JP2012080879A - ビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法 - Google Patents

ビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アミノ基供与体としてアミノ酸を要求しないビニルグリシン誘導体の製造方法等を提供する。
【解決手段】R−C=C−CO−COOHのビニルグリオキシル酸またはその塩に、アンモニウム塩化合物および補因子の存在下、アミノ酸脱水素酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドが微生物細胞内に導入されて得られる形質転換体の培養物若しくはその処理物を作用させる反応工程を含むことを特徴とする、一般式(2)
Figure 2012080879

(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法等。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法等に関する。
蛋白質を通常構成しないアミノ酸である「ビニルグリシン」は、真菌類から単離され、多くの酵素類を阻害することが示されてきており、その誘導体も併せて酵素阻害剤や抗生物質として広く利用されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、特許文献1、特許文献2等参照)。
ビニルグリシンを酵素法による製造する方法としては、アミノ酸のアミノ基を2−オキソ酸(即ち、ビニルケト酸(ビニルグリオキシル酸))に転移して、別のオキソ酸とアミノ酸(即ち、ビニルグリシン誘導体)を生じる反応を触媒する酵素である「アミノトランスフェラーゼ」(EC 2.6.1.X)を利用するものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特許第4080539号 特開平5−105657 特開2007−295865
Accounts of Chemical Research, 8 (8), 281-288 (1975) Current Medicinal Chemistry, 14 (12), 1291-1324 (2007)
しかしながら、上記の酵素法では、アミノ基供与体としてアミノ酸を要求するので、当該方法によるビニルグリシン誘導体の製造はコストの増大を避けることが容易ではなかった。
本発明者は、このような状況下鋭意検討を行った結果、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.一般式(1)
Figure 2012080879
(式中、Rは水素原子、炭素数1−8のアルキル基又は炭素数6−20のアリール基を表す。)
で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩に、アンモニウム塩化合物および補因子の存在下、アミノ酸脱水素酵素(以下、本酵素と記すこともある。)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド(以下、本ポリヌクレオチドと記すこともある。)が微生物細胞内に導入されて得られる形質転換体(以下、本形質転換体と記すこともある。)の培養物若しくはその処理物を作用させる反応工程を含むことを特徴とする、一般式(2)
Figure 2012080879
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法(以下、本発明製造方法と記すこともある。);
2.前記酵素が、下記の酵素群から選ばれる1以上の酵素であることを特徴とする請求項1記載の製造方法;
<酵素群>
(1)アラニン脱水素酵素
(2)グルタミン酸脱水素酵素
(3)ロイシン脱水素酵素
(4)フェニルアラニン脱水素酵素
3.前記酵素が、下記のアミノ酸配列のいずれかを有する酵素であることを特徴とする請求項1記載の製造方法;
a)配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列。
b)配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、且つ、前記ビニルグリオキシル酸またはその塩を前記ビニルグリシン誘導体またはその塩に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列。
c)配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、且つ、前記ビニルグリオキシル酸またはその塩を前記ビニルグリシン誘導体またはその塩に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列。
4.前記酵素が、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する酵素であることを特徴とする請求項1記載の製造方法;
5.前記補因子が、NADHまたはNADPHであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの請求項記載の製造方法;
6.前記ビニルグリオキシル酸またはその塩におけるRが、水素原子または炭素数1−5のアルキル基であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの請求項記載の製造方法;
7.前記ビニルグリオキシル酸またはその塩におけるRが、水素原子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの請求項記載の製造方法;
8.一般式(1)
Figure 2012080879
(式中、Rは水素原子、炭素数1−8のアルキル基又は炭素数6−20のアリール基を表す。)
で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩を、アンモニウム塩化合物および補因子の存在下、一般式(2)
Figure 2012080879
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩に変換するための触媒としての、アミノ酸脱水素酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドが微生物細胞内に導入されて得られる形質転換体の培養物若しくはその処理物の使用(以下、本発明使用と記すこともある。);
等を提供するものである。
本発明では、アミノ基供与体としてアミノ酸を要求せず、アンモニアを利用するため、本発明製造方法によるビニルグリシン誘導体の製造はコストの増大を避けることが容易になった。
図1は、本発明の一実施例において、本形質転換体の培養物の処理物(具体的には、細胞壁破砕物)を2−ケト−3−ブテン酸に反応させた場合での吸光度(A340)の変化を示す図である。
本明細書に記載される発明は記載されている特定の方法論、プロトコール、及び、試薬に限定されず、可変であると考えられる。また、本明細書で用いる用語は単に特定の実施形態を記載するためのものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではないと考えられる。
特に断りの無い限り、本明細書で用いる全ての技術用語、及び、化学用語は、本発明が属する技術分野の熟練者に共通に理解されているものと同じ意味を持つ。本発明を実施又は試験する上で、本明細書に記載されているものと同様又は同等の方法、及び、材料のいずれを用いてもよいが、以下、好ましい方法、装置、及び、材料を記載する。
本発明製造方法において、補因子(ほいんし、cofactor)とは、酵素の触媒活性に必要なタンパク質以外の化学物質で、酵素が働くために酵素と結合する必要があるものを意味する。具体的には例えば、補酵素(ほこうそ、coenzyme)等を挙げることができる。当該物質は、タンパク質以外の有機分子であり、官能基を酵素間で輸送する。これらの分子は酵素とゆるく結合し、酵素反応の通常の段階では解離される。
以下、更に詳細に本発明を説明する。
本発明製造方法は、一般式(2)
Figure 2012080879
(式中、Rは水素原子、炭素数1−8のアルキル基又は炭素数6−20のアリール基を表す。)
で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩(以下、化合物(2)と記すこともある。)の製造方法であり、
一般式(1)
Figure 2012080879
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(以下、化合物(1)と記すこともある。)に、アンモニウム塩化合物および補因子の存在下、アミノ酸脱水素酵素(即ち、本酵素)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド(即ち、本ポリヌクレオチド)が微生物細胞内に導入されて得られる形質転換体(即ち、本形質転換体)の培養物若しくはその処理物を作用させる反応工程を含む。
ここで、化合物(1)及び化合物(2)において、Rで示される「炭素数1−8のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基を挙げることができる。また、Rで示される「炭素数6−20のアリール基」としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
好ましいRとしては、例えば、水素原子または炭素数1−5のアルキル基等が挙げられる。より好ましいRとしては、例えば、水素原子等が挙げられる。
本発明製造方法において用いられる触媒としての本形質転換体の培養物若しくはその処理物は、化合物(1)から化合物(2)に変換する能力を有する酵素(即ち、本酵素)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド(即ち、本ポリヌクレオチド)を、通常の遺伝子工学的手法を用いて微生物細胞内に導入することによって調製すればよい。
