JP2016144899A - 繊維強化プラスチック製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大流量で樹脂を注入した場合でも強化繊維基材の乱れを防止可能で、かつ成形型構造の複雑化を招かない繊維強化プラスチック製造方法の提供。
【解決手段】成形型10のキャビティ12内に強化繊維積層体4を配置し、成形型10に設けられた樹脂注入口3から樹脂をキャビティ12内に注入して強化繊維積層体4に含浸させ、硬化させて維維強化プラスチックを得るRTM成形方法による繊維強化プラスチック製造方法において、キャビティ12内への樹脂の注入をキャビティ内に設けられた強化繊維積層体の少なくとも一部を把持する把持部2により前記強化繊維積層体を把持した状態で行うことを特徴とする繊維強化プラスチック製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、RTM成形方法による繊維強化プラスチック製造方法に関し、特に、樹脂流動時の強化繊維基材移動による成形品の表面品位不良の発生を防止することが可能な繊維強化プラスチック製造方法に関する。
生産性に優れた繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:FRP)の成形方法として、ドライの強化繊維布帛からなる基材を成形型内に配置し、マトリックス樹脂を型内に注入し強化繊維基材内に含浸させ、樹脂を硬化させた後、成形品を脱型させる、RTM(Resin Transfer Molding)成形方法と呼ばれる成形方法が知られている。
特に、成形品の生産速度を向上させる場合、あるいは、大型の成形品を生産する場合においては、複数の樹脂注入孔を設け、複数の注入点から樹脂を注入することで繊維強化プラスチックの成形時間を短縮する技術や、樹脂注入時は成形型内キャビティを最終成形品厚みより厚くしておき、型閉じにより高速含浸させることで繊維強化プラスチックの成形時間を短縮する技術が用いられる。
例えば、特許文献1では、成形型と積層体との間に、厚み方向に貫通する樹脂流路を形成する中間部材を配設し、該中間部材を介して、樹脂を強化繊維積層体に対して複数の箇所からほぼ同時に注入する技術が開示されている。この方法によれば、比較的大きな三次元面状体に対しても、樹脂注入から含浸・硬化までの成形工程を、樹脂が流れない領域を生じさせることなく、高速で実施できるとされる。
また、特許文献2では、最終成形品厚みより成形キャビティを厚くした状態の成形型間に強化繊維積層体とマトリックス樹脂を投入し、型閉じに応じて注入したマトリックス樹脂を展開・含浸する技術が開示されている。この方法によれば、強化繊維積層体の流動抵抗の影響をほとんど受けず、比較的大きな三次元面状体に対しても高速注入・含浸を行うことができ、成形時間を大幅に短縮できるとされる。
特許文献3では、複数に分割した構造を有する成形型で強化繊維積層体を固定し、強化繊維積層体と該成形型の一部である可動型の間に隙間を形成した状態で樹脂を注入した後、該可動型を押し込むことで強化繊維積層体に樹脂を含浸する技術が開示されている。この技術によれば強化繊維積層体を固定した状態で樹脂注入・含浸を行うため強化繊維基材の乱れを抑制しやすくなるとされる。
一方、特許文献4では、樹脂注入時は成形キャビティを強化繊維積層体の大気中での見かけ厚さより小さく、かつ最終製品厚みより大きくすることで強化繊維積層体の固定と流動抵抗低下による高速注入を両立できるとされる技術が開示されている。
特開2005−246902号公報 特開2005−271551号公報 特開2010−120271号公報 特開2010−221642号公報
しかしながら、特許文献1に開示される方法では、できるだけ早く樹脂を含浸させるために樹脂流量を大きくすると、樹脂注入圧が高くなり、強化繊維積層体を構成する強化繊維基材の乱れが生じるという問題があった。
この強化繊維基材の乱れとは、図1に示すように、例えば織物布帛状の強化繊維基材41が、注入された樹脂61の圧力により押されて樹脂注入前の位置からずれ、繊維束411が変形する現象であり、成形品の意匠性が低下するだけでなく、意図しない繊維配向となることで力学物性も低下する。
