JP2006139936A - プラズマディスプレイパネル用無機粉体含有樹脂組成物、プラズマディスプレイパネル用転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル用無機粉体含有樹脂組成物、プラズマディスプレイパネル用転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

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浩昭 迎居
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Abstract

【課題】 転写フィルムにしたときの柔軟性と、焼成後の膜(パターン)表面の平滑性の両立ができるPDP用無機粉体含有樹脂組成物および転写フィルムを提供すること。高さの均一性に優れ、アスペクト比が高いパネル材料を、比較的簡単な工程により確実に形成することができるPDP用転写フィルムおよびPDPの製造方法を提供すること。
【解決手段】 (A)無機粉体および(B)ポリスチレン換算重量平均分子量が500,000以上である結着樹脂を含有するPDP用無機粉体含有樹脂組成物、それから得られる転写フィルムおよびPDPの製造方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルのパネル部材を形成するために好適なプラズマディスプレイパネル用無機粉体含有樹脂組成物およびそれから得られる転写フィルム、並びにプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
近年、平板状の蛍光表示体としてプラズマディスプレイが注目されている。図1は交流型のプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」ともいう。)の断面形状を示す模式図である。この図において、1および2は、互いに対向するよう配置されたガラス基板、3は隔壁であり、ガラス基板1、ガラス基板2および隔壁3によって区画されることによりセルが形成されている。4はガラス基板1に固定された透明電極、5は透明電極4の抵抗を低下させるために当該透明電極4上に形成されたバス電極、6はガラス基板2に固定されたアドレス電極、7はセル内に保持された蛍光物質、8は透明電極4およびバス電極5を被覆するようガラス基板1の内面に形成された誘電体層、9はアドレス電極6を被覆するようガラス基板2の内面に形成された誘電体層、10は例えば酸化マグネシウムよりなる保護膜である。
このようなPDPの誘電体、隔壁、電極、抵抗体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックス(ストライプ)等のパネル部材の製造方法としては、一般に、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光性ペースト法、加圧成形法、エッチング法などが知られている。中でも、無機粉体と結着樹脂を含有する無機粉体含有樹脂層を有する転写フィルムを用いて、当該無機粉体含有樹脂層を基板上に転写し、場合によってはパターニングを行う方法が、膜厚均一性に優れたパネル部材を作業効率よく形成することができ、好適に利用されている。
特開平6−321619号公報 特開平9−102273号公報 特開平11−162339号公報
しかしながら、パネル部材の形成の際に通常行う焼成工程の際、無機粉体含有樹脂層中の結着樹脂量が多いと、結着樹脂の燃焼に由来する気泡が多発し、それらの気泡が焼成時に徐々に熱膨張しながら材料層中を徐々に上昇し、最後には材料層表面で肥大化した気泡が破裂することによって、例えば巨大なピンホールが生じたり、表面荒れを起こしたりするという問題がある。このような現象は材料層が厚膜なほど生じやすく、例えば隔壁の形成では顕著であった。
しかし転写フィルムにおいては、基板への転写性を確保し、また転写フィルムを折り曲げた際に膜表面に微小な亀裂(ひび割れ)が発生するのを防ぐために、十分な可撓性・柔軟性が必要である。そのため、結着樹脂量を少なくすることは困難であった。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、転写フィルムにしたときの柔軟性と、焼成後の膜(パターン)表面の平滑性の両立ができるPDP用無機粉体含有樹脂組成物および転写フィルムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、高さの均一性に優れ、アスペクト比が高いパネル材料を、比較的簡単な工程により確実に形成することができるPDP用転写フィルムを提供することにある。
本発明の第3の目的は、膜(パターン)表面の平滑性と高さの均一性に優れ、アスペクト比が高いパネル材料を比較的簡単な工程によって形成することができるPDPの製造方法を提供することにある。
本発明のPDP用無機粉体含有樹脂組成物(以下、単に「本発明の無機粉体含有樹脂組成物」ともいう)は、
(A)無機粉体 および
(B)ポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)が500,000以上である結着樹脂
を含有することを特徴とする。
本発明のPDP用転写フィルム(以下、単に「本発明の転写フィルム」ともいう)は、
支持フィルムと、
(A)無機粉体 および
(B)Mwが500,000以上である結着樹脂
を含有する無機粉体含有樹脂層を有することを特徴とする。
本発明のPDPの製造方法は、基板上に、請求項5記載のPDP用転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層を転写する工程と、転写された無機粉体含有樹脂層を焼成する工程とを含む方法によりパネル部材を形成することを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<無機粉体含有樹脂組成物>
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、(A)無機粉体および(B)Mwが500,000以上である結着樹脂を含有することを特徴とする。
結着樹脂のMwが500,000未満であると、得られるパネル部材の表面平滑性と、転写フィルムにしたときの可撓性の両方を満足できない。結着樹脂のMwは、好ましくは500,000〜2,000,000、より好ましくは700,000〜1,700,000、さらに好ましくは900,000〜1,500,000である。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、さらに(C)可塑性付与物質を含有してもよい。
また、本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、さらに(D1)多官能性(メタ)アクリレートおよび(D2)放射線重合開始剤を含有する、感光性組成物であってもよい。
以下、無機粉体含有樹脂組成物の各構成成分について具体的に説明する。
(A)無機粉体:
本発明の無機粉体含有樹脂組成物に使用される無機粉体は、形成するパネル部材の種類によって異なる。
例えば、誘電体形成材料および隔壁形成材料に使用される無機粉体としては、ガラス粉体、好ましくは軟化点が400〜600℃のガラス粉体が挙げられる。このガラス粉体の軟化点が400℃未満である場合には、無機粉体含有樹脂層の焼成工程において、結着樹脂などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉体が溶融してしまうため、形成される部材中に有機物質の一部が残留し、これにより、得られるPDP内にアウトガスが拡散する結果、蛍光体の寿命を低下させる恐れがある。一方、ガラス粉体の軟化点が600℃を超える場合には、無機粉体含有樹脂層を600℃より高温で焼成する必要があるため、当該無機粉体含有樹脂層の被転写体であるガラス基板に歪みなどが発生しやすい。
好適なガラス粉体の具体例としては、酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素および酸化カルシウム(PbO−B2 O3 −SiO2 −CaO)系、酸化亜鉛、酸化ホウ素および酸化ケイ素(ZnO−B2 O2 −SiO2 )系、酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素および酸化アルミニウム(PbO−B2 O3 −SiO2 −Al2 O3 )系、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素および酸化ケイ素(PbO−ZnO−B2 O3 −SiO2 )系、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素および酸化チタン(PbO−ZnO−B2 O3 −SiO2 −TiO2 )系、酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(Bi23−B23−SiO2系)などを挙げることができる。また、ガラス粉体の平均粒子径は0.5〜2.5μmであることが好ましい。
ガラス粉体には、例えば、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化コバルトなどの無機酸化物を混合して使用してもよい。混合する無機酸化物の含有量は、好ましくは無機粉体全量(ガラス粉体+無機酸化物)の40質量%以下である。
電極形成材料に使用される無機粉体としては、Ag、Au、Al、Ni、Ag-Pd合金、Cu、Cr、Coなどを挙げることができる。
抵抗体形成材料に使用される無機粉体としては、RuO2などを挙げることができる。
蛍光体形成材料に使用される無機粉体は、Y2O3:Eu3+ 、Y2SiO5:Eu3+、Y3Al5O12:Eu3+、YVO4:Eu3+、(Y,Gd)BO3:Eu3+、Zn3(PO4)2:Mnなどの赤色用蛍光体;Zn2SiO4:Mn、BaAl12O19:Mn、BaMgAl14O23:Mn、LaPO4:(Ce,Tb)、Y3(Al,Ga)5O12:Tbなどの緑色用蛍光体;Y2SiO5:Ce、BaMgAl10O17:Eu2+、BaMgAl14O23:Eu2+、(Ca,Sr,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu2+、(Zn,Cd)S:Agなどの青色用蛍光体を挙げることができる。
カラーフィルター形成材料に使用される無機粉体は、Fe2O3、Pb3O4、CdS、CdSe、 PbCrO4、PbSO4、Fe(NO3)3などの赤色用顔料;Cr2O3、TiO2-CoO-NiO-ZnO、CoO-CrO-TiO2-Al2O3、Co3(PO4)2、CoO-ZnOなどの緑色用顔料;2(Al2Na2Si3O10)・Na2S4)、CoO-Al2O3などの青色用顔料の他、色補正用の無機顔料として、PbCrO4-PbSO4、PbCrO4、PbCrO4-PbO、CdS、TiO2-NiO-Sb2O3などの黄色顔料;Pb(Cr-Mo-S)O4などの橙色顔料;Co3(PO4)2などの紫色顔料を挙げることができる。
