WO2013114942A1 - 白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法および表面に黒色層を有するフッ化物溶射皮膜被覆部材 - Google Patents

白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法および表面に黒色層を有するフッ化物溶射皮膜被覆部材 Download PDF

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Abstract

 本発明は、耐ハロゲン腐食性や耐プラズマエロージョン性等に優れ、さらには文字や数字、図形、模様、あるいは社名や製造番号等の識別記号等を表示させたフッ化物溶射皮膜被覆部材を得ることを目的とする。 本発明では、基材の表面に形成された白色のフッ化物溶射皮膜に対し、フッ素含有ガス、酸素ガスおよび不活性ガスから選ばれるいずれか1以上の注入ガスのイオンを注入することにより、該白色フッ化物溶射皮膜表面の少なくとも一部を黒色に変化させて黒色のイオン注入層を形成する。

Description

白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法および表面に黒色層を有するフッ化物溶射皮膜被覆部材
 本発明は、白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法および表面に黒色層を有するフッ化物溶射皮膜被覆部材に関する。特に、本発明は、腐食性の強いハロゲンガスやその化合物の雰囲気中に曝されるだけでなく、ハロゲンガスのプラズマエッチング作用の影響を受ける環境で使用されるような部材について、この部材の表面に、耐食性と耐プラズマエッチング性に優れる黒色のイオン注入層を形成する技術である。
 従来、基材表面の耐食性や耐熱性、耐摩耗性を補うとともに、皮膜外観(表面)の美感を向上させることを目的として、各種の表面処理技術が開発され、多くの産業分野で採用されている。その一つに溶射法がある。
 溶射法は、ArやHなどのガスプラズマ炎または炭化水素の燃焼炎などを用いて、金属(以下、「合金」を含めて金属という)やセラミックス、サーメットなどの粒子を、軟化もしくは溶融させ、その状態で被処理基材表面に吹き付けて堆積させることにより、膜状に被覆形成する表面処理技術である。この方法は、熱によって軟化したり溶融する材料であれば、ガラスやプラスチックをはじめとして、融点の高いタングステン(融点3,387℃)やタンタル(融点2,996℃)などの金属はもとより、A1(融点2,015℃)やMgO(融点2,800℃)などの酸化物系セラミックスでも成膜することが可能であり、皮膜材料種の選択自由度が非常に高いという特徴がある。このため、溶射皮膜は、表面処理技術の1つとして、多くの産業分野において採用されている。
 ところで、上述した溶射皮膜被覆部材は、半導体加工装置用部材、特にハロゲンやハロゲン化合物が存在する環境下でプラズマ処理されたり、プラズマ処理によって発生する微細なパーティクルを洗浄除去することが必要となる半導体加工装置の分野において使用される場合、以下に説明するような表面処理が好ましく、これまでに幾つかの従来技術が提案されている。
 即ち、半導体加工および液晶の製造プロセスに使用されるドライエッチャーやCVD、PVDなどの加工装置類では、シリコンやガラスなどの基板回路の高集積化に伴う微細加工とその精度向上の必要性から、加工環境として一段と高い清浄性が求められるようになってきた。その一方で、微細加工用の各種プロセスにおいては、フッ化物、塩化物をはじめとする腐食性の強い有害ガスあるいは水溶液が用いられるため、これらのプロセスで使用されている部材類は、腐食損耗の速度が速く、その結果として、腐食生成物の発生とその飛散による二次的な加工環境の汚染による半導体加工製品の不良率の増加や生産効率の低下が懸念されている。
 特に、半導体デバイスは、その素材がSiやGa、As、Pなどからなる化合物半導体を主体としたものであり、その製造工程の多くは真空中もしくは減圧中で処理される、いわゆるドライプロセスであって、これらの環境中において、各種の成膜、不純物の注入、エッチング、アッシング、洗浄などの処理が繰り返し行われている。このようなドライプロセスに属する装置としては、酸化炉、CVD装置、PVD装置、エピタキシャル成長装置、イオン注入装置、拡散炉、反応性イオンエッチング装置およびこれらの装置に付属している配管、給排気ファン、真空ポンプ、バルブ類などの部材、部品があり、これらの装置類では、次に示すような腐食性の強い薬剤およびガスが使用されている。基本的には、BF、PF、PF、NF、WF、HFなどのフッ化物、BC1、PC1、PC1、POC1、AsC1、SnC1、SnCl、TiC1、SiHC1、SiC1、HCl、C1などの塩化物、HBrなどの臭化物その他のハロゲン化物、さらにはNH、CHFなどの、腐食性の強い薬剤およびガスが使用される。
 また、これらのハロゲン化物を用いる前記ドライプロセスでは、反応の活性化と加工精度向上のため、しばしばプラズマ(低温プラズマ)が用いられる。その理由は、プラズマ使用環境中において、各種のハロゲン化物が、腐食性の強い原子状またはイオン化したFやCl、Br、Iとなって半導体素材の微細加工に大きな効果を発揮するからである。その一方で、プラズマ処理(特にプラズマエッチング処理)された半導体素材の表面からは、エッチング処理によって削りとられた微細なSiO、Si、Si、Wなどのパーティクルが環境中に浮遊し、これらが加工中あるいは加工後のデバイスの表面に付着してその品質を著しく低下させる問題がある。
 これらの対策の一つとして、従来、アルミニウム陽極酸化物(アルマイト)による表面処理が提案されている。その他、A1やA1・TiO、Yなどの酸化物をはじめ、周期律表IIIa族金属の酸化物を溶射法や蒸着法(CVD法、PVD法)などによって、装置用部材の表面に被覆したり、焼結材として利用する技術が知られている(特許文献1~5)。
 さらに最近では、Y、Y-A1溶射皮膜の表面にレーザビームや電子ビームを照射して該溶射皮膜の表面を再溶融し、これによって耐プラズマエロージョン性を向上させる技術も知られている(特許文献6~9)。一方、高性能半導体加工・製造環境の清浄度を高めるために、従来のY溶射皮膜に代えて、YF(フッ化イットリウム)を成膜状態で適用することで、耐プラズマエロージョン性を向上させる技術もある。例えば、YAGなどの焼結体をはじめ周期律表IIIa族元素の酸化物の表面に、YF膜を被覆したり(特許文献10~11)、YやYb、YFなどの混合物を成膜材料とする方法(特許文献12~13)、あるいはYFそのものを成膜材料として溶射法によって被覆形成する方法(特許文献14~16)などの提案がある。
特公平6-36583号公報 特開平9-69554号公報 特開2001-164354号公報 特開平11-80925号公報 特開2007-107100号公報 特開2005-256093号公報 特開2005-256098号公報 特開2006-118053号公報 特開2007-217779号公報 特開2002-293630号公報 特開2002-252209号公報 特開2008-98660号公報 特開2005-243988号公報 特開2004-197181号公報 特開2002―037683号公報 特開2007-115973号公報
