JP5627078B2 - 中空パイプ - Google Patents

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Description

本発明は、水平方向に保持されて使用される長手軸線方向に延在した長尺の中空パイプに関するものであり、特に、液晶搬送用ロボットハンドのアーム部、液晶ガラス用棚の支持部材などとして有効な中空パイプに関するものである。
特許文献1には、液晶搬送用ロボットハンドのアーム部、液晶ガラス用棚の支持部材などのように一端部のみが固定され他端は自由端とされる、所謂、片持ち状態にて、水平方向に保持されて使用される中空パイプからなる支持部材が開示されている。この支持部材は、断面が円形の炭素繊維以外の強化繊維複合樹脂材料からなるベースパイプと、支持部材を使用する際の鉛垂方向上下に当たる前記ベースパイプ外面に形成された炭素繊維複合樹脂材料からなる補強層を有する楕円形の支持部材とされている。
特許文献1には、上記構成の支持部材は、支持部材の断面上下にのみ炭素繊維を使用することで、炭素繊維使用量の大幅な削減を図ることが可能であり、このように炭素繊維使用量を削減したにもかかわらず、従来の支持部材と同程度の優れた荷重撓み特性を達成することができる、と記載している。
特開2007−196615号公報
本発明者は、上記特許文献1に記載の発明を更に改良するべく多くの研究実験を行なった。
中空パイプとされる支持部材の断面二次モーメントを高くすることにより、曲げによる撓みを減らすことが可能であることは当業者には明らかである。
本願添付の図10に、本発明者が行った、GFRP製のベースパイプ(GFRP)をCFRP製の補強材(CFRP)にて補強した中空パイプの断面形状と、補強材(CFRP)部の断面二次モーメントの関係の検討結果を示す。この検討においては、中空円(図10(c))を基準として、断面高さを一定(32mm)とし、補強材(CFRP)の断面積を一定とした。
特許文献1に記載する断面が円形のベースパイプ(GFRP)の上下に補強材(CFRP)を積層した楕円中空形状の中空パイプ(図10(d))は、同じ断面積を持つ中空円形断面形状の中空パイプ(図10(c))に比べた場合には、中空パイプの断面二次モーメントが大きく曲げ効率が高い。しかし、矩形中空断面のベースパイプ(GFRP)の上下に補強材(CFRP)を積層した中空パイプ(図10(b))に比べ断面二次モーメントが大幅に小さく、効率的でない。
しかしながら、図10(b)に示す矩形断面を有するベースパイプ(GFRP)を、GFRPのような繊維強化複合樹脂材料(FRP)で製造する場合は、FRPパイプを製造する場合に非常に効率の良い製法の一つであるテープテンションによる加圧(以下、「テーピング加圧法」という。)にて作ることが困難である、といった不都合がある。
つまり、テーピング加圧法においてポリプロピレン等のテープで積層後のパイプを締め、圧力をかける場合には円形/楕円パイプの場合にはテープテンションが略均一にかかるが、矩形断面の場合には、テープテンションは角部に集中的にかかり、角を除く辺部には殆どテンションが掛からない。そのため、プリプレグを芯材(マンドレル)に巻き付け積層する際に巻き込んだエアーが抜けず、きちっとした製品を作ることは大変に難しい。そのため、矩形断面形状を有するパイプを製造する場合には、効率の良いテーピング加圧法で作ることが基本的には不可能であり、結局は効率が悪く、コストが高い金型とバグフィルムを用いた真空加圧、内圧加圧、或いは、オートクレーブによる加圧を使うしか方法がなかった。
本発明者は、詳しくは後述するが、図10(b)に示すような矩形中空断面に近い材料効率を有し、しかもテープ締めによる加圧ができる断面を鋭意検討した結果、平行な平面と、該平行平面の両側に湾曲面を配置した断面形状が曲げに対する材料効率が高く、且つ、テープ締めによる加圧により効率良く製造できることを見出した。
即ち、同じ断面積を持つ各種の断面形状を比較すると、図10(a)に示す断面形状の中空パイプの断面は、矩形断面より若干断面二次モーメントは低いが、図10(c)、(d)に示す中空円形断面、楕円中空断面に比較して大幅に断面二次モーメントが高く、FRP(繊維強化樹脂材)の材料効率を高くし得ること、即ち、FRPの材料使用量を低減し得ることが分かった。
本発明は、斯かる本発明者の新規な知見に基づきなされたものである。
本発明の目的は、矩形断面より若干断面二次モーメントは低いが、中空円形断面、楕円中空断面に比較して大幅に断面二次モーメントが高く、FRPの材料効率が高い中空パイプを提供することである。
本発明の他の目的は、水平に配置して物品の支持部材として使用した場合の自重撓み及び載荷時の撓みが少なく、高性能な支持部材を実現し得る中空パイプを提供することである。
本発明の他の目的は、テーピング加圧法によりボイドフリーにて成型することができ、製造が容易な中空パイプを提供することである。
上記目的は本発明に係る中空パイプにて達成される。要約すれば、本発明は、片持ち状態で水平方向に保持されて物品の支持部材として使用される中空パイプにおいて、
長手軸線方向に延在した長尺の、繊維強化樹脂材にて作製されたベースパイプであって、前記長手軸線方向に直交する横断面にて上下方向に配置された平行な上面壁及び下面壁と、前記上面壁及び前記下面壁の両端部にそれぞれ一体に配置され外方へと湾曲した両側面壁とを有したベースパイプと、
