JP5277338B2 - 基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法 - Google Patents

基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、各種基板、例えば、液晶表示装置に使用されるガラス基板等を製造する工程で、当該ガラス基板等を収納する基板収納カセット内に配設されてガラス基板等を支持する基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法に関する。
近年、液晶表示装置に使用されるガラス基板等は、そのサイズの大型化が顕著になってきている。例えば、約113〜117インチに相当する第7世代のガラス基板では、およそ1900mm×2200mmの大きさとなり、約129インチに相当する第8世代のガラス基板では、およそ2200mm×2500mmの大きさとなる。これらガラス基板の大型化に伴って、ガラス基板を収納する基板収納カセットの大型化が必要になってきており、ガラス基板を支持するために基板収納カセット内に配設されるサポートバーについてもその長尺化が必要となっている。
しかし、基板収納カセット用サポートバーは、基板収納カセット奥のみで拘束される片持ち状態での支持であるため、サポートバーの長尺化に伴ってその先端部に行くに従い撓み量が大きくなる。その結果、ガラス基板収納時にガラス基板同士が接触して傷がついてしまうという事態が生じていた。これに対し、ガラス基板同士の接触を回避するためにサポートバーの間隔を十分確保して配設するようにすると、基板収納カセット内に収納可能なガラス基板の量が減少して収納効率が悪くなるという事態が生じていた。
また、撓み量を抑制するために、サポートバーの径をその長さに準じて大径化して高い曲げ剛性を確保しようとすると、上下に配設されるサポートバーの間隔が狭くなってガラス基板の収納に支障を来たすこととなっていた。この場合に、ガラス基板の収納に必要な収納スペースを確保するべくサポートバーの間隔を広くすると、基板収納カセット内でのガラス基板の収納枚数が制限されるといった問題があった。さらに、サポートバーの大径化に伴い、長尺化によるサポートバーの重量増加のみならず、大径化によるサポートバーの重量増加との相乗作用に起因して、サポートバー自体の重量が飛躍的に増加し、基板収納カセット全体の大幅な重量増加をも招来することとなっていた。
このような問題から、近年の大型化されたガラス基板等を収納する基板収納カセット用サポートバーに対して、サポートバー自体の小径化及び軽量化が要求されるとともに、大型化したガラス基板を撓むことなく支持可能な高い曲げ剛性を備えることが要求されている。
ここで、長尺状の部材の一端部を拘束し、他端部に荷重Fを作用させたとき、拘束部から荷重点までの長さをL、縦弾性係数をE、断面二次モーメントをIで表すと、荷重点での下向きの変位量vは、次式(1)で示すことができる。
v=FL/3EI・・・(1)
つまり、サポートバーに高い曲げ剛性を付与しようとすると、サポートバーを構成する部材の縦弾性係数を上げるか、断面二次モーメントを上げる必要がある。
一般に、軽量性と高い曲げ剛性を備える材料として繊維強化樹脂(FRP)がよく知られている。繊維強化樹脂とは、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、スチール繊維、アラミド繊維等の強化繊維に、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン等のマトリックス樹脂を含浸させてなるものである。そして、これら繊維強化樹脂の縦弾性係数は、含有される強化繊維の種類によって決定付けられる。よって、サポートバーの材料として高弾性率の強化繊維からなる繊維強化樹脂を採用することで高い縦弾性係数を実現し、高い曲げ剛性を付与することが可能である。
また、断面二次モーメントを上げるにあたって、サポートバーの断面形状を考慮するという観点から言えば、断面円形状をなす丸パイプ型のサポートバーよりも断面角形状をなす角パイプ型のサポートバーの方が、断面二次モーメントが大きく曲げ剛性に優れていて有利であることはよく知られた事実である。同等の外径で比較すると、角パイプは丸パイプに比べて7割程度断面二次モーメントが高い。特許文献1、特許文献2、特許文献3には、断面四角形状の角パイプの製造方法が開示されている。
特開2006−122475号公報。 特開平01−208121号公報。 特開2007−90794号公報。
特許文献1に記載の断面異形のFRP製中空部材の成形法では、断面円形のマンドレルにプリプレグを巻回後、マンドレルを引き抜いて中空部材を作製し、該中空部分に圧力バックを挿入し、前記中空部材を補充用のプリプレグを配置した金型内に設置して内圧成形する方法が記載されている。また、特許文献2に記載の角パイプ型の繊維強化プラスチック製サポートバー100の製造方法では、図9に示すように、角柱形パイプ金型101にプリプレグ繊維強化プラスチックス102を所定厚さになるように巻きつけ、プリプレグ繊維強化プラスチックス102の外側面に断面かまぼこ形状の型材103を当てがって熱硬化させる製造方法が記載されている。さらに、引用文献3に記載の繊維強化樹脂製の管状部材の製造方法では、略小判型形状のマンドレルに炭素繊維強化樹脂のプリプレグを複数層巻き回して形成した内筒体にラッピングテープを巻きつけて加圧後、当該内筒体の上面及び下面を外型で押圧して加熱成形する方法が記載されている。