日本溶射協会監修誌「溶射技術vol.26 No.2/3 2007年1月31日発行18頁~25頁コールドスプレーの概要と研究・開発の動向」
 以上説明したように、特許文献10~14で開示されているフッ化物溶射皮膜は、フッ化物溶射皮膜が有する耐ハロゲン腐食性を利用することを目的として開発されたものである。具体的には、特許文献11は、酸化イットリウムの溶射皮膜や結晶体の表面をフッ化物に変化させる提案であり、特許文献13は、低温の溶射熱源によるコールドスプレー法を利用した提案であり、前記特許文献14は、不活性ガスのプラズマジェットや炭化水素ガス、灯油などの化石燃料の燃焼フレーム等を熱源とする溶射法を利用する提案である。
 ところが、特許文献14の溶射法を利用してフッ化物溶射皮膜を成膜すると、次のような現象が起こる。例えば、プラズマジェットを熱源とする溶射法では、高温のジェット中を飛行するフッ化物粒子が、5000℃~7000℃の高温環境に曝され、また燃焼フレーム中であっても2000℃~2800℃の高温雰囲気下にあるため、いずれの熱源中にあってもフッ化物粒子の一部が熱分解反応と酸化反応を誘発して、Fガスを放出することが知られている。
 そして、そのFガスの放出に伴って、フッ化物粒子の成分が変化し、成膜されたフッ化物溶射皮膜は化学量論的に変化したものになる。例えば、YF粒子は、これをプラズマ溶射すると、熱源中においてFガスが放出されYF3-Xで示されるフッ化物に変化するものと推定される。
 このYF3-Xで表現されるフッ化イットリウム溶射皮膜の耐ハロゲン性は、フッ化物粒子(YF)に比べて化学的に不安定であると推定される。このことは、特許文献14の(0010)段落における「フッ化イットリウムを用いるだけでは、腐食性ハロゲンガスにより、フッ化イットリウム膜の色が変化することを見出した。また、フッ化イットリウムを用いるだけでは耐食性は十分でなく、フッ化イットリウム膜が減耗して行くことを見出した。」と記載されていることからも伺い知ることができる。
 即ち、この特許文献14では、皮膜の色の変化を抑制すること、および耐食性が低下することの対策として、成膜直後の非晶質フッ化物溶射皮膜を200℃~500℃の温度にて熱処理して斜方晶へと変化させる技術を提案している。しかし、この方法を適用しても、この文献の(0014)段落に記載されているように、皮膜の色の変化が少なくなった程度にとどまり、抜本的な対策となっていない。
 さらに特許文献16には、その(0021)段落に、フッ化物皮膜の成膜法として、コールドスプレー法やエアロゾルデポジション法等を用いることが望ましいと記載されている。その一方で、「溶射法の場合、アルゴンガスあるいは、ヘリウムガスをプラズマガスとして使用する。さらに、これらの不活性ガスに水素ガスを混合することにより、プラズマ温度が高くなり、プラズマガス速度が上がるため、より緻密な成膜が可能となる。水素ガスを1~40容量%混合することにより、緻密で反応性の低い膜を形成できる。」とも記載されている。
 しかし、コールドスプレー法は、非特許文献1によれば、Ar、N、Heなどの不活性ガスを500℃に加熱し、成膜粒子を300~1200m/Sの高速で吹き付ける方法であり、この方法では、500℃のガスがノズルの吹き付け部において、断熱膨張現象によって室温まで低下してしまうため、フッ化物の成膜用としては適していない。
 また、この特許文献16には、コールドスプレー法によってフッ化物皮膜を形成するのに必要な技術情報が開示されていない。さらにこの文献では、コールドスプレー法に比較すると、格段に温度の高いプラズマ溶射法において、Ar、Heなどの不活性ガス中にHガスを混入し、プラズマ熱源温度をさらに上昇させてフッ化物皮膜を成膜することを推奨する一方、上記したように、コールドスプレー法による低いガス温度での成膜をも可能とするなど技術的な矛盾がある。
 なお、フッ化物溶射皮膜を熱処理する方法は、製造工程の増加に加え、生産効率の低下とコストアップを招くという欠点がある。
 さらに、フッ化物溶射皮膜を大気プラズマ溶射法や高速フレーム溶射法によって形成するプロセスでは、上記したように高温の熱源中で成膜用のフッ化物粒子が熱分解し、異臭を伴う有害なFガスを放出するため、作業環境が悪化し、作業の安全衛生上にも問題がある。
 このように、従来のフッ化物溶射皮膜については、皮膜の性質や性状、組成などの化学的・物理的な研究はあるものの、該フッ化物溶射皮膜が有する色(彩)に関しての研究や皮膜の意匠性などに及ぼす技術的な検討までは行われていない。そのため、従来のフッ化物溶射皮膜は、この皮膜の原色(生成り色)である白色ないし乳白色のみの状態で製品化されているのが実情である。
 なお、発明者らは、かって、白色のY溶射皮膜に減圧雰囲気下で電子ビームを照射して黒色化させたり(特許第4398436号)、実質的に酸素を含まない雰囲気下で白色のY粉末を用いて黒色のY3-x溶射皮膜を形成する技術を提案し(特許第4603018号、特許4740932号)、これによって白色の酸化物溶射皮膜では得られない熱放射特性を付与することに成功し、半導体加工作業の効率向上に寄与した経緯がある。
 本発明の主たる目的は、フッ化物溶射皮膜に特有の優れた耐ハロゲン腐食性や耐プラズマエロージョン性等(化学的・物理的特性)の特性に優れる部材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、該溶射皮膜表面の少なくとも一部を黒色化させることにより、文字や数字、図形、模様、あるいは社名や製造番号等の識別記号等を表示させ、このことにより、各種部材の工業製品としての品質保証やデザイン性を向上させるための”黒色化”技術を提案することにある。
 従来技術が抱えている上述した課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、発明者らは以下に述べるような知見を得た。即ち、基材表面に形成した白色フッ化物溶射皮膜は、その皮膜表面にF含有ガス、酸素ガスまたは不活性ガスのいずれか1以上の注入ガスのイオンを注入すると、そのイオン注入部分のみを黒色に変化させることができ、特に非イオン注入部の白色部分の区別とが鮮明になる。その様子は、白紙に鉛筆や黒インクによって文字を書いたり、絵を描いたりするような識別力になるほどである。
 このような知見の下に開発した本発明は、基材の表面に形成された白色のフッ化物溶射皮膜に対し、F含有ガス、酸素ガスおよび不活性ガスから選ばれるいずれか1以上の注入ガスのイオンを注入することにより、該白色フッ化物溶射皮膜表面の少なくとも一部を黒色に変化させて黒色のイオン注入層を形成することを特徴とする白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法である。
 また、本発明は、基材と、その基材表面に形成した、元素の周期律表IIIa族、IIIb族および原子番号57~71のランタノイド系金属元素のいずれか1以上のフッ化物溶射用材料を溶射して形成された白色フッ化物溶射皮膜とからなる部材であって、該白色フッ化物溶射皮膜の表面の少なくとも一部が、前記黒色化方法(請求項1~9)によって、黒色に変化した黒色のイオン注入層によって構成されていることを特徴とする表面に黒色層を有するフッ化物溶射皮膜被覆部材を提案する。
 なお、本発明では、以下のような構成にすることがより好ましい解決手段である。
(1)前記基材と白色フッ化物溶射皮膜との間に、Al、Al-Ni、Al-Zn、Ni-CrおよびNi-Cr-Alから選ばれるいずれか1以上の金属・合金のアンダーコートを、50~150μmの膜厚で形成すること、
