JP4426767B2 - 誘電体層用組成物、グリーンシート、誘電体層形成基板およびその製造方法 - Google Patents

誘電体層用組成物、グリーンシート、誘電体層形成基板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの誘電体層を形成するための誘電体層用組成物、該組成物を乾燥し、フィルム化してなるグリーンシート、誘電体層形成基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表示装置には、液晶表示、エレクトロルミネッセンス表示、プラズマディスプレイパネルなどがある。これらの中でもプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」ともいう)は、次世代のマルチメディアディスプレイとして注目を集めている。このPDPの製造は、基板となるガラス表面に多数の層を積層するものである。そのため、それによる歩留まり、製造コストが問題となっており、パネルメーカーでは、歩留まりの向上、作業工程の簡略化が進められている。
【0003】
図1にPDPの一例の断面図を示す。図1に示すPDPは、前面板用ガラス基板1および背面板用ガラス基板2の1対のガラス基板からなる。この前面板用ガラス基板1と背面板用ガラス基板2の内面には、互いに直交する透明電極3およびデータ電極4がそれぞれ形成されている。透明電極3およびデータ電極4は、透明誘電体層5および白色誘電体層(背面板誘電体層)6によりそれぞれ覆われている。また、透明誘電体層(前面板誘電体層)5の上には、保護膜7が形成されている。このようなガラス基板1および2は、隔壁8によって放電空間(画素)に分離されている。そして、各画素には蛍光体9が形成されている。
【0004】
ところで、前記透明誘電体層5は均一で、平滑性および透明性の高いものが必要とされる。透明誘電体層5が不均一で透明性に劣っていたり、平滑でない場合には、所望の画像表示が実現されず、絶縁性が保持できなかったり、誘電特性にばらつきが生じ、PDPにおける表示欠陥の原因となるからである。
一方、白色誘電体層6は、その上に存在する蛍光体9の発光に対し,反射板的役割があるため、反射率が高いほど蛍光体9の発光効率が向上する。さらに隔壁層8に対する投錨効果を得るため、一定範囲の表面粗さが必要である。
【0005】
従来のPDPの誘電体層の形成方法としては、スクリーン印刷法が知られている。この方法は、ガラス粉末成分および樹脂を含有したペーストを、目的の性能を得るための厚みまで、ガラス基板上に繰り返し印刷し、後に焼成して誘電体層を得るものである。しかしながら、この方法によれば、ペーストを塗布した後に溶剤を揮発させ、さらにペーストを塗布するという操作を繰り返す必要があるため、作業に長時間を要する。また、溶剤が残存して、誘電体層としての性能が劣化する原因となる場合がある。
【0006】
このような問題を解決すべく、近年グリーンシートによる方法が開発されている。例えば、特許文献1には、ガラス粉末成分若しくはガラス化可能な物質を含む分散体をベルトまたはフィルム上に成膜して、ガラス粉末成分またはガラス化可能な鉱物を含むグリーンシートを形成し、このグリーンシートをガラス基板又はセラミック基板上に圧着し、これを加熱して溶融固着させることによりガラス基板(又はセラミック基板)上にガラス層を形成するグレーズドガラス基板(セラミック基板)の製造方法が開示されている。しかし、この方法によると、グリーンシートとガラス基板(セラミック基板)の密着力が弱いという問題があった。
【0007】
また、特許文献2,3には、ガラス粉末成分およびバインダーを主成分とし、必要に応じて無機粉末を加えた粉末シートを感圧性接着剤層を介して被覆すべき物体上に加圧積層し、次いで焼成するコーティング方法が提案されている。しかしながら、この方法によると、感圧性接着剤層を別途余分に設ける必要があり、製造工程が煩雑となる。また、焼成工程においてこの感圧性接着剤成分が熱分解する場合は、それにより発生した分解ガスによりガラス層の膨れなどを生じ、誘電体製品としての品質の低下をもたらす場合があった。
【0008】
上述した問題を解決すべく、特許文献4には、ポリメタクリル酸エステルと特定粒径のガラス粉末を特定割合で含む透明誘電体層用組成物、およびその組成物からなるグリーンシートを用いた透明誘電体層形成ガラス基板の製造方法が開示されている。また特許文献5には、ガラス基板表面に、ガラス粉末、結着樹脂および溶剤を含有するペースト状組成物から形成される膜形成材料層を焼成することにより、ガラス基板の表面に誘電体層を形成するPDPの製造方法が開示されている。しかしながら、これらの方法においては、用いる誘電体層用組成物の貯蔵中に時間の経過とともにガラス粉末成分が二次凝集や沈降をおこし、最終的に誘電体層を形成しても、目的の焼成膜厚を有する誘電体層が得られない場合があった。
