JP4092781B2 - 無機粒子含有組成物、転写フィルムおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの各表示セルを構成する電極、隔壁、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスの形成において、高精細パターンを形成するために好適に使用することができる無機粒子含有組成物、それを用いて得られる転写フィルム、およびプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、大型パネルでありながら製造プロセスが容易であること、視野角が広いこと、自発光タイプで表示品位が高いことなどの理由から、フラットパネル表示技術の中で注目されており、特にカラープラズマディスプレイパネルは、20インチ以上の壁掛けテレビ用の表示デバイスとして将来主流になるものと期待されている。
カラーPDPは、ガス放電により発生する紫外線を蛍光体に照射することによってカラー表示が可能になる。そして、一般に、カラーPDPにおいては、赤色発光用の蛍光体部位、緑色発光用の蛍光体部位および青色発光用の蛍光体部位が基板上に形成されることにより、各色の発光表示セルが全体に均一に混在した状態に構成されている。具体的には、ガラスなどからなる基板の表面に、バリアリブと称される絶縁性材料からなる隔壁が設けられており、この隔壁によって多数の表示セルが区画され、当該表示セルの内部がプラズマ作用空間になる。そして、このプラズマ作用空間に蛍光体部位が設けられるとともに、この蛍光体部位にプラズマを作用させる電極が設けられることにより、各々の表示セルを表示単位とするプラズマディスプレイパネルが構成される。
【0003】
AC型PDPの構造の一例を図1に示す。前面基板ガラスには、一対の維持電極をストライプ状に複数形成し、その上を誘電体層で覆い、さらにその上に保護膜であるMgO膜を蒸着する。
また、プラズマディスプレイパネルのコントラストを向上させるために、赤色、緑色、青色のカラーフィルターやブラックマトリックスを誘電体層の下に設ける場合がある。
一方背面基板ガラス上には、信号電極をストライプ状に複数形成し、信号電極間に隔壁を設け、この隔壁の側面および底面に蛍光体層を形成する。
前記前面基板の維持電極と背面基板の信号電極が垂直方向になるように張り合わせてシールし、内部にネオンとキセノンの混合ガスを導入する。
【0004】
DC型PDPの構造の一例を図2に示す。前面基板ガラスには、陰極電極をストライプ状に複数形成する。
一方、背面基板ガラス上には、表示陽極と補助陽極の電極端子およびリードを形成し、さらに陽極端子と陽極リードの間、補助陽極端子と補助陽極リードの間には抵抗体を設ける。また、背面基板上の表示陽極端子と補助陽極端子の部分を除いて誘電体で絶縁する。次いで放電空間を区画するために隔壁を格子状に設け、この隔壁側面と陽極端子を除く底面には蛍光体層を形成する。
前記前面基板の陰極と背面基板の表示陽極、補助陽極が垂直方向になるように張り合わせてシールし、内部にネオンとキセノンの混合ガスを導入する。
【0005】
このようなプラズマディスプレイパネルの電極、隔壁、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスの製造方法としては、(1)非感光性の無機粒子含有組成物を基板上にスクリーン印刷してパターンを得、これを焼成するスクリーン印刷法、(2)感光性の無機粒子含有組成物の膜を基板上に形成し、この膜にフォトマスクを介して紫外線を照射した上で現像することにより基板上にパターンを残存させ、これを焼成するフォトリソグラフィー法などが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記スクリーン印刷法では、パネルの大型化および高精細化に伴い、パターンの位置精度の要求が非常に厳しくなり、通常の印刷では対応できないという問題がある。
また、前記フォトリソグラフィー法では、一回の露光および現像の工程で10〜100μmの膜厚を有するパターンを形成する際、膜形成材料層の深さ方向に対する感度が不十分であり、必ずしもエッジがシャープな高精細パターンが得られるものとはならないという問題がある。
【0007】
寸法精度の高い電極、隔壁、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスが得られ、しかも従来の製造方法に比べて作業性が向上された形成方法として、支持フィルム上に無機粒子含有組成物からなる膜形成材料層を形成し、基板に転写し、基板上に転写された膜形成材料層上にレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光処理してレジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、膜形成材料層をエッチング処理してレジストパターンに対応する膜形成材料層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を含む方法により、電極、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスの少なくともひとつを形成する方法を提案している(特願平9−340514号参照)。
このような製造方法によれば、高精細でかつ表面の均一性に優れたパターンを形成することができ、また、無機粒子含有組成物からなる膜形成材料層が支持フィルム上に形成されてなる複合フィルム(以下、「転写フィルム」ともいう。)は、これをロール状に巻き取って保存することができる点でも有利である。
しかしながら、従来の転写フィルムは、支持フィルム上に形成される無機膜形成用材料層が十分な可撓性を有するものとならず、転写フィルムを折り曲げると、当該無機膜形成材料層の表面に微小な亀裂(ひび割れ)が発生するという問題がある。また、ガラス基板に対して十分な接着性(加熱接着性)を発揮することができず、支持フィルムからガラス基板の表面に転写されにくいという問題がある。さらに、エッチング処理時にレジストパターンに対応する無機膜形成用材料層のパターンの欠損、欠落が生じやすいという問題がある。
