JP2007137939A - 無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルム、パネル部材の形成方法およびプラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルム、パネル部材の形成方法およびプラズマディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

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隆徳 山下
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Abstract

【課題】表面平滑性に優れたPDPの構成要素(例えば隔壁、電極、抵抗体、誘電体層、蛍光体、カラーフィルター、ブラックマトリックス)を好適に形成することができる無機粉体含有樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】〔A〕無機粉体、〔B〕結着樹脂、および〔C〕下記式(1)で示される化合物を含有することを特徴とする無機粉体含有樹脂組成物;
Figure 2007137939

(式(1)中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、Aは−COO−または−OCO−であり、nは1〜20の整数である。)。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルム、パネル部材の形成方法およびプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
近年、平板状の蛍光表示体としてプラズマディスプレイが注目されている。図1は交流型のプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」ともいう)の断面形状を示す模式図である。同図において、1および2は対向配置されたガラス基板、3は隔壁であり、ガラス基板1、ガラス基板2および隔壁3によりセルが区画形成されている。4はガラス基板1に固定された透明電極、5は透明電極4の抵抗を下げる目的で、当該透明電極4上に形成されたバス電極、6はガラス基板2に固定されたアドレス電極、7はセル内に保持された蛍光物質、8は透明電極4およびバス電極5を被覆するようガラス基板1の表面に形成された誘電体層、9はアドレス電極6は被覆するようガラス基板2の表面に形成された誘電体層、10は例えば酸化マグネシウムよりなる保護膜である。
また、カラーPDPにあっては、コントラストの高い画像を得るため、ガラス基板と誘電体層との間に、カラーフィルター(赤色・緑色・青色)やブラックマトリックスなどを設けることがある。
このようなPDPの誘電体、隔壁、電極、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックストライプ(マトリクス)の製造方法としては、(1)非感光性の無機粉体含有ペーストを基板上にスクリーン印刷してパターンを得、これを焼成するスクリーン印刷法、(2)感光性の無機粉体含有樹脂層を基板上に形成し、この膜にフォトマスクを介して紫外線を照射した上で現像することにより基板上にパターンを残存させ、これを焼成するフォトリソグラフィー法などが知られている。
しかしながら、前記スクリーン印刷法では、パネルの大型化および高精細化に伴い、パターン精度の要求が非常に厳しくなり、通常の印刷では対応できないという問題がある。
これに対して、前記フォトリソグラフィー法では、原理的にパターン精度に優れており、特に転写フィルムを用いる方法においては、膜厚の均一性および表面の均一性に優れたパターンを形成することができる。しかしながら、膜形成材料層が十分な可撓性を有していないために、膜形成材料層の表面に微小な亀裂が発生したり、転写フィルムが柔軟性に劣ったりするなどの問題があった。また、柚子肌と呼ばれる表面荒れが生じ、表面平滑性に優れたパネル部材が得られないという問題があった。
特開2000−109341号公報(特許文献1)には、〔A〕無機粒子、〔B〕結着樹脂、ならびに〔C〕特定構造の脂肪族二塩基酸エステルおよび特定構造のプロピレングリコール脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種の可塑剤を含有する無機粒子含有組成物が開示され、該組成物によって十分な可撓性を有する膜形成材料層が形成されている。
また特開2003−96305号公報(特許文献2)には、〔A〕無機粒子、〔B〕結着樹脂、および〔C〕グリセリン−1,2−ジアセチル−3−モノラウレートに代表される特定構造の可塑剤を含有することを特徴とする無機粒子含有組成物が開示され、該組成物によって十分な可撓性を有し、さらに表面平滑性にも優れる膜形成材料層が形成されている。
しかし、PDP用パネル部材においては、さらなる表面平滑性が求められている。
特開2000−109341号公報 特開2003−96305号公報
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、表面平滑性に優れたPDPの構成要素(例えば誘電体層、隔壁、電極、抵抗体、蛍光体、カラーフィルター、ブラックマトリックス)を好適に形成することができる無機粉体含有樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、高い光透過率を有するガラス焼結体(例えば、PDPを構成する誘電体層)を形成することができる無機粉体含有樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、無機粉体含有樹脂層の可撓性に優れた転写フィルムを製造することのできる無機粉体含有樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第4の目的は、無機粉体含有樹脂層の転写性(基板に対する加熱接着性)に優れた転写フィルムを製造することのできる無機粉体含有樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第5の目的は、表面平滑性に優れたPDPの構成要素を効率的に形成することができる転写フィルムを提供することにある。
本発明の第6の目的は、無機粉体含有樹脂層の可撓性に優れた転写フィルムを提供することにある。
本発明の第7の目的は、無機粉体含有樹脂層の転写性(基板に対する加熱接着性)に優れた転写フィルムを提供することにある。
本発明の第8の目的は、表面平滑性に優れたPDPの構成要素を効率的に形成することができるPDPの製造方法を提供することにある。
本発明の第9の目的は、構成要素の位置精度の高いPDPを効率的に形成することができるPDPの製造方法を提供することにある。
本発明の第10の目的は、膜厚の大きい誘電体層を効率的に形成することができるPDPの製造方法を提供することにある。
本発明の第11の目的は、大型のパネルに要求される誘電体層を効率的に形成することができるPDPの製造方法を提供することにある。
本発明の第12の目的は、膜厚の均一性に優れた誘電体層を有するPDPの製造方法を提供することにある。
本発明の第13の目的は、表面の平滑性に優れた誘電体層を有するPDPの製造方法を提供することにある。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、〔A〕無機粉体、〔B〕結着樹脂、および〔C〕下記式(1)で示される化合物を含有することを特徴としている。
Figure 2007137939
(式(1)中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、Aは−COO−または−OCO−であり、nは1〜20の整数である。)。
本発明の転写フィルムは、〔A〕無機粉体、〔B〕結着樹脂、および〔C〕下記式(1)で示される化合物を含有することを特徴としている。
Figure 2007137939
(式(1)中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、Aは−COO−または−OCO−であり、nは1〜20の整数である。)。
前記無機粉体含有樹脂組成物から得られる無機粉体含有樹脂層を有することを特徴とする。
