WO2010134453A1

WO2010134453A1 - 薄肉円筒状ワークの保持治具、加工方法およびシート・フィルム成形ロール

Info

Publication number: WO2010134453A1
Application number: PCT/JP2010/058004
Authority: WO
Inventors: 孝義佐野; 忠正古屋
Original assignee: 東芝機械株式会社
Priority date: 2009-05-19
Filing date: 2010-05-12
Publication date: 2010-11-25
Also published as: DE112010002031T5; CN102427903A; JP5366651B2; US9227249B2; US9375792B2; KR101333400B1; KR20120012474A; TW201107110A; US20150209873A1; US8973304B2; JP2010269377A; US20120065041A1; CN102427903B; TWI391225B; US20150202725A1

Abstract

　薄肉円筒状のワーク（Ｗ）の保持治具（１、２、３）が、ワーク（Ｗ）を内周側から保持する保持部材（１０、１０Ａ、１０Ｂ）と、保持部材（１０、１０Ａ、１０Ｂ）の径を変化させる径変化ユニット（２５、２７）と、を含む。保持部材（１０、１０Ａ、１０Ｂ）は、円筒状の金属よりなり、弾性的に拡縮径可能である。保持部材（１０、１０Ａ、１０Ｂ）は、ワーク（Ｗ）の内周への挿入時に外径がワーク（Ｗ）の内径よりも小さく保持され、ワーク（Ｗ）の内周に挿入された後に拡径されて外周面がワーク（Ｗ）の全内周面に密着することで、ワーク（Ｗ）を内周側から保持する。径変化ユニット（２５、２７）は、圧縮方向の軸方向外力及び引張方向の軸方向外力の少なくともいずれかを保持部材（１０、１０Ａ、１０Ｂ）の両端に作用させて、保持部材（１０、１０Ａ、１０Ｂ）の径を変化させる。　

Description

薄肉円筒状ワークの保持治具、加工方法およびシート・フィルム成形ロール

　本発明は、薄肉円筒状ワークを機械加工する際に用いられる薄肉円筒状ワークの保持治具、その保持治具を使用した加工方法、および、シート・フィルム成形ロールに関する。

　プラスチックシートやフィルムなどを成形するための成形ロールの１つとして、特許文献１に記載されているように、可撓性を有する薄肉金属外筒の内部に、冷却媒体の流通空間を介して、前記薄肉金属外筒と同軸状に高剛性の金属内筒を配した、二重筒構造の成形ロールが知られている。

　特許文献１において、この種の成形ロールの薄肉金属外筒として使用される薄肉円筒体の肉厚は、極めて実用的な範囲として、上限は５ｍｍであり、下限は機械加工時の制約で２ｍｍであることが示されている。

　しかし、最近では、より高度なプラスチックシートやフィルムの成形を実現するために、薄肉円筒体のさらなる薄肉化と加工の高精度化の要望が厳しくなってきており、機械加工時の薄肉円筒体の保持について、上記要望に十分に応えなければならないという要請が生じている。

　この種の薄肉円筒体（以下、「薄肉円筒状ワーク」という）を機械加工時に保持する保持治具としては、特許文献２及び特許文献３に記載のものが知られている。特許文献２、３に記載の保持治具は、ワークの内周に挿入される保持部材の外周とワークの内周との間にゴム等の弾性部材を介在させ、その弾性部材を軸方向から圧縮することにより径方向に膨張させ、それにより、ワークに対する保持力を発生させるものである。

　この場合、弾性部材はゴム等の柔軟な材料でできており、軸方向全体にわたって使用すると両端から圧縮力を加えても全体にその圧縮力が行き渡らないため、弾性部材はスペーサと交互に配置されている。

特開平１１－２３５７４７号公報特開平８－２４３８１５号公報特開２００１－３２２０１５号公報

　しかしながら、ワークと保持部材の間にゴム等の柔軟な材料で構成された弾性部材が介在すると、加工時の圧力により弾性部材が変形するおそれが強いため、厳しい加工要求を満足させることができないという問題がある。また、スペーサと交互に弾性部材が配置されている場合には、ワークの内周を支持する箇所が断続的になるために、加工時の圧力により弾性部材がより変形しやすくなり、厳しい加工要求に十分に応えられないという問題がある。例えば、押し出し成形用の薄肉ロールを加工するような場合、最近はワークの外周面をミクロン（円筒度）やサブミクロン（面粗度）のオーダーで仕上げる必要があり、希望する加工精度を維持できないおそれがある。

　本発明は、上記事情を考慮し、ワークのどの箇所も漏れなく内周面側から確実に支持することができ、加工圧に負けない強固な保持力を発揮できると共に、強い加工力が局部的に加わった際にも変形し難く、高精度の機械加工（外周切削や外周研磨あるいはパターン形成加工など）が可能な薄肉円筒状ワークの保持治具、その保持治具を使用した薄肉円筒状ワークの加工方法、及びその加工方法により加工された薄肉円筒状ワークを外筒として用いたシート・フィルム成形ロールを提供することを目的とする。