これらの製造方法は、いずれも繊維強化樹脂の外側に金型を配置した後、金型温度を徐々に昇温させながら加熱することによって成形するものである。このような成形方法では、金型の温度を制御しながら、繊維強化樹脂中の強化繊維が加熱溶融する所定温度まで徐々に昇温させる必要があり、所定温度に到達するまでに相応の時間が必要となる。また、成形後の金型を次の成形作業に用いる場合には、当該金型を、強化繊維が加熱溶融しない所定温度以下にまでその都度冷やす必要がある。したがって、作業工程に長時間を要するとともに次の成形作業の準備にも長時間を要することになって、角パイプ製造の成形サイクルを短縮することが困難であるという問題がある。一方、生産効率を上げるために金型の数を増やすことにすると、そのための設備費が増大してしまい、製造に掛かる費用が増加するといった問題があった。さらに、サポートバーが長尺化するに従ってそのサイズに適応する金型が適宜必要となるため、成型すべき金型がさらに増加して設備費が飛躍的に増大してしまうという問題があった。
本発明は、このような従来技術の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小径でかつ高い曲げ剛性を備えた繊維強化樹脂製サポートバーを早いサイクルで安価に製造する基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法を提供することである。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法であって、断面角形状の長尺状の芯材に繊維強化樹脂製のプリプレグを複数層巻きつけて内筒体を形成する内筒体形成工程と、前記内筒体の側面に、該内筒体の軸方向に沿って、繊維強化樹脂製のプリプレグからなる補強層を積層して予備成形体を形成する積層工程と、前記予備成形体の外層にラッピングテープを巻きつけるラッピング工程と、前記ラッピングされた予備成形体を加熱する加熱硬化工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、中空部分が断面角形状である角パイプ型のサポートバーを、外周面が断面円形状のパイプとしてシートラッピング製法で製造することができる。
図10に示すような通常の角パイプ200をシートラッピング製法により成形しようとする場合、角型の中芯の周りにプリプレグを巻回後、プリプレグ外周にラッピングテープを捲きつけると、ラッピングテープからの張力が芯材の四方の角部のプリプレグに集中的に作用することになる。当該張力がプリプレグの角部に集中した状態で加熱炉内での繊維強化樹脂の熱溶融が進行すると、角パイプの外周表面の繊維強化樹脂が、角部から径方向に押圧される状態で加熱溶融され、その後の硬化により、角パイプ表面に樹脂枯れ現象が生じることとなる。加熱硬化工程では、さらにラッピングテープの熱収縮による収縮力もプリプレグの角部に集中して作用することになるため、加熱硬化工程時におけるプリプレグの角部への圧力がより集中することになる。その結果、成形された角パイプ表面に皺201がよってしまい、外観形状が悪化することが考えられる。
これに対し、請求項1の構成によれば、ラッピングテープを巻きつける際、内筒体の角部と積層された補強層とでラッピングテープからの張力を受けることができるため、張力を受ける箇所を分散することができる。そして、繊維強化樹脂中の熱硬化性樹脂の溶融と、張力を掛けて巻きつけられたラッピングテープの熱収縮とにより、ラッピングテープからの張力が徐々に予備成形体の外周面全体に分散して作用していくことになり、予備成形体の外周面が次第に断面円形状に近づいていく。予備成形体が徐々に断面円形状に変形するに従い、ラッピングテープからの張力及び収縮力の作用する部位が被覆された予備成形体の外周面上でさらに分散し、最終的には、予備成形体の外周面全体に均等に圧力が作用することになって、その外周面が断面円形状に成形される。このように、補強層を積層することで、ラッピングテープからの張力を分散することができるため、中空部分が断面角形状の角パイプでありながらシートラッピング製法により成形することが可能となる。そして、当該サポートバーの外周面は、所定箇所に圧力が偏倚して作用することによる樹脂枯れ現象が回避され、サポートバーの外観形状を良好に保持することができる。
これにより、断面二次モーメントが大きく曲げ剛性に優れた高強度の角パイプ型のサポートバーを、シートラッピング製法を採用して製造することが可能となる。外周面が角形状の従来の角パイプ型のサポートバーの製造に必要であった金型を使用することなく早いサイクルで安価に角パイプ型のサポートバーを製造することができる。金型を必要としない分、成形サイクルを短縮することが可能であり、また、設備費を軽減することも可能である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記内筒体形成工程は、断面角形状の長尺状の芯材の各角部に面取り加工を施し、該芯材に前記プリプレグを巻きつけて内筒体を形成することを特徴とする。
この構成によれば、プリプレグを巻きつける際、芯材の角部に集中的に圧力が掛かることに起因するサポートバー角部の薄肉化現象を抑制することができる。
図10に示すように、角部に面取り加工が施されていない断面角形状の芯材では、張力を掛けつつプリプレグを巻きつける際、芯材の角部でプリプレグが引っ張られることにより、成形後のサポートバーの角部202での肉厚が、側面203での肉厚に比較して薄肉化してしまうことになる。その結果、成形されたサポートバーの高い曲げ剛性が確保できないことが考えられる。
これに対し、請求項2の構成によれば、芯材の角部に面取り加工が施されていることで、芯材の角部に作用する張力が分散されて局所的なプリプレグの引っ張りが抑制されるため、成形された内筒体の角部が側面の肉厚に比べて薄肉化してしまうという事態を回避できる。角パイプ型のサポートバーの角部における強度の低下を抑制することができて、角パイプ型のサポートバーの曲げ剛性をさらに高くすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記積層工程は、繊維強化樹脂製のプリプレグを複数層積層して長尺板状の補強層を形成し、該補強層を前記内筒体の側面に積層することを特徴とする。