前記転写フィルムは、支持フィルム上に、レジスト膜と前記無機粉体含有樹脂層とからなる積層膜を備えていてもよい。
本発明のパネル部材の形成方法は、基板上に、前記転写フィルムが備える無機粉体含有樹脂層を転写する工程、および転写された無機粉体含有樹脂層を焼成する工程を含むことを特徴としている。
さらに本発明のパネル部材の形成方法は、
基板上に、前記転写フィルムが備える、レジスト膜と前記無機粉体含有樹脂層とからなる積層膜を、該無機粉体含有樹脂層が基板に当接するように転写する工程、
該レジスト膜を露光処理してレジストパターンの潜像を形成する工程、
該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させる工程、
該無機粉体含有樹脂層をエッチング処理して、該レジストパターンに対応する無機粉体含有樹脂パターンを形成する工程、および
該樹脂パターンを焼成処理する工程
をこの順序で含んでいてもよい。
本発明のプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」ともいう。)の製造方法は、前記のパネル部材の形成方法によりパネル部材を形成する工程を含むことを特徴としている。
本発明の組成物によれば下記のような効果が奏される。
(1)表面平滑性に優れたPDPの構成要素(例えば誘電体層・隔壁・電極・抵抗体・蛍光体・カラーフィルター・ブラックマトリックス)を好適に形成することができる。
(2)高い光透過率を有するガラス焼結体(例えば、PDPを構成する誘電体層・隔壁)を好適に形成することができる。
(3)無機粉体含有樹脂層の可撓性に優れた転写フィルムを製造することができる。
(4)無機粉体含有樹脂層の転写性(基板に対する加熱接着性)に優れた転写フィルムを製造することができる。
本発明の転写フィルムによれば下記のような効果が奏される。
(1)表面平滑性に優れたPDPの構成要素(特に誘電体層)を効率的に形成することができる。
(2)無機粉体含有樹脂層の可撓性に優れ、当該無機粉体含有樹脂層の表面に屈曲亀裂(ひび割れ)が生じることはない。
(3)柔軟性に優れ、ロール状に巻き取る操作を容易に行うことができる。
(4)無機粉体含有樹脂層が好適な粘着性を示し、取扱性(ハンドリング性)も良好である。
(5)無機粉体含有樹脂層の転写性(基板に対する加熱接着性)に優れている。
本発明の製造方法によれば下記のような効果が奏される。
(1)表面平滑性に優れたPDPの構成要素(例えば誘電体層、隔壁、電極、抵抗体、蛍光体、カラーフィルター、ブラックマトリックス)を効率的に形成することができる。
(2)構成要素の位置精度の高いPDPを効率的に形成することができる。
(4)膜厚の大きい誘電体層を効率的に形成することができる。
(5)大型のパネルに要求される誘電体層を効率的に形成することができる。
(6)膜厚の均一性および表面の平滑性に優れた誘電体層を備えたPDPを効率的に製造することができる。
以下、本発明の無機粉体含有樹脂組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)、転写フィルム、パネル部材の形成方法およびプラズマディスプレイパネルの製造方法についてさらに詳細に説明する。
[無機粉体含有樹脂組成物]
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、無機粉体(A)、結着樹脂(B)、および特定の構造式で示される化合物(C)を必須成分として含有する。
<(A)無機粉体>
本発明の組成物を構成する無機粉体を構成する無機物質は、特に限定されず、当該組成物により形成される焼結体の用途(PDPの構成要素の種類)に応じて適宜選択することができる。
ここに、PDPを構成する「誘電体層」または「隔壁」を形成するための組成物に含有される無機粉体としては、軟化点が400〜600℃の範囲内にあるガラス粉末を挙げることができる。ガラス粉末の軟化点が400℃未満である場合には、当該組成物による無機粉体含有樹脂層の焼成工程において、結着樹脂などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉末が溶融してしまうため、形成される誘電体層中に有機物質の一部が残留し、この結果、誘電体層が着色されて、その光透過率が低下する傾向がある。一方、ガラス粉末の軟化点が600℃を超える場合には、600℃より高温で焼成する必要があるために、ガラス基板に歪みなどが発生する場合がある。
好適なガラス粉末の具体例としては、(1)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−B23−SiO2系)の混合物、(2)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(ZnO−
23−SiO2系)の混合物、(3)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニ
ウム(PbO−B23−SiO2−Al23系)の混合物、(4)酸化鉛、酸化亜鉛、酸
化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−ZnO−B23−SiO2系)の混合物などを例示する
ことができる。
これらのガラス粉末は、誘電体層および隔壁以外の構成要素(例えば電極・抵抗体・蛍光体・カラーフィルター・ブラックマトリックス)を形成するための組成物中に含有(併用)されていてもよい。これらのパネル材料を得るための無機粉体含有樹脂組成物におけるガラス粉末の含有量は、無機粉体全量に対して、通常、90質量%以下、好ましくは、50〜90質量%である。
PDPを構成する「電極」を形成するための組成物に含有される無機粉体としては、Ag、Au、Al、Ni、Ag−Pd合金、CuおよびCrなどからなる金属粒子を挙げることができる。
これらの金属粒子は、誘電体層を形成するための組成物中にガラス粉末と併用する形で含有されていてもよい。誘電体層形成用組成物における金属粒子の含有量は、無機粉体全量に対して、通常、10質量%以下、好ましくは0.1〜5質量%である。
PDPを構成する「抵抗体」を形成するための組成物に含有される無機粉体としてはRuO2などからなる粒子を挙げることができる。
PDPを構成する「蛍光体」を形成するための組成物に含有される無機粉体としては、Y23:Eu3+、Y2SiO5:Eu3+、Y3Al512:Eu3+、YVO4:Eu3+、(Y
,Gd)BO3:Eu3+、Zn3(PO42:Mnなどの赤色用蛍光物質;Zn2SiO4:Mn、BaAl1219:Mn、BaMgAl1423:Mn、LaPO4:(Ce,Tb)
、Y3(Al,Ga)512:Tbなどの緑色用蛍光物質;Y2SiO5:Ce、BaMgAl1017:Eu2+、BaMgAl1423:Eu2+、(Ca,Sr,Ba)10(PO46Cl2:Eu2+、(Zn,Cd)S:Agなどの青色用蛍光物質などからなる粒子を挙げる
ことができる。
PDPを構成する「カラーフィルター」を形成するための組成物に含有される無機粉体としては、Fe23、Pb34などの赤色用物質、Cr23などの緑色用物質、2(Al2Na2Si310)・Na24などの青色用物質などからなる粒子を挙げることができる

PDPを構成する「ブラックマトリックス」を形成するための組成物に含有される無機粉体としては、Mn、Fe、Crなどからなる粒子を挙げることができる。
<(B)結着樹脂>
本発明の組成物を構成する結着樹脂としては、アクリル樹脂が好ましい。
結着樹脂としてアクリル樹脂が含有されていることにより、形成される無機粉体含有樹脂層は、基板に対する優れた(加熱)接着性を発揮する。従って、本発明の組成物を支持フィルム上に塗布して転写フィルムを製造する場合において、得られる転写フィルムは、無機粉体含有樹脂層の転写性(基板への加熱接着性)に優れたものとなる。
前記アクリル樹脂としては、適度な粘着性を有して無機粉体を結着させることができ、400℃〜600℃の焼成処理によって完全に除去される(共)重合体の中から選択される。
かかるアクリル樹脂としては、下記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物の単独重合体、下記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物の2種以上の共重合体、および下記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物と共重合性単量体との共重合体などが挙げられる。