　上記課題を解決するために、本発明の第１アスペクトは、円筒状の金属よりなる弾性的に拡縮径可能な保持部材であって、薄肉円筒状のワークの内周への挿入時に外径が前記ワークの内径よりも小さく保持され、前記ワークの内周に挿入された後に拡径されて外周面が前記ワークの全内周面に密着することで、前記ワークを内周側から保持する保持部材と、圧縮方向の軸方向外力及び引張方向の軸方向外力の少なくともいずれかを前記保持部材の両端に作用させて、前記保持部材の径を変化させる径変化ユニットと、を備えた薄肉円筒状ワークの保持治具であることを要旨とする。

　前記第１アスペクトによれば、金属製円筒保持部材で薄肉円筒状のワークを内周側から保持する際に、金属製円筒保持部材の外周面がワークのほぼ全内周面に密着した状態でワークを保持することになる。従って、ワークのどの箇所も漏れなく内周面側から支持することができ、加工圧に負けない強固な保持力を発揮できる。また、従来のようなゴム等の弾性体でワークを保持する場合と違って、強い加工力が局部的に加わっても変形し難くなるため、高精度の機械加工が可能となり、ワークの円筒度や表面粗度の向上を図ることができる。

　また、前記保持部材の外径は、前記軸方向外力が作用しない自然状態において前記ワークの内径よりも小さく、前記径変化ユニットは、前記保持部材の前記ワークへの挿入後に前記保持部材の両端に圧縮方向の軸方向外力を作用させて前記保持部材を拡径させる拡径機構を含んでもよい。

　前記構成によれば、軸方向外力が作用しない自然状態において金属製円筒保持部材の外径が薄肉円筒状のワークの内径よりも僅かに小さく設定されているので、その自然状態に保ったまま金属製円筒保持部材をワークの内周に挿入することができる。そして、挿入した段階で、径変化ユニットとして設けられた拡径機構によって、金属製円筒保持部材の両端に圧縮方向の軸方向外力を作用させることにより、金属製円筒保持部材を拡径させ、それにより金属製円筒保持部材の外周面を薄肉円筒状ワークの内周面に密着させて、薄肉円筒状ワークを安定保持することができる。

　また、前記保持部材の外径は、前記軸方向外力が作用しない自然状態において前記ワークの内径よりも大きく、前記径変化ユニットは、前記保持部材の前記ワークへの挿入前に前記保持部材の両端に引張方向の軸方向外力を作用させて前記保持部材を縮径させる縮径機構を含んでもよい。

　前記構成によれば、軸方向外力が作用しない自然状態において金属製円筒保持部材の外径が薄肉円筒状ワークの内径よりも僅かに大きめに設定されているので、まず挿入前に径変化ユニットとして設けられた縮径機構によって、金属製円筒保持部材の両端に引張方向の軸方向外力を作用させ、金属製円筒保持部材を縮径させることにより、金属製円筒保持部材をワークの内周に挿入することができる。そして、挿入した段階で、縮径機構により加えていた軸方向外力（引張力）を取り除くことにより、金属製円筒保持部材を自由状態のときの径まで復元（拡径）させることができ、そうすることにより、金属製円筒保持部材の外周面を薄肉円筒状ワークの内周面に密着させて、薄肉円筒状ワークを安定保持することができる。

　また、前記保持部材の外径は、前記軸方向外力が作用しない自然状態において前記ワークの内径とは異なり、前記径変化ユニットは、前記保持部材の前記ワークへの挿入前に前記保持部材の両端に引張方向の軸方向外力を作用させて前記保持部材を縮径させる縮径機構と、前記保持部材の前記ワークへの挿入後に前記保持部材の両端に圧縮方向の軸方向外力を作用させて前記保持部材を拡径させる拡径機構と、を含んでもよい。

　前記構成によれば、まず挿入前に径変化ユニットとして設けられた縮径機構によって、金属製円筒保持部材の両端に引張方向の軸方向外力を作用させ、金属製円筒保持部材を縮径させることにより、金属製円筒保持部材をワークの内周に挿入することができる。そして、挿入した段階で、縮径機構により加えていた軸方向外力（引張力）を取り除くと共に、径変化ユニットとして設けられた拡径機構によって、金属製円筒保持部材の両端に圧縮方向の軸方向外力を作用させ、金属製円筒保持部材を拡径させることにより、金属製円筒保持部材の外周面を薄肉円筒状ワークの内周面に密着させて、薄肉円筒状ワークを安定保持することができる。

　また、前記保持部材と同心の軸部を外側面に有する一対の円形の側板をさらに備え、前記一対の側板の外周部は、前記保持部材の両端に固着され、前記径変化ユニットは、前記一対の側板間に設けられ、前記径変化ユニットは、前記一対の側板間に設けられた複数本のロッドと、ネジの回転によって前記各ロッドに引張力または圧縮力を付与させ、前記引張力または圧縮力の反力により、前記側板を介して前記保持部材の両端に圧縮方向の軸方向外力または引張方向の軸方向外力を作用させるネジ機構と、を含んでもよい。

　前記構成によれば、ネジの締め付けによってロッドに引張力または圧縮力を付与することにより、側板を介して、金属製円筒保持部材の両端に圧縮方向の軸方向外力または引張方向の軸方向外力を作用させることができ、金属製円筒保持部材によって内周側からワークを保持することができる。そして、このようにワークを保持しながら、両側板に突設した軸部を支持してワークを回転させることにより、ワークの外周面に高精度の機械加工を施すことができる。