【0008】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、膜形成材料層の可撓性、転写性(ガラス基板に対する膜形成材料層の加熱接着性)に優れた転写フィルムを製造することのできる無機粒子含有組成物および転写フィルムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、寸法精度が高いパターンを形成でき、作業性に優れたプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の無機粒子含有組成物は、(A)無機粒子、(B)結着樹脂、(C)アクリレート化合物および(D)溶剤を含有することを特徴とする。本発明の転写フィルムは、上記無機粒子含有組成物から得られる膜形成材料層が支持フィルム上に形成されていることを特徴とする。また、感放射線成分を含有するレジスト組成物から得られるレジスト膜と、上記無機粒子含有組成物から得られる膜形成材料層が、支持フィルム上に積層形成されていることを特徴とする。本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、本発明の転写フィルムを構成する膜形成材料層を基板上に転写し、当該膜形成材料層上にレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光処理してレジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像液を用いて現像処理してレジストパターンを顕在化させ、膜形成材料層を前記と同一の現像液を用いてエッチング処理してレジストパターンに対応する膜形成材料層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を含む方法により、隔壁、電極、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスの少なくともひとつを形成することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の無機粒子含有組成物について詳細に説明する。
本発明の無機粒子含有組成物は、無機粒子、結着樹脂およびアクリレート化合物を含有する有機バインダー並びに溶剤を必須成分として含有する。
【0011】
<無機粒子>
本発明の無機粒子含有組成物に使用される無機粒子は、形成材料の種類によって異なる。
隔壁および誘電体形成材料に使用される無機粒子としては、低融点ガラスなどが挙げられ、具体的には、▲1▼酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物(ZnO-B2O3-SiO2系)、▲2▼酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、の混合物(PbO-B2O3-SiO2)、▲3▼酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの混合物(PbO-B2O3-SiO2-Al2O3系)、▲4▼酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物(PbO-ZnO-B2O3-SiO2系)などを挙げることができる。
電極形成材料に使用される無機粒子としては、Ag、Au、Al、Ni、Ag-Pd合金、Cu、Crなどを挙げることができる。
抵抗体形成材料に使用される無機粒子としては、RuO2などを挙げることができる。
蛍光体形成材料に使用される無機粒子は、赤色用としてはY2O3:Eu3+、Y2SiO5:Eu3+、Y3Al5O12:Eu3+、YVO4:Eu3+、(Y,Gd)BO3:Eu3+、Zn3(PO4)2:Mnなど、緑色用としてはZn2SiO4:Mn、BaAl12O19:Mn、BaMgAl14O23:Mn、LaPO4:(Ce,Tb)、Y3(Al,Ga)5O12:Tbなど、青色用としてはY2SiO5:Ce、BaMgAl10O17:Eu2+、BaMgAl14O23:Eu2+、(Ca,Sr,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu2+、(Zn,Cd)S:Agなどを挙げることができる。
カラーフィルター形成材料に使用される無機粒子は、赤色用としてはFe2O3、Pb3O4など、緑色用としてはCr2O3など、青色用としては2(Al2Na2Si3O10)・Na2S4などを挙げることができる。
ブラックマトリックス形成材料に使用される無機粒子としては、Mn、Fe、Crなどを挙げることができる。
また、形成部位によっては上記無機粒子のほかに、任意成分として、低融点ガラスなどの各種無機粒子が含有されていてもよい。
【0012】
<有機バインダー>
本発明の無機粒子含有組成物を構成する有機バインダーには、結着樹脂およびアクリレート化合物が必須成分として含有される。
(I)結着樹脂
結着樹脂としては種々の樹脂を用いることができるが、結着樹脂中にアルカリ可溶性樹脂を30〜100重量%の割合で含有することが特に好ましい。
ここに、「アルカリ可溶性」とは、後述するアルカリ性のエッチング液によって溶解し、目的とするエッチング処理が遂行される程度に溶解性を有する性質をいう。
かかるアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えば(メタ)アクリル樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