この構成によれば、プリプレグを積層して補強層を形成しているため、その積層数によって補強層の肉厚を調整することができる。これにより、内筒体の側面における肉厚を調整することが可能となる。また、補強層は予めプリプレグが積層されて内筒体側面上に載置するといった構成であるため、内筒体側面に対してプリプレグを1層ずつ積層していく場合に比較して、積層工程を簡素化することができる。さらに、プリプレグが複数層積層されているため、補強層自体にも曲げ剛性を付与することができる。そして、肉厚化された補強層により、予備成形体の外周形状をより断面円形状に近似することができる。
請求項4の記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記内筒体形成工程は、前記芯材を軸方向の外径が小径化するテーパ状に形成し、該芯材に前記プリプレグを巻きつけて内筒体を形成することを特徴とする。
この構成によれば、テーパ状の繊維強化樹脂製サポートバーを成形することができる。テーパ状の小径部側端部に行くに従いサポートバーの質量を軽量化し、繊維強化樹脂の使用量を削減することができる。そして、テーパ状の繊維強化樹脂製サポートバーを基板収納カセット内に配設する場合、大径部側の端部を基板収納カセット奥で片持ち状態で拘束支持し、小径部側の端部を基板収納カセット前面に位置させることで、繊維強化樹脂製サポートバーの撓み量を抑制することができる。つまり、基板収納カセット奥に、支持側端部の径が同径で且つ全体がストレート形状のサポートバーを片持ち状態で拘束支持した場合と比較して、サポートバーの小径部側端部での自重が軽減することとなり、当該端部での撓み量を好適に抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記内筒体形成工程は、前記芯材に、軸方向の外径が小径化するテーパ部を形成するとともに前記テーパ部の大径側端部に軸方向の外径が変化しないストレート部を形成し、該芯材に前記プリプレグを巻きつけて内筒体を形成することを特徴とする。
この構成によれば、繊維強化樹脂製サポートバーを基板収納カセット内に配設して該基板収納カセット奥に形成された支持部で繊維強化樹脂製サポートバーを拘束支持する場合、ストレート部を基板収納カセット奥に配設して拘束支持するようにすれば、当該支持部も同様にストレート形状に形成すればよいため、支持部の構造を簡素化することができる。
本発明によれば、軽量かつ高い曲げ剛性を備えた繊維強化樹脂製サポートバーを早いサイクルで安価に製造する繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法を提供することができる。
本発明の繊維強化樹脂製サポートバーの図。(a)は、繊維強化樹脂製サポートバーの部分斜視図。(b)は、繊維強化樹脂製サポートバーの全体側面図。 (a)は、内筒体形成工程で使用するマンドレルの部分斜視図。(b)は、内筒体形成工程で使用するマンドレルの全体側面図。 内筒体形成工程でマンドレルにプリプレグを巻きつける工程を示す説明図。 (a)は、内筒体形成工程で、マンドレルにプリプレグを積層した状態の内筒体の部分斜視図。(b)は、内筒体形成工程で、マンドレルにプリプレグを積層した状態の内筒体の全体側面図。 積層工程で積層する補強層の部分斜視図。 積層工程で、内筒体の側面に補強層を積層して予備成形体を形成した状態の図。 ラッピング工程で、予備成形体にラッピングテープを巻きつけてラッピングされた予備成形体を形成した状態の図。 マンドレルの面取り部の変更例を示す正面図。 従来の繊維強化プラスチックス製角パイプの製造方法を示す斜視図。 シートラッピング製法で成形した外周断面角形状の角パイプ型のサポートバーの斜視図。
以下、本発明を具体化した基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバー1の製造方法を図1〜図7に基づいて説明する。
まず始めに、本発明の基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法により製造される繊維強化樹脂製のサポートバー1の構造について図1に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態の製造方法により製造されるサポートバー1は、軸方向に断面略正方形状の中空部13を備えた円筒状に成形されている。サポートバー1の内周面は、径方向の長さが長い4つの側面11と、隣り合う側面11の間に形成されて径方向の長さが短い4つの斜面12とから構成されている。各側面11と各斜面12とはそれぞれ45゜の角度をなす平面状となっており、サポートバー1における各斜面12に対応する部分には肉厚部14が形成されている。また、図1(b)に示すように、サポートバー1は、先端に向かうに従い外径が小さくなるテーパ筒部15と、当該テーパ筒部15の大径側端部に連設されて、軸方向の外径が変化しないストレート筒部16とから構成されている。前記肉厚部14は、テーパ筒部15からストレート筒部16に至るまでのサポートバー1の長手方向全体に亘って形成されている。
次に、本発明を具体化した繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法を、工程ごとに図2〜図7を参照して説明する。
図3、図4(a)に示すように、芯材にプリプレグ3を巻きつけて内筒体4を形成する内筒体形成工程では、芯材としてのマンドレル2にシート状の繊維強化樹脂製のプリプレグ3を巻きつけて複数層のプリプレグ3からなる内筒体4を形成する。
まず、芯材としてのマンドレル2について説明する。ここで、以下の説明において、マンドレル2の軸方向に相当する方向を長手方向として規定する。
図2(a)、(b)に示すように、マンドレル2は、テーパ部23と、テーパ部23に連設されたストレート部24とから構成されている。テーパ部23は、断面略正方形状の長尺状であって、先端に行くに従い断面積が縮小するテーパ状に形成されている。また、ストレート部24は、テーパ部23の大径側に連接して、長手方向の外径が変化しない断面略正方形状に形成されている。
