WO2006041226A1 - 改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ - Google Patents

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Abstract

野生型ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列において、少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換された変異を有し、かつ、形質転換体あたりのヒドロキシニトリルリアーゼ活性が、野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子が導入された形質転換体よりも高くなることを特徴とする改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ、および該改良型ヒドロキシニトリルリアーゼを宿主において発現させ、得られた培養物から改良型ヒドロキシニトリルリアーゼを採取することを特徴とするヒドロキシニトリルリアーゼの製造方法。

Description

明 細 書 改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ 技術分野
本発明は、 改良型ヒドロキシニトリルリアーゼおよび当該改良型ヒドロキシュト リルリァーゼの製造方法に関する。 背景技術
ヒ ドロキシニトリルリァーゼは、 シアンヒ ドリンの製造反応を触媒する酵素であ る。 すなわち、 ヒ ドロキシニト リ ノレリァーゼは、 シァニドドナーの存在下、 カル ボニル化合物からシァノヒ ドリン ( α —ヒ ドロキシュトリル) の合成反応に用 いられる酵素触媒である。 シアンヒ ドリンは、 さまざまな化合物に変換すること が可能であり、 有機合成中間体として有用である。 また、 光学活性シアンヒ ドリ ンは、 α —ヒ ドロキシ酸、 α—ヒ ドロキシケ トン、 β —了ミノアルコールな どの合成に使用でき、 医薬品、 化学品等分野で使用される重要な種々の光学 活性中間体を合成する上で極めて有用である。 したがって、 ヒ ドロキシュトリル リアーゼを大量に生産する方法の開発が望まれている。
シアンヒ ドリン合成を触媒するヒ ドロキシュトリルリアーゼは、(S)選択性およ ぴ (R)選択性の 2つのグループに分けられる。.その中で (S)-ヒ ドロキシュトリルリ ァーゼは、 酸性条件下においてケトンまたはアルデヒ ドとシアン化合物から(S)- シアンヒ ドリンを生成する反応を触媒する。 この反応の代表例として、 ベンズァ ルデヒ ドとシアン化合物である青酸から、(S)-マンデロニトリル(mandelonitrile) を生成する反応がある。 また、 (S)-ヒ ドロキシニトリルリアーゼは、 安価な基質 から医薬おょぴ化成品中間体として利用価値の高い光学活性体を生産することの できる生体触媒としても使用されており、多くの分野において極めて有用である。 光学活性シアンヒ ドリンの工業的生産にヒ ドロキシニトリルリアーゼを利用す るために、 菌体あたりまたはタンパク質あたりの活性が高く立体選択性の高いヒ ドロキシニトリルリアーゼを大量に生産する方法の開発が望まれている。
ヒドロキシュトリルリアーゼは、 シアン配糖体 (cyanogenic glucoside)を有する植 物においてのみ存在することが知られている。例えば、(R)-ヒドロキシニトリルリア ーゼとしてアーモンド (Pnmus amygdalus) などのバラ科植物由来のものなどが知 られている。 また、 (S)-ヒドロキシニトリルリアーゼとして、 モロコシ (Sorghum bicolor) などのイネ科植物由来、 キヤッサパ (Manihot esculenta) やパラゴムノキ (Hevea brasiliensis) などのトウダイグサ科植物由来、 キシメニァ (Ximenia americana) などのボロボロノキ科植物由来のものなどが知られている。 しかし、 これらの植物体からは微量のヒドロキシュトリルリアーゼしか抽出することがで きなかった。
そこで、 医薬、 化学的に有用なヒドロキシニトリルリアーゼを大量に得るため に、 遺伝子工学的な方法でヒドロキシニトリルリアーゼを得る試みがされてきた ( 1 ~ 9 )。 しかしながら、 形質転換体を用いて異種タンパク質を発現させる場合に は、 同種タンパク質についての研究によって得た結果 (発現量や生化学的活性な ど) をそのままあてはめることができない場合がある。 すなわち、 形質転換体を 用いて異種タンパク質を発現させる場合には、 形質転換体の挙動や発現量、 目的 タンパク質の生化学的活性などを予め予測することは容易ではない。
また、 発現させようとするタンパク質の種類によっては、 形質転換体宿主内で 正常なタンパク質の折りたたみが行われず、 いわゆる封入体が形成されてしまう ことがある。 そして、 この封入体中のタンパク質は本来の活性が失われた不活性 型タンパク質となることが多く知られている。 ヒドロキシュトリルリアーゼにお いても、 例えば、 大腸菌形質転換体を 37°Cで培養して発現させたヒドロキシュト リルリァーゼの 9 9 %は不活性な封入体の形で不溶性画分中に見出されることが報 告されている(1)。 また、 大腸菌で製造した粗酵素液の酵素活性が 0.545unit/mg proteinであること (2 _4 )、 大腸菌 (宿主 M15[pREP4]) で製造した粗酵素液の 液活性が 0.5U/mlであること (1 4 )、 粗酵素液の比活性が 0.20U/mg protein (宿 主 Topl0,, 28°C) および 0.61U/mg protein (宿主 XLl_blue, 22°C) であること ( 1 5' 1 6 )が報告されている。 しかし、 上記の酵素活性は、 いずれも十分であると はいえない。
これらの問題点を解決する手段として、 例えば、 ヒドロキシニトリルリアーゼを 発現する大腸菌形質転換体を低温で培養することにより、封入体の形成を抑制して、 活性を有するヒ ドロキシュトリルリアーゼ収率を向上させようとしている(8 )。 し かしながら、 この技術では、 培養時間が長時間に及ぶうえ、 低温を維持するため、 電力、 冷却水など大量のユーティリティーを使用しなければならないという問題点 がある。 ヒドロキシニトリルリアーゼの工業的製造を考えた場合、 これらの問題点 は、 大幅な製造コストアップの要因となる。
ところで、近年の組換え DNA技術の進歩により、 タンパク質の構成アミノ酸の 1 個以上を欠失、 付加、 挿入、 もしくは他のアミノ酸で置換した変異体を作製するこ とが比較的容易に可能となっている。 特に、 タンパク質が酵素である場合、 これら 変異体は、 欠失、 付加、 挿入または置換されるアミノ酸残基の個所および置換され るアミノ酸の種類によっては、 変異の導入されていない酵素と比較して、 安定性、 有機溶媒耐性、 耐熱性、 耐酸性、 耐アルカリ性、 基質特異性、 基質親和性などの性 能が向上することが知られている。 これら性能の向上は、 触媒としての酵素の安定 化、 反応工程の簡略化、 反応収率の向上等を通じて、 酵素反応を利用した工業的生 産における大幅な生産コス ト低減をもたらすことがある。 従って、 多くの酵素にお いて様々な性能が向上した有用な改良酵素の創製が行われている。
ヒドロキシニトリルリアーゼにおいても、構成するアミノ酸の 1つまたは複数個 を欠失、 付加、 揷入または置換した変異体の報告がなされている。 例えば、 変異ヒ ドロキシュトリルリアーゼが芳香族アルデヒド、 とくに 3-フエノキシベンズアルデ ヒドに対する親和性を向上したことが報告されているが(9' 1 Q)、大幅なヒドロキシ 二トリルリアーゼ製造収率の向上には至っていない。 また、 128番目のトリプトフ アンを他のアミノ酸に置換した変異体おょぴ 81番目のシスティンをァラニンに置 換した変異体を作製し、 大腸菌 M15株を宿主とする形質転換体を得て、 ΙΟΟ μ Μの IPTGを含有する ΤΒ媒体中、 培養温度 37°Cを 20°Cに冷却した培養条件において、 該変異体を発現する M15株形質転換体のいくつかは、細胞あたりのヒドロキシュト リルリアーゼ活性が、野生型ヒドロキシュトリルリアーゼを発現する M15株形質 転換体あたりのヒ ドロキシニトリルリァーゼ活性よりも高いことが報告されている ( 6 )。 しかしながら、 同文献中、 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼを発現する
M15株形質転換体のヒ ドロキシニトリルリアーゼ活性は、 同培養条件によって得 られた野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼを発現する JM109株形質転換体のもの の 1/2程度であり、 発現能力の高い宿主において変異体の効果を必ずしも実証して いるとは言えない。 また、 中国産キヤッサバ (Manihot esculenta) 亜種由来ヒ ドロ キシニトリルリアーゼにおける 113番目のアミノ酸であるグリシンをセリンに置換 した変異ヒ'ドロキシニトリルリア一ゼの比活性が向上したことが報告されている ( 1 1 )。 しかし、 一般的なキヤッサバ (Manihot esculenta) 由来ヒ ドロキシニトリ ルリアーゼの 113番目のアミノ酸はセリンであり、該アミノ酸がヒ ドロキシニトリ ルリア一ゼ活性に重要であることを示しているに過ぎない。
ところで、 大腸菌 (E. coli) 細胞抽出液中のタンパク質の 40%は、 翻訳時には存 在する N末端のメチォニンが、 プロセッシングを受けていることが報告されている ( 1 7 )。 このプロセッシングは、 メチォニンアミノぺプチダーゼと呼ばれる酵素によ つて触媒される (1 8 )。 大腸菌細胞内に存在する内在性タンパク質が、 メチォニンァ ミノぺプチダーゼによるプロセッシングを受け易いか否かは、内在性タンパク質の 2 番目のァミノ酸の種類によつて決定され、 2番目のァミノ酸の側鎖が大きいほどプロ セッシングを受け難いことが報告されている(1 2 )。 また、 「タンパク質の N末端ァ ミノ酸の種類によって、 大腸菌細胞内におけるそのタンパク質の安定性が決定され る」 という N末端則が報告されている(1 3 )。 N末端側によれば、 タンパク質の N末 端がアルギニン、 リジン、 ロイシン、 フエ二ルァラニン、 チロシン、 トリプトファ ンなどの場合、 細胞内におけるタンパク質の安定性は低く、 速やかに分解される。 これらの知見に基づき、 目的タンパク質の 2番目のアミノ酸を、 側鎖が大きく (す なわち、 メチォニンアミノぺプチダーゼによるプロセッシングを受け難い)、かつ、 アルギニン、 リジン、 ロイシン、 フ; r二/レアラニン、 チロシン、 トリプトファン以 外のものにすれば、 形質転換体宿主内での目的タンパク質の安定性向上を期待で きる可能性も考えられる。 しかし、上記の結果(1 2' 1 3 )は、宿主内在性のタンパク 質、 またはいくつかのモデルタンパク質の解析によって得られたものであり、 異種 タンパク質であるヒ ドロキシニトリルリアーゼが必ずしも上述の法則に従うとは 限らない。 その理由は、 前述したように、形質転換体を用いて異種タンパク質を発 現させる場合には、 形質転換体の挙動や発現量、 目的タンパク質の生化学的活性 などを予め予測することは容易ではないからである。
以上のように、 顕著に性能が向上したヒドロキシニトリラーゼを取得しょうと するこれまでの試みは必ずしも成功しているとは言い難く、 さらなる有用ヒ ドロ キシュトリラーゼ変異体の創出が切望されていた。 参考文献
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(2) 特開 2000 - 1891 59号公報
(3) 特開 2 Ό 00 - 1891 60号公報
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18 ) Ben-Bassat, A. et al, J. Bacteriol.169(1987), 751 -757 発明の開示 , 本発明は、 改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼおよび当該改良型ヒ ドロキシニト リルリァーゼの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、 '上記課題を解決するために誠意研究を行った結果、 野生型ヒ ドロ キシニトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 少なくとも 1つのアミノ酸残基を 他のアミノ酸に置換することにより、 形質転換体あたりのヒ ドロキシニトリルリア ーゼ活性を大幅に向上させることができることを見出し、 本発明を完成するに至つ た。
すなわち、 本発明は以下のとおりである。
( 1 ) 以下の (A)〜(G)から選択されるいずれかの改良型ヒ ドロキシニトリルリア一 ゼ。 '
(A) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目 のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒ ドロキシュトリル リァーゼ
(B) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 103番 目またはその近傍のヒスチジン残基が他のアミノ酸残基に置換された改良型 ヒドロキシニトリルリァーゼ
(C) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列中に存在する少なく とも 1つのリジン残基が他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒドロキシニ トリルリァーゼ
(D) 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目 のアミノ酸残基および第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基が他のァ ミノ酸残基に置換された改良型ヒドロキシニトリルリァーゼ
(E) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目 のアミノ酸残基おょぴ当該配列中に存在する少なくとも 1つのリジン残基が 他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ
(F) 野生型ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 103番 目またはその近傍のヒスチジン残基および当該配列中に存在する少なく と も 1つのリジン残基が他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒ ドロキシュト リルリアーゼ
(G) 野生型ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目 のアミノ酸残基、 第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基および当該配 列中に存在する少なく とも 1つのリジン残基が他のアミノ酸残基に置換され た改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ
(2) 野生型ヒドロキシュ'トリルリア一ゼがキヤッサバまたはパラゴムノキ由来で ある (1) 記載の改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ。
(3) 第 2番目のアミノ酸残基が、 リジン、 ァスパラギン、 イソロイシン、 アルギ ニン、 グノレタミン、 プロリン、 スレオニン、 チロシン、 ロイシン、 メチォニン、 セリンおよびグルタミン酸からなる群から選択されるいずれかのアミノ酸に置 換された (1) または (2) 記載の改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ。
(4) 第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基が、 以下の (a) および Zまた は (b) の性質を有するアミノ酸に置換された (1) 〜 (3) のいずれか一項に 記載の ¾良型ヒドロキシュトリルリアーゼ。
(a) 分子中に含まれる窒素原子数が 1または 2のアミノ酸である
(b) 中性アミノ酸である
(5) 第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基が、 メチォニン、 ロイシン、 ィ ソロイシン、 パリン、 システィン、 グノレタミン、 セリン、 スレオニン、 ァラニン およびトリブトファンからなる群から選択されるいずれかのアミノ酸に置換さ れた(1)〜(4)のいずれか一項に記載の改良型ヒ ドロキシニトリルリァーゼ。
(6)野生型ヒ ドロキシュトリルリ ーゼのアミノ酸配列中の第 175番目から第 224 番目の領域に存在する少なくとも 1つのリジン残基が、他のアミノ酸に置換され た (1) 〜 (5) のいずれか一項に記載の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ。
(7)野生型ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列中の第 175番目から第 224 番目の領域に存在する少なくとも 1つのリジン残基が、 以下の (a) および/ま たは (b) の性質を有するアミノ酸に置換された (1) 〜 (6) のいずれか一項 に記載の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ。
(a) 分子中に含まれる窒素原子数が 1または 2のアミノ酸である
i
(b) 中性アミノ酸である
(8)野生型ヒ ドロキシニト リノレリァーゼのアミノ酸配列中の第 175番目から第 224 番目の領域に存在する少なくとも 1つのリジン残基が、 プロリンに置換された
(1) 〜 (7) のいずれか一項に記載の改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ。
(9) 配列番号 1で示されるアミノ酸配列中の、 第 176番目、 第 199番目および第 224番目のリジン残基からなる群から選択される少なくとも一つのリジン残基 が他のアミノ酸に置換された (1) 〜(8) のいずれか一項に記載の改良型ヒド 口キシュトリルリアーゼ。
(10) 配列番号 102で示されるアミノ酸配列中の、 第 175番目、 第 198番目お よび第 223'番目のリジン残基からなる群から選択される少なくとも一つのリジ ン残基が他のアミノ酸に置換された (1) 〜(8) のいずれか一項に記載の改良 型ヒドロキシニト リノレリ アーゼ。
(11) (1) 〜 (10) のいずれかに記載の改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ のァミノ酸配列において、 (A)〜(G)記載の置換部位のァミノ酸を除く、 1個また は数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなる改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ。
(12) (1) 〜 (11) のいずれかに記載の改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ をコードする、 改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子。
(13) (12) 記載の改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子を含む組換えべ クタ一。
(14) (13) 記載の,祖換えベクターを宿主に導入してなる形質転換体。
(15) (14) 記載の形質転換体を培養して得られる培養物。
(16) (15)記載の培養物から採取.される改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ。
(17) (15) 記載の培養物から改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼを採取する ことを特徴とする改良型ヒドロキシニトリルリアーゼの製造方法。
(18) ケトン化合物またはアルデヒド化合物と、 シアン化合物とを、 (1)〜(1 1 ) および (1 6 ) のいずれかに記載の改良型ヒドロキシニトリルリア一ゼで処 理し、得られる処理物からシアンヒドリンを採取することを特徴とするシアンヒ ドリンの製造方法。
( 1 9 ) ( 1 8 ) 記載の方法により得られたシアンヒ ドリンを加水分解することを 特徴とするヒドロキシカルポン酸の製造方法。. 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 1におげる植物コドン野生型ヒドロキシニトリルリァーゼ遺伝子 の作製法を示す模式図である。
図 2は、 実施例 3における大腸菌コドン野生型ヒドロキシニトリルリア一ゼ遣伝 子の作製法を示す模式図である。
図 3は、 実施例 6において、 ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、 空べクタ 一導入形質転換体 (JM109/pKK233-2(+Sse)) 、 野生型ヒドロキシニトリルリア一 ゼ発現形質転換体 (JM109/pOXN103) 、 および 2番目のアミノ酸を置換したヒ ド 口キシニ ト リルリアーゼ発現形質転換体 ( pOXN103V2K、 pOXN103V2N、 pOXN103V2I、 pOXN103V2R、 pOXN103V2Q, pOXN103V2P、 pOXN103V2T、 pOXN103V2Y、 pOXN103V2L, POXN103V2M、 POXN103V2S、 POXN103V2E、 pOXN103V2A、 pOXN103V2G、 pOXN103V2D) の発現量を SDS-PAGEにより比 較解析した図である。 矢印はヒドロキシニトリルリアーゼタンパク質のバンドを示 す。
図 4は、 実施例 8において、 大腸菌コドン野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ 発現形質転換体 JM109/pUMESDsy、 pUMESDsyを铸型とした 1回目の Error prone PGR で 得 ら れ た ラ ン ダ ム 変 異 体 発 現 形 質 転 換 体 JM109/pUMESDsyH103L, および pUMESDsy-H103Lを铸型に用いた 2回目 の Error prone PCRで得られたランダム変異体発現形質転換体(19'Ε8、 36Έ10) からそれぞれ調製した細胞抽出液可溶性画分 (S) および不溶性画分 (I) の SDS-PAGE分析結果の図である。
図 5は、 実施例 9において、 大腸菌コドン野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ発 現形質転換体 JM109/pUMESDsy、植物コ ドン野生型ヒドロキシニトリルリァーゼ 発現形質転換体 JM109/pUMESD、大腸菌コ ドン野生型ヒ ドロキシュト リノレリア一 ゼに H103L変異を導入した改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ発現形質転換体 JM109/pUMESDsy-H103L、 および植物コ ドン野生型ヒ ドロキシニト リノレリア一 ゼに H103L変異を導入した改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ発現形質転換体. PUMESD-H103Lからそれぞれ調製した細胞抽出液可溶性画分 (S) および不溶性 画分 (I) の SDS-PAGE分析結果の図である。
図 6 (A) は、 実施例 1 0において、 大腸菌コドン野生型ヒドロキシニト リノレリ ア ーゼ(His)およびそのアミノ酸配列の第 103番目のヒスチジン残基を他のアミノ酸 に変異させた 9種類のアミノ酸置換体のヒドロキシニトリルリアーゼ活性を示す 図である。 (B) は、 植物コドン野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ (His) および そのアミノ酸配列の第 103番目のヒスチジン残基を他のアミノ酸に変異させた 10 種類のアミノ酸置換体のヒドロキシニトリルリアーゼ活性を示す図である。
図 7は、 実施例 1 2において、 植物コドン野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ発 現形質転換体 JM109/pOXN103、 V2I変異が導入された植物コドン改良型ヒドロキ シニトリルリアーゼ発現形質転換体 JM109/pOXN103V2I、 H103L変異が導入され た植物コ ドン改良型 ヒ ドロキシニ ト リ ルリ アーゼ発現形質転換体 JM109/pOXN103H103L, V2I変異およぴ H103L変異が導入された植物コドン複合 改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ発現形質転換体 JM109/pOXN103V2I+H103L について、 30°Cおよび 37°Cでフラスコ培養を行って得られた細胞抽出液各画分 (T:全画分、 P:不溶性画分、 S:可溶性画分) の SDS-PAGE分析結果の図であ る。
図 8は、 実施例 1 2において、 V2I変異が導入された植物コドン改良型ヒドロキ シニトリルリアーゼ発現形質転換体 C600/pOXN103V2I、 および、 V2I 変異と H103L変異が導入された植物コドン複合改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ発現 形質転換体 C600/pOXN103V2I+H103Lのジャー培養評価における菌濃度、活性(比 活性、 液活性) および SDS_PAGE (T:全画分、 P:不溶性画分、 S:可溶性画分) の結果を示す図である。 図 9は、 実施例 1 3において、 大腸菌コドン野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ の H103残基をコードするコドンの違いによる発現量への影響を調べた SDS-PAGE i 分析結果を示す図である。
図 1 0は、 実施例 1 4において、 精製した野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ ( MeHNL ) および H103M 改良型ヒ ドロ キシニ ト リ ル リ ァーゼ (MeHNL-H103M) の SDS-PAGE分析の結果を示す図である。
図 1 1は、 実施例 1 5および実施例 1 6において、 リジン残基置換変異体の可溶 性画分由来タンパク質 10μ gを SDS-PAGEにより分析した結果を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明の実施の形態について説明するが、 本実施の形態は、 本発明を説 明するための例示であり、本発明をこの実施の形態にのみ限定する趣旨ではない。 本発明は、 その要旨を逸脱しない限り、 さまざまな形態で実施をすることができ る。 なお、 本明細書において引用した文献、 および公開公報、 特許公報その他の 特許文献は、 参照として本明細書に組み込むものとする。
本発明は、 野生型ヒドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 少なく とも 1つのアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換することにより、 形質転換体あたり のヒドロキシュトリルリアーゼ活性を大幅に向上させることができることに基づく ものである。
(I) ヒ ドロキシュトリルリアーゼ活性
本発明において、 「ヒドロキシュトリルリアーゼ活性」 とは、 ケトンまたはアル デヒドとシアン化化合物とからシアン.ヒドリンを生成する反応を触媒する活性 (以 下、 「合成活性」 と呼ぶ) 、 およびその逆反応を触媒する活性 (以下、 「分解活性」 と呼ぶ) のいずれをも意味する。 本発明においては、 合成活性は、 ベンズアルデヒ ドからの (S)-マンデロニトリルの生成量を測定することにより算出することがで きる。マンデロニトリルの生成は、例えば HPLCで定量することができる。また、 分解活性は、 基質であるマンデロニトリルからのベンズアルデヒ ドの生成量を測 定することにより算出することができる。ベンズアルデヒドの生成量は、例えば、
i タエン酸ナトリゥム緩衝液に、 改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼとラセミ体マ ンァロニトリノレ (racemic mandelonitrile) を添加したときの波長 280 nmに ける吸光値の増加を追跡することで定量することができる。
本発明は、 野生型ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列の一部のアミノ酸 残基を他のアミノ酸に置換した改良型ヒドロキシニトリルリアーゼに関するもので ある。本発明における改良型ヒドロキシニトリノレリァーゼは、後に説明するように、 形質転換体あたりのヒドロキシニトリルリァーゼ活性が野生型ヒドロキシュトリル リアーゼよりも高くなることを特徴とする。 ここで言う形質転換体あたりの活性向 上の本質的な原因としては、 変異導入に起因するものであれば如何なるものでもよ く、 例えば、 酵素タンパク質あたり比活性自体の向上、 活性型コンフオメーシヨン 形成能の向上、 形質転換体中 (特に可溶性画分) における発現量増加などが挙げら れる。 さらには、 金属イオン耐性、 有機溶媒耐性、 耐熱性、 耐酸性、 耐アルカリ性 等の耐性向上も挙げられる。 したがって、 本発明の改良型ヒドロキシュトリルリア ーゼは、 変異導入によって形質転換体あたりの活性が向上したヒドロキシニトリル リアーゼであればよく、 酵素タンパク質あたりの非活性自体の向上したヒドロキシ 二トリルリアーゼ、 活性型コンフオメーシヨン形成能が向上したヒドロキシニトリ ルリアーゼ、 または形質転換体あたりの発現量が向上したヒドロキシニト リノレリア ーゼなどを含むものである。
ここで、 「形質転換体あたりの活性」 は、 形質転換体の培養装置あたり、 培養液 あたり、 形質転換体量 (湿潤または乾燥) あたり、 (粗) 酵素溶液あたり、 可溶性 画分あたり、 または酵素溶液中のタンパク質量あたりのヒドロキシュトリルリア一 ゼの活性などを意味する。 活性が高い (低い) は、 酵素液中のタンパク質量などの 単位重量あたりまたは酵素溶液などの単位溶液量あたりのヒドロキシュトリルリア ーゼ活性 (比活性、 液活性) 1 対照よりも高い (低い) ことを意味する。
本明細書において 「比活性」 は、 単位タンパク質量あたりまたは単位菌体質量あ たりのヒドロキシニト リノレリァーゼ活性を意味する。 本明細書において 「液活性」 は、 単位溶液量あたりのヒ ドロキシュトリルリア一 ゼ活性を意味する。 ―
(II) ヒ ドロキシュトリノレリァーゼ
(II-1) 野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ .
本発明の改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼは、 野生型ヒ ドロキシュトリノレリア ーゼに変異を導入することによって改良したものあり、 その由来は特に限定される ものではないが、 例えば植物由来のものが好ましい。 ここで、 「野生型ヒ ドロキシ 二トリルリアーゼ」 とは、 自然界の生物 (例えば植物) より分離されうるヒドロキ シニトリルリアーゼを指し、 該酵素を構成 ~るアミノ酸配列において、 意図的また は非意図的なアミノ酸の欠失、 揷入、 もしくは他のアミノ酸による置換がなく、 天 然由来の特性を保持したままのヒ ドロキシニトリルリアーゼを意味する。 本発明に おいて、 野生型ヒドロキシュトリルリアーゼは、 (s)-ヒドロキシュトリルリアーゼま たは (R)-ヒドロキシニトリルリアーゼであるが、 (S)-ヒドロキシニトリルリアーゼが 好ましい。 由来植物としては、 例えばキヤッサバ (Manihot esculenta), パラゴムノ ャ (Hevea brasiliensis)、 モロ コン (Sorghum bicolor)、 アーモン ド (Prunus amygdalus) 、 キシメニァ (Ximenia americana)などが挙げられ、 好ましくはキヤ ッサパまたはパラゴムノキである。 例えば、 キヤッサバ由来の野生型ヒ ドロキシニ トリノレリァーゼのァミノ酸配列は GenBank /EMBL accession number Z29091に公 開されており、 配列番号 1で表される。 また、 パラゴムノキ由来の野生型ヒ ドロキ シニトリルリアーゼのアミノ酸配列は GenBank /EMBL accession number U40402に公開されており、 配列番号.1 0 2で表される。
本明細書では、 主にキヤッサバ由来の野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼを例に 挙げて説明するが、 前述のように、 ヒドロキシュトリルリアーゼの由来は限定され ず、キヤッサバ由来以外のヒ ドロキシュトリルリアーゼにおいても、本発明で示し た変異の位置または変異するァミノ酸種若しくは塩基配列を適応することによつ て、 形質転換体あたりのヒ ドロキシュトリルリァーゼ活性が向上する。 野生型ヒド 口キシュトリルリァーゼの中には、 異なる生物種由来であってもアミノ酸配列上の — 相同性が高いものがあり、 その例としては、 例えば、 キヤッサバ由来の野生型ヒ ド 口キシニトリルリァーゼとパラゴムノキ由来の野生型ヒドロキシュトリノレリアーゼ が挙げられ、両者間のアミノ酸配列相同性は 74%である(特表平 11-508775号公報)。 本発明において、 高い相同性は、 例えば 60%以上の相同性をいい、 好ましくは 75%以上の相同性であり、 特に好ましくは 90%以上の相同性である。 また、 アミ ノ酸配列全長にわたる相同性が低い場合でも、 タンパク質の二次構造 (例えばひへ リ ックスや i3シートの構造や位置等) 、 三次構造あるいは四次構造の類似性が高い ものも存在する。 本楽明で使用するキヤッサパまたはパラゴムノキ以外に由来する 野生型ヒドロキシニトリルリアーゼは、 上記の相同性、 類似性についての特徴を有 するヒドロキシニトリルリアーゼであることが好ましい。 (II-2) 改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ
本発明における 「改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ」 とは、 主として遺伝子組 み換え技術を利用して野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において 少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換された変異を有し、かつ、 形質転換体あたりのヒドロキシニトリルリァーゼ活性が野生型ヒ ドロキシュトリル リアーゼょりも高くなることを特徴とするヒドロキシュトリルリアーゼと定義され る。 「改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ」 は、 本発明の範囲に含まれる。
本発明において 「改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ」 は、 好ましくは、 以下の (A)〜(G)のいずれかの特徴を有し、 かつ、 形質転換体あたりのヒ ドロキシュトリル リァーゼ活性が、 野生型ヒドロキシュトリルリァーゼを導入した形質転換体あたり のヒドロキシニトリルリアーゼ活性よりも高くなったものがあげられる。
(A) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目の アミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒ ドロキシュトリルリ ァーゼ
(B) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 103番目 またはその近傍のヒスチジン残基が他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒ ドロキシニトリノレリァーゼ (C) 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列中に存在する少なく と も 1つのリジン残基が他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒ ドロキシニトリ
i ルリアーゼ
(D) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目の アミノ酸残基および第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基が他のアミ ノ酸残基に置換された改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ
(E) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目の アミノ酸残基および当該配列中に存在する少なくとも 1 つのリジン残基が他 のアミノ酸残基に置換された改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ
(F) 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 103番目 またはその近傍のヒスチジン残基および当該配列中に存在する少なくとも 1 つのリジン残基が他のァミノ酸残基に置換された改良型ヒ ドロキシニトリル リ ーゼ
(G) 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目の アミノ酸残基、 第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基おょぴ当該配列 中に存在する少なく とも 1 つのリジン残基が他のアミノ酸残基に置換された 改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ
上記 (A) 、 (D) 、 (E) または (G) において、 野生型ヒ ドロキシニトリルリ ァーゼの第 2番目のアミノ酸残基 (例えばパリン) を置換するアミノ酸は、 置換後 のアミノ酸を含むポリペプチドの形質転換体あたりの活性が、 野生型ヒドロキシニ トリルリァーゼの形質転換体あたりの活性よりも向上する限り、 野生型以外のァミ ノ酸であれば特に限定されるものではない。 第 2番目のアミノ酸残基を置換する アミノ酸は、 例えばキヤッサパ由来のヒ ドロキシュトリルリアーゼではパリン以 外の 1 9種のアミノ酸から選択され、 パラゴムノキ由来めヒ ドロキシュトリルリ ァーゼではァラニン以外の 1 9種のアミノ酸から選択される。 第 2番目のァミノ 酸残基を置換するアミノ酸は、 好ましくはリジン、 ァスパラギン、 イソロイシン、 ァノレギニン、 グノレタミン、 プロリン、 スレオニン、 チロシン、 ロイシン、 メチォ二 ン、 セリン、 グルタミン酸、 ァラニン、 グリシンまたはァスパラギン酸であり、 よ り好ましくはリジン、 ァスパラギン、 イソロイシン、 アルギニン、 グルタミン、 プ 口リン、 スレオニン、 チロシン、 ロイシン、 メチォニン、 セリンまたはグノレタミン 酸であり、 さらに好ましくはリジン、 ァスパラギン、 イソロイシン、 アルギニン、 グノレタミン、 プロリン、 スレオニン、 チロシン、 ロイシン、 メチ才ニンまたはセリ ンであり、 特に好ましくは、 リジン、 ァスパラギン、 イソロイシン、 アルギニンま たはグルタミンである。
これまでに、 細胞内におけるタンパク質の安定性に関連する知見として、 第 2番 目のアミノ酸とホルミルメチォニンプロセッシングの関係または N末端則が報告さ れている。 「第 2番目のアミノ酸とホルミルメチォニンプロセッシングの関係」 と は、 タンパク質の 2番目のアミノ酸の種類によって、 メチォニンアミノぺプチダー ゼによるプロセッシングの受け易さが決定され、 2番目のァミノ酸の側鎖が大きレヽほ どプロセッシングを受け難いというものである。 「N末端側」 とは、 タンパク質の N末端がアルギニン、 リジン、 ロイシン、 フエ二ルァラニン、 チロシン、 トリプト ファンなどの場合、 細胞内におけるタンパク質の安定性は低く、 速やかに分解され るというものである。 これらの関係または法則によれば、 例えば配列番号 1におけ る 2番目のアミノ酸残基がパリンである場合とイソロイシンである場合を比較して、 タンパク質の安定性に有意な差はないとされていた。 し力 し、 本発明の 1つの特徴 は、 上記のように 2番目のアミノ酸を他のアミノ酸に変異することによって、 発現 量が向上し、 結果として形質転換体あたりのヒドロキシニトリルリァーゼ活性が向 上する点にある。 従って、 本発明は、 既存の前記関係または法則により説明できる ものではなく、 まったく新しい原理に起因するものと考えられる。
上記 (B) 、 (D) 、 (F) または (G) において、 野性型ヒドロキシュトリルリ ァーゼの第 103番目のヒスチジン残基を置換するァミノ酸は、 置換後のァミノ酸を 含むポリぺプチドの形質転換体あたりの活性が、 野生型ヒ ドロキシュトリルリア一 ゼの形質転換体あたりの活性よりも向上する限り、 ヒスチジン以外のアミノ酸であ れば特に限定されるものではない。 第 103番目のヒスチジン残基を置換するァミノ 酸は、 以下 (a) および (b) のいずれか一方または両方の性質を有するアミノ酸が 好ましい。 (a) 分子中に含まれる窒素原子数が 1または 2のアミノ酸である
(b) 中性アミノ酸である
i ここで、 (a)分子中に含まれる窒素原子数が 1または 2のアミノ酸とは、例えば、 ァラニン、 ァスパラギン、 ァスパラギン酸、 システィン、 グルタミン、 グルタミン 酸、 グリシン、 イソロイシ 、 ロイシン、 リジン、 メチォニン、 フエ二 ァラニン、 プロリン、 セリン、 スレオニン、 トリプトファン、 チロシン、 バリンを指す。 また、
(b) の中性ァミノ酸とは、 酸性ァミノ酸および塩基性ァミノ酸以外のァミノ酸を指 すものとし、 具体的には、 'メチォニン、 ロイシン、 イソロイシン、 パリン、 システ イン、 グルタミン、 セリン、 スレオニン、 ァラニン、 トリプトファン、 フエニルァ ラニン、 ァスパラギン、 チロシン、 グリシン、 プロリンが挙げられる (生化学辞典 (東京化学同人) )。第 103番目のヒスチジン残基を置換するアミノ酸は、上記(a) および/または (b)の性質を有するアミノ酸であれば限定されないが、メチォニン、 ロイシン、 イソロイシン、 バリン、 システィン、 グルタミン、 セリン、 スレオニン、 ァラニンまたはトリブトファンなどが好ましく、 さらに好ましくは、 メチォニン、 ロイシン、 イソロイシン、 パリン、 システィンまたはトリプトファンである。
また、 野生型ヒドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 103番目 の近傍のヒスチジン残基が他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒドロキシニトリ ルリアーゼも、 本発明に含まれる。 キヤッサパまたはパラゴムノキ以外の由来の野 生型ヒドロキシュトリルリアーゼでは、 キヤッサパまたはパラゴムノキの第 103番 目のヒスチジン残基に相当するヒスチジン残基が、 第 103番目の近傍に存在する場 合がある。 この場合は、 第 103番目の近傍に存在するヒスチジン残基を上記のよう に他のアミノ酸に変異すればよい。
本努明において 「第 103番目の近傍」 のヒスチジン残基とは、 第 93番目〜第 113 番目、 好ましくは第 98番目〜第 108番目、 より好ましくは第 100番目〜第 106番 目のヒスチジン残基である。
キヤッサパまたはパラゴムノキ由来のヒ ドロキシニトリノレリァーゼの第 103番目 のヒスチジン残基に相当するヒスチジン残基の位置は、 例えば、 キヤッサバまたは パラゴムノキ由来の野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列と、 対象と なるヒドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列とをァライメントすることによつ て知ることができる。 アミノ酸配列のァライメントは、例えば、 日本 DNAデータバ ンクホームへーシの ClustalW (http V/www.ddbj .n1g.ac.jp/search/clustalw-3.htm1) によって行うことができる。
上記 (C) 、 (E) 、 (F) または (G) において、 他のアミノ酸残基に置換され るリジン残基は、 置換後のァミノ酸を含むポリぺプチドの形質転換体あたりの活性 力 野生型ヒドロキシニトリルリアーゼの形質転換体あたりの活性よりも向上する 限り、 野生型ヒドロキシニトリルリァーゼのアミノ酸配列中に存在するリジン残基 であれば特に限定されるものではない。 他のァミノ酸残基に置換される好ましいリ ジン残基の箇所としては、 野性型ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列中の 第 175番目から第 224番目の領域に存在する少なくとも 1つのリジン残基が挙げら れ、 より好ましくは、 例えばキヤッサバ由来の野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ においては第 176番目、第 199番目および第 224番目のリジシ残基から選ばれる 1 つ以上がノ ラゴムノキ由来の野生型ヒドロキシニトリルリァーゼにおいては第 175 番目、 第 198番目および第 223番目のリジン残基から選ばれる 1つ以上がそれぞれ 挙げられる。
また、 これらリジン残基を置換するアミノ酸は、 以下 (a) および (b) のいずれ か一方または両方の性質を有するアミノ酸が好ましい。
(a) 分子中に含まれる窒素原子数が 1または 2のアミノ酸である
(b) 中性アミノ酸である
ここで、 (a) の分子中に含まれる窒素原子数が 1または 2のアミノ酸とは、 上述 したとおりである。 また (b) の中性アミノ酸とは、 上述したとおりである p これら リジン残基を置換する最も好ましいアミノ酸は、 プロリンである。
すなわち、 上記 (A) 〜 (C) の改良型ヒドロキシュトリルリアーゼの好ましい態 様として、 例えば具体的にはそれぞれ以下のようなものが挙げられる。
(A)配列番号 1または配列番号 1 0 2に示す野生型ヒドロキシニトリルリァーゼの アミノ酸配列において、 第 2番目に位置するバリ.ン残基またはァラニン残基が、 リジン、 ァスパラギン、 イソロイシン、 アルギニン、 グルタミン、 プロリン、 ス レオニン、 チロシン、 ロイシン、 メチォニン、 セリン、 グルタミン酸のいずれか のアミノ酸に置換された改良型ヒ ドロキシニトリルリァーゼ
i
(B)配列番号 1または配列番号 1 0 2に示す野生型ヒドロキシュトリルリアーゼの アミノ酸配列において、 第 103番目に位置するヒスチジン残基が、 メチォニン、 ロイシン、 イソロイシン、 パリン、 システィン、 グノレタミン、 セリン、 スレオニ ン、 ァラニン、 トリプトファンのいずれかのアミノ酸に置換された改良型ヒドロ キシニトリルリァーゼ
(C)配列番号 1に示す野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 176番目、 第 199番目または第 224番目のリジン残基のいずれか一つ、 第 176 番目おょぴ第 199番目のリジン残基、第 176番目および第 224番目のリジン残基、 第 199番目および第 224番目のリジン残基、 または第 176番目、第 199番目およ び第 224番目のリジン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキシュトリルリ ァーゼ、 配列番号 1 0 2に示す野生型ヒドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配 列において、 第 175番目、 第 198番目または第 223番目のリジン残基のいずれか 一つ、第 175番目および第 198番目のリジン残基、第 175番目および第 223番目 のリジン残基、 第 198番目おょぴ第 223番目のリジン残基、 または第 175番目、 第 198番目および第 223番目のリジン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロ キシニトリルリアーゼ
また、 (D) 〜 (G) の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼは、 上記 (A) 〜 (C) いずれか 2つまたは 3つすベての態様を有する改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ として表される。 例えば、 (D)は (A)と (B)との組み合わせであるから、 配列番号 1ま たは配列番号 1 0 2に示す野生型ヒ ドロキシュトリルリア一ゼのァミノ酸配列にお いて、 第 2番目に位置するパリン残基またはァラニン残基が、 リジン、 ァスパラギ ン、 イソロイシン、 ァノレギニン、 グノレタミン、 プロリン、 スレオニン、 チロシン、 ロイシン、 メチォニン、 セリン、 グルタミン酸のいずれかのアミノ酸に置換され、 かつ、 第 103番目に位置するヒスチジン残基が、 メチォニン、 ロイシン、 イソロイ シン、 バリン、 システィン、 グルタミン、 セリン、 スレオニン、 ァラニン、 トリプ トフアンのいずれかのアミノ酸に置換された改良型ヒドロキシュトリルリアーゼを 意味する。
ここで、 配列番号 1はキヤッサパ由来の野生型ヒ ドロキシニトリルリア一ゼのァ
i ミノ酸配列を示し、 配列番号 1 0 2はパラゴムノキ由来の野生型ヒドロキシュトリ ルリア一ゼのァミノ酸配列を示す。
また、 配刿番号 1または配列番号 1 0 2において、 第 125番目のフエ二ルァラ二 ン残基がロイシンに置換された改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ、 第 205番目の スレオニン残基がセリンに置換された改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ、 または 第 235番目のァスパラギン残基がグリシンに置換された改良型ヒドロキシニトリル リァーゼも本発明に含まれる。
さらに、 (A) 〜 (G) のような特徴を有し、 すなわち、 上記置換の態様は維持 しつつ、 さらに、(A)〜(G)記載の置換部位のアミノ酸を除く、 1個または数個 (例 えば 1個〜 10個程度、 好ましくは 1個〜 5個程度) のアミノ酸が欠失、 置換また は付加されたァミノ酸配列からなり、かつ、形質転換体あたりのヒドロキシュトリ. ルリアーゼ活性が野生型ヒドロキシニトリルリアーゼょりも高くなるポリぺプチド も、 本発明の改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼの範囲である。 当該ポリべプチ ドは、 例えば、 以下の態様が含まれる。
(A) 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列の第 2番目のアミノ酸 残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列において、 置換された第 2 番目のアミノ酸を除く、 1個または数個のアミノ酸が欠失、 置換または付加さ れたアミノ酸配列からなり、 かつ、 ヒ ドロキシニトリルリアーゼ活性を有する ポリべプチド
(B) 野生型ヒ ドロキシニトリルリァーゼのアミノ酸配列の第 103番目またはそ の近傍のヒスチジン残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列におい て、 置換された第 103番目またはその近傍のアミノ酸を除く、 1個または数個 のアミノ酸が欠失、 置換または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ、 ヒ ド 口キシュトリルリアーゼ活性を有するポリべプチド
(C) 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列中に存在する少なく と も 1 つのリジン残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列において、 リジンが置換されたアミノ酸を除く、 1個または数個のアミノ酸が欠失、 置換 または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ、 ヒ ドロキシニトリルリアーゼ 活性を有するポリべプチド
(D) 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列の第 2番目のアミノ酸 残基および第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基が他のアミノ酸残基に 置換されたアミノ酸配列において、置換された第 2番目および第 103番目また はその近傍のアミノ酸を除く、 1値または数個のアミノ酸が欠失、 置換または 付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ、 ヒ ドロキシュトリルリアーゼ活性を 有するポリべプチド
(E) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列の第 2番目のアミノ酸 残基およぴ当該配列中に存在する少なくとも 1つのリジン残基が他のアミノ酸 残基に置換されたアミノ酸配列において、 置換された第 2番目のアミノ酸およ ぴリジンが置換されたアミノ酸を除く、 1個または数個のアミノ酸が欠失、 置 換または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ、 ヒ ドロキシュトリルリア一 ゼ活性を有するポリぺプチド
(F) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列の第 103番目またはそ の近傍のヒスチジン残基および当該配列中に存在する少なくとも 1つのリジン 残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列において、 置換された第 103番目またはその近傍のアミノ酸およびリジンが置換されたアミノ酸を除く、 1個または数個のアミノ酸が欠失、 置換または付加されたアミノ酸配列からな り、 かつ、 ヒ ドロキシュトリルリアーゼ活性を有するポリペプチド
(G) 野生型ヒ ドロキシニトリルリァーゼのアミノ酸配列の第 2番目のアミノ酸 残基、 第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基および当該配列中に存在す る少なくとも 1つのリジン残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列 において、 置換された第 2番目のアミノ酸、 置換された第 103番目またはその 近傍のアミノ酸およびリジンが置換されたアミノ酸を除く、 1個または数個の アミノ酸が欠失、 置換または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ、 ヒ ドロ キシュトリルリアーゼ活性を有するポリペプチド なお、 本明細書中、 アミノ酸のアルファべット表記は通常の 3文字または 1文字 で表すことがあり、 数字の前に表示したアルファベットは、 置換前のアミノ酸の 1 文字表記を、 数字の後に表示したアルファべットは置換後のアミノ酸の 1文字表記 を指すことがある。 例えば、 176 番目のリジンがプロリンに置換された場合は、 「K176P」 と表示することがある。 他の場合も同様である。
(III) ヒ ドロキシニトリノレリァーゼ遺伝子
(III-1) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子
野生型ヒドロキシニトリルリアーゼの中には、 その遺伝子配列が明らかにされて いるものがあり、 例えば上述のキヤッサバ由来の野生型ヒ ドロキシュトリルリア一 ゼの遺伝子配列は配列番号 2で表される(GenBank , accession number Z29091)。 本発明において、 これを 「植物コドン野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子」 と記述することがある。 また、 上述のパラゴムノキ由来の野生型ヒドロキシニトリ ルリアーゼの遺伝子配列は配列番号 1 0 3で表される (GenBank , accession number U40402) 。
植物コドン野生型ヒドロキシュトリルリァーゼ遺伝子を取得する方法の一つとし ては、 植物から該遺伝子の mRNAを含む全 RNAまたは mRNA等を抽出し、 常法 (例 _は、 Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.(Cold Spring Harbor Press (1989))) に従って cDNAを合成する方法が挙げられる。 すなわち、 公知の植 物コドン野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子配列情報をもとにプライマーを 設計し、該プライマーを用いて PCR法でヒ ドロキシュトリルリア一ゼをコ一ドする 遺伝子を増幅することにより植物コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子 を得ることができる。 また、公知の遺伝子配列情報を基に、合成オリゴ DNAを組み 合わせた PCR法 (assembly PCR)などを利用して、 植物コドン野生型ヒ ドロキシニ トリルリアーゼ遺伝子全長を化学的に合成することも可能である。 例えば、 植物コ ドン野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子をいくつかの領域 (例えば、 50塩基 程度) に分割し、 隣り合う領域とのオーバーラップ (例えば、 20塩基程度) を両端 に有する複数のオリゴヌクレオチドを設計および合成する。 該オリゴヌクレオチド を PCR法で互いにァニールさせて植物コドン野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ 遺伝子を増幅することができる。
ところで、 近年では、 遺伝子 la換え技術を用い、 他の生物を宿主として用いて目 的のタンパク質を生産させることが可能であるが、 その際、 宿主において使用頻度 の高いコドンを採用することにより、 目的タンパク質の発現量が向上する例が多く 知られている。 ここで、 コドン使用頻度とは、 塩基配列からアミノ酸配列への情 報変換過程において使用されるコドンの頻度を意味し、 コドンとは、 mRNA中の 3 個のヌクレオチドの並び方を意味する。 上記情報変換過程では、 上記 3塩基が 1単 位となって 1つのアミノ酸に翻訳される。 64種類のコドンは 20種類のアミノ酸に 対応するため、 遺伝暗号の縮重が存在し、 1つのアミノ酸は 1〜6種類の同義コド ンを持つ。 例えばバリンのコドンは、 GUU、 GUC、 GUA、 GUGの 4種類が存在す る。 一つのアミノ酸に対して複数のコドンがある場合、 生物はその複数のコドンを 均等な割合で用いるのでなく、 生物毎に特徴のある割合で特定のコドンを偏って用 いている。 このような生物毎のコドン使用頻度 (コドンユーセージ) は一部データ ベ ー ス ィ匕 さ れ て お り 、 コ ド ン ユ ー セ ー ジ デ ー タ ベ ー ス (nttp:〃 www.kazusa.orjp/codon/)で調へること力 sでさる。
使用頻度が .「高い」 とは、 複数のコドンが存在するときは最低のコドン使用頻度 よりも高いことを意味し、 最も高い使用頻度である必要はない。 また、 コドンが 1 つしか存在しない場合 (例えばメチォニンおよびトリプトファン) は、 使用頻度と は無関係に使用される。 但し、 宿主における癸現効率を考慮すると、 宿主における 高発現遺伝子で使用頻度の高いコドンまたは宿主において最も使用頻度の高いコド ンを使用することが好ましい。 より具体的には、 例えば宿主として大腸菌 K12株を 用いる場合、 表 1で示されるコドンユーセージ表から使用頻度の最も高いコドンを 知ることができる (表 2 ) 。 従って、 宿主として大腸菌 K12株を用いる場合に、 遺 伝子工学技術を用いて発現させようとする目的遺伝子のコドンを表 2に示すコドン に変換することができる。 例えば、 植物コドン野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ 遺伝子、すなわち、上述したようにキヤッサバから該遺伝子の mRNAを含む全 RNA または mRNA等を抽出し、 cDNAを合成する方法によって得られるキヤッサバ由来 のヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子で使用されているバリンのコ ドンが 「GTA」 i であるとすると、 「GTA」 を大腸菌 K12株におけるパリンの最頻用コドンである 「GTG」 に変換することができる。
表 1 大腸菌 K12株のコドンユーセージ
Escherichia co//A [gbbct]: 5089 CDS's (1608122 codons)
fields: [triplet] [frequency: per thousand! (Lnumberj)
第二塩基
一 · α
C
UUU 22.4( 35982) UCU 8.5( 13687) UAU 16.3( 26266) UGU 5.2( 8340)
Phe Tyr Cys
UUC 16.6( 26678) UGC 8.6( 13849) UAC 12.3( 19728) UGC 6.4( 10347)
Ser
UUA 13.9C 22376) UCA 7.2( 11511) 終結 UAA 2.0C 3246) 終結 UGA 0.9( 1468) UUG 13.7( 22070) UCG 8.9( 14379) ½|g UAG 0.2( 378) Trp UGG 15.3( 24615)
Leu CUU 11.0( 17754) CCU 7.1 ( 11340) CAU 12.9( 2072B) CGU 21.0C 33694)
His
CUC 11.0( 17723) CCG 5.5( 8915) CAC 9.7( 15595) CGG 22.0( 35306)
Pro Arg
CUA 3.9( 6212) CCA 8.5( 13707) CAA 15.4( 24835) CGA 3.6( 5716)
Gin
CUG 52.7( 84673) CCG 23.2( 37328) CAG 28.8( 46319) CGG 5.4( 8684)
AUU 30.4( 48818) ACU 9.0( 14397) AAU 17.7( 28465) AGU 8.8( 14092)
Asn Ser
lie AUG 25.0( 40176) ACC 23.4( 37624) AAC 21.7( 34912) AGC 16.1( 25843)
Thr
AUA 4.3C 6962) ACA 7.1 ( 11366) AAA 33.6( 54097) AGA 2.1 ( 3337)
Lys Arg
Met (開始) AUG 27.7C 44614) ACG 14.4( 23124) AAG 10.2( 16401) AGG 1.2( 1987)
GUU 18.4( 29569) GCU 15.4( 24719) GAU 32.2( 51852) GGU 24.9( 40019)
Asp
GUC 15.2C 24477) GCC 25.5( 40993) GAG 19 C 30627) GGC 29.4( 47309)
Val Ala Gly
GUA 10.9( 17508) GCA 20.3( 32666) GAA 39.5( 63517) GGA 7.9( 12776)
Glu
GUG 26.2( 42212) GCG 33.6( 53988) GAG 17.7( 28522) GGG 11.0( 17704)
Coding GC 51.80% 1st letter GC 58.89% 2nd letter GC 40.72% 3rd letter GC 55.79% 表中、太字で示したコドンが大腸菌で頻用されているコドンである。
2004.2.20現在の
http://www.kazusa.or.jp/codon/cgi— bin/showcodo cgi?species=Escherichia+coli+K12+[gbbct]
を参照した。 大腸菌 K12株における最頻用コドン
Figure imgf000025_0001
コドンを変換する領域は、 コード配列 (CDS)内であれば限定されるものではなく、 CDSの全てのコドンに対して変換することも、 部分的に 1または複数箇所を変換す ることもできる。 本発明におけるキヤッサバ由来野生型ヒドロキシュトリルリア一 ゼの場合、 コドンを変換するアミノ酸の数は、 アミノ酸 258残基の内、 1以上であ れば良く、 好ましくは 1〜100、 さらに好ましくは 10〜70残基である。
このように、 宿主に適したコドンで構成され、 かつ野生型ヒドロキシニトリルリ ァーゼのアミノ酸配列をコードする遺伝子配列を、 本発明においては 「宿主コドン 野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子」 と呼び、 特に宿主が大腸菌である場合 には、 「大腸菌コドン野生型ヒドロキシュトリルリァーゼ遺伝子」 と呼ぶことがあ り、 上述の 「植物コドン野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子」 と区別するこ とができる。 「ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子」 の接頭に 「〇〇コドン」 が付 随しない場合は、 植物コドン、 大腸菌コドンの別を限定しないが、 あるいはいずれ をも意味するものとする。
宿主コドンヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子は、 例えば変換しようとするコド ンの数が比較的少ない場合は、 植物コドン野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝 子をべース ίこ、 Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ecu, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、 Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)等に記載の部位特異的変位誘発法を利用して調製する ことができる。 特に近年では、 部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用 キッ ト、 例えば QuickChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit (ストラタジー ン社製) 、 GeneTailorTM Site-Directed Mutagenesis System (インビトロジェン 社製) 、 TaKaRa Site-Directed Mutagenesis System (Mutan-K^ Mutan- Super Express Km等:タカラパイォ社製)等を用いて比較的容易に行うことができる。 この他、上述したように、合成ォリゴ DNAを組み合わせた PCR法 (assembly PCR) により、 多くのコドンを宿主最頻用に変換した宿主コドン野生型ヒドロキシュトリ ルリァーゼ遺伝子を全合成することも可能である。 大腸菌コドン野生型ヒドロキシ 二トリルリアーゼ遺伝子は、 例えば、 後の実施例で述べる配列番号 3で表される塩 基配列からなる大腸菌コドン野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子が挙げられ る。 (III-2) 改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子
i 本努明における改良型ヒ ドロキシュト リノレリ ァーゼ遺伝子とは、 (II-2) で述べた 改良型ヒ ドロキシニトリルリァーゼ酵素タンパク質をコードする遺伝子を意味する。 本発明の改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子には、例えば、配列番号 1 (キヤ ッサバ由来) または配列番号 1 0 2 (パラゴムノキ由来) のアミノ酸配列で表され る野生型ヒドロキシニトリルリアーゼにおいて、 (Π-2) の (A) 〜 (G) において 上述したようなアミノ酸置換変異を有する改良型ヒ ドロキシュトリルリア一ゼをコ ードする遺伝子が含まれ、 そのベースとなる野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼの コドンは、 植物コドン、 宿主コドンいずれでもよい。 本発明の改良型ヒ ドロキシニ トリルリアーゼ遺伝子として、 例えば以下のような態様が挙げられる。
(A)
配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを AAAまたは AAGに置換したもの、 好ましくは 4、 5番目の塩基 G、 Tをそれぞれ A、 Aに置換したもの (第 2番目に位 置するパリン残基がリジンに置換された改良型ヒ ドロキシュトリルリア一ゼをコ一 ドする) 、
. 配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを AACまたは AATに置換したもの、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GTAを AACに置換したもの (第 2番目に位置するバ リン残基がァスパラギンに置換された改良型ヒドロキシニトリルリア一ゼをコ一ド する) 、
配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを ATA、 ATCまたは ATTに置換し たもの、 好ましくは 4、 6番目の塩基 G、 Aをそれぞれ A、 Cに置換したもの (第 2 番目に位置するパリン残基がイソロイシンに置換された改良型ヒ ドロキシュトリル リァーゼをコードする) 、 .