また、特許文献2で開示される方法では、樹脂含浸速度を大きくするために型閉じ速度を上げると、樹脂が高速で流動し、樹脂が強化繊維積層体に及ぼす圧力が高くなり強化繊維基材の乱れが生じる。そのため、成形された繊維強化樹脂の表面品位が低下するという問題があった。
また、特許文献3に開示される方法では、複数に分割された構造を有する成形型を用いるために、成形型間の隙間を埋めるシール部を多数必要とし、成形型構造の複雑化を招くことから、大型成形品へ適用するのは困難である。
一方、特許文献4で開示される方法では、強化繊維積層体と成形型が接触しており、両者の間に隙間が形成されている場合より強化繊維積層体の流動抵抗が大きくなること、また、樹脂注入時の強化繊維積層体の繊維体積含有率(Vf)が低いため、固定力も低くなると考えられることから、注入・含浸の高速化に限界があるという問題があった。また、成形キャビティの厚さを正確に制御する必要があり、高性能な位置制御機構を有するプレス機が必要になるという問題があった。
本発明の課題は、上記のような従来技術の現状に鑑みて、大流量で樹脂を注入した場合でも強化繊維基材の乱れを防止可能で、かつ成形型構造の複雑化を招かない繊維強化プラスチック製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る繊維強化プラスチック製造方法は、以下のとおりである。
(1)成形型のキャビティ内に強化繊維積層体を配置し、前記成形型に設けられた樹脂注入口から樹脂を前記キャビティ内に注入して前記強化繊維積層体に含浸させ、硬化させて維維強化プラスチックを得る繊維強化プラスチック製造方法において、前記キャビティ内への樹脂の注入を、前記キャビティ内に設けられた前記強化繊維積層体の少なくとも一部を把持する把持部により前記強化繊維積層体を把持した状態で行うことを特徴とする繊維強化プラスチック製造方法。
(2)前記把持部が弾性体である、上記(1)に記載の繊維強化プラスチック製造方法。
(3)前記把持部が前記強化繊維積層体の外周に沿った領域に設置されている、上記(1)または(2)に記載の繊維強化プラスチック製造方法。
(4)前記把持部が前記強化繊維積層体の外周に沿った領域に断続的に設置されている、上記(1)または(2)に記載の繊維強化プラスチック製造方法。
(5)前記成形型が、前記弾性体を保持するための保持部を有する、上記(2)に記載の繊維強化プラスチック製造方法。
(6)前記把持部が、把持部以外のキャビティ内表面の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する、上記(1)に記載の繊維強化プラスチック製造方法。
本発明の繊維強化プラスチック製造方法によれば、成形型構造を複雑化することなく、かつ、樹脂を注入・含浸させる際に強化繊維基材に乱れを生じることなく、高い樹脂流量、含浸速度を確保できる。そのため、高意匠な成形品を短時間で得ることができる。
従来技術における強化繊維基材の乱れを例示した模式図である。 本発明に用いるRTM成形装置の一作動状態を示す概略縦断面図である。 キャビティが最終製品厚みになっている一作動状態の概略断面図である。 キャビティが最終製品厚みより厚くなっている一作動状態の概略断面図である。 把持部として弾性体を配置した状態を例示した概略断面図である。 成形型の、外周に沿った領域に把持部を設けた状態を例示した概略上面図である。 成形型の、外周に沿った領域に把持部を連続的に設けた状態を例示した概略上面図である。 成形型の、外周に沿った領域に把持部を断続的に設けた状態を例示した概略上面図である。 把持部として弾性体を直接配置した状態を例示した概略断面図である。 把持部として弾性体を埋め込んで配置した状態を例示した概略断面図である。 保持部として溝加工を施し弾性体を埋め込んで配置した状態を例示した概略断面図である。 保持部として溝加工を施した入子を配置して弾性体を埋め込んで配置した状態を例示した概略断面図である。
