JP2008068553A - Rtm成形方法、および、rtm成形方法用プリフォーム。 - Google Patents

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Abstract

【課題】
大量生産に対応でき、且つしわのないRTM成形方法を提供する。
【解決手段】
所望の積層角度に配置した強化繊維織物を複数層積層し、上型に最初に接触する部分で連続または間欠に強化繊維織物を連結する。強化繊維を上型に最初に接触する部分で連結することにより、ハンドリングが良く、上型で押さえたときに各層がそれぞれ連結部方向に引っ張られ、製品の裏表での曲率の違いがあっても、各層が一定の安定した張力を持ち形状賦形性を持もつ複数層連結された強化繊維織物を得ることが出来、強化繊維の“しわ”のないRTM成形品を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、強化繊維の“しわ”のないRTM成形品を成形するための、成形方法および成形製品に関する。
近年、航空機、自動車、その他ロボットに代表される産業機器などのあらゆる分野において強化繊維のシートを積層して成形された各種複合材料、とりわけ軽量効果の大きい炭素繊維を強化繊維としたシートを用いた複合材料(CFRP)が用いられるようになってきており、その傾向は益々増大している。
一般に曲面を持つ複合材料を成形する場合、その曲面の曲率半径が小さいほど、シワがおきやすく、従来から種々の対策がなされている。
たとえば特許文献1は、強化繊維に半硬化の樹脂をあらかじめ含浸させたプリプレグを対象に、プリプレグの積層体を両端へ引き延ばして“しわ”なく強化繊維の物性が有効に現れるように配慮している。たとえば、図5に示されるように、曲部に沿った方向で、積層体の端部を把持するジグを用いて、成形時の真空を用いて強化繊維に張力を与えて引き延ばすことが出来る。しかしながら、本方式では、強化繊維を積層したすべての層の基材を、成形するたびに端部を把持するジグに取り付ける必要があり、大量生産には不向きである。
一方RTM(Resin Transfer Molding)成形方法では、樹脂を含浸させていない強化繊維シートを複数枚積層し、成形型に適当におさまるように事前に賦形したプリフォームと呼ばれる中間基材を作製した後、これに液状樹脂を注入し複合材料を成形する。しかし、プリフォームとした強化繊維シートは、搬送中にそれぞれの層にバラバラになるなどの問題がありハンドリング性が悪い欠点がある。
この問題を解決するため、たとえば特許文献2では、例えば合成ゴム系スプレーのりやエポキシ樹脂系のタッキングレジンなどの固着材によって強化繊維シートの層間を接着し、同時に製品形状に賦形をして、型に適当におさまるようにプリフォームし、かつ、ハンドリング性を向上させる方法が開示されている。しかしながら、本方式では複数枚積層される強化繊維シートの全ての層間に固着材を塗布し接着させる必要があり作業が繁雑である。さらにスプレーのりは、熱硬化樹脂の物性を低下させることが多く品質上問題が多い。他の方法とし、エポキシ樹脂系のタッキングレジンを使用した場合、RTMでの成形時の樹脂流動や含浸性が悪くなり製品を得ることが難しくなる。
特開平10-296864((P6)右30〜40行) 特開2003-211447(33段落目、59段目)
そこで本発明は、従来の技術では、曲面部の強化繊維を引き延ばすために、何らかの冶工具を型内に準備するため型形状の制約となり、また成形毎に煩雑な両端の固定作業あるいは賦形作業が必要になるなど、量産生産性の点で課題を解決しようとするものである。
上記課題を達成するために本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
(1)上型と下型で形成されるキャビティー内に複数層の強化繊維シートを配置し、該キャビティーに熱硬化性樹脂を注入し、強化繊維層に含浸後、硬化し繊維強化複合材料を得るRTM成形法において、下型上に面内を部分的に厚み方向に連結した複数層の強化繊維シートを配置した後、複数層の強化繊維シートの厚み方向に連結した部分を最初に加圧するように、上型を載置し、キャビティーの形成と複数層の強化繊維シートのキャビティ形状への賦形をすることを特徴とする、RTM成形方法。
(2)前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、線状に配置したものである前記(1)に記載のRTM成形方法。
(3)前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、糸によって連結されているものである前記(1)または(2)に記載のRTM成形方法。
(4)前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、熱可塑性樹脂によって連結されているものである前記(1)〜(3)のいずれかに記載のRTM成形方法。
