JP6366643B2 - 溶射膜を有する基材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶射膜を有する基材の製造方法に関する。特に、溶射膜の密着性が良好で、溶射膜の剥離が生じにくい基材の製造方法に関する。
基材に対して、新たな特性(耐食性、耐摩耗性等)を付与する、あるいは、表面特性を改善するために、表面処理が行われている。このような表面処理の1つとして、金属、セラミックス等の材料を溶融状態または軟化状態で基材の表面に吹き付けて溶射膜を形成することが行われている。
形成された溶射膜と基材とは、アンカー効果により機械的に接合されている。この接合はそれほど強固ではなく、溶射膜に剪断力が加わると、溶射膜が基材から剥離しやすいという問題があった。
また、溶射膜は一般的に気孔率が高い、あるいは、クラックが発生することが多い。そのため、基材が腐食されないように、溶射膜を形成した場合であっても、基材を腐食する媒体が、溶射膜中の気孔あるいはクラックを通じて溶射膜を貫通し、基材の表面まで達して基材を腐食してしまうことがあった。その結果、溶射膜は腐食されていないにもかかわらず、溶射膜直下の基材の腐食により、溶射膜が剥離してしまうという問題があった。
このような問題を解決するための方策として、基材上に形成された溶射膜に対して、熱間等方圧加圧処理(HIP処理)を行い、溶射膜と基材とを拡散接合させることが開示されている(特許文献1および2を参照)。また、同様に、基材上に形成された溶射膜に対して、熱間等方圧加圧処理(HIP処理)を行い、溶射膜中の開気孔量を低減させることが開示されている(特許文献3を参照)。
特開昭61−286077号公報 特開平4−18321号公報 特開平1−264983号公報
しかしながら、特許文献1および2では、溶射膜を有する基材を、カプセルと呼ばれる容器に収納して密封し、これをHIP処理している。このようなカプセルを用いる場合、被処理物(溶射膜を有する基材)の形状が複雑になると、その形状に追随させるためにカプセルの作製費が高額になるという問題があった。
一方、特許文献3では、カプセルを用いずにHIP処理を行う、いわゆるカプセルフリー法を採用している。しかしながら、カプセルフリー法では、HIP処理における圧力媒体(ガス)の圧力を受ける媒体、すなわち、カプセルが存在しない。したがって、最表面に位置する溶射膜にガスが接触することになる。
しかしながら、溶射膜には開気孔が多く存在しているため、この開気孔をガスが通りぬけ、基材まで達してしまう。すなわち、圧力を付与するためのガスが基材まで達してしまうと、溶射膜自体には圧力は掛からない。そうすると、拡散接合は、加圧と加熱との相乗効果により促進されるので、基材と開気孔が多い溶射膜との界面では、拡散接合が生じにくくなってしまう。この場合、当該界面は、相互拡散が部分的に生じて接合されるものの、当該界面には、層と呼ぶことができる程度の拡散層が形成されず、その結果、拡散接合による強固な接合は期待できないという問題があった。
本発明は、上記の状況を鑑みてなされ、溶射膜と基材との間において、原子の相互拡散による拡散層を形成し、当該拡散層の接合強度が十分に発揮されることにより密着性が良好であって、かつ溶射膜の少なくとも一部を緻密化することにより耐腐食性が良好な溶射膜を有する基材の製造方法を、低コストで提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、溶射膜にカプセルの役割を担わせることを想到した。具体的には、溶射膜において、気孔率が小さい部分を基材上に形成してからHIP処理を行い、HIP処理における加圧ガスを当該部分が受け止めて、当該部分が基材に押しつけられることにより、当該部分と基材との界面において拡散接合が全体的に生じることを見いだした。また、HIP処理により、当該部分の気孔率はさらに低下し、基材を腐食させる媒体の侵入を十分に防止できる程度に緻密化されることを見いだした。本発明者らは、これらの知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の態様は、
金属成分と、硬質物質成分とを含む材料で形成した射膜を有する基材の製造方法であって、