前記ベースパイプの前記上面壁及び前記下面壁に積層された、前記ベースパイプの前記繊維強化樹脂材より長手軸線方向の縦弾性率が高い繊維強化樹脂材にて形成された補強部材と、
を有し、
前記ベースパイプは、長手軸線方向に直交する断面にて、前記ベースパイプの長手軸線の軸中心を通る水平面及び垂直面に対して対称形状とされ、前記補強部材は、前記ベースパイプの長手軸線方向に直交する横断面にて、前記ベースパイプの前記上面壁及び前記下面壁に積層され、前記両側面壁の湾曲部と協働してほぼ円形或いは楕円形の包絡湾曲面を形成するように最下層より外方へと段階的に幅が狭くされた複数の補強層にて形成され
前記上面壁及び前記下面壁の幅をW1、前記上面壁と前記下面壁の間隔をH1とすると、
0.8≦W1/H1≦3
であり、前記中空パイプの長手軸線方向に直交する横断面の形状が全体としてほぼ円形状或いは楕円形状とされることを特徴とする中空パイプである。
本発明の一実施態様によると、前記上面壁と前記下面壁の幅W1は3〜800mmであり、前記両側面壁の半径は5〜800mmである。
本発明の他の実施態様によると、前記ベースパイプの長手軸線方向における前記補強部材の前記繊維強化樹脂材の縦弾性率は、50〜800GPaである。
本発明の他の実施態様によると、前記ベースパイプは、強化繊維として炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維又は有機繊維を使用した繊維強化樹脂材にて作製される。
本発明の他の実施態様によると、前記ベースパイプは、肉厚が0.1〜10mmである。
本発明の他の実施態様によると、前記ベースパイプは、前記ベースパイプの長手軸線方向における一端から他端へと横断面積が連続的に減少したテーパ形状とされる。
本発明の他の実施態様によると、前記補強部材の前記繊維強化樹脂材は、強化繊維に樹脂が含浸された複合材であり、前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維、金属繊維又はバサルト繊維である。
本発明の他の実施態様によると、前記補強部材の前記樹脂は、エポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、若しくはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、又は、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、PEEK樹脂、若しくはPPS樹脂などの熱可塑性樹脂である。
本発明の他の実施態様によると、最外層に絶縁層の部材にて形成された表皮層を有する。
本発明の中空パイプは、矩形断面より若干断面二次モーメントは低いが、中空円形断面、楕円中空断面に比較して大幅に断面二次モーメントが高く、FRPの材料効率が高い。
また、本発明の中空パイプは、水平に配置して物品の支持部材として使用した場合の自重撓み及び載荷時の撓みが少なく、高性能な支持部材を実現し得る。
更に、本発明の中空パイプは、FRPパイプ成型時に効果的に圧力を付加する手段であるテーピング加圧法によりボイドフリーにて成型することができ、製造が容易である。
図1(a)は本発明に係る中空パイプの一実施例の斜視図であり、図1(b)は本発明に係る中空パイプの他の実施例の斜視図であり、図1(c)は本発明に係る中空パイプの長手軸線方向に対して直交する方向に取った断面図である。 本発明に係る中空パイプの製造方法の一実施例を説明する工程図である。 本発明に係る中空パイプを製造する際に使用するマンドレル、各繊維強化樹脂材ブランクを説明する図である。 本発明に係る中空パイプを製造する際に使用する各繊維強化樹脂材ブランクの形状を説明する図である。 本発明に係る中空パイプを製造する際に使用するマンドレル及び各繊維強化樹脂材ブランクを説明するための図で、図5(a)はマンドレルの上面図であり、図5(b)はマンドレルの平面図であり、図5(c)は各繊維強化樹脂材ブランクの平面図である。 本発明に係る中空パイプを製造する際に使用するマンドレルを説明するための図で、図6(a)は図5(a)の線A−Aに取った断面図であり、図6(b)は図5(a)の線B−Bに取った断面図である。 図5(a)、(b)に示すマンドレルに、図5(c)に示す各繊維強化樹脂材ブランクを積層したときの断面図で、図7(a)は図5(b)の断面1の図であり、図7(b)は図5(b)の断面2の図であり、図7(c)は図5(b)の断面3の図である。 中空パイプの撓みを測定する方法を説明するための撓み測定装置の概略構成図である。 図9(a)は本発明に係る中空パイプを使用した液晶搬送用ロボットハンドのアーム部を説明する斜視図であり、図9(b)は本発明に係る中空パイプを使用した液晶ガラス用棚を説明する斜視図である。 ベースパイプ(GFRP)を補強材(CFRP)にて補強した中空パイプの断面形状と、断面二次モーメントの関係の検討結果を示す図である。
以下、本発明に係る中空パイプを図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
(中空パイプの全体構成)
図1(a)、(b)、(c)に、本発明に係る中空パイプ1の一実施例の概略構成を示す。
