JP4039037B2 - 還元酵素遺伝子及びその利用 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、還元酵素をコードする遺伝子、該酵素及びそれらの利用等に関する。
【0002】
【従来の技術】
(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルは医農薬中間体等として有用な化合物であり、これまでに種々の製造方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法は必ずしも工業的に十分なものではなく、新しい(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造法について種々検討した結果、(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルを製造するために利用可能なタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を見出し、これを反応触媒として利用することにより4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルを不斉還元して(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルを優先的に生産するような製造方法を提供することが上記課題を解決するために極めて有効であると判断し、かつ多くの実験等を経ることにより、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質が4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルを不斉還元して(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルを優先的に生産する能力を有することを見出し、本発明に至った。
【0005】
即ち、本発明は、
1.下記の塩基配列のいずれかを有することを特徴とする遺伝子(以下、本発明遺伝子と記すこともある。)
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列、
b)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列であって、かつ、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列、
c)配列番号2で示される塩基配列;
2.宿主細胞内において機能可能なプロモーターと前項1記載の遺伝子とが機能可能な形で接続されてなることを特徴とする遺伝子;
3.前項1又は2記載の遺伝子を含むことを特徴とする組換ベクター(以下、本発明ベクターと記すこともある。);
4.前項2記載の遺伝子又は前項3記載の組換ベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体;
5.宿主細胞が微生物であることを特徴とする前項4記載の形質転換体;
6.宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする前項4記載の形質転換体;
7.前項1記載の遺伝子を保有することを特徴とする形質転換体(以下、本発明形質転換体と記すこともある。);
8.前項3記載の組換ベクターを宿主細胞に導入する工程を含むことを特徴とする形質転換体の製造方法;
9.下記のアミノ酸配列のいずれかを有することを特徴とするタンパク質(以下、本発明タンパク質と記載することもある。)
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
b)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列、
c)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列;
10.4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルに前項9に記載のタンパク質、それを産生する形質転換体又はその処理物を作用させることを特徴とする(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法;
11.前項1記載の遺伝子及び酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を含むことを特徴とする組換ベクター;
12.酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質がグルコース脱水素酵素であることを特徴とする前項11記載の組換ベクター;
13.前項11又は12記載の組換ベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体;
14.宿主細胞が微生物であることを特徴とする前項13記載の形質転換体;
15.宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする前項13記載の形質転換体;
16.前項1記載の遺伝子及び酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を保有することを特徴とする形質転換体;
17.酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質を反応系内に共存させること特徴とする前項10記載の(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法;
18.酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質がグルコース脱水素酵素であることを特徴とする前項17記載の(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造法;
19.4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルに前項13〜15記載の形質転換体又はその処理物を作用させることを特徴とする(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法;
20.4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルに前項16記載の形質転換体又はその処理物を作用させることを特徴とする(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法;
等を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、本発明遺伝子について説明する。
本発明遺伝子は、天然の遺伝子であってもよく、又は天然の遺伝子に変異を導入(部位特異的変異導入法、突然変異処理等)することにより作出された遺伝子であってもよい。天然の遺伝子を検索する場合には、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する能力を有する微生物を対象にすればよく、例えばペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)などのペニシリウム属に属する微生物をその対象として挙げることができる。
【0007】
本発明遺伝子は4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する還元反応を触媒する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有している。
【0008】
本発明遺伝子において「配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、例えば「クローニングとシークエンス」(渡辺格監修、杉浦昌弘編集、1989年、農村文化社発行)等に記載されているサザンハイブリダイゼーション法において、(1)高イオン濃度下[例えば、6XSSC(900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム)が挙げられる。]に、65℃でハイブリダイズさせることにより配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAとDNA−DNAハイブリッドを形成し、(2)低イオン濃度下[例えば、0.1 X SSC(15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム)が挙げられる。]に、65℃で30分間保温した後でも該ハイブリッドが維持されうるようなDNAをいう。
【0009】
具体的には、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列において、その一部の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNA、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAと配列相同性が80%以上であるDNA等があげられる。かかるDNAは、自然界に存在するDNAの中からクローニングされたDNAであっても、このクローニングされたDNAの塩基配列において、その一部の塩基の欠失、置換または付加が人為的に導入されてなるDNAであっても、人為的に合成されたDNAであってもよい。
【0010】
より具体的には、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA及び配列番号2で示される塩基配列を有するDNA(例えば、配列番号2で示される塩基配列からなるDNA、配列番号28で示される塩基配列からなるDNA等)等が挙げられる。
【0011】
本発明遺伝子のDNAは、例えば、以下のようにして調製することができる。
【0012】
ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)等のペニシリウム属に属する微生物等から通常の遺伝子工学的手法(例えば、「新 細胞工学実験プロトコール」(東京大学医科学研究所制癌研究部編、秀潤社、1993年)に記載された方法)に準じてcDNAライブラリーを調製し、調製されたcDNAライブラリーを鋳型として、かつ適切なプライマーを用いてPCRを行うことにより、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA及び/又は配列番号2で示される塩基配列を有するDNA等を増幅して本発明遺伝子のDNAを調製することができる。
【0013】
また、前記cDNAライブラリーを鋳型として、かつ配列番号23に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号24に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いてPCRを行うことにより、配列番号28で示される塩基配列からなるDNAを増幅して本発明遺伝子のDNAを調製することができる。
【0014】
該PCRの条件としては、例えば、4種類のdNTPを各々20μM、2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを各々15pmol、Taqpolymeraseを1.3U及び鋳型となるcDNAライブラリーを混合した反応液を97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)‐50℃(0.5分間)‐72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)‐55℃(0.5分間)‐72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持する条件が挙げられる。
【0015】
なお、該PCRに用いるプライマーの5’末端側には、制限酵素認識配列等を付加していてもよい。
【0016】
