次に示すように国際調査機関が作成した。
基板カセット用サポートバー及び基板カセット
[0001] 本発明は、各種基板、例えば、液晶表示装置に使用されるガラス基板等の製造過 程で使用される基板収納カセットに関し、特に、カセットの各段に配される中央支持 部材 (サポートバー)に関する。
背景技術
[0002] 従来の液晶表示素子は、液晶表示素子基板の一方の面に絵素電極、配線等のパ ターンを形成し、その上に塗布または付着加工により配向膜を形成し、配向面に対し て液晶分子が規則正しく配列されるように該配向膜をラビング処理し、続 、て前記液 晶表示素子用基板の絵素電極、配線等を形成した面が均一な間隔で対向するよう に二つの液晶表示素子用基板をシール材を介して貼り合わせ、その後基板間に形 成される空間に液晶を封入して製造されていた。
[0003] このような液晶表示素子の製造工程では、絵素電極等の形成に用いられるスパッタ 処理装置、化学蒸着装置、配向膜を塗布するスピンコーター、配向膜のラビングを行 ぅラビング装置等、複数の処理装置が使用されていた。そのため、基板を一つの処理 装置での処理が終わった後、別の処理装置に移動させて処理するために一時的に 収納しておく必要があり、その収納用に箱型のカセットが使用されていた。
[0004] 従来の収納用カセットは、基板を出し入れするため開口した前面と、上面、下面、 左右の側面および背面を備え、前記両側面から内側に向力つて突き出した基板の左 右両端を支持する基板端部支持部を有して ヽた。ガラス基板の両端のみを支持する 構造であったため、大型のガラス基板では、中央部が大きくたわんでしまい、基板の 搬出入をロボット等の基板移載ホークによって行う場合には、直上に収納されたガラ ス基板の中央部のたわんだ部分と接触して搬入がスムーズに行えな 、とか、基板に 傷をつけてしまうという問題があった。またガラス基板同士の接触を避けるため基板 の間隔を広げた場合、カセットへの収納量が大幅に低下するため、生産効率の低下 を招くという問題があった。
[0005] このガラス基板中央部のたわみを小さくするために、例えば、特許文献 1には、基 板用カセットのガラス基板搬入口の両側面力 張り出した棚片の長さを従来よりも長く することで、中央部のたわみを少なくすることが提案されている。し力しながら、このよ うに張り出した棚片を長くすると、基板移載ホークが棚片と接触しな 、ようにするため 、ホークの幅を制限しなければならない。なお、特許文献 1には炭素繊維を導電性付 与材として使用することは開示されているが、強化繊維として使用しているものではな い。
[0006] これに対して、収納されたガラス基板の両端部を支持することに加え、基板の中央 を支持するため、前記背面から内側に向力つて突き出した中央支持部(サポートバー )を設けることが提案されている。このサポートバーによって、基板中央部での最大た わみが減少し、上下段の基板同士の干渉を防ぐことができるとされてきた (特許文献 2〜4参照)。
[0007] 特許文献 1 :特開平 9 36219号公報
特許文献 2:特開 2000— 7148
特許文献 3 :特開 2000— 142876
特許文献 4:特開 2003 341784
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] し力しながら、液晶表示素子用基板の軽量化、大型化がさらに進み、寸法では、一 辺の長さが 2000mmに達する大きさのガラス基板が製造されているうえ、厚さも 0. 7 mmから 0. 5mmへ小さくなつてきた。このため、曲げ剛性が低いアルミニウムなどの 金属を使用した従来のサポートバーでは、ガラス基板中央部でのたわみを抑制しき れな 、問題が新たに発生した。
[0009] またガラス基板の大型化に合わせて、サポートバーを長くした結果、ガラス基板の 搬入出時に発生する曲げ振動が減衰しにくいため、製造ライン速度の低下を招いて いた。さらに従来のサポートバーに用いられている材料(主に鉄、ステンレス、アルミ ニゥムなどの金属材料)は密度が大きいため、収納カセットの大幅な重量増加を招く という問題もあった。
課題を解決するための手段
