JP2002295737A - 炭素繊維強化プラスチック製角形管およびその製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化プラスチック製角形管およびその製造方法

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JP2002295737A
JP2002295737A JP2001095156A JP2001095156A JP2002295737A JP 2002295737 A JP2002295737 A JP 2002295737A JP 2001095156 A JP2001095156 A JP 2001095156A JP 2001095156 A JP2001095156 A JP 2001095156A JP 2002295737 A JP2002295737 A JP 2002295737A
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rectangular tube
carbon fiber
layer
prepreg
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JP2001095156A
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Shigeru Kawashima
茂 川嶋
Yasuhiro Nishi
泰博 西
Shigeki Kageyama
滋樹 影山
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Toray Industries Inc
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Nikon Corp
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量且つ高強度、高剛性を有する角形管に関
し、具体的には内圧あるいは外圧のかかる配管やハウジ
ング、ケーシングなどに関する。 【解決手段】主として複数の平面で構成された角形管に
おいて、該角形管を構成する最も大きな平面を主面と
し、該主面に対向し、かつ該主面と同面積またはそれに
次いで2番目に大きな面積である面も主面としたとき、
該角形管の少なくとも4ヶ所の角部周辺の肉厚が主面の
肉厚の2倍以上5倍以下であることを特徴とする炭素繊
維強化プラスチック製角形管。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軽量且つ高強度、高
剛性を有する角形管に関し、具体的には内圧あるいは外
圧のかかる配管やハウジング、ケーシングなどに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、角パイプや、角形のハウジング、
ケーシングの材料として鉄やアルミなどの金属、ABS
樹脂やナイロン樹脂などの熱可塑性樹脂などが多く用い
られてきた。これらの材料に対し炭素繊維強化プラスチ
ック(CFRP)は軽量で且つ強度、弾性率が高いこと
から、種々の機械部品に用いられるようになってきた。
また、CFRPにはX線透過率が高い、電気導電性があ
る、電磁波遮蔽性がある、非磁性であるなどの物理的特
性があり、機械的特性とあわせて特徴のある製品をつく
ることができる場合もある。
【0003】本来、圧力容器や内圧のかかる配管には強
度的に優れた円形断面が主として採用されている。しか
しながら内容物の形態や、外部部品による制限、あるい
は外観の観点から内圧あるいは外圧のかかる部品に角形
の断面形状を採用する例は少なくない。
【0004】しかしながら、連続繊維を使用したCFR
Pで角形管をつくる場合、種々の問題点にぶつかる場合
が多い。CFRPは繊維方向の強度に対して層間の剪断
強度が著しく低いため、角形管に内圧または外圧が負荷
されたとき、角部に発生した剪断応力により想定した限
界圧より低い圧力で破壊することがある。また、FRP
