JP3837084B2 - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録ヘッドと読み出し用の磁気抵抗(以下、MR(Magneto Resistive )と記す。)素子を有する再生ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。MR素子としては、異方性磁気抵抗(以下、AMR(Anisotropic Magneto Resistive )と記す。)効果を用いたAMR素子と、巨大磁気抵抗(以下、GMR(Giant Magneto Resistive )と記す。)効果を用いたGMR素子とがある。AMR素子を用いた再生ヘッドはAMRヘッドあるいは単にMRヘッドと呼ばれ、GMR素子を用いた再生ヘッドはGMRヘッドと呼ばれる。AMRヘッドは、面記録密度が1ギガビット/(インチ)2 を超える再生ヘッドとして利用され、GMRヘッドは、面記録密度が3ギガビット/(インチ)2 を超える再生ヘッドとして利用されている。
【0003】
AMRヘッドは、AMR効果を有するAMR膜を備えている。GMRヘッドは、AMR膜を、GMR効果を有するGMR膜に置き換えたもので、構造上はAMRヘッドと同様である。ただし、GMR膜は、AMR膜よりも、同じ外部磁界を加えたときに大きな抵抗変化を示す。このため、GMRヘッドは、AMRヘッドよりも、再生出力を3〜5倍程度大きくすることができると言われている。
【0004】
再生ヘッドの性能を向上させる方法としては、MR膜をAMR膜からGMR膜等の磁気抵抗感度の優れた材料に変える方法や、MR膜のパターン幅、特に、MRハイトを適切化する方法等がある。このMRハイトとは、MR素子のエアベアリング面側の端部から反対側の端部までの長さ(高さ)をいい、エアベアリング面の加工の際の研磨量によって制御されるものである。なお、ここにいうエアベアリング面は、薄膜磁気ヘッドの、磁気記録媒体と対向する面であり、トラック面とも呼ばれる。
【0005】
一方、再生ヘッドの性能向上に伴って、記録ヘッドの性能向上も求められている。記録ヘッドの性能を決定する要因としては、スロートハイト(Throat Height :TH)がある。スロートハイトは、エアベアリング面から、磁束発生用の薄膜コイルを電気的に分離する絶縁層のエッジまでの磁極部分の長さ(高さ)をいう。記録ヘッドの性能向上のためには、スロートハイトの縮小化が望まれている。このスロートハイトも、エアベアリング面の加工の際の研磨量によって制御される。
【0006】
記録ヘッドの性能のうち、記録密度を高めるには、磁気記録媒体におけるトラック密度を上げる必要がある。このためには、記録ギャップ(write gap)を挟んでその上下に形成された下部磁極(ボトムポール)および上部磁極(トップポール)のエアベアリング面での幅を数ミクロンからサブミクロンオーダーまで狭くした狭トラック構造の記録ヘッドを実現する必要があり、これを達成するために半導体加工技術が利用されている。
【0007】
ここで、図39ないし図44を参照して、従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例として、複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例について説明する。
【0008】
この製造方法では、まず、図39に示したように、例えばアルティック(Al 2 3 ・TiC)よりなる基板101上に、例えばアルミナ(Al 2 3 )よりなる絶縁層102を、約5〜10μm程度の厚みで堆積する。次に、絶縁層102上に、再生ヘッド用の下部シールド層103を形成する。次に、下部シールド層103上に、例えばアルミナを100〜200nmの厚みでスパッタ堆積し、シールドギャップ膜104を形成する。次に、シールドギャップ膜104上に、再生用のMR素子を構成するためのMR膜105を、数十nmの厚みに形成し、高精度のフォトリソグラフィで所望の形状にパターニングする。次に、MR膜105の両側に、このMR膜105と電気的に接続する引き出し電極層としてのリード層(図示せず)を形成したのち、このリード層、シールドギャップ膜104およびMR膜105上に、シールドギャップ膜106を形成し、MR膜105をシールドギャップ膜104,106内に埋設する。次に、シールドギャップ膜106上に、再生ヘッドと記録ヘッドの双方に用いる磁気材料、例えばパーマロイ(NiFe)からなる上部シールド兼下部磁極(以下、下部磁極と記す。)107を形成する。
【0009】
次に、図40に示したように、下部磁極107上に、絶縁膜、例えばアルミナ膜よりなる記録ギャップ層108を形成し、この記録ギャップ層108上に、フォトレジスト層109を、高精度のフォトリソグラフィで所定のパターンに形成する。次に、フォトレジスト層109上に、例えばめっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の第1層目の薄膜コイル110を形成する。次に、フォトレジスト層109およびコイル110を覆うようにして、フォトレジスト層111を、高精度のフォトリソグラフィで所定のパターンに形成する。次に、コイル110の平坦化およびコイル110間の絶縁化のために、例えば250°Cの温度で熱処理する。次に、フォトレジスト層111上に、例えばめっき法により、例えば銅よりなる第2層目の薄膜コイル112を形成する。次に、フォトレジスト層111およびコイル112の上に、フォトレジスト層113を、高精度のフォトリソグラフィで所定のパターンに形成し、コイル112の平坦化およびコイル112間の絶縁化のために、例えば250°Cの温度で熱処理する。
【0010】
次に、図41に示したように、コイル110,112よりも後方(図41における右側)の位置において、磁路形成のために、記録ギャップ層108を部分的にエッチングして開口部108aを形成する。次に、記録ギャップ層108およびフォトレジスト層109,111,113上に、記録ヘッド用の磁気材料、例えばパーマロイからなる上部ヨーク兼上部磁極(以下、上部磁極と記す。)114を選択的に形成する。この上部磁極114は、上記した開口部108aにおいて下部磁極107と接触し、磁気的に連結している。次に、上部磁極114をマスクとして、イオンミリングによって、記録ギャップ層108と下部磁極107を、約0.5μm程度エッチングした後、上部磁極114上に、例えばアルミナよりなるオーバーコート層115を形成する。最後に、スライダの機械加工を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドのトラック面(エアベアリング面)120を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0011】
図42〜図44は、完成した状態の薄膜磁気ヘッドの構造を表すものである。ここで、図42はエアベアリング面120に垂直な薄膜磁気ヘッドの断面を示し、図43は磁極部分のエアベアリング面120に平行な断面を拡大して示し、図44は平面図を示す。なお、図39ないし図42は、図44におけるA−A′線に沿った矢視断面に対応する。また、図42ないし図44では、オーバーコート層115の図示を省略している。
【0012】
薄膜磁気ヘッドの性能を向上させるには、図42および図43に示したスロートハイトTH、エイペックスアングルθ、磁極幅P2Wおよび磁極長P2Lを正確に形成することが重要である。ここで、エイペックスアングル(Apex Angle)θは、フォトレジスト層109,111,113のトラック面側の側面の角部を結ぶ直線と上部磁極114の上面とのなす角度である。磁極幅P2Wは、記録媒体上の記録トラック幅を規定するものである。磁極長P2Lは磁極の厚さを表している。また、図42および図44において、‘TH0位置’とあるのは、薄膜コイル110,112を電気的に分離する絶縁層であるフォトレジスト層109のトラック面側のエッジであり、スロートハイトTHの基準位置0を示している。
【0013】
図43に示したように、上部磁極114、記録ギャップ層108および下部磁極107の一部の各側壁が垂直に自己整合的に形成された構造は、トリム(Trim)構造と呼ばれる。このトリム構造によれば、狭トラックの書き込み時に発生する磁束の広がりによる実効トラック幅の増加を防止することができる。なお、図43に示したように、MR膜105の両側には、このMR膜105と電気的に接続する引き出し電極層としてのリード層121が設けられている。但し、図39〜図42および図44ではリード層121の図示を省略している。
【0014】
図45は、上部磁極114の平面構造を表すものである。この図に示したように、上部磁極114は、その大部分を占めるヨーク部114aと、磁極幅P2Wとしてほぼ一定の幅W1を有するポールチップ部114bとを有している。ヨーク部114aとポールチップ部114bとの連結部分において、ヨーク部114aの外縁はエアベアリング面120と平行な面に対して角度αをなし、また、上記連結部分において、ポールチップ部114bの外縁はエアベアリング面120と平行な面に対して角度βをなしている。ここで、αは、例えば45度程度であり、βは90度である。ポールチップ部114bの幅は、記録媒体上の記録トラック幅を規定するものである。ポールチップ部114bは、TH0位置よりも前方側(エアベアリング面120側)の部分Fと、TH0位置よりも後方側(ヨーク部114a側)の部分Rとを含んでいる。図42から判るように、部分Fは、平坦な記録ギャップ層108の上に延在し、部分Rおよびヨーク部114aは、フォトレジスト層109,111,113で覆われて山状に盛り上がったコイル部分(以下、エイペックス部と言う。)の上に延在している。
【0015】
なお、上部磁極の形状に関しては、例えば、特開平8−249614号公報に記載がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
磁極幅P2Wは、記録ヘッドのトラック幅を決定するため、正確な形成が要求される。特に、近年は、高面密度記録を可能とするため、すなわち、狭トラック構造の記録ヘッドを形成するために、上部磁極の磁極幅P2Wを1.0μm以下の寸法にするという微細加工が要求される。
【0017】
上部磁極を形成する方法としては、例えば、特開平7−262519号公報に示されるように、フレームめっき法が用いられる。フレームめっき法を用いて上部磁極114を形成する場合は、まず、エイペックス部の上に全体的に、例えばパーマロイよりなる薄い電極膜を、例えばスパッタリングによって形成する。次に、その上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ工程によりパターニングして、めっきのためのフレーム(外枠)を形成する。そして、先に形成した電極膜をシード層として、めっき法によって上部磁極114を形成する。
【0018】