本実施例の中空パイプの斜視図である図1(a)、(b)に示すように、本発明の中空パイプ1は、実質的に水平に配置され、長軸線方向に延在した中空の管状体、即ち、パイプ形状体とされる。
本発明の細長長尺形状とされる中空パイプ1は、特に、一端が固定され、他方の先端部は自由端部とされ、所謂、片持ちの態様で、例えば液晶ガラスなどの重量物を担持する支持部材として使用することができる
本実施例にて、中空パイプ1は、図1(a)、(b)に示すように、実質的に水平に配置され、長軸線方向に延在した中空の管状体とされるベースパイプ2を有している。更に、中空パイプ1は、中空パイプ1の長手軸線に対し直交する断面形状を示す図1(c)をも参照すると理解されるように、ベースパイプ2の横断面にて上下方向に形成した平行な上面壁21及び下面壁22には、補強部材3が設けられている。補強部材3は、ベースパイプ2の長手軸線方向に沿って一体に積層された、所定の形状寸法とされる複数種類の、本実施例では、6種類の補強材3a〜3fにて構成される。また、各補強材3a〜3fは、それぞれ、1層づつでも良いが、複数層重ね合わせた複数補強層をなして使用することもできる。即ち、補強部材3は、本実施例では6種類の補強材3a〜3fで形成される複数の補強層にて形成される。
このように、複数の補強層を積層して形成される補強部材3は、中空パイプ1の横断面形状が全体として円形状或いは楕円形状に近似した形状となるようにベースパイプ2の上面壁21及び下面壁22に配置される。
ベースパイプ2及び補強部材3は、繊維強化樹脂材にて作製される。補強部材3は、ベースパイプ2の繊維強化樹脂材より長手軸線方向のヤング率(縦弾性率)が高い繊維強化樹脂材にて形成される。詳しくは後述する。
長手軸線方向に延在した中空のベースパイプ2は、図1(a)に示すように、一端(即ち、中空パイプ1の固定側)より他端(即ち、中空パイプ2の先端自由端側)へと横断面積(即ち、中空パイプ2の長手軸線に直交する断面における外周長さ)が連続的に減少したテーパ形状とすることができ、また、所望によっては、図1(b)に示すように、長手軸線方向に沿って横断面形状は同一とされる。
また、中空パイプ1には、図1(c)に一点鎖線にて示すように、必要に応じて、中空パイプ1を絶縁するために、最外層に表皮層4として絶縁性の部材、例えば、ガラススクリム等の絶縁性クロス或いはフィルムがパイプ外周囲に一体に被覆して配置される。場合によっては、炭素繊維を使用したCFRPなどの導電性を有する部分の上にのみ被覆して配置される。
(ベースパイプ)
図1(c)を参照すると、本実施例にて、ベースパイプ2は、長手軸線方向に直交する横断面にて上下方向に対向して配置された平行な上面壁21及び下面壁22と、上面壁21及び下面壁22の両端部にそれぞれ一体に配置され外方へと湾曲した両側面壁23、24とを有している。
ベースパイプ2の形状寸法について説明すると、図1(c)にて、ベースパイプ2は、好ましくは、長手軸線の軸中心Oを通る水平面X−X及び垂直面Y−Yに対して対称形状とされる
本実施例にて、平行とされる上面壁21と下面壁22の幅は、実質的に同じとされる。
ここで、上面壁21及び下面壁22の幅W1と、上面壁21と下面壁22の間隔(H1)との関係は、
0.3≦W1/H1≦10、好ましくは、0.8≦W1/H1≦3
とされる。W1/H1が、0.3未満の場合は、補強部材3の材料効率が悪くなるといった問題があり、また、W1/H1が10を越えると、テープ締めによるテンションが部材に均等にかからないといった問題が生じてくる。
また、ベースパイプ2の具体的な寸法は、ベースパイプ2が、図1(a)に示すようなテーパ形状とされる場合は、一端最大外形部(固定側)における寸法としては、上面壁21と下面壁22の幅(W1)は3〜800mmであり、従って、上面壁21と下面壁22との間隔(H1)は、0.9〜8000mmとされる。
両側面壁23、24の湾曲形状は、必ずしも円弧状である必要はないが、通常、製造の容易さから、半径Rの円弧状とされる。好ましくは、両側面壁23、24の内壁面の半径(R)は5〜800mmとされる。また、両側側面壁23、24の上面壁21及び下面壁22の両端部から外方への突出量W2は、1〜300mmとされる。
つまり、ベースパイプ2の両側面壁23、24の内側寸法W=(W1+2×W2)とされる。
本実施例では、図6に示すように、マンドレル100を作製する容易さから、両側面壁23、24は、一つの軸中心Oの周りに形成される半径Rの円形の一部周面(円弧面)とされる。即ち、ベースパイプ2の水平方向の幅W=2Rとされる。勿論、中空パイプ2の両側面壁23、24の内側寸法Wは、2Rより大とすることもできまた、小とすることもできる。
図1(a)、(b)にて、ベースパイプ2(即ち、中空パイプ1)の長さLは、10〜15000mm、ベースパイプ2の肉厚Tは、0.1〜10mm、とされる。ベースパイプ2がテーパ形状とされる場合(図1(a))は、一端最大外形部(固定側)から他端最小外形部(先端自由端部)へと1/2000〜1/10のテーパ率にて細形化されるのが好ましい。
ここで、テーパ率とは、一端(固定側)の大径部の径をD1、他端(先端部)の小径部の径をD2、一端と他端の間の長さをLとしたとき、(D1−D2)/2L、で示される。
