JP2010229492A - 白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法および酸化イットリウム溶射皮膜被覆部材 - Google Patents

白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法および酸化イットリウム溶射皮膜被覆部材 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化イットリウム溶射皮膜の表面に、外観色が白色で、緻密かつ平滑で耐プラズマ・エロージョン性にも優れた白色二次再結晶層を生成させる技術を提案する。
【解決手段】大気プラズマ溶射法によって形成された白色の酸化イットリウム溶射皮膜の表面を、強酸化性ガス雰囲気中でレーザビーム処理することによって、外観色が白色の二次再結晶層を形成する方法、およびその白色二次再結晶層を表面にもつY溶射皮膜被覆部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法および表面に改質層を有する酸化イットリウム溶射皮膜被覆部材に関するものである。
溶射法は、金属やセラミックス、サーメットなどの粉末を、プラズマジェットや燃焼炎によって溶融しつつ、飛行させ、被溶射材(基材)の表面に吹き付けることによって、該基材の表面に皮膜を形成する技術であり、多くの産業分野において広く採用されている表面処理技術の一つである。ただ、溶射皮膜というのは、その皮膜を構成する粒子間結合力の強弱や結合しない粒子の量、また、未溶融粒子の存在などによって、皮膜の機械的強度や耐食性に大きな差が生じることが知られている。このため、従来、溶射技術の検討は、熱源、例えば、プラズマ熱源を用いて溶射粒子を完全に溶融させることを目的とした装置や、被溶射体の表面に強い衝突エネルギーを発生させることにより、粒子間結合力を高めて皮膜気孔率を小さくするための装置、あるいは皮膜と基材との接合力を向上させるための装置などの開発に向けられていた。
しかも、金属の溶射皮膜については、これが大気中で処理されたものだと、個々の溶射粒子が空気と接触して粒子表面に酸化膜を生成することから、粒子間結合力や基材との密着性が阻害されることになる。従来、このような弊害をなくすため、例えば、特許文献1では低圧の不活性ガス雰囲気中において溶射する方法を提案している。具体的には、空気を排出した真空容器中に、50〜200hPaのArガスを導入し、この減圧雰囲気中でプラズマ溶射するのである。
しかし、酸化物系セラミックの溶射皮膜は、溶射材料自体が既に酸化しているため、大気中で溶射してもさらに酸化するようなことはなく、一方で、減圧下のArガス雰囲気中で溶射してもまた、溶射粒子はとくに化学変化が起らないことから、減圧プラズマ溶射法による研究開発例は、大気プラズマ溶射に比較して少ないのが実情である。
このように、従来の溶射皮膜に関する技術開発は、この皮膜が有する硬さ、耐摩耗性、耐熱性、耐食性あるいは密着性などのさらなる向上を図ることに向けられた。例えば、金属(合金)、セラミック、サーメットなどの溶射材料の種類や化学成分の選定をはじめ、溶射法の選択、溶射条件の決定などに重点が置かれた研究がなされてきた。従って、これまでは、溶射皮膜がもつ色(彩)に関する工学的研究や溶射皮膜製品の意匠性(カラーデザイン化による商品価値)についての研究までは行われてこなかった。
一般に、セラミック溶射皮膜の場合、その外観色は以下のとおりである。例えば、溶射材料としての酸化クロム(Cr)粉末は、黒色に近い濃緑色であるが、これをプラズマ溶射した場合、黒色の皮膜となる。一方、酸化アルミニウム(Al)については、その粉末の色は白色であり、これをプラズマ溶射して得られる皮膜は白色である。ただし、酸化チタン(TiO)粉末については、白色系であるが、これをプラズマ溶射すると黒色系の皮膜になる。このように、溶射皮膜の色が変化する原因についてはよく知られていないが、溶射熱源中において、例えばTiOの場合、この化合物を構成している酸素の一部が溶射に際して消失し、(Ti2n−1)で示されるような酸化物に変化するためではないかと考えられている(特許文献2)。
