JP5169244B2 - 新規還元酵素、その遺伝子、およびその利用法 - Google Patents
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Description
1.下記a)からd)のいずれかの塩基配列からなるDNA。
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列。
b)i)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAに対して少なくとも90%の配列相同性を有するDNAの塩基配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列。
c)i)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸化合物を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列。
d)配列番号2で示される塩基配列;
2.宿主細胞内において機能可能なプロモーターと前項1記載の遺伝子とが機能可能な形で接続されてなることを特徴とするDNA;
3.前項1又は2記載のDNAを含むことを特徴とする組換えベクター;
4.前項2記載のDNA又は前項3記載の組換えベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体;
5.宿主細胞が微生物であることを特徴とする前項4記載の形質転換体;
6.宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする前項4記載の形質転換体;
7.前項1記載のDNAを保有することを特徴とする形質転換体;
8.前項3記載の組換えベクターを宿主細胞に導入する工程を含むことを特徴とする形質転換体の製造方法;
9.下記a)〜e)のいずれかの特徴を有するアミノ酸配列からなるタンパク質。
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列。
b)i)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAに対して少なくとも90%の配列相同性を有するDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸化合物を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
c)i)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸化合物を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
d)i)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸化合物を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
e)i)配列番号1で示されるアミノ酸配列と配列相同性が少なくとも90%のアミノ酸配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸化合物を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列;
10.前項1記載のDNA及び酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、または、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを含むことを特徴とする組換えベクター;
11.酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、または、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質がグルコース脱水素酵素であることを特徴とする前項10記載の組換えベクター;
12.グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質がバシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)由来のグルコース脱水素酵素であることを特徴とする前項11記載の組換えベクター;
13.前項10〜12記載の組換えベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体;
14.宿主細胞が微生物であることを特徴とする前項13記載の形質転換体;
15.宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする前項13記載の形質転換体;
16.前項1記載の遺伝子及び酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、または、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを保有することを特徴とする形質転換体;
17.前項9記載のタンパク質、または、前項4〜7、13〜16のいずれかに記載の形質転換体、またはその処理物をプロキラルなカルボニル化合物と反応させることを特徴とする光学活性なアルコール化合物の製造方法;
18.プロキラルなカルボニル化合物がオルト置換のフェニルグリオキサル酸のアミドもしくはエステル化合物であり、対応する光学活性なアルコール化合物が光学活性なオルト置換のマンデル酸のアミドもしくはエステル化合物である前項17に記載の製造方法;
19.オルト置換のフェニルグリオキサル酸のアミドもしくはエステル化合物が式(1):
(式中、R1は、置換されていてもよいアミノ基、または置換されていてもよいアルコキシ基を表し、R2は置換されていてもよいC1−8のアルキル基を表す。)
で示される化合物であり、光学活性なオルト置換のマンデル酸のアミドもしくはエステル化合物が、式(2):
(式中、R1およびR2は前記と同じ意味を表し、*印を付した炭素原子は不斉炭素原子である。)
で示される光学活性化合物である前項18記載の製造方法;
20.ステノトロフォモナス・エスピー(Stenotrophomonas sp.)SC-1(FERM BP-10785);等を提供するものである。
1.コロニー形態(30℃、24時間)
(1)細胞形態:かん菌、0.7〜0.8×1.5〜2.0μm
(2)グラム染色性:陰性
(3)胞子の有無:無
(4)運動性の有無:有
2.Nutrient Agar上でのコロニー形態
コロニーの色:淡黄色
コロニーの形状:円形
コロニーの周縁:全縁スムーズ
コロニーの隆起:レンズ状
透明度 :不透明
3.生理学的性質
(1) カタラーゼ:陽性
(2) オキシダーゼ:陰性
(3) OFテスト:陽性/陰性
4.16SリボゾームRNAをコードするDNAの塩基配列
ステノトロフォモナス・エスピー(Stenotrophomonas sp.)SC-1株からPCRにより16SリボゾームDNAの塩基配列約500bpを増幅し、塩基配列を解析した。得られた16SリボゾームDNAの塩基配列を使って、BLASTによる相同性検索を行った結果、相同率99.6%で、ステノトロフォモナス・リゾフィラ(Stenotrophomonas rhizophila)基準株の16SリボゾームDNAに対し、最も高い相同性を示した。国際塩基配列データベースを用いたBLAST検索においても、ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属由来16SリボゾームDNAと高い相同性を示した。
かかるDNAは、自然界に存在するDNAの中からクローニングされたDNAであっても、このクローニングされたDNAの塩基配列において、その一部の塩基の欠失、置換または付加が人為的に導入されてなるDNAであっても、人為的に合成されたDNAであってもよい。配列相同性は、例えば、UWGCG Packageが供給するBESTFITプログラム(Devereux et al(1984)Nucleic Acids Research 12, p387−395)や、PILEUPやBLASTアルゴリズム(Altschul S.F.(1993)J Mol Evol 36:290−300; Altschul S.F.(1990)J Mol Biol 215:403−10)などの配列分析用ツールを用いて算出し得る。
ステノトロフォモナス・エスピー(Stenotrophomonas sp.)等のステノトロフォモナス属に属する微生物等から通常の遺伝子工学的手法(例えば、「新 細胞工学実験プロトコール」(東京大学医科学研究所制癌研究部編、秀潤社、1993年)に記載された方法)に準じてDNAライブラリーを調製し、調製されたDNAライブラリーを鋳型として、かつ適切なプライマーを用いてPCRを行うことにより、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA及び/又は配列番号2で示される塩基配列を有するDNA等を増幅して本発明のDNAを調製することができる。
