JP5429599B2 - 湾曲形状強化繊維積層体、プリフォーム、繊維強化樹脂複合材料の製造方法 - Google Patents

湾曲形状強化繊維積層体、プリフォーム、繊維強化樹脂複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、長手方向に沿って湾曲した形状を有する湾曲形状強化繊維基材用いた積層体、その積層体を用いて賦形されたプリフォーム、そのプリフォームを用いて成形された繊維強化樹脂複合材料効率よく製造する方法に関する。
繊維強化樹脂複合材料は、軽量で強度、剛性の高い素材として広く知られている。比較的長尺の繊維強化樹脂複合材料を成形する場合、目標とする方向に高い強度や剛性を確保するために、強化繊維の配向方向が所定の各方向に設定された複数の強化繊維層の積層体の構成を採用することが多い。強化繊維に未硬化の樹脂を含浸させたプリプレグの形態の積層体を採用することもあるが、目標とする所定形状への製造のし易さを考慮すると、通常、樹脂が含浸されていないドライの強化繊維積層体を作製し、その強化繊維積層体を所定形状のプリフォームに賦形し、賦形されたプリフォームにマトリックス樹脂を含浸させ、樹脂を硬化させて所定形状の繊維強化樹脂複合材料を製造する方法が採られる。
最近、例えば航空機の胴体の構成部材等に、軽量で強度、剛性の高い、長手方向に沿って湾曲した形状を有する比較的長尺の繊維強化樹脂複合材料、とくに、横断面形状が単なる平板状ではなくフランジ部等を備えた折れ曲がり部を有する湾曲形状繊維強化樹脂複合材料が要求されるようになってきた。このような湾曲形状を有する繊維強化樹脂複合材料の成形に、上述のような繊維強化樹脂複合材料の製造方法を適用する場合、湾曲形状を有する強化繊維基材を作製するステップ、作製された複数の強化繊維基材を積層して強化繊維層の積層体を作製するステップ、作製されたドライの強化繊維積層体を所定形状のプリフォームに賦形するステップ、賦形されたプリフォームにマトリックス樹脂を含浸させ樹脂を硬化させて所定形状の繊維強化樹脂複合材料に成形するステップのそれぞれに、最終的に目標とする性能を備えた成形体を得るための工夫が必要になる。とくに、最終的にフランジ部等を備えることを前提に、強化繊維糸条が所望の方向に配向された湾曲平面形状を有する強化繊維基材を準備するステップや、複数の湾曲平面形状を有する平板状の強化繊維層を各層が目標とする繊維配向を維持できるように積層して強化繊維積層体を作製するステップ、作製された湾曲強化繊維積層体の所定部位を折り曲げたりすることにより所定の横断面形状を有するプリフォームに賦形するステップには、目標とする形態の湾曲強化繊維積層体やプリフォームを得るための特別の工夫が必要になる。
上記のような湾曲強化繊維積層体、およびそれからなるプリフォームを作製するために、特許文献1には、同心の円弧状に配列された0度配列糸からなる糸層を含む複数の糸層が厚さ方向糸で結合された扇面板状部を有する三次元繊維構造体が開示されている。また、特許文献2には、所定の横断面形状を有し長手方向に沿って湾曲された型の上面上に、型の湾曲形状に沿わせて強化繊維基材がレイアップされて強化繊維層が形成され、その上に強化繊維が斜めに配向された強化繊維層や、織物層が順次、型の横断面形状に沿わせてレイアップされる湾曲繊維強化複合構造部材の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3には、所定の横断面形状を有し長手方向に沿って湾曲された型上に、互いに異なる配向方向の強化繊維を含み樹脂が含浸された平板状のプリプレグが配置され、該プリプレグの幅方向両端部が順次、型の側面に当接する方向に折り曲げられる、繊維強化複合材料の湾曲ビームの製造方法が開示されている。
上記特許文献1に開示されている三次元繊維構造体では、円錐台の繊維束配列用治具を用いて湾曲形状を有する扇面板状の糸層を形成しているので、湾曲形状糸層の形成に多大な時間を要し、生産性が悪いという問題がある。また、複数の糸層を厚さ方向糸で結合しているので、その結合にさらに時間を要するとともに、円錐台の繊維束配列用治具から積層体を外すと、上記結合により、積層体の厚みに起因する円錐台の内外の周長差に起因するうねりが発生するという問題もある(つまり、円錐台の繊維束配列用治具から外した積層体を、上面が平面の台上に平板状に展開して載置した場合、繊維束配列用治具の円錐台の外面形状に沿った円弧状のうねり形状が連接された状態で積層体に残存してしまうため、その積層体を平板形態(平面的に湾曲形状を有する平板形態)に是正できないという問題が発生する)。また、上記特許文献2に開示されている湾曲繊維強化複合構造部材の製造方法では、各強化繊維層が順次積層され、該積層と同時に型の横断面形状に沿わせた賦形を行うようになっているので、手間や時間を要する賦形動作が各強化繊維層ごとに必要になり、最終的に所定の形状に賦形されたプリフォームを完成させるまでに非常に長い時間がかかり、やはり生産性が悪いという問題がある。