【0009】
【特許文献1】
特開昭61−22682号公報
【特許文献2】
特開昭63−1937640号公報
【特許文献3】
特開昭64−73086号公報
【特許文献4】
特開平10−182919号公報
【特許文献5】
特開平9−102273号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、経時的なガラス粉末成分の二次凝集がなく、保存安定性に優れ、高い透過率または反射率を有する誘電体層を得ることができる誘電体層用組成物、該誘電体層用組成物をフィルム化してなるグリーンシート、該誘電体層用組成物を用いた誘電体層を有する誘電体層形成基板およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分散剤としてポリエーテルエステル酸アミン塩を用いることで、経時的なガラス粉末成分の二次凝集がなく、保存安定性に優れる誘電体層用組成物を得ることができること、およびこの誘電体層用組成物を用いると、透明性または反射性および平坦性に優れる誘電体層が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】
かくして本発明第1によれば、ガラス粉末を含むガラス成分、ポリエーテルエステル酸アミン塩および熱分解性バインダーを含有することを特徴とする誘電体層用組成物が提供される。
本発明の誘電体層用組成物は、プラズマディスプレイパネルの誘電体層形成用材料として用いられるものであるのが好ましい。
本発明の第2によれば、本発明の誘電体層用組成物を乾燥し、フィルム化してなるグリーンシートが提供される。
本発明の第3によれば、本発明の誘電体層用組成物を用いた誘電体層を有することを特徴とする誘電体層形成基板が提供される。
また、本発明の第4によれば、本発明のグリーンシートを基板に貼り合わせる工程と、該グリーンシートを焼成する工程とを有する誘電体層形成基板の製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、1)誘電体層用組成物、2)グリーンシート、並びに3)誘電体層形成基板およびその製造方法に項分けして詳細に説明する。
【0014】
1)誘電体層用組成物
本発明の誘電体層用組成物は、ガラス粉末を含むガラス成分、ポリエーテルエステル酸アミン塩および熱分解性バインダーを含有することを特徴とする。
【0015】
(1)ガラス成分
本発明に用いるガラス成分としては、例えば、PbO−B(酸化鉛一酸化ホウ素)系ガラス、PbO−B−SiO(酸化鉛一酸化ホウ素一酸化ケイ素)系ガラス、PbO−B−SiO−A1(酸化鉛一酸化ホウ素一酸化ケイ素一酸化アルミニウム)系ガラス、ZnO−B−SiO(酸化亜鉛一酸化ホウ素一酸化ケイ素)系ガラス、PbO−ZnO−B−SiO(酸化鉛一酸化亜鉛一酸化ホウ素一酸化ケイ素)系ガラス、NaO−B−SiO(酸化ナトリウム一酸化ホウ素一酸化ケイ素)系ガラス、BaO−CaO−SiO(酸化バリウム一酸化カルシウム一酸化ケイ素)系ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、PbO−B−SiO−A1系ガラスが特に好ましい。
【0016】
本発明においては、これらのガラスを粉末状にして用いる。ガラス粉末の平均粒径は2.2μm以下であり、ガラス粉末の最大粒径は20μm以下であるのがそれぞれ好ましい。ガラス粉末の粒径をこのように設定することで、誘電体層用組成物中のガラス成分の二次凝集がおこらず、優れた耐電圧特性を有する誘電体層を形成することができる。
【0017】
また、本発明の誘電体層用組成物を白色誘電体層用組成物として用いる場合は、白色の誘電体層を得るために、前記ガラス成分は、さらにフィラー成分を含むことが好ましい。用いるフィラー成分としては、TiO(酸化チタン)、Al(アルミナ)、SiO(シリカ)、ZrO(ジルコニア)などが挙げられ、TiOおよびAlの使用が特に好ましい。
【0018】
ガラス成分中のガラス粉末とフィラー成分の混合比は、通常、50:50〜100:0である。
透明誘電体層用組成物に用いる場合は、両者の比が100:0であり、白色誘電体層用組成物として用いる場合は、両者の比が50:50〜95:5であるのが、それぞれ好ましい。
【0019】
本発明においては、ガラス成分をガラスフリットとして用いることもできる。ガラスフリットは、ガラス粉末および所望によりフィラー成分を所定割合で混合し、得られた混合物を溶融し、次いで、急冷することで得ることができる。得られたガラスフリットは粉砕して粉末状にして用いる。