450〜900mMの塩化ナトリウム及び45〜90mMのクエン酸ナトリウムを含みドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.1〜1.0重量%の濃度で含み、変性した非特異的DNAを0〜200μl/mlの濃度で含み、場合によってはアルブミン、フィコール、ポリビニルピロリドン等をそれぞれ0〜0.2重量%の濃度で含んでいてもよいプレハイブリダイゼーション液(好ましくは900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム、1.0重量%のSDS及び100μl/mlの変性Calf-thymusDNAを含むプレハイブリダイゼーション液)を上記のようにして作製したメンブレン1cm2当たり50〜200μlの割合で準備し、該プレハイブリダイゼーション液に前記メンブレンを浸して42〜65℃で1〜4時間保温する。
R1で表される置換されていてもよいアミノ基としては、例えばアミノ基の他に、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基などC1−6のアルキルアミノ基が例示される。また、置換されていてもよいアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基およびオクチルオキシ基などのC1-8のアルコキシ基を挙げることができる。
次にR2で表される置換基について以下説明する。
R2で表される置換されていてもよいC1-8のアルキル基におけるC1-8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基などが例示される。
かかるC1−8のアルキル基の置換基としては、置換されていても良いアルコキシ基および置換されていてもよいアリールオキシ基が例示される。
R2で表される置換されていてもよいアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、メトキシオクチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、エトキシヘプチル基、エトキシオクチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、プロポキシペンチル基、プロポキシヘキシル基、プロポキシヘプチル基、プロポキシオクチル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基、ブトキシブチル基、ブトキシペンチル基、ブトキシヘキシル基、ブトキシヘプチル基、ブトキシオクチル基等のC1-4のアルコキシ基で置換されたC1-8のアルキル基が例示される。
置換されていてもよいアリールオキシ基としては、式(3):
(式中、A、BおよびCは、同一又は互いに相異なり、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、アルキルアミノアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基で置換されていてもよいアラルキル基、ハロゲン原子およびアルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいアリール基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基を表す。)
で表されるアリールオキシ基が例示される。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのC1-4アルキル基が例示される。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、クロチル基などのC2-4のアルケニル基が例示される。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基、ブチニル基などC2-4のアルキニル基が例示される。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などC3-6のシクロアルキル基が例示される。
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのC5-6のシクロアルケニル基が例示される。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1-4のアルコキシ基が例示される。
ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トルフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジフロオロメチル基、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、1,2−ジクロロプロピル基などC1−3のハロアルキル基が例示される。
ヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−,2−ヒドロキシエチル基などのヒドロキシ置換のC1−2アルキル基が例示される。
アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などC1-2アルコキシの置換C1-2アルキル基が例示される。
アミノアルキル基としては、例えば、アミノメチル基、1−,2−アミノエチル基等のモノアミノ置換のC1−2アルキル基、もしくはジアミノ置換のC1-2アルキル基が例示される。
アルキルアミノアルキル基としては、例えば、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基などモノ(C1-2)アルキルアミノ置換のC1−2アルキル基、もしくはジ(C1-2)アルキルアミノ置換のC1-2アルキル基が例示される。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が例示される。
アルコキシ基で置換されていてもよいアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、4−メトキシベンジル基などのC1-2のアルコキシ基で置換されていてもよいC7-8アラルキル基が例示される。
ハロゲン原子およびアルコキシ基から選ばれる基で置換されていてもよいアリール基としては、例えば、2−,3−,4−クロロフェニル基、2−,3−,4−メチルフェニル基、2−,3−,4−メトキシフェニル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などのハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)およびC1-2アルコキシ基から選ばれる基で置換されていてもよいC6-10のアリール基が例示される。
アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等のC1-3のアルキルチオ基が例示される。
アルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基などC1−6のアルキルアミノ基等が例示される。
かかる置換されていても良いアリールオキシ基を有する式(1’):
(式中、R1は、置換されていてもよいアミノ基、または置換されていてもよいアルコキシ基を表し、A、BおよびCは、同一又は互いに相異なり、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、アルキルアミノアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基で置換されていてもよいアラルキル基、ハロゲン原子およびアルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいアリール基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基を表す。)
で示されるオルト置換フェニルグリオキサル酸化合物からは、式(2’):
(式中、R1、A、BおよびCは前記と同じ意味を表し、*印を付した炭素原子は不斉炭素原子である。)
で表される化合物が得られる。
本発明の方法では、かかるオルト置換フェニルグリオキサル酸化合物を基質とした場合は、式(2)もしくは式(2’)の化合物が得られ、具体的な化合物としては、それぞれ2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミド、2−(2−メチル−フェニル)−2−ヒドロキシ酢酸エチル、2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミド、2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ酢酸エチル、2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミド、または、2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ酢酸メチルの光学活性体が得られる。
反応時間は適宜選択することができるが、通常0.5時間から10日間の範囲である。
参考例1 (染色体DNAの調製)