(2)前記黒色のイオン注入層は、減圧下の前記注入ガス雰囲気中において、表面に白色フッ化物溶射皮膜を有する基材に高周波電力を印加し、その白色フッ化物溶射皮膜を負に帯電させると共に、該溶射皮膜表面に正の電荷を有する前記注入ガスのイオンを、イオン濃度が、1×1010~1×1020/cmの範囲になるように注入することにより、該溶射皮膜表面を黒色に変化させて形成すること、
(3)前記黒色のイオン注入層は、白色フッ化物溶射皮膜の表面から10μm未満の深さまでの厚さを有すること、
(4)前記黒色のイオン注入層は、白色フッ化物溶射皮膜表面の、前記注入ガスのイオン注入部分のみを黒色に変化させて形成すること、
(5)前記黒色のイオン注入層は、白色フッ化物溶射皮膜表面に文字、数字、図形または模様を表示した層であること、
(6)前記白色フッ化物溶射皮膜は、粒径5~80μmの白色のフッ化物溶射用粉末を溶射して形成された膜厚が20~500μmの皮膜であること、
(7)前記白色フッ化物溶射皮膜は、元素の周期律表IIIa族、IIIb族および原子番号57~71のランタノイド系金属元素から選ばれる1種以上の金属のフッ化物であること、
(8)前記F含有ガスは、Fガスまたは、FガスとN、Ar,HeおよびNeから選ばれる1種以上の不活性ガスとの混合ガスのいずれかであること。
 本発明の方法に係る白色のフッ化物溶射皮膜の表面を黒色化する技術は、次のような効果が期待できる。
(1)白色のフッ化物溶射皮膜表面の外観色を、該溶射皮膜表面への注入ガスのイオンを注入することによって、その表面の一部のみ、もしくは全部を黒色に変化させることができる。
(2)白色フッ化物溶射皮膜を黒色化させることによって、該溶射皮膜に対して熱放射特性を付与したり受熱作用を増加させることができる。
(3)白色フッ化物溶射皮膜を黒色化させることによって、半導体加工装置内で発生する微細なパーティクルの皮膜表面への付着、およびその量の多寡を目視により判断できるようになる。これにより、装置の洗浄時期を的確に判断することができ、半導体加工製品の生産性の向上に資することができる。
(4)本発明に従って表面を黒色化してなるフッ化物溶射皮膜は、フッ化物本来の耐食性や耐プラズマエロージョン性を備えるだけでなく、白色フッ化物溶射皮膜と同等の特性を有するので、従来どおりのフッ化物溶射皮膜として使用することができる。
(5)白色フッ化物溶射皮膜の全表面が黒色に変化したイオン注入層を有する被覆部材では、該イオン注入層が、表面から僅か10μm未満の深さに限定されているため、実際の半導体加工装置内で使用すると、ハロゲンガスによる腐食作用やプラズマエロージョンなどの物理的作用によって発生する不均等な皮膜の消耗状態(早期消耗部は黒色から白色へ変化する)が可視化できる利点がある。これによって、消耗の不均等性を是正するための部材形状の設計変更や皮膜厚さの増減などの対策が容易となる。
(6)フッ化物溶射皮膜表面の黒色のイオン注入層が、腐食やエロージョン作用によって消耗し、白色部が露出しても、熱放射特性以外のフッ化物本来の物理化学的性能を発揮することができる。
(7)基材表面に予め、図形や文字、数字、社名、商標、製品番号、その他の識別記号などを切り抜いた高分子テープなどを貼布し、その上から注入ガスのイオンを注入すると、文字や数字のみを黒色に変化させることができるので、これを利用して、部材に各種の識別記号を表示して製品や工業的デザイン特性を向上させることができる。
本発明に係る黒色化方法を説明するための工程図である。 白色フッ化物溶射皮膜の表面に、注入ガスをイオン注入するためのイオン注入装置の略線図である。 注入ガスによりイオン注入を行って黒色化させた皮膜表面の色彩の程度を示す写真である。(a)YFフッ化物溶射皮膜の外観(白色)(b)Fイオンを注入したYFフッ化物溶射皮膜の外観(黒色)(c)FとNイオンを注入したYFフッ化物溶射皮膜の外観(黒色)(d)FとArイオンを注入したYFフッ化物溶射皮膜の外観(黒色)(e)FとHeイオンを注入したYFフッ化物溶射皮膜の外観(黒色)(f)酸素ガスイオンを注入したYFフッ化物溶射皮膜の外観(黒色)(g)Nイオンを注入したYFフッ化物溶射皮膜の外観(黒色)(h)Arイオンを注入したYFフッ化物溶射皮膜の外観(黒色)(i)Heイオンを注入したYFフッ化物溶射皮膜の外観(黒色) 白色フッ化物溶射皮膜の表面に、英文社名を切抜いた高分子テープを貼布した後、FとNイオン注入を行ったYF溶射皮膜の外観を示す写真である。
 以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明方法の一例を実施するための工程の流れを示したものである。以下、この工程順に従って本発明の構成の詳細を説明する。
(1)基材の選定
 本発明に適用する基材は、Alおよびその合金、Tiおよびその合金、ステンレス鋼を含む各種の合金鋼や炭素鋼、Niおよびその合金鋼などが好適である。その他、酸化物、窒化物、炭化物、珪化物などの焼結体や炭素材料を用いることができる。
(2)前処理
 前記基材表面は、JIS H9302に規定されているセラミックス溶射作業標準に準拠して処理することが好ましい。例えば、該基材表面の錆や油脂類などを除去した後、A1、SiCなどの研削粒子を吹き付けて粗面化し、フッ化物溶射粒子が付着しやすい状態に前処理する。粗面化後の粗さは、Ra:0.05~0.74μm、Rz:0.09~2.0μm程度にすることが好ましい。
(3)基材の予熱
 前処理(ブラスト粗面化処理)後の基材および金属のアンダーコートを形成してなる基材は、好ましくはフッ化物の溶射処理に先駆けて予熱を行なう。この予熱の温度は、基材質によって管理するのがよく、下記の温度とすることが好ましい。この予熱は、大気中、真空中、不活性ガス中のいずれにおいても適用できるが、基材質が予熱によって酸化され、表面に酸化膜が生成するような雰囲気は避ける必要がある。
a.Al、Tiおよびそれらの合金:80℃~250℃
b.鋼鉄(低合金鋼):80℃~250℃
c.各種ステンレス鋼:80℃~250℃
d.酸化物・炭化物などの焼結体:120℃~500℃
e.焼結炭素:200℃~700℃
 溶射に先立って基材を予熱する理由は、フッ化物の溶射粒子が、予熱によって押し潰されて扁平なディスク状を呈した状態で基材表面に付着し、高い密着力を発揮することができるからである。なお、基材の予熱を行わず、温度の低い基材表面にフッ化物粒子を溶射すると、溶射粒子がスプラッシュ状を示すようになるため、粒子と基材との接合面積が小さく、接合力も弱くなって、密着力の低下を招くおそれがある。
(4)フッ化物溶射皮膜の形成
a.フッ化物溶射材料
 本発明において用いることのできるトップコート用のフッ化物溶射材料粉末は、元素の周期律表IIIa族、IIIb族および原子番号57~71の属するランタノイド系金属から選ばれるいずれか1種以上の金属のフッ化物である。原子番号57~71の金属元素とは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジズプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)の15種である。これらの金属フッ化物は、半導体が加工される環境中で使用される各種のハロゲンガス、ハロゲン化合物、酸、アルカリなどの腐食作用に対して、強い抵抗力を有するため、加工装置部材の腐食損耗を防ぎ、腐食生成物の発生に伴う、環境汚染を低下させるとともに半導体加工製品の品質の向上などの効果を発揮するため好適に用いることができる。