製角形管を成形する方法として特開平1−163046
号に記載される引抜き成形法が考えられるが、安定して
成形品を引き抜くためには、補強繊維の内少なくとも5
0%を角形管の軸方向に配向させる必要がある。角形管
に限らず細長い管に内圧または外圧が負荷された場合に
は軸方向に対して直角方向である周方向に高い応力が発
生するので周方向の繊維が全体の50%以下では強度が
低くなってしまう。また周方向の弾性率も低くなり角形
管が大きく変形してしまう。別の成形方法として特開平
3−234614号に記載されているように角型のマン
ドレルに強化繊維を積層しておき、これにマトリックス
液相含浸させ、硬化させる方法が提案されている。しか
しながら、角型のマンドレルに強化繊維を積層すると、
角部の繊維だけがマンドレルに強く押しつけられるた
め、角部にマトリックスが含浸しづらく、未含浸部が残
りやすいという問題があった。予めマトリックス樹脂を
含浸した強化繊維を角型のマンドレルに積層する方法も
知られているが前述のように角部の繊維だけがマンドレ
ルに強く押しつけられるため、角部は樹脂含有率が極端
に高くなり、逆に平面部は樹脂含有率が低くなり、ボイ
ドなどの欠陥も含みやすくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、従来
の繊維強化プラスチック製角形管の上述した問題点を克
服し、内圧や外圧に対して充分な強度・剛性を有する繊
維強化プラスチック製角形管を安価且つ安定的に提供す
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明にかかる角形管は、主として複数の平面で構
成された角形管において、該角形管を構成する最も大き
な平面を主面とし、該主面に対向し、かつ該主面と同面
積またはそれに次いで2番目に大きな面積である面も主
面としたとき、該角形管の少なくとも4ヶ所の角部周辺
の肉厚が主面の肉厚の2倍以上5倍以下であることを特
徴とするものである。
【0007】また、本発明は、主として複数の平面で構
成された角形管において、該角形管を構成する最も大き
な平面を主面とし、該主面に対向し、かつ該主面と同面
積またはそれに次いで2番目に大きな面積である面も主
面としたとき、該角形管の少なくとも4ヶ所の角部周辺
の肉厚が該主面の肉厚の2倍以上5倍以下である角形管
の製造方法において、(A)まず主として主面を構成す
るプリプレグを内型に積層し、(B)次に主として角部
を構成するプリプレグを積層し、(C)次に主として主
面を構成するプリプレグを積層した後、(D)前記
(A)〜(C)工程を経て得られた積層体を、外型およ
び/またはバギングフィルムで覆い、加圧、加熱するこ
とを特徴とする炭素繊維強化プラスチック製角形管の製
造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について、添
付の図面を参照して具体的に説明するが、なんらこれに
限定されるものではない。
【0009】本発明において、角形管とは、管壁が複数
の平面で構成された管、パイプ、チューブ乃至は筒のこ
とである。必要に応じて、途中に支管や孔、開閉可能な
戸などが設けられていても良い。本発明において、角形
管の面の大部分(好ましくは全面積の50%以上、より
好ましくは70%)は、互いに平行又は垂直であること
が好ましい。典型的には矩形であり、それ以外に押しつ
ぶされたような十字形や、凸形状や凹形状又は、凸の底
面に逆さになった凹が合体したような形状などが例示で
きるがこれに限定されるものではない。なお、本発明に
おいては平面は肉眼的サイズを対象としており、従っ
て、顕微鏡サイズ(おおよその目安は3mm以下、より
実用的には1mm以下)の凹凸などは無視して、平面ま
たは曲面であると判断したり面積の算出をしているもの
である。
【0010】又、本発明のおいて、主として平面で構成
されたとは、角形管の管壁の大部分が平面(好ましくは
全面積の80%以上、更に好ましくは90%以上)より
構成されていて、曲面は実質上有しないことを意味する