本ポリヌクレオチドは、例えば、天然の遺伝子であってもよく、又は、天然の遺伝子に変異を導入(部位特異的変異導入法、突然変異処理等)することにより作出された遺伝子であってもよい。天然の遺伝子を検索する場合には、化合物(1)を化合物(2)に変換する能力を有する酵素の産生能を有する微生物を対象にすればよい。
このような微生物を探索する場合には、具体的には例えば、試験管に滅菌済み培地5mlを入れ、これに各菌株保存機関より購入することにより入手された菌体又は土壌中から純粋分離することにより調製された菌体を植菌する。これを30℃で好気条件下、振盪培養する。培養終了後、遠心分離により菌体を回収することにより、生菌体を得る。得られる生菌体に0.2Mリン酸カリウムバッファー(pH7.0)を1.5ml加え、懸濁後、2%(w/v)2−ケト−3-ブテン酸水溶液を0.065ml添加した後、得られる混合物を30℃で2〜3日間振盪させる。
反応終了後、反応液をサンプリングし、反応液中に生成するビニルグリシンの量を液体クロマトグラフィー等により分析する。
このようにして、2−ケト−3-ブテン酸を対応するビニルグリシンに変換する能力を有する酵素(即ち、本酵素)の産生能を有する微生物を選抜する。次いで選抜された微生物を対象として、後述のように本ポリヌクレオチドを検索してもよい。
本酵素としては、例えば、アラニン脱水素酵素、グルタミン酸脱水素酵素、ロイシン脱水素酵素およびフェニルアラニン脱水素酵素からなる群より選ばれる1以上の酵素を挙げることができる。尚、これら酵素の起源は、ウシ等の哺乳動物由来の各種組織(例えば、肝臓)であってもよく、下記のような微生物であってもよい。
これら酵素は、上記起源から通常の生化学的手法に従い分離してもよいし、各試薬メーカー等より市販品として購入することにより容易に入手することができる。
一方、本酵素の産生能を有する微生物(即ち、本微生物)としては、例えば、バシラス(Bacillus)属、プロテウス(Proteus)属、スポロサルシナ(Sporosarcina)属およびサッカロマイセス(Saccharomyces)属からなる群より選ばれる1以上の微生物を挙げることができる。
また、このような能力を有する微生物(即ち、本微生物)としては、下記の微生物群から選ばれる少なくとも1つ以上の微生物を挙げることができる。
<微生物群>
バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)
バシラス・セレウス(Bacillus cereus)
バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)
プロテウス・インコンスタンス(Proteus inconstans)
スポロサルシナ・ウレアエ(Sporosarcina ureae)
サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)
これら菌株は前述のように天然から分離してもよいし、後述のように各菌株保存機関より購入することにより容易に入手することもできる。
このような菌株を購入できる各菌株保存機関として、例えば、下記の菌株保存機関を挙げることができる。
1.IFO(Institute of Fermentation Osaka:財団法人 醗酵研究所)
現在は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 生物遺伝資源部門(NBRC)で取り扱い可能であり、入手に際しては http://www.nbrc.nite.go.jp/NBRC2/NBRCDispSearchServlet?lang=jp にアクセスすればよい。
2.ATCC(American Type Culture Collection)
住商ファーマインターナショナル株式会社 ATCC事業グループで取り扱い可能であり、入手に際しては http://www.summitpharma.co.jp/japanese/service/s_ATCC.html にアクセスすればよい。
3.IAMカルチャーコレクション
現在は、IAMカルチャーコレクション保存菌株のうち、細菌、酵母、糸状菌の場合には独立行政法人 理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)に、また微細藻類の場合には独立行政法人 国立環境研究所微生物系統保存施設(NIES)に移管されている。入手に際しては http://www.jcm.riken.go.jp/JCM/aboutJCM_J.shtml、http://mcc.nies.go.jp/aboutOnlineOrder.do にアクセスすればよい。
4.JCM(理化学研究所微生物系統保存施設(Japan Collection of Microorganisms, JCM)
現在は、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター(RIKEN BRC)微生物材料開発室に移管されている。入手に際しては http://www.jcm.riken.go.jp/JCM/aboutJCM_J.shtml にアクセスすればよい。
本形質転換体の外来遺伝子導入に係る調製方法について説明する。
まずは、本酵素としては、例えば、下記の酵素群から選ばれる1以上の酵素を挙げることができる。
<酵素群>
(1)アラニン脱水素酵素
(2)グルタミン酸脱水素酵素
(3)ロイシン脱水素酵素
(4)フェニルアラニン脱水素酵素
このような酵素の起源としては、具体的には例えば、プロテウス・インコンスタンス(Proteus inconstans)IFO12930株(当該微生物を起源とする酵素は東洋紡社から購入可能である。)や、
(1)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、バシラス・セレウス(Bacillus cereus)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素はシグマ社から購入可能である。)、
(2)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素は和光純薬社から購入可能である。)、
(3)配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、バシラス・スファエリカス(Bacillus sphaericus)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素は東洋紡社から購入可能である。)、
(4)配列番号4で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバシラス(Bacillus)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素はシグマ社から購入可能である。)、
(5)配列番号5で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、ウシ等の哺乳動物由来の組織(例えば、肝臓)(尚、当該組織を起源とする酵素はMP Biochemicals社から購入可能である。)、
(6)配列番号6で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロマイセス(Saccharomyces)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素はオリエンタル酵母社から購入可能である。)、
(7)配列番号7で示されるアミノ酸配列を有する酵素の場合には、スポロサルシナ・ウレアエ(Sporosarcina ureae)等のスポロサルシナ(Sporosarcina)属に属する微生物(尚、当該微生物を起源とする酵素はMP Biochemicals社から購入可能である。)
等を挙げることができる。
また、本酵素としては、より具体的には例えば、下記のアミノ酸配列のいずれかを有する酵素を挙げることができる。
<アミノ酸配列>
a)配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列。
b)配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、且つ、前記ビニルグリオキシル酸またはその塩を前記ビニルグリシン誘導体またはその塩に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列。
c)配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、且つ、前記ビニルグリオキシル酸またはその塩を前記ビニルグリシン誘導体またはその塩に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列。
本ポリヌクレオチドは、化合物(1)を化合物(2)に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有している。
本ポリヌクレオチドにおいて「配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、例えば「クローニングとシークエンス」(渡辺格監修、杉浦昌弘編集、1989年、農村文化社発行)、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.」(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))、「Current Protocols in Molecular Biology」(John Wiley & Sons(1987-1997))等に記載されているサザンハイブリダイゼーション法において、(1)高イオン濃度下[例えば、6XSSC(900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム)が挙げられる。]に、65℃でハイブリダイズさせることにより、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、又は、配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列からなるDNA、とDNA−DNAハイブリッドを形成し、また(2)低イオン濃度下[例えば、0.1 X SSC(15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム)が挙げられる。]に、65℃で30分間保温した後でも該ハイブリッドが維持されうるようなDNAをいう。