また、前記cDNAライブラリーを鋳型として配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列から選ばれる部分塩基配列を有するオリゴヌクレオチド等(例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする5’末端側の約14塩基程度以上の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)とcDNAライブラリー構築に用いられたベクターのDNA挿入部位近傍の塩基配列に相補的な塩基配列からなる約14塩基程度以上のオリゴヌクレオチドとをプライマーとして用いてPCRを行うことによっても、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAや、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA等を増幅して本発明遺伝子のDNAを調製することができる。
【0017】
上記のようにして増幅されたDNAを「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載されている方法に準じてベクターにクローニングして本発明組換ベクターを得ることができる。用いられるベクターとしては、具体的には、例えば、pUC119(宝酒造社製)、pTV118N(宝酒造社製)、pBluescriptII (東洋紡社製)、pCR2.1-TOPO(Invitrogen社製)、pTrc99A(Pharmacia社製)、pKK223-3(Pharmacia社製)などが挙げられる。
【0018】
また、本発明遺伝子のDNAは、例えば、微生物またはファージ由来のベクターに挿入されたcDNAライブラリーに配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列から選ばれる部分塩基配列を有する約15塩基程度以上の塩基配列からなるDNAをプローブとして後述する条件にてハイブリダイズさせ、該プローブが特異的に結合するDNAを検出することによっても取得することができる。
【0019】
染色体DNA又はcDNAライブラリーにプローブをハイブリダイズさせる方法としては、例えば、コロニーハイブリダイゼーションやプラークハイブリダイゼーションを挙げることができ、ライブラリーの作製に用いられたベクターの種類に応じて方法を選択することができる。
【0020】
使用されるライブラリーがプラスミドベクターを用いて作製されている場合にはコロニーハイブリダイゼーションを利用するとよい。具体的には、ライブラリーのDNAを宿主微生物に導入することにより形質転換体を取得し、得られた形質転換体を希釈した後、該希釈物を寒天培地上にまき、コロニーが現われるまで培養する。
【0021】
使用されるライブラリーがファージベクターを用いて作製されている場合にはプラークハイブリダイゼーションを利用するとよい。具体的には、宿主微生物とライブラリーのファージとを感染可能な条件下で混合し、さらに軟寒天培地と混合した後、該混合物を寒天培地上にまき、プラークが現われるまで培養する。
【0022】
次いで、いずれのハイブリダイゼーションの場合にも、前記の培養を行った寒天培地上にメンブレンを置き、形質転換体又はファージを該メンブレンに吸着・転写させる。このメンブレンをアルカリ処理した後、中和処理し、次いでDNAを該メンブレンに固定する処理を行う。より具体的には、例えば、プラークハイブリダイゼーションの場合には、前記寒天培地上にニトロセルロースメンブレン又はナイロンメンブレン(例えば、Hybond-N+(アマシャム社登録商標))を置き、約1分間静置してファージ粒子をメンブレンに吸着・転写させる。次に、該メンブレンをアルカリ溶液(例えば1.5M塩化ナトリウム、0.5M水酸化ナトリウム)に約3分間浸してファージ粒子を溶解させることによりファージDNAをメンブレン上に溶出させた後、中和溶液(例えば、1.5M塩化ナトリウム、0.5Mトリス−塩酸緩衝溶液pH7.5)に約5分間浸す。次いで該メンブレンを洗浄液(例えば、0.3M塩化ナトリウム、30mMクエン酸、0.2Mトリス−塩酸緩衝液pH7.5)で約5分間洗った後、例えば、約80℃で約90分間加熱することによりファージDNAをメンブレンに固定する。
【0023】
このように調製されたメンブレンを用いて、上記DNAをプローブとしてハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーションは、例えば、J.Sambrook, E.F.Frisch, T.Maniatis著「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition(1989)」 Cold Spring Harbor Laboratory Press等の記載に準じて行うことができる。
【0024】
プローブに用いるDNAは、放射性同位元素により標識されたものや、蛍光色素で標識されたものであってもよい。
プローブに用いるDNAを放射性同位元素により標識する方法としては、例えば、Random Primer Labeling Kit(宝酒造社製)等を利用することにより、PCR反応液中のdCTPを(α−32P)dCTPに替えて、プローブに用いるDNAを鋳型にしてPCRを行う方法が挙げられる。
また、プローブに用いるDNAを蛍光色素で標識する場合には、例えば、アマシャム製のECL Direct Nucleic Acid Labeling and Detection System等を用いることができる。
【0025】
ハイブリダイゼーションは、例えば、以下の通りに行うことができる。
450〜900mMの塩化ナトリウム及び45〜90mMのクエン酸ナトリウムを含みドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.1〜1.0重量%の濃度で含み、変性した非特異的DNAを0〜200μl/mlの濃度で含み、場合によってはアルブミン、フィコール、ポリビニルピロリドン等をそれぞれ0〜0.2重量%の濃度で含んでいてもよいプレハイブリダイゼーション液(好ましくは900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム、1.0重量%のSDS及び100μl/mlの変性Calf-thymusDNAを含むプレハイブリダイゼーション液)を上記のようにして作製したメンブレン1cm2当たり50〜200μlの割合で準備し、該プレハイブリダイゼーション液に前記メンブレンを浸して42〜65℃で1〜4時間保温する。
次いで、例えば、450〜900mMの塩化ナトリウム及び45〜90mMのクエン酸ナトリウムを含み、SDSを0.1〜1.0重量%の濃度で含み、変性した非特異的DNAを0〜200μg/mlの濃度で含み、場合によってはアルブミン、フィコール、ポロビニルピロリドン等をそれぞれ0〜0.2重量%の濃度で含んでいてもよいハイブリダイゼーション溶液(好ましくは、900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム、1.0重量%のSDS及び100μg/mlの変性Calf-thymusDNAを含むハイブリダイゼーション溶液)と前述の方法で調製して得られたプローブ(メンブレン1cm2当たり1.0×104〜2.0×106cpm相当量)とを混合した溶液をメンブレン1cm2当たり50〜200μlの割合で準備し、該ハイブリダイゼーション溶液に浸し42〜65℃で12〜20時間保温する。
【0026】
該ハイブリダイゼーション後、メンブレンを取り出し、15〜300mMの塩化ナトリウム1.5〜30mMクエン酸ナトリウム及び0.1〜1.0重量%のSDS等を含む42〜65℃の洗浄液(好ましくは15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム及び1.0重量%のSDSを含む65℃の洗浄液)等を用いて洗浄する。洗浄したメンブレンを2xSSC(300mM塩化ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム)で軽くすすいだ後、乾燥する。このメンブレンを例えばオートラジオグラフィー等に供してメンブレン上のプローブの位置を検出することにより、用いたプローブとハイブリダイズするDNAのメンブレン上の位置に相当するクローンを元の寒天培地上で特定し、これを釣菌することにより、当該DNAを有するクローンを単離する。
【0027】
このようにして得られるクローンを培養して得られる培養菌体から本発明遺伝子のDNAを調製することができる。
【0028】
上記のようにして調製されたDNAを「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載されている方法に準じてベクターにクローニングして本発明組換ベクターを得ることができる。用いられるベクターとしては、具体的には、例えば、pUC119(宝酒造社製)、pTV118N(宝酒造社製)、pBluescriptII (東洋紡社製)、pCR2.1-TOPO(Invitrogen社製)、pTrc99A(Pharmacia社製)、pKK223-3(Pharmacia社製)等が挙げられる。
【0029】
また、前述のDNAの塩基配列は、F.Sanger, S.Nicklen, A.R.Coulson著、Proceeding of Natural Academy of Science U.S.A.(1977) 74: 5463-5467頁等に記載されているダイデオキシターミネーター法等により解析することができる。塩基配列分析用の試料調製には、例えば、パーキンエルマー社のABI PRISM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit等の市販の試薬を用いてもよい。
【0030】
上述のようにして得られるDNAが、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先して生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードしていることの確認は、例えば、以下のようにして行うことができる。
【0031】
まず上述のようにして得られるDNAを後述のように、宿主細胞において機能可能なプロモーターの下流に接続されるようにベクターに挿入し、このベクターを宿主細胞に導入して形質転換体を取得する。次いで該形質転換体の培養物を4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルに作用させる。反応生成物中の(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルの量を分析することにより、得られたDNAがかかる能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードすることが確認できる。
【0032】
本発明遺伝子を宿主細胞で発現させるには、例えば、宿主細胞で機能可能なプロモーターと本発明遺伝子とが機能可能な形で接続されてなる遺伝子を宿主細胞に導入する。
【0033】
ここで、「機能可能な形で」とは、該遺伝子を宿主細胞に導入することにより宿主細胞を形質転換させた際に、本発明遺伝子が、プロモーターの制御下に発現するようにプロモーターと結合された状態にあることを意味する。プロモーターとしては、大腸菌のラクトースオペロンのプロモーター、大腸菌のトリプトファンオペロンのプロモーター、または、tacプロモーターもしくはtrcプロモーター等の大腸菌内で機能可能な合成プロモーター等をあげることができ、ペニシリウム・シトリナムにおいて本発明遺伝子の発現を制御しているプロモーターを利用してもよい。
【0034】
一般的には、宿主細胞において機能可能なプロモーターと機能可能な形で接続されてなる遺伝子を前述のようなベクターに組み込んでなる組換ベクターを宿主細胞に導入する。尚、ベクターとしては、選択マーカー遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等の抗生物質耐性付与遺伝子等)を含むベクターを用いると、該ベクターが導入された形質転換体を当該選択マーカー遺伝子の表現型等を指標にして選択することができる。
【0035】
宿主細胞において機能可能なプロモーターと機能可能な形で接続されてなる本発明遺伝子又は本発明組換ベクター等を導入する宿主細胞としては、例えば、Escherichia属、Bacillus属、Corynebacterium属、Staphylococcus属、Streptomyces属、Saccharomyces属、Kluyveromyces属及びAspergillus属に属する微生物等があげられる。
【0036】
