JP6953375B2 - 筒状体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、繊維強化樹脂製の筒状体の製造方法に関する。
液晶表示装置の製造工程で、同装置に使用されるガラス基板等を収納するための基板収納カセットやガラス基板等を搬送するための搬送ロボットが知られている。基板収納カセットや搬送ロボットには、ガラス基板等を支持するための複数のサポートバーが取り付けられている。例えば、基板収納カセット内のサポートバーは、その基端部で基板収納カセット奥の側面に取り付けられ、片持ち状態で支持されている。そのため、その先端部に行くに従って撓み量が大きくなりやすい。特に近年では、ガラス基板等の大型化に伴ってサポートバーが長尺化しており、その傾向が顕著となっている。これは、搬送ロボットに取り付けられたサポートバーについても同様である。
撓み量を抑制して曲げ剛性を付与するべく、サポートバーを繊維強化樹脂で成形することが知られている。特許文献1には、曲げ剛性に優れた炭素繊維強化樹脂を使用したサポートバーに係る発明が記載されている。
特開2014−188853号公報
特許文献1に記載されるサポートバーは、ガラス繊維強化樹脂製のベースパイプの上面及び下面に炭素繊維強化樹脂製の補強部が形成され、側面に整形部が形成された楕円筒形状をなしている。炭素繊維強化樹脂は引張弾性率の高いものほど高価であることから、補強部に使用する炭素繊維強化樹脂は、引張弾性率の異なる複数の炭素繊維強化樹脂を併用する構成としている。使用時の固定端側の領域には相対的に引張弾性率の高い炭素繊維強化樹脂を使用する一方で、自由端側の領域には相対的に引張弾性率の低い炭素繊維強化樹脂を使用している。これにより、曲げ剛性の向上とコストの低減が図れるとしている。
しかし、曲げ剛性の向上とコストの低減の観点からは、なお改善の余地がある。本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、曲げ剛性に優れ、コスト的にも優れた筒状体を提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明の筒状体は、基端部で支持されて略水平方向に延びる片持ち状態での使用に適用される筒状体であって、繊維強化樹脂製の筒状の本体部と、繊維が前記本体部の軸方向に沿うように延びる繊維強化樹脂製の補強部を備え、径方向断面あたりの繊維量が前記基端部から先端部に向かって少なくなっている。
上記の構成によれば、基端部で支持されて片持ち状態で使用される筒状体の自由端側の先端部では、径方向断面積あたりの繊維強化樹脂の繊維量が基端部より少ない。そのため、基端部側にはより剛性が付与されるとともに、先端部側での重量を抑えることができる。先端部での撓み量を抑制して曲げ剛性に優れた筒状体が得られる。また、先端部での径方向断面積あたりの繊維量を少なくすることで必要な繊維強化樹脂が抑えられる。コスト的に優れた筒状体が得られる。
上記の目的を達成するために、本発明の筒状体の製造方法は、基端部で支持されて略水平方向に延びる片持ち状態での使用に適用される筒状体の製造方法であって、長尺状の芯材に繊維強化樹脂製のプリプレグシートを巻きつけて本体層を形成する本体層形成工程と、繊維強化樹脂製の複数のプリプレグシートを、繊維の配向方向が前記芯材の軸方向に沿うように積層して補強層を形成する積層工程と、前記本体層及び前記補強層が形成された予備成形体を加圧及び加熱して成形体を形成する成形工程とを備え、前記積層工程では、前記プリプレグシートの積層数が基端部から先端部に向かって少なくなるように積層する。
上記の構成によれば、繊維強化樹脂製のプリプレグシートの積層数が基端部から先端部に向かって少なくなるように積層して補強層を形成している。補強層として、片持ち状態で支持される筒状体の基端部には繊維強化樹脂製のプリプレグシートが多く積層されるようにし、加わる曲げモーメントが基端部より小さい先端部には少なく積層されるようにしている。そのため、より少ない繊維強化樹脂で、撓み量が抑制されて曲げ剛性に優れた筒状体を製造することができる。また、プリプレグシートの積層数を先端部に向かって少なくすることができるため、プリプレグシートの使用量が抑制される、コスト的に優れた筒状体を製造することができる。
上記の構成において、前記積層工程では、前記芯材の軸方向に沿う方向の長さが異なる複数の前記プリプレグシートを積層するとともに、複数の前記プリプレグシートのうち、長さが長い前記プリプレグシートを、長さが短い前記プリプレグシートの外側に積層することが好ましい。
上記の構成において、前記積層工程では、複数の前記プリプレグシートを前記本体層の周面の基端縁から積層することが好ましい。
上記の構成において、前記積層工程では、前記本体層の周面の周方向の一部に第1補強層を積層するとともに、前記本体層の周面の周方向の一部であって前記第1補強層と対向する部分に第2補強層を積層することが好ましい。
上記の構成において、前記成形体の外周面に受け部を取り付ける受け部取り付け工程をさらに備え、前記受け部取り付け工程では、前記積層工程で積層された前記プリプレグシートの端縁が位置する以外の部分に前記受け部を取り付けることが好ましい。
上記の構成において、前記受け部が取り付けられる部分の最外層にクロスプリプレグシートを積層することが好ましい。
本発明によれば、曲げ剛性に優れ、コスト的にも優れた筒状体が得られる。
本実施形態の筒状体の斜視図。 筒状体の断面模式図であり、(a)は図1のA‐A線での断面模式図、(b)は図1のB‐B線での断面模式図。 筒本体の断面模式図であり、(a)は図1のA‐A線での断面模式図、(b)は図1のB‐B線での断面模式図。 本体層と補強層の構成について説明する図。(a)は筒状体の長手方向断面の構成について説明する図、(b)は筒本体の径方向断面の構成について説明する図。
以下、本発明の筒状体を具体化した一実施形態を、図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態の筒状体10は、基板収納カセットや搬送ロボット等に取り付けられる繊維強化樹脂製サポートバーに適用される。