基材に、金属成分と質物質成分とを含む溶射材料を溶射して、気孔率が3%以下である緻密部と、該緻密部の表面側に気孔率が3%超であるポーラス部とを有する溶射膜を形成する溶射膜形成工程と、
前記溶射膜が形成された基材に対して、熱間等方圧加圧処理をカプセルフリー法により行い、前記溶射金属と前記基材に含まれる金属との相互拡散により拡散層を形成する拡散層形成工程と、を有し、
前記拡散層形成工程において、熱間等方圧加圧処理が、前記溶射膜に含まれる、気孔率が3%以下である緻密部に対して行われ、
熱間等方圧加圧処理後の緻密部の気孔率が2%以下であることを特徴とする溶射膜を有する基材の製造方法である。
なお、加圧ガスが効果的に作用する気孔の量が3%以下であることは経験的に知られているため、溶射膜形成後(熱間等方圧加圧処理前)の気孔率を3%以下とした。
)前記溶射膜形成工程において、前記溶射膜から前記基材に向かう方向において、前記溶射膜における気孔率が減少するように、前記溶射材料を溶射することを特徴とする()に記載の溶射膜を有する基材の製造方法である。
)前記溶射膜における前記金属成分が占める割合が、体積%で、30%以上であることを特徴とする()又は()のいずれかに記載の溶射膜を有する基材の製造方法である。
)前記拡散層の厚みが5μm以上100μm以下であることを特徴とする()から()のいずれかに記載の溶射膜を有する基材の製造方法である。
)前記金属成分が、Fe、Co、NiおよびMoからなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする()から()のいずれかに記載の溶射膜を有する基材の製造方法である。
)前記基材がFe系材料からなることを特徴とする()から()のいずれかに記載の溶射膜を有する基材の製造方法である。
本発明によれば、溶射膜と基材との間において、原子の相互拡散による拡散層を形成し、当該拡散層の接合強度が十分に発揮されることにより密着性が良好であって、かつ溶射膜の少なくとも一部を緻密化することにより耐腐食性が良好な溶射膜を有する基材の製造方法を、低コストで提供することができる。
図1は、本実施形態に係る溶射膜を有する基材の模式的な断面図である。 図2は、本実施形態に係る溶射膜を有する基材の製造方法において、拡散層の形成を説明するための模式的な断面工程図である。 図3は、本発明の実施例および比較例の断面のSEM写真である。 図4は、本発明の実施例および比較例について、溶射膜と基材との間の接合強度の測定方法を説明するための図である。 図5は、本発明の実施例および比較例について、溶射膜と基材との間の接合強度の測定結果を示すグラフである。 図6は、本発明の実施例および比較例について、溶射膜と基材との間の接合強度を測定した後の、試料断面のSEM写真である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.溶射膜を有する基材
1−1 基材
1−2 溶射膜
1−3 拡散層
2.溶射膜を有する基材の製造方法
2−1 溶射膜形成工程
2−2 拡散層形成工程
3.本実施形態の効果
4.変形例
(1.溶射膜を有する基材)
本実施形態に係る溶射膜を有する基材1は、図1に示すように、基材10と溶射膜20とが、拡散層30を介して接合されている。後述するが、拡散層30は、基材10と溶射膜20との界面において、これらに含まれる原子の相互拡散が生じて形成されている。その結果、溶射膜20と拡散層30との間および基材10と拡散層30との間には化学的な接合が生じている。また、本実施形態では、溶射膜20は、基材10から溶射膜20に向かう方向において、緻密部21およびポーラス部22を有している。以下、各構成要素について詳細に説明する。
(1−1 基材)
本実施形態では、基材10は、Fe系材料で緻密質として構成されている。Fe系材料は、Feおよび不可避的不純物からなる材料であってもよいし、Feが主成分であり、全体に対して、50質量%以上含まれている材料であってもよい。Feが主成分である場合、Fe系材料には、Fe以外に、C、Cr、Ni等の公知の合金元素が含まれていてもよい。また、基材10は、当該基材が用いられる用途に応じて種々の形状を有しており、特に制限されない。
(1−2 溶射膜)
