WO2006098075A1 - 誘電体形成シート及び誘電体層形成基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
ガラス基板上の電極脇に大気泡を生じさせることのない誘電体層を形成するための誘電体形成シートを提供することを目的とする。また、転写シート、誘電体層形成基板の製造方法、誘電体層形成基板、及びプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。本発明は、無機粉体と有機成分との体積比率が、有機成分/無機粉体=0.05~0.6である膜形成材料層の片面に粘弾性層が積層されている誘電体形成シートに関する。
Description
明 細 書
誘電体形成シート及び誘電体層形成基板の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、誘電体形成シート、転写シート、誘電体層形成基板の製造方法、誘電 体層形成基板、及びプラズマディスプレイパネルに関する。
背景技術
[0002] 近年、薄型平板状の大型ディスプレイとしては、液晶ディスプレイと共にプラズマデ イスプレイパネル(以下、「PDP」ともいう)が注目されている。 PDPの一部分は、ガラ ス基板の表面上にガラス焼結体力もなる誘電体層が形成された構造をしている。
[0003] 誘電体層の形成方法としては、無機粉体、榭脂および溶剤を含有するペースト状 組成物を調製し、このペースト状組成物をスクリーン印刷法によってガラス基板の表 面に塗布して乾燥することにより膜形成材料層を形成し、次 ヽでこの膜形成材料層 を焼成することにより有機物質を除去し、無機粉体を焼結させて形成する方法が知ら れている。
[0004] 近年、生産性向上などの目的で、無機粉体、榭脂及び溶剤を含有するペースト状 組成物を支持フィルム上に塗布して膜形成材料層を形成し、支持フィルム上に形成 された膜形成材料層(グリーンシート)を、電極が固定されたガラス基板の表面に転 写し、転写された膜形成材料層を焼成することにより、ガラス基板の表面に誘電体層 を形成する方法が開示されている (特許文献 1〜5)。
[0005] しかし、上記方法により電極が固定されたガラス基板の表面に誘電体層を形成する と、電極脇に大気泡が生じやすいという問題があった。電極脇に大気泡が存在すると 、画素抜けやにじみや輝度ムラなどの重大な画面欠点となり、 PDPの歩留まりに大き く影響する。
[0006] 特許文献 1 :特開平 9 102273号公報
特許文献 2:特開平 11― 35780号公報
特許文献 3:特開 2001— 185024号公報
特許文献 4:国際公開第 00Z42622号パンフレット
特許文献 5:特開 2002 - 249667号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明は、このような従来技術の課題を解決したものであって、ガラス基板上の電 極脇に大気泡を生じさせることのない誘電体層を形成するための誘電体形成シート を提供することを目的とする。また、転写シート、誘電体層形成基板の製造方法、誘 電体層形成基板、及びプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。 課題を解決するための手段
[0008] 本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下に示す誘電体形成 シートにより上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
[0009] すなわち、本発明は、無機粉体と有機成分との体積比率が、有機成分 Z無機粉体
=0. 05〜0. 6である膜形成材料層の片面に粘弾性層が積層されている誘電体形 成シート、に関する。
[0010] 本発明者らは、膜形成材料層中の無機粉体と有機成分との体積比率を最適化し、 さらに膜形成材料層の片面に粘弾性層を設けた誘電体形成シートを用いることによ り、ガラス基板上の電極脇に大気泡を生じさせることのない誘電体層を形成すること ができることを見出した。従来の膜形成材料層は、転写性や無機粉体の分散性等を 十分確保するためにバインダ成分や可塑剤や分散剤等の有機成分を大量に含有し て!ヽた。このような有機成分を大量に含有する膜形成材料層を焼成すると残存する カーボンの影響により電極脇に大気泡が発生すると考えられる。本発明は、膜形成 材料層中の無機粉体と有機成分との体積比率を最適化し、有機成分の含有量低下 による転写性の悪ィ匕を粘弾性層によって防止したことに特徴がある。
[0011] 前記無機粉体は鉛成分を含有しな!、無鉛ガラス成分、或いは鉛成分の含有率の 小さい低鉛ガラス成分であることが好ましい。なぜなら、鉛成分はガラスを低融点化さ せるうえで重要な成分であるが、鉛成分は人体や環境に与える弊害が大きいためで ある。
[0012] 本発明の転写シートは、前記誘電体形成シートの膜形成材料層の他面側に支持フ イルムを有するものであり、支持フィルム上に形成された誘電体形成シート (粘弾性層
+膜形成材料層)をガラス基板表面に一括転写するために用いられるものである。前 記支持フィルムは、少なくとも膜形成材料層と接触する側の面上に粘着処理が施さ れていることが好ましい。
[0013] また前記転写シートは、粘弾性層上に保護フィルムが設けられていることが好まし い。保護フィルムを設けることにより、誘電体形成シートをガラス基板上に転写するま での間、粘弾性層の表面に異物が付着することを防止することができる。また、保護 フィルムでカバーされた転写シートは、ロール状に巻き取った状態で保存し、供給す ることがでさる。
[0014] また本発明は、無機粉体と有機成分との体積比率が、有機成分 Z無機粉体 =0. 0 5〜0. 6である膜形成材料層の片面に粘弾性層が積層されている誘電体形成シート を、該粘弾性層と電極とが接触するように電極を有するガラス基板上に転写する転写 工程、及び転写された誘電体形成シートを焼成し、電極を有するガラス基板上に誘 電体層を形成する焼成工程を含む誘電体層形成基板の製造方法、に関する。
[0015] また本発明は、電極を有するガラス基板上に粘弾性層を転写し、該粘弾性層上に 無機粉体と有機成分との体積比率が、有機成分 Z無機粉体 =0. 05〜0. 6である 膜形成材料層を転写する転写工程、及び転写された粘弾性層及び膜形成材料層を 焼成し、電極を有するガラス基板上に誘電体層を形成する焼成工程を含む誘電体 層形成基板の製造方法、に関する。