(5)前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、前記複数層の強化繊維シートの端部である前記(1)〜(4)のいずれかに記載のRTM成形方法。
(6)複数層の強化繊維シートを積層し、その面内を部分的に厚み方向に連結したものであることを特徴とするRTM成形用プリフォーム。
(7)前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、線状に配置したものである前記(6)に記載のRTM成形用プリフォーム。
(8)前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、糸によって連結されているものである前記(6)または(7)に記載のRTM成形用プリフォーム。
(9)前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、熱可塑性樹脂によって連結されているものである前記(6)〜(8)のいずれかに記載のRTM成形用プリフォーム。
(10)前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、前記複数層の強化繊維シートの端部である前記(6)〜(9)のいずれかに記載のRTM成形用プリフォーム。
本発明によれば、強化繊維シートを複数層積層した、ハンドリング性の高いプリフォーム、およびそのプリフォームを用いて、曲面部の成形においても、しわのない強化繊維シートの物性を有効に引き出す成形品を得ることが、容易に出来る。
本発明は、強化繊維を複数層積層したプリフォームに樹脂を含浸し、繊維強化樹脂(以降FRPと略す)を製造するRTM成形法を対象とする。
本発明において、FRPに用いられる強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、あるいはケブラー繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる補強繊維が挙げられる。
また、本発明のRTM成形法に用いられる強化繊維の形態としては、樹脂の含浸されていない織物や、マット、ニット材料等の強化繊維シート、さらにこれらとインサート部品と組み合わされたシート状のものが挙げられ、その用途により使い分けることが可能である。
FRPのマトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
以下、本発明であるRTM(Resin Transfer Molding)成形方法について図面を参照しながら説明する。
図1、2は本発明のRTM成形法に適用するプリフォーム形成用基材の例を表す図である。 本発明のRTM成形法に適用するプリフォーム形成用基材は、面内を部分的に厚み方向に連結した複数層の強化繊維シートである。複数層の強化繊維シートは、成形体に求められる特性に応じ所望の積層角度に配置して積層される。ここで面内を部分的に厚み方向に連結するとは、かかる複数層の強化繊維シートを、図1に例を示すように、全体に渡るものではない部分的な領域をなす一部分2a、2bで複数枚の強化繊維シートを束ねるように厚み方向に連結する。連結するには、糸で連結するのが容易である。糸で連結するには手作業での縫い合わせによる連結も可能であるが、ミシンを使用するのが好ましい。ミシンとしては一般家庭用縫製ミシン、工業用縫製ミシン、多軸ステッチングマシンも使用可能である。このとき、使用する糸としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、ケブラー繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維、ポリエステル、ナイロンなどの化学繊維、あるいは綿等の天然繊維からなる糸が使用できる。これらの中でも、糸がばらけにくく、安価であるため、ポリエステル・ナイロンなどの化学繊維が好ましい。
また、糸以外での連結方法として、例えばナイロン、ABSなどの熱可塑樹脂の粉末をそれぞれの強化繊維層に塗布して熱を加えることにより溶融し連結してもよい。
強化繊維シートと同時にピールプライや樹脂流動媒体等の成形副資材も同時に連結することも可能である。
このとき連結は図1に示すように連続で連結してもよく、図2のように間欠で連結してもよい。強化繊維シートの性質である伸縮性が乏しく“ごわごわ”感が強いことか、連続で連結すると、連結の方向に“しわ”が発生することもあり、このような場合間欠に連結するのが効果的である。
また連結部は、図1,2に示すように、線状に配置されていることが後述するような、成形型のキャビティー形成時の作業性を良好とする点で好ましい。