[0010] 以上の問題点を鑑み、大型のガラス基板の収納時にも、上下段のガラス基板同士 の干渉を防ぐことができるとともに、収納カセットの全体重量の大幅な増加を招くこと なぐさらに優れた振動減衰特性により製造ライン速度を高め、生産効率を改善する ことができるサポートバーを提供する。該サポートバーは、高い曲げ剛性を有するとと もに、軽量で、優れた振動減衰特性を有する炭素繊維強化複合材料で構成される。
[0011] すなわち本発明は、以下の構成力もなるものである。
(1) 複数枚の基板を水平姿勢で上下方向に多段に収納する基板カセットにおけ る前記各基板の中央部のたわみを抑制するように支持する基板カセット用サポートバ 一であって、引張弾性率 490〜950GPaの高弾性炭素繊維をその体積比で 30%以 上含む炭素繊維強化複合材料で形成されていることを特徴とする基板カセット用サ ポートノ 一。
[0012] (2) 前記サポートバーは中空パイプ状であることを特徴とする(1)に記載の基板力 セット用サポートバー。
[0013] (3) 前記サポートバーは、その長手方向と直交する方向の外周が固定される側か ら自由端となる先端部に向力つて小さくなつていることを特徴とする(1)又は(2)に記 載の基板カセット用サポートバー。
[0014] (4) 前記先端部の外周がサポートバーの固定端側の外周の 1Z3〜9Z10である ことを特徴とする(3)に記載の基板カセット用サポートバー。
[0015] (5) 前記サポートバーは、前記先端部に向力つて幅を細くしたテーパ形状を有す る中空角パイプ形状であることを特徴とする(3)又は (4)に記載の基板カセット用サ ポートノ 一。
[0016] (6) 前記サポートバーは、炭素繊維として引張弾性率 490〜950GPaの高弾性 炭素繊維をサポートバーの長手方向に 0± 5° の一方向に配向したプリプレダシート を含む積層構造を熱硬化したものである(1)乃至(5)の ヽずれか 1項に記載の基板 カセット用サポートバー。
[0017] (7) 前記サポートバーは、引張弹性率4900?&未満の炭素繊維を90± 5° の一 方向に配向したプリプレダシートの外層に引張弾性率 490〜950GPaの高弾性炭素
繊維をサポートバーの長手方向に 0± 5° の一方向に配向したプリプレダシートを積 層し、最外層に強化繊維を含んで構成されるクロスプリプレダシートを巻き掛けて被 覆した積層構造を熱硬化したものである(6)に記載の基板カセット用サポートバー。
[0018] (8) 基板搬入口の両側面に、収納される基板の端部を支持する端部支持部と、 基板搬入口の対向面側で固定され、搬入口側に自由端を有する上下方向に一列ま たは複数列に配された、前記各基板の中央部のたわみを抑制するように前記基板を 支持するサポートバーとを有し、複数枚の基板を水平姿勢で上下方向に多段に収納 する基板カセットにおいて、前記サポートバーが(1)乃至(7)のいずれか 1項に記載 のサポートバーであることを特徴とする基板カセット。
発明の効果
[0019] 本発明では、高剛性で軽量の炭素繊維強化複合材料でサポートバーを構成したこ とで、大型化した基板カセットにお 、ても重量増加が少なくて済む。
[0020] サポートバーを中空パイプ構造とすることで、サポートバー自体の自重たわみが抑 えられ、更に軽量化にも優れたものとなる。
[0021] 又、サポートバーの固定端より先端部に向力つてその外周を小さくしていくことで、 更に振動減衰特性に優れるサポートバーが得られ、搬入した基板の振動が短時間 で減衰するために、基板搬入速度が向上し、作業効率が著しく向上する。
図面の簡単な説明
[0022] [図 1]本発明のサポートバーを用いた基板カセットの一例を示す概略斜視図である。
[図 2]サポートバーの支持部材への取付けを説明する図である。
[図 3]本発明のサポートバーの形状の例を示す図である。
[図 4]中空構造(中空円形パイプ)の例を示す図である。
[図 5]本発明の中空サポートバー部材の一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は 上面図、(c)は側面図を示す。
[図 6]本発明の中空サポートバー部材の他の例を示す図であり、(a)は斜視図、 (b) は上面図、(c)は側面図を示す。