[0016] また本発明は、電極を有するガラス基板上に粘弾性榭脂組成物を塗布し、乾燥し て粘弾性層を形成する工程、該粘弾性層上に無機粉体と有機成分との体積比率が 、有機成分 Z無機粉体 =0. 05〜0. 6である膜形成材料層を転写する転写工程、 及び粘弾性層と膜形成材料層とを焼成し、電極を有するガラス基板上に誘電体層を 形成する焼成工程を含む誘電体層形成基板の製造方法、に関する。
[0017] 前記方法によって製造される誘電体層形成基板は、電極脇に大気泡が全くなぐ 表示特性に優れたものである。
[0018] さらに本発明は、前記誘電体層形成基板を用いたプラズマディスプレイパネル、に 関する。
発明を実施するための最良の形態
[0019] 以下、本発明について詳細に説明する。
[0020] 本発明の誘電体形成シートの膜形成材料層は、少なくとも無機粉体及び有機成分 を含有する。
[0021] 無機粉体は公知のものを特に制限なく用いることができ、具体的には、酸化鉛、酸 化珪素、酸化チタン、酸ィ匕アルミニウム、酸ィ匕カルシウム、酸化ホウ素、酸化亜鉛、ガ ラス粉末などが挙げられる。無機粉体の平均粒子径は、溶融性の観点から 0. 1〜10 mであることが好ましい。
[0022] 本発明にお 、ては、無機粉体としてガラス粉末を用いることが好ま 、。ガラス粉末 としては公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、 1)酸化亜鉛、酸ィ匕ホウ 素、酸ィ匕珪素 (ZnO— B O— SiO系)の混合物、 2)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸ィ匕珪
2 3 2
素、酸化アルミニウム(ZnO— B O -SiO -A1 O系)の混合物、 3)酸化鉛、酸化
2 3 2 2 3
ホウ素、酸化珪素、酸化カルシウム(PbO— B O— SiO— CaO系)の混合物、 4)酸
2 3 2
化鉛、酸化ホウ素、酸化珪素、酸化アルミニウム(PbO— B O SiO -A1 O系)の
2 3 2 2 3 混合物、 5)酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸ィ匕珪素(PbO— ZnO— B O—SiO
2 3 2 系)の混合物、 6)酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化珪素、酸化アルミニウム (Pb O-ZnO-B O -SiO— Al O系)の混合物などを挙げることができる。また、必要
2 3 2 2 3
に応じてこれらに Na 0、 CaO、 BaO、 Bi O、 SrO、 TiO、 CuO、又は In Oなどを
2 2 3 2 2 3 添加したものであってもよ!ヽ。ガラス粉末は鉛成分を含有しな!、無鉛ガラスか又は低 鉛ガラスであることが好ましい。低鉛ガラス粉末としては、前記無鉛ガラス成分に少量 の鉛成分を含んだもの、或いは従来の鉛成分を含んだガラス力ゝら鉛成分の含有量を 低減させたものなどがある。焼成処理により誘電体層を形成することを考慮すると、軟 化点が 430°C以上のガラス粉末を用いることが好まし!/、。
[0023] 有機成分としては、少なくともバインダ榭脂を用いる。ノインダ榭脂は、前記無機粉 体をシート状にするために添加されるものであり、公知のものを特に制限なく用いるこ とができるが、無機粉体の分散性がよぐ膜形成材料層の凝集性を向上させることが でき、焼成工程において熱分解により完全に除去されるものが好ましい。具体的には 、(メタ)アクリル系榭脂、セルロース系榭脂、ポリビュルァセタール系榭脂、ポリビ- ルアルキルエーテル系榭脂、ポリ酢酸ビニル誘導体系榭脂などが挙げられる。
[0024] 前記 (メタ)アクリル系榭脂は、アクリル系モノマー又はメタクリル系モノマーの 1種モ ノマーの重合体、前記モノマーの共重合体、又はそれらの混合物である。前記モノマ 一の具体例としては、メチル (メタ)アタリレート、ェチル (メタ)アタリレート、プロピル (メ タ)アタリレート、 t—ブチル (メタ)アタリレート、ペンチル (メタ)アタリレ—ト、ァミル (メタ )アタリレート、イソアミル (メタ)アタリレート、へキシル (メタ)アタリレート、ヘプチル (メ タ)アタリレート、ォクチル (メタ)アタリレート、イソオタチル (メタ)アタリレート、ェチルへ キシル (メタ)アタリレート、ノ-ル (メタ)アタリレート、デシル (メタ)アタリレート、イソデ シル (メタ)アタリレート、ゥンデシル (メタ)アタリレート、ドデシル (メタ)アタリレート、ラウ リル (メタ)アタリレート、ステアリル (メタ)アタリレート、イソステアリル (メタ)アタリレート などのアルキル (メタ)アタリレート、フエ-ル (メタ)アタリレート、トリル (メタ)アタリレート などのァリール (メタ)アタリレートなどが挙げられる。
[0025] また、水酸基やカルボキシル基などの極性基を有する(メタ)アクリル系モノマーを 用いてもよい。該極性基を有する (メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、(メタ) アクリル酸、ィタコン酸、 (メタ)アクリルアミド、 N—メチロール (メタ)アクリルアミド、 2— ヒドロキシェチル (メタ)アタリレート、 2—ヒドロキシプロピル (メタ)アタリレート、 3—ヒド シブチル (メタ)アタリレート、 4—ヒドロキシブチル (メタ)アタリレート、ポリエチレングリ コールモノ (メタ)アタリレート、 2—(メタ)アタリロイ口キシェチルコハク酸、 2—(メタ)ァ クリロイ口キシェチルフタル酸、イミノール (メタ)アタリレートなどが挙げられる。ただし 、ポリマー中に水酸基やカルボキシル基などの極性基を導入した場合、無機粉体の 分散性が悪くなつたり、無機粉体表面との相互作用により焼成処理の際に分解除去 されにくくなり、誘電体層の光学特性 (透過率など)が低下する。そのため、極性基含 有モノマーの導入はできるだけ少ないことが好ましぐ具体的には全モノマーに対し て 15重量%以下であることが好ましい。
[0026] (メタ)アクリル系榭脂の重量平均分子量は、用いるモノマーや共重合組成比等に よって適宜調整することができる。(メタ)アクリル系榭脂の重量平均分子量は 5〜50 万であることが好ましぐさらに好ましくは 7〜35万である。重量平均分子量が 5万未 満の場合には凝集力に乏しい強度の低い膜形成材料層となる傾向にあり、一方、重