溶射膜20は、溶射材料が溶融または軟化した状態で基材10の表面に吹き付けられて形成されている。溶射膜20は、金属成分と、酸化物、炭化物、窒化物、硼化物等の硬質物質成分と、を含んでいる。以降、溶射膜20に含まれる金属成分を、溶射金属とも言う。
本実施形態では、基材10はFe系材料から構成されているため、Fe系材料に含まれる原子との相互拡散の起こりやすさを考慮して、溶射金属には、Fe、Co、NiおよびMoからなる群から選ばれる1種または2種以上が含まれることが好ましい。このような溶射金属を含む溶射材料としては、たとえば、Fe、MCrAlY(MはNiまたはCo)、Mo等が例示される。また、硬質物質成分としては、たとえば、酸化鉄(Fe)、炭化タングステン(WC)等が例示される。
溶射膜20の厚みは、特に制限されず、用途に応じて所望の性能を発揮できる程度の厚みとすればよい。たとえば、溶射膜20の厚みの下限は50μm程度であり、上限は500μm程度である。
また、図1に示すように、溶射膜20は、基材10側から、緻密部21、ポーラス部22の順で構成されている。緻密部21は、たとえば、外部からの腐食性媒体が基材10に接触することを防止する機能を有している。また、ポーラス部22は、たとえば、耐摩耗性、熱伝導性の制御(断熱性)、潤滑性を確保する機能を有している。
緻密部21は、気孔率が2%以下である部分であり、ポーラス部22は、気孔率が3%超である部分である。また、緻密部21全体に占める溶射金属の割合は、ポーラス部22全体に占める溶射金属の割合よりも多い。換言すれば、ポーラス部22から緻密部21に向かうにつれ、金属成分の割合が増加するよう変化している。なお、硬質物質成分については、金属成分とは逆の傾向を示す。
また、緻密部21およびポーラス部22が上記の関係を満足していれば、緻密部21において、気孔率および溶射金属の割合は一定であってもよいし、段階的に(階段状に)変化してもよいし、連続的に変化していてもよい。ポーラス部22についても同様である。さらに、緻密部21およびポーラス部22に渡って、気孔率および溶射金属の割合が、段階的に(階段状に)変化してもよいし、連続的に変化していてもよい。
気孔率の測定方法としては、公知の方法を用いればよく、たとえば、断面組織の拡大写真から直接測定する平均直径法を用いればよい。
本実施形態では、溶射膜20において、異なる機能を有する部分を共存させているため、種々の環境下において優れた特性を発揮できる。しかも、これらの部分は化学的に一体とされているため、剥離等の問題は生じない。各部21,22を化学的に一体化して形成する手法については後述する。
(1−3 拡散層)
拡散層30は、基材10に含まれる金属と、溶射膜20に含まれる溶射金属と、が相互拡散して形成される層である。したがって、拡散層30と基材10とが拡散接合され、さらに拡散層30と溶射膜20とが拡散接合されているため、基材10と溶射膜20とは、拡散層30を介して化学的に接合され、一体化されている。このような接合は、基材10上に溶射膜20を形成した直後のようなアンカー効果による機械的な接合ではないため、接合強度が大きく、基材10から溶射膜20の剥離を効果的に抑制することができる。
本実施形態では、拡散層30は、基材10と溶射膜20との間に、層と規定できる程度の厚みを有して存在している。具体的には、拡散層30の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。拡散層30の厚みの上限は特に制限されない。しかしながら、後述するように、拡散の程度は温度に依存するため、拡散層30の厚みは、熱間等方圧加圧(HIP)処理の処理条件に依存する。したがって、HIP処理に要するコストの観点から、拡散層30の厚みは好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
また、拡散層30の厚みを測定する方法としては、EPMA等の元素分析により得られる元素の分布から測定する方法が例示される。
拡散層30の気孔率は、溶射膜20における緻密部21の気孔率と同程度あるいはそれよりも小さい。
(2.溶射膜を有する基材の製造方法)