図1に示すように、筒状体10は、筒本体20と筒本体20の外周面に取り付けられた複数の受けコマ30を有している。筒状体10は、筒本体20の基端部20bに取り付けられた取付部40を介して基板収納カセットの内側面等に略水平方向に延びるように固定されて片持ち状態で使用されるものであり、筒本体20の基端部20bが固定端となり先端部20aが自由端となる。受けコマ30は、筒状体10が固定された状態で上側となる筒本体20の外周面に取り付けられており、液晶基板等の下面を支持する受け部として機能する。以下では、使用状態での筒状体10の上下方向を筒本体20の上下方向として説明する。
図1及び図2に示すように、筒本体20は、内周面と外周面がともに基端部20bから先端部20aに行くほど徐々に小径となるテーパ筒状に形成されている。また、相対的に小径な先端部20aは、相対的に大径な基端部20bより軽量であり、基端部20bから先端部20aに行くほど徐々に軽量となっている。
図2に示すように、筒本体20は、内周側に形成されたほぼ円筒形状の本体部21と、本体部21の上下方向外周側に形成された一対の補強部22を有しており、長手方向全体の外形が楕円筒形状に形成されている。図2(a)及び(b)に示すように、筒本体20の本体部21は、断面円形状で基端部20bから先端部20aへ行くほど徐々に小径となっており、本体部21の上下には、基端部20bから先端部20aへ行くほど少なくなるように補強部22が形成されている。そのため、筒本体20の外形は、基端部20b側ほど大径であるとともに上下方向の高さが大きい断面楕円形状をなし、先端部20a側ほど小径であるとともに上下方向の高さが小さい断面楕円形状をなしている。また、筒本体20の基端部20bでは、断面積全体に占める補強部22の割合が相対的に多く、先端部20aに行くほど断面積全体に占める補強部22の割合が相対的に少なくなっている。
筒本体20は、炭素繊維等の強化繊維に熱硬化性樹脂等の成形用樹脂を含浸させた繊維強化樹脂製のプリプレグシートを複数層積層して熱硬化させることによって形成されてなるものである。そのため、本体部21と補強部22では樹脂が溶融して一体化した状態で硬化している。図2は、筒状体10の基端部20bと先端部20aの断面模式図であり、本体部21と補強部22の形成状態を示すものである。図2では、本体部21と補強部22の境界部分を示しているが、実際には、本体部21を構成する樹脂と補強部22を構成する樹脂は溶融により一体化しており、樹脂の境界部分は明瞭ではない。
繊維強化樹脂を構成する繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、各種セラミックス繊維、ボロン繊維、銅、ステンレス等の金属繊維、アモルファス繊維、芳香族ポリアミド等の有機繊維、それらの混織物等を用いることができる。炭素繊維の場合、PAN系であってもピッチ系であってもよい。曲げ剛性に優れた筒状体10を得るためには、炭素繊維強化樹脂を使用することが好ましく、コスト面を考慮するとガラス繊維強化樹脂を使用することが好ましい。繊維の種類は曲げ剛性やコスト面を考慮して適宜選択すればよい。繊維は1種類であってもよく、複数種類を併用してもよい。
また、繊維強化樹脂を構成する成形用樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。本体部21と補強部22は、同じか或いは異なる種類の繊維に同じ材質の熱硬化性樹脂を含侵させた繊維強化樹脂で構成されていることが好ましい。
筒本体20の本体部21では、繊維が筒本体20の長手方向に対して、±45゜のバイアス方向に配向されていてもよく、90゜のフープ方向に配向されていてもよく、0゜のストレート方向に配向されていてもよい。また、繊維の配向方向が異なるものが適宜混合されていてもよい。一方、筒本体20の補強部22では、筒状体10の曲げ剛性を向上させる観点から、繊維が筒本体20の長手方向に対して0゜方向に配向されている。なお、補強部22では、0゜以外の方向に配向されている繊維を含んでいてもよい。
図3に示すように、本実施形態の筒本体20の本体部21及び補強部22は、ともに繊維強化樹脂製の複数層のプリプレグシートが積層されて形成されており、その断面では、プリプレグシートを積層した状態を、繊維Fの層が積層された状態として視認することができる。つまり、本体部21及び補強部22では、溶融して一体化した状態で硬化した熱硬化性樹脂の中に、繊維Fが周方向に並んだ層が積層された状態として視認することができる。なお、図3は筒状体10の断面模式図であり、繊維Fの層がわかりやすいように、対応するプリプレグシートの層を二点鎖線で示し、筒状体10の上下方向の寸法を図2より大きく示している。
図3(a)に示すように、基端部20b側の補強部22では、繊維Fの層が相対的に多く積層されており、先端部20a側の補強部22では、繊維Fの層が相対的に少なく積層されている。繊維Fの層の積層数は、基端部20bから先端部20aに向かって少なくなっている。また、繊維Fの層の積層数が基端部20bから先端部20aに向かって少なくなっていることにより、径方向断面積あたりの繊維量も基端部20bから先端部20aに向かって少なくなっている。つまり、基端部20b側の補強部22では、径方向断面積あたりの繊維量が相対的に多く、先端部20a側の補強部22では、径方向断面積あたりの繊維量が相対的に少ない。
ここで、繊維Fの層の積層数が基端部20bから先端部20aに向かって少なくなっているとは、連続的に少なくなっている場合だけでなく、段階的に少なくなっている場合も含むものとする。また、必ずしも筒本体20のすべてにおいて、繊維Fの層の積層数が基端部20b側より先端部20a側が少ない場合に限定されない。筒本体20の一部で基端側より先端側が多い部分があったとしても、全体として基端部20bから先端部20aに向かって少なくなっていればよい。径方向断面積あたりの繊維量についても同様である。
次に、筒状体10の製造方法について図4に基づいて説明する。