ブラックマトリックス形成材料に使用される無機粉体としては、Mn、Fe、Cr、Ni、Coおよびこれらの酸化物および複合酸化物などを挙げることができる。
なお、電極、抵抗体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスの形成材料には、上述した無機粉体に加えて、隔壁形成材料および誘電体形成材料に用いるガラス粉体を併用してもよい。
これらの形成材料において併用するガラス粉体の含有割合は、無機粉体全量の30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
(B)結着樹脂:
結着樹脂としては、アクリル樹脂を用いることが好ましい。結着樹脂としてアクリル樹脂が含有されていることにより、当該無機粉体含有樹脂組成物には、ガラス基板に対する優れた(加熱)接着性が発揮され、従って、得られる転写フィルムは、無機粉体含有樹脂層の転写性(ガラス基板への転写性)に優れたものとなる。
かかるアクリル樹脂としては、適度な粘着性を有して無機粉体を結着させることができ、無機粉体含有樹脂層の焼成処理温度(400〜600℃)によって完全に酸化除去される(共)重合体の中から選択される。かかるアクリル樹脂には、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の単独重合体、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の2種以上の共重合体、および下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物と他の共重合性単量体との共重合体が含まれる。
Figure 2006139936
〔一般式(1)において、R1 は水素原子またはメチル基等を示し、R2 は1価の有機基を示す。〕
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート; 2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
これらのうち、上記一般式(1)中、R2 で示される基が、アルキル基またはアルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基であることが好ましく、特に好ましい(メタ)アクリレート化合物として、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレートおよび2−エトキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
(メタ)アクリレート化合物との共重合に供される他の共重合性単量体としては、上記(メタ)アクリレート化合物と共重合可能な化合物であれば特に制限はなく、例えば(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、ビニルフタル酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物を挙げることができる。
結着樹脂としてアクリル樹脂を用いる場合において、当該アクリル樹脂は、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物に由来する共重合成分が、通常70質量%以上、好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%のものである。
上記アクリル樹脂の重合方法としては、乳化重合法が好ましく用いられる。
乳化重合でアクリル樹脂を合成する場合には、水性媒体中で乳化剤、重合開始剤、分子量調節剤などを用いる公知の方法で製造することができる。ここで、乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどが挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステル塩を、カチオン部分としてはアミン塩、第4級アンモニウム塩を持つものが挙げられ、具体的にはラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシン、などのアミノ酸タイプのものなどが用いられる。
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチルニトリルなどの油溶性重合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤などが、それぞれ単独であるいは組み合わせで使用できる。分子量調節剤、キレート化剤、無機電解質なども公知のものが使用できる。分子量調節剤としては、四塩化炭素、クロロホルム、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸などのメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルフィドなどのキサントゲン類、α−メチルスチレンダイマーなど通常の乳化重合で使用可能なものを全て使用できる。
重合方法としては、例えば単量体混合物を全量一括で仕込み重合する方法、単量体混合物の一部を重合した後、その残りを連続的にあるいは断続的に添加する方法、あるいは単量体混合物を重合の始めから連続的に添加する方法、あるいはシード粒子を用いる方法などを採ることができる。重合温度は、通常40〜80℃、好ましくは50〜70℃、重合時間は、通常1〜10時間である。
結着樹脂の含有割合は、無機粉体100重量部に対し、2〜15重量部であることが好ましく、さらに好ましくは3〜10重量部とされる。結着樹脂の含有量が少ないとMwを高めても転写フィルムの柔軟性が保持しきれない。また多いと焼成後に表面あれが生じてしまう場合がある。
(C)可塑性付与物質:
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、可塑性付与物質を含有していてもよい。当該可塑性付与物質は、当該無機粉体含有樹脂組成物を用いて転写フィルムを構成したときに良好な柔軟性を与えるために結着樹脂の補助として含有されるものである。この可塑性付与物質が含有されることにより、無機粉体含有樹脂層は十分な柔軟性を有するものとなり、これにより、当該転写フィルムは、これを折り曲げても無機粉体含有樹脂層の表面に微小な亀裂(ひび割れ)が発生することがなく、また、ロール状に容易に巻き取ることが可能なものとなる。
かかる可塑性付与物質としては、下記一般式(2)で表される化合物および下記一般式(3)で表される化合物よりなる群から選ばれた可塑剤、ポリプロピレングリコール、あるいは前述した(メタ)アクリレート化合物等の共重合性単量体および後述する溶剤のうち沸点が150℃以上のものを用いることが好ましく、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2006139936
〔一般式(2)において、R3 およびR6 は、それぞれ独立して炭素数が1〜30の1価の鎖式炭化水素基を示し、R4 およびR5 は、それぞれ独立してメチレン基または炭素数が2〜30の2価の鎖式炭化水素基を示す。sは0〜5の整数であり、tは1〜10の整数である。〕
Figure 2006139936
〔一般式(3)において、R7 は炭素数が1〜30の1価の鎖式炭化水素基を示す。〕
また、上記一般式(2)でおいて、R3 またはR6 で示される1価の鎖式炭化水素基、並びにR4 またはR5 で示される2価の鎖式炭化水素基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また、アルキル基またはアルキレン基(飽和基)であってもアルケニル基またはアルケニレン基(不飽和基)であってもよい。
また、R3 またはR6 で示される鎖式炭化水素基の炭素数は1〜30とされ、好ましくは2〜20、さらに好ましくは4〜10とされる。この鎖式炭化水素基の炭素数が30を超える場合には、後述する溶剤に対する溶解性が低いものとなるため、得られる無機粉体含有樹脂層に良好な柔軟性を与えることが困難となることがある。
上記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジブチルジグリコールアジペートなどが挙げられる。
上記一般式(3)において、R7 で示される1価の鎖式炭化水素基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また、アルキル基(飽和基)であってもアルケニル基(不飽和基)であってもよい。
また、R7 で示される鎖式炭化水素基の炭素数は、1〜30とされ、好ましくは2〜20、さらに好ましくは10〜18とされる。
上記一般式(3)で示される化合物の具体例としては、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノオレートなどが挙げられる。
また、可塑性付与物質としてポリプロピレングリコールを用いる場合には、当該ポリプロピレングリコールの重量平均分子量(Mw)は、200〜3,000の範囲にあることが好ましく、300〜2,000の範囲にあることが特に好ましい。この重量平均分子量Mwが200未満である場合には、膜強度の大きい無機粉体含有樹脂層を支持フィルム上に形成することが困難になる場合があり、当該無機粉体含有樹脂層を支持フィルムからガラス基板に転写する工程において、ガラス基板に加熱接着された無機粉体含有樹脂層から支持フィルムを剥離する際に、当該無機粉体含有樹脂層の凝集破壊を起こすことがある。一方、この重量平均分子量Mwが3,000を超える場合には、被転写体であるガラス基板との加熱接着性が良好な無機粉体含有樹脂層が得られない場合がある。
また、本発明の無機粉体含有樹脂組成物を、後述するPDPの製造方法<III>に用いる場合には、可塑性付与物質としては、炭素数12または13の長鎖アルキル(メタ)アクリレートを用いることが、ドライフィルムとして十分な柔軟性を有するとともに、ポストベークによって容易に分解または揮発され、サンドブラスト処理に不可欠である脆性を発現する性質を有するため、特に好ましい。
当該(メタ)アクリレートの具体例としては、イソデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレートが挙げられ、特にイソデシルメタクリレートおよびラウリルメタクリレートが好ましい。
可塑性付与物質の含有割合は、無機粉体含有樹脂組成物から溶剤を除いた全成分の3質量%以上であることが好ましく、より好ましくは4〜15質量%である。可塑性付与物質の含有割合が過小である場合には、形成する転写フィルムに良好な柔軟性を与えることが困難となる場合がある。
(D1)多官能性(メタ)アクリレート:
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、多官能性(メタ)アクリレートおよび放射線重合開始剤を含有する感光性組成物であってもよい。多官能性(メタ)アクリレートは、露光により重合し、露光部分をアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性にする性質を有する。
多官能性(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;
グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類;ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレート等のオリゴ(メタ)アクリレート類などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、トリメチロールプロパントリアクリレート等が特に好ましく用いられる。
上記多官能性(メタ)アクリレートの分子量としては、100〜2,000であることが好ましい。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物における多官能性(メタ)アクリレートの含有割合としては、無機粉体100質量部に対して、通常、5〜50質量部とされ、好ましくは、10〜40質量部とされる。
(D2)放射線重合開始剤:
本発明に用いてもよい放射線重合開始剤の具体例としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−アセタートなどのカルボニル化合物;アゾイソブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;メルカプタンジスルフィドなどの有機硫黄化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、パラメタンハイドロパーオキシドなどの有機パーオキシド;1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エチレニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリハロメタン類;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル1,2’−ビイミダゾールなどのイミダゾール二量体などを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物における放射線重合開始剤の含有割合としては、多官能性(メタ)アクリレート100質量部に対して、通常、0.1〜50.0質量部とされ、好ましくは、1.0〜30.0質量部とされる。
その他の成分:
本発明の無機粉体含有樹脂組成物においては、無機粉体、特にガラス粉体の分散性の向上および形成する転写フィルムの可塑化の向上を目的として、シランカップリング剤が含有されていてもよい。かかるシランカップリング剤としては、下記一般式(4)で表される化合物〔飽和アルキル基含有(アルキル)アルコキシシラン〕が好ましい。
Figure 2006139936
〔一般式(4)において、pは3〜20の整数、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数、aは1〜3の整数である。〕
上記一般式(4)において、飽和アルキル基の炭素数を示すpは3〜20の整数とされ、好ましくは4〜16の整数とされる。
このpの値が3未満である飽和アルキル基含有(アルキル)アルコキシシランを含有させても、得られる形無機粉体含有樹脂層において十分な可撓性が発現されない場合がある。一方、このpの値が20を超える飽和アルキル基含有(アルキル)アルコキシシランは分解温度が高く、得られるによる無機粉体含有樹脂層の焼成工程において、有機物質(前記シラン誘導体)が完全に分解除去されない段階でガラスフリットが溶融してしまうため、形成される誘電体層中に有機物質の一部が残留し、この結果、誘電体層の光透過率が低下する場合がある。
上記一般式(4)で表されるシランカップリング剤の具体例としては、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−イコサンジメチルメトキシシランなどの飽和アルキルジメチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=1);
n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−イコサンジエチルメトキシシランなどの飽和アルキルジエチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=2);
n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジプロピルメトキシシランなどの飽和アルキルジプロピルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=3);
n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサンジメチルエトキシシランなどの飽和アルキルジメチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=1);
n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサンジエチルエトキシシランなどの飽和アルキルジエチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=2);
n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−イコサンジプロピルエトキシシランなどの飽和アルキルジプロピルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=3);
n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−イコサンジメチルプロポキシシランなどの飽和アルキルジメチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=1);
n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−イコサンジエチルプロポキシシランなどの飽和アルキルジエチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=2);
n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシランなどの飽和アルキルジプロピルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=3);
n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−イコサンメチルジメトキシシランなどの飽和アルキルメチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=1);
n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−イコサンエチルジメトキシシランなどの飽和アルキルエチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=2);
n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−イコサンプロピルジメトキシシランなどの飽和アルキルプロピルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=3)
n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−イコサンメチルジエトキシシランなどの飽和アルキルメチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=1);
n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−イコサンエチルジエトキシシランなどの飽和アルキルエチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=2);
n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−イコサンプロピルジエトキシシランなどの飽和アルキルプロピルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=3);
n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−イコサンメチルジプロポキシシランなどの飽和アルキルメチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=1);
n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−イコサンエチルジプロポキシシランなどの飽和アルキルエチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=2);
n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−イコサンプロピルジプロポキシシランなどの飽和アルキルプロピルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=3);
n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−イコサントリメトキシシランなどの飽和アルキルトリメトキシシラン類(a=3,m=1);
n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−イコサントリエトキシシランなどの飽和アルキルトリエトキシシラン類(a=3,m=2);
n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−イコサントリプロポキシシランなどの飽和アルキルトリプロポキシシラン類(a=3,m=3)などを挙げることができ、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシランなどが特に好ましい。
シランカップリング剤の含有割合は、無機粉体全量100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.001〜5重量部とされる。シランカップリング剤の割合が過大である場合には、無機粉体含有樹脂組成物を保存する際に粘度が経時的に上昇したり、シランカップリング剤同士で反応が起こり、形成するパネル部材の焼成後の光透過率を下げる原因になったりする場合がある。
