JP3523092B2 - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、書き込み用の誘導
型磁気変換素子および再生用の磁気抵抗効果素子を有す
る複合型の薄膜磁気ヘッドおよび薄膜磁気ヘッドの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハードディスク装置の面記録密度
の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められ
ている。薄膜磁気ヘッドとしては、書き込み用の誘導型
磁気変換素子を有する記録ヘッドと読み出し用の磁気抵
抗(以下、MR(Magneto Resistive )と記す。)素子
を有する再生ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気
ヘッドが広く用いられている。MR素子としては、異方
性磁気抵抗(以下、AMR(Anisotropic Magneto Resi
stive )と記す。)効果を有する膜を用いたAMR素子
と、巨大磁気抵抗(以下、GMR(Giant Magneto Resi
stive )と記す。)効果を有する膜を用いたGMR素子
とがあり、AMR素子を用いた再生ヘッドはAMRヘッ
ドあるいは単にMRヘッドと呼ばれ、GMR素子を用い
た再生ヘッドはGMRヘッドと呼ばれる。AMRヘッド
は、面記録密度が1ギガビット/(インチ)2 を超える
再生ヘッドとして利用され、GMRヘッドは、面記録密
度が3ギガビット/(インチ)2 を超える再生ヘッドと
して利用されている。
【0003】一般的に、AMR膜は、MR効果を示す磁
性体を膜としたもので、単層構造になっている。これに
対して、多くのGMR膜は、複数の膜を組み合わせた多
層構造になっている。GMR効果が発生するメカニズム
にはいくつかの種類があり、そのメカニズムによってG
MR膜の層構造が変わる。GMR膜としては、超格子G
MR膜、スピンバルブ膜、グラニュラ膜等が提案されて
いるが、比較的構成が単純で、弱い磁界でも大きな抵抗
変化を示し、量産を前提とするGMR膜としては、スピ
ンバルブ膜が有力である。
【0004】再生ヘッドの性能を決定する要因として
は、パターン幅、特に、MRハイトがある。MRハイト
は、MR素子のエアベアリング面側の端部から反対側の
端部までの長さ(高さ)をいう。このMRハイトは、本
来、エアベアリング面の加工の際の研磨量によって制御
される。なお、ここにいうエアベアリング面(ABS)
は、薄膜磁気ヘッドの磁気記録媒体に対向する面であ
り、トラック面ともいう。
【0005】一方、再生ヘッドの性能向上に伴って、記
録ヘッドの性能向上も求められている。記録ヘッドの性
能のうち、記録密度を高めるには、磁気記録媒体におけ
るトラック密度を上げる必要がある。そのためには、記
録ギャップ(write gap)を挟んでその上下に形成された
下部磁極(ボトムポール)および上部磁極(トップポー
ル)のエアベアリング面での幅を数ミクロンからサブミ
クロンオーダーまで狭くした狭トラック構造の記録ヘッ
ドを実現する必要があり、そのため半導体加工技術が利
用されている。
【0006】記録ヘッドの性能を決定するその他の要因
としては、スロートハイト(ThroatHeight:TH) があ
る。スロートハイトは、エアベリング面から、薄膜コイ
ルを電気的に分離する絶縁層のエッジまでの部分(磁極
部分)の長さ(高さ)をいう。記録ヘッドの性能向上の
ためには、スロートハイトの縮小化が望まれている。こ
のスロートハイトも、エアベアリング面の加工の際の研
磨量によって制御される。
【0007】薄膜磁気ヘッドの性能の向上のためには、
上述のような記録ヘッドと再生ヘッドをバランスよく形
成することが重要である。
【0008】ここで、図9(a),(b)乃至図14
(a),(b)を参照して、従来の薄膜磁気ヘッドの一
例として複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例を説明
する。
【0009】まず、図9に示したように、例えばアルテ
ィック(Al2 3 ・TiC)よりなる基板101上
に、例えばアルミナ(酸化アルミニウム,Al2 3
よりなる絶縁層102を、約5〜10μm程度の厚みで
形成する。続いて、絶縁層102上に例えばパーマロイ
(NiFe)からなる再生ヘッド用の下部シールド層1
03を形成する。
【0010】次に、図10に示したように、下部シール
ド層103上に、例えばアルミナを100〜200nm
の厚みで堆積し、シールドギャップ膜104を形成す
る。次に、シールドギャップ膜104上に、再生用のM
R素子を構成するためのMR膜105を数十nmの厚み
に形成し、高精度のフォトリソグラフィで所望の形状と
する。続いて、このMR膜105に対するリード端子層
106をリフトオフ法により形成する。次いで、シール
ドギャップ膜104、MR膜105およびリード端子層
106上に、シールドギャップ膜107を形成し、MR
膜105およびリード端子層106をシールドギャップ
膜104,107内に埋設する。続いて、シールドギャ
ップ膜107上に、再生ヘッドと記録ヘッドの双方に用
いる磁気材料、例えばパーマロイ(NiFe)からなる
膜厚3μmの上部シールド兼下部磁極(以下,下部磁極
と記す。)108を形成する。
【0011】次に、図11に示したように、下部磁極1
08上に、絶縁層例えばアルミナ膜よりなる膜厚200
nmの記録ギャップ層109を形成する。更に、この記
録ギャップ層109をフォトリソグラフィによりパター
ニングし、上部磁極と下部磁極との接続用の開口109
aを形成する。続いて、めっき法によりパーマロイ(N
iFe)や窒化鉄(FeN)からなる磁気材料により磁
極先端部(ポールチップ)110を形成すると共に、上
部磁極と下部磁極との接続部パターン110aを形成す
る。この接続部パターン110aにより下部磁極108
と後述の上部磁極層116とが接続され、後述のCMP
(Chemical and Mechanical Polishing: 化学的機械研
磨)工程後の開口(スルーホール)の形成が容易にな
る。
【0012】次に、図12に示したように、磁極先端部
110をマスクとしてイオンミリングによって記録ギャ
ップ層109と下部磁極108とを約0.3〜0.5μ
m程度エッチングする。下部磁極108までエッチング
してトリム構造とすることにより、実効書き込みトラッ
ク幅の広がりが防止される(すなわち、データの書き込
み時において、下部磁極における磁束の広がりが抑制さ
れる)。続いて、全面に、膜厚約3μmの例えばアルミ
ナからなる絶縁層111を形成した後、全面をCMPに
より平坦化する。
【0013】次に、図13に示したように、絶縁層11
1上に、例えばめっき法により、例えば銅(Cu)より
なる誘導型の記録ヘッド用の第1層目の薄膜コイル11
2を選択的に形成し、更に、絶縁層111および薄膜コ
イル112上に、フォトレジスト膜113を高精度のフ
ォトリソグラフィで所定のパターンに形成する。続い
て、フォトレジスト膜113の平坦化および薄膜コイル
112間の絶縁化のために所定の温度で熱処理する。更
に、同様に、フォトレジスト膜113上に、第2層目の
薄膜コイル114およびフォトレジスト膜115を形成
し、フォトレジスト膜115の平坦化および薄膜コイル
114間の絶縁化のために所定の温度で熱処理する。
【0014】次に、図14に示したように、磁極先端部
110、フォトレジスト膜113,115上に、記録ヘ
ッド用の磁気材料、例えばパーマロイからなる上部ヨー
ク兼上部磁極層(以下、上部磁極層と記す。)116を
形成する。この上部磁極層116は、薄膜コイル11
2,114よりも後方の位置において、下部磁極108
と接触し、磁気的に連結される。続いて、上部磁極層1
16上に、例えばアルミナよりなるオーバーコート層1
17を形成する。最後に、スライダの機械加工を行っ
て、記録ヘッドおよび再生ヘッドのトラック面(エアベ
アリング面)118を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成
する。
【0015】図14において、THはスロートハイトを
表し、MR−HはMRハイトをそれぞれ表している。ま
た、P2Wはトラック(磁極)幅を表している。
【0016】薄膜磁気ヘッドの性能を決定する要因とし
て、スロートハイトTHやMRハイトMR−H等の他