量平均分子量が 50万を超える場合には粘度が高くなりすぎて無機粉体の分散性が 低下し、無機粉体及びバインダ榭脂を含有する無機粉体含有榭脂組成物を支持フ イルム上に塗布する際に塗布ムラや凹凸等が生じやすくなる傾向にある。
[0027] セルロース系榭脂としては、酢酸セルロース及び酪酸セルロールなどのセルロース エステノレ、メチノレセノレロース、ェチノレセノレロース、ヒドロキシェチノレセノレロース、カノレボ キシメチルセルロースなどが挙げられる。
[0028] ポリビュルァセタール系榭脂としては、ポリビュルホルマール及びポリビュルブチラ ールなど、ポリビュルアルキルエーテル系榭脂としてはポリビュルメチルエーテルな ど、ポリ酢酸ビニル誘導体系榭脂としては、ポリ酢酸ビュル及びポリビュルアルコー ルなどが挙げられる。
[0029] ノインダ榭脂は、焼成により透明な誘電体層を形成するために熱分解して完全に 消失させる必要がある。そのため、バインダ榭脂の熱分解性は焼成後の誘電体層の 特性に影響を及ぼす傾向にある。本発明において、バインダ榭脂の熱分解性の程 度は特に制限されるものではないが、 400°Cでの重量減少率が 30%〜100%である ノインダ榭脂を用いることが好まし 、。重量減少率は榭脂を構成するモノマー組成に よって異なるが、(メタ)アクリル系榭脂の 400°Cでの重量減少率は 40%〜100%程 度、ェチルセルロースは 93%程度、ポリビュルブチラールは 40%程度、ポリ酢酸ビ -ルは 33%程度、ポリビュルアルコールは 40%程度である。
[0030] 無機粉体及びバインダ榭脂等の有機成分を含有する無機粉体含有榭脂組成物を 支持フィルム上に塗布して膜形成材料層を形成する場合には、支持フィルム上に均 一に塗布できるように該組成物中に溶剤をカロえることが好ま 、。
[0031] 溶剤としては、無機粉体との親和性がよぐかつバインダ榭脂との溶解性がよいもの であれば特に制限されるものではない。例えば、テルビネオール、ブチルカルビトー ノレアセテート、ブチノレカノレビトーノレ、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、 テレビン油、ジェチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロへキサノン 、 n—ペンタノール、 4ーメチルー 2—ペンタノール、シクロへキサノール、ジアセトンァ ノレコーノレ、エチレングリコーノレモノメチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノエチノレエ ーテノレ、エチレングリコーノレモノブチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレモノメチノレエ
ーテノレ、ジエチレングリコーノレモノェチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレモノブチノレ エーテノレ、プロピレングリコーノレモノメチノレエーテノレ、プロピレングリコーノレモノェチノレ エーテル、酢酸—n—ブチル、酢酸ァミル、メチルセ口ソルブアセテート、ェチルセ口 ソノレブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ェチノレー 3— エトキシプロピオネートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよぐ任意の割合 で 2種類以上を併用してもよい。
[0032] 溶剤の添加量は特に制限されないが、無機粉体 100重量部に対して、 10〜50重 量部であることが好ましい。
[0033] また、有機成分として可塑剤を添加してもよい。可塑剤を添加することにより、無機 粉体含有榭脂組成物を支持フィルム上に塗布して形成した膜形成材料層の柔軟性 や誘電体形成シートのガラス基板上への転写性などを調整することができる。
[0034] 可塑剤としては、公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、ジィソノ -ルアジペート、ジー 2—ェチルへキシルアジべート、ジブチルジグリコールアジぺー トなどのアジピン酸誘導体、ジー 2—ェチルへキシルァゼレートなどのァゼライン酸誘 導体、ジー 2—ェチルへキシルセバケートなどのセバシン酸誘導体、トリ(2—ェチル へキシル)トリメリテート、トリイソノ-ルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテートなどのト リメリット酸誘導体、テトラ一(2—ェチルへキシル)ピロメリテートなどのピロメリット酸誘 導体、プロピレングリコールモノォレートなどのォレイン酸誘導体、ポリエチレングリコ ールゃポリプロピレングリコールなどのグリコール系可塑剤などがあげられる。
[0035] 可塑剤の添加量は、無機粉体 100重量部に対して、 10重量部以下であることが好 ましぐより好ましくは 5重量部以下である。可塑剤の添加量が 10重量部を超えると、 得られる膜形成材料層の凝集力(強度)が低下したり、焼成時にカーボンが残存しや すくなるため好ましくない。
[0036] 前記有機成分として、上記の成分の他、分散剤、シランカップリング剤、粘着性付 与剤、レべリング剤、安定剤、消泡剤などの各種添加剤を添加してもよい。
[0037] 本発明の膜形成材料層は、前記無機粉体と前記有機成分との体積比率が、有機 成分/無機粉体 =0. 05-0. 6であること力 S必要であり、好ましくは 0. 07-0. 55、 特に好ましくは 0. 07-0. 5である。有機成分の体積比率が 0. 05未満の場合には、
膜形成材料層をシート状に形成することが困難になる。また、たとえシート状に形成 できたとしても、膜形成材料層に可とう性を十分付与できず、無機粉体の分散性も悪 くなるため、ガラス基板上に膜形成材料層を均一に転写できなくなる。一方、有機成 分の体積比率が 0. 6を超える場合には、膜形成材料層を焼成した際に電極脇に大 気泡が発生しやすくなる。
[0038] 無機粉体と有機成分との体積比率の算出は以下の方法で行う。
[0039] 有機成分の体積比率を算出するためには用いる材料の比重が必要となる。無機粉 体の比重は、無機粉体を入手した際のカタログデータや試験成績表などに一般的に 記載されて ヽるものを用いても良 ヽし、無機粉体を溶融させてガラスの固形物を作製 し、その体積と質量を一般的な方法で計測することにより算出しても良い。有機成分 の比重についても、入手した際のカタログデータや試験成績表などに一般的に記載 されて 、るものを用いても良 、し、その体積と質量を一般的な方法で計測することに より算出しても良い。