具体的には例えば、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、又は、配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列からなるDNAにおいて、その一部(例えば、1若しくは複数)の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなるDNA、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAと配列相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であるDNA等があげられる。かかるDNAは、自然界に存在するDNAの中からクローニングされたDNAであっても、このクローニングされたDNAの塩基配列において、その一部の塩基の欠失、置換または付加が人為的に導入されてなるDNAであっても、人為的に合成されたDNAであってもよい。
配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列としては、例えば、(i) 配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列において、1〜10個(例えば、1〜5個、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)の塩基が欠失した塩基配列、(ii)配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列の1〜10個(例えば、1〜5個、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)の塩基が他の塩基で置換された塩基配列、(iii)配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列に1〜10個(例えば、1〜5個、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)の塩基が付加した塩基配列、(iv)上記(i)〜(iii)を組み合わせた塩基配列が挙げられる。
配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列において1または数個の核酸に欠失、置換若しくは付加などの変異の生じた塩基配列を有するポリヌクレオチドは、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.」(Cold Spring Harbor Press (1989))、「Current Protocols in Molecular Biology」(John Wiley & Sons (1987-1997))、Kunkel (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 488-92、Kunkel (1988) Method. Enzymol. 85: 2763-6等に記載される部位特異的変異誘発法等の方法に従って調製することができる。
また、ポリヌクレオチドに変異を導入するには、Kunkel法やGapped duplex法等の公知手法により、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット、例えば、QuikChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン社製)、GeneTailorTM Site−Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、TaKaRa Site−Directed Mutagenesis System(Mutan−K、Mutan−Super Express Km等:タカラバイオ社)等を用いて行うことができる。
本ポリヌクレオチドは、具体的には例えば、以下のようにして調製すればよい。
配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列を有するポリヌクレオチドは、例えば、以下のようにして調製することができる。
Bacillus cereus等から通常の遺伝子工学的手法(例えば、「新 細胞工学実験プロトコール」(東京大学医科学研究所制癌研究部編、秀潤社、1993年)に記載された方法)に準じてcDNAライブラリーを調製し、調製されたcDNAライブラリーを鋳型として、かつ適切なプライマーを用いてPCRを行うことにより、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA及び/又は配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列からなるDNA等を増幅して本ポリヌクレオチドのDNAを調製することができる。
また、前記cDNAライブラリーを鋳型として配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列から選ばれる部分塩基配列を有するオリゴヌクレオチド等(例えば、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする5’末端側の約14塩基程度以上の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)とcDNAライブラリー構築に用いられたベクターのDNA挿入部位近傍の塩基配列に相補的な塩基配列からなる約14塩基程度以上のオリゴヌクレオチドとをプライマーとして用いてPCRを行うことによっても、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAや、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA等を増幅して本ポリヌクレオチドのDNAを調製することができる。
また、前記cDNAライブラリーを鋳型として配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列から選ばれる部分塩基配列を有するオリゴヌクレオチド等(例えば、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする5’末端側の約14塩基程度以上の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)とcDNAライブラリー構築に用いられたベクターのDNA挿入部位近傍の塩基配列に相補的な塩基配列からなる約14塩基程度以上のオリゴヌクレオチドとをプライマーとして用いてPCRを行うことによっても、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAや、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA等を増幅して本ポリヌクレオチドのDNAを調製することができる。
前記PCRの条件としては、例えば、4種類のdNTPを各々20μM、2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを各々15pmol、Taqpolymeraseを1.3U及び鋳型となるcDNAライブラリーを混合した反応液を97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)‐50℃(0.5分間)‐72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)‐55℃(0.5分間)‐72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持する条件が挙げられる。
尚、当該PCRに用いるプライマーの5’末端側には、制限酵素認識配列等を付加していてもよい。
また、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるようなアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するオリゴヌクレオチドは、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるようなアミノ酸配列に対応するforwardプライマーとreverseプライマーとを約40bpの長さずつに切り分ける形で合成し、これらのプライマー群をつなげ合わせる方法(Assembly PCR法)で合成することもできる。
また、前記DNAライブラリーを鋳型として配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列から選ばれる部分塩基配列を有するオリゴヌクレオチド等(例えば、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする5’末端側の約14塩基程度以上の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)とDNAライブラリー構築に用いられたベクターのDNA挿入部位近傍の塩基配列に相補的な塩基配列からなる約14塩基程度以上のオリゴヌクレオチドとをプライマーとして用いてPCRを行うことによっても、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAや、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA等を増幅して本ポリヌクレオチドのDNAを調製することができる。