[図 7]振動減衰特性の評価における自由振動減衰波形を説明する図である。
[図 8]実施例 1で得られた本発明の中空サポートバーの振動減衰特性を示す図であ
る。
[図 9]比較例 1で得られた中空サポートバーの振動減衰特性を示す図である。
[図 10]比較例 2で得られた中実サポートバーの振動減衰特性を示す図である。
[図 11]実施例 1,比較例 1, 2のサポートバーの対数減衰率を示すグラフである。 符号の説明
[0023] 1 基板カセット
2 棚片 (端部支持部)
3 サポートバー
4 ガラス基板
5 支持部材
51 溝
G1 固定端側断面重心
G2 自由端側断面重心
HI 固定端側端部の幅
H2 先端部の幅
T1 固定端側端部の高さ
T2 先端部の高さ
発明を実施するための最良の形態
[0024] 図 1は、本発明になるサポートバーを有するガラス基板カセット 1の一例となる概略 斜視図を示すものであり、同図矢印 A方向からガラス基板等の基板 4の搬入、搬出を 行う。基板搬入口の両側面には、収納される基板の端部を支持する端部支持部とな る棚片 2が多段に設けられており、基板搬入口の対向面側に支持部材 5で固定され た固定端を有する上下方向に一列のサポートバー 3が設けられ、前記基板の中央部 でのたわみを抑制し、基板を水平保持している。同図では上下方向に一列のサポー トバー 3を基板搬入口の対向面のほぼ中央に設けた構成を示している力 これに限 定されず、基板の中央部のたわみを抑制できれば、複数列としても良い。
[0025] サポートバー 3は、支持部材 5に所定のピッチで上下方向に一列に固定されるが、 その固定方法は特に限定されず、例えば、図 2に示すように、支持部材 5側にサポー
トバー 3を嵌揷可能な複数の溝 51を所定のピッチで設けておき、そこにサポートバー 3を嵌挿し、更にボルト締めなどの手段により固定するなどの従来公知の方法が挙げ られる。
[0026] 本発明では、このサポートバー 3を、軽量性、曲げ剛性、耐熱性等にすぐれたものと するために、特定の引張弾性率を有する炭素繊維を用いた炭素繊維強化複合材 (C FRP)によって構成する。本発明では、炭素繊維として引張弾性率 490〜950GPa の高弾性炭素繊維を体積比率で 30%以上使用する。体積比率が 30%未満であると 、十分な剛性が得られず、振動減衰特性の高い部材が得られない。好ましくは 40% 以上使用する。又、使用する強化繊維の全てを高弾性炭素繊維としても良いが、一 部を他の強化繊維、例えば、引張弾性率 490GPa未満の炭素繊維や、ガラス繊維、 ァラミド繊維、炭化珪素繊維等その他公知の強化繊維で構成してもよい。例えば、高 弾性炭素繊維を体積比率で 90%までとし、残部を他の強化繊維、特に引張弾性率 490GPa未満の炭素繊維と組み合わせて使用すると、好ま ヽ結果を与える場合が 多い。
[0027] かかるサポートバー 3は、図 1に示したような角柱状である必要は必ずしも無ぐ様 々な柱状構造、例えば、図 3に示すように、その柱状構造の横断面形状として、三角 形 (図 3 (a) )、台形 (図 3 (b) )、多角形 (図 3 (c) )、円形 (図 3 (d) )、半円形 (図 3 (e) ) 、コの字型(図 3 (f) )、C字型(図 3 (g) )、T字型(図 3 (h) )、1字型(図 3 (i) )等いずれ の形状でも良い。又、サポートバー 3は炭素繊維強化複合材料の無垢構造や、他の 材料をコア層とし、本発明に係る炭素繊維強化複合材料をスキン層とするスキンコア 構造等の中実構造とすることができるが、軽量ィ匕の観点力もは、前記横断面形状に おいて中央を空洞化した中空構造とすることが好ましい。例えば、図 4に示すような図 3 (d)の円形の中空構造として中空円形パイプとする、図 5, 6に示すような角柱パイ プ等が挙げられる。サポートバーの長さは、収納される基板の中央部のたわみを抑 制するように基板を支持できれば良いため、収納される基板の大きさに応じて適宜決 定すればよぐ本発明では、サポートバーの長さが長くなればなるほど、その効果が 顕著となる。特にサポートバーの長さとして 500mm以上となる場合に、本発明は極 めて有用である。サポートバーの幅は、特に制限されるものではなぐ使用する材料
