、TH=GMRハイトとなる。また、図中、18aは下部磁性層18のうちの前述のトリム構造のためにトリミングされた領域を表している。
【0080】
以上の本実施の形態では、次のような効果を得ることができる。
【0081】
(1)まず、本実施の形態では、下部磁極を、下部磁極先端部19aと下部磁極層18とに2分割し、下部磁極先端部19aを、下部磁極層18の平坦面上に形成するようにしたので、無機材料からなる絶縁層20a,20bを下部磁極先端部19aと下部接続部19bとの間の凹部内に埋め込むことができる。従って、絶縁層20aの下部磁極先端部19a側の端縁(すなわち下部磁極先端部19aのトラック面と反対側の端縁)によってスロートハイトが規定される。よって、従来のフォトレジスト膜のように、端縁の位置変動(パターンシフト)およびプロファイル悪化が生じることがなく、スロートハイトの正確な制御が可能になる。更に、MRハイトの正確な制御や、エイペックスアングルの正確な制御も可能となる。
【0082】
(2)また、本実施の形態では、上部磁極を、上部磁極先端部23aと上部磁極層25とに2分割し、上部磁極先端部23aを、下部磁極先端部19a上の平坦面に形成するようにしたので、記録トラック幅を規制する上部磁極先端部23aをサブミクロン寸法に精度良く形成することができる。加えて、本実施の形態では、1層目の薄膜コイル21が絶縁層20bによって下部磁極先端部19aに隣接した凹部領域内に埋め込まれると共に、絶縁層20bの表面が下部磁極先端部19aの表面と同一面を形成する程度に平坦化されている。すなわち、2層目の薄膜コイル24を含むエイペックス部の段差が、1層目の薄膜コイル21の分だけ、従来構造に比べて低くなる。従って、上部磁極先端部23aに部分的に接触する上部磁極層25をフォトリソグラフィーにより形成する際に、エイペックス部の上部と下部においてフォトレジスト膜の厚さの差が低減され、その結果、上部磁極層25のサブミクロン寸法の微細化を図ることが可能になる。
【0083】
よって、本実施の形態により得られる薄膜磁気ヘッドでは、記録ヘッドによる高面密度記録が可能となり、コイルを2層,3層と積層して記録ヘッドの性能を更に向上させることができる。なお、上部磁極先端部23aおよび上部磁極層25のフォトリソグラフィーの際に、フォトレジストの代わりに無機系絶縁層をマスクとすることにより、上部磁極先端部23aおよび上部磁極層25の微細化を、より高精度に実現することが可能になる。また、上部磁極先端部23aおよび上部磁極層25をフォトリソグラフィー以外のスパッタ等により形成する場合においても、同様に、エイペックス部の段差の影響が低減されるため、上部磁極先端部23aおよび上部磁極層25の微細化を図ることができる。
【0084】
(3)更に、本実施の形態では、従来例のようにフォトレジストパターンの傾斜部が存在しないため、第1および第2層目の薄膜コイル21,24を共に平坦部に形成することができ、傾斜部によるコイル外周部端とスロートハイト零の位置までの距離が磁路長縮小の妨げとはならない。従って、磁路長を短くすることができ、記録ヘッドの高周波特性を著しく向上させることができる。ちなみに、本実施の形態では、フォトリソグラフィーの位置合わせ誤差の0.1μm〜.0.2μmで設計できるため、従来例の30〜40%以下に磁路長を縮小することが可能になる。また、薄膜コイルの巻数が同じ場合には、その分コイルの厚さを薄くすることができる。なお、図8(a),(b)は、上記実施の形態の薄膜磁気ヘッドと、従来の薄膜磁気ヘッドの磁路長を比較して表したものである。ここに、図8(a)はトラック面(ABS)に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のトラック面に平行な断面をそれぞれ示している。
【0085】
(4)また、本実施の形態では、スロートハイト零の位置の近傍に薄膜コイル21を形成することができる。しかも、記録ギャップ層22を介して上部磁極先端部23aを下部磁極先端部19aおよび薄膜コイル21の一部に対向するようにしているため、薄膜コイル21からの起磁力が効率良く上部磁極先端部23aに伝わる。これによって、薄膜磁気ヘッドの記録特性が向上する。
【0086】
(5)また、本実施の形態では、図7に示したように、各パターンを真上から見た場合、下部磁極先端部19aの幅を上部磁極先端部23aの幅よりも広くしているために、上部磁極先端部23aがハーフミクロン幅の狭トラックであっても、下部磁極先端部19aの近傍において磁束が飽和することがない。
【0087】