上記のようにして増幅されたDNAを「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載されている方法に準じてベクターにクローニングして組換ベクターを得ることができる。用いられるベクターとしては、具体的には、例えば、pUC119(宝酒造社製)、pTV118N(宝酒造社製)、pBluescriptII (東洋紡社製)、pCR2.1−TOPO(Invitrogen社製)、pTrc99A(Pharmacia社製)、pKK223−3(Pharmacia社製)などが挙げられる。
また、本ポリヌクレオチドのDNAは、例えば、微生物又はファージ由来のベクターに挿入されたDNAライブラリーに配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列から選ばれる部分塩基配列を有する約15塩基程度以上の塩基配列からなるDNAをプローブとして後述する条件にてハイブリダイズさせ、該プローブが特異的に結合するDNAを検出することによっても取得することができる。
染色体DNA又はDNAライブラリーにプローブをハイブリダイズさせる方法としては、例えば、コロニーハイブリダイゼーションやプラークハイブリダイゼーションを挙げることができ、ライブラリーの作製に用いられたベクターの種類に応じて方法を選択することができる。
使用されるライブラリーがプラスミドベクターを用いて作製されている場合にはコロニーハイブリダイゼーションを利用するとよい。具体的には、ライブラリーのDNAを宿主微生物に導入することにより形質転換体を取得し、得られた形質転換体を希釈した後、該希釈物を寒天培地上にまき、コロニーが現われるまで培養する。
使用されるライブラリーがファージベクターを用いて作製されている場合にはプラークハイブリダイゼーションを利用するとよい。具体的には、宿主微生物とライブラリーのファージとを感染可能な条件下で混合し、さらに軟寒天培地と混合した後、該混合物を寒天培地上にまき、プラークが現われるまで培養する。
次いで、いずれのハイブリダイゼーションの場合にも、前記の培養を行った寒天培地上にメンブレンを置き、形質転換体又はファージを該メンブレンに吸着・転写させる。このメンブレンをアルカリ処理した後、中和処理し、次いでDNAを該メンブレンに固定する処理を行う。より具体的には、例えば、プラークハイブリダイゼーションの場合には、前記寒天培地上にニトロセルロースメンブレン又はナイロンメンブレン(例えば、Hybond−N+(アマシャム社登録商標))を置き、約1分間静置してファージ粒子をメンブレンに吸着・転写させる。次に、該メンブレンをアルカリ溶液(例えば1.5M塩化ナトリウム、0.5M水酸化ナトリウム)に約3分間浸してファージ粒子を溶解させることによりファージDNAをメンブレン上に溶出させた後、中和溶液(例えば、1.5M塩化ナトリウム、0.5Mトリス−塩酸緩衝溶液pH7.5)に約5分間浸す。次いで該メンブレンを洗浄液(例えば、0.3M塩化ナトリウム、30mMクエン酸、0.2Mトリス−塩酸緩衝液pH7.5)で約5分間洗った後、例えば、約80℃で約90分間加熱することによりファージDNAをメンブレンに固定する。
このように調製されたメンブレンを用いて、上記DNAをプローブとしてハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーションは、例えば、J.Sambrook, E.F.Frisch, T.Maniatis著「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition(1989)」 Cold Spring Harbor Laboratory Press等の記載に準じて行うことができる。
プローブに用いるDNAは、放射性同位元素により標識されたものや、蛍光色素で標識されたものであってもよい。
プローブに用いるDNAを放射性同位元素により標識する方法としては、例えば、Random Primer Labeling Kit(宝酒造社製)等を利用することにより、PCR反応液中のdCTPを(α−32P)dCTPに替えて、プローブに用いるDNAを鋳型にしてPCRを行う方法が挙げられる。
また、プローブに用いるDNAを蛍光色素で標識する場合には、例えば、アマシャム製のECL Direct Nucleic Acid Labeling and Detection System等を用いることができる。
ハイブリダイゼーションは、例えば、以下の通りに行うことができる。
450〜900mMの塩化ナトリウム及び45〜90mMのクエン酸ナトリウムを含みドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.1〜1.0重量%の濃度で含み、変性した非特異的DNAを0〜200μl/mlの濃度で含み、場合によってはアルブミン、フィコール、ポリビニルピロリドン等をそれぞれ0〜0.2重量%の濃度で含んでいてもよいプレハイブリダイゼーション液(好ましくは900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム、1.0重量%のSDS及び100μl/mlの変性Calf−thymusDNAを含むプレハイブリダイゼーション液)を上記のようにして作製したメンブレン1cm当たり50〜200μlの割合で準備し、該プレハイブリダイゼーション液に前記メンブレンを浸して42〜65℃で1〜4時間保温する。
次いで、例えば、450〜900mMの塩化ナトリウム及び45〜90mMのクエン酸ナトリウムを含み、SDSを0.1〜1.0重量%の濃度で含み、変性した非特異的DNAを0〜200μg/mlの濃度で含み、場合によってはアルブミン、フィコール、ポロビニルピロリドン等をそれぞれ0〜0.2重量%の濃度で含んでいてもよいハイブリダイゼーション溶液(好ましくは、900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム、1.0重量%のSDS及び100μg/mlの変性Calf−thymusDNAを含むハイブリダイゼーション溶液)と前述の方法で調製して得られたプローブ(メンブレン1cm当たり1.0×10〜2.0×10cpm相当量)とを混合した溶液をメンブレン1cm当たり50〜200μlの割合で準備し、該ハイブリダイゼーション溶液に浸し42〜65℃で12〜20時間保温する。
当該ハイブリダイゼーション後、メンブレンを取り出し、15〜300mMの塩化ナトリウム1.5〜30mMクエン酸ナトリウム及び0.1〜1.0重量%のSDS等を含む42〜65℃の洗浄液(好ましくは15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム及び1.0重量%のSDSを含む65℃の洗浄液)等を用いて洗浄する。洗浄したメンブレンを2×SSC(300mM塩化ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム)で軽くすすいだ後、乾燥する。このメンブレンを例えばオートラジオグラフィー等に供してメンブレン上のプローブの位置を検出することにより、用いたプローブとハイブリダイズするDNAのメンブレン上の位置に相当するクローンを元の寒天培地上で特定し、これを釣菌することにより、当該DNAを有するクローンを単離する。
このようにして得られるクローンを培養して得られる培養菌体から本ポリヌクレオチドを調製することができる。
また、本ポリヌクレオチドは人工合成することもできる。人工合成遺伝子の設計及び合成は、細胞工学別冊、植物細胞工学シリーズ7「植物のPCR実験プロトコール」、95〜100頁、島本巧・佐々木卓治監修秀潤社、1997年7月1日刊行に記載される方法を参考に行うことができる。
具体的には例えば、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列を作成し、当該アミノ酸配列に含まれる各々のアミノ酸に対応するコドンとして発現させる微生物細胞(例えば、大腸菌)において使用頻度の高いコドンを選択することによって本ポリヌクレオチドの塩基配列を設計する。大腸菌等におけるコドン使用頻度の情報は、例えば、当業者に公知のDNAデータベース(GenBank、EMBL、DDBJ等)を利用して得ることができる。また、枯草菌等を微生物細胞とし、細胞外に運搬させるために上記のアミノ酸配列にシグナル配列を付加する場合には、これを含めたタンパク質全体のアミノ酸配列を作成する。シグナル配列としては、微生物細胞由来のものであることが好ましく、例えば、細胞外へ移行するシグナルである枯草菌由来のα−アミラーゼのシグナル配列等を挙げることができる。
以下、具体的な実験手順を示す。
まず作成したアミノ酸配列に含まれる各アミノ酸の個数を求める。ポリヌクレオチドを発現させる微生物細胞のコドンの平均出現頻度に最も近くなるように、上記で求めた個数のアミノ酸について使用するコドンを割り当てる。なるべく同一コドンが連続しないように、それぞれのコドンの使用順番をつける。N末端側のアミノ酸から順番に、各アミノ酸について決定したコドンの順番通りに選び、そのアミノ酸残基のコドンと仮決定する。これらの手順を繰り返しC末端までの全アミノ酸のコドンを仮決定し、最後に終止コドンを配置する。決定されたコドンからなる人工遺伝子について、微生物細胞において遺伝子の転写を阻害する塩基配列であったり、以降の操作で使用する制限酵素が認識する塩基配列が存在しないことを確認する。このような塩基配列が存在した場合には、この塩基配列にかかるコドンを別の部分で使用したコドンと交換する。尚、遺伝子設計の際に、後の操作のために適当な制限酵素が認識する塩基配列を5’末端側および3’末端側に付加しておくことが好ましい。
