JP2008239648A - 無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびフラットパネルディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびフラットパネルディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

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達也 阿部
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聡 岩本
Takafumi Itano
考史 板野
Shingo Saida
真吾 齋田
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Abstract

【課題】低温焼成可能で、かつ厚膜であっても放射線に対する感度が良好なペーストを提供すること。
【解決手段】 (A)ガラス粉体、(B)結着樹脂、(C)多官能性(メタ)アクリレート、並びに(D)光重合開始剤を含有し、ガラス粉体のD50およびD90、比表面積が以下の範囲にあることを特徴とする無機粒子含有樹脂組成物。
比表面積≦3.5m/g
1.0μm≦D50≦4.0μm
D90≦10μm
【選択図】なし

Description

本発明は、フラットパネルディスプレイパネルの絶縁層を形成するために好適な無機粉体含有樹脂組成物、該組成物からなる無機粉体含有樹脂層を有する転写フィルム、および、該転写フィルムを用いたフラットパネルディスプレイパネルの製造方法に関する。
近年、平板状の蛍光表示体としてプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」ともいう。)やフィールドエミッションディスプレイ(以下「FED」ともいう。)などのフラットパネルディスプレイ(以下「FPD」ともいう。)が注目されている。
PDPは、透明電極を形成し、近接した2枚のガラス板の間にアルゴンまたはネオンなどの不活性ガスを封入し、プラズマ放電を起こしてガスを光らせることにより、蛍光体を発光させて情報を表示するディスプレイである。一方、FEDは、電子放出方式により様々な呼称があるものの、基本原理としては電界印可によって陰極から真空中に電子を放出させ、その電子を陽極上の蛍光体に照射することにより、蛍光体を発光させて情報を表示するディスプレイである。図1に交流型PDPの、図2に従来公知のSpindt型FEDの断面形状の模式図を示す。
また、カラーFPDにおいては、コントラストの高い画像を得るため、ガラス基板と誘電体層との間に、カラーフィルター(赤色・緑色・青色)やブラックマトリックスなどを設けることがある。
FPD部材である誘電体、隔壁、電極、抵抗体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックス等の形成方法としては、フォトリソグラフィー法が好適である。フォトリソグラフィー法とは、無機粒子とビヒクルとを含むペースト状の感光性組成物からなる層を基板等の表面に形成し、これを露光および現像することによりパターンを形成し、次いで該パターンを焼成して有機物質を除去し、無機粒子を焼結させる方法である。特に、前記感光性組成物から形成される層を有する転写フィルムを用いて、基板等の表面に転写することを特徴とするフォトリソグラフィー法は、厚みの均一性に優れた膜が得られるとともに、作業効率が改善されることから非常に好ましい。
上述した方法で、FPD部材を形成する場合、焼成工程で有機物質が除去されて膜厚が小さくなるので、転写層は形成すべきFPD部材の膜厚の1.2〜2.0倍程度とすることが必要である。しかしながら、転写層の厚みが大きいと、露光の際に感光性組成物中の無機粒子により光線が散乱され、厚み方向の感度が不足し、層表面近傍のみが感光することとなる。そのため、現像の際にパターンの側壁がえぐれた形状になりやすく、パターン形状が均一かつ良好なFPD部材が得られにくい。また、現像の際にパターンの側壁がえぐられた状態で焼成処理を行うと、パターンが剥離したり、変形がひどくなったりする場合がある。
そこで、一度の露光で高アスペクト比かつ良好な形状を得るため、無機成分と有機成分との界面における光の散乱や回折を抑制するために、フィルム中の有機成分の屈折率と無機成分の屈折率とを整合する方法が検討されている(特許文献1参照)。
特開平9-92137号公報
一方、近年省エネやコストダウンの観点から、様々な焼成条件が検討されており、低温焼成可能な材料が望まれる。そのために低軟化点のガラス微粒子を用いた材料開発が求められている。しかしながら、一般に屈折率と軟化点はトレードオフの関係にあり、低軟化点かつ低屈折率のガラス微粒子を得ることは非常に困難であるという問題がある。
本発明は、上記の問題に鑑み、低温焼成可能で、かつ厚膜であっても放射線に対する感度が良好なペーストを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、無機粉体含有樹脂組成物に特定の比表面積および平均粒径を有するガラス粉体を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、
(A)ガラス粉体
(B)結着樹脂、
(C)多官能性(メタ)アクリレート、並びに
(D)光重合開始剤
を含有することを特徴とする。
また、前記ガラス粉体のD50およびD90、比表面積が以下の範囲にあることを特徴とする。
比表面積≦3.5m/g
1.0μm≦D50≦4.0μm
D90≦10μm
本発明の転写フィルムは、支持フィルム上に、本発明のガラス含有樹脂組成物から得られる無機粉体含有樹脂層を有することを特徴とする。
本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法は、基板上に、前記転写フィルムの無機粉体含有樹脂層を転写する工程、
該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、および
該パターンを焼成処理する工程
を含む方法により絶縁膜層を形成することを特徴とする。
無機粉体含有樹脂組成物に特定のガラス粉体を用いることにより、有機成分と無機成分との界面での反射・散乱を低減し、光透過性が向上し、深部まで硬化させることが可能となり、アスペクト比が高いパターン加工が可能となった。
以下、本発明に係る無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびフラットパネルディスプレイの製造方法について詳細に説明する。
〔無機粉体含有樹脂組成物〕
本発明の無機粉体含有樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう)は、