の組み合わせ方に応じて収納される基板の中央部のたわみを抑制するために必要 な強度および曲げ剛性が保たれる最低限の幅を確保すればよい。又、高さについて も基板の収納ピッチの範囲内において幅との関係で最低限の強度および曲げ剛性 が確保できるように適宜設定することができる。
[0028] 又、より高い振動減衰特性を得るために、サポートバーの固定端に対し、自由端と なる先端部に向力つて、その長手方向と直交する方向の外周が小さくなる構造を有 することが好ましい。特に、中空構造との組み合わせは好ましい態様である。
[0029] このように、サポートバーの先端部に向力つて外周を小さくさせる場合は、先端部の 外周が固定端側の外周の 3分の 1以上、より好ましくは 2分の 1以上有していることが 望ましい。外周が同じものと比較して少しでも外周を小さくすれば振動減衰特性に対 して効果を奏する力 好ましくは 10分の 9以下、より好ましくは 5分の 3以下とするのが 望ましい。
[0030] ここで、「長手方向」とは、図 5に示すように中空パイプの固定端側(支持部材 5側) の断面重心 (G1)と先端部の断面重心 (G2)とを結ぶ線の方向である。外周を先端 部に向力つて小さくするには、例えば、角パイプ形状の場合では、固定端側の幅、高 さを HI, T1とし、先端部の幅、高さを H2, T2とした場合、図 5 ( (a)は斜視図、(b)は 上面図、(c)は側面図)に示すように、先端に向かってその幅のみが狭くなる(HI > H2、T1 =T2)テーパ形状、又は、図 6 ( (a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図 )に示すように、先端に向かってその厚みのみが小さくなる (HI =H2、 Tl >T2)テ ーパ形状、あるいは幅と高さの両方を先端部に向力つて小さくなる(Η1 >Η2、 Tl > Τ2)テーパ形状にするなどの方法が挙げられる。又、外周を先端方向に小さくしてい く態様としては、図 5,図 6に示すように固定端側力も先端部に向力つて一様に減少さ せていく態様に限定されず、例えば、固定端近傍の部分では、その外周を変化させ ず、それより先の自由端で外周を徐々に小さくする態様や、長手方向の中間部まで 外周を減少させ、それより先を一定にするなど、様々な態様が可能である。
[0031] 又、先端部は、図 5, 6に示したような開口状態のままでも良ぐ又、後述する中空部 材の製造の際にプリプレダシートを折り曲げて先端部を塞いでも良い。あるいは、開 口状態の先端部に、ゴム等の弾性部材等カもなるキャップを嵌挿していても良い。
[0032] 以下、本発明のサポートバーの製造方法について、特に図 5, 6に示したようなテー パ形状を有する中空構造のサポートバーの製造方法について説明するが、他の形 状のサポートバーについても、以下に説明する方法を適宜変更して製造できることは 、当業者に容易に理解できるものである。
[0033] 例えば、先ず、準備工程として、芯材と原形プリプレダシートを用意する。芯材は、 サポートバーの形状に対応させてテーパ形状に成形されており、プリプレダシートを 積層する際の所謂あて板として機能すベぐある程度の剛性を有し、サポートバーを 成形する際の所謂中型として機能すベぐ加熱工程における加熱温度以下では変 形しな!、性質を有し、且つ加熱硬化後の CFRP部材から容易に抜き取れる材質のも のを使用する。かかる観点から、芯材の材質としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステ ンレス等の金属や、 MCナイロン榭脂、ポリイミド榭脂等が適する。前記金属ゃ榭脂 等は、 CFRPより熱膨張率が大きい為、加熱後の冷却により収縮し、抜き取り容易と なる。又、必要に応じ、芯材の表面に離型材を施してもよい。離型材としては、スプレ 一等による薬剤(例えば、界面活性剤等)の塗布、或いはテフロン (登録商標)シート 等の離形シートの使用など何れの方法でもよ 、。
