JP2006299008A - 無機粒子含有組成物、転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

無機粒子含有組成物、転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 表面平滑性に優れたPDPの構成部材を好適に形成することができる無機粒子含有組成物および転写フィルムを提供すること。
【解決手段】
(A)ガラス粉末を含む無機粒子と、(B)下記式(1)
【化8】
Figure 2006299008

(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキル基を示す。nは30〜10,000を示す。)
で示される構造を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1〜4の範囲にある(メタ)アクリル樹脂とを含有することを特徴とする無機粒子含有組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、無機粒子含有組成物、転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
近年、平板状の蛍光表示体としてプラズマディスプレイが注目されている。図2は交流型のプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」ともいう)の断面形状を示す模式図である。図2において、1および2は対向配置されたガラス基板、3は隔壁であり、ガラス基板1、ガラス基板2および隔壁3によりセルが区画形成されている。4はガラス基板1に固定された透明電極、5は透明電極4の抵抗を下げる目的で該透明電極4上に形成されたバス電極、6はガラス基板2に固定されたアドレス電極、7はセル内に保持された蛍光物質、8は透明電極4およびバス電極5を被覆するようにガラス基板1の表面に形成された誘電体層、9はアドレス電極6を被覆するようにガラス基板2の表面に形成された誘電体層、10は、たとえば酸化マグネシウムからなる保護膜である。
なお、カラーPDPにおいては、コントラストの高い画像を得るため、ガラス基板と誘電体層との間に、カラーフィルター(赤色・緑色・青色)やブラックマトリックスなどを設けることがある。
このようなPDPの誘電体層の製造方法としては、(1)ガラスペーストを基板上にスクリーン印刷して、これを焼成するスクリーン印刷法、(2)支持フィルム上にガラスペーストを塗布して形成した膜形成材料層を基板上に転写し、これを焼成する転写法などが知られている。
しかしながら、前記スクリーン印刷法では、パネルの大型化および高精細化に伴い、膜厚均一性の要求が非常に厳しくなり、従来のスクリーン印刷では対応できないという問題があった。
これに対して、前記転写法では、膜厚の均一性および表面の均一性に優れた誘電体層を形成することができる。しかしながら、従来のアクリル樹脂を含有する無機粒子含有組成物(ガラスペースト)を支持フィルム上に塗布して形成される膜形成材料層は、十分な可撓性を示さなかった。また、得られる誘電体層に、柚子肌と呼ばれる表面の粗さが認められるという問題があった。
特開2004−277704号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、表面平滑性に優れ、高い光透過率を有するガラス焼結体(たとえば、PDPを構成する誘電体層)を好適に形成することができる無機粒子含有組成物を提供することを目的とする。さらに、膜形成材料層の可撓性や、あるいは転写性(基板に対する加熱接着性)に優れた転写フィルムを製造することができる無機粒子含有組成物を提供することを目的とする。
また本発明は、表面平滑性に優れ、膜厚の大きい誘電体層や、大型のパネルに要求される誘電体層、膜厚の均一性に優れた誘電体層、あるいは表面平滑性に優れた誘電体層を効率的に形成することができるPDPの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、結着樹脂として使用する(メタ)アクリル樹脂の分子量分布が、得られるPDPの誘電体層の表面平滑性に多大な影響を及ぼすことを見出し、その結果、ガラス粉末と分子量分布が狭い(メタ)アクリル樹脂とを含有する組成物を用いることによって、表面平滑性に優れた部材を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る無機粒子含有組成物は、(A)ガラス粉末を含む無機粒子と、(B)下記式(1)
Figure 2006299008
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキル基を示す。nは30〜10,000を示す。)
で示される構造を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1〜4の範囲にある(メタ)アクリル樹脂とを含有することを特徴とする。
本発明に係る無機粒子含有組成物は、(C)下記式(2)
Figure 2006299008
(式中、R3、R4およびR5のうちの1つの基は−CO−Aで表される基を示し、残りの
2つの基はそれぞれ独立に水素原子、アセチル基またはプロパノイル基を示す。Aは炭素数5〜20のアルキル基を示す。)
で示される化合物を、さらに含有することが好ましい。
前記無機粒子(A)は、軟化点400〜600℃のガラス粉末であることが好ましい。
本発明に係る転写フィルムは、上記無機粒子含有組成物から得られる膜形成材料層を有することを特徴とする。
本発明に係るPDPの製造方法は、上記無機粒子含有組成物から得られる膜形成材料層を基板上に形成し、該膜形成材料層を焼成することにより、前記基板上に誘電体層を形成する工程を有することを特徴とする。
上記PDPの製造方法において、支持フィルム上に上記無機粒子含有組成物から得られる膜形成材料層を形成して支持フィルム/膜形成材料層からなる転写フィルムを作製し、該転写フィルムの膜形成材料層を基板上に転写することにより、前記基板上に膜形成材料層を形成することが好ましい。