に、図14においてθで示したようなエイペックスアン
グル(Apex Angle)がある。このエイペックスアングル
は、フォトレジスト膜113,115のトラック面側の
側面の角部を結ぶ直線と上部磁極層116の上面とのな
す角度をいう。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】薄膜磁気ヘッドの性能
を向上させるには、図14に示したようなスロートハイ
トTH、MRハイトMR−H、エイペックスアングルθ
およびトラック幅P2Wを正確に形成することが重要で
ある。
【0018】特に、近年は、高面密度記録を可能とする
ため、すなわち、狭トラック構造の記録ヘッドを形成す
るために、トラック幅P2Wには、1.0μm以下のサ
ブミクロン寸法が要求されている。そのために、半導体
加工技術を利用して上部磁極をサブミクロンに加工する
技術が必要となる。また、狭トラック構造となるに伴っ
て、磁極には、より高い飽和磁束密度を持った磁性材料
の使用が望まれている。
【0019】ここで、問題となるのは、フォトレジスト
膜(例えば、図14のフォトレジスト膜113,11
5)で覆われて山状に盛り上がったコイル部分(エイペ
ックス部)の上に形成される上部磁極層(トップポー
ル)116を微細に形成することが困難であることであ
る。
【0020】上部磁極を形成する方法としては、例えば
特開平7−262519号公報に示されるように、フレ
ームめっき法が用いられる。フレームめっき法を用いて
上部磁極を形成する場合は、まず、エイペックス部の上
に全体的に、例えばパーマロイよりなる薄い電極膜を形
成する。次に、その上にフォトレジストを塗布し、フォ
トリソグラフィによりパターニングして、めっきのため
のフレーム(外枠)を形成する。そして、先に形成した
電極膜をシード層として、めっき法によって上部磁極を
形成する。
【0021】ところで、上述のエイペックス部では、例
えば7〜10μm以上の高低差がある。このエイペック
ス部上に形成されるフォトレジストの膜厚が最低3μm
以上必要であるとすると、流動性のあるフォトレジスト
は低い方に集まることから、エイペックス部の下方で
は、例えば8〜10μm以上の厚みのフォトレジスト膜
が形成されることとなる。前述のように狭トラックを形
成するためには、フォトレジスト膜によってサブミクロ
ン幅のパターンを形成する必要がある。従って、8〜1
0μm以上の厚みのあるフォトレジスト膜によって、サ
ブミクロン幅の微細なパターンを形成する必要が生じる
が、これは極めて困難であった。
【0022】しかも、フォトリソグラフィの露光時に、
露光用の光が、例えばパーマロイよりなる電極膜で反射
し、この反射光によってもフォトレジストが感光して、
フォトレジストパターンのくずれ等が生じる。その結
果、上部磁極の側壁が丸みを帯びた形状になる等、上部
磁極を所望の形状に形成できなくなる。このように、従
来は、トラックP2Wを正確に制御して、狭トラック構
造とするための上部磁極を精度よく形成することが極め
て困難であった。
【0023】このようなことから、上述の従来例の図1
1〜図14の工程でも示したように、記録ヘッドの狭ト
ラックの形成に有効な磁極先端部110で1.0μm以
下のトラック幅を形成した後、この磁極先端部110と
ヨーク部を兼ねる上部磁極層116とを接続させる方
法、すなわち、通常の上部磁極を、トラック幅を決定す
る磁極先端部110と、磁束を誘導するためのヨーク部
となる上部磁極層116との2つに分割する方法が採用
されている(特開昭62−245509,特開昭60−
10409号公報参照)。このように上部磁極を2分割
することにより、一方の磁極先端部110を記録ギャッ
プ層109の平坦面上においてサブミクロン幅に微細に
加工することが可能になる。
【0024】しかしながら、この薄膜磁気ヘッドにおい
ては、依然、以下のような問題があった。
【0025】(1)まず、従来の磁気ヘッドでは、磁極
先端部110のトラック面118から遠い側の端部にお
いてスロートハイトを決定している。しかし、この磁極
先端部110の幅が狭くなると、フォトリソグラフィー
においてパターンエッジが丸みを帯びて形成される。そ
のため、高精度な寸法を要求されるスロートハイトが不
均一となり、トラック面の加工,研磨工程において、磁
気抵抗効果素子のトラック幅との間のバランスに欠ける
事態が発生していた。例えば、トラック幅として、0.
5〜0.6μm必要なときに、磁極先端部110のトラ
ック面118から遠い側の端部がスロートハイト零の位
置からトラック面側にずれ、大きく書き込みギャップが
開き、記録データの書き込みができなくなるという問題
がしばしば発生していた。
【0026】(2)次に、前述のように、従来の磁気ヘ
ッドでは、2分割された上部磁極のうちの一方の磁極先
端部110により記録ヘッドのトラック幅が規定される
ため、他方の上部磁極層116は磁極先端部110程に
は微細に加工する必要はないといえる。しかしながら、
上部磁極層116は磁極先端部110の上部にフォトリ
ソグラフィーの位置合わせにより位置が決定されるた
め、トラック面118(図14)側から見た場合、双方
が片側に大きく位置ずれすると、上部磁極層116側で
書き込みを行う、所謂サイドライトが発生する。そのた
め実効トラック幅が広くなり、ハードディスク板におい
て、本来のデータ記録領域以外の領域においても書き込
みが行われる、という不具合が発生する。
【0027】また、記録ヘッドのトラック幅が極微細、
特に0.5μm以下になってくると、上部磁極層116
においてもサブミクロン幅の加工精度が要求される。す
なわち、トラック面118(図14)側から見た場合、
磁極先端部110と上部磁極層116との横方向の寸法
差が大き過ぎると、上記と同様に、サイドライトが発生
し、本来のデータ記録領域以外の領域においても書き込
みが行われる、という不具合が発生する。
【0028】このようなことから、磁極先端部110だ
けでなく、上部磁極層116もサブミクロン幅に加工す
る必要があるが、上部磁極層116の下のエイペックス
部には、依然、前述のような大きな高低差があるため、
上部磁極層116の微細加工が困難であった。
【0029】(3)更に、従来の磁気ヘッドでは磁路長
(Yoke Length)を短くすることが困難であるという問題
があった。すなわち、コイルピッチが狭い程、磁路長の
短いヘッドを実現することができ、特に高周波特性に優
れた記録ヘッドを形成することができるが、コイルピッ
チを限りなく小さくしていった場合、スロートハイト零
の位置から、コイルの外周端の距離が磁路長を妨げる大
きな要因となっていた。磁路長は、一層のコイルよりは
2層のコイルの方が短くできることから、多くの高周波
用の記録ヘッドは2層コイルを採用している。
【0030】従来の磁気ヘッドでは、1層目のコイルを
形成した後、コイル間の絶縁膜を形成するために、フォ
トレジスト膜を約2μmの厚さで形成している。そのた
め、1層目のコイルの外周端には丸みを帯びた小さなエ
イペックス部が形成される。次に、その上に2層目のコ
イルを形成するが、その際に、エイペックス部の傾斜部
では、コイルのシード層のエッチングができず、コイル
がショートするため、2層目のコイルを形成することが
できない。そのため、2層目のコイルは平坦部に形成す
る必要がある。コイルの厚みが2〜3μmで、更にコイ
ル間絶縁膜の厚みを2μmとすると、エイペックス部の
傾斜が45〜55度の場合、コイルの外周端からスロー
トハイトの零の位置近傍まで4〜5μmの距離の2倍
(上部磁極と下部磁極とのコンタクト部からコイル外周
端までの距離も4〜5μm必要)の8〜10μmが必要
であり、これが磁路長の縮小を妨げる要因となってい
た。例えば、ライン/スペースが1.0μm/1.0μ
mの11巻コイルを2層で形成する場合、1層目を6
巻、2層目を5巻とすると、磁路長のコイルを占める部
分の長さは11μmである。ここで、上記コイル外周端
のエイペックス部に8〜10μmが必要なことから、こ
れ以上磁路長の縮小は不可能で、これが高周波特性の改
善を妨げていた。
【0031】薄膜磁気ヘッドの磁路長を縮小できると、
コイル長を短くでき、それに伴ってコイルの膜厚を薄
く、例えば従来の2〜3μmから1〜1.5μm程度に
薄膜化することが可能になる。これにより、詳細は後述
するが、リード・ライト・ディスタンス(RWD)を小
さくすることができ、記録,再生容量を大きくすること
が可能になる。しかしながら、薄膜コイルの厚みが1.