ガラス成分の添加量は、誘電体層用組成物に対して、通常40〜80重量%である。
【0020】
(2)ポリエーテルエステル酸アミン塩
本発明の誘電体層用組成物は、分散剤としてポリエーテルエステル酸アミン塩を含有することを特徴とする。分散剤としてポリエーテルエステル酸アミン塩を用いることにより、誘電体層用組成物中のガラス成分の二次凝集を防止し、透明性または反射性に優れた誘電体層を形成することができる。
【0021】
ポリエーテルエステル酸アミン塩は、ポリエーテルポリエステル酸、ポリエーテルポリオールポリエステル酸などのポリエーテルエステル酸類と、高分子ポリアミンなどの有機アミン類とから得られる高分子分散剤である。具体的には、ディスパロンDA−234(商品名、楠本化成(株)製)が挙げられる。
【0022】
ポリエーテルエステル酸アミン塩の添加量は、誘電体層用組成物に対して、通常0.01〜5.0重量%、好ましくは0.05〜3.0重量%、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。ポリエーテルエステル酸アミン塩の添加量が0.01重量%未満であると、分散状態が不均一で、ガラス成分が沈降を生じやすい誘電体層用組成物が得られるおそれがあり、5.0重量%より多いと、焼成工程を経ても分散剤が誘電体層内に残存し、耐電圧および透明性または反射性の低下の原因となる。
【0023】
また、本発明の誘電体層用組成物には、形成する誘電体層の物性を改良する目的で、ポリエーテルエステル酸アミン塩に加えて、他の分散剤を添加することができる。他の分散剤としては。ポリカルボン酸系高分子活性剤、シランカップリング剤、および界面活性剤などが挙げられる。これら他の分散剤の使用量は、誘電体層に悪影響を与えない範囲であれば特に制限されないが、誘電体層用組成物に対して、通常0〜1.0重量%である。
【0024】
(3)熱分解性バインダー
本発明の誘電体層組成物は、さらに熱分解性バインダーを含有する。熱分解性バインダーは、結合剤としての役割を果たす。
本発明に用いる熱分解性バインダーとしては、結合剤としての機能を有し、焼成することにより分解して、容易に除去できる有機高分子であれば特に制限されない。なかでも、優れたバインダーとしての役割を果たすとともに、ガラス基板との感圧接着剤としての役割も果たすことから、アクリル樹脂の使用が好ましい。
【0025】
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物の単独重合体、(メタ)アクリレート化合物の2種以上の共重合体、(メタ)アクリレート化合物と他の共重合性単量体との共重合体等が挙げられる。
【0026】
(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル.(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;
【0027】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
【0028】
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0029】
これらの中でも、アルキル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0030】
他の共重合性単量体としては、上記(メタ)アクリレート化合物と共重合可能な化合物であれば特に制約はないが、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、ビニルフタル酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物;などが使用できる。
【0031】
アクリル樹脂は、これらの(メタ)アクリレート化合物および所望により他の共重合性単量体とを(共)重合させることにより得ることができる。重合方法は特に制限されず、公知の重合方法を採用できる。例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのラジカル重合開始剤を用いるラジカル重合法が挙げられる。
熱分解性バインダーの含有量は、誘電体層用組成物に対して、通常5〜50重量%である。
【0032】
(4)その他の成分
本発明の誘電体層用組成物には、その他の成分として溶剤が含まれていてもよい。溶剤は、誘電体層用組成物に適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するものである。
【0033】