また、本発明の無機粉体含有樹脂組成物には、任意成分として、分散剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、レベリング剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、連鎖移動剤などの各種添加剤が含有されてもよい。
溶剤:
無機粉体含有樹脂組成物は、通常、溶剤を含有する。当該溶剤としては、無機粉体との親和性、結着樹脂の溶解性が良好で、無機粉体含有樹脂組成物に適度な粘性を付与することができると共に、乾燥されることにより容易に蒸発除去できるものであることが好ましい。
また、特に好ましい溶剤として、標準沸点(1気圧における沸点)が60〜200℃であるケトン類、アルコール類およびエステル類(以下、これらを「特定溶剤」という。)を挙げることができる。
かかる特定溶剤の具体例としては、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類などを挙げることができ、これらの中では、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネートなどが好ましい。これらの特定溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、特定溶剤以外の使用可能な溶剤の具体例としては、テレビン油、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどを挙げることができる。
溶剤の含有割合としては、無機粉体含有樹脂組成物の粘度を好適な範囲に維持する観点から、無機粉体100重量部に対して、5〜50重量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜40重量部とされる。
また、全溶剤に対する特定溶剤の含有割合は、50質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上とされる。
無機粉体含有樹脂組成物は、上記無機粉体、結着樹脂、溶剤および必要に応じて用いられるその他の成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、サンドミルなどの混練・分散機を用いて混練することにより調製することができる。
ここで、無機粉体含有樹脂組成物の粘度としては、0.3〜30Pa・sであることが好ましい。
<転写フィルム>
本発明の転写フィルムは、(A)無機粉体および(B)Mwが500,000以上である結着樹脂を含有する無機粉体含有樹脂層を有することを特徴とする。具体的には、本発明の無機粉体含有樹脂組成物を支持フィルム上に塗布し、乾燥させて溶剤の全部または一部を除去することによって無機粉体含有樹脂層を形成し、必要に応じて無機粉体含有樹脂層の表面上にカバーフィルムを密着して配置することによって、得られる。
なお、本発明の転写フィルムは、支持フィルム上に、レジスト膜と、無機粉体含有樹脂層との積層膜を有するもの(以下、「本発明の転写フィルム<II>」ともいう)であってもよい。
また、本発明の転写フィルムは、無機粉体含有樹脂層に(C)可塑性付与物質を含有してもよい。
また、本発明の転写フィルムは、無機粉体含有樹脂層に(D1)多官能性(メタ)アクリレートおよび(D2)放射線重合開始剤を含有する感光性転写フィルム(以下、「本発明の感光性転写フィルム」ともいう)であってもよい。
以下に、転写フィルムの各構成要素について具体的に説明する。
支持フィルム:
本発明の転写フィルムは、無機粉体含有樹脂層を支持する支持フィルムを有する。この支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有すると共に可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコーター、ブレードコーターなどによって支持フィルムの表面に無機粉体含有樹脂組成物を塗布することができ、得られる転写フィルムをロール状に巻回した状態で保存しまたは供給することができる。
支持フィルムを形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどを挙げることができる。
支持フィルムの厚みは、例えば20〜100μmとされる。
また、支持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましく、これにより、ガラス基板への転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
カバーフィルム:
本発明の転写フィルムにおいては、無機粉体含有樹脂層の表面を保護するために当該無機粉体含有樹脂層の表面上にカバーフィルムが設けられていてもよい。このカバーフィルムは、可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましく、これにより、得られる転写フィルムをロール状に巻回した状態で保存しまたは供給することができる。
カバーフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどを挙げることができる。
無機粉体含有樹脂層:
無機粉体含有樹脂層は、本発明の無機粉体含有樹脂組成物を支持フィルム上に塗布し、得られる塗布膜を乾燥して溶剤の全部または一部を除去することにより形成される。
無機粉体含有樹脂組成物を支持フィルム上に塗布する方法としては、膜厚の均一性が高くかつ膜厚が大きい(例えば10μm以上の)塗膜を高い効率で形成することができるものであることが好ましく、具体的には、ロールコーターによる塗布方法、ブレードコーターによる塗布方法、カーテンコーターによる塗布方法、ワイヤーコーターによる塗布方法などを好ましいものとして挙げることができる。無機粉体含有樹脂層の膜厚は、形成すべきパネル部材の高さにもよるが、10〜300μmである。
塗膜の乾燥条件としては、例えば、50〜150℃で0.5〜30分間程度とされ、乾燥後における溶剤の残存割合(無機粉体含有樹脂層中の含有率)は、通常2質量%以内とされる。
レジスト膜(レジスト組成物):
本発明の転写フィルム<II>に用いられるレジスト膜は、通常、バインダーポリマー、多官能性モノマーおよび放射線重合開始剤を含有するレジスト組成物を、支持フィルム上に塗布して形成される。
レジスト組成物に用いられるバインダーポリマーは、アルカリ現像型の場合にはアルカリ可溶性樹脂である必要があり、分子中に少なくとも1個以上のカルボキシル基を有するエチレン不飽和性のカルボキシル基含有単量体と、このカルボキシル基含有単量体と共重合可能な共重合性単量体とよりなる単量体組成物を重合することにより得られるカルボキシル基含有共重合体であることが好ましい。
カルボキシル基含有単量体の具体例としては、(イ)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸、(ロ)イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸、および(ハ)その他の不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記のカルボキシル基含有単量体に由来する構成単位を含有する共重合体は、アルカリ溶解性を有し、特に上記の割合でカルボキシル基含有単量体を用いることにより得られる共重合体は、アルカリ現像液に対して優れた溶解性を有するものとなり、従って、これをバインダーポリマーとして用いたレジスト組成物は、アルカリ現像液に対する未溶解物の生成が本質的に少ないものとなり、現像処理において基板のレジストパターン形成部以外の個所における地汚れ、膜残りなどが発生しにくいものである。
また、得られるレジストパターンは、アルカリ現像液に過剰に溶解することがなく、無機粉体含有樹脂層に対して優れた密着性を有するため、無機粉体含有樹脂層から脱落しにくいものである。
上記共重合性単量体の具体例としては、(イ)スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物類、(ロ)メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル類、(ハ)アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類、(ニ)グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類、(ホ)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、(ヘ)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物類、(ト)1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン類、(チ)それぞれ末端にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマー類などが挙げられる。これらは、単独で若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
バインダーポリマーにおけるカルボキシル基含有単量体の共重合割合は、単量体全量に対して5〜50質量%、特に、10〜40質量%であることが好ましい。カルボキシル基含有単量体の共重合割合が5質量%未満の場合には、得られるレジスト組成物は、アルカリ現像液に対する溶解性が低くなる傾向がある。一方、カルボキシル基含単量体の共重合割合が50質量%を超える場合には、現像時にレジストパターンが無機粉体ペースト層から脱落する傾向がある。
上記バインダーポリマーは、Mwが、3,000〜300,000、特に5,000〜200,000であることが好ましい。
このような分子量を有するバインダーポリマーを用いることによって、現像性の高いレジスト組成物が得られ、これにより、シャープなパターンエッジを有するレジストパターンを形成することができると共に、均一なパターンを有するパネル部材を形成できる。
多官能性モノマーとしては、上述した多官能性(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。多官能性モノマーの使用割合は、バインダーポリマー100重量部に対して、通常、5〜100重量部、好ましくは10〜70重量部である。この割合が5重量部未満である場合には、レジストパターン強度が不十分なものとなりやすい傾向がある。一方、この割合が100重量部を超える場合には、アルカリ解像性が低下したり、レジストパターン形成部以外の地汚れ、膜残りなどが発生したりする傾向がある。
また、放射線重合開始剤としては、上述した放射線重合開始剤が挙げられる。