[0040] 用いる材料の重量部数は比重の値により体積部数に変換することができる。例えば 、無機粉体 100重量部で比重が 5であれば 20体積部となり、比重が 2であれば 50体 積部となる。ノインダ榭脂、可塑剤又は分散剤等の有機成分についても同様であり、 有機成分の含有量が 10重量部で比重が 1であれば 10体積部となる。このように比重 を利用して体積部数を算出する。得られた無機粉体の体積部数に対する有機成分 の体積部数の割合を体積比率とする。具体的には、無機粉体 100重量部 (比重 5)に 対して有機成分 20重量部 (比重 1)であれば、無機粉体 20体積部に対して有機成分 20体積部となり、体積比率は、有機成分 Z無機粉体 = 20Z20= 1となる。
[0041] 粘弾性層は、誘電体形成シートに柔軟性を付与して、誘電体形成シートの転写性 を向上させる機能と、膜形成材料層をガラス基板上に保持させる機能とを有する層で ある。
[0042] 粘弾性層を形成するための粘弾性榭脂組成物は特に制限されず、例えば、アタリ ル系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の各種 粘着剤 (感圧性接着剤)や、常温では粘着性を示さな!/ヽが加熱により粘着性を示す 感熱性接着剤を使用することができる。
[0043] アクリル系粘着剤はアクリル系ポリマーをベースポリマーとしており、該アクリル系ポ リマーに使用されるモノマーとしては、各種 (メタ)アクリル酸アルキルを使用できる。 例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、ェチルエステ ノレ、プロピノレエステノレ、ブチノレエステノレ、 2—ェチノレへキシノレエステノレ、イソォクチノレ エステル、イソノ-ルエステル、イソデシルエステル、ドデシルエステル、ラウリルエス テル、トリデシルエステル、ペンタデシルエステル、へキサデシルエステル、ヘプタデ シルエステル、ォクタデシルエステル、ノナデシルエステル、エイコシルエステル等の 炭素数 1〜20アルキルエステル)を例示でき、これらを単独もしくは組合せて使用で きる。
[0044] また、前記 (メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、(メタ)アクリル酸、ィタコン酸 等のカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシェチル、(メタ)アクリル酸 ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含有単量体; N—メチロールアクリルアミド等の アミド基含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシァノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸 グリシジル等のエポキシ基含有単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン 、 aーメチルスチレン等のスチレン系単量体などを共重合モノマーとして用いることが できる。なお、アクリル系ポリマーの重合法は特に制限されず、溶液重合、乳化重合 、懸濁重合、 UV重合などの公知の重合法を採用できる。
[0045] ゴム系粘着剤のベースポリマーとしては、たとえば、天然ゴム、イソプレン系ゴム、ス チレン ブタジエン系ゴム、再生ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、さらにはスチレンーィ ソプレン一スチレン系ゴム、スチレン一ブタジエン一スチレン系ゴム等があげられる。
[0046] シリコーン系粘着剤のベースポリマーとしては、たとえば、ジメチノレポリシロキサン、 ジフエ-ルポリシロキサン等があげられる。
[0047] 感熱性接着剤のベースポリマーとしては、たとえば、セルロース榭脂、エチレン 酢 酸ビュル共重合体、ポリビュルアルコール、プチラール榭脂、ポリエステル榭脂、ポリ エチレン榭脂、ポリプロピレン榭脂、ブタジエン スチレン共重合体等が挙げられる。
[0048] 前記粘着剤には、架橋剤を添加することができる。架橋剤としては、ポリイソシァネ ート化合物、ポリアミンィ匕合物、メラミン榭脂、尿素樹脂、エポキシ榭脂等があげられ る。さらに前記粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を適宜に使用することもできる。
[0049] 焼成時にガラス基板と粘弾性層との密着性を向上させるために、粘着剤に前記ガ ラス粉末を添加してもよい。ガラス粉末の添加量は、ベースポリマー 100重量部に対 して 1〜280重量部程度であり、好ましくは 2〜250重量部である。
[0050] 粘弾性層は、膜形成材料層と同時に焼成され、熱分解により完全に消失させる必 要がある。そのため、粘弾性榭脂組成物の熱分解性は焼成後の誘電体層の特性に 影響を及ぼす傾向にある。本発明において、粘弾性榭脂組成物の熱分解性の程度 は特に制限されるものではないが、 400°Cでの重量減少率力 0%〜99%であること が好ましい。
[0051] 本発明の誘電体形成シート及び転写シートの製造方法は特に制限されないが、例 えば、まず無機粉体、バインダ榭脂等の有機成分及び溶剤を含有する無機粉体含 有榭脂組成物を支持フィルム上に塗布し、溶剤を乾燥除去して膜形成材料層を形 成する。その後、膜形成材料層上に直接、粘着剤 (接着剤)を塗布し、乾燥して粘弾 性層を形成することにより転写シートを製造することができる (直写法)。また、剥離ラ イナに粘着剤 (接着剤)を塗布し、乾燥して形成した粘弾性層を膜形成材料層に転 写して積層してもよい (転写法)。また、保護フィルムに粘着剤 (接着剤)を塗布し、乾 燥して形成した粘弾性層を膜形成材料層に貼り合せてもよ!ヽ。
[0052] 転写シートを構成する支持フィルムは、耐熱性及び耐溶剤性を有すると共に可とう 性を有する榭脂フィルムであることが好まし 、。支持フィルムが可とう性を有することに より、ロールコーターなどによってペースト状の無機粉体含有榭脂組成物を塗布する ことができ、膜形成材料層をロール状に巻き取った状態で保存し、供給することがで きる。