次に、上記で設計した塩基配列を有する遺伝子の合成は、PCRを用いた長鎖DNA合成法を用いて行うことができる(島本ら、「植物のPCR実験プロトコール」、同上参照)(以下、本法をAssembly PCR法と記すこともある)。当該方法では、長い合成オリゴヌクレオチドプライマーのみを使用してDNAを合成する。プライマーの対は、プライマーの各々の3’末端に約10〜12bpの相補鎖又はオーバーラップを持つように合成され、互いのプライマーを鋳型としてDNA合成を行う。プライマーの全長としては、例えば、約60〜100mer等を挙げることができる。好ましくは、例えば、約80〜100mer等が挙げられる。
まず、設計された塩基配列を基に、例えば、約90塩基毎にプライマーとするDNAオリゴマーを設計し、合成する。DNAオリゴマーの合成は、β−シアノエチルホスホアミダイド法によりDNA合成機を用いて行うことができる。例えば、設計した塩基配列の中央部付近から5’側約90残基上流までの塩基配列を用いて第1のDNAオリゴマー設計し、合成する。次いで、第1のDNAオリゴマーの3’側12残基の塩基配列を含み、この部分より遺伝子の3’下流側に90残基程度の長さの相補鎖オリゴマーを合成し、これを第2のDNAオリゴマーとする。また、第1のDNAオリゴマーの5’側12残基を含み、この部分より遺伝子の5’上流側に90残基程度の長さの相補鎖オリゴマーを合成し、これを第3のDNAオリゴマーとする。更に、第2のDNAオリゴマーの5’側(遺伝子側からみると3’側)の12残基の塩基配列を含み、この部分より遺伝子の3’下流側に第2のDNAオリゴマーの相補鎖を合成し、これを第4のDNAオリゴマーとする。以下同様に適当量のDNAオリゴマーを合成する。目的のポリヌクレオチドがカバーできていない場合はカバーできるまで更にオリゴマーを合成する。
次に、これらオリゴマーを順番にPCR反応により結合する。まず第1のDNAオリゴマーと第2のDNAオリゴマーとをプライマーとして用いてPCR反応を行う。得られたPCR産物を鋳型として、第3のDNAオリゴマーと第4のDNAオリゴマーとをプライマーとして用いてPCR反応を行う。
PCR反応は、例えば、変性温度94℃1分、アニール温度51℃1分、伸長温度72℃2分を1セットとして5サイクル反応させた後、変性温度94℃1分、アニール温度60℃1分、伸長温度72℃2分を1セットして20サイクル反応を行う。反応に使用するDNAポリメラーゼは塩基の取り込みエラー率の低い酵素を使用することが好ましい。以下、前記操作を繰り返し、塩基配列を伸長し、目的の塩基配列を得る。目的の塩基配列の両端には、必要に応じて制限酵素部位を設け、常法に従いクローニングベクターに導入し、サブクローニングする。得られたクローンの塩基配列をDNAシークエンサーで確認し、目的の塩基配列を有するポリヌクレオチドが得られたことを確認する。
本ポリヌクレオチドを微生物細胞で発現させるには、例えば、微生物細胞で機能可能なプロモーターと本ポリヌクレオチドとが機能可能な形で接続されてなるDNAを微生物細胞に導入する。
ここで、「機能可能な形で」とは、当該DNAを微生物細胞に導入することにより微生物細胞を形質転換させた際に、本ポリヌクレオチドが、プロモーターの制御下に発現するようにプロモーターと結合された状態にあることを意味する。プロモーターとしては、大腸菌のラクトースオペロンのlacプロモーター、大腸菌のトリプトファンオペロンのtrpプロモーター、または、tacプロモーター、trcプロモーターのように独自に改変・設計された、大腸菌内で機能可能な合成プロモーター等をあげることができる。また、ラムダファージ由来のPLプロモーター及びPRプロモーター、枯草菌由来のグルコン酸合成酵素プロモーター(gnt)、アルカリプロテアーゼプロモーター(apr)、中性プロテアーゼプロモーター(npr)、α−アミラーゼプロモーター(amy)等を挙げることができる。
一般的には、微生物細胞において機能可能なプロモーターと機能可能な形で接続されてなるDNAを「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載されている方法に準じてベクターにクローニングして組換ベクターを得ることができる。
用いられるベクターとしては、本ポリヌクレオチドを保持し、且つ、複製可能(例えば、微生物細胞中にてプラスミドが増殖するために必要なDNA配列、プロモーター、リボソーム結合配列、転写ターミネーター(転写終結配列)、選択マーカー遺伝子を含む。)であれば、特段の制約を受けるものではなく、それぞれの宿主に適したベクターを使用することができる。例えば、プラスミドDNA、バクテリオファージ等を挙げることができる。
プラスミドDNAとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(pBR322、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119(宝酒造社製)、pTV118N(宝酒造社製)、pBluescriptII(東洋紡社製)、pCR2.1−TOPO(Invitrogen社製)、pTrc99A(Pharmacia社製)、pKK223−3(Pharmacia社製)等のColE1系プラスミド等)、放線菌由来のプラスミド(pIJ486等)、酵母由来のプラスミド(YEp13、YEp24、Ycp50等)が挙げられる。ファージDNAとしては、λファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11等)、レトロトランスポゾンDNA、人工染色体DNA等を挙げることができる。
尚、ベクターとしては、選択マーカー遺伝子(例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子や、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子等の抗生物質耐性付与遺伝子等)を含むベクターを用いると、当該ベクターが導入された形質転換体を当該選択マーカー遺伝子の表現型等を指標にして選択することができる。また、リボソーム結合配列としては、SD配列やKozak配列が知られており、これらの配列を変異遺伝子の上流に挿入することができる。原核生物を宿主に用いるときにはSD配列を、真核細胞を宿主に用いるときにはKozak配列をPCR法等により付加してもよい。SD配列としては、大腸菌由来、ロドコッカス属細菌または枯草菌由来の配列等を挙げることができるが、所望の宿主内で機能する配列であれば特に限定されるものではない。例えば、16SリボゾームRNAの3’末端領域に相補的な配列が4塩基以上連続したコンセンサス配列をDNA合成により作製してこれを利用してもよい。転写終結配列は必ずしも必要ではないが、ρ因子非依存性のもの、例えばリポプロテインターミネーター、trpオペロンターミネーター等が利用できる。
これらのベクターに本ポリヌクレオチドを組み込むには、本ポリヌクレオチドを含むDNAを適当な制限酵素で切断し、必要であれば適当なリンカーを付加した後、適当な制限酵素で切断したベクターと結合させることにより行うことができる。また、本ポリヌクレオチドを含むDNAを適当な制限酵素認識配列を含むプライマーを用いてPCR増幅し、増幅産物を制限酵素処理した後、適当な制限酵素で切断したベクターと結合させることによっても行うことができる。
微生物細胞において機能可能なプロモーターと機能可能な形で接続されてなる本ポリヌクレオチド又はこれを保有する組換ベクター等を微生物細胞へ導入する方法は、用いられる微生物細胞に応じて通常使われる導入方法であればよく、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載される塩化カルシウム法や、「Methods in Electroporation:Gene Pulser /E.coli Pulser System」 Bio-Rad Laboratories, (1993)等に記載されるエレクトロポレーション法等をあげることができる。
ここで「微生物細胞」としては、例えば、大腸菌(具体的には例えば、K12株、B株、JM109株、XL1−Blue株、C600株、W3110株)、枯草菌、酵母、カビ、ロドコッカス属細菌等の微生物を挙げることができる。好ましくは、Escherichia属、Bacillus属、Corynebacterium属、Staphylococcus属、Streptomyces属、Saccharomyces属(具体的には例えば、Saccharomyces cerevisiae)、Schizosaccharomyces属(具体的には例えば、Schizosaccharomyces pombe)、Pichia属(具体的には例えば、Pichia pastoris)、Kluyveromyces属、Aspergillus属及びRhodococcus属に属する微生物等があげられる。
次いで本形質転換体の培養物を化合物(1)に作用させる。反応生成物中の化合物(2)の量を分析することにより、得られたDNAがかかる能力を有する酵素のアミノ酸配列をコードすることが確認できる。
また、DNAの塩基配列を慣用の方法により配列決定することにより確認することもできる。例えば、ジデオキシヌクレオチドチェーンターミネーション法(例えば、F.Sanger, S.Nicklen, A.R.Coulson著、Proceeding of Natural Academy of Science U.S.A.(1977) 74: 5463-5467頁参照)等により解析することができる。塩基配列分析用の試料調製には、例えば、パーキンエルマー社のABI PRISM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit等の市販の試薬を用いてもよい。また、適当なDNAシークエンサーを利用して塩基配列を解析することもできる。
前記のような発現ベクターの微生物細胞への導入方法としては、DNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法等を挙げることができる。
大腸菌への発現プラスミドの導入方法としては、例えば、ヒートショックによる方法を挙げることができ、その際、予め作製したコンピテントセルを用いてもよい。酵母への発現プラスミドの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等を挙げることができる。
