JP4984925B2 - アミノアシラーゼ遺伝子 - Google Patents
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Description
(式中、R1は、置換されていてもよいアリール基を表し、R2は、C1−3のアルキル基を表し、R3はC1-6のアルキル基を表し、*のついた炭素原子は不斉炭素原子を表す。)
で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、式(2):
(式中、R1、R2および*は、前記定義のとおり。)
で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質をコードする遺伝子、該酵素、および該酵素の産生に適した形質転換体、当該光学活性アミン化合物の製造方法を提供する。
1.下記a)からe)のいずれかの塩基配列を有する遺伝子(以下、本発明遺伝子と記すこともある。)
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列、
b)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAと配列相同性が少なくとも90%のDNAの塩基配列であって、かつ、前記式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表されるアミン化合物に変換する能力を有するタンパク質をコードする塩基配列、
c)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列であって、かつ、前記式(1)で示されるアシルアミドを立体選択的に加水分解できるアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
d)配列番号2で示される塩基配列、
e)配列番号9で示される塩基配列;
2.宿主細胞内において機能可能なプロモーターと前項1記載の遺伝子とが機能可能な形で接続されてなることを特徴とする遺伝子;
3.前項1又は2記載の遺伝子を含むことを特徴とする組換ベクター(以下、本発明ベクターと記すこともある);
4.前項2記載の遺伝子又は前項3記載の組換ベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体;
5.宿主細胞が微生物であることを特徴とする前項4記載の形質転換体;
6.宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする前項4記載の形質転換体;
7.前項1記載の遺伝子を保有することを特徴とする形質転換体(以下、本発明形質転換体と記すこともある);
8.前項3記載の組換ベクターを宿主細胞に導入する工程を含むことを特徴とする形質転換体の製造方法;
9.下記のアミノ酸配列のいずれかの特徴を有するタンパク質(以下、本発明タンパク質と記すこともある);
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
b)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAと配列相同性が少なくとも90%のDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、前記式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列、
c)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、前記式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列、
d)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、前記式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
e)配列番号1で示されるアミノ酸配列と配列相同性が少なくとも90%のアミノ酸配列であって、前記式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列;
10.前項4〜7記載の形質転換体を培養して,前項9記載のアミノアシラーゼ生産させることを特徴とするアミノアシラーゼの生産方法;
11.前項10記載の生産方法で生産されたアミノアシラーゼ、または前項9記載のタンパク質を式(1)のアシルアミド化合物に作用させ、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物へ加水分解することを特徴とする、式(1)で示されるアシルアミド化合物の加水分解方法;等を提供するものである。
R2で表されるC1−3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基が例示される。
R3で表されるC1-6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基が例示される。
式(1)のアシルアミド化合物の具体例としては、例えば、N−アセチル−1−メチルベンジルアミン、N−アセチル−1−エチルベンジルアミン等が例示される。
本発明の方法においては、通常、ラセミの式(1)のアシルアミド化合物が使用されるが、式(1)の化合物のエナンチオマーの混合物であっても選択的加水分解に用いることができる。本発明において式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解するとは、式(1)のアシルアミド化合物の一方のエナンチオマー(*印のついた不斉炭素原子に関する一方の光学活性体)を選択的に加水分解することを意味する。
