JP5119429B2 - 耐プラズマエロージョン性に優れる溶射皮膜被覆部材およびその製造方法 - Google Patents
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a. 溶射法によって形成されたAl2O3、Y2O3、YAG(Y2O3とAl2O3の複酸化物)などの酸化物(酸化物系セラミック)皮膜をはじめ、Ni、Ni−Cr合金などの皮膜は、ハロゲンによるプラズマエッチング環境において、比較的良好な耐久性を示す。しかし、一般的な溶射皮膜は、基本的に貫通気孔が多く存在いているため、その気孔から、ガスや薬剤が侵入して皮膜内部の腐食損傷を招くという致命的な欠点となることが少なくない。
b. 上記溶射皮膜の欠点を改善するため、酸化物溶射皮膜の表面に対して電子ビームやレーザービームなどの高エネルギー照射を施す技術が提案されている。しかし、この技術の場合、照射時には皮膜表面が完全に溶融して緻密化するもの、冷却過程において体積の収縮現象によって、該皮膜照射面に“ひび割れ”が発生し、これが新しい皮膜貫通気孔の役割を果すことになるため、完全な封孔対策となっておらず、トップコートとしての機能を果せないという問題がある。
c. また、酸化物系セラミック溶射皮膜表面における高エネルギー照射処理に起因する“ひび割れ”は、発生当初は微小であっても、使用環境中において、加熱と冷却の条件が繰り返されると、そのひび割れが次第に大きく、かつ深く成長するため、皮膜内部へのガス・薬液類の侵入防止として不十分である。
d. 酸化物系セラミック溶射皮膜表面への高エネルギー照射処理は、工程の増加と製品コストの上昇を招くという課題もある。
(1) 耐食性に優れる溶射皮膜被覆部材を製造するために、本発明では、延性が大きくかつ割れ感受性の小さい金属・合金(以下、「合金」を含めて金属という)と酸化物(酸化物系セラミック)の混合粉末からなるサーメット材料を溶射してサーメット溶射皮膜を被覆形成すること。
(2) サーメット溶射皮膜の構成金属成分として、本発明では、延性が大きくかつ割れ感受性の小さい金属として、NiあるいはNi−Cr系Ni基合金を用い、酸化物としては、Al2O3、Y2O3、Al2O3−Y2O3複酸化物、および原子番号57〜71に属するランタノイド系元素から選ばれる1以上の金属の酸化物、のうちのいずれかの酸化物を用いる。これらの構成成分からなるサーメット溶射皮膜の好ましい組成としては、金属成分を10〜90mass%、酸化物成分を90〜10mass%とし、この皮膜は80〜500μmの厚さとなるように被覆形成すること。
(3) 前記サーメット材料を用いて、基材側ほど酸化物を多く、また皮膜の表面側ほど酸化物を多く含むなど、金属と酸化物の含有量を傾斜的に配合した組成のサーメット溶射皮膜を被覆形成すること。
(4) 前記サーメット溶射皮膜の形成には、大気プラズマ溶射法や減圧プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法及び爆発溶射法から選ばれるいずれかの溶射法によって50〜500μmの厚さのサーメット溶射皮膜を被覆形成すること。
(1) 前記サーメット溶射皮膜は、粒径がそれぞれ5〜60μmである金属および酸化物からなる溶射材料を溶射し、気孔率:0.4〜10%、膜厚:50〜500μmとなるように形成された皮膜であること。
(2) 前記サーメット溶射皮膜は、皮膜の表面側ほど金属成分が多く、基材側ほど酸化物成分が多くなるように、金属と酸化物の配合割合を傾斜的に変化させた皮膜であること。(3) 基材の表面に、90〜10mass%のNiまたはNi−Cr系Ni基合金が用いられる金属と、10〜90mass%のY、Al、Y−Alおよび原子番号57〜71のランタノイド系元素から選ばれる1種以上の金属の酸化物とからなるサーメット溶射材料を溶射して、膜厚50〜500μmの厚さのサーメット溶射皮膜形成すること。