このようなアルカリ可溶性樹脂のうち、特に好ましいものとしては、下記のモノマー(イ)とモノマー(ロ)との共重合体、又はモノマー(イ)とモノマー(ロ)とモノマー(ハ)との共重合体などの(メタ)アクリル樹脂を挙げることができる。
【0013】
モノマー(イ):
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類などに代表されるアルカリ可溶性官能基含有モノマー類。
モノマー(ロ):
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどのモノマー(イ)以外の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類などに代表されるモノマー(イ)と共重合可能なモノマー類。
モノマー(ハ):
ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジルなどのポリマー鎖の一方の末端に、(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマーなどに代表されるマクロモノマー類:
【0014】
上記アルカリ可溶性樹脂の分子量としては、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量(Mw)」ともいう)として5,000〜1,000,000であることが好ましく、さらに好ましくは10,000〜500,000とされる。また、無機粒子含有組成物における結着樹脂の含有割合としては、無機粒子100重量部に対して、通常1〜1000重量部とされ、好ましくは5〜200重量部とされる。結着樹脂の割合が過小である場合には、無機粒子を確実に結着保持することができない。一方、この割合が過大である場合には、焼成工程に長い時間を要したり、形成されるパターンの形状が均一なものとならなかったりする。
【0015】
(II)アクリレート化合物
有機バインダーに含有されるアクリレート化合物としては、分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物が用いられる。
分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有(メタ)アクリレート類;
エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;
グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変成物;
3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類;
4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類;
ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレートなどのオリゴ(メタ)アクリレート類;
ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリカプロラクトンなどの重合体の両末端をヒドロキシル化して得られるジ(メタ)アクリレート類;
トリス(メタ)アクリロイロキシエチルフォスフェートなどを挙げることができ、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変成物;3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類;が特に好ましく用いられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
無機粒子含有組成物におけるアクリレート化合物の含有割合としては、無機粒子100重量部に対して、通常0.1〜500重量部とされ、好ましくは0.5〜100重量部とされる。多価アクリレート化合物の割合が過小である場合には、得られる転写フィルムの可撓性と転写性に乏しく、またエッチング処理時にレジストパターンに対応する膜形成材料層のパターンの欠損、欠落が生じやすくなる。一方、この割合が過大である場合には、焼成工程に長い時間を要したり、形成される電極、隔壁、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリクスの形状が均一なものとならなかったりする。
また、有機バインダーには、上記結着樹脂およびアクリレート化合物のほかに、任意成分として、分散剤、可塑剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着性付与剤、表面張力調整剤、光重合開始剤などの各種添加剤が含有されていてもよい。
【0016】
<溶剤>
本発明の無機粒子含有組成物を構成する溶剤は、当該無機粒子含有組成物に、適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するために含有される。
上記溶剤としては、無機粒子との親和性、有機バインダーの溶解性が良好で、無機粒子含有組成物に適度な粘性を付与することができ、乾燥されることによって容易に蒸発除去できるものである限り特に制限されるものではなく、例えばエーテル類、エステル類、エーテルエステル類、ケトン類、ケトンエステル類、アミド類、アミドエステル類、ラクタム類、ラクトン類、スルホキシド類、スルホン類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。