以上のように複数層の強化繊維を連結することにより、あらかじめ所定の形状にカットして複数枚積層された強化繊維シート(プリフォーム形成用基材)は成形型への搬送時にバラバラになることもない。
図3は本発明の成形例を、図4は本発明の成形における面内を部分的に厚み方向に連結した複数層の強化繊維シートのシワ発生メカニズムを表す図である。
図3に示すように、複数層積層し連結された強化繊維シート1bを、下型3のキャビティーに配置し、上型4を閉めて上型4の上型の挟持部4aが最初に強化繊維の連結部に接触し、挟持部4aから離れる方向に向かって強化繊維シートを製品形状に賦形する。このとき上型4は下型3と同様に金型が用いられるが、例えばFRP製の簡易上型で押さえ込んだ後フィルムでのバギングにて加圧することも可能である。
注入機17を型に接続し、所望の樹脂を注入する。このとき、型のキャビティーは真空状態が好ましいが、大気圧でも成形は可能である。また、注入機を使用した加圧注入が好ましいが、キャビティーが真空状態であれば吸引注入でもよい。
樹脂の硬化が完了後、上型4を上昇させ、成形品を脱型し、製品を得る。
また、複数層積層し連結された強化繊維シート1bを製品形状に賦形する過程を、成形型上で製品形状に賦形する過程を、図4を参照して詳細に説明する。下型に載置したプリフォーム形成用基材は、上型の接触により、上型と下型に挟まれることで型との間に摩擦力が生じる。上述の通りプリフォームは連結されているので、摩擦力は、型に接触している表層1枚だけではなく、積層する全ての層の基材の移動、動きを制約することになる。そして、プリフォームは、最初に上型に接触する部分を固定端として、上型に接触していない部分は、上型が閉じる(接触し始める)ときに生じる複数枚積層した強化繊維シートの間の空気の移動と強化繊維シートの剛性によって、固定端から遠い方向へ余剰の基材を押し出し、しわを引き延ばすことが可能となる。ただし、形状が複雑な場合は、しわを伸ばす部分を決めて、固定端となるべく連結部に最初に上型が接触するような型の形状、配置とすることが必要である。かかる観点から、連結部は、複数層の強化繊維シートの端部であることが好ましい。上型を使用せず、簡易的にフィルムバッグで成形する場合は、プリフォームとフィルムの間に、しわを発生させたくない部分にプレッシャープレートを配置して、プレッシャープレートをプリフォームに載せる際、上型と同様に連結部に最初において、そこから徐々に遠い方向に載せてゆくことで同様の効果が得られる。
以上のごとく、本発明によれば、曲面を持つ複合材料を成形する場合、その曲面の半径が小さくても、強化繊維の“しわ”のないRTM成形品を得ることができる。

次にさらに具体的な実施例について説明する。
成形体はここでは500mm×500mm曲率半径200mmで、先端部に曲率5mmのフランジを有する曲面板を成形する。曲面板には炭素繊維シートのみを積層した中実板とする。
炭素繊維シートは、平織りの炭素繊維織物BT70−30(東レ株式会社製“トレカ(登録商標)”T700SC−12K−50Cを使用、目付315g/m、径糸・緯糸それぞれ4.91本/25mm)を使用した。
また、複数の強化繊維織物の連結には、化学繊維のポリエステルを使用した。
金型のキャビティーに収まる所望の大きさに切り出された炭素繊維織物1を4枚積層し、同時に同じ大きさの成形副資材のピールプライと流動媒体を積層し、上型4が最初に接触する部分を合わせる。
積層された炭素繊維織物1bと成形副資材の上型4が最初にあたる一辺を、一般家庭用縫製ミシンを使用し縫い合わせた。
下型3の連結部を基準として複数層積層し連結された炭素繊維シート1bが載置された状態で、下型3から炭素繊維織物の厚み分1.4mmオフセットされた上型4を昇降機5を用いて降下させ、上型4の挟持部4aで強化繊維織物の連結部を挟持しながら下型と重ね合わせて型を閉じ、載置された複数層積層し連結された炭素繊維シート1bをはさみ賦形した。
上型4、下型3には任意に複数個の樹脂注入口(図示しない)につながる樹脂注入配管6、排出口(図示しない)につながる樹脂排出配管7を設けた。
樹脂注入配管6には樹脂注入装置17が接続されている。樹脂注入装置17は主剤・硬化剤を樹脂タンク(主剤タンク13a、硬化剤タンク13b)にそれぞれ収容し、それぞれのタンクは加温、真空脱泡できる機構を備えている。樹脂は主剤としてエピコート828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ樹脂)、硬化剤は東レブレンドのTR−C35H(イミダゾール誘導体)を混合して得た液状エポキシ樹脂を使用した。樹脂注入装置17では事前に主剤、硬化剤を攪拌しながら40℃で加温し、所定の粘度まで降下させ、かつ真空ポンプ14aで脱泡を行った。
樹脂注入時にはそれぞれのタンクからシリンジポンプ12a,12bにより加圧注入する。樹脂の加圧には、シリンジポンプを用いており、シリンジを同時に押し出すことで定量性も確保することが2液混合により硬化する樹脂には好ましい。ミキサー11で混合され樹脂注入配管6に至る。