5μm程度に薄くなると、コイルの電気的な抵抗値が大
きくなるという問題があった。
【0032】なお、本出願に関連する技術として、特開
平2−132616号公報および特開平2−24781
1号公報に開示されたものがある。特開平2−1326
16号公報には、コイルの抵抗値を低下させるために、
上部磁性膜に対向する上層コイル(第2コイル導体)の
断面積を、下部磁性膜に対向する下層コイル(第1コイ
ル導体)の断面積よりも実質的に小さくする技術が開示
されている。しかしながら、この技術では、上記RWD
を小さくし、記録,再生容量を大きくすることができ
ず、また、記録ヘッドにおけるスロートハイトの正確な
制御などの上述の問題点は解決することができない。一
方、特開平2−247811号公報には、上層コイルの
幅を下層コイルの幅より大きくすることにより、コイル
の抵抗値を低下させる技術が開示されている。この技術
では、RWDは小さくすることができるものの、磁路長
の縮小は困難であり、しかも記録ヘッドにおけるスロー
トハイトの正確な制御などの上述の問題点は解決するこ
とができない。
【0033】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その第1の目的は、記録ヘッドにおけるスロート
ハイトの正確な制御が可能であると共に、磁路長を縮小
し、薄膜コイルの電気的な抵抗値を高くすることなく、
膜厚を薄くすることができ、高周波特性および記録面密
度を向上させることができる薄膜磁気ヘッドおよびその
製造方法を提供することにある。
【0034】また、本発明の第2の目的は、上記効果に
加え、磁極先端部だけでなく、上部磁極層のサブミクロ
ン幅の極微細加工が可能であり、記録ヘッドの特性が改
善された薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供する
ことにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】本発明による薄膜磁気ヘ
ッドは、磁気抵抗効果素子と、磁気的に連結され、且つ
記録媒体に対向する側の一部が記録ギャップ層を介して
対向する第1の磁極および第2の磁極を含む少なくとも
2つの磁性層と、2層以上に積層された磁束発生用の薄
膜コイルとを有し、2つの磁性層のうちの前記磁気抵抗
効果素子に近い側に形成された第1の磁性層と、この第
1の磁性層と分割して形成されると共に、記録ギャップ
面との隣接面の反対側の面が、第1の磁性層の一部領域
に磁気的に結合された第1の磁極と、無機系材料に形成
されると共に、少なくとも第1の磁極の記録媒体に対向
する側の反対面から第1の磁性層の一方の面に連続的に
形成された絶縁層と、少なくともその膜厚方向の一部が
絶縁層が形成されている領域内に位置するように形成さ
れた第1の薄膜コイルと、記録ギャップ層を介して第1
の磁極に対向する第2の磁極を含む第2の磁性層と、第
1の薄膜コイルよりも磁気抵抗効果素子から離れた位置
に形成され、薄膜コイルに電気的に接続されると共に第
1の薄膜コイルよりも膜厚が厚い1層または2以上の層
からなる第2の薄膜コイルとを備えた構成を有してい
る。
【0036】また、本発明による薄膜磁気ヘッドの製造
方法は、磁気抵抗効果素子を形成した後、第1の磁性層
を形成し、第1の磁性層の上に第1の磁性層の一部領域
と磁気的に結合されるように第1の磁極を形成する工程
と、少なくとも第1の磁極の記録媒体に対向する側の反
対面から第1の磁性層の一方の面にかけて無機系材料か
らなる絶縁層を連続的に形成する工程と、絶縁層が形成
された凹部領域内に第1の薄膜コイルを形成する工程
と、第1の薄膜コイルを形成した後、薄膜コイルに電気
的に接続されると共に、第1の薄膜コイルよりも膜厚が
厚い1層または2以上の層からなる第2の薄膜コイルを
形成する工程と、少なくとも第1の磁極の上に記録ギャ
ップ層を形成した後、第2の薄膜コイルを覆うように第
2の磁極を含む第2の磁性層を形成する工程とを含むも
のである。
【0037】本発明による薄膜磁気ヘッドまたはその製
造方法では、第1の磁極が第1の磁極層上に突状に形成
され、第1の磁極に隣接した凹部領域に第1の薄膜コイ
ルが形成されると共に、第2の薄膜コイルが第1の薄膜
コイルよりも厚く形成される。従って、無機材料からな
る絶縁層を第1の磁極に隣接した凹部内に埋め込むこと
ができ、これにより第1の磁極のトラック面と反対側の
端縁によって正確にスロートハイトが規定される。
【0038】また、第1の磁極に隣接した凹部内に薄膜
コイルを埋め込むことにより、その分、エイペックス部
の段差を従来構造に比べて低くすることができ、その後
の工程において、第2の磁性層をフォトリソグラフィー
により形成する際に、エイペックス部の上部と下部にお
いてフォトレジスト膜の厚さの差が低減され、その結
果、第2の磁性層のサブミクロン寸法の微細化を図るこ
とが可能になる。
【0039】加えて、第2の薄膜コイルが第1の薄膜コ
イルよりも厚いので、そのコイル抵抗が小さくなり、第
1の薄膜コイルを可能な限り薄くすることができる。従
って、RWDを小さくし、スキュー角度を大きくするこ
とにより、記録,再生容量を大きくすることが可能にな
る。
【0040】本発明による薄膜磁気ヘッドおよびその製
造方法では、上記構成に加えて、更に、以下の態様とす
ることができる。
【0041】まず、本発明による薄膜磁気ヘッドまたは
その製造方法では、第2の磁極を第2の磁性層と分割
し、第1の磁極の上に形成された記録ギャップ層の上に
第2の磁極を形成した後、第2の磁極に磁気的に結合さ
れるように第2の磁性層を形成するようにしてもよい。
【0042】また、本発明による薄膜磁気ヘッドまたは
その製造方法では、第2の磁極の膜厚を第1の磁極の膜
厚よりも厚くするようにしてもよい。
【0043】更に、本発明による薄膜磁気ヘッドまたは
その製造方法では、第1の磁極の記録媒体に対向する面
からの長さを記録ヘッドのスロートハイトに等しくする
ようにしてもよい。すなわち、本発明による薄膜磁気ヘ
ッドまたはその製造方法では、第1の磁極が第1の磁性
層と分割され、第1の磁性層に対して突状に形成されて
いるため、無機系材料により形成された絶縁層が第1の
磁極に隣接して形成される。従って、第1の磁極の記録
媒体に対向する面からの奥行き方向への長さを、記録ヘ
ッドのスロートハイトに等しくすることにより、スロー
トハイトが正確に規定される。
【0044】また、本発明による薄膜磁気ヘッドまたは
その製造方法では、第1の磁極の記録媒体に対向する側
の反対面から第1の磁性層の一方の面に沿って連続的に
第1の絶縁層を形成し、少なくとも第1の薄膜コイルの
巻線間に第2の絶縁層を形成するようにしてもよい。
【0045】更に、本発明による薄膜磁気ヘッドまたは
その製造方法では、絶縁層の第1の磁性層との隣接面の
反対面が、第1の磁極の記録ギャップ層との隣接面と
質的に同一面となるように平坦化するようにしてもよ
い。
【0046】また、本発明による薄膜磁気ヘッドまたは
その製造方法では、第1の磁極の記録媒体に対向する面