本発明によると、表面平滑性に優れ、高い光透過率を有するガラス焼結体(たとえば、PDPを構成する誘電体層)を好適に形成することができる。また、膜形成材料層の可撓性や、転写性(基板に対する加熱接着性)、柔軟性、あるいは取扱性(ハンドリング性)に優れた転写フィルムを得ることができる。さらに、膜厚の大きい誘電体層、大型のパネルに要求される誘電体層、膜厚の均一性に優れた誘電体層、あるいは表面平滑性に優れた誘電体層を効率的に形成することができる。
以下、本発明に係る無機粒子含有組成物(以下、単に「組成物」ともいう)について詳細に説明する。
本発明に係る組成物は、ガラス粉末を含む無機粒子(A)、特定の分子量分布および特定の構造を有する(メタ)アクリル樹脂(B)を必須成分とし、必要に応じて可塑剤として特定の構造を有する化合物を含有する。
(A)無機粒子
本発明に用いられる無機粒子(A)としては、ガラス粉末が挙げられる。このガラス粉末の軟化点は400〜600℃の範囲内にあることが好ましい。ガラス粉末の軟化点が上記範囲にあると、本発明の組成物から得られる膜形成材料層の焼成工程において、(メタ)アクリル樹脂などの有機成分が完全に分解除去された後、ガラス粉末が溶融するため、形成される誘電体層中に有機成分が残留せず、その結果、誘電体層の着色や光透過率の低下が発生しない。さらに、600℃以下の温度で焼成できるため、ガラス基板に歪みなどが発生しない。
好ましいガラス粉末としては、(1)酸化鉛、酸化ホウ素および酸化ケイ素の混合物(PbO−B23−SiO2系)、(2)酸化亜鉛、酸化ホウ素および酸化ケイ素の混合物
(ZnO−B23−SiO2系)、(3)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素および酸化ア
ルミニウムの混合物(PbO−B23−SiO2−Al23系)、(4)酸化鉛、酸化亜
鉛、酸化ホウ素および酸化ケイ素の混合物(PbO−ZnO−B23−SiO2系)など
を挙げることができる。
また、誘電体層を形成する場合には、無機粒子(A)として、上記ガラス粉末と、Ag、Au、Al、Ni、Ag−Pd合金、CuおよびCrなどの金属粒子とを併用してもよい。この場合、金属粒子は、無機粒子(A)全量に対して、通常10質量%以下、好ましくは0.1〜5質量%の範囲で使用することが望ましい。
(B)(メタ)アクリル樹脂
本発明に用いられる(メタ)アクリル樹脂(B)は、上記式(1)で示される構造を有し、好ましくは単独重合体である。上記式(1)中、R1は水素原子またはメチル基であ
り、R2は炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数3〜8のアルキル基である。
また、nは10,000〜1,000,000である。この(メタ)アクリル樹脂(B)は、本発明に係る組成物から得られる膜形成材料層において、結着樹脂として作用し、基板に対する優れた(加熱)接着性を発現する。特に、結着樹脂として(メタ)アクリル樹脂を使用すると、後述する転写フィルムは、優れた膜形成材料層転写性(基板への加熱接着性)を示す。
本発明に用いられる(メタ)アクリル樹脂(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1〜4の範囲、好ましくは1.5〜3の範囲にある。分子量分布が上記範囲にあると、適度な粘着性を有し、本発明に係る組成物から得られる膜形成材料層において上記無機粒子(A)を結着させることができ、しかも、膜形成材料層を比較的低温(たとえば400℃〜600℃)で焼成処理しても短時間(たとえば5〜30分)で均一かつ完全に酸化除去することができる。その結果、上記無機粒子(A)を均一に融着させることができ、表面平滑性に優れた誘電体層を形成することができる。一方、上記分子量分布が上記上限を超えると、燃焼温度域が広がり、ガラスの溶融温度域に達しても微小の未燃焼有機物が一部残存することがある。この未燃焼有機物は、ガラスが溶融した段階でガラス層内に閉じ込められ、ガラス層中の溶存酸素やガラス組成中の酸素と反応して、燃焼ガス(COx)となる。この燃焼ガスは数ミクロンから数十ミクロンの径の泡となり、泡抜けとしてガラス層外に排出される際にガラス層表面に泡の軌跡が凹凸として残り、誘電体層の表面平滑性を悪化させるおそれがある。また、ガラス層内に残存した小泡は、ガラス層の光線透過率を低下させる等の影響を及ぼすことがある。その結果、誘電体層に要求される高い表面平滑性と透明性の確保が困難となることがある。
上記分子量分布を有する(メタ)アクリル樹脂は、懸濁重合により得ることができる。懸濁重合により(メタ)アクリル樹脂を調製すると、重合時に低分子量体の発生を抑えることができ、かつ、得られた重合溶液を塩または酸溶液により凝固させて固形物で回収することにより、未反応物や低分子量体等を完全に除去することができる。また、アニオン重合法を用いても、容易に狭分子量分布の重合体を得ることができる。さらに、得られた重合体を後処理するなどして、選択的に超高分子量体および低分子量体を除去し、分子量分布を特定の範囲に制御することができる。
また、本発明に用いられる(メタ)アクリル樹脂(B)は、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が好ましくは30,000〜500,000、より好ましくは50,000〜200,000であることが望ましい。重量平均分子量が上記範囲にあると、転写フィルムを形成した場合に、得られる膜形成材料層に適度な剛性と転写性を付与することができ、転写フィルムのハンドリング性を向上させることができる。また、カバーフィルムの剥離時や、膜形成材料層の折れ曲がり等によって膜形成材料層表面に筋や凹みが発生することを防止することができる。
上記(メタ)アクリル樹脂(B)として、具体的には、下記式(3)で表される(メタ)アクリレート化合物の単独重合体が挙げられる。
Figure 2006299008
上記式(3)中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数3〜8のアルキル基である。
