JP2008061547A - ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子、ニトリラーゼ遺伝子を含む形質転換体、並びにそれを用いたα−ヒドロキシカルボン酸の製造法 - Google Patents

ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子、ニトリラーゼ遺伝子を含む形質転換体、並びにそれを用いたα−ヒドロキシカルボン酸の製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】カルボニル化合物とシアニドドナーからヒドロキシニトリルリアーゼおよびニトリラーゼを利用した、より簡便なα−ヒドロキシカルボン酸の製造方法を提供する。
【解決手段】ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子、およびニトリラーゼをコードする遺伝子を導入して、形質転換体を製造し、この形質転換微生物を用いる反応により、カルボニル化合物とシアニドドナーからα−ヒドロキシカルボン酸を得る。
【選択図】図1A

Description

本発明は、ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子、ニトリラーゼ遺伝子を含む発現ベクター、および形質転換体、並びにそれを用いたα−ヒドロキシカルボン酸の製造法に関する。
微生物を用いた酵素反応によるα−ヒドロキシカルボン酸の製造に関しては、α−ヒドロキシニトリルに、ニトリラーゼを作用させ、α―ヒドロキシカルボン酸を製造する方法が知られている。
例えば、コリネバクテリウム属細菌によるグリコール酸、乳酸およびα−ヒドロキシイソ酪酸等の製造方法(特許文献1)、バチルス属細菌、バクテリジウム属細菌、クロコッカス属細菌またはブレビバクテリウム属細菌による乳酸、グリコール酸等の製造方法(特許文献2)、シュードモナス属細菌、アースロバクター属細菌、アスペルギルス属細菌、ペニシリウム属細菌、コクリオボラス属細菌またはフザリウム属細菌による乳酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、マンデル酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシ−α−フェニルプロピオン酸、α−ヒドロキシ−α−(p−イソブチルフェニル)−プロピオン酸等の製造方法(特許文献3)等が挙げられる。
また、光学活性α―ヒドロキシカルボン酸を製造する方法としては、以下の方法がしられている。
(1)α−ヒドロキシニトリルに、光学選択性の高いニトリラーゼを作用させ、光学活性α―ヒドロキシカルボン酸を製造する方法。
(2)カルボニル化合物とシアニドドナーに、光学選択性の高いヒドロキシニトリルリアーゼを作用させ、光学活性α―ヒドロキシニトリルを合成した後、化学的加水分解によりα―ヒドロキシカルボン酸を製造する方法。
(3)カルボニル化合物とシアニドドナーに、光学選択性の高いヒドロキシニトリルリアーゼを作用させ、光学活性α―ヒドロキシニトリルを合成した後、ニトリラーゼを作用させ、光学活性α―ヒドロキシカルボン酸を製造する方法。
上記(1)の方法としては、例えばラセミ体のマンデロニトリルから(R)−選択的ニトリラーゼの作用により、高収率で(R)−マンデル酸を製造する方法が提案されている(特許文献4,特許文献5,特許文献6)。(R)−選択的ニトリラーゼを与える微生物としてはシュードモナス属細菌、アルカリゲネス属細菌、アシネトバクター属細菌、カセオバクター属細菌、ノカルディア属細菌、バチルス属細菌、ブレビバクテリウム属細菌、オーロバクテリウム属細菌、ロドコッカス属細菌またはゴルドナ属細菌(特許文献4,5,6,7および8)が知られている。一方、立体選択性の高い(S)−選択的ニトリラーゼは知られていない。よって、上記(1)の方法は、特定の光学活性体にのみ有効な製造方法で汎用性があるとは言えない。
上記(2)の方法は、非特許文献1、非特許文献2、特許文献9、特許文献10、特許文献11で提案されている。
上記(3)の方法としては、固定化ヒロドキシニトリルリアーゼと固定化ニトリラーゼの混合物を使用し、ベンズアルデヒドとシアニドドナーからワンポットでR−マンデル酸を製造する方法が報告されている。(非特許文献3)、Manihot esculenta由来の(S)−選択的ヒドロキシニトリルリアーゼにより(S)−マンデロニトリルを製造後、Pseudomonas fluorescens EBC191由来のニトリラーゼを作用させることにより(S)−マンデル酸を製造する方法(非特許文献4)等がある。
しかしながら、非特許文献3の方法では、光学活性α―ヒドロキシニトリルは、水溶液中でラセミ化が起こり易いため、α−ヒドロキシニトリルを合成する反応は、有機溶剤中で行う必要がある。一般的に有機溶媒中での反応では、酵素を菌体に保持したまま反応に供すると、菌体内の酵素へ基質(反応原料化合物)が十分に接触せず、反応効率が低下することが知られている。よって、菌体から酵素を単離して反応に用いる必要がある。また単離した酵素は、適当な担体に固定する必要があるため、操作が煩雑となり、コスト高となる。さらには、酵素反応後、続く加水分解反応に際し、溶媒の置換、不純物の除去、光学活性の維持等の問題を回避する必要もあり、操作が煩雑となる。
また、非特許文献4記載のニトリラーゼは、ニトリルヒドラターゼ活性も示すため、マンデル酸アミドを副生する。
したがって、より簡便な反応で更には低コストで光学活性α−ヒドロキシカルボン酸の製造する方法が求められていた。
特開昭61−56086号 特公昭58−15120号 特開昭63−222696号 特開平4−99495号 特開平4−99496号 特開平4−218385号 特開平5−95795号 特開平6−237789号 特開昭63−219388号公報 特開2001−348356号公報 特開2002−142792号公報 Thomas Zieglerら,Synthesis,1990,575-578 (1990) Franz Effenbergerら,Tetrahedron Letters,32,2605-2608 (1991) Chem. Listy,97, 415(2003) Cesar Mateoら, Tetrahedron Asymmetry, 17, 320-323 (2006)
本発明の目的は、上述した従来技術における欠点を解消した光学活性α−ヒドロキシカルボン酸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子、ニトリラーゼ遺伝子を含む発現ベクターを作製し、それを導入したヒドロキシニトリルリアーゼおよびニトリラーゼを有する形質転換体を得ることに成功した。
本発明者らは、上記形質転換体を利用して更に研究を進めた結果、酵素を菌体から単離することなく菌体自体を反応に用いることが可能であり、しかも、このような菌体自体を用いる反応によれば、立体選択的ヒドロキシニトリルリアーゼにより生成した光学活性シアンヒドリンは速やかにニトリラーゼにより光学活性α−ヒドロキシカルボン酸に変換され、アルデヒド化合物とシアニドドナーから高光学純度の光学活性α−ヒドロキシカルボン酸が高収率で製造できることを見いだした。
すなわち本発明は、下記の態様を含む。
〔1〕ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子、ニトリラーゼをコードする遺伝子が導入された形質転換微生物。
〔2〕立体選択的ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子、および立体選択性の低いまたは該ヒドロキシニトリルリアーゼと同じ立体選択性を有するニトリラーゼをコードする遺伝子が導入された形質転換微生物。
〔3〕ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターと、ニトリラーゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターとから得られる〔1〕又は〔2〕記載の微生物。
〔4〕ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子、およびニトリラーゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターから得られる請求項1又は2記載の微生物。
〔5〕ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子が、Manihot esculenta由来の遺伝子である、〔3〕又は〔4〕記載の発現ベクター。
〔6〕ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子が、以下のいずれかの遺伝子である、〔3〕又は〔4〕記載のベクター。
(a) 配列番号2で示す遺伝子。
(b) 配列番号2で示す遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
〔7〕ニトリラーゼをコードする遺伝子がBradyrhizobium japonicum由来の遺伝子である〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載のベクター。
〔8〕ニトリラーゼをコードする遺伝子が、以下のいずれかの遺伝子である〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載のベクター。
(a) 配列番号3で示す遺伝子。
(b) 配列番号3で示す遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
〔9〕ニトリラーゼをコードする遺伝子が、以下のいずれかの遺伝子である〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載のベクター。
(a) 配列番号4で示す遺伝子。
(b) 配列番号4で示す遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
〔10〕ニトリラーゼをコードする遺伝子が、以下のいずれかの遺伝子である〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載のベクター。
(a) 配列番号5で示す遺伝子。
(b) 配列番号5で示す遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
〔11〕ニトリラーゼをコードする遺伝子が、以下のいずれかの遺伝子である〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載のベクター。
(a) 配列番号6で示す遺伝子。
(b) 配列番号6で示す遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
〔12〕ベクターが、プラスミドベクターである〔3〕〜〔11〕のいずれかに記載のベクター。
〔13〕プラスミドベクターが、ヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミド(pOXN103、pOXN103V2I、pOXN103V2R)、ニトリラーゼ発現プラスミド(pNLA001、pNLA010、pNLB001、pNLB002、pNLB004、pNLB010)、ニトリラーゼ遺伝子及びヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子が組み込まれた発現プラスミド(pNLA201、pNLA203、pNLA211、pNLA213、pNLB201、pNLB203、pNLB211、pNLB213)のいずれかである〔12〕記載のベクター。
〔14〕請求項3〜13のいずれかに記載のベクターが導入された形質転換体。
〔15〕形質転換体の宿主が、大腸菌又はロドコッカス(Rhodococcus)属細菌である〔14〕に記載の形質転換体。
〔16〕形質転換体が、JM109/pNLA201、JM109/pNLA203、JM109/pNLA211、ATCC12674株/pOXN611、ATCC12674株/pOXN612のいずれかである請求項15記載の形質転換体。
〔17〕カルボニル化合物及びシアニドドナーに〔1〕,〔2〕,〔14〕,〔15〕,〔16〕のいずれかの形質転換微生物を作用させることを含む、光学活性α−ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
本発明によれば、カルボニル化合物とシアニドドナーからヒドロキシニトリルリアーゼおよびニトリラーゼを用いた、簡便なα−ヒドロキシカルボン酸を製造する方法が提供される。
