JP2008034153A - 無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびフラットパネルディスプレイの製造方法 - Google Patents

無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびフラットパネルディスプレイの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 透過率の低いブラックマトリクスを好適に形成することができる無機粉体含有樹脂組成物、当該無機粉体含有樹脂組成物からなる無機粉体含有樹脂層を有する転写フィルム、および、反射率および透過率が低く、遮光性に優れたブラックマトリクスを形成するフラットパネルディスプレイの製造方法を提供する。
【解決手段】(A)無機粉体として、(A−1)顔料、および(A−2)ガラス粉体、(B)結着樹脂、(C)光重合性モノマー、並びに(D)光重合開始剤を含有し、(A)無機粉体中に(A−2)ガラス粉体が占める割合が70〜95質量%である。
【選択図】図1

Description

本発明は、フラットパネルディスプレイのブラックマトリクスを形成するために好適な無機粉体含有樹脂組成物、該組成物からなる無機粉体含有樹脂層を有する転写フィルム、および、該転写フィルムを用いたフラットパネルディスプレイの製造方法に関する。
近年、平板状の蛍光表示体としてプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」ともいう。)、フィールドエミッションディスプレイ(以下「FED」ともいう。)などのフラットパネルディスプレイ(以下「FPD」ともいう。)が注目されている。PDPは、透明電極を形成し、近接した2枚のガラス板の間にアルゴンまたはネオンなどの不活性ガスを封入し、プラズマ放電を起こしてガスを光らせることにより、蛍光体を発光させて情報を表示するディスプレイである。一方、FEDは、電界印可によって陰極から真空中に電子を放出させ、その電子を陽極上の蛍光体に照射することにより、蛍光体を発光させて情報を表示するディスプレイである。
図1は交流型のPDPの断面形状を示す模式図の一例である。同図において、1および2は対向配置されたガラス基板、3は隔壁であり、ガラス基板1、ガラス基板2および隔壁3によりセルが区画形成されている。4はガラス基板1に固定された透明電極、5は透明電極4の抵抗を下げる目的で、当該透明電極4上に形成されたバス電極、6はガラス基板2に固定されたアドレス電極、7はセル内に保持された蛍光物質、8は透明電極4およびバス電極5を被覆するようガラス基板1の表面に形成された誘電体層、9はアドレス電極6は被覆するようガラス基板2の表面に形成された誘電体層、10は例えば酸化マグネシウムよりなる保護膜である。
また、カラー化にあっては、コントラストの高い画像を得るため、ガラス基板と誘電体層との間に、カラーフィルター(赤色・緑色・青色)やブラックマトリクスなどを設けることがある。
このようなフラットパネルディスプレイの誘電体、隔壁、電極、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックスマトリクスの製造方法としては、たとえば、
(1)非感光性の無機粉体含有ペーストを基板上にスクリーン印刷してパターンを形成し、これを焼成するスクリーン印刷法(たとえば特許文献1参照)や、
(2)感光性の無機粉体含有樹脂層を基板上に形成し、この膜にフォトマスクを介して紫外線を照射した上で現像することにより基板上にパターンを残存させ、これを焼成するフォトリソグラフィー法(たとえば特許文献2および3参照)
などが知られているが、厚膜パターンの形成工程が簡便であることや、パターン形状に優れていること等から、特に上記(2)のフォトリソグラフィー法が好適に用いられる。
しかしながら、特に上記ブラックマトリクスにおいては、画像のコントラストを高める目的で、光が画面外で反射して視認性の妨げにならないよう反射率の低い性能(好ましくは波長550nmまたは全光線での反射率が2%以下)と透過率が低い性能(好ましくは波長550nmまたは全光線での透過率が10%以下)を両立させる必要があり、これらの性能が、現状では未だ不十分である。
特開平6−321619号公報 特開平9−102273号公報 特開平11−162339号公報
本発明は、透過率の低いブラックマトリクスを好適に形成することができる無機粉体含有樹脂組成物、当該無機粉体含有樹脂組成物からなる無機粉体含有樹脂層を有する転写フィルム、および、反射率および透過率が低く、遮光性に優れたブラックマトリクスを形成するフラットパネルディスプレイの製造方法を提供することを課題とする。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、
(A)無機粉体として、(A−1)顔料、および(A−2)ガラス粉体、
(B)結着樹脂、
(C)光重合性モノマー、並びに
(D)光重合開始剤
を含有し、(A)無機粉体中に(A−2)ガラス粉体が占める割合が70〜95質量%であることを特徴とする。
本発明の転写フィルムは、支持フィルム上に、本発明の無機粉体含有樹脂組成物から得られる無機粉体含有樹脂層を有することを特徴とする。
本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法は、基板上に、前記転写フィルムの無機粉体含有樹脂層を転写する工程、
該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、および
該パターンを焼成処理する工程
を含む方法によりブラックマトリクスを形成することを特徴とする。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物を用いることにより、反射率および透過率の低いブラックマトリクスを好適に形成することができるとともに、可撓性および転写性(基板に対する加熱接着性)に優れた無機粉体含有樹脂層を有する転写フィルムを製造することができる。
本発明の転写フィルムを用いれば、反射率および透過率が低く、かつ、表面平滑性に優れたブラックマトリクスを効率的に形成することができるとともに、無機粉体含有樹脂層の可撓性に優れることから、該樹脂層の表面に屈曲亀裂(ひび割れ)が生じにくく、柔軟性に優れ、ロール状に巻き取る操作を容易に行うことができる。また、前記無機粉体含有樹脂層が好適な粘着性を示すことから、取扱性(ハンドリング性)も良好であり、さらに該樹脂層の転写性(基板に対する加熱接着性)に優れている。