かかる溶剤の具体例としては、テトラヒドロフラン、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、酢酸エステル類、ヒドロキシ酢酸エステル類、アルコキシ酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、ヒドロキシプロピオン酸エステル類、アルコキシプロピオン酸エステル類、乳酸エステル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、アルコキシ酢酸エステル類、環式ケトン類、非環式ケトン類、アセト酢酸エステル類、ピルビン酸エステル類、N,N−ジアルキルホルムアミド類、N,N−ジアルキルアセトアミド類、N−アルキルピロリドン類、γ−ラクトン類、ジアルキルスルホキシド類、ジアルキルスルホン類、ターピネオール、N−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機粒子含有組成物における溶剤の含有割合としては、良好な膜形成性(流動性または可塑性)が得られる範囲内において適宜選択することができるが、通常、無機粒子100重量部に対して、1〜10,000重量部であり、好ましくは10〜1,000重量部とされる。
【0017】
本発明の無機粒子含有組成物は、無機粒子、有機バインダーおよび溶剤を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミルなどの混練機を用いて混練することにより調製することができる。
上記のようにして調製される本発明の無機粒子含有組成物は、通常、塗布に適した流動性を有するペースト状の組成物であり、その粘度は、通常、100〜30,000cpであり、好ましくは、1,000〜20,000cpである。
【0018】
<転写フィルム>
本発明の無機粒子含有組成物は、転写フィルムを製造するために特に好適に使用することができる。この転写フィルムは、支持フィルムと、この支持フィルム上に形成された本発明の無機粒子含有組成物からなる膜形成材料層とにより構成される。ここに、支持フィルムへの塗布工程に供される本発明の無機粒子含有組成物の粘度としては、1,000〜20,000cpであることが好ましい。
【0019】
転写フィルムを構成する支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコーターによって本発明の組成物を塗布することができ、膜形成材料層をロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。支持フィルムを形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどを挙げることができる。支持フィルムの厚さとしては、例えば20〜100μmとされる。
【0020】
転写フィルムを構成する膜形成材料層は、本発明の無機粒子含有組成物を前記支持フィルム上に塗布し、塗膜を乾燥して溶剤の一部又は全部を除去することにより形成することができる。
本発明の組成物を支持フィルム上に塗布する方法としては、膜厚の均一性に優れた膜厚の大きい(例えば1μm以上)塗膜を効率よく形成することができるものであることが好ましく、具体的には、グラビアによる塗布方法、ダイによる塗布方法、ロールコーターによる塗布方法、ドクターブレードによる塗布方法、ドクターロールによる塗布方法、カーテンコーターによる塗布方法、ワイヤーコーターによる塗布方法などを好ましいものとして挙げることができる。
塗膜の乾燥条件としては、50〜150℃で0.5〜30分間程度とされ、乾燥後における溶剤の残存割合(膜形成材料層中の含有率)は、通常、2重量%以下とされる。
上記のようにして支持フィルム上に形成される膜形成材料層の膜厚としては、無機粒子の含有率、部材の種類やサイズなどにより、適宜選択することができる。
また、本発明の転写フィルムは、支持フィルム上に、後述するレジスト膜を形成した後、本発明の無機粒子含有組成物からなる膜形成材料層を積層形成してなるものであってもよい。この場合、支持フィルム上に形成されたレジスト膜と膜形成材料層との積層膜を基板上に一括転写することが可能となり、さらなる工程の簡略化、パターンの高精細化を図ることができる。
なお、本発明の転写フィルムに用いられる支持フィルムの表面は、必要に応じて離型処理が施されていることが好ましい。これにより、基板への転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
また、転写フィルムには、膜形成材料層の表面に保護フィルム層が設けられてもよい。このような保護フィルム層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどを挙げることができ、必要に応じて離型処理が施されていることが好ましい。
【0021】
本発明の組成物は、上記のように、支持フィルム上に膜形成材料層を形成して転写フィルムを製造する際に特に好適に使用することができるが、これらの用途に限定されるものではなく、従来において公知の膜形成材料層の形成方法、すなわち、スクリーン印刷法などによって当該組成物をガラス基板の表面に直接塗布し、塗膜を乾燥することにより膜形成材料層を形成する方法にも好適に使用することができる。ここに、スクリーン印刷法によるガラス基板への塗布工程に供される本発明の無機粒子含有組成物の粘度としては、10,000〜200,000cpであることが好ましい。
【0022】
<レジスト膜(レジスト組成物)>
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法においては、膜形成材料層上にレジスト膜が形成され、当該レジスト膜に露光処理および現像処理を施すことにより、前記膜形成材料層上にレジストパターンが形成される。
レジスト膜を形成するために使用するレジスト組成物としては、アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物、有機溶剤現像型感放射線性レジスト組成物、水性現像型感放射線性レジスト組成物などを例示することができるが、好ましくはアルカリ現像型感放射線性レジスト組成物が用いられる。本発明でいう「放射線」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線などを含むものである。
アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂と感放射線性成分を必須成分として含有してなる。
アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物を構成するアルカリ可溶性樹脂としては、無機粒子含有組成物の有機バインダー成分を構成するものとして例示したアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
【0023】
アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物を構成する感放射線性成分としては、例えば、(イ)多価アクリレートと光重合開始剤との組み合わせ、(ロ)メラミン樹脂と放射線照射により酸を形成する光酸発生剤との組み合わせ、(ハ)放射線照射によりアルカリ難溶性のものがアルカリ可溶性になる化合物などを例示することができ、上記(イ)の組み合わせのうち、多価アクリルと光重合開始剤とのネガタイプの組み合わせと(ハ)のポジタイプが特に好ましい。
ネガタイプの感放射線性成分を構成する多価アクリレートとしては、上述した本発明の無機粒子含有組成物に用いられるアクリレート化合物のうち、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
また、ネガタイプの感放射線性成分を構成する光重合開始剤の具体例としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのカルボニル化合物;アゾイソブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;メルカプタンジスルフィドなどの有機硫黄化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、パラメタンハイドロパーオキシドなどの有機パーオキシド;1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エチレニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリハロメタン類;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル1,2’−ビイミダゾールなどのイミダゾール二量体などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
一方、ポジタイプの感放射線性化合物としては、ポリヒドロキシ化合物の1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルおよび1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホン酸エステルなどが挙げられ、特に、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルが好ましい。
感放射線性化合物は、例えば、ポリヒドロキシ化合物とキノンジアジドスルホニルクロリドとを塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られる。通常、ポリヒドロキシ化合物の全水酸基に対するキノンジアジドスルホン酸エステルの割合(平均エステル化率)は、20%以上100%以下であり、好ましくは40%以上95%以下である。平均エステル化率が低すぎると、パターン形成が難しく、高すぎると感度の低下を招くことがある。
ここで、用いられるポリヒドロキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、具体例として下記に示す化合物が挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】
(式中、X1 〜X15は、それぞれ相互に同一または異なり、水素原子、C1 〜C4 のアルキル基、C1 〜C4 のアルコキシ基、C6 〜C10のアリール基または水酸基である。ただし、X1 〜X5 およびX6 〜X10のそれぞれの組み合わせにおいて少なくとも1つは水酸基である。また、Y1 は、水素原子またはC1 〜C4 のアルキル基である。)
【0028】
【化2】
【0029】
(式中、X16〜X30は、前記X1 〜X15と同様である。ただし、X16〜X20、X21〜X25およびX26〜X30のそれぞれの組み合わせにおいて少なくとも1つは水酸基である。また、Y2 〜Y4 は、それぞれ相互に同一または異なり、水素原子またはC1 〜C4 のアルキル基である。)
【0030】
【化3】
【0031】
(式中、X31〜X44は、前記X1 〜X15と同様である。ただし、X31〜X35において少なくとも1つは水酸基である。また、Y5 〜Y8 は、それぞれ相互に同一または異なり水素原子またはC1 〜C4 のアルキル基である。)
【0032】
【化4】
【0033】
(式中、X45〜X58は、それぞれ相互に同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、C1 〜C4 のアルキル基、C1 〜C4 のアルコキシ基、C5 〜C7 のシクロアルキル基または水酸基である。ただし、X45〜X48およびX49〜X53のそれぞれの組み合わせにおいて少なくとも1つは水酸基である。また、Y9 およびY10は、それぞれ相互に同一または異なり水素原子、C1 〜C4 のアルキル基またはC5 〜C7 のシクロアルキル基である。)
【0034】
【化5】
【0035】
(式中、X59〜X80は、前記X45〜X58と同様である。ただし、X59〜X63、X64〜X67、X72〜X75およびX76〜X80のそれぞれの組み合わせにおいて少なくとも1つは水酸基である。また、Y11〜Y18は、それぞれ相互に同一または異なり水素原子またはC1 〜C4 のアルキル基である。)
【0036】
【化6】
【0037】