すなわち、本発明による形質転換体を用いることにより、酵素を菌体から単離することなくカルボニル化合物とシアニドドナーからα−ヒドロキシカルボン酸の製造が可能になる。
更に、本発明によれば、形質転換体内にヒドロキシニトリルリアーゼとニトリラーゼが高密度に存在することにより、ヒドロキシニトリルリアーゼにより生成したヒドロキシニトリル中間体が速やかにニトリラーゼによりヒドロキシカルボン酸に変換することが可能となり、α−ヒドロキシカルボン酸を高収率に製造することが可能となる。
本発明の形質転換体は、ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子、およびニトリラーゼをコードする遺伝子が含むものである。好ましくは、立体選択的ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子、および立体選択性の低い、あるいは該ヒドロキシニトリルリアーゼと同じ立体選択性を有するニトリラーゼをコードする遺伝子を含むものである。ここで、同じ立体選択性とは、ヒドロキシニトリルリアーゼが(S)選択的の場合は、(S)選択的ニトリラーゼ、(R)選択的の場合は、(R)選択的ニトリラーゼの組合せを言う。
(S)−ヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子とは、アルデヒド化合物とシアニドドナーから(S)立体選択的にα−ヒドロキシ化合物を製造する能力を有する酵素蛋白をコードする遺伝子をいう。その遺伝子としては特に制限されないが、好ましくは、キャッサバ(Manihot esculenta)やパラゴム(Hevea brasiliensis)等由来のヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子を挙げることができる。これらの遺伝子配列は文献等に公開されている(非特許文献Hughes J.ら、Arch. Biochem. Biopphys.311, 496-502 (1994)、非特許文献Hasslacher M.ら、J. Biol. Chem.271, 5884-5891 (1996)、GenBank accession number Z29091およびU40402)。
(R)−ヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子とは、アルデヒド化合物とシアニドドナーから(R)立体選択的にα−ヒドロキシ化合物を製造する能力を有する酵素蛋白をコードする遺伝子をいう。その遺伝子としては特に制限されないが、好ましくは、アーモンド(Prunus dulcis)やブラックチェリー(Prunus serotina)等由来のヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子を挙げることができる。これらの遺伝子配列は文献等に公開されている(非特許文献Dreveny, I.,ら、Structure,9(9),803−815(2001)、非特許文献 Cheng I.P.ら、Plant Cell Physiol,34,1139−1143(1993)およびGenBank accession number AF412329)。
上述のヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子は、植物から当該酵素遺伝子のmRNAを含む全RNA又はmRNA等を抽出し、定法に従ってcDNAを合成し、公知のヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子配列情報をもとに設計したプライマ−を用いてPCR法で当該酵素をコ−ドする遺伝子を増幅することで得ることができる(このような方法に関しては、例えば、文献「Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.」(Cold Spring Harbor Press (1989))等を参照することができる)。
また、ヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子をいくつかの領域(例えば、50塩基程度)に分割し、隣り合う領域とのオーバーラップ(例えば、20塩基程度)を両端に有するような複数のオリゴヌクレオチドを設計および合成し、これらオリゴヌクレオチドを互いにアニールさせるPCRによっても合成することができる。得られた増幅産物は、例えば、適切な制限酵素により切断し、同制限酵素切断末端と連結可能な切断末端を生じさせることができる制限酵素で処理したベクターDNAと連結し、適切な微生物宿主の形質転換体または形質導入体を作製し、目的増幅産物がベクターDNA中に正しく組み込まれたクロ−ンを選択することにより、クロ−ニングすることができる(このような方法に関しては、例えば、文献 Xiong, A-S ら Nucleic Acids Res. 32(12), e98 (2004)等を参照することができる)。
上述のヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子は、その遺伝子がコードする酵素の立体選択性、酵素活性等が損失されない限り、塩基の欠失、付加、挿入又は置換等の変異が含まれていても構わない。例えば、配列番号1記載のヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列に対して、1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失及び/又は付加した配列であって、且つヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である。また、配列番号2記載のヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子に対して、相補な配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つ当該活性を有するDNAであっても構わない。ここで「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーション時の洗浄時に、塩濃度が300〜2000mM、温度が40〜75℃、好ましくは塩濃度が600〜900mM、温度が65℃の条件を意味する。
ニトリラーゼ遺伝子としては、ニトリラーゼの立体選択性が低いかまたは当該する生成物の選択性に偏っていれば特に制限はない。例えばBradyrhizobium japonicum USDA110株由来のニトリラーゼ遺伝子や自然環境中のDNAからクローニングされた2A4と名付けられたニトリラーゼ遺伝子(図1H 配列番号6)等を挙げることができる。これらの遺伝子配列は文献等に公開されている(それぞれ、非特許文献DNA Res.9 ,189−197(2002)、Robertson, D. E.ら、Appl.Environ.Microbiol.70,2429−2436(2004)およびGenBank accession number AP005958およびAY487473)。
ここで、「立体選択性の低いニトリラーゼ」とは、生成物の光学純度が±20%e.e.以下のもの、好ましくは±10%e.e.以下のものをいう。この場合に使用すべき生成物の光学純度を決定する方法に関しては、例えば、文献 日本化学会編“化学総説6,光学異性体の分離”、学会出版センター(1989)等を参照することができる。
Bradyrhizobium japonicum由来のニトリラーゼ遺伝子については、ニトリラーゼとしてアノテーションされていたものの、これまでニトリラーゼ活性は確認されておらず、本発明に於いて初めてニトリラーゼ活性を有することおよび基質特異性等が明らかとなった。
Bradyrhizobium japonicum由来のニトリラーゼ遺伝子は、常法により染色体DNAを抽出し、遺伝子配列情報をもとに設計したプライマ−を用いてPCR法で当該酵素をコ−ドする遺伝子を増幅することで得ることができる。また、上記のヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子の場合と同様に、遺伝子を人工合成することができる。自然環境中のDNAからクローニングされたニトリラーゼ遺伝子についても、その配列情報を元に遺伝子を人工合成すればよい。
上述のニトリラーゼ遺伝子は、その遺伝子がコードする酵素の立体選択性、酵素活性等が損失されない限り、塩基の欠失、付加、挿入又は置換等の変異が含まれていても構わない。例えば、配列番号3記載のニトリラーゼのアミノ酸配列に対して、1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失及び/又は付加した配列であって、且つニトリラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である。また、配列番号4記載のニトリラーゼ遺伝子の配列に対して、相補な配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つ当該活性を有する遺伝子であっても構わない。ここで「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーション時の洗浄時に、塩濃度が300〜2000mM、温度が40〜75℃、好ましくは塩濃度が600〜900mM、温度が65℃の条件を意味する。
次に、上述のヒドロキシニトリルリア−ゼおよびニトリラーゼを発現させるための宿主―ベクター系の選択を行う。
宿主に導入するベクターとしては、上記の酵素遺伝子を保持し、且つ複製可能であれば、特段の制約を受けるものではなく、それぞれの宿主に適したベクターを使用することができる。例えば、プラスミドDNA、バクテリオファージ等が挙げられる。
プラスミドDNAとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(pBR322、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119、pBluescriptなどのColE系プラスミド等)、放線菌由来のプラスミド(pIJ486等)、酵母由来のプラスミド(YEp13、YEp 24、Ycp50等)が挙げられる。ファージDNAとしては、λファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11等)、レトロトランスポゾンDNA、人工染色体DNA等が挙げられる。
宿主としては、上記の酵素遺伝子が発現するものであれば良い。例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、大腸菌、枯草菌、酵母、カビ、植物等を挙げることができる。好ましくは、大腸菌及びロドコッカス属細菌である。
大腸菌宿主としては、例えば大腸菌K12株やB株、あるいはそれら野生株由来の派生株であるJM109株、XL1-Blue株、C600株、W3110株等を挙げることができる。その他、これら菌株の変異体、組換え体および遺伝子工学的手法による誘導体等も用いられ得る。
ロドコッカス属細菌としては、例えばロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)ATCC 12674株やロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J-1株(FERM BP-1478)等を挙げることができる。
以下、より詳細に形質転換(導入)体(以下、単に「形質転換体」と称す)の作成方法について説明する。
プラスミドDNAは、宿主細胞中にてプラスミドが増殖するために必要なDNA配列、プロモ−タ−、リボソーム結合配列、転写タ−ミネ−タ−、更に好ましくは形質転換体の選択マ−カ−となる遺伝子を含む。
プロモーター配列としては、大腸菌由来のトリプトファンオペロンのtrpプロモーター・ラクトースオペロンのlacプロモーター・ラムダファージ由来のPLプロモーターおよびPRプロモーターや、枯草菌由来のグルコン酸合成酵素プロモーター(gnt)・アルカリプロテアーゼプロモーター(apr)・中性プロテアーゼプロモーター(npr)・α−アミラーゼプロモーター(amy)等を挙げることができる。また、tacプロモーター・trcプロモーターのように独自に改変・設計された配列も利用できる。
リボソーム結合配列としては、SD配列やKozak配列が知られており、これらの配列を変異遺伝子の上流に挿入することができる。原核生物を宿主に用いるときにはSD配列を、真核細胞を宿主に用いるときにはKozak配列をPCR法等により付加してもよい。SD配列としては、大腸菌由来、ロドコッカス属細菌または枯草菌由来の配列等を挙げることができるが、所望の宿主内で機能する配列であれば特に限定されるものではない。例えば、16SリボゾームRNAの3’末端領域に相補的な配列が4塩基以上連続したコンセンサス配列をDNA合成により作成してこれを利用してもよい。