(A)ガラス粉体
(B)結着樹脂、
(C)多官能性(メタ)アクリレート、並びに
(D)光重合開始剤
を含有する。本発明の組成物は、さらに(E)有機シラン化合物を含有してもよい。以下、本発明の組成物の各構成成分について具体的に説明する。
<(A)ガラス粉体>
本発明に用いられるガラス微粒子の粒径は、作成しようとするパターン形状を考慮して選ばれるが、D50が1〜4μmの範囲であることが好ましい。ここに、D50とは粒度分布における、小粒子側から計算した累積50%の値を表す。D50が1μm以下であると、樹脂に対して同体積のガラス微粒子を添加した場合に、ガラス微粒子の表面積が大きくなるために、ガラス微粒子と樹脂の界面で光の散乱・反射が大きくなり内部への光線透過率が低下される。また、D50が4μmより大きい場合には、パターン端のがたつき等が顕著になり好ましくない。さらに、D90(粒度分布における、小粒子側から計算した累積90%の値)が10μm以下とすることで、がたつきのない良好なパターン形成性を得ることができる。
また、上記ガラス粉体の比表面積は3.5m/g以下であることが好ましい。
上記ガラス粉体の比表面積が3.5m/g以下であることにより、ガラス微粒子と樹脂の界面で光の散乱・反射が低減され、膜厚方向への光線透過率が上昇し、精度のよいパターンを得ることができる。また、上記ガラス粉体の比表面積が3.5m/gより大きい場合には、ガラス粉体がペースト中で凝集を起こし、ペーストや転写フィルムの保存安定性が悪化する。なお、本発明においては上記ガラス粉体の比表面積の下限値については特に限定されないが、実質的な入手可能性等の観点からは0.1m/g以上であればよい。
さらに、上記ガラス粉体の軟化点は400〜550℃であることが好ましい。軟化点が上記範囲にあることで、低温焼成可能でパターン形成性の良好な無機粉体含有樹脂組成物が得られる。
上記ガラス粉体の好適な具体例としては、
(1)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カルシウム系(PbO−B23−SiO2−CaO 系)、
(2)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(ZnO−B23−SiO2系)、
(3)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(PbO−B23−SiO2−Al23系)、
(4)酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(PbO−ZnO−B23−SiO2系)、
(5)酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化チタン系(PbO−ZnO−B23−SiO2−TiO2系)、
(6)酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(Bi23−B23−SiO2系)、
(7)酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素系(ZnO−P25−SiO2系)、
(8)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化カリウム系(ZnO−B23−K2O系)、
(9)酸化リン、酸化ホウ素、酸化アルミニウム系(P25−B23−Al23系)、
(10)酸化亜鉛、酸化リン、酸化チタン系(ZnO−P25−TiO2系)
(11)酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化亜鉛系(Bi23−B23−ZnO系)、
混合物などを挙げることができる。これらのうち、無鉛ガラス、すなわち、上記(6)〜(11)等のガラス粉体が、混練後に得られる組成物の経時安定性の観点から好適に用いられる。
本発明のように低温焼成に対応した低軟化点のガラス粉体を得るためには、酸化ビスマスや酸化鉛、酸化亜鉛などの軟化点を低下させる成分を多く含む組成にする必要がある。しかしながら、酸化鉛は環境的な側面から使用を避ける必要があり、また酸化亜鉛はカルボン酸含有ポリマーとの間で保存安定性の面で悪影響を及ぼす。また、酸化ビスマスの含有量が高くなると一般にガラスの屈折率が上昇するために、軟化点の低いガラスは屈折率が高いものとなってしまう。例えば上記Bi23−B23−ZnO系において、軟化点400〜550℃のガラスを得ようとした場合、その屈折率は1.8以上となる。
また、ペーストおよび転写フィルムの保存安定性といった観点から上記ガラス粉体中に含まれる酸化亜鉛は酸化物換算で10重量%以下であり、酸化バリウムは、酸化物換算で3重量%以下であることが好ましい。これらの成分が上記の範囲より多くなると、経時変化によってペースト粘度が上昇し、現像時に溶解性が悪化する傾向にある。
<(B)結着樹脂>
本発明の組成物を構成する結着樹脂(B)としては、種々の樹脂を用いることができるが、アルカリ可溶性樹脂を20〜100質量%の割合で含有する樹脂を用いることが好ましい。ここに、「アルカリ可溶性」とは、アルカリ性の現像液によって溶解し、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有する性質をいう。
かかるアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えばアクリル樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができるが、これらのうちアクリル樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸由来の構成単位および(メタ)アクリレート由来の構成単位の合計割合が、全構成単位の70質量%以上、好ましくは90質量%以上であるアクリル樹脂が、好ましい樹脂として挙げられる。
本発明の組成物が、結着樹脂(B)としてアクリル樹脂を含有することにより、該組成物から形成される無機粉体含有樹脂層は、基板に対する優れた(加熱)接着性を発揮する。したがって、本発明の組成物を支持フィルム上に塗布して製造した転写フィルムは、無機粉体含有樹脂層の転写性(基板への加熱接着性)に優れたものとなる。
上記アクリル樹脂としては、適度な粘着性を有してガラス粉体を結着させることができ、無機粉体含有樹脂層の焼成処理(400℃〜600℃)によって完全に酸化除去される(共)重合体であることが望ましい。
このようなアクリル樹脂のうち、好ましいものとしては、下記のモノマー(イ)とモノマー(ハ)との共重合体、モノマー(イ)、モノマー(ロ)およびモノマー(ハ)の共重合体などのアクリル樹脂を挙げることができる。
モノマー(イ):カルボキシル基含有モノマー類
