JP2004002164A - プラズマディスプレイパネルの誘電体層用組成物およびグリーンシート、ならびにプラズマディスプレイ用部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくともガラス成分を含むガラスフリットと、分散剤と、熱分解バインダーと、溶剤とを含有するプラズマディスプレイパネルの誘電体層用組成物であって、分散剤としてポリカルボン酸系高分子化合物を使用することを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の誘電体層、特に背面板用白色誘電体層を形成するための組成物およびグリーンシート、ならびにそれらを用いて形成された誘電体層を有するPDP用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
代表的な画像表示装置として、液晶表示、エレクトロルミネッセンス表示、またはプラズマ表示によるものが知られている。そのような画像表示装置の中でも、近年、プラズマ表示によるPDPが特に注目を集めており、それらの高品質化、低電力消費化、薄型化、低価格化などの要望に向けて様々な改良が検討されている。
【0003】
図1は、PDPの構造の一例を示す模式的断面図である。図1に示すように、PDPは、光の取り出し側となる前面板用ガラス基板1および背面板用ガラス基板2の一対のガラス基板を有し、各々のガラス基板の内面には互いに直交する透明電極3およびアドレス電極4がそれぞれ形成されている。透明電極3およびアドレス電極4は、透明誘電体層5および白色誘電体層6によってそれぞれ覆われており、さらに透明誘電体層5には保護膜7が設けられている。上述のように構成されるガラス基板1および2の間には、隔壁8によって区切られた放電空間(画素)が形成されており、各画素ごとに蛍光体9が設けられている。
【0004】
高品質のPDPを実現するためには、透明誘電体層5および白色誘電体層6は、均一な厚さを有しかつその表面が平滑でなければならない。誘電体層の均一性および表面平滑性が不十分であると、誘電体層の絶縁性が保持できなかったり、誘電特性にばらつきが生じPDPにおける表示欠陥の原因となる場合がある。
【0005】
また、PDP放電時の電圧によってセル欠陥が発生しないようにするためには、誘電体層は優れた耐電圧特性を有する必要がある。PDPの誘電体層は、一般に0.5kV以上の電圧に対して耐性を有する必要がある。
【0006】
誘電体層は、ガラス基板上に誘電材料のコーティング層を設け、次いでそれらを焼成することによって形成される。したがって、ガラス基板上に設けられるコーティング層は均一かつ平滑である必要がある。コーティング方法の一例として、従来からスクリーン印刷法が知られている。スクリーン印刷法による誘電体層の形成では、ガラス基板上に、ガラスフリットおよび樹脂を含有したペーストを印刷し、次いで乾燥する工程を繰り返し行う。最終的には、ガラス基板上に形成されたコーティング層を焼成することにより誘電体層を形成する。
【0007】
しかし、スクリーン印刷法は、いわゆるウェット方法であるため、一度に形成できるコーティング層の膜厚には限界がある。また、コーティング層の厚膜化には、ペーストを印刷した後に溶剤を揮発させ、さらにペーストを印刷するという操作を繰り返し行う多重印刷が必要となる。そのため、作業効率が悪いだけでなく、コーティング中に溶剤が残存する可能性もある。その結果、コーティングに要するコストが高くなるだけでなく、残存溶剤がコーティング層に悪影響を及ぼし、最終的に誘電体層の性能低下を招く恐れがある。
【0008】
このような状況に鑑み、誘電材料を予めシート状にしたものを基板上に設けるいくつかの方法が報告されている。例えば、セラミック基板上にガラス層を形成するグレーズドセラミック基板の製造方法が報告されている(特許文献1を参照)。この方法では、ガラスフリットまたはガラス化可能な物質を含む分散体をベルトまたはフィルム上に成膜することによりガラスフリットまたはガラス化可能な物質を含むグリーンシートを形成する工程と、得られたグリーンシートをセラミック基板に圧着する工程と、次いでそれらを加熱してグリーンシートをセラミック基板に溶融固着させる工程とによって、セラミック基板上にガラス層を形成している。しかし、この方法では、セラミック基板に対するグリーンシートの密着力が弱いという問題がある。
【0009】
また、ガラスフリットおよびバインダーを主成分とし、必要に応じて無機粉末を加えて粉末シートを形成する工程と、粉末シートを被覆すべき物体上に感圧性接着剤層を介して加圧積層する工程と、次いで得られた積層体を焼成する工程とを有するコーティング方法が報告されている(特許文献2および3を参照)。しかし、これらの方法によると、感圧性接着剤層を別途余分に設ける必要があるため製造工程が繁雑になる。また、焼成工程において感圧性接着剤成分が熱分解するような場合は、熱分解によって発生したガスによりガラス層の膨れが生じ、誘電体製品としての品質が低下という問題がある。