特に周方向に沿って繊維が配置される0°層は、ウェブ部とフランジ部を別々にレイアップする必要があるため、特に時間を要する。さらに、上記特許文献3に開示されている湾曲ビームの製造方法では、基本的に長手方向に沿って湾曲したプリプレグを先に作成しておき、そのプリプレグを所定の断面形状に形成する方法を採用しているため、本発明で対象としている先にドライの強化繊維積層体を作製し、それを所定形状のプリフォームに賦形した後、賦形されたプリフォームにマトリックス樹脂を含浸させ樹脂を硬化させて所定形状の繊維強化樹脂複合材料に成形する方法には適用できない。また、この特許文献3には、強化繊維を湾曲形状に沿う方向に配置することについては何ら記載されていない。
また、上記のような長手方向に湾曲した形状を有する複合材料とは別に、長尺の繊維強化樹脂複合材料にフランジ部を形成するために、平板状の強化繊維基材の断面における両側を折り曲げ賦形し、所定形状に賦形されたドライの強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させ硬化させる方法が採用されることが多い。強化繊維基材としてプリプレグを使用する場合には、そのプリプレグに所定のフランジ部を折り曲げ形成した後、樹脂を加熱硬化させることが多い。特許文献4には、ブラダー(bladder) を用いブラダーの膨張動作によって強化繊維基材の所定部分をマンドレルに押し付けることにより、強化繊維基材を所定のC形断面形状に賦形する方法が開示されている。しかしながらこの方法では、マンドレルに対向させ、間に強化繊維基材を配置した状態でブラダーが設けられているため、膨張したブラダーは強化繊維基材の両側部分を一方向にしか押圧できず、上記の如くC形断面形状にしか賦形できず、Z形断面形状等への賦形には対応できない。また、一枚のブラダーの膨張動作を利用するようになっているため、強化繊維基材の両側部分は実質的に同時に折り曲げられることになり、折り曲げ時に、屈曲部分等に皺等が残りやすい賦形方法となっている。また、特許文献5には、プリプレグの積層体を、プレス機に挟んでT字形に賦形した後、頂部にローラーを押し当てて曲げ、J形やZ形断面に賦形する方法が開示されている。しかしながらこの方法では、少なくとも駆動可能なプレス装置、パンチ装置、ローラー装置が必要になり、設備が大がかりで複雑、高価なものになる。
特開2005−97759号公報 米国公開特許2006/0249868A1号公報 欧州公開特許1666353A1号公報 米国特許第5772950号公報 特開2004−351882号公報
そこで本発明の課題は、上記のような従来技術における問題点に着目し、長手方向に沿って湾曲し湾曲形状に沿って強化繊維が望ましい形態で配向された強化繊維基材含む複数の強化繊維基材層が積層されたドライの強化繊維積層体効率よくかつ短時間で作製可能な強化繊維積層体の製造方法、および、その強化繊維積層体をフランジ状部等を有する所定の横断面形状に精度良く賦形したプリフォーム効率的に所定の横断面形状に短時間で賦形可能なプリフォームの製造方法、並びに、そのプリフォームを用いて成形された長手方向に沿って湾曲した形状を有する比較的長尺の繊維強化複合材料製造方法を提供することにある。特に、長手方向に沿って湾曲した形状を有する長尺の繊維強化複合材料において、湾曲周方向を基準の方向(0°方向)として、すべての強化繊維がこの0°方向を基準に配列している繊維強化複合材料製造方法を提供する。湾曲周方向に沿って0°配向強化繊維を配列することにより、周方向の物性を向上できること、また、周方向の長手方向のいずれの箇所においても、実質的に湾曲の周方向である0°方向に対して、同一の積層構成を有することができる。
また、本発明は、併せて、とくに上記のプリフォームを製造するに際し、基本的に大がかりな駆動系を必要とせず、簡単な構造で安価に構成可能な設備を使用すればよく、C形断面はもとよりZ形断面等の賦形のための屈曲方向が異なる断面形状であっても、皺等の問題を発生させることなく円滑にかつ容易に所定横断面形状のプリフォームに賦形することが可能なプリフォームの製造方法も提供する。
上記課題を解決するために、本発明における湾曲形状強化繊維基材は、平面形状が湾曲形状であり、複数の強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列されており、該周方向の一方向に配列されている複数の強化繊維糸条と交差する方向によこ糸の補助糸条が配列されているものからなる。