[0034] 尚、前記所定温度での加熱非変形性とは、後述の加熱工程での加熱温度では殆 ど変形しな 、と 、う性質を有するものを言う。前記加熱温度では殆ど変形しな 、とは、 後述の加熱条件下で、芯材の材料が溶融したり、芯材の部材に反り、曲がり、橈み、 捩れや皺、褶曲等の変形が生じないことを言う。又、前記所定温度とは、後述する原 形プリプレダシートのマトリックス榭脂の熱硬化温度に応じ、例えば、約 100〜190°C 以上の温度を言う。
[0035] 例えば、図 5のサポートバーを作製するための芯材は、断面が横長長方形状の角 材であり、先端部に向力つて、その幅が狭くなるテーパ状にカ卩ェされたものである。 又、図 5のサポートバー部材を作製するための芯材は、その高さが先端部に向かつ て小さくなるものを使用する。
[0036] 原形プリプレダシートは、炭素繊維をシートィ匕したものにマトリックス榭脂を含浸させ たものであり、未硬化状態のシートである。例えば、積層される複数のプリプレダシー トは、引張弾性率 490〜950GPaの高弾性炭素繊維プリプレダシートを主体として使
用し、残部を引張弾性率 490GPa未満の炭素繊維プリプレダシートを用いるのが好 ましい。又、サポートバー部材としての支持性能を損なわない限りで、前記ガラス繊 維等、或いはその他の繊維を含むプリプレダシートを一部にカ卩えることも可能である。
[0037] マトリックス榭脂としては、エポキシ榭脂、フエノール榭脂、シァネート榭脂、不飽和 ポリエステル榭脂、ポリイミド榭脂、ビスマレイミド榭脂等の熱硬化性榭脂を用いる。こ の場合、ゴム加硫等のような高温高湿環境に耐え得るものが好ましい。又、前記熱硬 化性榭脂は、耐衝撃性、靱性を付与する目的で熱硬化性榭脂にゴムゃ榭脂からな る微粒子を添加したり、或いは熱硬化性榭脂に熱可塑性榭脂を溶解させたものを使 用してちょい。
[0038] 炭素繊維の種類としては、 490GPa未満の PAN系のものと、 490〜950GPaのピ ツチ系のものがあるが、本発明ではこれらを組み合わせて使用する。この場合、ピッ チ系のものは弾性率が高いという特徴を有し、 PAN系のものは引っ張り強度が高い という特徴を有する。又、原形プリプレダシートとしては、強化繊維が同一方向に配向 する一方向シートと、平織物、綾織物、朱子織物、三軸織物等のクロスシートとがある 。 490〜950GPaの高弾性炭素繊維プリプレダシートは、特に一方向性シートを用い るのが好ましい。
[0039] 原形プリプレダシートは、強化繊維の種類を異ならせたり、マトリック榭脂に対する 強化繊維の使用比率を異ならせたり、或いは強化繊維の配向状態を異ならせたりし て、様々なタイプのものを用意しておき、保持するガラス基板に応じて、最適な曲げ 剛性の CFRP部材が形成されるように、使用すべき原形プリプレダシートを複数選択 するのが好ましい。
[0040] 尚、前記選択された全ての原形プリプレダシートについても、同様に所定寸法のプ リプレダシート片を形成しておく。次に、芯材の各面に、プリプレダシート片を積層貼 付する (積層工程)。プリプレダシート片は未硬化状態であり、ある程度の粘着力を有 するので、離型処理の施された芯材の上に、シートを順次重ね合わせていくだけで 貼着される。
[0041] この場合、アイロン等で熱を掛けながら、下層のフィルムやシートに密着させ、所望 の厚み (例えば、 l〜7mm程度)になる迄、密着積層させる。この場合の所望の厚み
とは、プリプレダシートが加熱硬化する際の体積減少分を見越し、ロボットハンド部材 の CFRP板の要求板厚よりも僅かに厚い程度が好ましい。プリプレダシートの積層は 、長手方向に対して略直角(90± 5° )に炭素繊維が配向(以下「90° 配向」という) する一方向シートを最も内側(即ち、最下層)にして複数段積層し、その上面に、長 手方向に対して略平行 (0± 5° )に配向(以下「0° 配向」という)する一方向シートを 複数段積層する。この場合、上記シートに加え、斜め方向(45± 15° 又は 135± 15 。 )に配向(以下「45° 又は 135° 配向」という)する一方向シート、 45° と 135° と の 2方向に配向するクロスプリプレダシート等を組み合せて積層してもよい。この場合 、 0° 配向シートは、長手方向の橈み防止性、及び振動減衰特性を有する。 90° 配 向シートは、中空構造のつぶれを抑制する効果を有する。更に、 45° 配向シートや 135° 配向シートを組み合わせることによって、捻じれ剛性や捻じれ振動減衰特性 がー層向上される。クロスシートについては、一方向シートの上記組み合わせに準じ た効果を有する。