マンドレル2の長手方向の四方の角部には、面取り部22が形成されている。当該面取り部22は、マンドレル2の各側面21の長手方向の間で、各側面21とそれぞれ45゜の角度をなすようにマンドレル2の角部が面取りされた平面形状となっている。そして、当該面取り部22は、テーパ部23からストレート部24に至るまでのマンドレル2の長手方向全体に亘って形成されている。
また、マンドレル2の材質としては、特に規定されるものではないが、加熱硬化工程における加熱温度によって変形をしない材質であるとともに、プリプレグ3を構成する繊維強化樹脂材料より熱膨張率が大きいことにより加熱硬化工程後にサポートバー1から容易に抜き出し可能な材質のものが好ましい。具体的には、アルミニウム合金、鉄等の金属、或いは、ナイロン、シリコン、テフロン(登録商標)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイト等の樹脂が挙げられる。
次に、マンドレル2に巻きつける繊維強化樹脂製のプリプレグ3について説明する。繊維強化樹脂は、炭素繊維等の強化繊維に熱硬化性樹脂等の成形用樹脂を含浸させて強度を向上させた複合材料である。強化繊維の混入方法には、細かく切断した繊維を均一にまぶして樹脂中に湿潤させる方法と、繊維に方向性を持たせた状態で樹脂中に湿潤させる方法の大きく2種類の方法があるが、本実施形態のプリプレグ3は、少なくとも長繊維状の多数本の強化繊維が同一方向に配列された繊維強化樹脂層として構成される。
プリプレグ3を構成する強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、各種セラミックス繊維、ボロン繊維、銅、ステンレス等の金属繊維、アモルファス繊維、芳香族ポリアミド等の有機繊維、それらの混織物等を用いることができるが、これらの中でも高い弾性率を有することにより高い曲げ剛性を備え、比重が1.8前後と軽い炭素繊維を用いることが特に好ましい。また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を用いることができる。
内筒体形成工程に供されるプリプレグ3は、図3に示すように、少なくとも長繊維状の多数本の強化繊維が同一方向に配列されたシート状繊維強化樹脂層として形成されたプリプレグシートを所定形状に切り出すことによって形成される。本実施形態では、マンドレル2にプリプレグ3を4層巻きつけて内筒体4を形成する場合について説明する。マンドレル2に巻きつける1層目のプリプレグ3は、マンドレル2の外周面を展開した展開形状に相当する形状であって、且つ、マンドレル2の外周面を展開した大きさと略同一の大きさとなるようにして切り出される。図3には、1層目のプリプレグ3をマンドレル2に巻きつける工程を図示している。
2層目以降に対応する部分のプリプレグ3は、1層目のプリプレグ3と同一の形状であって、且つ、その大きさは、1層目に対応するプリプレグ3より外層に行くに従って少しずつ大きくなるように形成されている。つまり、2層目以降のプリプレグ3は、隣り合う内層側に積層されたプリプレグ3の厚み分ずつ大きくなる大きさに切り出される。また、プリプレグ3は、マンドレル2に巻きつける際、プリプレグシート中の強化繊維がマンドレル2の長手方向に対して0゜方向に配向されるようにして切り出し形成される。
マンドレル2にプリプレグ3を巻きつけて内筒体4を形成する内筒体形成工程では、図4(a)に示すように、1層目として切り出し形成されたプリプレグ3から順次マンドレル2に巻きつけることにより、マンドレル2の外周にプリプレグ3を4層積層する。このとき、いずれのプリプレグ3に対しても張力を掛けつつ巻きつけていく。これにより、マンドレル2の外周面を隙間なく覆うようにして4層のプリプレグ3が積層された内筒体4が形成される。このとき、4層のプリプレグ3は、プリプレグ3中の炭素繊維の繊維角度がマンドレル2の長手方向に対しほぼ0゜となるストレート層として積層されている。なお、得られるサポートバー1の強度の観点から言えば、プリプレグ3が積層された内筒体4の積層肉厚bが、前記マンドレル2の面取り部22の面取り寸法aと同程度となるように形成されることが好ましい。
また、プリプレグ3の積層に関し、当該プリプレグ3は、ある程度の粘着力を有するため、マンドレル2の周囲に順次巻きつけていくことで、マンドレル2とプリプレグ3、及びプリプレグ3同士が粘着される。このように形成された内筒体4は、図4(a)に示すようにその断面形状は、マンドレル2の側面21に対応する側部41と、マンドレル2の面取り部22に対応する斜部42とが長手方向に亘って形成されている。また、図4(b)に示すようにその長手方向の形状は、断面略正方形状のテーパ状の内筒体テーパ部43と断面略正方形状の内筒体ストレート部44とが連設して形成されている。
次に、前記内筒体4の側面に、該内筒体4の長手方向に沿って、繊維強化樹脂製のプリプレグシートから形成される補強層5を積層する積層工程について説明する。
補強層5は、前記プリプレグシートを複数層積層したシート状のプリプレグ層を、長尺板状に切り出すことによって形成される。前記内筒体4を4層のプリプレグ3により形成した本実施形態では、補強層5も同様に、プリプレグシートを4層積層したシート状のプリプレグ層から切り出し形成している。切り出された補強層5は、図5に示すように、プリプレグ3の積層方向を長辺とした断面長方形状の長尺板状に形成されている。また、補強層5は、長手方向に長辺の長さが短くなる補強層テーパ部53と、当該補強層テーパ部53の大径側端部に連設されて、長手方向の長辺の長さが変化しない補強層ストレート部54として形成されている。つまり、補強層テーパ部53では、長辺側側面51は、その先端に向かうに従い、長手方向に直交する方向の長さが短くなるように形成されている。
補強層ストレート部54の長辺側の側面51において、長辺の長さwは、前記内筒体4の各側部41の外周面の幅mと略同一となるように形成されている。また、補強層ストレート部54端部から補強層テーパ部53端部にいたるまでの補強層5の長手方向の長さdは、内筒体4の内筒体テーパ部43及び内筒体ストレート部44の長さlと略同一となるように形成されている。