このような本発明における湾曲形状強化繊維基材においては、強化繊維糸条が湾曲形状の周方向に沿う方向(0°方向)に並行に配列されているとともに、それらと交差する方向によこ糸の補助糸条が配列されている。すなわち、通常の一方向強化繊維基材では並行に配列される複数の強化繊維糸条は一方向に直線状に配列され、そのままの形態で使用されるのであるが、本発明では、上記基材においては、各強化繊維糸条が湾曲形状の周方向に沿う方向(0°方向)に並行に配列され、かつ、それら強化繊維糸条の配列形態がよこ糸の補助糸条によって維持される構成とされている。強化繊維糸条の配列形態が補助糸条によって維持されるので、この湾曲形状強化繊維基材を使用する際、とくに積層体を作製するために積層する際にも、所定の基材層の形態が崩れることがなく、目標とする湾曲形状を有する積層体が精度良く形成されることになる。したがって、この湾曲形状強化繊維基材を用いることにより、最終的に成形される湾曲形状の繊維強化複合材料中においても、湾曲形状の周方向に沿う方向(0°方向)の強化繊維糸条の配列形態、つまり、比較的長尺で長手方向に沿って湾曲した繊維強化複合材料の成形後の目標とする強度や剛性を達成するための強化繊維糸条の望ましい配列形態が、維持されることになる。
上記本発明における湾曲形状強化繊維基材においては、強化繊維糸条、よこ糸の補助糸条、および、必要に応じて配されるたて糸の補助糸条の織構成により、必要な大きさの一層の基材が一枚で構成されていることが好ましい。これにより、積層体を作製するときに、積層する基材の枚数が少なくて済むため、積層時間を大幅に低減することができるため好ましいのである。
本発明の湾曲形状強化繊維基材に用いる強化繊維糸条には、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維やBPBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維などの高強度、高弾性率繊維が好ましく用いられる。中でも炭素繊維は、これらの繊維の中でもより高強度、高弾性率であることから、優れた機械的特性のFRPが得られることから、より好ましい。引張強さが4500MPa以上で、かつ引張弾性率が250GPa以上の炭素繊維であることより優れたコンポジット特性が得られることから、さらに好ましい。
本発明で使用するよこ糸は、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維、ナイロン11繊維、ナイロン12繊維、ポリエステル繊維、ポリアラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリエーテルスルフォン繊維、ポリケトン繊維、ポリエーテルケトン繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維やガラス繊維から選ばれる少なくとも1種を主成分とすることが好ましい。中でもナイロン66繊維、ガラス繊維は、マトリックス樹脂との接着性が良いため好ましい。さらに、ガラス繊維は、熱により収縮しないため、より好ましい。
また、よこ糸としては、マルチフィラメント糸であることが好ましい。マルチフィラメント糸であると、フィラメント単糸の繊度(直径)を小さくすることが可能となる。これを実質的に撚りのない状態で使用すると、基材において、よこ糸が、フィラメントの単糸が厚み方向に重ならずに平行に並んでいる形態となり、よこ糸の厚さが薄くなり、強化繊維糸条とよこ糸の交錯または交差によるクリンプが小さくなり、繊維強化複合材料において強化繊維の真直性を高め、高い力学特性を実現できる。
同様の理由により、よこ糸の繊度は6デシテックスを超え70デシテックス未満が好ましい。より好ましくは、15デシテックスを超え、50デシテックス未満である。また、よこ糸の織密度は0.3本/cmを超え、6.0本/cm未満が好ましく、よこ糸の織密度がこの範囲よりも小さいと、製織途中や製織後の樹脂粉末散布工程などにおいて、よこ糸の配列乱れが起きやすくなるため好ましくない。また、湾曲形状を保持しにくいため好ましくない。よこ糸の織密度が上記範囲よりも大きくなると、強化繊維糸条のクリンプが大きくなる。また、よこ糸の繊維量が多くなることになり、よこ糸の吸湿によって繊維強化複合材料の耐熱性を低下させるので好ましくない。
つまり、本発明の湾曲形状強化繊維基材は、湾曲の周方向を0°方向として、強化繊維糸条が一方向に配列したことを特徴とする一方向強化繊維基材(UD基材:Unidirectional基材)であり、よこ糸には補強効果を期待しない。
また、本発明の湾曲形状強化繊維基材は、たて糸の補助糸条を有し、局所的には後述の図9に示すような織物構造を有することにより、強化繊維糸条のクリンプを実質的に抑制したNCW(Non-Crimp Woven )基材であることが好ましい。