以上説明したように、酸化物系セラミック溶射皮膜の色は、一部の酸化物を除き、溶射用粉末材料自体の色がそのまま皮膜の色として再現されるのが普通である。例えば、酸化イットリウム(Y)は、通常、酸化アルミニウム(Al)と同じように、粉末材料の状態はもとより、この粉末材料を溶射して得られる溶射皮膜もまた白色系である。なお、Yは、これをプラズマ熱源中で溶射したとしても、Y粒子を構成するYとO(酸素)の結合状態に変化はないと考えられる。それは、金属元素としてのAlやYは、ともに酸素との化学的親和力が極めて強く、高温のプラズマ環境中においても酸素を消失することなく、溶射皮膜となった後でも、粉末材料時のA1、Yの物理化学的特性をそのまま維持しているためと考えられるからである。
ところで、上記Y溶射皮膜は、耐熱性や耐高温酸化性、耐食性に優れる他、とくに半導体製造装置やその加工工程で使用されるハロゲン化物を用いた低温プラズマによるプラズマエッチング雰囲気中にあっても、卓越した抵抗力(耐プラズマ・エロージョン性)を発揮する。このことから、Y溶射皮膜は多くの産業分野で使用されている(特許文献3〜7)。ただし、このY溶射皮膜は、生成りの色が白色系であり、それなりの物理・化学的性質も評価されているが、これまでは、Y溶射皮膜の外観色(白色)をあえて変化させるようなことはなかった。
このような現状に対して、発明者らは先に、特許文献8において提案したように、白色のY溶射皮膜をレーザビームや電子ビームの照射処理によって、これを黒色に変化させることに成功するとともに、黒色に変化させることによる熱放射特性やカラー化による商品価値の向上を図る提案を行ってきた。
特開平6−196421号公報 特開平9−069554号公報 特開平10−004083号公報 特開平10−163180号公報 特開平10−547744号公報 特開2001−164354号公報 特開2003−321760号公報 特開2006−118053号公報
発明者らは、前記特許文献8において明らかにしたように、白色のY溶射皮膜の表面を電子ビーム照射またはレーザビーム照射などの高エネルギー熱源によって加熱溶融処理をすると、物理的、化学的特性に優れた二次再結晶層を生成させることができたが、その一方で、Y溶射皮膜の外観色が白色から黒色へと変化するという問題に遭遇した。
そこで、本発明の目的は、白色のY溶射皮膜を高エネルギー照射処理した場合でも、黒色へと変化させることなく、一方で、照射処理膜が具える本来の特性をそのままもつ二次再結晶層を生成させることができるようにした皮膜の改質技術を提案することにある。
上記目的の実現に向けた研究の中で発明者らは、具体的には、白色のY溶射材料粉末を溶射して得られる白色のY溶射皮膜に対して、その表面を、酸素(活性酸素を含む)、オゾン、亜酸化窒素などからなる強酸化性ガスの雰囲気中おいてレーザビーム照射処理することによって、該溶射皮膜の表面を溶融改質させることにした。その結果、皮膜の外観色は白色状態を維持したままで、改質された二次再結晶層を生成させることができることを知見し、本発明の開発に成功した。
即ち、本発明は、従来のY溶射皮膜の表面を、耐プラズマエロージョン性に優れた二次再結晶層にすべく高エネルギー照射処理した場合、その皮膜外観色は、必ず黒色に変化してしまうという現状を打破して、白色状態のままに維持することができると同時に、二次再結晶の生成による物理・化学的特性の改善、ならびに意匠性の向上を図ろうとするものである。
即ち、本発明は、基材の表面に被覆形成された白色の酸化イットリウム溶射皮膜を、空気よりも酸化力の強い強酸化性ガスの雰囲気中でレーザビーム照射することによって、該溶射皮膜表面に白色二次再結晶層を生成させることを特徴とする白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法を提案するものである。
本発明においては、
(1)前記強酸化性ガスが、酸素、オゾン、亜酸化窒素のうちから選ばれるいずれか1種以上のガスであること、
(2)前記白色二次再結晶層は、一次変態した単斜晶と立方晶とからなる白色の酸化イットリウム溶射皮膜の表面を、強酸化性ガス雰囲気中でのレーザビーム照射によって、該溶射皮膜表面の酸化イットリウム粒子群を白色状態のまま溶融一体化させて立方晶に二次変態させて形成すること、
(3)基材と、表面に白色二次再結晶層を有する酸化イットリウム溶射皮膜との間に、金属質アンダーコートを形成すること、
(4)前記アンダーコートは、Ni、Cr、Al、W、Mo、Tiおよびこれらの金属の合金から選ばれるいずれか1種以上の金属を、50〜500μmの厚さに溶射して施工した層からなること、
(5)前記白色二次再結晶層を有する酸化イットリウム溶射皮膜は、50〜2000μmの厚さに形成すること、