本発明で用いられるレジスト組成物には、当該レジスト組成物に適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するために、通常、溶剤が含有される。
レジスト組成物に含有される溶剤としては、特に制限されるものではなく、上述した特定溶剤が好ましく用いられる。
本発明で用いられるレジスト組成物には、任意成分として、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー、蛍光体、顔料、染料などの各種添加剤が含有されていてもよい。
本発明の転写フィルム<II>においては、支持フィルム上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成し、当該レジスト膜の上に無機粉体含有樹脂組成物を塗布して無機粉体含有樹脂層を形成する。また、転写フィルム<II>は、支持フィルム上に無機粉体含有樹脂層を形成し、保護フィルム上にレジスト膜を形成し、無機粉体含有樹脂層表面とレジスト膜表面とを重ね合わせて圧着する方法によっても、好適に形成することができる。
レジスト組成物を塗布、乾燥する方法としては、上述した無機粉体含有樹脂組成物の塗布、乾燥方法を用いることができる。
形成されるレジスト膜の厚さとしては、例えば5〜15μmとされる。
<PDPの製造方法>
本発明のPDPの製造方法における好ましい様態は、下記の通りである。
(1)基板上に、本発明の転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層を転写し、転写された無機粉体含有樹脂層を焼成することにより、誘電体層を形成する方法(以下、「PDPの製造方法<I>」ともいう)。
(2)基板上に、本発明の転写フィルム<II>におけるレジスト膜と無機粉体含有樹脂層との積層を、無機粉体含有樹脂層が基板に当接するように転写し、当該レジスト膜を露光処理して、レジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、無機粉体含有樹脂層を現像処理してレジストパターンに対応する無機粉体含有樹脂層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を含む方法により、誘電体層、隔壁、電極、抵抗体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックス(ストライプ)から選ばれる少なくとも1種のパネル部材を形成する方法(以下、「PDPの製造方法<II>」ともいう)。
(3)基板上に、本発明の転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層を転写し、転写された無機粉体含有樹脂層に対してポストベークを行い、その後、サンドブラスト処理を行って無機粉体含有樹脂層を形成し,当該無機粉体含有樹脂層を焼成することにより、隔壁を形成する方法(以下、「PDPの製造方法<III>」ともいう)。
(4)基板上に、本発明の感光性転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層を転写し、当該無機粉体含有樹脂層を露光処理して、パターンの潜像を形成し、当該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を含む方法により、誘電体層、隔壁、電極、抵抗体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックス(ストライプ)から選ばれる少なくとも1種のパネル部材を形成する方法(以下、「PDPの製造方法<IV>」ともいう)。
(5)基板上に、本発明の転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層を転写し、当該無機粉体含有樹脂層を焼成して無機膜を形成し、当該無機膜上にレジストパターンを形成し、無機膜をエッチングしてレジストパターンに対応する無機パターンを形成することにより隔壁を形成する方法(以下、「PDPの製造方法<V>」ともいう)。
以下、各様態について説明する。
PDPの製造方法<I>:
本発明のPDPの製造方法<I>における転写工程の一例を示せば以下のとおりである。
1.ロール上に巻回された状態の転写フィルムを基板の面積に応じた大きさに裁断する。
2.裁断した転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層表面からカバーフィルムを剥離した後、基板の表面に無機粉体含有樹脂層の表面が当接するように転写フィルムを重ね合わせる。
3.基板に重ね合わされた転写フィルム上に加熱ローラを移動させて熱圧着させる。
4.熱圧着により基板に固定された無機粉体含有樹脂層から支持フィルムを剥離除去する。
上記のような操作により、支持フィルム上の無機粉体含有樹脂層が基板上に転写される。ここで転写条件としては、例えば、加熱ローラの表面温度が60〜120℃、加熱ローラによるロール圧が1〜5kg/cm2、加熱ローラの移動速度が0.2〜10.0m/分とされる。このような操作(転写工程)は、ラミネータ装置により行うことができる。なお、基板は予熱されていてもよく、予熱温度としては例えば40〜100℃とすることができる。
基板の表面に形成転写された無機粉体含有樹脂層は、焼成されて無機焼結体(誘電体層)となる。ここに、焼成方法としては、無機粉体含有樹脂層が転写形成された基板を高温雰囲気下に配置する方法を挙げることができる。これにより、無機粉体含有樹脂層に含有されている有機物質が分解されて除去され、無機粒子が溶融して燒結する。ここに、焼成温度としては、基板の溶融温度、無機粉体含有樹脂層中の構成物質などによっても異なるが、例えば300〜800℃とされ、さらに好ましくは400〜620℃とされる。
PDPの製造方法<II>:
本発明のPDPの製造方法<II>は、基板上に、本発明の転写フィルム<II>におけるレジスト膜と無機粉体含有樹脂層との積層を、無機粉体含有樹脂層が基板に当接するように転写し、当該レジスト膜を露光処理して、レジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、無機粉体含有樹脂層を現像処理してレジストパターンに対応する無機粉体含有樹脂層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を含む。
以下、PDPの構成要素である「隔壁」を背面基板上の表面に形成する方法について説明する。この方法においては、〔1〕積層膜の転写工程、〔2〕レジスト膜の露光工程、〔3〕レジスト膜の現像工程、〔4〕無機粉体含有樹脂層の現像工程、〔5〕無機粉体含有樹脂パターンの焼成工程により、基板の表面に隔壁が形成される。
なお、本発明において、「無機粉体含有樹脂層を基板上に転写する」態様としては、前記ガラス基板の表面に転写するような様態のほかに、前記誘電体層の表面に転写するような様態も包括されるものとする。
〔1〕積層膜の転写工程:
レジスト膜と無機粉体含有樹脂層との積層の、転写工程の一例を示せば以下のとおりである。
転写フィルムのカバーフィルムを剥離した後、誘電体層の表面に、無機粉体含有樹脂層の表面が当接されるように転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着する。これにより、誘電体層の表面に無機粉体含有樹脂層とレジスト膜との積層が転写されて密着した状態となる。ここで転写条件としては、例えば、加熱ローラの表面温度が80〜140℃、加熱ローラによるローラ圧が1〜5kg/cm2、加熱ローラの移動速度が0.1〜10.0m/分を示すことができる。また、ガラス基板は予熱されていてもよく、予熱温度としては例えば40〜100℃とすることができる。
〔2〕レジスト膜の露光工程:
この工程においては、無機粉体含有樹脂層上に形成されたレジスト膜の表面に、露光用マスクを介して、紫外線などの放射線を選択的に照射(露光)して、レジストパターンの潜像を形成する。
ここに、紫外線照射装置としては、前記フォトリソグラフィー法で使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置など特に限定されるものではない。
なお、レジスト膜上に被覆されている支持フィルムは剥離しない状態で露光工程を行い、露光後に剥離することが好ましい。
〔3〕レジスト膜の現像工程
この工程においては、露光されたレジスト膜を現像処理することにより、レジストパターン(潜像)を顕在化させる。
ここに、現像処理条件としては、レジスト膜の種類などに応じて、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、現像装置などを適宜選択することができる。
この現像工程により、レジスト残留部とレジスト除去部とから構成されるレジストパターン(露光用マスクに対応するパターン)が形成される。
このレジストパターンは、次工程(無機粉体含有樹脂層の現像工程)におけるエッチングマスクとして作用するものであり、レジスト残留部の構成材料(光硬化されたレジスト)は、無機粉体含有樹脂層の構成材料よりも、〔4〕の工程で用いる現像液に対する溶解速度が小さいことが必要である。
〔4〕無機粉体含有樹脂層の現像工程:
この工程においては、無機粉体含有樹脂層を現像処理し、レジストパターンに対応する隔壁パターン層を形成する。
すなわち、無機粉体含有樹脂層のうち、レジストパターンのレジスト除去部に対応する部分が現像液に溶解されて選択的に除去される。そして、無機粉体含有樹脂層における所定の部分が完全に除去されて誘電体層が露出する。これにより、樹脂層残留部と樹脂層除去部とから構成される無機粉体含有樹脂パターンが形成される。
ここに、現像条件としては、無機粉体含有樹脂層の種類などに応じて、現像液の種類・組成・濃度、処理時間、処理温度、処理方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、処理装置などを適宜選択することができるが、上述したレジスト膜の現像工程で用いる現像液を用い、同様の現像条件で、レジスト膜の現像工程と無機粉体含有樹脂層の現像工程とを連続して行うことが好ましい。〔3〕の工程と〔4〕の工程を連続して行えるようにレジスト膜および無機粉体含有樹脂層の種類を選択することにより、工程の簡略化による製造効率の向上をより図ることができる。
ここに、レジストパターンを構成するレジスト残留部は、現像処理の際に徐々に溶解され、無機粉体含有樹脂パターンが形成された段階(現像処理の終了時)で完全に除去されるものであることが好ましい。
なお、現像処理後にレジスト残留部の一部または全部が残留していても、当該レジスト残留部は、次の焼成工程で除去される。
〔5〕無機粉体含有樹脂パターンの焼成工程:
この工程においては、無機粉体含有樹脂パターンを焼成処理して隔壁を形成する。これにより、樹脂層残留部中の有機物質が焼失して隔壁が形成され、誘電体層の表面に隔壁が形成されてなるパネル材料において、隔壁により区画される空間(樹脂層除去部に由来する空間)はプラズマ作用空間となる。