上記本発明における湾曲形状強化繊維基材においては、上記複数の強化繊維糸条は、湾曲形状の基材平面の実質的に全体にわたってほぼ均一に分布されるように、湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列された形態を採ることができる。この場合には、上記よこ糸の補助糸条は、適当な本数の強化繊維糸条毎に、強化繊維糸条を縫うように配列されればよい。しかし本発明では、とくに、上記強化繊維糸条が複数の束に形成され、該複数の強化繊維糸条束が前記湾曲形状の径方向に隣り合うように配列されている形態が好ましい。複数の強化繊維糸条が束ねられた各強化繊維糸条束の形態としては、各種横断面形状のもの、例えば、円形や長円形、矩形横断面形状の形態を採り得る。中でも、各強化繊維糸条束が矩形横断面形状を有するテープ状に形成されている形態が好ましい。複数の強化繊維糸条の幅による強化繊維糸条束の幅が比較的狭幅で帯状シートの形態であれば、湾曲の曲率が大きい(曲率半径が小さい)形状に対しても、強化繊維の蛇行や皺の発生を抑制して配置でき、所望形態の基材を作製しやすいため好ましい。一方で、一枚の基材を構成するために、複数の強化繊維糸条束を配置する必要が生じるため、各強化繊維糸条束の幅は湾曲形状に応じて適切に設定することが好ましい。このように強化繊維糸条束の形態を採用する場合には、上記よこ糸の補助糸条は、テープ状等に形成された各強化繊維糸条束の範囲内において複数の強化繊維糸条と交差する方向に配列されている形態(つまり、よこ糸の補助糸条が隣接する強化繊維糸条束間にわたっては延びていない形態)とすることができる。このように湾曲形状強化繊維基材を構成する複数の強化繊維糸条が、テープ状等の複数の強化繊維糸条束に形成されている場合には、各強化繊維糸条束は湾曲形状強化繊維基材全体の幅に比べ狭幅でよいから、各強化繊維糸条束自体は非常に取り扱いやすいものになり、各強化繊維糸条束は精度良く所定の湾曲形状に沿わせることが可能になるとともに、強化繊維糸条束の配列本数によって容易に湾曲形状強化繊維基材全体の幅を目標とする幅に精度良く調整することが可能になり、所望形状の湾曲形状強化繊維基材が一層容易に得られるようになる。
また、本発明における湾曲形状強化繊維基材においては、強化繊維糸条間に、強化繊維糸条に対し並行に延びるたて糸の補助糸条が配列されている形態を採用することができる。このように必要に応じてたて糸の補助糸条を配列しておくことで、強化繊維糸条、よこ糸の補助糸条、たて糸の補助糸条による織構造をより容易に構成することができる。
本発明で使用するたて糸は、樹脂粉末散布の工程や、マトリックス樹脂の硬化成形時の加熱により、収縮しないガラス繊維が好ましい。たて糸は実質的に補強効果は期待しないので、繊度は100デシテックスを超え、470デシテックス未満が好ましい。
強化繊維糸条の間にたて糸を配置することにより、たて糸により設けられた空間が樹脂の流路として機能するため好ましい。また、織構成として、後述の図9に示すようなたて糸33とよこ糸34の構成にすることにより、強化繊維糸条32のクリンプを低減することができるため好ましい。
また、本発明における湾曲形状強化繊維基材においては、少なくとも片面に、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料が点状、線状または不連続状に付着されている形態を採用することができる。樹脂材料を湾曲形状強化繊維基材に付着することは、それによって基材を構成している強化繊維糸条および補助糸条のずれを抑制できるので、基材の形状をより安定させることができるため、好ましいのである。この形態は、この湾曲形状強化繊維基材と他の湾曲形状強化繊維基材を用いて、後述のような積層体を形成することを想定したものである。すなわち、点状、線状または不連続状に付着された樹脂材料により、積層体における隣接強化繊維層同士を適切に接着できるようにしたものである。この接着には、積層体としての形状、さらにはプリフォームに賦形された際の形状を維持できるだけの、仮止め程度の接着力があればよいから、樹脂材料は全面にわたって付着されている必要はなく、点状、線状または不連続状に付着されていればよい。また、プリフォームにマトリックス樹脂を注入含浸するときに、樹脂材料が点状または線状に付着している方が、マトリックス樹脂が含浸しやすいため好ましいのである。例えば、樹脂材料のガラス転移温度が0℃以上95℃以下の範囲にあり、樹脂材料の付着量が2g/m2 以上40g/m2 以下の範囲にあればよい。
ここで、「付着」とは、湾曲形状強化繊維基材を配置するのに先立ち、樹脂材料を湾曲形状強化繊維基材に付与することを意味しており、「接着」とは、基材を積層した後、その積層体の層間を樹脂材料を介して一体化させることを意味する。樹脂材料のガラス転移温度Tgが0℃未満であると、常温でべたつくため取り扱いにくく、Tgが95℃を超えると、常温ではべたつかないが、基材を積層した後に、基材同士を接着させるための加熱温度を高くする必要があり、接着しにくくなる。なお、ここで言うガラス転移温度Tgとは、示差走査熱量分析計DSC(Differential scanning colorimeter ) により測定した値を言う。