　また、前記保持部材の軸方向の中間部に位置する前記ワークの軸方向長さに対応したワーク保持領域の両外側領域の少なくとも一方が、テーパ状または段付き状に前記ワーク保持領域よりも径が小さく形成され、前記側板は、前記ワーク保持領域よりも径が小さく形成された部分の端部に固着されてもよい。

　前記構成によれば、ワーク保持領域の外側に、テーパ状または段付き状にワーク保持領域よりも径が小さく形成された部分を設けているので、ワークに対する金属製円筒保持部材の挿入および取り外しが容易にできるようになる。

　また、前記ワークの周壁の厚さが、２ｍｍ以下でもよい。

　前記構成によれば、従来よりも薄い周壁（肉厚）のワーク（周壁の厚さが２ｍｍ以下のワーク）を保持することで、従来の保持具では困難であったワーク加工を行うことができ、より高度なプラスチックシートやフィルムの成形が可能となる。

　本発明の第２アスペクトは、円筒状の金属よりなる弾性的に拡縮径可能な保持部材であって、薄肉円筒状のワークの内周への挿入時に外径が前記ワークの内径よりも小さく保持され、前記ワークの内周に挿入された後に拡径されて外周面が前記ワークの全内周面に密着することで、前記ワークを内周側から保持する保持部材と、圧縮方向の軸方向外力及び引張方向の軸方向外力の少なくともいずれかを前記保持部材の両端に作用させて、前記保持部材の径を変化させる径変化ユニットと、を備えた薄肉円筒状ワークの保持治具を用いて薄肉円筒状のワークを保持し、前記保持されたワークの外周面を機械加工する薄肉円筒状ワークの加工方法であることを要旨とする。

　前記第２アスペクトによれば、前記第１アスペクトの保持治具を用いて薄肉円筒状のワークを保持しながら、機械加工を行うので、高精度の加工が可能となる。

　本発明の第３アスペクトは、円筒状の金属よりなる弾性的に拡縮径可能な保持部材であって、薄肉円筒状のワークの内周への挿入時に外径が前記ワークの内径よりも小さく保持され、前記ワークの内周に挿入された後に拡径されて外周面が前記ワークの全内周面に密着することで、前記ワークを内周側から保持する保持部材と、圧縮方向の軸方向外力及び引張方向の軸方向外力の少なくともいずれかを前記保持部材の両端に作用させて、前記保持部材の径を変化させる径変化ユニットと、を備えた薄肉円筒状ワークの保持治具を用いて薄肉円筒状のワークを保持し、前記保持されたワークの外周面を機械加工する薄肉円筒状ワークの加工方法により加工された薄肉円筒状のワークを外筒として用いたシート・フィルム成形ロールであることを要旨とする。

　また、前記外筒の内部に配置された、前記外筒の中心軸と同じ軸を中心軸とする内筒をさらに備え、熱媒体が、前記外筒と前記内筒との間を流れ、前記外筒として用いた薄肉円筒状のワークは、周壁の厚さが、０．５ｍｍ乃至２ｍｍであり、外周面の最大粗さが、１μｍ以下であってもよい。

　また、クラウニング加工が、前記外筒として用いた薄肉円筒状のワークに施されていてもよい。

　また、前記外筒の内部に配置された、前記外筒の中心軸と同じ軸を中心軸とする内筒をさらに備え、熱媒体が、前記外筒と前記内筒との間を流れ、前記外筒として用いた薄肉円筒状のワークは、周壁の厚さが、０．５ｍｍ乃至２ｍｍであり、微細な凹凸で形成されている転写パターンが、外周面に形成されていてもよい。

　また、前記外筒の内部に配置された、前記外筒の中心軸と同じ軸を中心軸とする内筒をさらに備え、熱媒体が、前記外筒と前記内筒との間を流れ、前記外筒として用いた薄肉円筒状のワークは、周壁の厚さが、０．５ｍｍ乃至２ｍｍであり、梨地状の転写パターンが、外周面に形成されていてもよい。

　前記第３アスペクトによれば、精度良く製造された薄肉円筒状ワークを外筒として用いているので、精度の良いシートやフィルムを製造することができる。

　本発明によれば、ワークのどの箇所も漏れなく内周面側から確実に支持することができ、加工圧に負けない強固な保持力を発揮できると共に、強い加工力が局部的に加わった際にも変形し難く、高精度の機械加工が可能な薄肉円筒状ワークの保持治具、その保持治具を使用した薄肉円筒状ワークの加工方法、及びその加工方法により加工された薄肉円筒状ワークを外筒として用いたシート・フィルム成形ロールを提供することができる。