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなど。
モノマー(ロ):水酸基含有モノマー類
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類など。
モノマー(ハ):その他の共重合可能なモノマー類
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート類;
ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物など。
上記アクリル樹脂における各モノマー由来の構成単位の割合は、モノマー(イ)(カルボキシル基含有モノマー類)由来の構成単位が、通常、5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%であり、モノマー(ロ)(水酸基含有モノマー類)由来の構成単位が、通常、40質量%以下、好ましくは10〜30質量%であり、モノマー(ハ)(その他の共重合可能なモノマー類)由来の構成単位が、通常、95質量%以下、好ましくは40〜85質量%である。特に、モノマー(イ)としては、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましく用いられる。また、モノマー(ロ)としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が好ましく用いられる。さらに、モノマー(ハ)としては、アルキル(メタ)アクリレート類および脂環式(メタ)アクリレート類が好ましく用いられる。
特に、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10〜30部、水酸基含有モノマー由来の構成単位を10〜30部含有する樹脂が、現像中の基板との良好な密着性、現像後の良好なパターン形状が得られるという点で好ましく用いられる。
本発明に用いられる結着樹脂(B)の分子量としては、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」ともいう)で、3,000〜300,000、好ましくは10,000〜100,000である。また、樹脂の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)としては、1.0〜5.0、好ましくは1.0〜3.0である。

本発明の組成物において、上記結着樹脂(B)は、上記ガラス粉体100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは10〜40重量部の範囲で用いられる。結着樹脂を前記範囲内で含有することにより、形状が良好なパターンを形成することができる。

<(C)多官能性(メタ)アクリレート>
本発明の組成物は、多官能性(メタ)アクリレート(C)および光重合開始剤(D)を含有する感光性組成物である。多官能性(メタ)アクリレートは、露光により重合し、露光部分をアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性にする性質を有するものであり、好ましいものとして多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類;ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレート等のオリゴ(メタ)アクリレート類などを挙げることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリアクリレート及びそのポリアルキレングリコール付加物、ペンタエリストールトリアクリレート及びそのポリアルキレングリコール付加物などが特に好ましく用いられる。また、上記多官能性(メタ)アクリレートの分子量としては、100〜2,000であることが好ましい。
上記結着樹脂(B)及び多官能性(メタ)アクリレート(C)の総配合量は、ガラス粉体100質量部に対して、通常1〜100質量部、好ましくは5〜60質量部の範囲の量で用いられる。また、多官能性(メタ)アクリレート(C)は、結着樹脂(B)100質量部に対して、10〜200質量部、好ましくは100〜150質量部の範囲の量で用いられる。結着樹脂の量が過小である場合には、ガラス粉体を確実に結着保持することができないことがあり、一方、過大である場合には、焼成工程に長い時間を要したり、形成される焼結体が十分な強度や膜厚を有しないことがある。
<(D)光重合開始剤>
本発明で用いる光重合開始剤(D)としては、たとえば、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−アセタートなどのカルボニル化合物;アゾイソブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプタンジスルフィドなどの有機硫黄化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、パラメタンハイドロパーオキシドなどの有機パーオキシド;1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エチレニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリハロメタン類;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル1,2’−ビイミダゾールなどのイミダゾール二量体などが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイドなどが特に好ましく用いられる。
上記光重合開始剤(D)は、上記多官能性(メタ)アクリレート(C)100質量部に対して、通常0.1〜50.0質量部、好ましくは1.0〜30.0質量部の範囲の量で用いられる。
<(E)有機シラン化合物>
本発明の組成物は、上記ガラス粉体(A)、特にガラス粉体の分散性の向上および形成する転写フィルムの可塑化の向上を目的として、有機シラン化合物を含有してもよい。このような有機シラン化合物としては、下記一般式(1)で表される飽和アルキルアルコキシシランおよび一般式(2)で表わされるシランカップリング剤が挙げられる。
Figure 2008239648
(式(1)中、pは3〜20、好ましくは4〜16の整数、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数、aは1〜3の整数である。)
Figure 2008239648