Figure 2007137939
〔式中、R9は水素原子またはメチル基を示し、R10は1価の有機基を示す。〕
上記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
これらのうち、上記式(2)中、R10で示される基が、アルキル基またはオキシアルキレン基を含有する基であることが好ましく、特に好ましい(メタ)アクリレート化合物として、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレートおよび2−エトキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
前記他の共重合性単量体としては、上記(メタ)アクリレート化合物と共重合可能な化合物ならば特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マイレン酸、ビニルフタル酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物が挙げられる。
前記アクリル樹脂における、上記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物由来の共重合成分は、通常は70質量%以上、好ましくは90質量%以上である。
ここに、好ましいアクリル樹脂の具体例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体などを例示することができる。
また、後述するフォトレジスト法を利用したPDPの構成要素の形成において、無機粉体含有樹脂層のエッチング処理にアルカリ可溶性が必要な場合には、上記他の共重合性単量体(共重合成分)として不飽和カルボン酸類が含有されることが好ましい。
前記アクリル樹脂の分子量は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」ともいう)として4,000〜300,000であることが好ましく、さらに好ましくは10,000〜200,000である。
本発明の組成物における結着樹脂の含有割合は、前記無機粉体(A)100質量部に対して、5〜80質量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜50質量部である。結着樹脂の割合が過小である場合には、無機粉体を確実に結着保持することができず、一方、この割合が過大である場合には、焼成工程に長い時間を要したり、形成される焼結体(例えば誘電体層)が十分な強度や膜厚を有さない場合がある。
<(C)可塑剤>
下記式(1)で示される化合物(C)は、可塑剤(以下、「特定可塑剤(C)」ともいう。)として用いられる。
Figure 2007137939
(式(1)中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、Aは−COO−または−OCO−であり、nは1〜20の整数である。)。
この特定可塑剤(C)を含有する本発明の組成物によれば、形成される無機粉体含有樹脂層の柚子肌発生を防止し、優れた表面平滑性を発現させることができる。また、この無
機粉体含有樹脂層を備える転写フィルムを折り曲げても、該無機粉体含有樹脂層の表面に微小な亀裂(ひび割れ)が発生するようなことはなく、また、該転写フィルムは柔軟性に優れ、これをロール状に容易に巻き取ることもできる。
しかも、この特定可塑剤(C)は、熱(たとえば250℃以上)により容易に分解除去されるため、前記無機粉体含有樹脂層を焼成して得られる誘電体層の光透過率を低下させることはない。
1で示されるアルキル基としては、炭素数が1〜10のアルキル基が好ましく、具体
的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基(ラウリル基)、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基(ステアリル基)、n−ノナデシル基などが挙げられる。この中でも特に、n−ヘキシル基が好ましい。
2で示されるアルキル基としては、炭素数が1〜5のアルキル基が好ましく、具体的
には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基が好ましく、特にエチル基が好ましい。
3としては、水素原子が特に好ましい。R4、R6、R8で示されるアルキル基としては、炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。また、R5、R7としては、水素原子が特に好ましい。
上記式(1)で表される化合物としては、A=−COO−、R4=R6=メチル基、R5
=R7=R8=水素原子 である化合物として、
ポリプロピレングリコール−1メチルプロピオネート(R1=R2=メチル基、R3=水素原子)、ポリプロピレングリコール−1メチルヘキシレート(R1=メチル基、R2=ブチ
ル基、R3=水素原子)、ポリプロピレングリコール−1エチルプロピオネート(R1=メ
チル基、R2=エチル基、R3=水素原子)、ポリプロピレングリコール−1エチルブチレ
ート(R1=R2=エチル基、R3=水素原子)、ポリプロピレングリコール−1エチルヘキシレート(R1=エチル基、R2=ブチル基、R3=水素原子);
A=−COO−、R4=R5=R6=R7=R8=水素原子 である化合物として、
ポリエチレングリコール−1メチルプロピオネート(R1=R2=メチル基、R3=水素原子)、ポリエチレングリコール−1メチルヘキシレート(R1=メチル基、R2=ブチル基、R3=水素原子)、ポリエチレングリコール−1エチルプロピオネート(R1=メチル基、R2=エチル基、R3=水素原子)、ポリエチレングリコール−1エチルブチレート(R1=R2=エチル基、R3=水素原子)、ポリエチレングリコール−1エチルヘキシレート(
1=エチル基、R2=ブチル基、R3=水素原子)
などを例示することができ、これらは単独でもしくは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物における特定可塑剤(C)の含有割合は、前記無機粉体(A)100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。特定可塑剤(C)の割合が過小である場合には、得られる組成物を用いて形成される無機粉体含有樹脂層の表面平滑性および可塑性を十分に向上させることができない。一方、この割合が過大である場合には、得られる組成物を用いて形成される無機粉体含有樹脂層の粘着性(タック)が過大となり、そのような無機粉体含有樹脂層を備えた転写フィルムの取扱性が劣るものとなることがある。
<溶剤>
本発明の組成物には、通常、溶剤が含有される。この溶剤としては、無機粉体との親和性、結着樹脂の溶解性が良好で、得られる組成物に適度な粘性を付与することができ、通常の乾燥操作により容易に蒸発除去できるものが好ましい。
かかる溶剤の具体例としては、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類などを例示することができ、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物における溶剤の含有割合は、組成物の粘度を好適な範囲に維持する観点から、前記無機粉体(A)100質量部に対して、40質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは5〜30質量部である。
本発明の組成物には、上記の必須成分のほかに、分散剤、粘着性付与剤、表面張力調整剤、安定剤、消泡剤などの各種添加剤が任意成分として含有されていてもよい。特に、無機粉体の分散安定性向上の目的で、アルキルシリル基含有化合物が含有されていてもよい。当該シリル基含有化合物としては、下記式(3)で表されるアルキルシリル基含有化合物〔飽和アルキル基含有(アルキル)アルコキシシラン〕が好ましい。
Figure 2007137939
(式中、pは3〜20の整数、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数、そしてaは1〜3の整数である。)