このようにして形成された補強層5は、内筒体4とその長手方向を同一にするとともに、当該補強層5の長辺側の側面51と内筒体4の側部41の外周面とが接するようにして、内筒体4の各側部41上に積層して予備成形体6が形成される。このとき、補強層5は、内筒体ストレート部44と補強層ストレート部54、内筒体テーパ部43と補強層テーパ部53とがそれぞれ積層されるようにして内筒体4に載置される。そして、図6に示すように、内筒体4の大径側端部断面45及び各補強層5の大径側端部断面55がほぼ面一となるとともに、内筒体の小径側端部断面及び各補強層5の小径側端部端面がほぼ面一となっている。このとき、補強層5を構成するプリプレグ層は、その炭素繊維の繊維角度がマンドレル2の長手方向に対しほぼ0゜となるストレート層として積層される。したがって、本実施形態では、内筒体4及び補強層5はいずれもストレート層としてマンドレル2に巻回・積層されている。
次に、前記予備成形体6の外層にラッピングテープ7を巻きつけてラッピングされた予備成形体を形成するラッピング工程について説明する。図7に示すように、本発明の被覆工程では、ラッピングテープ7を予備成形体6の外層に長手方向に少しずつずらしながら、張力をかけた状態で複数回巻回することによりラッピングされた予備成形体を形成する。
ラッピングテープ7は、市販される周知のものを使用することができる。材質は特に限定されるものではないが、ラッピング時の引張強さと伸び特性に優れ、加熱硬化工程における加熱温度に追従した熱収縮特性と熱応力特性とを備え、成形後の成形体から容易に剥がすことのできる優れた離型性を備えているものが好ましい。
被覆工程に続く加熱硬化工程では、ラッピングテープ7を外周に巻回してラッピングした予備成形体6を、加熱炉内で加熱する。加熱温度及び加熱時間は、積層されたプリプレグ3中の熱硬化性樹脂の種類及び予備成形体6の形状、或いは大きさにより適宜決定される。
加熱炉内での被覆された予備成形体6の加熱により、補強層5中の熱硬化樹脂が内筒体4中の熱硬化樹脂とともに加熱溶融する。このとき、張力を掛けた状態のラッピングテープ7により、予備成形体6の外周面が断面円形状に整形される。
さらに、加熱炉内での一定時間の加熱後、ラッピングされた予備成形体6を加熱炉から取り出して室温まで冷却することで、溶融されて内筒体4及び補強層5が一体化した予備成形体6中の熱硬化樹脂が冷却硬化され、外周面が円筒状に連続して一体化したサポートバー1が得られる。その後、冷却されたサポートバー1外層のラッピングテープ7を剥がし、サポートバー1内部のマンドレル2を脱芯することで、中空構造の繊維強化樹脂製のサポートバー1が得られる。
次に、本実施形態の繊維強化樹脂背サポートバーの製造方法により得られたサポートバー1の基板収納カセット内への配設について説明する。
本実施形態で成形された繊維強化樹脂製サポートバー1は、先端に向かうに従い外径が小さくなるテーパ筒部15と、長手方向の外径が変化しないストレート筒部16とが連設して構成されている。ガラス基板等を収納する基板収納カセット内にサポートバー1を配設する場合、ストレート筒部16が基板収納カセット奥に位置するようにして、当該ストレート筒部16を基板収納カセット奥に形成されたサポートバー支持部に挿入する。このようにして、繊維強化樹脂製サポートバー1を基板収納カセットに安定して取着することができる。
また、ストレート筒部16が基板収納カセット奥に取着された状態では、テーパ筒部15の小径側端部が基板収納カセット前面側に配設される。基板収納カセットに片持ち状態で取着されたサポートバー1は、支持されていないテーパ筒部15の先端部側に行くに従い、断面が小径になることで荷重が減少し、その撓み量を軽減することができる。
以上詳述した本実施形態の作用について以下に説明する。
プリプレグ3を巻きつけた内筒体4に補強層5を積層して予備成形体6を形成することで、ラッピングテープ7からの張力が内筒体4の角部のみならず補強層5の角部にも分散して作用する。補強層5の積層に基づくこのような作用により、補強層5がない場合に比較して内筒体4の角部に掛かる張力を軽減することができる。加熱硬化工程では、分散して作用する張力と、ラッピングテープ7からの熱収縮力とに、繊維強化樹脂の加熱溶融が加わり、予備成形体6の外周面形状が徐々に断面円形状に近づいていく。それに伴い、ラッピングテープ7の張力及び熱収縮力は益々予備成形体6外周面全体に亘って分散していく。最終的には予備成形体6外周面全体に均等に圧力が分散し、予備成形体6は円筒状に成形される。
マンドレル2には、角部が面取り加工された面取り部22が形成されている。したがって、マンドレル2にプリプレグ3を捲きつける際、角部に掛かる張力が面取り部22で分散される。面取り部22の構成に基づくこのような作用により、内筒体4の斜部42での肉厚を、内筒体4の側部41での肉厚と同程度に保持できる。角パイプの角部の薄肉化を抑制して角パイプ型サポートバーに高い曲げ剛性を付与することができる。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)本実施形態で製造された繊維強化樹脂製サポートバーは、内筒体4に補強層5を積層する構成を採用することにより、曲げ剛性に優れた角パイプ型のサポートバーでありながら、シートラッピング製法での製造が可能である。シートラッピング製法による製造により、金型を予備加熱したり、加熱成形後に金型を冷却したりといった作業が不要となるため、作業工程を単純化することができて、より早くサポートバーを製造することができる。また、高価な金型をいくつも用意する必要がないため、より安価に製造することができる。このように、金型を必要としない分、成形サイクルを短縮することが可能であり、また、設備費を軽減することもできるため、金型を用いた成形の問題は解消する。
(2)補強層5を設けたことで、予備成形体6の外周形状が断面円形状に近似するため、シートラッピング製法において予備成形体6の外周面に均等に圧力をかけることができる。外周形状が断面角形状である角パイプをシートラッピング製法で製造した場合に生じる表面の樹脂枯れ現象を抑制することができる。これにより、外観形状に優れたサポートバーを早く、安く製造することができる。