なお、ベースパイプ2の厚みTは、固定側から先端部へと一定であるのが好ましいが、必要に応じて、厚み(T)を連続的に或いは段階的に薄くすることも可能である。
なお、液晶搬送用ロボットハンドのアーム部、液晶ガラス用棚などを作製するための中空パイプ1においては、ベースパイプ2としては、好ましくは、テーパ形状とされ、ガラス繊維に樹脂を含浸した複合材が使用される。この場合、ベースパイプ2の長さLは、500〜4500mm、ベースパイプ2の肉厚Tは、0.3〜1mmとされる。また、ベースパイプ2の両側面壁23、24の内側寸法Wは、固定側で、10〜200mm、上面壁21と下面壁22の幅(W1)は10〜250mmであり、そして、上面壁21と下面壁22との間隔(H1)は、10〜150mmとされる。また、ベースパイプ2の先端側では、ベースパイプ2の両側面壁23、24の内側寸法Wは、5〜180mm、上面壁21と下面壁22の幅(W1)は3〜250mmであり、そして、上面壁21と下面壁22との間隔(H1)は、5〜230mmとされる。
上述のように、ベースパイプ2は、平行な上面壁21及び下面壁22と、湾曲した両側面壁23、24とを有している。即ち、本実施例にてベースパイプ2は、好ましくは、断面円形状にて、上下方向に対向する外周部を平行に切断した形状とされる。つまり、本実施例では、両側面壁23、24は、一つの円形状の対向した外周部を構成する湾曲部であって、上下壁面21、22は、両湾曲部23、24を連結する平面部である。
ベースパイプ2は、繊維強化樹脂材にて作製される。すなわち、強化繊維としては、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ザイロン繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維、場合によっては炭素繊維、を単独で、或いは、組み合わせて用いることができ、これら繊維にて作製された織物(例えば、朱子織りクロス)又は不織布に樹脂が含浸された複合材とされる。樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、若しくは、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、又は、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、PEEK樹脂、PPS樹脂などの熱可塑性樹脂を使用し得る。樹脂含浸量は25〜80%(重量)とされる。
本発明にて、ベースパイプ2を上記強化繊維を使用した繊維強化樹脂材にて作製した場合には、ベースパイプ2の長手軸線方向の繊維強化樹脂材の縦弾性率は、0.5〜100GPaとされる。なお、ベースパイプ2に炭素繊維を用いることも可能であり、その場合には、炭素繊維のヤング率(引張弾性率)は50〜400GPaとされ、ベースパイプ2の長手軸線方向の繊維強化樹脂材の縦弾性率は、15〜280GPaである。
ベースパイプ2は、例えば、金属にて作製された長尺のマンドレル100(図2参照)にプリプレグとされる上記繊維強化樹脂材を巻き付けることによって作製される。詳しくは後述する。
(補強部材)
本発明によると、補強部材3は、図1(c)に示すように、中空パイプ2の上面壁21及び下面壁22に、最下層とされる補強材3aが接着される。次いで、壁面から離れる方向へと幅が段階的に狭くされたシート状とされる複数種類の、本実施例では、5種類の形状寸法(パターン)に裁断された補強材3b〜3fが順次積層される。各補強材3a〜3fは、1層であっても良く、複数層積層しても良い。補強材3a〜3fにて形成される補強層は、ベースパイプ2の繊維強化樹脂材より長手軸線方向のヤング率(縦弾性率)が高い繊維強化樹脂材にて形成される。
通常、詳しくは後述するように、ベースパイプ2は、ガラス繊維を強化繊維とした繊維強化樹脂材にて作製される。ガラス繊維の引張弾性率は、70GPa程度であり、そのため、ガラス繊維を使用した繊維強化樹脂材のベースパイプ長手軸線方向の縦弾性率は15〜40GPaとなる。従って、補強材を有さない状態のベースパイプ自体を、液晶搬送用ロボットハンドのアーム部、液晶ガラス用棚支持部材を作製するための中空パイプとして使用することは問題である。そのため、このような場合には、補強材3a〜3fとして、炭素繊維などを使用した繊維強化樹脂材を使用することとなる。
つまり、本発明によれば、ベースパイプ2の上面壁21及び下面壁22には、ベースパイプ2の繊維強化樹脂材より長手軸線方向の縦弾性率が高い繊維強化樹脂材にて形成される補強部材3が積層される。
つまり、補強部材3、即ち、補強材3a〜3fを構成する繊維強化樹脂材は、強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維(アラミド繊維、ビニロン繊維、PBO繊維等)、金属繊維(鉄、ステンレススチール、ボロン等)又はバサルト繊維を単独で、或いは、組み合わせて使用することができる。
また、補強材3a〜3fに含浸される樹脂は、エポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、若しくはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、又は、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、PEEK樹脂、若しくはPPS樹脂などの熱可塑性樹脂である。樹脂含浸量は15〜85%(重量)とされる。