図１（ａ）及び（ｂ）は、本発明の第１実施形態に係る保持治具の構成図である。図１（ａ）は側断面図、図１（ｂ）は図１（ａ）のＸ矢視図である。図２（ａ）及び（ｂ）は、第１実施形態に係る保持治具の作用説明のための簡略図である。図２（ａ）は保持治具をワークの内周に挿入しようとしている状態を示す図、図２（ｂ）は挿入後に保持治具の金属製円筒保持部材を両端軸方向圧縮により拡径させてワークを保持した状態を示す図である。図３（ａ）及び（ｂ）は、本発明の第２実施形態に係る保持治具の構成図である。図３（ａ）は側断面図、図３（ｂ）は図３（ａ）のＸ矢視図である。図４（ａ）及び（ｂ）は、第２実施形態に係る保持治具の作用説明のための簡略図である。図４（ａ）は金属製円筒保持部材を両端軸方向引張により縮径させた状態で保持治具をワークの内周に挿入しようとしている状態を示す図、図４（ｂ）は挿入後に両端軸方向引張を解除し金属製円筒保持部材を元の径に復元（拡径）させてワークを保持した状態を示す図である。図５（ａ）及び（ｂ）は、本発明の第３実施形態に係る保持治具の作用説明のための簡略図である。図５（ａ）は金属製円筒保持部材を両端軸方向引張により縮径させた状態で保持治具をワークの内周に挿入しようとしている状態を示す図、図５（ｂ）は挿入後に両端軸方向引張を解除し更に金属製円筒保持部材を両端軸方向圧縮により拡径させてワークを保持した状態を示す図である。図６（ａ）及び（ｂ）は、本発明の第１～第３実施形態に係る保持治具における金属製円筒保持部材の端部の形状例を示す図である。図６（ａ）は端部をテーパ状にすることで小径化させた例を示す部分断面図、図６（ｂ）は端部を段付き状にすることで小径化させた例を示す部分断面図である。図７（ａ）乃至（ｃ）は、本発明の第１実施形態～第３実施形態に係る保持治具における金属製円筒保持部材の端部と側板の固着構造のバリエーションを示す図である。図７（ａ）は側板の外周を金属製円筒保持部材の端部内周に嵌合させて固着した例を示す部分断面図、図７（ｂ）は側板の外周部に段部を形成し、その段部に金属製円筒保持部材の端部を嵌合させて固着した例を示す部分断面図、図７（ｃ）は側板の側面を金属製円筒保持部材の端面に突き合わせて固着した例を示す部分断面図である。

　以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。

　［第１実施形態］
　図１（ａ）及び（ｂ）に示す保持治具１は、薄肉円筒状のワークＷ（図２参照）の主に外周面を機械加工する際に、ワークＷの内周に挿入されて、ワークＷを内周側から保持する。

　ここで想定しているワークＷは、たとえば、プラスチックフィルム等の成形ロールに用いられるスリーブ（金属外筒）であり、周壁の厚さ（肉厚）が２ｍｍ以下（より正確には、２ｍｍ未満）、円筒度が５０μｍ以下、外周面の最大荒さＲｍａｘが１μｍ以下の製品に加工されるものである。使用形態は、このワークＷを外筒とし、その内周側に内筒部材を同軸に配し、内筒部材と外筒の間に熱媒体が流れる空間を確保した二重筒構造の成形ロールであり、必要に応じてワークＷの外周面には、梨字等の転写パターン（例えば、０．０２５ｍｍのレベルの微細加工）が施されたり、クラウニング加工が施されたりする。

　本実施形態の保持治具１は、中空円筒状で僅かに弾性的に拡縮径できるよう肉厚が薄く設定された金属製円筒保持部材１０（保持部材）と、それぞれの外側面１１ｂ、１２ｂ中央に金属製円筒保持部材１０と同心の軸部１３、１４が突設され、外周部が金属製円筒保持部材１０の軸方向両端部に溶接４０等により固着された左右一対の円形の側板１１、１２と、これら一対の側板１１、１２間に設けられ、両側板１１、１２を介して金属製円筒保持部材１０の両端に圧縮方向の軸方向外力を作用させることで、金属製円筒保持部材１０を拡径させる拡径機構（径変化ユニット）２５と、を備える。

　金属製円筒保持部材１０は、半径の１．５％～８％、好ましくは２％～５％程度の肉厚を持つ直円筒体であり、ＳＴＫＭ１６ＡやＳ４５Ｃ等の引張弾性変形範囲の広い鋼管よりなる。

　保持治具１における金属製円筒保持部材１０の外径は、軸方向外力が作用しない自然状態において、ワークＷの内径よりも僅かに小さく（たとえば、数十μｍのオーダーで小さく）設定されている。従って、その自然状態のまま、ワークＷの内周へ金属製円筒保持部材１０を挿入することができる。金属製円筒保持部材１０は、ワークＷの内周に挿入された後に、拡径機構２５によって拡径させられることにより、自身の外周をワークＷの内周面に密着させて、ワークＷを内周側から保持できるようになっている。

　拡径機構２５は、ワークＷへの挿入後に、金属製円筒保持部材１０の両端に圧縮方向の軸方向外力Ｂを作用させて、金属製円筒保持部材１０を拡径させる機能を果たす。拡径機構２５は、軸部１３、１４を中心とする円周方向に等間隔に配された複数本のロッド１５と、各ロッド１５ごとに設けられたネジ機構２６と、から構成されている。

　ロッド１５の一端部（図１（ａ）中の右端部）は、右側の側板１２の通孔１２ａに嵌挿され、その外側の頭部１６が側板１２の外側面１２ｂに係合することで、側板１２に固定されている。

　ロッド１５の他端部（図１（ａ）中の左端部）は、左側の側板１１の通孔１１ａにスライド自在に挿通されており、その端面１５ｂが通孔１１ａ内にとどまる長さに設定されている。この通孔１１ａ内にとどまるように設定されたロッド１５の他端部の端面１５ｂには、ネジ穴１７が設けられている。