(6)前記白色二次再結晶層は、白色の酸化イットリウム溶射皮膜に含まれる一次変態したイットリウム酸化物粒子の堆積層を、強酸化性ガス雰囲気中でのレーザビーム熱源による高エネルギー照射処理によって二次変態させて形成すること、
(7)前記白色二次再結晶層は、その表面の最大粗さ(Ry)が5〜24μmの平滑面であること、
(8)前記白色二次再結晶層の層厚は、100μm以下の厚さにすること、
などの条件を採用すること、
などの条件を採用することがより好ましい解決手段を与える。
また、本発明は、基材の表面に、前述の(1)〜(8)の手段を含む改質方法によって被覆形成された、白色二次再結晶層を有する酸化イットリウム溶射皮膜が、50〜2000μmの範囲内の膜厚で形成されていることを特徴とする白色二次改質層を有する酸化イットリウム溶射皮膜被覆部材を提案する。
本発明に係る白色二次改質層を有する酸化イットリウム溶射皮膜においては、
(1)前記基材と、白色二次再結晶層を有する酸化イットリウム溶射皮膜との間には、膜厚が50〜500μmの金属質アンダーコートを有すること、
(2)前記の白色二次再結晶層は、単斜晶と立方晶からなる一次変態した酸化イットリウム溶射皮膜の表面を、強酸化性ガス雰囲気中でのレーザビーム照射処理によって立方晶からなる層に変態した層であること、
(3)前記基材は、ステンレス鋼を含む各種鋼材、アルミニウムおよびその合金、チタンおよびその合金、タングステンおよびその合金、モリブデンおよびその合金、焼結炭素、石英、ガラス、酸化物および非酸化物系セラミック焼結体のうちから選ばれるいずれか1種以上の金属または非金属の基材であること、
(4)前記金属質アンダーコートは、Niおよびその合金、Crおよびその合金、Wおよびその合金、Moおよびその合金、Tiおよびその合金、Alおよびその合金のうちから選ばれるいずれか1種以上の金属もしくは合金であること、
などの条件を採用することが、より好ましい解決手段を与える。
なお、本発明において、Yの白色溶射皮膜の表面をレーザビーム照射することによって生成させた緻密な表面層を、二次再結晶層と呼ぶのは、次の理由によるものである。それは、初めに、白色のY溶射用粉末(溶射材料粒子)を用いて、プラズマ溶射して得られる溶射皮膜は、プラズマ熱源によって溶融されたY粒子が堆積した集合体(一次再結晶層)からなるものである。本発明では、一次再結晶したY溶射粒子の集合体からなる溶射皮膜を、レーザビーム熱源によって再溶融させた後、これを凝固させたときに析出する結晶を「二次再結晶」と定義している。
ところで、溶射材料粒子は、これをプラズマ溶射したとき、溶射熱源中で一旦は溶融するものの、該溶射粒子自身は微細(粒径5〜80μm)であるため、被処理体(基材)表面に衝突したときに急冷され、極めて速い速度で凝固する。その結果、結晶型は非平衡状態(一次再結晶)のものになる。そして、その一次再結晶している溶射皮膜をレーザビーム照射して再溶融させたのちこれを冷却凝固したときに二次再結晶する。この二次再結晶層は、熱容量の大きい皮膜の溶融、凝固反応になるため、前者(一次再結晶層)に比べると、冷却速度が遅くなり、そのために平衡状態に近い結晶形態を示すようになる。
図1は、大気プラズマ溶射法によって形成したY皮膜と、この皮膜をレーザビーム照射した皮膜表面のX線回折グラフを示したものである。回折グラフに記入した×印は単斜晶、〇印は立方晶と推定されるピークである。この結果から、大気プラズマ溶射法で形成された一次再結晶したY溶射皮膜は、図1のX線回折グラフ(図中では処理前と記載)に明らかなように、×印の単斜晶と〇印の立方晶とが混在した層となっており、該溶射皮膜を構成する各々のY溶射粒子が、溶射熱源のプラズマジェットに加熱された後、急冷−凝固される結果、非平衡状態の結晶型を示しているのである。
一方、この一次再結晶した溶射皮膜の表面をレーザビーム照射すると(図中では処理後と記載)、〇印の立方晶のピークがより顕在化し、また、処理前の皮膜に認められた×印の単斜晶のピークが消失する傾向が顕著となっている。これらの結果から、溶射皮膜を構成しているYの堆積粒子がレーザビーム照射によって溶融一体化したものの冷却速度は、前者の一次再結晶相生成時に比較して穏やかとなり、結晶型の変化も非平衡からより安定した平衡型へ移行することが窺える。
本発明に係る白色二次再結晶層を表面にもつY溶射皮膜に改質する方法とその溶射皮膜を被覆してなる部材は、以下に示すような効果がある。
(1)従来の技術では達成できなかった、所謂、Yプラズマ溶射皮膜の外観色を、白色状態を維持しつつ、かつその皮膜表面には物理化学的に改質された二次再結晶層(白色二次再結晶層)を生成させることができる。
