JP2005245242A - ヒドロキシニトリルリアーゼの製造方法 - Google Patents

ヒドロキシニトリルリアーゼの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒドロキシニトリルリアーゼの大量製造方法の提供。
【解決手段】ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子の塩基配列を、形質導入する宿主において使用頻度の高いコドンに変異させたヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子、及び、上記遺伝子を含む形質転換体を培養し、得られる培養物からヒドロキシニトリルリアーゼを採取することを特徴とするヒドロキシニトリルリアーゼの製造方法。
【選択図】なし。


Description

本発明は、ヒドロキシニトリルリアーゼの製造方法に関する。
ヒドロキシニトリルリアーゼ(HNL)は、シアノヒドリンの製造反応を触媒する酵素である。シアノヒドリンは、さまざまな化合物に変換することが可能であり、有機合成中間体として有用であることから、HNLを大量に生産する方法の開発が望まれている。
シアノヒドリン合成を触媒するHNLは(S)選択性及び(R)選択性の2つのグループに分けられる。その中で(S)-HNLは、酸性条件下においてケトン又はアルデヒドとシアン化合物から(S)-シアノヒドリンを生成する反応を触媒する。この反応の代表例として、ベンズアルデヒド(benzaldehyde)とシアン化合物である青酸から、 (S)-マンデロニトリル(mandelonitrile)を生成する反応がある。また、(S)-HNLは、安価な基質から医薬及び化成品中間体として利用価値の高い光学活性体を生産することのできる生体触媒としても使用されており、多くの分野において極めて有用である。
HNLは、シアン配糖体(cyanogenic glucoside)を有する植物においてのみ存在することが知られているが、植物体からは微量のHNLしか抽出することができなかった。そこで、医薬、化学的に有用なHNLを大量に得るために、細胞工学的な方法でHNLを得る試みがされてきた(特許文献1〜6)。
しかしながら、工業的生産をめざすためには、さらに大量のHNLを生産し得る方法の開発が必要である。
特表平11−508775号公報 特開2000−189159号公報 特開2000−189160号公報 特開2000−245486号公報 特開2002−330791号公報 国際公開第0148178号パンフレット
本発明は、宿主にヒドロキシニトリルリアーゼを効果的に発現させて、ヒドロキシニトリルリアーゼを大量に生成する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために誠意研究を行った結果、ヒドロキシニトリルリアーゼのコドンを宿主のコドンユーセージを基にして、使用頻度の高いコドンに変異させたヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を用いると、当該宿主において活性型ヒドロキシニトリルリアーゼを効率的に発現させ、生産量が増加することを見出し、本発明を完成するに至った、
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子の塩基配列を、形質導入する宿主において使用頻度の高いコドンに変異させた、変異型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子。
ヒドロキシニトリルリアーゼは、例えば植物由来のものである。形質導入する宿主としては、例えば大腸菌が挙げられる。また、ヒドロキシニトリルリアーゼは、以下の(a)又は(b)に示すポリペプチドを含むものでもよい。
(a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するポリペプチド
本発明の変異型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子は、例えば配列番号3で表される塩基配列を含むものを例示することができる。
(2)上記遺伝子を含む組換えベクター。
(3)上記組換えベクターで宿主(例えば大腸菌)を形質導入してなる形質転換体。
(4)上記形質転換体を培養して得られる培養物。
(5)上記培養物からヒドロキシニトリルリアーゼを採取することを特徴とするヒドロキシニトリルリアーゼの製造方法。
(6)ケトン化合物又はアルデヒド化合物、及びシアン化合物に、上記(4)記載の培養物又はその処理物を接触させ、シアンヒドリンを採取することを特徴とするシアンヒドリンの製造方法。
ケトン化合物又はアルデヒド化合物としては例えばベンズアルデヒドが挙げられ、シアン化合物としては青酸が挙げられる。
(7)上記の方法により得られたシアンヒドリンを加水分解することを特徴とするヒドロキシカルボン酸の製造方法。
本発明により、ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子のコドンを宿主のコドン使用頻度に従い、使用頻度の高いコドンに変異させたヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子が提供される。さらに、本発明は前記の遺伝子を宿主に導入し、その宿主を培養することにより、ヒドロキシニトリルリアーゼを大量に製造することができる。