ものである。
【0011】なお、本発明において、角形管を構成する
最も大きな平面とは、角形管の管壁を構成する複数の平
面のうちで最も面積の大きな平面を指し、これを主面と
定義するものである。この主面に対向するとは角形管長
軸を軸にして180°回転した反対側に位置しているこ
とを意味する。本発明の角形管では、典型的には、この
対向する面は前記主面と実質上同じ面積であるか、ある
いは前記主面に次いで2番目の面積を有する面である。
同面積であろうが、2番目の面積であろうが、何れの場
合でもこの対向する面も主面であると定義する。即ち、
典型的には本発明の角形管には対向して主面を有すると
言える。特に限定されるものではないが、主面の総面積
は角形管の総面積の、好ましくは40〜90%(より好
ましくは50〜80%)である。
【0012】本発明のおいて、角部周辺の肉厚が角形管
を構成する主面の肉厚の2倍以上5倍以下(好ましくは
2倍以上4倍以下、より好ましくは2.5倍以上4倍以
下)にすることにより角部の層間剪断応力が小さくな
り、角形管の耐圧能力を向上させることができる。ま
た、角部を厚く積層する際そのプリプレグは主面を構成
するプリプレグで内外面から挟み込む形態となるように
成形することにより厚肉化した部分が剥がれにくくな
り、強度の高い成形品を得ることができる。
【0013】図1は本発明の一実施形態である角形管の
斜視図である。図において角形管1は平面部2、3およ
び角部4から構成される。このとき平面部2と平面部3
を比べると平面部2の方が大きいので、平面部2が最も
大きい平面部である主面となる。従って角部4周辺の肉
厚は平面部2の2倍から5倍の範囲であることが必要で
ある。これは角部4周辺の肉厚が平面部2の2倍以下で
は充分な補強効果が得られないし、5倍以上では薄肉部
との段差が大きくなりすぎるために積層が難しくなるた
めである。ここでいう角部の周辺の範囲は角形管の寸法
により異なるが、概ね角部の頂点から10mm〜50m
mの範囲と考えて良い。より実用的には20〜50mm
である。あるいは、角形管の全周に占める全ての肉厚部
分(図1の場合ならば4箇所の合計になる)の長さの比
率は、好ましくは20〜80%(より好ましくは30〜
70%)である。又、図1のように、主面以外の面の大
部分乃至は全てが肉厚となっていても良い。本発明は図
1のような単純な矩形だけではなく、角形管の中に入る
部品や他の部品との関係で図2や図3、図4などのよう
な形態をとることも可能である。即ち、図1のように角
形管の内面が肉厚による段差が実質上無い態様以外に、
図2のように内面も肉厚乃至は薄層となっている態様、
図3のように薄層な主面が外部に突き出た態様、あるい
は、図4のように主面が内部に陥没したような態様、ま
たはやはり図4のように異なった態様の主面を併せ持つ
態様などが挙げられる。
【0014】本角形管は主として炭素繊維を強化繊維と
する繊維強化プラスチックからなる。ガラス繊維やポリ
アミド繊維などの強化繊維を耐衝撃性向上などの目的で
少量混ぜることは問題ないが、これらの強化繊維は弾性
率が低い、マトリックス樹脂との接着性が良くないなど
の欠点があるので、周方向の強度、弾性率が大きく低下
しない範囲にとどめる必要がある。
【0015】本発明においては、角形管は、複数の炭素
繊維層にて構成されることが好ましく、それらは一方向
に配向されたものでも、織物状のものでも良い。一方向
に配向された炭素繊維層は、角形管に対して異なる角度
に配向されたものを組み合わせて用いても良い。また、
織物状の炭素繊維は機械加工時の剥離を防止し外観もき
れいに仕上がるので、角形管の最内面層や最外面層に好
適に用いられ、特に1周に亘って積層されることが好ま
しい。炭素繊維の単繊維径は、好ましくは3〜12μm
(より好ましくは4〜10μm)であり、好適には、複
数の単繊維よりなる糸条で用いられ、かかる糸条は好ま
しくは単繊維1000〜24000本で構成されるもの
である。織物の場合、平織や朱子織等があり、目付は7
0g〜250gのものがよい。なお、炭素繊維層の角形
管の外部側の面を外面、内部側の面を内面とし、主とし