ところで、エイペックス部と他の部分とでは、例えば7〜10μm以上の高低差がある。このエイペックス部上に、フォトレジストを3〜4μmの厚みで塗布する。エイペックス部上のフォトレジストの膜厚が最低3μm以上必要であるとすると、流動性のあるフォトレジストは低い方に集まることから、エイペックス部の下方では、例えば8〜10μm以上の厚みのフォトレジスト膜が形成される。
【0019】
前述のように狭トラックを形成するためには、フォトレジスト膜によって1.0μm程度の幅のフレームパターンを形成する必要がある。すなわち、8〜10μm以上の厚みのあるフォトレジスト膜によって、1.0μmもしくはそれ以下の幅の微細なパターンを形成しなければならない。ところが、このような厚い膜厚のフォトレジストパターンを狭パターン幅で形成することは製造工程上極めて困難であった。
【0020】
しかも、フォトリソグラフィの露光時に、露光用の光が、シード層としての下地電極膜で反射し、この反射光によってもフォトレジストが感光して、フォトレジストパターンのくずれ等が生じ、シャープかつ正確なフォトレジストパターンが得られなくなる。その結果、上部磁極の側壁が丸みを帯びた形状になる等、上部磁極を所望の形状に形成できなくなる。特に、図46に示したように、磁極幅P2Wをさらに微小化してW1′としたときには、この所望の幅W1′を得ることがさらに困難となる。これは、ポールチップ部114bのうち、エイペックス部上に延在している部分Rでは、下地電極膜で反射して戻ってくる反射光には、垂直方向の反射光のみならず、エイペックス部の斜面からの斜め方向または横方向からの反射光も含まれており、これらの反射光がフォトレジスト層の感光に影響を与える結果、磁極幅P2Wを規定するフォトレジストパターン幅が所期の値よりも大きくなり、その形状が図46における破線で示したような形になってしまうからである。ポールチップ部114bの中でも、TH0位置より前方の部分Rの幅は、記録媒体上のトラック幅を規定する上で極めて重要なファクタである。このため、部分Rの幅が上記した値W2よりも大きくなると、目標とする微小なトラック幅を得ることができない。
【0021】
このような問題は、上記の特開平8−249614号公報に記載された磁気ヘッドにおいても同様に存在する。この公報に記載された磁気ヘッドでは、TH0位置からヨーク部に向かって磁極幅がなだらかに変化しているので、エイペックス部の斜面からの斜め方向または横方向からの反射光がフォトレジスト層の感光に与える影響により、TH0位置より前方の部分の幅を正確に制御できないからである。
【0022】
また、図46に示したように、ポールチップ部114bのうち、TH0位置からヨーク部114aとの連結部までの部分Rは、TH0位置の前方の部分Fとほぼ同じ幅となっていてその断面積が小さいため、ヨーク部114aからの磁束が部分Rで飽和してしまい、トラック幅を規定する部分Fにまで十分到達することができない。このため、オーバーライト特性、すなわち、記録媒体上に既に書き込んである上からさらにデータを重ね書きする場合の特性が、例えば10〜20dB程度と低い値となり、十分なオーバーライト特性を確保することができないという問題があった。
【0023】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁極幅を縮小化した場合においても、磁極幅の正確な制御を可能にすると共に、十分なオーバーライト特性を得ることができる薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、記録ギャップ層と、記録ギャップ層の、記録媒体に近い側の所定の領域に、この記録ギャップ層の表面に接するようにして配設された絶縁膜パターンと、記録媒体に面するエアベアリング面を有し記録ギャップ層を介して互いに対向する2つの磁極、を含み、エアベアリング面と反対側のバックギャップ領域において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、第1および第2の磁性層の間に配設された薄膜コイル部とを備えると共に、第1の磁性層が、エアベアリング面から絶縁膜パターンにおける記録媒体に近い側の端縁部に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置にかけて延在し、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する第1の磁性層部分と、絶縁膜パターンの端縁部に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置において第1の磁性層部分と磁気的に連結され、この第1の磁性層部分よりも大きな幅を有すると共に第1の磁性層部分との連結部に幅方向の段差を形成する第2の磁性層部分とを含み、記録ギャップ層および絶縁膜パターンと接するようにしてエアベアリング面から絶縁膜パターン上の所定の位置にかけて延在する磁極先端部分と、第2の磁性層と接するようにしてバックギャップ領域に配設された磁極連結部分と、磁極先端部分と磁極連結部分とを磁気的に連結すると共に磁極先端部分のうちの第2の磁性層部分よりも大きな幅を有するヨーク部分とを含むように構成されたものであり、さらに、記録ギャップ層および絶縁膜パターンと、磁極先端部分と、磁極連結部分とによって囲まれた凹部空間の内表面を被覆する絶縁膜を備え、絶縁膜パターンの記録媒体に近い側の端縁が、エアベアリング面に対する基準位置を規定し、磁極先端部分の、記録ギャップ層と反対側の表面と、絶縁膜の端面とが、同一平面をなすように平坦化されていると共に、第1の磁性層部分および第2の磁性層部分が一体をなしているものである。
【0025】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法は、記録ギャップ層を形成するステップと、記録ギャップ層の、記録媒体に近い側の所定の領域に、この記録ギャップ層の表面に接するようにして絶縁膜パターンを形成するステップと、記録媒体に面するエアベアリング面を有し記録ギャップ層を介して互いに対向する2つの磁極、を含む第1および第2の磁性層を、エアベアリング面と反対側のバックギャップ領域において互いに磁気的に連結されるように形成するステップと、第1および第2の磁性層の間に薄膜コイル部を形成するステップとを含むと共に、第1の磁性層を形成するステップが、エアベアリング面から絶縁膜パターンにおける記録媒体に近い側の端縁部に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置にかけて延在し、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する第1の磁性層部分と、絶縁膜パターンの端縁部に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置において第1の磁性層部分と磁気的に連結され、この第1の磁性層部分よりも大きな幅を有すると共に第1の磁性層部分との連結部に幅方向の段差を形成する第2の磁性層部分とを含み、記録ギャップ層および絶縁膜パターンと接するようにしてエアベアリング面から絶縁膜パターン上の所定の位置にかけて磁極先端部分を形成するステップと、第2の磁性層と接するようにしてバックギャップ領域に磁極連結部分を形成するステップと、磁極先端部分と磁極連結部分とを磁気的に連結すると共に磁極先端部分のうちの第2の磁性層部分よりも大きな幅を有するようにヨーク部分を形成するステップとを含む薄膜磁気ヘッドを製造する方法であり、さらに、記録ギャップ層および絶縁膜パターンと、磁極先端部分と、磁極連結部分とによって囲まれた凹部空間の内表面を被覆するように絶縁膜を形成するステップと、磁極先端部分の、記録ギャップ層と反対側の表面が、少なくとも絶縁膜の端面と同一平面をなすように平坦化するステップとを含み、絶縁膜パターンの形成工程において、絶縁膜パターンの記録媒体に近い側の端縁がエアベアリング面に対する基準位置を規定するように絶縁膜パターンを形成すると共に、磁極先端部分の形成工程において、第1の磁性層部分および第2の磁性層部分が一体をなすように磁極先端部分を形成にしたものである。
【0026】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、絶縁膜パターンの記録媒体側の端縁により、エアベアリング面に対する基準位置が規定される。また、第1の磁性層部分の一定幅によって記録媒体の記録トラック幅が規定される。第1の磁性層部分は、絶縁膜パターンにおける記録媒体に近い側の端縁部に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置において、第1の磁性層部分よりも大きな幅を有する第2の磁性層部分と磁気的に連結され、この第2の磁性層部分は、それよりも大きな幅を有するヨーク部分と磁気的に連結される。
【0027】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、さらに、絶縁膜によって被覆された凹部空間に薄膜コイル部を埋め込むように配設された絶縁層を備え、絶縁層の表面もまた、磁極先端部分および磁極連結部分の、記録ギャップ層と反対側の表面、ならびに絶縁膜の端面と、同一平面をなすように平坦化されていてもよい。また、第1の磁性層部分と第2の磁性層部分との連結部における第2の磁性層部分の段差面が、第1の磁性層部分の延在方向と直交する平面をなしていてもよい。
【0028】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、さらに、絶縁膜によって被覆された凹部空間に絶縁層を形成して薄膜コイル部を埋設するステップを含み、平坦化のステップにおいて、絶縁層の表面もまた、磁極先端部分および磁極連結部分の、記録ギャップ層と反対側の表面、ならびに絶縁膜の端面と、同一平面をなすように平坦化するようにしてもよい。また、磁極先端部分の形成工程において、第1の磁性層部分と第2の磁性層部分との連結部における第2の磁性層部分の段差面が第1の磁性層部分の延在方向と直交する平面をなすように磁極先端部分を形成するようにしてもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
〔第1の実施の形態〕
まず、図1ないし図8を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法としての複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によって具現化されるので、以下併せて説明する。図1ないし図7において、(a)はエアベアリング面に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示している。また、図8は、複合型薄膜磁気ヘッドの平面構成を示している。
【0031】