かかるDNAは、自然界に存在するDNAの中からクローニングされたDNAであっても、このクローニングされたDNAの塩基配列において、その一部の塩基の欠失、置換または付加が人為的に導入されてなるDNAであっても、人為的に合成されたDNAであってもよい。配列相同性は、例えば、UWGCG Packageが供給するBESTFITプログラム(Devereux et al(1984)Nucleic Acids Research 12, p387−395)や、PILEUPやBLASTアルゴリズム(Altschul S.F.(1993)J Mol Evol 36:290−300; Altschul S.F.(1990)J Mol Biol 215:403−10)などの配列分析用ツールを用いて算出し得る。
アルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株等の微生物等から通常の遺伝子工学的手法(例えば、「新 細胞工学実験プロトコール」(東京大学医科学研究所制癌研究部編、秀潤社、1993年)に記載された方法)に準じてcDNAライブラリーを調製し、調製されたcDNAライブラリーを鋳型として、かつ適切なプライマーを用いてPCRを行うことにより、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA及び/又は配列番号2で示される塩基配列を有するDNA等を増幅して本発明遺伝子のDNAを調製することができる。
プローブに用いるDNAを放射性同位元素により標識する方法としては、例えば、Random Primer Labeling Kit(宝酒造社製)等を利用することにより、PCR反応液中のdCTPを(α−32P)dCTPに替えて、プローブに用いるDNAを鋳型にしてPCRを行う方法が挙げられる。
また、プローブに用いるDNAを蛍光色素で標識する場合には、例えば、アマシャム製のECL Direct Nucleic Acid Labeling and Detection System等を用いることができる。
450〜900mMの塩化ナトリウム及び45〜90mMのクエン酸ナトリウムを含みドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.1〜1.0重量%の濃度で含み、変性した非特異的DNAを0〜200μl/mlの濃度で含み、場合によってはアルブミン、フィコール、ポリビニルピロリドン等をそれぞれ0〜0.2重量%の濃度で含んでいてもよいプレハイブリダイゼーション液(好ましくは900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム、1.0重量%のSDS及び100μl/mlの変性Calf-thymusDNAを含むプレハイブリダイゼーション液)を上記のようにして作製したメンブレン1cm2当たり50〜200μlの割合で準備し、該プレハイブリダイゼーション液に前記メンブレンを浸して42〜65℃で1〜4時間保温する。
次いで、例えば、450〜900mMの塩化ナトリウム及び45〜90mMのクエン酸ナトリウムを含み、SDSを0.1〜1.0重量%の濃度で含み、変性した非特異的DNAを0〜200μg/mlの濃度で含み、場合によってはアルブミン、フィコール、ポロビニルピロリドン等をそれぞれ0〜0.2重量%の濃度で含んでいてもよいハイブリダイゼーション溶液(好ましくは、900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム、1.0重量%のSDS及び100μg/mlの変性Calf-thymusDNAを含むハイブリダイゼーション溶液)と前述の方法で調製して得られたプローブ(メンブレン1cm2当たり1.0×104〜2.0×106cpm相当量)とを混合した溶液をメンブレン1cm2当たり50〜200μlの割合で準備し、該ハイブリダイゼーション溶液に浸し42〜65℃で12〜20時間保温する。
該形質転換体が本発明遺伝子を保有していることは、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press等に記載される通常の方法に準じて、制限酵素部位の確認、塩基配列の解析、サザンハイブリダイゼーション、ウエスタンハイブリダイゼーション等を行うことにより、確認することができる。
「配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」とは、活性が性質的に同質なタンパク質をコードしており、配列番号1で示される全アミノ酸配列と、少なくとも90%の配列相同性、より好ましくは少なくとも95%の配列相同性、さらに好ましくは少なくとも99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を意味する。
該形質転換体を培養するための培地としては、例えば、微生物等の宿主細胞の培養に通常使用される炭素源や窒素源、有機塩や無機塩等を適宜含む各種の培地を用いることができる。
培養温度は、該形質転換体が生育可能な範囲で適宜変更できるが、通常、約15〜40℃である。培地のpHは、約6〜8の範囲が好ましい。培養時間は、培養条件によって異なるが通常約1日〜約5日が好ましい。
クロマトグラフィーに使用する担体としては、例えば、カルボキシメチル(CM)基、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、フェニル基若しくはブチル基を導入したセルロース、デキストリン又はアガロース等の不溶性高分子担体が挙げられる。市販の担体充填済カラムを用いることもでき、かかる市販の担体充填済カラムとしては、例えば、Q-Sepharose FF、Phenyl-Sepharose HP(商品名、いずれもアマシャム ファルマシア バイオテク社製)、TSK−gel G3000SW(商品名、東ソー社製)等が挙げられる。