用いる溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸メチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類:N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセタミド、ヘキサメチルリン酸ホスホロアミド、N−メチルピロピリドンなどのアミド類;ε−カプロラクタムなどのラクタム類;γ−ラクトン、δ−ラクトンなどのラクトン類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキキシドなどのスルホキシド類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;およびこれらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。これらの中でも、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素類およびこれらの2種以上からなる混合溶媒が好ましく、ケトン類と芳香族炭化水素類との混合溶媒がより好ましい。溶剤の使用量は、誘電体層用組成物に対して、通常0〜55重量%である。
【0034】
本発明の誘電体層用組成物には、必要に応じて、可塑剤、粘着付与剤、分子量が5,000以下の(メタ)アクリレートオリゴマー、保存安定剤、消泡剤、熱分解促進剤、酸化防止剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0035】
本発明の誘電体層用組成物は、上述したガラス成分、ポリエーテルエステル酸アミン塩および熱分解性バインダー、溶剤などの原料をプレミキシングした後、分散機にかけて機械的に分散させることにより調製することができる。
分散に用いる分散機としては特に制約はなく、例えば、ボールミル、ビーズミル、3本ロール、ニーダーなどの公知の分散機が挙げられる。
【0036】
得られた誘電体層用組成物は、分散剤としてポリエーテルエステル酸アミン塩を用いているため均一に分散しており、長時間保存した場合であっても、ガラス成分の2次凝集などが起こらず、保存安定性に優れたものとなっている。
本発明の誘電体層用組成物は、後述するように、プラズマディスプレイパネルの透明誘電体層や白色誘電体層の形成に好適に用いることができる。
【0037】
2)グリーンシート
本発明のグリーンシートは、本発明の誘電体層用組成物を塗工乾燥し、フィルム化してなることを特徴とする。本発明のグリーンシートは、本発明の誘電体層用組成物をキャリアーフィルム上に塗工し、次いで乾燥してフィルム化することによって製造することができる。
【0038】
本発明のグリーンシートを製造する方法の一例を図2に示す。図2において、13はキャリアーフィルム、14は本発明の誘電体層用組成物を塗工する塗工装置、18は誘電体層用組成物の塗膜を乾燥する(溶媒を除去する)乾燥装置、20aおよび20bは、グリーンシート上に保護フィルムを積層する積層ロールである。以下、図2を参照しながら、本発明のグリーンシートの製造方法を説明する。
【0039】
先ず、ロール状に巻き取られたキャリアーフィルム13が塗工装置14へ送られる。キャリアーフィルム13としては、誘電体層形成用組成物の塗膜との剥離性に優れるものであれば特に制限されない。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのプラスチックフィルムを用いることができる。また、プラスチックフィルムは、シリコーン樹脂などの剥離剤を片面に塗布したものを用いるのが好ましい。
【0040】
次に、塗工装置14により、キャリアーフィルム13上に誘電体層用組成物が塗布される。塗工装置14は貯蔵部15と塗工部16からなる。貯蔵部15は、スラリー状の本発明の誘電体用組成物を貯蔵し、本発明の誘電体用組成物を一定量ずつ塗工部16に送液する。本発明の誘電体層用組成物は分散性および貯蔵安定性に優れるので、貯蔵部15中において、ガラス成分などが沈降することなく均一に分散されている。また、塗工部16としては特に制限されない。例えば、ナイフコーター、ダイコーターなどの公知のコーターを用いることができる。
【0041】
本発明の誘電体層用組成物の塗工量は、形成する誘電体層用組成物の塗膜17aの厚みに応じて適宜設定することができる。誘電体層用組成物の塗膜17aの厚みは、通常10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。本発明の誘電体層用組成物は分散性および貯蔵安定性に優れるので、均一な膜質を有する誘電体層用組成物の塗膜17aを形成することができる。
【0042】