本実施の形態に係る製造方法では、まず、図1に示したように、例えばアルティック(Al2 3 ・TiC)からなる基板1上に、例えばアルミナ(Al2 3 )よりなる絶縁層2を、約3〜5μm程度の厚みで堆積する。次に、絶縁層2上に、フォトレジスト膜をマスクとして、めっき法にて、パーマロイ(NiFe)を約3μmの厚みで選択的に形成して、再生ヘッド用の下部シールド層3を形成する。
【0032】
次に、下部シールド層3上に、例えばアルミナを100〜200nmの厚みでスパッタ堆積し、シールドギャップ膜4を形成する。次に、シールドギャップ膜4上に、再生用のMR素子を構成するためのMR膜5を数10nm以下の厚みに形成し、高精度のフォトリソグラフィで所望の形状とする。次に、MR膜5の両側に、このMR膜5と電気的に接続する引き出し電極層としてのリード層(図示せず)を形成したのち、このリード層、シールドギャップ膜4およびMR膜5上に、シールドギャップ膜6を形成して、MR膜5をシールドギャップ膜4,6内に埋設する。
【0033】
次に、図2に示したように、シールドギャップ膜6上に、例えばパーマロイよりなる上部シールド兼下部磁極(以下、下部磁極と記す。)7を、約3〜4μmの厚みで選択的に形成する
【0034】
次に、下部磁極7上に、無機系絶縁膜、例えばシリコン酸化膜(SiO2 )を約1〜2μmの厚みで形成した後、テーパエッチングを施して、選択的にパターニングして、エイペックスアングルとスロートハイトを規定するための絶縁層8を形成する。なお、絶縁層8としては、シリコン酸化膜に限らず、アルミナ膜や、シリコンチッ化膜(SiN)等の他の無機系絶縁膜を用いてもよい。また、上記膜はスパッタまたはCVD(Chemical Vapor Deposition )法にて形成してもよい。次に、下部磁極7および絶縁層8上に、絶縁膜、例えばアルミナ膜よりなる記録ギャップ層9を形成する。
【0035】
次に、図3に示したように、記録ギャップ層9上に、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の第1層目の薄膜コイル10を2〜3μmの厚みで形成する。
【0036】
次に、図4に示したように、記録ギャップ層9およびコイル10上に、フォトレジスト層11を、高精度のフォトリソグラフィで所定のパターンに形成する。次に、コイル10の平坦化およびコイル10間の絶縁化のために、例えば250°Cの温度で熱処理する。
【0037】
次に、フォトレジスト層11上に、例えば電解めっき法により、例えば銅よりなる第2層目の薄膜コイル12を2〜3μmの厚みで形成する。次に、フォトレジスト層11およびコイル12上に、フォトレジスト層13を、高精度のフォトリソグラフィで所定のパターンに形成し、コイル12の平坦化およびコイル12間の絶縁化のために、例えば250°Cの温度で熱処理する。
【0038】
次に、図5に示したように、コイル10,12よりも後方(図5(a)における右側)の位置において、磁路形成のために、記録ギャップ層9を部分的にエッチングして開口部9aを形成する。次に、上部磁極を形成する前に、高飽和磁束密度材のNiFe系合金を、例えばスパッタリングにより、約70nmの厚みで形成して、電解めっき法におけるシード層となる電極膜(図示せず)を形成する。次に、上記の電極膜上に、フォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりパターニングして、フレームめっき法によって上部磁極を形成するためのフレーム(外枠)となるフォトレジストパターン(図示せず)を形成する。次に、このフォトレジストパターンをマスクとし、先に形成した電極膜をシード層として、電解めっき法によって、上部ヨーク兼上部磁極(以下、上部磁極と記す。)17を、約3〜5μmの厚みに形成し、その後、フォトレジストパターンを除去する。この上部磁極17は、例えば図9に示したような平面形状を有し、上記の開口部9aにおいて下部磁極7と接触して磁気的に連結される。上部磁極17としては、例えば、高飽和磁性材料であるパーマロイ(NiFe)や窒化鉄(FeN)等が用いられる。この上部磁極17の形状については後述する
【0039】
次に、図6に示したように、上部磁極17をマスクとして、例えばイオンミリングによって、記録ギャップ層9と下部磁極7を、約0.5μm程度エッチングして、トリム構造を形成する。
【0040】
次に、図7に示したように、全面を覆うようにして、例えばアルミナよりなるオーバーコート層18を形成する。最後に、スライダの機械加工を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリング面(トラック面)を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0041】
図8は、本実施の形態に係る製造方法によって製造される薄膜磁気ヘッドの平面図である。なお、この図では、オーバーコート層18を省略している。この図に示したように、スロートハイトTHは、絶縁層8の磁極部分側の端縁(TH0位置)からエアベアリング面20までの長さである。なお、図1ないし図7は、図8におけるA−A′線に沿った矢視断面に相当する。
【0042】
図9は、上部磁極17の平面構造を表すものである。この図に示したように、上部磁極17は、幅W3を有し上部磁極17の大部分を占めるヨーク部17aと、ほぼ一定の幅W1を有する中間部17bと、W1よりも小さいほぼ一定の幅W2を有する先端部17cとを有している。ヨーク部17a、中間部17bおよび先端部17cの各幅方向の中心は互いに一致している。ヨーク部17aと中間部17bとの連結部分において、ヨーク部17aの外縁はエアベアリング面20と平行な面に対して角度αをなし、また、上記連結部分において、中間部17bの側縁面はエアベアリング面20と平行な面に対して角度βをなしている。中間部17bの幅は位置によらずにほぼ一定であり、先端部17cの幅もまた、位置によらずにほぼ一定である。本実施の形態において、αは、例えば45度程度であり、βはほぼ90度である。
【0043】
上部磁極17の中間部17bと先端部17cとの連結部は、TH0位置またはTH0位置に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置に位置している。上記連結部における中間部17bの幅はW1であり、一方、上記連結部における先端部17cの幅はW1よりも小さいW2である。すなわち、TH0位置またはTH0位置に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置において、中間部17bと先端部17cとの間には幅方向の段差が存在している。この段差部における中間部17b側の端面(以下、段差面という。)21は、中間部17bの側縁面と角度γをなし、先端部17cの側縁面の方向(すなわち、先端部17cの延在方向)と角度δをなしている。本実施の形態では、角度γおよびδは共にほぼ90度である。すなわち、先端部17cと中間部17bとの間の段差面21は平面をなし、先端部17cの側縁面と実質的に直交している。ここで、「実質的に垂直」とは、先端部17cの側縁面の主たる部分と段差面21の主たる部分とのなす角度δがほぼ90度であることを意味すると共に、先端部17cの側縁面と段差面21とが交差する角部がシャープなエッジになっている場合のみならず丸みを帯びている場合をも含む意である。なお、上記の角度δは、例えば75〜120度の範囲にあるのが好適である。上記角部の丸み形状は、フォトレジストパターンを形成するためのマスクにおける上記角部に対応する部分がたとえシャープなエッジになっていたとしても生じ得るものである。また、フォトレジストパターンを形成するためのマスクにおける上記角部に対応する部分の角度を正確に90度にしたとしても、フォトリソグラフィ工程における露光量を増加させると、これにより形成される上部磁極17の角度δが110〜120度まで広がる場合もある
【0044】
図7から判るように、先端部17cは、平坦な記録ギャップ層9の上に延在し、中間部17bおよびヨーク部17aは、フォトレジスト層11,13等からなる丘陵状に盛り上がったエイペックス部の上に延在している。先端部17cの幅W2は、磁極幅P2Wに相当し、記録媒体上のトラック幅を規定するものである。
【0045】
なお、図9に示した各部の寸法としては、例えば次のような値が好適である。ヨーク部17aの長さL1=10〜40μm
中間部17bの長さL2=3.0〜5.0μm
先端部17cの長さL3(=スロートハイトTH)=0.5〜1.0μm
中間部17bの幅W1=2.0〜4.0μm
先端部17cの幅W2=0.6〜1.2μm
ヨーク部17aの幅W3=20〜40μm
【0046】
このような形状を有する上部磁極17をもつ薄膜磁気ヘッドは、オーバーライト特性において高い性能を発揮する。すなわち、この上部磁極17は、図9に示したように、TH0位置において先端部17cと連結している中間部17bの幅は、記録媒体上のトラック幅を規定する先端部17cの幅W2よりもかなり大きい幅W1を有し、中間部17bのボリュームは、従来の場合(図45)の部分Rのそれに比べて大きい。このため、薄膜コイル10,12によってヨーク部17aに発生した磁束は、中間部17bで飽和せず、先端部17cにまで十分に到達する。したがって、先端部17cが例えばサブミクロンという狭トラック幅に対応したものであっても、オーバーライト用の磁束として十分な大きさが得られる。すなわち、狭トラック化を実現しつつ、十分なオーバーライト特性を確保することが可能である。
【0047】
図12は、従来の薄膜磁気ヘッドのオーバーライト特性と本実施の形態の薄膜磁気ヘッドのオーバーライト特性とを比較して表すものである。この図の(A)は、図35に示したような形状の上部磁極114を有する従来の薄膜磁気ヘッドのオーバーライト特性を表し、(B)は図9に示したような形状の上部磁極17を有する本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドのオーバーライト特性を表す。この図に示したように、従来の薄膜磁気ヘッドでは、26.0dBという値であったのに対し、本実施の形態の薄膜磁気ヘッドでは、35.5dBという高い値が得られており、オーバーライト特性が改善されている。
【0048】
また、上記のような形状を有する上部磁極17をもつ薄膜磁気ヘッドは、製造工程上においても、次のような利点を有する。すなわち、図10に示したように、本実施の形態の薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極17では、ほぼTH0位置における、先端部17cと中間部17bとの段差面21が先端部17cの側縁面となす角度δはほぼ90度である。このため、フォトリソグラフィ工程でマスクを用いてフォトレジストを選択的に露光してパターニングする場合に生ずる、エイペックス部からの斜め方向および横方向の反射光は、TH0位置またはTH0位置に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置における段差面21と先端部17cの側縁面とがなすほぼ90度の角部において大部分が遮断され、先端部17cを形成するためのフォトレジスト領域にまで到達しにくくなる。このため、先端部17cを形成するためのフォトレジスト領域のパターン幅が広がるのを抑制することができる。具体的には、図10に示したように、先端部17cの長手方向の長さのうち、先端部17cにおける所期の目標幅W2よりも広がる部分(図中の破線)の長さd1を極めて小さくすることが可能である。