微生物細胞において機能可能なプロモーターと機能可能な形で接続されてなる本ポリヌクレオチド又はこれを保有する組換ベクター等が導入された形質転換体を選抜するには、例えば、前述のようなベクターに含まれる選択マーカー遺伝子の表現型を指標にして選抜すればよい。
当該形質転換体が本ポリヌクレオチドを保有していることは、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press等に記載される通常の方法に準じて、制限酵素部位の確認、塩基配列の解析、サザンハイブリダイゼーション、ウエスタンハイブリダイゼーション等を行うことにより、確認することができる。
このように作製した発現ベクターを微生物細胞に導入すれば、本酵素を高度に発現する形質転換体が得られる。当該形質転換体を培養することにより、本酵素を発現させることができる。
次に、本形質転換体の調製方法について説明する。
本形質転換体は、炭素源、窒素源、有機塩、無機塩等を適宜含有する各種の微生物を培養するための培地を用いて培養すればよい。
炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、シュークロース等の糖類、グリセロール等の糖アルコール、フマル酸、クエン酸、ピルビン酸等の有機酸、動物油、植物油及び糖蜜が挙げられる。これらの炭素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1%(w/v)〜30%(w/v)程度である。
窒素源としては、例えば、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大豆粉、コーン・スティープ・リカー(Corn Steep Liquor)、綿実粉、乾燥酵母、カザミノ酸等の天然有機窒素源、アミノ酸類、硝酸ナトリウム等の無機酸のアンモニウム塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩、フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の有機酸のアンモニウム塩及び尿素が挙げられる。これらのうち有機酸のアンモニウム塩、天然有機窒素源、アミノ酸類等は多くの場合には炭素源としても使用することができる。これらの窒素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1%(w/v)〜30%(w/v)程度である。
有機塩や無機塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛等の塩化物、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩及びリン酸塩を挙げることができる。具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜鉛、硫酸銅、酢酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素一カリウム及びリン酸水素二カリウムが挙げられる。これらの有機塩及び/又は無機塩の培地への添加量は培養液に対して通常0.0001%(w/v)〜5%(w/v)程度である。
プロモーターとして誘導性のプロモーターと本ポリヌクレオチドとが機能可能な形で接続されてなるDNAが導入されてなる形質転換体を培養する場合には、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、tacプロモーター、trcプロモーター及びlacプロモーター等のアロラクトースで誘導されるタイプのプロモーターと本ポリヌクレオチドとが機能可能な形で接続されてなるDNAが導入されてなる形質転換体を培養する場合には、本酵素の産生を誘導するための誘導剤として、例えば、isopropyl thio−β−D−galactoside(IPTG)を培地中に少量加えることもできる。また、trpプロモーター等のインドール酢酸(IAA)で誘導されるタイプのプロモーターと本ポリヌクレオチドとが機能可能な形で接続されてなるDNAが導入されてなる形質転換体を培養する場合には、本酵素の産生を誘導するための誘導剤として、例えば、IAAを培地中に少量加えることもできる。
培養方法としては、例えば、固体培養、液体培養(試験管培養、フラスコ培養、ジャーファーメンター培養等)が挙げられる。
培養温度及び培養液のpHは、本形質転換体が生育する範囲であれば特に限定されるものではないが、例えば、培養温度は約15℃〜約45℃の範囲、培養液のpHは約4〜約8の範囲を挙げることができる。培養時間は、培養条件により適宜選択することができるが、通常、約1日間〜約7日間である。
本形質転換体の培養物は、そのまま本発明製造方法の触媒として用いることができる。本形質転換体の培養物を用いる方法のうち、本形質転換体の菌体をそのまま用いる方法としては、例えば、(1)培養液をそのまま用いる方法、(2)培養液を遠心分離等することにより回収された菌体(必要に応じて、緩衝液又は水で洗浄した後の湿菌体)を用いる方法等を挙げることができる。
また本発明製造方法の触媒として、本形質転換体の培養物の処理物を用いることもできる。当該処理物としては、例えば、培養して得られた菌体を有機溶媒(アセトン、エタノール等)処理したもの、凍結乾燥処理したもの若しくはアルカリ処理したもの、又は、菌体を物理的若しくは酵素的に破砕したもの、又は、これらのものから分離・抽出された粗酵素等を挙げることができる。さらに、前記処理物には、前記処理を施した後、公知の方法により固定化処理したものも含まれる。
本形質転換体の培養物から細胞壁破砕物を精製する方法としては、通常の微生物工学的手法やタンパク質工学的手法を適用すればよい。例えば、次のような方法を挙げることができる。
まず、本形質転換体の培養物から遠心分離等により菌体を集めた後、これを超音波処理、ダイノミル処理、フレンチプレス処理等の物理的破砕法又は界面活性剤若しくはリゾチーム等の溶菌酵素を用いる化学的破砕法等によって破砕する。得られた破砕液から遠心分離、メンブレンフィルター濾過等により不純物を除去することにより細胞壁破砕物を調製することができる。
具体的な形態としては、例えば、本形質転換体の培養物、かかる培養物の処理物を挙げることができる。ここで、培養物の処理物としては、例えば、凍結乾燥微生物、有機溶媒処理微生物、乾燥微生物、微生物摩砕物、微生物の細胞壁破砕物、微生物の自己消化物、微生物の超音波処理物、微生物のアルカリ処理物を挙げることができる。
尚、本形質転換体を用いた工業的な生産を考慮すれば、未処理状態の微生物を用いる方法よりも当該微生物を死滅化させた処理物を用いる方法のほうが製造設備の制限等の点から好ましい場合がある。そのための死菌化処理方法としては、例えば、物理的殺菌法(加熱、乾燥、冷凍、光線、超音波、濾過、通電)や、化学薬品を用いる殺菌法(アルカリ、酸、ハロゲン、酸化剤、硫黄、ホウ素、砒素、金属、アルコール、フェノール、アミン、サルファイド、エーテル、アルデヒド、ケトン、シアン、抗生物質)を挙げることができる。一般的には、これらの殺菌法のうちできるだけ本酵素の化合物(1)から化合物(2)に変換する能力を失活させず、且つ、反応系への残留、汚染等の影響が少ない処理方法を選択することが望ましい。
以下、更に具体的に説明する。
1.培養物の処理物(その1)
本形質転換体の培養物から菌体を回収するには、遠心分離法や膜ろ過法を用いることができる。遠心分離は、限定されるわけではないが、例えば、3,000〜4,500×g、5〜20分間、4℃の条件で行うことができる。回収された本形質転換体を、必要に応じて、リン酸−ナトリウム緩衝液、リン酸緩衝液等で洗浄し、懸濁することができる。このようにして菌体懸濁液が得られる。
菌体(微生物の細胞壁)の破砕方法としては、超音波処理、フレンチプレスやホモジナイザーによる高圧処理、ガラスビーズ等による磨砕処理、リゾチーム、セルラーゼ、ペクチナーゼ等を用いる酵素処理、凍結融解処理、低張液処理、ファージによる溶菌誘導処理等を利用することができる。破砕処理は、必要に応じて氷冷下で行う。例えば、菌体懸濁液を超音波破砕機VP−15S(タイテック、日本)を用いて、出力コントロール4、DUTY CYCLE 40%、PULS、TIMER=Bモード10sの条件で氷冷下に1〜5分、好ましくは3分間破砕すればよい。また、例えば、菌体懸濁液を100 MPa加圧条件でNiro Soavi社製ホモジナイザーPANDA2K型を用いて破砕してもよい。
破砕後、本形質転換体の破砕物から、必要に応じて菌体の破砕残渣を除くことができる。残渣を除去する方法としては、例えば、遠心分離やろ過等が挙げられる。必要に応じて、凝集剤やろ過助剤等を使用して残渣除去効率を上げることもできる。遠心分離は、限定されるわけではないが、例えば、4,000〜25,000×g、3〜45分間、4℃の条件で行うことができる。このようにして破砕物から残渣を除去すればよい。
2.培養物の処理物(その2)
前記の本形質転換体の破砕物を加熱処理することにより、本酵素以外の多くのタンパク質を変性させることができる。従って、本形質転換体の破砕物を加熱処理することにより、比活性を高めたものを可溶性画分として取得することもできる。
ここで「加熱処理」とは、本形質転換体に由来する本酵素以外のタンパク質を変性させるために行う熱失活操作をいい、当該加熱処理の温度は好ましくは50℃以上75℃以下、さらに好ましくは55℃以上60℃以下である。加熱処理の時間は特に限定されないが、本微生物の破砕物が設定温度となってから10分以上が好ましい。さらに好ましくは30分以上1時間以下である。
例えば、加熱処理は、本形質転換体の破砕物等を試験管に入れ、所定の温度に設定したウォーターバスにおいて所定の時間インキュベートすることにより行うことができる。また、温度計を付した三ツ口フラスコに本形質転換体の破砕物等を入れ、所定の温度まで加熱し、所定の時間加熱処理を行うこともできる。
また、本発明において、本形質転換体の破砕物を加熱処理(前加熱)した後、破砕残渣を除き、その後再び加熱処理を行ってもよい。再加熱の際、亜鉛塩を存在させてもよい。