(1) Al2O3、Y2O3、YAGなどの酸化物のみからなる溶射皮膜と同等の耐プラズマエロージョン性を有しながら、酸化物系セラミック溶射皮膜単独のものに比較して、同じ溶射方法であれば、はるかに小さい気孔率の皮膜となる。その結果、気孔から侵入するガスや薬液に起因する皮膜内部の腐食損傷の発生率を低減することができる。
(2) Ni及びNi基合金などからなる金属単独の溶射皮膜に比較しても、はるかに高い耐摩耗性を発揮する。
(3) 本発明に係るサーメット溶射皮膜を構成する金属成分と酸化物系セラミックの種類とその含有量をそれぞれ変化させ、選択することによって、用途に適した性質と性能を有する皮膜の形成が可能となる。
(4) 前記溶射材料成分の配合に加え、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法などの溶射法の選択と溶射条件の調整などを組合せることによって、溶射成膜状態においても、低気孔率から高気孔率皮膜、耐食性、耐プラズマエロージョン性、耐摩耗性などの要求に適した溶射皮膜の形成が可能である。
(5) 従来技術のような、Al2O3、Y2O3、YAGなどの酸化物系セラミックの溶射皮膜の表面を、電子ビームやレーザービームなどの高エネルギー照射処理が不要になるため、製品コストを低減することができる。
(6) 酸化物系セラミック単独の溶射皮膜に比較すると、高い密着力と熱衝撃抵抗を示す他、高速フレーム溶射法または減圧プラズマ溶射法などによって形成される金属成分を多く含むサーメット溶射皮膜は、気孔率を低くすることが可能になるため、半導体部材のドライエッチング加工分野では、低コストの表面処理皮膜として採用できる。
(1) 成膜用溶射材料の選定
本発明において重要な構成である溶射皮膜の形成には、下記の如き金属と酸化物とからなるサーメット材料が用いられる。
(イ). Fe:Feの許容量は15mass%以下である。具体的には、Ni−Cr系Ni基合金に含まれる、Cr含有量が20mass%を超える場合、Feは15mass%であっても合金の耐食性は余り低下しないが、Cr含有量が20%未満の合金においては、耐食性の低下、特に塩酸による侵食量が増加するので好ましくない。
(ロ). Mo:Ni−Cr系Ni基合金にMoが含まれていると、酸に対する抵抗が著しく増加する。特に、半導体加工用装置の洗浄に使用される塩酸に対して強く、サーメット溶射皮膜の金属成分として用いた場合においても、耐プラズマエロージョン性に悪影響を与えないので好都合である。Moの含有量は18mass%を上限とし、下限は2mass%程度の含有量でも耐食性を向上させる効果がある。
(ハ). Al、Co、Si、W、Ti、Cu:これらの金属成分は、特に規定しないが、それぞれ5mass%未満であることが好ましい。具体的には、Alは酸にもアルカリにも溶出し、Siは酸には強いがアルカリに溶解し、Coは酸に弱く、W、Cuは重金属成分として僅かな量でも装置内を汚染して、半導体加工製品の品質を低下するので、好ましくない。
2. 酸化物:元素の周期律表IIIb族のAlの酸化物、例えばAl2O3、Yの酸化物、例えばY2O3および原子番号57〜71に属するランタノイド系元素などによる金属の酸化物をはじめ、Y2O3−Al2O3の混合酸化物、YAGで表示される複酸化物なども好適に用いられる。
前記の金属と酸化物の粒子とは、これらを直接混合してなるサーメット混合溶射材料としたものが使用できるが、その他、金属および酸化物をそれぞれ、粒径3〜40μmの粉末とし、これらをビニルなどの高分子粘結剤を用いて予め粒径5〜60μmに造粒し、乾燥したもの、あるいはさらに、真空中又は不活性ガス雰囲気中で加熱して焼結したものが使用できる。なお、金属と酸化物の混合割合は、皮膜の使用目的に応じて、金属を10〜90mass%、酸化物を90〜10mass%になるように調整する。好ましくは、金属を20〜50mass%、酸化物を80〜50mass%にする。
一般に金属は、酸化物に比較すると、軟化点、融点が低いため、プラズマや燃焼フレームなどの溶射熱源中において短時間内に加熱変形が容易な状態になり、基材表面に衝突した際にも大きな変形率によって、偏平粒子からなる積層皮膜を形成しやすい特徴がある。
