JP4984925B2 - アミノアシラーゼ遺伝子 - Google Patents

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Description

本発明は、アミノアシラーゼをコードする遺伝子、及び該酵素に関する。
光学活性な医農薬中間体の製造に関してこれまでにアミノアシラーゼを含む菌体を用いる幾つかの方法(特許文献1及び4〜6)が知られていた。またDL−アミノ酸の光学分割やポリウレタンの分解に適した酵素については、幾つかの遺伝子が知られていた(特許文献2および3)。
特開2001−149089 特開2002−320491 特開2006−55005 特許2698627 特許2928613 特許3608798
光学活性なアミン化合物を製造するのに適したアミノアシラーゼをコードする遺伝子及び当該遺伝子を用いた組換体を用いる光学分割方法を提供する。
本発明は、式(1):

Figure 0004984925

(式中、Rは、置換されていてもよいアリール基を表し、Rは、C1−3のアルキル基を表し、RはC1-6のアルキル基を表し、*のついた炭素原子は不斉炭素原子を表す。)
で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、式(2):

Figure 0004984925

(式中、R、Rおよび*は、前記定義のとおり。)
で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質をコードする遺伝子、該酵素、および該酵素の産生に適した形質転換体、当該光学活性アミン化合物の製造方法を提供する。
即ち、本発明は、
1.下記a)からe)のいずれかの塩基配列を有する遺伝子(以下、本発明遺伝子と記すこともある。)
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列、
b)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAと配列相同性が少なくとも90%のDNAの塩基配列であって、かつ、前記式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表されるアミン化合物に変換する能力を有するタンパク質をコードする塩基配列、
c)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列であって、かつ、前記式(1)で示されるアシルアミドを立体選択的に加水分解できるアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
d)配列番号2で示される塩基配列、
e)配列番号9で示される塩基配列;
2.宿主細胞内において機能可能なプロモーターと前項1記載の遺伝子とが機能可能な形で接続されてなることを特徴とする遺伝子;
3.前項1又は2記載の遺伝子を含むことを特徴とする組換ベクター(以下、本発明ベクターと記すこともある);
4.前項2記載の遺伝子又は前項3記載の組換ベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体;
5.宿主細胞が微生物であることを特徴とする前項4記載の形質転換体;
6.宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする前項4記載の形質転換体;
7.前項1記載の遺伝子を保有することを特徴とする形質転換体(以下、本発明形質転換体と記すこともある);
8.前項3記載の組換ベクターを宿主細胞に導入する工程を含むことを特徴とする形質転換体の製造方法;
9.下記のアミノ酸配列のいずれかの特徴を有するタンパク質(以下、本発明タンパク質と記すこともある);
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
b)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAと配列相同性が少なくとも90%のDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、前記式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列、
c)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、前記式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列、
d)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、前記式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
e)配列番号1で示されるアミノ酸配列と配列相同性が少なくとも90%のアミノ酸配列であって、前記式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列;
10.前項4〜7記載の形質転換体を培養して,前項9記載のアミノアシラーゼ生産させることを特徴とするアミノアシラーゼの生産方法;
11.前項10記載の生産方法で生産されたアミノアシラーゼ、または前項9記載のタンパク質を式(1)のアシルアミド化合物に作用させ、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物へ加水分解することを特徴とする、式(1)で示されるアシルアミド化合物の加水分解方法;等を提供するものである。
本発明によれば、光学活性なアミン化合物を工業的に製造するのに適したアミノアシラーゼをコードする遺伝子、該酵素、および該酵素を用いた立体選択的加水分解反応に好適な酵素を産生する形質転換体が得られる。
で表される、置換されていてもよいアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、ビフェニル基等のC5−12のアリール基および当該アリール基の置換基としては、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素)、C1−4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基)、C1−4のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基)が例示される。
で表されるC1−3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基が例示される。
で表されるC1-6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基が例示される。
式(1)のアシルアミド化合物の具体例としては、例えば、N−アセチル−1−メチルベンジルアミン、N−アセチル−1−エチルベンジルアミン等が例示される。
本発明の方法においては、通常、ラセミの式(1)のアシルアミド化合物が使用されるが、式(1)の化合物のエナンチオマーの混合物であっても選択的加水分解に用いることができる。本発明において式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解するとは、式(1)のアシルアミド化合物の一方のエナンチオマー(*印のついた不斉炭素原子に関する一方の光学活性体)を選択的に加水分解することを意味する。
本発明遺伝子は、天然の遺伝子であってもよく、又は天然の遺伝子に変異を導入(部位特異的変異導入法、突然変異処理等)することにより作出された遺伝子であってもよい。天然の遺伝子を検索する場合には、式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解できる能力を有する微生物を対象にすればよく、例えば、アルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株等の微生物がその対象として例示される。