に沿った幅を第2の磁極よりも広く形成するようにして
もよい。
【0047】更に、本発明による薄膜磁気ヘッドまたは
その製造方法では、第2の磁性層の記録媒体に対向する
面側の端部を、記録媒体に対向する面から後退した位置
に形成するようにしてもよい。
【0048】また、本発明による薄膜磁気ヘッドまたは
その製造方法では、更に、第3の絶縁層を、少なくと
も、第2の磁極の記録媒体に対向する側の反対面から、
記録ギャップ層の第2の磁極との隣接面の反対側の面に
かけて連続的に形成するようにしてもよい。
【0049】更に、本発明による薄膜磁気ヘッドまたは
その製造方法では、第2の薄膜コイルを、第3の絶縁層
と第2の磁性層との間において、第1ないし第3の絶縁
層とは異なる他の絶縁層により覆うようにしてもよい。
【0050】また、本発明による薄膜磁気ヘッドまたは
その製造方法では、第3の絶縁層および他の絶縁層を、
第2の磁極の記録ギャップ層との隣接面の反対面と実質
的に同一面となるように平坦化するようにしてもよい。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0052】〔第1の実施の形態〕図1(a),(b)
ないし図6(a),(b)は、それぞれ、本発明の第1
の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドとしての複合型薄膜
磁気ヘッドの製造工程を表すものである。なお、図1な
いし図6において、(a)はトラック面(ABS)に垂
直な断面を示し、(b)は磁極部分のトラック面に平行
な断面をそれぞれ示している。
【0053】まず、図6(a),(b)を参照して本実
施の形態に係る複合型薄膜磁気ヘッドの構成について説
明する。この磁気ヘッドは、再生用の磁気抵抗効果読み
出しヘッド部(以下,再生ヘッド部という)1Aと、記
録用のインダクティブ記録ヘッド部(以下,記録ヘッド
部という)1Bとを有している。
【0054】再生ヘッド部1Aは、例えばアルティック
(Al2 3 ・TiC)からなる基板11上に、例えば
アルミナ(酸化アルミニウム,Al2 3 )により形成
された絶縁層12、例えば珪化鉄アルミニウム(FeA
lSi)により形成された下部シールド層13、例えば
アルミナにより形成されたシールドギャップ層14を順
次介して磁気抵抗効果膜(以下,MR膜という)15の
パターンを形成したものである。また、シールドギャッ
プ層14上には、例えばタンタル(Ta)やタングステ
ン(W)等のMR膜に拡散しない材料により形成された
リード端子層15aも形成されており、このリード端子
層15aがMR膜15に電気的に接続されている。MR
膜15は、例えばパーマロイ(NiFe合金)やニッケ
ル(Ni)−コバルト(Co)合金など磁気抵抗効果を
有する各種材料により形成されている。MR膜15およ
びリード端子層15aの上には例えばアルミナよりなる
シールドギャップ層17が積層されている。つまり、M
R膜15とリード端子層15aとはシールドギャップ層
14,17間に埋設されている。なお、MR膜15は、
特に限定するものではなく、AMR膜やGMR膜あるい
は他の磁気抵抗効果膜などでもよい。
【0055】記録ヘッド部1Bは、この再生ヘッド部1
A上に、MR膜15に対する上部シールド層を兼ねる下
部磁極および記録ギャップ層22を介して上部磁極を形
成したものである。
【0056】本実施の形態では、下部磁極は、シールド
ギャップ層17上に形成された下部磁極層(下部ポー
ル)18と、トラック面側において下部磁極層18上に
形成された下部磁極先端部(下部ポールチップ)19a
とに2分割して形成されている。同様に、上部磁極も2
分割されており、トラック面側において、下部磁極先端
部19a上に記録ギャップ層22を間にして形成された
上部磁極先端部(上部ポールチップ)23aと、この上
部磁極先端部23aに接触すると共に、後述のコイルを
含むエイペックス部の上面に沿って形成された、ヨーク
部を兼ねる上部磁極層(上部ポール)25とにより構成
されている。上部磁極層25は、エイペックス部のトラ
ック面と反対側の位置(図6(a)において右側)にお
いて、上部接続部23bおよび下部接続部19bを介し
て下部磁極層18と磁気的に結合されている。
【0057】以上の下部磁極層18、下部磁極先端部1
9a、下部接続部19b、上部磁極先端部23a、上部
接続部23bおよび上部磁極層25は、それぞれ、例え
ば高飽和磁束密度材料(Hi−Bs材)、例えばNiF
e(Ni:50重量%,Fe:50重量%),NiFe
(Ni:80重量%,Fe:20重量%),FeN,F
eZrNP,CoFeNなどにより形成されている。
【0058】この記録ヘッド部1Bでは、上部磁極先端
部23aに対向する下部磁極先端部19aは、その表面
部分を一部突状に加工したトリム(Trim)構造となって
いる。これにより、実効書き込みトラック幅の広がり、
すなわち、データの書き込み時において、下部磁極にお
ける磁束の広がりが抑制されるようになっている。
【0059】なお、本実施の形態においては、下部磁極
層18が本発明の第1の磁性層、下部磁極先端部19a
が本発明の第1の磁極にそれぞれ対応し、また、上部磁
極先端部23aが本発明の第2の磁極、上部磁極層25
が本発明の第2の磁性層にそれぞれ対応している。
【0060】本実施の形態では、1層目の薄膜コイル2
1は、下部磁極層18上の下部磁極先端部19aおよび
下部接続部19bに隣接する凹部領域に形成されてい
る。すなわち、凹部領域の内壁面(底面および側壁面)
には絶縁層20aが形成され、この絶縁層20a上に薄
膜コイル21が形成されている。薄膜コイル21のコイ
ル間は絶縁層20bにより埋め込まれており、この絶縁
層20bの表面と下部磁極先端部19aの表面とが同一
面を構成するように平坦化されている。よって、この薄
膜コイル21の分だけ、後述の薄膜コイル24を含むエ
イペックス部の段差が低くなっている。なお、絶縁層2
0aが本発明の第1の絶縁層、絶縁層20bが本発明の
第2の絶縁層にそれぞれ対応している。
【0061】平坦化された絶縁層20bおよび薄膜コイ
ル21上には記録ギャップ層22が延在している。この
記録ギャップ層22上の上部磁極先端部23aおよび上
部接続部23bに隣接する凹部領域内には絶縁層20c
が形成されている。この絶縁層20c上に2層目の薄膜
コイル24が形成されている。この薄膜コイル24は例
えばアルミナからなる絶縁層20d内に埋め込まれてい
る。本実施の形態では、薄膜コイル24の膜厚は、薄膜
コイル21よりも厚くなっている。例えば、薄膜コイル
21の膜厚が1.0〜2.0μmの場合には、薄膜コイ
ル24の膜厚は2.0〜3.0μmとなっている。薄膜
コイル21,24は上部接続部23bおよび下部接続部
19bの後方位置において、コイル接続部21a,24
aを介して互いに電気的に接続されている。なお、絶縁
層20cが本発明の第3の絶縁層、絶縁層20dが本発
明の他の絶縁層に対応している。
【0062】絶縁層20d上にはヨーク部を兼ねる上部
磁極層25が形成されている。この上部磁極層25はオ