[0053] 支持フィルムを形成する榭脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ ステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール 、ポリ塩化ビュル、ポリフルォロエチレンなどの含フッ素榭脂、ナイロン、セルロースな どを挙げることができる。
[0054] 支持フィルムの厚さは特に制限されないが、 25-100 μ m程度であることが好まし い。
[0055] 支持フィルムは、少なくとも膜形成材料層と接触する側の面上に粘着処理が施され て!ヽることが好ま ヽ。本発明の膜形成材料層はバインダ榭脂等の有機成分の含有 量が少ないため、支持フィルムと膜形成材料層との密着性が不足しやすい傾向にあ る。そのため、転写シートの切断時に支持フィルムが局部的に剥がれたり、膜形成材 料層の端部が欠けて破片が飛散する場合がある。支持フィルムの膜形成材料層と接 触する側の面上に粘着処理を施すことにより、支持フィルムの剥がれや膜形成材料 層の破片の飛散を防止することができる。
[0056] 粘着処理に用いられる粘着剤としては、粘弾性層を形成するための粘弾性榭脂組 成物と同様の材料、例えば、アクリル系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着 剤、及びシリコーン系粘着剤等の各種粘着剤 (感圧性接着剤)を使用することができ る。ただし、転写するために用いられる支持フィルムの機能として、膜形成材料層から 容易に剥離可能であることが求められることから、弱粘着性の粘着剤を用いることが 好ましい。
[0057] また、支持フィルムと膜形成材料層との密着性が十分な場合には、支持フィルムの 表面に剥離処理が施されていることが好ましい。それにより、膜形成材料層をガラス 基板上に転写する工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる 。支持フィルムと膜形成材料層との密着性は、膜形成材料層中のバインダ榭脂の含 有量とバインダ榭脂の物性により適宜調整される。
[0058] 無機粉体含有榭脂組成物を支持フィルム上に塗布する方法としては、例えば、ダラ ビア、キス、コンマなどのロールコーター、スロット、ファンテンなどのダイコーター、ス クイズコーター、カーテンコーターなどの塗布方法を採用することができる力 支持フ イルム上に均一な塗膜を形成できれば 、かなる方法でもよ 、。
[0059] 塗布された無機粉体含有榭脂組成物の乾燥条件としては、例えば、 100〜150°C で 3〜 10分間程度である。
[0060] 膜形成材料層の厚さ (乾燥膜厚)は、無機粉体の含有率、パネルの種類やサイズ などによっても異なる力 10〜200 mであることが好ましぐさらに好ましくは 20〜1 00 mである。この厚さが 10 m未満である場合には、最終的に形成される誘電体 層の膜厚が不十分となり、所望の誘電特性を確保することができない傾向にある。通
常、この厚さが 20〜: LOO /z mであれば、大型のパネルに要求される誘電体層の膜厚 を十分に確保することができる。
[0061] また、膜形成材料層の膜厚のばらつきは、誘電体層の厚さのばらつき、及び誘電 特性のばらつきの原因となり、 PDPにおける表示欠陥 (輝度ムラ)を生じる。高鮮明な 表示画像を得るためには、焼成後の誘電体層の膜厚公差が ± 5%以内であることが 必要である。
[0062] 粘弾性層の形成材料である粘着剤 (接着剤)を膜形成材料層、剥離ライナ又は保 護フィルム上に塗布する方法としては、前記塗布方法を採用することができる力 均 一な塗膜を形成できれば!/ヽかなる方法でもよ 、。
[0063] 粘弾性層の厚さ(乾燥膜厚)は、膜形成材料層を電極を有するガラス基板上に転写 するために必要とされる誘電体形成シートの柔軟性、粘着力等に応じて適宜決定さ れるが、 0. 5〜50 μ mであることが好ましぐより好ましくは 1〜30 μ mである。粘弹 性層の厚さが 0. 5 m未満の場合には、粘着力が十分でないため、誘電体形成シ ートをガラス基板に貼り合わせた際に剥がれや浮きが発生する傾向にある。また、誘 電体形成シートの可とう性が不十分となり、誘電体形成シートの転写性が低下する。 そのため、電極を有するガラス基板上に膜形成材料層を均一に形成することが困難 になる傾向にある。一方、粘弾性層の厚さが 50 mを超える場合には、焼成後にガ ラス基板上に有機成分が残存し、誘電体層形成基板の品質が低下する傾向にある。 また、粘弾性層の強度が低くなるため、誘電体形成シートをガラス基板に貼り合わせ る際に貼り合わせ位置がずれやすくなる傾向にある。
[0064] 粘弾性層の表面には保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムの形成材料として は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン などが挙げられる。保護フィルムでカバーされた転写シートは、ロール状に巻き取つ た状態で保存し、供給することができる。なお、保護フィルムの表面は離型処理が施 されていることが好ましい。保護フィルムの厚さは特に制限されないが、 25-100 ^ m程度であることが好ま U、。
[0065] 本発明の誘電体層形成基板の製造方法は、前記転写シートの誘電体形成シート を、粘弾性層と電極とが接触するように電極を有するガラス基板上に転写する転写ェ
程、及び転写された誘電体形成シートを焼成し、電極を有するガラス基板上に誘電 体層を形成する焼成工程を含む。
[0066] 本発明の他の誘電体層形成基板の製造方法は、電極を有するガラス基板上に粘 弾性層を転写し、該粘弾性層上に無機粉体と有機成分との体積比率が、有機成分 Z無機粉体 =0. 05〜0. 6である膜形成材料層を転写する転写工程、及び転写さ れた粘弾性層及び膜形成材料層を焼成し、電極を有するガラス基板上に誘電体層 を形成する焼成工程を含む。
[0067] また本発明の他の誘電体層形成基板の製造方法は、電極を有するガラス基板上 に粘弾性榭脂組成物を塗布し、乾燥して粘弾性層を形成する工程、該粘弾性層上 に無機粉体と有機成分との体積比率が、有機成分 Z無機粉体 =0. 05〜0. 6であ る膜形成材料層を転写する転写工程、及び粘弾性層と膜形成材料層とを焼成し、電 極を有するガラス基板上に誘電体層を形成する焼成工程を含む。