 本発明では、これらの金属フッ化物の溶射材料として、5~80μmの粒径に調整したものを使用する。その理由は、5μm未満の細粒では、基材表面に衝突した際に、成膜するよりも飛散するものの方が多くなり、一方、80μmより大きい粒子では、溶射ガンへの送給速度が均等化しにくくなる一方、成膜された皮膜の気孔が大きくなる傾向が顕著となるからである。
 前記フッ化物溶射材料の粉末を溶射して形成される溶射皮膜は、20~500μmの厚さにするのがよく、特に、50~200μmの範囲が好適である。その理由は、20μmより薄い膜では、均等な膜厚が得られず、一方、500μmより厚く成膜すると、フッ化物溶射皮膜の形成時における膜内残留応力が大きくなって、基材から剥離しやすくなるからである。
b.フッ化物溶射皮膜の形成方法
 基材の表面に、直接また予めアンダーコートを形成した後、その上にトップコートとしてのフッ化物溶射皮膜を形成する。フッ化物溶射皮膜の形成方法としては、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、低温溶射法などが好適に用いられる。
 本発明においては、前記アンダーコートとして、Al、Al-Ni、Al-Zn、Ni-Cr、Ni-Cr-Alなどの金属(合金)を、フレーム溶射法、電気アーク溶射法、高速フレーム溶射法、各種プラズマ溶射法などによって50~150μmの範囲内の厚さに形成するのがよい。その理由は、アンダーコートが50μmより薄い膜では、トップコートとの接合効果が十分でないうえ、基材の急激な温度変化によるトップコートの熱衝撃剥離を防ぐ作用が低下するからであり、一方、150μmより厚く成膜しても、トップコートとの接合力や熱衝撃を防ぐ効果が飽和して生産コストの上昇を招くからである。
(5)フッ化物溶射皮膜を黒色化させるための方法(イオン注入方法)
 図2は、イオン注入装置の一例を示す。この装置は、前記白色フッ化物溶射皮膜の表面に、F含有ガス、即ち、Fガスまたは、FガスとN、Ar、He、Neから選ばれる1種以上の不活性ガスとの混合ガス、酸素ガスまたは不活性ガスからなる注入ガスを接触させ、このとき該溶射皮膜表面で発生するガスイオンを、その溶射皮膜内に注入し、白色のフッ化物溶射皮膜の表面層を黒色化するために用いられる装置である。なお、本発明において”黒色”とはマンセル値でN-1~N-7程度のものを指す。
 このイオン注入装置は、反応容器21内に、高電圧パルスを印加するための高電圧パルス発生電源24、被処理部材22の周囲にガスプラズマを発生させるためのプラズマ発生用電源25が配設されている。また、この装置は、導体23および被処理部材22に高電圧パルスおよび高周波電圧の両方を同時に印加するための重畳装置26を備えている。その重畳装置26は、高電圧パルス発生電源24とプラズマ発生用電源25との間に介装されている。前記導体23および被処理部材22は、高電圧導入部29を介して重畳装置26に接続されている。また、この装置は、反応容器21内にイオンの注入用ガスを導入するためのガス導入装置(図示せず)および反応容器21を真空引きする真空装置(図示せず)が、それぞれバルブ27aおよび27bを介して反応容器21に接続されている。
 次に、前記イオン注入装置を用いて、被処理部材22の表面に前記注入ガスから発生するイオンを注入する方法を、F含有ガスイオンを注入する場合を代表例として説明する。
 まず、被処理部材22を反応容器21内の所定位置に設置し、該反応容器21内の空気を、真空装置を稼動させて脱気し、その後、この反応容器21内にガス導入装置によってFガスもしくはF含有不活性ガスを導入する。
 次いで、プラズマ発生用電源25からの高周波電力を前記被処理部材22に印加する。このとき、該反応容器21は、アース線28によって電気的に中性状態にあるため、被処理部材22は、相対的に負の電位を有することになる。このため、印加によって発生する不活性ガスプラズマ中のプラスイオン:F、(F-N)、(F-Ar)、(F-He)、(F-Ne)は、相対的に負に帯電した被処理部材22のまわりに発生することになる。
 そして、高電圧パルス発生装置24からの高電圧パルス(負の高電圧パルス)を被処理部材22に印加すると、前記注入ガス中のプラスイオンは、相対的に負に帯電している該被処理部材22の表面に衝撃的に吸引され、イオン注入が果される。なお、F成分がイオン注入されたフッ化物溶射皮膜では、溶射熱源による分解反応や酸化反応によって消失したF成分が付加されることになり、F成分の消失に起因して低下したフッ化物溶射皮膜の耐食性が回復し、フッ化物本来の作用機構を発揮させることができる。
 前記イオン注入装置を用いたフッ化物溶射皮膜の黒色化方法は、下記の条件によってフッ化物溶射皮膜の表面に、例えばF含有ガス等のイオン注入を行い、これによってF成分を付加することによって、白色のフッ化物溶射皮膜の表面に黒色化層、即ちF含有ガスのイオン注入層を形成する。
(a)注入ガスの種類
 (i)Fイオン注入用:F、HF、CHF、CFなど
 (ii)含F・不活性ガスイオン注入用:NF、(i)+N、(i)+Ar、(i)+He、(i)+Ne、NF+Ar、NF+He
 上記(ii)の含F・不活性ガスイオン注入用F/不活性ガスの比率は、容量比で20~80/80~20の割合が好適である。
 なお、(i)Fイオンを注入したフッ化物溶射皮膜の外観色は灰黒色~黒色、(ii)の不活性ガスイオンを注入した溶射皮膜の外観色は黒色となるが、両皮膜(i)、(ii)ともF成分の増加によって、フッ化物の化学的特性、特に耐食性が向上する。
(b)ガス圧力:真空引き後の反応容器内に流入したガス圧力:0.5~1.0Pa
(c)ガス流量:80~100ml/min
(d)高圧パルス印加電圧:10~40kV
(e)注入時間:0.5~5時間
 前記のイオン注入装置によってイオンの注入ガスとして酸素ガスあるいは不活性ガスを用いる場合には、それぞれ下記の条件とし、これによって白色のフッ化物溶射皮膜の表面を黒色化させる。
<酸素ガスイオン>
(a)注入ガスの種類:O
(b)ガス圧力:真空引き後の反応容器内に流入したガス圧力:0.5~1.0Pa
(c)ガス流量:80~100ml/min
(d)高圧パルス印加電圧:10~40kV
(e)注入時間:0.5~5時間
<不活性ガスイオン>
(a)注入ガスの種類:N、Ar、He、Ne
(b)ガス圧力:真空引き後の反応容器内に流入したガス圧力:0.5~1.0Pa
(c)ガス流量:80~100ml/min
(d)高圧パルス印加電圧:10~40kV
(e)注入時間:0.5~5時間
 フッ化物溶射皮膜の表面に注入される各種イオンの注入深さは、表面から10μm未満、また、その濃度は1×1010~1×1020/cmの範囲であり、皮膜の外観は、イオンの注入部のすべてが黒色状態となる。なお、イオンの注入深さを溶射皮膜の表面から10μm未満とする理由は、ハロゲンガスなどによる腐食反応は、フッ化物溶射皮膜の表面から発生する一方、皮膜の外観色は、1μm未満のイオン注入深さでも十分に発色し、それを認識できるからである。本発明では前者の腐食反応を重視し、イオン注入による耐食性向上の立場から決定したものであり、またイオン注入されるイオン濃度を上記範囲内とする理由は、1×1010/cm未満では、耐食性の向上効果が十分でなく、また1×1020/cm以上注入しても耐食性効果が飽和するうえ、注入時間が長くなって、生産コストの上昇を招くからである。
(6)白色フッ化物溶射皮膜表面へのイオン注入後の外観色の変化例