(6)更に、本実施の形態では、薄膜コイル21と上部シールドを兼ねた下部磁極層18との間には無機系の絶縁膜20a,20b、また、薄膜コイル21,24間には記録ギャップ膜22および絶縁層20cが設けられていため、各絶縁層の厚さを調整することにより、薄膜コイル21,24、上部シールドとの間にそれぞれ大きな絶縁耐圧を得ることができ、絶縁性を保持することができると共に薄膜コイル21,24からの磁束の漏れを低減できる。
【0088】
(7)また、本実施の形態では、上部磁極先端部23a,上部磁極層25等の磁性層は高飽和磁束密度(Hi−Bs)材により形成されているので、トラック幅が狭くなっても、薄膜コイル21,24に発生した磁気が途中で飽和することなく、有効に上部磁極先端部23aおよび下部磁極先端部19aに到達し、これによって磁気損失のない記録ヘッドを実現できる。
【0089】
(8)更に、本実施の形態では、トラック幅を決定する上部磁極先端部23aの上に形成された上部磁極層25が、トラック面に露出していないため、上部磁極層25によるサイドライトが発生することはない。
【0090】
〔第2の実施の形態〕
図9(a),(b)は本発明の第2の実施の形態に係る磁気ヘッドの構成を表すものである。なお、第1の実施の形態と同一構成部分については同一符号を付して、その説明を省略する。本実施の形態では、第1の実施の形態が、1層目の薄膜コイルの一部が上部磁極に対向する構成としたのに対して、2層目の薄膜コイルの一部が下部磁極に対向するようにしたものである。
【0091】
本実施の形態では、下部シールド層13と上部シールド層の第1の部分39aとの間に溝13aが形成され、この溝部13a内に例えばアルミナよりなる絶縁層31が例えばスパッタ法により形成されている。この絶縁層31により覆われた溝13a内にはMR膜15に接続される電極(リード)となる例えば銅(Cu)の導電層32が例えばめっき法やスパッタ法により形成されている。
【0092】
下部シールド層13、絶縁層31および導電層32の表面は、CMP法等により平坦化されている。平坦化された表面には、シールドギャップ膜34a,34bに埋め込まれたMR膜15、およびMR膜15と導電層32とを電気的に接続するための電極層33がそれぞれ形成されている。また、上部シールド層の第1の部分39aの上には、アルミナやシリコン酸化膜からなる絶縁層35が選択的に形成され、この絶縁層35の上に例えば銅からなる薄膜コイル36が例えばめっき法により形成されている。この薄膜コイル36および絶縁層35の上には、フォトレジストよりなる絶縁層37が所定のパターンで形成されている。
【0093】
絶縁層35,37はアルミナよりなる絶縁層38により覆われている。シールドギャップ膜34bおよび上部シールド層の第1の部分39a上には、第1の部分39aに磁気的に結合される上部シールド層の第2の部分(兼下部磁極)39bが形成されている。また、薄膜コイル36の後方の第1の部分39a上には磁性層39cが選択的に形成され、これら上部シールド層の第2の部分39b、絶縁層38および磁性層39cの表面はCMP法等により平坦化されている。平坦化された上部シールド層の第2の部分39bおよび絶縁層38の表面には、例えばアルミナにより記録ヘッドのスロートハイトを規定するための絶縁層40が形成されている。絶縁層40の上には2層目の薄膜コイル41が形成され、この薄膜コイル41はフォトレジストよりなる絶縁層42により覆われている。ここで、薄膜コイル41は、そのトラック面側の一部が絶縁層40を介して下部磁極を兼ねた上部シールド層の第2の部分39bに対向する位置になるように配置されている。
【0094】
下部磁極を兼ねた上部シールド層の第2の部分39b、絶縁層40および絶縁層42の上には記録ギャップ層43が形成されている。記録ギャップ層43の上には記録ヘッドのトラック幅を決定する上部磁極層44が形成されており、この上部磁極層44は薄膜コイル36,41の後方位置において磁性層39bと磁気的に結合されている。上部磁極層44は例えばアルミナからなるオーバーコート層45により覆われている。
【0095】
なお、本実施の形態においては、下部磁極を兼ねた上部シールド層の第2の部分39bが本発明の第1の磁性層および第1の磁極に対応し、また、上部磁極層44が本発明の第2の磁性層および第2の磁極にそれぞれ対応している。
【0096】
本実施の形態では、下部シールド層13と上部シールド層の第1の部分39aとの間に形成された溝13a内に、MR膜15に接続される電極の一部(導電層32)を絶縁状態で配置することにより、導電層32と、下部シールド層13および上部シールド層の第1の部分39aとの間の絶縁性能を極めて高くすることができる。加えて、本実施の形態では、薄膜コイル41のトラック面側の一部が、絶縁層40を介して下部磁極(上部シールド層の第2の部分39b)に対向している。従って、第1の実施の形態と同様に、薄膜コイル41からの起磁力が下部磁極効率良くに伝わる。これにより、本実施の形態においても、薄膜磁気ヘッドの記録特性が向上する。