本発明遺伝子において「配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、例えば「クローニングとシークエンス」(渡辺格監修、杉浦昌弘編集、1989年、農村文化社発行)等に記載されているサザンハイブリダイゼーション法において、(1)高イオン濃度下(例えば、6XSSC(900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム))に、65℃でハイブリダイズさせることにより配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAとDNA−DNAハイブリッドを形成し、(2)低イオン濃度下(例えば、0.1 X SSC(15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム))に、65℃で30分間保温した後でも該ハイブリッドが維持されうるようなDNAをいう。
具体的には、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列において、その一部の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNA、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAと、少なくとも90%の配列相同性、好ましくは少なくとも95%の配列相同性、もっとも好ましくは少なくとも99%の配列相同性を有するDNA等があげられる。
かかるDNAは、自然界に存在するDNAの中からクローニングされたDNAであっても、このクローニングされたDNAの塩基配列において、その一部の塩基の欠失、置換または付加が人為的に導入されてなるDNAであっても、人為的に合成されたDNAであってもよい。配列相同性は、例えば、UWGCG Packageが供給するBESTFITプログラム(Devereux et al(1984)Nucleic Acids Research 12, p387−395)や、PILEUPやBLASTアルゴリズム(Altschul S.F.(1993)J Mol Evol 36:290−300; Altschul S.F.(1990)J Mol Biol 215:403−10)などの配列分析用ツールを用いて算出し得る。
本発明遺伝子の塩基配列は、例えばインバースPCR法(Ochman, H. Gerber, A. S. and Hartl, D. L., Genetic application of an inverse polymerase chain reaction, Genetics 120,p621-p625(1988) 記載)により得ることができる。インバースPCR法は、既知の配列に基づくプライマーを作製、既知配列に隣接する未知の上流域および下流域の配列を増幅する方法である。即ち、該酵素タンパクの部分アミノ酸配列をコードする部分塩基配列の5’側相補鎖の一部塩基配列および3’側正鎖の一部塩基配列からプライマーを作製し、微生物等のゲノムDNAを適当な制限酵素で断片化した後、セルフライゲーションして作製した環状化DNAを鋳型としてPCRを行い、増幅したDNA断片の塩基配列を解析する方法である。なお、同種酵素で共通によく保存されている塩基配列もプライマーの設計に利用することができる。
また、本発明遺伝子のDNAは、例えば、以下のようにして調製することができる。
アルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株等の微生物等から通常の遺伝子工学的手法(例えば、「新 細胞工学実験プロトコール」(東京大学医科学研究所制癌研究部編、秀潤社、1993年)に記載された方法)に準じてcDNAライブラリーを調製し、調製されたcDNAライブラリーを鋳型として、かつ適切なプライマーを用いてPCRを行うことにより、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA及び/又は配列番号2で示される塩基配列を有するDNA等を増幅して本発明遺伝子のDNAを調製することができる。
また、前記cDNAライブラリーを鋳型として、かつ配列番号10に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号11に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いてPCRを行うことにより、配列番号2で示される塩基配列からなるDNAを増幅して本発明遺伝子のDNAを調製することができる。
該PCRの条件としては、例えば、4種類のdNTPを各々20μM、2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを各々15pmol、Taqpolymeraseを1.3U及び鋳型となるcDNAライブラリーを混合した反応液を97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)‐50℃(0.5分間)‐72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)‐55℃(0.5分間)‐72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持する条件が挙げられる。
なお、該PCRに用いるプライマーの5’末端側、及び/又は3’末端側には、制限酵素認識配列等を付加していてもよい。
また、前記cDNAライブラリーを鋳型として配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列から選ばれる部分塩基配列を有するオリゴヌクレオチド等(例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする5’末端側の約14塩基程度以上の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)とcDNAライブラリー構築に用いられたベクターのDNA挿入部位近傍の塩基配列に相補的な塩基配列からなる約14塩基程度以上のオリゴヌクレオチドとをプライマーとして用いてPCRを行うことによっても、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAや、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA等を増幅して本発明遺伝子のDNAを調製することができる。
上記のようにして増幅されたDNAを「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載されている方法に準じてベクターにクローニングして本発明組換ベクターを得ることができる。用いられるベクターとしては、具体的には、例えば、pUC119(宝酒造社製)、pTV118N(宝酒造社製)、pBluescriptII (東洋紡社製)、pCR2.1-TOPO(Invitrogen社製)、pTrc99A(Pharmacia社製)、pKK223-3(Pharmacia社製)などが挙げられる。
また、本発明遺伝子のDNAは、例えば、微生物またはファージ由来のベクターに挿入されたcDNAライブラリーに配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列から選ばれる部分塩基配列を有する約15塩基程度以上の塩基配列からなるDNAをプローブとして後述する条件にてハイブリダイズさせ、該プローブが特異的に結合するDNAを検出することによっても取得することができる。