 イオン注入によるフッ化物溶射皮膜表面の外観色の変化は、注入イオン種の種類及びイオン注入量によって変化するので、外観色では規制しない。本発明の条件内におけるイオン注入量では、マンセル値でN-1~N-7程度の範囲で外観色が変化する。以下、外観色の変化の一例について紹介する。
 図3は、各種イオンの注入前後におけるYF溶射皮膜の外観色の変化を示したものである。
 図3(a)は、成膜直後のYF溶射皮膜の外観を示したもので、白色(乳白色:マンセル値-N8.5程度)である。
 図3(b)はYF溶射皮膜の表面に、Fガスイオンのみを注入した場合の皮膜外観を示したものである。(黒色:マンセル値-N5.5程度)
 図3(c)は、同上の溶射皮膜の表面に、NFガスを用いて(F+N)イオンを注入した場合の皮膜外観を示したものである。(黒色:マンセル値-N5程度)
 図3(d)は、同上の溶射皮膜の表面に、NF+Arの混合ガスを用いて(F+N+Ar)イオンを注入した場合の皮膜外観を示したものである。(黒色:マンセル値-N4.5程度)
 図3(e)は、同上の溶射皮膜の表面に、F+Heの混合ガスを用いて(F+Ne)イオンを注入した場合の皮膜外観を示したものである。(黒色:マンセル値-N5.25程度)
 図3(f)は、同上の溶射皮膜の表面に、酸素イオンを注入した場合の皮膜外観を示したものである。(黒色:マンセル値-N4.75程度)
 図3(g)は、同上の溶射皮膜の表面に、Nイオンを注入した場合の皮膜外観を示したものである。(黒色:マンセル値-N5.5程度)
 図3(h)は、同上の溶射皮膜の表面に、Arイオンを注入した場合の皮膜外観を示したものである。(黒色:マンセル値-N6.75程度)
 図3(i)は、同上の溶射皮膜の表面に、Heイオンを注入した場合の皮膜外観を示したものである。(黒色:マンセル値-N5.25程度)
 図4は、白色のYF溶射皮膜の表面に社名を切り抜いた市販の高分子フイルムを貼布した後、該溶射皮膜表面に対してNFガスを用いて(F+N)イオンを注入したものである。図4によれば、社名部のみがイオン注入によって黒色化される。従って、この技術を用いれば、白地表面の上に黒色化させた部分を形成することができ、各種の文字や数字、製造番号、図柄、商標などを描くことができる。つまり、フッ化物溶射皮膜の白色表面の一部を黒色化させることによって、そこに所要の記号表現を表出させることができる。
 前述したイオン注入方法およびイオン注入装置については、例示した方法・装置に限定されるものでなく、市販の大・中電流イオン注入装置をはじめ、半導体や金属表面の改質用のイオン注入装置なども利用することができる。なお、各種の注入ガスをイオン注入することにより、白色の溶射皮膜表面が黒色に変化する詳しい理由についてはまだ、汎用の光学顕微鏡、電子顕微鏡、X線回折装置などによる試験や解析では明らかではないが、今後、放射光を利用した解析装置による試験を行なって、黒色化する機構を解明する予定である。
(実施例1)
 この実施例では、白色のフッ化物溶射皮膜の表面に、本発明に従ってFガスおよびF含有不活性ガスのイオン注入を行い、黒色化した溶射皮膜について、耐プラズマエロージョン性を、従来技術(ガスイオンを注入していない)の大気プラズマ溶射皮膜(比較例)と比較検討を行なった。
(1)供試皮膜
 Al基材(寸法:幅20mm×長さ30mm×厚さ3mm)の表面に、YF、DyFおよびCeFの各フッ化物溶射皮膜を、大気プラズマ溶射法によって、膜厚100μmに形成し、その後、そのフッ化物溶射皮膜表面にそれぞれF、F-N、F-Ar、F-Heのガス雰囲気下でイオン注入処理を2時間実施し、イオン注入面を黒色に変化させた。なお、比較例としてイオン注入処理をしないYF、DyFおよびCeFの大気プラズマ溶射皮膜を準備し、同条件で試験に供した。
 以下にプラズマエッチング雰囲気ガス組成と条件を示す。
(2)雰囲気ガスと流量条件
  含Fガス雰囲気:CHF/O/Ar=80/100/160(1分間当りの流量cm
  含CHガス雰囲気:C/Ar=80/100(1分間当りの流量cm
(3)プラズマ照射出力
  高周波電力:1300W
  圧力:4Pa
  温度:60℃
(4)プラズマエッチング試験の雰囲気
  a.含Fガス雰囲気中での実施
  b.含CHガス雰囲気中での実施
  c.含Fガス雰囲気1h⇔含CHガス雰囲気1hを交互に繰返す雰囲気中で実施
(5)評価方法
 エッチング処理によって供試皮膜から飛散する皮膜成分のパーティクル数を計測することによって、耐プラズマエロージョン性と耐環境汚染性を調査した。なお、パーティクル数は、試験容器内に配置した直径8インチのシリコンウエハーの表面に付着する粒径0.2μm以上の粒子数が30個に達するまでに要する時間を測定することによって評価した。
(6)試験結果
 試験結果を表1に示した。この表1に示す結果から明らかなように、比較例のフッ化物溶射皮膜(No.5、10、15)は、含Fガス雰囲気中におけるパーティクル発生量が多く、一方、含CHガス雰囲気中ではパーティクル発生量が少なくなっており、前者のガス雰囲気中におけるプラズマエロージョン作用が激しいことが窺える。さらに、含Fガス雰囲気と含CHガス雰囲気とを交互に繰返した雰囲気下では、パーティクル発生量が一段と多くなっている。この原因は、含Fガス雰囲気中におけるフッ化ガスの酸化作用と、CHガスの還元作用の繰返しによって、フッ化物溶射皮膜表面が不安定な状態となり、プラズマによって皮膜が削られ易くなっているためと推定される。
 これに対して、F含有ガスイオンをイオン注入処理したフッ化物溶射皮膜(No.1、6、11)、およびF含有ガスイオンと不活性ガスイオンとを同時にイオン注入した本発明の溶射皮膜(No.2~4、7~9、12~14)では、プラズマによって削りとられるパーティクルの発生量が少なくなっており、パーティク発生量が許容値を超えるまでに要する時間が、比較例と比べて10~20%延長されていることがわかった。即ち、これらのF含有ガスイオンのイオン注入処理を行ったフッ化物溶射皮膜では、溶射熱源中で消失したF成分がフッ化物溶射皮膜表面に補充されることになり、皮膜の耐プラズマエロージョン性の回復に効果があることが窺える。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
(実施例2)
 この実施例では、本発明に適合する方法で、F含有ガスのイオン注入処理を行ったフッ化物溶射皮膜の耐プラズマエロージョン性を、従来のYおよびA1溶射皮膜と比較した。
(1)供試皮膜
 基材としては、JIS H4000規定のA3003〔寸法:幅30mm×縦50mm×厚さ5mm〕を用い、その表面に大気プラズマ溶射法によって、Ni-20mass%Crのアンダーコートを形成し、その上に大気プラズマ溶射法によってYFを120μm、および減圧プラズマ溶射法によってEuFを120μmの厚さに成膜し、さらに、該フッ化物溶射皮膜の表面に実施例1と同じ要領で、各種のF含有ガスイオンを注入した。
 また、比較例としては、イオン注入処理をしないフッ化物溶射皮膜(YF、EuF)および、従来、耐プラズマエロージョン性皮膜として使用されているYおよびA1溶射皮膜を供試した。
(2)耐プラズマエロージョン試験方法
 耐プラズマエロージョン試験は、実施例1と同じ含Fガス雰囲気中において、実施例1と同条件で実施した。評価は試験前後における供試皮膜の厚さを表面粗さ計によって測定することによって行なった。
(3)試験結果