上記式(3)で表される(メタ)アクリレート化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アク
リレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
これらの(メタ)アクリレート化合物うち、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、(メタ)アクリル樹脂(B)としては、ダイヤナールBR1122(三菱レーヨン(株)製、Mw=150,000、Mw/Mn=2.0)など、市販されている分子量分布の小さい(メタ)アクリル樹脂を用いることもできる。
本発明の組成物において、上記(メタ)アクリル樹脂(B)は、無機粒子(A)100重量部に対して、好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは10〜50重量部の範囲で含まれることが望ましい。(メタ)アクリル樹脂(B)の割合が上記範囲にあると、本発明の組成物から得られる膜形成材料層中に無機粒子(A)を確実に結着保持することができ、また、短時間での焼成が可能となり、形成される誘電体層などの焼結体が十分な強度や膜厚を有する。
(C)可塑剤
本発明では、下記式(2)
Figure 2006299008
で示される化合物(以下、「化合物(C)」という。)を、可塑剤(以下、「可塑剤(C)」という)として用いることができる。
上記式(2)中、R3、R4およびR5のうちの1つの基は−CO−Aで表される基であ
り、残りの2つの基はそれぞれ独立に水素原子、アセチル基またはプロパノイル基である。Aは炭素数5〜20のアルキル基、好ましくは炭素数10〜18のアルキル基である。アルキル基Aの炭素数が上記範囲にある化合物(C)は、可塑剤として十分に機能し、さらに、無機粒子含有組成物が溶剤を含む場合には、この溶剤に対して良好な溶解性を示し、膜形成材料層は良好な可撓性を示す。
本発明の組成物が上記化合物(C)を含有すると、形成される膜形成材料層の柚子肌の発生を防止することができ、優れた表面平滑性を発現させることができる。また、後述する転写フィルムを形成した場合には、これを折り曲げてもこの転写フィルムの膜形成材料層の表面に亀裂(ひび割れ)が微小なものでも発生せず、さらに、この転写フィルムは柔軟性に優れ、ロール状に容易に巻き取ることもできる。
しかも、この化合物(C)は、熱により容易に分解されるため、膜形成材料層を焼成することにより分解除去され、この化合物(C)を使用しても得られる誘電体層の光透過率
は低下しない。
具体的なアルキル基Aとしては、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基(ラウリル基)、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基(ステアリル基)、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などが挙げられる。これらのアルキル基のうち、n−ドデシル基が特に好ましい。
上述したように、上記化合物(C)は、R1、R2およびR3のうちのいずれか1つの基
が−CO−Aで表される基であるが、R1またはR3が−CO−Aで表される基であることが特に好ましい。また、残りの2つの基は、それぞれ独立に、水素原子、アセチル基またはn−プロパノイル基であるが、これらのうち、水素原子およびアセチル基が好ましく、特に、残りの2つの基のうちの少なくとも1つの基がアセチル基であることが好ましい。
具体的な化合物(C)としては、グリセリン−1−アセチル−3−ラウレート、グリセリン−2−アセチル−1−ラウレート、グリセリン−1,2−ジアセチル−3−ラウレート、グリセリン−1−アセチル−3−モノオレート、グリセリン−2−アセチル−1−モノオレート、グリセリン−1,2−ジアセチル−3−モノオレート、グリセリン−1−アセチル−3−ステアレート、グリセリン−2−アセチル−1−ステアレート、グリセリン−1,2−ジアセチル−3−ステアレートなどが挙げられる。これらのうち、グリセリン−1,2−ジアセチル−3−ラウレート、グリセリン−1,2−ジアセチル−3−ステアレートなどが特に好ましい。
本発明の組成物において、上記化合物(C)は、無機粒子(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部の範囲で含まれることが望ましい。化合物(C)の割合が上記範囲にあると、本発明の組成物から得られる膜形成材料層は、優れた表面平滑性および可塑性を示し、さらに、好適な粘着性(タック)を示す。その結果、このような膜形成材料層を有する転写フィルムは取扱性に優れる。
(D)溶剤
本発明の組成物は、通常、溶剤(D)を含有する。ここで用いられる溶剤(D)は、無機粒子(A)との親和性および(メタ)アクリル樹脂(B)の溶解性が良好で、得られる組成物に適度な粘性を付与することができ、さらには乾燥によって容易に蒸発除去させる溶剤が好ましい。
このような溶剤(D)として、具体的には、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類などを挙げることができる。これらの溶剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物において、溶剤(D)は、組成物の粘度を好適な範囲に調整できるという観点から、無機粒子(A)100重量部に対して、好ましく40重量部以下、さらに好
ましくは5〜30重量部の範囲で含まれることが望ましい。
(E)シリル基含有化合物
本発明の組成物は、さらに必要に応じてシリル基含有化合物(E)を含有してもよい。シリル基含有化合物(E)を含有することによって、無機粒子(A)の分散安定性を向上させることができる。
本発明に用いられるシリル基含有化合物(E)としては、下記式(4)
Figure 2006299008
で表されるシリル基含有化合物(飽和アルキル基含有(アルキル)アルコキシシラン)を挙げることができる。