配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを AGA、 AGG、 CGA、 CGC、 CGG または CGTに置換したもの、好ましくは 4〜6番.目の塩基 GTAを CGTに置換した もの (第 2番目に位置するパリン残基がアルギニンに置換された改良型ヒドロキシ 二トリルリアーゼをコードする) 、 配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを CAAまたは CAGに置換したもの、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GTAを CAGに置換したもの (第 2番目に位置するバ リン残基がグルタミンに置換された改良型ヒドロキシニトリルリア一ゼをコ一ドす る) 、
配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを CCA、 CCC、 CCGまたは CCTに 置換したもの、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GTAを CCGに置換したもの (第 2番 目に位置するバリン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキシュトリルリァー ゼをコードする) 、
配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを ACA、 ACC、 ACGまたは ACTに 置換したもの、 好ましくは 4:〜 6番目の塩基 GTAを ACCに置換したもの (第 2番 目に位置するバリン残基がスレオニンに置換された改良型ヒドロキシュトリノレリア 一ゼをコ一ドする) 、
配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを TACまたは TATに置換したもの、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GTAを TACに置換したもの (第 2番目に位置するパ リン残基がチロシンに置換された改良型ヒドロキシニトリルリア一ゼをコ一ドす る) 、
配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを TTA、 TTG、 CTA、 CTC、 CTG または CTTに置換したもの、 好ましくは 4、 6番目の塩基 G、 Aをそれぞれ C、 G に置換したもの (第 2番目に位置するバリン残基が口ィシンに置換された改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを ATGに置換したもの、すなわち、 4、 6番目の塩基 G、 Aをそれぞれ A、 Gに置換したもの (第 2番目に位置するパリン 残基がメチォニンに置換された改良型ヒドロキシュトリルリアーゼをコードする)、 配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを AGC、 AGT、 TCA、 TCC、 TCG または TCTに置換したもの、好ましくは 4〜6番目の塩基 GTAを AGCに置換した もの (第 2番目に位置するパリン残基がセリンに置換された改良型ヒドロキシニト リルリアーゼをコードする) 、
配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを GAAまたは GAGに置換したもの、 好ましくは 5番目の塩基 Tを Aに置換したもの(第 2番目に位置するパリン残基が グルタミン酸に置換された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする) 、 配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを GCA、 GCC、 GCGまたは GCTに 置換したもの、 好ましくは 5、 6番目の塩基 T、 Αをそれぞれ C、 Tに置換したも の (第 2番目に位置するバリン残基がァラニンに置換された改良型ヒドロキシュ'ト リルリアーゼをコードする) 、
配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを GGA、 GGC, GGGまたは GGT に置換したもの、 好ましくは 5、 6番目の塩基 T、 Αをそれぞれ G、 Cに置換した もの (第 2番目に位置するバリン残基がグリシンに置換された改良型ヒドロキシュ トリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 2において 4〜6番目の塩基 GTAを GACまたは GATに置換したもの、 好ましくは 5、 6番目の塩基 T、 Αをそれぞれ A、 Cに置換したもの (第 2番目に位 置するパリン残基がァスパラギン酸に置換された改良型ヒドロキシュトリルリア一 ゼをコードする) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを AAAまたは AAGに置換したもの、 好ましくは 4〜 6番目の塩基 GTGを AAAに置換したもの (第 2番目に位置するパ リン残基がリジンに置換された改良型ヒドロキシュトリルリァーゼをコードする)、 配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを AACまたは AATに置換したもの、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GTGを AACに置換したもの (第 2番目に位置するバ リン残基がァスパラギンに置換された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼをコード する) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを ATA、 ATCまたは ATTに置換し たもの、 好ましくは 4、 6番目の塩基 G、 Gをそれぞれ A、 Cに置換したもの (第 2 番目に位置するパリン残基がイソロイシンに置換された改良型ヒドロキシニトリル リアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを AGA、 AGG、 CGA、 CGC、 CGG または CGTに置換したもの、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GTGを CGTに置換し たもの (第 2番目に位置するパリン残基がアルギニンに置換された改良型ヒドロキ シニトリルリァーゼをコードする) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを CAAまたは CAGに置換したもの、 好ましくは 4、 5番目の塩基 G、 Tをそれぞれ C、 Aに置換したもの (第 2番目に位 置するバリン残基がグルタミンに置換された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼを コードする) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを CCA、 CCC、 CCGまたは CCTに 置換したもの、 好ましくは 4、 5番目の塩基 G、 Tをそれぞれ C、 Cに置換したもの (第 2番目に位置するパリン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキシニトリ ルリァーゼをコードする) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを ACA、 ACC、 ACGまたは ACTに 置換したもの、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GTGを ACCに置換したもの (第 2番 目に位置するバリン残基がスレオニンに置換された改良型ヒドロキシュトリルリア ーゼをコードする) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを TACまたは TATに置換したもの、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GTGを TACに置換したもの (第 2番目に位置するバ リン残基がチロシンに置換された改良型ヒドロキシニトリルリア一ゼをコ一ドす る) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを TTA、 TTG、 CTA、 CTC、 CTG または CTTに置換したもの、 好ましくは 4番目の塩基 Gを Cに置換したもの (第 2番目に位置するパリン残基がロイシンに置換された改良型ヒドロキシニトリノレリ ァーゼをコードする) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを ATGに置換したもの、すなわち、 4 番目の塩基 Gを Aに置換したもの(第 2番目に位置するパリン残基がメチォニンに 置換された改良型ヒドロキシュトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを AGC、 AGT、 TCA、 TCC、 TCG または TCTに置換したもの、好ましくは 4〜6番目の塩基 GTGを AGCに置換した ' もの (第 2番目に位置するパリン残基がセリンに置換された改良型ヒドロキシニト リルリァーゼをコードする) 、 配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを GAAまたは GAGに置換したもの、 好ましくは 5、 6番目の塩基 T、 Gをそれぞれ Α、 Αに置換したもの (第 2番目に位 置するバリン残基がグルタミン酸に置換された改良型ヒ ドロキシュトリノレリアーゼ をコードする) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTG .を GCA、 GCC、 GCGまたは GCTに 置換したもの、 好ましくは 5、 6番目の塩基 T、 Gをそれぞれ C、 Tに置換したも の (第 2番目に位置するバリン残基がァラニンに置換された改良型ヒ ドロキシュト リルリア一ゼをコ一ドする) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを GGA、 GGC、 GGGまたは GGT に置換したもの、 好ましくは 5、 6番目の塩基 T、 Gをぞれぞれ G、 Cに置換した もの (第 2番目に位置するパリン残基がグリシンに置換された改良型ヒ ドロキシュ トリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 4〜6番目の塩基 GTGを GACまたは GATに置換したもの、 好ましくは 5、 6番目の塩基 T、 Gをぞれぞれ 、 Cに置換したもの (第 2番目に位 置するバリン残基がァスパラギン酸に置換された改良型ヒドロキシニトリルリア一 ゼをコ一ドする) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを AAAまたは AAGに置換したも の、 好ましくは 4、 5番目の塩基 G、 Cをそれぞれ A、 Aに置換したもの (第 2番目 に位置するァラニン残基がリジンに置換された改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ をコードする) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを AACまたは AATに置換したも の、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GCAを AACに置換したもの (第 2番目に位置す るァラニン残基がァスパラギンに置換された改良型ヒドロキシュトリルリアーゼを コードする) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを ATA、 ATCまたは ATTに置換 したもの、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GCAを ATCに置換したもの (第 2番目に 位置するァラニン残基がイソロイシンに置換された改良型ヒドロキシュトリノレリア ーゼをコードする) 、 配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを AGA、 AGG、 CGA、 CGC、 CGG または CGTに置換したもの、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GCAを CGTに置換し たもの (第 2番目に位置するァラニン残基がアルギニンに置換された改良型ヒドロ キシュトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを CAAまたは CAGに置換したも の、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GCAを CAGに置換したもの (第 2番目に位置す るァラニン残基がグルタミンに置換された改良型ヒドロキシニトリルリア一ゼをコ ードする) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを CCA、 CCC、 CCGまたは CCT に置換したもの、 好ましくは 4、 6番目の塩基 G、 Aをそれぞれ C、 Gに置換したも の (第 2番目に位置するァラニン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキシュ トリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 において 4〜6番目の塩基 GCAを ACA、 ACC、 ACGまたは ACT に置換したもの、 好ましくは 4、 6番目の塩基 G、 Aをそれぞれ A、 Cに置換したも の (第 2番目に位置するァラニン残基がスレオニンに置換された改良型ヒドロキシ 二トリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを TACまたは TATに置換したも の、 好ましくは 4〜6番目の塩基 GCAを TACに置換したもの (第 2番目に位置す るァラニン残基がチロシンに置換された改良型ヒドロキシニトリルリア一ゼをコ一 ドする) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを TTA、 TTG、 CTA、 CTC、 CTG または CTTに置換したもの、好ましくは 4〜6番目の塩基 GCAを CTGに置換した もの (第 2番目に位置するァラニン残基がロイシンに置換された改良型ヒドロキシ 二トリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを ATGに置換したもの (第 2番目 に位置するァラニン残基がメチォニンに置換された改良型ヒドロキシュトリルリア 一ゼをコ一ドする) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを AGC、 AGT、 TCA、 TCC、 TCG または TCTに置換したもの、好ましくは 4〜6番目の塩基 GCAを AGCに置換した もの (第 2番目に位置するァラニン残基がセリンに置換された改良型ヒドロキシニ トリルリァーゼをコードする) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを GAAまたは GAGに置換したも の、 好ましくは 5番目の塩基 Cを Aに置換したもの (第 2番目に位置するァラニ ン残基がグルタミン酸に置換された改良型ヒドロキシュトリルリア一ゼをコ一ドす る) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを GGA、 GGC、 GGGまたは GGT に置換したもの、 好ましくは 5、 6番目の塩基 C、 Aをそれぞれ G、 Cに置換した もの (第 2番目に位置するァラニン残基がグリシンに置換された改良型ヒドロキシ 二トリルリア一ゼをコ一ドする) 、
配列番号 103において 4〜6番目の塩基 GCAを GACまたは GATに置換したも の、 好ましくは 5、 6番目の塩基 C、 Aをぞれぞれ 、 Cに置換したもの (第 2番 目に位置するァラニン残基がァスパラギン酸に置換された改良型ヒドロキシニトリ ルリアーゼをコードする)
(B)
配列番号 2または配列番号 1 0 3において 307〜309番目の塩基 CACを ATGに 置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン残基がメチォニンに置換された改 良型ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 2または配列番号 1 0 3において 307〜309番目の塩基 CACを TTA、 TTG、 CTA、 CTC、 CTGまたは CTTに置換したもの、 好ましくは 308、 309番目 の塩基 A、 Cをそれぞれ T、 Gに置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン 残基がロイシンに置換された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする) 、 配列番号 2または配列番号 1 0 3において 307〜309番目の塩基 CACを ΑΤΑ、 ATCまたは ΑΤΤに置換したもの、 好ましくは 307、 308審目の塩基 C;、 Αをそれ ぞれ A、 Tに置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン残基がイソロイシン に置換された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 2または配列番号 1 0 3において 307〜309番目の塩基 CACを GTA、 GTC、 GTGまたは GTTに置換したもの、 好ましくは 307、 308番目の塩基 C、 A をそれぞれ G、 Tに置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン残基がパリン
i に置換された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 2または配列番号 1 0 3において 307〜309番目の塩基 CACを TGCま たは TGTに置換したもの、 好ましくは 307、. 308番目の塩基 C、 Aをそれぞれ T、 Gに置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン残基がシスティンに置換され た改良型ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 2または配列番号 1 0 3において 307〜309番目の塩基 CACを CAAま たは CAGに置換したもの、好ましくは 309番目の塩基 Cを Gに置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン残基がグルタミンに置換された改良型ヒドロキシュ トリルリア一ゼをコ一ドする) 、
配列番号 2または配列番号 1 0 3において 307〜309番目の塩基 CACを AGC、 AGT、 TCA、 TCC、 TCGまたは TCTに置換したもの、 好ましくは 307〜309番目 の塩基 CACを TCGに置換したもの(第 103番目に位置するヒスチジン残基がセリ ンに置換された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 2または配列番号 1 0 3において 307〜309番目の塩基 CACを ACA、 ACC、 ACGまたは ACTに置換したもの、 好ましくは 307〜309番目の塩基 CAC を ACGに置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン残基がスレオニンに置 換された改良型ヒドロキシュトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 2または配列番号 1 0 3において 307〜309番目の塩基 CACを GCA、 GCC、 GCGまたは GCTに置換したもの、好ましくは 307、 308番目の塩基 C、 A をそれぞれ G、 Cに置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン残基がァラニ ンに置換された改良型ヒドロキシュトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 2または配列番号 1 0 3において 307〜309番目の塩基 CACを TGGに 置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン残基がトリブトファンに置換され た改良型ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 307〜309番目の塩基 CATを ATGに置換したもの (第 103 番目に位置するヒスチジン残基がメチォニンに置換された改良型ヒドロキシュトリ ルリアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 307〜309番目の塩基 CATを TTA、 TTG、 CTA、 CTC、 CTG または CTTに置換したもの、好ましくは 308、 309番目の塩基 A、 Tをそれぞれ T、 Cに置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン残基がロイシンに置換された 改良型ヒドロキシュトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 307〜309番目の塩基 CATを ATA、 ATCまたは ATTに置 換したもの、好ましくは 307〜309番目の塩基 CATを ATCに置換したもの(第 103 番目に位置するヒスチジン残基がイソロイシンに置換された改良型ヒドロキシニト リルリア一ゼをコ一ドする) 、
配列番号 3において 307〜309番目の塩基 CATを GTA、 GTC、 GTGまたは GTT に置換したもの、好ましくは 307〜309番目の塩基 CATを GTCに置換したもの(第 103番目に位置するヒスチジン残基がパリンに置換された改良型ヒドロキシニトリ ルリアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 307〜309番目の塩基 CATを TGCまたは TGTに置換したも の、 好ましくは 307、 308番目の塩基 C、 Aをそれぞれ T、 Gに置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン残基がシスティンに置換された改良型ヒドロキシニ トリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 307〜309番目の塩基 CATを CAAまたは CAGに置換した もの、好ましくは 309番目の塩基 Tを Gに置換したもの(第 103番目に位置するヒ スチジン残基がグルタミンに置換された改良型ヒドロキシュトリルリア一ゼをコ一 ド、する) 、
配列番号 3において 307〜309番目の塩基 CATを AGC、 AGT、 TCA、 TCC、 TCGまたは TCTに置換したもの、 好ましくは 307〜309番目の塩基 CATを AGC に置換したもの (第 103番目に位置するヒスチジン残基がセリンに置換された改良 型ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 307〜309番目の塩基 CATを ACA、ACC、ACGまたは ACT に置換したもの、好ましくは 307〜309番目の塩基 CATを ACCに置換したもの(第 103番目に位置するヒスチジン残基がスレオニンに置換ざれた改良型ヒ ドロキシュ トリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 307〜309番目の塩基 CATを GCA、GCC、GCGまたは GCT
i に置換したもの、好ましくは 307〜309番目の塩基 CATを GCCに置換したもの(第 103番目に位置するヒスチジン残基がァラニンに置換された改良型ヒ ドロキシニト リルリア一ゼをコ一ドする) 、
配列番号 3において 307〜309番目の塩基 CATを TGGに置換したもの (第 103 番目に位置するヒスチジン残基がトリプトファンに置換された改良型ヒドロキシニ トリルリア.一ゼをコ一ドする)
なお、 (II-2) で述べた、 第 103番目の近傍のヒスチジン残基が他のアミノ酸に 置換された改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ、 すなわち、 キヤッサバまたはパラ ゴムノキ由来のヒドロキシュトリルリア一ゼの第 103番目のヒスチジン残基に相当 するヒスチジン残基が変異した改良型ヒ ドロキシュトリルリア一ゼをコ一ドする遣 伝子も、 本発明の改良型ヒドロキシュトリルリァーゼ遺伝子に含まれる。
(C)
配列番号 2において 526〜528番目の塩基 AAGを CCA、CCC、CCGまたは CCT に置換したもの、好ましくは 526〜528番目の塩基 AAGを CCCに置換したもの(第 176番目に位置するリジン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキシュトリル リアーゼをコードする) 、
配列番号 2において 595〜597番目の塩基 AAGを CCA、CCC、CCGまたは CCT に置換したもの、好ましくは 595〜597番目の塩基 AAGを CCCに置換したもの(第 199番目に位置するリジン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキシュトリル リアーゼをコードする) 、
配列番号 2にお V、て 670〜672番目の塩基 AAAを CCA、 CCC、 CCGまたは CCT に置換したもの、好ましくは 670〜672番目の塩基 AAAを CCTに置換したもの(第 224番目に位置するリジン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキシュトリル リアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 526〜528番目の塩基 AAAを CCA、CCC、CCGまたは CCT に置換したもの、好ましくは 526〜528番目の塩基 AAAを CCCに置換したもの(第 176番目に位置するリジン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキシニトリル リアーゼをコードする) 、
i 配列番号 3において 595〜597番目の塩基 AAAを CCA、CC CCGまたは CCT に置換したもの、好ましくは 595〜597番目の塩基 AAAを CCCに置換したもの(第 199番目に位置するリジン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキシニトリル リアーゼをコードする) 、
配列番号 3において 670〜672番目の塩基 AAAを CCA、CCC、CCGまたは CCT に置換したもの、好ましくは 670〜672番目の塩基 AAAを CCTに置換したもの(第 224番目に位置するリジン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキシニトリル リアーゼをコードする) 、
配列番号 1 0 3において 523〜525番目の塩基 AAGを CCA、 CCC, CCGまた は CCTに置換したもの、 好ましくは 523〜525番目の塩基 AAGを CCCに置換し たもの (第 175番目に位置するリジン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキ シニトリルリアーゼをコードする) 、
配列番号 1 0 3において 592〜594番目の塩基 AAGを CCA、 CCC, CCGまた は CCTに置換したもの、 好ましくは 592〜594番目の塩基 AAGを CCCに置換し たもの (第 198番目に位置するリジン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキ シニトリルリァーゼをコードする) 、
配列番号 1 0 3において 667〜669番目の塩基 AAAを CCA、 CCC、 CCGまた は CCTに置換したもの、 好ましくは 667〜669番目の塩基 AAAを CCTに置換し たもの (第 223番目に位置するリジン残基がプロリンに置換された改良型ヒドロキ シニトリルリァーゼをコードする)
また、 (D) 〜 (G) の改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子は、 上記 (A) 〜 (C) いずれか 2つまたは 3つすベての態様を有する改良型ヒドロキシニトリル リァーゼ遺伝子で表される。
例えば、(D)は (A)と (B)との組み合わせであるから、 (D)の遺伝子として、配列番号 2において 4、 5番目の塩基 G、 Tをそれぞれ A、 Aに置換され、 かつ、 307〜309 番目の塩基 CACを ATGに置換された改良型ヒドロキシニトリルリァーゼ遺伝子を 例示することができる。
また、 本発明の改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子は、 上記 (A) 〜(G)の 態様にさらに以下の置換を伴っていてもよい。
配列番号 2において 373〜375番目の塩基 TTTを CTTに置換したもの (第 125 番目に位置するフエ-ルァラニン残基がロイシンに置換された改良型ヒドロキシュ トリルリア一ゼをコ一ドする) 、
配列番号 2において 436〜438番目の塩基 ACCを ACAに置換したもの、 配列番号 2において 613〜615番目の塩基 ACCを TCCに置換したもの (第 205 番目に位置するフエ二ルァラニン残基がロイシンに置換された改良型ヒドロキシュ トリルリア一ゼをコ一ドする) 、 または
配列番号 2において 703〜705番目の塩基 GATを GGTに置換したもの (第 235 番目に位置するァスパラギン酸がグリシンに置換された改良型ヒドロキシニトリル リァーゼをコードする)
さらに、 本発明の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子としては、 上記 (A) 〜(G) で表される塩基配列と相捕的な塩基配列からなる DNAとストリンジェント な条件下でハイブリダイズし、 かつ、 形質転換体あたりのヒドロキシュトリルリア ーゼ活性が野生型ヒドロキシニトリルリアーゼょりも高くなるタンパク質をコード する DNAも含まれる。 このような DNAは、 例えば、 上記 (A) 〜 (G) で表され る塩基配列からなる改良型ヒドロキシュトリルリァーゼ遺伝子 DNA若しくはその 相捕配列、 またはこれらの断片をプローブとして、 コロニーハイブリダィゼーショ ン、 プラークハイプリダイゼーシヨン、 サザンブロット等の公知のハイプリダイゼ ーシヨン法により、 cDNA ライプラリーおょぴゲノムライブラリーから得ることが できる。 ライプラリーは、 公知の方法で作製されたものを利用することも、 市販の cDNAライブラリ一およびゲノムライブラリ一を利用することも可能である。
「ストリンジェントな条件」 とは、 ハイブリダィゼーシヨン後の洗浄時の条件 であって塩濃度が 300〜2000mM、 温度が 40〜75°C、 好ましくは塩濃度が 600 〜900mM、 温度が 65°Cの条件を意味する。 例えば、 2 X SSCで 50°C等の条件を 挙げることができる。 当業者であれば、 このようなバッファーの塩濃度、 温度等 の条件に加えて、 その他のプローブ濃度、 プローブの長さ、 反応時間等の諸条件 を加味し、 本発明の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする DNAを得 るための条件を設定することができる。
ハイプリダイゼーション法の詳細な手順については、 Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed. (Cold Spring Harbor Laooratory Press (1989》等 ¾r 参照することができる。 ハイブリダィズする DNAとしては、 例えば、 上記 (A) 〜 (G) で表される塩基配列に対して少なくとも 40%以上、 好ましくは 60%、 さ らに好ましくは 90%以上の同一性を有する塩基配列を含む DNAまたはその部分 断片が挙げられる。
本発明において、 改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の調製を行う方法 は変異を導入する既知の如何なる方法でもよく、 通常は、 公知の方法で行なうこと ができる。 例えば、 野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を基に、 市販のキッ トを利用して部位特異的な置換を生じさせる方法や、遺伝子 DNAを選択的に開裂し、 次いで選択されたオリゴヌクレオチドを除去 ·付加し連結する方法等が挙げられる。 これらの部位特異的変異誘発法は 「Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.J (Cold Spring Harbor Press (1989))、 「Current Protocols in Molecular Biology」 (John Wiley & Sons (1987—1997))、 Kunkel, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 488-92 (1985)、 Kramer and Fritz Method. Enzymol. 154: 350— 67(1987)、 Kunkel, Method. Enzymol. 85: 2763— 6 (1988)等に記載されている。 近年では、 Kunkel法や Gapped duplex法を基にした部位特異的突然変異誘発法を利用した変 異導入用キット、 例えば QuikChange™ Site— Directed Mutagenesis Kit (ストラ タジーン社製) 、 GeneTailor™ Site -Directed Mutagenesis System (インビトロ ジェン社製) 、 TaKaRa Site -Directed Mutagenesis System (Mutan— K、 Mutan —Super Express Km等:タカラバイオ(株)社製)等を用いて行うことができる。 また、 目的とする変異導入箇所が、 対象遺伝子配列において消化 ·連結が容易な制 限酵素部位の近隣に存在する場合、 目的変異を導入したプライマー (合成オリゴ
DNA) を用いて PCRを行うことで、 目的変異が導入された遺伝子 DNA断片を 容易に得ることができる。 さらには、 合成オリゴ DNAを組み合わせた PCR法 (assembly PCR)で伸長させて合成遺伝子として得ることもできる。
i また、 ハイドロキシルァミンゃ亜硝酸等の変異源となる薬剤を接触 ·作用させる 方法、 紫外線照射により変異を誘発する方法、 PCR (ポリメラーゼ連鎖反応) を用 いてランダムに変異を導入する方法などのランダムな変異導入法によっても、 野生 型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子から改良型ヒドロキシュトリルリア一ゼ遣伝 子を得ることができる。
(IV) 組換えベクター、 形質転換体
(IV- 1) 組換えベクター