続いて、上記の溶射膜を有する基材の製造方法について説明する。上記の溶射膜を有する基材は、溶射により形成した溶射膜に対して熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)処理を行うことにより製造される。以下、溶射膜を有する基材の製造方法について具体的に説明する。
(2−1 溶射膜形成工程)
まず、溶射膜が形成されることになる基材を準備する。準備した基材に対し、溶射材料を加熱して溶融状態または軟化状態にして基材表面に吹き付けて溶射膜を形成する。溶射方法は特に制限されず、公知の方法(フレーム溶射、アーク溶射、プラズマ溶射等)を用いればよい。
本実施形態では、溶射材料として、金属成分と硬質物質成分とについて傾斜組成を有する溶射材料を用いる。具体的には、金属成分と硬質物質成分との量比を変化させながら溶射材料を供給して、溶射を行う。本実施形態では、当該量比は、金属成分量が次第に少なくなり、硬質物質成分量が次第に多くなるように制御される。このような溶射材料を用いることにより、基材に近い側では、金属成分の含有量が多く、溶射膜の表面側では、金属成分の含有量が低い構成を有する溶射膜が形成される。
また、上記の通り、金属成分と硬質物質成分との量比を制御することにより、基材に近い側では気孔率が低く、溶射膜の表面側では気孔率が高い構成を有する溶射膜が形成される。
したがって、溶射膜形成工程において、上記の手法を採用することにより、基材側から溶射膜側に向かう方向に、金属成分量が連続的に減少し、かつ気孔率が連続的に増加している溶射膜(緻密部21およびポーラス部22)が形成される。
(2−2 拡散層形成工程)
続いて、溶射膜が形成された基材に対して、熱間等方圧加圧(HIP)処理を行い、拡散層を形成する。本実施形態では、HIP処理を行うことにより、溶射膜と基材との間、すなわち、溶射膜の緻密部と基材との間で原子の相互拡散が生じて、拡散層が形成される。拡散層が形成されるメカニズムについて詳細に説明する。
溶射膜の緻密部と基材との間で生じる原子の相互拡散は、緻密部と基材との固相拡散である。加熱により緻密部と基材との接合面において原子の拡散が生じる。しかしながら、接合面における緻密部と基材との接触は主に点接触であるため、接触面積は小さい。その結果、原子の相互拡散は部分的にしか生じず、接合面において拡散接合した部分も部分的にしか存在しない。そうすると、接合面に剪断力が加わった時には、接合面において接合強度が小さい部分から剥離が進み、最終的には接合面全体に剥離が生じてしまう。
そこで、本実施形態では、当該接合面において、接合面全体に原子の相互拡散を生じさせている。以下、図2を用いて、その手法を説明する。図2に示すように、HIP処理により、加圧ガス50は、比較的気孔率の大きいポーラス部22を通過し、緻密部21まで達する。一方、緻密部21では、気孔率が小さいため、加圧ガス50は緻密部21に対して有効に機能する。その結果、緻密部21に圧力が掛かり(緻密部21が押され)、緻密部21が圧縮される。このとき、基材10と緻密部21との接合面Iでは、緻密部21が基材10に押し付けられ緻密部21と基材10との接触面積が多くなる。その結果、接合面I全体において原子の相互拡散が生じて、接合面I全体に拡散層30が生じることになる。すなわち、緻密部21がカプセルの役割を果たして圧力を受け止め、緻密部21自体が加圧ガス50に押されることになり接合面Iにおける緻密部21と基材10との接触面積が多くなる。その結果、接合面Iにおいて短時間で確実かつ十分に固相拡散が生じる。
なお、緻密部21よりも表面側に位置するポーラス部22は加圧ガスが通過しやすく、ポーラス部22には圧力が掛からないため、HIP処理後においても、ポーラス部22はポーラスな状態を維持することができる。また、緻密部21がカプセルの役割を果たすため、HIP処理をカプセルフリー法により行うことができ、コストの低減を図ることができる。
以上より、緻密部と基材とは拡散層を介して強固に接合されている。しかもこの拡散層は、緻密部と基材との間に層と規定できる程度の厚みを有して連続的に形成されているため、緻密部と基材との間の接合強度は、拡散層が発揮する接合強度に等しい。