本実施形態の筒状体10の製造方法は、長尺状の芯材に繊維強化樹脂製のプリプレグシートを巻きつけて本体層を形成する本体層形成工程、本体層の外周面に繊維強化樹脂製の複数のプリプレグシートを積層して補強層を形成する積層工程、本体層及び補強層が形成された予備成形体の外周面にラッピングテープを巻きつけるラッピング工程、ラッピングテープが巻きつけられた予備成形体を加熱して成形体を形成する成形工程、成形体の外周面を研磨、塗装等する研磨工程、成形体の外周面に受けコマ30を取り付ける受け部取り付け工程を備えている。本体層形成工程により形成された本体層は、筒本体20の本体部21となり、積層工程により形成された補強層は、筒本体20の補強部22となる。なお、図4(a)、(b)は本体層と補強層の構成について説明する模式図であり、筒本体20の本体部21となる本体層の構成を「21」で示し、補強部22となる補強層の構成を「22」で示している。また、筒状体10の固定端(筒本体20の基端部20b)に対応する部分を基端、筒状体10の自由端(筒本体20の先端部20a)に対応する端部を先端と言うものとする。さらに、筒状体10の使用状態での上下方向で、本体層、補強層、予備成形体、成形体の上下方向を言うものとする。
本体層形成工程では、芯材としてのマンドレルにシート状の繊維強化樹脂製のプリプレグシートを複数層巻き付けて本体層を形成する。マンドレルは断面円形状であり、基端から先端に向かうにつれて連続的に小径となるテーパ状に形成されている。マンドレルは、筒状体10より長手方向の長さが少し長いものを使用する。
マンドレルに巻きつける繊維強化樹脂製のプリプレグシートは、炭素繊維等の強化繊維に方向性を持たせた状態で熱硬化性樹脂を含浸させたものを使用する。プリプレグシートとしては、同一方向に配列された多数本の強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させてなるUDプリプレグシート、強化繊維の織物や編物に熱硬化性樹脂を含侵させてなるクロスプリプレグシートを使用することが好ましい。本体層におけるプリプレグシートの積層数は特に限定されないが、筒状体10の曲げ剛性とコストとの両立の観点から、1〜5層程度であることが好ましい。例えば、ガラス繊維強化樹脂製の2層のクロスプリプレグシートを、その繊維方向がマンドレルの軸方向に対して±45゜をなすように積層して本体層を形成する。
次に、積層工程では、本体層の外周面に、繊維強化樹脂製の複数層のプリプレグシートからなる補強層を積層する。補強層を形成するプリプレグシートは、曲げ剛性に優れた筒状体10を得るために、炭素繊維強化樹脂のプリプレグシートを使用することが好ましい。また、プリプレグシートしては、UDプリプレグシート、クロスプリプレグシートを使用することができるが、曲げ剛性に優れた筒状体10を得るためには、UDプリプレグシートを使用することが好ましい。また、UDプリプレグシート、クロスプリプレグシートのいずれを使用する場合であっても、その繊維の配向方向がマンドレル(本体層)の軸方向に沿う0゜方向となるように配向する。
図4(a)に示すように、補強層は、長手方向の長さが異なる複数種類の短冊状シートを本体層の外周面に積層して形成する。複数種類の短冊状シートは、長手方向の長さが異なるようにプリプレグシートを切り出すことにより形成する。ここでは、補強層を形成する複数種類の短冊状シートをそれぞれ「不等長シート」と言うものとする。また、長手方向の長さが短いものから順に「不等長シート1」、「不等長シート2」、・・・と言うものとする。各不等長シートの長手方向の長さや種類は特に限定されないが、実現したい曲げ剛性及びコストとの両立の観点から、適宜の長さや種類に調整すればよい。例えば、本体層の長手方向の長さの約1/3程度の長さから、本体層の長手方向の長さとほぼ同一の長さまでの範囲であって、適宜選択された2〜20種類程度の長さのものを調整することができる。また、各不等長シートの短手方向の長さはほぼ同じに形成されている。
図4(b)に示すように、各不等長シートは、本体層の外周面の周方向の一部である本体層の上側の外周面と下側の外周面にそれぞれ積層する。上側の補強層と下側の補強層の不等長シートの構成は同じとすることが好ましい。こうすることで、筒状体10の反りを抑制することができる。また、上側の補強層と下側の補強層の不等長シートは、筒状体10を片持ち状態で固定した状態での本体層断面における重心位置に対して上下に対向する位置に積層する。上側の補強層と下側の補強層の短手方向の長さは、筒状体10の高い曲げ剛性と製造コストの点から、それぞれ本体層の周長の約1/6〜1/3程度であることが好ましい。
各不等長シートにおけるプリプレグシートの積層数は特に限定されないが、筒状体10の曲げ剛性とコストとの両立の観点から、1〜5層程度であることが好ましい。各不等長シートにおけるプリプレグシートの積層数は、補強層に使用するプリプレグシートの使用量(繊維強化樹脂の使用量)が、筒本体20全体に使用するプリプレグシートの使用量(繊維強化樹脂の使用量)に対して35%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましい。補強層の繊維強化樹脂量の割合がこの範囲であると、筒状体10の製造コストを抑えつつ曲げ剛性を向上させることができる。
図4(a)に示すように、各不等長シートは、長手方向の一端縁を本体層の基端縁に合わせ、本体層の先端縁に向けて延びるように積層することが好ましい。また、外層側ほど長手方向の長さが長い不等長シートを積層し、最外層の不等長シートは、本体層の長手方向全長に亘る長さを有するものを積層することが好ましい。
図4(a)に示す例では、不等長シートを長手方向の長さが異なる6種類で構成している。最も長手方向の長さが短い不等長シート1が本体層の長手方向の長さの約2/5程度であり、最も長手方向の長さが長い不等長シート6が本体層の長手方向とほぼ同じ長さである。不等長シート2、3、4、5の長手方向の長さは、不等長シート1と不等長シート6の間であって、不等長シート1から不等長シート6に向けて順に同じ長さ分ずつ長くなるように構成されている。例えば、各不等長シート1、2、3、4、5、6は、それぞれ炭素繊維強化樹脂製のUDプリプレグシートからなる2層の長尺状シートで構成し、その繊維方向が本体層の軸方向に沿う0゜方向に配向して積層されている。