補強材3a〜3fを上述の繊維強化樹脂材で作製することにより、ベースパイプ2の長手軸線方向における補強部材3の繊維強化樹脂材の縦弾性率は、50〜800GPaとされる。好ましくは、100〜500GPaである。補強部材3の繊維強化樹脂材の縦弾性率が50GPa未満の場合には、補強部材3の補強の効率が悪いといった問題があり、縦弾性率が800GPaを越えると、繊維の圧縮強度が低いため、容易に圧縮破壊し易いといった問題がある。
なお、上述したように、ベースパイプ2に炭素繊維を用いることも可能であり、その場合には、炭素繊維の引張弾性率は50〜400GPaとされ、ベースパイプ2の長手軸線方向の繊維強化樹脂材の縦弾性率は、15〜280GPaである。この場合の補強部材3に使用する強化繊維としては、引張弾性率が400〜800GPaの高弾性のものが望ましい。高弾性の炭素繊維を使用した場合の補強部材の繊維強化樹脂材の縦弾性率は、70〜500GPaとされる。
補強部材3は、所定の形状寸法(固定側の下底部と先端部の上底都から成るパイプの長手軸線方向に延在した台形状)に裁断された繊維強化樹脂材プリプレグブランク、即ち、補強材3a〜3fを、中空パイプ2を形成するためにプリプレグが巻き付けられた長尺のマンドレルの互いに平行な面に積層することによって形成される。各補強材3a〜3fの厚さ、及び、積層数は、要求される中空パイプ2の剛性を満足するように、適宜最適な厚さ、及び積層数とされる。補強部材3を形成する補強材3a〜3fは、中空パイプ2の両側面湾曲部と協働して円形或いは楕円形に近似した包絡湾曲面を形成するように積層される。具体例は後述する。
次に、本発明の中空パイプ1の製造方法の一実施例を説明する。
(中空パイプの製造方法)
本発明の中空パイプ1は、上述したように、テーピング加圧法にて極めて効率良く製造することができ、また、製造された中空パイプ1の性能が極めて優れている。以下の実施例では、テーパ形状の中空パイプ1を製造するものとする。つまり、金属製の芯材であるマンドレルにプリプレグとされる繊維強化樹脂材を巻き付け、テープ締めを行った後、加熱硬化することによって作製される。
更に説明すると、図2(a)、(b)、(c)及び図3に示すように、先ず、金属製の、例えば、アルミニウム、鋼、或いは、ステンレススチール等で作製されたマンドレル100を準備する。
本実施例にて、マンドレル100は鋼製とし、マンドレル100の長さLmは、製品中空パイプの長さ(製品長)Lより長くされる。
本実施例で使用したマンドレル100は、長手軸線方向に延在した長尺のロッドであって、長手軸線方向に直交する横断面にて上下方向に配置された平行な上面壁101及び下面壁102と、上面壁101及び下面壁102の両端部にそれぞれ一体に配置され外方へと湾曲した両側面壁103、104とを有している。本実施例では、横断面形状は、一端部100aより他端部100bへと連続的に横断面積が減少したものとされる。
本実施例にて、マンドレル100は、大形状とされる一端部100aから所定の長さLm1においては、同形状とされ、その後、断面積が漸次減少されたテーパ形状とされ、小形状の他端部100bへと至る。
先ず、ベースパイプ2を形成するために、所定枚数の、図2(a)及び図3に示す本実施例では2枚のベースパイプ形成用の繊維強化樹脂材2a、2bが使用される。この場合、プリプレグとされる繊維強化樹脂材2a、2bは、一端(中空パイプの固定側)(下底2a1、2b1)が幅広く、他端(中空パイプの先端側)(上底2a2、2b2)へと幅が連続的に狭くされた台形状とされ、マンドレル100の外周囲に貼り付けられる。台形状の高さ、即ち、ベースパイプ2の長手軸線に沿った長さL2a、L2bは同じとすることもできるが、変えることも可能である。本実施例では、上述のように、同じ高さ(L2a=L2b)のものが2枚作製され、マンドレル100の外周に巻き付け、積層した。
なお、ベースパイプ形成用の繊維強化樹脂材2a、2bの形状寸法(パターン)、即ち、プリプレグブランクは、本実施例では、図4(a)、(b)に示すように台形状とされるが、これに限定されるものではなく、例えば、図4(c)に示すように、台形と矩形とから成る形状とすることもできるし、その他、必要に応じて種々の形状を採用し得る。
プリプレグ2a、2bの巻き出し位置Pa、Pbは、図2(a)に示すように、マンドレル100の平行面、即ち、上面壁101及び下面壁102の位置とした。両側面壁103、104より巻き出すことや、上面壁101と側面壁103の境目などから巻き出すことも可能である。
次いで、図2(b)及び図3に示すように、補強部材3を形成するために、所定形状寸法の、本実施例では6種類の補強材3a〜3fが作製された。補強材3a〜3fは、補強部材形成用のプリプレグとされる繊維強化樹脂材を使用して作製され、一端(中空パイプの固定側)(下底3a1〜3f1)が幅広く、他端(中空パイプの先端側)(上底3a2〜3f2)へと幅が連続的に狭くされた台形状とされる。補強材3a〜3fの形状寸法(パターン)、即ち、プリプレグブランクは、本実施例では、図4(a)、(b)に示すように台形状とされるが、これに限定されるものではなく、例えば、図4(c)に示すように、台形と矩形とから成る形状とすることもできるし、その他、必要に応じて種々の形状を採用し得る。