【0049】
これに対して、例えば図11に示したように、TH0位置における段差面21が先端部17cの側縁面となす角度δが90度よりもはるかに大きい場合(例えば130度以上)には、上記した角部における反射光の遮蔽効果が小さくなり、先端部17cにおける所期の目標幅W2よりも広がる部分(図中の破線)の長さd2は、より大きくなる。
【0050】
このように、本実施の形態の薄膜磁気ヘッドによれば、上部磁極17の先端部17cを形成するためのフォトレジスト領域のパターン幅の広がりを防止することができるので、記録媒体上の書込トラック幅を規定する先端部17cの幅をほぼ目標の値W2とすることができ、書込トラック幅の狭小化が可能である。
【0051】
以上のように、本実施の形態の薄膜磁気ヘッドによれば、TH0位置またはTH0位置に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置において上部磁極17の先端部17cと中間部17bとの間に、実質的に直角に変化する幅方向の段差を設けると共に、中間部17bの幅をトラック幅を規定する先端部17cの幅よりも十分大きくしたので、先端部17cを形成するためのフォトレジストのパターン幅の広がりを防止して書込トラック幅を微小化することができると共に、ヨーク部17aに発生した磁束が先端部17cに到達する前に飽和するのを防止して、十分なオーバーライト特性を確保することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、スロートハイトTHを規定する絶縁層8を、無機系絶縁膜で形成したので、コイル10,12を形成する際の250°C程度の温度による熱処理によって、絶縁層8の端縁の位置変動(パターンシフト)およびプロファイル悪化が生じることがない。そのため、スロートハイトの正確な制御が可能になる。更に、MRハイトの正確な制御や、エイペックスアングルθの正確な制御も可能となる。
【0053】
また、本実施の形態では、スロートハイトを規定する絶縁層8を、無機系絶縁膜で形成したので、トリム構造を形成するために記録ギャップ層9と下部磁極7をエッチングする際における絶縁層8の位置変動がなく、これによっても、スロートハイトの正確な制御が可能となる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、下部磁極(上部シールド)7と薄膜コイル10,12の間に、薄い記録ギャップ層9の他に、厚い絶縁層8を形成するようにしたので、下部磁極(上部シールド)7と薄膜コイル10,12との間に、大きな絶縁耐圧を得ることができると共に、薄膜コイル10,12からの磁束を漏れを低減することができる。
【0055】
なお、本実施の形態において、上部磁極17として、例えばNiFeやチッ化鉄(FeN)を用いるようにしたが、このほか、例えばFe−Co−Zrのアモルファス等の高飽和磁束密度材を用いてもよいし、これらの材料を2種類以上重ねて使用してもよい。また、下部磁極7としても、NiFeと上記の高飽和磁束密度材を重ねた磁性材料を用いてもよい。
【0056】
また、上部磁極17は、図9に示した形状に限定されず、例えば以下の図13〜図15に示したような形状にしてもよい。
【0057】
図13は、TH0位置における中間部17bの段差面21の両外側角部をわずかに面取りした場合の上部磁極17の平面図である。面取り部以外の部分の構造は図9の場合と同様である。この場合には、面取り後の段差面21の幅がW1となるようにする。
【0058】
図14は、TH0位置における段差面21が先端部17cの側縁面となす角度δを90度より大きくした場合の上部磁極17の平面図である。角度δは、例えば90〜150度とするが、より好適には90〜120度の範囲とする。
【0059】
図15は、中間部17bの側縁面がエアベアリング面20と平行な面となす角度γを90度より小さくした場合の上部磁極17の平面図である。角度γは、例えば70〜80度の範囲とするのが好適である。
【0060】
なお、図13〜図15において、先端部17cと中間部17bとの連結位置はTH0位置と厳密に一致しなければならないものではなく、TH0位置に対して例えばプラス/マイナス0.5μm程度の範囲でずれていてもよい。
【0061】
これらの図13〜図15に示した上部磁極17を有する薄膜磁気ヘッドにおいても、上記の図9に示した上部磁極17を有する薄膜磁気ヘッドの場合と同様の効果を得ることができる。
【0062】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0063】
まず、図16ないし図19を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法としての複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によって具現化されるので、以下併せて説明する。図16ないし図19において、(a)はエアベアリング面に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示している。これらの図で、上記各実施の形態における要素と同一部分には同一の符号を付すものとする。
【0064】
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法において、図16に示した下部磁極7を形成するところまでの工程は、上記第1の実施の形態における図3の途中までの工程と同様であるので、説明を省略する。
【0065】
本実施の形態では、図16に示したように下部磁極7の形成が終了すると、次に、図17に示したように、記録ギャップ層9を形成し、その上に、スロートハイトTHを規定するための絶縁膜パターン25を形成する。次に、後工程で薄膜コイル29を形成する領域よりも後方(図17(a)における右側)の位置において、磁路形成のために、記録ギャップ層9を部分的にエッチングして開口部9b(バックギャップ領域)を形成する。次に、絶縁膜パターン25からトラック対向面(エアベアリング面)となる側にかけての領域に、例えば電解めっき法により、上部磁極の一部を構成することとなる上部ポールチップ27aを選択的に形成する。このとき、同時に、開口部9bにも磁路形成パターン27bを形成する。上部ポールチップ27aおよび磁路形成パターン27bとしては、例えば、高飽和磁束密度材であるパーマロイ(NiFe)系の合金や窒化鉄(FeN)系の合金等が用いられる
【0066】
上部ポールチップ27aおよび磁路形成パターン27bの形成は、例えば、次のようにして行う。すなわち、まず、高飽和磁束密度材であるNiFe系合金を、例えばスパッタリングにより、約70nmの厚みで形成して、電解めっき法におけるシード層となる電極膜(図示せず)を形成する。次に、上記の電極膜上に、フォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりパターニングして、フレームめっき法によってフォトレジストパターン(図示せず)を形成する。次に、このフォトレジストパターンをマスクとし、先に形成した電極膜をシード層として、電解めっき法によって、上部ポールチップ27aおよび磁路形成パターン27bを、約3〜5μmの厚みに形成し、その後、フォトレジストパターンを除去する。この上部ポールチップ27aは、例えば図20および図21に示したような形状とする。この上部ポールチップ27aの形状については後述する。
【0067】
次に、上部ポールチップ27aをマスクとして、例えばイオンミリングによって、記録ギャップ層9と下部磁極7とを、約0.3〜0.5μm程度エッチングして、書き込み時における実効トラック幅の広がりを抑制するためのトリム構造を形成する。
【0068】
次に、全体に、例えばアルミナ膜等の絶縁膜28を0.5〜1.5μm程度の膜厚に形成したのち、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の薄膜コイル29を2〜3μmの厚みで形成する。次に、全体に、例えばアルミナ膜等の絶縁膜30を3〜4μm程度の膜厚に形成したのち、例えばCMP(化学機械研磨)法により全体を研磨して平坦化し、上部ポールチップ27aおよび磁路形成パターン27bの表面を露出させる。
【0069】
次に、図18に示したように、上部ポールチップ27aおよび磁路形成パターン27bの場合と同様の工程の電解めっき法によって、上部ヨーク兼上部磁極(以下、上部磁極という。)27cを、約3〜5μmの厚みに形成する。この上部磁極27cは、例えば図20に示したような形状を有し、上記の開口部9bにおいて下部磁極7と接触して磁気的に連結されると共に、上部ポールチップ27aとも接触して磁気的に連結される。上部磁極17としては、例えば、高飽和磁性材料であるパーマロイ(NiFe)や窒化鉄(FeN)等が用いられる
【0070】
次に、全体を覆うようにして、例えばアルミナよりなるオーバーコート層38を形成する。最後に、スライダの機械加工を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリング面(トラック面)を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0071】
なお、ここでは、1層の薄膜コイル29のみを形成するようにしたが、図19に示したように、薄膜コイル29を覆う絶縁層30の上に第2層の薄膜コイル35を形成し、これをフォトレジスト層36で覆った後、その上に上部磁極37を選択的に形成するようにしてもよい。
【0072】
図20は、上部磁極27cおよび上部ポールチップ27aの平面構造を表し、図21は上部ポールチップ27aの平面構造を表すものである。図20に示したように、上部磁極27cは、幅W3を有し上部磁極27cの大部分を占めるヨーク部27c(1) と、上部ポールチップ27aと一部オーバーラップして接続される接続部27c(2) とを有している。ヨーク部27c(1) の形状は、上記第1の実施の形態における上部磁極17のヨーク部17aと同様である。接続部27c(2) の幅は、上記第1の実施の形態における上部磁極17の中間部17bの幅よりも広くなっている。ヨーク部17aおよび接続部27c(2) の各幅方向の中心は互いに一致している。
【0073】