(式(2)中、Rはメチレン基または炭素数2〜100のアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、Yはビニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基またはアミノ基を表し、Xは加水分解性基を表し、rは0から3の整数である。)
上記一般式(1)において、pの値が3未満の飽和アルキルアルコキシシランを用いる場合は、得られる無機粉体含有樹脂層において十分な可撓性が発現されない場合がある。一方、上記pの値が20を超える飽和アルキルアルコキシシランは分解温度が高いため、無機粉体含有樹脂層の焼成工程において、有機物質(前記シラン誘導体)が完全に分解除去されない段階でガラス粉体が溶融してしまい、形成される誘電体層中に有機物質の一部が残留することにより、誘電体層の光透過率が低下する場合がある。
上記一般式(1)で表される飽和アルキルアルコキシシランとして用いられるシラン類の具体例を以下に示す。
飽和アルキルジメチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=1)として、たとえば、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−イコサンジメチルメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジエチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=2)として、たとえば、n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−イコサンジエチルメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジプロピルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=3)として、たとえば、n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジプロピルメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジメチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=1)として、たとえば、n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサンジメチルエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジエチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=2)として、たとえば、n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサンジエチルエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジプロピルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=3)として、たとえば、n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−イコサンジプロピルエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジメチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=1)として、たとえば、n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−イコサンジメチルプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジエチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=2)として、たとえば、n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−イコサンジエチルプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジプロピルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=3)として、たとえば、n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルメチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=1)として、たとえば、n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−イコサンメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルエチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=2)として、たとえば、n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−イコサンエチルジメトキシシランなどが挙げられている。
飽和アルキルプロピルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=3)として、たとえば、n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−イコサンプロピルジメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルメチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=1)として、たとえば、n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−イコサンメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルエチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=2)として、たとえば、n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−イコサンエチルジエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルプロピルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=3)として、たとえば、n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−イコサンプロピルジエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルメチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=1)として、たとえば、n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−イコサンメチルジプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルエチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=2)として、たとえば、n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−イコサンエチルジプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルプロピルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=3)として、たとえば、n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−イコサンプロピルジプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルトリメトキシシラン類(a=3,m=1)として、たとえば、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−イコサントリメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルトリエトキシシラン類(a=3,m=2)として、たとえば、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−イコサントリエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルトリプロポキシシラン類(a=3,m=3)として、たとえば、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−イコサントリプロポキシシランなどが挙げられる。
上記一般式(2)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル基含有シラン化合物;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シラン化合物;
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ基含有シラン化合物;
3−グリシドキシプロピルトリメエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物;
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン化合物等が挙げられる。
上記有機シラン化合物は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記シラン類の中では、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが特に好ましい。
上記有機シラン化合物は、ガラス粉体全量100質量部に対して、通常10質量部以下、好ましくは0.001〜5質量部の量で用いられる。有機シラン化合物の量が過大である場合には、無機粉体含有樹脂組成物を保存する際に粘度が経時的に上昇したりする場合がある。
<その他の成分>
本発明の組成物は、転写フィルムに良好な柔軟性を与えるために、上記結着樹脂(B)の補助剤として可塑性剤を含有していてもよい。可塑剤を含有する組成物から形成される無機粉体含有樹脂層は、十分な柔軟性を有するものとなることから、該樹脂層を有する転写フィルムは、折り曲げても該樹脂層の表面に微小な亀裂(ひび割れ)が発生することがなく、また、ロール状に容易に巻き取ることができる。
上記可塑性剤としては、たとえば、ポリプロピレングリコール、前述した(メタ)アクリレート化合物などの共重合性単量体、後述する溶剤などの他、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジブチルジグリコールアジペート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノオレートなどが挙げられる。これらの中で沸点が150℃以上のものが好ましい。このような可塑剤は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の組成物は、任意成分として、分散剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、レベリング剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、連鎖移動剤などの各種添加剤を含有してもよい。なお、上記分散剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等の有機脂肪酸が好ましく用いられる。
<溶剤>
本発明の組成物は、通常、溶剤を含有する。このような溶剤としては、ガラス粉体との親和性、結着樹脂の溶解性が良好で、無機粉体含有樹脂組成物に適度な粘性を付与することができるとともに、乾燥処理することにより容易に蒸発除去できるものであることが好ましい。
また、特に好ましい溶剤として、標準沸点(1気圧における沸点)が60〜200℃であるケトン類、アルコール類およびエステル類(以下、これらを「特定溶剤」という。)を挙げることができる。
上記特定溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;
n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;
酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;
乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;
メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類などを挙げることができる。これらの中では、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネートなどが好ましい。これらの特定溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記特定溶剤以外の使用可能な溶剤としては、たとえば、テレビン油、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどを挙げることができる。