遺伝子工学の技術を用いて、目的酵素遺伝子を宿主に発現させる際には、しばしばインクルージョンボディ等を形成し、活性型酵素の発現効率が低いことが問題となる。そのような場合の解決策の一つとして、培養温度条件等を最適化することが知られている(国際公開第0148178号)。
一方、高発現させる方法として、本来の遺伝子で使用されているコドンを、宿主のコドン使用頻度に従って変異させる方法がある。
本発明においては、まず、活性型ヒドロキシニトリルリアーゼを高発現させることを目的とする(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼ (HNL)をコードする遺伝子(HNL遺伝子)を、宿主の使用頻度の高いコドンに変異させることを特徴とする。
コドンを変異させる対象となるHNL遺伝子は特に限定されるものではないが、植物由来のものが好ましい。植物としては、例えばキャッサバ(Manihot esculenta )、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)、モロコシ(Sorghum bicolor)、アーモンド(Prunus amygdalus) 、キシメニア(Ximenia americana)などが挙げられる。
なお、(S)-ヒドロキシニトリルリアーゼの遺伝子配列は公知であり、例えば、キャッサバ由来のものはGenBank (accession number Z29091)に公開されている。キャッサバ由来のHNLの塩基配列を配列番号1に、アミノ酸配列を配列番号2に示す。
宿主において使用頻度の高いコドンに変異させた変異型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子は、基本的には、本来有するアミノ酸のコドンを、形質転換される宿主で高頻度に用いられる同一アミノ酸のコドンに変異させた遺伝子を意味する。但し、ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列の一部に欠失、置換又は付加等の変異が生じたアミノ酸配列であって、ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するものを排除するものではない。従って、そのようなアミノ酸の欠失、置換又は付加等の変異が生じたアミノ酸配列であってHNL活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子も、宿主の使用頻度の高いコドンに変異させることができる。
ここで、コドン使用頻度とは、核酸配列からアミノ酸配列への情報変換過程において3塩基が使用される頻度を意味し、コドンとは、mRNA中の3個のヌクレオチドの並び方を意味する。上記情報変換過程では、3塩基が1単位となって1つのアミノ酸に翻訳される。64種類のコドンは20種類のアミノ酸に対応するため、遺伝暗号の縮重が存在し、1つのアミノ酸は1〜6種類の同義コドンを持つ。例えばValのコドンは、GUU、GUC、GUA、GUGの4種類が存在する。一つのアミノ酸に対して複数のコドンがある場合、生物はその複数のコドンを均等な割合で用いるのでなく、生物毎に特徴のある割合で特定のコドンに偏って用いられる。このような生物毎のコドン使用頻度(コドンユーセージ)は一部データベース化されており、コドンユーセージデータベース(http://www.kazusa.or.jp/codon/)で調べることができる。
遺伝子を、その由来を異にする宿主において発現させるには、コドンを当該宿主において使用頻度の高いコドンに変異させることが有効である。例えば、植物由来のHNL遺伝子を大腸菌を宿主に用いる場合は、その植物由来のHNL遺伝子の塩基配列を、大腸菌の使用頻度の高いコドンに変異させることが好ましい。
ここで、使用頻度が「高い」とは、複数のコドンが存在するときは最低のコドン使用頻度よりも高いことを意味し、最も高い使用頻度である必要はない。また、コドンが1つしか存在しない場合(例えばMet及びTrp)は、使用頻度とは無関係に使用される。但し、宿主における発現効率を考慮すると、宿主において最も使用頻度の高いコドンを使用することが好ましい。より具体的には、宿主として大腸菌K12株を用いる場合、表1で示されるコドンユーセージ表から使用頻度の最も高いコドンを知ることができる(表2)。従って、本発明においては、表2に示すコドンに遺伝子工学の技術を用いて本来のコドンを変異させることが好ましい。例えば、本来のHNL遺伝子で使用されているValのコドンが「gta」であるとすると、「gta」をE. coli K12株におけるValの最頻用コドンである「gtg」に変異させればよい。
Figure 2005245242
Figure 2005245242
さらに、上記のようにコドンを変異させる領域は、コード配列(CDS)内であれば限定されるものではなく、CDSの全てのコドンに対して変異させることも、部分的に1又は複数箇所を変異させることもできる。言い換えると、コドンを変異させるアミノ酸の数は、ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸258残基の内、1以上であれば良く、好ましくは1〜100、さらに好ましくは10〜70残基である。
また、野生型ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列(例えば配列番号2)において、1個又は数個(例えば1個〜10個程度、好ましくは1個〜5個程度)のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、HNL活性を有するタンパク質をコードする遺伝子も、コドン変異の対象となる。