[0042] 尚、積層順序としては、 90° 配向シートを最下層(最内側)とするのが、芯材の抜き 取り易さの観点力も好ましい。なぜならば、炭素繊維はマトリックス榭脂よりも熱収縮 率が低い為、シートとしての収縮率は、繊維配向方向への収縮率の方が繊維配列方 向への収縮率よりも低くなるので、パイプ状の CFRP板の内側面を 90° 配向シート によって構成することで、芯材の外周を囲むように強化繊維が配向することとなるの で、熱硬化した際、パイプ状の CFRP板が差程縮径しなくて済む力 である。
[0043] 又、上層に積層されるシートほど (即ち、外側のシートほど)、サポートバーの性状( 即ち、曲げ剛性等)への寄与率が高いので、 0° 配向シートを 90° 配向シートよりも 上層に積層するのが、橈み防止性の観点力 好ましい。かかる点を考慮しつつ、使 用すべきプリプレダシートの組み合わせ及び積層順序を決定する。
[0044] 特に、 0° 配向シートとして、 490〜950GPaの高弾性炭素繊維プリプレダシートを 用いるのが好ましい。
[0045] この様にして、芯材の全ての面にプリプレダシートを積層貼付することで、芯材の外 周面にプリプレダシートの積層体を形成した状態の積層部材が形成される。その後、 この積層部材の外周に、クロスプリプレダシートを 1卷或いは少数卷き卷掛けて被覆
する。(被覆工程)。
[0046] 尚、クロスプリプレダシートとは、複数の方向に織り込んだ強化繊維に前記マトリック ス榭脂を含浸させた未硬化状態のシートであり、強化繊維としては、織物状の炭素繊 維、ガラス繊維、ァラミド繊維、或いは炭化珪素繊維等が好ましい。又、積層部材に 密着させて被覆できるように、可撓性及び接着性の高 、シートが好ま 、。
[0047] この被覆工程の後、四方力 あて板等を押しつけ、この状態の未硬化部材を真空 ノ ック等に入れ、加熱することによって、本発明のサポートバー部材が形成される。こ の場合の加熱条件は、室温から 2〜10°CZminの割合で加熱昇温させ、約 100〜1 90°Cで約 10〜180分間保持し、その後加熱を停止し自然冷却によって降温させて 常温に戻す。
[0048] 何れのプリプレダシートも熱硬化性榭脂を含むので、夫々のシート面及びシート縁 部において相互に貼着された状態で硬化する。尚、未硬化部材を真空バックに入れ るのは、積層工程で生じたシート間等の気泡を吸引するという目的と、未硬化部材に 対して外圧 (即ち、大気圧)を略均等に加える目的とがある。
[0049] 又、未硬化部材に対して特定方向の外圧を加えてもよ!、。例えば、あて板と厚み設 定板との間に間隙が生じないようにして、上方から重石等で押圧することによって、サ ポートバー 3の上面 (即ち、基板支持面)の平坦性が向上したり、サポートバー 3の寸 法 (特に、厚み)精度が高くなつたりするし、又、接合界面が相互に押しつけられる方 向に万力等で押圧することによって、プリプレダシートの縁部における接合性が向上 したりする。
[0050] その後、芯材を抜き取る(抜取工程)。これによつて、中空構造のサポートバー 3が 形成される。本実施形態によれば、サポートバー 3は、 CFRP無垢材としてではなぐ 中空構造体として構成されるので軽量化を実現できる。よって、自重或いは積載する 基板の荷重によって先端部に橈みや振動が生ずるのを防止でき、基板の支持精度 及び搬入'搬出性を向上させることができる。
[0051] 本実施形態によれば、芯材に、プリプレダシートを積層する際の所謂あて板、及び サポートバー 3を加熱成形する際の所謂中型としての 2つの機能を担わせるので、 C FRP板の形成 (即ち、プリプレダシートの積層)と、サポートバーの成形 (即ち、隣接
壁部のプリプレダシートとの相互接合)とを、同時に行うことができる。