図21に示したように、上部ポールチップ27aは、記録媒体上の書込トラック幅を規定する先端部27a(1) と、上部磁極27cの接続部27c(2) と接続される中間部27a(2) とを有している。中間部27a(2) は、上記第1の実施の形態における上部磁極17の中間部17bと同じ幅W1を有し、長さはL4である。先端部27a(1) は、上記第1の実施の形態における先端部17cと同じ幅W2を有する。先端部27a(1) と中間部27a(2) との連結部は、TH0位置とほぼ一致し、同時に、上部磁極27cの接続部27c(2) における前側(エアベアリング面側)の端縁面とも一致している。この連結部(すなわち、ほぼTH0位置)において、中間部27a(2) の幅はW1であり、先端部27a(1) の幅は、W1よりも小さいW2である。すなわち、TH0位置またはTH0位置に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置において、中間部27a(2) と先端部27a(1) との間には幅方向の段差が存在している。この段差部における中間部27a(2) 側の段差面21は、中間部27a(2) の側面と角度γ1をなし、先端部27a(1) の側縁面と角度δをなしている。本実施の形態では、角度γ1およびδは共に90度である。すなわち、中間部27a(2) および先端部27a(1) は共に矩形をなしており、段差面21は先端部27a(1) の側縁面と実質的に直交している
【0074】
図18および図20から明らかなように、先端部27a(1) は、平坦な記録ギャップ層9の上に延在し、中間部27a(2) は、絶縁パターン25の上に位置している。
【0075】
なお、図20に示した各部の寸法としては、例えば次のような値が好適である。
中間部27a(2) の幅W1=2.0〜5.0μm
中間部27a(2) の長さL4=1.0〜5.0μm
先端部27a(1) の幅W2=0.4〜1.2μm
ヨーク部17aの幅W3=30〜40μm
接続部27c(2) の長さ=3.0〜5.0μm
【0076】
このような形状を有する上部磁極17をもつ薄膜磁気ヘッドは、上記第1の実施の形態の場合と同様の理由から、オーバーライト特性において高い性能を発揮する。また、このような形状の上部磁極27cおよび上部ポールチップ27aを有する薄膜磁気ヘッドは、製造工程上においても、上記第1の実施の形態の場合と同様の利点を有する。
【0077】
すなわち、本実施の形態の薄膜磁気ヘッドによれば、上部ポールチップ27aの先端部27a(1) を形成するためのフォトレジストのパターン幅の広がりを防止して書込トラック幅を微小化することができると共に、ヨーク部27c(1) に発生した磁束が上部ポールチップ27aの先端部27a(1) に到達する前に飽和するのを防止して、十分なオーバーライト特性を確保することができる。
【0078】
また、本実施の形態では、上部磁極27cをCMP研磨後の平坦部上に形成できるため、フォトリソグラフィによるフォトレジストパターンの形成を高精度に行うことができる。
【0079】
また、本実施の形態では、記録ギャップ層9と薄膜コイル10との間に、アルミナ等からなる厚い絶縁膜28が形成されているため、薄膜コイル10と下部磁極7との間の絶縁耐圧を高めることができると共に、薄膜コイル10からの磁束の洩れを低減することができる。
【0080】
なお、上部磁極27cおよび上部ポールチップ27aは、図20,図21に示した形状に限定されず、例えば以下の図22〜図24に示したような形状にしてもよい。
【0081】
図22は、中間部27a(2) の段差面21の両外側角部を面取りした場合の上部ポールチップ27aの平面図である。面取り部以外の部分の構造は図21の場合と同様である。面取り角ηは、段差面21に対して例えば30〜60度とするのが好適である。
【0082】
図23は、上部磁極27cの接続部27c(2) および上部ポールチップ27aの中間部27a(2) がテーパを有する場合の平面構成を表し、図24は、上部ポールチップ27aの平面構成を表すものである。これらの図で、上部磁極27cの接続部27c(2) のテーパ角γは、接続部27c(2) の端縁面22に対して例えば45〜60度の範囲とし、上部ポールチップ27aの中間部27a(2) のテーパ角γ1は、段差面21に対して例えば60〜80度の範囲とするのが好適である。
【0083】
これらの図22〜図24に示した上部磁極27cおよび上部ポールチップ27aを有する薄膜磁気ヘッドにおいても、上記の図20に示した上部磁極27cおよび上部ポールチップ27aを有する薄膜磁気ヘッドの場合と同様の効果を得ることができる。
【0084】
なお、上部磁極27cの接続部27c(2) における前側(エアベアリング面側)の端縁面22の位置は、TH0位置と一致している上部ポールチップ27aの段差面21の位置と正確に一致しなければならないものではなく、例えば図25に示したように、接続部27c(2) の端縁面22の位置が段差面21の位置よりも後方(エアベアリング面と反対の側)にずれるようにしてもよい。
【0085】
また、上記第2の実施の形態(図20)における上部磁極27cの接続部27c(2) は、必須のものではなく、例えば図26に示したように、上部磁極27cをヨーク部27c(1) のみで構成し、上部ポールチップ27aの中間部27a(2) の上にヨーク部27c(1) の一部をオーバーラップさせるようにしてもよい。この場合も、ヨーク部27c(1) の前側の端縁面22の位置は、TH0位置と一致している上部ポールチップ27aの段差面21の位置と正確に一致しなければならないものではなく、例えば図27に示したように、ヨーク部27c(1) の前側の端縁面22の位置が上部ポールチップ27aの段差面21の位置よりも後方(エアベアリング面と反対の側)にずれるようにしてもよい。
【0086】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0087】
図28は本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの上部磁極27cおよび上部ポールチップ27aの平面構成を表し、図29は図28における要部を拡大して表すものである。なお、これらの図で、上記第2の実施の形態における図20で示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0088】
図28および図29に示したように、本実施の形態では、上部磁極27cの接続部27c(2) は、その前側(エアベアリング面側)の端縁面22の位置が上部ポールチップ27aの段差面21の位置を越えて先端部27a(1) の一部ともオーバーラップすることとなるように延在している。このオーバーラップした部分における接続部27c(2) の端縁面22は、先端部27a(1) の延在方向、すなわち先端部27a(1) の側縁面23の方向と直交している。また、本実施の形態では、TH0の位置と一致するのは、上部ポールチップ27aの段差面21の位置ではなく、接続部27c(2) の端縁面22の位置である。その他の構成および製造方法は、上記第2の実施の形態の場合と同様であり、例えば、先端部27a(1) を通りエアベアリング面21と垂直な面に沿った断面構造は、図18または図19に示したものと同様である。
【0089】
ところで、図18において説明したように、上部ポールチップ27aを形成するためのフォトリソグラフィ工程と、上部磁極27cを形成するためのフォトリソグラフィ工程とは、全く別個に行われる。このため、たとえ、上部ポールチップ27aの形成用のフォトリソグラフィ工程における露光状態の悪さによってフォトレジストの角部が丸まってしまい、例えば図29に示したように、上部ポールチップ27aの段差面21と先端部27a(1) の側縁面23との交差部24がシャープな直角にならずに丸みが生じたとしても、先端部27a(1) の側縁面23と上部磁極27cの接続部27c(2) とは、必ず、シャープな直角をなすこととなる。すなわち、記録媒体のトラック幅を規定する先端部27a(1) の幅が、TH0の位置からエアベアリング面20までの全域(スロートハイトTHの全域)にわたって正確にW1となるようにすることができる。したがって、トラック幅の縮小に伴って、先端部27a(1) の幅W1を1μm以下、さらには0.5μm以下にする場合においても、TH0位置の近傍で先端部27a(1) の幅W1が広がることがない。特に、より高性能の薄膜磁気ヘッドを得るためにスロートハイトTHを従来の1μm程度から0.5〜0.2μmという値に縮小した場合においても、スロートハイトTHの全域にわたって正確な設計値幅W1を保証することが可能となる。これにより、記録媒体上の記録トラック幅を正確にコントロールすることができ、あるトラックに書き込まれるべきデータが隣のトラックにも書き込まれてしまうというサイドライト現象の発生を効果的に防止することができる。
【0090】
また、本実施の形態では、先端部27a(1) のTH0位置の直ぐ後方に、直角に広がる接続部27c(2) が存在すると共に、段差面21の直ぐ後方に中間部27a(2) が存在しているので、これらによって十分な磁気ボリュームが確保されている。このため、ヨーク部27c(1) に発生した磁束が上部ポールチップ27aの先端部27a(1) に到達する前に飽和するのを効果的に防止することができ、十分なオーバーライト特性を確保することが可能である。
【0091】
なお、本実施の形態のように、上部磁極27cの接続部27c(2) の端縁面22を上部ポールチップ27aの段差面21を越えたところに位置させるようにする場合において、上部ポールチップ27aおよび上部磁極27cの形状は、図28に示したものには限定されない。例えば図30に示したように、上部磁極27cの接続部27c(2) および上部ポールチップ27aの中間部27a(2) が、それぞれ、テーパをもつような形状にしてもよい。上部磁極27cの接続部27c(2) のテーパ角および上部ポールチップ27aの中間部27a(2) のテーパ角は、上記した図23の場合と同様とするのが好適である。
【0092】
また、図31に示したように、上部磁極27cから接続部27c(2) を除いて上部磁極27cをヨーク部27c(1) のみで構成し、ヨーク部27c(1) の端縁面22が上部ポールチップ27aの段差面21を越えて先端部27a(1) の上に位置するようにヨーク部27c(1) をオーバーラップさせてもよい。
【0093】
また、例えば図32に示したように、上部ポールチップ27aの段差面21が先端部27a(1) の側縁面23と90度以上の角度をなすようにしてもよい。但し、段差面21が側縁面23と90度をなすようにするのが好適である。
【0094】
なお、上記第2および第3の実施の形態では、薄膜磁気ヘッドの上部磁極部が上部磁極27cおよび上部ポールチップ27aの2つの部分に分割されて形成されると共に薄膜磁気ヘッド全体が図19に示したような断面構造を有するものである場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、以下の第4および第5の実施の形態に示すような構造を有するものであってもよい。