転写終結配列は必ずしも必要ではないが、ρ因子非依存性のもの、例えばリポプロテインターミネーター・trpオペロンターミネーター等が利用できる。選択マ−カ−としては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子等を挙げることができる。
大腸菌を宿主に用いた場合には、特に有用なベクターとしては、pTrc99A、pKK233−2、pFY529、pET−12、pET−26b等が例示される。これらベクターにヒドロキシニトリルリア−ゼおよびニトリラーゼをコ−ドする遺伝子断片を組み込むには、これらを含むDNAを適当な制限酵素で切断し、必要であれば適当なリンカ−を付加した後、適当な制限酵素で切断したベクターと結合させることにより行うことができる。ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子およびニトリラーゼ遺伝子は、何れの順に結合させてもよい。また、ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子発現プラスミドおよびニトリラーゼ遺伝子発現プラスミドとを別々に作成した後、これらを同じ宿主に導入して、ヒドロキシニトリルリアーゼおよびニトリラーゼを発現する組換え体を作成してもよい。この場合、両ベクターは不和合性を持たないように選択しなければならない。
かくして得られた発現プラスミドを宿主細胞に導入すれば、ヒドロキシニトリルリア−ゼおよびニトリラーゼを高度に発現する形質転換体が得られる。当該形質転換体を培養することにより、細胞内にこれらの酵素を発現・蓄積させることができる。
発現ベクターの導入方法としては、DNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレ−ション法等を挙げることができる。酵母を宿主とする場合は、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)等を用いることができる。酵母への発現プラスミドの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレ−ション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等を挙げることができる。
次に上記のごとく作成した形質転換体を培養する方法を説明する。培養に際し使用する培地には特に制限は無く、宿主菌が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。また培養条件に関しても、形質転換体が生育、増殖可能で且つ酵素産生が良好に行える条件を選択し、培養すればよい。
使用する培地として、炭素源としては、グルコ−ス、ガラクト−ス、フラクト−ス、スクロ−ス、ラフィノ−ス、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノ−ル、プロパノ−ル、グリセリン等のアルコ−ル類を挙げることができる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物を挙げることができる。その他、ペプトン、肉エキス、コ−ンスティ−プリカ−、酵母エキス、各種アミノ酸等を用いてもよい。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等を挙げることができる。その他、ビタミン等が必要に応じて適宜添加してもよい。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
プロモ−タ−として誘導性のプロモ−タ−を用いた発現プラスミドで形質転換した微生物を培養する場合は、必要に応じてインデュ−サ−を培地に添加してもよい。例えば、イソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)で誘導可能なプロモ−タ−を有する発現プラスミドで形質転換した微生物を培養するときには IPTG等を培地に添加することができる。また、インド−ル酢酸(IAA)で誘導可能なtrpプロモ−タ−を用いた発現プラスミドで形質転換した微生物を培養するときにはIAA等を培地に添加することができる。
大腸菌の培養に際し、通常の固体培養法で培養してもよいが、可能な限り液体培養法を採用して培養することが好ましい。培養に用いる培地としては、例えば、酵母エキス、トリプトン、ポリペプトン、コ−ンスティ−プリカ−、大豆若しくは小麦ふすまの浸出液等の1種以上の窒素源に、塩化ナトリウム、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄若しくは硫酸マンガン等の無機塩類の1種以上を添加し、更に必要により糖質原料、ビタミン等を適宜添加したものを用いることができる。なお、培地の初発pHは7〜9に調整することが適当である。また、培養は、5℃〜40℃、好ましくは10℃〜37℃で5〜100時間行う。通気攪拌深部培養、振盪培養、静置培養、流加培養等により実施することが好ましい。
次に、上記のごとく調製した形質転換体をカルボニル化合物およびシアニドドナーに接触させることによる、光学活性α−ヒドロキシカルボン酸の製造方法を説明する。
本反応で使用するカルボニル化合物とは、下記式(1)で示すアルデヒド又はケトンをいう。
1−CO−R2 (I)
で示される化合物をいう。
式Iにおいて、R1及びR2は、互いに異なり、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20(C1〜C20)の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20(C1〜C20)のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20(C6〜C20)のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20(C7〜C20)のアルキルアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20(C2〜C20)のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基又は水酸基である。但し、R1及びR2が同時に水素原子となることはない。また、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基であってもよい。
前記炭化水素基中、−CH2−及び−CH3のCH2はカルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられていてもよく、=CH2は=O又は=Sで置き換えられていてもよく、また−CH2−のC−H、−CH3のC−H、>CH−のC−H、=CH−のC−H及び=CH2のC−Hは、N又はC−ハロゲンで置き換えられていてもよく、また、R1及びR2は、共同して非対称の2価の基を表してもよい。ハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭化水素基は、飽和又は不飽和の非環式であっても飽和又は不飽和の環式であってもよい。炭化水素基が非環式の場合には、直鎖状でも分岐状でもよい。炭化水素基には、C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C4〜C20アルキルジエニル基、C6〜C18アリール基、C6〜C20アルキルアリール基、C6〜C20アリールアルキル基、C4〜C20シクロアルキル基、C4〜C20シクロアルケニル基、(C3〜C10シクロアルキル)C1〜C10アルキル基などが含まれる。
1〜C20アルキル基は、C1〜C10アルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
2〜C20アルケニル基は、C2〜C10アルケニル基であることが好ましい。アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチルアリル基、2-ブテニル基等が挙げられる。
2〜C20アルキニル基は、C2〜C10アルキニル基であることが好ましい。アルキニル基としては、例えばエチニル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられる。
4〜C20アルキルジエニル基は、C4〜C10アルキルジエニル基であることが好ましい。アルキルジエニル基としては、例えば1,3-ブタジエニル基等が挙げられる。
6〜C18アリール基は、C6〜C10アリール基であることが好ましい。アリール基としては、例えばフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
6〜C20アルキルアリール基は、C6〜C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基としては、例えばo-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,3-キシリル基、2,4-キシリル基、2,5-キシリル基、o-クメニル基、m-クメニル基、p-クメニル基、メシチル基等が挙げられる。
6〜C20アリールアルキル基は、C6〜C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、エチルベンジル基、メチルフェネチル基、ジメチルフェネチル基、ジエチルベンジル基等が挙げられる。
4〜C20シクロアルキル基は、C4〜C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
4〜C20シクロアルケニル基は、C4〜C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基としては、例えばシクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
1〜C20アルコキシ基は、C1〜C10アルコキシ基であることが好ましい。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。
6〜C20アリールオキシ基は、C6〜C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基としては、例えばフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
7〜C20アルキルアリールオキシ基は、C7〜C12アルキルアリールオキシ基であることが好ましい。アルキルアリールオキシ基としては、例えばメチルフェニルオキシ基、エチルフェニルオキシ基、プロピルフェニルオキシ基、ブチルフェニルオキシ基、ジメチルフェニルオキシ基、ジエチルフェニルオキシ基、ジプロピルフェニルオキシ基、ジブチルフェニルオキシ基、メチルエチルフェニルオキシ基、メチルプロピルフェニルオキシ基、エチルプロピルフェニルオキシ基等が挙げられる。
2〜C20アルコキシカルボニル基は、C2〜C10アルコキシカルボニル基であることが好ましい。アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2-メトキシエトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基としては、例えばアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、フェニルアミノ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいシリル基としては、例えばジメチルシリル基、ジエチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリフェノキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、ジメチルフェノキシシリル基、メチルメトキシフェニル基等が挙げられる。