[0052] 又、外周面をクロスプリプレダシートで被覆したので、切削ゃ開孔等の後加工を行 つた際に加工部位に生ずる毛羽立ちやささくれ等を防止できる。これによつて、加工 性が向上される上、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、シリコン ウェハ等の精密な基板を傷付ける心配が無ぐ又、ゴミ等の発生も少ないという利点 をも有する。
[0053] 又、クロスプリプレダシートによる被覆によって、プリプレダシート縁部の接合部位に 生じるバリや段差等をカバーして美観を向上させたり、プリプレダシートの接合部位 の補強ができたり、といった利点もある。尚、サポートバーの製造方法として、上記の 説明では、複数のプリプレダシートの切断片を組み合わせて製造する方法にっ 、て 説明したが、本発明はこれに限定されるものではなぐ例えば、長尺のプリプレダシー トを芯材の外周面に卷付けて積層する方法等も可能である。
[0054] 図 4に示す中空で円形断面を有するパイプ型のサポートバーを製作する場合、以 下の手順により行う。サポートバーの芯材として、テーパを有する円形断面のマンドレ ルを使用する。すなわち、サポートバーの固定端に相当する側では径を大きくし、自 由端に相当する側では径を小さくする。マンドレルの長さは、サポートバーの長さより 、長めにすることが好ましい。マンドレルの材質としては、アルミニウム、鉄、ステンレス などの金属を使用することができる。
[0055] プリプレダシートとして、 0° 配向シートおよび 90° 配向シートを用いる。さらに 45 ° 配向シートおよび 135° 配向シートを追加することもできる。プリプレダシートは、 以下の通り事前に裁断しておく。円形のマンドレルに卷きつけるプリプレダシートは、 通常台形形状となる。マンドレルに対するプリプレダシートの積層回数を自由端と固 定端とで同数とした場合、台形の上底および下底は、おおむね自由端の円周 X積 層回数、固定端の円周 X積層回数より計算される長さとする。また台形の高さは、サ ポートバーの長さと同程度とする。
[0056] マンドレルに対するプリプレダシートの積層回数が自由端と固定端で異なる場合に も、前述の積層回数が同数の場合と同様の計算方法により、台形の上底および下底 の長さを算出し、プリプレダシートを裁断することができる。
0° 配向シートの場合、台形形状の高さの方向が強化繊維の配向方向とほぼ平行 となる。一方、 90° 配向シートでは、上底あるいは下底の方向と強化繊維の配向方 向とほぼ平行となる。
[0057] プリプレダの積層順序に関して、 90° 配向シートを最内層とし、その外側に 0° 配 向シートを配置することが好ましい。これは熱収縮率が小さい 90° 配向シートによつ て中空円形パイプの最も内側、すなわちマンドレルの外側を囲むことにより、熱硬化 時に中空円形パイプが円周方向に縮径しないため、成形後、容易にマンドレルを抜 くことができることを考慮したものである。
[0058] マンドレル上に所定のプリプレダを卷きつけた後、ポリプロピレンテープ、 PET製テ ープなど、加熱により収縮するテープを外側カも卷きつけてプリプレダを固定し、ォ ーブンにより過熱硬化する。加熱条件は、室温から 2°C〜10°CZminの割合で加熱 昇温させ、約 100°C〜190°Cで約 10分〜 180分間保持し、その後加熱を停止し、自 然冷却によって降温させて常温に戻した後、マンドレルを抜き取ることによって、中空 円形パイプ型サポートバーを得る。
[0059] 以上の説明では、サポートバー 3について高弾性炭素繊維を含む炭素繊維強化複 合材料を用いる例にっ 、て説明したが、基板カセットを構成する他の部材につ 、て は従来公知のものが使用できる。更に端部支持部の棚片 2や、他の構成部材、例え ば、底面側のフレームや天井側のフレーム、基板搬入口の対向面となる背面側のフ レーム等についても同様に炭素繊維強化複合材料で構成して、基板カセットの軽量 ィ匕と剛性とを同時に達成することも可能である。図 1においてはこの端部支持部の各 棚片 2を幅広の板状としているが、例えば、サポートバー 3と同程度の幅の棚片 2を基 板搬入口の両側面に所定間隔で複数配したり、ある!ヽは 2列乃至 3列を一単位として 図 1の様に各単位を所定間隔で配したりすることも可能である。
実施例