染色体DNA又はcDNAライブラリーにプローブをハイブリダイズさせる方法としては、例えば、コロニーハイブリダイゼーションやプラークハイブリダイゼーションを挙げることができ、ライブラリーの作製に用いられたベクターの種類に応じて方法を選択することができる。
使用されるライブラリーがプラスミドベクターを用いて作製されている場合にはコロニーハイブリダイゼーションを利用するとよい。具体的には、ライブラリーのDNAを宿主微生物に導入することにより形質転換体を取得し、得られた形質転換体を希釈した後、該希釈物を寒天培地上にまき、コロニーが現われるまで培養する。
使用されるライブラリーがファージベクターを用いて作製されている場合にはプラークハイブリダイゼーションを利用するとよい。具体的には、宿主微生物とライブラリーのファージとを感染可能な条件下で混合し、さらに軟寒天培地と混合した後、該混合物を寒天培地上にまき、プラークが現われるまで培養する。
次いで、いずれのハイブリダイゼーションの場合にも、前記の培養を行った寒天培地上にメンブレンを置き、形質転換体又はファージを該メンブレンに吸着・転写させる。このメンブレンをアルカリ処理した後、中和処理し、次いでDNAを該メンブレンに固定する処理を行う。より具体的には、例えば、プラークハイブリダイゼーションの場合には、前記寒天培地上にニトロセルロースメンブレン又はナイロンメンブレン(例えば、Hybond-N+(アマシャム社登録商標))を置き、約1分間静置してファージ粒子をメンブレンに吸着・転写させる。次に、該メンブレンをアルカリ溶液(例えば1.5M塩化ナトリウム、0.5M水酸化ナトリウム)に約3分間浸してファージ粒子を溶解させることによりファージDNAをメンブレン上に溶出させた後、中和溶液(例えば、1.5M塩化ナトリウム、0.5Mトリス−塩酸緩衝溶液pH7.5)に約5分間浸す。次いで該メンブレンを洗浄液(例えば、0.3M塩化ナトリウム、30mMクエン酸、0.2Mトリス−塩酸緩衝液pH7.5)で約5分間洗った後、例えば、約80℃で約90分間加熱することによりファージDNAをメンブレンに固定する。
このように調製されたメンブレンを用いて、上記DNAをプローブとしてハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーションは、例えば、J.Sambrook, E.F.Frisch, T.Maniatis著「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition(1989)」 Cold Spring Harbor Laboratory Press等の記載に準じて行うことができる。
プローブに用いるDNAは、放射性同位元素により標識されたものや、蛍光色素で標識されたものであってもよい。
プローブに用いるDNAを放射性同位元素により標識する方法としては、例えば、Random Primer Labeling Kit(宝酒造社製)等を利用することにより、PCR反応液中のdCTPを(α−32P)dCTPに替えて、プローブに用いるDNAを鋳型にしてPCRを行う方法が挙げられる。
また、プローブに用いるDNAを蛍光色素で標識する場合には、例えば、アマシャム製のECL Direct Nucleic Acid Labeling and Detection System等を用いることができる。
ハイブリダイゼーションは、例えば、以下の通りに行うことができる。
450〜900mMの塩化ナトリウム及び45〜90mMのクエン酸ナトリウムを含みドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.1〜1.0重量%の濃度で含み、変性した非特異的DNAを0〜200μl/mlの濃度で含み、場合によってはアルブミン、フィコール、ポリビニルピロリドン等をそれぞれ0〜0.2重量%の濃度で含んでいてもよいプレハイブリダイゼーション液(好ましくは900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム、1.0重量%のSDS及び100μl/mlの変性Calf-thymusDNAを含むプレハイブリダイゼーション液)を上記のようにして作製したメンブレン1cm2当たり50〜200μlの割合で準備し、該プレハイブリダイゼーション液に前記メンブレンを浸して42〜65℃で1〜4時間保温する。
次いで、例えば、450〜900mMの塩化ナトリウム及び45〜90mMのクエン酸ナトリウムを含み、SDSを0.1〜1.0重量%の濃度で含み、変性した非特異的DNAを0〜200μg/mlの濃度で含み、場合によってはアルブミン、フィコール、ポロビニルピロリドン等をそれぞれ0〜0.2重量%の濃度で含んでいてもよいハイブリダイゼーション溶液(好ましくは、900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム、1.0重量%のSDS及び100μg/mlの変性Calf-thymusDNAを含むハイブリダイゼーション溶液)と前述の方法で調製して得られたプローブ(メンブレン1cm2当たり1.0×104〜2.0×106cpm相当量)とを混合した溶液をメンブレン1cm2当たり50〜200μlの割合で準備し、該ハイブリダイゼーション溶液に浸し42〜65℃で12〜20時間保温する。
該ハイブリダイゼーション後、メンブレンを取り出し、15〜300mMの塩化ナトリウム1.5〜30mMクエン酸ナトリウム及び0.1〜1.0重量%のSDS等を含む42〜65℃の洗浄液(好ましくは15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム及び1.0重量%のSDSを含む65℃の洗浄液)等を用いて洗浄する。洗浄したメンブレンを2xSSC(300mM塩化ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム)で軽くすすいだ後、乾燥する。このメンブレンを例えばオートラジオグラフィー等に供してメンブレン上のプローブの位置を検出することにより、用いたプローブとハイブリダイズするDNAのメンブレン上の位置に相当するクローンを元の寒天培地上で特定し、これを釣菌することにより、当該DNAを有するクローンを単離する。
このようにして得られるクローンを培養して得られる培養菌体から本発明遺伝子のDNAを調製することができる。
上記のようにして調製されたDNAを「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載されている方法に準じてベクターにクローニングして本発明組換ベクターを得ることができる。用いられるベクターとしては、具体的には、例えば、pUC119(宝酒造社製)、pTV118N(宝酒造社製)、pBluescriptII (東洋紡社製)、pCR2.1-TOPO(Invitrogen社製)、pTrc99A(Pharmacia社製)、pKK223-3(Pharmacia社製)等が挙げられる。
また、前述のDNAの塩基配列は、F.Sanger, S.Nicklen, A.R.Coulson著、Proceeding of Natural Academy of Science U.S.A.(1977) 74: 5463-5467頁等に記載されているダイデオキシターミネーター法等により解析することができる。塩基配列分析用の試料調製には、例えば、パーキンエルマー社のABI PRISM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit等の市販の試薬を用いてもよい。