【0010】
さらに、上述した問題を解決すべく、ポリメタクリル酸エステルおよび特定の粒径を有するガラス粉末を特定の割合で含む透明誘電体層用組成物、およびそのような組成物からなるドライフィルムを用いる透明誘電体層の製造方法が報告されている(特許文献4を参照)。また、ガラス基板表面に、ガラス粉末と、結着樹脂と、溶剤とを含有するペースト状組成物から形成される膜形成材料層を設け、それらを焼成することによってガラス基板表面に誘電体層を形成するPDPの製造方法が報告されている(特許文献5を参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開昭61−22682号公報
【0012】
【特許文献2】
特開昭63−197640号公報
【0013】
【特許文献3】
特開昭64−73086号公報
【0014】
【特許文献4】
特開平10−182919号公報
【0015】
【特許文献5】
特開平9−102273号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のいずれの方法であっても、常に、誘電体層用組成物を調製した直後にそれらをシート状に加工するわけではなく、組成物は調製されたままの状態で保存されたり、運搬されることも多い。組成物が長期間にわたって放置されると、組成物に含まれる粒子の分散性が低下し、特にガラスフリットなどの高比重の粒子では二次凝集が生じやすくなる。最終的に、分散状態が悪くなった組成物をシート状に加工して、それらを用いて誘電体層を形成した場合、得られた誘電体層は欠陥が多く、誘電体として所望の特性を得ることが困難である。
【0017】
したがって、本発明の課題は、均一性および平滑性に優れ、かつ耐電圧特性に優れた誘電体層の形成を可能とする、ガラスフリットの分散性を向上させた誘電体層用組成物、そのような組成物からなる誘電体層用グリーンシートおよびPDP用部材を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマディスプレイパネルの誘電体層用組成物は、少なくともガラス成分を含むガラスフリットと、分散剤と、熱分解バインダーと、溶剤とを含有し、上記分散剤がポリカルボン酸系高分子化合物であることを特徴とする。
【0019】
ここで、上記ポリカルボン酸系高分子化合物は、α−オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分エステル、脂肪族ポリカルボン酸塩、および脂肪族ポリカルボン酸特殊シリコーンからなる群から選択されることが好ましい。
【0020】
上記分散剤の含有量は、組成物の全重量を基準として0.01〜5.0重量%の範囲であることが好ましい。
【0021】
上記ガラスフリットは、さらにセラミックスフィラー成分を含むことが好ましい。
【0022】
上記ガラスフリットの最大粒径は、分散状態において20μm以下であることが好ましい。
【0023】
本発明のプラズマディスプレイパネルの誘電体層用グリーンシートは、上述の本発明の誘電体層用組成物を支持体上に塗布し、次いで乾燥することにより得られることを特徴とする。
【0024】
本発明のプラズマディスプレイ用部材は、ガラス基板と、該ガラス基板の一方の主面上に設置される上述の本発明の誘電体層用組成物からなる誘電体層とを有することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0026】
本発明の第1の態様は、PDPの誘電体層を形成するための組成物に関する。本発明の誘電体層用組成物は、少なくともガラス成分を含むガラスフリットと、熱分解バインダーと、溶剤と、分散剤として選択されたポリカルボン酸系高分子化合物とを含有することを特徴とする。
【0027】
本発明の誘電体層用組成物は、ガラスフリットの分散性を向上させるために、ポリカルボン酸系高分子化合物を分散剤として使用することを特徴としている。ここで、本願明細書において使用する用語「ポリカルボン酸系高分子化合物」とは、α−オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分エステル、脂肪族ポリカルボン酸塩、および脂肪族ポリカルボン酸特殊シリコーンなどを含む、分子中に複数のカルボン酸基を有する高分子化合物を意味する。このようなポリカルボン酸系高分子化合物は、シランカップリング剤および一般的な界面活性剤などの周知の分散剤と比較して、ガラスフリットなどの高比重の粒子を良好に分散させることが可能である。特に、α−オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分エステルは優れた分散効果を示す。
【0028】