[0068] 前記ガラス基板としては、適切な電極が固定された前面又は背面ガラス基板が用 いられる。
[0069] 転写工程の具体例を以下に示すが、ガラス基板表面に誘電体形成シートが転写さ れて密着した状態にできれば、その方法は特に制限されるものではない。具体的に は、転写シートの保護フィルムを剥離した後、電極が固定されたガラス基板の表面に 、粘弾性層の表面を当接するように転写シートを重ね合わせ、この転写シートを加熱 ロール式のラミネーターなどにより熱圧着した後、誘電体形成シートから支持フィルム を剥離除去する。これにより、ガラス基板表面に粘弾性層と膜形成材料層とが転写さ れて密着した状態となる。また、上記と同様の方法で、粘弾性層又は膜形成材料層 を有する転写シートを用いて粘弾性層と膜形成材料層とをガラス基板表面等に 1層 ずつ転写してもよい。粘弾性層を有するガラス基板を用いることにより、バインダ成分 等の有機成分の含有量が少ない膜形成材料層であっても容易かつ精度よく転写す ることが可能になる。
[0070] 転写条件としては、例えば、ラミネーターの表面温度 25〜100°C、ロール線圧 0. 5 〜15kgZcm、移動速度 0. l〜5mZ分である力 これら条件に限定されるものでは ない。また、ガラス基板は予熱されていてもよぐ予熱温度は 50〜: LOO°C程度である
[0071] また、転写法の代わりに、電極を有するガラス基板上に粘弾性榭脂組成物を塗布し 、乾燥して粘弾性層を形成してもよい。粘弾性榭脂組成物をガラス基板上に塗布す る方法としては、前記塗布方法を採用することができるが、均一な塗膜を形成できれ ばいかなる方法でもよい。
[0072] 誘電体形成シート (粘弾性層 +膜形成材料層)の焼成工程の一例を以下に示すが 、誘電体形成シート中の無機粉体を焼結させ、ガラス基板上に誘電体層を形成でき ればその方法は特に制限されるものではない。具体的には、誘電体形成シートが積 層されたガラス基板を、 550〜650°C、好ましくは 570〜630°Cの高温雰囲気下に配 置することにより、膜形成材料層中の有機成分 (バインダ榭脂、各種の添加剤など) 及び粘弾性層が分解除去され、無機粉体 (ガラス粉末)が軟化、溶融して焼結する。 焼成時間は特に制限されないが、前記高温雰囲気下において 15〜90分であること が好ましい。 15分未満の場合には、膜形成材料層中の無機粉体が十分に溶融しな い恐れがあり、 90分を超える場合には、無機粉体中の金属成分が蒸発したり、結晶 化する恐れがあるため好ましくない。上記焼成工程により、電極を有するガラス基板 上には、無機焼結体 (ガラス焼結体)からなる誘電体層が形成され、誘電体層形成基 板が製造される。
[0073] 誘電体層の厚さは、使用する膜形成材料層の厚さよつて異なるが、 15〜50 /z m程 度である。
[0074] 本発明の誘電体層形成基板は、ガラス基板上の電極脇に大気泡が存在しな 、た め表示特性に優れており、特に PDPの前面ガラス基板の製造に好適に用いられる。 実施例
[0075] 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも のではない。
[0076] (重量平均分子量の測定)
ポリマーの重量平均分子量は、 GPC (ゲル'パーミエーシヨン'クロマトグラフィ)にて 測定し、標準ポリスチレンにより換算した。
GPC装置:東ソ一社製、 HLC-8220GPC
カラム:東ソ一社製、 TSKgel Super HZM— H、 H— RC、 HZ— H 流量: 0. 6ml/ mm
濃度: 0. 2wt%
注入量: 20 1
カラム温度: 40°C
溶離液: THF
[0077] (バインダ榭脂の重量減少率の測定)
重量減少率(%)の測定は、 TG— DTA測定装置(SSIテクノロジ一社製、 TG/D
TA220)を用い、常温から 400°Cまで 10°CZ分の条件で昇温し、 400°Cでの重量 値を測定して算出した。
[0078] 実施例 1
〔膜形成材料層の作成〕
B O— SiO —アルカリ金属酸化物—アルカリ土類金属酸化物系の無鉛ガラス成
2 3 2
分 (ガラスフリット、転移点: 480°C、軟ィ匕点: 600°C、比重: 2. 6) 100重量部、及びェ チルセルロース(比重:1. 1、重量減少率:93%) 8重量部を溶媒であるターピネオ一 ル (ヤスハラケミカル社製) 35重量部中に加え、デイスパー(回転プロペラ式撹拌機) で予備分散した後、 3本ロール分散機を用いて本分散を行い、均一に混合された無 機粉体含有榭脂組成物を調製した。ポリエチレンテレフタレート (PET)フィルムに剥 離処理を施した支持フィルム上に、調製した無機粉体含有榭脂組成物をロールコー タを用いて塗布し、塗膜を 150°Cで 5分間乾燥することにより溶剤を除去して膜形成 材料層 (厚さ: 30 m)を形成した。その後、膜形成材料層上に保護フィルム (PET) をカバーしてフィルム付き膜形成材料層を作成し、それをロール状に巻き取った。膜 形成材料層における無機粉体と有機成分との体積比率は、有機成分 Z無機粉体 = 0. 19であった。
[0079] 〔アクリル系榭脂溶液 Aの調製〕
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口フラスコ に、 2—ェチルへキシルアタリレート/ェチルアタリレート/メチルメタタリレート/ヒド ロキシェチルアタリレート(重量比 = 28Z64Z4Z4)、重合開始剤としてベンゾィル
パーオキサイド、及びトルエンを仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入し、 フラスコ内の液温を 70°C付近に保って約 8時間重合反応を行 、、固形分 50重量% のアクリル系榭脂溶液 Aを調製した。得られたアクリル系榭脂 Aの重量平均分子量は 50万であった。
[0080] 〔粘弾性層の作成〕
アクリル系榭脂溶液 Aに架橋剤(日本ポリウレタン社製、コロネート L) 2. 0重量部を 添加してアクリル系粘着剤を調製した。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに 剥離処理を施した剥離ライナ (保護フィルム)上に、調製したアクリル系粘着剤をロー ルコータを用いて塗布し、塗膜を 80°Cで 3分間乾燥することにより溶剤を除去して粘 弾性層 (厚さ: 5 m)を形成した。その後、粘弾性層上に保護フィルム (PET)をカバ 一してフィルム付き粘弾性層を作成し、それをロール状に巻き取った。