以下に、本発明の望ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の一実施態様に用いるRTM成形装置の一作動状態を示している。本実施態様に使用するRTM成形装置は、キャビティ12を形成する一対の、一方の成形型10aと、対向する他方の成形型10bから形成される成形型10、樹脂注入機9、樹脂注入ライン91、樹脂注入孔3、プレス機構5、把持部2から構成されている。なお、図2では一方の成形型10aとして下型を、他方の成形型10bとして上型を図示しているが、逆の場合でも発明の実施に問題は無い。また、本発明においてキャビティとは、シール材より内側の成形型間の空間を表す。
強化繊維基材積層体4が設置されるキャビティ12は、一方の成形型10aおよび他方の成形型10bの間で、かつ把持部2の外側に設置されたシール材11でシールされる。なお、把持部、シール材にいずれも弾性体を用いる場合、弾性体の材質は互いに同じでも異なっていてもよい。また、本発明における強化繊維基材積層体には、強化繊維基材を複数層積層したものの他に、強化繊維基材が一層のみの場合や、強化繊維を多軸方向に配置し、一体化させたものも含む。
ここで、本発明に係る繊維強化プラスチック製造方法の一例を説明する。一方の成形型10a上に強化繊維積層体4が配置された後、他方の成形型10bを近接させることで、強化繊維積層体4が把持部2で把持される。このとき成形型10は、シール材11によって密閉されていれば、図3のようにキャビティ12の厚みが最終的に得られる繊維強化プラスチックの厚みHになるまで近接しても良いし、図4のように最終的に得られる繊維強化プラスチックの厚みHより大きい状態で停止させても良い。また、把持部2は一方の成形型または他方の成形型のいずれか一方のみに設けても良く、両方の成形型に設けても良い。
次いで、少なくとも一方の成形型のキャビティ側表面に設けられた、例えばピン状の弁体31によって開閉される樹脂注入孔3から、樹脂注入機9から送られたマトリックス樹脂が注入され、強化繊維積層体4に含浸される。ここで樹脂注入時のキャビティ12が、図4のように最終的に得られる繊維強化プラスチックの厚みより大きい場合は、樹脂注入中または樹脂注入完了後、キャビティ12が最終成形品の厚みになるまで成形型10が閉じられることで樹脂含浸が行われる。次いで樹脂が硬化されて、キャビティ12と同等形状の繊維強化プラスチックが成形される。本実施形態では、強化繊維積層体4が把持部2で把持されているため、高速で樹脂注入・含浸を行った場合でも強化繊維積層体4の移動を防ぐことができ、強化繊維基材の乱れを生じることなく成形できる。
本発明で使用する樹脂としては、例えばエポキシ樹脂やビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂に限らず、アクリル樹脂やポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂も使用することができる。特に樹脂粘度が一時10Pa・s以下であるような、粘度が低く強化繊維基材への含浸が良好な樹脂が特に好ましい。
また、本発明における強化繊維基材とは、強化繊維からなる基材の総称である。本発明における強化繊維基材に用いられる強化繊維としては、例えば炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、チラノ(チタンアルミナ)繊維、ナイロン繊維などが挙げられる。もちろん、単一の繊維で構成するだけでなく複数の繊維から構成される基材も用いることができる。
また、強化繊維基材の形態は、平織りや綾織り、朱子織り等の織物に限らず、ストランドを一方向に揃えたUD(ni irection)材料、ノンクリンプファブリック材料や多軸基材、ランダムマットやコンティニアスストランドマット等のマット材料やニット材料、ストランドを引き揃えて熱可塑性バインダーやステッチで固定した基材、およびこれらを組み合わせたハイブリッド基材も用いることができる。