ここに、焼成処理の温度としては、有機物質が焼失される温度であることが必要であり、通常400〜600℃とされる。また、焼成時間は、通常10〜90分間とされる。
PDPの製造方法<III>
本発明のPDPの製造方法<III>は、基板上に、本発明の転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層を転写し、転写された無機粉体含有樹脂層に対してポストベークを行い、その後、サンドブラスト処理を行って無機粉体含有樹脂層を形成し,当該無機粉体含有樹脂層を焼成することにより、隔壁等のパネル材料を形成する方法である。
先ず、基板上に無機粉体含有樹脂層を転写する。当該転写条件は、上述したPDPの製造方法<I>の転写工程に準ずることができる。
次いで、転写された無機粉体含有樹脂層に対してポストベークを行うことにより、当該無機粉体含有樹脂層中の残留溶媒および可塑性付与物質を除去する。
ここで、ポストベークは、例えば処理温度が100〜300℃、処理時間が15〜120分間である。また転写フィルムは、目的とする隔壁等構造物の高さに合わせて一枚転写でも複数の転写フィルムを用いて積層を形成してもよい。
このようにして形成された層上にレジスト膜を形成する。レジスト膜は、レジスト液を塗布するか、またはドライフィルムレジストを転写して形成されるが、本発明の転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層にあらかじめ積層されていてもよい。その後、レジスト膜に露光パターンを介して放射線、好ましくは紫外線を照射し、現像処理を行うことにより、形成すべき隔壁等の形態に対応するレジストパターンを形成する。
その後、サンドブラスト装置により、主に材料層形成用膜における露出部分をサンドブラスト処理して当該部分を除去することにより、所要の形態のパターンを形成する。
次いで、必要に応じて残存したレジスト膜を剥離し、その後、パターンを焼成することにより、無機粉体含有樹脂層中の有機物質(結着樹脂等)を分解除去すると共にガラス粉体を溶融して焼結させる。
ここで焼成条件としては、用いられる結着樹脂およびガラスフリットの種類に応じて設定されるが、例えば処理温度が500〜650℃、処理時間が5〜90分間である。
なお、前述したポストベークの工程は、レジストパターンの形成後に行ってもよい。特に、本発明の転写フィルムにあらかじめレジスト膜を設ける場合には、レジストパターンの形成後にポストベークを行うことが好ましい。
PDPの製造方法<IV>
本発明のPDPの製造方法<IV>は、本発明の感光性転写フィルムを構成する無機粉体含有樹脂層を基板上に転写し、当該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成し、当該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成し、当該パターンを焼成処理することにより、誘電体層、隔壁、電極、抵抗体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから選ばれるパネル部材を形成する工程を含む。
この方法においては、例えば隔壁の形成方法を例に採ると、前記PDPの製造方法<II>における「無機粉体含有樹脂層の転写工程」の後、「レジスト膜の露光工程」、「レジスト膜の現像工程」に準じた条件で無機粉体含有樹脂パターンを形成し、その後、「無機粉体含有樹脂パターンの焼成工程」により、基板の表面に隔壁が形成される。
PDPの製造方法<V>
本発明のPDPの製造方法<V>は、本発明の感光性転写フィルムを構成する無機粉体含有樹脂層を基板上に転写し、当該無機粉体含有樹脂層を焼成して無機膜を形成し、当該無機膜上にレジストパターンを形成し、無機膜をエッチングしてレジストパターンに対応する無機パターンを形成することにより隔壁などのパネル材料を形成する。
この方法においては、例えば隔壁の形成方法を例に採ると、前記PDPの製造方法<II>における「無機粉体含有樹脂層の転写工程」の後、「無機粉体含有樹脂パターンの焼成工程」を先に行って無機膜を形成し、得られた無機膜上にレジスト組成物の塗布、もしくはドライフィルムレジストの転写を行ってレジスト膜を形成した後、「レジスト膜の露光工程」、「レジスト膜の現像工程」に準じた条件でレジストパターンを形成し、その後、得られたレジストパターンをマスクとして無機膜のエッチングを行い、基板の表面に隔壁が形成される。なお、隔壁表面に残留するレジストは、通常、剥離液等を用いて剥離する。
無機膜のエッチング液としては、通常、硝酸、塩酸、硫酸等の酸の溶液が用いられ、特に硝酸が好適に用いられる。エッチング液の濃度としては、通常、0.1〜10重量%、好ましくは、0.2〜2重量%である。エッチング工程は、好ましくは、エッチング液を無機膜にスプレー等により噴射することにより行われ、例えば、スプレー圧1〜5MPa、温度20〜60℃、エッチング時間5〜20分間で行われる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
また、下記の実施例および比較例において使用した材料は、次の通りである。
[ガラス粉体]
DTAによる軟化転移点が460℃で、平均粒子径が1.3μmのPbO−B23 −SiO2 −Al23 −TiO3 系物質よりなるもの(旭硝子(株)製)
[結着樹脂]
結着樹脂(a):n−ブチルメタクリレートとヒドロキシプロピルメタクリレートとを、重量比でn−ブチルメタクリレート/ヒドロキシプロピルメタクリレートが90/10となる割合で乳化共重合させて得られたアクリル樹脂(Mw=1,000,000)。
結着樹脂(b):メチルメタクリレートとヒドロキシエチルメタクリレートとを、重量比でメチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレートが90/10となる割合で溶液共重合させて得られたアクリル樹脂(Mw=100,000)。
結着樹脂(c):n−ブチルメタクリレートとヒドロキシプロピルメタクリレートとを、重量比でn−ブチルメタクリレート/ヒドロキシプロピルメタクリレートが90/10となる割合で乳化共重合させて得られたアクリル樹脂(Mw=500,000)。
結着樹脂(d):n−ブチルメタクリレートとヒドロキシプロピルメタクリレートとを、重量比でn−ブチルメタクリレート/ヒドロキシプロピルメタクリレートが90/10となる割合で乳化共重合させて得られたアクリル樹脂(Mw=1,500,000)。
結着樹脂(e):メチルメタクリレートとヒドロキシエチルメタクリレートとを、重量比でメチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレートが90/10となる割合で溶液共重合させて得られたアクリル樹脂(Mw=400,000)。
結着樹脂(f):メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびn−ブチルメタクリレートを、重量比でメタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレートが40/20/40となる割合で溶液共重合させて得られたアクリル樹脂(Mw=1,000,000)。
上記Mwは、東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(商品名HLC−802A)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
なお乳化重合は下記の手順で行った。
・モノマー及び水を、モノマー濃度が33質量%になるように重合タンクに計100kg投入し、モノマー水溶液を作成した。
・重合タンクに、モノマー100重量部に対し、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部、開始剤として過硫酸カリウム1重量部、分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.1重量部を加え、重合温度を60℃に保ち2時間ほど攪拌機で緩やかに攪拌しながら重合を行い、エマルジョンを得た。
・得られたエマルジョンに、ポリマー換算100重量部に対し、凝固剤として塩化カルシウム14部を添加し、攪拌機で激しく攪拌しながら、ポリマーの凝固を行った。凝固したポリマーを適宜水洗し、フィルターで濾過し固形のポリマーを得た。
・得られたポリマーを、熱風乾燥機を用い、50℃で6時間乾燥した。
・乾燥したポリマーを溶解タンク内に投入し、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加し、80℃で緩やかに攪拌して15%ポリマー溶液を得た。
[可塑性付与物質]
可塑性付与物質:ジ−2−エチルヘキシルアゼレート
[シランカップリング剤]
n−ブチルトリメトキシシラン
[溶剤]
プロピレングリコールモノメチルエーテル
実施例1
(1)無機粉体含有樹脂組成物の調製:
ガラス粉体100重量部、結着樹脂(a)5重量部、可塑性付与物質7重量部、シランカップリング剤1重量部および溶剤20重量部を、分散機を用いて混練することにより、粘度が2,000cPである無機粉体含有樹脂組成物を調製した。
(2)転写フィルムの製造:
上記(1)で調製した無機粉体含有樹脂組成物を、予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる支持フィルム(幅400mm,長さ30m,厚み38μm)上にロールコーターを用いて塗布し、形成された塗膜を100℃で5分間加熱することにより溶剤を除去し、これにより、厚みが250μmの無機粉体含有樹脂層が支持フィルム上に形成されてなる転写フィルムを製造した。
この転写フィルムについて、無機粉体含有樹脂層の表面状態を顕微鏡を用いて観察したところ、ガラス粉体の凝集物、筋状の塗装跡、クレーター、ピンホールなどの膜欠陥は認められなかった。
また乾燥後の転写フィルムの表面状態は平滑であり、結着樹脂の柔軟性不足、強度不足などにより生じる微小なひび割れは無かった。
(3)無機粉体含有樹脂層の転写:
20インチパネル用のガラス基板の表面に、無機粉体含有樹脂層の表面が当接されるよう、上記(2)で製造した転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ロールにより熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ロールの表面温度を110℃、ロール圧を3kg/cm2 、加熱ロールの移動速度を1m/分とした。
この転写の際にも転写フィルムに微小なひび割れが生じたり、破断したりするようなことはなかった。
熱圧着処理が終了した後、無機粉体含有樹脂層から支持フィルムを剥離除去した。これにより、ガラス基板の表面に無機粉体含有樹脂層を転写した。