(式中、X81〜X90はそれぞれ相互に同一または異なり、水素原子、C1 〜C4 のアルコキシ基、C6 〜C10のアリール基または水酸基である。ただし、X81〜X90の組み合わせにおいて少なくとも1つは水酸基である。)
【0038】
このアルカリ現像型感放射線性レジスト組成物における感放射線性成分の含有割合としては、アルカリ可溶性樹脂100重量部当たり、通常1〜200重量部とされ、好ましくは5〜100重量部である。
また、アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物については、良好な膜形成性付与するために、適宜有機溶剤が含有される。かかる有機溶剤としては、無機粒子含有組成物を構成するものとして例示した溶剤を挙げることができる。
本発明において使用するレジスト組成物には、任意成分として、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー、蛍光体、顔料、染料などの各種添加剤が含有されていてもよい。
【0039】
<現像液>
レジスト膜の現像工程で使用される現像液としては、レジスト膜(レジスト組成物)の種類に応じて適宜選択することができる。具体的には、アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物によるレジスト膜にはアルカリ現像液を使用することができる。
アルカリ現像液の有効成分としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどの無機アルカリ性化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどの有機アルカリ性化合物などを挙げることができる。
レジスト膜の現像工程で使用されるアルカリ現像液は、前記アルカリ性化合物の1種または2種以上を水などに溶解させることにより調製することができる。ここに、アルカリ性現像液におけるアルカリ性化合物の濃度は、通常0.001〜10重量%とされ、好ましくは0.01〜5重量%とされる。なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。
【0040】
<エッチング液>
膜形成材料層のエッチング工程で使用されるエッチング液としては、アルカリ性溶液であることが好ましい。これにより、膜形成材料層に含有されるアルカリ可溶性樹脂を容易に溶解除去することができる。
なお、膜形成材料層に含有される無機粒子は、アルカリ可溶性樹脂により均一に分散されているため、アルカリ性溶液でバインダーであるアルカリ可溶性樹脂を溶解させ、洗浄することにより、無機粒子も同時に除去される。
ここに、エッチング液として使用されるアルカリ性溶液としては、現像液と同一組成の溶液であることがさらに好ましい。
エッチング液が、現像工程で使用するアルカリ現像液と同一の溶液であることにより、現像工程と、エッチング工程とを連続的に実施することが可能となり、工程の簡略化を図ることができる。
なお、アルカリ性溶液によるエッチング処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。
【0041】
<プラズマディスプレイパネルの製造方法>
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。本発明の製造方法においては、〔1〕膜形成材料層の転写工程、〔2〕レジスト膜の形成工程、〔3〕レジスト膜の露光工程、〔4〕レジスト膜の現像工程、〔5〕膜形成材料層のエッチング工程、〔6〕パターンの焼成工程により、プラズマディスプレイパネルの電極、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターまたはブラックマトリックスを形成する。
【0042】
〔1〕膜形成材料層の転写工程
本発明の転写フィルムを使用し、本発明の無機粒子含有組成物から形成される膜形成材料層を基板の表面に転写する。
転写工程の一例を示せば以下のとおりである。必要に応じて使用される転写フィルムの保護フィルム層を剥離した後、基板の表面に、膜形成材料層の表面が当接されるように転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着した後、膜形成材料層から支持フィルムを剥離除去する。これにより、基板の表面に膜形成材料層が転写されて密着した状態となる。ここで、転写条件としては、例えば、加熱ローラの表面温度が80〜140℃、加熱ローラによるロール圧が1〜5kg/cm2 、加熱ローラの移動速度が0.1〜10.0m/分を示すことができる。また、基板は予熱されていてもよく、予熱温度としては例えば40〜100℃とすることができる。
【0043】
〔2〕レジスト膜の形成工程
この工程においては、転写された膜形成材料層の表面にレジスト膜を形成する。このレジスト膜を構成するレジストとしては、ポジ型レジストおよびネガ型レジストのいずれであってもよい。
レジスト膜は、スクリーン印刷法、ロール塗布法、回転塗布法、流延塗布法など種々の方法によってレジストを塗布した後、塗膜を乾燥することにより形成することができる。
また、支持フィルム上に形成されたレジスト膜を膜形成材料層の表面に転写することによって形成してもよい。このような形成方法によれば、レジスト膜の形成工程における工程改善(高効率化)を図ることができるとともに、形成されるパターンの膜厚均一性を図ることができる。
レジスト膜の膜厚としては、通常、0.1〜40μm、好ましくは0.5〜20μmである。
【0044】
〔3〕レジスト膜の露光工程
この工程においては、膜形成材料層上に形成されたレジスト膜の表面に、露光用マスクを介して、紫外線などの放射線を選択的照射(露光)して、レジストパターンの潜像を形成する。
ここに、放射線照射装置としては、前記フォトリソグラフィー法で使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置など特に限定されるものではない。