本発明の変異型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子は、野生型のヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を部位特異的に変異させることで作製することができる。まず、ヒドロキシニトリルリアーゼの遺伝子を、植物から当該酵素遺伝子のmRNAを含む全RNA又はmRNA等を抽出し、定法に従ってcDNAを合成し、公知のHNL遺伝子配列情報をもとに設計したプライマーを用いてPCR法で当該酵素をコードする遺伝子を増幅することで得ることができる。さらに、得られたヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を基にして、ヌクレオチドの1個又は複数個を変異させたポリヌクレオチドを作製することもできる。ヌクレオチドの変異は、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.」(Cold Spring Harbor Press (1989))、「Current Protocols in Molecular Biology」(John Wiley & Sons (1987-1997))、Kunkel, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 488-92 (1985)、Kramer and Fritz Method. Enzymol. 154: 350-67(1987)、Kunkel, Method. Enzymol. 85: 2763-6 (1988)等に記載の部位特異的変異誘発法等の方法に従って調製することができる。
また、ポリヌクレオチドに変異を導入するには、Kunkel法や Gapped duplex法等の公知手法により、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット、例えばQuikChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン社製)、GeneTailorTM Site-Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、TaKaRa Site-Directed Mutagenesis System(Mutan-K、Mutan-Super Express Km等:タカラバイオ社製)等を用いて行うことができる。
あるいは、本発明の変異ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子は、合成オリゴDNAを組み合わせたPCR法(assembly PCR)で伸長させて合成遺伝子として得ることもできる。このPCRは、まとまった範囲に変異を複数導入したいときに、より有効である。
具体的には、変異を導入したい遺伝子領域のセンス鎖の5'末端側から、変異を導入した長さ30〜150ntのオリゴDNAを設計する(図1)。図1Aにおいては、オリゴDNAを1番から30番までを例示し、センス鎖は奇数番号で、アンチセンス鎖は偶数番号で示した(DNA1〜DNA30とする)。センス鎖オリゴは、オリゴDNA1に続いてオリゴDNA3を設計する。オリゴDNA3の位置は、オリゴDNA1に隣接して合成してもよく、適当な間隔(数nt〜数十nt)をあけて合成してもよい。同様にして、オリゴDNA5、7、9・・・と合成を続けて、目的の領域の3'末端までオリゴDNAを設計する。
次に、アンチセンス鎖についても3'末端側から、変異を導入した30〜150ntのオリゴDNA2を設計する。アンチセンス鎖のオリゴDNA(2n)(n=1, 2, 3, ・・・)の3'末端側の一部の配列は、それぞれ、センス鎖のオリゴDNA(2n-1) (n=1, 2, 3, ・・・)の3'側の一部の配列と重複して相補鎖を形成するように設計し、アンチセンス鎖のオリゴDNA(2n)(n=1, 2, 3, ・・・)の5'末端側の一部の配列は、それぞれ、センス鎖のオリゴDNA(2n+1) (n=1, 2, 3, ・・・)の5'末端側の一部の配列と重複して相補鎖を形成するように設計する。例えば、オリゴDNA2の3'末端側の一部の配列は、DNA1の3'末端側の一部の配列と相補的となるように設計し、オリゴDNA2の5'末端側の一部の配列は、DNA3の5'末端側の一部の配列と相補的となるように設計する。センス鎖とアンチセンス鎖との間で重複する配列(相補鎖を形成する配列)の長さは、センス鎖又はアンチセンス鎖のオリゴDNAをそれぞれ隣接させて設計するか、間隔をあけて設計するかにより適宜設定することができ、例えば5〜50nt、好ましくは10〜40ntである。
そして、設計したオリゴDNAを既知の方法で合成し、PCR法によって合成オリゴヌクレオチドを集合させてセンス鎖及びアンチセンス鎖をそれぞれ1本の直鎖状断片とし(図1B)、さらに末端のオリゴDNA(オリゴDNA1及びオリゴDNA30)をプライマーとして用い(図1C)、PCRを行うことにより、本発明の変異を導入したHNL遺伝子を得ることができる(図1D)。ここで、PCRに用いるDNAポリメラーゼは特に限定されないが、正確性の高いDNAポリメラーゼであることが好ましい。例えば、Pwo DNA(ポリメラーゼロシュ・ダイアグノスティックス)、Pfu DNAポリメラーゼ(プロメガ)、プラチナPfx DNAポリメラーゼ(インビトロジェン)、KOD DNAポリメラーゼ(東洋紡)等が好ましい。