上述のようにして得られるDNAが、前記式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードしていることの確認は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず上述のようにして得られるDNAを後述のように、宿主細胞において機能可能なプロモーターの下流に接続されるようにベクターに挿入し、このベクターを宿主細胞に導入して形質転換体を取得する。次いで該形質転換体の培養物を式(1)で示されるアシルアミドを立体選択的に加水分解に作用させる。反応生成物中の光学活性アシルアミド化合物および対応する光学活性アミンの量を分析することにより、得られたDNAがかかる能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードすることが確認できる。
本発明遺伝子を宿主細胞で発現させるには、例えば、宿主細胞で機能可能なプロモーターと本発明遺伝子とが機能可能な形で接続されてなる遺伝子を宿主細胞に導入する。
ここで、「機能可能な形で」とは、該遺伝子を宿主細胞に導入することにより宿主細胞を形質転換させた際に、本発明遺伝子が、プロモーターの制御下に発現するようにプロモーターと結合された状態にあることを意味する。プロモーターとしては、大腸菌のラクトースオペロンのプロモーター、大腸菌のトリプトファンオペロンのプロモーター、または、tacプロモーターもしくはtrcプロモーター等の大腸菌内で機能可能な合成プロモーター等をあげることができ、アルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株において本発明遺伝子の発現を制御しているプロモーターを利用してもよい。
一般的には、宿主細胞において機能可能なプロモーターと機能可能な形で接続されてなる遺伝子を前述のようなベクターに組み込んでなる組換ベクターを宿主細胞に導入する。尚、ベクターとしては、選択マーカー遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等の抗生物質耐性付与遺伝子等)を含むベクターを用いると、該ベクターが導入された形質転換体を当該選択マーカー遺伝子の表現型等を指標にして選択することができる。
宿主細胞において機能可能なプロモーターと機能可能な形で接続されてなる本発明遺伝子又は本発明組換ベクター等を導入する宿主細胞としては、例えば、エシェリヒア(Escherichia)属、バシラス(Bacillus)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、ストレプトミセス(Streptomyces)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ピキュア(Pichia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属及びアスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物等があげられる。
宿主細胞において機能可能なプロモーターと機能可能な形で接続されてなる本発明遺伝子又は本発明組換ベクター等を宿主細胞へ導入する方法は、用いられる宿主細胞に応じて通常使われる導入方法であればよく、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載される塩化カルシウム法や、「Methods in Electroporation:Gene Pulser /E.coli Pulser System」 Bio-Rad Laboratories, (1993)等に記載されるエレクトロポレーション法等をあげることができる。
宿主細胞において機能可能なプロモーターと機能可能な形で接続されてなる本発明遺伝子又は本発明組換ベクター等が導入された形質転換体を選抜するには、例えば、前述のようなベクターに含まれる選択マーカー遺伝子の表現型を指標にして選抜すればよい。
該形質転換体が本発明遺伝子を保有していることは、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press等に記載される通常の方法に準じて、制限酵素部位の確認、塩基配列の解析、サザンハイブリダイゼーション、ウエスタンハイブリダイゼーション等を行うことにより、確認することができる。
次に本発明タンパク質について説明する。
「配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」とは、活性が性質的に同質なタンパク質をコードしており、配列番号1で示される全アミノ酸配列と、少なくとも90%の配列相同性、より好ましくは少なくとも95%の配列相同性、さらに好ましくは少なくとも99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を意味する。
本発明タンパク質は、例えば、本発明遺伝子を保有する形質転換体を培養することにより製造することができる。
該形質転換体を培養するための培地としては、例えば、微生物等の宿主細胞の培養に通常使用される炭素源や窒素源、有機塩や無機塩等を適宜含む各種の培地を用いることができる。
炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、シュークロース等の糖類、グリセロール等の糖アルコール、フマル酸、クエン酸、ピルビン酸等の有機酸、動物油、植物油及び糖蜜が挙げられる。これらの炭素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1〜30%(w/v)程度である。
窒素源としては、例えば、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大豆粉、コーン・スティープ・リカー(Corn Steep Liquor)、綿実粉、乾燥酵母、カザミノ酸等の天然有機窒素源、アミノ酸類、硝酸ナトリウム等の無機酸のアンモニウム塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩、フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の有機酸のアンモニウム塩及び尿素が挙げられる。これらのうち有機酸のアンモニウム塩、天然有機窒素源、アミノ酸類等は多くの場合には炭素源としても使用することができる。これらの窒素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1〜30%(w/v)程度である。
有機塩や無機塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛等の塩化物、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩及びリン酸塩を挙げることができる。具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜鉛、硫酸銅、酢酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素一カリウム及びリン酸水素二カリウムが挙げられる。これらの有機塩及び/又は無機塩の培地への添加量は培養液に対して通常0.0001〜5%(w/v)程度である。
さらに、tacプロモーター、trcプロモーター及びlacプロモーター等のアロラクトースで誘導されるタイプのプロモーターと本発明遺伝子とが機能可能な形で接続されてなる遺伝子が導入されてなる形質転換体の場合には、本発明タンパク質の生産を誘導するための誘導剤として、例えば、isopropyl thio-β-D-galactoside(IPTG)を培地中に少量加えることもできる。
本発明遺伝子を保有する形質転換体の培養は、微生物等の宿主細胞の培養に通常使用される方法に準じて行うことができ、例えば、試験管振盪式培養、往復式振盪培養、ジャーファーメンター(Jar Fermenter)培養、タンク培養等の液体培養及び固体培養が挙げられる。