ーバーコート層26により覆われている。
【0063】本実施の形態の磁気ヘッドでは、再生ヘッ
ド部1Aにおいて、MR膜15の磁気抵抗効果を利用し
て磁気ディスク(図示せず)から情報の読み出しが行わ
れると共に、記録ヘッド部1Bにおいて、薄膜コイル2
1,24による、上部磁極先端部23aと下部磁極先端
部19aとの間の磁束の変化を利用して磁気ディスクに
対して情報が書き込まれる。
【0064】次に、複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法に
ついて説明する。
【0065】本実施の形態では、まず、図1に示したよ
うに、例えばアルティック(Al23 ・TiC)から
なる基板11上に、例えばスパッタ法により例えばアル
ミナ(Al2 3 )よりなる絶縁層12を、約3〜5μ
m程度の厚みで形成する。次に、絶縁層12上に、フォ
トレジスト膜をマスクとして、めっき法にて、パーマロ
イ(NiFe)を約3μmの厚みで選択的に形成して、
再生ヘッド用の下部シールド層13を形成する。続い
て、例えばスパッタまたはCVD(Chemical Vapor Dep
osition )法により約4〜6μmの厚さのアルミナ膜
(図示せず)を形成し、CMPによって平坦化する。
【0066】次に、図2に示したように、下部シールド
層13上に、例えばアルミナを100〜200nmの厚
みでスパッタ法により堆積し、シールドギャップ層14
を形成する。続いて、シールドギャップ層14上に、再
生用のMR素子等を構成するMR膜15を、数十nmの
厚みに形成し、高精度のフォトリソグラフィで所望の形
状とする。続いて、このMR膜15に対するリード端子
層15aをリフトオフ法により形成する。次いで、シー
ルドギャップ層14、MR膜15およびリード端子層1
5a上に、シールドギャップ層17を形成し、MR膜1
5およびリード端子層15aをシールドギャップ層1
4,17内に埋設させる。
【0067】続いて、シールドギャップ膜17上に、例
えばパーマロイ(NiFe)よりなる上部シールドを兼
ねた下部磁極層(下部ポール)18を、約1.0〜1.
5μmの厚みで形成する。
【0068】次に、図3に示したように、下部磁極層1
8上に、下部磁極先端部(下部ポールチップ)19aお
よび下部接続部19bを約2.0〜2.5μmの厚みで
形成する。ここで、下部磁極先端部19aは、そのトラ
ック側の先端部がMR(GMR)ハイト零の位置の近辺
になるように成形し、同時に、トラック面の反対側がス
ロートハイト零の位置となるようにする。なお、この下
部磁極先端部19aおよび下部接続部19bは、前述の
ようにNiFe等のめっき膜により形成してもよく、F
eN,FeZrNP,CoFeNなどのスパッタ膜によ
り形成してもよい。
【0069】続いて、全面に、例えばスパッタ法または
CVD法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚
0.3〜0.6μmの絶縁層20aを形成する。次い
で、フォトレジスト膜16のパターンをマスクとして、
下部磁極先端部19aおよび下部接続部19bにより形
成された凹部領域に、例えば電解めっき法により、例え
ば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の1層目の
薄膜コイル21およびコイル接続部21aを、例えば
1.0〜2.0μmの厚み、コイルピッチ1.2〜2.
0μmで形成する。
【0070】次に、図4に示したように、フォトレジス
ト膜16を除去した後、全面に、スパッタ法により絶縁
材料、例えばアルミナよりなる膜厚3.0〜4.0μm
の絶縁層20bを形成した後、例えばCMP法により表
面を平坦化し、下部磁極先端部19aの表面を露出させ
る。このとき、本実施の形態では、薄膜コイル21の表
面は露出していないが、露出させるようにしてもよい。
【0071】次に、図5に示したように、スパッタ法に
より絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚0.2〜
0.3μmの記録ギャップ層22を形成する。記録ギャ
ップ層22は、アルミナの他、窒化アルミニウム(Al
N)、シリコン酸化物系、シリコン窒化物系の材料など
により形成するようにしてもよい。続いて、この記録ギ
ャップ層22をフォトリソグラフィーによりパターニン
グし、上部磁極と下部磁極との接続用の開口22aを形
成する。
【0072】続いて、記録ギャップ層22上に記録ヘッ
ドのトラック幅を決定するための上部磁極先端部(ポー
ルチップ)23aをフォトリソグラフィーにより形成す
る。すなわち、記録ギャップ層22上に、例えばスパッ
タ法により高飽和磁束密度材料(Hi−Bs材)、例え
ばNiFe(Ni:50重量%,Fe:50重量%),
NiFe(Ni:80重量%,Fe:20重量%),F
eN,FeZrNP,CoFeNなどからなる、膜厚
2.0〜3.0μmの磁極層を形成する。続いて、この
磁極層を、フォトレジストマスクを用いた例えばAr
(アルゴン)のイオンミリングによって選択的に除去
し、上部磁極先端部23aを形成すると共に、上部磁極
と下部磁極とを磁気的に接続させるための上部接続部2
3bを形成する。上部磁極先端部23aおよび上部接続
部23bはフォトレジストマスクの代わりにアルミナ等
の無機系絶縁層によるマスクを用いてエッチングするよ
うにしてもよく、また、このようなフォトリソグラフィ
ーによらず、その他、めっき法、スパッタ法などによっ
て形成するようにしてもよい。
【0073】ここで、本実施の形態では、上部磁極先端
部23aを、トラック面から奥側に下部磁極先端部19
aよりも長く形成する。
【0074】続いて、上部磁極先端部23aをマスクと
して、その周辺の記録ギャップ層22および下部磁極先
端部19aを自己整合的にエッチングする。すなわち、
上部磁極先端部23aをマスクとした塩素系ガス(Cl
2 ,CF4 ,BCl2 ,SF6 等)によるRIE(Reac
tive Ion Etching) により、記録ギャップ層22を選択
的に除去した後、露出した下部磁極先端部19aを、再
び、例えばArのイオンミリングによって約0.3〜
0.6μm程度エッチングして、トリム構造の記録トラ
ックを形成する。
【0075】続いて、全面に、例えばスパッタ法または
CVD法により、膜厚約0.3〜0.6μmの例えばア
ルミナからなる絶縁層20cを形成する。次いで、絶縁
層20c、記録ギャップ層22および絶縁層20bを選
択的にエッチングし、薄膜コイル21のコイル接続部2
1aの表面部分を露出させる。次に、絶縁層20cの上
の上部磁極先端部23aおよび上部接続部23bにより
形成された凹部領域に、例えば電解めっき法により、例
えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の2層目
の薄膜コイル24およびコイル接続部24aを、薄膜コ
イル21およびコイル接続部21aよりも厚い、例えば
2.0〜3.0μmの厚み、コイルピッチ1.5〜3.