[0060] 以下、実施例を参照して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限 定されるものではない。
[0061] 実施例 1
芯材として厚さ 6. 9mm、手元側端部での幅 54. 9mm、先端部での幅 24. 9mm
の台形状のアルミ板を用意し、引張弾性率 240GPaのピッチ系炭素繊維を芯材の長 手方向に 90° 配向させたプリプレダシート B,引張弾性率 800GPaのピッチ系炭素 繊維を芯材の長手方向に 0° 配向させたプリプレダシート A、最外層に 0° 及び 90 ° 配向のクロスプリプレダシート Cを下記表 1に示す積層数で順次芯材に積層し、加 熱硬化させ、硬化後に芯材を抜き取り、手元側端部で幅 60mm、先端部で幅 30mm 、高さ 12mm、肉厚 2. 55mm,長さ 1000mmのテーパ付き角パイプ状のサポートバ 一を得た。
[0062] [表 1]
[0063] 比較例 1
芯材として、幅 55. 1mm、厚さ 7. 1mmのアルミ板を用意し、引張弾性率 240GPa のピッチ系炭素繊維を芯材の長手方向に 90° 配向させたプリプレダシート B,引張 弾性率 240GPaのピッチ系炭素繊維を芯材の長手方向に 0° 配向させたプリプレダ シート B'、最外層に 0° 及び 90° 配向のクロスプリプレダシート Cを下記表 2に示す 積層数で順次芯材に積層し、加熱硬化させ、硬化後に芯材を抜き取り、幅 60mm、 高さ 12mm、肉厚 2. 45mm,長さ 1000mmの中空角パイプ状のサポートバーを得 た。
[0064] [表 2]
プリプレゲ種類 厚み 積層方向 積層枚数 合計厚み
(mm/枚) (° ) (枚) (mm) クロスプリプレグシ一 h e 0. 25 0/90 1 0. 25 プリプレゲシート B ' 0. 20 0 9 1 . 8 プリプレゲシート B 0. 20 90 2 0. 4 心材 7. 1 - - 7. 1 プリプレグシート B 0. 20 90 2 0. 4 プリプレグシート B ' 0. 20 0 9 1 . 8 クロスプリプレグシ一 h e 0. 25 0/90 1 0. 25 口 π Γ 24 1 2. 0
[0065] 比較例 2
芯材を用いずに、前記プリプレダシート Bの積層体に、プリプレダシート B'、クロスプ リプレダシート Cを積層し、加熱硬化させ、幅 60mm、高さ 12mm長さ 1000mmの中 実 CFRPサポートバーを得た。各プリプレダシートの積層は下記表 3の通りであった。
[0066] [表 3]
[0067] 実施例 1及び比較例 1, 2で得られたサポートバーについて、以下の方法により曲 げ振動減衰特性の測定、評価を行った。
[0068] サポートバーの一方の端から 150mmの範囲を固定用ジグで上下から挟み込み、 片持ち梁の状態で水平に保持した。この固定部力 長手方向に 50mmの箇所、すな わち固定側のサポートバーの端部から 200mmに相当する上面及び下面に歪みゲ ージを貼り付けた。サポートバーの自由振動側の端部に質量 5kgfの重りを吊り下げ ることにより初期橈みを与え、吊り下げたワイヤーを切断することによりサポートバーを 振動させ、自由振動減衰中の曲げ歪みを測定して、サポートバーの曲げ振動減衰特 性を測定した。曲げ歪みは 10秒間測定し、得られた自由振動減衰波形 (図 7)から、 サポートバーの固有振動数を計算すると共に、下記式(1)により対数減衰率(Δ )を 算出した。図 7及び下記式(1)において、 Tは 1サイクルの時間、 Xは初期振動振幅
強度、 xnは時間 nTの振動振幅強度、 ηは振幅回数を示す。
[0069] [数 1]
1 xn
n x
n
[0070] 結果を下記表 4及び図面にそれぞれ示す。
[0071] [表 4]
[0072] 以上の結果力も明らかなように、本発明によるサポートバーは、高い固有振動数を 有し、曲げ振動減衰特性に極めて優れている。この結果、サポートバーの振動が極 めて短時間で解消され、作業効率を向上することができる。又、テーパ形状とすること により、その自重が更に軽くなり、特に多段に複数列サポートバーを配する必要があ る場合、中空構造としたものと比べても基板カセットの軽量ィ匕への効果が大き 、こと が分かる。