 試験結果を表2に要約した。この表に示す結果から明らかなように、イオン注入処理を行っていない比較例のフッ化物溶射皮膜(No.5、11)においても、酸化物溶射皮膜(No.6、12)と比較するとエロージョン損失量は少なく、優れた耐プラズマエロージョン性を有していることが認められる。一方、FガスおよびF含有不活性ガスのイオンを注入した本発明の実施例である供試皮膜(No.1~4、7~10)では、さらに一段と高い耐プラズマエロージョン性を示し、F含有ガスのイオン注入による耐エロージョン性の向上が確認された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
(実施例3)
 この実施例では、本発明に適合する方法で、F含有ガスのイオン注入処理を施したフッ化物溶射皮膜のハロゲン系酸の蒸気に対する腐食性を調査した。
(1)供試皮膜
 基材としては、SUS304鋼〔寸法:横30mm×縦50mm×厚さ3.2mm〕を用いて、その表面に直接、大気プラズマ溶射法によって、YFフッ化物皮膜を250μmの厚さに形成した後、Fおよび(F-N)、(F-Ar)、(F-He)ガスなどの雰囲気中でそれぞれイオン注入処理を施したものを準備した。また比較例のフッ化物溶射皮膜としては、大気プラズマ溶射皮膜(YF、Y)を250μmの厚さに形成したものを同条件で供試した。
(2)腐食試験方法
(a)HCl蒸気による腐食試験は、化学実験用のデシケーターの底部に30%HCl水溶液を100ml入れ、その上部に試験片を吊し、これをHCl水溶液から発生するHCl蒸気に曝露させる方法を採用した。腐食試験温度は30℃~50℃、時間は96hrである。
(b)HF蒸気による腐食試験は、SUS316L製のオートクレーブの底部にHF水溶液を100ml入れ、その上部に試験片を吊し、これをHF水溶液から発生するHFに曝露させる方法により実施した。腐食試験温度は30℃~50℃、時間は96hrである。
(3)試験結果
 試験結果を表3に要約した。この表3に示す結果から明らかなように、比較例のYF皮膜(No.5)では試験前の白色から灰色へ変化する傾向が見られた。また、Y皮膜(No.6)も試験前の白色から薄い褐色系の変色を呈しており、酸蒸気によって化学変化が生じたものと推定される。これらの変色原因は、供試皮膜の貫通気孔を通じて侵入したハロゲン系酸蒸気によって基材が腐食したことによるものと考えられるが、その詳細は明らかでない。
 これに対し、Fガスイオンのみを注入したYF(No.1)では、外観色の変化は殆んど認められず、Fと不活性ガス(N、Ar、He)のイオンを同時に注入したYF溶射皮膜(No.2~4)では、外観色そのものが供試前から黒色に変化しているため、この種のハロゲン系酸蒸気による腐食作用の変化に鈍感である。しかし、Fガスイオンのみを注入した供試皮膜(No.1)の結果から見て、Fと不活性ガスのイオンを同時に注入したYF皮膜(No.2~4)もまた、優れた耐食性を発揮していることが予想される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
(実施例4)
 この実施例では、本発明に適合する方法で、酸素ガスイオンのイオン注入によって黒色化したフッ化物溶射皮膜について、耐プラズマエロージョン性を、酸素ガスイオンを注入していない大気プラズマ溶射皮膜(比較例)と比較して検討を行なった。
(1)供試皮膜
 Al基材(寸法:幅20mm×長さ30mm×厚さ3mm)の表面にYF、DyFおよびCeFのフッ化物溶射皮膜を大気プラズマ溶射法によって膜厚100μmに形成した後、その皮膜表面にそれぞれ、酸素ガスイオンを1、3、5時間注入して注入面を黒色変化させた。なお、比較例としては、酸素ガスイオンを注入しないYF、DyFおよびCeFの大気プラズマ溶射皮膜を準備し、同条件で試験した。
 以下にプラズマエッチングの雰囲気ガス組成と条件を示す。
(2)雰囲気ガスと流量条件
  含Fガス雰囲気:CHF/O/Ar=80/100/160(1分間当りの流量cm
  含CHガス雰囲気:C/Ar=80/100(1分間当りの流量cm
(3)プラズマ照射出力
  高周波電力:1300W
  圧力:4Pa
  温度:60℃
(4)プラズマエッチング試験の雰囲気
  a.含Fガス雰囲気中での実施
  b.含CHガス雰囲気中での実施
  c.含Fガス雰囲気1h⇔含CHガス雰囲気1hを交互に繰返す雰囲気中で実施
(5)評価方法
 エッチング処理によって供試皮膜から飛散する皮膜成分のパーティクル数を計測することによって、耐プラズマエロージョン性と耐環境汚染性を調査した。なお、パーティクル数は、試験容器内に配置した直径8インチのシリコンウエハーの表面に付着する粒径0.2μm以上の粒子数が30個に達するまでに要する時間を測定することによって評価した。
(6)試験結果
 試験結果を表4に示した。この表4に示す結果から明らかなように、比較例のフッ化物溶射皮膜(No.4、8、12)では、含Fガス雰囲気中におけるパーティクル発生量が許容値を超えるまでの時間が短いため、パーティクルの発生量が多いことがわかる。また、含CHガス雰囲気中ではパーティクル発生量が少なくなっており、前者のガス雰囲気中におけるプラズマエロージョン作用が激しいことが窺える。さらに、含Fガス雰囲気と含CHガス雰囲気とを交互に繰返す雰囲気下におけるパーティクル発生量は、一段と多くなっている。この原因は、含Fガス雰囲気中におけるフッ化ガスの酸化作用と、CHガス雰囲気下による還元作用との繰返しによって、フッ化物溶射皮膜の表面が不安定な状態となり、プラズマによって皮膜が削られ易くなっているためと推定される。
 これに対して、酸素ガスイオンをイオン注入した発明例のフッ化物溶射皮膜(No.1、2、3、5、6、7、9、10、11)では、比較例の溶射皮膜と同様な傾向を示しているものの、プラズマによって削りとられるパーティクル発生量はやや少なくなっている。したがって、フッ化物溶射皮膜の表面に酸素ガスイオンを注入しても、フッ化物溶射皮膜の耐プラズマエロージョン性は損われないことが判明した。また、フッ化物溶射皮膜表面への酸素ガスイオンの注入時間が長くなるほど、耐プラズマエロージョン性が向上する傾向が見られるが、その程度は僅かである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
(実施例5)
 この実施例では、本発明に適合する方法で、酸素ガスイオンのイオン注入処理をしたフッ化物溶射皮膜の耐プラズマエロージョン性を、従来のYおよびA1溶射皮膜と比較したものである。
(1)供試皮膜
 基材としては、JIS H4000規定のA3003〔寸法:幅30mm×縦50mm×厚さ5mm〕を用い、その表面に大気プラズマ溶射法によって、Ni-20mass%Crのアンダーコートを形成した後、その上に大気プラズマ溶射法によってYFを120μm、および減圧プラズマ溶射法によってEuFを120μmの厚さにそれぞれ形成し、さらに、該フッ化物溶射皮膜の表面に実施例4と同じ要領で、酸素ガスイオンを1~5時間注入した。
 また、比較例としては、酸素ガスイオンを注入しないフッ化物溶射皮膜(YF、EuF)および従来、耐プラズマエロージョン性皮膜として使用されているYおよびA1溶射皮膜を供試した。
(2)耐プラズマエロージョン試験方法
 耐プラズマエロージョン試験は、実施例4と同じ含Fガス雰囲気中において、実施例4と同じ条件で実施したが、評価は試験前後における供試皮膜の厚さを、表面粗さ計によって測定することにより行なった。
(3)試験結果