また支持フィルムの剥離除去の際に結着樹脂の柔軟性が足りなかったり、樹脂の絶対量が少ないと、剥離した支持フィルム上に無機粉体含有樹脂層の一部が薄く付着したり、付着したものが飛散したりすることがあるが、この組成ではそのようなことはなかった。
(4)無機粉体含有樹脂層の焼成:
上記(3)により形成された無機粉体含有樹脂層を有するガラス基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を、常温から10℃/分の昇温速度で560℃まで昇温し、560℃の温度雰囲気下で10分間にわたって焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、無機層(ガラス焼結体)を形成した。
この無機層の形状を目視で観察したところ、ひび割れ、基板からの剥離などは認められなかった。
(5)隔壁の形成
上記(4)により形成された無機層を硝酸によりエッチングし、目的の形状の隔壁を形成した。得られた隔壁の寸法を測定したところ、幅が40μmで高さが130μmであり、アスペクト比の高いものであった。また、隔壁の寸法を詳細に測定したところ、幅および高さなどの寸法の均一性に優れたものであることが確認された。
実施例2〜3および比較例1〜4
表1に示す処方に従ってガラスペースト組成物を調製したこと以外は実施例1と同様にして転写フィルムを製造し、得られた転写フィルムを用い、実施例1と同様にしてガラス基板上に隔壁を形成し、各種評価を行った。結果を表1に併せて示す。
Figure 2006139936
*比較例3、4で得られた隔壁の幅と高さは、焼成後の表面あれのため、測定不能であった。
実施例4
(1)無機粉体含有樹脂組成物の調製:
ガラス粉体100重量部、結着樹脂(a)8重量部、可塑性付与物質9重量部、シランカップリング剤1重量部および溶剤20重量部を、分散機を用いて混練することにより、粘度が2,000cPである無機粉体含有樹脂組成物を調製した。
(2)転写フィルムの製造:
上記(1)で調製した無機粉体含有樹脂組成物を、予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる支持フィルム(幅400mm,長さ30m,厚み38μm)上にロールコーターを用いて塗布し、形成された塗膜を100℃で5分間加熱することにより溶剤を除去し、これにより、厚みが70μmの無機粉体含有樹脂層が支持フィルム上に形成されてなる転写フィルムを製造した。
この転写フィルムについて、無機粉体含有樹脂層の表面状態を顕微鏡を用いて観察したところ、ガラス粉体の凝集物、筋状の塗装跡、クレーター、ピンホールなどの膜欠陥は認められなかった。
また乾燥後の転写フィルムの表面状態は平滑であり、結着樹脂の柔軟性不足、強度不足などにより生じる微小なひび割れは無かった。
(3)無機粉体含有樹脂層の転写:
20インチパネル用のガラス基板の表面に、無機粉体含有樹脂層の表面が当接されるよう、上記(2)で製造した転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ロールにより熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ロールの表面温度を110℃、ロール圧を3kg/cm2 、加熱ロールの移動速度を1m/分とした。
この転写の際にも転写フィルムに微小なひび割れが生じたり、破断したりするようなことはなかった。
熱圧着処理が終了した後、無機粉体含有樹脂層から支持フィルムを剥離除去した。これにより、ガラス基板の表面に無機粉体含有樹脂層を転写した。
また支持フィルムの剥離除去特性は良好であった。
(4)無機粉体含有樹脂層の焼成:
上記(3)により形成された無機粉体含有樹脂層を有するガラス基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を、常温から10℃/分の昇温速度で560℃まで昇温し、560℃の温度雰囲気下で10分間にわたって焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、膜厚30±0.4μmの誘電体層を形成した。
得られた誘電体層の形状を目視で観察したところ、ひび割れ、基板からの剥離などは認められず、表面平滑性に優れたものであった。
実施例5
(1)無機粉体含有樹脂組成物の調製:
Ag粉体(平均粒径2.2μm)90部およびガラス粉体10部結着樹脂(d)9重量部、可塑性付与物質10重量部、シランカップリング剤1重量部および溶剤20重量部を、分散機を用いて混練することにより、粘度が1,800cPである無機粉体含有樹脂組成物を調製した。
(2)レジスト組成物の調製:
バインダーポリマーとしてメタクリル酸ベンジル/メタクリル酸=75/25(重量%)共重合体(Mw=30,000)60部、多官能性モノマーとしてトリプロピレングリコールジアクリレート40部、光重合開始剤として2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン20部および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を混練りした後、カートリッジフィルター(2μm径)でフィルタリングすることにより、アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物(以下、「レジスト組成物」という。)を調製した。
(3)転写フィルムの製造:
下記(イ)〜(ハ)の操作により、レジスト膜および無機粉体含有樹脂層をこの順に積層してなる積層膜が支持フィルム上に形成されてなる本発明の電極形成用転写フィルムを作製した。
(イ)上記(2)で調製したレジスト組成物を膜厚38μmのPETフィルムよりなる支持フィルム上にブレードコーターを用いて塗布し、塗膜を100℃で3分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ8μmのレジスト膜を支持フィルム上に形成した。
(ロ)上記(1)で調製した無機粉体含有樹脂組成物を膜厚38μmのPETフィルムよりなる保護フィルム上にブレードコーターを用いて塗布し、塗膜を100℃で5分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ10μmの無機粉体含有樹脂層を保護フィルム上に形成した。
(ハ)レジスト膜と、無機粉体含有樹脂層との表面が当接されるよう転写フィルムを重ね合わせ、加熱ローラで熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ローラの表面温度を90℃、ロール圧を2.5kg/cm、加熱ローラの移動速度を0.5m/分とした。これにより、レジスト膜および無機粉体含有樹脂層を有する積層膜が支持フィルムと保護フィルムの間に形成されてなる転写フィルムを作製した。
(4)積層膜の転写工程:
ガラス基板の表面に、上記(3)で作製した転写フィルムの保護フィルムを剥離して、無機粉体含有樹脂層の表面が当接されるよう転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラに熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ローラの表面温度を90℃、ロール圧を2.5kg/cm、加熱ローラの移動速度を0.5m/分とした。これにより、ガラス基板の表面に転写フィルムが転写されて密着した状態となった。なお、保護フィルムの剥離特性は良好であった。
(5)レジスト膜の露光工程・現像工程:
上記(4)においてガラス基板上に形成された積層膜中のレジスト膜に対して、支持フィルム上より露光用マスク(100μm幅のストライプパターンおよび5cm四方の角パターン)を介して、超高圧水銀灯によりg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)の混合光を照射した。その際の露光量は、365nmのセンサーで測定した照度換算で400mJ/cm2 とした。照射後、レジスト膜上の支持フィルムを剥離し、次いで、露光処理されたレジスト膜に対して、0.3質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を現像液とするシャワー法によるレジスト膜の現像処理を90秒間行った。
これにより、紫外線が照射されていない未硬化のレジストを除去し、レジストパターンを形成した。レジストパターンは、パターン形状が均一で、パターンエッジの直線性に優れた形状が良好なものであった。
(6)無機粉体含有樹脂層のエッチング工程:
上記の工程に連続して、0.3質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)をエッチング液とするシャワー法による無機粉体含有樹脂層のエッチング処理を60秒間行った。
次いで、超純水による水洗処理および乾燥処理を行った。これにより、無機粉体含有樹脂層パターンを形成した。
(7)パターンの焼成工程:
無機粉体含有樹脂層のパターンが形成されたガラス基板を焼成炉内の大気雰囲気下、580℃で30分間にわたり焼成処理を行った。これにより、ガラス基板の表面に膜厚6μmの電極パターンが形成された。得られた電極パターンは、表面平滑性に優れたものであり、亀裂や欠けがなく、形状も優れたものであった。
実施例6
(1)無機粉体含有樹脂組成物の調製:
ガラス粉体100重量部、結着樹脂(c)5重量部、可塑性付与物質10重量部、シランカップリング剤1重量部および溶剤20重量部を、分散機を用いて混練することにより、粘度が2,000cpである無機粉体含有樹脂組成物を調製した。
(2)転写フィルムの製造:
上記(1)で調製した無機粉体含有樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、転写フィルムを製造した。
この転写フィルムについて、無機粉体含有樹脂層の表面状態を顕微鏡を用いて観察したところ、ガラス粉体の凝集物、筋状の塗装跡、クレーター、ピンホールなどの膜欠陥は認められなかった。
また乾燥後の転写フィルムの表面状態は平滑であり、結着樹脂の柔軟性不足、強度不足などにより生じる微小なひび割れは無かった。
(3)無機粉体含有樹脂層の転写:
上記(2)で製造した転写フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、20インチパネル用のガラス基板の表面に、無機粉体含有樹脂層を転写した。
この転写の際にも転写フィルムに微小なひび割れが生じたり、破断したりするようなことはなかった。また支持フィルムの剥離特性は良好であった。
(4)無機粉体含有樹脂層のポストベーク:
上記(3)によりガラス基板に転写された無機粉体含有樹脂層に対して、250℃で40分の条件でポストベークすることにより、隔壁形成材料層を得るための材料層形成膜を形成した。また、ポストベークにおいて、無機粉体含有樹脂層からの発煙は殆ど認められなかった。
(5)サンドブラスト処理:
上記(4)により得られた材料層形成膜上に、所要のパターンのレジスト層を形成した後、サンドブラスト装置を用い、材料層形成膜に対してサンドブラスト処理を行うことにより、隔壁形成材料層を形成した。