加熱処理により生じた不溶性物を除去する方法としては、例えば、遠心分離やろ過等が挙げられ、必要に応じて、凝集剤やろ過助剤等を使用して除去効率を上げることもできる。必要があれば、各種クロマトグラフィー等(ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等)を用いて更に精製してもよい。
本発明製造方法は、通常、水の存在下で行われる。この場合の水は、緩衝液の形態であってもよい。当該緩衝液に用いられる緩衝剤としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸のアルカリ金属塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸のアルカリ金属塩、Tris−塩酸緩衝液、Tris−クエン酸、Tris−グリシン緩衝液等のアルカリ性緩衝液等が挙げられる。
また本発明製造方法は、更に疎水性有機溶媒を用いて、水と疎水性有機溶媒との存在下で行うこともできる。この場合に用いられる疎水性有機溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル類、n−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、n−オクチルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類及びこれらの混合物を挙げることができる。
また本発明製造方法は、更に親水性有機溶媒を用いて、水と水性媒体との存在下で行うこともできる。この場合に用いられる親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド及びこれらの混合物を挙げることができる。
本発明製造方法では、アミノ基供与体としてアンモニアを利用するため、通常、反応系内にアンモニア塩化物が添加させる。添加されるアンモニア塩化物としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、ギ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、酒石酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等を挙げることができる。反応系内におけるアンモニアの量としては、通常、原料化合物である一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の量と等モルかまたはそれ以上であり、反応開始時に添加しておくのが好ましい。
本発明製造方法では、共役系として補因子を利用するため、通常、反応系内に補酵素を添加させるとよい。添加される補酵素としては、例えば、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(即ち、NADH)や、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(即ち、NADPH)等を挙げることができる。反応系内における補因子の量としては、通常、原料化合物である一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の量と等モルかまたはそれ以上であり、反応開始時に添加しておくのが好ましい。
本発明製造方法は、通常、水層のpHが3〜11の範囲内で行われるが、反応が進行する範囲内で適宜変化させてもよい。好ましくはアルカリ側で行われることがよく、より好ましくは水層のpHが7〜10の範囲内で行われることがよい。
本発明製造方法は、通常、約0℃〜約60℃、好ましくは約10℃〜約50℃、の範囲内で行われるが、反応が進行する範囲内で適宜変化させてもよい。
本発明製造方法は、通常、約0.5時間〜約10日間の範囲内で行われる。反応の終点は、原料化合物である一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の添加終了後、例えば、反応液中の当該一般式(2)で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩(即ち、化合物(2))、又は、一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の量を、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により測定することにより確認することができる。
また、前記の共役系を利用することにより、上記のような液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により直接的な定量分析を行うことなく、例えば、NADH、NADPH等の補因子に基づく特定波長(例えば、340nm)での吸光度の変化を測定することにより、反応経過の追跡を簡便に実施することもできる。
本発明製造方法における原料化合物である一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の濃度は、通常、50%(w/v)以下であり、反応系中の当該一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))の濃度を略一定に保つために、当該一般式(1)で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩(即ち、化合物(1))を反応系に連続又は逐次加えてもよい。
本発明製造方法では、必要に応じて反応系に、例えば、グルコース、シュークロース、フルクトース等の糖類、又は、TritonX−100若しくはTween60等の界面活性剤等を加えることもできる。
反応液からの一般式(2)で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩(即ち、化合物(2))の回収は、一般に知られている任意の方法で行えばよい。
例えば、反応液の有機溶媒抽出操作、濃縮操作等の後処理を、必要によりカラムクロマトグラフィー、蒸留等を組み合わせて、行うことにより精製する方法を挙げることができる。
具体的には例えば、反応液に塩酸等の鉱酸を加えて、加熱還流下にて1時間攪拌し、放冷後、反応混合物をクロロホルム洗浄する。水層を濃縮乾固し、残渣にアセトンを加えて加熱還流下に10分間攪拌洗浄する。放冷した後、結晶をろ取し、アセトン、クロロホルムで洗浄して、一般式(2)で示されるビニルグリシン誘導体の鉱酸塩として結晶精製する方法を好ましく挙げることができる。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1 (本発明製造方法による、ビニルグリオキシル酸またはその塩からのビニルグリシン誘導体またはその塩の製造例)
試験で用いられる出発原料である2−ケト−3−ブテン酸の標品は、特表2008−526720に記載される方法に準じて合成した。反応生成物であるビニルグリシン塩酸塩の標品は、Journal of Organic Chemistry, 45, 4817 (1980)に記載される方法に準じて合成した。また、アミノ基供与体として用いられる塩化アンモニウムは、ナカライテスク社から市販品を購入し、これを用いた。
バシラス・スファエリカス(Bacillus shpaericus)IFO3525株からQIAamp DNA Mini Kit(キアゲン社製)を用いて調製した染色体を鋳型として、Expand High Fidelity PLUS PCR system(Roche社製)を用い、且つ、配列番号17で示されているオリゴヌクレオチド(25mer:5'- GCCATGGAAATCTTCAAGTATATGG -3')及び配列番号18で示されているオリゴヌクレオチド(30mer:5'- GGGCCCGGGTTAACGGCCGTTCAAAATATT -3')を用いて、以下に示す条件でPCRを行うことにより、ロイシン脱水素酵素遺伝子断片を増幅した。また、前記遺伝子断片の塩基配列を決定し、配列番号10で示される塩基配列であることを確認した。
当該PCRは、94℃×10秒間(変性)、60℃×30秒間(アニーリング)及び72℃×90秒間(伸長)で25サイクル行った。尚、PCRでの反応液組成は、以下の通りであり、Applied Biosystems社製GeneAmpR PCR System 9700を用いて行った。
<PCR反応液組成>
5×Reaction Buffer with MgCl2 10μl
dNTP (10mM) 1μl
primer(各5μM) 各4μl
染色体DNA(50ng/μl) 1μl
Expand High Fidelity PLUS DNA polymeras 0.5μl
滅菌水 29.5μl
次に、制限酵素NcoI 2μl、SmaI 2μl、BSA 4μl、10×T Buffer 4μl(以上、タカラバイオ社製)及び前記で得られたロイシン脱水素酵素遺伝子断片のDNA溶液10μlと滅菌水18μlとを混合することにより、37℃で30分間消化した。また、pTrc99A(アマシャム・バイオサイエンス社製)6μl、制限酵素NcoI 1μl、SmaI 1μl、BSA 1μl及び10×T Buffer 1μl(以上、タカラバイオ社製)を混合し、37℃で30分間消化した。
消化されたDNA断片の各々をアガロースゲルで電気泳動し、Min Elute Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用いて精製した。このようにして得られた両者のDNA断片を、DNA Ligation Kit ver.2.1(タカラバイオ社製)を用いてライゲーションした。
ライゲーションにより得られたDNA断片を、大腸菌JM109株(東洋紡社製)にヒートショック法により形質転換した後、これを50μg/mlアンピシリンを含むLB平板寒天培地(1L中にトリプトン 10g、酵母エキス 5g、NaCl 10g、寒天 15gを含む)に播取して37℃で一晩培養した。次いで、寒天培地上に形成されたシングルコロニーの中からいくつかのコロニーをピックアップし、ピックアップされたコロニーを50μg/mlアンピシリンを含むLB培地に植菌して37℃で一晩培養した。