培養温度は、該形質転換体が生育可能な範囲で適宜変更できるが、通常、約15〜40℃である。培地のpHは、約6〜8の範囲が好ましい。培養時間は、培養条件によって異なるが通常約1日〜約5日が好ましい。
本発明遺伝子を保有する形質転換体の培養物から本発明タンパク質を精製する方法としては、通常のタンパク質の精製において使用される方法を適用することができ、例えば、次のような方法を挙げることができる。
まず、形質転換体の培養物から遠心分離等により細胞を集めた後、これを超音波処理、ダイノミル処理、フレンチプレス処理等の物理的破砕法又は界面活性剤若しくはリゾチーム等の溶菌酵素を用いる化学的破砕法等によって破砕する。得られた破砕液から遠心分離、メンブレンフィルター濾過等により不純物を除去することにより無細胞抽出液を調製し、これを陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー等の分離精製方法を適宜用いて分画することによって、本発明タンパク質を精製することができる。
クロマトグラフィーに使用する担体としては、例えば、カルボキシメチル(CM)基、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、フェニル基若しくはブチル基を導入したセルロース、デキストリン又はアガロース等の不溶性高分子担体が挙げられる。市販の担体充填済カラムを用いることもでき、かかる市販の担体充填済カラムとしては、例えば、Q-Sepharose FF、Phenyl-Sepharose HP(商品名、いずれもアマシャム ファルマシア バイオテク社製)、TSK−gel G3000SW(商品名、東ソー社製)等が挙げられる。
尚、本発明タンパク質を含む画分を選抜するには、例えば、ラセミN−アセチル−1メチルベンジルアミンを不斉加水分解して(S)−1メチルベンジルアミンを優先的に生産する能力を指標にして選抜すればよい。
次に、本発明タンパクによる上記式(1)で示されるアシルアミド化合物の不斉加水分解反応は、通常、水の存在下に行われる。この際に用いられる水は、緩衝水溶液であってもよい。該緩衝水溶液に用いられる緩衝剤としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム水溶液、酢酸カリウム等の酢酸アルカリ金属塩及びこれらの混合物が挙げられる。
上記方法においては、水に加えて有機溶媒を共存させることもできる。共存させることができる有機溶媒としては、例えば、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロプルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル類、トルエン、ヘキサン、シクロへヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド等の有機硫黄化合物、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類及びこれらの混合物が挙げられる。
上記方法における反応は、例えば、水、本発明タンパク質あるいはそれを産生する形質転換体又はその処理物とともに、必要によりさらに有機溶媒等を含有した状態で、攪拌、振盪等により混合することにより行われる。
上記方法における反応時のpHは適宜選択することができるが、通常pH3〜10の範囲である。また反応温度は適宜選択することができるが、通常0〜60℃の範囲である。
本発明タンパク質、それを産生する形質転換体又はその処理物は種々の形態で上記方法に用いることができる。
具体的な形態としては、例えば、本発明遺伝子を保有する形質転換体の培養物、かかる形質転換体の処理物、無細胞抽出液、粗精製タンパク質、精製タンパク質等及びこれらの固定化物が挙げられる。ここで、形質転換体の処理物としては、例えば、凍結乾燥形質転換体、有機溶媒処理形質転換体、乾燥形質転換体、形質転換体摩砕物、形質転換体の自己消化物、形質転換体の超音波処理物、形質転換体抽出物、形質転換体のアルカリ処理物が挙げられる。また、固定化物を得る方法としては、例えば、担体結合法(シリカゲルやセラミック等の無機担体、セルロース、イオン交換樹脂等に本発明タンパク質等を吸着させる方法)及び包括法(ポリアクリルアミド、含硫多糖ゲル(例えばカラギーナンゲル)、アルギン酸ゲル、寒天ゲル等の高分子の網目構造の中に本発明タンパク質等を閉じ込める方法)が挙げられる。
尚、本発明遺伝子を保有する形質転換体を用いた工業的な生産を考慮すれば、生形質転換体を用いるよりも該形質転換体を死滅化させた処理物を用いる方法が製造設備の制限が少ないという点では好ましい。そのための死菌化処理方法としては、例えば、物理的殺菌法(加熱、乾燥、冷凍、光線、超音波、濾過、通電)や、化学薬品を用いる殺菌法(アルカリ、酸、ハロゲン、酸化剤、硫黄、ホウ素、砒素、金属、アルコール、フェノール、アミン、サルファイド、エーテル、アルデヒド、ケトン、シアン及び抗生物質)が挙げられる。一般的には、これらの殺菌法のうちできるだけ本発明タンパク質の酵素活性を失活させず、かつ反応系への残留、汚染などの影響が少ない処理方法を選択することが望ましい。
反応終了後は、加水分解されて生じた光学活性アミン化合物と、加水分解されずに残存した光学活性なアミド化合物を分離すればよい。分離は、酸を用いて光学活性アミン化合物を抽出するか、アミド化合物を有機溶媒で抽出するなどの方法で行っても良いし、カラムクロマトグラフィー等で行っても良い。得られた光学活性な化合物は、必要により、さらに、酸もしくはアルカリを用いた分配・抽出や再結晶等により精製してもよい。
以下、実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1 (アミノアシラーゼ活性とその立体選択性)
500mlフラスコに培地(グルコース20g/L、ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、肉エキス3g/L、硫酸アンモニウム2g/L、リン酸2水素カリウム1g/L、リン酸水素2カリウム1.5g/L、硫酸マグネシウム7水塩0.5g/Lとなるように水に溶解し、2NのNaOHでpHを7に調整)100mlを分注し、121℃で15分間滅菌し放冷した。ここに同組成の培地中で培養(30℃、48時間、振盪培養)したアルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株前培養液を2mlずつ植菌し30℃で振盪培養を始めた。24時間後、(R/S)−N−アセチル−1−メチルベンジルアミンを0.01mmol/mlになるように添加しさらに24時間培養した。その後、得られた培養液を遠心し(10000rpm、15分)、菌体を集めた。この菌体を0.85%食塩水1/2容に懸濁し−遠心分離を2回行い、洗浄菌体を得た。
この洗浄菌体0.30gを50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)3mlに懸濁した3本の試験管を用意し、各々0.01mmol/mlとなるようにN−アセチル−1−メチルベンジルアミン、(S)−N−アセチル−1−メチルベンジルアミン、および(R)−N−アセチル−1−メチルベンジルアミンを加え、30℃で振とう、反応した。また、同時に洗浄菌体を含まないブランクも同様に振とうした。24時間後に各反応液をサンプリングし、5倍容量のエタノールと混合、遠心分離上清をろ過後、GC分析を行い1−メチルベンジルアミンの生成量を測定し、変換率を求め、表1に示した。(GC;FID、DB−1カラム(0.53mmφ、30m、1.5μm;J&W製)
その結果、アルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株菌体は(S)体のN−アセチル−1−メチルベンジルアミンを選択的に加水分解し、式(1)で示されるアシルアミドを立体選択的に加水分解できるアミノアシラーゼ活性を有する酵素を保有することが確認された。