て主面を構成する炭素繊維層を主面層、主として角部を
構成する炭素繊維層を角部層とするここで、主として主
面を構成する炭素繊維層(又はプリプレグ)とは、当該
炭素繊維層(又はプリプレグ)の角形管面上での面積で
ある主面層総面積において、主面の占める面積である主
面面積が主に占めていることである。特に限定されない
が、前記総面積に対する主面面積の割合は、好ましくは
40〜90%(より好ましくは50〜80%)である。
また、主として角部を構成する炭素繊維層(又はプリプ
レグ)とは、当該炭素繊維層(又はプリプレグ)の角形
管面上での面積である角部層総面積において、角部周辺
の占める面積である角部周辺面積が主に占めていること
である。特に限定されないが、前記総面積に対する角部
周辺面積の割合は、好ましくは80〜100%(より好
ましくは90〜100%)である。
【0016】本発明において、角形管を構成する平面に
おける管の軸方向に対して直角方向である周方向の弾性
率が150GPa以上であることが好ましい(より好ま
しくは180GPa以上、更に好ましくは200GPa
以上)。このように、周方向の弾性率が150GPa以
上であることにより角形管の破壊や変形抑制することが
でき、アルミ、チタンやステンレス鋼などの金属よりも
軽量にできる。
【0017】ここでいう弾性率は材料の引張弾性率であ
りCFRPの曲げ弾性率はこれより10〜20%程度低
くなる。従って本発明のおいて、角形管の引張弾性率が
150GPaを下回ると曲げ弾性率で106GPaのチ
タン材に対して充分なメリットが得られなくなる。ま
た、現存する炭素繊維を用い、長手方向の強度や、取付
穴周りの強度も考慮すれば、炭素繊維様々な角度に配向
することが有用である。その場合、一方向配向炭素繊維
材料より弾性率は低くなり、弾性率の実用的に実現可能
な上限は300GPa程度になる。このように角形管の
軸方向に対して直角方向である周方向に150GPa以
上の弾性率を確保するには、370GPa以上の弾性率
を有する炭素繊維を主として用いると良い。繊維配向に
ついても全体の50%以上を角形管の略周方向(±15
°程度の範囲内ならば、ずれていても問題ない)配向す
ると良い。更に好ましくは67%以上である。最外層に
は薄い織物を配すると外観をきれいに仕上げることもで
きる。
【0018】角形管を構成するマトリックス樹脂は繊維
との接着性がよく高い強度が得られることからエポキシ
樹脂が好ましい。エポキシ樹脂以外にも酸などの腐蝕環
境下で使用する場合にはビニルエステル樹脂を、高温で
使用する場合には、ビスマレイミド樹脂やポリイミド樹
脂などを利用しても良い。これ以外にも不飽和ポリエス
テル樹脂やシアネート樹脂などを使用することもでき
る。また、これらの樹脂は予め強化繊維に含浸させ、B
ステージまで硬化を進めたプリプレグの状態に加工した
上で成型するとよい。粘度が低い状態では上述のように
角部の樹脂が押し出されて極端に繊維含有率が高くなる
などの問題を生じるからである。
【0019】また、角形管の軸方向に対して±(45゜
〜90゜)に配向され、かつ、3つ以上の該角形管の平
面に連続している炭素繊維層を少なくとも有することも
好ましい。なお、±(45゜〜90゜)とは、+45°
〜+90°または−45°〜−90°を意味するもので
ある。前記の好適な例の角形管の製造方法としては以下
のような方法が挙げられる。即ち、角形管の材料として
織物や一方向に引き揃えた強化繊維に予め樹脂を含浸さ
せ、適当な粘度まで硬化を進めたプリプレグを用い、且
つ種々の角度に配向されたプリプレグの中で、角形管の
軸方向に対して±(45゜〜90゜)に配向されたプリ
プレグが、少なくとも3つの平面に連続して配置するこ
とが好ましい。このようにプリプレグを用いることによ
り角部の樹脂含有率が平面部に比べて著しく高くなった
り、樹脂の未含浸やボイドなどの欠陥を防ぐことができ
る。このように角形管の軸方向に対して±(45゜〜9
0゜)に配向されたプリプレグが、少なくとも3つの平
面に連続して配置することにより、プリプレグの皺や弛