2本の500mlフラスコに培地(水100mlにグルコース2g、ポリペプトン0.5g、酵母エキス0.3g、肉エキス0.3g、硫酸アンモニウム0.2g、リン酸2水素カリウム0.1g、硫酸マグネシウム7水和物0.05gを溶解し、2NのHClでpHを6に調整したもの)をそれぞれ100mlずつ入れ、121℃で15分間滅菌した。ここに同組成の培地中で培養(30℃、48時間、振盪培養)したステノトロフォモナス・エスピー(Stenotrophomonas sp.)SC-1株(FERM-BP 10785)の培養液をそれぞれ0.3mlずつ加え、30℃で24時間振盪培養した。その後、得られた培養液を遠心し(8000rpm、4℃、10分)、生じた沈殿を集めた。この沈殿を0.85%食塩水50mlで洗浄して、3.5gの湿菌体を得た。
(1)本発明タンパク質の調製
参考例と同様の条件で調製したステノトロフォモナス・エスピー(Stenotrophomonas sp.)SC-1株(FERM-BP 10785)の湿菌体約7.5gを、1mMになるようにPMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル)を添加した20mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)10mlに懸濁しマルチビーズショッカー(安井器械社製、ガラスビーズ0.1mmΦ、2500rpm、20分)で破砕した。得られた破砕液にプロタミン硫酸を38mg添加後、遠心分離(8000rpm、4℃、10分)し、上清をさらにフィルター(0.45μm)ろ過し、遠心上清液約8mlを得た。同様な操作を繰り返し実施し、遠心上清液約40mlを得た。
この溶出画分をAmicon Ultra−4(MILLIPORE社製)を用いて濃縮、および、20mMTris−HClバッファー(pH7.5)に、バッファー交換した。これをイオン交換クロマトグラフィーカラム[HiTrap DEAE Sepharose FF(アマシャムファルマシアバイオテク社製)][Tris−HCl緩衝液(20mM、pH7.5)で平衡化したもの]に展着し、塩化ナトリウムを溶解したTris−HCl緩衝液(塩化ナトリウム濃度0→0.5Mの濃度勾配)を移動層として溶出し、還元酵素活性を有する画分として塩化ナトリウム濃度0.1〜0.2Mの活性画分2mlを得た。同様な操作を繰り返し実施し、活性画分約6mlを得た。
この溶出画分をAmicon Ultra−4(MILLIPORE社製)を用いて濃縮、および、0.15M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸ナトリムバッファー(pH7.0)に、バッファー交換した。この濃縮液をゲル濾過カラム[Superdex200 10/300GL(アマシャムファルマシアバイオテク社製)][移動層:0.15M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸ナトリムバッファー(pH7.0)]し、還元酵素活性を有する画分として分子量約35000ダルトンの溶出画分1ml(以下、活性画分(A)と記す。)を得た。
(含量分析条件)
カラム:SUMICHIRAL ODS A−212
移動相:A液 0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液 0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル溶液
時間(分) A液(%):B液(%)
0 80:20
20 10:90
30 1:99
30.1 80:20
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:290nm
上記操作により得られた活性画分(A)をLaemmli, U. K., Nature, (1970) 227, 680記載の方法に準じてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動した。電気泳動後のゲルをクマシーブリリアントブルーG250染色液(BIO−RAD社製)で染色し、染色された部分のゲルを切り取った。このゲルを洗浄後、トリプシンを処理し、ゲルからペプチドを抽出した。抽出したペプチドをHPLC(カラム:TSK gel ODS-80Ts、2.0mm×250mm(東ソー株式会社)、移動層:A液(0.1%トリフルオロ酢酸水)、B液(0.09%トリフルオロ酢酸を含む90%アセトニトリル水溶液)、A/B=100/0→0/100の濃度勾配)により分取した。分取した各画分の中から2個の画分につきアミノ酸配列をプロテインシークエンサー(Procise 494HT Protein Sequencing System)により決定した。決定したアミノ酸配列を配列番号3、または、配列番号4に示す。
配列番号3で示されるアミノ酸配列を基に、配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。また、配列番号4で示されるアミノ酸配列を基に、配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
染色体DNA(A)溶液 2μl
dNTP(各2.5mM-mix) 1μl
プライマー(50pmol/μl) 各0.4μl
5xbuffer(with MgCl) 10μl
enz.expandHiFi (5U/μl) 0.5μl
超純水 35.7μl
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System 9700にセットし、94℃(2分間)に加熱した後、94℃(10秒間)‐65℃(30秒間)‐72℃(90秒間)のサイクルを10回、次いで94℃(10秒間)‐65℃(30秒間)‐72℃(1分間+5秒/サイクル)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持した。
その後、PCR反応液の一部をとり、アガロースゲル電気泳動を行ったところ、約600bpのDNA断片のバンドが検出された。
50μg/mlのアンピシリンを含有するLB(1%バクト−トリプトン、0.5%バクト−酵母エキス、1%塩化ナトリウム)寒天培地に5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(以下、X−galと記す)4%水溶液30μl及び0.1M IPTG30μlを塗布し、そこに得られた形質転換体を接種し培養した。形成したコロニーのうち白いコロニーを1個とり、このコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。
得られたプラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列を解析し、配列番号7に示す塩基配列を決定した。
なお、プラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列の解析は、Dye Terminator Cycle sequencing FS ready Reaction Kit(パーキンエルマー製)を用いて各プラスミドを鋳型としてシークエンス反応を行い、得られたDNAの塩基配列をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー製)で解析することにより行った。
配列番号7で示される塩基配列を基に配列番号8で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、および、配列番号9で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。また、配列番号7で示される塩基配列を基に配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、および、配列番号11で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
染色体DNA(A)処理溶液 2μl
dNTP(各2.5mM-mix) 1μl
プライマー(50pmol/μl) 各0.4μl
5xbuffer(with MgCl) 10μl
enz.expandHiFi (5U/μl) 0.5μl
超純水 35.7μl
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System 9700にセットし、94℃(2分間)に加熱した後、94℃(10秒間)‐65℃(30秒間)‐72℃(90秒間)のサイクルを10回、次いで94℃(10秒間)‐65℃(30秒間)‐72℃(1分間+5秒/サイクル)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持した。
なお、配列番号1と配列番号3、または配列番号4を比較したところ、配列番号3、または配列番号4で示されるアミノ酸配列は配列番号1で示されるアミノ酸配列の一部分と一致することがわかった。
(1)本発明ベクターの調製
配列番号2に示される塩基配列を基に配列番号12で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、および、配列番号13で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
染色体DNA(A)溶液 2μl
dNTP(各2.5mM-mix) 1μl
プライマー(50pmol/μl) 各0.4μl
5xbuffer(with MgCl) 10μl
enz.expandHiFi (5U/μl) 0.5μl
超純水 35.7μl