前記式Iで示されるカルボニル化合物としては、例えば、ベンズアルデヒド、m−フェノキシベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、2,3−メチレンジオキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フルフラール等の芳香族アルデヒド;アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;エチルメチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルプロピルケトン、イソプロピルメチルケトン、メチルペンチルケトン、メチル(2−メチルプロピル)ケトン、メチル(3−メチルブチル)ケトン等の飽和脂肪族ケトン;メチル(2−プロペニル)ケトン、(3−ブテニル)メチルケトン等の不飽和脂肪族ケトン;(3−クロロプロピル)メチルケトン等のアルキル(ハロアルキル)ケトン;2−(アルコキシカルボニルアミノ)−3−シクロヘキシルプロピオンアルデヒド等の2−(保護アミノ)アルデヒド;3−メチルチオプロピオンアルデヒド等のアルキルチオ脂肪族アルデヒドが挙げられる。
シアニドドナーとは、反応系へ添加することによって、シアニド、すなわちシアン化物イオン(CN−)を生じる物質を意味し、例えば、HCN、シアン化ナトリウム(NaCN)やシアン化カリウム(KCN)等のシアン化水素の塩、又は、アセトンシアノヒドリン等のシアノヒドリン類を挙げることができる。特に、無機塩や副生物が生じないHCNを用いることが好ましい。
形質転換体は、培養液、培養濃縮菌体、培養濃縮菌体洗浄物、培養濃縮菌体懸濁物、培養菌体を固定化したもの等の形態で使用される。操作の簡便性、容易性、反応効率の点から、培養濃縮菌体を緩衝液で洗浄後、同緩衝液で懸濁させたものを使用することが好ましい。
本反応において、pHは、例えば、キャッサバ(Manihot esculenta)由来のヒドロキシニトリルリアーゼであれば、反応pH領域は、pH3.5〜pH7、至適pHはpH4.5〜pH6である。また、Bradyrhizobium japonicum由来のニトリラーゼ(配列番号3)および2A4ニトリラーゼ(配列番号5)であれば、反応pH領域が少なくともpH3.5以上である。よって、pH3.5〜pH7、更に好ましくはpH4〜pH6で反応を実施する。
反応温度は、使用するヒドロキシニトリルラーゼおよびニトリラーゼの至適反応温度や、製造するα−ヒドロキシカルボン酸、原料のカルボニル化合物、およびシアニドドナーの安定性を考慮して設定する。例えば、マンデル酸を製造する反応では、10〜45℃が好ましく、更に好ましくは15〜40℃である。
反応溶媒は、水系、有機溶媒系、水−有機溶媒二相系、いずれの条件でもヒドロキシニトリルリアーゼおよびニトリラーゼがともに作用する条件であれば限定されるものではない。形質転換体の培養菌体を固定化せずに用いる場合には、水系であることが好ましい。
カルボニル化合物、シアニドドナーの添加方法は、例えば、反応開始時にカルボニル化合物、シアニドドナー全量を添加する方法、予め反応溶媒にカルボニル化合物を全量添加し、シアニドドナーを連続、又は分割して添加する方法、あるいは、シアニドドナーを予め反応溶媒に添加し、カルボニル化合物を連続、又は分割して添加する方法などが挙げられる。
反応終了液からのα―ヒドロオキシカルボン酸の回収方法については、特に限定されないが、例えば、反応溶液から有機溶媒を用いて抽出し、さらに必要に応じて水洗した後、溶媒を蒸発・乾固することにより、目的とするα−ヒドロキシカルボン酸を単離することができる。また、反応終了液から形質転換体をろ過、遠心などにより除去した後、水系、有機溶媒系あるいは水系―有機溶媒で晶析させる方法などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
(ヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子の取得)
(1)PCRによるヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子の作製
非特許文献1およびGenBank accession number Z29091記載の塩基配列(配列番号2)を元に、キャッサバ(Manihot esculenta)のヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子をPCR法により合成した。具体的には、20種のオリゴヌクレオチドF01〜F10およびR01〜R10(配列番号7〜26)を設計および合成した。
オリゴヌクレオチドに相補的に設定された20種のオリゴヌクレオチドは、それぞれ約20塩基ずつ重なるように設計した(図2A、図2B、及び図2C)。
凍結乾燥されたオリゴヌクレオチドを蒸留水で再懸濁し、100 pmol/μlとした。20種のオリゴヌクレオチド溶液のそれぞれから1μlずつ集めてミックスオリゴを作製した。この混合液をPCR-mix(Pwo 10×緩衝液、dNTP mix、Pwo DNAポリメラ−ゼ(Boehringer Mannheim)に下記(表1)の用量で加えた。
(表1)PCR反応液の組成
Figure 2008061547
PCRは、94℃で30秒、52℃で30秒、72℃で30秒のセットを55サイクル行い、オリゴヌクレオチドを伸長させて、遺伝子を合成した(1st PCR)。
次に、上記のように作製した合成遺伝子の増幅を行った(2nd PCR)。上記のA、B、Cの反応産物1.3μlに、5μlのPwo 10×緩衝液、5μlのdNTP mix、0.5μlのPwo DNAポリメラ−ゼ、36.2μlの蒸留水および1μlの外側プライマ−を添加した。外側プライマ−として、F01(配列番号7)およびR01(配列番号17)のプライマ−を用いた。2nd PCRは、94℃で30秒、50℃で30秒、72℃で60秒のセットを23サイクル行い、遺伝子を増幅した。1.5%アガロ−スゲル電気泳動により、約1kbの増幅産物を確認した。
(2)ヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子のクロ−ニング
(1)で得られた約1kbの増幅産物のバンドをQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)で精製した。精製したDNAを制限酵素BamHI(オリゴヌクレオチドF01中に切断認識部位が含まれる)およびKpnI(オリゴヌクレオチドR01中に切断認識部位が含まれる)で消化し、フェノ−ル抽出・クロロホルム抽出・エタノ−ル沈殿により精製した。精製したDNA(5μl)、BamHIおよびKpnIで予め消化しておいたベクターpUC19(タカラバイオ(株))(1μl)、蒸留水(4μl)およびsolution I(DNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ(株)))(10μl)を混合し12時間、16℃でインキュベ−トすることで増幅産物とベクターを結合した。
大腸菌JM109株をLB培地(1% バクトトリプトン、0.5%バクトイ−ストエキス、0.5% NaCl)1mlに接種し37℃、5時間好気的に前培養し、この培養物 0.4mlをSOB培地 40ml(2%バクトトリプトン、0.5%バクトイ−ストエキス、10mM NaCl、2.5mM KCl、1mM MgSO4、1mM MgCl2)に加え、18℃で20時間培養した。この培養物を遠心分離により集菌した後、冷TF溶液(20mM PIPES−KOH(pH 6.0)、200mM KCl、10mM CaCl、40mM MnCl)を13ml加え、0℃で10分間放置した。その後、再度遠心し、上澄を除いた後、沈殿した大腸菌を冷TF溶液 3.2mlに懸濁し、0.22mlのジメチルスルフォキシドを加え0℃で10分間放置した。
こうして作製したコンピテントセル 200μl に工程(1)で作製したクローニング産物を10μl加え、0℃で30分放置後、42℃で30秒間ヒ−トショックを与え、0℃で2分間冷却後、SOC 培地(20mM グルコ−ス、2%バクトトリプトン、0.5%バクトイ−ストエキス、10mM NaCl、2.5mM KCl、1mM MgSO、1mM MgCl)1ml を添加して37℃にて1時間振盪培養した。
培養後、200μlずつLBAmp寒天培地(アンピシリン 100mg/L、1.5%寒天を含有するLB培地)に塗布し、さらに37℃で培養した。寒天培地上に生育した形質転換体コロニ−複数個を1.5mlのLBAmp培地(アンピシリン 100mg/Lを含有するLB培地)にて37℃で一晩培養し、集菌後、Flexi Prep(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いてプラスミドDNAを回収した。
得られた組換えプラスミドDNAの塩基配列を、プライマ−としてオリゴヌクレオチドF01〜F10およびR01〜R10を用い、CEQ DTCS Quick Start Kitおよび蛍光シ−ケンサCEQ 2000XL DNA Analysis system(いずれもBECKMAN COULTER、米国)を用いて解析した。
解析したプラスミドDNAの内、配列番号2のキャッサバ(Manihot esculenta)由来のヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子の塩基配列と同一の配列を有するプラスミドDNAのひとつをpUMEと命名した。
実施例2
(ヒドロキシニトリルリア−ゼ発現プラスミド、および該プラスミドを含むヒドロキシニトリルリア−ゼ発現大腸菌組換え体の作製)
(1)ヒドロキシニトリルリア−ゼ発現プラスミドの作製
実施例1で得られたヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子のDNA断片を、pKK233-2(Centraalbureau voor Schimmelcultures(CBS)、オランダ;http://www.cbs.knaw.nl/)の誘導体であるpKK233-2(+Sse)のNcoI-Sse8387I部位に挿入し、pKK233-2をベースとしたヒドロキシニトリルリアーゼ発現ベクターpOXN103を以下のようにして作製した。
まず、ヒドロキシニトリルリアーゼをコードするDNA断片を、発現ベクターに容易に導入可能な制限酵素認識部位を両端に有する形となるよう、PCR法により増幅した。PCR用の反応混合物は、5μlのPwo 10×バッファー、5μlのdNTP mix、0.5μlのPwo DNAポリメラーゼ、36.2μlの蒸留水、1μlのセンスおよびアンチセンスプライマー、並びに鋳型としてプラスミドpUMEを1μl添加したものを用いた。PCRは、95℃で2分の変性を行った後、94℃で30秒、50℃で30秒、72℃で2分を30サイクル行った。センスプライマーOXYN−06(配列番号48)は、29ヌクレオチドからなり、その配列中にNcoI認識部位およびヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子のATG開始コドン以降を含む。また、アンチセンスプライマーOXYN−09(配列番号49)は、33ヌクレオチドからなり、その配列中にSse8387I認識部位を含む。
OXYN−06:ccaccatggtaactgcacattttgttctg(配列番号48;下線部は制限酵素NcoI認識部位を示す)
OXYN−09:ggcctgcaggttaacttaataggagctaaaagc(配列番号49;下線部は制限酵素Sse8387I認識部位を示す)
得られた増幅PCR産物は、Sse8387Iで消化後、NcoIによって部分消化した。アガロースゲル電気泳動で分離し、植物コドン野生型ヒドロキシニトリルリアーゼ全長を含むバンド(約0.8kb)のゲルを切り出した。該ゲル中の増幅産物をQIAquick Gel Extraction Kitで精製した。
次いで、発現用ベクターpKK233-2(+Sse)を以下のように調製した。pKK233-2 5μlをHindIII(1μl)で消化後、フェノール抽出・クロロホルム抽出・エタノール沈殿により精製した。次いで、DNA Blunting Kit(タカラバイオ(株))を用いて末端を平滑処理した。該処理液を再度フェノール抽出・クロロホルム抽出・エタノール沈殿により精製した。精製した発現ベクター(5μl)をShrimp Alkaline Phosphatase(タカラバイオ(株))を用いて脱リン酸化処理した。該処理液を再度エタノール沈殿により精製した。精製したベクターDNA(5μl)、アニーリング済みSse8387Iリン酸化リンカーpSse8387I(タカラバイオ(株))(5μl)およびsolution I(DNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ(株)))(10μl)を混合してライゲーション混合物を作った。該混合物を12時間、16℃でインキュベートすることでリンカーとベクターを結合した。実施例1(2)と同様の操作により、大腸菌JM109株の形質転換を行った。生育したコロニーより組換えベクターを回収した。回収した組換えベクターに対してSse8387I消化反応を行い、直鎖状に消化されることが確認されたものをpKK233-2(+Sse)とした。pKK233-2(+Sse)を制限酵素NcoIとSse8387Iで消化後、フェノール抽出・クロロホルム抽出・エタノール沈殿により精製した。