本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法によれば、反射率および透過率の低いブラックマトリクスを高い位置精度で効率的に形成することができ、画像のコントラストの高いフラットパネルディスプレイを効率的に製造することができる。
以下、本発明に係る無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびフラットパネルディスプレイの製造方法について詳細に説明する。
〔無機粉体含有樹脂組成物〕
本発明の無機粉体含有樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう)は、
(A)無機粉体として、(A−1)顔料,および(A−2)ガラス粉体、
(B)結着樹脂、
(C)光重合性モノマー、並びに
(D)光重合開始剤
を含有する。本発明の組成物は、さらに(E)有機シラン化合物を含有してもよい。以下、本発明の組成物の各構成成分について具体的に説明する。
<(A)無機粉体>
本発明の組成物に用いられる無機粉体(A)としては、(A−1)顔料および(A−2)ガラス粉体を用いる。
(A−1)顔料としては、Mn、Fe、Cr、Ni、Co,Cu,Tiおよびこれらの酸化物および複合酸化物、四酸化三コバルト(Co)またはコバルト含有複合酸化物などが好ましく用いられる。これらの顔料は単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
顔料として四酸化三コバルトまたはコバルト含有複合酸化物を用いる場合は、その比表面積は、7.5m/g以上20m/g以下、好ましくは、10m/g以上20m/g以下である。四酸化三コバルトの比表面積が7.5m/g未満であると、光透過率の低いブラックマトリクスが得られない。また、20m/gを越えると、赤味がかった色のブラックマトリクスが形成されるなど、良好な黒色を有するブラックマトリックスを得られない恐れがあるため好ましくない。
なお、本発明で言う比表面積とは、無機粉体含有樹脂組成物に含有される四酸化三コバルトのBET法により求められる比表面積の平均値を言う。
また、四酸化三コバルトの平均粒子径は、通常、0.05〜5.0μm、好ましくは0.1〜0.5μmである。
(A−2)ガラス粉体としては、好ましくは軟化点が400〜500℃のガラス粉体が用いられる。ガラス粉体の軟化点が400℃未満である場合には、無機粉体含有樹脂層の焼成工程において、結着樹脂などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉体が溶融してしまうため、形成されるブラックマトリクス中に有機物質の一部が残留することがあり、得られるフラットパネルディスプレイ内にアウトガスが拡散する結果、蛍光体の寿命を低下させるおそれがある。一方、ガラス粉体の軟化点が500℃を超える場合には、無機粉体含有樹脂層を500℃より高温で焼成する必要があるため、該樹脂層の被転写体であるガラス基板に歪みなどが発生することがある。
上記ガラス粉体の好適な具体例としては、
(1)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カルシウム系(PbO−B23−SiO2−CaO 系)、
(2)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(ZnO−B23−SiO2系)、
(3)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(PbO−B23−SiO2−Al23系)、
(4)酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(PbO−ZnO−B23−SiO2系)、
(5)酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化チタン系(PbO−ZnO−B23−SiO2−TiO2系)、
(6)酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(Bi23−B23−SiO2系)、
(7)酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素系(ZnO−P25−SiO2系)、
(8)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化カリウム系(ZnO−B23−K2O系)、
(9)酸化リン、酸化ホウ素、酸化アルミニウム系(P25−B23−Al23系)、
(10)酸化亜鉛、酸化リン、酸化チタン系(ZnO−P25−TiO2系)混合物
(11)酸化ビスマス,酸化亜鉛,酸化ホウ素,酸化バリウム,酸化ケイ素系(Bi23−ZnO−B23−BaO−SiO2系)などを挙げることができる。これらのうち、無鉛ガラス、すなわち、上記(6)〜(11)等のガラス粉体が、混練後に得られる組成物の経時安定性の観点から好適に用いられる。
上記ガラス粉体の平均粒子径は0.1〜3.0μmであることが好ましい。
(A)無機粉体における、(A−1)顔料と(A−2)ガラス粉体との含有割合は、(A)無機粉体全量に対して、(A−1)顔料が、好ましくは5〜30質量%、(A−2)ガラス粉体が好ましくは70〜95質量%である。(A−1)顔料の割合が上記割合であることにより、当該顔料が焼成後も表面に析出することなくガラス粉体とともに膜内に埋包され、表面平滑性に優れ、反射率が低く遮光性に優れたブラックマトリクスが得られる。また、(A−2)ガラス粉体の割合が上記割合であることにより、表面平滑性に優れ、反射率が低く,遮光性に優れたブラックマトリクスが得られ、焼成後の基板に対する密着性や膜強度が良好となる効果が得られる。
特に本発明における無機粉体含有樹脂組成物においては、ガラスの含有量が高く、焼成後のブラックマトリクスの表面平滑性が向上したことにより,画面に当たって拡散反射する光の量が低下し、低い反射率が得られたと考えられる。
また、軟化点が400〜500℃のガラス粉体を用いて焼成することにより、ガラス基板表面付近における顔料の密度が高くなり、反射率の低いブラックマトリクスが得られたと考えられる。
また、本発明の無機粉体含有樹脂組成物には、(A−1)および(A−2)以外の無機粉体が含まれていてもよい。具体的には、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化セリウムなどの無機酸化物などが挙げられる。その他の無機粉体の含有量は、好ましくは無機粉体全量の30質量%以下である。