前記サーメット溶射粉末材料を用いて、大気プラズマ溶射法や減圧プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、爆発溶射法などによって、膜厚50〜500μmのサーメット溶射皮膜を形成する。膜厚が50μm未満では、形状の複雑な部材への均等な成膜が困難であり、一方、500μmより厚いと、その効果が飽和して経済的でない。なお、サーメット溶射皮膜は、基材の表面を所定の前処理(例えば、脱脂、異物の除去、ブラスト処理など)を施した後、直接形成することができる。ただし、酸化物含有量の多いサーメット溶射皮膜を形成する場合には、NiあるいはNi−Cr系Ni基合金をアンダーコートとして施工することが好ましい。
なお、溶射皮膜を形成するための基材は、Alおよびその合金、Tiおよびその合金、炭素鋼、ステンレス鋼のような特殊鋼をはじめ、石英、黒鉛などの炭素質、酸化物および窒化物などの焼結材などが使用できる。
溶射法と金属含有量の異なるAl2O3溶射皮膜の気孔率の関係について実験した結果を表1に示した。表1に示す結果から明らかなように、Al2O3溶射皮膜の気孔率は、大気プラズマ溶射法で8〜12%、高速フレーム溶射法で6〜10%を示し、溶射法の選択だけでは緻密な皮膜の形成は困難であることがわかる。ただ、減圧プラズマ溶射法で形成された溶射皮膜では気孔率の観察視野によっては、0.5%の気孔率も観測されたが、7%前後の高い気孔率も見られた。
(1) 供試基材:供試基材として、SS400鋼(寸法:50mm×70mm×3.2mm)を用いた。
(2) 供試皮膜:本発明の溶射皮膜ではNiを20mass%−Crを60mass%の金属および酸化物(Al2O3、Y2O3、YAG)からなるサーメット溶射皮膜を大気プラズマ溶射法によって、基材表面に直接、100μmの厚さに形成した。また、比較例の溶射皮膜として、基材に直接、前記Al2O3、Y2O3、YAG単独の皮膜を、それぞれ100μmの厚さに形成したものを準備した。
(3) 腐食試験:溶射皮膜は、JISZ2371規定の塩水噴霧試験に供し、試験開始から50h後、100h後、300h後ごとに、皮膜の外観を目視観察し、赤さびの発生の有無によって、耐食性を評価した。なお、すべての皮膜試験片の裏面部と端面部には市販の防食塗料を塗布し、皮膜のみが塩水に曝露されるようにした。
(4) 試験結果
試験結果を表2に示した。この結果から次のようなことが確認できる。
Al2O3などの酸化物の溶射皮膜(No.1〜3)では、塩水噴霧試験後50hから赤さびの発生が認められ、300h後では多量の赤さびが皮膜の30%以上を占めた。これに対して、金属成分を含むサーメット溶射皮膜(No.4〜6)では、50h後では赤さびの発生は見られず、100h後になって、皮膜が部分的に変色する程度であり、比較例の皮膜に比し、耐食性に優れていることが判明した。これらの原因は、サーメット溶射皮膜は、気孔率(特に貫通気孔)が酸化物溶射皮膜に比較して小さいため、皮膜内部へ侵入する塩水量が相対的に少なくなった結果と考えられる。
(1) 供試基材:耐食性試験用には実施例1に記載のAl合金、耐熱衝撃性試験用には、SUS304鋼(寸法:50mm×50mm×3.2mm厚さ)を用いた。
(2) 供試皮膜:金属成分(Ni−20Cr合金)を60mass%と酸化物成分としてAl2O3、Y2O3、YAGをそれぞれ40mass%とを含むサーメット溶射材料を大気プラズマ溶射法によって、基材の表面に、直接100μmの厚さに形成した。なお、比較用皮膜として、基材に直接またはNi−20Al合金のアンダーコートを施工後、その上にトップコートとして、Al2O3、Y2O3、YAG酸化物の溶射皮膜をそれぞれ100μmの厚さに形成したものを準備した。
(3) 熱衝撃試験:供試皮膜の熱衝撃試験は、皮膜試験片を電気炉中で500℃×20分間加熱後、炉外に取り出して送風機で、室温(25℃)まで冷却する操作を1サイクルとして計10サイクルの試験を行った。1サイクルごとに皮膜表面を目視及び拡大鏡(8倍)を用いて視察し、皮膜の割れ、剥離などの有無を調査した。