次に、表面に誘電体層用組成物の塗膜17aが形成されたキャリアーフィルム13は、乾燥装置18に送り込まれる。この乾燥装置18内で誘電体層用組成物の塗膜17aを乾燥する(即ち、溶剤などの揮発成分を除去する)ことにより、誘電体層用組成物の乾燥塗膜、すなわち、グリーンシート17がキャリアーフィルム13上に積層された積層物を得ることができる。
【0043】
誘電体層用組成物の塗膜17aを乾燥する方法としては特に制限されないが、例えば、(a)塗膜が形成されたキャリアーフィルムを所定温度に加熱する方法、(b)前記塗膜表面に乾燥空気又は熱風を送り込む方法、(c)前記(a)および(b)を組み合わせる方法などが挙げられる。乾燥するときの温度は、キャリアーフィルムが熱変形を生じることのない温度以下であれば特に制限されず、通常室温から150℃、好ましくは90〜130℃であり、乾燥時間は1〜10分である。
【0044】
次いで、グリーンシート17上に保護フィルム19を積層する。
図2中、保護フィルム19はロール状に巻き取られた長尺のフィルムである。用いる保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルムなどのプラスチックフィルム等を使用できるが、前述したキャリアーフィルムと同じものを使用するのが、生産効率、製造コストの面から好ましい。
【0045】
グリーンシート17上に保護フィルム19を積層するには、図2中、2つの積層ロール20aおよび20bの間をグリーンシート17と保護フィルム17とを通過させて、貼り合わせる(ラミネートする)。この場合、積層ロール20aおよび20bの両方又は一方(例えば、保護フィルム面側のロール20b)を加熱してもよい。
【0046】
以上のようにして、キャリアーフィルム13−グリーンシート17−保護フィルム19の3層からなる積層フィルム21を得ることができる。
得られた積層フィルム21は、ロール状に巻き取り、回収して保存、運搬することができる。
本発明のグリーンシート17は、本発明の誘電体層用組成物から形成されたものであるので、均一な厚みおよび膜質を有し、保存安定性に優れている。
【0047】
3)誘電体層形成基板およびその製造方法
本発明の誘電体層形成基板は、本発明の誘電体層用組成物を用いた誘電体層を有することを特徴とする。
本発明の誘電体層形成基板は、上記のようにして得られたグリーンシートから保護フィルムを剥離した後、基板(誘電体層形成用基板)に熱圧着し、続いて該グリーンシートを焼成することにより得ることができる。
【0048】
ここで用いる基板としては、ガラス基板、セラミック基板などが挙げられ、ガラス基板が好ましい。また、ガラス基板としては、表面に電極が形成されたものであれば特に制限されず、公知のものを使用することができる。例えば、表面に透明電極が形成された前面板用ガラス板、表面にデータ電極が形成された背面板用ガラス基板が挙げられる。また、基板の厚みは特に制限されないが、通常1〜10mm程度である。
【0049】
本発明の誘電体層形成基板を製造する一例を図3に示す。以下、図3を参照しながら、本発明の誘電体層形成基板を形成する方法を説明する。図3に示すものは、図1中、前面板用ガラス基板1上に透明誘電体層5を形成する例である。
【0050】
先ず、図3(a)に示すように、積層フィルム21上の片面の保護フィルム19を剥離除去する。
次に、図3(b)に示すように、グリーンシート17を表面に透明電極3が形成された前面用ガラス基板1上(透明電極3が形成されている側)に熱圧着する。本発明の誘電体層用組成物中の熱分解性バインダーは、バインダーであるとともに感圧性接着剤でもあるため、簡便な作業により、グリーンシート17をガラス基板1に均一に貼着することができる。
【0051】
次いで、図3(c)に示すように、グリーンシート17からキャリアーフィルム13を剥離除去し、グリーンシート17が熱圧着されたガラス基板1を焼成する。この過程で、誘電体層用組成物中の熱分解性バインダーが熱分解し、有機成分が完全に除去される。
【0052】
グリーンシート17が熱圧着されたガラス基板を焼成する方法としては、例えば、グリーンシート17が熱圧着されたガラス基板を加熱炉の中に入れて全体を加熱する方法が挙げられる。加熱温度および加熱時間は、ガラス基板が熱により変形せず、熱分解性バインダーが熱分解し、有機成分が完全に除去され、かつ、無機成分(ガラス成分など)が均一な溶融状態となり、ガラス成分が溶融し、均一化する温度および時間であれば特に制限されない。加熱温度は通常500〜700℃あり、加熱時間は通常数分から数時間である。
【0053】