PCRの反応条件は、用いるDNAポリメラーゼの最適温度、合成するDNAによって異なるが、90〜98℃で5〜30秒、50〜65℃で5〜30秒、65〜80℃で30〜1200秒のセットを20〜200サイクルであることが好ましい。
キャッサバ由来のHNL遺伝子の全てのコドンを、大腸菌K12株における最頻用コドンに変異させた遺伝子の塩基配列を配列番号3に示す。さらに、当該遺伝子によりコードされるアミノ酸配列を配列番号4に示す。アミノ酸の欠失、置換又は付加等の変異のないHNLのコドンの変異を行う場合は、本来のヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子のコードするアミノ酸配列(配列番号2)と、変異後のアミノ酸配列(配列番号4)は一致する。
また、アミノ酸への翻訳にとって重要な塩基配列として、SD配列やKozak配列が知られており、これらの配列を変異遺伝子の上流に挿入することもできる。原核生物を宿主に用いるときにはSD配列を、真核細胞を宿主に用いるときにはKozak配列をPCR法などにより付加してもよい。
上記の方法によって得た本発明の変異型HNL遺伝子を、変異コドン情報の基礎とした宿主で発現させるために、遺伝子の上流に転写プロモーターを、下流にターミネーターを挿入して発現カセットを構築し、このカセットを発現ベクターに挿入することができる。あるいは、当該変異遺伝子を導入する発現ベクターに転写プロモーターとターミネーターがすでに存在する場合には、発現カセットを構築することなく、ベクター中のプロモーターとターミネーターを利用してその間に当該変異遺伝子を導入すればよい。ベクターに当該変異遺伝子を導入するには、制限酵素を用いる方法、トポイソメラーゼを用いる方法等を利用する。
本発明において使用されるベクターは、上記の変異遺伝子を保持するものであれば特に限定されず、それぞれの宿主に適したベクターを使用することができる。
また、本発明において形質導入に使用する宿主は、上記組換えベクターが導入された後、目的のHNLを発現することができる限り特に限定されるものではない。宿主としては、例えば大腸菌、枯草菌、酵母(Pichia、Saccharomyces)、カビ(Aspergillus)、昆虫細胞等が挙げられる。
本発明の形質転換体は、上記の本発明のベクターを宿主に導入することによって得ることができる。形質導入の方法としては、電気穿孔法、リポフェクション法、ヒートショック法、PEG法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法等を挙げることができる。当業者であれば、宿主と発現ベクターの組み合わせに適した形質導入方法を選択して実施することができる。
本発明において、HNLは、上記形質転換体を培養し、得られる培養物から採取することにより製造することができる。
宿主に大腸菌を用いる場合、適当な培地(LB培地等)に、形質転換した大腸菌を培養し、用いる発現ベクターによっては、IPTG等で目的タンパク質の発現誘導を制御する。培養後に得られた培養物から、目的の変異ヒドロキシニトリルリアーゼを得ることができる。
「培養物」とは、培養上清、培養細胞、培養菌体、又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本発明の形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。目的のHNLは、上記培養物中に蓄積される。
本発明の形質転換体を培養する培地は、宿主菌が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、ガラクトース、フラクトース、スクロース、ラフィノース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物が挙げられる。その他、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー、各種アミノ酸等を用いてもよい。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。
培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、10℃〜40℃、好ましくは20℃〜37℃で5〜100時間行う。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。
上記培養条件で培養すると、高収率でHNLを生産することができる。
培養後、HNLが菌体内又は細胞内に生産される場合には、ホモジナイザー処理などを施して菌体又は細胞を破砕することにより、目的のHNLを採取する。HNLが菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、硫安沈澱による抽出等により前記培養物中からHNLを採取し、必要に応じてさらに透析、各種クロマトグラフィー等を用いて単離精製する。
また、本発明においては、上記の変異型HNL遺伝子又は上記ベクターからHNLを採取することも可能である。すなわち、本発明においては、生細胞を全く使用することなく無細胞タンパク質合成系を採用して、HNLを産生することが可能である。
無細胞タンパク質合成系とは、細胞抽出液を用いて試験管などの人工容器内でタンパク質を合成する系である。なお、本発明において使用される無細胞タンパク質合成系には、DNAを鋳型としてRNAを合成する無細胞転写系も含まれる。