(4) 試験結果
試験結果を表3に示した。この結果から明らかなように、比較例の皮膜(No.1〜3)のように、基材表面にAl2O3、Y2O3、YAG皮膜を直接形成したものは、すべての皮膜が5〜6サイクルの熱衝撃試験によって剥離した。これに対して、Ni−Al合金のアンダーコートを施工した酸化物溶射皮膜(No.4〜6)は、1部を除いて(No.4)、10サイクルの熱衝撃試験試験によく耐え、良好な密着性を維持していた。即ち、酸化物溶射皮膜はアンダーコート上に積層することのみによって高い熱衝撃特性を発揮することがわかる。これに対し、本発明に係るサーメット溶射皮膜(No.7〜9)は、前記アンダーコートを介在させた酸化物溶射皮膜の場合と同等以上の熱衝撃特性を発揮しており、皮膜に含まれている金属成分は基材との密着性向上にも寄与していることが確認された。
(1) 供試基材:実施例2と同じ基材を用いた。
(2) 供試皮膜:性膜材料として、下記金属成分とY2O3酸化物成分の配合っ割合をそれぞれ10〜90mass%の範囲に調整した粉末を用い、高速フレーム溶射法によって膜厚150μmの皮膜を形成した。
1 金属成分:Ni−50Cr系Ni基合金
2 酸化物成分:Y2O3
3 上記金属/Y2O3の割合い(質量比):それぞれ10/90、30/70、70/30、90/10
なお、比較例の皮膜としてY2O3(大気プラズマ溶射法)Ni−50Cr合金(高速フレーム溶射法によって膜厚150μmに成膜した試験片を準備した。
(3) 熱衝撃試験:実施例2と同じ方法と条件で実施した。
(4) 耐プラズマエロージョン試験方法:供試皮膜の表面を10mm×10mmの範囲が露出するように、他の部分をマスクし、下記条件にて20時間照射した後、エロージョン損傷量を触針式粗さ計にて計測し深さ方向の侵食度によって評価した。減肉厚さとして求めた。
a. ガス雰囲気と流量条件
CF4、Ar、O2の混合ガスを1分間当り、CF(100cm3)/Ar(1000cm3/O2(10cm3))の割合で流した。
b. プラズマ照射出力
高周波電力:1300W、環境圧力:133.3Pa
(5) 試験結果:試験結果を表4に要約した。この結果から次のようなことが明らかとなた。
1 耐熱衝撃性:基材の表面に直接、Y2O3溶射皮膜を形成した試験片(No.1)は、8サイクルの熱衝撃試験で皮膜が剥離し、熱サイクル条件下における皮膜の密着性が低いことが認められる。また、Ni−50mass%Cr合金を含む溶射皮膜(No.2)は良好な密着性を発揮し、10サイクルの熱衝撃試験によっても皮膜の剥離は見られなかった。また、金属成分を含むY2O3溶射皮膜も、今回供試した配合割合の範囲内では、いずれも10サイクルの熱衝撃試験では皮膜に割れの発生もなく、試験前と同様な外観状況を呈し異常は認められなかった。即ち、密着性の弱いY2O3セラミックに金属成分を添加することによって、皮膜の密着性が向上することが明らかである。
2 耐プラズマエロージョン性:比較例のY2O3エロージョン損傷量7.5μmに比較すると金属成分のみの皮膜(No.2)の損失量が最も大きいことが明らかとなったが、損失量の絶対値としてはそれほど多くない。本発明に係る金属成分とY2O3からなるサーメット溶射皮膜(No.3〜7)は、いずれもY2O3のエロージョン損失量と同等の損失量を示しY2O3皮膜部材が適用されている環境装置に対し、十分な性能を保有していることがうかがえる。
(1) 供試基材:供試基材としてJISH4000規定のA3003合金(寸法:幅30mm×長さ50mm×厚さ3.2mm)を用いた。
(2) 供試皮膜:供試皮膜として、金属Niと酸化物としてランタノイド系元素の酸化物を40/60(質量比)に混合した材料を高速フレーム溶射法によって120μmの厚さに施工した。また、比較例の溶射皮膜としてランタノイド系元素の酸化物のみからなるセラミックを減圧プラズマ溶射法によって120μmの厚さに被覆形成した試験片を作製した。