【0045】
〔4〕レジスト膜の現像工程
この工程においては、露光されたレジスト膜を現像処理することにより、レジストパターン(潜像)を顕在化させる。
ここに、現像処理条件としては、レジスト膜の種類などに応じて、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、現像装置などを適宜選択することができる。この現像工程により、レジスト残留部とレジスト除去部とから構成されるレジストパターンが形成される。
このレジストパターンは、次工程(エッチング工程)におけるエッチングマスクとして作用するものであり、レジスト残留部の構成材料(光硬化されたレジスト)は、膜形成材料層の構成材料よりもエッチング液に対する溶解速度が小さいことが必要である。
【0046】
〔5〕膜形成材料層のエッチング工程
この工程においては、膜形成材料層をエッチング処理し、レジストパターンに対応するパターンを形成する。
すなわち、膜形成材料層のうち、レジストパターンのレジスト除去部に対応する部分がエッチング液に溶解されて選択的に除去される。そして、膜形成材料層におけるレジスト除去部に対応する部分で、基板表面が露出する。これにより、材料層残留部と材料層除去部とから構成されるパターンが形成される。
ここに、エッチング処理条件としては、膜形成材料層の種類などにに応じて、エッチング液の種類・組成・濃度、処理時間、処理温度、処理方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、処理装置などを適宜選択することができる。
なお、エッチング液として、現像工程で使用した現像液と同一の溶液を使用することができるよう、レジスト膜および膜形成材料層の種類を選択することにより、現像工程と、エッチング工程とを連続的に実施することが可能となり、工程の簡略化による製造効率の向上を図ることができる。
ここに、レジストパターンを構成するレジスト残留部は、エッチング処理の際に徐々に溶解され、パターンが形成された段階(エッチング処理の終了時)で完全に除去されるものであることが好ましい。
なお、エッチング処理後にレジスト残留部の一部または全部が残留していても、当該レジスト残留部は、次の焼成工程で除去される。
【0047】
〔6〕パターンの焼成工程
この工程においては、パターンを焼成処理して電極、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターまたはブラックマトリックスを形成する。これにより、材料層残留部中の有機物質が焼失して、金属層、蛍光体層などの無機物層が形成され、基板の表面に電極、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターまたはブラックマトリックスのパターンが形成されてなるパネル材料を得ることができる。
ここに、焼成処理の温度としては、材料層残留部中の有機物質が焼失される温度であることが必要であり、通常、400〜600℃とされる。また、焼成時間は、通常10〜90分間とされる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「重量部」を示す。
<実施例1>
(1)無機粒子含有組成物(電極形成用組成物)の調製:
(a)無機粒子として平均粒径1μmの銀粉末100部、平均粒径2μmのガラス粉末10部、(b)結着樹脂としてn−ラウリルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸=40/40/20(重量%)共重合体(Mw=250,000)30部、アクリレート化合物として、トリプロピレングリコールジアクリレート10部、(c)溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、およびその他任意成分としてステアリン酸(分散剤として)1部を混練りすることにより、本発明の無機粒子含有組成物を調製した。
(2)アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物の調製:
次いで、アルカリ可溶性樹脂としてn−ブチルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(重量%)共重合体(Mw=60,000)60部、多価アクリレート(感放射線性成分)としてペンタエリスリトールテトラアクリレート40部、光重合開始剤(感放射線性成分)として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン5部および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を混練りすることにより、アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物(以下、「レジスト組成物」という。)を調製した。
【0049】
(3)転写フィルムの製造:
下記(イ)、(ロ)の操作により、レジスト膜および膜形成材料層を有する積層膜が支持フィルム上に形成されてなる本発明の転写フィルムを作製した。
(イ)上記(2)で調製したレジスト組成物を予め離型処理したPETフィルムよりなる支持フィルム上にロールコータを用いて塗布し、塗膜を100℃で5分間乾燥して溶剤を完全に除去し、厚さ5μmのレジスト膜を支持フィルム上に形成した。
(ロ)上記(1)で調製した無機粒子含有組成物をレジスト膜上にロールコータを用いて塗布し、塗膜を100℃で5分間乾燥して溶剤を完全に除去し、厚さ40μmの膜形成材料層をレジスト膜上に形成した。
(4)転写フィルムの可撓性評価:
上記(3)で製造した転写フィルムを折り曲げ、膜形成材料層の表面にひび割れ(屈曲亀裂)の発生を目視確認することにより、当該転写フィルムの可撓性評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0050】