上記溶剤は組成物の粘度を好適な範囲に維持する観点から、ガラス粉体(A)100質量部に対して5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部の範囲で用いられる。また、全溶剤に対する特定溶剤の割合は、50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、上記ガラス粉体(A)、結着樹脂(B)、特定分散剤(C)、溶剤および必要に応じて用いられるその他の成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、サンドミルなどの混練・分散機を用いて混練することにより調製することができる。
なお、本発明の組成物の粘度は0.1〜10Pa・sであることが好ましい。
〔転写フィルム〕
本発明の転写フィルムは、支持フィルム上に、本発明の組成物から得られる無機粉体含有樹脂層、すなわち、
(A)ガラス粉体として、ガラス粉体
(B)結着樹脂、
(C)多官能性(メタ)アクリレート、並びに
(D)光重合開始剤
を含有する無機粉体含有樹脂層を有し、必要に応じて該樹脂層の表面上にカバーフィルムを有していてもよい。
以下、転写フィルムの各構成要素について具体的に説明する。
<支持フィルム>
本発明の転写フィルムは、無機粉体含有樹脂層を支持する支持フィルムを有する。この支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコーター、ブレードコーターなどによって支持フィルムの表面に無機粉体含有樹脂組成物を塗布することができ、得られる転写フィルムをロール状に巻回した状態で保存または供給することができる。
支持フィルムを形成する樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどを挙げることができる。
支持フィルムの厚みは、たとえば20〜100μmである。また、支持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましく、これにより、ガラス基板への転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
<カバーフィルム>
本発明の転写フィルムにおいては、無機粉体含有樹脂層の表面を保護するために該樹脂層の表面上にカバーフィルムが設けられていてもよい。このカバーフィルムは、可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましく、これにより、得られる転写フィルムをロール状に巻回した状態で保存または供給することができる。
カバーフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどを挙げることができる。
<無機粉体含有樹脂層>
無機粉体含有樹脂層は、本発明の組成物を支持フィルム上に塗布し、得られる塗布膜を乾燥して溶剤の全部または一部を除去することにより形成される。
本発明の組成物を支持フィルム上に塗布する方法としては、膜厚の均一性が高く、かつ膜厚が大きい(たとえば10μm以上)塗膜を高い効率で形成することができる方法であることが好ましく、具体的には、ロールコーターによる塗布方法、ブレードコーターによる塗布方法、カーテンコーターによる塗布方法、ワイヤーコーターによる塗布方法などが挙げられる。無機粉体含有樹脂層の膜厚は、通常、1〜30μmである。
塗膜の乾燥条件としては、たとえば、50〜150℃で0.5〜30分間程度であり、乾燥後における溶剤の残存割合(無機粉体含有樹脂層中の含有率)は、通常、2質量%以内である。
(1)無機粉体含有樹脂層の転写工程
無機粉体含有樹脂層の転写工程の一例を示せば以下のとおりである。
転写フィルムのカバーフィルムを剥離した後、ガラス基板の表面に、無機粉体含有樹脂層の表面が当接されるように転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着する。これにより、ガラス基板の表面に無機粉体含有樹脂層が転写されて密着した状態となる。転写条件としては、たとえば、加熱ローラの表面温度が80〜140℃、加熱ローラによるローラ圧が1〜5kg/cm2、加熱ローラの移動速度が0.1〜10.0m/分である。また、ガラス基板は予熱されていてもよく、予熱温度としては、たとえば40〜100℃とすることができる。
(2)無機粉体含有樹脂層の露光工程
この工程においては、無機粉体含有樹脂層の表面に、露光用マスクを介して、紫外線などの放射線を選択的に照射(露光)して、レジストパターンの潜像を形成する。
露光の際に用いられる紫外線照射装置としては、特に限定されず、フォトリソグラフィー法で一般的に使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置などが挙げられる。
なお、無機粉体含有樹脂層上に被覆されている支持フィルムは剥離しない状態で露光工程を行い、露光後に剥離することが好ましい。
(3)無機粉体含有樹脂層の現像工程
この工程においては、露光された無機粉体含有樹脂層を現像処理することにより、レジストパターン(潜像)を顕在化させる。
現像処理条件としては、無機粉体含有樹脂層の構成成分の種類などに応じて、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(たとえば、浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、現像装置などを適宜選択することができる。
この現像工程により、無機粉体含有樹脂パターン(露光用マスクに対応するパターン)が形成される。
(4)無機粉体含有樹脂パターンの焼成工程
この工程においては、無機粉体含有樹脂パターンを焼成処理して絶縁層を形成する。これにより、樹脂層残留部中の有機物質が焼失して絶縁層が形成される。
焼成処理の温度としては、有機物質が焼失される温度であることが必要であり、通常400〜600℃である。また、焼成時間は、通常10〜90分間である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を示す。
<実施例1>
〔屈折率の測定〕
有機成分の屈折率は、ペースト中の有機成分のみを調整し、塗布および乾燥後、エリプソメトリーに法によって、25℃における436nmの波長の光に関して測定を行った。ガラスの屈折率は液浸法により測定した。ガラス粒子を幾つかの屈折率浸液に浸し、光学顕微鏡で粒子と浸液との境界に発生するベッケ線が消失したときの浸液の屈折率をガラスの屈折率とした。
〔ドライフィルムの製造方法〕