上記式(3)において、飽和アルキル基の炭素数を示すpは3〜20の整数とされ、好ましくは4〜16の整数とされる。
pが3未満である飽和アルキル基含有(アルキル)アルコキシシランを含有させても、得られる形無機粉体含有樹脂層において十分な可撓性が発現されない場合がある。一方、pの値が20を超える飽和アルキル基含有(アルキル)アルコキシシランは分解温度が高く、本発明のプラズマディスプレイの製造方法による焼成工程において、有機物質(前記シラン誘導体)が完全に分解除去されない状態で、形成される誘電体層などの無機層中に有機物質の一部が残留し、この結果、誘電体層の場合においては光透過率が低下する場合がある。
上記式(3)で表される化合物の具体例としては、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキ
サデシルジメチルメトキシシラン、n−エイコシルジメチルメトキシシランなどの飽和アルキルジメチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=1);
n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−エイコシルジエチルメトキシシランなどの飽和アルキルジエチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=2);
n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−エイコシルジプロピルメトキシシランなどの飽和アルキルジプロピルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=3);
n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−エイコシルジメチルエトキシシランなどの飽和アルキルジメチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=1);
n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−エイコシルジエチルエトキシシランなどの飽和アルキルジエチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=2);
n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−エイコシルジプロピルエトキシシランなどの飽和アルキルジプロピルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=3);
n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−エイコシルジメチルプロポキシシランなどの飽和アルキルジメチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=1);
n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−エイコシルジエチルプロポキシシランなどの飽和アルキルジエチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=2);
n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−エイコシルジプロピルプロポキシシランなどの飽和アルキルジプロピルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=3);
n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−エイコシルメチルジメトキシシランなどの飽和アルキルメチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=1);
n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−エイコシルエチルジメトキシシランなどの飽和アルキルエチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=2);
n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−エイコシルプロピルジメトキシシランなどの飽和アルキルプロピルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=3)
n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−エイコシルメチルジエトキシシランなどの飽和アルキルメチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=1);
n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−エイコシルエチルジエトキシシランなどの飽和アルキルエチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=2);
n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−エイコシルプロピルジエトキシシランなどの飽和アルキルプロピルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=3);
n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−エイコシルメチルジプロポキシシランなどの飽和アルキルメチルジプロポキシシラン類 (a=2,m=3,n=1);
n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−エイコシルエチルジプロポキシシランなどの飽和アルキルエチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=2);
n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−エイコシルプロピルジプロポキシシランなどの飽和アルキルプロピルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=3);
n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−エイコシルトリメトキシシランなどの飽和アルキルトリメトキシシラン類(a=3,m=1);
n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−エイコシルトリエトキシシランなどの飽和アルキルトリエトキシシラン類(a=3,m=2);
n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−エイコシルトリプロポキシシランなどの飽和アルキルトリプロポキシシラン類(a=3,m=3)
などを挙げることができ、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシランなどが特に好ましい。
前記アルキルシリル基含有化合物の含有割合は、前記無機粉体(A)100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは3質量部以下である。アルキルシリル基含有化合物の割合が過大である場合には、得られる無機粉体含有樹脂組成物を保存する際に粘度が経時的に上昇したり、アルキルシリル基含有化合物同士で反応が起こり、焼成後に有機物質が残留する原因になったりする場合がある。
無機粉体含有樹脂組成物の一例として、好ましい誘電体層形成用の組成物の例を示せば、無機粉体(A)(ガラス粉末)として、酸化鉛50〜80質量%、酸化ホウ素5〜20質量%、酸化ケイ素10〜30質量%からなる混合物100質量部と、結着樹脂(B)としてポリブチルメタクリレート10〜30質量部と、特定可塑剤(C)0.1〜10質量部と、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル10〜50質量部とを必須成分として含有する組成物を挙げることができる。