(3)シートラッピング製法での製造により、サポートバー1の加熱硬化工程を、加熱炉内での加熱及び室温での冷却により行うことができる。サポートバー1の大量生産を早いサイクルで安く行うことができる。
(4)マンドレル2に面取り部22を形成することで、プリプレグ3を巻回する際、面取り部22での圧力が分散するため、面取り部22に対応する内筒体4の斜部42での薄肉化を抑制することができる。これにより、斜部42に対応するサポートバー1の肉厚部14における強度低下、ひいては、サポートバー1全体での強度低下を好適に抑制することができる。
(5)サポートバー1の固定端にストレート筒部16を形成するとともに、先端に向かってその外径が小さくなるテーパ筒部15を形成したことで、同径のストレート形状のサポートバーと比較して、基板収納カセット内で固定されていない先端部での撓み量を好適に抑制することができる。また、サポートバー1自体の重量をも抑制することができる。
(6)プリプレグ3内の強化繊維を0°方向のストレート層として配向しているため、曲げ剛性の発現性が高い。したがって、大型の液晶パネルを収納する基板収納カセット内に配設する長尺状のサポートバー1として、その撓み量を好適に抑制することが可能である。
(7)シートラッピング製法を採用することにより、成形可能なサポートバー1の形状に自由度を持たせることができる。金型を使用しての成形では、サポートバーの形状に合わせて対応する芯材及び金型をそれぞれ用意する必要があるが、本実施形態では、所望の形状に成型した芯材を用意することで、サポートバーの形状を変更することが容易である。本実施形態のようにストレート筒部16とテーパ筒部15とを組み合わせたもの以外に、ストレート筒部16のみからなるサポートバー1であっても、或いは、テーパ筒部15のみからなるサポートバー1であっても、芯材を対応する形状に成型することで容易に成形することが可能である。
(8)サポートバー1の端部にはストレート筒部16が形成されているため、基板収納カセット内のサポートバー支持部の構成をストレート形状に形成することで、サポートバー1を強固に拘束支持することができる。サポートバー支持部を、サポートバーのテーパ形状を合致するように厳密に形成する必要がない分、サポートバー1の取着態様をより簡素化することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよく、また、以下の変更例を組み合わせて適用してもよい。
・ マンドレル2の面取り部22は、断面正方形状の四方の角部を、マンドレル2の各側面21とそれぞれ45゜をなす平面状に面取りした形状としたが、その形状については特に限定されない。例えば、図8(a)、(b)に示すように、面取り部22内に角部が存在するように形成したり、面取り部22を球面状に形成したりしてもよい。或いは、面取り部22を形成しない構成としてもよい。
・ 本実施形態では、内筒体4及び補強層5をそれぞれプリプレグ3が4層積層される構成としているが、積層数は特に限定されない。1層、2層或いは3層であっても、5層以上であってもよい。成形されたサポートバー1の長さに対して、要求されるべき高い曲げ剛性を充足するものであれば、適宜積層数を変更することができる。また、本実施形態では、内筒体4と補強層5のプリプレグ3の積層枚数を同数としたが、同数とすることに限定されない。内筒体4の積層枚数を補強層5のそれに比較して少なくしてもよく、また多くしてもよい。
・ 本実施形態では、プリプレグシートを複数層積層したシート状のプリプレグ層を、長尺板状に切り出して補強層5を形成した後、内筒体4に積層する構成としたが、積層態様はこれに限定されない。プリプレグシートを長尺状に切り出したものを、1層ずつ内筒体4の側部41外周面に積層してもよい。
・ 本実施形態では、補強層5を断面長方形状の長尺板状に形成したが、断面形状はこれに限定されるものではない。断面台形状であってもよいし、断面五角形、断面六角形などのように断面多角形状であってもよいし、或いは、断面円形状であってもよい。
・ 本実施形態では、4層のプリプレグ3が積層された補強層5を、内筒体4の各側部41にそれぞれ一つずつ積層して予備成形体6を形成したが、内筒体4の各側部41に積層する補強層5は一つに限定されない。一つの側部41につき、複数の補強層5を積層する構成としてもよい。この際、各側部41に積層された一つの補強層5に対して、その長辺側側面51の外側にさらに積層していく態様としてもよく、或いは、一つの側部41に複数の補強層5が接するように並列させて載置していく態様としてもよい。各側部41に積層された一つの補強層5に対して、その長辺側側面51の外側にさらに積層していく態様とする場合、外側に配置される補強層5の長辺側の側面51の長さは、内側に隣り合って配置される補強層5の長辺側の側面51の長さより短くなるように形成されていることが好ましい。
・ 本実施形態では、マンドレル2に巻きつけるプリプレグ3について、展開図に従って略同一の形状及び大きさとなるようにプリプレグシートを切り出したが、切り出し形状については特に限定されない。展開図に対して余裕を持った大きさに切り出してマンドレル2に巻きつけた後、マンドレル2からはみ出した部分を切り落とすようにしてもよい。
・ 本実施形態では、マンドレル2に巻きつけるプリプレグ3を積層枚数分それぞれ切り出して巻きつける態様としたが、複数枚が連設した形状で切り出して連続して巻きつけるようにしてもよい。
・ 本実施形態では、補強層5の長辺側側面51の長さwを、内筒体4の側部41の幅mと略同一となるように形成したが、内筒体4の側面の幅mより小さくなるように形成してもよい。加熱硬化工程で、補強層5の加熱溶融により外周面が断面円形状となれば、適宜その大きさを変更することができる。