　左側の側板１１の外側面１１ｂには、ブラケット板１８が図示略のボルトによって固定されており、ブラケット板１８の挿通孔１８ａに調整ネジ２０の軸部が通されている。調整ネジ２０の軸部の先端のネジ部２０ａは、ロッド１５の端面１５ｂのネジ穴１７にねじ込まれ、調整ネジ２０の頭部２０ｂはブラケット板１８の外側面１８ｃに当接している。

　ネジ機構２６は、ロッド１５毎に設けられた調整ネジ２０と、各調整ネジ２０のネジ部２０ａがねじ込まれるロッド端面１５ｂのネジ穴１７とによって構成されている。調整ネジ２０の締め付けによって各ロッド１５に矢印Ａ方向の引張力を付与させることにより、その反力によって、側板１１、１２を介して、金属製円筒保持部材１０の両端に、矢印Ｂで示す圧縮方向の軸方向外力を作用させることができるようになっている。

　次に、保持治具１によってワークＷを保持する場合の手順を図２（ａ）及び（ｂ）を用いて説明する。

　保持治具１では、金属製円筒保持部材１０の外径が、軸方向外力が作用しない自然状態において、ワークＷの内径よりも僅かに小さく設定されているので、図２（ａ）に示すように、その自然状態に保ったまま、金属製円筒保持部材１０をワークＷの内周に挿入することができる。

　そして、金属製円筒保持部材１０をワークＷの内周に挿入した段階で、図２（ｂ）に示すように、径変化ユニットとして設けられた拡径機構２５によって、金属製円筒保持部材１０の両端に圧縮方向の軸方向外力（矢印Ｂで示す外力）を作用させることにより、金属製円筒保持部材１０を矢印Ｄで示すように拡径させる。それにより、金属製円筒保持部材１０の外周面をワークＷの内周面に強固に密着させることができて、ワークＷを保持することができる。

　この場合、金属製円筒保持部材１０の外周面がワークＷのほぼ全内周面に密着した状態でワークＷを保持することになるので、ワークＷのどの箇所も漏れなく内周面側から支持することができ、加工圧に負けない強固な保持力を発揮できる。また、従来のようにゴム等の弾性体でワークを保持する場合と違って、強い加工力が局部的に加わった際にも変形し難くなる。そのため、このようにワークＷを保持しながら、両側板１１、１２に突設した軸部１３、１４を支持してワークＷを回転させることにより、ワークＷの外周面に高精度の機械加工（外周切削や外周研磨あるいはパターン形成加工など）を行うことができるようになり、ワークＷの円筒度や表面粗度の向上が図れる。

　機械加工後は、調整ネジ２０を緩めることによって、金属製円筒保持部材１０を自然状態の径に復元（元の状態に縮径）させることができるので、ワークＷから保持治具１を取り外すことができる。

　このように、調整ネジ２０の締め付け操作や緩め操作によって、金属製円筒保持部材１０を拡径させたり縮径させたりすることができるので、確実な脱着が簡単にできる。

　［第２実施形態］
　図３（ａ）及び（ｂ）に示す第２実施形態に係る保持治具２も、第１実施形態と同様に、薄肉円筒状のワークＷ（図４参照）の主に外周面を機械加工する際に、ワークＷの内周に挿入されて、ワークＷを内周側から保持するものである。

　保持治具２は、中空円筒状で僅かに弾性的に拡縮径できるよう肉厚が薄く設定された金属製円筒保持部材１０Ａ（保持部材）と、それぞれの外側面１１ｂ、１２ｂ中央に金属製円筒保持部材１０Ａと同心の軸部１３、１４が突設され、外周部が金属製円筒保持部材１０Ａの軸方向両端部に固着された左右一対の円形の側板１１、１２と、これら一対の側板１１、１２間に設けられ、両側板１１、１２を介して金属製円筒保持部材１０Ａの両端に引張方向の軸方向外力を作用させることで、金属製円筒保持部材１０Ａを縮径させる縮径機構（径変化ユニット）２７と、を備えている。

　金属製円筒保持部材１０Ａは、半径の１．５％～８％、好ましくは２％～５％程度の肉厚を持つ直円筒体であり、ＳＴＫＭ１６ＡやＳ４５Ｃ等の引張弾性変形範囲の広い鋼管よりなる。

　保持治具２における金属製円筒保持部材１０Ａの外径は、軸方向外力が作用しない自然状態において、ワークＷの内径よりも僅かに大きく（たとえば、数十μｍのオーダーで大きく）設定されている。従って、その自然状態のままでは、ワークＷの内周へ金属製円筒保持部材１０Ａを挿入することができないが、縮径機構２７により縮径させることにより、ワークＷの内周へ挿入できるようになっている。

　金属製円筒保持部材１０Ａは、いったん縮径させた状態でワークＷの内周に挿入された後に、縮径を解除することによって元の径に復元（拡径）し、それにより、自身の外周をワークＷの内周面に密着させて、ワークＷを内周側から保持できるようになっている。

　縮径機構２７は、ワークＷへの挿入前に、金属製円筒保持部材１０Ａの両端に引張方向の軸方向外力Ｆを作用させて、金属製円筒保持部材１０Ａを縮径させる機能を果たすものであり、軸部１３、１４を中心とする円周方向に等間隔に配された複数本のロッド１５と、各ロッド１５ごとに設けられたネジ機構２８と、から構成されている。