宿主細胞において機能可能なプロモーターと機能可能な形で接続されてなる本発明遺伝子又は本発明組換ベクター等を宿主細胞へ導入する方法は、用いられる宿主細胞に応じて通常使われる導入方法であればよく、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載される塩化カルシウム法や、「Methods in Electroporation:Gene Pulser /E.coli Pulser System」 Bio-Rad Laboratories, (1993)等に記載されるエレクトロポレーション法等をあげることができる。
【0037】
宿主細胞において機能可能なプロモーターと機能可能な形で接続されてなる本発明遺伝子又は本発明組換ベクター等が導入された形質転換体を選抜するには、例えば、前述のようなベクターに含まれる選択マーカー遺伝子の表現型を指標にして選抜すればよい。
該形質転換体が本発明遺伝子を保有していることは、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press等に記載される通常の方法に準じて、制限酵素部位の確認、塩基配列の解析、サザンハイブリダイゼーション、ウエスタンハイブリダイゼーション等を行うことにより、確認することができる。
【0038】
次に本発明タンパク質について説明する。
本発明タンパク質は、下記のアミノ酸配列を有することを特徴とする。
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列。
b)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
c)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
【0039】
本発明タンパク質のアミノ酸配列のうち、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列としては、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列のC末端側にTrp-Ile-Ser-Thr-Lys-Leuの6アミノ酸が付加されたアミノ酸配列等が挙げられる。
【0040】
本発明タンパク質は、例えば、本発明遺伝子を保有する形質転換体を培養することにより製造することができる。
該形質転換体を培養するための培地としては、例えば、微生物等の宿主細胞の培養に通常使用される炭素源や窒素源、有機塩や無機塩等を適宜含む各種の培地を用いることができる。
【0041】
炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、シュークロース等の糖類、グリセロール等の糖アルコール、フマル酸、クエン酸、ピルビン酸等の有機酸、動物油、植物油及び糖蜜が挙げられる。これらの炭素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1〜30%(w/v)程度である。
【0042】
窒素源としては、例えば、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大豆粉、コーン・スティープ・リカー(Corn Steep Liquor)、綿実粉、乾燥酵母、カザミノ酸等の天然有機窒素源、アミノ酸類、硝酸ナトリウム等の無機酸のアンモニウム塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩、フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の有機酸のアンモニウム塩及び尿素が挙げられる。これらのうち有機酸のアンモニウム塩、天然有機窒素源、アミノ酸類等は多くの場合には炭素源としても使用することができる。これらの窒素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1〜30%(w/v)程度である。
【0043】
有機塩や無機塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛等の塩化物、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩及びリン酸塩を挙げることができる。具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜鉛、硫酸銅、酢酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素一カリウム及びリン酸水素二カリウムが挙げられる。これらの有機塩及び/又は無機塩の培地への添加量は培養液に対して通常0.0001〜5%(w/v)程度である。
【0044】
さらに、tacプロモーター、trcプロモーター及びlacプロモーター等のアロラクトースで誘導されるタイプのプロモーターと本発明遺伝子とが機能可能な形で接続されてなる遺伝子が導入されてなる形質転換体の場合には、本発明タンパク質の生産を誘導するための誘導剤として、例えば、isopropyl thio-β-D-galactoside(IPTG)を培地中に少量加えることもできる。
【0045】
本発明遺伝子を保有する形質転換体の培養は、微生物等の宿主細胞の培養に通常使用される方法に準じて行うことができ、例えば、試験管振盪式培養、往復式振盪培養、ジャーファーメンター(Jar Fermenter)培養、タンク培養等の液体培養及び固体培養が挙げられる。
培養温度は、該形質転換体が生育可能な範囲で適宜変更できるが、通常約15〜40℃である。培地のpHは約6〜8の範囲が好ましい。培養時間は、培養条件によって異なるが通常約1日〜約5日が好ましい。
【0046】
本発明遺伝子を保有する形質転換体の培養物から本発明タンパク質を精製する方法としては、通常のタンパク質の精製において使用される方法を適用することができ、例えば、次のような方法を挙げることができる。
【0047】
まず、形質転換体の培養物から遠心分離等により細胞を集めた後、これを超音波処理、ダイノミル処理、フレンチプレス処理等の物理的破砕法又は界面活性剤若しくはリゾチーム等の溶菌酵素を用いる化学的破砕法等によって破砕する。得られた破砕液から遠心分離、メンブレンフィルター濾過等により不純物を除去することにより無細胞抽出液を調製し、これを陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー等の分離精製方法を適宜用いて分画することによって、本発明タンパク質を精製することができる。
クロマトグラフィーに使用する担体としては、例えば、カルボキシメチル(CM)基、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、フェニル基若しくはブチル基を導入したセルロース、デキストリン又はアガロース等の不溶性高分子担体が挙げられる。市販の担体充填済カラムを用いることもでき、かかる市販の担体充填済カラムとしては、例えば、Q-Sepharose FF、Phenyl-Sepharose HP(商品名、いずれもアマシャム ファルマシア バイオテク社製)、TSK−gel G3000SW(商品名、東ソー社製)等が挙げられる。
尚、本発明タンパク質を含む画分を選抜するには、例えば、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する能力を指標にして選抜すればよい。
【0048】
次に、本発明における(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法について説明する。
該製造方法は4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルに本発明タンパク質、それを産生する形質転換体又はその処理物を作用させることを特徴とする。
【0049】
4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルは、下記一般式(1)で示される化合物である。
【化1】
Figure 0004039037
一般式(1)において、R1は、例えば、C1−C8アルキル基を表し、R2はハロゲン原子を表す。
4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルとしては、具体的には、例えば、4−クロロ−3−オキソ酪酸メチル、4−クロロ−3−オキソ酪酸エチル、4−クロロ−3−オキソ酪酸プロピル、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル、4−ブロモ−3−オキソ酪酸エチル、4−ブロモ−3−オキソ酪酸プロピル及び4−ブロモ−3−オキソ酪酸オクチル等が挙げられる。
【0050】
上記方法は、通常、水及び還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下、NADPHと記す。)の存在下に行われる。この際に用いられる水は、緩衝水溶液であってもよい。該緩衝水溶液に用いられる緩衝剤としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム水溶液、酢酸カリウム等の酢酸アルカリ金属塩及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
上記方法においては、水に加えて有機溶媒を共存させることもできる。共存させることができる有機溶媒としては、例えば、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロプルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル類、トルエン、ヘキサン、シクロへヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド等の有機硫黄化合物、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
上記方法における反応は、例えば、水、NADPH、及び4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルを、本発明タンパク質あるいはそれを産生する形質転換体又はその処理物とともに、必要によりさらに有機溶媒等を含有した状態で、攪拌、振盪等により混合することにより行われる。
【0053】
上記方法における反応時のpHは適宜選択することができるが、通常pH3〜10の範囲である。また反応温度は適宜選択することができるが、原料及び生成物の安定性、反応速度の点から通常0〜60℃の範囲である。
【0054】
反応の終点は、例えば、反応液中の4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルの量を液体クロマトグラフィー等により追跡することにより決めることができる。
反応時間は適宜選択することができるが、通常0.5時間から10日間の範囲である。
【0055】
反応液からの(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの回収は、一般に知られている任意の方法で行えばよい。
例えば、反応液の有機溶媒抽出操作、濃縮操作等の後処理を、必要によりカラムクロマトグラフィー、蒸留等を組み合わせて、行なうことにより精製する方法が挙げられる。
【0056】
本発明タンパク質、それを産生する形質転換体又はその処理物は種々の形態で上記方法に用いることができる。
【0057】
具体的な形態としては、例えば、本発明遺伝子を保有する形質転換体の培養物、かかる形質転換体の処理物、無細胞抽出液、粗精製タンパク質、精製タンパク質等及びこれらの固定化物が挙げられる。ここで、形質転換体の処理物としては、例えば、凍結乾燥形質転換体、有機溶媒処理形質転換体、乾燥形質転換体、形質転換体摩砕物、形質転換体の自己消化物、形質転換体の超音波処理物、形質転換体抽出物、形質転換体のアルカリ処理物が挙げられる。また、固定化物を得る方法としては、例えば、担体結合法(シリカゲルやセラミック等の無機担体、セルロース、イオン交換樹脂等に本発明タンパク質等を吸着させる方法)及び包括法(ポリアクリルアミド、含硫多糖ゲル(例えばカラギーナンゲル)、アルギン酸ゲル、寒天ゲル等の高分子の網目構造の中に本発明タンパク質等を閉じ込める方法)が挙げられる。
【0058】
