JP4177196B2 - 膜形成材料層、転写シート、誘電体層、誘電体層形成基板の製造方法、及び誘電体層形成基板 - Google Patents
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Description
本発明では、無機粉体含有樹脂組成物にリン酸(H3 PO4 )と特定のリン酸エステル系界面活性剤とを添加することにより、該組成物からなる膜形成材料層を基板に気泡をかみ込むことなく転写することができ、転写された膜形成材料層は基板に対して高い密着性を有する。また、膜形成材料層の溶融、焼結時に発生する気泡を効率的に除去することができるため、焼結後に形成される誘電体層中に気泡が残存することがなく、光透過率を向上させることができる。特に、本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、低温領域(650℃以下)で焼結工程を行う場合に好適に用いられる。
作製したポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)にて測定し、標準ポリスチレンにより換算した。
GPC装置:東ソー社製、HLC−8220GPC
カラム:東ソー社製、TSKgel Super HZM−H、H−RC、HZ−H
流量:0.6ml/min
濃度:0.2wt%
注入量:20μl
カラム温度:40℃
溶離液:THF
(ガラス転移温度の測定)
作製したポリマーを厚さ1mmに成形し、φ8mmに打ち抜いたものを動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を用いて、周波数1Hzにて損失弾性率G”の温度依存性を測定した。得られた損失弾性率G”のカーブにおけるピークトップの温度をガラス転移温度Tgとした。
作製した転写シートから保護フィルムを剥離し、該転写シートの膜形成材料層を加熱ロール式ラミネータを用いて、ガラス基板の該表面に熱圧着した。熱圧着条件は、ロール表面温度80℃、ロール圧0.3MPa、及び速度1.0m/minである。熱圧着後、支持フィルムを膜形成材料層から剥離して膜形成材料層をガラス基板に転写した。転写した膜形成材料層の表面にNTカッターを用いて5mm×5mmの切れ込みを入れて3行×3列の碁盤目(全部で9個)を形成した。その後、膜形成材料層上に粘着テープ(日東電工(株)社製、No.31B、19mm幅)を貼り付け、2kgローラーを一往復させて圧着した。そして、該粘着テープを剥離角度135°、剥離速度0.3m/minで剥離し、ガラス基板からの該碁盤目の剥離数を数え、下記基準で評価した。
○:0個
△:1又は2個
×:3個以上
(誘電体層の光透過率の測定)
得られた誘電体層の光透過率(%)を測定した。光透過率の測定は、ヘイズメーター(村上色彩研究所製、HM−150)を用い、全光線透過率を測定した。
得られた誘電体層の表面粗さ(表面凹凸の山谷高さ:Rt)を測定した。Rtの測定は、接触式表面粗さ測定装置(KLA Tencor、P−11)を用いて測定し、表面の傾き補正を実施した後、測定面内での山谷高さを算出した。
〔(メタ)アクリル系樹脂の調製〕
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロ−トを備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルメタクリレート(2−EHMA)、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学社製、ライトエステルHOMS)(重量部比:2−EHMA/ライトエステルHOMS=99/1)、重合開始剤、トルエンを仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を75℃付近に保って約8時間重合反応を行い、固形分50重量%のメタクリル系樹脂溶液を調製した。得られたメタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は10万であり、ガラス転移温度は−10℃であった。
〔無機粉体含有樹脂組成物の調製〕
無機粉体として、PbO−B2 O3 −SiO2 −ZnO−Al2 O3 系ガラス粉体(ガラス転移点:420℃、軟化点:480℃)100重量部、前記メタクリル系樹脂(A)20重量部、溶剤としてα−テルピネオール40重量部、リン酸1重量部、上記一般式(1)において、R1 =−(CH2 CH2 O)9 −R3 、R2 =H、又は−(CH2 CH2 O)9 −R3 、R3 =ノニルフェニル基(C6 H4 −C9 H19)であるリン酸エステル系界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸)0.5重量部、及び可塑剤としてトリメリット酸トリオクチル3重量部を配合し、分散機を用いて混合分散してペースト状の無機粉体含有樹脂組成物(a)を調製した。
〔転写シートの作製〕
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに剥離剤処理を施した支持フィルム上に、前記調製した無機粉体含有樹脂組成物(a)をロールコータを用いて塗布し、塗膜を150℃で5分間乾燥することにより溶剤を除去して膜形成材料層(厚さ:68μm)を形成した。その後、膜形成材料層上に保護フィルム(PET)をカバーし、ロール状に巻き取って転写シートを作製した。
〔誘電体層形成ガラス基板の作製〕