<(B)結着樹脂>
本発明の組成物を構成する結着樹脂(B)としては、種々の樹脂を用いることができるが、アルカリ可溶性樹脂を無機粉体100重量部に対して20〜75重量部含有する樹脂を用いることが好ましい。ここに、「アルカリ可溶性」とは、アルカリ性の現像液によって溶解し、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有する性質をいう。
かかるアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えばアクリル樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができるが、これらのうちアクリル樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸由来の構成単位および(メタ)アクリレート由来の構成単位の合計割合が、全構成単位の70質量%以上、好ましくは90質量%以上であるアクリル樹脂が、好ましい樹脂として挙げられる。
本発明の組成物が、結着樹脂(B)としてアクリル樹脂を含有することにより、該組成物から形成される無機粉体含有樹脂層は、基板に対する優れた(加熱)接着性を発揮する。したがって、本発明の組成物を支持フィルム上に塗布して製造した転写フィルムは、無機粉体含有樹脂層の転写性(基板への加熱接着性)に優れたものとなる。
上記アクリル樹脂としては、適度な粘着性を有して無機粉体を結着させることができ、無機粉体含有樹脂層の焼成処理(400℃〜600℃)によって完全に酸化除去される(共)重合体であることが望ましい。
このようなアクリル樹脂のうち、好ましいものとしては、下記のモノマー(イ)とモノマー(ハ)との共重合体、モノマー(イ)、モノマー(ロ)およびモノマー(ハ)の共重合体などのアクリル樹脂を挙げることができる。
モノマー(イ):カルボキシル基含有モノマー類
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなど。
モノマー(ロ):水酸基含有モノマー類
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類など。
モノマー(ハ):その他の共重合可能なモノマー類
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート類;
ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物など。
上記アクリル樹脂における各モノマー由来の構成単位の割合は、モノマー(イ)(カルボキシル基含有モノマー類)由来の構成単位が、通常、5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%であり、モノマー(ロ)(水酸基含有モノマー類)由来の構成単位が、通常、40質量%以下、好ましくは10〜30質量%であり、モノマー(ハ)(その他の共重合可能なモノマー類)由来の構成単位が、通常、95質量%以下、好ましくは40〜85質量%である。特に、モノマー(イ)としては、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましく用いられる。また、モノマー(ロ)としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が好ましく用いられる。さらに、モノマー(ハ)としては、アルキル(メタ)アクリレート類および脂環式(メタ)アクリレート類が好ましく用いられる。
特に、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10〜30質量%、水酸基含有モノマー由来の構成単位を10〜30質量%含有する樹脂が、現像中の基板との良好な密着性、現像後の良好なパターン形状が得られるという点で好ましく用いられる。
本発明に用いられる結着樹脂(B)の分子量としては、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」ともいう)で、3,000〜300,000、好ましくは10,000〜100,000である。また、樹脂の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)としては、1.0〜5.0、好ましくは1.0〜3.0である。
<(C)光重合性モノマー>
本発明の組成物は、光重合性モノマー(C)および光重合開始剤(D)を含有する感光性組成物である。光重合性モノマーは、露光により重合し、露光部分をアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性にする性質を有するものであり、好ましいものとして多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類;ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレート等のオリゴ(メタ)アクリレート類などを挙げることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリアクリレート及びそのポリアルキレングリコール付加物、ペンタエリストールトリアクリレート及びそのポリアルキレングリコール付加物などが特に好ましく用いられる。また、上記多官能性(メタ)アクリレートの分子量としては、100〜2,000であることが好ましい。
上記結着樹脂(B)及び光重合性モノマー(C)の総配合量は、無機粉体100質量部に対して、通常10〜80質量部、好ましくは20〜75質量部の範囲の量で用いられる。また、光重合性モノマー(C)は、結着樹脂(B)100質量部に対して、20〜150質量部、好ましくは50〜100質量部の範囲の量で用いられる。結着樹脂の量が過小である場合には、無機粉体を確実に結着保持することができないことがあり、一方、過大である場合には、焼成工程に長い時間を要したり、形成される焼結体が十分な強度や膜厚を有しないことがある。
<(D)光重合開始剤>