したがって、ポリカルボン酸系高分子化合物を分散剤として使用することにより、誘電体層用組成物中のガラスフリットの分散性を向上させ、組成物を良好な分散状態に保つことが可能となる。すなわち、ガラスフリットが凝集し二次粒子を形成することが抑制される。その結果、誘電体層における誘電特性のバラツキを改善し、さらに誘電体層の耐電圧を向上させることが可能となる。
【0029】
分散剤の含有量は、誘電体層用組成物の全重量を基準として0.01〜5.0重量%の範囲であることが好ましい。分散剤の含有量が0.01重量%未満であると組成物を分散機によって処理してもガラスフリットが均一に分散されない状態となる。また、分散剤の含有量が5.0重量%を超えると、焼成した後であっても分散剤が誘電体層内に残存し、耐電圧が低下する原因となる。
【0030】
組成物中に含まれるガラスフリットは少なくともガラス成分を含み、必要に応じてさらにセラミックスフィラー成分を含んでもよい。ここで、本明細書で使用される用語「ガラスフリット」とは、組成物を焼成して誘電体層を形成したときに、誘電体層に含まれる主な無機成分を総称したものである。
【0031】
ガラスフリットに含まれるガラス成分としては、ガラス成分として一般に周知であるものを適用できる。例えば、PbO−B2O3(酸化鉛−酸化ホウ素)系ガラス、PbO−B2O3−SiO2(酸化鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素)系ガラス、PbO−B2O3−SiO2−Al2O3(酸化鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム)系ガラス、ZnO−B2O3−SiO2(酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素)系ガラス、PbO−ZnO−B2O3−SiO2(酸化鉛−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素)系ガラス、Na2O−B2O3−SiO2(酸化ナトリウム−酸化ホウ素−酸化ケイ素)系ガラス、BaO−CaO−SiO2(酸化バリウム−酸化カルシウム−酸化ケイ素)系ガラスなどが挙げられ、好ましくはPbO−B2O3−SiO2−Al2O3系ガラスである。より具体的には、ガラスフリットのガラス成分は、30〜75重量%のPbOと、1〜40重量%のB2O3と、1〜40重量%のSiO2と、1〜10重量%のAl2O3とからなることが好ましい。好適な一例として、60重量%のPbOと、10重量%のB2O3と、25重量%のSiO2と、5重量%のAl2O3とから構成されるガラス成分が挙げられる。ガラス成分の粒径は、特に限定されるものではない。しかし、組成物の調製において良好な分散状態を達成するために本発明において好適に使用できるガラス成分の平均粒径は0.5〜5μmの範囲である。
【0032】
PDPの背面側に設置される白色誘電体層を形成する場合には、ガラスフリットとして、ガラス成分の他にさらにセラミックスフィラー成分が添加される。本発明において使用可能なセラミックスフィラー成分として、TiO2(酸化チタン)、Al2O3(アルミナ)、SiO2(シリカ)、およびZrO2(ジルコニア)などが挙げられる。特に限定されるものではないが、TiO2およびAl2O3が好ましい。フィラーの粒径は、特に限定されるものではない。しかし、組成物の調製において良好な分散状態を達成するために本発明において好適に使用できるセラミックスフィラー成分の平均粒径は0.1〜5μmの範囲である。
【0033】
ガラスフリット中のガラス成分とセラミックスフィラー成分との割合は、それらの全重量を基準として、ガラス成分50〜100重量%およびセラミックスフィラー成分50〜0重量%である。好ましくは、背面(白色)誘電体層用組成物の場合には、ガラス成分50〜90重量%およびセラミックスフィラー成分50〜10重量%である。また、前面(透明)誘電体層用組成物の場合には、ガラス成分100重量%およびセラミックスフィラー成分0重量%である。ガラスフリットとしては、組成物の全重量を基準として40〜80重量%の範囲で含まれる。
【0034】
本発明で使用する熱分解性バインダーは、誘電体層用組成物にガラス基板に対する粘着性を付与するためのものである。特に限定されるものではないが、熱分解性バインダーの好適な一例として、アクリル樹脂が挙げられる。アクリル樹脂には、(メタ)アクリレート化合物の単独重合体、(メタ)アクリレート化合物の2種以上の共重合体、(メタ)アクリレート化合物と他の共重合性単量体との共重合体が含まれる。
【0035】
(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、などを挙げることができる。アルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特に好ましい(メタ)アクリレート化合物として、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、および2−エトキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0036】