把持部2は、例えば図5のように一方の成形型10aと強化繊維積層体4との間に、シール材11とは別の弾性体21を配置することで構成される。強化繊維積層体4を配置していない状態での一方の成形型10aのキャビティ側表面101aと、弾性体21の、強化繊維積層体に接触する第1面211までの距離hは、強化繊維積層体4の目付、嵩密度、所望の樹脂流量などによって、強化繊維積層体の把持に必要な量を決定すれば良い。強化繊維積層体4を配置した後に型閉めすることで、弾性体21の第1面211と一方の成形型10aのキャビティ側表面101aの間の距離がh’まで減少し、その反発力により強化繊維積層体4が他方の成形型10bのキャビティ側表面101bに押し付けられる。これにより強化繊維積層体4と他方の成形型10bのキャビティ側表面101bとの間の摩擦力を把持部以外の箇所より高くすることができるため、樹脂流動による強化繊維積層体4の移動を防ぐことができ、強化繊維基材の乱れがない、高意匠な繊維強化プラスチックを得ることができる。
特に図4のように樹脂注入中はキャビティ12の厚みが最終成形品より厚く、注入完了後に最終成形品の厚みまで成形型10を閉じる場合、強化繊維積層体4の把持に弾性体21を用いることで、樹脂の注入・含浸すべての工程で強化繊維積層体4を把持することができる。また、弾性体21を用いることで、硬化した繊維強化プラスチックを脱型した後は元の形状に戻るため繰り返し使用することができ、成形のたびに交換する必要が無いため量産プロセスに最適である。
また、図4のように、樹脂注入中のキャビティ12の厚みを最終成形品より厚くすることで、強化繊維積層体4が必要以上に成形型で押圧されることなく、キャビティ12の内部全体にマトリックス樹脂が含浸しやすくなり、強化繊維積層体4全体の樹脂含浸時間を短縮できるとともに、未含浸部の発生を抑制することができる。
弾性体21には、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム等の中から、使用する樹脂の特性、離形性、成形温度等を考慮して適切なものを選択すれば良い。また、用いる弾性体21の弾性率は、所望の成形サイクルに応じて選択すれば良い。また弾性体の断面形状は、円形、多角形、甲丸等、特に限定されない。
図6に、把持部2を設けた一方の成形型10aに、強化繊維積層体4を配置した状態を示す。把持部2は強化繊維積層体4の下に設けられているが、図中では点線、白抜きにて示している。また、図示しない他方の成形型に設けられた樹脂注入孔に対向する位置32を図中に併せて示している。把持部2は、このように強化繊維積層体4の外周に沿った領域43に設けられていることが好ましい。なお、強化繊維積層体4の外周に沿った領域43とは、強化繊維積層体4の中で最終製品範囲42よりも外側の部分に対応した成形型の領域を指す。また、把持部2を強化繊維積層体4の外周に沿った領域43に設ける場合、把持部2の一部でも強化繊維積層体4の外周に沿った領域43に入っていれば良い。強化繊維基材の乱れは、特に強化繊維積層体が圧縮される方向、つまり繊維強化プラスチックの外側から内側への樹脂流動に起因する。その一方で意匠性の問題から、図6のように最終製品範囲42の外側に樹脂注入孔が設置される場合は多々あり、外側から内側への樹脂流動による強化繊維積層体が移動し、強化繊維基材の乱れが生じる。この場合、強化繊維積層体の移動の起点となる強化繊維積層体4の外周に沿った領域43を把持することで強化繊維基材の乱れを抑制することができる。
また、把持部は図7のように強化繊維積層体4の外周に沿った領域43に連続的に設置されても良いし、図8のように断続的に設置されても良い。
強化繊維積層体4の外周に沿った領域43に連続的に設置する場合は、図7のように樹脂注入孔に対向する位置32を囲むように設置することで、外側から内側への樹脂流動を抑制することができ、より効果的に強化繊維積層体4の移動を抑制することができる。なお、図7において把持部2は、樹脂注入口に対向する位置32を囲んで強化繊維積層体4の外周に沿った領域43を一周する黒の実線にて示している。また、本発明において連続的とは、把持部が一つのみの状態を指す。したがって、把持部2が必ずしも強化繊維積層対4の外周に沿った領域43を一周している必要はない。