上述のヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子のDNA断片(5μl)と発現ベクターpKK233-2(+Sse)(5μl)を混合した。該混合液にsolution I(DNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ(株)))(10μl)を添加してライゲーション混合物を作った。この混合物を12時間、16℃でインキュベートすることでリンカーとベクターを結合した。実施例1(2)と同様の操作により、大腸菌JM109株の形質転換を行い、生育コロニーより組換えベクターを回収した。ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子のDNA断片が正しく発現ベクターに連結された組換えベクターを確認し、ヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミドpOXN103と命名した。
(2)2番目のコドンが置換されたヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミドの作製
ヒドロキシニトリルリア−ゼの2番目のアミノ酸であるバリンをイソロイシンに置換したヒドロキシニトリルリア−ゼをコ−ドするDNA断片を、発現ベクターに容易に導入可能な制限酵素認識部位が付加された形となるようPCR法により作製した。PCRは(1)と同様の条件にて行った。センスプライマ−は、OXYN-10(配列番号50;33ヌクレオチドからなり、その配列中にBspHI認識部位およびヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子のATG開始コドン以降を有し、2番目のアミノ酸に対応するコドンはATCでイソロイシンをコ−ドする)である。また、アンチセンスプライマ−は、OXYN-09(配列番号49、34ヌクレオチドからなり、その配列中にSse8387I認識部位およびヒドロキシニトリルリア−ゼ遺伝子の終止コドンを含む)である。
センスプライマ−OXYN−10:
ATTTCCATCATGATCACTGCACATTTTGTTCTG(配列番号50;下線部は制限酵素BspHI認識部位を示す)
アンチセンスプライマ−OXYN−09:
GGCCTGCAGGTTAACTTAATAGGAGCTAAAAGC(配列番号49;下線部は制限酵素Sse8387I認識部位を示す)
PCRにより得られた増幅PCR産物は、BspHIおよびSse8387Iによって消化し、アガロ−スゲル電気泳動で分離し、その後QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。
本DNA断片を(1)と同様の方法により、pKK233-2(+Sse)のNcoIおよびSse8387I認識部位に挿入して、プラスミドpOXN103V2Iを得た。
(3)第2番目のアミノ酸バリンがアルギニンに置換されたヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミドの作製
ヒドロキシニトリルリアーゼの第2番目のアミノ酸であるバリンがアルギニンに置換されたヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミドpOXN103V2Rを、(1)で作製したプラスミドpOXN103を鋳型とし、QuikChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン社製)による部位特異的変異導入法により作製した。変異導入用プライマーには以下を用いた。
センスプライマーOXYN−45:
aaacagacca tgcgtactgc acattttg(配列番号51:28ヌクレオチド、OXYN−46と相補的な配列を有し、第2番目のアミノ酸に対応するコドンはCGTでアルギニンをコードする)
アンチセンスプライマーOXYN−46:
caaaatgtgc agtacgcatg gtctgttt(配列番号52:28ヌクレオチド、OXYN−45と相補的な配列を有する)
実施例3
(ヒドロキシニトリルリア−ゼ発現形質転換体の活性評価)
(1)細胞抽出液の調製
実施例2で作製したヒドロキシニトリルリア−ゼ発現プラスミドにより大腸菌JM109株を形質転換し、ヒドロキシニトリルリアーゼ発現形質転換体JM109/pOXN103、JM109/pOXN103V2IおよびJM109/pOXN103V2Rを得た。これらを、以下に示すLB培地(500ml容三角フラスコ中の100ml)で30℃で24時間培養した。
培地組成
トリプトン 10g/L
酵母エキス 5g/L
NaCl 10g/L
アンピシリン 50mg/L
IPTG 1mM(終濃度)
得られた培養液から遠心分離(3,700×g、10分間、4℃)により菌体を回収し、10mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、同緩衝液に懸濁した。得られた菌体懸濁液を、超音波破砕機VP−15S(タイテック、日本)を用いて、出力コントロ−ル4、DUTY CYCLE 40%、PULS、TIMER=Bモ−ド10sの条件で氷冷紙ながら3分間破砕した。破砕した菌体懸濁液を細胞抽出液全画分として採取した。次に遠心分離を行い(10,000×g、5分間、4℃)、得られた上清を細胞抽出液可溶性画分として採取した。得られた細胞抽出液可溶性画分を用い、特許文献1記載の方法によりヒドロキシニトリルリア−ゼ活性を測定した。すなわち、25℃およびpH5.0の条件下、ラセミ体マンデロニトリルからベンズアルデヒドの生成を経て追跡した。酵素溶液50μlを、50mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)900μlと混合し、基質溶液100μl(毎回新たに調製される10mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.5)中で37.5mMラセミ体マンデロニトリル)を添加して活性測定を開始した。280nmでの吸光の増加(対照として酵素非含有基質溶液で測定)を5分間追跡した。1Uは上記条件下でラセミマンデロニトリルから1分間あたりベンズアルデヒド1μmolの変換を触媒する酵素量に相当する。
その結果、JM109/pOXN103、JM109/pOXN103V2IおよびJM109/pOXN103V2Rの細胞抽出液化可溶性画分のタンパク質mgあたり比活性(ユニット(U)/mgタンパク質)はそれぞれ 2.72、3.99、16.6であった。
(2)ポリアクリルアミドゲル電気泳動による発現量の解析
(1)で得られた細胞抽出液全画分を、それぞれ菌濃度換算でOD630=12.5となるよう、10mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)で希釈した。希釈した各株由来の細胞抽出液全画分を等量のポリアクリルアミドゲル電気泳動用サンプルバッファ−(0.1M Tris−HCl(pH6.8)、4%w/v SDS、12%v/vβメルカプトエタノ−ル、20%v/vグリセロ−ル、微量ブロモフェノ−ルブル−)と混合し、5分間煮沸し変性処理を行った。10%ポリアクリルアミドゲルを作製し、変性処理済みサンプルを1レ−ンあたり5μlずつアプライし、電気泳動分析を行い、ヒドロキシニトリルリア−ゼは約30kDaのバンドとして観察された。
実施例4
低立体選択的ニトリラーゼ遺伝子の取得およびニトリラーゼ発現形質転換体の作製
(その1):Bradyrhizobium由来のニトリラーゼ様遺伝子の取得
Bradyrhizobium japonicum USDA110株はゲノム配列情報が公開されており、2種のニトリラーゼ様配列を持つ遺伝子がアノテーションされている。しかしながら、これらのニトリラーゼ様遺伝子が真にニトリラーゼ活性を有するかどうかは明らかではなかった。これらの遺伝子はRhodococcus rhodochrous J−1株(FERM BP-1478)、Rhodococcus erythropolis SK−92株(FERM BP-3324)、Alcaligenes faecalis JM3株(FERM P-13277)等由来の入手容易なニトリラーゼ遺伝子とはホモロジーが低く、これらとは性質等が大きく異なる可能性がある。本発明の目的に叶うものであるかどうかを確かめるため、Bradyrhizobium japonicum USDA110株((独)製品評価技術基盤機構 NBRC14792)由来の遺伝子をクローニングし、その活性を調べた。
(1)Bradyrhizobium japonicumからの染色体DNAの調製
寒天培地(0.5%マンニトール、0.1%バクトイ−ストエキス、0.07% KHPO、0.01% KHPO、0.1% MgSO・7HO、1.5% 寒天)上で生育させたBradyrhizobium japonicum USDA110株を10mlの液体培地(0.5%マンニトール、0.1%バクトイ−ストエキス、0.07% KHPO、0.01% KHPO、0.1% MgSO・7HO)に植菌し、30℃にて5日間振盪培養を行った。培養終了後、2mlの培養液より菌体を遠心により回収し、Wizard Genomic DNA Purification Kit(プロメガ株式会社)を用いてゲノムDNA100μlを取得した。
(2)ニトリラーゼ遺伝子の取得と発現プラスミドの作製
ニトリラーゼをコ−ドするDNA断片を、発現ベクターに容易に導入可能な制限酵素認識部位が付加された形となるようPCR法により作製した。PCR用の反応混合物は、5μlの10 x Pfuバッファ−、4μlのdNTP mix(それぞれ2.5mM)、2.5μlのDMSO、1μlのPfu DNAポリメラ−ゼ、30.5μlの蒸留水、1μlのセンスおよびアンチセンスプライマ−、並びに鋳型として上記ゲノムDNAを1μl添加したものを用いた。PCRは、95℃で1分の変性を行った後、95℃で1分、60℃で1分、72℃で10分を30サイクル行った。センスプライマ−は、NLR−13(配列番号53、40ヌクレオチドからなり、その配列中にNcoI認識部位およびニトリラーゼ遺伝子のATG開始コドン以降を有し、2番目のアミノ酸に対応するコドンはGAGでアスパラギン酸をコ−ドする)およびNLR−22(配列番号54、40ヌクレオチドからなり、その配列中にBspHI認識部位およびニトリラーゼ遺伝子のATG開始コドン以降を有し、2番目のアミノ酸に対応するコドンはAAGでリジンをコ−ドする)である。また、アンチセンスプライマ−は、NLR−14(配列番号55、41ヌクレオチドからなり、その配列中にSse8387I認識部位およびニトリラーゼ遺伝子の終止コドンを含む)である。
センスプライマ−NLR−13:
GGCCATGGAGGACACGAAATTCAAAGTCGCGGTCGTTCAG(配列番号53;下線部は制限酵素NcoI認識部位を示す)
センスプライマ−NLR−22:
GGTCATGAAGGACACGAAATTCAAAGTCGCGGTCGTTCAG(配列番号54;下線部は制限酵素BspHI認識部位を示す)
アンチセンスプライマ−NLR−14:
GGCCTGCAGGATCGCGTAGACCGTTCAAGTCTCGGTGAAAG(配列番号55;下線部は制限酵素Sse8387I認識部位を示す)
PCRにより得られた増幅PCR産物は、NcoIおよびSse8387I又はBspHIおよびSse8387Iによって消化し、アガロ−スゲル電気泳動で分離し、その後QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。
実施例2と同様にして、これらの断片をベクターpTrc99AおよびpKK233-2に組込み、発現プラスミドpNLB001(pTrc99A NcoI-Sse8387I断片)、pNLB002(pKK233-2 NcoI-Sse8387I断片)pNLB004(pTrc99A BspHI-Sse8387I断片)およびpNLB010(pKK233-2 BspHI-Sse8387I断片)を作製した。
(3)形質転換体の作製および該形質転換体のニトリラーゼ活性評価
実施例2と同様にして、これらのプラスミドにより大腸菌JM109株を形質転換し、ニトリラーゼ発現形質転換体、すなわち、JM109/pNLB001、JM109/pNLB002、JM109/pNLB004、JM109/pNLB010およびコントロールとしてJM109/pTrc99Aを、実施例3と同様にして培養した。
これらの培養菌体を用いてマンデロニトリルを基質としてニトリラーゼ活性を測定した。