その後、PCR反応液を一部とりアガロースゲル電気泳動を行ったところ、約1000bpのDNA断片のバンドが検出された。
残りのPCR反応液に2種類の制限酵素(NcoI及びXbaI)を加え、約1000bpのDNA断片を2重消化させ、次いで酵素消化されたDNA断片を精製した。
一方、プラスミドベクターpTrc99A(Pharmacia製)を2種類の制限酵素(NcoI及びXbaI)により2重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーの中から8コロニーを無作為に選抜した。この選抜したコロニーをそれぞれ50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(37℃、17時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部をNcoIとXbaIとの2種類の制限酵素により2重消化した後、電気泳動して、取り出した6つのプラスミドに前記約1000bpのDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpTrcRsと記す。)
プラスミドpTrcRsを用いてE.coli HB101を形質転換した。得られた形質転換体を0.2mMのIPTGと50μg/mlのアンピシリンとを含有する滅菌LB培地(9ml)に接種し、振盪培養した(37℃、15時間)。得られた培養液を遠心分離し、湿菌体0.12gを得た。得られた湿菌体に、2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミド1.5mg、NADPH6.9mg、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)1.5ml、グルコース2.7mg、酢酸ブチル0.075mlを混合し、30℃で23時間攪拌した。その後、反応液に酢酸エチルを2ml添加した後、遠心分離し、有機層を得た。この有機層を下記条件で液体クロマトグラフィーによる含量分析を行ったところ、反応に用いた2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドの量に対して2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドは97.9%生成していることがわかった。また、下記条件で有機層中の2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドの光学純度を測定したところ(R)体が100%e.e.であった。
カラム:SUMICHIRAL ODS A−212
移動相:A液 0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液 0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル溶液
時間(分) A液(%):B液(%)
0 80:20
20 10:90
30 1:99
30.1 80:20
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:290nm
カラム:CHIRALCEL OD−H
移動相:ヘキサン:2−プロパノール=9:1
分析時間:50分
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:230nm
(1)酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を調製するための準備
Bacillus megaterium IFO12108株を滅菌したLB培地100ml中で培養し、菌体0.4gを得た。この菌体からQiagen Genomic Tip (Qiagen社製)を用い、それに付属のマニュアルに記載の方法にしたがって染色体DNA(以下、染色体DNA(B)と記す。)を精製した。
(2)酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子の調製
The Journal of Biological Chemistry Vol.264, No.11, 6381-6385(1989)に記載されたBacillus megaterium IWG3由来のグルコース脱水素酵素の配列をもとに配列番号14で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号15で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとを合成した。
配列番号14で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号15で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに用い、前記染色体DNA(B)を鋳型にして以下の反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
染色体DNA(B)原液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(15秒間)-55℃(30秒間) -72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(15秒間)-55℃(30秒間)-72℃(1分間+5秒/サイクル)のサイクルを20回、さらに72℃で7分間保持した。
得られたPCR反応液とInvitrogen社製TOPO TA cloningキットVer.Eとを用いて、PCRによって得られた約950bpのDNA断片をpCR2.1−TOPOベクターの既存「PCR Product挿入サイト」にライゲーションし、そのライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地にX−gal4%水溶液30μl及び0.1M IPTG30μlを塗布し、そこに得られた形質転換体を接種し培養した。形成したコロニーのうち白いコロニーを1個とり、このコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、24時間)。次いで培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドの一部を制限酵素(EcoRI)で消化し、電気泳動することにより、該プラスミドには約950bpのDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpSDGDH12と記す。)
次に、プラスミドpSDGDH12に挿入されたDNA断片の塩基配列を解析した。その結果を配列番号16に示す。
なお、プラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列の解析は、Dye Terminator Cycle sequencing FS ready Reaction Kit(パーキンエルマー製)を用いてプラスミドpSDGDH12を鋳型としてシークエンス反応を行い、得られたDNAの塩基配列をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー製)で解析することにより行った。
次に、配列番号16で示される塩基配列を基に配列番号17および配列番号18で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
配列番号17および配列番号18で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、前記染色体DNA(B)を鋳型にして下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
染色体DNA(B)原液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(15秒間)-55℃(30秒間) -72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(15秒間)-55℃(30秒間)-72℃(1分間+5秒/サイクル)のサイクルを20回、さらに72℃で7分間保持した。
その後、PCR反応液を一部とりアガロースゲル電気泳動を行ったところ、約800bpのDNA断片のバンドが検出された。
残りのPCR反応液に2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加え、約800bpのDNA断片を2重消化させ、次いで酵素消化されたDNA断片を精製した。
一方、プラスミドベクターpTrc99A(Pharmacia製)を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)により2重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
これらの酵素消化させたDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションし、得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。