みが起こりにくく、且つ角部の繊維が適度につながった
状態となるので、強度を低下させることなく安価な製品
を安定的に供給することができる。
【0020】このプリプレグを用いて積層作業を行う場
合、図5に示すように角形管の軸方向に対して±(45
゜〜90゜)に配向されたプリプレグが、少なくとも3
つの平面に連続するように積層すると良い。ここで、図
5は角形管成型用の内型5にプリプレグ6を積層した状
態の断面を模式的に現したものである。好ましくは図6
のように互いに向かい合う面(図6の例では左右の非主
面)まで連続して積層するとよい。主面層の積層におい
ては、前記の通りの積層を一方の主面から行って、次に
他方の面から行いというふうに、交互に交代して積層す
るとプリプレグの切れ目が分散された形態となり好まし
い。さらに前記2層の積層を角形管中心軸から見て90
°ずらして繰り返していくと、積層数が全周で均一とな
って更に好ましい。なお、±(45゜〜90゜)に配向
させたプリプレグは繊維を大きく曲げることになるの
で、角型の内型に合わせて曲げることが難しいため内型
とプリプレグの間に隙間が生じやすい。従って、このよ
うな配向角度のプリプレグは、互いに対向する面を越え
た面までに連続して配置することは避けた方が好まし
い。特に図7のように角形管の全周にわたって1周以上
連続的に積層した場合、この隙間が累積して皺が起こり
やすくなるため、積層に時間がかかってしまう。また、
図8のように細かくプリプレグを切断して積層すると加
熱成型中にプリプレグが動いて反りなどの原因になるだ
けでなく、つなぎ目自体の強度が低くなる。少なくとも
3つの平面に連続して積層する場合でもプリプレグのつ
なぎ目が1ヶ所に集まらないよう分散させる、つまり、
つなぎ目をずらすよう注意する必要がある。
【0021】本発明の角形管は主面2にくらべ角部4周
辺の肉厚が厚いため、当然プリプレグの積層枚数も角部
周辺の方多くなる。その場合、層が厚くなる角部周辺の
末端部分は、段差が大きいため層間剥離の問題がある。
従って、前記段差が表面付近に無いような積層構成にす
ることが好ましい。即ち、角形管は複数の炭素繊維層を
有し、該炭素繊維層の該角形管の外部側の面を外面とし
て、主として主面を構成する炭素繊維層である主面層の
外面に、主として角部を構成する炭素繊維層である角部
層が有り、該角部層の外面はさらに主面層で覆われてい
る構造が好ましい。
【0022】前記層構成において重要なことは、前述の
通り、角部層端部の段差が表面付近に無いことである、
つまり、少なくとも角部層段差部分は角形管の管壁中に
おいて、外部からも内部からも主面層が積層されている
ことが好ましい。より好ましくは、前記段差部分のみで
なく角部層全体が外部からも内部からも主面層で積層被
覆されていることである。また、角部層端部は垂直に切
り立った形ではなくて傾斜を付けることも好ましいし、
階段状に傾斜させても良い。その傾斜については、特に
限定されるものではないが、角部層とそれより内部側に
積層された主面層との界面を起点として計測した角部層
端部面の角度は、好ましくは30〜90°(より好まし
くは40〜60°)である。
【0023】かかる積層構成は、以下の通りの製造方法
を採用すれば好適に実現されるものである。即ち、主と
して平面で構成された角形管において、少なくとも4ヶ
所の角部周辺の肉厚が該角形管を構成する最も大きな平
面である主面の肉厚の2倍以上5倍以下である角形管の
製造方法において、 (A)まず主として主面を構成するプリプレグを内型に
積層し、(図9) (B)次に主として角部を構成するプリプレグを積層
し、(図10) (C)次に主として主面を構成するプリプレグを積層し
た後、(図11) (D)外型および/またはバギングフィルムで覆い、加
圧、加熱することを特徴とする炭素繊維強化プラスチッ
ク製角形管の製造方法。
【0024】実際に積層作業を行うときにはまず主面2
を含むプリプレグ層を内型に何層か(好ましくは5〜2
0層)積層し、次に角部4周辺の補強用プリプレグを積
層(好ましくは5〜50層)し、最後にもう一度主面2