(2)白色二次再結晶層を表面に有するY溶射皮膜は、表面が緻密かつ平滑で、とくに耐プラズマ・エロージョン性が格段に優れたものになる。
(3)白色二次再結晶層を表面に有するY溶射皮膜被覆部材は、これを半導体加工用装置に適用した場合、プラズマ・エッチング作用を受けて飛散する皮膜成分の微粉末(ダスト類)の発生が長時間にわたって抑制されるようになるため、高品質の半導体加工製品を効率よく生産するのに寄与できる。
(4)発明者らが先に提案した(特許文献8)黒色の二次再結晶層を有するY溶射皮膜と本発明の白色二次再結晶層を表面に有する白色Y溶射皮膜とは、同等の耐プラズマ・エロージョン性を有する。従って、半導体加工用装置内に配設される各種の部材を、被覆の外観色を利用して、装置の用途別、性能別、または部材別に区別して使用することができるようになるので、カラーデザイン化したことについての工学的な観点からの価値が向上する。
白色Y溶射皮膜の表面をレーザビーム照射処理することによって生成させた二次再結晶層と、レーザビーム照射前の皮膜と比較したX線回折図である。 白色のY溶射皮膜(a)と、レーザビーム照射して改質層を設けた溶射皮膜断面(b)の模式図である。 表面のレーザビーム照射部と未照射部との境部分のY溶射皮膜の電子顕微鏡写真である。 レーザビーム照射前の白色Y溶射皮膜(a)と、レーザビーム照射処理して白色二次再結晶層を形成したY溶射皮膜(b)の外観色を示す写真である。
本発明は、耐食性および耐プラズマ・エロージョン性に優れる半導体加工装置用部材に用いられるY溶射皮膜であって、この皮膜表面の外観色を改質処理したあとも初期状態(生成り色)の白色に維持したままの二次再結晶層を生成させる新しい技術である。以下に、この技術の詳細について具体的に説明する。
(1)白色のY溶射皮膜表面へのレーザビーム照射処理
一般的なY溶射皮膜は、市販の白色粉末状態のY溶射材料を、大気プラズマ溶射することによって形成するのが普通である(特許文献8)。
このようにして形成された白色のY溶射皮膜の表面に対し、本発明では、酸素(O、活性酸素を含む)、オゾン(O)、亜酸化窒素(NO)などの強酸化性ガスの雰囲気中で、レーザビーム熱源を照射する。このような処理を行うと、照射面は白色のままに維持されたY溶射皮膜が得られ、一方でその表面は加熱溶融される結果、二次再結晶層を生成する。この場合、通常の酸化性ガス雰囲気中(例えば空気中)で加熱溶融すると、一般には、溶射皮膜中のYの一部が還元されて酸素の一部が消失してY−xを生成し、このことによって皮膜は黒色化する。しかし、本発明の場合、強酸化性ガス雰囲気中でレーザビーム照射処理を行うので、Y3−xに変化することなく、加熱溶融されても白色のYの状態を維持したままで二次再結晶を起し、所謂、白色状態のままの二次再結晶層を生成することになる。
このように、本発明において特徴的なことは、レーザビーム照射雰囲気として、空気よりも酸化力の強い強酸化性ガス、例えば、酸素(O)、活性酸素、オゾン(O)、亜酸化窒素(NO)などのガスを用いることにあるが、これらの強酸化性ガスは、それぞれ酸化力が強く、特にY皮膜が溶融状態となる高温では強力な酸化作用を発揮する。とくに、オゾンや亜酸化窒素のように放出しやすい酸素原子をもつガス、あるいはマイナス電子をもつ不安定な状態の活性酸素はより有効である。ただ、Oガスの利用は、人体に対して悪影響を及ぼすことはないが、Oガス、NOガスなどを使用する場合には、排気装置を有する装置内で実施することが望ましい。なお、窒素酸化物には、NO、NO、N、NO、N、N、NO、Nなど多くの種類があり、いずれも強い酸化性を示す特徴があるので、NOのみに限定するものでない。NO以外の化合物は化学的に不安定であったり、また有毒性を示すため、本発明ではNOを使用するものである。
本発明に適用するレーザビーム熱源としては、YAG結晶を利用したYAGレーザ、また媒質がガスの場合にはCOガスレーザなどの使用が好適であり、半導体レーザやエキシマレーザなども使用することができる。また、レーザビーム照射出力の条件としては、下記の仕様が推奨されるが、照射に当っては、照射出力を増強するための高周波パルスの仕様など、レーザ業界において、日常的に利用されているレーザの効果的使用条件をも包含するものである。
レーザ出力:1〜10kW
レーザビーム面積:0.1〜10mm
レーザ移行速度:1〜20mm/s
なお、本発明において、
a.大気プラズマ溶射法によって成膜される一次再結晶した白色のY溶射皮膜を形成するための溶射材料粉末は、白色で粒径5〜80μm、Yの純度が98mass%以上のものが用いられる。