表1加水分解反応(ATCC2116株菌体0.30g、24時間)
Figure 0004984925
参考例2 (細胞内DNAの調製)
滅菌LB培地(1%バクト−トリプトン、0.5%バクト−酵母エキス、1%塩化ナトリウム)5mlの入った試験管5本にアルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株を植菌し30℃で16時間振とう培養した。得られた培養液から参考例1と同様にして、洗浄菌体0.24gを得た。
得られた菌体から、QIAprep Genomic-tip System (Qiagen社製)を用いて細胞内DNA溶液0.5mlを得た。
実施例1 (本発明遺伝子の取得及びその解析)
(1)本発明タンパク質の調製
アルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株を参考例1と同様に培養して得た洗浄菌体19.4gを50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)100mlに懸濁し、マルチビーズショッカー(安井器械社製、ガラスビーズ0.1mmΦ、2500rpm、20分)で破砕した。処理液を遠心分離(10000xg、10分間)、同バッファーで洗浄して破砕液を回収、さらに超遠心分離(100000xg、60分間)して、粗酵素溶液200mlを得た。
粗酵素溶液に粉状の硫酸アンモニウムを攪拌しながら加え45%飽和として生成した沈澱を遠心除去後、上清に粉状の硫酸アンモニウムを攪拌しながら加え75%飽和として生成した沈澱画分を遠心分離回収した。
この硫安沈澱画分溶液(硫酸アンモニウム含50mMリン酸カリウムバッファーpH7.0)を1M硫酸アンモニウム含50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)で平衡化した疎水性クロマトグラフィーカラム[Hitrap BUtyl FF(アマシャムファルマシアバイオテク社製)]に展着し、硫酸アンモニウムを溶解したリン酸カリウムバッファー(硫酸アンモニウム濃度1M→0Mの濃度勾配)を移動層として溶出し、アミノアシラーゼ活性を有する溶出活性画分を得た。
(アミノアシラーゼ活性の測定)
ラセミ−アセチル−1−メチルベンジルアミン0.01mmol/mlを含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)に被検液を加え40℃で振とう、1時間後にサンプリングし、5倍容量のエタノールと混合、遠心分離上清をろ過後、GC分析を行い1−メチルベンジルアミンの生成量を測定)
(GC;FID、DB−1カラム(0.53mmφ、30m、1.5μm;J&W製)
この溶出活性画分をAmicon Ultra−15(MILLIPORE社製)を用いて濃縮、脱塩、および、50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)に、バッファー交換した。これをイオン交換クロマトグラフィーカラム[HiTrap DEAE Sepharose FF(アマシャムファルマシアバイオテク社製)][50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)で平衡化したもの]に展着し、塩化ナトリウムを溶解した同バッファー(塩化ナトリウム濃度0→0.7Mの濃度勾配)を移動層として溶出し、アミノアシラーゼ活性を有する溶出活性画分を得た。
この溶出活性画分をAmicon UltraFree−0.5Biomax(MILLIPORE社製)を用いて濃縮、脱塩、および、50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)にバッファー交換し、アミノアシラーゼ溶液50μlを得た。この溶液のタンパク量は80μgであった(アミノアシラーゼ溶液を希釈し、プロテインアッセイCBB溶液(ナカライテスク)を使用して測定)。
(2)本発明タンパク質由来の部分ペプチドが有するアミノ酸配列の解析
上記操作により得られた活性画分(A)をLaemmli, U. K., Nature, (1970) 227, 680記載の方法に準じてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動した。電気泳動後のゲルをクマシーブリリアントブルーG250染色液(BIO−RAD社製)で染色し、染色された該酵素50kDのシングルバンド部分のゲルを切り取った。このゲルを洗浄後、トリプシンを処理し、ゲルからペプチドを抽出した。抽出したペプチドをHPLC(カラム:TSK gel ODS-80Ts、2.0mm×250mm(東ソー株式会社)、移動層:A液(0.1%トリフルオロ酢酸水)、B液(0.09%トリフルオロ酢酸を含む90%アセトニトリル水溶液)、A/B=100/0→0/100の濃度勾配)により分取した。分取した各画分の中から1個の画分につきアミノ酸配列をプロテインシークエンサー(Procise 494HT Protein Sequencing System)により決定した。決定したアミノ酸配列を配列番号3に示す。
(3)本発明遺伝子由来の部分塩基配列の解析
配列番号3で示されるアミノ酸配列を基に、配列番号4で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
また、配列番号3で示されるアミノ酸配列をもとに配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
配列番号4、および、配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、参考例2の細胞内DNAを鋳型にして、下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。(KOD-Plus- 東洋紡社製を使用した。)
[反応液組成]
10x PCR buffer for KOD-Plus 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 2μl
プライマー(10μM) 各1.5μl
細胞内DNA(49ng/μl) 2μl
KOD-Plus-(1U/μl) 1μl
滅菌水 32μl
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System 9700にセットし、94℃(2分間)に加熱した後、94℃(15秒間)、50℃(30秒間)、68℃(30秒間)のサイクルを35回行い、さらに68℃で2分間保持した。
その後、PCR反応液の一部をとり、アガロースゲル電気泳動を行ったところ、約200bpのDNA断片のバンドが検出された。
上記の約200bpのDNA断片を、pCR(登録商標)-BluntII-TOPOベクターの既存「Blunt PCR Product挿入サイト」にライゲーションし(Invitrogen社製Zero Blunt(登録商標)TOPO(登録商標)PCR cloningキット使用)、得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
50μg/mlのカナマイシンを含有するLB(1%バクト−トリプトン、0.5%バクト−酵母エキス、1%塩化ナトリウム)寒天培地に得られた形質転換体を接種し培養した。形成したコロニーを50μg/mlのカナマイシンを含有する滅菌LB培地(2.5ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。
得られたプラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列を解析し、配列番号6に示す塩基配列を決定した。