マンデロニトリルを基質とした場合、1.5mlのマイクロチューブ0.5mlの40mM マンデロニトリル水溶液(50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH8.2))を30℃、5分間プレインキュベートし、これに10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)に懸濁された菌体懸濁液を0.5mlを加え混合し、30℃にて30分間反応させる。0.2mlの1Mリン酸を添加することにより反応を停止させ、遠心(15000rpm/5min)により菌体を除去し上清を取得した。0.2mlの上清に1.8mlの25mM リン酸緩衝液(pH8.2)を加えて希釈し、10μlを高速液体クロマトグラフィー(分析カラム 東ソーODS−120A(4.6x250mm)35℃、キャリヤー 0.1%リン酸:アセトニトリル=8:2、UV検出波長=254nm)にて分析した。1分間に1μmolのマンデル酸が生成する活性を1ユニットとした。生成したマンデル酸の光学純度の測定は下記のように行った。上清0.5mlに酢酸エチル0.5mlを加え攪拌後、遠心し、酢酸エチル相を回収した。酢酸エチル相に0.5mlの25mMリン酸緩衝液(pH8.2)を加えて攪拌し、遠心後、酢酸エチル相を得た。遠心エバポレーターにて溶媒を完全に除去し、残渣を100μlの水に溶かし、更に水にて30倍希釈後、5μlを高速液体クロマトグラフィー(分析カラム 三菱化学MCI−GEL CRS10W(4.6x250mm)35℃、キャリヤー 2mM CuSO4:アセトニトリル=85:15、UV検出波長=254nm)にて分析した。結果は表2に示す。
Figure 2008061547
(4)Bradyrhizobiumニトリラーゼ活性に及ぼすpHの影響
緩衝液として、リン酸ナトリウム緩衝液(pH6、6.4、7、8)およびクエン酸緩衝液(pH4、5、6)を用いて、(3)と同様にしてニトリラーゼ活性を測定した。JM109/pNLB004菌体懸濁液を用いた。結果は表3に示す。
Figure 2008061547
実施例5
低立体選択的ニトリラーゼ遺伝子の取得およびニトリラーゼ発現組換え体の作製
(その2):環境中より得られたニトリラーゼ遺伝子の取得
(1)PCRによるニトリラーゼ遺伝子の作製
Robertson, D. E.ら、Appl. Environ. Microbiol.70,2429−2436(2004)記載およびGenBank accession number AY487473の塩基配列を元に、2A4ニトリラーゼ遺伝子をPCR法により合成した。具体的には、20種のオリゴヌクレオチドSNY509F01〜SNY509F10およびSNY509R01〜SNY509R11(配列番号27〜47)を設計および合成した。オリゴヌクレオチドに相補的に設定された20種のオリゴヌクレオチドは、それぞれ約20塩基ずつ重なるように設計した(図3)。これらのオリゴヌクレオチドを用い実施例1と同様にして遺伝子を合成した。こうして得られた目的の配列を有するプラスミドDNAのひとつをpSYN590と命名した。
(2)ニトリラーゼ発現プラスミドpNLA001およびpNLA010の作製
ニトリラーゼをコ−ドするDNA断片を、発現ベクターに容易に導入可能な制限酵素認識部位が付加された形となるようpSYN590を鋳型としてPCR法により作製した。PCR用の反応混合物は、PCR用の反応混合物は、5μlの10 x Pfu Turboバッファ−、4μlのdNTP mix(それぞれ2.5mM)、2.5μlのDMSO、1μlのPfu Turbo DNAポリメラ−ゼ、30.5μlの蒸留水、1μlのセンスおよびアンチセンスプライマ−、並びに鋳型としてプラスミドpSYN159を1μl添加したものを用いた。PCRは、95℃で1分の変性を行った後、95℃で1分、60℃で1分、72℃で10分を30サイクル行った。センスプライマ−は、NLR−19(配列番号56、30ヌクレオチドからなり、その配列中にNcoI認識部位およびニトリラーゼ遺伝子のATG開始コドン以降を有し、2番目のアミノ酸に対応するコドンはGCTでアラニンをコ−ドする)である。また、アンチセンスプライマ−は、NLR−21(配列番号57、26ヌクレオチドからなり、その配列中にSse8387I認識部位およびニトリラーゼ遺伝子の終止コドンを含む)である。
センスプライマ−NLR−19:
AGACCATGGCTGAAACAGCCTTCAAGATCG(配列番号56;下線部は制限酵素NcoI認識部位を示す)
アンチセンスプライマ−NLR−21:
ATGCCTGCAGGTCACTCCGCTTTTGC(配列番号57;下線部は制限酵素Sse8387I認識部位を示す)
PCRにより得られた増幅PCR産物は、NcoIおよびSse8387I又はBspHIおよびSse8387Iによって消化し、アガロ−スゲル電気泳動で分離し、その後QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。
実施例2と同様にして、本断片をベクターpTrc99AおよびpKK233-2に組込み、発現プラスミドpNLA001(pTrc99A NcoI-Sse8387I断片)およびpNLA010(pKK233-2 BspHI-Sse8387I断片)を作製した。
(3)形質転換体の作製および該形質転換体のニトリラーゼ活性評価
これらのプラスミドにより大腸菌JM109株を形質転換し、ニトリラーゼ発現形質転換体、JM109/pNLA001およびJM109/pNLA010を得た。これらの形質転換体およびコントロールとしてJM109/pTrc99Aを、実施例3と同様にして培養し、実施例4と同様にしてマンデロニトリルを基質としてニトリラーゼ活性および生成物であるマンデル酸の光学純度を測定した。結果は表4に示す。
Figure 2008061547
(4)2A4ニトリラーゼ活性に及ぼすpHの影響
緩衝液として、リン酸ナトリウム緩衝液(pH6、6.4、7、8)およびクエン酸緩衝液(pH4、5、6)を用いて、(3)と同様にしてニトリラーゼ活性を測定した。結果は表5に示す。JM109/pNLAO10菌体懸濁液を用いた。
Figure 2008061547
実施例6
(S)選択的ヒドロキシニトリルリアーゼと低立体選択的ニトリラーゼを有する大腸菌形質転換体の作製
(1)(S)選択的ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の下流にBradyrhizobium由来ニトリラーゼ遺伝子を導入したプラスミドの作製
ニトリラーゼをコ−ドするDNA断片を、ヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミドpOXN103V2IおよびpOXN103V2Rのヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の下流に導入可能な制限酵素Sse8387I認識部位が付加された形となるようpNLB001を鋳型として実施例5と同様にPCR法により作製した。センスプライマ−は、NLR−31(配列番号58、38ヌクレオチドからなり、その配列中にPstI認識部位およびニトリラーゼ遺伝子のATG開始コドン以降を有する)およびNLR−33(配列番号59、38ヌクレオチドからなり、その配列中にPstI認識部位およびニトリラーゼ遺伝子のATG開始コドン以降を有し、2番目のアミノ酸に対応するコドンはAAGでリジンをコ−ドする)ある。また、アンチセンスプライマ−は、NLR−12(配列番号60、26ヌクレオチドからなり、その配列中にSse8387I認識部位およびニトリラーゼ遺伝子の終止コドンを含む)である。
センスプライマーNLR−31:
GGCTGCAGAGGAAACAGACCATGCAGGACACGAAATTC(配列番号58;下線部は制限酵素PstI認識部位を示す)
センスプライマーNLR−33:
GGCTGCAGAGGAAACAGACCATGAAGGACACGAAATTC(配列番号59;下線部は制限酵素PstI認識部位を示す)
アンチセンスプライマーNLR−12:
GGCCTGCAGGATCGCGTAGACCGTTCAAGTCTCGGT(配列番号60;下線部は制限酵素Sse8387II認識部位を示す)
PCRにより得られた増幅PCR産物は、PstIによって消化し、アガロ−スゲル電気泳動で分離し、その後QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。
制限酵素Sse8387Iにより切断したヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミドpOXN103V2IおよびpOXN103V2Rに、上記2種の断片をそれぞれライゲーションにより結合させ、ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子とニトリラーゼ遺伝子が組み込まれた発現プラスミドpOXN701(ヒドロキシニトリルリアーゼV2I、野生型Bradyrhizobiumニトリラーゼ)、pOXN703(ヒドロキシニトリルリアーゼV2I、野生型Bradyrhizobiumニトリラーゼ)、pOXN711(ヒドロキシニトリルリアーゼV2R、BradyrhizobiumニトリラーゼQ2K)およびpOXN713(ヒドロキシニトリルリアーゼV2R BradyrhizobiumニトリラーゼQ2K)を作製した。
これらのプラスミドにより大腸菌JM109株を形質転換し、ヒドロキシニトリルリアーゼとニトリラーゼの共発現組換え体、JM109/pOXN701、JM109/pOXN703、JM109/pOXN711およびJM109/pOXN713を作製し、実施例3と同様にして培養した。培養後、実施例3と同様にしてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分析を行い、それぞれヒドロキシニトリルリアーゼおよびBradyrhizobiumニトリラーゼに相当する約30kDaおよび約37kDaのバンドを確認した。
(2)(S)選択的ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の下流に環境DNA由来2A4ニトリラーゼ遺伝子を導入したプラスミドの作製
ニトリラーゼをコ−ドするDNA断片を、ヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミドpOXN103V2IおよびpOXN103V2Rのヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の下流に導入可能な制限酵素Sse8387I認識部位が付加された形となるようpNLA001を鋳型として実施例5と同様にPCR法により作製した。センスプライマ−は、NLR−34(配列番号61、38ヌクレオチドからなり、その配列中にPstI認識部位およびニトリラーゼ遺伝子のATG開始コドン以降を有する)である。また、アンチセンスプライマ−は、NLR−21(配列番号57、26ヌクレオチドからなり、その配列中にSse8387I認識部位およびニトリラーゼ遺伝子の終止コドンを含む)である。
センスプライマーNLR−34:
GGCTGCAGAGGAAACAGACCATGGCTGAAACAGCCTTC(配列番号61;下線部は制限酵素PstI認識部位を示す)
アンチセンスプライマーNLR−21:
ATGCCTGCAGGTCACTCCGCTTTTGC(配列番号57;下線部は制限酵素Sse8387II認識部位を示す)
PCRにより得られた増幅PCR産物は、PstIによって消化し、アガロ−スゲル電気泳動で分離し、その後QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。
制限酵素Sse8387Iにより切断したヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミドに、上記断片をライゲーションにより結合させ、ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子とニトリラーゼ遺伝子が組み込まれた発現プラスミドpOXN721(ヒドロキシニトリルリアーゼV2I、2A4ニトリラーゼS2A)およびpOXN723(ヒドロキシニトリルリアーゼV2R、2A4ニトリラーゼS2A)を作製した。
これらのプラスミドにより大腸菌JM109株を形質転換し、ヒドロキシニトリルリアーゼとニトリラーゼの共発現組換え体、JM109/pOXN721およびJM109/pOXN723を作製し、実施例3と同様にして培養した。培養後、実施例3と同様にしてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分析を行い、ヒドロキシニトリルリアーゼおよび2A4ニトリラーゼに相当する約30kDaおよび約35kDaのバンドを確認した。