本発明で用いる光重合開始剤(D)としては、たとえば、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−アセタートなどのカルボニル化合物;アゾイソブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプタンジスルフィドなどの有機硫黄化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、パラメタンハイドロパーオキシドなどの有機パーオキシド;1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エチレニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリハロメタン類;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル1,2’−ビイミダゾールなどのイミダゾール二量体などが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイドなどが特に好ましく用いられる。
上記光重合開始剤(D)は、上記光重合性モノマー(C)100質量部に対して、通常0.1〜50.0質量部、好ましくは1.0〜30.0質量部の範囲の量で用いられる。
<(E)有機シラン化合物>
本発明の組成物は、上記無機粉体(A)、特にガラス粉体の分散性の向上および形成する転写フィルムの可塑化の向上を目的として、有機シラン化合物を含有してもよい。このような有機シラン化合物としては、下記一般式(1)で表される飽和アルキルアルコキシシランおよび一般式(2)で表わされるシランカップリング剤が挙げられる。
Figure 2008034153
(式(1)中、pは3〜20、好ましくは4〜16の整数、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数、aは1〜3の整数である。)
Figure 2008034153
(式(2)中、Rはメチレン基または炭素数2〜100のアルキレン基を表し、Yはビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基またはアミノ基を表し、Xは加水分解性基を表し、rは0から3の整数である。)
上記一般式(1)において、pの値が3未満の飽和アルキルアルコキシシランを用いる場合は、得られる無機粉体含有樹脂層において十分な可撓性が発現されない場合がある。一方、上記pの値が20を超える飽和アルキルアルコキシシランは分解温度が高いため、無機粉体含有樹脂層の焼成工程において、有機物質(前記シラン誘導体)が完全に分解除去されない段階でガラス粉体が溶融してしまい、形成される誘電体層中に有機物質の一部が残留することにより、誘電体層の光透過率が低下する場合がある。
上記一般式(1)で表される飽和アルキルアルコキシシランとして用いられるシラン類の具体例を以下に示す。
飽和アルキルジメチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=1)として、たとえば、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−イコサンジメチルメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジエチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=2)として、たとえば、n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−イコサンジエチルメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジプロピルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=3)として、たとえば、n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジプロピルメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジメチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=1)として、たとえば、n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサンジメチルエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジエチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=2)として、たとえば、n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサンジエチルエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジプロピルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=3)として、たとえば、n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−イコサンジプロピルエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジメチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=1)として、たとえば、n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−イコサンジメチルプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジエチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=2)として、たとえば、n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−イコサンジエチルプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジプロピルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=3)として、たとえば、n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルメチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=1)として、たとえば、n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−イコサンメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルエチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=2)として、たとえば、n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−イコサンエチルジメトキシシランなどが挙げられている。