一方、断続的に設置した場合は、図8に樹脂流動7を示すように、強化繊維積層体4の外周に沿った領域43全体を見かけの樹脂注入孔として利用することができるため、より高い流量で樹脂を注入・含浸することができ、成形サイクルの短縮に効果的である。断続的に設置する場合は、等間隔で配置しても良いし、強化繊維積層体が移動しやすい箇所を事前に特定し、そこに限定して設置しても良いし、設置箇所毎に弾性体の種類や寸法を変更しても良い。なお、本発明において断続的とは、複数の把持部を、隣接する把持部同士が互いに間隔を設けて離間して配置されることを指す。把持部の数や間隔は適宜設定することができるが、図8に示すように、樹脂注入孔32から注入されたマトリックス樹脂が、強化繊維積層体4の外周とキャビティ12との空間を回り込んだ後、強化繊維積層体4の内部に均等に含浸できるように、多くの把持部同士の間隔を設けることが好ましい。また、マトリックス樹脂が強化繊維積層体4に含浸する際、把持部両端から含浸するマトリックス樹脂のフローフロントによる未含浸部が生じないように、把持部の横幅は短くすることが好ましい。
弾性体21は、図9のように一方の成形型10aまたは他方の成形型10b上に直接配置しても良いが、一方の成形型10aまたは他方の成形型10b上に弾性体21を固定するための保持部を設けることが好ましい。保持部を設けない場合には、成形作業ごとに弾性体21を適切な位置に配置する必要があるのに対して、保持部を設けた場合には、成形型の開閉動作のみで強化繊維積層体4を把持することができる。保持部は弾性体21を成形型上に固定できれば良く、その例として、成形型表面の凸状の山型構造であり、それに弾性体21をかぶせることにより弾性体21を固定する保持部や、成形型表面の凹状の溝型構造であり、その溝に弾性体21を埋め込むことにより弾性体21を固定する保持部などが挙げられる。中でも、弾性体21の取付が容易になることから、図10のように弾性体が一方の成形型10aまたは他方の成形型10bに埋め込まれる溝型構造の保持部が、より好ましい。弾性体21の一方の成形型10aまたは他方の成形型10bへの埋め込みは、図11のように成形型に直接弾性体用の溝22を加工しても良いし、図12のように弾性体用の溝22を加工した入子23を用いても良い。溝22の断面形状は、用いる弾性体21の断面形状に対して適切な形状を選択すれば良い。また、図11や図12に示す溝22の縁部221は、弾性体21の耐久性を上げるために面取り加工が施されていることが好ましい。
本発明における把持部2は、弾性体21を用いた構成に限らず、例えば一方の成形型10aまたは他方の成形型10bの把持部2が、把持部2以外のキャビティ12内表面の表面粗さよりも大きい表面粗さを有することで、強化繊維積層体4と把持部2との間の摩擦係数を高くできるため、強化繊維積層体4の樹脂圧による移動を抑制することができる。また、上記の把持部2が、把持部2以外のキャビティ12内表面の表面粗さよりも大きい表面粗さを有するようにする方法を、弾性体21を用いる構成に適用しても良い。その場合、弾性体21の強化繊維積層体に接触する第1面211の表面粗さを大きくすることにより、把持部2の摩擦係数をさらに高くすることができ、強化繊維積層体4の樹脂圧による移動をより抑制することができる。
このように、本発明に係る繊維強化プラスチック製造方法では、従来の成形型にも適用可能な簡便な方法で強化繊維積層体の把持部を形成し、樹脂注入から含浸、硬化すべての工程で強化繊維積層体を把持することで、強化繊維基材に乱れを生じることなく、高い流量で樹脂を注入することができ、高意匠な繊維強化樹脂を短時間で得ることができる。
以下に本発明を実施例と比較例を用いて、さらに詳細に説明する。
実施例では、以下に述べる材料を使用した。
・強化繊維基材:東レ(株)製炭素繊維織物“CK6255”(織り組織:平織り、織物目付:330g/m)、熱可塑性樹脂のバインダ(粒状)が5g/m付着されているもの
・樹脂:東レ(株)製エポキシ樹脂
実施例では、550x550mmの平板型キャビティを有する成形型を用いた。成形型は上下型からなり、上型に樹脂注入孔が設けられている。該成形型は熱媒流路を有しており、実施例では加圧水を流すことで該成形型を120℃に加熱して試験を実施した。
本実施例および比較例に用いた強化繊維積層体の寸法は500x500mmであり、積層構成は以下の通りである。