また、積層工程では、受け部取り付け工程で取り付ける受けコマ30の取付け位置に対応する部分(以下、受け部取り付け部分と言う。)を少なくとも含む領域の最外層にクロスプリプレグシートを積層することが好ましい。これは、最も外層側にある不等長シートの最外層をクロスプリプレグシートで構成することによっても可能である。例えば、図4(a)に示す不等長シート6が2層のプリプレグシートで構成されている場合、2層のプリプレグシートをともにクロスプリプレグシートで構成してもよく、最外層の1層をプリプレグシートで構成してもよい。或いは、最も外層側にある不等長シート(図2(a)の不等長シート6)の最外層のプリプレグシートの受け部取り付け部分を覆うように、クロスプリプレグシートからなる小片をさらに積層することで構成することも可能である。
このようにして、本体層の外周面に繊維強化樹脂製の複数のプリプレグシートからなる補強層が積層された予備成形体が得られる。
ラッピング工程では、予備成形体の外周面にラッピングテープを巻きつける。ラッピングテープは、予備成形体の外周面に長手方向に少しずつずらしながら、張力をかけた状態で複数回巻回する。
加熱工程では、ラッピングされた予備成形体を加熱炉内で加熱して成形体を形成する。加熱温度及び加熱時間は、積層されたプリプレグシート中の熱硬化性樹脂の種類及び予備成形体の形状、或いは大きさにより適宜決定すればよい。加熱炉内での予備成形体の加熱により、補強層中の熱硬化樹脂が本体層中の熱硬化樹脂とともに加熱溶融する。このとき、張力を掛けた状態のラッピングテープにより、予備成形体の外周面が断面楕円形状に整形される。加熱炉内での一定時間の加熱後、ラッピングされた予備成形体を加熱炉から取り出して室温まで冷却することで、溶融されて本体層及び補強層が一体化した予備成形体中の熱硬化樹脂が冷却硬化され、外周面が楕円形状に連続して一体化した成形体(筒本体20)が得られる。本体層形成工程で形成された本体層は筒本体20の本体部21となり、積層工程で積層された補強層は筒本体20の補強部22となる。本体部21と補強部22では樹脂が溶融して一体化するとともに、本体部21及び補強部22を構成するプリプレグシートに配向された繊維Fは、プリプレグシートの積層順に層状に積層された状態となる(図3(a)、(b)参照)。
続いて、研磨工程では、成形体からラッピングテープを除去した後、成形体の外周面を研磨、塗装等する。
図2、図3及び図4(a)に示すように、受け部取り付け工程では、成形体の外周面に受けコマ30を取り付ける。受けコマ30は、上側の補強部22の最上部の位置であって、筒本体20の長手方向の複数個所に取り付ける。受けコマ30の取り付け個数は特に限定されないが、例えば、成形体の先端、中央、基端の合計3箇所に取り付けることが好ましい。
図4(a)に示すように、受けコマ30の取付け位置は、不等長シートの端縁の位置で決定する。具体的には、複数の受けコマ30のうちの少なくとも一つは、不等長シートの端縁が位置する以外の部分に取り付ける。各不等長シートは、それぞれの先端側の端縁が成形体(筒本体20)の長手方向の中間に位置しており、不等長シートの端縁の位置では、その両側で不等長シートの積層枚数が異なっている。そのため、受けコマ30を不等長シートの端縁が位置する以外の部分に取り付けると、不等長シートの積層枚数が異なる境界部分に受けコマ30が取り付けられることが回避され、受けコマ30の取り付け状態を安定させることができる。
本実施形態の筒状体10の作用について以下に説明する。
本実施形態の筒状体10は、基板収納カセットのサポートバーに適用され、筒本体20の基端部20bに取り付けられた取付部40により、基端部20bが固定端とされ、先端部20aが自由端とされた片持ち状態で基板収納カセットの側面に固定される。筒本体20は、先端部20aから基端部20bにかけて徐々に大径となるテーパ筒状に形成されている。また、基端部20bから先端部20aに行くほど徐々に軽量になっている。そのため、筒本体20は相対的に大径な基端部20bでの剛性が高く、相対的に小径で軽量な先端部20aでの撓み量が抑制される。
また、筒本体20には、筒状体10が固定された状態での本体部21の上下方向外周側に補強部22が形成されている。補強部22により、基板収納カセットに固定された筒状体10に対して鉛直方向に重力が作用したり、基板を支持した状態で鉛直方向に基板の重量が作用したりしても、筒状体10が撓みにくい。
補強部22は、長手方向の長さの異なる複数種類の不等長シートを積層してなる補強層から形成されており、各不等長シートは、長手方向の一端縁を本体層の基端縁に合わせ、本体層の先端縁に向けて延びるように積層している。これにより、筒本体20の基端部20bでは、断面積全体に占める補強部22の割合が相対的に多く、先端部20aに行くほど断面積全体に占める補強部22の割合が相対的に少なくなっている。また、筒本体20の基端部20b側の補強部22では、繊維Fの層の積層数が相対的に多く、先端部20aに行くほど繊維Fの層の積層数が相対的に少なくなっている。そして、径方向断面積あたりの繊維量も基端部20bから先端部20aに向かって少なくなっている。そのため、基端部20b側での剛性が高く、先端部20a側に行くほど軽量となって、先端部20aでの撓み量が抑制される。
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の筒状体10は、繊維強化樹脂製の本体部21と、本体部21の外周に設けられて繊維Fが本体部21の軸方向に沿うように延びる補強部22を備えている。補強部22では、径方向断面あたりの繊維量が基端部20bから先端部20aに向かって少なくなっている。つまり、基端部20bで支持されて片持ち状態で使用される筒状体10の自由端側では、補強部22における径方向断面あたりの繊維量が固定端側より少ない。