補強材3a〜3fのマンドレル軸線方向の長さL3a〜L3fは、図3に示すように、マンドレル100の平行面101、102に近い側の補強材3aから最外層の補強材3fへと行くに従って短くされる。勿論、同じであっても良い。即ち、L3a≧L3b≧L3c≧L3d≧L3e≧L3f、である。また、場合によっては、長さの順序は逆に、L3a≦L3b≦L3c≦L3d≦L3e≦L3f、とすることもでき、或いは、これらの長さの順序に限定されず、適宜長さの順序を変えて製造することができる。
つまり、プリプレグとされる補強材3a〜3fは、図3に示すように、長さLmとされるマンドレル100の同形状部の基準位置SPを貼着始点として先端部100bへと延在して貼着されるが、上層に行くに従って補強材3a〜3fは、長さを短くすることができる。つまり、この場合は、上層補強材に行くに従って、マンドレル100に対する貼着長さは短くなり、マンドレル100の細長形状先端部においては貼着されないこととなる。
本実施例では、補強部材3は、マンドレル100の平行面に近い最下層から最外層へと補強材3a〜3fにて構成されるが、第1補強材3a及び第2補強材3bは、全長に亘って貼着され、その後、第3補強材3c〜第6補強材3fは段階的に短くされている。各補強材3a〜3fの貼着枚数、貼着長さ等は、要求される製品中空パイプ1の剛性に対応して適宜決定される。
次に、必要に応じて、図2(c)及び図3に示すように、マンドレル100の外周を覆って、即ち、マンドレル100に巻き付けられたベースパイプ用プリプレグ2a、2b及び補強部材用プリプレグ3a〜3fを囲包して表皮層4が巻回される。表皮層4は、補強材3a〜3fとして炭素繊維等を使用した場合に、中空パイプ1を絶縁体とするためのものであって、従って、表皮層4としては、絶縁性のクロス材やフィルム、好ましくはガラススクリムなどが使用される。
絶縁フィルム4は、他の部材と同様に、一端(中空パイプの固定側)(下底4a)が幅広く、他端(中空パイプの先端側)(上底4b)へと幅が連続的に狭くされた台形状とされ、マンドレル100の外周囲に貼り付けられる。台形状の高さ、即ち、ベースパイプ2の長手軸線に沿った長さL4は、ベースパイプ2の長さ、即ち、ベースパイプ用プリプレグ2a、2bと同じとされる。
なお、絶縁フィルム4の形状寸法(パターン)は、本実施例では、図4(a)、(b)に示すように台形状とされるが、これに限定されるものではなく、例えば、図4(c)に示すように、台形と矩形とから成る形状とすることもできるし、その他、必要に応じて種々の形状を採用し得る。
ガラススクリムの巻き出し位置Pcは、本実施例では、図2(c)に示すように、マンドレル100の角部近傍とした。ただし、これに限定されるものではない。
その後、当業者には周知のテープワインディング装置を用いて、マンドレル100の外周を覆ってポリプロピレン製のテープを巻き付ける。これによって、マンドレル100に巻き付け、或いは、積層されたプリプレグ2a、2b,3a〜3f、更には、ガラススクリム4等がテープでマンドレル100上に締め付けられる。この時、マンドレル100には、プリプレグ2a、2b,3a〜3f、更には、ガラススクリム4等が、図1(c)に示すように、横断面形状が全体として円形状或いは楕円形状に近似した連続した湾曲形状となるように巻き付け、或いは、積層されているので、これら部材は、テープにてマンドレル100上に極めて好適に締め付けられ、即ち、テープテンションが略均一にかかり、内部にボイドが残留することがない。
次いで、130℃、2時間で硬化させた。脱芯後に、中空パイプ1の端部を切り落とし、中空パイプ製品を得ることができる。
勿論、ベースパイプ2のみを加熱硬化して成型した後、ベースパイプ2に補強部材3及び表皮層4を積層、巻付け、加熱硬化させることもできる。
次に、図5〜図7を参照して、本発明に従った構成の中空パイプ1の更に具体的な構成について説明し、本発明の中空パイプ1の有用性を比較例と比較しながら説明する。
具体例
本具体例で使用したマンドレル100としては、図5(a)、(b)、及び、図6(a)、(b)に示すように、長さLmが2000mmとされ、一端部(図5(a)、(b)にて左側端部)100aの直径2Ra(=W1a)が27mmで、他端部(図5(a)、(b)にて右側端部)100bの直径2Rb(=W1b)が16.9mmのテーパ形状の鋼製ロッドを使用した。このロッドを使用して、一端部100aの平行面101、102の間隔H1aが20.2mm、他端部100bの平行面101、102の間隔H1bが12.7mmとなるように二方取り加工を行って、テーパ状のマンドレル100を作製した。なお、左側端部100aから長さ(Lm1)=370mmの間は、同一形状とし、テーパ形状とはされていない。
ベースパイプ2を形成するための繊維強化樹脂材としては、強化繊維としてガラス繊維を使用したガラス朱子織りクロスにエポキシ樹脂を含浸したプリプレグ(ガラス朱子織りクロスプリプレグ)(株式会社ダイトー製「E243BL」商品名)を使用した。樹脂含浸量は37%(重量)であった。
ガラス朱子織りクロスプリプレグは、厚さ0.23mmとされ、図5に示すように、1枚の台形状のプリプレグブランク2を用意した。プリプレグブランク2の寸法は、下底2aが182mm、上底2bが115mm、高さL2が1790mmとした。使用したガラス繊維のヤング率は70GPaであった。繊維強化樹脂材の縦弾性率は20GPaである。