この場合、上記の宿主に対応する生物は、下記の細胞抽出液の由来する生物に相当する。ここで、上記細胞抽出液は、真核細胞由来又は原核細胞由来の抽出液、例えば、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球、マウスL-細胞、HeLa細胞、CHO細胞、出芽酵母、大腸菌などの抽出液を使用することができる。なお、これらの細胞抽出液は濃縮されたものであっても濃縮されないものであってもよい。つまり、出芽酵母由来の細胞抽出液を用いて無細胞タンパク質合成を行う場合には、ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子のコドンを、出芽酵母の頻用コドンに従って変異させた遺伝子を用いればよい。
細胞抽出液は、例えば限外濾過、透析、ポリエチレングリコール(PEG)沈殿等によって得ることができる。さらに本発明において、無細胞タンパク質合成は、市販のキットを用いて行うこともできる。そのようなキットとしては、例えば試薬キットPROTEIOSTM(東洋紡)、TNTTM System(プロメガ)、合成装置のPG-MateTM(東洋紡)、RTS(ロシュ・ダイアグノスティクス)などが挙げられる。
上記のように細胞タンパク質合成によって得られるヒドロキシニトリルリアーゼは、前述のように適宜クロマトグラフィーを選択して、精製することができる。
上述のように製造された変異ヒドロキシニトリルリアーゼは、酵素触媒として物質生産に利用することができる。例えば、ケトン化合物又はアルデヒド化合物、及びシアン化合物に、上述のヒドロキシニトリルリアーゼを接触させることにより、シアンヒドリンを製造することができる。
酵素触媒としては、上述のように適当な宿主内で変異ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子が発現するように遺伝子導入を行い、宿主を培養した後の培養物、またはその処理物を利用することができる。処理物としては、例えば、培養後の細胞をアクリルアミド等のゲルで包含したもの、グルタルアルデヒドで処理したもの、アルミナ、シリカ、ゼオライト、珪藻土等の無機担体に担持したもの等が挙げられる。
基質として使用されるケトン化合物又はアルデヒド化合物及びシアン化合物は、酵素の基質特異性、酵素の基質に対する安定性等を考慮して選択される。アルデヒド化合物としては、ベンズアルデヒドが好ましい。また、シアン化合物としては、青酸が好ましい。
反応方法及び反応終了後のシアンヒドリンの採取方法は、基質、酵素触媒の特性により適宜選択される。酵素触媒は、その活性が失活しない限り、リサイクル使用することが好ましい。失活の防止、リサイクルを容易にすることに鑑み、酵素触媒は処理物の形態で使用されることが好ましい。
採取されたシアンヒドリンはさらに硫酸、塩酸等により加水分解反応を実施することによって、ヒドロキシカルボン酸に変換することも可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
下記の実施例中、Bacto Tryptone及びYeast ExtractはDifco社(Detroit, USA)のものを用いた。他の全ての化合物は、市販のものを精製せずに用いた。
Manihot eaculenta由来(S)-HNL大腸菌コドン合成遺伝子の設計と作製
HNL遺伝子を新規に設計し、いくつかのコドンを大腸菌で良く用いられているコドンに変更した。具体的には、最終的に30種のオリゴヌクレオチドNo.1〜30(49ntが6種、50ntが21種、27ntが2種及び48ntが1種)(配列番号5〜34)を設計及び合成し、50 nmolスケールで調製した。オリゴヌクレオチドに相補的に設定された30種のオリゴヌクレオチドは、20nt重なるように設計した(図1)。
No.1:aaaagagttagatatcatttccaaaatggtgaccgcgcattttgtgctg(配列番号5)
No.2:tccacgcgccatggcaaatggtatgaatcagcacaaaatgcgcggtcacc(配列番号6)
No.3:ttgccatggcgcgtggatttggcataaactgaaaccggcgctggaacgcg(配列番号7)
No.4:ccatatccagcgcggtcactttatggcccgcgcgttccagcgccggtttc(配列番号8)
No.5:agtgaccgcgctggatatggcggcgagcggcattgatccgcgccagattg(配列番号9)
No.6:cgctatattcatcaaagctgttaatctgttcaatctggcgcggatcaatg(配列番号10)
No.7:cagctttgatgaatatagcgaaccgctactgacctttctggaaaaactgc(配列番号11)
No.8:cgcccacaataatcactttttcgccctgcggcagtttttccagaaaggtc(配列番号12)
No.9:aaaagtgattattgtgggcgaaagctgcgcgggcctgaacattgcgattg(配列番号13)
No.10:ccgcaattttatccacatagcgatccgccgcaatcgcaatgttcaggccc(配列番号14)
No.11:ctatgtggataaaattgcggcgggcgtttttcataacagcctgctgccgg(配列番号15)
No.12:ccacggtatagctcgggctatgcacggtatccggcagcaggctgttatg(配列番号16)
No.13:tagcccgagctataccgtggaaaaactgctggaaagctttccggattggc(配列番号17)
No.14:tgttggtaaaggtaaaatattcggtatcgcgccaatccggaaagctttcc(配列番号18)