尚、本発明遺伝子を保有する形質転換体を用いた工業的な生産を考慮すれば、生形質転換体を用いるよりも該形質転換体を死滅化させた処理物を用いる方法が製造設備の制限が少ないという点では好ましい。そのための死菌化処理方法としては、例えば、物理的殺菌法(加熱、乾燥、冷凍、光線、超音波、濾過、通電)や、化学薬品を用いる殺菌法(アルカリ、酸、ハロゲン、酸化剤、硫黄、ホウ素、砒素、金属、アルコール、フェノール、アミン、サルファイド、エーテル、アルデヒド、ケトン、シアン及び抗生物質)が挙げられる。一般的には、これらの殺菌法のうちできるだけ本発明タンパク質の酵素活性を失活させず、かつ反応系への残留、汚染などの影響が少ない処理方法を選択することが望ましい。
【0059】
また、本発明の(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法はNADPHの存在下に行われ、4−ブロモ−3−オキソ酪酸エステルの不斉還元反応の進行に伴い、当該NADPHは酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下、NADP+と記す)に変換される。変換により生じたNADP+は、NADP+を還元型(NADPH)に変換する能力を有するタンパク質により元のNADPHに戻すことができるので、上記方法の反応系内には、NADP+をNADPHに変換する能力を有するタンパク質を共存させることもできる。
NADP+をNADPHに変換する能力を有するタンパク質としては、例えば、グルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素及び有機脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素等)等が挙げられる。
また、NADP+をNADPHに変換する能力を有するタンパク質がグルコース脱水素酵素である場合には、反応系内にグルコース等を共存させることにより該タンパク質の活性が増強される場合もあり、例えば、反応液にこれらを加えてもよい。
また、当該タンパク質は、酵素そのものであってもよいし、また該酵素をもつ微生物又は該微生物の処理物の形態で反応系内に共存していてもよい。さらにまた、NADP+をNADPHに変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を含む形質転換体又はその処理物であってもよい。ここで処理物とは、前述にある「形質転換体の処理物」と同等なものを意味する。
【0060】
さらに、本発明の(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法では、グルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素及び有機脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素等)等のようなNADP+をNADPHに変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を同時に保有する形質転換体を用いて行うこともできる。
この形質転換体において、両者遺伝子を宿主細胞へ導入する方法としては、例えば、単一である、両者遺伝子を含むベクターを宿主細胞に導入する方法、複製起源の異なる複数のベクターに両者遺伝子を別々に導入した組換ベクターにより宿主細胞を形質転換する方法等があげられる。さらに、一方の遺伝子または両者遺伝子を宿主細胞の染色体中に導入してもよい。
尚、単一である、両者遺伝子を含むベクターを宿主細胞に導入する方法としては、例えば、プロモーター、ターミネーター等の発現制御に関わる領域をそれぞれの両者遺伝子に連結して組換ベクターを構築したり、ラクトースオペロンのような複数のシストロンを含むオペロンとして発現させるような組換ベクターを構築してもよい。
【0061】
【実施例】
以下、実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
参考例 (cDNAライブラリー(A)の調製)
500mlフラスコに培地(水にポテト・デキストロース・ブロース(ベクトン・ディッキンソン社製)を24g/Lの割合で溶解したもの)100mlを入れ、121℃で15分間滅菌した。ここに同組成の培地中で培養(30℃、48時間、振盪培養)したペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)IFO4631株の培養液0.5mlを加え、30℃で72時間振盪培養した。その後、得られた培養液を遠心し(8000xg、10分)、生じた沈殿を集めた。この沈殿を20mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)50mlで3回洗浄して、約1.0gの湿菌体を得た。
上記の湿菌体約1.0gを用いて、チオシアン酸グアニジンフェノールクロロホルム法で全RNAを調製することにより、約1.5mgの全RNAを得た。さらに0.5mgの全RNAからOligotex(dT)30-Super(宝酒造社製)を用いてpoly(A)を有するRNA約9.3μgを得た。
【0062】
cDNAライブラリーの作製はGubler and Hoffman法に基づいて以下のとおり実施した。上記のpoly(A)を有するRNA(3.0μg)とOligo(dT)18-リンカープライマー((含XhoIサイト)宝酒造社製)、RAV-2 Rtase及びSuperScriptII Rtaseを用いて一本鎖cDNAを調製し、この反応液(調製された一本鎖cDNAを含む)にE. coli DNA polymerase、E. coli Rnase/E. coli DNA Ligase Mixture及びT4 DNA Polymeraseを加え、二本鎖cDNAの合成と平滑末端化を行った。次いで、この二本鎖cDNAとEcoRI-NotI-BamHIアダプター(宝酒造社製)とのライゲーションを行った。ライゲーション後のDNAをリン酸化処理、XhoIで切断、スピンカラム(宝酒造社製)で低分子量DNAを除去、λZapII(EcoRI-XhoI切断)とライゲーションを行った後、in vitro packaging kit (STRATAGENE社製)を用いて、パッケージングすることにより、cDNAライブラリー(以下、cDNAライブラリー(A)と記す。)を得た。
【0063】
実施例1 (本発明遺伝子の取得及びその解析)
(1)本発明タンパク質の調製
参考例と同様の条件で調製したペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)IFO4631株の湿菌体約23gを、50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)160mlに懸濁しダイノミル(シンマルエンタープライズ製、ガラスビーズ0.1〜0.2mmΦ、3000rpm、30分)で破砕した。得られた破砕液を遠心分離(10000xg、10分間)し、上清をさらに超遠心分離(100000xg、120分間)して、超遠心上清160mlを得た。
得られた超遠心上清160mlに硫酸アンモニウムをその濃度が1.5Mになるまで徐々に加えた。これを疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム[Hi-LoadPhenyl(26/10)(アマシャムファルマシアバイオテク社製)][1.5M硫酸アンモニウムを含むBIS−TRIS−PROPANEバッファー(20mM、pH7.0)で平衡化したもの]に展着し、硫酸アンモニウムを溶解したBIS−TRIS−PROPANEバッファー(硫酸アンモニウム濃度1.5M→0.6Mの濃度勾配)を移動層として溶出し、還元酵素活性を有する画分として硫酸アンモニウム濃度が1.1〜0.9Mの溶出画分20mlを得た。
【0064】
この溶出画分を脱塩し、Tris−HCl緩衝液(20mM、pH7.7)に置換した。これをイオン交換クロマトグラフィーカラム[Hi-Load Q Sepharose(16/10)(アマシャムファルマシアバイオテク社製)][Tris−HCl緩衝液(20mM、pH7.7)で平衡化したもの]に展着し、塩化ナトリウムを溶解したTris−HCl緩衝液(塩化ナトリウム濃度0→0.5Mの濃度勾配)を移動層として溶出し、還元酵素活性を有する画分として塩化ナトリウム濃度0.02〜0.08Mの画分3mlを得た。これを濃縮し、濃縮液をゲル濾過[カラム:スーパーデックス200(10/30)(アマシャムファルマシアバイオテク社製)][移動層:BIS-TRIS-PROPANEバッファー(20mM、pH7.0)]し、還元酵素活性を有する画分として分子量約33000ダルトンの部分1ml(以下、活性画分(A)と記す。)を得た。
【0065】
尚、クロマトグラフィー等で得られた画分について、以下の操作により還元酵素活性を測定した。
4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル(1.56mg/ml)及びNADPH(0.226mg/ml)を溶解したリン酸緩衝液(20mM,pH7.0)0.9mlにクロマトグラフィー等により得られた溶出画分を加えて全量を1mlとし、37℃で20秒間保温した後、340nmの吸光度を測定した。340nmの吸光度からNADPHの消費量を計算して画分の還元酵素活性を求めた。
【0066】
(2)本発明タンパク質由来の部分ペプチドが有するアミノ酸配列の解析
上記操作により得られた活性画分(A)をLaemmli, U. K., Nature, (1970) 227, 680記載の方法に準じてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動した。電気泳動後のゲルをクマシーブリリアントブルーG250染色液(BIO−RAD社製)で染色し、染色された部分のゲルを切り取った。このゲルをジチオスレイトール及びヨウ化アセトアミドを用いて還元アルキル化し、トリプシンを処理した後、ゲルからペプチドを抽出した。抽出したペプチドをHPLC(カラム:TSK gel ODS-80=Ts、2.0mm×250mm(東ソー株式会社)、移動層:0.1%トリフルオロ酢酸水/アセトニトリル=100/0→20/80の濃度勾配)により分取した。分取した各画分のTOF−MSスペクトルから純度が高いことが判明した5個の画分につきアミノ酸配列をプロテインシークエンサー(494cLC)により決定した。決定したアミノ酸配列のそれぞれを配列番号3、4、5、6、7に示す。
【0067】
(3)本発明遺伝子由来の部分塩基配列の解析(その1)
配列番号3で示されるアミノ酸配列を基に、配列番号8、9、10、11、12、13、14で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
【0068】
配列番号8、9、10、11、12、13、14で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーのいずれかとSKオリゴヌクレオチドプライマー(STRATAGENE社製)とをプライマーに、前記cDNAライブラリー(A)を鋳型にして、下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用した。)
【0069】
[反応液組成]
cDNAライブラリー原液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)‐50℃(0.5分間)‐72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)‐55℃(0.5分間)‐72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持した。
【0070】
その後、PCR反応液の一部をとり、アガロースゲル電気泳動を行ったところ、プライマーとして、配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとSKオリゴヌクレオチドプライマーとを用いた場合、配列番号12で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとSKオリゴヌクレオチドプライマーとを用いた場合及び配列番号14で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとSKオリゴヌクレオチドプライマーとを用いた場合において各々約740bpのDNA断片のバンドが検出された。
【0071】
約740bpのDNA断片のバンドが検出されたPCR反応液のそれぞれをそのまま用いて、上記の約740bpのDNA断片のそれぞれを、pCR2.1−TOPOベクターの既存「PCR Product挿入サイト」にライゲーションし(Invitrogen社製TOPOTMTA cloningキット使用)、得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