本発明においては、この焼成を、300〜450℃の温度で10〜60分間加熱する仮焼成工程と、その後、さらに500〜700℃の温度で20〜120分間にわたって本焼成を行う本焼成工程とに分けて行うのが、より均一な膜質および厚みで、透明性または反射性および表面平滑性に優れる誘電体層を得ることができることから好ましい。
【0054】
焼成後は、冷却することにより、図3(d)に示すように、厚さ5〜100μm、好ましくは7〜90μmの透明誘電体層5が積層されたガラス基板1を得ることができる。
得られる透明誘電体層5の全光線透過率は、好ましくは76%以上、より好ましくは78%以上である。また、表面の凹凸は、好ましくは0.7μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
【0055】
本実施形態では、PDPの前面板用ガラス基板1に用いられる透明誘電体層5を形成する場合について説明したが、背面板用ガラス基板2に対する白色誘電体層6や、セラミック基板上に形成する誘電体層なども同様にして形成することができる。得られる白色誘電体層6の反射率は40〜100%であり、表面の粗さは、0.1〜1であるのが好ましい。
【0056】
本実施形態の誘電体層形成ガラス基板を用いることによって、プラズマディスプレイ点灯時のプラズマ放電電圧に耐え、セル欠陥の少ない高品質なPDPを製造することができる。
【0057】
【実施例】
以下に、製造例、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例中の[部]は、特に断りのない限り重量基準である。ただし、本発明は、以下の製造例および実施例に限定されるものではない。
【0058】
(製造例1)
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4gを重合開始剤として用い、2−エチルヘキシルメタクリレート198gとアクリル酸2gとを、酢酸エチル中、75℃で16時間反応させることにより、樹脂Aを得た。
【0059】
(製造例2)
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4gを重合開始剤として用い、2−エチルヘキシルメタクリレート180gと2−ヒドロキシエチルメタクリレートと20gとを、酢酸エチル中、75℃で16時間反応させることにより、樹脂Bを得た。
【0060】
(製造例3)
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4gを重合開始剤として用い、ブチルメタクリレート198gとアクリル酸2gとを、酢酸エチル中、75℃で16時間反応させることにより、樹脂Cを得た。
【0061】
(製造例4)
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4gを重合開始剤として用い、ブチルメタクリレート180gと2−ヒドロキシエチルメタクリレート20gとを、酢酸エチル中、75℃で16時間反応させることにより、樹脂Dを得た。
【0062】
(実施例1〜4)透明誘電体層用組成物の調製
下記第1表に示す割合で、ガラス成分、熱分解性バインダー、ポリエーテルエステル酸アミン塩、可塑剤および溶剤を、ビーズミル系分散機を用いて分散させることにより、実施例1〜4の誘電体層用組成物のスラリーA〜Dを調製した。
【0063】
ガラス成分、熱分解性バインダー、ポリエーテルエステル酸アミン塩、可塑剤および溶剤は、以下のものを用いた。
(1)ガラス成分(平均粒径1.0μm、最大粒径20μm)
ガラス粉末(PbO(60重量%)−B(10重量%)−SiO(25重量%)−A1(5重量%))を用いた。
(2)ポリエーテルエステル酸アミン塩
ポリエーテルエステル酸アミン塩(商品名:ディスパロン DA−234、楠本化成(株)製)を用いた。第1表中、DAと略す。
(3)熱分解性バインダー
上記製造例1〜4で得た樹脂A〜Dを用いた。
(4)可塑剤
市販のアジピン酸ジ2−エチルヘキシルを用いた。
(5)溶剤
トルエンとメチルイソブチルケトンの1:1(重量比)混合溶媒を用いた。
【0064】
(比較例1)透明誘電体層用組成物の調製
ポリエーテルエステル酸アミン塩を添加しない以外は実施例1と同様にして誘電体層用組成物のスラリーEを調製した。
【0065】
(比較例2)透明誘電体層用組成物の調製
ポリエーテルエステル酸アミン塩に代えて、オレイン酸1重量部を用いた以外は実施例1と同様にして誘電体層用組成物のスラリーFを調製した。
【0066】
透明誘電体層用組成物の分散状態の評価(スラリーの貯蔵安定性)
以上のようにして調製した透明誘電体層用組成物を、室温で2週間静置した後、ガラス成分の沈降具合を目視で確認した。スラリーの沈降が全く認められなかったものを○、スラリーの沈降が若干認められたものを△、スラリーの沈降が明らかに認められたものを×として評価した。観察結果を第1表に示す。