上記式(4)中、pは3〜20の整数、好ましくは4〜16の整数、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数、aは1〜3の整数である。pが上記範囲にあると、本発明の組成物から得られる膜形成材料層は十分な可撓性を示す。さらに、pが上記範囲にあるシリル基含有化合物(E)は、分解温度が比較的低く、後述するプラズマディスプレイの製造方法の焼成工程において、シリル基含有化合物(E)が完全に分解除去され、シリル基含有化合物(E)が残存することなく、誘電体層などの焼結体を形成することができる。その結果、たとえば、このシリル基含有化合物(E)を使用しても、誘電体層の光透過率は低下しない。
上記シリル基含有化合物(C)としては、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−エイコシルジメチルメトキシシランなどの飽和アルキルジメチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=1);
n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−エイコシルジエチルメトキシシランなどの飽和アルキルジエチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=2);
n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−エイコシルジプロピルメトキシシランなどの飽和アルキルジプロピルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=3);
n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−エイコシルジメチルエトキシシランなどの飽和アルキルジメチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=1);
n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−エイコシルジエチルエトキシシランなどの飽和アルキルジエチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=2);
n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−エイコシルジプロピルエトキシシランなどの飽和アルキルジプロピルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=3);
n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−エ
イコシルジメチルプロポキシシランなどの飽和アルキルジメチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=1);
n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−エイコシルジエチルプロポキシシランなどの飽和アルキルジエチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=2);
n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−エイコシルジプロピルプロポキシシランなどの飽和アルキルジプロピルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=3);
n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−エイコシルメチルジメトキシシランなどの飽和アルキルメチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=1);
n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−エイコシルエチルジメトキシシランなどの飽和アルキルエチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=2);
n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−エイコシルプロピルジメトキシシランなどの飽和アルキルプロピルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=3)
n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−エイコシルメチルジエトキシシランなどの飽和アルキルメチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=1);
n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−エイコシルエチルジエトキシシランなどの飽和アルキルエチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=2);
n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−エイコシルプロピルジエトキシシランなどの飽和アルキルプロピルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=3);
n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−エイコシルメチルジプロポキシシランなどの飽和アルキルメチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=1);