また、とくに航空機の一次構造材用の材料においては、飛翔物の衝突や修理中における工具の落下による損傷の影響を受けにくいように、好ましくは衝撃後の残存圧縮強さ(Compression After Impact、以下CAIと記す。)が高いことが要求される。上記樹脂材料は、基材の表面に付着しているため、繊維強化複合材料の成形後においても、層間に存在し、層間を形成しやすい。この層間はマトリックス樹脂の他に、該樹脂材料を含むため、該樹脂材料に高靱性な熱可塑性樹脂を用いた場合には、層間を選択的に高靱性化することが可能となり、CAIを向上することができるため好ましい。そのため該樹脂材料を最適化することにより、接着のみならず、CAIも向上することができる。
樹脂材料の付着量が2g/m2 未満であると、付着量が少なすぎて、十分な接着性が発現されない。一方、付着量が40g/m2 より多いと、付着量が多すぎて、繊維強化複合材料の重量が増大し、軽量性を損なう。
樹脂材料は、CAIを向上させるために、高靱性の熱可塑性樹脂と、強化繊維基材への付着及び基材間の接着が容易な熱硬化性樹脂との混合物を用いると、適度の靱性を有しながら、強化繊維基材への接着性を持たせることができる。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネイト、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロースなどを例示できる。また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
上記樹脂材料の基材への付着形態は、点状、線状または不連続線状であることが重要である。点状に付着させるためには、粉体形状の樹脂材料を強化繊維基材の表面に散布し熱融着させるとよい。また、線状または不連続線状に付着させるためには、不織布や織物などの連続繊維からなる布帛を基材の表面に貼り合わせた後、熱融着させるとよい。このように樹脂材料を付着させることにより、基材の湾曲形状を保持しやすくなるため好ましい。
さらに、本発明における湾曲形状強化繊維基材の強化繊維糸条としては、前述の如く、炭素繊維糸条を含むことが好ましい。炭素繊維を使用することにより、複合材料成形後に高い強度や剛性を発現可能となる。また、炭素繊維糸条は、他の種類の強化繊維糸条に比べ剛直性(直線状態を保つ剛性)が高く、基材を湾曲形状に形成したり賦形したりする際に、強化繊維糸条同士がばらけやすい素材であるが、本発明の湾曲形状強化繊維基材では補助糸条により炭素繊維糸条からなる強化繊維糸条の所定の並行湾曲配列形態を維持できるので、本発明は炭素繊維糸条を含む強化繊維基材を用いる場合に特に有効となる。ただし、他の強化繊維、例えばガラス繊維やアラミド繊維等も使用可能であり、2種以上の強化繊維を含むハイブリッド構成も採用可能である。
本発明における湾曲形状強化繊維積層体は、平面形状が湾曲形状である平板状の強化繊維層が複数積層された積層体であって、前記複数積層された強化繊維層の少なくとも1層が、上述したような湾曲形状強化繊維基材により形成された、複数の強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列された湾曲周方向配向強化繊維層であることを特徴とするものからなる。
このような本発明における湾曲形状強化繊維積層体においては、複数積層される平板状の強化繊維層の中に、湾曲周方向配向強化繊維層が少なくとも1層含まれており、この湾曲周方向配向強化繊維層には、強化繊維糸条が湾曲形状の周方向に沿う方向(0°方向)に並行に配列されている。本発明では、この湾曲周方向配向強化繊維層が、前述した湾曲形状強化繊維基材、すなわち、平面形状が湾曲形状であり、複数の強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列されており、該周方向の一方向に配列されている複数の強化繊維糸条と交差する方向によこ糸の補助糸条が配列されている湾曲形状強化繊維基材を用いて形成されている。したがって、この積層体における湾曲周方向配向強化繊維層においては、各強化繊維糸条が湾曲形状の周方向に沿う方向(0°方向)に並行に配列され、かつ、それら強化繊維糸条の配列形態がよこ糸の補助糸条によって維持される構成とされている。強化繊維糸条の配列形態が補助糸条によって維持されるので、この湾曲周方向配向強化繊維層が積層体形成のために積層される際には、その層形態が崩されることなく、優れた積層操作性をもって短時間のうちに容易に所定の積層が行われるようになる。換言すれば、よこ糸の補助糸条を備えた強化繊維基材から湾曲周方向配向強化繊維層が形成されていることにより、積層体中における湾曲形状の周方向に沿う方向(0°方向)の強化繊維糸条の配列形態、つまり、比較的長尺で長手方向に沿って湾曲した繊維強化複合材料の成形後の目標とする強度や剛性を達成するための強化繊維糸条の望ましい配列形態が、確実に達成されて維持されることになり、そのような長尺の湾曲繊維強化複合材料の成形に用いて最適な湾曲形状強化繊維積層体が得られる。