 試験結果を表5に要約した。この表5に示す結果から明らかなように、比較例のイオン注入処理を行っていないフッ化物溶射皮膜(No.4、9)においては、酸化物溶射皮膜(No.5、10)と比較するとエロージョン損失量が少なく、優れた耐プラズマエロージョン性を有していることが認められる。一方で、酸素ガスイオンをイオン注入した本発明に適合する黒色のフッ化物溶射皮膜(No.1、2、3、6、7、8)では、イオン注入処理を行っていないフッ化物溶射皮膜(No.4、9)と同等の耐プラズマエロージョン性を発揮しており、酸素ガスイオンの注入によって黒色に変化した溶射皮膜も、白色のフッ化物溶射皮膜と同等の耐食性を有することが確認された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
(実施例6)
 この実施例では、本発明に適合する方法で黒色化したフッ化物溶射皮膜のハロゲン系酸の蒸気に対する耐食性を調査した。
(1)供試皮膜
 基材としては、SS400鋼〔寸法:横30×縦50mm×厚さ3.2mm〕を用い、その表面に大気プラズマ溶射法によってYF溶射皮膜を250μm厚さに形成したのち、酸素ガスイオンを注入して、外観色を白色から黒色へ変化させた溶射皮膜を準備した。また、比較例の溶射皮膜としては、大気プラズマ溶射法によってY皮膜を250μmの厚さに形成したものを用いて、同じ条件の試験に供した。
(2)腐食試験方法
(a)HCl蒸気による腐食試験は、化学実験用のデシケーターの底部に30%HCl水溶液を100ml入れ、その上部に試験片を吊し、これをHCl水溶液から発生するHCl蒸気に曝露させる方法を採用した。腐食試験温度は30℃~50℃、時間は96hrである。
(b)HF蒸気による腐食試験は、SUS316L製のオートクレーブの底部にHF水溶液を100ml入れ、その上部に試験片を吊し、これをHF水溶液から発生するHF蒸気に曝露させることにより実施した。腐食試験温度は30℃~50℃、時間は96hrである。
(3)試験結果
 試験結果を表6に示した。この表6に示す結果から明らかなように、比較例のY溶射皮膜(No.5)の表面には多量の赤さびの発生が認められた。この赤さびは、HCl、HFなどの蒸気が、Y溶射皮膜中にある貫通気孔を通って皮膜の内部へ侵入し、基材のSS400鋼を腐食することによって発生したものと考えられる。一方、YF溶射皮膜(No.1~4)においても、僅かながら赤さびの発生が認められたが、その度合いは小さく、フッ化物溶射皮膜の貫通気孔は、Y溶射皮膜に比較して少ないと推定される。また、腐食試験後の皮膜の外観状況を見ると、比較例のYF溶射皮膜(No.4)は、白色を呈しているため、赤さびの発生がより鮮明に認められるのに対し、黒色YF溶射皮膜(No.1~3)では赤さびの存在が確認でき難い状況にあった。
 このように、酸素ガスイオンをイオン注入したフッ化物溶射皮膜の耐ハロゲン系酸性は、イオン注入をしないフッ化物溶射皮膜の耐ハロゲン性と同等の性能を有していることが確認できた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
(実施例7)
 この実施例では、不活性ガスイオンのイオン注入によって表面を黒色化させたフッ化物溶射皮膜について、それの耐プラズマエロージョン性を、不活性ガスイオンを注入していない大気プラズマ溶射皮膜(比較例)と比較して検討を行なった。
(1)供試皮膜
 Al基材(寸法:幅20mm×長さ30mm×厚さ3mm)の表面にYF、DyFおよびCeFのフッ化物溶射皮膜を大気プラズマ溶射法によって膜厚100μmに形成した後、その皮膜表面にそれぞれN、Ar、Heの不活性ガスのイオンを1時間注入して注入面を黒色変化させた。なお、比較例としては、不活性ガスイオンを注入しないYF、DyFおよびCeF大気プラズマ溶射皮膜を準備し、同条件で試験に供した。
 以下にプラズマエッチング雰囲気ガス組成と条件を示す。
(2)雰囲気ガスと流量条件
  含Fガス雰囲気:CHF/O/Ar=80/100/160(1分間当りの流量cm
  含CHガス雰囲気:C/Ar=80/100(1分間当りの流量cm
(3)プラズマ照射出力:
  高周波電力:1300W
  圧力:4Pa
  温度:60℃
(4)プラズマエッチング試験の雰囲気
  a.含Fガス雰囲気中での実施
  b.含CHガス雰囲気中での実施
  c.含Fガス雰囲気1h⇔含CHガス雰囲気1hを交互に繰返す雰囲気中で実施
(5)評価方法
 エッチング処理によって供試皮膜から飛散する皮膜成分のパーティクル数を計測することによって、耐プラズマエロージョン性と耐環境汚染性を調査した。なお、パーティクル数は、試験容器内に配置した直径8インチのシリコンクエハーの表面に付着する粒径0.2μm以上の粒子数が30個に達するまでに要する時間を測定することによって評価した。
(6)試験結果
 試験結果を表7に示した。この結果から明らかなように、比較例のフッ化物溶射皮膜(No.4、8、12)は、含Fガス雰囲気中におけるパーティクルの発生量が多く、含CH雰囲気ガス中ではパーティクル発生量が少なくなっており、前者のガス雰囲気中におけるプラズマエロージョン作用が激しいことが窺える。さらに、含Fガスと含CHガスを交互に繰返す雰囲気下におけるパーティクル発生量は一段と多くなっている。この原因は、含Fガス雰囲気中におけるフッ化ガスの酸化作用と、CHガス雰囲気の還元作用との繰返しによって、フッ化物溶射皮膜の表面が不安定な状態となり、プラズマによって皮膜が削られ易くなっているためと推定される。
 これに対して、不活性ガスイオンを注入したフッ化物溶射皮膜(No.1、2、3、5、6、7、9、10、11)は、比較例の皮膜と同様な傾向を示しているものの、プラズマによって削りとられるパーティクル発生量はやや少なくなっている。即ち、フッ化物溶射皮膜の表面に不活性ガスイオンを注入したとしても、フッ化物溶射皮膜の耐プラズマエロージョン性が損われることがないことが判明した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
(実施例8)
 この実施例では、本発明に適合する方法でイオン注入処理したフッ化物溶射皮膜の耐プラズマエロージョン性を、従来のYおよびA1溶射皮膜と比較した。
(1)供試皮膜
 基材としては、JIS H4000規定のA3003〔寸法:幅30mm×縦50mm×厚さ5mm〕を用い、その表面に大気プラズマ溶射法によって、Ni-20mass%Crのアンダーコートを形成し、その上に大気プラズマ溶射法によってYFを120μm、及び減圧プラズマ溶射法によってEuFを120μmの厚さに形成し、さらに、フッ化物溶射皮膜の表面に実施例7と同じ要領で、不活性ガスイオンを注入した。
 また、比較例としては、不活性ガスイオンを注入しないフッ化物溶射皮膜及び従来、耐プラズマエロージョン性皮膜として使用されているYおよびA1溶射皮膜を供試した。
(2)耐プラズマエロージョン試験方法
 耐プラズマエロージョン試験は、実施例7の含Fガス雰囲気中において、実施例7と同条件で実施したが、評価は試験前後における供試皮膜の厚さを、表面粗さ計によって測定することによって行なった。
(3)試験結果
 試験結果を表8に要約した。この結果から明らかなように、比較例のイオン注入処理を行っていないフッ化物溶射皮膜(No.4、9)であっても、酸化物溶射皮膜(No.5、10)に比較するとプラズマエロージョン損失量が少なく、優れた耐プラズマエロージョン性を有していることが認められる。また、不活性ガスイオンを注入した本発明に係る黒色のフッ化物溶射皮膜(No.1、2、3、6、7、8)では、比較例のフッ化物溶射皮膜と同等の耐プラズマエロージョン性を発揮しており、不活性ガスイオンのイオン注入によって黒色に変化した溶射皮膜であっても、白色のフッ化物溶射皮膜と遜色のない耐食性を有することが確認された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