(6)隔壁形成材料層の焼成:
上記(5)により形成された隔壁形成材料層を有するガラス基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を、常温から10℃/分の昇温速度で560℃まで昇温し、560℃の温度雰囲気下で10分間にわたって焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、ガラス焼結体よりなる隔壁を形成した。
この隔壁の形状を目視で観察したところ、ひび割れ、基板からの剥離などは認められなかった。
また、この隔壁の寸法を測定したところ、幅が40μmで高さが130μmであり、アスペクト比の高いものであった。また、隔壁の寸法を詳細に測定したところ、幅および高さなどの寸法の均一性に優れ、表面平滑性にも優れたものであることが確認された。
実施例7
(1)無機粉体含有樹脂組成物の調製
ガラス粉体100重量部、結着樹脂(f)14重量部、可塑性付与物質1重量部、シランカップリング剤1重量部、多官能性(メタ)アクリレートとしてトリメチロールプロパントリアクリレート14部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン10部および溶剤20重量部を、分散機を用いて混練することにより、粘度が2,000cPである無機粉体含有樹脂組成物を調製した。
(2)転写フィルムの製造:
上記(1)で調製した無機粉体含有樹脂組成物を、予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる支持フィルム(幅400mm,長さ30m,厚み38μm)上にロールコーターを用いて塗布し、形成された塗膜を100℃で5分間加熱することにより溶剤を除去し、これにより、厚みが250μmの無機粉体含有樹脂層が支持フィルム上に形成されてなる転写フィルムを製造した。
この転写フィルムについて、無機粉体含有樹脂層の表面状態を顕微鏡を用いて観察したところ、ガラス粉体の凝集物、筋状の塗装跡、クレーター、ピンホールなどの膜欠陥は認められなかった。
また乾燥後の転写フィルムの表面状態は平滑であり、結着樹脂の柔軟性不足、強度不足などにより生じる微小なひび割れは無かった。
(3)無機粉体含有樹脂層の転写:
20インチパネル用のガラス基板の表面に、無機粉体含有樹脂層の表面が当接されるよう、上記(2)で製造した転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ロールにより熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ロールの表面温度を110℃、ロール圧を3kg/cm2 、加熱ロールの移動速度を1m/分とした。
この転写の際にも転写フィルムに微小なひび割れが生じたり、破断したりするようなことはなかった。
熱圧着処理が終了した後、無機粉体含有樹脂層から支持フィルムを剥離除去した。これにより、ガラス基板の表面に無機粉体含有樹脂層を転写した。
また支持フィルムの剥離除去の際に結着樹脂の柔軟性が足りなかったり、樹脂の絶対量が少ないと、剥離した支持フィルム上に無機粉体含有樹脂層の一部が薄く付着したり、付着したものが飛散したりすることがあるが、この組成ではそのようなことはなかった。
(4)無機粉体含有樹脂層の露光工程・現像工程:
上記(3)においてガラス基板上に形成された無機粉体含有樹脂層に対して、支持フィルム上より露光用マスク(100μm幅のストライプパターンおよび5cm四方の角パターン)を介して、超高圧水銀灯によりg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)の混合光を照射した。その際の露光量は、365nmのセンサーで測定した照度換算で1000mJ/cm2 とした。照射後、無機粉体含有樹脂層上の支持フィルムを剥離し、次いで、露光処理された無機粉体含有樹脂層に対して、0.2質量%の水酸化ナトリウム水溶液(30℃)を現像液とするシャワー法による現像処理を720秒間行った。これにより、紫外線が照射されていない未硬化の無機粉体含有樹脂層を除去し、パターンを形成した。
(5)無機粉体含有樹脂層の焼成:
上記(4)により形成されたパターンを有するガラス基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を、常温から10℃/分の昇温速度で560℃まで昇温し、560℃の温度雰囲気下で10分間にわたって焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、隔壁を形成した。
得られた隔壁の寸法を測定したところ、幅が40μmで高さが130μmであり、アスペクト比の高いものであった。また、隔壁の寸法を詳細に測定したところ、幅および高さなどの寸法の均一性に優れ、表面平滑性に優れたものであることが確認された。
交流型のPDPの断面形状を示す模式図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 ガラス基板
3 隔壁
4 透明電極
5 バス電極
6 アドレス電極
7 蛍光物質
8 誘電体層
9 誘電体層
10 保護層

Claims (14)

  1. (A)無機粉体 および
    (B)ポリスチレン換算重量平均分子量が500,000以上である結着樹脂
    を含有することを特徴とする、プラズマディスプレイパネル用無機粉体含有樹脂組成物。
  2. 結着樹脂の重量平均分子量が、500,000〜2,000,000である、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用無機粉体含有樹脂組成物。
  3. (A)無機粉体100重量部に対し、(B)結着樹脂を2〜15重量部含有する、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用無機粉体含有樹脂組成物。
  4. さらに、(C)可塑性付与物質を含有する、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用無機粉体含有樹脂組成物。
  5. さらに、(D1)多官能性(メタ)アクリレートおよび(D2)放射線重合開始剤を含有する、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用無機粉体含有樹脂組成物。
  6. 支持フィルムと、
    (A)無機粉体 および
    (B)ポリスチレン換算重量平均分子量が500,000以上である結着樹脂
    を含有する無機粉体含有樹脂層を有することを特徴とする、プラズマディスプレイパネル用転写フィルム。
  7. 支持フィルム上に、レジスト膜と、無機粉体含有樹脂層との積層膜を有する、請求項6記載のプラズマディスプレイパネル用転写フィルム。
  8. 無機粉体含有樹脂層に、さらに(C)可塑性付与物質を含有する、請求項6記載のプラズマディスプレイパネル用転写フィルム。
  9. 無機粉体含有樹脂層に、さらに(D1)多官能性(メタ)アクリレートおよび(D2)放射線重合開始剤を含有する、請求項6記載のプラズマディスプレイパネル用転写フィルム。
  10. 基板上に、請求項6記載のプラズマディスプレイパネル用転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層を転写する工程と、転写された無機粉体含有樹脂層を焼成する工程とを含む方法によりパネル部材を形成することを特徴とする、プラズマディスプレイパネルの製造方法。
  11. 基板上に、請求項7記載のプラズマディスプレイパネル用転写フィルムにおけるレジスト膜と無機粉体含有樹脂層との積層を、無機粉体含有樹脂層が基板に当接するように転写し、当該レジスト膜を露光処理して、レジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、無機粉体含有樹脂層を現像処理してレジストパターンに対応する無機粉体含有樹脂層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を含む方法によりパネル部材を形成することを特徴とする、請求項10記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  12. 基板上に、請求項7記載のプラズマディスプレイパネル用転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層を転写し、転写された無機粉体含有樹脂層に対してポストベークを行い、その後、サンドブラスト処理を行ってパターンを形成し,当該パターンを焼成することによりパネル部材を形成することを特徴とする、請求項10記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  13. 基板上に、請求項9記載のプラズマディスプレイパネル用転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層を転写し、当該無機粉体含有樹脂層を露光処理して、パターンの潜像を形成し、当該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を含む方法によりパネル部材を形成することを特徴とする、請求項10記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  14. 基板上に、請求項6記載のプラズマディスプレイパネル用転写フィルムにおける無機粉体含有樹脂層を転写し、当該無機粉体含有樹脂層を焼成して無機膜を形成し、当該無機膜上にレジストパターンを形成し、無機膜をエッチングしてレジストパターンに対応する無機パターンを形成することによりパネル部材を形成することを特徴とする、請求項10記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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WO2008001693A1 (fr) * 2006-06-29 2008-01-03 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Composition fluorescente et substrat de conversion de fluorescence l'utilisant
WO2008023712A1 (fr) * 2006-08-21 2008-02-28 Jsr Corporation Composition de résine photosensible, film photosensible et procédé de formation de motif

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