50μg/mlのアンピシリンを含有するLB(1%バクト−トリプトン、0.5%バクト−酵母エキス、1%塩化ナトリウム)寒天培地に5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(以下、X−galと記す)4%水溶液30μl及び0.1M IPTG30μlを塗布し、そこに得られた形質転換体を接種し培養した。形成したコロニーのうち白いコロニーを1個ずつとり、このコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。
以下、配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとSKオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに用いてPCRした場合に得られたDNA断片に由来するプラスミドをプラスミドp27−1、配列番号12で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとSKオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに用いてPCRした場合に得られたDNA断片に由来するプラスミドをプラスミドp27−2及び配列番号14で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとSKオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに用いてPCRした場合に得られたのDNA断片に由来するプラスミドをプラスミドp27−3と記す。
【0072】
プラスミドp27−1、プラスミドp27−2及びプラスミドp27−3のそれぞれに挿入されたDNA断片の塩基配列を解析したところ、挿入されたDNA断片の塩基配列はプライマーの塩基は配列部分を除き全て同一であった。
プラスミドp27−1に挿入されたDNA断片の塩基配列を配列番号15に示す。
なお、プラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列の解析は、Dye Terminator Cycle sequencing FS ready Reaction Kit(パーキンエルマー製)を用いて各プラスミドを鋳型としてシークエンス反応を行い、得られたDNAの塩基配列をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー製)で解析することにより行った。
【0073】
(4)本発明遺伝子由来の部分塩基配列の解析(その2) 配列番号15で示される塩基配列を基に配列番号16及び配列番号17で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
【0074】
配列番号16で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとSKオリゴヌクレオチドプライマー(STRATAGENE社製)とを、又は配列番号17で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとT7オリゴヌクレオチドプライマー(STRATAGENE社製)とをプライマーに、前記cDNAライブラリー(A)を鋳型にして下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0075】
[反応液組成]
cDNAライブラリー原液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0076】
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)‐55℃(0.5分間)‐72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)‐55℃(0.5分間)‐72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持した。
【0077】
その後、PCR反応液の一部をとり、アガロースゲル電気泳動を行った結果、プライマーとして、配列番号16で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとSKオリゴヌクレオチドプライマーとを用いた場合には約350bpのDNA断片のバンドが検出され、配列番号17で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとT7オリゴヌクレオチドプライマーとを用いた場合には約650bpのDNA断片のバンドが検出された。
【0078】
上記のPCRで得られた約350bpのDNA断片を含有するPCR反応液又は約650bpのDNA断片を含有するPCR反応液をそのまま用いて、上記の約350bpのDNA断片と約650bpのDNA断片のそれぞれをpCR2.1−TOPOベクターの既存「PCR Product挿入サイト」にライゲーションし(Invitrogen社製TOPOTMTA cloningキット使用)、それぞれのライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地にX−gal4%水溶液30μl及び0.1M IPTG30μlを塗布し、そこに得られた形質転換体を接種し培養した。形成したコロニーのうち白いコロニーを1個ずつとり、このコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。
以下、配列番号16で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとSKオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに用いてPCRすることにより得られたDNA断片に由来するプラスミドをプラスミドpBR−1、配列番号17で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとT7オリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに用いてPCRすることにより得られたDNA断片に由来するプラスミドをプラスミドpBR−2と記す。
【0079】
次に、プラスミドpBR−1及びプラスミドpBR−2のそれぞれに挿入されたDNA断片の塩基配列を解析した。プラスミドpBR−1に挿入されたDNA断片の塩基配列を配列番号18に、プラスミドpBR−2に挿入されたDNA断片の塩基配列を配列番号19に示す。
なお、プラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列の解析は、Dye Terminator Cycle sequencing FS ready Reaction Kit(パーキンエルマー製)を用いて各プラスミドを鋳型としてシークエンス反応を行い、得られたDNAの塩基配列をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー製)で解析することにより行った。
【0080】
(5)本発明遺伝子の塩基配列の解析
配列番号15で示される塩基配列を基に配列番号20で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、また、配列番号19で示される塩基配列を基に配列番号21で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
【0081】
配列番号20で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号21で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに、前記cDNAライブラリー(A)を鋳型にして下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0082】
[反応液組成]
cDNAライブラリー原液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0083】
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)‐55℃(0.5分間)‐72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)‐55℃(0.5分間)‐72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持した。
【0084】
その後、PCR反応液の一部をとり、アガロースゲル電気泳動を行った結果、約400bpのDNA断片のバンドが検出された。
【0085】
上記のPCRで得られた約400bpのDNA断片を含有するPCR反応液をそのまま用いて、上記の約400bpのDNA断片をpCR2.1−TOPOベクターの既存「PCR Product挿入サイト」にライゲーションし(Invitrogen社製TOPOTMTA cloningキット使用)、該ライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地にX−gal 4%水溶液30μl及び0.1M IPTG30μlを塗布し、そこに得られた形質転換体を接種し培養した。形成したコロニーのうち白いコロニーを1個とり、このコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。この培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した(以下、このプラスミドをプラスミドpBR−3と記す)。
【0086】
次に、プラスミドpBR−3に挿入されたDNA断片の塩基配列を解析した。プラスミドpBR−3に挿入されたDNA断片の塩基配列を配列番号22に示す。
なお、プラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列の解析は、Dye Terminator Cycle sequencing FS ready Reaction Kit(パーキンエルマー製)を用いてプラスミドpBR−3を鋳型としてシークエンス反応を行い、得られたDNAの塩基配列をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー製)で解析することにより行った。
【0087】
配列番号18、19、22で示される塩基配列を基にORF検索を行い、ペニシリウム・シトリナムIFO4631株が有する4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号28)を決定した。さらに配列番号28をもとに該タンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)を決定した。なお、配列番号1と配列番号3、4、5、6、7とを比較したところ、配列番号3、4、5、6、7で示されるアミノ酸配列は配列番号1で示されるアミノ酸配列の一部分とほぼ一致することがわかった。
【0088】
実施例2 (本発明形質転換体の製造及び還元反応例(その1))
(1)本発明ベクターの調製
配列番号18に示される塩基配列を基に配列番号23で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを、配列番号19で示される塩基配列を基に配列番号24で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
【0089】
配列番号23で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号24で示されるオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに、前記cDNAライブラリー(A)を鋳型にして下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0090】
[反応液組成]
cDNAライブラリー原液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0091】