樹脂排出配管7は真空ポンプ14bへの樹脂の流入を防ぐために、樹脂排出タンク16に接続される。
樹脂注入時の樹脂注入配管6、樹脂排出配管7の開閉をコントロールするため樹脂注入バルブ8、樹脂排出バルブ9を設置する。樹脂注入バルブ8、樹脂排出バルブ9は電磁バルブを用いた。
樹脂注入配管6は直径5mm、厚みが3mmの“テフロン(登録商標)”チューブを用いた。
樹脂排出配管7の材料は、樹脂注入配管6と同じとした。
型内の密閉を保つため、シール材を型の外周に配置し、上型4を閉じることで、型の内部が樹脂の流路以外に連通しないようにした。
次に樹脂注入バルブ8を開にして樹脂注入配管6から樹脂を加圧注入した。
樹脂が型内の基材に含浸し、樹脂排出配管7まで到達したら、樹脂排出バルブ9を閉じた。ほぼ同時に樹脂注入バルブ8も閉じ注入を終了した。成形型は温水源10によって加温されており、これにより樹脂を硬化させた。
以上により強化繊維の“しわ”のないRTM成形品を得ることができた。
本発明のRTM成形法に適用するプリフォーム形成用基材の例を表す斜視図である。 本発明のRTM成形法に適用するプリフォーム形成用基材の別の例を表す斜視図である。 本発明の成形例を表す模式図である。 本発明におけるプリフォーム形成用基材を賦形する状態を表す断面図である。 従来技術の1例を示す断面図である。
符号の説明
1a:強化繊維織物
1b:複数層積層し連結された強化繊維シート
2a:連続の連結部
2b:間欠の連結部
3:下型
4:上型
4a:上型の挟持部
5:金型昇降装置
6:樹脂注入配管
7:樹脂排出配管
8:樹脂注入バルブ
9:樹脂排出バルブ
10:温水源
11:ミキサー
12a:シリンジポンプ(主剤)
12b:シリンジポンプ(硬化剤)
13a:樹脂タンク(主剤)
13b:樹脂タンク(硬化剤)
14a:真空ポンプ(樹脂脱泡用)
14b:真空ポンプ(型吸引用)
15:圧力計
16:樹脂排出タンク
17:樹脂注入装置
18:強化繊維シート1層が引っ張られる方向
101:従来技術の下型
102:プリプレグ
103:バギングフィルム
104:張力板
105:プリプレグ拘止装置
106:通気用織物
107:シーラント

Claims (10)

  1. 上型と下型で形成されるキャビティー内に複数層の強化繊維シートを配置し、該キャビティーに熱硬化性樹脂を注入し、強化繊維層に含浸後、硬化し繊維強化複合材料を得るRTM成形法において、下型上に面内を部分的に厚み方向に連結した複数層の強化繊維シートを配置した後、複数層の強化繊維シートの厚み方向に連結した部分を最初に加圧するように、上型を載置し、キャビティーの形成と複数層の強化繊維シートのキャビティ形状への賦形をすることを特徴とする、RTM成形方法。
  2. 前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、線状に配置したものである請求項1に記載のRTM成形方法。
  3. 前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、糸によって連結されているものである請求項1または2に記載のRTM成形方法。
  4. 前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、熱可塑性樹脂によって連結されているものである請求項1〜3のいずれかに記載のRTM成形方法。
  5. 前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、前記複数層の強化繊維シートの端部である請求項1〜4のいずれかに記載のRTM成形方法。
  6. 複数層の強化繊維シートを積層し、その面内を部分的に厚み方向に連結したものであることを特徴とするプリフォーム形成用基材。
  7. 前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、線状に配置したものである請求項6に記載のプリフォーム形成用基材。
  8. 前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、糸によって連結されているものである請求項6または7に記載のプリフォーム形成用基材。
  9. 前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、熱可塑性樹脂によって連結されているものである請求項6〜8のいずれかに記載のプリフォーム形成用基材。
  10. 前記複数層の強化繊維シートを厚み方向に連結した部分が、前記複数層の強化繊維シートの端部である請求項6〜9のいずれかに記載のプリフォーム形成用基材。
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