【0097】
以上実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく種々変形可能である。例えば、上記実施の形態において、上部磁極先端部23aおよび上部磁極層25等は、NiFe(Ni:50重量%,Fe:50重量%),NiFe(Ni:80重量%,Fe:20重量%)の他、FeN,FeCoZr等の高飽和磁束密度材を用いる例について説明したが、これらの材料を2種類以上積層した構造としてもよい。
【0098】
また、第1の実施の形態では、上部磁極層25をトラック面から後退した位置に形成する構造(リセス構造)について説明したが、上部磁極層25の厚さを上部磁極先端部23aよりも相対的に厚くすることにより、上部磁極層25を上部磁極先端部23aと共にトラック面に露出させる構造とすることもできる。これによりリセス構造としなくても、上部磁極層25によりサイドライトが発生する不具合を解消することができる。
【0099】
また、上記実施の形態では、絶縁層20bおよび絶縁層20dをアルミナ,二酸化珪素あるいは窒化珪素により形成する例について説明したが、これらはSOG(Spin On Glass)膜を用いて形成するようにしてもよい。
【0100】
なお、上記実施の形態では、下部磁極を第1の磁性層に、上部磁極を第2の磁性層にそれぞれ対応させた構成を示したが、この対応を逆にした構成も可能である。つまり、下部磁極を第2の磁性層に、上部磁極を第1の磁性層にそれぞれ対応させた構成としてもよい。また、上記実施の形態では、再生用素子の上に記録用素子を積層した構造の薄膜磁気ヘッドについて説明したが、記録用素子の上に再生用素子を積層した構造の薄膜磁気ヘッド、更には誘導型磁気変換素子を有する記録専用の薄膜磁気ヘッドなどについても適用可能である。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法によれば、対向する2つの磁極のうちの一方の磁極に絶縁層を介して薄膜コイルの一部を対向させるようにしたので、薄膜コイルからの起磁力が対向する磁極に効率良く伝わり、記録特性が向上する。
【0102】
また、第1の磁極を第1の磁極層上に突状に形成し、第1の磁極に隣接した凹部領域に薄膜コイルを形成するようにしたので、無機材料からなる絶縁層を第1の磁極に隣接した凹部内に埋め込むことができる。従って、第1の磁極のトラック面と反対側の端縁によってスロートハイトが規定され、従来のフォトレジスト膜のように端縁の位置変動およびプロファイル悪化が生じることがなく、スロートハイトの正確な制御が可能になる。
【0103】
また、第1の磁極に隣接した凹部内に薄膜コイルを絶縁層により埋め込むことにより、その分、エイペックス部の段差を従来構造に比べて低くすることができる。従って、その後の工程において、第2の磁性層をフォトリソグラフィーにより形成する際に、エイペックス部の上部と下部においてフォトレジスト膜の厚さの差が低減され、その結果、第2の磁性層のサブミクロン寸法の微細化を図ることが可能になる。よって、記録ヘッドによる高面密度記録が可能となり、コイルを2層,3層と積層することにより、記録ヘッドの性能を更に向上させることが可能になる。
【0104】
加えて、スロートハイト零の位置から薄膜コイルを離れて形成する必要が無くなる。すなわち、薄膜コイルを第1の磁極の端縁のスロートハイト零の近傍位置に薄膜コイルを形成することができ、しかも、記録ギャップ層を介して第2の磁極を薄膜コイルの一部に対向するようにしているため、薄膜コイルからの起磁力が効率良く第2の磁極に伝わり、記録特性が向上する。また、第1の磁極の幅を第2磁極よりも広く、しかも幅方向に拡がるに従って記録媒体に対向する面からの長さが次第に長くなるようにしたので、第1の磁極の第1の磁性層との接触面積が十分に確保され、第1の磁極部分での磁束の飽和を防止することができる。更に、第2の磁性層を、記録媒体に対向する面から後退した位置に形成するようにしたので、記録媒体への所謂サイドライトの発生が防止されると共に、第2の磁極が第1の磁極よりも長く形成されているため、第2の磁性層と第2の磁極との接触面積は十分確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造工程を説明するための断面図である。
【図2】図1に続く工程を説明するための断面図である。