この台形状のガラス朱子織りクロスプリプレグ2をマンドレル100の外周に巻き付け、積層した。ガラス朱子クロスプリプレグ2の巻き出し位置は、図2(a)に示すように、マンドレル100の平行面(上面壁101)の位置とした。
補強部材3を形成するための補強材としては、強化繊維として超高弾性の炭素繊維(日本グラファイトファイバー株式会社製「XN80」商品名)を一方向に配列したプリプレグを使用した。樹脂含浸量は30(重量)であった。使用した超高弾性の炭素繊維の引張弾性率は780GPaであった。従って、繊維強化樹脂材の縦弾性率は435GPaであった。
炭素繊維プリプレグは、厚さ0.21mmとされ、図5(c)に示すように、3種類の台形状の補強材(プリプレグブランク)3a〜3cを使用した。各炭素繊維プリプレグ3a〜3cの寸法は、下記の通りであった。
・第1補強材3a(第1〜第4補強層)4ply
下底(3a1):17mm、上底(3a2):10mm
高さ(L3a):1790mm
厚さ:0.21mm
・第2補強材3b(第5〜第6補強層)2ply
下底(3b1):13mm、上底(3b2):6mm
高さ(L3b):1790mm
厚さ:0.21mm
・第3補強材3c(第7〜第9補強層)3ply
下底(3c1):10mm、上底(3c2):6mm
高さ(L3c):1090mm
厚さ:0.21mm
第1層から第9層を形成する補強材3a〜3cは、この順にて、図7(a)〜(c)に示すように、マンドレル100の上面壁101、下面壁102に近い側から外方へと積層した。本具体例では、第1補強材3aは4層(第1補強層〜第4補強層)積層し、第2補強材3bは2層(第5補強層、第6補強層)積層し、第3補強材3cは3層(第7補強層〜第9補強層)積層した。これにより、各側の補強部材3の厚さH2は、図7(a)、(b)、(c)にて理解されるように、中空パイプの固定側における最大厚さH2が1.89mmとされた。中空パイプの先端部における補強部材の厚さH2は、1.26mmとされた。
次に、図7には示していないが、図2(c)にて説明したと同様にして、断面形状が略円形状とされる、補強材3a〜3cを積層したマンドレル100の外周を覆って、即ち、マンドレル100に巻き付けられたベースパイプ用プリプレグ2及び補強部材用プリプレグ3a〜3cを囲包して、図5(c)に示す絶縁性の表皮層4を巻回した。表皮層4としては、厚さ0.03mmのガラススクリム(株式会社ダイトー製「SCF03」商品名)を使用した。台形状とされるガラススクリム4は、下底4aが100mm、上底4bが65mm、高さL4が1790mmとした。ガラススクリムの巻き出し位置Pcは、図2(c)に示すように、マンドレル100の角部近傍とした。
その後、テープワインディング装置を用いて、マンドレル100の外周を覆ってポリプロピレン製のテープをピッチ2mmで巻き付け、130℃、2時間で硬化させた。脱芯後に、中空パイプの端部を所定長さE(図5)だけ切り落とし、長さL1750mmの中空パイプ製品1を得ることができた。
上述のようにして作製した本発明に従った構成とされる中空パイプ1の切断面等の観察の結果、ベースパイプ部分及び補強部材共にボイドフリーで良好な成型ができていることが確認された。
又、図8に示すような撓み試験装置を使用して、本発明の中空パイプ1の撓みを計測した。
本発明の中空パイプ1の固定側にアルミ製端部固定金具を挿入し、M6ボルト3本でジグに固定することで固定端とした。中空パイプ1の先端に800gの重りを架けて先端の撓みをダイヤルゲージで測定した。
測定の結果、中空パイプ1の先端部の撓みは、略計算値と同等の8.5mmであり、所定の性能が得られていることが確認された。
性能を確認した後、本発明の中空パイプ1を、図9(a)に示す液晶搬送用ロボットのハンドとして5本組み込んだ。この液晶搬送用ロボットハンドにてガラスを載荷したところ、自重撓み及び載荷時の撓みが少なく、極めて高性能なアームであることが確認された。
同様に、本発明の中空パイプ1を、図9(b)に示す液晶ガラス用棚の支持部材として使用した。この棚にガラスを載荷したところ、自重撓み及び載荷時の撓みが少なく、極めて好適な棚を作製することができた。
比較例
上記具体例にて説明したマンドレル100は、テーパ形状の鋼製ロッドを二方取り加工を行ってテーパ状のマンドレル100を作製したが、比較例においては、二方取り加工を行わないテーパ形状の鋼製ロッドをそのままマンドレルとして使用した。
このマンドレルに、具体例にて使用したと同じ材料のベースパイプ用プリプレグ2a、2bを巻き付けた。更に、その上に、具体例にて説明した補強部材用プリプレグ3a〜3cと同じ材料及び寸法の補強材を積層し、更に、絶縁性の表皮層4を巻回した。
その後、テープワインディング装置を用いて、マンドレル100の外周を覆ってポリプロピレン製のテープを巻き付け、130℃、2時間で硬化させた。脱芯後に、中空パイプの端部を切り落とし、長さ1800mmの比較例としての中空パイプ製品を作製した。
又、図8に示すような撓み試験装置を使用して、比較例の中空パイプの撓みを計測した。
測定の結果、比較例の中空パイプの先端部の撓みは、略計算値と同等の11.3mmであり、本発明の中空パイプ1に比較して撓み量が大であった。