他の共重合性単量体としては、上記(メタ)アクリレート化合物と共重合可能な化合物であれば特に制限はないが、例えば(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、ビニルフタル酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物が挙げられる。
【0037】
熱分解バインダーの含有量は、特に限定されるものではないが、誘電体層用組成物の全重量を基準として5〜30重量%の範囲が好ましい。
【0038】
本発明で使用される溶剤は、誘電体層用組成物に、適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するものが好ましい。使用可能な溶剤としては、例えば、エーテル類、エステル類、エーテルエステル類、ケトン類、ケトンエステル類、アミド類、アミドエステル類、ラクタム類、ラクトン類、スルホキシド類、スルホン類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。好ましい溶剤の具体例には、トルエン、酢酸エチル、およびメチルエチルケトンが含まれる。上述の溶媒を単独でまたは2種以上の組み合せで使用することができる。溶剤の含有量は、誘電体層用組成物の全重量を基準として15〜55重量%の範囲である。
【0039】
本発明では、誘電体層用組成物にさらに、添加剤として、アジピン酸エステル系可塑剤などの可塑剤、粘着付与剤、保存安定剤、消泡剤、熱分解促進剤、および酸化防止剤などの添加剤を含有させてもよい。これらの添加剤は、特に限定されるものではなく、この分野で通常用いられるものを適宜選択することができる。
【0040】
特に限定されるものではないが、本発明の誘電体層用組成物の好ましい一実施態様は、PbO/B2O3/SiO2/Al2O3=60/10/25/5重量%のガラス成分およびAl2O3/TiO2のセラミックスフィラー成分を含むガラスフリットと、2−エチルヘキシルメタクリレート(熱分解性バインダー)と、α−オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分エステル(分散剤)と、アジピン酸ジブチル(可塑剤)と、トルエン(溶剤)とを含む組成物である。また、本発明の誘電体層用組成物の他の好ましい一実施態様は、PbO/B2O3/SiO2/Al2O3=60/10/25/5重量%のガラス成分を含むガラスフリットと、2−エチルヘキシルメタクリレート(熱分解性バインダー)と、α−オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分エステル(分散剤)と、アジピン酸ジブチル(可塑剤)と、トルエン(溶剤)とを含む組成物である。
【0041】
本発明の誘電体層用組成物は、ガラスフリット、分散剤、熱分解バインダー、および必要に応じて添加される各種添加剤を、溶剤とともにプレミキシングした後、例えばボールミル、ビーズミル、3本ロール、ニーダーなどの分散機を用いて機械的に分散させることにより調製することができる。組成物の分散状態をより均一にするために、分散機で処理する時間を長くしたり、より効率よく分散できる分散機を選ぶこともできる。
【0042】
分散状態におけるガラスフリットは、ポリカルボン酸系高分子化合物の優れた分散作用によって、一次粒子が均一に分散され二次凝集が抑制される。ガラスフリットの最大粒径は分散状態において20μm以下であることが好ましい。ガラスフリットの最大粒径が20μmを超えると、そのような組成物からなる誘電体層は、その表面にピンホールなどの欠陥が発生しやすくなり、所望する耐電圧特性を得ることが困難である。
【0043】
上述のように、本発明の誘電体層用組成物は、分散剤としてポリカルボン酸系高分子化合物を用いることによって、ガラスフリットの分散度を適切に調節して良好な分散状態を達成することができる。さらに、ポリカルボン酸系高分子化合物の優れた分散作用によりガラスフリットの二次凝集が防止されるため、組成物を調製した際の良好な分散状態を長期間にわたって維持することも可能である。したがって、本発明の誘電体層用組成物を用いることで、耐電圧および誘電特性に優れた誘電体層を形成することが可能となる。
【0044】
本発明の第2の態様は、PDPの誘電体層を形成するために用いられるグリーンシートに関する。本発明のグリーンシートは、先に説明した本発明の誘電体層用組成物を支持体上に塗布し、次いで乾燥することにより得られることを特徴とする。
【0045】
本発明のグリーンシートは、より具体的には、少なくとも、ガラスフリット、ポリカルボン酸系高分子化合物、熱分解性バインダー、および溶剤とを含有する組成物を十分に混合し、ガラスフリットを均一に分散させ、得られた分散液をナイフコート法またはダイコート法などの方法によってポリエチレンテレフタレート製フィルムなどの支持体上に塗布し、乾燥させ、溶剤を除去することによって薄膜状にしたものである。