HIP処理条件は、溶射膜並びに溶射膜を有する基材の特性等に応じて適宜決定すればよい。たとえば、雰囲気は不活性ガス雰囲気が好ましく、加熱温度は1000℃以上1300℃以下が好ましく、圧力は96MPa以上150MPa以下が好ましく、保持時間は0.5時間以上であることが好ましい。保持時間の上限は特に制限されないが、コストを考慮して、5時間以下であることが好ましい。
(3.本実施形態の効果)
本実施形態では、基材上に形成された溶射膜において、気孔率が上記の範囲内である緻密部と基材との間に拡散層を存在させている。この緻密部は、HIP処理前に、気孔率が上記の範囲内となるように形成されているため、HIP処理において、緻密部が加圧ガスによる圧力を受け止めることができる。その結果、緻密部が押され、緻密部と基材との接合面において、緻密部と基材との間の接触面積が増加し、接合面全体に渡り原子の相互拡散が生じて拡散層が形成される。
この拡散層は、緻密部と基材との間に層として存在しており、緻密部と基材とを強固に接合している。しかも、緻密部は、HIP処理により、より緻密化されているため、基材を腐食する媒体が、緻密部を通過して基材まで達することを効果的に防止することができる。
さらに、緻密部よりも表面側に存在するポーラス部は気孔率が比較的に高いため、HIP処理における加圧ガスは、ポーラス部を通過することになり、HIP処理後においても、特に、ポーラス部はポーラスな状態を維持することができる。したがって、HIP処理後においても、ポーラス部は、ポーラスな状態に起因する機能を維持することができる。
このような溶射膜および拡散層を形成するには、基材上に、気孔率が上記の範囲内である緻密部を形成してHIP処理を行えばよい。特に、金属成分と硬質物質成分との割合を変化させた傾斜組成を有する溶射材料を用いて、金属成分と硬質物質成分との量比を制御する場合には、連続的に成分量および気孔率が変化する溶射皮膜を得ることができ、溶射膜中に、気孔率が異なる緻密部とポーラス部とを容易に共存させることができる。
しかも、気孔率が低い緻密部の上に、気孔率が高いポーラス部が形成されているため、HIP処理を行うと、緻密部はカプセルとしての役割を果たす一方、ポーラス部はポーラスな状態をそのまま維持することができる。なお、カプセルを用いるHIP処理では、溶射膜全体が押されるため、上記の実施形態のように、緻密な部分とポーラスな部分とを共存させることはできない。
(4.変形例)
上記の実施形態では、溶射膜は、基材側から溶射膜側に向かう方向において、成分量および気孔率が連続的に変化している緻密部およびポーラス部を有している。しかしながら、成分量または気孔率が、不連続に(たとえば、階段状に)変化している緻密部およびポーラス部を形成してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例では、基材として、Cを0.15質量%、Wを3.5質量%、残部がFeおよび不可避的不純物からなるFe系材料を用いた。この基材表面に対して、ワイヤアーク溶射を行い、緻密部およびポーラス部を有する溶射膜を形成した。溶射時に用いた溶射材料は、FeおよびFe酸化物の傾斜組成を有していた。溶射後でHIP処理前の緻密部の気孔率は3%であった。また、溶射膜全体の厚みは530μmであった。
溶射膜が形成された基材に対して、HIP処理を行った。HIP処理条件は、Ar雰囲気下において、加熱温度が1180℃、圧力が120MPa、保持時間が3時間であった。HIP処理後の緻密部の気孔率は1.7〜1.9%であった。
HIP処理後の試料について、断面が露出するように切断し、走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行った。観察結果を図3に示す。なお、図3では、溶射のみを行い、HIP処理を行わなかった試料の断面のSEM観察結果も示す。また、図3では、気孔が黒色の部分として示され、Fe酸化物が灰色の部分として示され、Fe系材料が白色の部分として示されている。
図3より、HIP処理後の試料については、拡散層が形成されていることが確認できた。この拡散層の厚みは60μm程度であった。また、図3から明らかなように、溶射膜20から基材10に向かう方向において、気孔が減少していることが確認できた。同様に、溶射膜20から基材10に向かう方向において、溶射金属が増加していることが確認できた。