【0095】
[第4の実施の形態]
次に、図33〜図35を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法としての複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明する。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によって具現化されるので、以下併せて説明する。図33ないし図35において、(a)はエアベアリング面に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示している。これらの図で、上記各実施の形態における要素と同一部分には同一の符号を付すものとする。
【0096】
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法において、図33における下部磁極7を形成するところまでの工程は、上記第1の実施の形態における図1から図3の途中までの工程と同様であるので、説明を省略する。
【0097】
本実施の形態では、図33に示したように下部磁極7の形成が終了すると、次に、下部磁極7上に、下部ポールチップ41aおよび下部接続部41bを約2.0〜2.5μmの厚みで形成する。ここで、下部ポールチップ41aは、そのエアベアリング面側の先端部がMR(GMR)ハイト零の位置の近辺になるように成形し、同時に、エアベアリング面の反対側がスロートハイト零の位置となるようにする。なお、この下部ポールチップ41aおよび下部接続部41bは、NiFe等のめっき膜により形成してもよく、FeN,FeZrNP,CoFeNなどのスパッタ膜により形成してもよい
【0098】
続いて、全面に、例えばスパッタ法またはCVD法により、例えばアルミナ等の絶縁材料よりなる膜厚0.3〜0.6μmの絶縁膜42を形成する。
【0099】
次に、下部ポールチップ41aと下部接続部41bとの間に形成された凹部領域に、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の1層目の薄膜コイル43を1.5〜2.5μmの厚みで形成する。このとき同時に、下部接続部41bの後方領域(図の右側領域)に、薄膜コイル43を後述する第2層の薄膜コイルと接続するためのコイル接続部43Cを形成する。
【0100】
次に、全面に、スパッタ法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚3.0〜4.0μmの絶縁層44を形成した後、例えばCMP法により表面を平坦化し、下部ポールチップ41aおよび下部接続部41bの表面を露出させる。
【0101】
次に、図34に示したように、スパッタ法により、例えばアルミナ絶縁材料よりなる膜厚0.2〜0.3μmの記録ギャップ層9を形成する。記録ギャップ層9は、アルミナの他、窒化アルミニウム(AlN)、シリコン酸化物系、シリコン窒化物系の材料などにより形成するようにしてもよい。続いて、この記録ギャップ層9をフォトリソグラフィーによりパターニングし、上部磁極と下部磁極との接続用の開口9aを形成すると共に、記録ギャップ層9および絶縁層44をパターニングして、コイル接続部43Cに達する開口9bを形成する。
【0102】
続いて、記録ギャップ層9上に、上部ポールチップ45a、および、上部磁極と下部磁極とを磁気的に接続させるための上部接続部45bを形成する。このとき、上部接続部45bは、下部接続部41bとオーバーラップして接触するように形成する。一方、上部ポールチップ45aは、エアベアリング面から後方に向かって下部ポールチップ41aよりも長く延在するように形成する。また、上部ポールチップ45aは、上記第3の実施の形態(図28等)の場合と同様に、磁気ボリュームの確保のための中間部27a(2) と、トラック幅を規定するための先端部27a(1) と、これらの連結部における段差面21とを有するように形成する。上部ポールチップ45aの平面形状は、図28、図30、図31または図32に示したような形状とする。さらに、上部ポールチップ45aは、その段差面21が、下部ポールチップ41aの後側の端縁面の位置(すなわち、TH0位置)よりも僅かに後方に位置するようにする。
【0103】
続いて、上部ポールチップ45aをマスクとして、その周辺の記録ギャップ層9および下部ポールチップ41aを自己整合的にエッチングする。すなわち、上部ポールチップ45aをマスクとした塩素系ガス(Cl2 ,CF4 ,BCl2 ,SF6 等)によるRIEにより、記録ギャップ層9を選択的に除去した後、露出した下部ポールチップ41aを、再び、例えばArのイオンミリングによって約0.3〜0.6μm程度エッチングして、トリム構造を形成する。
【0104】
続いて、全面に、例えばスパッタ法またはCVD法により、膜厚約0.3〜0.6μmの例えばアルミナからなる絶縁層46を形成する。続いて、上部ポールチップ45aおよび上部接続部45bにより形成された凹部内の絶縁膜46上に、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の2層目の薄膜コイル47を1.5〜2.5μmの厚みで形成する。このとき、同時に、開口9bを介してコイル接続部43Cと接触するコイル接続部47Cを形成する。
【0105】
続いて、全面に、例えばスパッタ法またはCVD法により、膜厚約3〜4μmの例えばアルミナからなる絶縁層48を形成する。なお、この絶縁層48や絶縁膜46は、アルミナに限らず、二酸化珪素(SiO2 )や、窒化珪素(SiN)等の他の絶縁材料により形成してもよい。
【0106】
続いて、例えばCMP法により、上部ポールチップ45aおよび上部接続部45bの表面が露出するように、絶縁層48および絶縁膜46を研磨し、これらの絶縁層48および絶縁膜46の表面と上部ポールチップ45aおよび上部接続部45bの各表面とが同一面を構成するように平坦化する。
【0107】
次に、図35に示したように、例えば上部ポールチップ45aと同じ材料を用いて、例えば電解めっき法やスパッタ法などの方法により、上部磁極49を約3〜4μmの厚みに選択的に形成する。その際、上部磁極49の一部が上部ポールチップ45aの一部とオーバーラップし、かつ、上部磁極49の前側(エアベアリング面側)の端縁面22の位置が下部ポールチップ41aの後側の端縁の位置(すなわち、TH0位置)と一致することとなるようにする。また、上部磁極49の後側の端部が上部接続部45b上に差し掛かるようにする。これにより、上部磁極49は、上部ポールチップ45aと磁気的に連結されると共に、上部接続部45bおよび下部接続部41bを介して下部磁極7と磁気的に連結される
【0108】
最後に、全面を覆うように、例えばスパッタ法によりアルミナよりなる膜厚約30μmのオーバーコート層50を形成する。その後、スライダの機械加工を行い、記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリング面(ABS)を形成することにより、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0109】
本実施の形態において、上部磁極49は、その前側の端縁面22の位置は、TH0位置と一致すると共に、上部ポールチップ45aの段差面21の位置よりも前方にあるように形成されている。このため、上記第3の実施の形態における図29の場合と同様に、上部ポールチップ45aの段差面21と先端部27a(1) の側縁面23との交差部24がシャープな直角にならずに丸みが生じたとしても、先端部27a(1) の側縁面23と上部磁極49の接続部27c(2) の端縁面22とは、必ず、シャープな直角をなし、TH0位置の近傍で先端部27a(1) の幅W1が広がることがない。したがって、上記第3の実施の形態の場合と同様に、スロートハイトTHの全域にわたって正確な設計値幅W1を保証することが可能となるので、記録媒体上の記録トラック幅を正確にコントロールすることができ、サイドライト現象の発生を効果的に防止することができる。なお、ここでの説明では、図29において上部磁極27cを上部磁極49と読み替え、上部ポールチップ27aを上部ポールチップ45aと読み替えている。
【0110】
また、本実施の形態において、上部ポールチップ45aの先端部27a(1) のTH0位置の直ぐ後方に、直角に広がる接続部27c(2) が存在すると共に、段差面21の直ぐ後方に中間部27a(2) が存在しているので、これらによって十分な磁気ボリュームが確保されている。このため、上記第3の実施の形態の場合と同様に、ヨーク部27c(1) に発生した磁束が上部ポールチップ27aの先端部27a(1) に到達する前に飽和するのを効果的に防止することができ、十分なオーバーライト特性を確保することが可能である。
【0111】
また、本実施の形態では、上部ポールチップ45aを平坦部上に形成することができるため、フォトリソグラフィによるフォトレジストパターンの形成を高精度に行うことができ、上部ポールチップ45aの先端部27a(1) の幅を0.5〜0.25μmの精度で微細化することも可能となる。また、上部磁極49もまた、CMP研磨後の平坦部上に形成できるため、同様の理由から高精度のパターニングが可能である。
【0112】
また、本実施の形態では、下部磁極7と薄膜コイル43との間にアルミナ等からなる厚い絶縁膜42が形成されると共に、記録ギャップ層7と薄膜コイル47との間にアルミナ等からなる厚い絶縁膜46が形成されているため、薄膜コイル43と下部磁極7との間の絶縁耐圧、および薄膜コイル43,47間の絶縁耐圧を高めることができると共に、薄膜コイル43,47からの磁束の洩れを低減することができる。
【0113】
[第5の実施の形態]
次に、図36〜図38を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法としての複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明する。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によって具現化されるので、以下併せて説明する。図36ないし図38において、(a)はエアベアリング面に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示している。これらの図で、上記各実施の形態における要素と同一部分には同一の符号を付すものとする。
【0114】
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法において、図36における下部磁極7を形成するところまでの工程は、上記第1の実施の形態における図1から図3の途中までの工程と同様であるので説明を省略する。
【0115】