(3) 耐プラズマエロージョン試験:実施例3と同じ方法と条件で実施した。
(4) 試験結果:試験結果を表5に要約した。この結果によると比較例の酸化物のみからなる溶射皮膜(No.1〜5)のエロージョン損失量は6.8〜7.5μmの範囲にあるが、本発明に係るNiを含むサーメット溶射皮膜(No.6〜10)のエロージョン損失量は、6.8〜7.2μmにとどまっており、前者に匹敵する耐プラズマエロージョン性を発揮することが判明した。
(1) 供試基材:実施例4と同じAl合金を用いた。
(2) 供試皮膜:供試皮膜を構成する金属成分と酸化物成分の種類を下記の通り変化させた(数字はmass%を示す)
発明例: 金属成分:Ni、Ni−20Cr、Ni−50Cr
酸化物成分:Al2O3、Y2O3、YAG
比較例: 金属成分:Cu、Cr、SUS304
酸化物成分:Al2O3、Y2O3、YAG、Cr2O3、8Y2O3・ZrO2、Al2O3−40TiO2
なお、金属成分/酸化物成分の割合は40/60とし、大気プラズマ溶射法によって、膜厚120μmの皮膜を形成させた。
(3) 耐プラズマエロージョン試験方法:実施例3と同じ方法、条件で試験した。
(4) 試験結果:試験結果を表6に示した。この表に示す結果から明らかなように、酸化物成分として耐プラズマエロージョン性に優れたAl2O3、Y2O3、YAGなどを用いても、金属成分がCu、Cr、SUS304からなるサーメット皮膜(No.1〜3)では耐プラズマエロージョン性は乏しく、また、Ni及びその合金とCr2O3、8Y2O3・ZrO2、Al2O3・40TiO2からなるサーメット溶射皮膜(No.4〜6)もエロージョン損失量が大きくなっている。これに対し、本発明に係るNi及びその合金とAl2O3、Y2O3、YAGなどとのサーメット溶射皮膜(No.7〜9)は、エロージョン損失量が少なく、耐プラズマエロージョン性に優れていることが判明した。即ち、本発明に係るサーメット溶射皮膜は、皮膜を構成する金属成分と酸化物成分の両者がともに耐プラズマエロージョン性に優れていることが確認された。
Claims (5)
- 基材の表面に、溶射皮膜を被覆形成してなる部材において、その溶射皮膜が、90〜10mass%のNiまたはNi−Cr系Ni基合金と、10〜90mass%のY、Al、Y−Alおよび原子番号57〜71のランタノイド系元素から選ばれる1種以上の金属の酸化物と、からなるサーメッ溶射皮膜であることを特徴とする耐プラズマエロージョン性に優れる溶射皮膜被覆部材。
- 前記サーメット溶射皮膜は、粒径がそれぞれ5〜60μmである金属および酸化物からなる溶射材料を溶射し、気孔率:0.4〜10%、膜厚:50〜500μmとなるように形成された皮膜であることを特徴とする請求項1に記載の耐プラズマエロージョン性に優れる溶射皮膜被覆部材。
- 前記サーメット溶射皮膜は、皮膜の表面側ほど金属成分が多く、基材側ほど酸化物成分が多くなるように、金属と酸化物の配合割合を傾斜的に変化させた皮膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐プラズマエロージョン性に優れる溶射皮膜被覆部材。
- 基材の表面に、90〜10mass%のNiまたはNi−Cr系Ni基合金と、10〜90mass%のY、Al、Y−Alおよび原子番号57〜71のランタノイド系元素から選ばれる1種以上の金属の酸化物と、からなるサーメット溶射材料を溶射して、膜厚50〜500μmの厚さのサーメット溶射皮膜を形成することを特徴とする耐プラズマエロージョン性に優れる溶射皮膜被覆部材の製造方法。
- 前記サーメット溶射皮膜は、皮膜の表面側ほど金属成分が多く、基材側ほど酸化物成分が多くなるように、金属と酸化物の配合割合を傾斜的に変化させた皮膜であることを特徴とする請求項4に記載の耐プラズマエロージョン性に優れる溶射皮膜被覆部材の製造方法。
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