・強化繊維積層体:強化繊維基材(0/90°繊維配向)× 5ply
また、本実施例および比較例では、樹脂注入時はキャビティの厚みを、図示しない成形型昇降機構を用いて最終成形品の厚みより大きく設定し、樹脂注入完了後に最終成形品の厚みまで型を閉じた。
(実施例1)
下型上に強化繊維積層体を
配置し、その上に50mm間隔でシリコーンゴムシートを配置し、上型を閉じた。このときのキャビティの厚みは最終成形品の厚みよりも大きく設定した。この状態で樹脂注入機を用いて、樹脂注入孔から樹脂を注入後、キャビティ厚みを最終成形品の厚みまで小さくし、樹脂を硬化させた。
得られた繊維強化プラスチックは、強化繊維積層体が移動することなく、強化繊維基材の乱れがない高意匠なものであった。
(実施例2)
下型上に強化繊維積層体を配置し、その上にシリコーンゴム紐を、樹脂注入孔と対向する位置を囲むように配置した後、他方の成形型を閉じた。このときのキャビティの厚みは実施例1と同様、最終成形品の厚みよりも大きく設定した。この状態で、実施例1と同条件で樹脂注入孔から樹脂を注入した後、キャビティ厚みを最終成形品の厚みまで小さくし、樹脂を硬化させた。
得られた繊維強化プラスチックは、強化繊維積層体が移動することなく、強化繊維基材の乱れがない高意匠なものであった。
(比較例1)
下型上に強化繊維積層体を配置し、シリコーンゴム等は配置せず、そのままの状態で他方の型を閉じた。このときのキャビティ厚みは実施例1、2と同様、最終成形品の厚みよりも大きく設定した。この状態で、実施例1、2と同条件で樹脂注入孔から樹脂を注入した後、キャビティ厚みを最終成形品の厚みまで小さくし、樹脂を硬化させた。
得られた繊維強化プラスチックは、強化繊維積層体が初期の位置から内側へ大きく移動し、強化繊維基材が乱れ、それに伴う樹脂流路の閉塞により、強化繊維積層体の中央付近には未含浸領域も観られた。
本発明に係る繊維強化プラスチック製造方法は、成形品の表面品位の向上が望まれるあらゆる繊維強化プラスチックのRTM成形に適用可能である。中でも、高い表面品位を有しつつ成形時間の短縮が望まれる、自動車部材として好ましく用いられる。
1 RTM成形装置
10 成形型
10a 一方の成形型
10b 他方の成形型
101a キャビティ側表面
101b キャビティ側表面
11 シール材
12 キャビティ
2 把持部
21 弾性体
22 弾性体用の溝(保持部)
221 縁部
23 入子
3 樹脂注入孔
31 弁体
32 樹脂注入孔に対向する位置
4 強化繊維積層体
41 強化繊維基材
411 繊維束
42 最終製品範囲
43 強化繊維積層体の外周に沿った領域
5 プレス機構
6 マトリックス樹脂
7 樹脂流動方向
9 樹脂注入機
91 樹脂注入ライン

Claims (6)

  1. 成形型のキャビティ内に強化繊維積層体を配置し、前記成形型に設けられた樹脂注入口から樹脂を前記キャビティ内に注入して前記強化繊維積層体に含浸させ、硬化させて維維強化プラスチックを得る繊維強化プラスチック製造方法において、前記キャビティ内への樹脂の注入を、前記キャビティ内に設けられた前記強化繊維積層体の少なくとも一部を把持する把持部により前記強化繊維積層体を把持した状態で行うことを特徴とする繊維強化プラスチック製造方法。
  2. 前記把持部が弾性体である、請求項1に記載の繊維強化プラスチック製造方法。
  3. 前記把持部が前記強化繊維積層体の外周に沿った領域に設置されている、請求項1または2に記載の繊維強化プラスチック製造方法。
  4. 前記把持部が前記強化繊維積層体の外周に沿った領域に断続的に設置されている、請求項1または2に記載の繊維強化プラスチック製造方法。
  5. 前記成形型が、前記弾性体を保持するための保持部を有する、請求項2に記載の繊維強化プラスチック製造方法。
  6. 前記把持部が、把持部以外のキャビティ内表面の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する、請求項1に記載の繊維強化プラスチック製造方法。
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