尚、本発明タンパク質を含む画分を選抜するには、例えば、ラセミN−アセチル−1メチルベンジルアミンを不斉加水分解して(S)−1メチルベンジルアミンを優先的に生産する能力を指標にして選抜すればよい。
500mlフラスコに培地(グルコース20g/L、ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、肉エキス3g/L、硫酸アンモニウム2g/L、リン酸2水素カリウム1g/L、リン酸水素2カリウム1.5g/L、硫酸マグネシウム7水塩0.5g/Lとなるように水に溶解し、2NのNaOHでpHを7に調整)100mlを分注し、121℃で15分間滅菌し放冷した。ここに同組成の培地中で培養(30℃、48時間、振盪培養)したアルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株前培養液を2mlずつ植菌し30℃で振盪培養を始めた。24時間後、(R/S)−N−アセチル−1−メチルベンジルアミンを0.01mmol/mlになるように添加しさらに24時間培養した。その後、得られた培養液を遠心し(10000rpm、15分)、菌体を集めた。この菌体を0.85%食塩水1/2容に懸濁し−遠心分離を2回行い、洗浄菌体を得た。
その結果、アルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株菌体は(S)体のN−アセチル−1−メチルベンジルアミンを選択的に加水分解し、式(1)で示されるアシルアミドを立体選択的に加水分解できるアミノアシラーゼ活性を有する酵素を保有することが確認された。
滅菌LB培地(1%バクト−トリプトン、0.5%バクト−酵母エキス、1%塩化ナトリウム)5mlの入った試験管5本にアルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株を植菌し30℃で16時間振とう培養した。得られた培養液から参考例1と同様にして、洗浄菌体0.24gを得た。
得られた菌体から、QIAprep Genomic-tip System (Qiagen社製)を用いて細胞内DNA溶液0.5mlを得た。
(1)本発明タンパク質の調製
アルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株を参考例1と同様に培養して得た洗浄菌体19.4gを50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)100mlに懸濁し、マルチビーズショッカー(安井器械社製、ガラスビーズ0.1mmΦ、2500rpm、20分)で破砕した。処理液を遠心分離(10000xg、10分間)、同バッファーで洗浄して破砕液を回収、さらに超遠心分離(100000xg、60分間)して、粗酵素溶液200mlを得た。
粗酵素溶液に粉状の硫酸アンモニウムを攪拌しながら加え45%飽和として生成した沈澱を遠心除去後、上清に粉状の硫酸アンモニウムを攪拌しながら加え75%飽和として生成した沈澱画分を遠心分離回収した。
ラセミ−アセチル−1−メチルベンジルアミン0.01mmol/mlを含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)に被検液を加え40℃で振とう、1時間後にサンプリングし、5倍容量のエタノールと混合、遠心分離上清をろ過後、GC分析を行い1−メチルベンジルアミンの生成量を測定)
(GC;FID、DB−1カラム(0.53mmφ、30m、1.5μm;J&W製)
上記操作により得られた活性画分(A)をLaemmli, U. K., Nature, (1970) 227, 680記載の方法に準じてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動した。電気泳動後のゲルをクマシーブリリアントブルーG250染色液(BIO−RAD社製)で染色し、染色された該酵素50kDのシングルバンド部分のゲルを切り取った。このゲルを洗浄後、トリプシンを処理し、ゲルからペプチドを抽出した。抽出したペプチドをHPLC(カラム:TSK gel ODS-80Ts、2.0mm×250mm(東ソー株式会社)、移動層:A液(0.1%トリフルオロ酢酸水)、B液(0.09%トリフルオロ酢酸を含む90%アセトニトリル水溶液)、A/B=100/0→0/100の濃度勾配)により分取した。分取した各画分の中から1個の画分につきアミノ酸配列をプロテインシークエンサー(Procise 494HT Protein Sequencing System)により決定した。決定したアミノ酸配列を配列番号3に示す。
配列番号3で示されるアミノ酸配列を基に、配列番号4で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
10x PCR buffer for KOD-Plus 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 2μl
プライマー(10μM) 各1.5μl
細胞内DNA(49ng/μl) 2μl
KOD-Plus-(1U/μl) 1μl
滅菌水 32μl
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System 9700にセットし、94℃(2分間)に加熱した後、94℃(15秒間)、50℃(30秒間)、68℃(30秒間)のサイクルを35回行い、さらに68℃で2分間保持した。
50μg/mlのカナマイシンを含有するLB(1%バクト−トリプトン、0.5%バクト−酵母エキス、1%塩化ナトリウム)寒天培地に得られた形質転換体を接種し培養した。形成したコロニーを50μg/mlのカナマイシンを含有する滅菌LB培地(2.5ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。