0μmで形成する。このときコイル接続部21a,24
aにより、上下の薄膜コイル21,24が電気的に接続
される。
【0076】次に、図6に示したように、全面に、例え
ばスパッタ法またはCVD法により、膜厚約3〜4μm
の例えばアルミナからなる絶縁層20dを形成する。な
お、この絶縁層20dや絶縁層20cは、アルミナに限
らず、二酸化珪素(SiO2)や、窒化珪素(SiN)
等の他の絶縁材料により形成してもよい。続いて、例え
ばCMP法により、上部磁極先端部23aおよび上部接
続部23bの表面が露出するように絶縁層20dおよび
絶縁層20cをエッチングし、絶縁層20c,20dの
表面と上部磁極先端部23aおよび上部接続部23bの
各表面とが同一面を構成するように平坦化する。
【0077】続いて、例えば上部磁極先端部23aと同
じ材料を用いて、例えば電解めっき法やスパッタ法など
の方法により、上部磁極層25を約2〜3μmの厚みに
形成する。この上部磁極層25は、トラック面側から見
て、薄膜コイル21,24よりも後方の位置において、
上部接続部23bを介して、下部接続部19bと接触
し、下部磁性層18と磁気的に連結される。最後に、上
部磁極先端部23a、上部磁極層25および絶縁層20
d上に、例えばスパッタ法によりアルミナよりなる膜厚
約30μmのオーバーコート層26を形成する。その
後、スライダの機械加工を行い、記録ヘッドおよび再生
ヘッドのトラック面(ABS)を形成することにより、
薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0078】図7は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの平面図を示している。この図は、スライダの機械加
工を行う前の状態を表している。この図において、TH
はスロートハイトを表しており、このスロートハイトT
Hは、絶縁層20aの磁極部分側の端縁、すなわち下部
磁極先端部19aのトラック面と反対側の端縁によって
規定される。この図では、スロートハイトTHはGMR
ハイトと一致しているため、TH=GMRハイトとな
る。また、図中、18aは下部磁性層18のうちの前述
のトリム構造のためにトリミングされた領域を表してい
る。
【0079】以上の本実施の形態では、次のような効果
を得ることができる。
【0080】(1)まず、本実施の形態では、下部磁極
を、下部磁極先端部19aと下部磁極層18とに2分割
し、下部磁極先端部19aを、下部磁極層18の平坦面
上に形成するようにしたので、無機材料からなる絶縁層
20a,20bを下部磁極先端部19aと下部接続部1
9bとの間の凹部内に埋め込むことができる。従って、
絶縁層20aの下部磁極先端部19a側の端縁(すなわ
ち下部磁極先端部19aのトラック面と反対側の端縁)
によってスロートハイトが規定される。よって、従来の
フォトレジスト膜のように、端縁の位置変動(パターン
シフト)およびプロファイル悪化が生じることがなく、
スロートハイトの正確な制御が可能になる。更に、MR
ハイトの正確な制御や、エイペックスアングルの正確な
制御も可能となる。
【0081】(2)また、本実施の形態では、2層目の
薄膜コイル24は1層目の薄膜コイル21よりも膜厚が
厚くしている。その理由について、以下、説明する。
【0082】これは、リードライトデスタンス(RW
D;Read Write Distance)がハードディスク装置(HD
D;Hard Disk Drive)のセット側で決定されることによ
る。RWDは、MR素子15から記録ギャップ層22ま
での距離をいい、このRWDによってハードディスク板
上を薄膜磁気ヘッドのサスペンション(ジンバル)をス
キューさせながら、情報の記録,再生を行なっている。
このときのスキュー角度がRWDの大きさと密接な関係
があり、RWDが小さい程(すなわち、下部磁極層18
および下部磁極先端部19aの膜厚が薄い程)、スキュ
ー角度を大きくでき、トラックに対する書き込み、読み
取りのマージンを大きくとることができるため、記録,
再生容量を大きくできる。通常、このRWDは2.5〜
3.5μm程度に小さくすることが要求されている。
【0083】本実施の形態では、下部磁極が、下部磁極
層18と、下部磁極先端部19aの2層構造となってい
るため、1層目の薄膜コイル21の膜厚は、下部磁極先
端部19aの膜厚で決定される。一例を挙げると、下部
磁極層18の厚みを例えば1.5μm、下部磁極先端部
19aの厚みを例えば2.0μmとし、1層目の薄膜コ
イル21と下部磁極層18との間の絶縁膜20aの膜厚
を考慮すると、1層目の薄膜コイル21の厚みは1.5
μmとなる。しかしながら、磁路長を短くするために薄
膜コイル21のコイルピッチを小さくすると、厚みが
1.5μmの薄膜コイル21ではコイル抵抗が大きくな
る。このようなことから、本実施の形態では、2層目の
薄膜コイル24を1層目の薄膜コイル21よりも厚くし
て、薄膜コイル21,24全体のコイル抵抗を小さくす
るものである。これにより、コイル抵抗を高くすること
なく、薄膜コイル21をできる限り薄くすることがで
き、RWDを小さくして、記録,再生容量を大きくする
ことができる。
【0084】(3)また、本実施の形態では、上部磁極
先端部23aを、下部磁極先端部19aよりも長く形成
するようにしたので、上部磁極先端部23aを下部磁極
先端部19aと同じ長さとした場合に比べて、上部磁極
先端部23aと上部磁極層25との接触面積を大きくす
ることができ、その部分での磁気的結合が良好となる。
特に、本実施の形態のように、上部磁極層25をトラッ
ク面から後退した位置に設ける構造(リセス構造)とし
た場合には、このような構成が有効である。すなわち、
上部磁極層25が、スロートハイトTH=零の位置(下
部磁極先端部19aのトラック面と反対側の端縁)より
トラック面側に近い位置、例えばTH=0.5μmの近
傍位置に存在すると、上部磁極層25によって隣接する
トラックに情報を書き込むサイドライト不良が発生す
る。理想的には、上部磁極層25は、THが零の位置よ
り、トラック面から遠い位置に形成することが望まし
い。一方、本実施の形態では、THを決めるための下部
磁極先端部19aを、上部磁極先端部23aを介して上
部磁極層25と磁気的に結合させるものであり、上部磁
極先端部23aと上部磁極層25とは、THが零の位置
より、トラック面と反対方向においてしっかり接続させ
る必要がある。このようなことから、上部磁極先端部2
3aは下部磁極先端部19aよりも長く形成することが
望ましい。
【0085】(4)また、本実施の形態では、図7に示
したように、各パターンを真上から見た場合、下部磁極
先端部19aの幅を上部磁極先端部23aの幅よりも広
くしているために、上部磁極先端部23aがハーフミク
ロン幅の狭トラックであっても、下部磁極先端部19a
の近傍において磁束が飽和することがない。
【0086】(5)更に、本実施の形態では、薄膜コイ
ル21と上部シールドを兼ねた下部磁極層18との間に
は無機系の絶縁膜20a,20b、また、薄膜コイル2
1,24間には記録ギャップ膜22および絶縁層20c
が設けられていため、各絶縁層の厚さを調整することに
より、薄膜コイル21,24、上部シールドとの間にそ
れぞれ大きな絶縁耐圧を得ることができ、絶縁性を保持
することができると共に薄膜コイル21,24からの磁
束の漏れを低減できる。
【0087】(6)また、本実施の形態では、上部磁極
を、上部磁極先端部23aと上部磁極層25とに2分割
し、上部磁極先端部23aを、下部磁極先端部19a上
の平坦面に形成するようにしたので、記録トラック幅を
規制する上部磁極先端部23aをサブミクロン寸法に精
度良く形成することができる。加えて、本実施の形態で
は、1層目の薄膜コイル21が絶縁層20bによって下
部磁極先端部19aに隣接した凹部領域内に埋め込まれ
ると共に、絶縁層20bの表面が下部磁極先端部19a
の表面と同一面を形成する程度に平坦化されている。す
なわち、2層目の薄膜コイル24を含むエイペックス部
の段差が、1層目の薄膜コイル21の分だけ、従来構造
に比べて低くなる。従って、上部磁極先端部23aに部
分的に接触する上部磁極層25をフォトリソグラフィー
により形成する際に、エイペックス部の上部と下部にお
いてフォトレジスト膜の厚さの差が低減され、その結
果、上部磁極層25のサブミクロン寸法の微細化を図る
ことが可能になる。
【0088】よって、本実施の形態により得られる薄膜
磁気ヘッドでは、記録ヘッドによる高面密度記録が可能
となり、コイルを2層,3層と積層して記録ヘッドの性
能を更に向上させることができる。なお、上部磁極先端
部23aおよび上部磁極層25のフォトリソグラフィー
の際に、フォトレジストの代わりに無機系絶縁層をマス
クとすることにより、上部磁極先端部23aおよび上部
磁極層25の微細化を、より高精度に実現することが可
能になる。また、上部磁極先端部23aおよび上部磁極
層25をフォトリソグラフィー以外のスパッタ等により
形成する場合においても、同様に、エイペックス部の段
差の影響が低減されるため、上部磁極先端部23aおよ
び上部磁極層25の微細化を図ることができる。
【0089】(7)更に、本実施の形態では、従来例の