本発明の組成物は、上記無機粉体(A)、結着樹脂(B)、特定可塑剤(C)および溶剤並びに任意成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサーなどの混練機を用いて混練することにより調製することができる。
上記のようにして調製される本発明の組成物は、塗布に適した流動性を有するペースト状の組成物であり、その粘度は、通常1,000〜30,000cpであり、好ましくは3,000〜10,000cpである。
本発明の組成物は、以下に詳述する転写フィルム(本発明の転写フィルム)を製造するために特に好適に使用することができる。
また、本発明の組成物は、従来において公知の無機粉体含有樹脂層の形成方法、すなわち、スクリーン印刷法などによって当該組成物を基板の表面に直接塗布し、塗膜を乾燥することにより無機粉体含有樹脂層を形成する方法にも好適に使用することができる。
[転写フィルム]
本発明の転写フィルムは、PDPの構成要素の形成工程、特に誘電体層の形成工程に好適に使用される複合フィルムであって、本発明の組成物を支持フィルム上に塗布し、塗膜を乾燥することにより形成される無機粉体含有樹脂層を備えてなる。すなわち、本発明の転写フィルムは、無機粉体(A)、結着樹脂(B)および特定可塑剤(C)を含有する無機粉体含有樹脂層が支持フィルム上に形成されて構成されている。
また、本発明の転写フィルムは、後述するレジスト膜を支持フィルム上に形成し、その上に本発明の組成物を塗布し、乾燥してなるもの(積層膜)であってもよい。
(1)転写フィルムの構成:
図2(イ)は、ロール状に巻回された本発明の転写フィルムを示す概略断面図であり、同図(ロ)は、当該転写フィルムの層構成を示す断面図〔(イ)の部分詳細図〕である。
図2に示す転写フィルムは、本発明の転写フィルムの一例として、PDPを構成する誘電体層を形成するために使用される複合フィルムであって、通常、支持フィルムF1と、この支持フィルムF1の表面に剥離可能に形成された無機粉体含有樹脂層F2と、この無機粉体含有樹脂層F2の表面に剥離容易に設けられたカバーフィルムF3とにより構成されている。カバーフィルムF3は、無機粉体含有樹脂層F2の性質によっては使用されない場合もある。
転写フィルムを構成する支持フィルムF1は、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムF1が可撓性を有することにより、ロールコーター、ブレードコーターなどを用いてペースト状の組成物(本発明の組成物)を塗布することができ、これにより、膜厚の均一な無機粉体含有樹脂層を形成することができるとともに、形成された無機粉体含有樹脂層をロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。
支持フィルムF1を形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどを挙げることができる。支持フィルムF1の厚さは、例えば20〜100μmである。
転写フィルムを構成する無機粉体含有樹脂層F2は、焼成されることによって誘電体層(ガラス焼結体)等のパネル部材となる層であり、ガラス粉末等の無機粉体(A)、結着樹脂(B)および特定可塑剤(C)が必須成分として含有されている。
無機粉体含有樹脂層F2の厚さは、ガラス粉末等の無機粉体(A)の含有率、パネルの種類やサイズなどによっても異なるが、例えば5〜200μmであり、好ましくは10〜100μmである。この厚さが5μm未満である場合には、最終的に形成される誘電体層
等のパネル部材の膜厚が過小なものとなり、誘電特性などの所期の特性を確保することができないことがある。通常、この厚さが10〜100μmであれば、大型のパネルに要求される誘電体層等のパネル部材の膜厚を十分に確保することができる。
転写フィルムを構成するカバーフィルムF3は、無機粉体含有樹脂層F2の表面(ガラス基板との接触面)を保護するためのフィルムである。このカバーフィルムF3も可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。カバーフィルムF3を形成する樹脂としては、支持フィルムF1を形成するものとして例示した樹脂を挙げることができる。カバーフィルムF3の厚さは、例えば20〜100μmである。
(2)転写フィルムの製造方法:
本発明の転写フィルムは、支持フィルムF1上に無機粉体含有樹脂層F2を形成し、当該無機粉体含有樹脂層F2上にカバーフィルムF3を設ける(圧着する)ことにより製造することができる。
無機粉体含有樹脂層の形成方法としては、無機粉体(A)、結着樹脂(B)、特定可塑剤(C)および溶剤を含有する本発明の組成物を支持フィルム上に塗布し、塗膜を乾燥して前記溶剤の一部または全部を除去する方法を挙げることができる。
本発明の組成物を支持フィルム上に塗布する方法としては、膜厚が大きく(例えば20μm以上)、膜厚の均一性に優れた塗膜を効率よく形成することができる観点から、ロールコーターによる塗布方法、ドクターブレードなどのブレードコーターによる塗布方法、カーテンコーターによる塗布方法、ワイヤーコーターによる塗布方法などを好ましいものとして挙げることができる。
なお、本発明の組成物が塗布される支持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましい。これにより、無機粉体含有樹脂層を転写した後において、当該無機粉体含有樹脂層から支持フィルムを容易に剥離することができる。
支持フィルム上に形成された本発明の組成物による塗膜は、乾燥されることによって溶剤の一部または全部が除去され、転写フィルムを構成する無機粉体含有樹脂層となる。本発明の組成物による塗膜の乾燥条件は、例えば40〜150℃で0.1〜30分間程度である。乾燥後における溶剤の残存割合(無機粉体含有樹脂層中の溶剤の含有割合)は、通常10質量%以下であり、基板に対する粘着性および適度な形状保持性を無機粉体含有樹脂層に発揮させる観点から1〜5質量%であることが好ましい。
上記のようにして形成された無機粉体含有樹脂層の上に設けられる(通常、熱圧着される)カバーフィルムの表面にも離型処理が施されていることが好ましい。これにより、無機粉体含有樹脂層を転写する前に、当該無機粉体含有樹脂層からカバーフィルムを容易に剥離することができる。
(3)無機粉体含有樹脂層の転写(転写フィルムの使用方法):
支持フィルム上の無機粉体含有樹脂層は、基板の表面に一括転写される。本発明の転写フィルムによれば、このような簡単な操作によって無機粉体含有樹脂層をガラス基板上に確実に形成することができるので、誘電体層などのPDPの構成要素の形成工程における工程改善(高効率化)を図ることができるとともに、形成される構成要素の品質の向上(例えば、誘電体層における安定した誘電特性の発現)を図ることができる。
[PDPの製造方法(パネル部材の形成方法)]
本発明のPDP(プラズマディスプレイパネル)の製造方法は、以下に詳述するような
パネル部材(構成要素)の形成方法によりパネル部材を形成する工程を含んでいる。
本発明のPDPのパネル部材(構成要素)の形成方法は、本発明の転写フィルムを構成する無機粉体含有樹脂層を基板の表面に転写し、転写された無機粉体含有樹脂層を焼成することにより、前記基板の表面に誘電体層等のパネル部材(構成要素)を形成する工程を含んでいる。
図2に示したような構成の転写フィルムによる無機粉体含有樹脂層の転写工程の一例を示せば以下のとおりである。
(1)ロール状に巻回された状態の転写フィルムを基板の面積に応じた大きさに裁断する。
(2)裁断した転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層(F2)の表面からカバーフィルム(F3)を剥離した後、基板の表面に、無機粉体含有樹脂層(F2)の表面が当接するように転写フィルムを重ね合わせる。
(3)基板に重ね合わされた転写フィルム上で加熱ローラを移動させて、基板に無機粉体含有樹脂層(F2)を熱圧着させる。
(4)熱圧着により基板に固定された無機粉体含有樹脂層(F2)から支持フィルム(F1)を剥離除去する。
上記のような操作により、支持フィルム(F1)上の無機粉体含有樹脂層(F2)が基板上に転写される。転写条件は、例えば、加熱ローラの表面温度が60〜120℃、加熱ローラによるロール圧が1〜5kgf/cm2、加熱ローラの移動速度が0.2〜10.