飽和アルキルプロピルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=3)として、たとえば、n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−イコサンプロピルジメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルメチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=1)として、たとえば、n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−イコサンメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルエチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=2)として、たとえば、n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−イコサンエチルジエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルプロピルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=3)として、たとえば、n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−イコサンプロピルジエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルメチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=1)として、たとえば、n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−イコサンメチルジプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルエチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=2)として、たとえば、n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−イコサンエチルジプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルプロピルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=3)として、たとえば、n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−イコサンプロピルジプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルトリメトキシシラン類(a=3,m=1)として、たとえば、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−イコサントリメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルトリエトキシシラン類(a=3,m=2)として、たとえば、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−イコサントリエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルトリプロポキシシラン類(a=3,m=3)として、たとえば、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−イコサントリプロポキシシランなどが挙げられる。
上記一般式(2)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル基含有シラン化合物;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シラン化合物;
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ基含有シラン化合物;
3−グリシドキシプロピルトリメエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物;
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン化合物等が挙げられる。
上記有機シラン化合物は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記シラン類の中では、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが特に好ましい。
上記有機シラン化合物は、無機粉体全量100質量部に対して、通常10質量部以下、好ましくは0.001〜5質量部の量で用いられる。有機シラン化合物の量が過大である場合には、無機粉体含有樹脂組成物を保存する際に粘度が経時的に上昇する場合がある。
<その他の成分>
本発明の組成物は、転写フィルムに良好な柔軟性を与えるために、上記結着樹脂(B)の補助剤として可塑性剤を含有していてもよい。可塑剤を含有する組成物から形成される無機粉体含有樹脂層は、十分な柔軟性を有するものとなることから、該樹脂層を有する転写フィルムは、折り曲げても該樹脂層の表面に微小な亀裂(ひび割れ)が発生することがなく、また、ロール状に容易に巻き取ることができる。