n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−エイコシルエチルジプロポキシシランなどの飽和アルキルエチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=2);
n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−エイコシルプロピルジプロポキシシランなどの飽和アルキルプロピルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=3);
n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−エイコシルトリメトキシシランなどの飽和アルキルトリメトキシシラン類(a=3,m=1);
n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−エイコシルトリエトキシシランなどの飽和アルキルトリエトキシシラン類(a=3,m=2);
n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−エイコシルトリプロ
ポキシシランなどの飽和アルキルトリプロポキシシラン類(a=3,m=3)などを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのシリル基含有化合物(E)うち、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシランなどが特に好ましい。
本発明の組成物において、シリル基含有化合物(E)は、無機粒子(A)100重量部に対して、好ましく5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下の範囲で含まれることが望ましい。シリル基含有化合物(E)の割合が上記範囲にあると、経時的に粘度を変化させることなく、本発明の組成物を保存することができ、さらには、シリル基含有化合物(E)同士の反応が起こらず、焼成後、シリル基含有化合物(E)は残留しない。
本発明の組成物には、さらに、必要に応じて、分散剤、粘着性付与剤、表面張力調整剤、安定剤、消泡剤などの各種添加剤を添加してもよい。
<無機粒子含有組成物>
本発明に係る無機粒子含有組成物は、必須成分として上記無機粒子(A)および(メタ)アクリル樹脂(B)を、好ましくは上記範囲の量で含有し、さらに必要に応じて、上記可塑剤(C)、シリル基含有化合物(D)および溶剤(E)を、好ましくは上記範囲の量で含有する。
このような無機粒子含有組成物の具体例としては、無機粒子(A)として酸化鉛50〜80重量%、酸化ホウ素5〜20重量%および酸化ケイ素10〜30重量%からなる混合物(ガラス粉末)100重量部と、(メタ)アクリル樹脂(B)としてポリブチルメタクリレート10〜30重量部と、可塑剤として上記化合物(C)0.1〜10重量部と、溶剤(D)としてプロピレングリコールモノメチルエーテル10〜50重量部とを含有する組成物を挙げることができる。この組成物は、誘電体層形成用組成物として好適に使用できる。
本発明の組成物は、上記各成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサーなどの混練機を用いて混練することにより調製することができる。
また、本発明の組成物は、塗布や印刷に適した流動性を有するペースト状の組成物であり、その粘度は、通常1,000〜30,000cp、好ましくは3,000〜10,000cpである。
本発明の組成物は、従来公知の膜形成材料層形成方法、すなわち、スクリーン印刷法などによりこの組成物を基板の表面に直接塗布または印刷し、塗膜を乾燥することにより膜形成材料層を形成する方法に好適に使用することができる。さらに、本発明の組成物は、後述する転写フィルム(本発明の転写フィルム)を製造するために特に好適に使用することができる。
<転写フィルム>
本発明に係る転写フィルムは、支持フィルムと、この支持フィルム上に形成された、無機粒子(A)および(メタ)アクリレート樹脂(B)を含有し、さらに必要に応じて可塑剤(C)やシリル基含有化合物(D)を含有する膜形成材料層とから構成される複合フィ
ルムである。この転写フィルムは、PDPの誘電体層の形成工程に好適に使用することができる。
以下、本発明に係る転写フィルムの構成およびその製造方法を詳細に説明する。
(1)転写フィルムの構成:
図1(a)は、ロール状に巻回された本発明の転写フィルムの一例を示す概略断面図であり、図1(b)は、この転写フィルムの層構成の一例を示す断面図〔(a)の部分詳細図〕である。
図1に示す転写フィルムは、PDPの誘電体層を形成するために使用される複合フィルムであって、通常、支持フィルムF1と、この支持フィルムF1の表面に形成された膜形成材料層F2と、この膜形成材料層F2の表面に貼付されたカバーフィルムF3とから構成されている。支持フィルムF1と膜形成材料層F2とは剥離可能であり、膜形成材料層F2とカバーフィルムF3とは容易に剥離することができる。また、カバーフィルムF3は、膜形成材料層F2の性質によっては使用しなくてもよい。
上記支持フィルムF1は、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムF1が可撓性を有すると、ロールコーターやブレードコーターなどを用いて本発明の組成物を塗布することができ、これにより、膜厚の均一な膜形成材料層を形成できるとともに、形成された膜形成材料層をロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。
支持フィルムF1を構成する樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどを挙げることができる。支持フィルムF1の厚さは、20〜100μmが好ましい。また、支持フィルムF1の表面は離型処理が施されていることが好ましい。これにより、膜形成材料層F2を基板などに転写した後、膜形成材料層F2から支持フィルムを容易に剥離することができる。