・ 本実施形態では、テーパ筒部15の大径部側にストレート筒部16とが連設した形状としたが、その形状は特に限定されない。テーパ筒部15のみから形成されていてもよく、ストレート筒部16のみから形成されていてもよい。また、テーパ筒部15とストレート筒部16が交互に連設されていてもよい。或いは、テーパ筒部15が連続した傾斜状平面ではなく、先端に行くに従い段階的に径が小径化していくものであれば、連続した平面状に傾斜されていなくてもよい。
・ 本実施形態では、断面正方形状の中空部13を備えたサポートバー1としたが、特にその形状は限定されない。断面長方形状の中空部としてもよい。その場合、補強層5の長辺側側面51の長さwは、内筒体4の対向する側面間で異なるようにして形成し、成形されるサポートバー1は、外周断面楕円形状となる。また或いは、断面平行四辺形状の中空部としてもよく、断面台形状の中空部としてもよい。
・ 本実施形態では、繊維強化樹脂をサポートバーの長手方向に対して0°方向のストレート層として積層したが、配向方向は特に限定されない。45°方向のバイアス層、90°方向のフープ層として積層してもよい。また、本実施形態では、内筒体4及び補強層5ともにストレート層として積層したが、内筒体4と補強層5で、繊維強化樹脂中の強化繊維の配向方向が異なるように積層してもよい。或いは、内筒体4の各層でその配向方向を異なるように積層してもよく、また、補強層5の各層でその配向方向を異なるように積層してもよい。
・ 本実施形態のプリプレグ3としては、長繊維状の多数本の強化繊維が同一方向に配列されたものを熱硬化樹脂等の成形用樹脂に含浸させて得られた繊維強化樹脂層を使用したが、プリプレグ3はこれに限定されるものではない。多数本の強化繊維を織って形成される強化繊維織物に成形用樹脂を含浸させて得られた繊維強化樹脂層をプリプレグ3として使用してもよい。強化繊維織物としては、例えば、同一方向に配列された多数本の強化繊維と、それとは直交する方向に配列された多数本の強化繊維とを経糸及び緯糸として織り込まれたものを使用することができる。このようなプリプレグ3を、一方の強化繊維がサポートバーの長手方向に対して0゜となるように配置するとともに他方の強化繊維がサポートバーの長手方向に対して90゜となるように配置することで、サポートバーには高い強度が付与される。なお、強化繊維織物からなる繊維強化樹脂は、内筒体4のみに使用してもよく、補強層5のみに使用してもよく、或いは、内筒体4及び補強層5の両方に使用してもよい。さらに、内筒体4及び補強層5を構成する複数層の一部を、強化繊維織物からなる繊維強化樹脂層とし、他を長繊維状の多数本の強化繊維が同一方向に配列された繊維強化樹脂層として積層してもよい。
・ 教科繊維織物からなる繊維強化樹脂層を、それぞれの強化繊維がサポートバーに対してバイアス層を構成するようにしてもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術思想について記載する。
(イ)前記内筒体形成工程及び前記積層工程の少なくともいずれか一方の工程は、前記プリプレグとして繊維強化織物から構成される繊維強化樹脂層を積層する基盤収納用カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法。
以下、本実施形態の基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法の実施例について具体的に説明する。
[実施例]
本発明の基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法により製造されたサポートバーについて、従来の丸パイプ型サポートバーと比較して、同等の撓み量を実現するためのプリプレグ3の積層条件について検討した。
まず、マンドレル2として、表1に示すように、ストレート部24の長手方向の長さが250mm、テーパ部23の長手方向の長さが2130mmであり、ストレート部24断面の高さ及び幅が30mm、テーパ部23の細径部側先端断面の高さ及び幅が23mmの断面略正方形状の長尺状のマンドレル2を用意した。また、マンドレル2におけるストレート部24側端部の面取り部22の面取り寸法aは4.5mmである。
マンドレル2に巻回するプリプレグ3は、強化繊維として炭素繊維或いはガラス繊維を、熱硬化樹脂としてのエポキシ樹脂に含浸させた樹脂含有率33%のプリプレグシートを使用した。内筒体4には、引張弾性率7kgf/mmのガラス繊維を用いた厚み0.25mmのプリプレグシートを積層した。このプリプレグシートを、所望の形状及び大きさに切り出したものをプリプレグ3として準備した。この場合の所望の形状とは、マンドレル2の展開図に相当する形状に相当するプリプレグ3であり、所望の大きさとは、1層目としてはマンドレル2の展開図に相当する大きさであるとともに、2層目以降については隣り合う内層側に積層されたプリプレグ3の厚み分ずつ大きくなるプリプレグ3である。プリプレグ3を、マンドレル2の長手方向に対して、ガラス繊維の配向方向が0°方向のストレート層となるように配置し、マンドレル2の外周を隙間なく覆うように1層目から順に積層した。本実施例では、内筒体4を10層のプリプレグ3を巻回することにより形成した。また、補強層5は、内筒体4の各側部41に対してそれぞれ2つの補強層5を積層する態様で載置して予備成形体6を形成した。ここで、内筒体4の各側部41に載置する補強層5を補強層(下)とするとともに、補強層(下)の外側に位置する側面51にさらに積層する補強層5を補強層(上)と言う。
補強層(上)、補強層(下)のいずれも、引張弾性率24kgf/mmの炭素繊維を用い、厚み0.25mm、樹脂含有率33%のプリプレグシートを4層積層したものを使用した。表2に示すように、補強層(下)は、高さ1mm、補強層ストレート部54の長さ250mm、補強層テーパ部53の長さ2130mmであって、補強層ストレート部54の長辺の長さwが32mm、補強層テーパ部53の先端の細径部の長辺の長さが25mmとなるよう長尺状に切り出したものを用いた。また、補強層(上)は、同様に、高さ1mm、補強層ストレート部54の長さ250mm、補強層テーパ部53の長さ2130mmであって、補強層ストレート部54の長辺の長さwが22mm、補強層テーパ部53の先端の細径部の長辺の長さが15mmとなるよう長尺状に切り出したものを用いた。