　ロッド１５の一端部（図３（ａ）中の右端部）は、右側の側板１２の通孔１２ａに嵌挿され、その外側の頭部１６が側板１２の外側面１２ｂに係合することで、側板１２に固定されている。ロッド１５の他端部（図３（ａ）中の左端部）は、左側の側板１１の通孔１１ａにスライド自在に挿通されており、その端面１５ｂが通孔１１ａ内にとどまる長さに設定されている。ロッド１５の一端部（図３（ａ）中の右端部）が、ロッド１５の他端部（図３（ａ）中の左端部）と同じように構成され設定されていてもよい。

　ロッド１５は、第１実施形態の保持治具１と共通化するために、端面１５ｂにネジ穴１７を有するが、本実施形態ではネジ穴１７は使用しない。その代わりに、ロッド１５の他端部の端面１５ｂにはスペーサ３２が配置されている。スペーサ３２は、後述する調整ネジ３０のネジ軸部３０ａの先端がネジ穴１７に入らないようにし、調整ネジ３０の先端からの押圧力をロッド１５に確実に伝える役目を果たす。

　左側の側板１１の外側面１１ｂには、ブラケット板１８が図示略のボルトによって固定されている。ブラケット板１８には、第１実施形態の挿通孔１８ａの代わりに、ネジ孔１８ｂが形成されており、ネジ孔１８ｂに調整ネジ３０の頭部３０ｂの首下から延びるネジ軸部３０ａが螺合されている。従って、調整ネジ３０を締め込むことにより、ロッド１５の端面１５ｂにスペーサ３２を介して押圧力を加えることができる。

　ネジ機構２７は、ロッド１５毎に設けられた調整ネジ３０と、各調整ネジ３０のネジ部３０ａがねじ込まれるブラケット板１８のネジ孔１８ｂとによって構成されている。調整ネジ３０の締め付けによって各ロッド１５に矢印Ｅ方向の圧縮力を付与させることにより、その反力によって、側板１１、１２を介して、金属製円筒保持部材１０Ａの両端に、矢印Ｆで示す引張方向の軸方向外力を作用させることができるようになっている。

　次に、保持治具２によってワークＷを保持する場合の手順を、図４（ａ）及び（ｂ）を用いて説明する。

　保持治具２では、金属製円筒保持部材１０Ａの外径が、軸方向外力が作用しない自然状態において、ワークＷの内径よりも僅かに大きめに設定されているので、まず挿入前に径変化ユニットとして設けられた縮径機構２７によって、金属製円筒保持部材１０Ａの両端に引張方向の軸方向外力Ｆを作用させ、金属製円筒保持部材１０を矢印Ｇのように縮径させる。そして、この縮径状態で金属製円筒保持部材１０ＡをワークＷの内周に挿入する。次に挿入した段階で、縮径機構２７により加えていた軸方向外力（引張力Ｆ）を取り除く。すると、金属製円筒保持部材１０が自由状態のときの径まで復元（拡径）させることができるので、それにより、金属製円筒保持部材１０Ａの外周面をワークＷの内周面に密着させて、ワークＷを保持することができる。

　この場合、金属製円筒保持部材１０Ａの外周面がワークＷのほぼ全内周面に密着した状態でワークＷを保持することになるので、ワークＷのどの箇所も漏れなく内周面側から支持することができ、加工圧に負けない強固な保持力を発揮できる。また、従来のようにゴム等の弾性体でワークを保持する場合と違って、強い加工力が局部的に加わった際にも変形し難くなる。そのため、このようにワークＷを保持しながら、両側板１１、１２に突設した軸部１３、１４を支持してワークＷを回転させることにより、ワークＷの外周面に高精度の機械加工（外周切削や外周研磨あるいはパターン形成加工など）を行うことができるようになり、ワークＷの円筒度や表面粗度の向上が図れる。

　機械加工後は、再び調整ネジ３０を締め込むことによって、金属製円筒保持部材１０Ａを縮径させる。そうすることで、ワークＷから保持治具２を取り外すことができる。

　このように、調整ネジ３０の締め付け操作や緩め操作によって、金属製円筒保持部材１０Ａを拡径させたり縮径させたりすることができるので、確実な脱着が簡単にできる。

　［第３実施形態］
　第３実施形態の保持治具３は、上述した縮径機構２７と拡径機構２５の両方を備えており、金属製円筒保持部材１０Ｂ（保持部材）の外径は、軸方向外力が作用しない自然状態においてワークの内径と僅かに異なる径に設定されている。第２実施形態と同様の径に設定されていてもよい。

　従って、図５（ａ）に示すように、ワークＷへの挿入前には、径変化ユニットとして設けられた縮径機構２７によって、金属製円筒保持部材１０Ｂの両端に引張方向の軸方向外力Ｆを作用させ、金属製円筒保持部材１０Ｂを矢印Ｇのように縮径させることにより、金属製円筒保持部材１０ＢをワークＷの内周に挿入する。そして、図５（ｂ）に示すように、挿入した段階で、縮径機構２７により加えていた軸方向外力（引張力）を取り除くと共に、径変化ユニットとして設けられた拡径機構２５によって、金属製円筒保持部材１０Ｂの両端に圧縮方向の軸方向外力Ｂを作用させ、金属製円筒保持部材１０Ｂを矢印Ｊのように拡径させることにより、金属製円筒保持部材１０Ｂの外周面をワークＷの内周面に密着させて、ワークＷを保持する。