No.15:atattttacctttaccaacattaccggcgaaaccattaccaccatgaaac(配列番号19)
No.16:acaggttttcgcgcagcagcacaaagcccagtttcatggtggtaatgg(配列番号20)
No.17:ctgctgcgcgaaaacctgtttaccaaatgcaccgatggcgaatatgaac(配列番号21)
No.18:ggctgcctttgcgcatcaccattttcgccagttcatattcgccatcggtg(配列番号22)
No.19:ggtgatgcgcaaaggcagcctgtttcagaacgtgctggcgcagcgcccg(配列番号23)
No.20:taatgctgccatagcctttttcggtaaatttcgggcgctgcgccagcacg(配列番号24)
No.21:aaaaggctatggcagcattaaaaaagtgtatatttggaccgatcagg(配列番号25)
No.22:agcgctgaaaatccggcagaaaaattttatcctgatcggtccaaatatac(配列番号26)
No.23:gccggattttcagcgctggcagattgcgaactataaaccggataaagtg(配列番号27)
No.24:gtttatgatcgccgccctgcacctgatacactttatccggtttatagttc(配列番号28)
No.25:gggcggcgatcataaactgcagctgaccaaaaccgaagaagtggcgc(配列番号29)
No.26:catacgcatccgccacttcctgcagaatatgcgccacttcttcggttttg(配列番号30)
No.27:agtggcggatgcgtatgcgtgaagcttttagctcctattaagttaacctg(配列番号31)
No.28:tgaaaatgtgagattatttataactgcacccaggttaacttaataggagc(配列番号32)
No.29:taaataatctcacattttcatgtgagaattaaattgcactaaaataaag(配列番号33)
No.30:catatttaaagaaaaaaaaactcaaactttattttagtgcaatttaattc(配列番号34)
凍結乾燥されたオリゴヌクレオチドを蒸留水で再懸濁し、100 pmol/μlとした。30種のオリゴヌクレオチド溶液のそれぞれから1μlずつ集めてミックスオリゴを作製した。この混合液をPCR-mix(Pwo 10×緩衝液、dNTP mix、Pwo DNAポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)に下記表3の用量で加えた。
Figure 2005245242
PCRは、94℃で30秒、52℃で30秒、72℃で30秒のセットを55サイクル行い、オリゴヌクレオチドを伸長させて、遺伝子を合成した(1st PCR)。
次に、上記のように作製した合成遺伝子の増幅を行った(2nd PCR)。上記のA、B、Cの反応産物1.3μlに、5μlのPwo 10×緩衝液、5μlのdNTP mix、0.5μlのPwo DNAポリメラーゼ、36.2μlの蒸留水及び1μlの外側プライマーを添加した。外側プライマーとして、No.1(配列番号5)及びNo.30(配列番号34)のプライマーを用いた。2nd PCRは、94℃で30秒、50℃で30秒、72℃で60秒のセットを23サイクル行い、遺伝子を増幅した。
2nd PCRの増幅産物を1.5%アガロースゲルで解析した(図2)。図2中のA、B、Cは1st PCR産物を示し、A'、B'、C'はそれぞれA、B、Cの反応産物を鋳型に用いた2nd PCR産物を示す。(M)は、分子量マーカーを示す。A'、B'、C'のいずれにおいても、0.9kbの大きさのバンドを確認できたが、より確実に増幅が確認されたA'とB'を選択して以下の実験に用いた。続いて、この0.9kbのバンドをQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)で精製した。ゲルから精製したDNA(5μl)、ベクターpT7 Blue(1μl)、蒸留水(4μl)及びsolution I(DNA Ligation Kit ver.2(宝酒造、京都、日本))(10μl)を混合してライゲーション混合物を作り、この混合物を12時間、16℃でインキュベートすることで増幅産物とベクターを結合した。
(S)-HNL大腸菌コドン合成遺伝子の作製
(1)コンピテントセルの調製
大腸菌JM109をM9ミニマム培地プレート上にまき、37℃で12時間培養した。シングルコロニーを取り、100 mLのSOB培地(2% Bacto Tryptone、0.5% Bacto yeast extract、0.05% NaCl、10 mM Mg2+)に懸濁した。18℃で24時間回転撹拌によりインキュベーションさせた後、細胞を4℃、3,000rpmで10分間遠心して回収し、11 mLのTBバッファー(0.3% PIPES、0.22 % CaCl2-2H2O、1.85% KCl、1.09% MnCl2-4H2O)に穏やかにボルテックスして再懸濁した。続いて細胞を4℃、3,000rpmで10分間遠心して回収し、2.7 mLのTBバッファーに懸濁してから10分間氷上で冷やした。ここに新鮮なDMSOを200μl加えて穏やかに攪拌し、氷上に10分間おいた。そして、この溶液を400μlずつエッペンドルフチューブに分注し、直ちに-198℃(液体窒素)で凍結し、その後使用するまで-80℃で保存した。