【図3】図2に続く工程を説明するための断面図である。
【図4】図3に続く工程を説明するための断面図である。
【図5】図4に続く工程を説明するための断面図である。
【図6】図5に続く工程を説明するための断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態によって製造される薄膜磁気ヘッドの平面図である。
【図8】第1の実施の形態の薄膜磁気ヘッドと従来の薄膜磁気ヘッドとの磁路長の差を説明するための断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を説明するための断面図である。
【図10】従来の薄膜磁気ヘッドの製造工程を説明するための断面図である。
【図11】図10に続く工程を説明するための断面図である。
【図12】図11に続く工程を説明するための断面図である。
【図13】図12に続く工程を説明するための断面図である。
【図14】図13に続く工程を説明するための断面図である。
【図15】図14に続く工程を説明するための断面図である。
【符号の説明】
11…基板、18…上部シールド兼下部磁極(下部磁極層)(第1の磁性層)、19a…下部磁極先端部(第1の磁極)、22…記録ギャップ層、23a…上部磁極先端部(第2の磁極)、20a…絶縁層(第1の絶縁層)、20b…絶縁層(第2の絶縁層)、20c…絶縁層(第3の絶縁層)、20d…絶縁層(他の絶縁層)、21,24…薄膜コイル、25…上部磁極層(第2の磁性層)

Claims (15)

  1. 磁気的に連結され、且つ記録媒体に対向する側の一部が記録ギャップ層を介して対向する第1の磁極および第2の磁極を含む少なくとも2つの磁性層と、磁束発生用の1層あるいは2層以上の薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドであって、
    第1の磁性層と、
    この第1の磁性層と分割して形成されると共に、前記記録ギャップ面との隣接面の反対側の面が、前記第1の磁性層の一部領域に磁気的に結合された第1の磁極と、
    無機系材料に形成されると共に、少なくとも前記第1の磁極の前記記録媒体に対向する側の反対面から前記第1の磁性層の一方の面に連続的に形成された絶縁層と、
    この絶縁層が形成された領域内に埋め込まれた第1薄膜コイルと、
    前記記録ギャップ層を介して前記第1の磁極に対向すると共に、前記記録媒体に対向する面から奥側に向けて前記第1の磁極よりも長く形成され、少なくとも前記第1薄膜コイルの一部に対向する第2の磁極と、
    この第2の磁極と分割して形成されると共に、前記第2の磁極の前記記録ギャップ層との隣接面の反対側の面の少なくとも一部において前記第2の磁極に磁気的に結合され、かつ前記記録媒体に対向する面側の端部が、前記記録媒体に対向する面から後退した位置になるように形成された第2の磁性層とを備え、
    前記第1の磁極は、その前記記録媒体に対向する面に沿った幅が前記第2の磁極の幅よりも広く形成されると共に、前記記録媒体に対向する面からの長さが、前記第2の磁極との対向部分において記録ヘッドのスロートハイトに等しく、かつ幅方向に拡がるに従って長くなっている
    ことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 前記絶縁層は、前記第1の磁極の記録媒体に対向する側の反対面から前記第1の磁性層の一方の面に沿って連続的に形成された第1の絶縁層と、少なくとも前記第1薄膜コイルの巻線間に形成された第2の絶縁層とを含む
    ことを特徴とする請求項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 前記絶縁層の前記第1の磁性層との隣接面の反対面が、前記第1の磁極の前記記録ギャップ層との隣接面と実質的に同一面となるように形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 更に、第3の絶縁層が、少なくとも、前記第2の磁極の前記記録媒体に対向する側の反対面から、前記記録ギャップ層の前記第1の磁極との隣接面の反対側の面にかけて連続的に形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 前記第3の絶縁層が形成された領域内に前記第1薄膜コイルとは異なる第2薄膜コイルが配設され、前記第2薄膜コイルは、前記第3の絶縁層と前記第2の磁性層との間において、前記第1ないし第3の絶縁層とは異なる他の絶縁層に覆われている ことを特徴とする請求項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 前記第3の絶縁層および他の絶縁層が、前記第2の磁極の前記記録ギャップ層との隣接面の反対面と実質的に同一面となるように形成されている