b.溶射皮膜の厚さは、50〜2000μmの範囲内の厚さとする。
c.溶射皮膜を被覆形成するための基材としては、Alおよびその合金、Tiおよびその合金、ステンレス鋼、黒鉛(炭素)、セラミックス焼結体などが用いられる。
d.これらの基材の表面には、白色のY溶射皮膜を直接、または、Niおよびその合金、Crおよびその合金、Wおよびその合金、Tiおよびその合金、Alおよびその合金およびMg合金などのアンダーコート(膜厚50〜500μm)を介し、白色のY溶射皮膜をトップコートとして被覆形成してもよい。
(2)レーザビーム照射処理前後のY溶射皮膜の断面構造
一次再結晶した従来の白色のY溶射皮膜と、この溶射皮膜表面を、本発明に従い、強酸化雰囲気の下で、レーザビーム照射処理して白色のまま二次再結晶させたY溶射皮膜の断面構造の模式図を図2に示す。
図2(a)は、従来技術に従い大気プラズマ溶射して形成した白色のY溶射皮膜の代表的な断面構造である。この図に示すように、基材の表面に形成される従来の溶射皮膜は、Y溶射材料粒子が溶射熱源によって溶融され、かつ加速された状態で該基材に衝突して堆積した状態になる。しかも、Yの融点は約2435℃と高く、プラズマ熱源中で溶融したとしても、室温状態にある基材表面に衝突すると急冷凝固されるため、溶射粒子どうしは相互に融着して一体することは少ない。そのため、溶射粒子間には多くの隙間が気孔となって存在し、貫通気孔も生成した多孔質膜となる。
図2(b)は、従来方法によって形成したY溶射皮膜の表面を、さらに、レーザビーム照射処理したものの断面構造例を示したものである。レーザビーム照射された溶射皮膜の表面については、この溶射皮膜を構成するY粒子が互いに融合し合って一体化するため、単独粒子の存在することは少なく、これに伴って気孔も消失すると共に、非常に平滑な表面状態となる。ただし、Y粒子が完全に溶融した後、冷却過程において収縮するため小さなひび割れを多発する。しかし、そのひび割れの発生程度は少ないため、これがあったとしても、外部雰囲気からの腐食性ガス成分の侵入抑制効果が減殺されることはない。
このように、Y溶射粒子が溶融一体化した状態にある白色二次再結晶層の厚さは、1μm程度でも外観は白色を呈し、平滑で緻密化した状態である。それ故に、耐プラズマ・エロージョン性が格段に向上するが、このような特性を長時間にわたって維持させるには、該二次結晶層の厚さは大きいほど有利である。二次再結晶層の厚さは、レーザビーム照射出力を制御(増強)することによって容易に達成することができる。本発明では、必要に応じて100μm程度の厚さまでにすることができる。ただし、二次再結晶層の厚さを100μm以上としても、その効果が格別に向上する訳ではなく、その一方で二次再結晶層のひび割れが大きく多くなり、太く成長する傾向がある。このような大きなひび割れが発生すると腐食成分が内部へ侵入する確率が大きくなり好ましくない。
なお、図2に示す符号1は基材、2は溶射皮膜(一次再結晶粒子が堆積した皮膜)、3は空隙(気孔)、4は粒子界面、5は貫通気候、6は二次再結晶層、7は二次再結晶層に発生したひび割れである。
(3)白色二次再結晶層を表面にもつY溶射皮膜の特徴
本発明によってレーザビーム照射処理し、Y溶射皮膜の表面に二次再結晶層を形成させた後も表面(二次再結晶層)が白色状態を維持しているY溶射皮膜は、表1に示すような性状および特徴を有するものである。表1に示すとおり、No.1は、大気プラズマ溶射して得られる通常の白色Y溶射皮膜であり、図2(a)に示した断面構造を有するものである。この溶射皮膜表面の粗さは、Ra:3〜6μm、Ry:16〜32μmであり、気孔率も高い。そして、そのNo.1の溶射皮膜を従来法に従って空気中でレーザビーム照射処理すると、該溶射皮膜は黒色に変化するとともに、少し平滑化して表面粗さ(Ra:0.8〜3.0、Ry:6〜22)の小さい表面となる。そして、図2(b)に示すような二次再結晶層を生成することとなる。
これに対し、OガスやOガス、NOガスなどの強酸化性ガス雰囲気中でレーザビーム照射処理する本発明に従って形成された溶射皮膜(No.3)は、該皮膜の外観色が黒色化することなく、表面の二次再結晶層は白色を維持したまま、そしてNo.2のレーザビーム照射処理して得た皮膜と同等の平滑化し緻密化した二次再結晶層を生成する。
Figure 2010229492