(2)ヒートショック法によるトランスォーメーション
上記実施例1のライゲーション反応液10μlを、(1)で作製したコンピテントセル200μl中に加えて、42℃で1分間温めた。続いて5分間氷上で冷やした後、1 mLのSOC培地(2% Bacto Tryptone、0.5% Bacto yeast extract、0.05% NaCl、10 mM Mg2+、10 mM Glucose)を加えて、混合物を1時間37℃で穏やかに撹拌培養した。続いて培養液を7000rpmで5分間遠心した後、得られた細胞ペレットを100μlのLB培地で懸濁してからLBプレート(80μg/mL アンピシリン含有)にまいた。このLBプレートを37℃で一晩インキュベートした。
DNA塩基配列解析
プラスミド自動分離装置(クラボウ、大阪、日本)をシークエンシング用の二本鎖DNAの調製に用いた。実施例2で得られる形質転換体から精製したプラスミドDNAをEcoRIとXbaIで処理し、アガロースゲルで制限酵素消化されたDNAの大きさを解析した。その結果、0.9kbの大きさのDNAフラグメントを示したプラスミドNo.78(図3)を塩基配列決定のための鋳型DNAとして用いた。核酸配列解析をM13Forward 及びReverse IRD800 Infrared Dye Labeled primer(アロカ(株))でジデオキシヌクレオチドチェーンターミネーション法により行った。シークエンシング反応をThermo Sequence cycle Sequencing Kit(Amersham Bioscience(Uppsala, Sweden))で行い、反応混合物をDNAシークエンサー4000L(Li-cor、Licon、NE、USA)に流した。プラスミドNo.78の変異ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子配列は、目的の遺伝子配列と同一であることを確認した。
大腸菌におけるHNL遺伝子の発現
HNLをコードする修飾DNAフラグメントをPCR法により得た。PCR用の反応混合物は、5μlのPwo 10×バッファー、5μlのdNTP mix、0.5μlのPwo DNAポリメラーゼ、36.2μlの蒸留水、1μlのセンス及びアンチセンスプライマー、並びに鋳型としてプラスミドNo.78を1μl添加したものを用いた。PCRは、95℃で2分の変性を行った後、94℃で30秒、50℃で30秒、72℃で2分を30サイクル行った。センスプライマー(配列番号35)は、その配列中にSphI認識部位、リボソーム結合部位、pUC19のlacZ遺伝子フレームのTAG終止コドン、HNL遺伝子のATG開始コドンを有する61ヌクレオチドのものである。また、アンチセンスプライマー(配列番号36)は、その配列中にBamHI部位を有する37ヌクレオチドのものである。
センスプライマー:
TGCAAAGCAT GCTAAGGAGG AATAGAAAAT GGTGACCGCG CATTTTGTGC TGATTCATAC C(配列番号35)
アンチセンスプライマー:
ATTTTAGTGC AATTGGATCC TCACATGAAA ATGTGAG(配列番号36)
PCRにより得られた増幅PCR産物は、SphI及びBamHIによって消化し、アガロースゲル電気泳動で分離し、その後QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。増幅されたDNAはpUC19のlacプロモーターの下流に挿入され、このプラスミドを発現プラスミドpUMESDsyとした。続いてpUMESDsyで大腸菌JM109を実施例2(2)に記載のようにトランスフォーメーションし、形質転換体を得た。
ヒドロキシニトリルリアーゼの製造(培養)
上記実施例4で作成した組換え体を、以下に示す培地で37℃で12時間培養した。培養終了後、培養液を後述の実施例7に示す方法で活性を測定した。
培地組成
ペプトン 10g/L
酵母エキス 5g/L
NaCl 10g/L
アンピシリン 80mg/L
IPTG 0.5mM
活性測定方法
ベンズアルデヒドからの(S)-マンデロニトリルの生成を測定することによって酵素活性をアッセイした。
標準アッセイ溶液は、最終容量0.9 ml中に300 mMクエン酸緩衝液(pH 4.0)、50 mMベンズアルデヒド及び100 mMシアン化物溶液を含有する。100 μlの酵素溶液を添加することによって反応を直ちに開始し、25℃で120分間インキュベートした。900μlの有機溶媒(ヘキサン:イソプロパノール= 9:1)を添加して反応を停止させ、遠心(15,000×g、10 分)により得た上清をHPLCによりアッセイした。
各成分の量はCHIRALCEL OJ-Hカラム(ダイセル化学社製)を用いてヘキサン:イソプロパノール= 90:10 を移動相として流量1.0 ml/分で流し254 nmで測定し、それらの標準曲線を用いて算出した。
標準的アッセイ条件下でベンズアルデヒドから、1分あたり1μmolのS-マンデロニトリルを生成する酵素の量を酵素活性の1単位を定義した。
ワイルドタイプ(植物遺伝子配列のまま)(比較例)
(1)Manihot esculenta由来(S)-HNL遺伝子(SYN154)の合成
実施例1と同様の手法により、配列番号1に示す1021bpの合成遺伝子SYN154を得た。得られたSYN154は、SmaIによって消化後、pUC19のlacプロモーターの下流に挿入され、このプラスミドを発現プラスミドpUMEとした。pUMEの塩基配列を実施例3と同様に解析し、ワイルドタイプのヒドロキシニトリルリアーゼと同一の配列であることを確認した。