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持した。
【0092】
その後、PCR反応液を一部とりアガロースゲル電気泳動を行ったところ、約1000bpのDNA断片のバンドが検出された。
残りのPCR反応液に2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加え、約1000bpのDNA断片を2重消化させ、次いで酵素消化されたDNA断片を精製した。
一方、プラスミドベクターpTV118N(宝酒造社製)を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)により2重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
【0093】
これらの酵素消化させたDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションし、得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーの中から6コロニーを無作為に選抜した。この選抜したコロニーをそれぞれ50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部をNcoIとBamHIとの2種類の制限酵素により2重消化した後、電気泳動して、取り出したプラスミドには全て前記約1000bpのDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpTRPcと記す。)
【0094】
(2)本発明形質転換体の調製及び還元反応例
プラスミドpTRPcを用いてE.coli HB101を形質転換した。得られた形質転換体を0.1mMのIPTG及び50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(100ml)に接種し、振盪培養した(30℃、12時間)。得られた培養液を遠心分離し、湿菌体0.4gを得た。
4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル300mg、前記湿菌体0.4g、NADP+9mg、グルコース750mg、グルコース脱水素酵素(天野製薬製)1.2mg、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)15ml及び酢酸ブチル15mlを混合し、30℃で7時間攪拌した。なお、攪拌中は反応液のpHが6.5±0.2となるように2M炭酸ナトリウム水溶液を徐々に加えた。その後、反応液を遠心分離し、有機層を得た。この有機層を下記条件でガスクロマトグラフィーによる含量分析を行ったところ、反応に用いた4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルの量に対して4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルは98.5%生成していることがわかった。また、下記条件で有機層中の4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルの光学純度を測定したところ(S)体が96.1 %e.e.であった。さらに該有機層を濃縮することにより、粗(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを得る。
【0095】
(含量分析条件)
カラム:HR−20M(0.53mm×30m、1μm)(信和化工社製)
カラム温度:120℃(5分)3℃/分150℃(5分)10℃/分200℃(5分)
キャリアーガス:ヘリウム(流量:20ml/分)
検出器:FID
【0096】
(光学純度測定条件)
カラム:G-TA(0.25mm×30m、0.125μm)(アステック社製)
カラム温度:110℃(20分)5℃/分180℃(1分)
キャリアーガス:ヘリウム(流量:1ml/分)
検出器:FID
スプリット比:1/50
尚、生成物の絶対立体配置は(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルの標品と比較することにより決定した。
【0097】
実施例3 (本発明形質転換体の製造及び還元反応例(その2))(1)本発明ベクターの調製
プラスミドpTRPcを2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)により2重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
一方、プラスミドベクターpTrc99A(Pharmacia製)を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)により2重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
これらの酵素消化させたDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションし、得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーの中から6コロニーを無作為に選抜した。この選抜したコロニーをそれぞれ50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。
それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)により2重消化した後、電気泳動することにより、取り出したプラスミドには全て目的とするDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpTrcRPcと記す。)
【0098】
(2)本発明形質転換体の調製及び還元反応例 プラスミドpTrcRPcを用いてE.coli HB101を形質転換した。
得られた形質転換体を0.1mMのIPTG及び50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(100ml)に接種し、振盪培養した(30℃、12時間)。得られた培養液を遠心分離し、湿菌体0.4gを得た。
4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル1500mg、前記湿菌体0.4g、NADP+18mg、グルコース3000mg、グルコース脱水素酵素(天野製薬製)3mg、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)15ml及び酢酸ブチル15mlを混合し、30℃で7時間攪拌した。なお、攪拌中は反応液のpHが6.5±0.2となるように2M炭酸ナトリウム水溶液を徐々に加えた。その後、反応液を遠心分離し、有機層を得た。この有機層を実施例2の含量分析条件により含量分析を行ったところ、反応に用いた4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルの量に対して4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルは99.2%生成していることがわかった。また、実施例2の光学純度測定条件で有機層中の4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルの光学純度を測定したところ(S)体が95.7%e.e.であった。
さらに該有機層を濃縮することにより、粗(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを得る。
【0099】
実施例4 (本発明形質転換体の製造及び還元反応例(その3))
(1)酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を調製するための準備
Bacillus megaterium IFO12108株を滅菌したLB培地100ml中で培養し、菌体0.4gを得た。この菌体からQiagen Genomic Tip (Qiagen社製)を用い、それに付属のマニュアルに記載の方法にしたがって染色体DNA(以下、染色体DNA(B)と記す。)を精製した。
(2)酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子の調製
The Journal of Biological Chemistry Vol.264, No.11, 6381-6385(1989)に記載されたBacillus megaterium IWG3由来のグルコース脱水素酵素の配列をもとに配列番号25で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号26で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとを合成した。
配列番号25で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号26で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに用い、前記染色体DNA(B)を鋳型にして以下の反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0100】
[反応液組成]
染色体DNA原液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0101】
[PCR反応条件]
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72?(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(2.5分間)のサイクルを20回、さらに72℃で7分間保持した。
【0102】
その後、PCR反応液の一部をとり、アガロースゲル電気泳動を行った結果、約950bpのDNA断片のバンドが検出された。
得られたPCR反応液とInvitrogen社製TOPOTMTA cloningキットVer.Eとを用いて、PCRによって得られた約950bpのDNA断片をpCR2.1−TOPOベクターの既存「PCR Product挿入サイト」にライゲーションし、そのライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地にX−gal4%水溶液30μl及び0.1M IPTG30μlを塗布し、そこに得られた形質転換体を接種し培養した。形成したコロニーのうち白いコロニーを1個とり、このコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。次いで培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドの一部を制限酵素(EcoRI)で消化し、電気泳動することにより、該プラスミドには約950bpのDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpSDGDH12と記す。)
【0103】
次に、プラスミドpSDGDH12に挿入されたDNA断片の塩基配列を解析した。その結果を配列番号27に示す。
なお、プラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列の解析は、Dye Terminator Cycle sequencing FS ready Reaction Kit(パーキンエルマー製)を用いてプラスミドpSDGDH12を鋳型としてシークエンス反応を行い、得られたDNAの塩基配列をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー製)で解析することにより行った。
【0104】
(3)本発明ベクターの調製
プラスミドpSDGDH12を2種類の制限酵素(BamHIとXbaI)で二重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
一方、プラスミドpTrcRPcを2種類の制限酵素(BamHIとXbaI)で二重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