なお、プラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列の解析は、Big Dye Terminator v3.1 Cycle sequencing Kit(Applied Bio systems)を用いてプラスミドを鋳型としてシークエンス反応を行い、得られたDNAの塩基配列をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー製)で解析した。
参考例2の細胞内DNAを制限酵素EcoRIで消化し、エタノール沈澱によってDNA断片を回収した。この制限酵素消化したDNA300ngをDNAライゲーションキットV2.1(TAKARA)を用いて16℃でライゲーション反応を行い、環状化DNAを得た。
10x PCR buffer for KOD-Plus 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 2μl
プライマー(10μM) 各1.5μl
環状化DNA 1μl
KOD-Plus-(1U/μl) 1μl
滅菌水 33μl
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System 9700にセットし、94℃(2分間)に加熱した後、94℃(15秒間)、63℃(30秒間)、68℃(10分間)のサイクルを35回行い、さらに68℃で10分間保持した。
50μg/mlのカナマイシンを含有するLB寒天培地に得られた形質転換体を接種し培養した。形成したコロニーを50μg/mlのカナマイシンを含有する滅菌LB培地(2.5ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。
なお、配列番号1と配列番号3を比較したところ、配列番号3で示されるアミノ酸配列は配列番号1で示されるアミノ酸配列の一部分と一致した。
また、アミノ酸配列(配列番号1)から当該酵素タンパクは分子量50,941、pKa4.47となる。
(1)本発明ベクターの調製
配列番号9に示される塩基配列を基に配列番号10および配列番号11で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
10x PCR buffer for KOD-Plus 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 2μl
プライマー(10μM) 各1.5μl
細胞内DNA(108ng/μl) 2μl
KOD-Plus-(1U/μl) 1μl
滅菌水 32μl
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System 9700にセットし、94℃(2分間)に加熱した後、94℃(15秒間)、63℃(30秒間)、68℃(2分間)のサイクルを35回行い、さらに68℃で5分間保持した。
残りのPCR反応液に2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加え、約1.4kbpのDNA断片を2重消化させ、次いで酵素消化されたDNA断片を精製した。
一方、プラスミドベクターpTrc99A(Pharmacia製)を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)により2重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーの中から8コロニーを無作為に選抜した。この選抜したコロニーをそれぞれ50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(37℃、17時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部をNcoIとBamHIとの2種類の制限酵素により2重消化した後、電気泳動して、取り出したプラスミドに前記約1.4kbpのDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpTAP01と記す。)
プラスミドpTAP01を用いてE.coli HB101を形質転換した。50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB2培地(1.5%バクト−トリプトン、0.75%バクト−酵母エキス、1.5%塩化ナトリウム)100mlに、LB培地(50μg/mlのアンピシリン含)中で培養(30℃、18時間、振盪培養)した同形質転換体前培養液を1ml植菌し、振盪培養を開始した(30℃)、8時間後に0.1mMのIPTGを添加し、さらに12時間培養した。)。その後、得られた培養液を遠心し(10000rpm、15分)、菌体を集めた。この菌体を0.85%食塩水1/2容に懸濁し−遠心分離を2回行い、形質転換体菌体(IPTG添加培養菌体)0.80gを得た。
同様に、IPTGを添加しなかった培養を行い形質転換体菌体(IPTG無添加培養菌体)0.82gを得た。
上記(2)の2種の形質転換体菌体の各0.20gを50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)3mlに懸濁した3本の試験管を用意し、各々0.01mmol/mlとなるようにN−アセチル−1−メチルベンジルアミン、(S)−N−アセチル−1−メチルベンジルアミン、および(R)−N−アセチル−1−メチルベンジルアミンを加え、30℃で振とう、反応した。18時間後に各反応液をサンプリングし、5倍容量のエタノールと混合、遠心分離上清をろ過後、GC分析を行い1−メチルベンジルアミンの生成量を測定し、変換率を求め、表2に示した。
カラム:DB−1(0.53mm×30m、1.5μm)(J&W Scientific社製)
カラム温度:50℃(10分)→10℃/分→200℃(10分)
キャリアーガス:ヘリウム(カラム流量:10ml/分)
検出器:FID