上記の方法によって得た本発明の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を宿 主で発現させるために、 遺伝子の上流に転写プロモーターを、 下流にターミネータ 一を挿入して発現カセットを構築し、 このカセットを発現ベクターに挿入すること ができる。 あるいは、 当該改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を導入する発 現ベクターに転写プロモーターとターミネータ一がすでに存在する場合には、 発現 カセットを構築することなく、 ベクター中のプロモーターとターミネータ一を利用 してその間に当該変異遺伝子を挿入すればよい。 ベクターに当該改良型ヒドロキシ 二トリルリアーゼ遺伝子を揷入するには、 制限酵素を用いる方法、 トポイソメラー ゼを用いる方法等を利用する。 また、 挿入の際に必要であれば、 適当なリンカ一を 付加してもよい。 なお、 本発明においては、 このような組み込み操作を、 改良型 ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子の調製操作と兼ねて行うこともできる。 すな わち、 他のアミノ酸をコ ドする塩基配列に置換した塩基配列を有するプライマ 一を用い、 野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子がクローユングされた組換え ' ベクターを铸型として: PCRを行い、得られた増幅産物をベクターに組み込むことが できる。
プロモーターの種類は宿主において適切な発現を可能にするものであれば特に限 定されるものではないが、 例えば、 大腸菌由来のトリプトファンオペロンの trp プ 口モーター、 ラタトースォペロンの lacプロモーター、 ラムダファージ由来の PLプ 口モーターおよび PR プロモーターや、 枯草菌由来のダルコン酸合成酵素プロモー ター (gnt) 、 アルカリプロテアーゼプロモーター (apr) 、 中性プロテアーゼプロ モーター (npr) 、 α—アミラーゼプロモーター (amy) 等が挙げられる。 また、 tac プロモーター、 trcプロモーターのように改変、 設計された配列も利用できる。 ターミネータ一は必ずしも必要ではなく、 その種類も特段限定されるものではな く、例えば p因子非依存性のもの、 例えばリポプロテインターミネータ一、 trpオペ ロンターミネータ一、 rrnBターミネータ一等が挙げられる。
また、 ァミノ酸への翻訳にとつて重要な塩基配列として、 SD配列や Kozak配列 などのリボソーム結合配列が知られており、 これらの配列を変異遺伝子の上流に揷 入することもできる。 原核生物を宿主に用いるときには SD配列を、 真核細胞を宿 主に用いるときには Kozak配列を PCR法などにより付加してもよい。 SD配列と しては、 大腸菌由来または枯草菌由来の配列などが挙げられるが、 大腸菌ゃ枯草 菌等の所望の宿主内で機能する配列であれば特に限定されるものではない。 たと えば、 16S リボゾーム RNAの 3, 末端領域に相捕的な配列が 4塩基以上連続し たコンセンサス配列を DNA合成により作製して利用してもよい。
—般に、 ベクターには目的とする形質転換体を選別するための因子 (選択マーカ 一)が含まれる。選択マーカーとしては、薬剤耐性遺伝子や栄養要求性相補遺伝子、 資化性付与遺伝子などが挙げられ、 目的や宿主に応じて選択されうる。 例えば大腸 菌で選択マーカーとして用いられる薬剤耐性遺伝子としては、 アンピシリン耐性遣 伝子、 カナマイシン遺伝子、 ジヒ ドロ葉酸還元酵素遺伝子、 ネオマイシン耐性遺 伝子等が挙げられる。
本発明において使用されるベクターは、 上記の変異遺伝子を保持するものであれ ば特に限定されず、 それぞれの宿主に適したベクターを使用することができる。 ベ クタ一としては、 例えば、 プラスミド DNA、 パクテリオファージ DNA、 レトロト ランスポゾン DNA、 人工染色体 DNAなどが挙げられる。 例えば、 大腸菌を宿主と する場合には、 大腸菌中での自律複製可能な領域を有している pTrc99A 、 Centraaibureau voor Sc immelcultures (CBS) 、 オ ラ ン ダ ; http://www.cbs.knaw.nl/ ) 、 pUC19 (タカラバイオ、 日本) 、 pK 233'2 ( Centraalbureau voor Schimmelcultures (CBS) 、 オ ラ ン ダ ; http V/www.cbs.knaw.nl/)、 pET.12 (Novagen社、 ドイツ) 、 pET.26b (Novagen
i 社、 ドイツ) などを用いることができる。 また、 必要に応じてこれらベクターを改 変したものも用いることができる。また、発現効率の高い発現ベクター、例えば trc プロモーター、 lacオペレーターを有する発現べクタ一 pTrc99Aまたは ρΚΚ233·2 などを用いることもできる。
上記の改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子を含む組換えベクターは、 本 発明の範囲に含まれる。 '
(IV-1) 形質転換体
本発明の組換えベクターを宿主に形質転換または形質導入することで、 形質転換 体または形質導入体 (以下、 これらをまとめて 「形質転換体」 ともいう) を作製す る。 当該形質転換体も本発明の範囲に含まれる。
本発明において使用する宿主は、 上記組換えベクターが導入された後、 目的の改 良型ヒドロキシニトリルリアーゼを発現することができる限り特に限定されるもの ではない。 宿主としては、 例えば大腸菌、 枯草菌などの細菌、 酵母 (Pichia、 Saccharomyces), カビ (Aspergillus) 、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等が挙げら れる。
細菌を宿主とする場合、 本発明においては、 特に大腸菌を好ましい宿主として用 いることができる。 大腸菌としては、 例えば、 大腸菌 K12株や B株、 あるいはそれ ら野生株由来の派生株である JM109株、 XLl-Blue株、 C600株などを挙げること ができる。特に、上述したようなラタトースォペロンの lacプロモーターおよびその 派生プロモーターを発現プロモーターとして用いる場合、 lad レプレッサー遺伝子 を有する宿主を用いれば発現が誘導型となり (IPTG等で誘導) 、 laclレブレッサー 遺伝子を有しない宿主を用いれば発現は構成型となるので、 必要に応じた宿主を利 用することができる。 これら菌株は、 例えば、 アメリカン 'タイプカルチャー 'コ レクシヨン (ATCC) などから容易に入手可能である。 枯草菌としては、 例えば、 バチルス ·ズプチリス (Bacillus subtilis)などが挙げられる。 細菌への組換えべクタ 一の導入方法としては、細菌に DNAを導入する方法であれば特に限定されるもので はない。 例えば、 カルシウムイオンを用いる方法、 エレク ト口ポレーシヨン法等が 挙げられる。
i 酵母を宿主とする場合は、 例えばサッカロミセス 'セレピシェ (Saccharomyces cerevisiae八 シゾサッ 7ロミでス *ポンへ(80111208&00;11&1*0111 。68 0111136)、 ヒヒ / · パストリス (Pichia pastoris)等が用いられる。酵母への組換えベクターの導入方法と しては、酵母に DNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポ レーシヨン法、 スフエロプラスト法、 酢酸リチウム法等が挙げられる。
動物細胞を宿主とする場合は、 サル細胞 COS-7、 Vero、 CHO細胞、 マウス L細 胞、 ラット GH3、 ヒト FL細胞等が用いられる。 動物細胞への組換えベクターの導 入方法としては、 例えばエレク ト口ポレーシヨン法、 リン酸カルシウム法、 リボフ ェクション法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、 Sf9細胞、 Sf21細胞等が用いられる。 昆虫細胞へ の糸且換えベクターの導入方法としては、 例えばリン酸カルシウム法、 リポフエクシ ヨン法、 エレクト口ポレーシヨン法等が用いられる。
植物細胞を宿主とする場合は、タバコ BY-2細胞等が挙げられるが、これらに限定 されるものではない。 植物細胞への組換えベクターの導入方法としては、 例えばァ グロパクテリゥム法、 パーティクルガン法、 PEG法、 エレクトロポレーシヨン法等 が用いられる。 (V) 培養物おょぴ改良型ヒドロキシュトリルリアーゼの製造方法
本発明において、 改良型ヒドロキシュトリルリアーゼは、 上記形質転換体を培養 し、 得られる培養物から採取することにより製造することができる。
本発明は、 当該培養物から改良型ヒドロキシュトリルリアーゼを採取することを 特徴とする、 改良型ヒドロキシュトリルリアーゼの製造方法をも含む。
本発明において、 「培養物」 とは、 培養上清、 培養細胞、 培養菌体、 または細胞 若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。 本発明の形質転換体を 培養して得られる培養物は、 本発明の範囲に含まれる。
本発明の形質転換体を培養する方法は、 宿主の培養に用いられる通常の方法に 従って行われる。 目的の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼは、 上記培養物中に 蓄積される。
i 本発明の形質転換体を培養する培地は、 宿主が資化し得る炭素源、 窒素源、 無 機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、 天然培地、 合成培地のいずれを用いてもよい。 炭素源としては、 グルコース、 ガ ラク トース、 フラクトース、スクロース、 ラフィノース、デンプン等の炭水化物、 酢酸、 プロピオン酸等の有機酸、 エタノール、 プロパノール等のアルコール類が 挙げられる。 窒素源としては、 アンモニア、 塩化アンモニゥム、 硫酸アンモニゥ ム、 酢酸アンモニゥム、 リン酸アンモニゥム等の無機酸若しくは有機酸のアンモ 二ゥム塩またはその他の含窒素化合物が挙げられる。 その他、 ペプトン、 酵母ェ キス、 肉エキス、 コーンスティープリカ一、 各種アミノ酸等を用いてもよい。 無 機物としては、'リン酸第一力リゥム、リン酸第二力リゥム、 リン酸マグネシウム、 硫酸マグネシウム、 塩化ナトリウム、 硫酸第一鉄、 硫酸マンガン、 硫酸亜鉛、 硫 酸銅、 炭酸カルシウム等が挙げられる。 また、 必要に応じ、 培養中の発泡を防ぐ ために消泡剤を添加してもよい。 また、 ビタミン等を必要に応じて適宜添加して もよい。 培養中は必要に応じてアンピシリンゃテトラサイクリン等の抗生物質を培 地に添加してもよレ、。
培養中、 ベクターおよび目的遺伝子の脱落を防ぐために選択圧を掛けた状態で 培養してもよい。 すなわち、 選択マーカーが薬剤耐性遺伝子である場合に相当す る薬剤を培地に添加してもよく、 選択マーカーが栄養要求性相補遺伝子である場 合に相当する栄養因子を培地から除いてもよい。 また、 選択マーカーが資化性付 与遺伝子である場合は、 相当する資化因子を必要に応じて唯一因子として添加す ることができる。 例えば、 アンピシリン耐性遺伝子を含むベクタ一で形質転換し た大腸菌を培養する場合、 培養中に、 必要に応じてアンピシリンを培地に添加し てもよい。
プロモ>_ターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換し た形質転換体を培養する場合は、 必要に応じてインデューサーを培地に添加して もよい。 例えば、 イソプロピル一 j3— D—チォガラタトシド (IPTG)で誘導可能な プロモーターを有する発現べクタ一で形質転換した形質転換体を培養するときに は、 IPTG等を培地に添加することができる。 また、 インドール酢酸 (IAA)で誘導 可能な trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養 するときには、 IAA等を培地に添加することができる。
形質転換体の培養条件は、 目的の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼの生産性 およぴ宿主の生育が妨げられない条件であれば特段限定されるものではないが、 通常、 培養温度は 10°C〜45°C、 好ましくは 10°C〜40°C、 さらに好ましくは 15°C 〜40°C、 さらにより好ましくは 20°C〜37°Cで行い、 必要に応じて、 培養中に温 度を変更してもよレ、。 培養時間は 5〜: 120時間、好ましくは 5〜100時間、 さらに 好ましくは 10〜100時間、 さらにより好ましくは 15〜80時間程度行う。 pHの 調整は、 無機または有機酸、 アルカリ溶液等を用いて行い、 大腸菌であれば 6〜 9に調整する。'培養方法としては、 固体培養、 静置培養、 振盪培養、 通気攪拌培 養などが挙げられる。
特に大腸菌形質転換体を培養する場合には、 振盪培養または通気攪拌培養 (ジ ヤーフアーメンター) により好気的条件下で培養することが好ましい。 特に大腸 菌形質転換体を培養するには、 通常の固体培養法で培養してもよいが、 可能な限 り液体培養法を採用して培養するのが好ましい。 培養に用いる培地としては、 例 えば、 酵母エキス、 トリプトン、 ポリペプトン、 コーンスティープリカ一、 大豆 若しくは小麦ふすまの浸出液等の 1種以上の窒素源に、 塩化ナトリウム、 リン酸 第一カリウム、 リン酸第二カリ'ゥム、 硫酸マグネシウム、 塩化マグネシウム、 塩 化第二鉄、 硫酸第二鉄若しくは硫酸マンガン等の無機塩類の 1種以上を添加し、 更に必要により糖質原料、 ビタミン等を適宜添カ卩したものが用いられる。 なお、 培 地の初発 pHは 7〜9に調整するのが適当である。 また、培養は、 5 °C〜40°C、 好ま しくは 10°C〜37°Cで 5〜: 100時間行う。 通気攪拌深部培養、 振盪培養、 静置培養、 流加培養等により実施するのが好ましい。特に、工業的規模での改良型ヒドロキシ 二トリルリアーゼ生産を行う場合は、 通気攪拌培養を利用することができる。 さ らに、 通 "^攪拌培養の操作方式としては限定されることなく、 回分式 (batch culture) 、 半 IHj分式 (fed-batch culture, semi-batch culture) および 式 (continuous culture) のいずれで行ってもよい。 特に、 高濃度培養により、 装 置あたり、 時間あたり、 費用あたり、 または操作あたりの生産を高めたい場合に
i は、 半回分式培養を行うことができる。 半回分式で用いられる流加 (fed) 培地成 分は、 初発 (batch) 培地成分と同一の組成のものを用いても、 組成を変更して もよい力、初発培地と比較して培地成分濃度はより高濃度であることが好ましい。 流加培地の体積は特段限定されることはないが、 通常、 初発培地の 1/2以下の体 積を添加させることができる。 流加培地を添加していく方法 (feeding mode) と しては、 例えば、 定流的流加法 (constant) 、 指数的流化法 (exponential) 、 段 階的増加流化法 (stepwise increase ) 、 比増殖速度制御流化法 (specific growth-rate control) 、 pH スタツト流化法 (pH'stat) 、 DO スタツト流化法 (DO-stat) 、 グルコース濃度制御流化法 (glucose concentration control) 、 酢 酸濃度モニタリング流化法 (acetate concentration monitoring) 、 ファジー神経 回路流化法 ( fuzzy neural network ) などが挙げられるが ( Trends in Biotechnology(l996), 14, 98-105) 、 所望のヒ ドロキシュトリルリアーゼ生産性が 得られれば特段限定されるものではない。 なお、 半回分式培養実施時の培養終了時 期は、流化培地の投入終了後に限定される必要はなく、必要に応じて培養を継続し、 形質転換体あたりのヒドロキシュトリルリアーゼ活性が最も高い時点で培養終了と することができる。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 一般に使用 されている RPMI1640培地、 DMEM培地またはこれらの培地に牛胎児血清等を添 加した培地等が挙げられる。培養は、通常、 5 %C02存在下、 37°Cで 1〜30日行う。 培養中は必要に応じてカナマイシン、 ぺニシリン等の抗生物質を培地に添カ卩しても よレ、。 形質転換 (導入) 体が植物細胞または植物組織である場合は、 培養は、 通常 の植物培養用培地、例えば MS基本培地、 LS基本培地等を用いることにより行うこ とができる。 培養方法は、 通常の固体培養法、 液体培養法のいずれをも採用するこ とができる。
形質転換体が植物細胞または植物組織である場合は、 培養は、 通常の植物培養 用培地、 例えば MS基本培地、 LS基本培地等を用いることにより行うことがで きる。 培養方法は、 通常の固体培養法、 液体培養法のいずれをも採用することが できる。
上記培養条件で培養すると、 本発明の改良型ヒドロキシニトリルリア一ゼを上 記培養物中、 すなわち、 培養上清、 培養細胞、 培養菌体、 または細胞若しくは菌 体の破砕物の少なくともいずれかに蓄積させることができる。
培養後、 改良型ヒドロキシニトリルリア一ゼが菌体内または細胞内に生産され る場合には、 菌体または細胞を破碎することにより、 目的の改良型ヒドロキシニ トリルリアーゼを採取する'ことができる。
破砕前に、 必要であれば、 遠心分離や膜ろ過などの固液分離操作により、 培地 除去および洗浄を行うことができる。
遠心分離は、 菌体または細胞を沈降させる遠心力が供給できるものであれば特 段限定されるこ'とはなく、 円筒型や分離板型などを利用することができる。 遠心 力としては、 例えば、 500G〜20,000G程度で行うことができる。
また、 本工程に利用しうる膜ろ過は、 目的とする固液分離を達成できれば、 精 密ろ過 (MF) 膜、 限外ろ過 (UF) 膜いずれでもよいが、 通常、 精密ろ過 (MF) 膜を用いることが好ましい。 精密ろ過は、 例えば流動方向に基づけば、 デッドェ ンド方式やクロスフロー (タンジェンシャルフロー) 方式に分類でき、 圧力の加 え方に基づけば、 重力式、 加圧式、 真空式、 遠心力式などに分類でき、 操作様式 に基づけば、 回分式と連続式などに分類することができるが、 固液分離操作を行 うことができるものであれば、 そのいずれをも利用することができる。 MF膜の 材質としては、 高分子膜、 セラミック膜、 金属膜、 およびそれらの複合型に大別 でき、 改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ活性および固液分離操作時の該活性回収 率を低下させるものでなければ特段限定されるものではないが、 特に高分子膜、 例 えば、 ポリスルホン、 ポリエーテルスルホン、 ポリテトラフルォロエチレン、 ポ リフッ化ビニリデン、 ポリ塩化ビュル、 ポリプロピレン、 ポリオレフイン、 ポリ エチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、混合セノレロースエステノレ、 銅アンモニア法再生セルロースエステル、 ポリイミ ド、 ナイロン、 テフロンなど の使用が好ましい。 膜の孔径としては、 菌体または細胞を捕捉し、 濃縮操作が可 能であればよく、 通常、 0ユ〜 0.5 μ ηι程度のものを用いることができる。
本発明において 「活性回収率」 とは、 固液分離などの操作を行う際、 操作前の 活性を 100%として、 操作後に回収された活性の相対比 (%) を意味する。
上記の遠心分離および膜ろ過による固液分離操作時には、 必要に応じて、 水ま たは緩衝液、 等張液を添加して希釈洗浄を衧うこともできる。 用いられる緩衝液 は、 改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ活性および固液分離操作時の該活性回収率 を低下させるものでなければ特段限定されるものではなく、 例えば、 塩濃度は 5〜 500mM、好ましくは 5〜150mM程度であり、 pHは 4〜8程度のものであればよ い。 緩衝液成分としては、 例えば、 ナトリウム塩またはカリウム塩などのリン酸 塩、クェン酸塩、酢酸塩などの塩類を挙げることができる。具体的には、例えば、 5mMリン酸カリゥム緩衝液 (pH6〜7) 、 20mM酢酸ナトリゥム緩衝液 (pH5〜 6) などが挙げられる。 また、 等張液としては例えば、 0.7〜0.9 %塩化ナトリウ ム溶液などが挙げられる。その他、改良型ヒドロキシニトリルリアーゼを安定しう る物質、 例えば、 フラポノィ ド類等を添加してもよい (Food Technology and Biotechnology(2001), 39(3), 161-167) 。
菌体または細胞の破砕方法としては、 超音波処理、 フレンチプレスやホモジナ ィザ一による高圧処理、 ビーズミルによる磨枠処理、 衝撃破碎装置による衝突処 理、 リゾチーム、セルラーゼ、ぺクチ^ "一ゼ等を用いる酵素処理、凍結融解処理、 低張液処理、 ファージによる溶菌誘導処理等が挙げられ、 いずれ、かの方法を単独 または必要に応じ組み合わせて利用することができる。 工業的規模で菌体または 細胞の破砕を行う場合は、 操作性、 回収率、 コスト等を勘案し、 主に高圧処理や 磨枠処理、 衝突処理を利用することが好ましく、 場合によってはこれら物理的破 砕操作に酵素処理などを組み合わせてもよい。 各破砕処理方法において、 菌体ま たは細胞から,の改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ回収率が十分高いものであれ ば、 操作条件は特段限定されることはない。 十分高い改良型ヒドロキシュトリルリ ァーゼ回収率とは、 例えば、 好ましくは 85%以上、 より好ましくは 90%以上、 さら に好ましくは 95。/Q、 もっとも好ましくは 99%以上である。
ビーズミルによる磨碎処理を行う場合、 用いられるビーズは、 例えば、 密度 2.5 〜6.0g/cm3、サイズ 0.1〜: 1.0mmのものを通常 80〜85。/。程度充填することにより 破碎を行うことができ、 運転方式としては回分式、 連続式いずれをも採用するこ とができる。 菌体または細胞濃度も特段限定されないが、 例えば、 細菌であれば 6〜12%程度、 酵母であれば 14〜: L8%程度とすればよい。
高圧処理を行う場合、 処理圧力は、 菌体または細胞からの改良型ヒドロキシニ トリルリアーゼ回収率が十分高いものであれば特段限定されないが、 例えば、 40〜 150MPa程度の圧力で破砕を行うことができる。菌体または細胞濃度も特段限定さ れないが、 例えば、 20%以下程度であればよい。 必要に応じて、 装置を直列に配 置したり、 複数ステージ構造の装置を用いることにより、 多段階処理を行い、 破 砕および操作効率を向上させることも可能である。 通常、 処理圧力 lOMPaあた り 2〜3°Cの温度上昇が生じることから、必要に応じて冷却処理を行うことが好ま しい。
衝突処理の場合、 例えば、 被破砕菌体または細胞スラリーを予め噴霧急速凍結 処理 (凍結速度:例えば 1分間当たり数千。 C) などによって凍結微細粒子 (例え ば 50 μ πι以下) にしておき、 これを高速 (例えば約 300m/s) の搬送ガスによつ て衝突板に衝突させることで菌体または細胞を破碎することができる。
上記のような菌体または細胞破碎処理の結果、 細胞内の核酸が流出することに より、 処理液の粘度が上昇してハンドリングが困難になる場合、 あるいは、 後段 の残渣分離工程での活性回収率向上に効果がある場合は、 必要に応じて、 核酸除 去または核酸分解により、 処理液の粘度低減ゃ残渣分離工程での活性回収率の向 上を期待することができる。 細胞破砕液中の核酸を除去または分解する方法とし ては、 改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ活性または該活性回収率を低下させず、 かつ、核酸を除去または分解することができる方法であればいかなる方法でも良い 力 例えば、 生化学実験講座 5卷 200〜201頁に記載されているように、 細胞破 碎液にプロタミン硫酸あるいはス トレプトマイシンを添加することにより核酸を 沈澱させる方法、 核酸分解酵素で核酸を分解する方法、 デキス トラン一ポリェチ レングリコールを用い液々分離を行う方法などが挙げられる。 また、 物理的破砕 処理をさらに追加することも有効である場合がある。 これら方法のうち、 特に、 工程の煩雑化を避けつつ迅速に核酸を分解したい場合には、 核酸分解酵素で核酸 を分解する方法を採ることができる。核酸分解酵素処理に用いる核酸分解酵素は、
i 少なくともデォキシリボ核酸 (DNA) に作用し、 核酸分解反応触媒能力を有し、 DNA重合度を下げるものであればいかなるものでもよく、 該形質転換体細胞内 に本来存在する核酸分解酵素を利用してもよいが、 別途、 外因性の核酸分解酵素 を添加してもよレ、。 別途添加する核酸分解酵素としては、 例えば、 ゥシ脾臓由来 DNasel (タカラバイオ、 日本) 、 ブタ脾臓由来 DNasell (和光純薬、 日本) 、 Serratia marcescens由来核酸分解酵素 Benzonase® Nuclease (タカラバイォ、 日本) 、 Nuclease from Staphylococcus aureus (和光 ¾薬、 日本) などが挙けり れる。 添加する酵素量は酵素の種類やユニット数 (U) の定義により異なるが、 当業者であれば適宜設定することができる。 必要に応じて、 核酸分解酵素に要求 されるマグネシウムなどの補因子を添加しても良い。 処理温度は用いる核酸分解 酵素によって異なるが、 常温生物種由来の核酸分解酵素であれば、 例えば、 20〜
40°Cの温度が用いられる。
得られた破碎液から菌体または細胞破碎残渣を除去する必要がある場合は、 例 えば、 遠心分離やろ過 (デッドエンド方式あるいはクロスフロー方式) などによ り除去することができる。
遠心分離操作は、 前述の通り行うことができる。 菌体または細胞破砕残渣が微 細であり、 容易に沈降し難い場合は、 必要に応じて、 凝集剤を使用して残渣沈殿 効率を上げることもできる。 有機高分子凝集剤は、 イオン性に基づけば、 カチオン 系凝集剤、 ァニオン系凝集剤、 両性系凝集剤、 ノニオン系凝集剤を挙げることが でき、 原料面に基づけば、 アクリル系、 ポリエチレンィミン、 縮合系ポリカチォ ン (ポリアミン) 、 ジメチルジァリルアンモニゥムクロライ ド、 キトサンなどを 挙げることができるが、 本発明において使用する凝集剤は、 改良型ヒドロキシ トリルリアーゼ活性または該活性回収率を低下させず、 かつ、 残渣分離効率を向上 させることができるものであればいずれの凝集剤でも良い。 アタリル系凝集剤の成 分となるアクリル系水溶性モノマーとしては、 例えば、 アクリルアミド、 アクリル 酸ナトリウム、 アクリルアミド 2メチループロパンスルホン酸ナトリウム、 ジメチ ノレアミノエチノレーメタクリ レート、 メタクリロイ口キシェチノレートリメチノレアンモ 二ゥムークロライド、 メタクリロイ口キシェチノレーべンジノレジメチ —アンモニゥ ί ムクロライ ド、 ジメチルアミノエチル一アタリ レート、 アタリロイロキシェチルー トリメチルアンモニゥム一クロライド、 ジメチルァミノプロピル一アクリルアミ ド、 アクリルアミ ドプロピルートリメチルアンモ -ゥム一クロライ ド、 ポリアミジン一 クロライドなどが挙げられ、 これらモノマーの単一重合物、 多様な組成による共重 合物または高分子変性物がアクリル系凝集剤として挙げられる。 特に代表的なカチ オン系高分子凝集剤としては、 ポリアミノアルキルメタアタリレート類, ポリア ムノアルキルメタアタリ レートとアタリルァミ ドの共重合物類, ポリアタリルァ ミ ドのマンュッヒ変性物類, ポリジメチルジァリルアンモニゥム塩類, ポリビ- ルイミダゾリン類,ポリアクリルアミ ド類,アミン系重縮合物類などがあげられ、 すでに多くの商品が市販されている。 その主なものとしては, 例えば, サンポリ -K-601, Κ一 602 (主成分ポリアミン, 三共化成) , クリフロック LC一 599 (主 成分ポリアミンおょぴポリアミ ド,栗田工業),ハイモロック Μ— 166, Μ-566, Μ- 9 66, (主成分アクリルアミ ド変性物, 協立有機工業) , ュニフロッカー UF 一 301, UF- 304, UF- 305, (主成分ポリアクリルアミ ド, ュニチカ) , UF 一 330, UF- 340, (主成分ァミノメタアクリル酸エステル, ュニチカ) , UF— 505 (主成分ジシアンァミン, ュニチカ) , リューフロック C— 110 (主成分ポリ ァミン, 大日本インキ化学) , ピユリフロック C— 31 (主成分ポリアミン, ダウ ケミカル) が挙げられる。 また、 ダイヤニトリックス社 (日本) 製 Κ-400 シリー ズ、 ΚΜ-200シリーズ、 KM-1200シリーズ、 ΚΑΜ-200シリーズ、 KD'200シリー ズ、 KP-000 シリーズ、 KP-100 シリーズ、 KP-200 シリーズ、 KP-300 シリーズ、 KP-500シリーズ、 KP-1200シリーズ、 KA-000シリーズ、 KA-200シリーズ、 KA'300 シリーズ、 KA-400シリーズ、 KA-600シリーズ、 KA-700シリーズ、 KA-800シリ —ズなども挙げられる。 これら凝集剤は単独もしくは二種以上を併用して使用で きる。本発明において使用する凝集剤は、改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ活性 または該活性回収率を低下させず、 かつ、 残渣分離効率を向上させることができる ものであれば上述のいずれの凝集剤でも良いが、 具体的には、 例えば、 ダイヤニト リックス社(日本)製 Κ-401、 Κ-403Β、 Κ-405、 Κ·408、 Κ'409、 Κ'415、 KP201H, ΚΡ309、 ΚΡ7000などが挙げられる。凝集剤の添加量としては、凝集剤の種類ゃ菌 体または破碎液の液状によっても異なるが、 例えば、 破砕した微生物乾燥重量% 濃度の 1/50〜: L/2の濃度、好ましくは 1/20〜: 1/5濃度である。添加方法としては、 • · 5 例えば、 凝集剤を予め水に溶解した後、 菌体または細胞破砕液に添加して少なく とも 5分から 24時間、 好ましくは 30分から 10時間程度、 静置または撹拌すれ ばよレ、。 そのときの温度としては、 例えば、 0°C〜60°C、 特に 0°C〜50°C、 さら に 0°C〜40°Cが好ましい。 また、 pH の調整が必要な場合には、 適宜、 無機塩終 濃度が 5〜200mM となるよう添加して緩衝液化することもできるし、 必要に応 10 じて、 改良型ヒドロキシニトリルリアーゼを安定化する物質を添加してもよい。
ろ過により残渣分離を行う場合、 目的とする残渣分離を達成できれば、 精密ろ 過 (MF) 膜、 限外ろ過 (UF) 膜いずれの膜を使用してもよいが、 通常、 精密ろ 過 (MF) 膜を用いることが好ましい。 精密ろ過膜は、 前述の通り、 残渣分離操 作を行うことができるものであれば、 いずれをも利用することができる。 膜の孔
15 径としては、 菌体または細胞残渣を捕捉し、 かつ、 改良型ヒドロキシュトリルリ ァーゼ活性がろ液側に回収できるものであればよく、 例えば、 0.1〜0.5 μ m程度の ものを用いることができる。さらに、ろ過助剤、必要に応じて凝集剤を用いれば、 孔径 0.5 /x m以上の膜あるいはろ紙を利用することもできる。 ろ過助剤としては、 珪藻土やセルロースパウダー、 活性炭などが挙げられる。 凝集剤は上述のとおり
20 である。
残渣を除去した後に得られた上清は、 細胞抽出液可溶性画分であり、 改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼを含む粗酵素溶液とすることができる。 その後、必要に 応じて、 タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、 例えば硫酸ァ ンモニゥム沈殿、各種クロマトグラフィー(例えばゲノレ濾過クロマトグラフィー(例 25 えば Sephadexカラム)、ィォン交換ク口マトグラフィー(例えば DEAE-Toyopearl)、 ァフィ二ティークロマトグラフィー、 疎水性クロマトグラフィー (例えば butyl Toyopearl) 、 陰イオンクロマトグラフィー (例えば MonoQカラム) 等) 、 SDSポ リアクリルアミドゲル電気泳動等を単独でまたは適宜組み合わせて用いることによ り、 前記培養物中からヒドロキシュトリルリア一ゼを単離精製することができる。 なお、 改良型ヒドロキシニトリルリア一ゼが菌体内または細胞内に生産される
i 場合、 菌体ゃ細胞そのものを上述のように遠心分離、 膜分離等で回収して、 未破 碎のまま目的の酵素反応などに使用することも可能である。 その場合、 必要に応 じて、 培養後の細胞をアクリルアミ ド等のゲルで包含したもの、 ダルタルアルデ ヒドで処理したもの、 アルミナ、 シリカ、 ゼォライト、 珪藻土等の無機担/ f本に担 持したもの等、 処理物として利用することもできる。
一方、 本発明の形質転換体が遺伝子組換え体であり、 かつ、 製造工程での形質 転換体の環境への漏出、 製品への混入、 または使用後の取り扱い等で、 二次的に 微生物汚染を引き起こす可能性が危惧する場合には、 必要に応じて不活化処理を 行うことができる。不活化方法としては、改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ活性 または該活性回収率を低下させず、 かつ、 形質転換体を不活化できる方法であれば いかなる方法でも良く、 例えば、 熱処理、 菌体破砕処理、 薬剤処理などの方法を 単独または組み合わせて利用できる。 例えば、 菌体破砕処理の前または後に、 薬 剤処理を行うことで、 不活化を行うことができる。 使用する薬剤としては、 形質 転換体の宿主種類により異なるが、 例えば、 塩化べンゼトニゥム、 塩化セチルビ リジニゥム、 塩化メチルステアロイル、 臭化セチルトリメチルアンモニゥム等の 陽イオン系界面活性剤、 ダルタルアルデヒドなどのアルデヒド類が挙げられる。 また、エタノール等のアルコール類、 2—メルカプトエタノール等のチオール類、 エチレンジアミン等のアミン類、 システィン、 オル二チン、 シトルリン等のァミ ノ酸類なども挙げられる。薬剤の濃度は、改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ活性 または該活性回 (X率を低下させず、 かつ、不活化できる濃度であればよいが、例え ば、 該形質転換体宿主が大腸菌で塩化べンゼトニゥムおよぴグルタルアルデヒ ド を用いる場合、 それぞれ終濃度 0.05〜0.5%程度が好ましい。 また、 不活化処理の 際、改良型ヒドロキシュトリルリアーゼの安定性等を向上させる目的で、例えば、 フラボノィド類等を添加してもよい。処理温度は、 0〜50°C、好ましくは 0〜40°C で行われる。 また、 pHは、 4〜8程度が好ましい。
一方、 改良型ヒドロキシニトリルリア一ゼが菌体外または細胞外に生産される 場合には、 培養液をそのまま使用するか、 上述したような遠心分離やろ過等によ り菌体または細胞を除去する。 その後、 必要に応じて硫安沈澱による抽出等によ
i り前記培養物中から改良型ヒドロキシニトリルリアーゼを採取し、 さらに必要に 応じて透析、 各種クロマトグラフィー (ゲルろ過、 イオン交換クロマトグラフィ 一、 ァフィ二ティクロマトグラフィー等) を単独または適宜組み合わせて用いる ことにより、 精製することもできる。