【0067】
【表1】
Figure 0004426767
【0068】
第1表より、分散剤としてポリエーテルエステル酸アミン塩を添加した実施例1〜4の透明誘電体層用組成物(スラリー)は保存安定性に優れていた。分散剤としてオレイン酸を使用した比較例2の組成物は、分散剤を添加しなかった比較例1の組成物と比較して保存安定性に優れていたものの、実施例1〜4の組成物に比して保存安定性が劣っていた。また、比較例1の誘電体層用組成物(スラリー)を再撹拌しても、分散直後の状態には戻らなかった。
【0069】
(実施例5〜8)積層フィルムの作製
実施例1〜4で得たスラリーA〜Dを、キャリアーフィルムとしてシリコーン樹脂により厚さ0.1μmで離型処理された、厚さ38μmの長尺のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、ナイフコーターを用いて塗布した。次いで、100℃で2分間乾燥して、PETフィルム上に厚さ80μmのグリーンシートを形成した。さらに、得られたグリーンシート上に、前記PETフィルムと同じ長尺の保護用PETフィルムをロール間圧着させることにより、PETフィルム−グリーンシート−PETフィルムの3層が積層されてなる積層フィルムA〜Dを得た。
【0070】
(比較例3)積層フィルムの作製
比較例2で得たスラリーFを用いて、実施例5と同様の操作により、キャリアーフィルムであるPETフィルム上に厚さ80μmのグリーンシートFを形成した。さらに、得られたグリーンシート上に、前記PETフィルムと同じ長尺の保護用PETフィルムをロール間圧着させることにより、PETフィルム−グリーンシート−PETフィルムの3層が積層されてなる積層フィルムFを得た。
【0071】
(実施例9〜12)透明誘電体層形成ガラス基板の作製
実施例9〜12の透明誘電体層形成ガラス基板は実施例5〜8で得た積層フィルムA〜Dを用いて作製した。先ず、実施例5〜8で得た積層フィルムA〜Dのグリーンシート上の保護用PETフィルムを剥離除去した。次に、積層フィルムA〜Dをグリーンシート面側にして、表面に透明電極が形成された厚さ3mmのガラス基板(50mm×50mm)表面に重ね合わせ、加熱ローラーを用いて熱圧着(100℃、2kg/cm)した。次いで、キャリアーフィルム(PETフィルム)を剥離除去し、加熱炉内に入れ、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間加熱して、グリーンシート内の樹脂A〜D(熱分解性バインダー)を熱分解除去した。さらに580℃に昇温し、同温度で60分間焼成して、厚さ30μmの透明誘電体層A〜Dが形成された透明誘電体層形成ガラス基板を得た。
【0072】
形成した透明誘電体層A〜Dの全光線透過率および表面凹凸を測定した。全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して、表面凹凸は、明神工機(株)製の接触式表面粗さ計を用いて、それぞれ測定した。測定結果を第2表に示す。
【0073】
(比較例4)透明誘電体層形成ガラス基板の作製
実施例9において、積層フィルムに積層フィルムFを用いた以外は、実施例9と同様にして、透明誘電体層Fが形成された透明誘電体層形成ガラス基板を得た。
形成した透明誘電体層Fの全光線透過率および表面凹凸を測定した。測定結果を第2表に示す。
【0074】
【表2】
Figure 0004426767
【0075】
第2表より、分散剤としてポリエーテルエステル酸アミン塩を用いた実施例1〜4の透明誘電体層用組成物から得られる誘電体層は、比較例2の組成物から得られた誘電体層に比して、透明性および平坦性に優れていた。
【0076】
(実施例13)白色誘電体層形成ガラス基板の作製
ガラス成分として、〔ガラス粉末(PbO(60重量%)−B(10重量%)−SiO(25重量%)−A1(5重量%)):65重量%、およびフィラー成分(TiO(43重量%)−A1(57重量%)):35重量%からなる混合物〕(ガラス成分にフィラー成分を加えたもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして、白色誘電体層用組成物(スラリー)Gを調製した。
得られた白色誘電体層用組成物のスラリーGを用いて、実施例5と同様にして積層フィルムGを作製した。