(実施例9)
 この実施例では、本発明に適合する方法によって黒色化させたフッ化物溶射皮膜の、ハロゲン系酸の蒸気に対する耐食性を調査した。
(1)供試皮膜
 基材としては、SS400鋼〔寸法:横30×縦50mm×厚さ3.2mm〕を用い、その表面に大気プラズマ溶射法によってYF溶射皮膜を250μm厚さに形成したのち、N、Ar、HeまたはNeからなる不活性ガスイオンを注入し、これによって外観色を白色から黒色へ変化させた溶射皮膜を準備した。また、比較例の溶射皮膜としては、不活性ガスイオンの注入処理を行っていない、YF溶射皮膜と大気プラズマ溶射法によって形成したY皮膜を、それぞれ250μmの厚さに形成したものを同じ条件の試験に供した。
(2)腐食試験方法
(a)HCl蒸気による腐食試験は、化学実験用のデシケーターの底部に30%HCl水溶液を100ml入れ、その上部に試験片を吊し、これをHCl水溶液から発生するHCl蒸気に曝露させる方法により行った。腐食試験温度は30℃~50℃、時間は96hrである。
(b)HF蒸気による腐食試験は、SUS316L製のオートクレーブの底部にHF水溶液を100ml入れ、その上部に試験片を吊し、これをHF水溶液から発生するHF蒸気に曝露させることによって行った。腐食試験温度は30℃~50℃、時間は96hrである。
(3)試験結果
 試験結果を表9に示した。この結果から明らかなように、比較例のY溶射皮膜(No.6)では、表面に多量の赤さびの発生が認められた。この赤さびは、HCl、HFなどの蒸気がY皮膜中にある貫通気孔を通って、皮膜内部へ侵入し、基材のSS400鋼を腐食することによって発生したものと考えられる。一方、YF溶射皮膜(No.1~5)においては、僅かながら赤さびの発生が認められるものの、その度合いが小さく、YF溶射皮膜の貫通気孔は、Y溶射皮膜に比較して少ないことが推定される。また、腐食試験後の皮膜の外観状況を見ると、比較例のYF溶射皮膜(No.5)では白色を呈しているため、赤さびの発生がより鮮明に認められるのに対し、黒色のYF溶射皮膜(No.1~4)では、赤さびの存在が確認でき難い状況にあった。
 上記の結果より、不活性ガスイオンを注入したフッ化物溶射皮膜の耐ハロゲン系酸性は、イオン注入をしていないフッ化物溶射皮膜の耐ハロゲン性と同等の性能を有していることが確認できた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 本発明に係る製品は、高度な耐ハロゲン腐食性と耐プラズマエロージョン性が要求されている半導体の精密加工装置用部材に使用することができる。例えば、ハロゲンおよびその化合物を含む処理ガスを用いて、プラズマ処理される装置に配設されているデポシールド、バッフルプレート、フォーカスリング、インシュレータリング、シールドリング、ベローズカバー、電極などに加え、類似のガス雰囲気の化学プラント装置部材などの耐食性皮膜として利用することができる。
 

Claims (10)

  1.  基材の表面に形成された白色のフッ化物溶射皮膜に対し、F含有ガス、酸素ガスおよび不活性ガスから選ばれるいずれか1以上の注入ガスのイオンを注入することにより、該白色フッ化物溶射皮膜表面の少なくとも一部を黒色に変化させて黒色のイオン注入層を形成することを特徴とする白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法。
  2.  前記基材と白色フッ化物溶射皮膜との間に、Al、Al-Ni、Al-Zn、Ni-CrおよびNi-Cr-Alから選ばれるいずれか1以上の金属・合金のアンダーコートを、50~150μmの膜厚で形成することを特徴とする請求項1に記載の白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法。
  3.  前記黒色のイオン注入層は、減圧下の前記注入ガス雰囲気中において、表面に白色フッ化物溶射皮膜を有する基材に高周波電力を印加し、その白色フッ化物溶射皮膜を負に帯電させると共に、該溶射皮膜表面に正の電荷を有する前記注入ガスのイオンを、イオン濃度が、1×1010~1×1020/cmの範囲になるように注入することにより、該溶射皮膜表面を黒色に変化させて形成することを特徴とする請求項1または2に記載の白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法。
  4.  前記黒色のイオン注入層は、白色フッ化物溶射皮膜の表面から10μm未満の深さまでの厚さを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載の白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法。
  5.  前記黒色のイオン注入層は、白色フッ化物溶射皮膜表面の、前記注入ガスのイオン注入部分のみを黒色に変化させて形成することを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法。
  6.  前記黒色のイオン注入層は、白色フッ化物溶射皮膜表面に文字、数字、図形または模様を表示した層であることを特徴とする請求項5に記載の白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法。
  7.  前記白色フッ化物溶射皮膜は、粒径5~80μmの白色のフッ化物溶射用粉末を溶射して形成された膜厚が20~500μmの皮膜であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1に記載の白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法。
  8.  前記白色フッ化物溶射皮膜は、元素の周期律表IIIa族、IIIb族および原子番号57~71のランタノイド系金属元素から選ばれる1種以上の金属のフッ化物であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1に記載の白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法。
  9.  前記F含有ガスは、Fガスまたは、FガスとN、Ar,HeおよびNeから選ばれる1種以上の不活性ガスとの混合ガスのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の白色フッ化物溶射皮膜の黒色化方法。
  10.  基材と、その基材表面に形成した、元素の周期律表IIIa族、IIIb族および原子番号57~71のランタノイド系金属元素のいずれか1以上のフッ化物溶射用材料を溶射して形成された白色フッ化物溶射皮膜とからなる部材であって、該白色フッ化物溶射皮膜の表面の少なくとも一部が、前記請求項1~9のいずれか1項に記載の黒色化方法によって、黒色に変化した黒色のイオン注入層によって構成されていることを特徴とする表面に黒色層を有するフッ化物溶射皮膜被覆部材。
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