それぞれの酵素消化されたDNA断片をT4 DNAリガーゼでライゲーションし、そのライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーから6コロニーを無作為に選抜した。この選抜したコロニーをそれぞれ50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部をBamHIとXbaIの2種類の制限酵素で二重消化した後、電気泳動することによって、取り出したプラスミドは全て目的とする約1000bpのDNA断片が挿入されていることを確認した(以下、このプラスミドを以下プラスミドpTrcRSbG12と記す)。
【0105】
(4)本発明形質転換体の調製及び還元反応例
プラスミドpTrcRSbG12を用いてE.coli HB101を形質転換した。得られた形質転換体を0.1mMのIPTGと50μg/mlのアンピシリンとを含有する滅菌LB培地(100ml)に接種し、振盪培養した(30℃、12時間)。得られた培養液を遠心分離し、湿菌体0.3gを得た。
4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル0.3g、上記湿菌体0.3g、NADP+9mg、グルコース750mg、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)15ml、酢酸ブチル15mlを混合し、30℃で7時間攪拌した。なお、攪拌中は反応液のpHが6.5±0.2となるように2M炭酸ナトリウム水溶液を徐々に加えた。その後、反応液を遠心分離し、有機層を得た。この有機層を実施例2に記載した含量分析条件により含量分析を行ったところ、反応に用いた4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルの量に対して4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルは99%生成していることがわかった。また、実施例2に記載した光学純度測定条件で有機層中の4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルの光学純度を測定したところ(S)体が96.0%e.e.であった。
さらに得られた有機層を濃縮することにより、粗(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを得る。
【0106】
実施例5 (本発明形質転換体の製造及び還元反応例(その4))(1)本発明ベクターの調製(3'末端欠失型の組換ベクターの構築) 配列番号19で示される塩基配列を基に配列番号29で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
【0107】
配列番号23で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号29で示されるオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに、前記プラスミドpTRPcを鋳型にして下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0108】
[反応液組成]
プラスミドpTRPc溶液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0109】
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97?(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持した。
【0110】
その後、PCR反応液を一部とりアガロースゲル電気泳動を行ったところ、約1000bpのDNA断片のバンドが検出された。
残りのPCR反応液を精製し、2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加え、約1000bpのDNA断片を2重消化させ、次いで酵素消化されたDNA断片を精製した。
一方、プラスミドベクターpTV118N(宝酒造社製)を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)により2重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
【0111】
これらの酵素消化させたDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションし、得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーの中から6コロニーを無作為に選抜した。この選抜したコロニーをそれぞれ50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部をNcoIとBamHIとの2種類の制限酵素により2重消化した後、電気泳動して、取り出したプラスミドには全て前記約1000bpのDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpTRPcSと記す。)
【0112】
次に、プラスミドpTRPcSに挿入されたDNA断片の塩基配列を解析した。プラスミドpTRPcSに挿入されたDNA断片の塩基配列を配列番号30に示す。
なお、プラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列の解析は、Dye Terminator Cycle sequencing FS ready Reaction Kit(パーキンエルマー製)を用いてプラスミドpTRPcSを鋳型としてシークエンス反応を行い、得られたDNAの塩基配列をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー製)で解析することにより行った。
【0113】
(2)本発明形質転換体の調製及び還元反応例
プラスミドpTRPcSを用いてE.coli HB101を形質転換した。得られた形質転換体を0.1mMのIPTG及び50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(100ml)に接種し、振盪培養した(30℃、18時間)。得られた培養液を遠心分離し、湿菌体0.4gを得た。
4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル300mg、前記湿菌体0.4g、NADP+9mg、グルコース750mg、グルコース脱水素酵素(天野製薬製)1.2mg、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)15ml及び酢酸ブチル15mlを混合し、30℃で19時間攪拌した。なお、攪拌中は反応液のpHが6.5±0.2となるように2M炭酸ナトリウム水溶液を徐々に加えた。その後、反応液を遠心分離し、有機層を得た。この有機層を下記条件でガスクロマトグラフィーによる含量分析を行ったところ、反応に用いた4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルの量に対して4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルは97.3%生成していることがわかった。また、下記条件で有機層中の4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルの光学純度を測定したところ(S)体が96.5%e.e.であった。さらに該有機層を濃縮することにより、粗(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを得る。
【0114】
実施例6 (本発明形質転換体の製造及び還元反応例(その4))
(プラスミドpTRPcとプラスミドpAGDH12を用いた形質転換体の構築と反応)
(1) 酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を含む組換ベクターの調製(その1:プラスミドpTGDH12の構築)
配列番号27で示される塩基配列を基に配列番号31で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号32で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとを合成した。
配列番号31で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号32で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに用い、前記染色体DNA(B)を鋳型にして以下の反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0115】
[反応液組成]
染色体DNA原液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0116】
[PCR反応条件]
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(2.5分間)のサイクルを20回、さらに72℃で7分間保持した。
【0117】
その後、PCR反応液の一部をとり、アガロースゲル電気泳動を行った結果、約850bpのDNA断片のバンドが検出された。
残りのPCR反応液を精製し、2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加え、約850bpのDNA断片を2重消化させ、次いで酵素消化されたDNA断片を精製した。
一方、プラスミドベクターpTV118N(宝酒造社製)を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)により2重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
【0118】
これらの酵素消化させたDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションし、得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーの中から6コロニーを無作為に選抜した。この選抜したコロニーをそれぞれ50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部をNcoIとBamHIとの2種類の制限酵素により2重消化した後、電気泳動して、取り出したプラスミドには全て前記約850bpのDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpTGDH12と記す。)
【0119】
(2) 酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を含む組換ベクターの調製(その2:プラスミドpCGDH12の構築)
プラスミドベクターpTV118N(宝酒造社製)の配列をもとに配列番号33で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
配列番号33で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号32で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに用い、プラスミドpTGDH12を鋳型にして以下の反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0120】
[反応液組成]
プラスミドpTGDH12溶液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0121】
[PCR反応条件]
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(2.5分間)のサイクルを20回、さらに72℃で7分間保持した。
【0122】
その後、PCR反応液の一部をとり、アガロースゲル電気泳動を行った結果、約1000bpのDNA断片のバンドが検出された。