膜形成材料層F2は、本発明の組成物を上記支持フィルムF1上に塗布、乾燥して得られ、焼成されることによってガラス焼結体(PDPの誘電体層)を形成する層である。膜形成材料層F2の厚さは、無機粒子(A)の含有率、パネルの種類やサイズなどによって適宜設定されるが、たとえば、5〜200μm、好ましくは10〜100μmである。膜形成材料層F2の厚さが上記範囲にあると、焼結処理を施しても、所期の特性を確保するために必要な厚さでPDPの誘電体層を形成することができる。特に、大型のパネルの場合には、膜形成材料層F2の厚さは10〜100μmが好ましく、これにより所望の膜厚を有するPDPの誘電体層を形成することができる。
カバーフィルムF3は、膜形成材料層F2の表面(最終的にはガラス基板との接触面)を保護するためのフィルムである。このカバーフィルムF3も可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。カバーフィルムF3を構成する樹脂としては、支持フィルムF1を構成する樹脂として例示した樹脂を挙げることができる。カバーフィルムF3の厚さは、20〜100μmが好ましい。また、カバーフィルムF3の表面も離型処理が施されていることが好ましい。これにより、膜形成材料層F2を基板などに転写する前に、膜形成材料層F2からカバーフィルムF3を容易に剥離することができる。
(2)転写フィルムの製造方法:
本発明の転写フィルムは、たとえば、支持フィルムF1上に、本発明の組成物を塗布し、塗膜を乾燥して膜形成材料層F2を形成した後、必要に応じて膜形成材料層F2上にカ
バーフィルムF3を貼付(圧着、特に熱圧着が好ましい。)することにより製造することができる。
本発明の組成物を支持フィルムF1上に塗布する好ましい方法としては、膜厚が大きく(たとえば上記範囲)、膜厚の均一性に優れた塗膜を効率よく形成することができる観点から、ロールコーター、ドクターブレードなどのブレードコーター、カーテンコーターまたはワイヤーコーターによる塗布方法などを挙げることができる。
本発明の組成物から形成された上記塗膜は、乾燥より溶剤(D)の一部または全部が除去されて膜形成材料層F2を形成する。この乾燥条件は、たとえば40〜150℃で0.1〜30分間程度が好ましい。乾燥後における膜形成材料層F2中の溶剤残存率(膜形成材料層F2中の溶剤含有率)は、通常10重量%以下であり、基板に対する粘着性および適度な形状保持性を膜形成材料層に発現させるためには、1〜5重量%が好ましい。
(3)膜形成材料層の転写(転写フィルムの使用方法):
本発明の転写フィルムからカバーフィルムF3を剥離した後、基板と膜形成材料層F2とが当接するように、基板と転写フィルムとを貼り合わせて、熱圧着する。その後、支持フィルムF1と膜形成材料層F2とを剥離することにより膜形成材料層F2を基板上に転写することができる。
この転写方法は、支持フィルムF1上の膜形成材料層F2を基板の表面に一括転写することができる。このような簡単な操作によると、膜形成材料層をガラス基板上に確実に形成することができ、誘電体層などのPDPの構成部材を高効率で形成することができるとともに、形成される誘電体層における安定した誘電特性の発現を図ることができる。
<PDPの製造方法>
本発明に係るPDPの製造方法は、本発明の組成物から得られる膜形成材料層を基板の表面に形成し、この膜形成材料層を焼成することにより、前記基板の表面に誘電体層を形成する工程を有する。
この製造方法において、基板の表面に膜形成材料層を形成する方法としては、本発明の組成物をスクリーン印刷法などにより基板の表面に直接塗布または印刷し、得られた塗膜を乾燥することにより膜形成材料層を形成する方法や、本発明の転写フィルム(たとえば、支持フィルム/膜形成材料層/カバーフィルムからなる複合フィルム)を使用して基板の表面に膜形成材料層を転写して形成する方法が挙げられる。これらのうち、転写による方法が好ましく用いられる。
以下、上記製造方法のうち、転写による製造方法をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(i)図1に示すようなロール状に巻回された本発明の転写フィルムを基板の面積に応じ
た大きさに裁断する。
(ii)裁断した上記転写フィルムの膜形成材料層F2の表面からカバーフィルムF3を剥離した後、基板の表面に、膜形成材料層F2の表面が当接するように転写フィルムを重ね合わせる。
(iii)基板に重ね合わされた転写フィルム上に加熱ローラを移動させて基板と膜形成材
料層F2とを熱圧着させる。
(iv)熱圧着により基板に固定された膜形成材料層F2から支持フィルムF1を剥離除去する。
このような操作により、支持フィルムF1上の膜形成材料層F2が基板上に転写される
。ここで、転写条件としては、たとえば、加熱ローラの表面温度は60〜120℃が好ましく、加熱ローラによるロール圧は1〜5kg/cm2が好ましく、加熱ローラの移動速
度は0.2〜10.0m/分が好ましい。この転写工程は、ラミネータ装置により行うことができる。また、基板は、たとえば40〜100℃で予熱されていてもよい。
次いで、基板上に転写形成された膜形成材料層F2を焼成して無機焼結体(誘電体層)を形成する。焼成方法としては、膜形成材料層F2を固定した基板を、高温雰囲気下に配置する方法を挙げることができる。これにより、膜形成材料層F2に含有される有機成分、たとえば、(メタ)アクリル樹脂(B)、可塑剤(C)、残留溶剤、および各種添加剤が分解除去され、さらに無機粒子(A)が溶融して焼結する。焼成温度は、使用する基板や無機粒子(A)の溶融温度、上記有機成分の分解温度などによって適宜設定されるが、たとえば、300〜800℃が好ましく、400〜600℃がさらに好ましい。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」は「重量部」を示す。
<分子量の測定>
(メタ)アクリレートの重量平均分子量および分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、GPC法により下記の条件で測定し、ポリスチレン換算値として示した。