0m/分である。このような操作(転写工程)は、ラミネータ装置により行うことができる。なお、基板は予熱されていてもよく、予熱温度は、例えば40〜100℃とすることができる。
基板の表面に転写形成された無機粉体含有樹脂層(F2)は、焼成されて誘電体層などの無機焼結体となる。焼成方法としては、無機粉体含有樹脂層(F2)が転写形成された基板を高温雰囲気下に配置する方法を挙げることができる。これにより、無機粉体含有樹脂層(F2)に含有されている有機物質(例えば結着樹脂(B)、残留溶剤、特定可塑剤(C)、各種の添加剤)が分解されて除去され、無機粉体が溶融して焼結する。焼成温度は、基板の溶融温度、無機粉体含有樹脂層中の構成物質などによっても異なるが、例えば300〜800℃であり、好ましくは400〜600℃である。
[PDPの製造方法(フォトレジスト法を利用したパネル部材の形成方法)]
本発明のPDPのパネル部材の形成方法は、本発明の転写フィルムを構成する無機粉体含有樹脂層を基板上に転写し、転写された無機粉体含有樹脂層上にレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光処理してレジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、当該無機粉体含有樹脂層をエッチング処理してレジストパターンに対応するパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、隔壁、電極、抵抗体、誘電体層、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから選ばれるパネル部材(構成要素)を形成する工程を含んでいてもよい。
また本発明のPDPのパネル部材の形成方法は、レジスト膜と、本発明の無機粉体含有樹脂組成物から得られる無機粉体含有樹脂層との積層膜を支持フィルム上に形成し、支持フィルム上に形成された積層膜を基板上に転写し、当該積層膜を構成するレジスト膜を露光処理してレジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、当該無機粉体含有樹脂層をエッチング処理してレジストパターンに対応するパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、隔壁、電極、抵抗体、誘電体層、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから選ばれる
構成要素を形成する工程を含んでいてもよい。
以下、PDPの構成要素である「隔壁」を背面基板上の表面に形成する方法について説明する。この方法においては、〔1〕無機粉体含有樹脂層の転写工程、〔2〕レジスト膜の形成工程、〔3〕レジスト膜の露光工程、〔4〕レジスト膜の現像工程、〔5〕無機粉体含有樹脂層のエッチング工程、〔6〕隔壁パターンの焼成工程により、基板の表面に隔壁が形成される。
なお、本発明において、「無機粉体含有樹脂層を基板上に転写する」態様には、無機粉体含有樹脂層をガラス基板の表面に転写するような態様のほかに、無機粉体含有樹脂層を誘電体層の表面に転写するような態様も含まれるものとする。
(1)無機粉体含有樹脂層の転写工程:
無機粉体含有樹脂層の転写工程の一例を示せば以下のとおりである。
転写フィルムのカバーフィルムを剥離した後、誘電体層の表面に、無機粉体含有樹脂層の表面が当接されるように転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着した後、無機粉体含有樹脂層から支持フィルムを剥離除去する。これにより、誘電体層の表面に無機粉体含有樹脂層が転写されて密着した状態となる。ここで、転写条件は、例えば、加熱ローラの表面温度が80〜140℃、加熱ローラによるロール圧が1〜5kgf/cm2、加熱ローラの移動速度が0.1〜10.0m/分である。また
、ガラス基板は予熱されていてもよく、予熱温度は、例えば40〜100℃とすることができる。
(2)レジスト膜の形成工程:
この工程においては、転写された無機粉体含有樹脂層の表面にレジスト膜を形成する。このレジスト膜を構成するレジストとしては、ポジ型レジストおよびネガ型レジストのいずれであってもよい。
レジスト膜は、スクリーン印刷法、ロール塗布法、回転塗布法、流延塗布法など種々の方法によってレジストを塗布した後、塗膜を乾燥することにより形成することができる。塗膜の乾燥温度は、通常60〜130℃程度である。
また、支持フィルム上に形成されたレジスト膜を無機粉体含有樹脂層の表面に転写することによって、転写された無機粉体含有樹脂層の表面にレジスト膜を形成してもよい。このような形成方法によれば、レジスト膜の形成工程数を減らすことができるとともに、得られるレジスト膜の膜厚均一性が優れるため、該レジスト膜の現像処理および無機粉体含有樹脂層のエッチング処理が均一に行われ、形成される隔壁の高さおよび形状が均一なものとなる。
レジスト膜の膜厚は、通常0.1〜40μmであり、好ましくは0.5〜20μmである。
(3)レジスト膜の露光工程:
この工程においては、無機粉体含有樹脂層上に形成されたレジスト膜の表面に、露光用マスクを介して、紫外線などの放射線を選択的に照射(露光)して、レジストパターンの潜像を形成する。
ここに、放射線照射装置としては、特に制限はなく、前記フォトリソグラフィー法で使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置などが挙げられる。
(4)レジスト膜の現像工程:
この工程においては、露光されたレジスト膜を現像処理することにより、レジストパターン(潜像)を顕在化させる。
現像処理条件に関しては、レジスト膜の種類などに応じて、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、現像装置などを適宜選択することができる。
この現像工程により、レジスト残留部と、レジスト除去部とから構成されるレジストパターン(露光用マスクに対応するパターン)が形成される。
このレジストパターンは、次工程(エッチング工程)におけるエッチングマスクとして作用するものであり、レジスト残留部の構成材料(光硬化されたレジスト)は、無機粉体含有樹脂層の構成材料よりもエッチング液に対する溶解速度が小さいことが必要である。
(5)無機粉体含有樹脂層のエッチング工程:
この工程においては、無機粉体含有樹脂層をエッチング処理し、レジストパターンに対応する隔壁パターン層を形成する。