(3)Bradyrhizobium由来ニトリラーゼ遺伝子の下流に(S)選択的ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を導入したプラスミドの作製
ヒドロキシニトリルリアーゼをコ−ドするDNA断片を、ニトリラーゼ発現プラスミドpNLB004およびpNLB010のニトリラーゼ遺伝子の下流に導入可能な制限酵素Sse8387I認識部位が付加された形となるようpOXN103V2IおよびpOXN103V2Rを鋳型として実施例5と同様にPCR法により作製した。センスプライマ−は、OXYN−62(鋳型としてpOXN103V2Iを用いた場合)(配列番号62、31ヌクレオチドからなり、その配列中にPstI認識部位およびニトリラーゼ遺伝子のATG開始コドン以降を有し、2番目のアミノ酸に対応するコドンはATCでイソロイシンをコ−ドする、)およびOXYN−63(鋳型としてpOXN103V2Rを用いた場合)(配列番号63、31ヌクレオチドからなり、その配列中にPstI認識部位およびニトリラーゼ遺伝子のATG開始コドン以降を有し、2番目のアミノ酸に対応するコドンはCGTでアルギニンをコ−ドする)ある。また、アンチセンスプライマ−は、OXYN−09(配列番号49、33ヌクレオチドからなり、その配列中にSse8387I認識部位およびニトリラーゼ遺伝子の終止コドンを含む)である。
センスプライマ−OXYN−62:
GGCTGCAGGAAACAGACCATGATCACTGCAC(配列番号62;下線部は制限酵素PstI認識部位を示す)
センスプライマ−OXYN−63:
GGCTGCAGGAAACAGACCATGCGTACTGCAC(配列番号63;下線部は制限酵素PstI認識部位を示す)
アンチセンスプライマ−OXYN−09:
GGCCTGCAGGTTAACTTAATAGGAGCTAAAAGC(配列番号49;下線部は制限酵素Sse8387II認識部位を示す)
PCRにより得られた増幅PCR産物は、PstIによって消化し、アガロ−スゲル電気泳動で分離し、その後QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。
制限酵素Sse8387Iにより切断したニトリラーゼ発現プラスミドpNLB004およびpNLB010に、上記断片をライゲーションにより結合させ、ニトリラーゼ遺伝子とヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子が組み込まれた発現プラスミドpNLB201(ベクターpTrc99A、BradyrhizobiumニトリラーゼQ2K、ヒドロキシニトリルリアーゼV2I)、pNLB203(ベクターpTrc99A、BradyrhizobiumニトリラーゼQ2K、ヒドロキシニトリルリアーゼV2R)、pNLB211(ベクターpKK233-2、BradyrhizobiumニトリラーゼQ2K、ヒドロキシニトリルリアーゼV2I)、pNLB213(ベクターpKK233-2、BradyrhizobiumニトリラーゼQ2K、ヒドロキシニトリルリアーゼV2R)を作製した。
これらのプラスミドにより大腸菌JM109株を形質転換し、ニトリラーゼとヒドロキシニトリルリアーゼの共発現組換え体、JM109/pNLB201、JM109/pNLB203、JM109/pNLB211、およびJM109/pNLB213を作製し、実施例3と同様にして培養した。培養後、実施例3と同様にしてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分析を行い、ヒドロキシニトリルリアーゼおよびBradyrhizobiumニトリラーゼに相当する約30kDaおよび約37kDaのバンドを確認した。
(4)2A4由来ニトリラーゼ遺伝子に(S)選択的ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を導入したプラスミドの作製
制限酵素Sse8387Iにより切断したニトリラーゼ発現プラスミドpNLA001およびpNLA010に、(3)で作製したDNA断片をライゲーションにより結合させ、ニトリラーゼ遺伝子とヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子が組み込まれた発現プラスミドpNLA201(ベクターpTrc99、2A4ニトリラーゼS2A、ヒドロキシニトリルリアーゼV2I)およびpNLA203(ベクターpTrc99、2A4ニトリラーゼS2A、ヒドロキシニトリルリアーゼV2R)pNLA201(ベクターpKK233−2、2A4ニトリラーゼAS2A、ヒドロキシニトリルリアーゼV2I)およびpNLA203(ベクターpKK233−2、2A4ニトリラーゼS2A、ヒドロキシニトリルリアーゼV2R)を作製した。
これらのプラスミドにより大腸菌JM109株を形質転換し、ニトリラーゼとヒドロキシニトリルリアーゼの共発現組換え体、JM109/pNLA201、JM109/pNLA203、JM109/pNLA211およびJM109/pNLA213を作製し、実施例3と同様にして培養した。培養後、実施例3と同様にしてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分析を行い、ヒドロキシニトリルリアーゼおよび2A4ニトリラーゼに相当する約30kDaおよび約35kDaのバンドを確認した。
実施例7
(S)選択的ヒドロキシニトリルリアーゼと低立体選択的ニトリラーゼを有する大腸菌組換え体による、ベンズアルデヒドとKCNからのS−マンデル酸の合成
(1)JM109/pOXN701およびJM109/pOXN703
実施例6で作製した(S)選択的ヒドロキシニトリルリアーゼと低立体選択的ニトリラーゼを有する大腸菌形質転換体JM109/pOXN701およびJM109/pOXN703を用いて、ベンズアルデヒドとKCNからの(S)−マンデル酸の合成を試みた。マイクロチューブに1M−クエン酸緩衝液(pH 5)300μlと蒸留水195μlを加え混合し、20℃にて5分間インキュベートし、5μlのベンズアルデヒド(終濃度47mM)を溶解させ、更に5分間インキュベートした。これに菌体懸濁液400μlを加え攪拌し、20℃にて10分間インキュベートした後、100μlの1MのKCNを加えることにより反応を開始した。30分後に100μlの1Mリン酸を加えて反応を停止させ、遠心(15,000rpm 5分間)により菌体を除去し、上清を実施例4と同様の方法により生成したマンデル酸の分析を行った。
JM109/pOXN701およびJM109/pOXN703は、それぞれ0.39mMおよび2.75mM(比活性6.2および18.8mU/mg dry cell)のマンデル酸を生成していた。
(2)C600/pOXN701およびC600/pOXN703
大腸菌C600株を実施例1に従ってpOXN701およびpOXN703を用いて形質転換を行い、形質転換体C600/pOXN701およびC600/pOXN703を得た。これらをIPTG無添加であることを除けば実施例2と同様にして培養を行い、菌体懸濁液を得た。
マイクロチューブに1M−クエン酸緩衝液(pH 5)300μlと蒸留水100μlを加え混合し、20℃にて5分間インキュベートし、100μlの20mMベンズアルデヒド(終濃度2mM)を加え、更に5分間インキュベートした。これに菌体懸濁液400μlを加え攪拌し、20℃にて10分間インキュベートした後、100μlの100mMのKCN(終濃度10mM)を加えることにより反応を開始した。30分後に100μlの1Mリン酸を加えて反応を停止させ、遠心(15,000rpm 5分間)により菌体を除去し、上清を実施例4と同様の方法により生成したマンデル酸の分析を行った。
C600/pOXN701およびC600/pOXN703は、ベンズアルデヒドを全量消費し、それぞれ1.80mMおよび1.81mM(比活性4.45mU以上、および4.83mU以上/mg dry cell)の、いずれも光学純度100%e.e.のS−マンデル酸を生成していた。
(3)JM109/pOXN711、JM109/pOXN713、JM109/pOXN721およびJM109/pOXN723
実施例6で作製した(S)選択的ヒドロキシニトリルリアーゼとBradyrhizobiumニトリラーゼを有する大腸菌形質転換体JM109/pOXN711およびJM109/pOXN713、および(S)選択的ヒドロキシニトリルリアーゼと2A4ニトリラーゼを有する大腸菌形質転換体JM109/pOXN721およびJM109/pOXN723を実施例6に記載の条件で培養を行ない、菌体懸濁液を得た。これらを用いて、ベンズアルデヒドとKCNからの(S)−マンデル酸の合成を試みた。マイクロチューブに1M−クエン酸緩衝液(pH 4)300μlと蒸留水100μlを加え混合し、20℃にて5分間インキュベートし、100μlの50mMベンズアルデヒド(終濃度5mM)を溶解させ、更に5分間インキュベートした。これに菌体懸濁液400μlを加え攪拌し、20℃にて10分間インキュベートした後、100μlの100mMのKCN(終濃度10mM)を加えることにより反応を開始した。30分後に100μlの1Mリン酸を加えて反応を停止させ、遠心(15,000rpm 5分間)により菌体を除去し、上清を(実施例4)と同様の方法により生成したマンデル酸の分析を行った。
JM109/pOXN711およびJM109/pOXN713は、ベンズアルデヒドを全量消費し、それぞれ4.15mMおよび4.47mM(比活性230mUおよび247mU/mg dry cell以上)の、いずれも光学純度100%e.e.のS−マンデル酸が生成していた。
JM109/pOXN721およびJM109/pOXN723は、それぞれ1.59mMおよび1.35mM(比活性88.4mUおよび74.9mU/mg dry cell以上)の、光学純度はそれぞれ98.9および100%e.e.のS−マンデル酸が生成していた。
(4)基質ベンズアルデヒド濃度の影響(JM109/pOXN711およびJM109/pOXN713)
(3)で得られたJM109/pOXN711およびJM109/pOXN713菌体懸濁液を用いて、ベンズアルデヒド濃度以外は(3)と同様にしてS−マンデル酸の合成を行った。ベンズアルデヒドの終濃度は0.5、1、2および5mMとした。
Figure 2008061547
ベンズアルデヒド濃度が2mM以上の場合に、比活性が低下していることから、本濃度領域では酵素の失活が起こっていると考えられる。S−マンデル酸を高濃度蓄積させるためには、ベンズアルデヒドを5mM以下、できれば2mM以下に維持しながら、分割添加して反応すべきことが明らかとなった。
(5)pHの効果
反応時のpHの影響を調べるために、実施例6で得られたJM109/pNLA201を用いて反応を行った。
マイクロチューブに1M−クエン酸緩衝液(pH4、4.5、5)300μlと蒸留水195μlを加え混合し、20℃にて5分間インキュベートし、5μlのベンズアルデヒド(終濃度47mM)を溶解させ、更に5分間インキュベートした。これに菌体懸濁液400μlを加え攪拌し、20℃にて10分間インキュベートした後、100μlの1MのKCN(終濃度100mM)を加えることにより反応を開始した。30分後に100μlの1Mリン酸を加えて反応を停止させ、遠心(15,000rpm 5分間)により菌体を除去し、上清を実施例4と同様の方法により生成したマンデル酸の分析を行った。
その結果、緩衝液のpH4および5においては反応は進行せず、pH5においてのみ3.1mMのマンデル酸が生成し、その光学純度は42%e.e.(S体)であった。
次に、ベンズアルデヒド濃度を2mMおよびKCN濃度を10mMに下げて、同様の実験を行った。マイクロチューブに1M−クエン酸緩衝液(pH3.5、4、4.5、5)300μlと蒸留水100μlを加え混合し、20℃にて5分間インキュベートし、100μlの20mMベンズアルデヒド(終濃度2mM)を加え、更に5分間インキュベートした。これに菌体懸濁液400μlを加え攪拌し、20℃にて10分間インキュベートした後、100μlの100mMのKCN(終濃度10mM)を加えることにより反応を開始した。30分後に100μlの1Mリン酸を加えて反応を停止させ、遠心(15,000rpm 5分間)により菌体を除去し、上清を実施例4と同様の方法により生成したマンデル酸の分析を行った。その結果、いずれの場合もほぼ全量のベンズアルデヒドが消費され、高い光学純度のS−マンデル酸を生成した。
Figure 2008061547
条件1:47mMベンズアルデヒド−100mM KCN
条件2:2mMベンズアルデヒド−10mM KCN
実施例8