分析装置:HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム:TSK−GEL Super HzM−M
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液供給速度:0.35ml/分
カラム温度:35℃
検出器:示差屈折検出器
[調製例1]
<重合体(B1)の調製>
窒素置換された1リットルの三口フラスコに、n−ブチルメタクリレート350g、純水525g、過酸化ベンゾイル1.8g、可溶性デンプン5.25gを投入し、ホモミキサーで攪拌しながら60℃で3時間加熱した後、85〜90℃に昇温し、さらに3時間加熱した。反応液を冷却した後、10%塩化カルシウム水溶液5000gを投入して得られた重合体を凝固した。凝固物を多量の水で洗浄した後、低温(25℃以下)で乾燥し、n−ブチルメタクリレートのホモポリマー(以下、「重合体(B1)」ともいう)を得た。得られた重合体(B1)の分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で、重量平均分子量=150,000、重量平均分子量/数平均分子量=2.0であった。
[調製例2]
<重合体(B2)の調製>
窒素置換された1リットルの三口フラスコに、n−ブチルメタクリレート350g、プロピレングリコールモノメチルエーテル428g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.75gを投入し、攪拌しながら70℃で3時間加熱した。その後、AIBNをさらに0.88g添加して1時間加熱し、さらに100℃に昇温して1時間加熱して、n−ブチルメタクリレートのホモポリマー(以下、「重合体(B2)」ともいう)を得た。得られた重合体(B2)の分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で、重量平均分子量=150,000、重量平均分子量/数平均分子量=4.5であった。
(1)無機粒子含有組成物(ガラスペースト組成物)の調製:
無機粒子(A)として、酸化鉛70重量%、酸化ホウ素10重量%および酸化ケイ素20重量%からなるPbO−B23−SiO2系の混合物(ガラス粉末、軟化点:500℃
)100部と、(メタ)アクリル樹脂(B)として重合体(B1)17部と、可塑剤(C)としてグリセリン−1,2−ジアセチル−3−モノラウレート4部と、シリル基含有化合物(E)としてn−デシルトリメトキシシラン0.5部と、溶剤(D)としてプロピレングリコールモノメチルエーテル34.3部とを分散機を用いて混練して、粘度が3000cpのガラスペースト組成物を調製した。
(2)転写フィルムの製造およびその評価(可撓性・取扱性):
上記(1)で調製したガラスペースト組成物を、予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)からなる支持フィルム(幅400mm,長さ30m、厚さ38μm)上にブレードコーターを用いて塗布し、形成された塗膜を100℃で5分間乾燥することにより溶剤を除去して、厚さ50μmの膜形成材料層を支持フィルム上に形成した。次いで、この膜形成材料層上に、予め離型処理したPETからなるカバーフィルム(幅400mm、長さ30m、厚さ25μm)を貼り付け、図1に示すような構成を有する転写フィルムを製造した。
得られた転写フィルムは柔軟性を有し、容易にロール状に巻き取ることができた。また、この転写フィルムを折り曲げても膜形成材料層の表面にひび割れ(屈曲亀裂)が生じることはなく、この膜形成材料層は優れた可撓性を有していた。
この転写フィルムからカバーフィルムを剥離し、膜形成材料層の表面とガラス基板の表面が当接するように、転写フィルム(支持フィルムと膜形成材料層との積層フィルム)を加圧することなく重ね合わせ、次いで、この転写フィルム(上記積層フィルム)をガラス基板の表面から剥がしてみたところ、膜形成材料層はガラス基板に対して適度な粘着性を示して、しかも膜形成材料層が凝集破壊することなく転写フィルムを剥がすことができ、転写フィルムとしての取扱性(ハンドリング性)は良好であった。
(3)膜形成材料層の転写:
上記(2)で製造した転写フィルムからカバーフィルムを剥離した後、20インチパネル用のガラス基板の表面(バス電極の固定面)に、膜形成材料層の表面が当接するように転写フィルム(支持フィルムと膜形成材料層との積層フィルム)を重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ロールにより熱圧着した。ここで、熱圧着条件は、加熱ロールの表面温度を110℃、ロール圧を3kg/cm、加熱ロールの移動速度を1m/分とした。
熱圧着終了後、ガラス基板の表面に固定(加熱接着)された膜形成材料層から支持フィルムを剥離して除去し、膜形成材料層をガラス基板表面に転写した。
この転写工程において、支持フィルムを剥離する際、膜形成材料層が凝集破壊することはなく、この膜形成材料層は十分大きな膜強度を有していた。さらに、転写された膜形成材料層はガラス基板表面に対して良好な接着性を有していた。
(4)膜形成材料層の焼成(誘電体層の形成):
上記(3)において、膜形成材料層を転写形成したガラス基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を、常温から10℃/分の昇温速度で590℃まで昇温し、590℃の温度雰囲気下で30分間にわたって焼成処理を施して、ガラス基板の表面にガラス焼結体からなる無色透明の誘電体層を形成した。
この誘電体層の膜厚(平均膜厚および公差)は30μm±0.4μmであり、膜厚は均一性に優れていた。
また、得られた誘電体層の表面について、非接触膜厚計(菱光社製、NH−3)を用いて3次元測定を実施し、JIS B0601に準じて表面粗さ(Ra、Rb、Rc)を求
めたところ、Ra=0.1μm、Rb=0.68μm、Rc=0.45μmであり、表面平滑性に優れていた。なお、Ra=0.2μm以下、Rb=1.0μm以下、Rc=0.7μm以下の全てを満たすものを、「表面平滑性が良好」として評価した。