すなわち、無機粉体含有樹脂層のうち、レジストパターンのレジスト除去部に対応する部分がエッチング液に溶解されて選択的に除去される。そして、無機粉体含有樹脂層における所定の部分が完全に除去されて誘電体層が露出する。これにより、無機粉体含有樹脂層残留部と、無機粉体含有樹脂層除去部とから構成される隔壁パターン層が形成される。
エッチング処理条件に関しては、無機粉体含有樹脂層の種類などに応じて、エッチング液の種類・組成・濃度、処理時間、処理温度、処理方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、処理装置などを適宜選択することができる。
なお、エッチング液として、現像工程で使用した現像液と同一の溶液を使用することができるよう、レジスト膜および無機粉体含有樹脂層の種類を選択することにより、現像工程と、エッチング工程とを連続的に実施することが可能となり、工程の簡略化による製造効率の向上を図ることができる。
レジストパターンを構成するレジスト残留部は、エッチング処理の際に徐々に溶解され、隔壁パターン層が形成された段階(エッチング処理の終了時)で完全に除去されるものであることが好ましい。なお、エッチング処理後にレジスト残留部の一部または全部が残留していても、当該レジスト残留部は、次の焼成工程で除去される。
(6)隔壁パターン層の焼成工程:
この工程においては、隔壁パターン層を焼成処理して隔壁を形成する。これにより、無機粉体含有樹脂層残留部中の有機物質が焼失して隔壁が形成され、誘電体層の表面に隔壁が形成されてなるパネル材料を得ることができる。そして、このパネル材料において、隔壁により区画される空間(無機粉体含有樹脂層除去部に由来する空間)はプラズマ作用空間となる。
焼成処理の温度は、無機粉体含有樹脂層残留部中の有機物質が焼失される温度であることが必要であり、通常400〜600℃である。また、焼成時間は、通常10〜90分間である。
<フォトレジスト法を利用した好ましい実施態様>
本発明のPDPのパネル部材(構成要素)の形成方法は、上述した方法に限定されるも
のではない。
PDPの構成要素を形成するための他の好ましい方法として、下記(1)〜(3)の工程による形成方法を挙げることができる。
(1)支持フィルム上にレジスト膜を形成した後、当該レジスト膜上に本発明の無機粉体含有樹脂組成物を塗布、乾燥することにより無機粉体含有樹脂層を積層形成する。レジスト膜および無機粉体含有樹脂層を形成する際には、ロールコータなどを使用することができ、これにより、膜厚の均一性に優れた積層膜を支持フィルム上に形成することができる。
(2)支持フィルム上に形成されたレジスト膜と無機粉体含有樹脂層との積層膜を基板上に転写する。転写条件は、前記『無機粉体含有樹脂層の転写工程』における条件と同様でよい。
(3)前記『レジスト膜の露光工程』、『レジスト膜の現像工程』、『無機粉体含有樹脂層のエッチング工程』および『隔壁パターン層の焼成工程』と同様の操作を行う。その際、先に記載したように、レジスト膜の現像液と無機粉体含有樹脂層のエッチング液とを同一の溶液とし、『レジスト膜の現像工程』と『無機粉体含有樹脂層のエッチング工程』とを連続的に実施することが好ましい。
以上のような方法によれば、無機粉体含有樹脂層とレジスト膜とが基板上に一括転写されるので、工程の簡略化により製造効率を更に向上させることができる。
以上において、PDPの構成要素として「隔壁」を形成する方法について説明したが、この方法に準じて、PDPを構成する電極、抵抗体、誘電体層、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスなどを形成することもできる。
なお、感光性を有する本発明の無機粉体含有樹脂組成物を用いて、感光性を有する無機粉体含有樹脂層を有する転写フィルムを形成し、当該転写フィルムを構成する無機粉体含有樹脂層を基板上に転写し、転写された無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成し、当該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、隔壁、電極、抵抗体、誘電体層、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから選ばれるパネル部材(構成要素)を形成することもできる。好ましい感光性の無機粉体含有樹脂組成物としては、組成物中に感光性成分、例えば、光重合開始剤と多価(メタ)アクリレートを含有するものが挙げられる。
[実施例]
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を示す。
(1)ガラスペースト組成物(無機粉体含有樹脂組成物)の調製:
ガラス粉末(無機粉体)として、酸化鉛70質量%、酸化ホウ素10質量%、酸化ケイ素20質量%の組成を有するPbO−B23−SiO2系の混合物(軟化点500℃)1
00部、結着樹脂としてブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/ヒドロキシプロピルメタクリレート共重合体(重量比30/60/10、重量平均分子量:100,000)17部、特定可塑剤(C)としてポリプロピレングリコール−1エチルヘキシレート(商品名 ポリサイザーAS-300(大日本インキ化学工業(株)製))
4部、アルキルシリル基含有化合物としてn−デシルトリメトキシシラン0.5部、溶剤
としてプロピレングリコールモノメチルエーテル34.3部を分散機を用いて混練することにより、粘度が3000cpである本発明の組成物を調製した。
(2)転写フィルムの製造および評価(可撓性・取扱性):
上記(1)で調製した本発明の組成物を、予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる支持フィルム(幅400mm,長さ30m,厚さ38μm)上にブレードコーターを用いて塗布し、形成された塗膜を100℃で5分間乾燥することにより溶剤を除去し、これにより、厚さ50μmの無機粉体含有樹脂層を支持フィルム上に形成した。次いで、当該無機粉体含有樹脂層上に、予め離型処理したPETよりなるカバーフィルム(幅400mm,長さ30m,厚さ25μm)を貼り付けることにより、図2に示したような構成を有する本発明の転写フィルムを製造した。
得られた転写フィルムは柔軟性を有しており、ロール状に巻き取る操作を容易に行うことができた。また、この転写フィルムを折り曲げても、無機粉体含有樹脂層の表面にひび割れ(屈曲亀裂)が生じることはなく、当該無機粉体含有樹脂層は、優れた可撓性を有するものであった。