【0046】
支持体上のグリーンシートは、粘着性を有し、可撓性、加工性、および取扱い性に優れているため、ガラス基板の上に容易に転写することが可能である。ここで、「粘着性を有する」とは、ガラス基板にグリーンシートを室温または加温において接触させたときに、グリーンシートがガラス基板に密着して固定されることを意味する。なお、支持体は、ガラス基板上へグリーンシートを転写する際の剥離性を向上させるために、シリコーンなどで表面処理されていることが好ましい。ガラス基板上に転写されたグリーンシートは、焼成されることによってガラス成分を主成分とする誘電体層を形成する。
【0047】
上述のグリーンシートを用いて誘電体層を形成することによって、より簡単な方法でガラス基板に一度の操作で一定厚の高品質の誘電体層を設けることができる。また、このようにして形成された誘電体層は誘電特性のバラツキがなく、PDPに適用可能な特性を有する。
【0048】
本発明の第3の態様は、ガラス基板上に誘電体層が設置されたPDP用部材に関する。本発明のPDP用部材は、ガラス基板と、該ガラス基板の一方の主面上に設置される誘電体層とを備えたものであり、誘電体層は本発明の誘電体層用組成物からなることを特徴とする。誘電体層の形成は、ガラス基板上に誘電体層用組成物の分散液を慣用の方法によって塗布するか、または誘電体層用組成物をグリーンシートに加工したものをガラス基板上に転写するかした後に、それらを焼成することによって実施することができる。特に限定されるものではないが、誘電体層の形成はグリーンシートの転写によって、簡便かつ効率良く実施することが可能である。
【0049】
以下、グリーンシートを使用して、PDPの背面ガラス基板に設けられる白色誘電体層を形成する場合について簡単に説明する。図2は、PDP用部材の作製例を説明する工程図である。以下、図2に沿って、ガラス基板上に白色誘電体層を形成する場合について説明する。
【0050】
先ず、所定の成分を含む本発明の誘電体層用組成物を、剥離フィルム10の上にナイフコーターまたはダイコーターなどを用いて塗布する。次いで、塗布された組成物をドライヤーなどを用いて、90〜130℃の温度で乾燥し、剥離フィルム10上に10〜200μm、好ましくは20〜100μmの均一な厚さを有するグリーンシート12を得る。次いで、グリーンシート12の上に別の剥離フィルム11を貼付する。このようにして、剥離フィルム10および11の間に挟む構成で本発明の誘電体層用組成物をフィルム化したシート状形成物13を得る(図2(a))。
【0051】
得られたシート状形成物13から剥離フィルム10、11を除去し、グリーンシート12を、表面にアドレス電極4が形成された背面板用ガラス基板2上に、貼着する(図2(b))。
【0052】
次いで、背面板用ガラス基板2に貼着されたグリーンシート12を焼成炉内で焼成する。焼成は、例えば第1段階として300〜450℃の温度で10〜60分間にわたって仮焼成を行い、次いで、第2段階として500〜700℃の温度で20〜90分間にわたって本焼成を行うことで達成される。このようにして厚さ5〜100μm、好ましくは7〜90μmの白色誘電体層6を形成することができる(図2(c))。
【0053】
上述のようにして得られた白色誘電体層6は、優れた耐電圧特性を示す。
【0054】
なお、先の説明ではPDPの背面板用ガラス基板2に設けられる白色誘電体層6について記載しているが、前面板用ガラス基板1に設けられる透明誘電体層5(図1を参照)についても同様の方法によって形成することが可能である。
【0055】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。しかし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0056】
なお、各実施例で調製した組成物の分散状態および誘電体層の特性に関する評価方法は以下のとおりである。
【0057】
1.組成物の分散状態に関する評価
誘電体層用組成物の分散状態は、誘電体層用組成物中の粗粒子の有無、グラインダー値、ガラスフリットの沈降を調べることによって評価した。
【0058】
粗粒子の有無
粗粒子の有無については、分散時間ごとまたは放置時間ごとに誘電体層用組成物を採取し、テスター産業(株)製のグラインダー(粒度測定機)を用いて、スジが発生していない面の状態を目視によって確認し、誘電体層用組成物中に確認できる粗粒子の状態を示した。
【0059】
グラインダー値
グラインダー値については、分散時間ごとまたは放置時間ごとに誘電体層用組成物を採取し、テスター産業(株)製のグラインダー(粒度測定機)を用いて分散された粒子の最大粒径を測定した。
【0060】
ガラスフリットの沈降
組成物を一定時間にわたって分散機により処理した後に、放置時間ごとに誘電体層用組成物を採取し、ガラスフリットの沈降の有無を目視によって確認した。