得られた培養物を遠心分離することにより得られた菌体ペレットから、QIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を用いてプラスミドを抽出した。
抽出されたプラスミド溶液7μlと、制限酵素NcoI 0.5μl、SmaI 0.5μl、BSA 1μl、10×T Buffer 1μl(以上、タカラバイオ社製)とを混合することにより、当該プラスミドを37℃で30分間消化した。次いで、得られた消化物を1%アガロース電気泳動することにより、目的とするDNA断片が増幅されていることが確認された陽性コロニーを選択した。このようにして、目的とする本形質転換体を得た。ここで得られた組換えプラスミドをpTrcLD、またプラスミドpTrcLDで形質転換された大腸菌を大腸菌pTrcLDと命名した。
得られた本形質転換体(即ち、大腸菌pTrcLD:プラスミドpTrcLDを有する大腸菌JM109株)と、対照としてプラスミドベクターpTrc99A(アマシャム・バイオサイエンス社製)を有する大腸菌JM109株(大腸菌pTrc99A)とを50μg/mlのアンピシリン及び0.1mMのIPTGを含有する100mlの滅菌LB培地(1L中にトリプトン 10g、酵母エキス 5g、NaCl 10gを含む)に各々接種し、これを各々振盪培養した(37℃、24時間)。得られた各々の培養液を遠心分離することにより、各々の湿菌体約0.6gを得た。得られた各々の湿菌体を0.1MのTris−HCl緩衝液 (pH9.0)10mlに懸濁した後、懸濁液中の菌体を、ガラスビーズを用いて破砕することにより、各々の細胞壁破砕物約6mlを得た。
細胞培養用マルチプレート96F(住友ベークライト社製)の1ウェルに、1mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)0.161mlと、上記のようにして調製された大腸菌pTrcLDの細胞壁破砕物0.005mlと、3.3M塩化アンモニウム水溶液0.014mlと、7.5mM 補因子水溶液(表1参照)(7.5mM NADH水溶液、又は、7.5mM NADPH水溶液のいずれか一方)0.013mlとを加えて混合した。得られた混合液を30℃に保温した後、これに2%(w/v)2−ケト−3−ブテン酸水溶液0.007mlを添加し、得られた混合液の温度を30℃に維持することにより、反応を10分間行った。尚、対照として本形質転換体の細胞壁破砕物0.005mlの代わりに、大腸菌pTrc99Aの細胞壁破砕物0.005mlを用いて上記と同様に反応を行った。反応開始から10分間マルチプレートリーダー(日本モレキュラーデバイス社製SPECTRA max 340PC)にて波長340nmでのNADHの吸光度(A340)の変化を測定した。その結果を図1に示す。
当該実施例における10分間の反応において、大腸菌pTrcLD由来の細胞壁破砕物での2−ケト−3−ブテン酸のアミノ化反応における吸光度減少量(ΔA340)から大腸菌pTrc99A由来の細胞壁破砕物における吸光度減少量(ΔA340)を差し引いた吸光度減少量差異から、予め測定することにより得られた「波長340nmでのNADH又はNADPHの吸光度減少量と液体クロガトグラフィーにより定量分析することにより測定されたビニルグリシンの生成量との相関関係」に基づく計算式を利用して、ビニルグリシンの生成量を計算した。その結果、0.027mMのビニルグリシンが生成していると算出された。
参考例1 (ビニルグリオキシル酸またはその塩を対応するビニルグリシン誘導体またはその塩に変換する能力を有する酵素の産生能を有する微生物の探索)
試験管に滅菌済み培地(1Lの水に、グルコース20g、ポリペプトン5g、酵母エキス3g、肉エキス3g、硫酸アンモニウム2g、リン酸2水素カリウム1g及び硫酸マグネシウム7水和物0.5gを加えた後、pHを7.0に調整したもの)5mlを入れ、これに、各菌株保存機関より購入することにより入手された菌体又は土壌中から純粋分離することにより調製された菌体を植菌する。これを30℃で好気条件下、振盪培養する。培養終了後、遠心分離により菌体を回収することにより、生菌体を得る。ねじ口試験管に0.2Mリン酸カリウムバッファー(pH7.0)を1.5ml入れ、これに上記の生菌体を加えた後、懸濁する。得られる懸濁液に、2%(w/v)2−ケト−3−ブテン酸水溶液を0.065ml添加した後、得られる混合物を30℃で2〜3日間振盪させる。
反応終了後、反応液を0.6mlサンプリングする。サンプリングされた反応液から菌体を除去した後、反応液中に生成したビニルグリシンの量を液体クロマトグラフィーにより定量分析する。
このようにして、ビニルグリオキシル酸またはその塩を対応するビニルグリシン誘導体またはその塩に変換する能力を有する酵素(即ち、本酵素)の産生能を有する微生物を選抜する。
<含量分析条件>
カラム:ユニゾン(Unison) UK−C18(4.6mmφ×250mm、3μm)(Imtakt社製)
移動相:A液 (50mMリン酸+10mMヘプタンスルホン酸ナトリウム 水溶液)、B液 (メタノール)
移動相の送液:A液(%):B液(%)=90:10(一定)
分析時間:60分
流速:0.8ml/分
カラム温度:37℃
検出:210nm
本発明により、新たなビニルグリシン誘導体の製造方法等を提供することが可能となる。
配列番号15
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号16
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー

Claims (8)

  1. 一般式(1)
    Figure 2012080879
    (式中、Rは水素、炭素数1−8のアルキル基又は炭素数6−20のアリール基を表す。)
    で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩に、アンモニウム塩化合物および補因子の存在下、アミノ酸脱水素酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドが微生物細胞内に導入されて得られる形質転換体の培養物若しくはその処理物を作用させる反応工程を含むことを特徴とする、一般式(2)
    Figure 2012080879
    (式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
    で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩の製造方法。
  2. 前記酵素が、下記の酵素群から選ばれる1以上の酵素であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
    <酵素群>
    (1)アラニン脱水素酵素
    (2)グルタミン酸脱水素酵素
    (3)ロイシン脱水素酵素
    (4)フェニルアラニン脱水素酵素
  3. 前記酵素が、下記のアミノ酸配列のいずれかを有する酵素であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
    a)配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列。
    b)配列番号8乃至14のいずれかの配列番号で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、且つ、前記ビニルグリオキシル酸またはその塩を前記ビニルグリシン誘導体またはその塩に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列。
    c)配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、且つ、前記ビニルグリオキシル酸またはその塩を前記ビニルグリシン誘導体またはその塩に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列。
  4. 前記酵素が、配列番号1乃至7のいずれかの配列番号で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する酵素であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  5. 前記補因子が、NADHまたはNADPHであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの請求項記載の製造方法。
  6. 前記ビニルグリオキシル酸またはその塩におけるR1が、水素または炭素数1−5のアルキル基であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの請求項記載の製造方法。
  7. 前記ビニルグリオキシル酸またはその塩におけるRが、水素であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの請求項記載の製造方法。
  8. 一般式(1)
    Figure 2012080879
    (式中、Rは水素、炭素数1−8のアルキル基又は炭素数6−20のアリール基を表す。)
    で示されるビニルグリオキシル酸またはその塩を、アンモニウム塩化合物および補因子の存在下、一般式(2)
    Figure 2012080879
    (式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
    で示されるビニルグリシン誘導体またはその塩に変換するための触媒としての、アミノ酸脱水素酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドが微生物細胞内に導入されて得られる形質転換体の培養物若しくはその処理物の使用。
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