そのため、基端部20b側にはより剛性が付与されるとともに、先端部20a側での重量を抑えることができる。先端部20aでの撓み量を抑制して曲げ剛性に優れた筒状体10が得られる。
(2)本実施形態の筒状体10の補強部22は、本体部21の外周面の周方向の一部と、対向する周方向の一部にそれぞれ形成されている。そのため、補強部22が本体部21の外周面の周方向の全体に形成されている場合に比べて、繊維強化樹脂の使用量を少なくすることができる。筒状体10の製造コストを抑制することができる。
(3)本実施形態の筒状体10は、先端部20sほど小径のテーパ形状に形成されている。そのため、先端部20a側での重量を抑えて、先端部20aでの撓み量を抑制することができる。
(4)本実施形態の筒状体10の製造方法では、本体層の外周面に、繊維強化樹脂製の複数のプリプレグシート(不等長シート)からなる補強層を積層して予備成形体を形成する積層工程を備えている。積層工程では、複数種類の不等長シートの積層数が基端部から先端部に向かって少なくなるように積層している。そのため、基端部20bほど繊維強化樹脂量が多く、繊維Fの層の積層数が多い筒状体10を、不等長シートの積層数を部位によって変えることで容易に製造することができる。先端部20aでの撓み量が抑制されて曲げ剛性に優れた筒状体10の製造が容易である。
(5)筒本体20の先端部20aに行くほど繊維Fの層の積層数を少なくすることで、筒状体10を製造するために必要な繊維強化樹脂量を抑えることができる。また、径方向断面積あたりの繊維量を少なくすることで、筒状体10を製造するために必要な繊維強化樹脂量を抑えることができる。筒状体10の製造コストを抑制することができる。
(6)積層工程では、長手方向の長さが異なる複数種類の不等長シートを準備し、先端部に行くほど不等長シートの積層数が少なくなるように積層している。つまり、径方向断面あたりの繊維量が基端部20bから先端部20aに向かって少なくなる補強部22の構成を、プリプレグシートの積層数の調整により容易に実現することができる。また、複数種類の不等長シートの適宜の組み合わせにより、先端部20aに向かって繊維Fの積層数が少なくなるように調整したり、繊維量が少なくなるように調整したりすることが容易にできる。コスト的に優れた筒状体10の設計が容易にできる。
(7)本実施形態の積層工程では、長手方向の長さが異なる複数種類の不等長シートを本体層の外周面の基端縁から積層している。そのため、長さが異なる不等長シートの位置合わせがしやすく、作業をスムーズに行うことができる。
(8)本実施形態の積層工程では、長手方向の長さが異なる複数種類の不等長シートを積層するとともに、複数の不等長シートのうち、長さが長い不等長シートを、長さが短い不等長シートの外側に積層している。そのため、長さが異なる複数種類の不等長シートを積層したとしても、長さが短い不等長シートの端縁の位置が、長さが長い不等長シートで覆われる。不等長シートの端縁の位置で不等長シートの積層枚数が異なることによる厚み分の段差が生じたとしても、筒本体20の外周面への影響が生じにくい。外面形状に優れた筒本体20、筒状体10が得られる。
(9)本実施形態の受け部取り付け工程では、積層工程で積層された不等長シートの端縁が位置する以外の部分に受けコマ30を取り付けている。不等長シートの端縁の位置での段差を避けて受けコマ30を取り付けることができる。そのため、受けコマ30の取り付け状態を安定させることができる。
(10)本実施形態の積層工程では、受けコマ30が取り付けられる部分の補強層の外側にクロスプリプレグシートを積層している。受けコマ30が取り付けられる部分の補強層の最外層がUDプリプレグシートであると、受けコマ30の取り付け穴の穴開け加工によって切断された繊維の端縁が筒状体10の外周面から突出したり、繊維方向に裂けて剥離したりする場合がある。この点、最外層を繊維が織物状に織り込まれたクロスプリプレグシートとすることで、受けコマ30の取り付け穴の加工によって繊維が切断されたとしても、繊維の端縁の突出や裂けを抑制することができる。
上記実施形態は、次のように変更できる。なお、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
・上記実施形態の筒本体20は、本体部21の上下に補強部22が形成されているが、補強部22が本体部21の全周に形成されていてもよい。
・上記実施形態の筒本体20は、本体部21の外周側の上下に補強部22が形成されているが、本体部21の内周側の上下に補強部22が形成されていてもよい。この場合、補強層となる各不等長シートをマンドレルの上下に積層した後、本体層となるプリプレグシートを不等長シートの外周面に巻き付ければよい。また、本体層となるプリプレグシートの最外層をクロスプリプレグシートとするか、その最外層における受け部取り付け部分を少なくとも含む領域の外層にクロスプリプレグシートを積層する。
・上記実施形態の筒本体20は、本体部21の外周側に補強部22が形成されているが、本体部21、補強部22が複数存在していてもよい。例えば、最も内層側の1番目の本体部21の外周側に1番目の補強部22が形成され、さらにその外周側に2番目の本体部21が形成され、さらにその外周側に2番目の補強部22が形成されるというように、本体部21と補強部22とが交互に形成されていてもよい。この場合、例えば、1番目の本体層となるプリプレグシートをマンドレルに巻き付けた後、不等長シートを上下に積層し、さらにその外周に2番目の本体層となるプリプレグシートを巻き付けるといった方法を採用することができる。
・上記実施形態の筒本体20は、長手方向全体の外形が楕円筒形状に形成されているが、筒本体20の形状はこれに限定されない。四角筒形状の本体部の上下に補強部が形成された四角筒形状であってもよい。この場合、筒本体を製造する際には、断面四角形状のマンドレルにプリプレグシートを巻き付けて四角筒形状の本体層を形成し、本体層の上下面に不等長シートを積層して補強層を形成すればよい。不等長シートの短手方向の長さを本体層の上下面の短手方向の長さと略同一にすると製造上の効率が高い。