なお、プラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列の解析は、Big Dye Terminator v3.1 Cycle sequencing Kit(Applied Bio systems)を用いてプラスミドを鋳型としてシークエンス反応を行い、得られたDNAの塩基配列をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー製)で解析した。
(4)インバースPCR法による本発明遺伝子由来の塩基配列の解析
参考例2の細胞内DNAを制限酵素EcoRIで消化し、エタノール沈澱によってDNA断片を回収した。この制限酵素消化したDNA300ngをDNAライゲーションキットV2.1(TAKARA)を用いて16℃でライゲーション反応を行い、環状化DNAを得た。
配列番号6で示される塩基配列を基に配列番号7および8で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
配列番号7、および配列番号8で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、前記環状化DNAを鋳型にして下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。(KOD-Plus- 東洋紡を使用した。)
[反応液組成]
10x PCR buffer for KOD-Plus 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 2μl
プライマー(10μM) 各1.5μl
環状化DNA 1μl
KOD-Plus-(1U/μl) 1μl
滅菌水 33μl
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System 9700にセットし、94℃(2分間)に加熱した後、94℃(15秒間)、63℃(30秒間)、68℃(10分間)のサイクルを35回行い、さらに68℃で10分間保持した。
その後、PCR反応液の一部をとり、アガロースゲル電気泳動を行った結果、約5kbpのDNA断片のバンドが検出された。
上記の約5kbpのDNA断片を、pCR(登録商標-BluntII-TOPOベクターの既存「Blunt PCR Product挿入サイト」にライゲーションし(Invitrogen社製Zero Blunt(登録商標)TOPO(登録商標) PCR cloningキット使用)、得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
50μg/mlのカナマイシンを含有するLB寒天培地に得られた形質転換体を接種し培養した。形成したコロニーを50μg/mlのカナマイシンを含有する滅菌LB培地(2.5ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。
得られたプラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列を解析し、配列番号6を結合した配列番号9に示す塩基配列を決定した。
配列番号9で示される塩基配列を基にORF検索を行い、アルスロバクター・パラフィネス(Arthrobacter paraffineus)ATCC21167株が有する式(1)で示されるアシルアミド化合物を立体選択的に加水分解できるアミノアシラーゼのタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号2)を決定した。さらに配列番号2をもとに該タンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)を決定した。
なお、配列番号1と配列番号3を比較したところ、配列番号3で示されるアミノ酸配列は配列番号1で示されるアミノ酸配列の一部分と一致した。
また、アミノ酸配列(配列番号1)から当該酵素タンパクは分子量50,941、pKa4.47となる。
実施例2 (本発明形質転換体の製造及びアシルアミド加水分解反応例(その1))
(1)本発明ベクターの調製
配列番号9に示される塩基配列を基に配列番号10および配列番号11で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号11で示されるオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに、前記細胞内DNAを鋳型にして下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。(KOD-Plus- 東洋紡を使用した。)
[反応液組成]
10x PCR buffer for KOD-Plus 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 2μl
プライマー(10μM) 各1.5μl
細胞内DNA(108ng/μl) 2μl
KOD-Plus-(1U/μl) 1μl
滅菌水 32μl
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System 9700にセットし、94℃(2分間)に加熱した後、94℃(15秒間)、63℃(30秒間)、68℃(2分間)のサイクルを35回行い、さらに68℃で5分間保持した。
その後、PCR反応液を一部とりアガロースゲル電気泳動を行ったところ、約1.4kbpのDNA断片のバンドが検出された。
残りのPCR反応液に2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加え、約1.4kbpのDNA断片を2重消化させ、次いで酵素消化されたDNA断片を精製した。
一方、プラスミドベクターpTrc99A(Pharmacia製)を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)により2重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
これらの酵素消化させたDNA断片を混合し、DNAライゲーションキットV2.1(TAKARA)でライゲーションし、得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーの中から8コロニーを無作為に選抜した。この選抜したコロニーをそれぞれ50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(37℃、17時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部をNcoIとBamHIとの2種類の制限酵素により2重消化した後、電気泳動して、取り出したプラスミドに前記約1.4kbpのDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpTAP01と記す。)
(2)本発明形質転換体の培養菌体の調製
プラスミドpTAP01を用いてE.coli HB101を形質転換した。50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB2培地(1.5%バクト−トリプトン、0.75%バクト−酵母エキス、1.5%塩化ナトリウム)100mlに、LB培地(50μg/mlのアンピシリン含)中で培養(30℃、18時間、振盪培養)した同形質転換体前培養液を1ml植菌し、振盪培養を開始した(30℃)、8時間後に0.1mMのIPTGを添加し、さらに12時間培養した。)。その後、得られた培養液を遠心し(10000rpm、15分)、菌体を集めた。この菌体を0.85%食塩水1/2容に懸濁し−遠心分離を2回行い、形質転換体菌体(IPTG添加培養菌体)0.80gを得た。
同様に、IPTGを添加しなかった培養を行い形質転換体菌体(IPTG無添加培養菌体)0.82gを得た。
(3)本発明形質転換体によるアシルアミド加水分解反応例1