なお、上述したように、図10に、本発明者が行った、ベースパイプ(GFRP)を補強材(CFRP)にて補強した中空パイプの断面形状と、断面二次モーメントの関係の検討結果を示しているが、同じ断面積を持つ補強材(CFRP)で補強された各種の断面形状の中空パイプを比較すると、本発明の中空パイプ2に相当する図10(a)の中空パイプは、矩形断面形状の中空パイプ(図10(b))より若干断面二次モーメントは低いが、中空円形断面形状の中空パイプ(図10(c)))、上記比較例に相当する楕円中空形状の中空パイプ(図10(d))に比較して大幅に断面二次モーメントが高いことが分かる。
また、上記具体例による本発明の中空パイプ1の撓み測定結果と、上記比較例の撓み測定の結果から判断すると、本発明の中空パイプ1は、上述のように、その断面は矩形断面より若干断面二次モーメントは低いが、中空円形断面及び楕円中空断面に比較して大幅に断面二次モーメントが高く、従って、FRPの材料効率を高くし得ること、即ち、FPRの材料使用量を低減し得ることが理解される。
1 中空パイプ
2 ベースパイプ
2a、2b 繊維強化樹脂材
3 補強部材
3a〜3f 補強材(繊維強化樹脂材)
4 表皮層
21 上面壁
22 下面壁
23、24 側面壁
100 マンドレル

Claims (9)

  1. 片持ち状態で水平方向に保持されて物品の支持部材として使用される中空パイプにおいて、
    長手軸線方向に延在した長尺の、繊維強化樹脂材にて作製されたベースパイプであって、前記長手軸線方向に直交する横断面にて上下方向に配置された平行な上面壁及び下面壁と、前記上面壁及び前記下面壁の両端部にそれぞれ一体に配置され外方へと湾曲した両側面壁とを有したベースパイプと、
    前記ベースパイプの前記上面壁及び前記下面壁に積層された、前記ベースパイプの前記繊維強化樹脂材より長手軸線方向の縦弾性率が高い繊維強化樹脂材にて形成された補強部材と、
    を有し、
    前記ベースパイプは、長手軸線方向に直交する断面にて、前記ベースパイプの長手軸線の軸中心を通る水平面及び垂直面に対して対称形状とされ、前記補強部材は、前記ベースパイプの長手軸線方向に直交する横断面にて、前記ベースパイプの前記上面壁及び前記下面壁に積層され、前記両側面壁の湾曲部と協働してほぼ円形或いは楕円形の包絡湾曲面を形成するように最下層より外方へと段階的に幅が狭くされた複数の補強層にて形成され
    前記上面壁及び前記下面壁の幅をW1、前記上面壁と前記下面壁の間隔をH1とすると、
    0.8≦W1/H1≦3
    であり、前記中空パイプの長手軸線方向に直交する横断面の形状が全体としてほぼ円形状或いは楕円形状とされることを特徴とする中空パイプ。
  2. 前記上面壁と前記下面壁の幅W1は3〜800mmであり、前記両側面壁の半径は5〜800mmであることを特徴とする請求項に記載の中空パイプ。
  3. 前記ベースパイプの長手軸線方向における前記補強部材の前記繊維強化樹脂材の縦弾性率は、50〜800GPaであることを特徴とする請求項1又は2に記載の中空パイプ。
  4. 前記ベースパイプは、強化繊維として炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維又は有機繊維を使用した繊維強化樹脂材にて作製されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の中空パイプ。
  5. 前記ベースパイプは、肉厚が0.1〜10mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の中空パイプ。
  6. 前記ベースパイプは、前記ベースパイプの長手軸線方向における一端から他端へと横断面積が連続的に減少したテーパ形状とされることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の中空パイプ。
  7. 前記補強部材の前記繊維強化樹脂材は、強化繊維に樹脂が含浸された複合材であり、前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維、金属繊維又はバサルト繊維であることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の中空パイプ。
  8. 前記補強部材の前記樹脂は、エポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、若しくはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、又は、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、PEEK樹脂、若しくはPPS樹脂などの熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項に記載の中空パイプ。
  9. 最外層に絶縁層の部材にて形成された表皮層を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の中空パイプ。
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