図3は、表面のレーザビーム照射部と未照射部のY溶射皮膜の境界部分を電子顕微鏡(SEM)によって倍率を拡大して観察した写真である。レーザビーム未照射部では、Y粒子の堆積に起因する表面の凹凸が不連続に見られるが、照射部では凹凸が消失して平滑面となっている。ただし、レーザビームの走査線に沿って溝状の痕跡が認められ、この痕跡によって照射面の表面粗さのRy値が大きくなっていることがうかがえる。
(4)白色二次再結晶層をもつY溶射皮膜の利用価値
現在、Y溶射皮膜は、半導体加工装置用部材の分野において、例えば、加工環境の腐食成分による化学的腐食作用、あるいはハロゲンガスやハロゲンイオンのプラズマ励起環境下における物理的なエッチング作用に対して優れた皮膜として、広く認識されている。この点、本発明に係る技術は、二次再結晶層をもつ溶射皮膜が本来的に具える特性(化学的な耐食特性および物理的な耐プラズマ・エロージョン特性)および皮膜表面性状を向上させるだけに止まらず、これらの特性を黒色皮膜としてではなく、白色状態を維持した状態のY溶射皮膜として提供することができる。そのため、本発明に係る白色二次再結晶層を有するY溶射皮膜を被覆した部材を配設した半導体加工用装置は、汚染の状態を直ちに発見するときに効果があり、とくに高度な清浄環境下の半導体加工を実現するのに有効である。
さらに、発明者らが特許文献8で開発した黒色二次再結晶層を有するY溶射皮膜との組合せによって、適用する部材製品、具体的にはデポシールド、バッフルプレート、フォーカスリングなどを、各部品毎にY溶射皮膜の外観色によって区別したり、品質管理することが可能となる。また、本発明に係る白色二次再結晶を有するY溶射皮膜の表面に対して、発明者らが開発した特許文献8の技術によって、空気中でレーザビーム照射することによって、黒色の文字、数字、模様、商標等を描くことも可能である。
図4は、Yの大気プラズマ溶射皮膜と、この皮膜を本発明に従って処理して得られる白色二次再結晶層を表面にもつY溶射皮膜の外観状況を対比した写真である。なお、Y溶射用粉末中に不純物としてFeやNi、Crなどの不純物が含まれていると、レーザビーム照射時に、これらの金属酸化物の影響を受けて皮膜面は純白とならず、アイボリー的に着色することがある。この点、Y溶射用粉末の純度が98mass%以上だと、本発明の目的を達成する上で妨げとなることはない。
(実施例1)
アルミニウム基材(寸法:50mm×50mm×5mm)の表面に、大気プラズマ溶射法によって、80mass%Ni−20mass%Crのアンダーコートを80μm厚さに施工し、その上に、純度が98.3mass%のY溶射用粉末を大気プラズマ溶射して、200μm厚さの溶射皮膜を形成した。このときのY溶射皮膜の外観色(表面色)は白色であり、溶射用粉末も白色である。
次いで、その白色の溶射のY溶射皮膜の表面を、照射雰囲気中に、Oガス、Oガス、NOガスをそれぞれ単独で流通しつつレーザビーム照射処理を行った。なお、比較例として、空気中においてレーザビーム照射処理した例も併記した。そして、レーザビーム照射後のY溶射皮膜の外観色、皮膜表面の平滑度などを目視および拡大鏡を用いて観察した。
表2は、以上の結果を要約したものである。この結果から明らかなように、大気プラズマ溶射法によって成膜した白色のY溶射皮膜の表面を空気中でレーザビーム照射すると、皮膜の外観色は黒色へ変化した。これに対して、O、O、NOなどの強酸化性ガス雰囲気中でレーザビーム照射して得られた皮膜表面は、いずれも白色状態のままであり、照射前の溶射皮膜表面に比較して極めて平滑な状態に変化していた。
Figure 2010229492
(実施例2)
ここでは、本発明方法に従うレーザビーム照射処理によって形成した白色二次再結晶層を有するY溶射皮膜の耐熱衝撃性を調べた。
(1)供試材
供試材として、SUS410鋼基材(寸法:50mm×50mm×5mm)の表面をブラスト(粗面化)処理し、その後、基材表面に直接、大気プラズマ溶射法によってY皮膜を150μm厚に施工したもの、および、まずNi80mass%−Cr20mass%のアンダーコートを大気プラズマ溶射法によって100μmの厚さに形成し、次いでこのアンダーコートの表面に、トップコートとして大気プラズマ溶射法によってY溶射皮膜を150μmの厚さに形成した。このY溶射皮膜の外観色は白色である。その後、トップコートであるY溶射皮膜の表面を下記の条件で、レーザビーム照射処理して供試材とした。
(I)白色Y溶射皮膜の表面を、Oガス雰囲気中でレーザビーム照射処理(発明例)
(II)白色Y溶射皮膜の表面を大気中でレーザビーム照射処理(比較例)
(III)白色Y溶射皮膜をそのままの状態で供試(比較例)