形質転換体が植物細胞または植物組織である場合は、 セルラーゼ、 ぺクチナーゼ 等の酵素を用いた細胞溶解処理、 超音波破碎処理、 磨碎処理等により細胞を破壌す る。 その後、 必要であれば、 タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的 方法、 例えば硫酸アンモ-ゥム沈殿、 各種クロマトグラフィー (例えばゲル濾過ク 口マトグラフィー (例えば Sephadexカラム) 、イオン交換クロマトグラフィー(例 えば DEAE-Toyopearl) 、 ァフィ二ティークロマトグラフィー、 疎水性クロマトグ ラフィー(例えば butyl Toyopearl)、陰イオンクロマトグラフィー(例えば MonoQ カラム) 等) 、 SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動等を単独でまたは適宜組み合 わせて用いることにより、 前記培養物中からヒドロキシニトリルリア一ゼを単離精 製することができる。
以上のようにして得られた改良型ヒドロキシニトリルリァーゼは、本発明の範囲 に含まれる。 得られた改良型ヒドロキシュトリルリアーゼの生産収率は、 例えば、 培養装置あたり、 培養液あたり、 菌体湿重量または乾燥重量あたり、 酵素液中タ ンパク質重量あたりなどの単位で、 改良型ヒドロキシュトリルリァーゼ活性を測 定することにより算出することができるが、 特段限定されるものではない。 改良 型ヒドロキシュトリルリアーゼ活性は、 上述した分解活性または合成活性いずれ の値をも適用することができる。また、 SDS-PAGEなどの分析手段によっても間 接的に算出することができる。 SDS-PAGEは当業者であれば公知の方法を用いて 行うことができる。 さらには、 改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼに対する抗体 を作製し、 ウェスタンプロッ トや ELISA法などの免疫学的手法によっても算出 することが可能である。
また、 本発明においては、 上記改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子または 改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子を含む組換えベクターから改良型ヒドロ キシニトリノレリァーゼを採取することも可能である。すなわち、本発明においては、 生細胞を全く使用することなく無細胞タンパク質合成系を採用して、 改良型ヒドロ キシュトリルリア一ゼを産生することが可能である。無細胞タンパク質合成系とは、 細胞抽出液を用いて試験管などの人工容器内でタンパク質を合成する系である。 な お、 本発明において使用される無細胞タンパク質合成系には、 DNA を铸型として RNAを合成する無細胞転写系も含まれる。この場合、上記の宿主に対応する生物は、 下記の細胞'抽出液の由来する生物に相当する。 ここで、 上記細胞抽出液は、 真核細 胞由来または原核細胞由来の抽出液、 例えば、 小麦胚芽、 大腸菌などの抽出液を使 用することができる。 なお、 これらの細胞抽出液は濃縮されたものであっても濃縮 されないものであってもよい。 細胞抽出液は、 例えば限外濾過、 透析、 ポリエチレ ングリコール (PEG)沈殿等によって得ることができる。 さらに本発明において、 無 細胞タンパク質合成は、 市販のキットを用いて行うこともできる。 そのようなキッ トとしては、 例えば試薬キット PROTEIOSTM (東洋紡) 、 TNT™ System (プロメ ガ) 、 合成装置の PG-MateTM (東洋紡) 、 RTS (ロシュ ·ダイァグノステイクス) などが挙げられる。
上記のように無細胞タンパク質合成によって得られる改良型ヒドロキシニトリル リアーゼは、 例えば前述のように適宜クロマトグラフィーを選択して、 精製するこ とができる。
(VI) シアンヒドリンの製造方法おょぴヒドロキシカルボン酸の製造方法
上述のように製造された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼは、 酵素触媒とし て物質生産に利用することができる。 例えば、 ケトン化合物またはアルデヒ ド化 合物、 およびシアン化合物に、 上述の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼを接触 させることにより、 光学活性なシアンヒ ドリンを製造することができる。 酵素触 媒としては、 上述のように適当な宿主内で改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ遣 伝子が発現するように遺伝子導入を行い、 宿主を培養した後の培養物、 またはそ の処理物を利用することができる。 処理物としては、 例えば、 培養後の細胞をァ クリルアミ ド等のゲルで包含したもの、 グルタルアルデヒドで処理したもの、 ァ ルミナ、 シリカ、 ゼォライ ト、 珪藻土等の無機担体に担持したもの等が挙げられ
i る。
基質として使用されるケトン化合物またはアルデヒド化合物およびシアン化合 物は、 酵素の基質特異性、 酵素の基質に対する安定性等を考慮して選択される。 例えば、 キヤッサバ (Manihot esculenta) 由来のヒドロキシニトリルリアーゼ であれば、 好適な基質は、 アルデヒド化合物とシアン化合物である。 アルデヒ ド 化合物としては、 ベンズアルデヒドが好ましい。 また、 シアン化合物としては、 青酸が好ましい。
シアンヒドリンの合成反応における金属イオンによる影響は、 野生型ヒ ドロキ シニトリルリアーゼょりも H103M改良型ヒドロキシュトリルリアーゼの方が少 ない。 また、 ニッケルイオンの存在によっては、 シアンヒ ドリンの合成は影響を 受けにくい。
生体触媒の使用形態、 反応様式は、 生体触媒の種類等により適宜選択される。 生体触媒の使用形態としては、 上述の培養物、 精製酵素をそのまま使用しても良 いし、 それらを適当な担体に保持し固定化酵素として使用することもできる。 反応方法および反応終了後のシアンヒドリンの採取方法は、 基質、 酵素触媒の 特性により適宜選択される。 酵素触媒は、 その活性が失活しない限り、 リサイク ル使用することが好ましい。 失活の防止、 リサイクルを容易にすることに鑑み、 酵素触媒は処理物の形態で使用されることが好ましい。
本発明において 「光学活性」 は、 一方の鏡像異性体が他方の鏡像異性体よりも 多く含まれている物質の状態、 またはいずれか一方の鏡像異性体から成っている 物質の状態を意味する。
採取された光学活性シアンヒ ドリンは、 さらに硫酸、 塩酸等の鉱酸により加水 分解反応を実施することによって、 光学活性なヒドロキシカルボン酸に変換する ことも可能である。 該加水分解反応は、 従来の一般的な方法と同様に鉱酸を用い て実施することが好ましい。 ここで用いる鉱酸としては、 例えば塩酸、 硫酸、 硝 酸、 ホウ酸、 リン酸、 過塩素酸等が挙げられ、 中でも塩酸が好ましい。 加水分解 工程で用いる溶媒は、 通常は水を用いるが、 必要に応じて、 ジメチルスルホキシ ド、 ジメチルホルムアミ ド、 ジメチルァセトアミ ドなどの極性溶媒、 トルエン、 へキサン、 ヘプタンなどの炭化水素系溶媒、 または、 ジェチルエーテル、 ジイソ プロピノレエーテノレ、 t—ブチノレメチノレエーテゾレ、 テ トラヒ ドロフランなどのエー テル系溶媒を共存させても差し支えない。 これらの溶媒は単一で用いても混合し て用いても構わない。 鉱酸の使用量は、 加水分解工程に供する反応混合物中に含 有される光学活性シアンヒ ドリンに対して 0 . 5〜2 0当量であることが好まし く、 0 . 9〜 1 0当量であることがより好ましく、 1〜5当量が特に好ましい。 この範囲内で鉱酸を使用すると、 経済的に有利で、 かつヒ ドロキシカルボン酸の 回収率が向上する点で好ましい。 加水分解工程の反応温度は一 5 °C〜溶媒の沸点 以下が好ましく、 1 0〜9 0 °Cの範囲が特に好ましい。この温度範囲内であると、 加水分解反応の反応速度の点および不純物を低減できるという点から好ましい。 以下、 実施例により本発明をさらに具体的に説明する。 但し、 本発明はこれら実 施例によって何ら限定されるものではない。 実施例 1 ·
植物コドン野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の取得
( 1 ) PCRによる植物コドン野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の作製 GenBank accession number Z29091記載の塩基配列を元に、 配列番号 2によつ て表されるキヤッサパ (Manihot esculenta) 由来のヒドロキシュトリルリアーゼ 遺伝子を PCR法により合成した。
具体的には、 20種のオリゴヌクレオチド F01〜F10および R01〜R10 (配列番号 4〜 2 3 ) を設計および合成した。 GenBank accession number Z29091記載のキャ ッサパ (Manihot esculenta) 由来ヒドロキシュトリルリァーゼ遺伝子とその 5, および 3'非翻訳領域を含む塩基配列 (センス鎖) およびその相補配列 (アンチセ ンス鎖) (1,041塩基長) に相補的となるように 20種のオリゴヌクレオチド F01
〜F10および R01〜! 10を設計した。 ここで、 F01の 5,末端には BamHIを含む 11 塩基 (斜体で表す) を、 R01の 5'末端には Kpnlを含む 9塩基 (斜体で表す) を付 加し、最終的にはキヤッサパ由来ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子を含む 1,041 i 塩基対が増幅されるように設計した。 これらのオリゴヌクレオチドは、 隣のオリゴ ヌクレオチドと、 それぞれ約 20塩基ずつ重なるように設計した。 例えば、 F01 と F02とは、 F01の下線部と F2の下線部とが重なるように設計した。 図 1に 2ひ種の オリゴヌクレオチド F01〜F10および R01〜! 110 (配列番号 4〜 2 3 ) の位置関係を 模式的に表した。
F01 (配列番号 4 ) :
gggyafegggaaaaagagttagatatcatttccaaaatggtaactgcacattttgttctgattcataccatt F02 (配列番号 5 ) :
ttgttctgattcataccatttgccatggtgcatggatttgrgcataagctcaaaccagcccttgagagagc
F03 (配列番号 6 ) :
aaaccagcccttgagagagctggccacaaagtcactgcactggacatggcagccagcggcattgacccaa F04 (配列番号 7 ) :
agccagcggcattgacccaaggcaaattgagcagattaattcatttgatgaatactctgaacccttattg
F05 (配列番号 8 ) :
tattgccagacaccgttcatagcccatcttacactgtggaaaagcttttggagtcgtttcctgactggag
F06 (配列番号 9 ) :
gagtcgtttcctgactggagagacacagagtattttacgttcactaatatcactggagagacaattacaa F07 (配列番号 1 0 ) :
cactggagagacaattacaacaatgaagctgggcttcg acttctgagggaaaatttatttaccaaatgc F08 (配列番号 1 1 ) :
atcaagacaaaatatttttaccagactttcaacgctggcaaattgcaaactacaaaccagacaaggttta F09 (配列番号 1 2 ) : - tacaaaccagacaaggtttatcaggttcaaggtggagatcataagctccagcttacaaaaactgaggagg F10 (配列番号 1 3 ) :
gcttacaaaaactgaggaggtagctcatattctccaagaggtggctgatgcatatgcttgaagcttttag R01 (配列番号 1 4 ) : ^•cgg^accc taataggatatttatttatttaatttaaagattacataatagggataacattcccttaaatacacac at
i
R02 aactca (配列番号 1 5 ) :
attcccttaaatacacacatctcagcaaatgaagagacaccaacgtggaactctcccatatttaaagaaaaaaa R03 (配列番号 1 6 ) : '
tttaaagaaaaaaaaactcaaactttattttagtgcaatttaattctcacatgaaaatgtgagattattt R04 (配列番号 1 7 ) :
atgaaaatgtgagattatttataactgcacccaggttaacttaataggagctaaaagcttcaagcatatg R05 (配列番号 1 8 ) :
taaaaatattttgtcttgatcggtccaaatataaactttcttaattgatccgtaacctttttcggtgaac
R06 (配列番号 1 9 ) :
cgtaacctttttcggtgaacttcggtctctgagccaaaacattttgaaacagtgatcccttcctcattac
R07 (配列番号 2 0 ) :
agtgatcccttcctcattaccatttttgccagttcatattccccatcagtgcatttggtaaataaatttt
R08 (配列番号 2 1 ) :
atgaacggtgtctggcaataaggaattgtggaaaacaccagctgcaattttgtcaacgtatctatcagca R09 (配列番号 2 2 ) :
tgtcaacgtatctatcagcagcaatagcaatattcagccctgcacagctctcaccaacaatgatgacctt
R10 (配列番号 2 3 ) :
tcaccaacaatgatgaccttttccccttgagggagtttctccaagaaagtcaataagggttcagagtatt 凍結乾燥されたオリゴヌクレオチドを蒸留水で再懸濁し、 100 pmol/μ ΐとした。 20種のオリゴヌクレオチド溶液のそれぞれから Ι μ ΐずつ集めてミックスオリゴを 作製した。 この混合液を PCR - mix (Pwo 10 X緩衝液、 dNTP mix, Pwo DNAポリ メラーゼ)(Boehringer Mannheim)に加えた。 表 3に PCR反応液の組成を示した。 表 3
Figure imgf000060_0001
PC は、 94°Cで 30秒、 52°Cで 30秒、 72°Cで 30秒のセットを 55サイクル行い、 オリゴヌクレオチドを伸長させて、 遺伝子を合成した (lst PCR)。
次に、 上記のように作製した合成遺伝子の増幅を行った (2nd PCR) 。 1st PCR の PCR溶液 Bの反応産物 1.3 1に、 5 μ 1の: Pwo 10 X緩衝液、 5 μ 1の dNTP mix, 0.5 μ 1の Pwo DNAポリメラーゼ、 36.2 lの蒸留水おょぴ Ι μ ΐの外側プライマー を添加した。 外側プライマーとして、 F01 (配列番号 4) および R01 (配列番号 1 4 ) のプライマーを用いた。 2nd PCRは、 94°Cで 30秒、 50°Cで 30秒、 72°Cで 60秒の セッ トを 23サイクル行い、 遺伝子を増幅した。'
2nd PCRの増幅産物を 1.50/。ァガロースゲルで確認した。
( 2 )植物コドン野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子組換えベクターの作製 上記( 1 )で得られた 2nd PCRによる増幅産物である 0.9kbのパンドを QIAquick Gel Extraction Kit (QIAGEN)で精製した。 ゲルから精製した DNA (5 / l) を制限 酵素 BamHI (ΐ μ ΐ) (オリゴヌクレオチド F01中に消化認識部位が含まれる) お よび Kpnl (1 μ 1) (オリゴヌクレオチド R01中に消化認識部位が含まれる)で 37°C、 1時間消化した。 その後、 DNAを反応液からフエノール抽出 'クロ口ホルム抽出 ' エタノール沈殿 [Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))]により精製した。 精製した DNA (5 ^ 1) 、 予め BamHIおよび Kpnlで消化しておいたベクター pUC19 (タカラバイオ (株) ) (1 μ 1)、蒸留水(4 μ 1)および solution I (DNA Ligation Kit ver.2 (タカラバイオ(株)))
(10 u l) を混合してライゲーシヨン混合物を作製し、 この混合物を 12時間、 16°C でインキュベートすることで増幅産物とベクターを結合した。
( 3 ) 大腸菌 JM109株のコンビテントセルの作製
大腸菌 JM109株を LB培地 (1%バタトトリプトン、 0.5%バクトイース トエキス、 0.5% NaCl) lml に接種し 37°C、 5 時間好気的に前培養した。 得られた前培養液 0.4mlを SOB培地 40ml(2%バタ ト トリプトン、 0.5%バタ トイーストエキス、 10mM NaCl、 2.5mM KCl、 ImM MgS04、 lmM MgCl2 ) に加え、 18°Cで 20時間培養 した。 当該培養物を遠心分離 (3,700 X g、 10分間、 4°C) により集菌した後、 冷 TF 溶液 (20 mM PIPES -KOH (pH 6.0)、 200 mM KCl、 10 mM CaCl2、 40mM MnCl2)を 13 ml加え、 0°Cで 10分間放置した。 その後、 再度遠心分離 (3,700 X g、 10分間、 4°C) し、 上清を除いた。 沈殿した大腸菌を冷 TF溶液 3.2 mlに懸濁し、 0.22 mlのジメチルスルホキシドを加え 0°Cで 10分間放置した。
( 4 ) 植物コドン野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子のクローニング 上記 (3 ) で作製したコンビテントセル 200 1 を上記 (2 ) で作製したライゲ ーシヨン産物 ΙΟμ Ιに加え、 0°Cで 30分放置した。 続いて、 当該コンビテントセル に 42°Cで 30秒間ヒートショックを与え、 0°Cで 2分間冷却した。 その後、 SOC培 地 (20 mM グルコース、 2%パク ト トリプトン、 0.5%バタ トイーストエキス、 10 mM NaCl、 2.5 mM KCl、 1 mM MgS04、 ImM MgCl2) lmlを添加し、 37°Cにて 1 時間振盪培養した。 培養後の培養液を各 200 μ 1ずつ、 LB Amp寒天培地 (ァンピ シリン 100mg/L、 1.5%寒天を含有する LB培地) にまき、 37°Cでー晚培養した。 寒天培地上に生育した形質転換体コ口ニー複数個を 1.5mlの LB Amp培地(ァンピ シリン 100mg/Lを含有する LB培地) にて 37°Cで一晩培養した。 得られた培養液 を各々集菌後、 Flexi Prep (アマシャムバイオサイエンス社製) を用いて組換えべク ターを回収した。得られた組換えべクタ一の塩基配列を CEQ DTCS Quick Start Kit およぴ蛍光シーケンサ CEQ 2000XL DNA Analysis system (V、ずれも BECKMAN COULTER, 米国) を用いて解析した。 プライマーは、 オリゴヌクレオチド F01〜
F10および R01〜; R10を用いた。配列番号 2で表される GenBank accession number
Z29091記載のキヤッサバ (Manihot esc lenta) 由来ヒドロキシュトリルリア一 ゼ遺伝子の塩基配列と同一の配列を有する組換えベクターのひとつを pUME と 命名した i 実施例 2
植物コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ発現用べクターの作製
( 1 ) 植物コ ドン野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ発現用ベクター (pUCl9 ベース) の作製
実施例 1で得られた植物コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の塩 基配列に St)配列を付加した DNA断片を pUC19の Pstl-BamHI部位に揷入し、 pUC19 をベースとした植物コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ発現べク ター pUMESD を以下のようにして作製した。 まず、 ヒ ドロキシニトリルリア一 ゼをコ一ドする修飾 DNAフラグメントを PCR法により得た。 PCR用の反応混 合物は、 5 1の Pwo 10 Xバッファー、 5 1の dNTP mix、 0.5 1の Pwo DNA ポリメラーゼ、 36.2 μ ΐの蒸留水、 1 μ ΐのセンスおよびアンチセンスプライマー、 並びに铸型として pUMEを 1 μ ΐ添加したものを用いた。 PCRは、 95°Cで 2分 の変性を行つた後、 94°Cで 30秒、 50°Cで 30秒、 72°Cで 2分を 30サイクル行つ た後、 72°Cで 10分行った。 センスプライマー MES-1 (配列番号 24) は、 その配 列中に Pstl認識部位、 リポソーム結合部位、 pUC19 の lacZ遺伝子フレームの TAG終止コドン、 ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の ATG開始コドンを有す る 62ヌクレオチドのものである。 また、 アンチセンスプライマー MES-2 (配列 番号 25)は、その配列中に: BamHI部位を有する 33ヌクレオチドのものである。 センスプライマー :
ccccaaactgcagtaaggaggaatagaaaatggtaactgcacattttgttctgattcatacc ( [1歹!1番^" 24)
アンチセンスプライマー : tagtgcaattggatcctcacatgaaaatgtgag (酉己歹 (J番号 25) PCRにより得られた増幅 PCR産物は、 Pstlおよび BamHIによって消化し、 ァガロースゲル電気泳動で分離し、 その後 QIAquick Gel Extraction Kitで精製 した。 この精製 DNA断片 (5 μ 1 ) 、 予め : Pstlおよび BamHIによって消化し ておいた pUC19 (タカラバイオ(株) 、 日本) (5 μ 1 ) 、および solution l (DNA Ligation Kit ver.2 (タカラバイオ (株) ) ) (10 1 ) を混合してライゲーショ ン混合物を作った。 該混合物を 12時間、 16°Cでインキュベートすることでリン ί カーとベクターを結合した。 実施例 1 ( 4 ) と同様の操作により、 大腸菌 JM109 株の形質転換を行った。 生育したコロニーより組換えベクターを回収した。 植物 コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を含む修飾 DNAフラグメント
(Pstl -BamHI断片) が pUC 19の lacプロモーターの下流に正しく挿入された プラスミ ドを発現ベクター pUMESDと命名した。
( 2 )植物コドン野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ発現用ベクター(pKK233-2 ベース) の作製
実施例 1で得られたキヤッサバ (Manihot esculenta) 由来野生型ヒ ドロキシ 二ト リルリァーゼ遺伝子の DNA 断片を pKK233-2 ( Centraalbureau voor Schimmelcultures (CBS)、 オランダ; http:〃 www.cbs.knaw.nl/) の誘導体であ る pKK233-2(+Sse)の NcoI-Sse8387I部位に挿入し、 pKK233'2をベースとした 植物コドン野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ発現ベクター ρΟΧΝ103 を以下の ようにして作製した。 まず、 植物コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリア一ゼをコ ードする DNA断片を、 発現ベクターに容易に導入可能な制限酵素認識部位を両 端に有する形となるよう、 PCR法により増幅した。 PCR用の反応混合物は、 5 μ 1の Pwo 10 Xバッファー、 5 μ 1の dNTP mix、 0.5 1の Pwo DNAポリメラー ゼ、 36.2 1の蒸留水、 1 μ 1 のセンスおょぴアンチセンスプライマー、 並びに 铸型としてプラスミ ド pUMEを 1 μ 1添加したものを用いた。 PCRは、 95°Cで 2分の変性を行った後、 94。Cで 30秒、 50°Cで 30秒、 72°Cで 2分を 30サイクル 行った。 センスプライマー OXYN-6 (配列番号 26) は、 29 ヌクレオチドからな り、 その配列中に Ncol 認識部位およびヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子の ATG開始コドン以降を含む。 また、 アンチセンスプライマー OXYN-9 (配列番号 27) は、 33ヌクレオチドからなり、 その配列中に Sse8387I認識部位を含む。 OXYN-6: ccaccatggtaactgcacattttgttctg (配列番号 2 6 )
OXYN-9 ·· ggcctgcaggttaacttaataggagctaaaagc (酉己歹 (1番号 2 7 )
得られた増幅 PCR産物は、 Sse8387Iで消化後、 Ncolによって部分消化した。 ァガロースゲル電気泳動で分離し、 植物コドン野生型ヒ ドロキシュトリルリア一 ゼ全長を含むバンド (約 0.8kb) のゲルを切り出した。 該ゲル中の増幅産物を QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。
次いで、 発現用ベクター pKK233-2(+Sse)を以下のように調製した。 ρΚΚ233·2 ( Centraalbureau voor Schimmelcultures (CBS) 、 オ フ ン タ ; http ://www.cbs.knaw.nl/) 5 μ 1を Hindlll ( 1 μ 1 ) で消化後、 フエノール抽出 · クロ口ホルム抽出 ·エタノール沈殿により精製した。 次いで、 DNA Blunting Kit (タカラバイオ (株) ) を用いて末端を平滑処理した。 該処理液を再度フエノー ル抽出 · クロ口ホルム抽出 ·エタノール沈殿により精製した。 精製した発現べク ター (5 μ 1 ) を Shrimp Alkaline Phosphatase (タカラバイオ (株) ) を用い て脱リン酸化処理を行った。 該処理液を再度エタノール沈殿により精製した。 精 製したベクター DNA (5 μ 1 ) 、 アニーリング済み Sse8387I リン酸化リンカ一 PSse8387I (タカラバイオ (株) ) (5 μ 1 ) および so ition l (DNA Ligation Kit ver.2 (タカラバイオ (株) ) ) '(10 / 1 ) を混合してライゲーシヨン混合物を作 つた。 該混合物を 12時間、 16°Cでインキュベートすることでリンカ一とべクタ 一を結合した。 実施例 1 ( 4 ) と同様の操作により、 大腸菌 JM109株の形質転 換を行った。 生育したコロニーより糸且換えベクターを回収した。 回収した組換え ベクターに対して Sse8387I消化反応を行い、 直鎖状に消化されることが確認さ れたものを pKK233-2(+Sse)と した。 pKK233-2(+Sse)を制限酵素 Ncol と Sse8387Iで消化後、 フヱノール抽出 ·クロ口ホルム抽出 ·ェタノール沈殿により 精製した。
上述の植物コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリァーゼ遺伝子の DNA 断片 (5 μ 1 )と発現ベクター pKK233-2(+Sse) (5 μ 1 )を混合した。該混合液に solution I (DNA Ligation Kit ver.2 (タカラバイオ (株) ) ) (10 1 ) を添加してライ ゲーシヨン混合物を作った。 この混合物を 12時間、 16°Cでインキュベートする ことでリンカ一とベクターを結合した。 実施例 1 (4) と同様の操作により、 大 腸菌 JM109株の形質転換を行レ、、生育コロニーより組換えベクターを回収した。 植物コドン野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子の DNA断片が正しく発現 — ベクターに連結された組換えベクターを確認し、 植物コドン野生型ヒ ドロキシニ トリルリアーゼ発現組換えベクター pOXN103 と命名した。 同時に、 植物コ ドン 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ発現形質転換体、 JM109/POXN103を得た。 実施例 3
大腸菌コドン野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の取得
( 1 ) PCR による大腸菌コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の設計 と作製 '
ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を新規に設計し、 いくつかのコドンを大腸菌 で良く用いられているコドンに変更した。 具体的には、最終的に 30種のオリゴヌク レオチド No. l〜30 (49nt力 種、 50ntが 21種、 27ntが 2種および 48ntが 1種) (配列番号 28〜57) を設計および合成し、 50 nmolスケールで調製した。 30種のォ リゴヌクレオチドは、 20nt重なるように設計した (図 2) 。
No.l '· aaaagagttagatatcatttccaaaatggtgaccgcgcattttgtgctg ( ΰ歹!!番号 28) No.2: tccacgcgccatggcaaatggtatgaatcagcacaaaatgcgcggtcacc (酉 G列番"^ 29) No.3: ttgccatggcgcgtggatttggcataaactgaaaccggcgctggaacgcg (酉 S歹 [1¾" 30J No.4: ccatatccagcgcggtcactttatggcccgcgcgttccagcgccggtttc (酉己歹! 1¾·^" 31) No.5: agtgaccgcgctggatatggcggcgagcggcattgatccgcgccagattg (酉己列番^" 32) No.6: cgctatattcatcaaagctgttaatctgttcaatctggcgcggatcaatg (酉己歹1 J ^" 33) No.7 ·· cagctttgatgaatatagcgaaccgctactgacctttctggaaaaactgc 列番^" 34) No.8: cgcccacaataatcactttttcgccctgcggcagtttttccagaaaggtc (酉 ci歹【J番 35) No.9: aaaagtgattattgtgggcgaaagctgcgcgggcctgaacattgcgattg (酉 3歹 (J¾ "号 36) No.10: ccgcaattttatccacatagcgatccgccgcaatcgcaatgttcaggccc (酉己列番号 37) No.11: ctatgtggataaaattgcggcgggcgtttttcataacagcctgctgccgg (酉己歹 []¾·号 38) No.12: ccacggtatagctcgggctatgcacggtatccggcagcaggctgttatg (酉歹 (I番^" 39) No.13 ·' tagcccgagctataccgtggaaaaactgctggaaagctttccggattggc (酉己列番 40) No.14: tgttggtaaaggtaaaatattcggtatcgcgccaatccggaaagctttcc (目 G歹 ϋ¾·号 41) No.15: atattttacctttaccaacattaccggcgaaaccattaccaccatgaaac (配歹' J番"^ 42J No.16: acaggttttcgcgcagcagcacaaagcccagtttcatggtggtaatgg (配歹 (J番号 43) No.17 ·· ctgctgcgcgaaaacctgtttaccaaatgcaccgatggcgaatatgaac (酉己歹!]番 44) No.18 '■ ggctgcctttgcgcatcaccattttcgccagttcatattcgccatcggtg (酉己列番号 45) No.19: ggtgatgcgcaaaggcagcctgtttcagaacgtgctggcgcagcgcccg (配列番号 46) No.20: taatgctgccatagcctttttcggtaaatttcgggcgctgcgccagcacg 歹幡号 47) No.21: aaaaggctatggcagcattaaaaaagtgtatatttggaccgatcagg (酉 3列 ¾·号 48) No.22: agcgctgaaaatccggcagaaaaattttatcctgatcggtccaaatatac ( ϋ歹备 49) Νο.23: gccggattttcagcgctggcagattgcgaactataaaccggataaagtg (¾ 歹【j杳"^ 50) No.24: gtttatgatcgccgccctgcacctgatacactttatccggtttatagttc (Bel列番 51) No.25: gggcggcgatcataaactgcagctgaccaaaaccgaagaagtggcgc (目 ii歹 U番号 52) No.26: catacgcatccgccacttcctgcagaatatgcgccacttcttcggttttg (酉己列 ¾·号 53) No.27 ·· a tggcggatgcgtatgcgtgaagcttttagctcctattaagttaacctg (酉己列 ¾·号 54ノ No.28 ·■ tgaaaatgtgagattatttataactgcacccaggttaacttaataggagc (酉己歹! J¾>号 55) No.29: taaataatctcacattttcatgtgagaattaaattgcactaaaataaag (酉己歹番号 56) No.30: catatttaaagaaaaaaaaactcaaactttattttagtgcaatttaattc ( 列番^ 57) 凍結乾燥されたオリゴヌクレオチドを蒸留水で再懸濁し、 100 pmol/ ΐとした。 30種のオリゴヌクレオチド溶液のそれぞれから 1 μ ΐずつ集めてミックスオリゴを 作製した。 この混合液を PCR-mix(Pwo 10 X緩衝液、 dNTP mix, Pwo DNAポリメ ラーゼ (Boehringer Mannheim)に下記表 4の用量で加えた。
表 4 PCR溶液の組成
PCR溶液 Α ( μ ΐ) Β ( μ \)
ミックスオリゴ 0.5 1
Pwo 10 X緩衝液 5 5 dNTPmix 5 5
Pwo DNAポリメラーゼ 0.5 0.5 蒸留水 39 38.5
計 ( μ ΐ) 50 50 PGRは、 94°Cで 30秒、 52°Cで 30秒、 72°Cで 30秒のセットを 55サイクル行い、 オリゴヌクレオチドを伸長させて、 遺伝子を合成した (lst PCR)。
次に、 上記のように作製した合成遺伝子の増幅を行った (2nd PCR) 。 上記の A または Bの反応産物 1.3 /i lに、 5 1の Pwo 10 X緩衝液、 5 μ 1の dNTP mix, 0.5 μ ΐの Pwo DNAポリメラーゼ、 36.2 μ ΐの蒸留水および 1 μ ΐの外側プライマ—を添 加した。 外側プライマーとして、 No.l (配列番号 28) および No.30 (配列番号 57) のプライマーを用いた。 2nd PCI ま、 94°Cで 30秒、 50°Cで 30秒、 72°Cで 60秒の セットを 23サイクノレ行い、 遺伝子を増幅した。