上記可塑性剤としては、たとえば、ポリプロピレングリコール、前述した(メタ)アクリレート化合物などの共重合性単量体、後述する溶剤などの他、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジブチルジグリコールアジペート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノオレートなどが挙げられる。これらの中で沸点が150℃以上のものが好ましい。このような可塑剤は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の組成物は、任意成分として、分散剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、レベリング剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、連鎖移動剤などの各種添加剤を含有してもよい。なお、上記分散剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等の有機脂肪酸が好ましく用いられる。
<溶剤>
本発明の組成物は、通常、溶剤を含有する。このような溶剤としては、無機粉体との親和性、結着樹脂の溶解性が良好で、無機粉体含有樹脂組成物に適度な粘性を付与することができるとともに、乾燥処理することにより容易に蒸発除去できるものであることが好ましい。
また、特に好ましい溶剤として、標準沸点(1気圧における沸点)が60〜200℃であるケトン類、アルコール類およびエステル類(以下、これらを「特定溶剤」という。)を挙げることができる。
上記特定溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;
n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;
酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;
乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;
メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類などを挙げることができる。これらの中では、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネートなどが好ましい。これらの特定溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記特定溶剤以外の使用可能な溶剤としては、たとえば、テレビン油、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどを挙げることができる。
上記溶剤は組成物の粘度を好適な範囲に維持する観点から、無機粉体(A)100質量部に対して5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部の範囲で用いられる。また、全溶剤に対する特定溶剤の割合は、50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、上記無機粉体(A)、結着樹脂(B)、特定分散剤(C)、溶剤および必要に応じて用いられるその他の成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、サンドミルなどの混練・分散機を用いて混練することにより調製することができる。
なお、本発明の組成物の粘度は0.1〜10Pa・sであることが好ましい。
〔転写フィルム〕
本発明の転写フィルムは、支持フィルム上に、本発明の組成物から得られる無機粉体含有樹脂層、すなわち、
(A)無機粉体として、(A−1)顔料および(A−2)ガラス粉体、
(B)結着樹脂、
(C)光重合性モノマー、並びに
(D)光重合開始剤
を含有する無機粉体含有樹脂層を有し、必要に応じて該樹脂層の表面上にカバーフィルムを有していてもよい。
以下、転写フィルムの各構成要素について具体的に説明する。
<支持フィルム>
本発明の転写フィルムは、無機粉体含有樹脂層を支持する支持フィルムを有する。この支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコーター、ブレードコーターなどによって支持フィルムの表面に無機粉体含有樹脂組成物を塗布することができ、得られる転写フィルムをロール状に巻回した状態で保存または供給することができる。
支持フィルムを形成する樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどを挙げることができる。
支持フィルムの厚みは、たとえば20〜100μmである。また、支持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましく、これにより、ガラス基板への転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
<カバーフィルム>
本発明の転写フィルムにおいては、無機粉体含有樹脂層の表面を保護するために該樹脂層の表面上にカバーフィルムが設けられていてもよい。このカバーフィルムは、可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましく、これにより、得られる転写フィルムをロール状に巻回した状態で保存または供給することができる。
カバーフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどを挙げることができる。
<無機粉体含有樹脂層>
無機粉体含有樹脂層は、本発明の組成物を支持フィルム上に塗布し、得られる塗布膜を乾燥して溶剤の全部または一部を除去することにより形成される。
本発明の組成物を支持フィルム上に塗布する方法としては、膜厚の均一性が高く、かつ膜厚が大きい(たとえば10μm以上)塗膜を高い効率で形成することができる方法であることが好ましく、具体的には、ロールコーターによる塗布方法、ブレードコーターによる塗布方法、カーテンコーターによる塗布方法、ワイヤーコーターによる塗布方法などが挙げられる。無機粉体含有樹脂層の膜厚は、通常、1〜20μmである。
塗膜の乾燥条件としては、たとえば、50〜150℃で0.5〜30分間程度であり、乾燥後における溶剤の残存割合(無機粉体含有樹脂層中の含有率)は、通常、2質量%以内である。
〔フラットパネルディスプレイの製造方法〕
本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法としては、
(1)基板上に、本発明の転写フィルムの無機粉体含有樹脂層を転写する工程、
(2)該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
(3)該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、および