・上記実施形態の筒状体10の製造方法では、本体層の上下の外周面のそれぞれに補強層を積層したが、本体層の上下の外周面以外の周面に補強層を積層してもよい。この場合、上下の外周面の補強層の積層数を多くするとともに、上下の外周面以外の周面の補強層の積層数を少なくすることにより、高い曲げ剛性を実現しつつコストを抑えるようにしてもよい。
・補強層を形成するための複数種類の不等長シートは、すべて本体層の基端縁から積層されていなくてもよい。本体層の基端縁から積層されるものと、基端縁より先端側に変位した位置から積層されるものとが混在していてもよい。
・積層工程では、長手方向の長さの短い不等長シート1から、長手方向の長さが長くなる不等長シート2、3、4、5、6を長さの順に積層したが、これに限定されない。すべての不等長シートで、長さが長いものが外側になくてもよく、一部では長さが長い不等長シートの外側に長さが短い不等長シートが積層されていてもよい。例えば、内層側から不等長シート1、2、4、3、5、6の順に積層されていてもよく、不等長シート2、3、1、5、4、6の順に積層されていてもよい。この場合であっても、長さが短い不調長シートが長さが長い不等長シートで覆われる部分があれば、不等長シートの積層枚数が異なることによる厚み分の段差が生じたとしても、筒本体20の外周面への影響が生じにくい。
・図4では、プリプレグシートを2層積層して本体層を形成し、6種類の不等長シートをそれぞれ2層積層して補強層を形成したが、積層数は特に限定されない。筒状体10の長さに対して、要求されるべき曲げ剛性を充足し、コスト的にも満足できるものであれば、適宜積層数を変更することができる。また、複数種類の不等長シートの少なくともいずれかの積層数を異ならせてもよい。
・上側の補強層と下側の補強層の不等長シートの構成は同じとしたが、必ずしも同じでなくてもよい。
・各不等長シートの短手方向の長さがほぼ同じものを積層したが、これに限定されない。短手方向の長さが異なるものが混在していてもよい。この場合、例えば、短手方向の長さが短い不等長シートをより外層側に積層するようにしてもよい。
・補強層として積層するプリプレグシートは、UDプリプレグシートとクロスプリプレグシートを併用してもよい。また、補強層を構成するプリプレグシートは、繊維が本体層の軸方向に沿うように延びるように積層するが、補強層を構成するすべてのプリプレグシートの繊維の配向方向が本体層の軸方向に沿っていなくてもよい。繊維の配向方向が本体層の軸方向に沿っていないプリプレグシートが積層されていてもよい。
・上記実施形態の製造方法では、予備成形体の外周面にラッピングテープを巻きつけて加圧し、ラッピングテープが巻きつけられた予備成形体を加熱して成形体を形成したが、これに限定されない。例えば、断面四角形状の予備成形体に対して、上下面及び左右側面に板材を押し当てて加圧してもよい。また、加熱された板材を押し当てて、加圧及び加熱を同時に行ってもよい。
・複数の受けコマ30のすべてが、不等長シートの端縁が位置する以外の部分に取り付けられていなくてもよい。受けコマ30の一部が不等長シートの端縁が位置する以外の部分に取り付けられていることにより、受けコマ30の取り付け状態を安定させることができる。また、複数の受けコマ30のすべてが、不等長シートの端縁が位置する部分に取り付けられていてもよい。この場合、研磨工程で成形体の外周面を研磨することにより、受けコマ30を安定して取り付けることができる。
・受け部取り付け部分の最外層だけでなく、最内層をクロスプリプレグシートとしてもよい。この場合、本体層の最内層を構成するプリプレグシートをクロスプリプレグシートとしてもよく、本体層をクロスプリプレグシートで形成してもよい。
・受けコマ30を取り付ける受け部取り付け部分の最外層がクロスプリプレグシートでなくてもよい。
以下、本実施形態の基板収納カセット用繊維強化樹脂製サポートバーの製造方法の実施例について具体的に説明する。
本発明の筒状体について、以下の試験に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
<試験1>
補強層の積層構成を変えた筒状体を作成し、各筒状体について曲げ剛性を測定した。実施例及び比較例の筒状体は、いずれも長手方向の長さが約1800mm、基端縁の上下方向の外径が約45.8mm、先端側の上下方向の外径が約27.7mmであった。なお、ここで作成した各筒状体は、内筒伝形成工程、積層工程、ラッピング工程、加熱工程を経て製造されたものであり、研磨工程及び受け部取り付け工程を省略したものである。また、ラッピング工程及び加熱工程の条件は、実施例及び各比較例ですべて同一とした。加熱工程では、135℃に加熱した加熱炉内で約3時間加熱して筒状体を得た。
[実施例1−1]
芯材として、長さ約2000mm、基端縁の直径が約43mm、先端縁の直径が約25mmの長尺テーパ形状のマンドレルを準備した。本体部を形成するためのプリプレグシートは、引張弾性率24kgf/mmのPAN系炭素繊維をエポキシ樹脂に含侵させたUDプリプレグシート(繊維量250g/m、樹脂量153g/m)と、ガラス繊維をエポキシ樹脂に含侵させたクロスプリプレグシート(繊維量30g/m、樹脂量20g/m)を貼り合わせたもの(以下、シートAという。)を使用した。このシートAから、長手方向の長さが1833mm、一方の底辺の長さが138mm、他方の底辺の長さが85mmの略等脚台形状のシートを切り出してマンドレルに巻き付け、シートAを3層積層して本体層を形成した。シートAは、UDプリプレグシートの繊維の配向方向がマンドレルの軸方向に沿う0゜であり、クロスプリプレグシートの繊維の配向方向が0゜/90゜となるように積層した。