続いて、HIP処理後の試料と、HIP処理前の試料(溶射ままの試料)と、について、溶射膜の接合強度を測定した。試料は、25mm×65mm×12mmの基材に、1.5mm幅で厚みが540μmの溶射膜を形成して、HIP処理を行ったものを用いた。測定では、図4に示すように、試料1を治具60で挟み込んだ後、厚み方向に対して垂直な方向から荷重を加えて、溶射膜20の剥離が生じた時の応力値を測定した。HIP処理後の試料については、応力値は120MPaであり、溶射ままの試料については、応力値は60MPaであった。すなわち、HIP処理後の試料の溶射膜の接合強度は、溶射ままの試料の溶射膜の接合強度の2倍程度であることが確認できた。
図5にその結果を示す。
また、剥離が生じた後の試料の断面のSEM写真を図6に示す。図6より、溶射ままの試料では、溶射膜と基材との界面においてほぼ剥離していることが確認できた。一方、HIP処理後の試料では、最初にクラックが生じるのは、溶射膜と基材との界面であるが、クラックは当該界面を進行せず、溶射膜の内部を進行して、剥離に至っていることが確認できた。
これは、溶射膜と基材との界面、すなわち、拡散層の接合強度よりも、溶射膜内部の強度が低いため、溶射膜内部での剥離が生じているためだと考えられる。したがって、HIP処理後の試料については、拡散層の接合強度自体は、上記で測定された120MPaよりも大きいと考えられ、非常に有効な接合強度を有していると推測される。
本発明に係る製造方法で製造された溶射膜を有する基材は、上述したように、溶射膜と基材との接合強度が高く剥離しがたい。さらに、溶射膜中の緻密部の気孔率が低いため、基材を腐食可能な媒体が、基材まで侵入するのを抑制することができる。したがって、腐食性の高い環境下において、摺動に起因するすべり摩耗等を受ける部材について好適である。具体的には、溶融金属めっき浴内で用いられるシンク・サポートロールの本体、軸受けスリーブ等が例示される。また、還元炉内で用いられるハースロール胴部、ヒーターラジエントチューブ等が例示される。
1…溶射膜を有する基材
10…基材
20…溶射膜
21…緻密部
22…ポーラス部
30…拡散層
50…加圧ガス

Claims (6)

  1. 金属成分と、硬質物質成分とを含む材料で形成した溶射皮膜を有する基材の製造方法であって、
    基材に、金属成分と硬質物質成分とを含む溶射材料を溶射して、気孔率が3%以下である緻密部と、該緻密部の表面側に気孔率が3%超であるポーラス部とを有する溶射膜を形成する溶射膜形成工程と、
    前記溶射膜が形成された基材に対して、熱間等方圧加圧処理をカプセルフリー法により行い、前記金属成分と前記基材に含まれる金属との相互拡散により拡散層を形成する拡散層形成工程と、を有し、
    前記拡散層形成工程において、熱間等方圧加圧処理が、前記溶射膜に含まれる、気孔率が3%以下である緻密部に対して行われ、
    熱間等方圧加圧処理後の緻密部の気孔率が2%以下であることを特徴とする溶射膜を有する基材の製造方法。
  2. 前記溶射膜形成工程において、前記溶射膜から前記基材に向かう方向において、前記溶射膜における気孔率が減少するように、前記溶射材料を溶射することを特徴とする請求項1に記載の溶射膜を有する基材の製造方法。
  3. 前記緻密部における前記金属成分が占める割合が、体積%で、30%以上であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の溶射膜を有する基材の製造方法。
  4. 前記拡散層の厚みが5μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の溶射膜を有する基材の製造方法。
  5. 前記溶射金属が、Fe、Co、NiおよびMoからなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の溶射膜を有する基材の製造方法。
  6. 前記基材がFe系材料からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の溶射膜を有する基材の製造方法。
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