2nd PCRの増幅産物を 1.5%ァガロースゲルで解析した。 続いて、 この 0.9kbの バンドを QIAquick Gel Extraction Kit (QIAGEN) で精製した。 ゲルから精製した DNA (δ μ ΐ) 、 ベクター pT7 Blue (Ι β ΐ) 、 蒸留水 (4 μ 1) および solution I (DNA Ligation Kit ver.2 (タカラバイオ (株) 、 日本) ) (10 μ ΐ) を混合してライゲーシ ョン混合物を作り、この混合物を 12時間、 16°Cでィンキュベートすることで増幅産 物とベクターを結合した。 実施例 1 (4) と同様の操作により、 大腸菌 JM109株 の形質転換を行い、 生育コロニーより組換えベクターを回収した。 大腸菌コドン 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子の DNA断片が正しく発現ベクターに 連結された組換えべクタ一を確認した。
( 2 ) DNA塩基配列解析
プラスミ ド自動分離装置 (クラボウ、 大阪、 日本) をシークェンシング用の二本 鎖 DNAの調製に用いた。 (1 )で得られた形質転換体から精製したプラスミ ド DNA を EcoRIと Xbalで処理し、 ァガロースゲ^/で制限酵素消化された DNAの大きさ を解析した。 0.9kbの大きさの DNAフラグメントを示したプラスミ ド No.78を塩基 配列決定のための铸型 DNA として用いた。 核酸配列解析を M13Forward および Reverse IRD800 Infrared Dye Labeled primer (ァロカ (株)) でジデォキシヌクレオ チドチェーンターミネーシヨン法により行った。 シークェンシング反応を Thermo Sequence cycle Sequencing Kit(Amersham Bioscie nce (Upp sala, Sweden))で打レヽ、 反応混合物を DNAシークェンサ一 4000L(Li-cor、 Licon、 NE、 USA)に流した。 プ ラスミ ド No.78の大腸菌コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子配列は、 目的の遺伝子配列と同一であることを確認した, i 実施例 4
大腸菌コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ発現用ベクターの作製 実施例 3で得られた大腸菌コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝^"の 塩基配列に SD配列を付加した DNA断片を pUC19の Sphl-BamHI部位に揷入 し、 pUC19をベースとした大腸菌コドン野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ発現 ベクター p JMESDsy を以下のようにして作製した。 まず、 大腸菌コドン野生型 ヒドロキシュトリルリァーゼをコードする修飾 DNAフラグメントを PCR法により 得た。 PCR用の反応混合物は、 5 /i lの Pwo 10 Xバッファー、 5 1の dNTP mix、 0.5 μ 1の Pwo DNAポリメラーゼ、 36.2 1の蒸留水、 1 μ 1のセンスおよびアンチ センスプライマー、並びに铸型としてプラスミ ド No.78を 1〃1添加したものを用い た。 PCRは、 95°Cで 2分の変性を行った後、 94°Cで 30秒、 50°Cで 30秒、 72°Cで 2分を 30サイクル行った。センスプライマー(配列番号 58) は、その配列中に Sphl 認識部位、リポソーム結合部位、 pUC19の lacZ遺伝子フレームの TAG終止コドン、 ヒ ドロキシニトリルリァーゼ遺伝子の ATG開始コドンを有する 61ヌクレオチドの ものである。また、アンチセンスプライマー(配列番号 59)は、その配列中に BamHI 部位を有する 37ヌクレオチドのものである。
センスプライマー :
tgcaaagcatgctaaggaggaatagaaaatggtgaccgcgcattttgtgctgattcatacc (HG列 ¾ " 58) アンチセンスプライマー: attttagtgcaattggatcctcacatgaaaatgtgag (配列番号 59)
PCRJこより得られた増幅 PCR産物は、 Sphlおよび BamHIによって消化し、 了 ガロースゲル電気泳動で分離し、 その後 QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。 この精製 DNA断片 (5 μ 1 ) 、 予め Sphlおよび BamHIによって消化しておい た pUC19 (タカラバイオ(株)、 日本) (5 1 )、および solution I (DNA Ligation Kit ver.2 (タカラバィ才 (株) ) ) (10 1 ) を混合してライゲーシヨン混合物 を作った。 該混合物を 12時間、 l Cでインキュベートすることでリンカ一とべ クタ一を結合した。 実施例 1 ( 4 ) と同様の操作により、 大腸菌 JM109株の形 質転換を行った。 生育したコロニーより組換えベクターを回収した。 大腸菌コド ン野生型ヒ ドロキシュトリルリァーゼ遺伝子を含む修飾 DNA フラグメント (Sphl - BamHI断片)が pUC19の lacプロモーターの下流に正しく揷入された プラスミ ドを発現ベクター pUMESDsyと命名した。 実施例 5
第 2番目のアミノ酸が置換された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ発現べクタ 一、 および該べクターを含むヒドロキシニトリルリアーゼ発現形質転換体の作製 ( 1 ) 第 2番目のアミノ酸が置換された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ発現べ クタ一、 およぴ該ベクターを含むヒ ドロキシュトリルリアーゼ発現形質転換体の作 製 (その 1 )
キヤッサバ (Manihot esculenta) 由来野生型ヒドロキシニトリルリア一ゼの第 2番目のアミノ酸であるパリン (Val ; V) 力 ァラニン (Ala; A) 、 ァスパラギン 酸 (Asp; D) 、 グルタミン酸 (Glu; E) 、 グリシン (Gly; G) 、 イソロイシン (lie; I) 、 メチォニン (Met; M) 、 スレオニン (Thr; T) 、 ァスパヲギン (Asn; N) 、 リジン (Lys; K) 、 セリン (Ser; S) 、 フエ二ルァラニン (Phe; .F) 、 チロシン (Tyr; Y) 、 システィン (Cys; C) およびトリブトファン (Trp; W) に置換されたヒドロ キシニトリルリアーゼ遺伝子を、 PCRによる増幅を行う際に、 上述の発現ベクター pKK233-2(+Sse)上の Ncol認識部位と連結可能な制限酵素認識部位 (兼目的のアミ ノ酸をコードするコドン) をセンスプライマー中に導入することにより作製した。
PCR用の反応混合物は、 5 μ 1の Pwo 10 Xバッファー、 5 μ 1の dNTP mix、 0.5 μ ΐの Pwo DNAポリメラーゼ、 36.2 μ 1の蒸留水、 1 ^ 1のセンスおよびアンチセ ンスプライマー、 並びに錶型としてプラスミ ド pUMEを 1 μ 1添加したものを用い た。 PCRは、 95°Cで 2分の変性を行った後、 94°Cで 30秒、 50°Cで 30秒、 72°Cで 2分を 30サイクル行った。 センスプライマーは、 以下のものを用いた。
OXYN-32: agaccatggc tactgcacat tttgtt (配列番号 60: 26ヌクレオチドからなり、 その配列中に Ncol認識部位おょぴヒドロキシニト リノレリァーゼ遺伝子の ATG開始 コドン以降を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは GCTでァラニンをコ ードする) ·
OXYN-33: agaccatgga cactgcacat tttgtt (配列番号 61: 26ヌクレオチドからなり、 その配列中に Ncol認識部位おょぴヒ ドロキシニトリルリァーゼ遺伝子の ATG開始 コドン以降を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは GACでァスパラギン 酸をコードする)
OXYN-34: agaccatgga aactgcacat tttgtt (配列番号 62: 26ヌクレオチドからなり、 その配列中に Ncol認識部位おょぴヒドロキシュト リノレリァーゼ遺伝子の ATG開始 コドン以降'を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは GAAでグルタミン酸 をコードする)
OXYN-35: agaccatggg cactgcacat tttgtt (配列番号 63: 26ヌクレオチドからなり、 その配列中に Ncol認識部位おょぴヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の ATG開始 コドン以降を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは GGCでグリシンをコ ードする)
OXYN-10: atttccatca tgatcactgc acattttgtt ctg (配列番号 64: 33ヌクレオチドか らなり、 その配列中に BspHI認識部位およびヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子の ATG開始コドン以降を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは ATCでイソ ロイシンをコードする)
OXYN-36: agatcatgat gactgcacat tttgttc (配列番号 65: 27ヌクレオチドからなり、 その配列中に BspHI認識部位およびヒドロキシニトリルリァーゼ遺伝子の ATG開 始コドン以降を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは ATGでメチォニン をコードする)
OXYN-37: agatcatgac cactgcacat tttgtt (配列番号 66: 26ヌクレオチドからなり、 その配列中に BspHI認識部位おょぴヒドロキシュトリルリァーゼ遺伝子の ATG開 始コドン以降を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは ACCでスレオニン をコードする)
OXYN-38: agatcatgaa cactgcacat tttgttc (配列番号 67: 27ヌクレオチドからなり、 その配列中に BspHI認識部位およびヒドロキシニトリルリァーゼ遺伝子の ATG開 始コドン以降を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは AACでァスパラギ ンをコ一ドする)
OXYN-39: agatcatgaa aactgcacat tttgttc (配列番号 68: 27ヌクレオチドからなり、 その配列中に BspHI認識部位おょぴヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の ATG開 始コドン以降を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは AAAでリジンをコ 一ドする)
OXYN-40: agatcatgag cactgcacat tttgtt (配列番号 69: 26ヌクレオチドからなり、 その配列中に BspHI認識部位おょぴヒ ドロキシニトリルリァーゼ遺伝子の ATG開 始コドン以降を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは AGCでセリンをコ ードする)
OXYN-41: agaacatgtt cactgcacat tttgttc (配列番号 70: 27ヌクレオチドからなり、 その配列中に Pcil認識部位およびヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子の ATG開始 コドン以降を有し、第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは TTCでフエ二ルァラ二 ンをコ一ドする)
OXYN-42: agaacatgta cactgcacat tttgttc (配列番号 71: 27ヌクレオチドカ らなり、 その配列中に Pcil認識部位おょぴヒドロキシュトリルリァーゼ遺伝子の ATG開始 コドン以降を有し、第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは TACでチロシンをコー ド、する)
OXYN-43: agaacatgtg cactgcacat tttgttc (配列番号 72: 27ヌクレオチドからなり、 その配列中に Pcil認識部位およびヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子の ATG開始 コドン以降を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは TGCでシスティンを コード、する)
OXYN-44: agaacatgtg gactgcacat tttgttc (配列番号 73: 27ヌクレオチドからなり、 その配列中に Pcil認識部位およびヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子の ATG開始 コドン以降を有し、 第 2番目のアミノ酸に対応するコドンは TGGでトリブトファ ンをコードする)
また、 アンチセンスプライマーは、 実施例 2の (2 ) で用いた OXYN-09 を用い た。
得られた増幅 PCR産物は、 ァラニン、 ァスパラギン酸、 グルタミン酸およびダリ シン置換体については制限酵素 Ncolと Sse8387Iによって、 イソロイシン、 メチォ ニン、 スレオ-ン、 ァスパラギン、 リジンおよびセリン置換体については制限酵素
i
BspHI と Sse8387Iによって、 フエ二ルァラニン、 チロシン、 システィンおょぴト リブトファン置換体については制限酵素 Pcil と Sse8387Iによって、 それそれ二重 消化を行った。 ただし、 Ncol消化は部分消化を行った。 ァガロースゲル電気泳動で 分離後、 ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子全長を含むバンド (約 0.8kb) を QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。 精製したヒ ドロキシニトリノレリァーゼ遺 伝子 DNA'断片 (それぞれ 5 1) と実施例 2の (2 ) で作製した発現ベクター pKK233-2(+Sse) (5 ^ 1) をそれぞれ混合し、 さらに solution I (DNA Ligation Kit ver.2 (タカラバィ才 (株) ) ) (10 1 ) を混合してライゲーシヨン混合物を作つ た。該混合物を 12時間、 16°Cでインキュベートすることでリンカ一とベクターを結 合した。実施例 1の(4 ) と同様の操作により、大腸菌 JM109株の形質転換を行い、 生育コロニーより組換えベクターを回収した。 ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子
DNA 断片が正しく発現ベクターに連結された発現型組換えベクターを確認し、 第 2番目のアミノ酸が、 ァラニン、 ァスパラギン酸、 グルタミン酸、 グリシン、 ィ ソロイシン、 メチォニン、 スレオェン、 ァスパラギン、 リジン、 セリン、 フエ二ノレ ァラニン、 チロシン、 システィンおよびトリプトファンに置換されたヒ ドロキシュ ト リルリア一ゼをコ一ドする遺伝子を含む組換えベクターをそれぞれ、 pOXN103V2A、 pOXN103V2D、 pOXN103V2E, pOXN103V2G、 pOXN103V2I、 pOXN103V2M、 pOXN103V2T、 pOXN103V2N、 pOXN103V2K, pOXN103V2S、 pOXN103V2F、 pOXN103V2Y, pOXN103V2Cおよび pOXN103V2Wと命名し た。 同時に、 各ヒドロキシニトリルリアーゼ形質転換体、 JM109/pOXN103V2A、 JM109/pOXN103V2D 、 JM109/pOXN103V2E 、 JM109/pOXN103V2G 、 JM109/pOXN103V2I 、 JM109/pOXN103V2M 、 JM109/pOXN103V2T 、 JM109/pOXN103V2N 、 JM109/pOXN103V2K 、 JM109/pOXN103V2S 、 JM109/pOXN103V2F、 JM109/pOXN103V2Y、 JM109/pOXN103V2C および JM109/pOXN103V2Wを得た。
( 2) 第 2番目のアミノ酸が置換された改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ発現べク ター、 および該ベクターを含むヒ ドロキシニトリルリアーゼ発現形質転換体の作製
(その 2 )
i キヤッサバ (Manihot esculenta) 由来野生型ヒドロキシニト リノレリァーゼの第 2 番目のアミノ酸であるパリン (Val ; V) 1 アルギニン (Arg; R) 、 グルタミ ン (Gln; Q) 、 ヒスチジン (His; H) 、 ロイシン (Leu; L) およびプロリン (Pro; P) に置換されたヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子については、 実施例 2の (2 ) の 方法で作製した野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ発現ベクター pOXN103 を铸型 とし、 QuikChange™ Site -Directed Mutagenesis Kit (ストラタジーン社製) に よる部位特異的変異導入法により作製した。 変異導入用プライマーには以下を用い た。
アルギニン置換体
OXYN-45: aaacagacca tgcgtactgc acattttg (配列番号 74: 28ヌクレオチドからな るセンスプライマーであり、 OXYN-46 と相補的な配列を有し、 第 2番目のァミノ 酸に対応するコドンは CGTでアルギニンをコードする)
OXYN-46: caaaatgtgc agtacgcatg gtctgttt (配列番号 75: 28ヌクレオチドからな るアンチセンスプライマーであり、 OXYN-45と相補的な配列を有する)
グルタミン置換体
OXYN-47: aaacagacca tgcagactgc acattttg (配列番号 76: 28ヌクレオチドからな るセンスプライマーであり、 OXYN-48 と相補的な配列を有し、 第 2番目のァミノ 酸に対応するコドンは CAGでグルタミンをコ一ドする)
OXYN-48: caaaatgtgc agtctgcatg gtctgttt (配列番号 77: 28ヌクレオチドからな るアンチセンスプライマーであり、 OXYN-47と相補的な配列を有する)
ヒスチジン置換体
OXYN-49: aaacagacca tgcacactgc acattttg (配列番号 78: 28ヌクレオチドからな るセンスプライマーであり、 OXYN-50 と相補的な配列を有し、 第 2番目のァミノ 酸に対応するコドンは CACでヒスチジンをコードする)
OXYN-50: caaaatgtgc agtg gcatg gtctgttt (配列番号 79: 28ヌクレオチドからな るアンチセンスプライマーであり、 OXYN-49と相補的な配列を有する) — ロイシン置換体
OXYN-51: aaacagacca tgctgactgc acattttg (配列番号 80: 28ヌクレオチド;^らな るセンスプライマーであり、 OXYN-52 と相補的な配列を有し、 第 2番目のァミノ 酸に対応するコドンは CTGでロイシンをコードする)
OXYN-52: caaaatgtgc agtcagcatg gtctgttt (配列番号 81: 28ヌクレオチドからな るアンチセンスプライマーであり、 OXYN-51と相補的な配列を有する)
プロリン置換体
OXYN-53: aaacagacca tgccgactgc acattttg (配列番号 82: 28ヌクレオチドからな るセンスプライマーであり、 OXYN-54 と相補的な配列を有し、 第 2番目のァミノ 酸に対応するコドンは CCGでプロリンをコードする)
OXYN-54: caaaatgtgc ag cggcatg gtctgttt (配列番号 83: 28ヌクレオチドからな るアンチセンスプライマーであり、 OXYN-53と相補的な配列を有する)
該キットプロ トコールに従い、 伸長反応おょぴ Dpnl処理後、 大腸菌 JM109株 の形質転換を行い、生育コロニーよりプラスミ ド DNAを回収した。 ヒドロキシニト リルリアーゼ遺伝子 DNA断片が正しく発現ベクターに連結されたプラスミ ドを 確認し、 第 2番目のアミノ酸が、 アルギニン、 グルタミン、 ヒスチジン、 ロイシン およびプロリンに置換されたヒドロキ、ンニトリルリア一ゼをコ一ドする遺伝子を含 む発現ベクターをそれぞれ、 pOXN103V2R、 pOXN103V2Q, pOXN103V2H、 POXN103V2Lおよび pOXN103V2Pと命名した。 同時に、 各ヒドロキシニトリル リアーゼ発現形質転換体、 JM109/pOXN103V2R、 JM109/pOXN103V2Q、 JM109/pOXN103V2H、 JM109/pOXN103V2Lおよび JM109/pOXN103V2Pを得 た。 実施例 6
第 2 番目のアミノ酸が置換された改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ形質転換 体の発現量評価
( 1 ) 細胞抽出液の調製
実施例 5の (1 ) および (2 ) で作製した第 2番目のアミノ酸が置換された改良 型ヒドロキシニトリルリアーゼ形質転換体のうち、 pOXN103V2K、pOXN103V2N、 pOXN103V2I、 pOXN103V2R、 pOXN103V2Q, pOXN103V2P、 pOXN103V2T、 pOXN103V2Y、 pOXN103V2L、 pOXN103V2M、 pOXN103V2S、 pOXN103V2E、 POXN103V2A、 POXN103V2G、 pOXN103V2D を、 以下に示す培地 (500ml容三 角フラスコ中の 100ml) で 37°Cで 24時間培養した。
培地組成
ぺプトン 10g/L
酵母エキス 5g/L
NaCl 10g/L
アンピシリン 50mg/L
IPTG ImM (終濃度)
なお、 コントロールとして実施例 2の (2 ) で得られた野生型ヒドロキシニトリ ルリァーゼ発現ベクター導入した形質転換体 JM109/pOXN103も同様に培養した。 得られた培養液から遠心分離 (3,700X g、 10分間、 4°C) により菌体を回収し、 10mM リン酸—ナトリゥム緩衝液 (pH7.0) で洗浄した後、 10mlの同緩衝液に懸濁 した。 得られた菌体懸濁液の lmlを、 超音波破砕機 VP— 15S (タイテック、 日本) を用いて、 出力コントロール 4、 DUTY CYCLE 40°/。、 PULS、 TIMER=Bモード 10sの条件で氷冷しながら 3分間破碎した。 破砕した菌体懸濁液を細胞抽出液全画 分として採取した。
( 2 ) ポリアクリルアミドゲル電気泳動による発現量の解析
(1) で得られた細胞抽出液全画分を、 それぞれ培養液時点での菌濃度換算で OD630= 12.5 となるよう、 10mM リン酸一ナトリウム緩衝液 (pH7.0) で希釈し た。 希釈した各株由来の細胞抽出液全画分を等量のポリアクリルアミドゲル電気泳 動用サンプルバッファー (0.1M Tris_HCl(pH6.8)、 4%w/v SDS. 12%v/v /3メルカ プトエタノール、 20%v/v グリセロール、 微量ブロモフエノールブルー) と混合し、 5分間煮沸し変性処理を行った。 10%ポリアクリルアミドゲルを作製し、変性処理済 みサンプルを 1レーンあたり 5 μ 1ずつアプライし、電気泳動分析を行った(図 3)。 ヒ ドロキシニトリルリァーゼは約 30kDaのバンドとして観察された(図 3中の矢印)。 空ベクターのみの jM109/pK 233-2(+Sse)をバックグラウンドとし、 ヒ ドロキシニ トリルリアーゼに相当するバンドの濃度について、 野生型ヒ ドロキシニトリルリア
i ーゼ発現形質転換体 JM109/pOXN103のバンドと解析比較(解析ソフト Image-Pro Plus Ver4.5 (株式会社プラネト口ン製) を使用) したところ、 表 5のような相対値 が得られた。 第 2番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換することで発現量が 大きく向上する改良型ヒ ドロキシニトリノレリァーゼを得られることが示された。 第 2番目のアミノ酸とホルミルメチォニンプロセッシングの関係や N末端則によ れば、 タンパク質の 2番目のアミノ酸残基がバリンである場合とイソロイシンであ る場合を比較して、 タンパク質の安定性に有意な差はないとされている。 従って、 上述の発現量向上効果は、 該関係 ·法則により説明できるものではなく、 まったく 新しい原理に起因するものと考えられた。 改良型ヒ ドロキシュトリ/レリァーゼのバンド濃度相対比
Figure imgf000076_0001
実施例 7
第 2 番目のアミノ酸が置換された改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ形質転換 j 体の活性評価
実施例 5の (1) および (2) で作製した第 2番目のアミノ酸が置換された改良型 ヒ ドロキシニトリルリァーゼ形質転換体のうち、 pOXN103V2K、- pOXN103V2N、 pOXN103V2I、 pOXN103V2R、 pOXN103V2Qを、 培養温度 30°C、 培養時間 24時 間とした以外は実施例 6の (1) と同様の方法で培養した。 なお、 コントロールとし て実施例 2の ( 2 ) で得られた野生型ヒ ドロキシュトリルリァーゼ組換えべクタ一 を導入した形質転換体 JM109/pOXN103 も同様に培養した。 得られた培養液から、 実施例 6の (1 ) と同様の方法により細胞抽出液全画分として採取した後、 遠心分 離を行い (10,OO0 X g、 5 分間、 4°C) 、 得られた上清を細胞抽出液可溶性画分とし て採取した。 得られた細胞抽出液可溶性画分を用い、 特表平 1 1一 5 0 8 7 7 5号 公報記載の方法によりヒ ドロキシニトリルリアーゼ活性を測定した。 すなわち、 ラ セミマンデロニトリルからベンズアルデヒ ドの生成を追跡することで活性を測定し た。 酵素溶液 50 1を、 50mMタエン酸ナトリゥム緩衝液 (pH5.0) 900 μ ΐと混合 し、 基質溶液 100〃1 (37.5mMラセミマンデロニトリル ZlOmMクェン酸ナトリウ ム緩衝液 (pH3.5) ) を添加して活性測定を開始した。 280nmでの吸光の増加 (対 照として酵素非含有基質溶液で測定) を 5分間追跡した。 1 Uは上記条件下でラセ ミマンデロニトリル力 ら 1分間あたりべンズアルデヒ ド 1 /z molの変換を触媒する酵 素量に相当する。 また、バイオラッドプロテインアツセィ (バイオラッド) により、 添付プロトコールに従ってタンパク質の定量を行った。 その結果、 細胞抽出液可溶 性画分タンパク質 mg あたりの比活性はそれぞれ、 JM109/pOXN103V2K 由来は 22.7U/m タンパク質、 JM109/pOXN103V2N 由来は 8.1U/mg タンパク質、 JM109/pOXN103V2I由来は 5.5U/mgタンパク質、 JM109/POXN103V2R由来は 7.8U/m タンパク質、 JM109/pOXN103V2Q由来は 4.5U/mgタンパク質であった。 —方、 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ発現ベクターを導入した形質転換体 JM109/pOXN103 の細胞抽出液可溶性画分タンパク質 mg あたりの比活性は、
2.7U/mgタンパク質であった。第 2番目のアミノ酸残基を他のァミノ酸に置換する ことで得られる改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼの細胞抽出液タンパク質あた りの比活性は、 野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ発現ベクターを導入した形質転
i 換体よりも大きく向上していることが確認された。 実施例 8 - Error prone PCRによるランダム変異の導入とスクリ一二ング
( 1 ) Error prone PCR ( 1回目)
実施例 4'で作製した大腸菌コドン野生型ヒ ドロキシニトリルリァーゼ発現べクタ 一 pUMESDsyを铸型として Error prone PCRを行った。
Error prone PCRの条件として、 PCR反応液中の MgCl2と MnCl2量を増やし た組成で行つた。 PCR反応溶液の組成を表 6に示す。
表 6 Error prone PCR反応溶液組成
铸型 DNA (pUMESDsy) 1 ( μ ΐ)
Primer Ml3_reverse 1
M13-forward 1
10 X Buffer (Taq用)(MgCl2含有せず) 5
10 mM dATP 1
10 mM dCTP 5
10 mM dGTP 1
10 mM dTTP 5
Taq DNA polymerase 2.5
25 mM MgCl2 15
5mM MnCl2 10
H20 2.5
Total 50 ( μ ΐ)
上記プライマーの配列は以下のとおりである。
M13-reverse: aacagctatgaccatg (配歹番号 84) M13-forward : gtaaaacgacggccagt (酉己歹 U番 85)
PCRの反応条件は以下のとおりである (表 7) 。
表 7 Error Drone PCR反応条件
95°C 5分
ϊ
95°C 30秒
55°C 1分 30秒 X 30サイクノレ
72°C 1分
Figure imgf000079_0001
Ϊ
72°C 10分
i
4°C forever 得られた PCR産物は Gel Extraction System(VIOGENE社)でァガロースゲル から抽出した。
増幅した DNAおよびベクター pUC19を BamHIおよび SpM処理をし、 電気 泳動した。 電気泳動後のゲルからそれぞれを抽出により回収し、 増幅 DNA と pUC19 とをライゲーシヨンした。 続いて、 ライゲーシヨン液を用いて、 大腸菌 JM109をトランスフォーメーションして形質転換体を得た。変異体コロニーのマ スタープレートを作製し、 以下の実験に用いた。
( 2 ) Error prone PCRにより得られた変異体のスクリ一二ング
( 1 ) で得られた変異体の中から、 活性上昇したものをスクリーニングした。 活性測定は、 変異体の培養菌体から調製した細胞抽出液可溶性画分における基質 マンデロニトリルの分解活性を、 ベンズアルデヒドの生成量を指標にして実施し た。
( 2 - 1 ) サンプル調製
96-wellプレートを用いてサンプルを調製した。 0.8 ml 96-well滅菌プレート
(ABgene社) に LB (80 μ g/ml Ampおよび 0.1 mM IPTG含有) を 150 μ 1ず つ分注し、 変異体コロニーをマスタープレートから植菌した。 このプレートを
BioShaker (M-BR-024、 TAITEC社)を用いて 37°C、 1,200 rpmで 12時間振と う培養した。培養後、培養液を遠心分離し(5,000rpm、 10分、 4°C、 imac CR20、 ローター: R6S、 日立社) 、 集菌した。 上清を除き、 新聞紙上で逆さにして培地を できる限り除去した後、得られた菌体を ΙΟΟ μ Ιの 0.85 % NaClに BioShakerを 用いて懸濁した後、 懸濁液を 96-well U底プレート (Corning社) に移した。 続 いて、 遠心分離 (4,500rpm、 10分、 4°C、 himac CR20、 ローター R6S、 日立社) により集菌し、 上清を除き、 新聞紙上で逆さにして水分を除去した。 得られた菌 体に Lysozyme溶液(10 mg/ml Lysozyme (卵白由来、生化学工業)、 100 mM KPB (pH7.0)、 10 mM EDTA) を 5 μ 1添加し、 TUPLE MIXER (スピード 7、 IWAKI 社)で懸濁した。 37°Cで 1時間のインキュベートにより Lysozyme 処理を行い、 大腸菌をプロトプラスト化させた。 得られた大腸菌に- 40°Cおよび 37°Cで凍結融 解処理を施し、 ΙΟΟ μ Ιの低張液 (10 ηιΜ ΚΡΒ(ρΗ7·0)、 5 mM MgCl2) を添加し て溶菌させた。 この溶液を遠心分離 (4, 500rpm、 10分、 4°C、 himac CR20, 口 一ター R6S、 日立社) により、 大腸菌のゲノムと細胞壁等を沈殿させ、 上清を得 て粗酵素液として以下の実験に用いた。
あるいは、 変異体の形質転換体を培養し、 培養菌体をリン酸緩衝液 (pH7) で 洗浄後、 超音波で破砕し、 細胞抽出液全画分とした。 破碎液を遠心分離後、 上清 を採取し、 細胞抽出液可溶性画分とした。 沈殿物を、 上清と当量のリン酸緩衝液 (pH7) に懸濁し、 細胞抽出液不溶性画分とした。
( 2 - 2 ) 活性測定
ヒドロキシニトリルリァーゼの基質であるマンデロニトリルの分解活性をベン ズアルデヒ ドの生成量によって測定した。 反応組成を表 8に示す。 表 8 反応組成
100 mM Na-citrate buffer (pH5.4) 100 1) 50 mM
10 mM racemic mandelonitrile 80 4 mM Enzyme solution (粗酵素液、細胞抽出可溶性画分) 10
DIW 10
Figure imgf000081_0001
活性測定の方法は、 96-well UVプレート (greiner bio'one社) に Na'citrate bufferを添加し、 25°Cにした。 次に粗酵素液を添加し、 ピペッティングにより懸 濁した。 次に racemic mandelonitrileを添加し、 ピぺッティングおよぴ振とうし た後、 マイクロプレートリーダー (GENios、 テカン · ジャパン社) を用いて、 波長 280 nm における吸光値の増加を 25°Cで 10 分間測定した。 解析には LS-PLATEmanager 2001(Win) (和光純薬工業社) を用いた。
( 2 - 3 ) スクリ一二ング結果
ポジティブコントロール pUMESDsyまたは PCRの錶型とした検体、ネガティ ブコントロールとして pUC19 を用いてスクリーニングを行った。 具体的には、 得られた変異体約 5,000コロニーからポジティブコントロールよりも高活性を示 した 11検体を選出した。 この 11検体をそれぞれ 3mLスケールで培養し、 ヒ ド 口キシニトリルリアーゼを発現させた。 そして、 ベンズアルデヒ ドからの (S)-マ ンデロニトリルの生成を測定することによって合成活性を測定した。 標準アツセ ィ溶液は、 最終容量 0.9 ml中に 300 mMクェン酸緩衝液 (pH 4.0)、 50 mMベン ズアルデヒ ドおよび 100 mMシアン化物溶液を含有する。 100 μ ΐの酵素溶液を 添加することによって反応を直ちに開始し、 25°Cで 120分間ィンキュベートした。 900 Ai l の有機溶媒 (へキサン:イソプロパノール = 9:1) にサンプリングした反 応液 100 1を添加して反応を停止させ、 遠心 (15,000 X g、 10 分、 4°C) により 得た上清を HPLCによりアツセィした。 各成分の量は、 CHIRALCEL OJ-H力 ラム (ダイセル化学社製) を用いてへキサン:イソプロパノール = 90:10 を移動 相として流量 1.0 ml/分で流し、 カラム温度は 30°Cに設定、 254 nmで測定し、 そ れらの標準曲線を用いて算出した。 標準的アツセィ条件下でベンズアルデヒ ドか j ら、 1分あたり l w molの S-マンデ口-トリルを生成する酵素の量を酵素活性の 1単位を定義した。