得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーの中から10コロニーを無作為に選抜した。この選抜したコロニーをそれぞれ50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(37℃、17時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部をNcoIとBamHIとの2種類の制限酵素により2重消化した後、電気泳動して、取り出したプラスミドには4つのプラスミドに前記約800bpのDNA断片が挿入されていることを確認した。(以下、このプラスミドをプラスミドpTrcGDHと記す。)
配列番号19で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号12で示されるオリゴヌクレオチドプライマーとをプライマーに、プラスミドpTrcRsを鋳型にして下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PLUS PCR Systemを使用)
プラスミドpTrcRs 2μl
dNTP(各2.5mM-mix) 1μl
プライマー(50pmol/μl) 各0.4μl
5xbuffer(with MgCl) 10μl
Expand High Fidelity PLUS Taq polymerase 0.5μl (2.5U)
超純水 35.7μl
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System 9700にセットし、94℃(2分間)に加熱した後、94℃(10秒間)‐65℃(30秒間)‐72℃(90秒間)のサイクルを10回、次いで94℃(10秒間)‐65℃(30秒間)‐72℃(1分間+5秒/サイクル)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持した。
その後、PCR反応液を一部とりアガロースゲル電気泳動を行ったところ、約1000bpのDNA断片のバンドが検出された。
残りのPCR反応液に2種類の制限酵素(BamHIとXbaI)を加え、約1000bpのDNA断片を2重消化させ、次いで酵素消化されたDNA断片を精製した。
一方、プラスミドpTrcGDHを2種類の制限酵素(BamHIとXbaI)で二重消化させ、酵素消化されたDNA断片を精製した。
それぞれの酵素消化されたDNA断片をT4 DNAリガーゼでライゲーションし、そのライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地で培養し、生育してきたコロニーから6コロニーを無作為に選抜した。この選抜したコロニーをそれぞれ50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(2ml)に接種し、試験管中で振盪培養した(30℃、17時間)。それぞれの培養菌体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いてプラスミドを取り出した。取り出したプラスミドのそれぞれの一部をBamHIとXbaIの2種類の制限酵素で二重消化した後、電気泳動することによって、取り出したプラスミドは全て目的とする約1000bpのDNA断片が挿入されていることを確認した(以下、このプラスミドを以下プラスミドpTrcGSRsと記す)。
プラスミドpTrcGSRsを用いてE.coli HB101を形質転換した。得られた形質転換体を0.2mMのIPTGと50μg/mlのアンピシリンとを含有する滅菌LB培地(5ml)に接種し、振盪培養した(30℃、24時間)。得られた培養液を遠心分離し、湿菌体約0.1gを得た。得られた湿菌体に、2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミド3mg、NADP+1.8mg、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)1.5ml、グルコース2.8mg、テトラヒドロフラン0.15mlを混合し、30℃で24時間攪拌した。その後、反応液に酢酸エチルを2ml添加した後、遠心分離し、有機層を得た。この有機層を下記条件で液体クロマトグラフィーによる含量分析を行ったところ、反応に用いた2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドの量に対して2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドは96.8%生成していることがわかった。また、下記条件で有機層中の2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドの光学純度を測定したところ(R)体が100%e.e.であった。
カラム:SUMICHIRAL ODS A−212
移動相:A液 0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液 0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル溶液
時間(分) A液(%):B液(%)
0 80:20
20 10:90
30 1:99
30.1 80:20
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:290nm
カラム:CHIRALCEL OD−H
移動相:ヘキサン:2−プロパノール=9:1
分析時間:50分
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:230nm
プラスミドpTrcRsを用いてE.coli HB101を形質転換した。得られた形質転換体を0.1mMのIPTGと50μg/mlのアンピシリンとを含有する滅菌LB培地(5ml)に接種し、振盪培養した(37℃、15時間)。得られた培養液を遠心分離し、湿菌体約0.1gを得た。得られた湿菌体に、2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−2−オキソ酢酸メチル3mg、NADPH13.5mg、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)1.5ml、酢酸ブチル0.15mlを混合し、30℃で24時間攪拌した。その後、反応液に酢酸エチルを2ml添加した後、遠心分離し、有機層を得た。この有機層を下記条件で液体クロマトグラフィーによる含量分析を行ったところ、反応に用いた2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−2−オキソ酢酸メチルの量に対して2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ酢酸メチルは28.8%生成していることがわかった。また、下記条件で有機層中の2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−2−ヒドロキシ酢酸メチルの光学純度を測定したところ(R)体が100%e.e.であった。
カラム:SUMICHIRAL ODS A−212
移動相:A液 0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液 0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル溶液
時間(分) A液(%):B液(%)
0 80:20
20 10:90
30 1:99
30.1 80:20
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:290nm
カラム:CHIRALCEL OD−H
移動相:ヘキサン:2−プロパノール=9:1
分析時間:50分
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:230nm
(1)本発明タンパク質の調製
プラスミドpTrcRsを用いてE.coli HB101を形質転換した。得られた形質転換体を0.1mMのIPTGと50μg/mlのアンピシリンとを含有する滅菌LB培地(100ml×8)に接種し、振盪培養した(37℃、13.5時間)。得られた培養液を遠心分離し、湿菌体約5.4gを得た。湿菌体約5.4gを、20mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)20mlに懸濁しマルチビーズショッカー(安井器械社製、ガラスビーズ0.1mmΦ、2500rpm、20分)で破砕した。得られた破砕液を遠心分離(8000rpm、4℃、10分)し、上清をさらにフィルター(0.45μm)ろ過し、遠心上清液約18mlを得た。得られた遠心上清液をAmicon Ultra−4(MILLIPORE社製)を用いて濃縮し、約4mlの遠心上清濃縮液を得た。
得られた遠心上清濃縮液約4mlをアフィニティー相互作用クロマトグラフィーカラム[HiTrap BlueHP(アマシャムファルマシアバイオテク社製)][20mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)で平衡化したもの]に展着し、塩化ナトリウムを溶解したリン酸カリウム緩衝液(塩化ナトリウム濃度0→1.2Mの濃度勾配)を移動層として溶出し、還元酵素活性を有する画分として塩化ナトリウム濃度0.01〜0.34Mの画分約6mlを得た。