湾曲形状強化繊維層を形成する本発明の湾曲形状強化繊維基材を、複数の強化繊維糸条束から構成することにより、各強化繊維糸条束には、強化繊維糸条が直線状に配列している従来の強化繊維基材を使用することができるため、好ましい。一方で、この湾曲形状強化繊維層を形成する一層の湾曲形状強化繊維基材は複数の強化繊維糸条束を配置して作製する必要があるが、本発明では平面上に複数の強化繊維糸条束を配置して、所望の湾曲形状強化繊維基材を作製することができるため、三次元形状の賦形型上に強化繊維糸条を配置する従来の方法に比べて、簡易に積層体、プリフォームを作製できるため好ましい。
また、複数の強化繊維糸条束からなる湾曲形状強化繊維基材は、所定の積層構成に基づいて積層された後、基材間を、該基材の表面に付着されている樹脂材料を用いて接着一体化されていることが好ましい。
また、該湾曲形状強化繊維基材は、強化繊維糸条束間は、よこ糸により結束されていないため、一枚の基材として取り扱うことが難しい場合がある。そのため、該湾曲形状強化繊維基材を所定の積層構成に積層し、該基材間を、樹脂材料により接着一体化した状態にすることにより、取扱い性が向上するため好ましい。また、接着一体化することにより、積層体における強化繊維糸条の配列角度のずれを抑えることができ、所定の配列角度の状態を安定させることができるため、好ましい。
このように、本発明では従来構造とは異なり、湾曲形状強化繊維層を形成する本発明の湾曲形状強化繊維基材では、たて糸方向に強化繊維糸条が配列され、所定の強化繊維糸条束が配列された層として形成でき、この場合のよこ糸は非強化繊維の補助糸条となる。また、よこ糸の補助糸条とともにたて糸の補助糸条を配すれば、前述のようなNCWの望ましい形態を容易に採ることができる。よこ糸の補助糸条は、一方向織物構成とする際の基材形状の保持ができればよい。
上記湾曲周方向配向強化繊維層は、上記湾曲形状強化繊維積層体の平面方向全体にわたって延在されていることが好ましい。例えば、この平板状の湾曲形状強化繊維積層体を、ウエブ部とフランジ部を有する横断面形状のプリフォームに賦形し、それと対応する横断面形状を有する繊維強化複合材料へと成形していく場合、0°層(強化繊維糸条が上記湾曲形状の周方向に沿う方向に配向された層)は、ウエブ部やフランジ部のみに配置されているよりは、ウエブ部とフランジ部を含め全体にわたって配置されている方が好ましく、それによって、最終的に成形される繊維強化複合材料の全体に対して目標とする強度や剛性を与えやすくなる。
また、上記湾曲形状強化繊維積層体における複数積層された強化繊維層の中には、上記0°層以外に、さらに、強化繊維糸条が上記湾曲形状の周方向に対する角度が鋭角(例えば、±45°層)または垂直となる方向(90°層)に並行に配列された強化繊維層を含ませることができる。この構成は、鋭角の層(例えば、±45°層)と垂直となる方向の層(90°層)の両層が存在する形態も含む。0°層は、長尺の湾曲繊維強化複合材料への成形後には主として長手方向における曲げ強度や曲げ剛性を担うことになるが、このように積層体が0°層以外に各方向の強化繊維層を含むことにより、湾曲繊維強化複合材料の曲率半径方向の強度や剛性を高めたり、捩じり剛性を高めたりすることが可能になり、全体として総合的に強度や剛性が高められ、しかも、全体にわたって機械特性のバランスの向上も可能になる。
また、上記平板状の複数の強化繊維層は積層状態にて一体化されている形態を採用することができる。一体化されていると、湾曲形状強化繊維積層体が長尺であっても、容易に一素材として扱うことが可能になり、次の工程への移送や、次の工程での取扱いも容易化される。
上記一体化は、複数の強化繊維層が、互いに接着されることにより一体化されていることが、一体化のための手間や準備がはるかに少なくて済むことから、より好ましい。とくに、積層方向に互いに隣接する強化繊維層の少なくとも一方の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料が付与されており、該樹脂材料を介して隣接する強化繊維層同士が互いに接着されている形態が好ましい。この積層体における樹脂材料は、強化繊維層1層に対し、2g/m2 以上40g/m2 以下の範囲内の付着量にて、該強化繊維層の少なくとも片面に付与されていることが好ましい。この樹脂材料は、本来複合材料のCAIの向上を目的として付着されており、その樹脂材料を積層体においては基材同士の(強化繊維層同士の)部分接着、プリフォームにおていは基材同士の全面接着に利用するものである。すなわち、積層体において、基材間(強化繊維層間)を全面接着すると、プリプレグと同様に強化繊維糸条が適当にずれることができなくなって賦形性が悪化するので、積層体においては部分接着がよい。一旦賦形してしまった後は、基材に賦形性は必要ないため、全面接着して、プリフォーム形状を保持することが好ましい。