本実施の形態では、図36に示したように下部磁極7の形成が終了すると、次に、下部磁極7上に、下部ポールチップ61aおよび下部接続部61bを形成する。ここで、下部ポールチップ41aは、そのエアベアリング面側の先端部がMR(GMR)ハイト零の位置の近辺になるように成形し、同時に、エアベアリング面の反対側がスロートハイト零の位置となるようにする
【0116】
次に、全面に、スパッタ法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚3.0〜4.0μmの絶縁層62を形成した後、例えばCMP法により表面を平坦化し、下部ポールチップ61aおよび下部接続部61bの表面を露出させる。
【0117】
次に、図37に示したように、スパッタ法により、例えばアルミナ等の絶縁材料よりなる膜厚0.2〜0.3μmの記録ギャップ層9を形成する。続いて、この記録ギャップ層9をフォトリソグラフィーによりパターニングし、上部磁極と下部磁極との接続用の開口9aを形成する
【0118】
次に、記録ギャップ層9上に、上部ポールチップ63a、および、上部磁極と下部磁極とを磁気的に接続させるための上部接続部63bを形成する。このとき、上部接続部63bは、下部接続部61bとオーバーラップして接触するように形成する。一方、上部ポールチップ63aは、エアベアリング面から後方に向かって下部ポールチップ61aよりも長く延在するように形成する。また、上部ポールチップ63aは、上記第3の実施の形態(図28等)の場合と同様に、磁気ボリュームの確保のための中間部27a(2) と、トラック幅を規定するための先端部27a(1) と、これらの連結部における段差面21とを有するように形成する。上部ポールチップ63aの平面形状は、図28、図30、図31または図32に示したような形状とする。さらに、上部ポールチップ63aは、その段差面21が、下部ポールチップ61aの後側の端縁面の位置(すなわち、TH0位置)よりも僅かに後方に位置するようにする。
【0119】
続いて、上部ポールチップ63aをマスクとして、その周辺の記録ギャップ層9および下部ポールチップ61aを自己整合的にエッチングして、トリム構造を形成する。
【0120】
次に、上部ポールチップ63aと上部接続部63bとの間に形成された凹部領域の記録ギャップ層9上に、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の1層目の薄膜コイル64を1.5〜2.5μmの厚みで形成する。このとき同時に、上部接続部63bの後方領域(図の右側領域)に、薄膜コイル64を後述する第2層の薄膜コイルと接続するためのコイル接続部64Cを形成する。
【0121】
次に、図38に示したように、全面に、スパッタ法により、例えばアルミナ等の絶縁材料よりなる膜厚3.0〜4.0μmの絶縁層65を形成した後、例えばCMP法により表面を平坦化し、上部ポールチップ63aおよび上部接続部63bの表面を露出させる。
【0122】
続いて、絶縁層65を選択的にエッチングして、コイル接続部64Cに達する開口65aを形成する。
【0123】
次に、絶縁層65上に、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の2層目の薄膜コイル66を1.5〜2.5μmの厚みで形成する。このとき、同時に、開口65aを介してコイル接続部64Cと接触するコイル接続部66Cを形成する。
【0124】
次に、高精度のフォトリソグラフィにより、薄膜コイル66およびコイル接続部64Cを覆うようにしてフォトレジスト層67を形成したのち、このフォトレジスト層67の表面の平坦化および薄膜コイル66間の絶縁化のために、例えば250°Cの温度で熱処理する。
【0125】
次に、例えば上部ポールチップ45aと同じ材料を用いて、例えば電解めっき法などの方法により、上部磁極68を約3〜4μmの厚みに選択的に形成する。その際、上部磁極68の一部が上部ポールチップ63aの一部とオーバーラップし、かつ、上部磁極68の前側(エアベアリング面側)の端縁面22の位置が下部ポールチップ61aの後側の端縁の位置(すなわち、TH0位置)と一致することとなるようにする。また、上部磁極68の後側の端部が上部接続部63b上に差し掛かるようにする。これにより、上部磁極68は、上部ポールチップ63aと磁気的に連結されると共に、上部接続部63bおよび下部接続部61bを介して下部磁極7と磁気的に連結される
【0126】
最後に、全面を覆うように、例えばスパッタ法によりアルミナよりなる膜厚約30μmのオーバーコート層69を形成する。その後、スライダの機械加工を行い、記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリング面(ABS)を形成することにより、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0127】
本実施の形態においても、上記第3および第4の実施の形態の場合と同様の作用、効果を奏する。すなわち、記録媒体上の記録トラック幅を正確にコントロールしてサイドライト現象の発生を効果的に防止できると共に、十分なオーバーライト特性を確保することが可能である。
【0128】
また、本実施の形態では、上部ポールチップ63aを平坦部上に形成することができるため、フォトリソグラフィによるフォトレジストパターンの形成を高精度に行うことができ、上部ポールチップ63aの先端部27a(1) の幅を0.5〜0.25μmの精度で微細化することも可能である。
【0129】
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記の各実施の形態およびその変形例では、複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明したが、本発明は、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録専用の薄膜磁気ヘッドや記録・再生兼用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドにも適用することができる。また、本発明は、書き込み用の素子と読み出し用の素子の積層順序を逆転させた構造の薄膜磁気ヘッドにも適用することができる。
【0130】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項のいずれか1に記載の薄膜磁気ヘッド、あるいは請求項ないし請求項のいずれか1に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、記録ギャップ層および絶縁膜パターンと、磁極先端部分と、磁極連結部分とによって囲まれた凹部空間の内表面を被覆する絶縁膜を備えるようにしたので、薄膜コイル部と第2の磁性層との間の絶縁耐圧を高めることができると共に、薄膜コイル部からの磁束の漏れを低減することができる。また、磁極先端部分の、記録ギャップ層と反対側の表面と、絶縁膜の端面とが、同一平面をなすように平坦化されており、すなわち平坦面上に磁極先端部分が形成されるようにしたので、フォトリソグラフィによるフォトレジストパターンの形成を高精度に行うことができる。さらに、第1の磁性層が、エアベアリング面から絶縁膜パターンにおける記録媒体に近い側の端縁部に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置にかけて延在し、記録トラックの幅を規定する一定幅を有する第1の磁性層部分と、絶縁膜パターンにおける上記の端縁部に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置において第1の磁性層部分と磁気的に連結され、この第1の磁性層部分よりも大きな幅をすると共に第1の磁性層部分との連結部に幅方向の段差を形成する第2の磁性層部分とを含むようにしたので、例えば、上記連結部における第2の磁性層部分の段差面が、第1の磁性層部分の延在方向と直交する平面をなすようにすれば、第1の磁性層部分を形成する際のフォトリソグラフィ工程における下地層からの無用な反射光の影響を抑制して第1の磁性層部分の幅を精度よく形成することができると共に、薄膜コイルによって発生した磁束が第1の磁性層部分に流れ込む前に第2の磁性層部分で飽和してしまうのを抑制することができる。したがって、第1の磁性層部分の幅を例えばサブミクロン領域にまで微細化しつつ、十分なオーバーライト特性を担保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図2】図1に続く工程を説明するための断面図である。
【図3】図2に続く工程を説明するための断面図である。
【図4】図3に続く工程を説明するための断面図である。
【図5】図4に続く工程を説明するための断面図である。
【図6】図5に続く工程を説明するための断面図である。
【図7】図6に続く工程を説明するための断面図である。
【図8】完成した薄膜磁気ヘッドの平面構造を表す平面図である。
【図9】図8に示した薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極の平面構造を表す平面図である。
【図10】図8に示した薄膜磁気ヘッドにおける作用を説明するための上部磁極の拡大平面図である。
【図11】図8に示した薄膜磁気ヘッドに対する比較例における作用を説明するための上部磁極の拡大平面図である。
【図12】図8に示した薄膜磁気ヘッドと従来の薄膜磁気ヘッドのオーバーライト特性を表す図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの上部磁極の変形例を表す平面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの上部磁極の他の変形例を表す平面図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの上部磁極のさらに他の変形例を表す平面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図17】図16に続く工程を説明するための断面図である。
【図18】図17に続く工程を説明するための断面図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの変形例を表す断面図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの上部磁極および上部ポールチップの平面構造を表す平面図である。
【図21】図20に示した上部ポールチップの平面構造を拡大して表す平面図である。
【図22】図21に示した上部ポールチップの変形例を表す平面図である
【図23】図20に示した上部磁極および上部ポールチップの変形例を表す平面図である。
【図24】図23に示した上部ポールチップの平面構造を拡大して表す平面図である。
【図25】図20に示した上部磁極および上部ポールチップの他の変形例を表す平面図である。