カラム:SUMICHIRAL OA−8000(4.6mmφx250mm)(住化分析センター(株)製)
移動相:過塩素酸水(pH=2):アセトニトリル=70:30、流量:0.8ml/min.キャリアー
検出器:UV254nm
カラム:CHIRALCEL(登録商標) ODH(4.6mmφx250mm)(ダイセル化学工業(株)製)
移動相:n−ヘキサン:エタノール=990:10、流量:1ml/min.キャリアー
検出器:UV230nm
上記(2)形質転換体のIPTG添加培養菌体の各0.20gを50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)3mlに懸濁し、0.05mmol/mlとなるようにラセミN−アセチル−1−メチルベンジルアミン(50%エタノール溶液)を加え、30℃で振とう、反応した。(S)−1−メチルベンジルアミンへの変換率は、26時間後に30%、50時間後に43%、65時間後に46%であった。
Claims (13)
- 下記a)からe)のいずれかの塩基配列を有する遺伝子。
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列。
b)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAと配列相同性が少なくとも90%のDNAの塩基配列であって、かつ、
式(1):
(式中、R1は、置換されていてもよいフェニル基、ナフチル基又はピリジル基を表し、R2は、C1−3のアルキル基を表し、R3はC1-6のアルキル基を表し、*のついた炭素原子は不斉炭素原子を表す。)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解し、式(2):
(式中、R1、R2、R3および*は、前記定義のとおり。)
で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質をコードする塩基配列。
c)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列であって、かつ、前記式(1)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解できるアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
d)配列番号2で示される塩基配列。
e)配列番号9で示される塩基配列。 - 式(1)におけるR 1 が、置換されてもよいフェニル基であることを特徴とする請求項1記載の遺伝子。
- 宿主細胞内において機能可能なプロモーターと請求項1又は2記載の遺伝子とが機能可能な形で接続されてなることを特徴とする遺伝子。
- 請求項1〜3いずれか記載の遺伝子を含むことを特徴とする組換ベクター。
- 請求項3記載の遺伝子又は請求項4記載の組換ベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
- 宿主細胞が微生物であることを特徴とする請求項5記載の形質転換体。
- 宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする請求項5記載の形質転換体。
- 請求項1又は2記載の遺伝子を保有することを特徴とする形質転換体。
- 請求項4記載の組換ベクターを宿主細胞に導入する工程を含むことを特徴とする形質転換体の製造方法。
- 下記のアミノ酸配列のいずれかの特徴を有するタンパク質。
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
b)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAと配列相同性が少なくとも90%のDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、式(1):
(式中、R1は、置換されていてもよいフェニル基、ナフチル基又はピリジル基を表し、R2は、C1−3のアルキル基を表し、R3はC1-6のアルキル基を表し、*のついた炭素原子は不斉炭素原子を表す。)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解し、式(2):
(式中、R1、R2、R3および*は、前記定義のとおり。)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質、
c)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、前記式(1)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列、d)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、前記式(1)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
e)配列番号1で示されるアミノ酸配列と配列相同性が少なくとも90%のアミノ酸配列であって、前記式(1)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。 - 式(1)におけるR 1 が、置換されてもよいフェニル基であることを特徴とする請求項10記載のタンパク質。
- 請求項5〜8いずれか記載の形質転換体を培養することを特徴とするアミノアシラーゼの生産方法。
- 請求項12記載の生産方法で生産されたアミノアシラーゼ、または請求項10若しくは11記載のタンパク質を式(1)で示される(S)−アシルアミドに作用させ、立体選択的に加水分解させることを特徴とする、式(2)の光学活性アミン化合物を製造方法。
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