(2)SYN154の修飾
ワイルドタイプHNL遺伝子SYN154の修飾DNAフラグメントをPCR法により得た。PCR用の反応混合物は、5μlのPwo 10×バッファー、5μlのdNTP mix、0.5μlのPwo DNAポリメラーゼ、33.5μlの蒸留水、1μlのセンス及びアンチセンスプライマー、並びに鋳型としてプラスミドpUMEを4μl添加したものを用いた。PCRは、95℃で2分の変性を行った後、94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で2分を30サイクル行い、その後72℃で10分の条件で行った。センスプライマー(配列番号37)は、その配列中に、PstI認識部位とリボソーム結合部位、pUC19のlacZ遺伝子フレームのTAG終始コドン、HNL遺伝子のATG開始コドンを有する62ヌクレオチドのものである。また、アンチセンスプライマー(配列番号38)は、その配列中にBamHI部位を有する33ヌクレオチドのものである。
センスプライマー:CCCCAAACTGCAGTAAGGAGGAATAGAAAATGGTAACTGCACATTTTGTTCTGATTCATACC (配列番号37)
アンチセンスプライマー:TAGTGCAATTGGATCCTCACATGAAAATGTGAG (配列番号38)
PCRにより得られた増幅PCR産物を、PstI及びBamHIによって消化し、アガロースゲル電気泳動で分離し、その後QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。増幅されたDNAはpUC19のlacプロモーターの下流に挿入され、このプラスミドを発現プラスミドpUMESDとした。続いてpUMESDで大腸菌JM109を実施例2(2)に記載のようにトランスフォーメーションし、形質転換体を得た。
(3)ヒドロキシニトリルリアーゼの製造(培養)
上記(2)で作製した組換え体を実施例6と同様に培養し、実施例7と同様にして培養液の活性を測定した。
以上の結果を表4にまとめた。
Figure 2005245242
変異ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の作製法を示す模式図である。 assembly PCR産物の電気泳動の結果を示す図である。 プラスミドNo.78を制限酵素処理した後の電気泳動像を示す図である。
配列番号3:合成DNA
配列番号4:合成構築物
配列番号5:合成DNA
配列番号6:合成DNA
配列番号7:合成DNA
配列番号8:合成DNA
配列番号9:合成DNA
配列番号10:合成DNA
配列番号11:合成DNA
配列番号12:合成DNA
配列番号13:合成DNA
配列番号14:合成DNA
配列番号15:合成DNA
配列番号16:合成DNA
配列番号17:合成DNA
配列番号18:合成DNA
配列番号19:合成DNA
配列番号20:合成DNA
配列番号21:合成DNA
配列番号22:合成DNA
配列番号23:合成DNA
配列番号24:合成DNA
配列番号25:合成DNA
配列番号26:合成DNA
配列番号27:合成DNA
配列番号28:合成DNA
配列番号29:合成DNA
配列番号30:合成DNA
配列番号31:合成DNA
配列番号32:合成DNA
配列番号33:合成DNA
配列番号34:合成DNA
配列番号35:合成DNA
配列番号36:合成DNA
配列番号37:合成DNA
配列番号38:合成DNA

Claims (13)

  1. ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子の塩基配列を、形質導入する宿主において使用頻度の高いコドンに変異させた、変異型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子。
  2. ヒドロキシニトリルリアーゼが植物由来のものである請求項1記載の遺伝子。
  3. ヒドロキシニトリルリアーゼが、以下の(a)又は(b)に示すポリペプチドを含むものである請求項1記載の遺伝子
    (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
    (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するポリペプチド
  4. 宿主が大腸菌である請求項1記載の遺伝子。
  5. 配列番号3で表される塩基配列を含む、変異型ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
  7. 請求項6記載の組換えベクターで宿主を形質導入してなる形質転換体。
  8. 宿主が大腸菌である請求項7記載の形質転換体。
  9. 請求項7又は8記載の形質転換体を培養して得られる培養物。
  10. 請求項9記載の培養物からヒドロキシニトリルリアーゼを採取することを特徴とするヒドロキシニトリルリアーゼの製造方法。
  11. ケトン化合物又はアルデヒド化合物、及びシアン化合物に、請求項9記載の培養物又はその処理物を接触させ、シアンヒドリンを採取することを特徴とするシアンヒドリンの製造方法。
  12. ケトン化合物又はアルデヒド化合物がベンズアルデヒドであり、シアン化合物が青酸である請求項11記載の方法。
  13. 請求項10又は11記載の方法により得られたシアンヒドリンを加水分解することを特徴とするヒドロキシカルボン酸の製造方法。

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