【図26】本発明の薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極および上部ポールチップの変形例を表す平面図である。
【図27】本発明の薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極および上部ポールチップの他の変形例を表す平面図である。
【図28】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの上部磁極および上部ポールチップの平面構造を表す平面図である。
【図29】図28に示した上部磁極および上部ポールチップの要部を拡大した平面図である。
【図30】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの上部磁極および上部ポールチップにおける変形例を表す平面図である。
【図31】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの上部磁極および上部ポールチップにおける他の変形例を表す平面図である。
【図32】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの上部磁極および上部ポールチップにおけるさらに他の変形例を表す平面図である。
【図33】本発明の第4の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図34】図33に続く断面図である。
【図35】図34に続く断面図である。
【図36】本発明の第5の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図37】図36に続く断面図である。
【図38】図37に続く断面図である。
【図39】従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図40】図39に続く工程を説明するための断面図である。
【図41】図40に続く工程を説明するための断面図である。
【図42】従来の薄膜磁気ヘッドの構造を表す断面図である。
【図43】従来の薄膜磁気ヘッドにおけるエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。
【図44】従来の薄膜磁気ヘッドの構造を示す平面図である。
【図45】従来の薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極の構造を示す平面図である。
【図46】従来の薄膜磁気ヘッドにおける上部磁極を微細化する場合の問題点を説明するための上部磁極の平面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁層、3…下部シールド層、4,6…シールドギャップ膜、5…MR膜、7…下部磁極、8…絶縁層、9…記録ギャップ層、10,12,29,35,43,47,64,66…薄膜コイル、11,13,36,67…フォトレジスト層、17,27c,37,49,68,…上部磁極、17a…ヨーク部、17b…中間部、17c…先端部、18,31,38,50,69…オーバーコート層、20…エアベアリング面、21…段差面、22…端縁面、23…側縁面、25…絶縁膜パターン、27a,45a,63a…上部ポールチップ、27b…磁路形成パターン、27a(1) …先端部、27a(2) …中間部、27c(1) …ヨーク部、27c(2) …接続部、28,42,46…絶縁膜、30,44,48,62,65…絶縁層、41a,61a…下部ポールチップ、41b,61b…下部接続部、45b,63b…上部接続部、TH…スロートハイト。

Claims (6)

  1. 記録ギャップ層と、
    前記記録ギャップ層の、記録媒体に近い側の所定の領域に、この記録ギャップ層の表面に接するようにして配設された絶縁膜パターンと、
    前記記録媒体に面するエアベアリング面を有し前記記録ギャップ層を介して互いに対向する2つの磁極、を含み、前記エアベアリング面と反対側のバックギャップ領域において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、
    前記第1および第2の磁性層の間に配設された薄膜コイル部と
    を備えると共に、前記第1の磁性層が、
    前記エアベアリング面から前記絶縁膜パターンにおける前記記録媒体に近い側の端縁部に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置にかけて延在し、前記記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する第1の磁性層部分と、前記絶縁膜パターンの前記端縁部に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置において前記第1の磁性層部分と磁気的に連結され、この第1の磁性層部分よりも大きな幅を有すると共に前記第1の磁性層部分との連結部に幅方向の段差を形成する第2の磁性層部分とを含み、前記記録ギャップ層および前記絶縁膜パターンと接するようにして前記エアベアリング面から前記絶縁膜パターン上の所定の位置にかけて延在する磁極先端部分と、
    前記第2の磁性層と接するようにして前記バックギャップ領域に配設された磁極連結部分と、
    前記磁極先端部分と前記磁極連結部分とを磁気的に連結すると共に前記磁極先端部分のうちの前記第2の磁性層部分よりも大きな幅を有するヨーク部分と
    を含むように構成された薄膜磁気ヘッドであって、さらに、
    前記記録ギャップ層および前記絶縁膜パターンと、前記磁極先端部分と、前記磁極連結部分とによって囲まれた凹部空間の内表面を被覆する絶縁膜
    を備え、
    前記絶縁膜パターンの前記記録媒体に近い側の端縁が、前記エアベアリング面に対する基準位置を規定し、
    前記磁極先端部分の、前記記録ギャップ層と反対側の表面と、前記絶縁膜の端面とが、同一平面をなすように平坦化されていると共に、
    前記第1の磁性層部分および前記第2の磁性層部分が一体をなしている
    ことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. さらに、
    前記絶縁膜によって被覆された前記凹部空間に前記薄膜コイル部を埋め込むように配設された絶縁層
    を備え、
    前記絶縁層の表面もまた、前記磁極先端部分および前記磁極連結部分の、前記記録ギャップ層と反対側の表面、ならびに前記絶縁膜の端面と、同一平面をなすように平坦化されている
    ことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 前記第1の磁性層部分と前記第2の磁性層部分との連結部における第2の磁性層部分の段差面が、前記第1の磁性層部分の延在方向と直交する平面をなしている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 記録ギャップ層を形成するステップと、
    前記記録ギャップ層の、記録媒体に近い側の所定の領域に、この記録ギャップ層の表面に接するようにして絶縁膜パターンを形成するステップと、
    前記記録媒体に面するエアベアリング面を有し前記記録ギャップ層を介して互いに対向する2つの磁極、を含む第1および第2の磁性層を、前記エアベアリング面と反対側のバックギャップ領域において互いに磁気的に連結されるように形成するステップと、
    前記第1および第2の磁性層の間に薄膜コイル部を形成するステップと
    を含むと共に、前記第1の磁性層を形成するステップが、
    前記エアベアリング面から前記絶縁膜パターンにおける前記記録媒体に近い側の端縁部に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置にかけて延在し、前記記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する第1の磁性層部分と、前記絶縁膜パターンの前記端縁部に対してプラス/マイナス0.5μmの範囲内の所定の位置において前記第1の磁性層部分と磁気的に連結され、この第1の磁性層部分よりも大きな幅を有すると共に前記第1の磁性層部分との連結部に幅方向の段差を形成する第2の磁性層部分とを含み、前記記録ギャップ層および前記絶縁膜パターンと接するようにして前記エアベアリング面から前記絶縁膜パターン上の所定の位置にかけて磁極先端部分を形成するステップと、
    前記第2の磁性層と接するようにして前記バックギャップ領域に磁極連結部分を形成するステップと、
    前記磁極先端部分と前記磁極連結部分とを磁気的に連結すると共に前記磁極先端部分のうちの前記第2の磁性層部分よりも大きな幅を有するようにヨーク部分を形成するステップと
    を含む薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、さらに、
    前記記録ギャップ層および前記絶縁膜パターンと、前記磁極先端部分と、前記磁極連結部分とによって囲まれた凹部空間の内表面を被覆するように絶縁膜を形成するステップと、
    前記磁極先端部分の、前記記録ギャップ層と反対側の表面が、少なくとも前記絶縁膜の端面と同一平面をなすように平坦化するステップと
    を含み、
    前記絶縁膜パターンの形成工程において、前記絶縁膜パターンの前記記録媒体に近い側の端縁が前記エアベアリング面に対する基準位置を規定するように前記絶縁膜パターンを形成すると共に、
    前記磁極先端部分の形成工程において、前記第1の磁性層部分および前記第2の磁性層部分が一体をなすように前記磁極先端部分を形成する
    ことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  5. さらに、
    前記絶縁膜によって被覆された前記凹部空間に絶縁層を形成して前記薄膜コイル部を埋設するステップ
    を含み、
    前記平坦化のステップにおいて、前記絶縁層の表面もまた、前記磁極先端部分および前記磁極連結部分の、前記記録ギャップ層と反対側の表面、ならびに前記絶縁膜の端面と、同一平面をなすように平坦化するようにした
    ことを特徴とする請求項記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  6. 前記磁極先端部分の形成工程において、前記第1の磁性層部分と前記第2の磁性層部分との連結部における第2の磁性層部分の段差面が前記第1の磁性層部分の延在方向と直交する平面をなすように前記磁極先端部分を形成する
    ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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