【0061】
2.誘電体層の評価方法
誘電体層の評価は、誘電体層の耐電圧と誘電体層の表面粗さを測定することによって実施した。
【0062】
耐電圧
誘電体層の耐電圧を測定するために、誘電体層用組成物から得られたグリーンシートを電極付きガラス基板上に貼着、次いで焼成することによって形成された誘電体層の上に、さらに評価用の電極を形成し、耐電圧測定用サンプルを作製した。この耐電圧測定用サンプルついて、菊水電子工業(株)製の耐電圧測定機を用いて耐電圧を測定した。さらに、測定によって得られた耐電圧の値が0.5kVを超えるか否かによって、誘電体層としての適用性を判断した。PDPの誘電体層として適用できるものは「○」、適用できないものは「×」として表中に示した。
【0063】
表面粗さ
電極付きガラス基板上に、誘電体層用組成物から得られたグリーンシートをガラス基板上に貼着、次いで焼成することによって形成された誘電体層について、その誘電体層の表面を明神工機(株)製の接触式表面粗さ計を用いて測定することにより評価した。
【0064】
以下、実施例を用いて本発明について説明する。
【0065】
(実施例1)
以下に示す各成分を分散機に入れ、ビーズミルを用いて分散させることにより白色誘電体層用組成物を調製した。かかる調製において分散時間ごとに組成物を採取し、その分散状態について先に説明した方法に従って評価した。その結果を表3に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
次いで、得られた各々の組成物を使用し、以下の手順に従ってガラス基板上に白色誘電体層を作製した。先ず、シリコーン樹脂で剥離処理を施した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム上に、先に調製された各々の組成物をナイフコーターによって塗布した。次いで、得られた塗膜をドライヤーによって100℃において2分間にわたって乾燥することにより、均一な膜厚50μmのグリーンシートを形成した。次いで、剥離フィルム上のグリーンシートを電極付きガラス基板上に貼着した後、グリーンシートから剥離フィルムを除去した。次に、グリーンシートが貼着されたガラス基板を400℃で20分間にわたって焼成し、引き続き580℃まで毎分10℃で昇温させた後に、580℃で40分間にわたって焼成することにより、厚さ20μmの白色誘電体層を得た。先に説明した方法に従って、得られた誘電体層の耐電圧および表面粗さを測定した。その結果を表3に示す。
【0068】
(実施例2)
以下に示す各成分を分散機に入れ、ビーズミルを用いて16時間にわたって分散させることにより透明誘電体層用組成物を調製した。得られた組成物の分散状態について先に説明した方法により評価した。その結果を表3に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
次いで、得られた組成物を使用し、以下の手順に従ってガラス基板上に透明誘電体層を作製した。先ず、シリコーン樹脂で剥離処理を施した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム上に、先に調製された組成物をナイフコーターによって塗布した。次いで、得られた塗膜をドライヤーによって100℃において2分間にわたって乾燥することにより、均一な膜厚65μmのグリーンシートを形成した。次いで、剥離フィルム上のグリーンシートを電極付きガラス基板上に貼着した後、グリーンシートから剥離フィルムを除去した。次に、グリーンシートが貼着されたガラス基板を420℃で20分間にわたって焼成し、引き続き620℃まで毎分10℃で昇温させた後に、620℃で60分間にわたって焼成することにより、厚さ約30μmの透明誘電体層を得た。先に説明した評価方法に従い、得られた誘電体層の耐電圧および表面粗さを測定した。その結果を表3に示す。
【0071】
(比較例1)
分散剤を含有しないことを除いて、実施例1と同様の成分からなる白色誘電体層用組成物を調製し、その分散状態について先に説明した方法に従って評価した。その結果を表3に示す。
【0072】
次いで、得られた各組成物を、実施例1と同様にして、グリーンシート化し、引き続き焼成することによって、ガラス基板上に白色誘電体層を形成した。得られた誘電体層について、先に説明した方法に従って耐電圧および表面粗さを測定した。その結果を表3に示す。
【0073】
(比較例2)
分散剤として使用したα−オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分エステルの量を0.01重量部とすることを除き、実施例1と同様の成分からなる白色誘電体層用組成物を調製し、その分散状態について先に説明した方法に従って評価した。なお、評価には分散時間を16時間とした組成物を使用した。その結果を表3に示す。
【0074】