ガラス粉末、感放射線性成分、溶媒からなる感光性の無機粒子含有樹脂組成物(以下「感光性ペースト」ともいう。)を次のようにして調製した。有機成分(屈折率1.61)26gを溶媒14gに溶解した後、ガラス粉末A100gを添加し、混練機で混練することによって感光性ペーストを調製した。表1,2に、用いたガラス粉末および有機成分を示す。
得られた感光性ペーストを、予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムよりなる支持フィルム(幅200mm、長さ30m、厚さ38μm)を2枚用意し、該支持フィルム上に、ロールコーターにより塗布して塗膜を形成し、形成された塗膜を100℃で5分間乾燥して溶媒を除去することにより、22μmの膜厚の感光性樹脂層を形成した。
次に、2枚のPETフィルム上に形成した感光性樹脂層を互いに貼り合せて、加熱ローラにより熱圧着した。圧着条件は、加熱ローラの表面温度を90℃、ロール圧を4kg/cm2、加熱ローラの移動速度を速度0.4m/分とした。このようにして、感光性の隔
壁形成用材料層を形成し、本発明の転写フィルムを作製した。
次に、6インチパネル用のガラス基板の表面に、保護フィルムを剥離した転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラにより熱圧着した。圧着条件は、加熱ローラの表面温度を90℃、ロール圧を4kg/cm2、加熱ローラの移動速度を0.4m/
分とした。これにより、ガラス基板の表面に隔壁形成用材料層が転写されて密着した状態となった。
次に、支持フィルムを剥離した後、ネガ型クロムマスクを用いて、上面から25mJ/cm2出力の超高圧水銀灯により、紫外線露光した。露光量は1000mJ/cm2であった。
次に、露光した材料層に、25℃に保持した炭酸ナトリウムの0.5%水溶液を、シャワーで240秒間かけることにより現像した。その後、シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していないスペース部分を除去して背面板用ガラス基板上に格子状のパターンを形成した。
得られた基板を540℃で焼成して、そのパターンをSEM観察により評価した。
(現像後のパターニング評価)
パネル裏側よりパターンの密着側線幅を光学顕微鏡にて測定し、単位時間当たりの線細り速度が所望の規格±1μm/sec以内であれば○、それを超える場合は×とした。
(焼成後のパターニング評価)
パネルを切断して小片にし、パターン断面を走査型電子顕微鏡にて観察した。パターンの蛇行等見られず、ガラス粉体も十分に軟化していれば○、十分軟化しているが、蛇行が見られる場合は△、ガラスが軟化していない場合は×とした。

〈実施例2〉
実施例1中、ガラス粉体として表1に示すガラス粉体Bを用いた以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製および評価を行った。評価結果を表3に併せて示す。
〈実施例3〉
実施例1中、ガラス粉体として表1に示すガラス粉体Cを用いた以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製および評価を行った。評価結果を表3に併せて示す。
〈比較例1〉
実施例1中、ガラス粉体として表1に示すガラス粉体Dを用いた以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製および評価を行った。評価結果を表3に併せて示す。
〈比較例2〉
実施例1中、ガラス粉体として表1に示すガラス粉体Eを用いた以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製および評価を行った。評価結果を表3に併せて示す。





表1:用いたガラス粒子
Figure 2008239648

表2:用いた有機成分の組成
Figure 2008239648

表3:評価結果
Figure 2008239648
一般的なPDPを示す模式的断面図である。 一般的なFEDを示す説明用断面図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 ガラス基板
3 隔壁
4 透明電極
5 バス電極
6 アドレス電極
7 蛍光体
8 誘電体層
9 誘電体層
10 保護膜
11 隔壁
201 ガラス基板
202 ガラス基板
203 絶縁層
204 透明電極
205 エミッタ
206 カソード電極
207 蛍光体
208 ゲート
209 スペーサ

Claims (8)

  1. (A)ガラス粉体、
    (B)アルカリ可溶性重合体、
    (C)多官能性(メタ)アクリレート、および
    (D)光重合開始剤
    を含有し、
    前記(A)ガラス粉体は、
    比表面積≦3.5m/g
    1.0μm≦D50≦4.0μm
    D90≦10μm
    であることを特徴とする無機粉体含有樹脂組成物
  2. 前記(A)ガラス粉体がガラス軟化点400〜550℃の軟化点を有するガラス粉体であることを特徴とする請求項1に記載の無機粉体含有樹脂組成物。
  3. 前記(A)ガラス微粒子中の酸化亜鉛の含有量が3〜5重量%であることを特徴とするガラス微粒子を用いる無機粉体含有樹脂組成物。
  4. 前記(A)ガラス微粒子中の酸化バリウムの含有量が0〜1重量%であることを特徴とするガラス微粒子を用いる無機粉体含有樹脂組成物。
  5. 前記重合体(B)が、さらに水酸基含有モノマー由来の構成単位を有することを特徴とする請求項1に記載の無機粉体含有樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の無機粉体含有樹脂組成物を用いて形成された無機粉体含有樹脂層を有することを特徴とする転写フィルム。
  7. 請求項6に記載の転写フィルムを用いて、該転写フィルムを構成する無機粉体含有樹脂層を基板上に転写する工程、
    該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
    該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、および
    該パターンを焼成処理する工程
    を含むことを特徴とするフラットパネルディスプレイパネル用部材の製造方法。
  8. 前記フラットパネルディスプレイパネル用部材が、隔壁、電極、絶縁層、誘電体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種の部材であることを特徴とする請求項7に記載のフラットパネルディスプレイパネル用部材の製造方法。
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