(4)該パターンを焼成処理する工程
を含む方法によりブラックマトリクスを形成することを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
(1)無機粉体含有樹脂層の転写工程
無機粉体含有樹脂層の転写工程の一例を示せば以下のとおりである。
転写フィルムのカバーフィルムを剥離した後、ガラス基板の表面に、無機粉体含有樹脂層の表面が当接されるように転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着する。これにより、ガラス基板の表面に無機粉体含有樹脂層が転写されて密着した状態となる。転写条件としては、たとえば、加熱ローラの表面温度が80〜140℃、加熱ローラによるローラ圧が0.09〜0.50MPa、加熱ローラの移動速度が0.1〜10.0m/分である。また、ガラス基板は予熱されていてもよく、予熱温度としては、たとえば40〜100℃とすることができる。
(2)無機粉体含有樹脂層の露光工程
この工程においては、無機粉体含有樹脂層の表面に、露光用マスクを介して、紫外線などの放射線を選択的に照射(露光)して、レジストパターンの潜像を形成する。
露光の際に用いられる紫外線照射装置としては、特に限定されず、フォトリソグラフィー法で一般的に使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置などが挙げられる。
なお、無機粉体含有樹脂層上に被覆されている支持フィルムは剥離しない状態で露光工程を行い、露光後に剥離することが好ましい。
(3)無機粉体含有樹脂層の現像工程
この工程においては、露光された無機粉体含有樹脂層を現像処理することにより、レジストパターン(潜像)を顕在化させる。
現像処理条件としては、無機粉体含有樹脂層の構成成分の種類などに応じて、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(たとえば、浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、現像装置などを適宜選択することができる。
この現像工程により、無機粉体含有樹脂パターン(露光用マスクに対応するパターン)が形成される。
(4)無機粉体含有樹脂パターンの焼成工程
この工程においては、無機粉体含有樹脂パターンを焼成処理してブラックマトリクスを形成する。これにより、樹脂層残留部中の有機物質が焼失してブラックマトリクスが形成される。
焼成処理の温度としては、有機物質が焼失される温度であることが必要であり、通常400〜600℃である。また、焼成時間は、通常10〜90分間である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を示す。
<実施例1>
(1)無機粉体含有樹脂組成物の調製:
(A)無機粉体として、(A−1)比表面積11.2m/g、平均粒径0.3μmの四酸化三コバルト(Co:以下「顔料A」という。)10部、(A−2)平均粒径0.6μmのBi23−ZnO−B23−BaO−SiO2系ガラスフリット(不定形、軟化点450℃:以下「ガラスA」という。)100部、(B)結着樹脂としてベンジルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタアクリレート/メタクリル酸/2−ヒドロキシプロピルメタクリレート=55/10/20/15(質量%)共重合体(Mw=35000:以下「ポリマーA」という。)48部、(C)光重合性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート(以下「光重合性モノマーA」という。)12部、トリプロピレングリコールジアクリレート(以下「光重合性モノマーB」という。)12部(D)光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(以下「開始剤A」という。)4部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン 2部、(以下「開始剤B」という。)(E)有機シラン化合物として3−メタクリロキシプロピルメトキシシラン0.4部、その他任意成分としてオレイン酸0.2部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル125部をビーズミルで混練りした後、ステンレスメッシュ(500メッシュ、25μm径)でフィルタリングすることにより、無機粉体含有樹脂組成物(I)を調整した。
(2)転写フィルムの作製:
上記(1)で調製した無機粉体含有樹脂組成物(I)を、予め離型処理した膜厚38μmのPETフィルムよりなる支持フィルム上にブレードコーターを用いて塗布し、塗膜を100℃で3分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ10μmの無機粉体含有樹脂層を支持フィルム上に形成した、本発明の転写フィルムを作製した。
(3)転写フィルムの転写工程:
上記(2)で作製した転写フィルムを用い、ガラス基板の表面に、無機粉体含有樹脂層の表面が当接されるよう当該転写フィルムを重ね合わせ加熱ローラで熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ローラの表面温度を80℃、ロール圧を0.25MPa、加熱ローラの移動速度を0.5m/分とした。これにより、ガラス基板の表面に転写フィルムが転写されて密着した状態となった。
(4)無機粉体含有樹脂層の露光工程・現像工程:
ガラス基板上に形成された無機粉体含有樹脂層に対して、露光用マスク(5cm×5cm)を介して、支持フィルム上より超高圧水銀灯により、i線(波長365nmの紫外線)を照射し、無機粉体含有樹脂層にパターンの潜像を形成した。ここに、照射量は200mJ/cmとした。露光後、支持フィルムを剥離除去し、次いで、液温30℃の0.3質量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液とするシャワー法により現像処理を30秒間行い、続いて、超純水を用いて水洗を行った。
これにより、紫外線が照射されていない部分の無機粉体含有樹脂を除去し、無機粉体含有樹脂パターンを形成した。