測定の結果、 ポジティブコントロールよりも著しく高活性であった検体を選出 して、 SDS-PAGEにより可溶性画分の収率確認を行い、 さらに DNAシーケンス 解析により変異の導入を確認した。
11検体中で最も高活性を示した検体は pUMESDsyの約 10倍の合成活性(63.3 U/ml) であり、 SDS-PAGE を行った結果、 発現したヒドロキシニトリルリア一 ゼのほとんどが可溶性画分に存在していた (表 9およぴ図 4) 。 シーケンス解析 により、 Hisl03→Leul03への 1アミノ酸置換によることが確認された。 得られ た変異体プラスミ ドを pUMESDsy-H103Lとした。
( 3 ) Error prone PCRによるランダム変異 (2回目)
上記( 2 )で得られた pUMESDsy'Hl03Lを鎵型として、再度 error prone PCR を行った。 1回目の Error prone PCRの錶型に用いた pUMESDsy、 得られた変 異体クローン pUMESDsy-H103L、 および pUMESDsy-H103Lを铸型に用いた 2回目の Error prone PCRで得られたランダム変異体クローン 19'E8、 36-E10 のヒ ドロキシニトリルリァーゼ合成活性 (U/ml) を表 9に示す。
表 9 ランダム変異体の (S)-HNL合成活性
Figure imgf000082_0001
(U/ml) pUMESDsy-H103Lを铸型にした Error prone PCRの結果、 クローン 19-E8 では更なる活性上昇 (表 9) と可溶性画分の収率増加 (図 4) が認められた。 シ 一ケンス解析の結果、 クローン 19-E8には Hisl03(cat)→Leu(ctt)、 Phel25(ttt) →Leu(ctt)、 Thrl46(acc)→Thr(aca)の変異 (2アミノ酸置換、 3塩基変異) が導 入されていた。 また、 铸型よりも活性上昇が認められなかったクローン 36-E10 には、 Hisl03(cat)→Leu(ctt)、 Thr205(acc)→Ser(tcc)、 Asp235(gat)-→Gly(ggt) の変異 (3アミノ酸置換、 3塩基変異) が導入されていた 実施例 9
野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子への H103L置換
実施例 2 ( 1) で作製した植物コドン野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝 子を含む発現ベクター pUMESDに対して、 第 103番目のヒスチジン (His、 H) がロイシン (Leu、 L) となるように置換し、 pUMESD-H103L を構築した。 こ の部位特異的変異導入は QuickChange Site-Directed Mutagenesis Kit (STRATAGENE社)を用いて行つた。
PCRの反応条件を表 10に示す。
PCR反応溶液組成
10 X reaction Bufier 5 ( μ 1)
铸型 DNA (pUMESD) 1
5' -primer 1.25
3'-primer 1.25
dNTP mix 1
H20 39.5
Pfu Turbo DNA polymerase 1
Total 50 ( μ 1) 上記プライマー (5'-primer) の配列は以下のとおりである。
OXYN-30: gctggtgttttcctgaattccttattgcc (配列番号 86)
上記プライマー (3'-primer) の配列は以下のとおりである。
OXYN-31: gcaataaggaattcaggaaaacaccagc (酉己歹1 J番"^ 81)
OXYN-30 (配列番号 86)は、 29ヌクレオチドからなるセンスプライマーであり、
OXYN-31と相補的な配列を有し、 第 103番目のアミノ酸に対応するコドンは CTG でロイシンをコードする。 また、 OXYN-31 (配列番号 87) は、 29ヌクレオチドか らなるアンチセンスプライマーであり、 OXYN-30と相補的な配列を有する。 PGRの反応条件は以下のとおりである (表 11) 。
表 11 PCR反応条件
95。C 30秒
1
95°C 30秒
55°C 1分 X 12サイクノレ
68°C 4分
1
4°C forever pUMESDに H103L変異を導入するために、 上記のプライマー (OXYN-30と OXYN-31)を使用して PCRによる部位特異的変異(1アミノ酸置換)を行った。 PCRの反応液 50 μ 1に Dpnlを: 1添加し、 37度で 1時間インキュベートした。 この処理によって、 鎊型 DNAを消化し、 変異の入ったプラスミ ドのみを得た。 Dpnl処理後の PCR反応液で、実施例 1 ( 4 )と同様の操作により、大腸菌 JM109 株の形質転換を行った。 生育したコロニーより組換えベクターを回収した。 植物 コドン野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子に H103L変異が導入されてい るものを pUMESD-H103Lと命名した。
実施例 8で得られた pUMESDsy-H103L のヒ ドロキシュトリルリァーゼ活性 と上記 pUMESD-H103L のヒドロキシュトリルリアーゼ活性 (合成活性) を比 較した。 ヒドロキシュトリルリアーゼ合成活性の測定は実施例 8の方法に準じて 行った。 培養は、 培養開始と同時に最終濃度で 0.1 mMになるように IPTGを添 加し、 37°Cで 12時間行い、 菌体を回収した。
大腸菌コ ドン野生型ヒ ドロキシニト リルリァーゼを有するプラスミ ド pUMESDsy、植物コドン野生型ヒドロキシュトリルリアーゼを有するプラスミ ド pUMESD, 並びにこれらの 2つのプラスミ ドを铸型として H103L置換をして得 られたプラスミ ド pUMESDsy-H103Lと pUMESD-H103Lの 4検体におけるヒ ドロキシュトリルリアーゼ合成活性 (U/ml) を表 12に示す。 その結果、 大腸菌 コ ドンの場合と同様に、 植物コ ドンのヒ ドロキシニトリルリァーゼ遺伝子の
H103L置換体 (pUMESD-H103L) では、 酵素活性の上昇 (表 12) と可溶性画 分の収率増加 (図 5) が認められた。
ァミノ酸置換体の (S)-HNL合成活性
Figure imgf000085_0001
(U/ml) 実施例 1 0
大腸菌コドンおょぴ植物コ ドン野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の
H103残基への全ァミノ酸置換
( 1 ) H103残基置換体の作製
第 103番目のアミノ酸残基を 20必須アミノ酸に変異させるランダムプライマ 一を大腸菌コドンおょぴ植物コドンの両野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝 子において設計し、 変異体を作製した。 PCRの反応条件を表 13に示す。
PCR反応溶液組成
10 X reaction Buffer 5 ( μ 1)
鏡型 DNA (pUMESDsy, pUMESD) 1
5'-primer 1.25
3'-primer 1.25
dNTP mix 1
H2O 39.5
Pfu Turbo DNA polymerase 1
Total 50 ( μ 1) 上記プライマー (5,-primer) の配列は以下のとおりである。 H103-20aa-F ggcgggcgtttttnnsaacagcctgctgcc (酉己歹' J番号 88、 大腸菌コ ドン 野生型ヒドロキシュトリルリアーゼ遺伝子増幅用)
ME-H103-20aa-F gcagctggtgttttcnnsaattccttattgccagacaccg (酉己歹 IJ番号 89 植物コドン野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子増幅用)
上記プライマー (3'-primer) の配列は以下のとおりである。
H103-20aa-R ggcagcaggctgttsnnaaaaacgcccgcc (酉己歹 (J番 90、 大月 | ^コドン 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子増幅用)
ME-H103"20aa-R cggtgtctggcaataaggaattsnngaaaacaccagctgc (酉己列番
91、 植物コドン野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子増幅用)
上記プライマー配列中、 nは a, t, gまたは cである。
PCRの反応条件は以下のとおりである (表 14) 。
表 14 PCR反応条件
95°C 30秒
1
95°C 30秒
55°C 1分 X 12サイクノレ
68°C 4分
i
4°C forever 実施例 9と同様の方法により、 QuickChange Site -Directed Mutagenesis Kit (STRATAGENE社)を用いた部位特異的変異導入により、 H103残基における 20 アミノ酸置換体の構築を次のように行った。 pUMESDsy と pUMESD の H103 残基に 20アミノ酸置換を導入するために、 プライマー (上記の H103-20aa-Fと
H103-20aa-I の組合せ、および ME-H103-20aa_Fと ME-H103'20aa-Rの組合せ) を使用して PCRによる部位特異的変異 (1アミノ酸置換) を行った。 PCRの反 応液 50 1に Dpnlを 添加し、 37度で 1時間インキュベートした。 この処 理によって、 錡型 DNA を消化し、 変異の入ったプラスミ ドのみを得た。 Dpnl 処理後の PGR反応液で、 大腸菌 JM109をトランスフォーメーションした。 コロ ニーを 0.8 mL 96-well滅菌プレート (Abgene社) にランダムに植菌し、 IPTG 誘導を行い、 実施例 8 ( 2 - 1 ) に記載の方法に従って酵素液を調製した。 続い て、 実施例 8 ( 2 - 2 ) と同様、 マイクロプレートリーダーにより、 分解活性を 測定した。 96-well plateを用いた活性測定を行う際には、 コントロールとして、 铸型である pUMESDsy およぴ pUMESD と、 高活性変異体である pUMESDsy-H103L お よ び pUMESD'H103L を用 い た。 解析 に は LS-PLATEmanager 200l(Win) (和光純薬工業社) を用いた。 得られたコロニー からプラスミ ドを抽出精製後、 BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit (ABI社)を用いた DNAシーケンス解析により配列を確認した。
( 2 ) 結果
上述したランダムプライマーを用いた部位特異的変異によって、 pUMESDsy と pUMESDの H103残基にランダムにアミノ酸置換を導入した。 DNAシーケン ス解析によって H103残基が 20ァミノ酸に置換した計 40種類の変異体を取得す ることができた。 各アミノ酸置換体における 103残基のコドンを表 15に示す。
pUMESDsy、 pUMESDの H103残基における
20ァミノ酸置換体の使用コドン
Figure imgf000088_0001
得られた変異体の形質転換体である、 大腸菌 JM109/pUMESDsy-H103-20aa および大腸菌 JM109/pUMESD-H103-20aa ( 「-20aa」 にはアミノ酸の一文字表 記が入り、 H103 置換後のアミノ酸を表す。 例えば、 ロイシン置換体であれば、 JM109/pUMESD-H103Lである。 ) を LB+Amp (80 ,u g/ml) 培地で 37°Cで培養 し、 培養開始と同時に最終濃度 0.1 mMの IPTGを添加した。 37°Cで 12時間培 養し、 ヒドロキシニトリルリアーゼを大量発現させた。 12時間後、 培養液を 2.4 mlずつ集菌し、 生理食塩水で洗浄した後、 800 1の 10 mM KPB (pH7.0)に懸濁 し、 菌体反応により合成活性測定を行った。 大腸菌コドンの結果を図 6 (A) に、 植物コドンの結果を図 6 (B)にそれぞれ示す。 H103Lのほか、 H103A、 H103V、 H103I、 H103M, H103S、 H103T、 H103C、 H103W、 H103Q において野生型 よりも高い活性が確認された。 両コドンでの結果がほぼ一致していることから、 H103変異の効果はコドンの種類によらないものであることが確認された。 実施例 1 1
第 2番目と第 103番目のアミノ酸が置換された複合改良型ヒドロキシニトリル リァーゼ発現形質転換体の作製
実施例 2 ( 2 ) で作製した pOXN103、 および実施例 5 ( 1 ) で作製した POXN103V2Iをもとに、 さらに 103番目のアミノ酸であるヒスチジン(His; H) がロイシン (Leu; L) に置換された変異体を実施例 9と同様の方法により、 QuickChange Site-Directed Mutagenesis Kit (STRATAGENE社)を用いて作製 した。 変異導入用プライマーには実施例 9で用いた OXYN-30 (配列番号 86) およ び OXYN-31 (配列番号 87) を用いた。
当該キットのプロトコールに従い、 PCR反応および Dpnl処理後、大腸菌 JM109 株の形質転換を行い、 生育コロニーよりプラスミド DNAを回収した。 第 103番目 のアミノ酸がロイシンに置換されたヒドロキシュトリルリアーゼをコードする遺伝 子を含む発現ベクターを、 pOXN103H103L (pOXN103に H103L変異導入) お よび pOXN103V2I+H103L (pOXN103V2Iに H103L変異導入) と命名した。 実施例 1 2
第 2番目および第 103番目のァミノ酸が置換された複合改良型ヒドロキシニト リルリァーゼ発現組換え体の評価
(1) 実験方法
I
(1 - 1) 使用プラスミ ドおよび使用菌株
実施例 2 (2) で得られた pOXN103 (植物コドン野生型ヒドロキシニトリル リアーゼ発現ベクター) 、 実施例 5 (1) で得られた pOXN103V2I (植物コドン V2I ヒ ドロキシニトリルリアーゼ発現ベクター) 、 実施例 1 1で得られた pOXN103H103L (植物コドン H103L ヒ ドロキシニトリルリアーゼ発現べクタ 一) および' pOXN103V2I+H103L (植物コドン V2I+H103Lヒ ドロキシニトリル リアーゼ発現ベクター)により、実施例 1 (4)と同様の操作により、大腸菌 JM109 お よび C600 株の形質転換を行い、 それぞれ JM109/pOXN103、 JM109/pOXN103V2L JM109/pOXN103H103L、 JM109/pOXN103V2I+H103L、 C600/pOXN103V2Iおよび C600/pOXN103V2I+H103Lを得た。
(1 - 2) 培養条件
(1 - 2 -1) フラスコ培養評価
形質転換体 JM109/pOXN103、 JM109/pOXN103V2I、 JM109/pOXN103H103L, JM109/pOXN103V2I+H103Lのコロニーを LBAmp培地(IPTG 0または ImM含 有) 100 ml (500 mlフラスコ) で、 30°Cまたは 37°Cで振盪 (210rpm) するこ とにより、 フラスコ培養を行った。
(1 - 2 -2) ジャー培養評価
形質転換体 C600/pOXN103V2I、 C600/pOXN103V2I+H103Lのコロニーを、 以 下に示す培地 (500ml容三角フラスコ中の 100ml) で 30°Cで 12時間前培養を行つ た。
前培養培地組成 (pH7.2) :
ポリペプトン N (20g/L) 、 酵母エキス (5g/L) 、 KH2PO4 (l.5g/L) 、 アンピシ リン (0.1g/L)
回転数は 210rpmで行った。
得られた前培養液 20mlを以下に示す本培養培地 (3Lジャーファーメンタ一中の 2L) に植菌し、 37°Cまたは 25°Cで 2'0〜52時間本培養を行つた。 本培養培地組成
ポリペプトン N 20g/L
酵母エキス 5g/L
KH2PO4 1.5g/L
MgSO4-7H2O 0.5g/L
MnSO4- 5H2O 0.2g/L
ZnS04- 7H2O 0.02g/L
CaCl2'2H2O 0.02g/L
プル口ニック L-61 0.5g/L
フノレクトース 40g/L
アンピシリン O.lg/L
回転数は 750rpm、空気流量は 2L/min、内圧は常圧、 pHは 6.8-7.2制御(3N NaOH と 5N ¾S04使用)で行った。培養の途中、適時サンプリングを行い、菌濃度(OD630) の測定、 およぴヒドロキシニトリルリァーゼ分解活性測定を行った。
( 1 - 3 ) サンプル調製
分解活性測定は以下のように行った。 サンプリングした培養液から遠心分離 (3,700 X g, 10分間、 4°C) により菌体を回収し、 得られた菌体を 10mM リン酸一 ナトリウム緩衝液 (pH7.0) またはリン酸緩衝液 (pH7) で洗浄した後、 10mlの同 緩衝液に懸濁した。 得られた菌体懸濁液の 1mlを、超音波破砕機 VP- 15S (タイテ ック、 日本) を用いて、 出力コントロール 4、 DUTY CYCLE 40%, PULS、 TIMER =Bモード 10sの条件で氷冷しながら 3分間破碎した。 破碎した菌体懸濁液を細胞 抽出液全画分として採取した。 破碎液を遠心分離 (10,000 X g、 5分間、 4°C) し、 得られた上清を細胞抽出液可溶性画分として採取した。 沈殿物を、 上清と等量のリ ン酸緩衝液 (pH7) に懸濁し、 細胞抽出液不溶性画分とした。
( 1 - 4 ) 活性測定
得られた細胞抽出液可溶性画分を用い、ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を測定 した。 すなわち、 基質であるラセミマンデロニトリルの分解活性 (二べンズアル デヒドの生成) を光学的に検出 (波長 280ηπι) して追跡することで活性を算出し た。
酵素溶液 50 μ 1を、 50mMクェン酸ナトリウム緩衝液 (pH5.0) 900 μ 1と混合し、 基質溶液 100 1 (毎回新たに調製される 37.5mMラセミマンデロニトリル/ lOmM クェン酸ナトリウム緩衝液 (pH3.5) ) を添加して活性測定を開始した。 280nmで の吸光の増加 (対照として酵素非含有基質溶液で測定) を 5分間追跡した。 1 Uは 上記条件下でラセミマンデ口-トリルから 1分間あたりべンズアルデヒド l ^ mol の変換を触媒する酵素量に相当する。 '
( 1 - 5 ) SDS-PAGE
SDS-PAGEは、 10%ポリアクリルァミ ドゲル(ΑΑ: Bis = 38: 2)、 Tris-Glycin 泳動用緩衝液を用いて行った。
( 2 ) 2番目および 103番目のアミノ酸変異体導入組換え体のフラスコ培養評価 上記 ( 1一 1 ) で得られた JM109/pOXN103、 JM109/pOXN103V2I、
JM109/pOXN103H103L、 JM109/pOXN103V2I+H103L について、 30°Cおよび 37°Cでフラスコ培養を行った。 培養は、 ImM (終濃度) の IPTGを添加した 100 mlの LB Amp培地 (アンピシリン 100mg/Lを含有する LB培地) を用い、 回転 数 210rpmで行った。 細胞抽出液各画分を OD12.5にあわせて SDS-PAGEで分 析し、可溶性画分の分解活性測定を行った。結果を図 7に示す。野生型(pOXN103) に H103L変異のみを導入した場合 (pOXN103 H103L) 、 30°Cでの総タンパク 質あたりの比活性は大きく変わらなかったが、 37°Cでは約 4倍に向上した(図 Ί; 1.15→4.12U/mg protein) 。 可溶性酵素割合の増加と同時に、 発現量自体の向上 も寄与していることが確認された。
さらに、 103 番目のァミノ酸変異 H103L と 2 番目のァミ ノ酸変異 V2I(pOXN103V2I)とを組み合わせると (pOXN103V2I +H103L) 、 30°Cでの比 活性は約 2倍に (図 Ί; 4.18→8.17U/mg protein) 、 37°Cでは約 10倍に比活性 が向上した (図 7; 1.55→14.4U/mg protein) 。
( 3 ) 2番目および 103番目のァミノ酸変異体導入組換え体のジャ一培養評価 POXN103V2Iおよび pOXN103V2I+H103Lによる大腸菌 C600株形質転換体を 用いて、 3 Lジャーファーメンターによる培養を行った。
培養結果を図 8に示す。 C600/pOXN103V2Iを 37°Cで培養すると、活性 (比活 性、 液活性) をほとんど発現しないが、 C600/pOXN103V2I+H103Lはその約 10 倍の活性 (比活性、 液活性) を示した。 ここで、 比活性 (U/mgDC) は、 菌体懸 濁液 1mlあたりの分解活性を測定し、 菌体懸濁液の菌濃度 OD630から算出 (係数 を 0.4とした) した乾燥菌体 mg重量濃度 (mgDC/ml) で除することで算出した。 さらに、 培養液あたりの液活性 (U/ml) は、 比活性 (U/mgDC) と培養液の菌濃度 (mgDC/ml ;菌濃度 OD630から係数を 0.4として算出) とを乗することにより求 めた。 C600/pOXN103V2Iを 25°Cで 50時間以上培養した後に到達する活性 (比 活性、液活性)に、 C600/pOXNl03V2I+H103Lでは半分以下の培養 20時間(37°C) で達成した。
また、 フラスコレベルでの結果以上に、 C600/p OXN103V2I+H103Lでは可溶 性画分の割合が増加していることが認められた (図 8; SDS-PAGE) 。
本実施例から、 第 103番目のアミノ酸変異 (H103L) を植物コドンヒドロキシ 二トリルリアーゼ遺伝子に導入した結果、 大腸菌コドンの場合と同様、 37°C培養 における活性向上が確認された。 そして、 植物コドン V2I+H103L形質転換体に ついて、 3Lジャーフアーメンターを用いて 37°Cにて培養を行ったところ、 コン ト口ール (植物コドン V2I) 37°C培養の 10倍以上の活性が得られ、 第 2番目の アミノ酸変異と第 103番目のアミノ酸変異とを組み合わせることにより相乗的な 活性向上効果をもたらすことが確認された。 実施例 1 3
H103残基におけるコドンの影響
同じアミノ酸をコードしているコドンの中には、 高発現遺伝子で最も使用頻度の 高いコドンと全ての遺伝子で最も使用頻度の高いコドンとがある。高発現遺伝子は、 例えば、 多くの大腸菌において発現量の高い遺伝子をいう。 実施例 4において作製 した pUMESDsyは後者のコドンを用いて合成したものである。そこで、 H103残基 のコドンが、 Hisに対応する 2種類のコドン(catと cac)のそれぞれの株を取得し、 ヒ ドロキシニト リノレリァーゼ活性と発現量を調べた。
( 1 ) 置換体の作製
j 第 103 番目 His をコードするコ ドンにおけるランダムプライマーを pUMESDsy上に設計し、 変異体を作製した。 PCRの反応条件を表 16に示す。
PGR反応溶液組成
10 X reaction Buffer 5 ( μ 1)
鐃型 DNA (pUMESDsy) 1
5'"primer (.10 pmol/ μ 1) 1.25
3'-primer (.10 pmol/ μ 1) 1.25
dNTP mix 1
H20 39.5
Pfu Turbo DNA polymerase 1
計 50 ( μ 1)
上記プライマー (5' -primer) の配列は以下のとおりである。
H103-20aa-F: ggcgggcgtttttnnsaacagcctgctgcc (酉己歹 [J番号 88)
上記プライマー (3'-primer) の配列は以下のとおりである。
H103"20aa-R: ggcagcaggctgttsnnaaaaacgcccgcc (目歹1 J番号 90)
両プライマー配列中、 nは (a, t, gまたは c) 、 sは (gまたは c) である。
PCRの反応条件は以下のとおりである (表 17) 。
表 17 Error prone PCR反応条件
95°C 30秒
1
95°C 30秒 ,
55°C 1分 X 16サイクル
68°C 4分
1
4°C forever 上記反応条件によ り 、 QuickChange Site -Directed Mutagenesis Kit
(STRATAGENE社)を用いて部位特異的変異を導入した。 PCR反応液に Dpnlを i
1 μ 1添力 Πし、 37°Cで 1時間処理した。 Dpnl処理後の PCR反応液で、大腸菌 JM109 をトランスフォーメーションした。 コロニーからプラスミ ドを抽出し、 精製した 後、 BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit (ABI社)を用いた DNAシー ケンス解析を行い、 pUMESDsyの H103のコドンが catのものと cacのものを取 得 し た 。 滅 菌 試験 管 に 3ml の LB+Amp(80 μ g/ml) を 入れ 、 JM109/pUMESDsy(H103cac)と JM109/pUMESDsy(H103cat)のコロニーをそれ ぞれ懸濁し、 37 度で終夜振とう培養した (前培養) 。 続いて、 滅菌試験管に LB+Amp(80 g/ml)+IPTG(0.1 mM)を入れ、 各前培養液を 1%シードし、 37°Cで 終夜振とう培養した(本培養)。 12時間後、 1.5mlの培養液を遠心分離(8,000rpm、 10分、 4°C、 himac CF15D、 日立社) により集菌し、得られた菌体を 0.85% NaCl で洗浄した。 得られた菌体を 500 の 10 mM KPB(pH7.0)に懸濁し、 菌体反応 を行い、 CHIRALCEL OJ-Hカラム (ダイセル化学社製) を用いた HPLC分析 により活性を測定した。 また、 得られた菌体の一部を超音波破碎後、 遠心分離 (8,000rpm、 10分、 4°C、 himac CF15D, 日立社) した上清を可溶性画分とし て得た。 さらに、 この沈殿に 8M Urea(in 10mM KPB(pH7.0))を菌体破砕した酵 素液の 10分の 1量添加し、懸濁した後、遠心分離(7,000rpm、 10分、 4°C、 himac CF15D, 日立社) により得られた上清を不溶性画分として得た。 可溶性画分を用 いて活性測定を行い、 可溶性および不溶性両画分を用いてタンパク質定量と SDS-PAGEを行った。
( 2 ) 異なるコドンによる影響
pUMESDsyの H103残基の塩基において、 Hisに対応した二つのコドン (cat と cac ) に 変 換 し た 。 JM109/pUMESDsy-H103(cat) と JM109/pUMESDsyH103(cac)とを LB+Amp(80 μ g/ml)で 37°Cで培養して、培養 開始と同時に最終濃度 0.1 mMの IPTGを添加した。 37°Cで 12時間培養し、 ヒ ドロキシニトリルリアーゼを大量発現させた。 12時間後、 培養液を 1.5 mlずつ 集菌し、 生理食塩水で洗浄後、 500 1の 10 mM KPB(pH7.0)に懸濁し、 超音波 による菌体破砕を行った。 破碎液を低速遠心分離し、 得られた上淸を可溶性画分
(soluble)として、 活性測定とタンパク質定量に使用した。 沈殿を 8M Ureaに溶 解後、 低速遠心分離で得られた上清を不溶性画分 (insoluble)としてタンパク質定 量に使用した。 定量した値から、 それぞれ lO gのタンパク質を SDS-PAGEに 用いた。
結果を表 18と図 9に示す。
表 18 Hisに対応したコドンのヒドロキシニトリルリァーゼ活性への影響
Figure imgf000096_0001
大腸菌高発現遺伝子で使用頻度の高いコドン (cac) と、 大腸菌全ての遺伝子で使 用頻度の高いコドン (cat) とを H103に用いた株において、 その活性 (表 18) お よび発現量 (図 9 ) に顕著な差は認められなかった。 従って、 当該二つのコドン間 においては活性と発現量に対して影響はほとんど無レ、と考えられた。
• 実施例 1 4
H103M改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼの精製と諸性質の確認
( 1 ) 野生型ヒドロキシニトリルリアーゼおよび H103M改良型ヒドロキシニト リルリアーゼの精製
実施例 2の ( 1 ) で得られた JM109/pUMESDおよぴ実施例 1 0の ( 2 ) で得ら れた JM109/pUMESD-H103Mを培養し、それぞれの菌体より野生型ヒドロキシニ トリルリアーゼおよび H103M改良型ヒドロキシニトリルリアーゼの精製を行つ た。
( 1 - 1 ) 培養と集菌
滅菌試験管に 3ml の LB+Amp(80 g/ml)を入れ、 JM109/pUMESD および JM109/pUMESD-H103Mのコロニーを懸濁し、 37度で終夜振とう培養した (前 培養) 。 得られた各前培養液を以下に示す培地に 1%シードした。
培地組成
ペプトン 10g/L
酵母エキス 5g/L
NaCl 10g/L
アンピシリン 80mg/L
IPTG O.lmM (終濃度)
ここで、 培地液量は、 JM109/pUMESD は計 10L、 JM109/pUMESD-H103M は計 2Lとした。 37°Cで 12時間培養後(本培養)、培養液を遠心分離(6,000 rpm、 10 min、 4°C) により集菌した。 得られた菌体は、 0.7% NaClで懸濁洗浄後、 再 度遠心分離により集菌した。 この洗浄操作を計 2回行った後、 菌体を、 菌体湿重 直の 5 倍量の sonication bufter (.50 mM sodium phosphate/citrate bufier (pH5.4), I mM EDTA) に懸濁し、 これを菌体懸濁液とした。
( 1 - 2 ) 菌体破砕
超音波破碎機 (Insonator model 201M(9 kHz、 久保田商事)) を用いて、 菌体 懸濁液の超音波破砕をおこなった。 破砕時間は 20 min行い、 破砕後は、 遠心分 離 (15,000 rpm、 10min、 4°C) により上清と沈殿に分離した。 得られた沈殿を sonication bufferに懸濁し、 再度超音波破砕を行った。 再度、 遠心分離 (15,000 rpm、 10min、 4°C) を行い、 その上清 (細胞抽出液) を得た。
( 1 - 3 ) 熱処理
( 1 - 2 ) で得られた細胞抽出液を三角フラスコに移し、 ウォーターパスを用 いて、 60°C、 10 min の熱処理に供した。 熱処理後、 氷水にて急冷し、 遠心分離 (12,000rpm、 10min、 4°C) により変性タンパクを除去し、 粗酵素液を得た。 ( 1 - 4 ) 硫安分画
( 1— 3 ) で得られた粗酵素液を 45%硫安飽和させ、 30 min攪拌した。 遠心 分離(15,000 rpm、 20 min, 4°C) により得られた沈殿を 0-45%画分とし、 10 mM KPB (pH7.0)に溶解した。 続いて、 上清を 65%硫安飽和させ、 30 min攪拌した 後、 遠心分離 (15,000 rpm、' 20 min, 4°C) により得られた沈殿を 45-65%画分 とし、 10mMKPB(pH7.0)に溶解した。さらに、上清を 90%硫安飽和させ、 30 min 攪拌した後、遠心分離(15,000 rpm、 20 min, 4°C)により得られた沈殿を 65-90%
i 画分とし、 10 mM KPB (pH7.0)に溶解した。 溶解した各画分のタンパク液を 10 mMKPB(pH7.0)により透析した後、それぞれの画分の活性測定とタンパク定量 を行った。 活性測定は実施例 8の (2— 3) と同様に行い、 タンパク定量はパイ オラッドプロテインアツセィ (バイオラッド) を用い、 添付プロトコールに従つ て行った。
(1 -5) DEAE-Toyopearlカラムクロマトグラフィー
DEAE-Toyopearl resinを力ラムに充填し、 洗浄後、 10 mM KPB (pH 7.0)で平 衡ィ匕し、(1— 4)で得られた透析後の酵素溶液をアプライした。 10 mMKPB(pH 7.0)で洗浄後、 直線的な濃度勾配の 0~0.5 M NaCl in 10 mM KPB (pH 7.0)によ り溶出した。 溶出後の活性画分を集め、 10 mM KPB (pH 7.0)で透析後、 次ステ ップに用いた。
(1 -6) Butyl- Toyopearlカラムクロマトグラフィー
(1 -5) で得られた活性画分を 30%硫安飽和にした後、 予め 30%硫安飽和
10mM KPB (pH 7.0)で平衡化しておいた Butyl'Toyopearlカラムにアプライし た。 30%硫安飽和 10mM KPB (pH 7.0)で洗浄後、 直線的な濃度勾配の 30~0%硫 安飽和 10 mM KPB (pH 7.0)で溶出した。溶出後の活性画分を集め、 10 mM KPB (pH 7.0)で透析後、 次ステップに用いた。
(1 -7) Superdex 200 HR 10/30カラムクロマトグラフィー
Superdex 200 HR 10/30カラムを、 脱気した milliQ水で洗浄した後、 0.2 M NaCl in 10 mM KPB (pH 7.0)で平衡化し、 ( 1 _ 6 ) で得られた透析後の酵素 溶液をアプライした。 0.2MNaClinl0mMKPB(pH7.0)で溶出を行い、 溶出し た活性画分を集め、 10 mM KPB (pH 7.0)で透析後、 次ステップに用いた。
(1 -8) MonoQ HR 10/30
MonoQ HR 10/30を、 脱気した milliQ水で洗浄した後、 1 M NaCl in 10 mM KPB (pH 7.0)で平衡化し、 10 mM KPB (pH 7.0)で洗浄した後、 ( 1一 7 ) で得 られた透析後の酵素溶液をアプライした。直線的な濃度勾配の 0~lMNaClinl0 mM KPB (pH 7.0) で溶出を行い、 溶出した活性画分を集め、 10 mM KPB (pH 7.0)で透析した。
j
( 1 - 9 ) 精製結果
H103M改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼの精製結果を表 19に示す。上記ス テツプにより最終的に 9倍以上の純度に H1.03M改良型ヒ ドロキシニトリルリア ーゼを精製することができた。
表 19 H103M改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ精製ステップ total total specific Yield fold activity protein activity (%) purification
(U) (mg) (U/mg)
Cell extract 43577.8 1088.1 40.1 100 1
Heat treatment 28188.8 396.2 71.2 64.7 1.78
(NH4)2S04: 18118.1 160.1 113.1 41.6 2.82
45-65%
DEAE-Toyopearl 18533.1 103.3 179.4 42.5 4.47
B utyl-Toyop e arl 4814.3 16.1 298.6 11.0 7.46
Superdex 6579.2 17,3 380.3 15.1 9.49