(2)熱衝撃試験
熱衝撃試験は、500℃に加熱した電気炉中で15分間保持した試験片を、25℃の水道水中に投入する操作を1サイクルとし、これを5回繰返した後、トップコートのY溶射皮膜の表面を拡大鏡(×20)で観察して、ひび割れの有無を調査した。
(3)試験結果
熱衝撃試験結果を表3に要約した。この結果から明らかように、SUS410鋼基材にY溶射皮膜を直接形成したもの(No.1、3、5)およびNi−Cr合金のアンダーコートを施工した溶射皮膜はもとより、Y溶射皮膜に対するレーザビーム照射処理の有無にかかわらず、すべての溶射皮膜が優れた耐熱衝撃性を示した。言い換えれば、強酸化性ガス雰囲気下でレーザビーム照射処理した場合も、比較例と同じように、皮膜表面が溶融一体化した二次再結晶層が生成しており、この場合でも耐熱衝撃性は低下しないことが確認された。
Figure 2010229492
(実施例3)
この実施例では、本発明方法に従うレーザビーム照射処理によって白色状態の外観を有しつつ二次再結晶させたY溶射皮膜の耐プラズマ・エロージョン性を調査した。
(1)供試材
供試材として、寸法:50mm×50mm×5mmのアルミニウム基材を用い、この表面をAlによるブラスト(粗面化)処理した後、Ni80mass%−Al20mass%合金を80μmの厚さに大気プラズマ溶射してアンダーコートとした。次いで、そのアンダーコートの表面に、トップコートとして大気プラズマ溶射法によって、白色のY皮膜を150μm厚さに被覆形成した。このようにして作製した白色のY溶射皮膜の表面に対し、純酸素(O)ガス雰囲気中でレーザビーム照射処理を施し、照射面に白色二次結晶層を生成させた。
なお、比較用の皮膜として下記のような条件の溶射皮膜を準備した。
(I)白色のY溶射皮膜
(II)白色のY溶射皮膜の表面を空気中でレーザビーム照射処理を行い、二次再結晶層を生成させた皮膜(黒色皮膜)
(III)大気プラズマ溶射したAl皮膜
(IV)大気プラズマ溶射したBC皮膜
(2)プラズマ・エロージョン試験
前記供試材の中央部の表面(10mm×10mm)ののみが露出するように、他の部分をマスクし、下記の条件にて20時間の連続のプラズマ・エロージョン試験を実施し、露出部の損傷深さを測定することによって、耐プラズマ・エロージョン性を評価した、なお、レーザビーム照射処理を施さない供試材に対しては、あらかじめ露出面をエメリー紙によって研磨して、皮膜表面の凸部を除去し、損傷深さ測定値の精度を向上させるようにした。
プラズマ・エッチング条件
プラズマガス組成:CF/Ar/O=容積比10/100/1
プラズマ出力:1300W
(3)試験結果
耐プラズマ・エロージョン性の試験結果を表4に要約した。この結果から明らかように、大気プラズマ溶射して形成したAl皮膜(No.4)、BC皮膜(No.5)は、プラズマ・エロージョン損失量が多く、また、レーザビーム照射処理を施さないY皮膜(No.1)は、前者に比較すると損失量は少ないものの6.0μmのエロージョン深さとなった。これに対して、皮膜表面にレーザビーム照射して二次再結晶層を生成させた皮膜(No.2、3)は、外観色の黒(No.2)、白(No.3)とも、極めて損失量が少なく優れた耐プラズマ・エロージョン性を発揮していることがわかる。これらの結果からレーザビーム照射処理によって得られるY溶射皮膜表面では、溶射粒子が溶融一体化しているうえに、二次再結晶層を生成する皮膜形態の変化が、耐プラズマ・エロージョン性を向上させていることがうかがえる。
Figure 2010229492
本発明の技術は、半導体加工装置に使われる一般的な部材、部品等はもとより、昨今の一段と精密で高度な加工が要求されるプラズマ処理装置用部材の表面処理技術として好適に用いられる。とくに、本発明は、含Fガスや含CHガスをそれぞれ単独に使用する装置またはこれらのガスを交互に繰返して使用するような苛酷な雰囲気中においてプラズマ処理する半導体加工装置のデポシールド、バッフルプレート、フォーカスリング、アッパー・ロワーインシュレータリング、シールドリング、ベローズカバー、電極、固体誘電体などの部材、部品等への表面処理技術として好適である。また、本発明は、液晶デバイス製造装置用部材の表面処理技術としての適用が可能である。
1 基材
2 溶射皮膜(一次再結晶粒子の堆積皮膜)
3 空隙(気孔)
4 粒子界面
5 貫通気孔
6 二次再結晶層
7 二次再結晶層に発生したひび割れ

Claims (14)