前記転写シートの保護フィルムを剥離後、転写シートの膜形成材料層表面をパネル用ガラス基板の表面(バス電極の固定面)に当接するように重ね合わせ、加熱ロール式ラミネータを用いて熱圧着した。圧着条件は、加熱ロールの表面温度80℃、ロール線圧1kg/cm、ロール移動速度1m/分であった。熱圧着処理後、膜形成材料層から支持フィルムを剥離除去すると、ガラス基板表面に膜形成材料層が転写されて密着した状態になっていた。膜形成材料層が転写されたガラス基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を室温から590℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、590℃の温度雰囲気下で60分間維持することにより、ガラス基板表面にガラス焼結体からなる誘電体層を形成し、誘電体層形成ガラス基板を作製した。
〔(メタ)アクリル系樹脂の調製〕
実施例1と同様の方法でメタクリル系樹脂(A)を調製した。
〔無機粉体含有樹脂組成物の調製〕
実施例1のリン酸エステル系界面活性剤の代わりに、上記一般式(1)において、R1 =−(CH2 CH2 O)8 −R3 、R2 =H、又は−(CH2 CH2 O)8 −R3 、R3 =C12H25であるリン酸エステル系界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸)0.5重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法により無機粉体含有樹脂組成物(b)を調製した。
〔転写シートの作製〕及び〔誘電体層形成ガラス基板の作製〕
実施例1において、無機粉体含有樹脂組成物(a)に代わりに無機粉体含有樹脂組成物(b)を用いた以外は実施例1と同様の方法により転写シート及び誘電体層形成ガラス基板を作製した。
〔(メタ)アクリル系樹脂の調製〕
実施例1と同様の方法でメタクリル系樹脂(A)を調製した。
〔無機粉体含有樹脂組成物の調製〕
実施例1のリン酸エステル系界面活性剤の代わりに、上記一般式(1)において、R1 =−(CH2 CH2 O)7 −R3 、R2 =−(CH2 CH2 O)7 −R3 、R3 =ノニルフェニル基(C6 H4 −C9 H19)であるリン酸エステル系界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸)0.5重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法により無機粉体含有樹脂組成物(c)を調製した。
〔転写シートの作製〕及び〔誘電体層形成ガラス基板の作製〕
実施例1において、無機粉体含有樹脂組成物(a)に代わりに無機粉体含有樹脂組成物(c)を用いた以外は実施例1と同様の方法により転写シート及び誘電体層形成ガラス基板を作製した。
〔(メタ)アクリル系樹脂の調製〕
実施例1と同様の方法でメタクリル系樹脂(A)を調製した。
〔無機粉体含有樹脂組成物の調製〕
実施例1において、リン酸エステル系界面活性剤を用いなかった以外は実施例1と同様の方法により無機粉体含有樹脂組成物(d)を調製した。
〔転写シートの作製〕及び〔誘電体層形成ガラス基板の作製〕
実施例1において、無機粉体含有樹脂組成物(a)に代わりに無機粉体含有樹脂組成物(d)を用いた以外は実施例1と同様の方法により転写シート及び誘電体層形成ガラス基板を作製した。
〔(メタ)アクリル系樹脂の調製〕
実施例1と同様の方法でメタクリル系樹脂(A)を調製した。
〔無機粉体含有樹脂組成物の調製〕
実施例1において、リン酸を用いなかった以外は実施例1と同様の方法により無機粉体含有樹脂組成物(e)を調製した。
〔転写シートの作製〕及び〔誘電体層形成ガラス基板の作製〕
実施例1において、無機粉体含有樹脂組成物(a)に代わりに無機粉体含有樹脂組成物(e)を用いた以外は実施例1と同様の方法により転写シート及び誘電体層形成ガラス基板を作製した。
Claims (12)
- 前記バインダ樹脂の重量平均分子量が、5万〜50万である請求項1記載の膜形成材料層。
- 前記バインダ樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂である請求項1又は2記載の膜形成材料層。
- 前記(メタ)アクリル系樹脂が、カルボキシル基を有する請求項3記載の膜形成材料層。
- 無機粉体100重量部に対して、バインダ樹脂を5〜50重量部、リン酸(H3PO4)を0.1〜5重量部、及び前記リン酸エステル系界面活性剤を0.1〜2重量部含有する請求項1〜4のいずれかに記載の膜形成材料層。
- 無機粉体が、ガラス粉末である請求項1〜5のいずれかに記載の膜形成材料層。
- 無機粉体の600℃での粘度が150Pa・s以下である請求項1〜6のいずれかに記載の膜形成材料層。
- 無機粉体含有樹脂組成物が、誘電体層の形成材料として用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の膜形成材料層。
- 支持フィルム上に、少なくとも請求項1〜8のいずれかに記載の膜形成材料層が積層されている転写シート。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の膜形成材料層を焼結させてなる誘電体層。
- 請求項9記載の転写シートの膜形成材料層を基板に転写する転写工程、及び転写された膜形成材料層を550〜650℃で焼結させ、基板上に誘電体層を形成する焼結工程を含むことを特徴とする誘電体層形成基板の製造方法。
- 請求項11記載の方法によって製造される誘電体層形成基板。
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