例えば,ガラス基板上に上記の方法にて無機粉体含有パターンを形成した後,さらにペーストをスクリーン印刷で積層し,パターニングするようなプロセスを経る場合,一度,上記の無機粉体含有樹脂パターンを190℃〜220℃のオーブン等でポストベークさせることで積層するペースト中に含有される溶剤によって無機粉体含有樹脂パターンが崩れることなく積層させることができる。これによって同時に2層を焼成させることができるため,焼成工程の短縮が可能になる。
(5)焼成工程:
無機粉体含有樹脂パターンが形成されたガラス基板を520℃の温度雰囲気下で30分間焼成処理した。これにより、ガラス基板の表面に厚み2.0μmのブラックマトリクスが形成された。
(6)ブラックマトリクスの透過率評価:
得られた5cm×5cm形状のブラックマトリクスを用いて、分光光度計((株)島津製作所製UV−2450PC、(株)島津製作所製マルチパーパス大形試料室ユニットMPC−2200付属、以下同じ)を用いて、波長550nmでの透過率を測定したところ、9.10%であり、優れた遮光性を示した。
(7)ブラックマトリクスの反射率評価:
得られた5cm×5cm形状のブラックマトリクスを用いて、分光光度計を用いて、波長550nmでの反射率を測定したところ、0.72%であり、優れた低反射性を示した。
<実施例2>
(A)無機粉体として、(A−1)顔料Aを30部、(A−2)ガラスAを80部とした以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製、ブラックマトリクスの形成および評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。

<実施例3>
無機粉体として、(A−1)顔料Aを20部、(A−2)ガラスAを90部、(B)結着樹脂としてベンジルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタアクリレート/メタクリル酸/2−ヒドロキシプロピルメタクリレート=40/30/15/15(質量%)共重合体(Mw=35000:以下「ポリマーB」という。)18部、(C)光重合性モノマーとして光重合性モノマーAを6部、光重合性モノマーBを6部、(D)光重合開始剤として開始剤Aを2部、開始剤Bを1部、(E)有機シラン化合物として3−メタクリロキシプロピルメトキシシラン0.2部、その他任意成分としてオレイン酸0.3部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル90部とした以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製、ブラックマトリクスの形成および評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。

<実施例4>
実施例3中,(A−1)顔料AをMn−Cu−Co系の顔料(以下「顔料B」という。)とした以外は実施例3と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製、ブラックマトリクスの形成および評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。

<実施例5>
実施例3中,(A−1)顔料AをMn-Fe系の顔料(以下「顔料C」という。)とした以外は実施例3と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製、ブラックマトリクスの形成および評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。

<比較例1>
(A)無機粉体として、(A−1)顔料Aを40部、(A−2)平均粒径0.6μmのBi23−B23−SiO2系ガラスフリット(不定形、軟化点516℃:以下「ガラスB」という。)70部、(B)結着樹脂としてポリマーAを180部、(C)光重合性モノマーとして光重合性モノマーAを90部、光重合性モノマーBを90部(D)光重合開始剤として開始剤Aを14部、開始剤Bを6部、(E)有機シラン化合物として3−メタクリロキシプロピルメトキシシラン2部、その他任意成分としてオレイン酸3部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル 450部とした以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製、ブラックマトリクスの形成および評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
Figure 2008034153
交流型のPDPの断面形状を示す模式図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 ガラス基板
3 隔壁
4 透明電極
5 バス電極
6 アドレス電極
7 蛍光物質
8 誘電体層
9 誘電体層
10 保護層
11 隔壁

Claims (6)

  1. (A)無機粉体として、(A−1)顔料,および(A−2)ガラス粉体、
    (B)結着樹脂、
    (C)光重合性モノマー、並びに
    (D)光重合開始剤
    を含有し、かつ(A)無機粉体中に(A−2)ガラス粉体が占める割合が70〜95質量%であることを特徴とする、無機粉体含有樹脂組成物。
  2. (A−2)ガラス粉体として、軟化点が400〜500℃のガラス粉体を含有する、請求項1記載の無機粉体含有樹脂組成物。
  3. (B)結着樹脂が、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10〜30質量%、水酸基含有モノマー由来の構成単位を10〜30質量%含有する樹脂である、請求項1記載の無機粉体含有性樹脂組成物。
  4. (E)有機シラン化合物をさらに含有する、請求項1記載の無機粉体含有樹脂組成物。
  5. 支持フィルム上に、請求項1乃至4記載の無機粉体含有樹脂組成物から得られる無機粉体含有樹脂層を有することを特徴とする、転写フィルム。
  6. 基板上に、請求項5に記載の転写フィルムの無機粉体含有樹脂層を転写する工程、
    該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
    該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、および
    該パターンを焼成処理する工程
    を含む方法によりブラックマトリクスを形成することを特徴とする、フラットパネルディスプレイの製造方法。
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