ようにフォトレジストパターンの傾斜部が存在しないた
め、第1および第2層目の薄膜コイル21,24を共に
平坦部に形成することができ、傾斜部によるコイル外周
部端とスロートハイト零の位置までの距離が磁路長縮小
の妨げとはならない。従って、磁路長を短くすることが
でき、記録ヘッドの高周波特性を著しく向上させること
ができる。ちなみに、本実施の形態では、フォトリソグ
ラフィーの位置合わせ誤差の0.1μm〜.0.2μm
で設計できるため、従来例の50%以下に磁路長を縮小
することが可能になる。
【0090】(8)また、本実施の形態では、上部磁極
先端部23a,上部磁極層25等の磁性層は高飽和磁束
密度(Hi−Bs)材により形成されているので、トラ
ック幅が狭くなっても、薄膜コイル21,24に発生し
た磁気が途中で飽和することなく、有効に上部磁極先端
部23aおよび下部磁極先端部19aに到達し、これに
よって磁気損失のない記録ヘッドを実現できる。
【0091】(9)更に、本実施の形態では、トラック
幅を決定する上部磁極先端部23aの上に形成された上
部磁極層25が、トラック面に露出していないため、上
部磁極層25によるサイドライトが発生することはな
い。
【0092】〔第2の実施の形態〕図8(a),(b)
は、本発明の第2の実施の形態に係る複合型薄膜磁気ヘ
ッドの構成を表すものである。本実施の形態は、2層目
の薄膜コイル24を形成する工程までは、第1の実施の
形態と同様であるが、その後、フォトレジスト膜31に
より薄膜コイル24を覆い、続いて、このフォトレジス
ト膜31上に膜厚2.5μm〜3.5μmの上部磁極層
32を形成したものである。本実施の形態においても、
第1の実施の形態と同様に、2層目の薄膜コイル24の
膜厚が1層目の薄膜コイル21の膜厚よりも厚くなって
いる。
【0093】本実施の形態では、第1の実施の形態とは
異なり、2層目の薄膜コイル24を形成した後にCMP
による平坦化は行う必要がない。従って、その分、第1
の実施の形態に比べて製造コストは低減される。なお、
2層目の薄膜コイル24は5巻とし、6巻の1層目の薄
膜コイル21の平坦化された部分に形成されるため、薄
膜コイル24の外周端からスロートハイト零の位置まで
の距離が磁路長の妨げとなることはない。その他の構成
および作用効果は第1の実施の形態と同様であるので、
その説明は省略する。
【0094】以上実施の形態を挙げて本発明を説明した
が、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく
種々変形可能である。例えば、上記実施の形態におい
て、上部磁極先端部23aおよび上部磁極層25等は、
NiFe(Ni:50重量%,Fe:50重量%),N
iFe(Ni:80重量%,Fe:20重量%)の他、
FeN,FeCoZr等の高飽和磁束密度材を用いる例
について説明したが、これらの材料を2種類以上積層し
た構造としてもよい。
【0095】また、第1の実施の形態では、上部磁極層
25をトラック面から後退した位置に形成する構造(リ
セス構造)について説明したが、上部磁極層25の厚さ
を上部磁極先端部23aよりも相対的に厚くすることに
より、上部磁極層25を上部磁極先端部23aと共にト
ラック面に露出させる構造とすることもできる。これに
よりリセス構造としなくても、上部磁極層25によりサ
イドライトが発生する不具合を解消することができる。
【0096】更に、上記実施の形態では、下部磁極先端
部19aに隣接した凹部領域において、絶縁層により第
1層目の薄膜コイルを埋め込む構造としたが、薄膜コイ
ルを埋め込むことなく、凹部領域全体を例えばアルミナ
からなる無機系の絶縁層とするようにしてもよい。な
お、上記実施の形態では、下部磁極を第1の磁性層に、
上部磁極を第2の磁性層にそれぞれ対応させた構成を示
したが、この対応を逆にした構成も可能である。つま
り、下部磁極を第2の磁性層に、上部磁極を第1の磁性
層にそれぞれ対応させた構成としてもよい。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る薄膜磁
気ヘッドまたは本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法
によれば、第1の磁極を第1の磁極層上に突状に形成
し、第1の磁極に隣接した凹部領域に第1の薄膜コイル
を形成すると共に、第2の薄膜コイルを第1の薄膜コイ
ルよりも厚く形成するようにしたので、無機材料からな
る絶縁層を第1の磁極に隣接した凹部内に埋め込むこと
ができる。従って、第1の磁極のトラック面と反対側の
端縁によってスロートハイトが規定され、従来のフォト
レジスト膜のように端縁の位置変動およびプロファイル
悪化が生じることがなく、スロートハイトの正確な制御
が可能になる。
【0098】また、第1の磁極に隣接した凹部内に薄膜
コイルを埋め込むことにより、その分、エイペックス部
の段差を従来構造に比べて低くすることができ、その後
の工程において、第2の磁性層をフォトリソグラフィー
により形成する際に、エイペックス部の上部と下部にお
いてフォトレジスト膜の厚さの差が低減され、その結
果、第2の磁性層のサブミクロン寸法の微細化を図るこ
とが可能になる。よって、記録ヘッドによる高面密度記
録が可能となり、コイルを2層,3層と積層することに
より、記録ヘッドの性能を更に向上させることが可能に
なる。
【0099】加えて、第2の薄膜コイルを第1の薄膜コ
イルよりも厚く形成することにより、そのコイル抵抗が
小さくなり、第1の薄膜コイルを可能な限り薄くするこ
とができる。従って、RWDを小さくし、スキュー角度
を大きくすることにより、記録,再生容量を大きくする
ことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの製造工程を説明するための断面図である。
【図2】図1に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図3】図2に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図4】図3に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図5】図4に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図6】図5に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図7】本発明の第1の実施の形態によって製造される
薄膜磁気ヘッドの平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの構成を説明するための断面図である。
【図9】従来の薄膜磁気ヘッドの製造工程を説明するた
めの断面図である。
【図10】図9に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図11】図10に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図12】図11に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図13】図12に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図14】図13に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【符号の説明】
11…基板、18…上部シールド兼下部磁極(下部磁極
層)(第1の磁性層)、19a…下部磁極先端部(第1
の磁極)、22…記録ギャップ層、23a…上部磁極先
端部(第2の磁極)、20a…絶縁層(第1の絶縁
層)、20b…絶縁層(第2の絶縁層)、20c…絶縁
層(第3の絶縁層)、20d…絶縁層(他の絶縁層)、
21,24…薄膜コイル、25…上部磁極層(第2の磁
性層)

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気抵抗効果素子と、磁気的に連結さ
    れ、且つ記録媒体に対向する側の一部が記録ギャップ層
    を介して対向する第1の磁極および第2の磁極を含む少
    なくとも2つの磁性層と、2層以上に積層された磁束発
    生用の薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドであって、 前記2つの磁性層のうちの前記磁気抵抗効果素子に近い
    側に形成された第1の磁性層と、 この第1の磁性層と分割して形成されると共に、前記記
    録ギャップ面との隣接面の反対側の面が、前記第1の磁
    性層の一部領域に磁気的に結合された第1の磁極と、 無機系材料に形成されると共に、少なくとも前記第1の
    磁極の前記記録媒体に対向する側の反対面から前記第1
    の磁性層の一方の面に連続的に形成された絶縁層と、 少なくともその膜厚方向の一部が前記絶縁層が形成され
    ている領域内に位置するように形成された第1の薄膜コ
    イルと、 前記記録ギャップ層を介して前記第1の磁極に対向する
    第2の磁極を含む第2の磁性層と、 前記第1の薄膜コイルよりも前記磁気抵抗効果素子から