ヒドロキシニトリルリア−ゼ発現プラスミド、および該プラスミドを含むヒドロキシニトリルリア−ゼ発現ロドコッカス組換え体の作製
(1)ヒドロキシニトリルリア−ゼ発現プラスミドの作製
実施例1で得られたキャッサバ由来のヒドロキシニトリルリアーゼの合成遺伝子を鋳型として、実施例4の条件でPCR反応を行い、ロドコッカス発現ベクターpSJ034に挿入するためのDNA断片を得た。センスプライマーとしてOXYN−01(配列番号64、32ヌクレオチドからなり、その配列中にXbaI認識部位およびヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子のATG開始コドン以降を有する)、アンチセンスプライマーとしてOXYN−09(配列番号49、33ヌクレオチドからなり、その配列中にSse8387I認識部位を含む)を用いた。
センスプライマーOXYN−01:
TTTCTAGAATGGTAACTGCACATTTTGTTCTG(配列番号64;下線部は制限酵素XbaI認識部位を示す)
アンチセンスプライマーOXYN−09:
ggcctgcaggttaacttaataggagctaaaagc(配列番号49;下線部は制限酵素Sse8387I認識部位を示す)
以下、実施例1と同様の手法によりヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミドを作製した。PCRにより得られた増幅PCR産物は、XbaIおよびSse8387Iによって消化し、アガロ−スゲル電気泳動で分離し、その後QIAquick Gel Extraction Kitで精製した。制限酵素XbaIおよびSse8387Iにより切断したpSJ034に、上記断片をライゲーションにより結合させ、ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子が組み込まれた発現プラスミドpOXN031を得た。
なお、pSJ034はプラスミドpSJ023より特開平10−337185号明細書記載の方法により作製したものである。pSJ023は形質転換体 R.rhodochrous ATCC12674/pSJ023(FERM BP−6232)として産業総合技術研究所 特許生物寄託センターに寄託されている。
(2)(S)選択的ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子とBradyrhizobium由来ニトリラーゼ遺伝子を有するプラスミドpOXN611およびpOXN612の作製
実施例6(1)で得られた増幅PCR産物をPstIで消化し精製されたDNA断片を、Sse8387Iにより切断したヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミドpOXN031に、ライゲーションにより結合させ、ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子とニトリラーゼ遺伝子が組み込まれた発現プラスミドpOXN611(野生型Bradyrhizobiumニトリラーゼ)およびpOXN612(BradyrhizobiumニトリラーゼQ2K)を作製した。
これらのプラスミドによりロドコッカス ロドクロウスATCC12674株を形質転換し、ヒドロキシニトリルリアーゼとニトリラーゼの共発現組換え体、ATCC12674株/pOXN611およびATCC12674株/pOXN612を作製した。
ATCC12674株の形質転換は次のようにして行った。ATCC12674株の対数増殖期の細胞を遠心分離器により集菌し、氷冷した滅菌水にて3回洗浄し、滅菌水に懸濁した。上記のプラスミド溶液1μlと菌体懸濁液10μlを混合し、氷冷した。これを遺伝子導入装置Gene Pulser(BIO RAD)用キュベットに移し、同装置を用いて2.0KV、200OHMSで電気パルス処理を行った。電気パルス処理液を氷冷下10分静置後、37℃で10分間インキュベートし、MYK培地(0.5%ポリペプトン、0.3%バクトイーストエキス、0.3%バクトモルトエキス、0.2%K2 HPO4、0.2% KH2 PO4)500μl を加え、30℃、5時間静置した後、50μg/mlカナマイシン入りMYK寒天培地に塗布し、30℃、3日間培養した。得られたコロニーを培養し、プラスミドが導入されていることを確認した。
培養は、次のように行った。カナマイシン(50mg/L)を含むMYK培地10mlに植菌し、30℃にて24時間前培養を行った。培養液を1ml取り100mlの同培地に加え、30℃にて48時間振盪培養した。得られた培養液から遠心分離(3,700×g、10分間、4℃)により菌体を回収し、10mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、同緩衝液に懸濁した。
培養後、実施例3と同様にしてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分析を行い、それぞれヒドロキシニトリルリアーゼおよびBradyrhizobiumニトリラーゼに相当する約30kDaおよび約37kDaのバンドを確認した。
比較例1
(S)選択的ヒドロキシニトリルリアーゼを有する組換え体と低立体選択的ニトリラーゼを有する組換え体を含む反応系による、ベンズアルデヒドとKCNからのS−マンデル酸の合成
実施例3で得られたヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するJM109/pOXN103V2Rの菌体懸濁液、および実施例4で得られたニトリラーゼ活性を有するJM109/pNLB010の菌体懸濁液を用いて、実施例7と同様にしてベンズアルデヒドとKCNからのS−マンデル酸の合成を行った。
マイクロチューブに1M−クエン酸緩衝液(pH 5)300μlと蒸留水100μlを加え混合し、20℃にて5分間インキュベートし、100μlの20mMベンズアルデヒド(終濃度2mM)を加え、更に5分間インキュベートした。これに菌体懸濁液各々200μlずつを加え攪拌し、20℃にて10分間インキュベートした後、100μlの100mMのKCN(終濃度10mM)を加えることにより反応を開始した。30分後に100μlの1Mリン酸を加えて反応を停止させ、遠心(15,000rpm 5分間)により菌体を除去し、生成したマンデル酸の分析を行った。その結果、ベンズアルデヒドは全量消費され、1.80mMの光学純度85.0%e.e.のS−マンデル酸を生成していた。
本発明で用いるアミノ酸配列の一例を示す図である。 本発明で用いるアミノ酸配列の一例を示す図である。 本発明で用いる遺伝子配列の一例を示す図である。 本発明で用いるアミノ酸の一例を示す図である。 本発明で用いるアミノ酸の一例を示す図である。 本発明で用いる遺伝子配列の一例を示す図である。 本発明で用いるアミノ酸の一例を示す図である。 本発明で用いるアミノ酸の一例を示す図である。 本発明で用いる遺伝子配列の一例を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 本発明で用いる種々の遺伝子配列を示す図である。 実施例1におけるヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の作製法を示す模式図である。 実施例1におけるヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の作製法を示す模式図である。 実施例1におけるヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子の作製法を示す模式図である。 実施例5における2A4ニトリラーゼ遺伝子の作製法を示す模式図である。 実施例5における2A4ニトリラーゼ遺伝子の作製法を示す模式図である。

Claims (17)

  1. ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子、ニトリラーゼをコードする遺伝子が導入された形質転換微生物。
  2. 立体選択的ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子、および立体選択性の低いまたは該ヒドロキシニトリルリアーゼと同じ立体選択性を有するニトリラーゼをコードする遺伝子が導入された形質転換微生物。
  3. ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターと、ニトリラーゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターとから得られる請求項1又は2記載の微生物。
  4. ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子、およびニトリラーゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターから得られる請求項1又は2記載の微生物。
  5. ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子が、Manihot esculenta由来の遺伝子である、請求項3又は4記載の発現ベクター。
  6. ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子が、以下のいずれかの遺伝子である、請求項3又は4記載のベクター。
    (a) 配列番号2で示す遺伝子。
    (b) 配列番号2で示す遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
  7. ニトリラーゼをコードする遺伝子がBradyrhizobium japonicum由来の遺伝子である請求項3〜6のいずれかに記載のベクター。
  8. ニトリラーゼをコードする遺伝子が、以下のいずれかの遺伝子である請求項3〜6のいずれかに記載のベクター。
    (a) 配列番号3で示す遺伝子。
    (b) 配列番号3で示す遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
  9. ニトリラーゼをコードする遺伝子が、以下のいずれかの遺伝子である請求項3〜6のいずれかに記載のベクター。
    (a) 配列番号4で示す遺伝子。
    (b) 配列番号4で示す遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
  10. ニトリラーゼをコードする遺伝子が、以下のいずれかの遺伝子である請求項3〜6のいずれかに記載のベクター。
    (a) 配列番号5で示す遺伝子。
    (b) 配列番号5で示す遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
  11. ニトリラーゼをコードする遺伝子が、以下のいずれかの遺伝子である請求項3〜6のいずれかに記載のベクター。
    (a) 配列番号6で示す遺伝子。
    (b) 配列番号6で示す遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
  12. ベクターが、プラスミドベクターである請求項3〜11のいずれかに記載のベクター。
  13. プラスミドベクターが、ヒドロキシニトリルリアーゼ発現プラスミド(pOXN103、pOXN103V2I、pOXN103V2R)、ニトリラーゼ発現プラスミド(pNLA001、pNLA010、pNLB001、pNLB002、pNLB004、pNLB010)、ニトリラーゼ遺伝子及びヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子が組み込まれた発現プラスミド(pNLA201、pNLA203、pNLA211、pNLA213、pNLB201、pNLB203、pNLB211、pNLB213)のいずれかである請求項12記載のベクター。
  14. 請求項3〜13のいずれかに記載のベクターが導入された形質転換体。
  15. 形質転換体の宿主が、大腸菌又はロドコッカス(Rhodococcus)属細菌である請求項14に記載の形質転換体。
  16. 形質転換体が、JM109/pNLA201、JM109/pNLA203、JM109/pNLA211、ATCC12674株/pOXN611、ATCC12674株/pOXN612のいずれかである請求項15記載の形質転換体。
  17. カルボニル化合物及びシアニドドナーに請求項1,2,14,15,16のいずれかの形質転換微生物を作用させることを含む、光学活性α−ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
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