　この場合は、ワークＷへの挿入時に金属製円筒保持部材１０Ｂを縮径させるので、挿入が容易に行える。また、挿入後に金属製円筒保持部材１０Ｂを拡径させるので、強力な保持力を発揮させることができる。

　次に、本発明の第１乃至第３実施形態に係る保持治具１乃至３における金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂの端部の形状例について説明する。図１（ａ）、図３（ａ）（第３実施形態については図示略）に示すように、ワークＷを保持するワーク保持領域Ｈ１は、金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂの軸方向の中間部にワークＷの軸方向長さに対応して設けられている。より具体的には、金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂのワーク保持領域Ｈ１の軸方向の長さは、ワークＷの軸方向の長さよりも長くなっている。金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂの両端部は、側板１１、１２によって拘束されていることにより拡径・縮径などの径変化をしない。そこで、上記第１乃至第３実施形態においては、図６（ａ）または（ｂ）に示すように、ワーク保持領域Ｈ１の両外側領域Ｈ２のうちの少なくとも一方が、図６（ａ）に示すようなテーパ状または図６（ｂ）に示すような段付き状にワーク保持領域Ｈ１よりも径が小さく形成されている。そして、側板１２が両外側領域Ｈ２のワーク保持領域Ｈ１よりも径が小さく形成された部分の端部に固着されている。こうすることで、ワークＷに対する金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂの挿入および取り外しが容易になる。

　ここで、金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂの軸方向の長さとワークＷの軸方向の長さとの関係をさらに説明すると、金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂのワーク保持領域Ｈ１の軸方向の長さが、ワークＷの実加工領域の軸方向の長さよりも長くなっていればよく、このようになっていれば、ワークＷの軸方向の長さが、ワーク保持領域Ｈ１の軸方向の長さよりも長くなっていてもよい。この場合、ワークＷの軸方向の長さは、金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂの長さ（Ｈ１＋２×Ｈ２）よりも短くなっており、また、ワークＷの軸方向でワークＷの中間部にワークＷの実加工領域が存在しているものとする。

　本発明の第１乃至第３実施形態に係る保持治具１乃至３における金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂの端部と側板１２との固着構造について説明する。金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂと側板１２の固着部の構造としては、図７に示すようなバリエーションが採用可能である。図７（ａ）は、単純に側板１２の外周を金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂの端部内周に嵌合させて固着した例を示す。図７（ｂ）は、側板１２の外周部に段部１２ｄを形成し、その段部１２ｄに金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂの端部を嵌合させて固着した例を示す。図７（ｃ）は、側板１２の側面を金属製円筒保持部材１０、１０Ａ、１０Ｂの端面に単純に突き合わせて固着した例を示す。他方の側板１１についても同様である。

　前述したように、薄肉円筒状ワークＷを用いてシート・フィルム成形ロールを構成してもよい。

　すなわち、上述した加工方法により加工された薄肉円筒状のワークＷを外筒として用いてシート・フィルム成形ロールを構成してもよい。シート・フィルム成形ロールは、たとえば、特開２００７－８３５７７号公報に示すように、円筒状の外筒の外周にシートやフィルムを巻き掛けて、シートやフィルムを成形する装置である。

　外筒を構成している薄肉円筒状ワークＷは、たとえば、この周壁の厚さがたとえば０．５ｍｍ～２ｍｍ（たとえば、２ｍｍは含まない）であり、外周面の最大粗さＲｍａｘが１μｍ以下になっている。また、外筒の内部に、外筒の中心軸と同じ軸を中心軸とする内筒を配し、外筒と内筒との間を熱媒体（たとえば、外筒に巻き掛けられて外筒の回転に伴って移動するシートやフィルムを冷却する冷媒）が、たとえば連続的に流れるように構成されている。

　さらに、薄肉円筒状ワークＷにクラウニング加工が施されていてもよい。すなわち、外筒を構成している薄肉円筒状ワークＷの外径が、軸方向の端部では小さくなっており、軸方向の中央部に向かうにしたがって、外径が次第にごく僅かに大きくなっていて、薄肉円筒状ワークＷの外形が樽状に形成されていてもよい。

　また、外筒を構成している薄肉円筒状ワークＷの外周面に微細な凹凸で形成されている転写パターン（たとえば、ピッチや高さが、可視光線の波長程度の微細な転写パターン）が形成されていてもよい。これにより、シートやフィルムの厚さ方向の一方の面に微細なパターンが転写される。