を含むプリプレグ層を積層(好ましくは5〜20層)
し、概ね3層構造とすると良い。角形管の厚みによって
は主面層のプリプレグ層を角部層の厚みの中央部にも挿
入するなど層の数を増やしても良い。つまり、角部での
積層状態が、例えば、内側から、{主面層1/角部層1
/主面層2/角部層2/主面層3}という順になる。こ
こで、主面層2が挿入された主面層となる。いずれにし
ても角部4周辺の補強用プリプレグが最外層や再内層に
現れると層間クラックが進展して剥がれ落ちる可能性が
あるので好ましくない。
【0025】
【実施例】以下実施例によりさらに詳細に説明する。
【0026】各実施例・比較例の角形管の外形は、実施
例1〜4、比較例5、7については、図1の通りとし、
主面の両側はそれぞれ、主面に平行な方向で幅30mm
の肉厚部分を有するものとした。比較例2については、
均一肉厚タイプとした。なお、内腔は、いずれも150
mm×30mmの矩形とした。
【0027】実施例において用いたプリプレグは、東レ
株式会社製P9055F−13(以下、PG1という)
とF6151B−05M(以下、PG2という)であ
る。PG1は繊維目付125gで一方向に炭素繊維糸条
が配向されたプリプレグであり、PG2は繊維目付92
gで炭素繊維糸条が織物にされたプリプレグであり、両
者で用いている樹脂はエポキシ樹脂である。なお、何れ
の実施例でも、PG2は最も内側の内面側と最も外側の
外面側に各1層積層され、かつ、1.02周(以下、こ
れを全周とする)に亘って積層した。
【0028】なお、表中、主面層の積層の連続性の欄に
おいて、「対向面まで」とあるは、プリプレグを、互い
に対向する2つの面を含む3つの平面が連続するように
積層し、これを主面層を構成するプリプレグとしたもの
である。即ち、角形管を構成する平面をA、B、C、D
とし、この中でA、Cを主面、B、Dを非主面したと
き、主面層は以下のように積層を繰り返す。
【0029】 D−A−B B−C−D A−B−C C−D−A このように積層することにより、上記積層工程〜に
より各面3層づつ積層したことになる。
【0030】同じく「全周」とは、プリプレグが管周を
1.02周積層されることである。この際、一部重複す
る糊代部分は一方の主面の中央部に位置し、次のプリプ
レグはそれと対向する主面の中央部に糊代あるいは非積
層面がくるように順次積層する。
【0031】同じく「2面まで」とは、角形管の4面を
それぞれ時計回り(または反時計回り)にA、B、C、
D面として、まず、1番目のプリプレグはA、Bの2面
を積層し、2番目は、C、Dの2面を積層して、これで
全周積層される。次に、3番目は、D、Aの2面を、4
番目はB、Cの2面を積層し再び全周積層される。つま
り、前の2層の継ぎ目を覆い隠すようの次の2層が積層
されるものである。
【0032】以下の方法で表1に示す実施例1の角形管
を製作した。まず幅150mm、厚さ30mm、長さ9
00mmの内型を用意し、これに引張弾性率378GP
aのプリプレグを角形管の軸方向に対して0#と90゜
の方向(以下、それぞれ0°配向、90°配向という)
に1:5の比率で積層した(角形管の周方向の引張弾性
率計算値は178GPaとなる)。このとき、積層数は
主面の厚みが1.5mm、角部周辺が3.0mmになる
ように設定した。
【0033】具体的工程は以下の通りで行った。
【0034】(A)内側主面層の形成 まず、最も内面の層としては、PG2を1層、積層し
た。次いで、PG1を90°配向で6層、更に0°配向
で1層を積層(以下、この配向・層構成をユニット6/
1という)した。PG1の積層の連続性は表1の通りと
した。
【0035】(B)角部層の形成 次に角部層を構成するプリプレグを積層した。最初にP
G1を90°配向で6層、次に0°配向で2層、最後に
90°配向で6層を積層した(以下、この積層をユニッ
ト6/2/6という)。
【0036】(C)外側主面層の形成 最後にもう一度主面層を構成するプリプレグの順に積層
した。まず、PG1を0°配向で1層、次いで、90°
配向で6層を積層(以下、この配向・層構成をユニット