補強部は、本体部の上下で同じ構成とした。補強部を形成するためのプリプレグシートは、短手方向の長さが同じで長手方向の長さが異なるように長方形状に切り出した6種類の短冊状のシート(不等長シート)を使用した。補強層は、それぞれの不等長シートを1層ずつ積層して形成した。各不等長シートの短手方向の長さは14mmである。また、長手方向の長さが短いものから順に「不等長シート1」、「不等長シート2」・・・とした場合、長手方向の長さが最も短く、最も内層側に積層した不等長シート1は、長手方向の長さが945mmである。長手方向の長さが最も長く、最も外層側に積層した不等長シート6は、長手方向の長さが本体層の長手方向の長さと同じ1833mmである。長手方向の長さが不等長シート1から順に長くなる不等長シート2、3、4、5は、それぞれ1145mm、1345mm、1545mm、1745mmである。また、最も外層側に積層した不等長シート6は、ガラス繊維をエポキシ樹脂に含侵させたクロスプリプレグシート(繊維量85g/m、樹脂量57g/m、以下、シートCという。)を使用した。他の不等長シートは、すべて引張弾性率80kgf/mmのピッチ系炭素繊維をエポキシ樹脂に含侵させたUDプリプレグシート(繊維量250g/m、樹脂量114g/m、以下、シートBという。)を使用した。不等長シート1、2、3、4、5は、シートBの繊維の配向方向がマンドレルの軸方向に沿う0゜となるように積層し、不等長シート6は、シートCの繊維の配向方向が0゜/90゜となるように積層した。
[実施例1−2]
実施例1−1と同様にして本体層を形成した。補強部を形成するためのプリプレグシートは、長手方向の長さが異なるように略等脚台形状に切り出した6種類のシート(以下、便宜上、全周型不等長シートという。)を使用した。補強層は、本体層の全周に、長手方向の長さが短い全周型不等長シートから順に1層ずつ巻き付けて形成した。各全周型不等長シートの長手方向の長さは、実施例1−1の各不等長シートの長手方向の長さと同じである。また、積層した全周型不等長シートの材質及び繊維の配向方向は、実施例1−1の不等長シートの材質及び繊維の配向方向と同じである。
[比較例1−1]
実施例1−1と同様にして本体層を形成した。補強部は、本体部の上下で同じ構成とした。補強部を形成するためのプリプレグシートは、短手方向の長さと長手方向の長さがすべて同じとなるように長方形状に切り出した短冊状のシート(以下、便宜上、等長シートという。)を使用した。補強層は、本体層の上下の外周面に等長シートをそれぞれ6層積層して形成した。等長シートの短手方向の長さは14mmであり、長手方向の長さは本体層の長手方向の長さと同じ1833mmである。また、積層した等長シートの材質及び繊維の配向方向は、実施例1−1の不等長シートの材質及び繊維の配向方向と同じである。
[比較例1−2]
実施例1−1と同様にして本体層を形成した。補強部を形成するためのプリプレグシートは、長手方向の長さが同じであって略等脚台形状に切り出したシート(以下、便宜上、全周型等長シートという。)を使用した。補強層は、本体層の全周に全周型等長シートを6層巻き付けて形成した。全周型等長シートの長手方向の長さは本体層の長手方向の長さと同じ1833mmである。また、積層した全周型等長シートの材質及び繊維の配向方向は、実施例1−1の不等長シートの材質及び繊維の配向方向と同じである。
実施例1−1、1−2及び比較例1−1、1−2の筒状体を形成するために使用したプリプレグシートの構成を表1に示した。補強層は、内層側から順に「1」、「2」・・・とした。
<筒状体の曲げ剛性試験>
実施例1−1、1−2及び比較例1−1、1−2の筒状体について曲げ剛性試験を行った。曲げ剛性試験は、各筒状体を水平方向に延びるように基端を固定して片持ち状態とし、自由端である先端に質量300gの荷重をかけて、筒状体の先端の撓み量(mm)を測定することにより行った。撓み量(mm)は、筒状体の先端の、無荷重の状態からの変位量(mm)として測定した。また、実施例の筒状体の撓み量(mm)に対する比較例の筒状体の撓み量(mm)の割合(%)を算出した。その結果を表2に示した。
<筒状体の全質量及び補強層の全質量の測定>
実施例1−1、1−2及び比較例1−1、1−2の筒状体について、筒状体を作成する前に、筒状体を構成するプリプレグシートの全質量と、補強層を構成するプリプレグシートの全質量を測定した。その結果を表2に示した。
Figure 0006953375
Figure 0006953375

表2の結果より、実施例1−1の筒状体は、比較例1−1の筒状体とほぼ同程度の撓み量であり、同程度の曲げ剛性を備えていることがわかった。つまり、実施例1−1と比較例1−1との比較から、基端部での補強層の積層数が同じであると、先端部に向かって補強層の積層数が少なくなるように積層しても、先端部に向かって補強層の積層数が変化しないように積層しても、得られる筒状体の曲げ剛性は同等であることがわかる。一方、先端部に向かって補強層の積層数が変化しないように積層した比較例1−1では、実施例1−1に比べて20%以上材料コストが増加しており、コスト的に不利であることがわかる。
また、実施例1−2と比較例1−2との比較から、本体層の全周に補強層を積層した場合であっても同様の結果が得られた。つまり、本体層の全周に補強層を積層した場合であっても、基端部での補強層の積層数が同じであると、先端部に向かって補強層の積層数が少なくなるように積層しても、先端部に向かって補強層の積層数が変化しないように積層しても、得られる筒状体の曲げ剛性は同等であることがわかる。一方、先端部に向かって補強層の積層数が変化しないように積層した比較例1−2では、実施例1−2に比べて約20%材料コストが増加しており、コスト的に不利であることがわかる。
<試験2>
試験1の実施例1−1の筒状体の全質量と同等であり、補強層の積層構成が異なる筒状体を作成し、各筒状体について曲げ剛性を測定した。実施例及び比較例の筒状体は、いずれも長手方向の長さが約1800mm、基端縁の上下方向の外径が約45.8mm、先端側の上下方向の外径が約27.7mmであった。なお、ここで作成した各筒状体は、内筒伝形成工程、積層工程、ラッピング工程、加熱工程を経て製造されたものであり、研磨工程及び受け部取り付け工程を省略したものである。また、ラッピング工程及び加熱工程の条件は、実施例及び比較例ですべて同一とした。加熱工程では、135℃に加熱した加熱炉内で約3時間加熱して筒状体を得た。
[実施例2−1]
試験1での実施例1−1と同じものを使用した。
[実施例2−2]