次いで、得られた組成物を、実施例1と同様にして、グリーンシート化し、引き続き焼成することによって、ガラス基板上に白色誘電体層を形成した。得られた誘電体層について、先に説明した方法に従って耐電圧および表面粗さを測定した。その結果を表3に示す。
【0075】
(比較例3)
分散剤として使用したα−オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分エステルの量を10重量部とすることを除き、実施例1と同様の成分からなる白色誘電体層用組成物を調製し、その分散状態について先に説明した方法に従って評価した。なお、評価には分散時間を16時間とした組成物を使用した。その結果を表3に示す。
【0076】
次いで、得られた組成物を、実施例1と同様にして、グリーンシート化し、引き続き焼成することによって、ガラス基板上に白色誘電体層を形成した。得られた誘電体層について、先に説明した方法に従って耐電圧および表面粗さを測定した。その結果を表3に示す。
【0077】
(実施例3)
分散剤として脂肪族ポリカルボン酸ナトリウム(フローレンG−600、共栄社化学(株)製)を1.0重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして白色誘電体層用組成物を調製した。分散時間を16時間とした組成物について、その分散状態を先に説明した方法に従って評価した。その結果を表3に示す。
【0078】
次いで、得られた組成物を、実施例1と同様にして、グリーンシート化し、引き続き焼成することによって、ガラス基板上に白色誘電体層を形成した。得られた白色誘電体層について、先に説明した方法に従って耐電圧および表面粗さを測定した。その結果を表3に示す。
【0079】
(実施例4)
分散剤として脂肪族ポリカルボン酸特殊シリコーン(フローレンAF−1005、共栄社化学(株)製)を1.0重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして白色誘電体層用組成物を調製した。分散時間を16時間とした組成物について、その分散状態を先に説明した方法により評価した。その結果を表3に示す。
【0080】
次いで、得られた組成物を、実施例1と同様にして、グリーンシート化し、引き続き焼成することによって、ガラス基板上に白色誘電体層を形成した。得られた白色誘電体層について、先に説明した方法に従って耐電圧および表面粗さを測定した。その結果を表3に示す。
【0081】
(比較例4)
分散剤としてオレイン酸を1.0重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして白色誘電体層用組成物を調製した。分散時間を16時間とした組成物について、その分散状態を先に説明した方法により評価した。その結果を表3に示す。
【0082】
次いで、得られた組成物を、実施例1と同様にして、グリーンシート化し、引き続き焼成することによって、ガラス基板上に白色誘電体層を形成した。得られた白色誘電体層について、先に説明した方法に従って耐電圧および表面粗さを測定した。その結果を表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
表3から明らかなように、規定量のポリカルボン酸系高分子化合物を分散剤として使用した場合、組成物は優れた分散状態を示し、それら組成物から形成される誘電体層は優れた特性を有することが分かった(実施例1〜4を参照されたい)。また、分散剤としてポリカルボン酸系高分子化合物を使用した場合であっても、その含有量が適切でないと組成物の良好な分散状態を得ることが困難であるか、所望の耐電圧特性を達成することが困難であることが分かった(比較例2および3を参照されたい)。なお、分散時間の増加に伴って最大粒径が減少しているのは、凝集していた粒子が解凝集され分散性が向上していることを意味している。
【0085】
一方、組成物中に分散剤が存在しない比較例1では、良好な分散状態とはならなかった。また、分散時間を長くしても分散性が向上せず、ガラスフリットが二次凝集を起こし、最大粒径値が大きくなり、耐電圧特性が低下することが分かった。さらに、比較例4から分かるように、分子内に存在するカルボン酸基が1つであるオレイン酸では、その分散効果は十分ではないことが分かった。
【0086】
(実施例5)
実施例1で調製した分散時間が16時間の組成物を、23℃、50%RHの条件下において放置し、一定時間経過後のガラスフリットの沈降を確認した。その結果を表4に示す。
【0087】
(比較例5)
比較例1で調製した分散時間が16時間の組成物を、23℃、50%RHの条件下において放置し、一定時間経過後のガラスフリットの沈降を確認した。その結果を表4に示す。
【0088】
(比較例6)
比較例2で調製した分散時間が16時間の組成物を、23℃、50%RHの条件下において放置し、一定時間経過後のガラスフリットの沈降を確認した。その結果を表4に示す。
【0089】
(比較例7)