1/6という)した。最後にPG2を1層積層した。P
G1の積層の連続性は表1の通りとした。
【0037】(D)プリプレグの硬化 前記(A)〜(C)の工程にて作成された積層体にシリ
コンゴム製の当て板を当て、その外側からナイロンバッ
グフィルムで包み込んだ。このバッグ内を真空に減圧
し、さらにオートクレーブに入れて圧力0.6MPa、
温度130℃で2時間加熱加圧した。冷却後バック、シ
リコンゴムを取り外し、内型をハンマーで叩きながら抜
いた後、角形管の両端面をNCルーターで長さ750m
mにトリミングした。このようにして成形した角形管の
両端にシリコンゴムのパッキンを介して、スチール製の
蓋を取付けた。この試験体に空気で内圧を負荷した。内
圧は徐々に上げ、30kPa時点での中央部の変形量を
ダイヤルゲージで測定したところ、0.38mmであっ
た。さらに内圧を上げていくと0.5GPaあたりから
小さなクラック音がし始め、0.82GPaに達した時
点で大きなクラック音とともに空気が漏れ出した。試験
結果は表2の通りとなった。
【0038】実施例1と同様に表1に示す実施例2から
4についても角形管を製作し、試験を行ったところ、表
2に示す結果となった。但し、これらの実施例と実施例
1との相違点は以下の通りである。即ち、実施例2で
は、角部層は、実施例1のユニット6/2/6にさらに
ユニット6/2/6を積層したことのみが相違する。実
施例3では、主面層のPG1の積層の連続性を全周に換
えたことのみが相違する。実施例4では、PG1の積層
の連続性を2面までに換えたことのみが相違する。
【0039】実施例2では角部周辺の肉厚を4.5mm
としたところ、変形量、破壊荷重ともに改善された。実
施例3では4面全周をプリプレグで連続で積層するよう
試みたが結果は実施例1と大差なかった。また、成形面
では実施例1の1.5倍の積層時間がかかり、経済的と
は言えない状態であった。実施例4ではプリプレグを互
いに隣り合う平面まで連続して積層し、対向する平面ま
ではつながらない形で積層した。試験の結果角形管の変
形量は若干の低下に留まったが、破壊圧力は25%低下
した。
【0040】実施例5、6、比較例1 実施例1と同様に表1に示す実施例5、6、比較例1に
ついても角形管を製作し、試験を行ったところ、表2に
示す結果となった。但し、これらの実施例・比較例と実
施例1との相違点は以下の通りである。即ち、実施例5
では、弾性率230GPaの炭素繊維を使用したプリプ
レグを用いたことのみ相違する。このときの角形管の軸
方向と直角方向の弾性率は107GPaとなった。試験
の結果破壊強度は大差なかったものの中央部のたわみは
約40%とやや増加した。比較例1では角形管全体の肉
厚を均一に製作したことのみ相違する。即ち、角部層を
設けなかった。その結果、変形量が大きく、破壊圧力も
著しく小さい結果となった。また。実施例6では、実施
例1の積層順を変更したことのみが相違する。即ち、主
面層として、PG2、ユニット6/1、ユニット1/
6、を順次積層した後、角部層としてユニット6/2/
6を積層し、最後に主面層として、PG2を積層した。
試験を行ったとこる、30kPaでの変形量は実施例1
と同等であったが、破壊圧力については50kPaで層
間はく離を起こし空気漏れを起こし、やや強度が弱いも
のであった。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明の角形管は、主として平面で構成
された角形管において、少なくとも4ヶ所の角部周辺の
肉厚が角形管を構成する主面の肉厚の2倍以上5倍以下
であることにより、外圧または内圧に対する変形量が小
さく、且つ強度に優れるだけでなく、コスト面からも安
い製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る角形管の一実施例の斜視図であ
る。
【図2】 本発明に係る角形管の一実施例の斜視図であ
る。
【図3】 本発明に係る角形管の一実施例の斜視図であ
る。
【図4】 本発明に係る角形管の一実施例の斜視図であ
る。