この溶出画分をAmicon Ultra−4(MILLIPORE社製)を用いて濃縮、および、20mMTris−HClバッファー(pH7.5)に、バッファー交換した。これをイオン交換クロマトグラフィーカラム[HiTrap DEAE Sepharose FF(アマシャムファルマシアバイオテク社製)][Tris−HCl緩衝液(20mM、pH7.5)で平衡化したもの]に展着し、塩化ナトリウムを溶解したTris−HCl緩衝液(塩化ナトリウム濃度0→0.5Mの濃度勾配)を移動層として溶出し、還元酵素活性を有する画分として塩化ナトリウム濃度0.1〜0.2Mの活性画分2mlを得た。
この溶出画分をAmicon Ultra−4(MILLIPORE社製)を用いて濃縮、および、0.15M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸ナトリムバッファー(pH7.0)に、バッファー交換した。この濃縮液をゲル濾過カラム[Superdex200 10/300GL(アマシャムファルマシアバイオテク社製)][移動層:0.15M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸ナトリムバッファー(pH7.0)]し、還元酵素活性を有する画分として分子量約32200ダルトンの溶出画分1ml(以下、活性画分(C)と記す。)を得た。
尚、クロマトグラフィー等で得られた画分について、以下の操作により還元酵素活性を測定した。
2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミド3mg、クロマトグラフィー等により得られた溶出画分0.2ml、NADPH9mg、酢酸ブチル0.15ml、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)1.5mlを混合し、30℃で18時間攪拌した。その後、反応液に酢酸エチルを2ml添加した後、遠心分離し、有機層を得た。この有機層を下記条件で液体クロマトグラフィーによる含量分析測定を行なった。2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドの残存量、および(R)−2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドの生成量から還元酵素活性を求めた。
カラム:SUMICHIRAL ODS A−212
移動相:A液 0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液 0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル溶液
時間(分) A液(%):B液(%)
0 80:20
20 10:90
30 1:99
30.1 80:20
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:290nm
活性画分(C)を用いて本発明タンパク質の酵素化学的性質について調べた。
(1)作用
NADPHを補酵素として2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドに作用して、光学純度100%e.e.の(R)−2−(2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドへと還元した。
(2)至適pH
作用至適pHを調べるためにpH5.5〜pH10におけるベンゾイルギ酸エチル還元活性を測定した。緩衝液として100mMリン酸バッファー(pH5.5〜8)、100mMTris−HClバッファー(pH7〜9)、および100mMTris−glycineバッファー(pH9〜10)を用いた。ベンゾイルギ酸エチルに対する還元活性は各種緩衝液に基質ベンゾイルギ酸エチルを終濃度10mM、補酵素NADPHを終濃度0.5mMになるように溶解し、さらに精製した本発明タンパク質(活性画分(C))を添加して、30℃で1分間反応を行なった際の、当該反応液の波長340nmにおける吸光度の減少速度から算出した。本反応条件において、1分間に1μmolのNADPHをNADPに酸化する活性を1unitと定義した。その結果、至適pHは7.0であった。
(3)基質特異性
100mMのリン酸緩衝液(pH7)に基質となるカルボニル化合物を終濃度1mM、補酵素NADPHを0.5mMとなるようにそれぞれ溶解した。これに精製した本発明タンパク質(活性画分(C))を適当量添加し、30℃で5分間反応を行なった。当該反応液の波長340nmにおける吸光度の減少速度から、各カルボニル化合物に対する還元活性を算出し、これをベンゾイルギ酸エチルに対する活性を100%とした場合の相対値で表し、表1に示した。
(1)2−(2−メチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチルの合成
テトラヒドロフラン50gとマグネシウム7.3gの混合液中に2−ブロモトルエンを4.4g添加し、マグネシウムを活性化した。40℃まで昇温し、2−ブロモトルエン45gのテトラヒドロフラン(130g)溶液を滴下し、2−ブロモトルエンの消失を確認するまで滴下した。その後、室温まで冷却しGrignard試薬を調製した。
シュウ酸ジエチル83gのトルエン(170g)溶液を−40℃以下まで冷却した。上記で調製したGrignard試薬を−40℃以下で滴下した後、さらに−40℃で2時間保温した。反応混合物中に、10%硫酸を234g添加後、有機層を回収した。得られた有機層を水134gで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレータ-にて濃縮後、さらに高真空下蒸留、シリカゲルカラム精製し、33.1gの2−(2−メチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチルを得た。
1H−NMR(300MHz、CDCl3):δppm:1.41(t、J=7.2Hz、3H)、2.61(s、3H)、4.39−4.47(m、2H)、7.26−7.70(m、4H)
(2)2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドの合成
(1)で得られた2−(2−メチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチル18.1gとトルエン72g、メタノール36gを混合し、25℃に保温しながら、40%メチルアミン水溶液を23.2g添加し、25℃で1時間保温した。その後、水を36.2g添加した後、有機層を回収した。5%塩酸143g、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液36g、水36gでそれぞれ洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレータ-にて濃縮後、さらにシリカゲルカラム精製し、11.4gの2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドを得た。
1H−NMR(300MHz、CDCl3):δppm:2.48(s、3H)、2.96(d、J=5.13Hz、3H)、7.1(6s、1H)、7.25−7.93(m、4H)
(3)本発明形質転換体を用いた2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドの不斉還元
プラスミドpTrcGSRsを用いてE.coli HB101を形質転換した。得られた形質転換体を0.1mMのIPTGと50μg/mlのアンピシリンとを含有する滅菌LB培地(100ml)に接種し、振盪培養した(37℃、15時間)。得られた培養液を遠心分離し、湿菌体約0.5gを得た。反応管に2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミド30mg、前記の湿菌体約0.5g、NADP+30mg、グルコース45mg、100mMリン酸緩衝液(pH7)5mlを添加し、攪拌速度1000rpmで30℃で24時間反応させた。反応終了後、反応液に酢酸エチルを5ml添加した後、遠心分離(1000×g、5分)することにより、有機層を回収した。当該有機層を留去し、油状の2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドを22.5mg得た。得られた2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドの1H−NMR分析結果を以下に示す。
1H−NMR(300MHz、CDCl3) σ2.37(S、3H)、2.79(d、J=4.96Hz、3H)、3.87(1H)、5.15(S、1H)、6.21(S、1H)、7.15−7.26(m、4H)
得られた2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドに2−プロパノールを10%含むヘキサンを添加し、下記条件で液体クロマトグラフィーによる光学純度分析に供試した結果、光学純度は100%e.e.(溶出時間:22.5分)であった。
なお、ラセミ体の2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドは2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドをメタノール中でNaBH4にて還元して合成した。