[0081] 〔転写シートの作製〕
前記フィルム付き膜形成材料層から保護フィルムを剥離した。また、前記フィルム付 き粘弾性層から保護フィルムを剥離した。そして、剥離面の膜形成材料層と粘弾性 層とを当接するように重ね合わせ、ロール式ラミネータを用いて圧着し、支持フィルム 、膜形成材料層、粘弾性層及び保護フィルム力もなる転写シートを作製した。
[0082] 〔誘電体層形成基板の作製〕
前記転写シートの保護フィルムを剥離後、転写シートの粘弾性層表面をパネル用 ガラス基板の表面 (バス電極の固定面)に当接するように重ね合わせ、加熱ロール式 ラミネータを用いて熱圧着した。圧着条件は、加熱ロールの表面温度 80°C、ロール 線圧 lkgZcm、ロール移動速度 lmZ分であった。熱圧着処理後、膜形成材料層か ら支持フィルムを剥離除去すると、ガラス基板表面に粘弾性層及び膜形成材料層 ( 誘電体形成シート)が転写されて密着した状態になっていた。粘弾性層及び膜形成 材料層が転写されたガラス基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を室温から 600°C まで 10°CZ分の昇温速度で昇温し、 600°Cの温度雰囲気下で 60分間維持すること により、ガラス基板表面にガラス焼結体力ゝらなる誘電体層(厚さ: 25 m)を形成し、 誘電体層形成基板を作製した。
[0083] 実施例 2
〔アクリル系榭脂溶液 Bの調製〕
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口フラスコ にラウリルメタタリレート、重合開始剤としてベンゾィルパーオキサイド、及び酢酸ェチ ルを仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を 70°C付 近に保って約 8時間重合反応を行 、、固形分 50重量%のアクリル系榭脂溶液 Bを調 製した。得られたアクリル系榭脂 Bの重量平均分子量は 100万であった。
[0084] 実施例 1の粘弾性層の形成にぉ 、て、アクリル系榭脂溶液 Aの代わりに、アクリル 系榭脂溶液 Bを用 ヽた以外は、実施例 1と同様の方法で粘弾性層 (厚さ: 4 m)を形 成した。そして、該粘弾性層を用いた以外は実施例 1と同様の方法で誘電体層形成 基板を作製した。
[0085] 実施例 3
実施例 1の膜形成材料層の形成にお!、て、ェチルセルロース 8重量部の代わりに、 アクリル系榭脂 A (比重: 1. 0、重量減少率: 88%)4重量部を用いた以外は実施例 1 と同様の方法で膜形成材料層(厚さ: 28 m)を形成した。膜形成材料層における無 機粉体と有機成分との体積比率は、有機成分 Z無機粉体 =0. 10であった。そして 、該膜形成材料層を用いた以外は実施例 1と同様の方法で誘電体層形成基板を作 製した。誘電体層の厚さは 25 μ mであった。
[0086] 比較例 1
〔アクリル系榭脂 Cの合成〕
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口フラスコ に 2—ェチルへキシルメタタリレート(2—EHMA)、 2—ヒドロキシプロピルメタタリレー HHPMA) (重量比: 2— EHMAZHPMA=90ZlO)、重合開始剤としてべンゾィ ルパーオキサイド、及びトルエンを仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入し 、フラスコ内の液温を 75°C付近に保って約 8時間重合反応を行い、アクリル系榭脂 C (重量平均分子量 12万、比重: 1. 0、重量減少率: 99%)を合成した。
[0087] 〔転写シートの作製〕
B O— SiO —アルカリ金属酸化物—アルカリ土類金属酸化物系の無鉛ガラス成
2 3 2
分 (ガラスフリット、転移点: 480°C、軟ィヒ点: 600°C、比重: 2. 6) 100重量部、及びァ
クリル系榭脂 C35重量部、可塑剤としてトリメリット酸トリオクチルエステル (比重: 0. 9 7)を 5重量部、溶媒として a タービネオール (ヤスハラケミカル社製) 35重量部を 混合し、デイスパー(回転プロペラ式撹拌機)で予備分散した後、 3本ロール分散機を 用いて本分散を行い、均一に混合された無機粉体含有榭脂組成物を調製した。ポリ エチレンテレフタレート(PET)フィルムに剥離処理を施した支持フィルム上に、調製 した無機粉体含有榭脂組成物をロールコータを用いて塗布し、塗膜を 150°Cで 5分 間乾燥することにより溶剤を除去して膜形成材料層 (厚さ: 51 m)を形成した。その 後、膜形成材料層上に保護フィルム (PET)をカバーして転写シートを作製した。膜 形成材料層における無機粉体と有機成分との体積比率は、有機成分 Z無機粉体 = 1. 04であった。
[0088] 〔誘電体層形成基板の作製〕
前記転写シートの保護フィルムを剥離後、転写シートの膜形成材料層表面をパネ ル用ガラス基板の表面 (バス電極の固定面)に当接するように重ね合わせ、加熱ロー ル式ラミネータを用いて熱圧着した。圧着条件は、加熱ロールの表面温度 80°C、口 一ル線圧 lkgZcm、ロール移動速度 lmZ分であった。熱圧着処理後、膜形成材 料層から支持フィルムを剥離除去してガラス基板上に膜形成材料層を転写した。膜 形成材料層が転写されたガラス基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を室温から 6 00°Cまで 10°CZ分の昇温速度で昇温し、 600°Cの温度雰囲気下で 60分間維持す ることにより、ガラス基板表面にガラス焼結体力 なる誘電体層(厚さ: 25 m)を形成 し、誘電体層形成基板を作製した。
[0089] 比較例 2
〔転写シートの作製〕
PbO -B O — SiO系の鉛含有ガラス成分 (ガラスフリット、転移点: 410°C、軟ィ匕
2 3 2
点: 480°C、比重: 5. 1) 100重量部、及びアクリル系榭脂 C8重量部、可塑剤として プロピレングリコールモノォレエート(比重: 0. 87)を 4重量部、溶媒として α—ターピ ネオール (ヤスハラケミカル社製) 35重量部を混合し、デイスパー(回転プロペラ式撹 拌機)で予備分散した後、 3本ロール分散機を用いて本分散を行い、均一に混合さ れた無機粉体含有榭脂組成物を調製した。ポリエチレンテレフタレート (PET)フィル