　また、薄肉円筒状ワークＷの外周面に梨地状の転写パターンが形成されていてもよい。これにより、シートやフィルムの厚さ方向の一方の面が梨地状に形成される。

Claims

　円筒状の金属よりなる弾性的に拡縮径可能な保持部材であって、薄肉円筒状のワークの内周への挿入時に外径が前記ワークの内径よりも小さく保持され、前記ワークの内周に挿入された後に拡径されて外周面が前記ワークの全内周面に密着することで、前記ワークを内周側から保持する保持部材と、
　圧縮方向の軸方向外力及び引張方向の軸方向外力の少なくともいずれかを前記保持部材の両端に作用させて、前記保持部材の径を変化させる径変化ユニットと、を備えた
薄肉円筒状ワークの保持治具。
　前記保持部材の外径は、前記軸方向外力が作用しない自然状態において前記ワークの内径よりも小さく、
　前記径変化ユニットは、前記保持部材の前記ワークへの挿入後に前記保持部材の両端に圧縮方向の軸方向外力を作用させて前記保持部材を拡径させる拡径機構を含む
請求項１に記載の薄肉円筒状ワークの保持治具。
　前記保持部材の外径は、前記軸方向外力が作用しない自然状態において前記ワークの内径よりも大きく、
　前記径変化ユニットは、前記保持部材の前記ワークへの挿入前に前記保持部材の両端に引張方向の軸方向外力を作用させて前記保持部材を縮径させる縮径機構を含む
請求項１に記載の薄肉円筒状ワークの保持治具。
　前記保持部材の外径は、前記軸方向外力が作用しない自然状態において前記ワークの内径とは異なり、
　前記径変化ユニットは、
　　前記保持部材の前記ワークへの挿入前に前記保持部材の両端に引張方向の軸方向外力を作用させて前記保持部材を縮径させる縮径機構と、
　　前記保持部材の前記ワークへの挿入後に前記保持部材の両端に圧縮方向の軸方向外力を作用させて前記保持部材を拡径させる拡径機構と、を含む
請求項１に記載の薄肉円筒状ワークの保持治具。
　前記保持部材と同心の軸部を外側面に有する一対の円形の側板をさらに備え、
　前記一対の側板の外周部は、前記保持部材の両端に固着され、
　前記径変化ユニットは、前記一対の側板間に設けられ、
　前記径変化ユニットは、
　　前記一対の側板間に設けられた複数本のロッドと、
　　ネジの回転によって前記各ロッドに引張力または圧縮力を付与させ、前記引張力または圧縮力の反力により、前記側板を介して前記保持部材の両端に圧縮方向の軸方向外力または引張方向の軸方向外力を作用させるネジ機構と、を含む
請求項１に記載の薄肉円筒状ワークの保持治具。
　前記保持部材の軸方向の中間部に位置する前記ワークの軸方向長さに対応したワーク保持領域の両外側領域の少なくとも一方が、テーパ状または段付き状に前記ワーク保持領域よりも径が小さく形成され、
　前記側板は、前記ワーク保持領域よりも径が小さく形成された部分の端部に固着されている
請求項５に記載の薄肉円筒状ワークの保持治具。
　前記ワークの周壁の厚さが、２ｍｍ以下である
請求項１に記載の薄肉円筒状ワークの保持治具。
　円筒状の金属よりなる弾性的に拡縮径可能な保持部材であって、薄肉円筒状のワークの内周への挿入時に外径が前記ワークの内径よりも小さく保持され、前記ワークの内周に挿入された後に拡径されて外周面が前記ワークの全内周面に密着することで、前記ワークを内周側から保持する保持部材と、圧縮方向の軸方向外力及び引張方向の軸方向外力の少なくともいずれかを前記保持部材の両端に作用させて、前記保持部材の径を変化させる径変化ユニットと、を備えた薄肉円筒状ワークの保持治具を用いて薄肉円筒状のワークを保持し、
　前記保持されたワークの外周面を機械加工する
薄肉円筒状ワークの加工方法。
　円筒状の金属よりなる弾性的に拡縮径可能な保持部材であって、薄肉円筒状のワークの内周への挿入時に外径が前記ワークの内径よりも小さく保持され、前記ワークの内周に挿入された後に拡径されて外周面が前記ワークの全内周面に密着することで、前記ワークを内周側から保持する保持部材と、圧縮方向の軸方向外力及び引張方向の軸方向外力の少なくともいずれかを前記保持部材の両端に作用させて、前記保持部材の径を変化させる径変化ユニットと、を備えた薄肉円筒状ワークの保持治具を用いて薄肉円筒状のワークを保持し、前記保持されたワークの外周面を機械加工する薄肉円筒状ワークの加工方法により加工された薄肉円筒状のワークを外筒として用いた
シート・フィルム成形ロール。
　　前記外筒の内部に配置された、前記外筒の中心軸と同じ軸を中心軸とする内筒をさらに備え、
　熱媒体が、前記外筒と前記内筒との間を流れ、
　前記外筒として用いた薄肉円筒状のワークは、
　　周壁の厚さが、０．５ｍｍ乃至２ｍｍであり、
外周面の最大粗さが、１μｍ以下である
請求項９に記載のシート・フィルム成形ロール。
　クラウニング加工が、前記外筒として用いた薄肉円筒状のワークに施されている
請求項９または請求項１０に記載のシート・フィルム成形ロール。
　前記外筒の内部に配置された、前記外筒の中心軸と同じ軸を中心軸とする内筒をさらに備え、
　熱媒体が、前記外筒と前記内筒との間を流れ、
　前記外筒として用いた薄肉円筒状のワークは、
　　周壁の厚さが、０．５ｍｍ乃至２ｍｍであり、
微細な凹凸で形成されている転写パターンが、外周面に形成されている
請求項９に記載のシート・フィルム成形ロール。
　前記外筒の内部に配置された、前記外筒の中心軸と同じ軸を中心軸とする内筒をさらに備え、
　熱媒体が、前記外筒と前記内筒との間を流れ、
　前記外筒として用いた薄肉円筒状のワークは、
　　周壁の厚さが、０．５ｍｍ乃至２ｍｍであり、
梨地状の転写パターンが、外周面に形成されている
請求項９に記載のシート・フィルム成形ロール。