(5)転写フィルムの転写性評価:
予めホットプレート上で80℃に加熱されたガラス基板の表面に、反射防止膜形成用ペースト層の表面が当接されるよう上記(4)で製造した転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラに熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ローラの表面温度を120℃、ロール圧を4kg/cm、加熱ローラの移動速度を▲1▼0.5m/分、および▲2▼0.1m/分とした。熱圧着処理の終了後、転写フィルム(レジスト膜の表面)から支持フィルムを剥離除去し、ガラス基板の表面に転写フィルムが転写されて密着した状態となることを目視確認することにより、当該転写フィルムの転写性評価を行った。評価結果を表1に示す。
(6)パターニング特性の評価:
上記(5)においてガラス基板上に形成された転写膜中のレジスト膜に対して、露光用マスク(50μm幅のストライプパターン)を介して、超高圧水銀灯により、i線(波長365nmの紫外線)を200mJ/cm2照射し、次いで、露光処理されたレジスト膜に対して、0.1重量%の水酸化カリウム水溶液(25℃)を現像液とするシャワー法によるレジスト膜の現像処理および連続して0.1重量%の水酸化カリウム水溶液(25℃)をエッチング液とするシャワー法による無機膜形成用材料層のエッチング処理を、合計3分間行った。
次いで、超純水による水洗処理および乾燥処理を行い、パターンの欠損、欠落を光学顕微鏡観察することにより、パターニング特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0051】
<実施例2>
実施例1の(1)無機粒子含有組成物の調製における(b)アクリレート化合物を、トリメチロールプロパントリアクリレート10部に変更した以外は実施例1と同様にして、転写フィルムの製造、パターンの形成および評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
<実施例3>
実施例1の(1)無機粒子含有組成物の調製における(b)アクリレート化合物を、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10部に変更した以外は実施例1と同様にして、転写フィルムの製造、パターンの形成および評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
本発明の無機粒子含有組成物から得られる本発明の転写フィルムは、可撓性および転写性に優れ、エッチング処理時にレジストパターンに対応する膜形成用材料層のパターンを良好に形成することができる。
したがって、本発明の無機粒子含有組成物および転写フィルムは、プラズマディスプレイパネルの電極、隔壁、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスの形成のために好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的なAC型PDPを示す説明用断面図である。
【図2】 一般的なDC型PDPを示す説明用断面図である。
【符号の説明】
1 前面基板 2 背面基板
3 誘電体 3A MgO層
4 蛍光体 5 障壁
6A 維持電極 6B 信号電極
6a 陰極 6b 表示陽極
6b’ 表示陽極リード 6c 補助陽極
6c’ 補助陽極リード 7 抵抗
8 表示セル 9 補助セル
10 バスライン
Claims (3)
- 感放射線成分を含有するレジスト組成物から得られるレジスト膜と、
(A)無機粒子、(B)結着樹脂、(C)アクリレート化合物および(D)溶剤を含有する無機粒子含有組成物から得られる膜形成材料層との積層膜が、
支持フィルム上に形成されていることを特徴とする、転写フィルム。 - 請求項1記載の無機粒子含有組成物からなる膜形成材料層を支持フィルム上に形成し、当該膜形成材料層を基板上に転写し、当該膜形成材料層上にレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光処理してレジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像液を用いて現像処理してレジストパターンを顕在化させ、膜形成材料層を前記と同一の現像液を用いてエッチング処理してレジストパターンに対応する膜形成材料層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を含む方法により、隔壁、電極、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスの少なくともひとつを形成することを特徴とする、プラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 請求項1記載の転写フィルムを用いて、レジスト膜と無機粒子含有組成物からなる膜形成材料層との積層膜を基板上に転写し、当該積層膜を構成するレジスト膜を露光処理してレジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像液を用いて現像処理してレジストパターンを顕在化させ、膜形成材料層を前記と同一の現像液を用いてエッチング処理してレジストパターンに対応する膜形成材料層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を含む方法により、隔壁、電極、抵抗体、誘電体、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスの少なくともひとつを形成することを特徴とする、プラズマディスプレイパネルの製造方法。
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