比較例4で調製した分散時間が16時間の組成物を、23℃、50%RHの条件下において放置し、一定時間経過後のガラスフリットの沈降を確認した。その結果を表4に示す。
【0090】
【表4】
【0091】
表4から明らかなように、規定量のポリカルボン酸系高分子化合物を含む実施例5では、長期間にわたって良好な分散状態を維持することが可能である。その結果、4週間にわたって放置された組成物を用いて誘電体層を形成した場合であっても、ガラスフリットの最大粒径の値は許容範囲内(20μm以下)にあり、形成された誘電体層は高い耐電圧特性を維持している。
【0092】
これに対し、組成物中に分散剤が存在しない比較例5では、ガラスフリットが二次凝集を起こすため、耐電圧が低下することが分かった。また、比較例6に示すように、分散剤としてポリカルボン酸系高分子化合物を使用した場合であっても、その含有量が十分でないと組成物の良好な分散状態を維持することが難しいことが分かった。さらに、比較例7から分かるように、分子内に存在するカルボン酸基が1つであるオレイン酸では、その分散効果は十分ではないことが分かった。なお、ガラスフリットの沈降が確認された、放置2週間後の誘電体層用組成物をそれぞれ再度撹拌したが、各組成物はいずれも分散直後の状態には戻らなかった。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、誘電体層を形成するための組成物に、ガラスフリットなどの高比重の粒子の分散性を高めるポリカルボン酸系高分子化合物を含有させることにより、組成物中のガラスフリットの分散状態を効果的に向上させることが可能となる。したがって組成物を優れた分散状態で調製することが可能となり、得られた分散液は二次凝集が抑制されるため、長時間の保存下においても沈降が起こらず良好な分散状態を維持することが可能である。
【0094】
また、本発明の誘電体層用組成物をグリーンシート化し、ガラス基板上に貼着および焼成することによって、所望する耐電圧特性を有する誘電体層をガラス基板上に容易に形成することが可能とする。
【0095】
さらに、本発明の誘電体組成物を用いて形成される耐電圧特性に優れた誘電体層を備えたガラス基板をPDP用部材として使用することによって、PDP使用時のプラズマ放電電圧に耐性を有し、セル欠陥の少ない高品質なPDPを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PDP構造の一例を示す断面図である。
【図2】PDP用部材の作製例を説明する工程図であり、(a)〜(c)は誘電体層を形成する主要な工程を示している。
【符号の説明】
1 前面板用ガラス基板
2 背面板用ガラス基板
3 透明電極
4 アドレス電極
5 透明誘電体層
6 白色誘電体層
7 保護膜
8 隔壁
9 蛍光体
10、11 剥離フィルム
12 グリーンシート
13 シート状形成物
Claims (7)
- プラズマディスプレイパネルの誘電体層用組成物であって、少なくともガラス成分を含むガラスフリットと、分散剤と、熱分解バインダーと、溶剤とを含有し、
前記分散剤がポリカルボン酸系高分子化合物であることを特徴とする誘電体層用組成物。 - 前記ポリカルボン酸系高分子化合物が、α−オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分エステル、脂肪族ポリカルボン酸塩、および脂肪族ポリカルボン酸特殊シリコーンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の誘電体層用組成物。
- 前記分散剤の含有量が、組成物の全重量を基準として0.01〜5.0重量%の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の誘電体層用組成物。
- 前記ガラスフリットがさらにセラミックスフィラー成分を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の誘電体層用組成物。
- 前記ガラスフリットの最大粒径が分散状態において20μm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の誘電体層用組成物。
- プラズマディスプレイパネルの誘電体層用グリーンシートであって、請求項1〜5のいずれかに記載の誘電体層用組成物を支持体上に塗布し、次いで乾燥することにより得られることを特徴とするグリーンシート。
- ガラス基板と、該ガラス基板の一方の主面上に設置される請求項1〜5のいずれかに記載の誘電体層用組成物からなる誘電体層とを有することを特徴とするプラズマディスプレイ用部材。
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A521 | Written amendment |
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