    ことを特徴とする請求項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 前記第1薄膜コイルの巻き数が前記第2薄膜コイルの巻き数よりも多い
    ことを特徴とする請求項5または7に記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 磁気的に連結され、且つ記録媒体に対向する側の一部が記録ギャップ層を介して対向する第1の磁極および第2の磁極を含む少なくとも2つの磁性層と、磁束発生用の1層あるいは2層以上の薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、
    前記第1の磁性層を形成した後、前記第1の磁性層の上に前記第1の磁性層の一部領域と磁気的に結合されるように第1の磁極を形成する工程と、
    少なくとも前記第1の磁極の前記記録媒体に対向する側の反対面から前記第1の磁性層の一方の面にかけて無機系材料からなる絶縁層を連続的に形成する工程と、
    前記絶縁層が形成された凹部領域内に第1薄膜コイルを形成する工程と、
    少なくとも前記第1の磁極の上に記録ギャップ層を形成した後、前記第2の磁極を、前記記録媒体に対向する面から奥側に向けて前記第1薄膜コイルの少なくとも一部に対向するように第1の磁極よりも長く形成する工程と、
    前記第2の磁極に磁気的に結合し、かつ前記記録媒体に対向する面側の端部が、前記記録媒体に対向する面から後退した位置になるように第2の磁性層を形成する工程とを含み、
    前記第1の磁極を、その前記記録媒体に対向する面に沿った幅が前記第2の磁極の幅よりも広くなるように形成すると共に、前記記録媒体に対向する面からの長さが、前記第2の磁極との対向部分において記録ヘッドのスロートハイトに等しく、かつ幅方向に拡がるに従って長くなるように形成する
    ことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  9. 前記第1の磁極の前記記録媒体に対向する面からの長さを記録ヘッドのスロートハイトに等しくする
    ことを特徴とする請求項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  10. 前記第1の磁極の前記記録媒体に対向する側の反対面から前記第1の磁性層の一方の面に沿って連続的に第1の絶縁層を形成する工程と、
    少なくとも前記第1薄膜コイルの巻線間に第2の絶縁層を形成する工程と
    を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  11. 前記第2の絶縁層の前記第1の磁性層との隣接面の反対面が、前記第1の磁極の前記記録ギャップ層との隣接面と実質的に同一面となるように平坦化する工程を
    含むことを特徴とする請求項10に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  12. 更に、第3の絶縁層を、少なくとも、前記第2の磁極の前記記録媒体に対向する側の反対面から、前記記録ギャップ層の前記第の磁極との隣接面の反対側の面にかけて連続的に形成する
    ことを特徴とする請求項10または11に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  13. 前記第3の絶縁層が形成された領域内に前記第1薄膜コイルとは異なる第2薄膜コイルを配設し、前記第2薄膜コイルを、前記第3の絶縁層と前記第2の磁性層との間において、前記第1ないし第3の絶縁層とは異なる他の絶縁層により覆う
    ことを特徴とする請求項12に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  14. 前記第3の絶縁層および他の絶縁層を、前記第2の磁極の前記記録ギャップ層との隣接面の反対面と実質的に同一面となるように平坦化する
    ことを特徴とする請求項13に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  15. 前記第1薄膜コイルの巻き数を前記第2薄膜コイルの巻き数よりも多くする
    ことを特徴とする請求項13または14に記載の薄膜磁気ヘッド。
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