ムに剥離処理を施した支持フィルム上に、調製した無機粉体含有榭脂組成物をロー ルコータを用いて塗布し、塗膜を 150°Cで 5分間乾燥することにより溶剤を除去して 膜形成材料層 (厚さ: 40 m)を形成した。その後、膜形成材料層上に保護フィルム( PET)をカバーして転写シートを作製した。膜形成材料層における無機粉体と有機 成分との体積比率は、有機成分 Z無機粉体 =0. 64であった。
[0090] 〔誘電体層形成基板の作製〕
前記転写シートの保護フィルムを剥離後、比較例 1と同一条件で膜形成材料層を ガラス基板に熱圧着したが、膜形成材料層の転写性が不十分であり、ガラス基板上 の電極脇に気泡を嚙んで ヽた。
[0091] 比較例 3
〔転写シートの作製〕
B O— SiO —アルカリ金属酸化物—アルカリ土類金属酸化物系の無鉛ガラス成
2 3 2
分 (ガラスフリット、転移点: 480°C、軟ィヒ点: 600°C、比重: 2. 6) 100重量部、及びァ クリル系榭脂 C17重量部、可塑剤としてプロピレングリコールモノォレエート(比重: 0 . 87)を 4重量部、溶媒として a タービネオール (ヤスハラケミカル社製) 70重量部 を混合し、デイスパー(回転プロペラ式撹拌機)で予備分散した後、 3本ロール分散機 を用いて本分散を行い、均一に混合された無機粉体含有榭脂組成物を調製した。ポ リエチレンテレフタレート (PET)フィルムに剥離処理を施した支持フィルム上に、調製 した無機粉体含有榭脂組成物をロールコータを用いて塗布し、塗膜を 150°Cで 5分 間乾燥することにより溶剤を除去して膜形成材料層 (厚さ: 39 m)を形成した。その 後、膜形成材料層上に保護フィルム (PET)をカバーして転写シートを作製した。膜 形成材料層における無機粉体と有機成分との体積比率は、有機成分 Z無機粉体 = 0. 56であった。
[0092] 〔誘電体層形成基板の作製〕
前記転写シートの保護フィルムを剥離後、比較例 1と同一条件で膜形成材料層を ガラス基板に熱圧着したが、膜形成材料層の密着性が不十分であり、ガラス基板か ら膜形成材料層が容易に剥離して転写することができな力つた。
[0093] <電極脇の大気泡の評価 >
実施例及び比較例で作製した誘電体層形成基板を用いて、電極部分の断面を走 查型電子顕微鏡 (SEM、島津製作所社製、加速電圧: 1. 5kV)により観察し、電極 脇に 10 m以上の大気泡を少なくとも 1つ有する電極の数を数え、全電極に対する 割合(%)を求めた。結果を表 1に示す。
[0094] [表 1]
[0095] 実施例 4
〔アクリル系榭脂溶液 Dの調製〕
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口フラスコ に、 2—ェチルへキシルアタリレート Zヒドロキシェチルアタリレート(重量比 = 95Z5) 、重合開始剤としてベンゾィルパーオキサイド、及びトルエンを仕込み、緩やかに撹 拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を 70°C付近に保って約 8時間重合 反応を行い、固形分 50重量%のアクリル系榭脂溶液 Dを調製した。得られたアクリル 系榭脂 Dの重量平均分子量は 50万であった。
[0096] 〔支持フィルムの作製〕
アクリル系榭脂 D100重量部に対して架橋剤(日本ポリウレタン社製、コロネート L) 4重量部をアクリル系榭脂溶液 Dに添加してアクリル系粘着剤を調製した。該粘着剤 を支持フィルム(PETフィルム)上にロールコータを用いて塗布し、塗膜を 100°Cで 3 分間乾燥して粘着剤層 (厚さ 20 μ m)を有する支持フィルムを作製した。
[0097] 〔転写シートの作製〕
実施例 1にお!、て、剥離処理を施した支持フィルムの代わりに前記粘着処理を施し た支持フィルムを用いた以外は実施例 1と同様の方法で転写シートを作製した。
[0098] <転写シートの切断面の評価 >
実施例 1及び実施例 4で得られた転写シートを支持フィルム上カゝら NTカッターを用 いて切断した。切断端面を目視で観察し、支持フィルムと膜形成材料層との密着性 を評価した。その結果、実施例 4の転写シートの切断端部では支持フィルムの剥がれ が全くなかったのに対して、実施例 1の転写シートの切断端部では支持フィルムの剥 がれが僅か〖こ見られた。
Claims
[1] 無機粉体と有機成分との体積比率が、有機成分 Z無機粉体 =0. 05〜0. 6である 膜形成材料層の片面に粘弾性層が積層されている誘電体形成シート。
[2] 前記無機粉体は、鉛成分を含有しな!ヽ無鉛ガラス成分である請求項 1記載の誘電体 形成シート。
[3] 前記無機粉体は、鉛成分の含有率が小さ!、低鉛ガラス成分である請求項 1記載の誘 電体形成シート。
[4] 請求項 1記載の誘電体形成シートの膜形成材料層の他面側に支持フィルムを有する 転写シート。
[5] 前記支持フィルムは、少なくとも膜形成材料層と接触する側の面上に粘着処理が施 されて 、る請求項 4記載の転写シート。
[6] 粘弾性層上に保護フィルムが設けられて ヽる請求項 4記載の転写シート。
[7] 無機粉体と有機成分との体積比率が、有機成分 Z無機粉体 =0. 05〜0. 6である 膜形成材料層の片面に粘弾性層が積層されている誘電体形成シートを、該粘弾性 層と電極とが接触するように電極を有するガラス基板上に転写する転写工程、及び 転写された誘電体形成シートを焼成し、電極を有するガラス基板上に誘電体層を形 成する焼成工程を含む誘電体層形成基板の製造方法。
[8] 電極を有するガラス基板上に粘弾性層を転写し、該粘弾性層上に無機粉体と有機 成分との体積比率が、有機成分 Z無機粉体 =0. 05〜0. 6である膜形成材料層を 転写する転写工程、及び転写された粘弾性層及び膜形成材料層を焼成し、電極を 有するガラス基板上に誘電体層を形成する焼成工程を含む誘電体層形成基板の製 造方法。
[9] 電極を有するガラス基板上に粘弾性榭脂組成物を塗布し、乾燥して粘弾性層を形成 する工程、該粘弾性層上に無機粉体と有機成分との体積比率が、有機成分 Z無機 粉体 =0. 05〜0. 6である膜形成材料層を転写する転写工程、及び粘弾性層と膜 形成材料層とを焼成し、電極を有するガラス基板上に誘電体層を形成する焼成工程 を含む誘電体層形成基板の製造方法。
[10] 請求項 7〜9の ヽずれかに記載の方法によって製造される誘電体層形成基板。
[11] 請求項 10記載の誘電体層形成基板を用いたプラズマディスプレイパネル。
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