    離れた位置に形成され、前記薄膜コイルに電気的に接続
    されると共に前記第1の薄膜コイルよりも膜厚が厚い1
    層または2以上の層からなる第2の薄膜コイルとを備え
    たことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記第2の磁極は、前記第2の磁性層と
    分割して形成されると共に、前記第2の磁性層は、前記
    第2の磁極の前記記録ギャップ面との隣接面の反対側の
    面の少なくとも一部において前記第2の磁極に磁気的に
    結合されていることを特徴とする請求項1記載の薄膜磁
    気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記第2の磁極の膜厚が前記第1の磁極
    の膜厚よりも厚いことを特徴とする請求項2記載の薄膜
    磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記第1の磁極の前記記録媒体に対向す
    る面からの長さが記録ヘッドのスロートハイトに等しい
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載
    の薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記絶縁層は、前記第1の磁極の前記記
    録媒体に対向する側の反対面から前記第1の磁性層の一
    方の面に沿って連続的に形成された第1の絶縁層と、少
    なくとも前記第1の薄膜コイルの巻線間に形成された第
    2の絶縁層とを含むことを特徴とする請求項1乃至4の
    いずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記絶縁層の前記第1の磁性層との隣接
    面の反対面が、前記第1の磁極の前記記録ギャップ層と
    の隣接面と実質的に同一面となるように形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載
    の薄膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記第1の磁極の前記記録媒体に対向す
    る面に沿った幅が前記第2の磁極の幅よりも広く形成さ
    れていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1
    項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記第2の磁性層の前記記録媒体に対向
    する面側の端部は、前記記録媒体に対向する面から後退
    した位置に形成されていることを特徴とする請求項2に
    記載の薄膜磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】 更に、第3の絶縁層が、少なくとも、前
    記第2の磁極の前記記録媒体に対向する側の反対面か
    ら、前記記録ギャップ層の前記第2の磁極との隣接面の
    反対側の面にかけて連続的に形成されていることを特徴
    とする請求項5に記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記第2の薄膜コイルは、前記第3の
    絶縁層と前記第2の磁性層との間において、前記第1な
    いし第3の絶縁層とは異なる他の絶縁層に覆われている
    ことを特徴とする請求項9に記載の薄膜磁気ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記第3の絶縁層および他の絶縁層
    が、前記第2の磁極の前記記録ギャップ層との隣接面の
    反対面と実質的に同一面となるように形成されているこ
    とを特徴とする請求項10に記載の薄膜磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 磁気抵抗効果素子と、磁気的に連結さ
    れ、且つ記録媒体に対向する側の一部が記録ギャップ層
    を介して対向する第1の磁極および第2の磁極を含む少
    なくとも2つの磁性層と、2層以上に積層された磁束発
    生用の薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法
    であって、 前記磁気抵抗効果素子を形成した後、前記第1の磁性層
    を形成し、前記第1の磁性層の上に前記第1の磁性層の
    一部領域と磁気的に結合されるように第1の磁極を形成
    する工程と、 少なくとも前記第1の磁極の前記記録媒体に対向する側
    の反対面から前記第1の磁性層の一方の面にかけて無機
    系材料からなる絶縁層を連続的に形成する工程と、 前記絶縁層が形成された凹部領域内に第1の薄膜コイル
    を形成する工程と、 前記第1の薄膜コイルを形成した後、前記薄膜コイルに
    電気的に接続されると共に、前記第1の薄膜コイルより
    も膜厚が厚い1層または2以上の層からなる第2の薄膜
    コイルを形成する工程と、 少なくとも前記第1の磁極の上に記録ギャップ層を形成
    した後、前記第2の薄膜コイルを覆うように前記第2の
    磁極を含む第2の磁性層を形成する工程とを含むことを
    特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第2の磁極を前記第2の磁性層と
    分割し、前記第1の磁極の上に形成された記録ギャップ
    層の上に前記第2の磁極を形成した後、前記第2の磁極
    に磁気的に結合されるように第2の磁性層を形成するこ
    とを特徴とする請求項12記載の薄膜磁気ヘッドの製造
    方法。
  14. 【請求項14】 前記第2の磁極の膜厚を前記第1の磁
    極の膜厚よりも厚くすることを特徴とする請求項13記
    載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第1の磁極の前記記録媒体に対向
    する面からの長さを記録ヘッドのスロートハイトに等し
    くすることを特徴とする請求項13または14に記載の
    薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記第1の磁極の前記記録媒体に対向
    する側の反対面から前記第1の磁性層の一方の面に沿っ
    て連続的に第1の絶縁層を形成する工程と、 少なくとも前記第1の薄膜コイルの巻線間に第2の絶縁
    層を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項13
    乃至15のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造
    方法。
  17. 【請求項17】 前記第2の絶縁層の前記第1の磁性層
    との隣接面の反対面が、前記第1の磁極の前記記録ギャ
    ップ層との隣接面と実質的に同一面となるように平坦化
    する工程を含むことを特徴とする請求項16に記載の薄
    膜磁気ヘッドの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記第1の磁極の前記記録媒体に対向
    する面に沿った幅を前記第2の磁極よりも広く形成する
    ことを特徴とする請求項12乃至17のいずれか1項に
    記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記第2の磁性層の前記記録媒体に対
    向する面側の端部を、前記記録媒体に対向する面から後
    退した位置に形成することを特徴とする請求項12乃至
    18のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方
    法。
  20. 【請求項20】 更に、第3の絶縁層を、少なくとも、
    前記第2の磁極の前記記録媒体に対向する側の反対面か
    ら、前記記録ギャップ層の前記第2の磁極との隣接面の
    反対側の面にかけて連続的に形成することを特徴とする
    請求項16に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  21. 【請求項21】 前記第2の薄膜コイルを、前記第3の
    絶縁層と前記第2の磁性層との間において、前記第1な
    いし第3の絶縁層とは異なる他の絶縁層により覆うこと
    を特徴とする請求項20に記載の薄膜磁気ヘッドの製造
    方法。
  22. 【請求項22】 前記第3の絶縁層および他の絶縁層
    を、前記第2の磁極の前記記録ギャップ層との隣接面の
    反対面と実質的に同一面となるように平坦化することを
    特徴とする請求項21に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方
    法。
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