(光学異性体分析条件)
カラム:CHIRALPAK OD−H(ダイセル化学工業社製)
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=90/10
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:230nm
溶出時間
2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミド:16.0分
2−(2−メチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミド:18.5分、22.4分
基質として2−(2−メチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチルを用いること以外は実施例6(3)に記載の方法と同じ方法にて反応を実施した。その結果、油状の2−(2−メチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−酢酸エチルを26.5mg得た。得られた2−(2−メチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−酢酸エチルの1H−NMR分析結果を以下に示す。
1H−NMR(300MHz、CDCl3) σ1.21(t、J=7.2Hz、3H)、2.43(S、3H)、3.56(d、J=7.7Hz、1H)、4.13−4.29(m、2H)、5.35(S、1H)、7.15−7.30(m、4H)
得られた2−(2−メチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−酢酸エチルに2−プロパノールを10%含むヘキサンを添加し、下記条件で液体クロマトグラフィーによる光学純度分析に供試した結果、光学純度は99%e.e.(溶出時間:13.3分)であった。
なお、ラセミ体の2−(2−メチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−酢酸エチルは2−(2−メチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチルをメタノール中でNaBH4にて還元して合成した。
(光学異性体分析条件)
カラム:CHIRALPAK OD−H(ダイセル化学工業社製)
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=90/10
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:230nm
溶出時間
2−(2−メチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチル:8.9分
2−(2−メチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−酢酸エチル:11.6分、13.3分
(1)2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチルの合成
28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液59.8gを60℃に昇温させ、o−ブロモベンジルブロマイド70.4gとメタノール70.4gの混合液を滴下し、60℃で2時間保温した。室温にまで冷却後、トルエン211gと水211gを添加して攪拌し、分液後有機層を回収した。水層をトルエン211gにて3回抽出し、回収有機層と水211gを加えて、洗浄後、濃縮し、55.3gの1−メトキシメチル−2−ブロモベンゼンを得た。
テトラヒドロフラン46.4gとマグネシウム5.4gの混合液中に1−メトキシメチル−2−ブロモベンゼンを4.6g添加し、マグネシウムを活性化した。40℃まで昇温し、1−メトキシメチル−2−ブロモベンゼン41.7gのテトラヒドロフラン(139g)溶液を滴下し、1−メトキシメチル−2−ブロモベンゼンの消失を確認するまで滴下した。その後、室温まで冷却しGrignard剤を調製した。
シュウ酸ジエチル64.4gのトルエン(177g)溶液を−40℃以下まで冷却した。上記で調製したGrignard剤を−40℃以下で滴下した後、さらに−40℃で4時間保温した。反応混合物中に、10%硫酸を211g添加後、有機層を回収した。得られた有機層を水133gで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレータ-にて濃縮後、シリカゲルカラム精製し、さらに高真空下蒸留にて、38.5gの2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチルを得た。
1H−NMR(300MHz、CDCl3):δppm:1.41(t、J=7.08Hz、3H)、3.44(s、3H)、4.41(q、2H)、4.75(s、2H)、7.55−7.69(m、4H)
(2)2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドの合成
(1)で得られた2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチル28.3gとトルエン109g、メタノール54.4gを混合し、25℃に保温しながら、40%メチルアミン水溶液を28.6g添加し、25℃で2時間保温した。その後、水を54.4g添加した後、トルエンを80g追加し、静置後有機層を回収した。5%塩酸178g、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液54.4g、水54.4gでそれぞれ洗浄した後、エバポレータ-にて濃縮し、12.0gの2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドを得た。
1H−NMR(300MHz、CDCl3):δppm:2.95(d、J=5.14Hz、3H)、3.28(s、3H)、4.66(s、2H)、7.04(s、1H)、7.36−7.72(m、4H)
(3)本発明形質転換体を用いた2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドの不斉還元
基質として2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドを用いること以外は実施例6(3)に記載の方法と同じ方法にて反応を実施した。その結果、油状の2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドを19.5mg得た。得られた2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドの1H−NMR分析結果を以下に示す。
1H−NMR(300MHz、CDCl3) σ2.77(d、J=4.85Hz、3H)、3.47(S、3H)、4.38(d、J=10.6Hz、1H)、4.73(d、J=10.6Hz、1H)、4.81(S、1H)、5.23(S、1H)、7.16(S、1H)、7.26−7.43(m、4H)
得られた2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドに2−プロパノールを10%含むヘキサンを添加し、下記条件で液体クロマトグラフィーによる光学純度分析に供試した結果、光学純度は100%e.e.(溶出時間:20.3分)であった。
なお、ラセミ体の2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミドは2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミドをメタノール中でNaBH4にて還元して合成した。
(光学異性体分析条件)
カラム:CHIRALPAK OD−H(ダイセル化学工業社製)
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=90/10
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:230nm
溶出時間
2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−オキソ−アセトアミド:18.5分
2−(2−メトキシメチル−フェニル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−アセトアミド:20.4分、21.0分
基質として2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチルを用いること以外は実施例6(3)に記載の方法と同じ方法にて反応を実施した。その結果、油状の2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−酢酸エチルを27.6mg得た。得られた2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−酢酸エチルの1H−NMR分析結果を以下に示す。
1H−NMR(300MHz、CDCl3) σ1.21(t、J=7.09Hz、3H)、3.39(S、3H)、4.16−4.26(m、2H)、4.59(d、J=6.36Hz、2H)、5.39(S、1H)、7.31−7.37(m、4H)