精製した野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼおよび H103M改良型ヒ ドロキシ 二トリルリアーゼの SDS-PAGE分析を行った。 後述するように、 両酵素につい てタンパク質あたりの比活性を求め、 1 レーンあたり 0.3U をアプライし、
SDS-PAGEを行った。 結果を図 10に示す。 両酵素とも単一パンドにまで精製さ れていることが確認された。 また、 H103M 改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ のバンドが野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのそれよりも薄く観察されたこと から、 H103M 改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼは、 野生型ヒ ドロキシュトリ ルリアーゼに比して、 酵素タンパク質あたりの比活性が向上していることが示唆 された。 実際に、 両酵素の酵素タンパク質あたりの比活性を求めた結果、 表 20 に示すように、 H103M 改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼは、 酵素タンパク質 あたりの比活性が、 野生型ヒ ドロキシュトリルリア一ゼの約 1.5倍にまで向上し ていることが確認された。
I
表 20 野生型および H103M改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼの
酵素タンパク質あたり比活性 野生型ヒ ドロキシニト H103M改良型ヒ ドロキ
リルリアーゼ シニト リルリァーゼ
98.8 U/mg 143.4 U/mg
( 2 ) 反応系におけるキレート剤および金属添加の活性への影響
実施例 1 4の ( 1 ) で得られた野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼおよび H103M改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ精製酵素を用い、 マンデロニトリル合 成反応系中に、 終濃度 ImMまたは 10mMのキレート剤 (EDTA) および各種金属
(CoCl2、 NiS04、 MgCl2、 CaCl2、 NaCl、 KC1、 LiCl) を添加し、 合成活性への影 響を調べた。 表 21に示す反応液組成によりマンデロニトリル合成反応を行い、 実 施例 8の (2 — 3 ) と同様に活性測定を行った。
反応液組成
最終濃度
1 mM 10 mM
500 mM Na-citrate buffer (pH4.0) 600 600
Enzyme solution 100 100
1.25M benzaldehyde (dissolved in DMSO) 40 40
1M CN 100 100
100 mM additive solution 10 100
(EDTA, CoCl2、 NiSO4、 MgCl2、 CaCl2、 NaClヽ KC1、
LiCl)
DIW 150 60 total 1000 1 1000 μ 1 結果を表 22に示す。表 22は、いずれの添加物も^加していない反応系での活性 を 100%とした際の相対活性を示し、 各添加物の欄において、 上段は ImM添加時、 下段は 10mM添加時の相対活性を示す。 EDTAおよび NiS04を ImM添加した場 合、 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼおよび H103M改良型ヒ ドロキシニトリ ルリアーゼとも大きな活性低下は見られず、両酵素間での差も少なかつた。一方、 それ以外の金属 (CoCl2、 MgCl2、 CaCl2、 NaCl、 KC1、 LiCl) ) を添加した場合、 特に反応液中に 10mM添加した場合に、比較的大きな活性低下が見られた。 その 活性低下率は金属によって異なったが、 ここで、 H103M 改良型ヒ ドロキシュト リルリアーゼは、 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼよりも活性低下率が低いこ とが確認された。 すなわち、 H103M変異により金属に対する影響を受け難くなつ ていることが確認された。
表 22 マンデロニトリル合成反応系への金属の影響
Figure imgf000102_0001
実施例 1 5
リジン残基単置換変異を有する改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼの作製と評 価
( 1 ) リジン残基への部位特異単置換変異導入
実施例 4で作製した大腸菌コドン野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ遺伝子を 含む発現ベクター pUMESDsyを錶型として用い、 第 176番目、 第 199番目また は第 224番目のリジン残基がそれぞれ他のアミノ酸に置換された改良型ヒ ドロキ シニトリルリア一ゼをコ一ドする大腸菌コドン改良型ヒ ドロキシニトリルリア一 ゼ遺伝子を部位特異的変異導入により作製した。 この部位特異的変異導入は QuickChange Site-Directed Mutagenesis Kit (ストラタジーン社)を用い、第 176 番目、 第 199番目または第 224番目のアミノ酸がランダムに変異するような変異導 入プライマーを用いて行った。
PCRの反応条件を表 23に示す。
PCR反応溶液組成
10 X reaction Bufrer 5 ( μ 1)
鎳型 DNA (pUMESDsy) 1
5' -primer 1.25
3' -primer 1.25
dNTP mix 1
H20 39.5
Pfu Turbo DNA polymerase 1
Total 50 ( μ 1) 上記プライマーのうち 5'-primerの配列は以下のとおりである。
第 176番目変異体の場合
K176-F: ctggcgaaaatggtgatgcgcnnsggcagcctgtttcagaacgtgc (酉己歹 (J番"^ 92) 第 199番目変異体の場合
K199-F: cgaaaaaggctatggcagcattnnsaaagtgtatatttggaccgatcagg (酉 B歹 [|番^ * 93) 第 224番目変異体の場合
K224-F: gcgctggcagattgcgaactatnnnccggataaagtgtatcagg (酉己列 ¾ 94) 上記プライマーのうち 3'-primerの配列は以下のとおりである。
第 176番目変異体の場合
K176-R: gcacgttctgaaacaggctgccsnngcgcatcaccattttcgccag (sii歹备 95) 第 199番目変異体の場合
K199-K: cctgatcggtccaaatatacactttsnnaatgctgccatagccttttt (酉己歹【J番号 96) 第 224番目変異体の場合
K224-R: cctgatacactttatccggnnnatagttcgcaatctgccagcgc (酉 ci歹 !j番 97) 上記プライマー配列中、 nは (a, t, gま feは c) 、 sは (gまたは c) である。 PCRの反応条件は以下のとおりである (表 24) 。
表 24 PCR反応条件
95°C 30秒
i
95°C 30秒
55°C 1分 X 16サイクル
68°C 4分
I
4°C forever
PCRの反応液 50 μ 1に Dpnlを Ι μ ΐ添カ卩し、 37度で 1時間インキュベートし た。 この処理によって、 鎵型 DNAを消化し、 変異の入ったプラスミ ドのみを得 た。 Dpnl処理後の PCR反応液で、 実施例 1 ( 4 ) と同様の操作により、 大腸菌 JM109株の形質転換を行った。変異体コロニーのマスタープレートを作製し、以 下の活性上昇スクリーニング実験に用いた。
( 2 ) 変異体のスクリーニング
( 1 ) で得られた変異体の中から、 活性上昇したものをスクリーニングした。
( 2 - 1 ) 一次スクリーニング
96-wellプレートを用いてサンプルを調製した。 0.8 ml 96-well滅菌プレート (Abgene社) に LB (80 μ g/ml Ampおよび 0.1 mM IPTG含有) を 150 ずつ 分注し、 変異体コロニーをマスタープレートから植菌した。 このプレートを BioShaker (M-BE-024, TAITEC社)を用いて 37°C、 1,200 rpmで 12時間振と う培養した。培養後、培養液を遠心分離し(5,000rpm、 10分、 4°C、 himac CR20、 ローター R6S、 日立社) 、 集菌した。 上清を除き、 新聞紙上で逆さにして培地を できる限り除去した後、得られた菌体を 100 1の 0.85 % NaClに BioShakerを 用いて懸濁した後、 懸濁液を 96-well U底プレート (Corning社) に移した。 続 いて、 遠心分離 (4,500rpm、 10分、 4°C、 himac CE20, ローター R6S、 日立社) により集菌し、 上清を除き、 新聞紙上で逆さにして水分を除去した。 得られた菌 体に Lysozyme溶液(10 mg/ml Lysozyme (卵白由来、生化学工業)、 100 mM KPB (ρΗ7·0)、 10 mM EDTA) を添加し、 TUPLE MIXER (スピード 7、 IWAKI社) で懸濁した。 37°Cで 1時閬のインキュベートにより Lysozyme処理を行い、 大腸 菌をプロトプラスト化させた。 得られた大腸菌に- 40°Cおよび 37°Cで凍結融解処 理を施し、 100 μ ΐの低張液 (10 mM KPB(pH7.0)、 5 mM MgCl2) を添加して溶 菌させた。 この溶液を遠心分離 (4,500rpm、 10分、 4°C、 himac CR20、 ロータ 一 R6S、 日立社) により、 大腸菌のゲノムと細胞壁等を沈殿させ、 上清を得て粗 酵素液として以下の活性測定に用いた。
ヒ ドロキシニトリルリァーゼの基質であるマンデロニト〇リ oルの分解活性をベン ズアルデヒ ドの生成量によって測定した。 反応組成を表 25に示す。
表 25 反 4且成
最終濃度
100 mM Na-citrate buffer (pH5.4) 50 mM
10 mM racemic mandelonitrile 80 4 mM
Enzyme solution (粗酵素液) 10
DIW 10
計 100 1) 活性測定の方法は、 96-well UVプレート (greiner bio-one社) に Na-citrate bufferを添加し、 25°Cにした。 次に粗酵素液を添加し、 ピペッティングにより懸 濁した。 次に racemic mandelonitrileを添加し、 ピぺッティングぉよび振とうし た後、 マイクロプレートリーダー (GENios、 テカン ·ジャパン社) を用いて、 波長 280 nm における吸光値の増加を 25°Cで 10 分間測定した。 解析には P T/JP2005/019360
LS-PLATEmanager 200l(Win) (和光純薬工業社) を用いた。 ポジティブコント ロール pUMESDsy、ネガティブコントロールとして pUC19を用いてスクリ一二 ングを行った。第 176番目変異体、第 199番目変異体および第 224番目変異体それ ぞれについて、 それぞれ 188検体よりポジティブコントロールよりも高活性を示 す検体を K176番目変異体は 12検体、 K199番目変異体は 2検体、 K224番目変 異体は 11検体選出した。
( 2 - 2 ) 二次スクリーユング
滅菌試験管に 3mlの
Figure imgf000106_0001
w g/ml)を入れ、一次スクリ一二ングにおいて ポジティブコントロールよりも高活性を示した、 12検体の K176番目変異体、 2 検体の K199番目変異体、 11検体の K224番目変異体、 ポジテイブコント口ール pUMESDsyおよびネガティブコントローノレ pUC19を植菌し、 37度で終夜振と う培養した (前培養) 。 12時間後、 1.5mlの培養液を遠心分離 (8,000rpm、 10 分、 4°C、 himac CF15D、 日立社) により集菌し、 得られた菌体を 0.85% NaCl で洗浄した。 500 μ 1の 10 mM KPB(pH7.0)に懸濁し、 菌体を破砕後、 遠心分離 (8,000rpm、 10分、 4°C、 himac CF15D、 日立社) した上清を可溶性画分とし て得た。 得られた可溶性画分を用いて活性測定を行った。 活性測定は、 ベンズァ ルデヒ ドからの (S)-マンデロニトリルの生成を chiral-colunmを用いた HPLCに より分析し、 合成活性を測定した。 反応の標準アツセィ溶液は、 最終容量 0.9 ml 中に 300 mMクェン酸緩衝液 (pH 4.0)、 50 mMベンズアルデヒドぉよぴ 100 mM シアン化物溶液を含有する。 100 1 の酵素溶液を添加することによって反応を 直ちに開始し、 25°Cで 120分間インキュベートした。 900 μ 1の有機溶媒 (へキ サン:イソプロパノール = 9:1) を添加して反応を停止させ、 遠心 (15,000 X g、 10 分)により得た上清を HPLCによりアツセィした。各成分の量は CHIRALCEL OJ-Hカラム (ダイセル化学社製) を用いてへキサン:イソプロパノール = 90:10 を移動相として流量.1.0 ml/分で流し 254 nmで測定し、それらの標準曲線を用い て算出した。標準的アツセィ条件下でベンズアルデヒドから、 1分あたり Ι μ ιηοΐ の S-マンデロニトリルを生成する酵素の量を酵素活性の 1 単位を定義した。 第 176番目変異体、 第 199番目変異体おょぴ第 224番目変異体それぞれについて、 ポ ジティブコントロールよりも高活性を示す検体が確認された。 これら高活性検体 の可溶性画分を用いてタンパク質定量と SDS-PAGE (各サンプルタンパク質 10 μ g) を行つに。
( 2 - 3 ) スクリーニング結果
活性測定の結果、 第 176番目変異体、 第 199番目変異体および第 224番目変異 体いずれにおいても、 ポジティブコントロールよりも著しく高活性な検体が確認 された。 それら検体から組換えベクターを調製し、 実施例 1 ( 4 ) と同様の方法 により塩基配列を調べた結果、 第 Γ76番目変異体では野生型ヒ ドロキシュトリル リアーゼにおいてリジンをコードするコドン aaaが cccとなってプロリンをコード していた (K176P) 。 同様に、 第 199審目変異体では野生型ヒ ドロキシニトリノレリ ァーゼにおいてリジンをコードするコドン aaaが cccとなってプロリンをコ一ドし ており (K199P) 、 第 224番目変異体では野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼに おいてリジンをコードするコドン aaa が cct となってプロリンをコードしていた
(K224P) 。
K176P, K199Pおよび K224Pの単置換変異体の可溶性画分タンパク質あたりの 活性を表 26に示す。 K176Pはポジティブコントロール pUMESDsyの 2.9倍、 K199Pはポジテイブコント口ール pUMESDsyの 2.3倍、 K224Pはポジテイブコ ントロール pUMESDsyの 3.3倍の活性を示した。 また、 SDS-PAGE解析の結果 (図 11) 、 K176P, K199Pおよび K224Pいずれの単置換変異体も、 可溶性画分中 のヒ ドロキシニトリルリアーゼの量が増大していることが確認された。 以上の結 果から、 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 リジン残 基を他のアミノ酸、 特にプロリンに置換することで、 ヒ ドロキシュトリルリア一 ゼ発現量および活性を向上させることができることが確認された。 リジン置換変異体の活性
検体名 ヒ ドロキシニトリルリアーゼ活性
(U/mg-protem)
pUMESDsy 1.5
K176P 4.4
K199P 3.4
K224P 4.9
K176P X K224P 10.7
K199P X K224P 8.0
K176P X K199P X K224P 11.
実施例 1 6
リジン残基多重置換変異を有する改良型ヒドロキシニトリルリアーゼの作製と 評価
( 1 ) リジン残基多重置換変異体の作製
実施例 1 5で得られたリジン残基単置換変異体を元に、 2箇所または 3箇所の リジン残基が置換された多重置換変異体をコードする大腸菌コドン改良型ヒドロ キシュトリルリアーゼ遺伝子を作製した。 まず、 K224P変異体を含む発現べクタ -pUMESDsy-K224Pを鍀型として用い、 部位特異的変異導入により、 第 176番 目と第 224番目の 2箇所のリジン残基がプロリンに置換された二重変異体 (K176P XK224P) 、 および第 199番目と第 224番目の 2箇所のリジン残基がプロリンに置 換された二重変異体 (K199PXK224P) を作製した。 さらに、 得られた二重変異体 K176P XK224P変異体を含む発現ベクター pUMESDsy-K176P XK224Pを铸型と して用い、第 176番目、第 199番目および第 224番目の 3箇所のリジン残基すベて がプロリンに置換された三重変異体 (K176P XK199 XK224P) を作製した。 実施 例 1 5の ( 1 ) と同様、 QuickChange Site-Directed Mutagenesis Kit (ストラタ ジーン社)を用いて行った。 .
PCRの反応条件を表 27に示す。 PGR反応溶液組成
10 reaction Buffer 5 ( μ ΐ)
铸型 DNA 1
5' -primer 1.25
3' -primer 1.25
dNTP mix 1
H20 39.5
Pf Turbo DNA polymerase 1
Total
上記鏡型 DNAは、 K176P X K224P変異体作製および K199P X K224P変異体作 製の場合は pUMESDsyK224Pであり、 K176P X K199P X K224P変異体作製の場 合は pUMESDsy- K176P X K224Pである。
上記プライマーのうち 5'-primerの配列は以下のとおりである。
0
K176P X K224P変異体作製の場合
K上 76P-F: ctggcgaaaatggtgatgcgcccnggcagcctgtttcagaacgtgc (酉 3歹! J¾ "号 98) K199P X K224P変異体および K176P X K199P X K224P変異体作製の場合
K199P-F ·· cgaaaaaggctatggcagcattccnaaagtgtatatttggaccgatcagg ( 歹1 J番号 99) 上記プライマーのうち 3'-primerの配列は以下のとおりである。
K176P X K224P変異体作製の場合
K176P-R: gcacgttctgaaacaggctgccngggcgcatcaccattttcgccag (酉己歹 (I番"^ 100) K199P X K224P変異体およぴ K176P X K199P X K224P変異体作製の場合
K199P-R: cctgatcggtccaaatatacactttnggaatgctgccatagccttttt (酉 S歹 (J番号 101) 上記プライマー配列中、 nは (a, t, gまたは c) である。 プロリンのコドンは cct,ccc,ccaまたは ccgであり、 上記変異導入プライマーでは、 目的の変異箇所が 必ずプロリンコドンのいずれかとなるよう設計した (5'-primer の場合は ccn、 3' -primerの場合は ngg) 。
PCRの反応条件は実施例 1 5の (1 ) と同様である。 PCRの反応液 50 1に Dpnlを Ιμΐ添カ卩し、 37度で 1時間インキュベートし た。 この処理によって、 鎵型 DNAを消化し、 変異の入ったプラスミ ドのみを得 た。 Dpnl処理後の PCR反応液で、 実施例 1 (4) と同様の操作により、 大腸菌 JM109株の形質転換を行つた。得られた形質転換体から組換えべクターを調製し、 実施例 1 (3) と同様の方法により塩基配列の解析を行った結果、 目的とする、 第 176番目と第 224番目の 2箇所のリジン残基がプロリンに置換された二重変異体 ' (K176PXK224P) 、第 199番目と第 224番目の 2箇所のリジン残基がプロリンに 置換された二重変異体 (K199PXK224P) 、 第 176番目、 第 199番目および第 224 番目の 3箇所のリジン残基すべてがプロリンに置換された三重変異体 (K176PX K199XK224P) が正しく作製されていることが確認された。
(2) リジン残基多重置換変異体の活性と発現量
実施例 15 (2-3) と同様の方法により、 得られたリジン残基多重置換変異 体(K176PXK224P、 K199PXK224Pおよび K176PXK199PXK224P)を培養し、 可溶性画分を調製した後、 活性測定、 タンパク質定量および SDS-PAGE (各サン プルタンパク質 10/ig)を行った。活性測定の結果を表 26に示す。 K176PXK224P はポジテイブコント口ール pUMESDsyの 7.1倍、 K199PXK224Pはポジティブ コントロール pUMESDsyの 5.3倍、 K176PXK199PXK22 Pはポジティブコン ト口ール pUMESDsyの 7.4倍の活性を示した。また、 SDS-PAGE解析の結果(図 11) 、 K176PXK224P, K199PXK224Pおよび K176PXK199PXK224Pいずれの 多重置換変異体も、 上述の単置換変異体以上に可溶性画分中のヒドロキシュトリル リアーゼの量が増大していることが確認された。 以上の結果から、 野生型ヒドロ キシニトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 複数のリジン残基を他のアミノ 酸、 特にプロリンに置換することで、 細胞あたりのヒドロキシニトリルリアーゼ 発現量およぴ活性を著しく向上させることができることが確認された。 実施例 17
第 103番目のヒスチジン残基およびリジン残基が置換された複合改良型ヒドロキ シニトリノレリァーゼの作製と評価 ( 1 ) 第 103番目のヒスチジン残基およびリジン残基が置換された複合変異体の作 製 - 実施例 1 5および 1 6で得られたリジン残基単置換およびリジン残基多重置換変 異体に、 第 103番目のヒスチジン残基がロイシンに置換された H103L変異を導入 した複合変異体の作製を行つた。 実施例 1.5で得られた pUMESDsy-K176P、 -K199P, -K224P (以上リジン 1箇所置換) 、 および実施例 1 6で得られた- K176P X K224P, -K199P X K224P (以上リジン 2箇所置換) 、 K176P X K199P X K224P (リジン 3'箇所置換) を鎗型とし、 実施例 9と同様の方法により、 QuickChange Site-Directed Mutagenesis Kit (STRATAGENE社)を用いて作製した。 変異導入用 プライマーには実施例 9で用いた OXYN-30 (配列番号 86) および OXYN'31 (配列 番号 87) を用いた。
当該キットのプロトコールに従い、 PCR反応おょぴ Dpnl処理後、大腸菌 JM109 株の形質転換を行い、 生育コロニーよりプラスミド DNAを回収した。 1〜3箇所の リジン残基が置換されており、 かつ、 第 103番目のアミノ酸がロイシンに置換され たヒ ドロキシニトリノレリァーゼ、 K176P+H103L、 K199P+H103L、 K224P+H103L (以上リジン 1 箇所置換 + H103L変異) 、 K176P X K224P+H103L、 K199P X K224P+H103L, (以上リジン 2 箇所置換 + H103L変異) 、 K176P X K199P X K224P+H103Lを得た。
( 2 ) 第 103番目のヒスチジン残基およびリジン残基が置換された複合変異体の評 価
( 1 ) で得られた形質転換体を 3 mlの LB培地で 37°Cで 12 hr培養し、培養開始 と同時に最終濃度 O.l mMの IPTGを添加した。 12 hr後、培養液を集菌し、生理食 塩水で洗浄後、 3分の 1量の 10 mM KPB (pH 7.0)に懸濁し、菌体反応により活性測 定を行った。 その値から培養液あたりの活性を算出した。 結果を表 28に示す。 いず れの複合変異体も、 野生型と比較して顕著な活性向上が確認された。 JP2005/019360 表 28. 第 103番目のヒスチジン残基およびリジン残基が
置換された複合変異体の活性
U/ml
culture
pUMESDsy 9.0
pUMESDsy-K176P X H103L 99.0
pUMESDsy-K199P X H103L 120.9
pUMESDsy-K224P X H103L 98.1
pUMESDsyK176P X K224P X H103L 109.5
pUMESDsy-K199P X K224P X H103L 108.0
pUMESDsy-K176P X K199P X K224P X 96.9
H103L 実施例 1 8
改良型ヒ ドロキシュトリノレリアーゼによるシアンヒ ドリンおよびヒドロキシカルボ ン酸の合成
( 1 ) シアンヒ ドリンの合成
実施例 1 2 ( 3 ) で得られた C600/pOXN103V2Iジャー培養液 40mlを遠心分離 (3,700 X g, 10分間、 4°C) に供した後、 上清 35mlを除き、残った菌体と培養液を 再懸濁した。 得られた菌体懸濁液を、 超音波破碎機 VP—15S (タイテック、 日本) を用いて、 出力コントロール 4、 DUTY CYCLE 40%, PULS、 TIMER=Bモード 10s の条件で氷冷しながら 3分間破碎を 5 回繰り返した。 破碎液を再度遠心分離 (10,000 X g、 5分間、 4°C) し、 得られた上清を改良型ヒドロキシュトリルリア一 ゼ酵素溶液とした。 実施例 1 2 ( 1 - 4 ) の方法により分解 性を算出したとこ ろ、 該酵素溶液の活性は 1171U/mlであった。 酵素溶液 3.7g(6450Uに相当)と t- ブチルメチルエーテル 175.1gを混合し、 反応系内を 15-18°Cに維持して充分攪拌し ながら、 HCN47.6gとべンズアルデヒド 124.6gを約 4時間かけて連続的に滴下した。 滴下終了後、 1時間、反応系内を 15-18°Cに維持して充分攪拌した。 反応終了後、 実 施例 8 ( 2 - 3 ) と同様、 HPLCにより 反応溶液を分析した結果、 マンデ口-トリ ルの濃度は 45重量%、 その光学純度は 98%eeの S体過剰であった。
( 2 ) ヒ ドロキシカルボン酸の合成
30〜35°Cで 16時間攪拌しながら ( 1 )で得られたマンデロニトリル溶液 131 gを 35。/。塩酸 147 gに滴下した。 この反応溶液はスラリーであった。 16時間攪拌後の反 応溶液を HPLCで分析したところ、 マンデロニトリルは検出されず、 マンデルアミ ドとマンデル酸が混在していた。 16時間攪拌後の反応溶液の全量に、 水 320 gを添 加し、 75°Cで 2時間攪拌し加水分解した。 この反応溶液は均一であった。 この反応 溶液を HPLCで分析したところ、 マンデ口-トリル、 およびマンデルアミ ドは検出 されず、 マンデル酸の濃度は 21%、 光学純度は 98%eeの S体過剰であった。 産業上の利用の可能性
本 明により、 野生型ヒドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸を置換した改良型 ヒドロキシュトリルリアーゼおよびその遺伝子が得られる。 当該改良型ヒ ドロキシ 二トリルリアーゼの遺伝子は、 野生型の遺伝子に変異を導入したものだけでなく、 宿主のコドン使用頻度に従い、 使用頻度の高いコドンに変異させた宿主コドン型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ遺伝子に変異を導入したものも含まれる。
さらに、 本発明の遺伝子を宿主に形質導入して得られた形質転換体では、 形質転 換体あたりのヒドロキシニトリルリァーゼ活性を大幅に向上させることができるた め、改良型ヒドロキシュトリルリアーゼを大量かつ効率良く製造することができる。 さらには、 効率よく光学活性シアンヒ ドリンおよび光学活性ヒ ドロキシカルボン 酸を製造できる。 配列表フリーテキスト
配列番号 3〜: L 0 1 合成 DNA

Claims

請求 の 範 囲 以下の (A)〜(G)から選択されるいずれかの改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ。
(A) 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目 のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒ ドロキシュ卜リル リァーゼ
(B) 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 103番 目まだはその近傍のヒスチジン残基が他のァミノ酸残基に置換された改良型 ヒドロキシュトリノレリァーゼ
(C) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列中に存在する少なく とも 1つのリジン残基が他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒ ドロキシュ トリノレリァーゼ
(D) 野生型ヒ ドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目 のアミノ酸残基おょぴ第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基が他のァ ミノ酸残基に置換された改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ
(E) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目 のアミノ酸残基および当該配列 Ψに存在する少なくとも 1つのリジン残基が 他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ
(F) 野生型ヒ ドロキシエトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 103番 目またはその近傍の スチジン残基おょぴ当該配列中に存在する少なくと も 1つのリジン残基が他のアミノ酸残基に置換された改良型ヒドロキシニト リルリァーゼ
(G) 野生型ヒ ドロキシュトリルリアーゼのアミノ酸配列において、 第 2番目 のアミノ酸残基、 第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基および当該配 列中に存在する少なく とも 1つのリジン残基が他のアミノ酸残基に置換され た改良型ヒ ドロキシニトリルリアーゼ
野生型ヒドロキシュトリルリア一ゼがキヤッサバまたはパラゴムノキ由来であ る請求項 1記載の改良型ヒドロキシュトリルリアーゼ。
3 . 第 2番目のアミノ酸残基が、 リジン、 ァスパラギン、 イソロイシン、 アルギニ ン、 グノレタミン、 プロリン、 スレオニン、 チロシン、 ロイシン、 メチォニン、 セ i リンおよびグルタミン酸からなる群から選択されるいずれかのアミノ酸に置換 された請求項 1または 2記載の改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ。
4 . 第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基が、 以下の (a) および Zまたは (b) の性質を有するァミノ酸に置換された請求項 1〜 3のいずれか一項に記載 の改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ。
(a) 分子中に含まれる窒素原子数が 1または 2のアミノ酸である
(b) 中性アミノ酸である
5 . 第 103番目またはその近傍のヒスチジン残基が、 メチォニン、 ロイシン、 イソ ロイシン、 バリン、 システィン、 グノレタミン、 セリン、 スレオニン、 ァラニンお よびトリブトファンからなる群から選択されるいずれかのアミノ酸に置換され た請求項 1〜4のいずれか一項に記載の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ。 6 . 野生型ヒドロキシニトリルリア一ゼのァミノ酸配列中の第 175番目から第 224 番目の領域に存在する少なくとも 1つのリジン残基力 S、他のアミノ酸に置換され た請求項 1〜 5のいずれか一項に記載の改良型ヒドロキシニトリルリァーゼ。
7 . 野生型ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列中の第 175番目から.第 224 - 番目の領域に存在する少なくとも 1つのリジン残基が、 以下の (a) および Zま たは (b) の性質を有するアミノ酸に置換された請求項 1〜 6のいずれか一項に 記載の改良型ヒ ドロキシュトリルリァーゼ。
(a) 分子中に含まれる窒素原子数が 1または 2のアミノ酸である
(b) 中性アミノ酸である
8 . 野生型ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列中の第 175番目から第 224 番目の領: ^に存在する少なくとも 1つのリジン残基が、プロリンに置換された請 求項 1〜 7のいずれか一項に記載の改良型ヒドロキシニトリルリァーゼ。
9 .配列番号 1で示されるァミノ酸配列中の、第 176番目、第 199番目および第 224 番目のリジン残基からなる群から選択される少なくとも一つのリジン残基が他 のアミノ酸に置換された請求項 1〜 8のいずれか一項に記載の改良型ヒ ドロキ シニトリルリアーゼ。
1 0 . 配列番号 1 0 2で示されるアミノ酸配列中の、 第 175番目、 第 198番目およ i び第 223番目のリジン残基からなる群から選択される少なくとも一つのリジン 残基が他のァミノ酸に置換された請求項 1〜 8のいずれか一項に記載の改良型 ヒ ドロキシニトリルリアーゼ。
1 1 . 請求項 1〜1 0のいずれかに記載の改良型ヒドロキシュトリルリア一ゼのァ ミノ酸配列において、 (A)〜(G)記載の置換部位のァミノ酸を除く、 1個または数 個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなる改良型ヒドロ キシニトリルリアーゼ。
1 2 . 請求項 1〜 1 1のいずれかに記載の改良型ヒ ドロキシュトリルリア一ゼをコ 一ドする、 改良型ヒ ドロキシニト リノレリァーゼ遺伝子。
1 3 . 請求項 1 2記載の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を含む組換えべ クタ一。
• 1 4 . 請求項 1 3記載の組換えベクターを宿主に導入してなる形質転換体。
1 5 . 請求項 1 4記載の形質転換体を培養して得られる培養物。
1 6 . 請求項 1 5記載の培養物から採取される改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼ。
1 7 . 請求項 1 5記載の培養物から改良型ヒドロキシュトリルリアーゼを採取する · ことを特徴とする改良型ヒ ドロキシュトリルリアーゼの製造方法。
1 8 . ケトン化合物またはアルデヒド化合物と、 シアン化合物とを、 請求項 1〜1 1および 1 6のいずれかに記載の改良型ヒドロキシニトリルリアーゼで処理し、 得られる処理物からシアンヒ ドリンを採取することを特徴とするシアンヒ ドリ ンの製造方法。
1 9 . 請求項 1 8記載の方法により得られたシアンヒドリンを加水分解することを 特徴とするヒドロキシカルボン酸の製造方法。
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