上記(2)の2種の形質転換体菌体の各0.20gを50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)3mlに懸濁した3本の試験管を用意し、各々0.01mmol/mlとなるようにN−アセチル−1−メチルベンジルアミン、(S)−N−アセチル−1−メチルベンジルアミン、および(R)−N−アセチル−1−メチルベンジルアミンを加え、30℃で振とう、反応した。18時間後に各反応液をサンプリングし、5倍容量のエタノールと混合、遠心分離上清をろ過後、GC分析を行い1−メチルベンジルアミンの生成量を測定し、変換率を求め、表2に示した。
表2 加水分解反応 形質転換体菌体0.20g、 18時間
Figure 0004984925
反応18時間後の生成(S)−1−メチルベンジルアミンはキラルLC分析条件(イ)で分析でき、残存(R)−N−アセチル−1−メチルベンジルアミンはキラルLC分析条件(ロ)で100%e.e.である。
(GC分析条件)
カラム:DB−1(0.53mm×30m、1.5μm)(J&W Scientific社製)
カラム温度:50℃(10分)→10℃/分→200℃(10分)
キャリアーガス:ヘリウム(カラム流量:10ml/分)
検出器:FID
キラルLC分析条件:(イ)
カラム:SUMICHIRAL OA−8000(4.6mmφx250mm)(住化分析センター(株)製)
移動相:過塩素酸水(pH=2):アセトニトリル=70:30、流量:0.8ml/min.キャリアー
検出器:UV254nm
キラルLC分析条件:(ロ)
カラム:CHIRALCEL(登録商標) ODH(4.6mmφx250mm)(ダイセル化学工業(株)製)
移動相:n−ヘキサン:エタノール=990:10、流量:1ml/min.キャリアー
検出器:UV230nm
(4)本発明形質転換体によるアシルアミド加水分解反応例2
上記(2)形質転換体のIPTG添加培養菌体の各0.20gを50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)3mlに懸濁し、0.05mmol/mlとなるようにラセミN−アセチル−1−メチルベンジルアミン(50%エタノール溶液)を加え、30℃で振とう、反応した。(S)−1−メチルベンジルアミンへの変換率は、26時間後に30%、50時間後に43%、65時間後に46%であった。

Claims (13)

  1. 下記a)からe)のいずれかの塩基配列を有する遺伝子。
    a)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列。
    b)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAと配列相同性が少なくとも90%のDNAの塩基配列であって、かつ、
    式(1):
    Figure 0004984925
    (式中、Rは、置換されていてもよいフェニル基、ナフチル基又はピリジル基を表し、Rは、C1−3のアルキル基を表し、RはC1-6のアルキル基を表し、*のついた炭素原子は不斉炭素原子を表す。)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解し、式(2):
    Figure 0004984925
    (式中、R、R、Rおよび*は、前記定義のとおり。)
    で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質をコードする塩基配列。
    c)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列であって、かつ、前記式(1)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解できるアミノアシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
    d)配列番号2で示される塩基配列。
    e)配列番号9で示される塩基配列。
  2. 式(1)におけるR が、置換されてもよいフェニル基であることを特徴とする請求項1記載の遺伝子。
  3. 宿主細胞内において機能可能なプロモーターと請求項1又は2記載の遺伝子とが機能可能な形で接続されてなることを特徴とする遺伝子。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の遺伝子を含むことを特徴とする組換ベクター。
  5. 請求項記載の遺伝子又は請求項記載の組換ベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
  6. 宿主細胞が微生物であることを特徴とする請求項記載の形質転換体。
  7. 宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする請求項記載の形質転換体。
  8. 請求項1又は2記載の遺伝子を保有することを特徴とする形質転換体。
  9. 請求項記載の組換ベクターを宿主細胞に導入する工程を含むことを特徴とする形質転換体の製造方法。
  10. 下記のアミノ酸配列のいずれかの特徴を有するタンパク質。
    a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
    b)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAと配列相同性が少なくとも90%のDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、式(1):
    Figure 0004984925
    (式中、Rは、置換されていてもよいフェニル基、ナフチル基又はピリジル基を表し、Rは、C1−3のアルキル基を表し、RはC1-6のアルキル基を表し、*のついた炭素原子は不斉炭素原子を表す。)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解し、式(2):
    Figure 0004984925
    (式中、R、R、Rおよび*は、前記定義のとおり。)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質、
    c)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、前記式(1)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列、d)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、前記式(1)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
    e)配列番号1で示されるアミノ酸配列と配列相同性が少なくとも90%のアミノ酸配列であって、前記式(1)で示される(S)−アシルアミドを立体選択的に加水分解し、光学活性な前記式(2)で表される光学活性アミン化合物に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
  11. 式(1)におけるR が、置換されてもよいフェニル基であることを特徴とする請求項10記載のタンパク質。
  12. 請求項5〜8いずれか記載の形質転換体を培養することを特徴とするアミノアシラーゼの生産方法。
  13. 請求項12記載の生産方法で生産されたアミノアシラーゼ、または請求項10若しくは11記載のタンパク質を式(1)で示される(S)−アシルアミドに作用させ、立体選択的に加水分解させることを特徴とする、式(2)の光学活性アミン化合物を製造方法。
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