得られた2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−酢酸エチルに2−プロパノールを10%含むヘキサンを添加し、下記条件で液体クロマトグラフィーによる光学純度分析に供試した結果、光学純度は100%e.e.(溶出時間:13.6分)であった。
なお、ラセミ体の2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−酢酸エチルは2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチルをメタノール中でNaBH4にて還元して合成した。
(光学異性体分析条件)
カラム:CHIRALPAK OD−H(ダイセル化学工業社製)
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=90/10
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
検出:230nm
溶出時間
2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−オキソ酢酸エチル:9.3分
2−(2−メトキシメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−酢酸エチル:12.8分、13.6分
配列番号5
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号6
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号8
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号9
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号10
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号11
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号12
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号13
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号14
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号15
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号17
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号18
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号19
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
Claims (20)
- 下記a)〜d)のいずれかの塩基配列からなるDNA。
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列。
b)i)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAに対して少なくとも90%の配列同一性を有するDNAの塩基配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸のアミド若しくはエステル化合物を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列。
c)i)配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸のアミドもしくはエステル化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸のアミド若しくはエステル化合物を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列。
d)配列番号2で示される塩基配列。 - 宿主細胞内において機能可能なプロモーターと請求項1記載のDNAとが機能可能な形で接続されてなることを特徴とするDNA。
- 請求項1又は2記載のDNAを含むことを特徴とする組換えベクター。
- 請求項2記載のDNA又は請求項3記載の組換えベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
- 宿主細胞が微生物であることを特徴とする請求項4記載の形質転換体。
- 宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする請求項4記載の形質転換体。
- 請求項1記載のDNAを保有することを特徴とする形質転換体。
- 請求項3記載の組換えベクターを宿主細胞に導入する工程を含むことを特徴とする形質転換体の製造方法。
- 下記a)〜e)のいずれかアミノ酸配列からなるタンパク質。
a)配列番号1で示されるアミノ酸配列。
b)i)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAに対して少なくとも90%の配列同一性を有するDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸化合物を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
c)i)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列がコードするアミノ酸配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸化合物を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
d)i)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1アミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸化合物を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。
e)i)配列番号1で示されるアミノ酸配列と配列同一性が少なくとも90%のアミノ酸配列であって、かつ、ii)オルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物を不斉還元して対応する光学活性なオルト置換のマンデル酸化合物を生産する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列。 - 請求項1記載のDNA及び酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、または、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを含むことを特徴とする組換えベクター。
- 酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、または、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質がグルコース脱水素酵素であることを特徴とする請求項10記載の組換えベクター。
- グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質がバシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)由来のグルコース脱水素酵素であることを特徴とする請求項11記載の組換えベクター。
- 請求項10〜12記載の組換えベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
- 宿主細胞が微生物であることを特徴とする請求項13記載の形質転換体。
- 宿主細胞が大腸菌であることを特徴とする請求項13記載の形質転換体。
- 請求項1記載のDNA及び酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、または、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを保有することを特徴とする形質転換体。
- 請求項9記載のタンパク質、または、請求項4〜7、13〜16のいずれかに記載の形質転換体、またはその処理物をプロキラルなカルボニル化合物と反応させることを特徴とする光学活性アルコールの製造方法。
- プロキラルなカルボニル化合物がオルト置換のフェニルグリオキサル酸化合物のアミドもしくはエステル化合物であり、対応する光学活性なアルコール化合物が光学活性なオルト置換のマンデル酸のアミドもしくはエステル化合物である請求項17に記載の製造方法。
- ステノトロフォモナス・エスピー(Stenotrophomonas sp.)SC-1(FERM BP-10785)
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