また、この転写フィルムからカバーフィルムを剥離し、無機粉体含有樹脂層の表面がガラス基板の表面に当接されるように、当該転写フィルム(支持フィルムと無機粉体含有樹脂層との積層体)を加圧することなく重ね合わせ、次いで、当該転写フィルムをガラス基板の表面から剥がしてみたところ、当該無機粉体含有樹脂層は、ガラス基板に対して適度な粘着性を示しており、しかも、当該無機粉体含有樹脂層に凝集破壊を起こすことなく転写フィルムを剥がすことができ、転写フィルムとしての取扱性(ハンドリング性)は良好なものであった。
(3)無機粉体含有樹脂層の転写:
上記(2)により得られた転写フィルムからカバーフィルムを剥離した後、20インチパネル用のガラス基板の表面(バス電極の固定面)に、無機粉体含有樹脂層の表面が当接されるように、当該転写フィルム(支持フィルムと無機粉体含有樹脂層との積層体)を重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ロールにより熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ロールの表面温度を110℃、ロール圧を3kgf/cm2、加熱ロールの移動速
度を1m/分とした。
熱圧着処理の終了後、ガラス基板の表面に固定(加熱接着)された無機粉体含有樹脂層から支持フィルムを剥離除去し、当該無機粉体含有樹脂層の転写を完了した。
この転写工程において、支持フィルムを剥離するときに、無機粉体含有樹脂層が凝集破壊を起こすようなことはなく、当該無機粉体含有樹脂層は十分大きな膜強度を有するものであった。さらに、転写された無機粉体含有樹脂層は、ガラス基板の表面に対して良好な接着性を有するものであった。
(4)無機粉体含有樹脂層の焼成(誘電体層の形成):
上記(3)により無機粉体含有樹脂層を転写形成したガラス基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を、常温から10℃/分の昇温速度で590℃まで昇温させ、590℃の温度雰囲気下30分間にわたって焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、ガラス焼結体よりなる無色透明の誘電体層を形成した。
この誘電体層の膜厚(平均膜厚および公差)を測定したところ30μm±0.4μmの範囲にあり、膜厚の均一性に優れているものであった。
また、得られた誘電体層の表面について、非接触膜厚計(菱光社製、NH-3)を用いて3次元測定を実施し、JIS規格(B 0601)に準じて表面粗さ(Ra、Ry、Rz)を求めたところ、Ra=0.12μm、Ry=0.67μm、Rz=0.43μmであり、表面平滑性に優れていた。
さらに、このようにして、誘電体層を有するガラス基板よりなるパネル材料を5台分作製し、形成された誘電体層の光透過率(測定波長600nm)を測定したところ89%であり、良好な透明性を有するものであることが認められた。
ガラス粉末中にクロム粉末を2質量%含む以外は、実施例1と同組成、同方法でガラスペースト組成物を調製した。その後、実施例1と同様にして転写フィルムを作製し、実施例1と同様にして誘電体層を形成した。
この誘電体層の膜厚(平均膜厚および公差)を測定したところ30μm±0.5μmの範囲にあり、膜厚の均一性に優れているものであった。
また、得られた誘電体層の表面について、実施例1と同様にして表面粗さ(Ra、Ry、Rz)を求めたところ、Ra=0.13μm、Ry=0.72μm、Rz=0.46μmであり、表面平滑性に優れていた。
さらに、このようにして、誘電体層を有するガラス基板よりなるパネル材料を5台分作製し、形成された誘電体層の光透過率(測定波長600nm)を測定したところ89%であり、良好な透明性を有するものであることが認められた。
交流型のプラズマディスプレイパネルの断面形状を示す模式図である。 (イ)は、本発明の転写フィルムを示す概略断面図であり、(ロ)は、当該転写フィルムの層構成を示す断面図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 ガラス基板
3 隔壁
4 透明電極
5 バス電極
6 アドレス電極
7 蛍光物質
8 誘電体層
9 誘電体層
10 保護層
F1 支持フィルム
F2 無機粉体含有樹脂層
F3 カバーフィルム

Claims (6)

  1. 〔A〕無機粉体、
    〔B〕結着樹脂、および
    〔C〕下記式(1)で示される化合物
    を含有することを特徴とする無機粉体含有樹脂組成物;
    Figure 2007137939
    (式(1)中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、Aは−COO−または−OCO−であり、nは1〜20の整数である。)。
  2. 〔A〕無機粉体、
    〔B〕結着樹脂、および
    〔C〕下記式(1)で示される化合物
    を含有する無機粉体含有樹脂層を有することを特徴とする転写フィルム;
    Figure 2007137939
    (式(1)中、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、Aは−COO−または−OCO−であり、nは1〜20の整数である。)。
  3. 支持フィルム上に、レジスト膜と前記無機粉体含有樹脂層とからなる積層膜を備えることを特徴とする請求項2記載の転写フィルム。
  4. 基板上に、請求項2に記載の転写フィルムが備える無機粉体含有樹脂層を転写する工程、および転写された無機粉体含有樹脂層を焼成する工程を含むことを特徴とするパネル部材の形成方法。
  5. 基板上に、請求項3に記載の転写フィルムが備える、レジスト膜と前記無機粉体含有樹脂層とからなる積層膜を、該無機粉体含有樹脂層が基板に当接するように転写する工程、
    該レジスト膜を露光処理してレジストパターンの潜像を形成する工程、
    該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させる工程、
    該無機粉体含有樹脂層をエッチング処理して、該レジストパターンに対応する無機粉体含有樹脂パターンを形成する工程、および
    該樹脂パターンを焼成処理する工程
    をこの順序で含むことを特徴とするパネル部材の形成方法。
  6. 請求項4または5に記載のパネル部材の形成方法によりパネル部材を形成する工程を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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