さらに、同様にして誘電体層を有するガラス基板からなるパネル材料を5台作製し、形成された誘電体層の光透過率(測定波長600nm)を測定したところ、93%であり、良好な透明性を有することが確認された。
無機粒子(A)として、酸化鉛70重量%、酸化ホウ素10重量%および酸化ケイ素20重量%からなるPbO−B23−SiO2系の混合物(ガラス粉末、軟化点:500℃
)100部と、(メタ)アクリル樹脂(B)として重合体(B1)20部と、可塑剤(C)としてグリセリン−1,2−ジアセチル−3−モノラウレート6部と、溶剤(D)としてプロピレングリコールモノメチルエーテル34.3部とを分散機を用いて混練して、粘度が5000cpのガラスペースト組成物を調製した。
その後、このガラスペースト組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、転写フィルムを製造し、さらに誘電体層を形成した。この誘電体層の膜厚(平均膜厚および公差)は30μm±0.5μmであり、膜厚は均一性に優れていた。
また、得られた誘電体層の表面について、実施例1と同様にして表面粗さ(Ra、Rb、Rc)を求めたところ、Ra=0.08μm、Rb=0.54μm、Rc=0.37μmであり、特に表面平滑性に優れていた。
無機粒子(A)として、実施例1に示すPbO−B23−SiO2系の混合物100部
とクロム粉末2部とを用いた以外は、実施例1と同様にしてガラスペースト組成物を調製した。
その後、このガラスペースト組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、転写フィルムを製造し、さらに誘電体層を形成した。この誘電体層の膜厚(平均膜厚および公差)は30μm±0.5μmであり、膜厚は均一性に優れていた。
また、得られた誘電体層の表面について、実施例1と同様にして表面粗さ(Ra、Rb、Rc)を求めたところ、Ra=0.12μm、Rb=0.71μm、Rc=0.53μmであり、表面平滑性に優れていた。
さらに、同様にして誘電体層を有するガラス基板からなるパネル材料を5台作製し、形成された誘電体層の光透過率(測定波長600nm)を測定したところ、93%であり、良好な透明性を有することが確認された。
[比較例1]
無機粒子(A)として、酸化鉛70重量%、酸化ホウ素10重量%および酸化ケイ素20重量%からなるPbO−B23−SiO2系の混合物(ガラス粉末、軟化点:500℃
)100部と、(メタ)アクリル樹脂(B)として重合体(B2)17部と、可塑剤(C)として2−エチルエキシルアゼレート4部と、シリル基含有化合物としてn−デシルトリメトキシシラン0.5部と、溶剤(D)としてプロピレングリコールモノメチルエーテル34.3部とを分散機を用いて混練して、粘度が3000cpのガラスペースト組成物を調製した。
その後、このガラスペースト組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、転写フィルムを製造し、さらに誘電体層を形成した。この誘電体層の膜厚(平均膜厚および公差)は30μm±0.5μmであり、膜厚は均一性に優れていた。
また、得られた誘電体層の表面について、実施例1と同様にして表面粗さ(Ra、Rb、Rc)を求めたところ、Ra=0.21μm、Rb=1.27μm、Rc=0.96μmであった。
図1(a)は、本発明に係る転写フィルムの概略断面図であり、図1(b)は、この転写フィルムの層構成を示す断面図である。 図2は、交流型のプラズマディスプレイパネルの断面形状の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 ガラス基板
3 隔壁
4 透明電極
5 バス電極
6 アドレス電極
7 蛍光物質
8 誘電体層
9 誘電体層
10 保護層
F1 支持フィルム
F2 膜形成材料層
F3 カバーフィルム

Claims (6)

  1. (A)ガラス粉末を含む無機粒子と、
    (B)下記式(1)
    Figure 2006299008
    (式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキル基を示す。nは30〜10,000を示す。)
    で示される構造を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1〜4の範囲にある(メタ)アクリル樹脂と
    を含有することを特徴とする無機粒子含有組成物。
  2. (C)下記式(2)
    Figure 2006299008
    (式中、R3、R4およびR5のうちの1つの基は−CO−Aで表される基を示し、残りの
    2つの基はそれぞれ独立に水素原子、アセチル基またはプロパノイル基を示す。Aは炭素数5〜20のアルキル基を示す。)
    で示される化合物を、さらに含有することを特徴とする請求項1に記載の無機粒子含有組成物。
  3. (A)無機粒子が、軟化点400〜600℃のガラス粉末であることを特徴とする請求項1に記載の無機粒子含有組成物。
  4. 請求項1に記載の無機粒子含有組成物から得られる膜形成材料層を有することを特徴とする転写フィルム。
  5. 請求項1に記載の無機粒子含有組成物から得られる膜形成材料層を基板上に形成し、該膜形成材料層を焼成することにより、前記基板上に誘電体層を形成する工程を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 支持フィルム上に請求項1に記載の無機粒子含有組成物から得られる膜形成材料層を形成して支持フィルム/膜形成材料層からなる転写フィルムを作製し、該転写フィルムの膜形成材料層を基板上に転写することにより、前記基板上に膜形成材料層を形成することを特徴とする請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。

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