さらに、積層体全体を所定の形態に維持する観点から、上記点在状態または不連続状態で付与された樹脂材料は互いに対面する強化繊維層間で、該強化繊維層の全面にわたって強化繊維層同士の接着に用いられていることが好ましく、かつ、該樹脂材料が、対面(相対する面)の基材の全面にわたり、部分的に接着しており、かつそれぞれの接着部分の最大長さは1mm以上強化繊維糸条の幅H以下であることが好ましい。すなわち、本発明の積層体は、基材の全面に点状、線状または不連続線状に付着している樹脂材料の一部が対面の基材に一体化、つまり接着することによって構成されていることが好ましい。積層体における基材間を部分的に接着する方法としては、治具を用いて接着する箇所のみを加圧した状態にて加熱することにより、接着することができる。部分的に接着することによって、積層体として取扱いが可能でありながら、良好な賦形性を損なうことがないため好ましい。上記の如く、積層体における基材間を部分的ではなく、全面にわたって接着すると、接着しない場合に比べて賦形性が損なわれるため、後の工程で積層体を賦形する際に、賦形の形状によっては、皺が発生することがある。
また、上記湾曲形状強化繊維積層体における上記湾曲形状強化繊維基材は、前述の如く、上記強化繊維糸条として炭素繊維糸条を含むことが好ましい。炭素繊維を使用することにより、複合材料成形後に高い強度や剛性を発現可能となる。ただし、他の強化繊維、例えばガラス繊維やアラミド繊維等も使用可能であり、2種以上の強化繊維を含むハイブリッド構成も採用可能である。
本発明に係る湾曲形状強化繊維積層体の製造方法は、平面形状が湾曲形状である平板状の強化繊維層を複数積層して積層体を製造するに際し、
前述の平面形状が湾曲形状であり、複数の強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列されており、該周方向の一方向に配列されている複数の強化繊維糸条と交差する方向によこ糸の補助糸条が配列されている湾曲形状強化繊維基材を用いて、複数の強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列された湾曲周方向配向強化繊維層を形成し、
該湾曲周方向配向強化繊維層を、積層すべき複数の強化繊維層の中の少なくとも1層として積層し、
前記湾曲周方向配向強化繊維層を形成するに際し、
連続した強化繊維糸条を複数一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群と、前記強化繊維糸条と交差する方向に延在し複数の強化繊維糸条群を結束する補助糸条から構成された一方向強化繊維織物を、複数の強化繊維糸条群の一部を含みかつ該強化繊維糸条群に並行になるように切断することにより、所定の幅を有する複数の一方向強化繊維糸条束を作製し、
該複数の一方向強化繊維糸条束を、前記湾曲周方向配向強化繊維層の平面形状を完成するまで、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に所定本数互いに隣接させて配列することにより、前記湾曲周方向配向強化繊維層を形成し、
前記湾曲周方向配向強化繊維層とは別の積層すべき強化繊維層の中の少なくとも1層を形成するに際し、
(A)前記一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条と直交する方向に切断することにより複数の直交切断一方向強化繊維糸条束を作製し、
該複数の直交切断一方向強化繊維糸条束を、各糸条束の強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向に延びるように、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に配置するとともに、前記湾曲形状内の外側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を拡げ、前記湾曲形状内の内側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を狭めるように変形させて配置する、または、
(B)前記一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条と所定の鋭角を成す方向に切断することにより複数の鋭角切断一方向強化繊維糸条束を作製し、
該複数の鋭角切断一方向強化繊維糸条束を、各糸条束の強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向と所定の角度を成す方向に延びるように、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に配置するとともに、前記湾曲形状内の外側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を拡げ、前記湾曲形状内の内側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を狭めるように変形させて配置する,