【図5】 本発明に係る角形管の製造方法の成形手順を
模式的に現した断面図である。
【図6】 本発明に係る角形管の製造方法の成形手順を
模式的に現した断面図である。
【図7】 本発明に係る角形管の製造方法の成形手順を
模式的に現した断面図である。
【図8】 本発明に係る角形管の製造方法の成形手順を
模式的に現した断面図である。
【図9】 本発明に係る角形管の製造方法の成形手順を
模式的に現した断面図である。
【図10】 本発明に係る角形管の製造方法の成形手順
を模式的に現した断面図である。
【図11】 本発明に係る角形管の製造方法の成形手順
を模式的に現した断面図である。
【符号の説明】
1 :角形管 2 :平面部(主面) 3 :平面部 4 :角部 5 :プリプレグ 5a:プリプレグ(主面層) 5b:プリプレグ(角部層) 5c:プリプレグ(主面層) 6 :内型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西 泰博 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (72)発明者 影山 滋樹 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 Fターム(参考) 3H111 AA01 BA15 BA28 BA34 CA57 CB04 CB18 CC03 DA26 DB18 DB27 4F205 AA39 AD02 AD16 AG09 AG21 HA09 HA14 HA25 HA33 HB01 HC17 HG05 HK31 HL14 HL26 HT02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主として複数の平面で構成された角形管に
    おいて、該角形管を構成する最も大きな平面を主面と
    し、該主面に対向し、かつ該主面と同面積またはそれに
    次いで2番目に大きな面積である面も主面としたとき、
    該角形管の少なくとも4ヶ所の角部周辺の肉厚が主面の
    肉厚の2倍以上5倍以下であることを特徴とする炭素繊
    維強化プラスチック製角形管。
  2. 【請求項2】該角形管の周方向の弾性率が150GPa
    以上である請求項1に記載の炭素繊維強化プラスチック
    製角形管。
  3. 【請求項3】該角形管の軸方向に対して±(45゜〜9
    0゜)に配向され、かつ、3つ以上の該角形管の平面に
    連続している炭素繊維層を有するものである請求項1ま
    たは2に記載の炭素繊維強化プラスチック製角形管。
  4. 【請求項4】該角形管は複数の炭素繊維層を有し、該炭
    素繊維層の該角形管の外部側の面を外面として、主とし
    て主面を構成する炭素繊維層である主面層の外面に、主
    として角部を構成する炭素繊維層である角部層が有り、
    該角部層の外面はさらに主面層で覆われているものであ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化プラス
    チック製角形管。
  5. 【請求項5】主として複数の平面で構成された角形管に
    おいて、該角形管を構成する最も大きな平面を主面と
    し、該主面に対向し、かつ該主面と同面積またはそれに
    次いで2番目に大きな面積である面も主面としたとき、
    該角形管の少なくとも4ヶ所の角部周辺の肉厚が該主面
    の肉厚の2倍以上5倍以下である角形管の製造方法にお
    いて、(A)まず主として主面を構成するプリプレグを
    内型に積層し、(B)次に主として角部を構成するプリ
    プレグを積層し、(C)次に主として主面を構成するプ
    リプレグを積層した後、(D)前記(A)〜(C)工程
    を経て得られた積層体を、外型および/またはバギング
    フィルムで覆い、加圧、加熱することを特徴とする炭素
    繊維強化プラスチック製角形管の製造方法。
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