内筒体4の側部41上に長手方向を一致させて4つの補強層(下)をそれぞれ内筒体テーパ部43から内筒体ストレート部44に亘って積層するとともに、4つの補強層(下)の外側に位置する側面51にさらにそれぞれ補強層(上)を積層して予備成形体6を形成した。この時、内筒体テーパ部43と補強層テーパ部53、内筒体ストレート部44と補強層ストレート部54とを一致させるようにして積層した。また、補強層(上)、補強層(下)のいずれにおいても、その炭素繊維の配向方向が、内筒体4のプリプレグ3と同様に、0°方向のストレート層となるように積層した。その後、予備成形体6の外周を覆うように、ラッピングテープ7に張力を掛けた状態で巻きつけた。ラッピングテープ7は、信越フィルム株式会社製SD2(テープ幅15mm、テープ厚み20μm)を使用した。
加熱硬化工程では、135℃の加熱炉内で2時間、繊維強化樹脂を熱溶融させて内筒体4と補強層5とを溶融接着させた後、取り出して室温まで冷却硬化させた。
[比較例]
断面真円形状の長尺状のマンドレルにプリプレグをストレート方向に18層巻回し、シートラッピング製法にて丸パイプ型のサポートバーを成形した。マンドレルの形状は、表1に示すように、ストレート部の直径が30mm、テーパ部の小径部側の直径が23mmのものを使用した。ストレート部の長手方向の長さ及びテーパ部の長手方向の長さは、実施例のマンドレル2と同一寸法である。巻回したプリプレグ18層のうち内層側と外層側では、その引張弾性率が異なるプリプレグを使用した。内層側プリプレグとしては、引張弾性率7kgf/mmのガラス繊維を用いたプリプレグを2層巻回するとともに、外層プリプレグとしては、引張弾性率40kgf/mm及び30kgf/mmの炭素繊維を用いたプリプレグを16層巻回した。プリプレグの厚みは0.25mm、樹脂含有率33%であることは実施例1のプリプレグ3と同一である。
実施例、比較例のサポートバーそれぞれのマンドレル形状は表1に示すとおりである。
また、実施例で使用した補強層(下)、補強層(上)の形状は表2に示すとおりである。
実施例及び比較例で製造したサポートバーについて、それぞれ撓み量測定試験を行った。撓み量測定条件は以下のとおりである。
[撓み量測定条件]
実施例のサポートバー、比較例のサポートバーともにストレート部端部より長さ250mmのジグを挿入し、片持ちはりの状態で先端に荷重0.9kgを掛けた。その状態での先端部での撓み量を測定した。その結果を表3に示す。
表3に示した結果より、実施例及び比較例の条件で成形したそれぞれのサポートバーは、先端部で7mmの撓み量となり、同一の数値を示した。実施例のサポートバーは、比較例の丸パイプ型のサポートバーに比較して、低い引張弾性率の繊維強化樹脂で製造しているにも関わらず、同等の曲げ剛性を実現することができることがわかる。
比較例では積層枚数18層中、引張弾性率7kgf/mmのガラス繊維を使用したプリプレグが2層であったのに対し、実施例では積層枚数18層中引張弾性率7kgf/mmのガラス繊維を使用したプリプレグが10層であった。また、比較例では引張弾性率40kgf/mm及び30kgf/mmの炭素繊維を使用したプリプレグを合わせて16層積層しているのに対し、実施例では、比較例より低い引張弾性率24kgf/mmの炭素繊維を使用したプリプレグを8層積層した。このように、角パイプ型サポートバーにおいてはより低い引張弾性率の強化繊維を使用したプリプレグを積層する構成としているにも関わらず高い曲げ剛性を確保することが可能であると言える。
1…繊維強化樹脂製サポートバー、2…芯材としてのマンドレル、3…プリプレグ、4…内筒体、5…補強層、6…予備成形体、7…ラッピングテープ、23…テーパ部、24…ストレート部

Claims (5)

  1. 基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法であって、
    断面角形状の長尺状の芯材に繊維強化樹脂製のプリプレグを複数層巻きつけて内筒体を形成する内筒体形成工程と、
    前記内筒体の側面に、該内筒体の軸方向に沿って、繊維強化樹脂製のプリプレグからなる補強層を積層して予備成形体を形成する積層工程と、
    前記予備成形体の外層にラッピングテープを巻きつけるラッピング工程と、
    前記ラッピングされた予備成形体を加熱する加熱硬化工程と、
    を備えた基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法。
  2. 前記内筒体形成工程は、断面角形状の長尺状の芯材の各角部に面取り加工を施し、該芯材に前記プリプレグを巻きつけて内筒体を形成する請求項1に記載の基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法。
  3. 前記積層工程は、繊維強化樹脂製のプリプレグを複数層積層して長尺板状の補強層を形成し、該補強層を前記内筒体の側面に積層する請求項1又は請求項2に記載の基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法。
  4. 前記内筒体形成工程は、前記芯材を軸方向の外径が小径化するテーパ状に形成し、該芯材に前記プリプレグを巻きつけて内筒体を形成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法。
  5. 前記内筒体形成工程は、前記芯材に、軸方向の外径が小径化するテーパ部を形成するとともに前記テーパ部の大径側端部に軸方向の外径が変化しないストレート部を形成し、該芯材に前記プリプレグを巻きつけて内筒体を形成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法。
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