得られたPCR反応液とInvitrogen社製TOPOTMTA cloningキットVer.Eとを用いて、PCRによって得られた約1000bpのDNA断片をpCR2.1−TOPOベクターの既存「PCR Product挿入サイト」にライゲーションし、そのライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地にX−gal4%水溶液30μl及び0.1M IPTG30μlを塗布し、そこに得られた形質転換体を接種し培養した。形成したコロニーのうち白いコロニーを1個とり、このコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。次いで培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドの一部を制限酵素(BamHI)で消化し、電気泳動することにより、該プラスミドには約1000bpのDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpCGDH12と記す。)
【0123】
(3)酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を含む組換ベクターの調製(その3:プラスミドpAGDH12の構築)
プラスミドpCGDH12を制限酵素(BamHI)で消化させ、酵素消化された約1000bpDNA断片を精製した。
一方、プラスミドベクターpACYC184(ニッポンジーン社製)を制限酵素(BamHI)により消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。さらに、セルフライゲーションを防ぐため、Alkaline Phospatase(宝酒造社製)を用いて脱リン酸化処理を行った。
【0124】
これらの酵素消化させたDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションし、得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
得られた形質転換体を20μg/mlのクロラムフェニコールを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーの中から4コロニーを無作為に選抜した。この選抜したコロニーをそれぞれ20μg/mlのクロラムフェニコールを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30?、24時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部を制限酵素(BamHI)により消化した後、電気泳動して、取り出したプラスミドはに全て前記約1000bpのDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpAGDH12と記す。)
【0125】
(4)本発明形質転換体の調製及び還元反応例 プラスミドpTRPcおよびpAGDH12を用いてE.coli HB101を形質転換した。得られた形質転換体を0.1mMのIPTG及び50μg/mlのアンピシリン及び20μg/mlのクロラムフェニコールを含有する滅菌LB培地(100ml)に接種し、振盪培養した(30℃、18時間)。得られた培養液を遠心分離し、湿菌体0.4gを得た。
4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル300mg、前記湿菌体0.4g、NADP+9mg、グルコース750mg、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)15ml及び酢酸ブチル15mlを混合し、30℃で19時間攪拌した。なお、攪拌中は反応液のpHが6.5±0.2となるように2M炭酸ナトリウム水溶液を徐々に加えた。その後、反応液を遠心分離し、有機層を得た。この有機層を下記条件でガスクロマトグラフィーによる含量分析を行ったところ、反応に用いた4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルの量に対して4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルは98.6%生成していることがわかった。また、下記条件で有機層中の4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルの光学純度を測定したところ(S)体が96.2%e.e.であった。
さらに該有機層を濃縮することにより、粗(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを得る。
【0126】
【発明の効果】
本発明によれば、(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルを製造するために優れた触媒能力を有するタンパク質をコードする遺伝子、該タンパク質、及びこれを利用した(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法等が提供される。
【0127】
「配列表フリーテキスト」
配列番号8
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号9
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号10
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号11
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号12
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号13
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号14
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号16
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号17
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号20
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号21
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号23
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号24
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号25
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号26
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号29
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号31
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号32
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号33
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0128】
【配列表】
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Claims (20)

  1. 下記の塩基配列のいずれかを有することを特徴とする遺伝子。
    a)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列。
    b)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列であって、かつ、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列。
    c)配列番号2で示される塩基配列。
  2. 宿主細胞内において機能可能なプロモーターと請求項1記載の遺伝子とが機能可能な形で接続されてなることを特徴とするDNA構築物
  3. 請求項1の遺伝子又は請求項2記載のDNA構築物を含むことを特徴とする組換ベクター。
  4. 請求項2記載のDNA構築物又は請求項3記載の組換ベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
  5. 宿主細胞が微生物であることを特徴とする請求項4記載の形質転換体。
  6. 宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする請求項4記載の形質転換体。
  7. 請求項1記載の遺伝子を保有することを特徴とする形質転換体。
  8. 請求項3記載の組換ベクターを宿主細胞に導入する工程を含むことを特徴とする形質転換体の製造方法。
  9. 下記のアミノ酸配列のいずれかを有することを特徴とするタンパク質。
    a)配列番号1で示されるアミノ酸配列。
    b)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
    c)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを不斉還元して(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを優先的に生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
  10. 4−ハロ−3−オキソ酪酸のC 1- C8アルキルエステルに請求項9記載のタンパク質、それを産生する形質転換体又はその処理物を作用させることを特徴とする(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸のC 1- C8アルキルエステルの製造方法。
  11. 請求項1記載の遺伝子及び酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を含むことを特徴とする組換ベクター。
  12. 酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質がグルコース脱水素酵素であることを特徴とする請求項11記載の組換ベクター。
  13. 請求項11又は12記載の組換ベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
  14. 宿主細胞が微生物であることを特徴とする請求項13記載の形質転換体。
  15. 宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする請求項13記載の形質転換体。
  16. 請求項1記載の遺伝子及び酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を保有することを特徴とする形質転換体。
  17. 酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質を反応系内に共存させること特徴とする請求項10記載の(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸のC 1- C8アルキルエステルの製造方法。
  18. 酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質がグルコース脱水素酵素であることを特徴とする請求項17記載の(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸のC 1- C8アルキルエステルの製造法。
  19. 4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルに請求項13〜15記載の形質転換体又はその処理物を作用させることを特徴とする(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸のC 1- C8アルキルエステルの製造方法。
  20. 4−ハロ−3−オキソ酪酸のC 1- C8アルキルエステルに請求項16記載の形質転換体又はその処理物を作用させることを特徴とする(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸のC 1- C8アルキルエステルの製造方法。
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