得られた積層フィルムGのグリーンシート上の保護用PETフィルムを剥離除去した。次に、積層フィルムGをグリーンシート面側にして、表面にデータ電極が形成された厚さ3mmのガラス基板(50mm×50mm)表面に重ね合わせ、加熱ローラーを用いて熱圧着(100℃、2kg/cm)した。次いで、キャリアーフィルム(PETフィルム)を剥離除去し、加熱炉内に入れ、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間加熱して、グリーンシート内の樹脂A(熱分解性バインダー)を熱分解除去した。さらに580℃に昇温し、同温度で60分間焼成して、厚さ30μmの白色誘電体層Gが形成された白色誘電体層形成ガラス基板を得た。
形成した白色誘電体層Gの反射率(JIS R3106に基づき測定)および表面凸凹を測定した。測定結果を第3表に示す。
【0077】
(比較例5)白色誘電体層形成ガラス基板の作製
ポリエーテルエステル酸アミン塩を添加しない以外は、実施例13と同様にして白色誘電体層用組成物(スラリー)Hを調製し、得られたスラリーHを用いて、実施例13と同様にして積層フィルムHを作製し、得られた積層フィルムHを用いて、実施例13と同様にして白色誘電体層Hが形成された白色誘電体層形成ガラス基板を得た。
形成した白色誘電体層Hの反射率(JIS R3106に基づき測定)および表面凸凹を測定した。測定結果を第3表に示す。
【0078】
(比較例6)白色誘電体層形成ガラス基板の作製
ポリエーテルエステル酸アミン塩に代えて、オレイン酸1.0重量部を用いた以外は実施例13と同様にして白色誘電体層用組成物(スラリー)Iを調製し、得られたスラリーIを用いて、実施例13と同様にして積層フィルムIを作製し、得られた積層フィルムIを用いて、実施例13と同様にして白色誘電体層Iが形成された白色誘電体層形成ガラス基板を得た。
形成した白色誘電体層Iの反射率(JIS R3106に基づき測定)および表面凸凹を測定した。測定結果を第3表に示す。
【0079】
【表3】
Figure 0004426767
【0080】
第3表より、分散剤としてポリエーテルエステル酸アミン塩を用いて形成した実施例の白色誘電体層Gは、分散剤を用いずに形成した比較例5の白色誘電体層Hおよび分散剤としてポリエーテルエステル酸アミン塩の代わりにオレイン酸を用い形成した比較例6の白色誘電体層Iに比して、反射率が高く、また目的とする表面凸凹が得られることがわかった。
【0081】
【発明の効果】
本発明の誘電体層用組成物は、分散剤としてポリエーテルエステル酸アミン塩を用いているので、ガラス成分を均一に分散させ、かつガラス成分の二次凝集を防止して、保存安定性に優れている。
本発明のグリーンシートは、本発明の誘電体層用組成物から得られるものであるため、均一な膜質を有し、保存安定性に優れる。
本発明によれば、表面に、本発明の誘電体層用組成物から得られる誘電体層が形成されてなる誘電体層形成基板が提供される。本発明の誘電体層用組成物から得られる誘電体層は、優れた耐電圧特性を有し、このうち透明誘電体層は平坦で透明性に優れており、白色誘電体層は反射性、隔壁への投錨性に優れている。本発明の誘電体層形成基板は、特にPDP用の誘電体層形成ガラス基板として有用である。
また本発明によれば、優れた耐電圧特性を有し、平坦で透明性に優れる透明誘電体層又は、反射性、隔壁への良好な投錨性を有する本発明の白色誘電体層形成基板を、効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマディスプレイパネルの一例の構造断面図である。
【図2】本発明のグリーンシートを製造する工程図である。
【図3】本発明の誘電体層形成ガラス基板の形成方法を示す工程断面図である。
【符号の説明】
1…前面板用ガラス基板
2…背面板用ガラス基板
3…透明電極
4…データ電極
5…透明誘電体層
6…白色誘電体層
7…保護膜
8…隔壁
9…蛍光体
13…キャリアーフィルム
14…塗工装置
15…貯蔵部
16…塗工部
17a…誘電体層用組成物の塗膜
17…グリーンシート
18…乾燥装置
19…保護フィルム
20a、20b…積層ローラー
21…積層フィルム

Claims (4)

  1. ガラス粉末、または、ガラス粉末およびフィラー成分からなるガラス成分40〜80重量%、ポリエーテルエステル酸アミン塩0.01〜5.0重量%、並びに熱分解性バインダー5〜50重量%を含有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの誘電体層用組成物。
  2. 請求項1に記載の誘電体層用組成物を乾燥し、フィルム化してなるグリーンシート。
  3. 請求項1に記載の誘電体層用組成物から形成された誘電体層を有することを特徴とする誘電体層形成基板。
  4. 請求項2に記載のグリーンシートを基板に貼り合わせる工程と、該グリーンシートを焼成する工程とを有する誘電体層形成基板の製造方法。
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