実施例2−1と同様にして本体層を形成した。補強部を形成するためのプリプレグシートは、長手方向の長さが異なるように略等脚台形状に切り出した3種類のシート(以下、便宜上、全周型不等長シートという。)を使用した。補強層は、本体層の全周に、長手方向の長さが短い全周型不等長シートから順に1層ずつ巻き付けて形成した。各全周型不等長シートの長手方向の長さは、内層側から順に1145mm、1545mm、1833mmである。また、最も外層側に積層した不等長シート6には上記シートCを使用して繊維の配向方向が0゜/90゜となるように積層した。他の2種類の全周型不等長シートは、引張弾性率80kgf/mmのピッチ系炭素繊維をエポキシ樹脂に含侵させたUDプリプレグシート(繊維量75g/m、樹脂量34g/m、以下、シートDという。)を使用して、繊維の配向方向が0゜/90゜となるように積層した。
[比較例2−1]
実施例2−1と同様にして本体層を形成した。補強部は、本体部の上下で同じ構成とした。補強部を形成するためのプリプレグシートは、短手方向の長さと長手方向の長さがすべて同じとなるように長方形状に切り出した短冊状のシート(以下、便宜上、等長シートという。)を使用した。補強層は、本体層の上下の外周面に等長シートをそれぞれ5層積層して形成した。等長シートの短手方向の長さは14mmであり、長手方向の長さは本体層の長手方向の長さと同じ1833mmである。また、最も外層側に積層した等長シートは上記シートCを使用して繊維の配向方向が0゜/90゜となるように積層した。内層側の3層の等長シートは上記シートAを使用して繊維の配向方向が0゜となるように積層した。内層側から4層目の等長シートは、引張弾性率80kgf/mmのピッチ系炭素繊維をエポキシ樹脂に含侵させたUDプリプレグシート(繊維量175g/m、樹脂量80g/m、以下、シートEという。)を使用して、繊維の配向方向がマンドレルの軸方向に沿う0゜となるように積層した。
[比較例2−2]
実施例2−1と同様にして本体層を形成した。補強部を形成するためのプリプレグシートは、長手方向の長さが同じであって略等脚台形状に切り出したシート(以下、便宜上、全周型等長シートという。)を使用した。補強層は、本体層の全周に全周型等長シートを2層巻き付けて形成した。全周型等長シートの長手方向の長さは本体層の長手方向の長さと同じ1833mmである。また、外層側に積層した全周型等長シートは上記シートCを使用して繊維の配向方向が0゜/90゜となるように積層した。内層側に積層した全周型等長シートは、引張弾性率80kgf/mmのピッチ系炭素繊維をエポキシ樹脂に含侵させたUDプリプレグシート(繊維量125g/m、樹脂量57g/m、以下、シートFという。)を使用して、シートFの繊維の配向方向がマンドレルの軸方向に沿う0゜となるように積層した。
実施例2−1、2−2及び比較例2−1、2−2の筒状体を形成するために使用したプリプレグシートの構成を表3に示した。また、実施例2−1、2−2及び比較例2−1、2−2の筒状体について、試験1と同様の方法で曲げ剛性試験を行い、筒状体の全質量及び補強層の全質量を測定した
Figure 0006953375
施例2−1と比較例2−1との比較から、本体層の外周面の上下に補強層を積層したものでは、筒状体全体に使用する繊維強化樹脂量が同等であると、先端部に向かって補強層の積層数が少なくなるように積層したほうが撓み量が少なく、曲げ剛性に優れていることがわかる。撓み量は、約20%抑えられていた。同様に、実施例2−2と比較例2−2との比較から、本体層の外周面全体に補強層を積層したものでも、筒状体全体に使用する繊維強化樹脂量が同じであると、先端部に向かって補強層の積層数が少なくなるように積層したほうが撓み量が少なく、曲げ剛性に優れていることがわかる。
また、実施例2−1、2−2、比較例2−1、2−2の比較から、実施例2−1の筒状体の曲げ剛性が最も高いことがわかる。使用する繊維強化樹脂量が同等であると、補強部が本体部の上下に形成され、基端部から先端部に向かって少なくなるように形成されている筒状体が、曲げ剛性に優れ、コスト的にも優れていることがわかる。
10…サポートバー(筒状体)、20…筒本体、20a…先端部、20b…基端部、21…本体部、22…補強部、30…受けコマ(受け部)、40…取付部。

Claims (5)

  1. 基端部で支持されて略水平方向に延びる片持ち状態での使用に適用される筒状体の製造方法であって、
    長尺状の芯材に繊維強化樹脂製のプリプレグシートを巻きつけて本体層を形成する本体層形成工程と、
    繊維強化樹脂製の複数のプリプレグシートを、繊維の配向方向が前記芯材の軸方向に沿うように積層して補強層を形成する積層工程と、
    前記本体層及び前記補強層が形成された予備成形体を加圧及び加熱して成形体を形成する成形工程と
    前記成形体の外周面に受け部を取り付ける受け部取り付け工程と
    を備え、
    前記積層工程では、前記プリプレグシートの積層数が基端部から先端部に向かって少なくなるように積層し、
    前記受け部取り付け工程では、前記積層工程で積層された前記プリプレグシートの端縁が位置する以外の部分に前記受け部を取り付けることを特徴とする筒状体の製造方法。
  2. 前記積層工程では、前記芯材の軸方向に沿う方向の長さが異なる複数の前記プリプレグシートを積層するとともに、複数の前記プリプレグシートのうち、長さが長い前記プリプレグシートを、長さが短い前記プリプレグシートの外側に積層する請求項に記載の筒状体の製造方法。
  3. 前記積層工程では、複数の前記プリプレグシートを前記本体層の周面の基端縁から積層する請求項に記載の筒状体の製造方法。
  4. 前記積層工程では、前記本体層の周面の周方向の一部に第1補強層を積層するとともに、前記本体層の周面の周方向の一部であって前記第1補強層と対向する部分に第2補強層を積層する請求項1〜3のいずれか一項に記載の筒状体の製造方法。
  5. 前記受け部が取り付けられる部分の最外層にクロスプリプレグシートを積層する請求項1〜4のいずれか一項に記載の筒状体の製造方法。
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