  1. 基材の表面に被覆形成された白色の酸化イットリウム溶射皮膜を、空気よりも酸化力の強い強酸化性ガスの雰囲気中でレーザビーム照射することによって、該溶射皮膜表面に白色二次再結晶層を生成させることを特徴とする白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法。
  2. 前記強酸化性ガスが、酸素、オゾン、亜酸化窒素のうちから選ばれるいずれか1種以上のガスであることを特徴とする請求項1記載の白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法。
  3. 前記白色二次再結晶層は、一次変態した単斜晶と立方晶とからなる白色の酸化イットリウム溶射皮膜の表面を、強酸化性ガス雰囲気中でのレーザビーム照射によって、該溶射皮膜表面の酸化イットリウム粒子群を白色状態のまま溶融一体化させて立方晶に二次変態させて形成することを特徴とする請求項1または2記載の白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法。
  4. 基材と、表面に白色二次再結晶層を有する酸化イットリウム溶射皮膜との間に、金属質アンダーコートを形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法。
  5. 前記アンダーコートは、Ni、Cr、Al、W、Mo、Tiおよびこれらの金属の合金から選ばれるいずれか1種以上の金属を、50〜500μmの厚さに溶射して施工した層からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法。
  6. 前記白色二次再結晶層を有する酸化イットリウム溶射皮膜は、50〜2000μmの厚さに形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法。
  7. 前記白色二次再結晶層は、白色の酸化イットリウム溶射皮膜に含まれる一次変態したイットリウム酸化物粒子の堆積層を、強酸化性ガス雰囲気中でのレーザビーム熱源による高エネルギー照射処理によって二次変態させて形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法。
  8. 前記白色二次再結晶層は、その表面の最大粗さ(Ry)が5〜24μmの平滑面であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法。
  9. 前記白色二次再結晶層の層厚は、100μm以下の厚さにすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の白色酸化イットリウム溶射皮膜表面の改質方法。
  10. 基材の表面に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法によって被覆形成された、白色二次再結晶層を有する酸化イットリウム溶射皮膜が、50〜2000μmの範囲内の膜厚で形成されていることを特徴とする酸化イットリウム溶射皮膜被覆部材。
  11. 前記基材と、白色二次再結晶層を有する酸化イットリウム溶射皮膜との間には、膜厚が50〜500μmの金属質アンダーコートを有することを特徴とする請求項10記載の酸化イットリウム溶射皮膜被覆部材。
  12. 前記の白色二次再結晶層は、単斜晶と立方晶からなる一次変態した酸化イットリウム溶射皮膜の表面を、強酸化性ガス雰囲気中でのレーザビーム照射処理によって立方晶からなる層に変態した層であることを特徴とする請求項10記載の酸化イットリウム溶射皮膜被覆部材。
  13. 前記基材は、ステンレス鋼を含む各種鋼材、アルミニウムおよびその合金、チタンおよびその合金、タングステンおよびその合金、モリブデンおよびその合金、焼結炭素、石英、ガラス、酸化物および非酸化物系セラミック焼結体のうちから選ばれるいずれか1種以上の金属または非金属の基材であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1に記載の酸化イットリウム溶射皮膜被覆部材。
  14. 前記金属質アンダーコートは、Niおよびその合金、Crおよびその合金、Wおよびその合金、Moおよびその合金、Tiおよびその合金、Alおよびその合金のうちから選ばれるいずれか1種以上の金属もしくは合金であることを特徴とする請求項11記載の酸化イットリウム溶射皮膜被覆部材。
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