ことにより前記湾曲周方向配向強化繊維層とは別の積層すべき強化繊維層の中の少なくとも1層を形成することを特徴とする方法からなる。
すなわち、順次積層される強化繊維層の中の少なくとも1層に、よこ糸の補助糸条を備えた湾曲形状強化繊維基材を用いて形成した湾曲周方向配向強化繊維層を使用することにより、前述の如き優れた特性の湾曲形状強化繊維積層体を製造できる。
そして、上記湾曲周方向配向強化繊維層を形成するに際しては、
連続した強化繊維糸条を複数一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群と、前記強化繊維糸条と交差する方向に延在し複数の強化繊維糸条群を結束する補助糸条から構成された一方向強化繊維織物を、複数の強化繊維糸条群の一部を含みかつ該強化繊維糸条群に並行になるように切断することにより、所定の幅を有する複数の一方向強化繊維糸条束(例えば、所定の幅を有する複数のテープ状一方向強化繊維糸条束)を作製し、
該複数の一方向強化繊維糸条束を、前記湾曲周方向配向強化繊維層の平面形状を完成するまで、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に所定本数互いに隣接させて配列することができる。一方向強化繊維糸条束は、横断面矩形状のものが好ましいが、矩形以外の横断面の基材であってもよい。すなわち、この方法は、所定の幅を有する複数の一方向強化繊維糸条束を前もって作製し、それらを所定の幅を持った平板状の湾曲形状を形成できるように順次隣接させて配列していく方法である。
さらに、上記湾曲周方向配向強化繊維層とは別の積層すべき強化繊維層の中の少なくとも1層を形成するに際しては、
(A)上記のように構成された一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条と直交する方向に切断することにより複数の直交切断一方向強化繊維糸条束を作製し、
該複数の直交切断一方向強化繊維糸条束を、各糸条束の強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向に延びるように、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に配置するとともに、前記湾曲形状内の外側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を拡げ、前記湾曲形状内の内側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を狭めるように変形させて配置することができる。すなわち、ある幅を持った直交切断一方向強化繊維糸条束を、強化繊維糸条が上記湾曲形状の径方向に延びるように湾曲形状の周方向に沿う方向に順次配置していく場合、単にそのまま配置したのでは、湾曲形状内の外側部位と内側部位間に周長差が存在するため、外側部位では隣接糸条束間に比較的大きな隙間が生じるおそれがあり、内側部位では隣接糸条束同士がオーバラップしたりするおそれがある。そこで上記の如く、湾曲形状内の外側部位では強化繊維糸条の間の隙間を拡げ、湾曲形状内の内側部位では強化繊維糸条の間の隙間を狭めるように糸条束を変形させて配置することにより、このようなおそれを除去できるとともに、強化繊維糸条の配置密度には差があるものの湾曲形状内の全体にわたって強化繊維糸条は切れ目なく層形態をなすように存在することができるようになる。
また、上記湾曲周方向配向強化繊維層とは別の積層すべき強化繊維層の中の少なくとも1層を形成するに際し、例えば、
連続した強化繊維糸条を複数一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群と、前記強化繊維糸条と交差する方向に延在し複数の強化繊維糸条群を結束する補助糸条から構成された一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条と直交する方向に切断することにより複数の直交切断一方向強化繊維糸条束を作製し、
該複数の直交切断一方向強化繊維糸条束を、各糸条束の強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向に延びるように、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に配置するとともに、前記湾曲形状内の外側部位においては、互いに隣接する前記直交切断一方向強化繊維糸条束の間に隙間を設け、前記湾曲形状内の内側部位においては、互いに隣接する前記直交方向一方向強化繊維糸条束の間の隙間を狭めるように配置することができる。すなわち、湾曲形状内の外側部位と内側部位間の周長差によって、隣接直交切断一方向強化繊維糸条束間にやむを得ず隙間が生じる場合にあっては、湾曲形状内の内側部位においては極力その隙間を狭めることにより、好ましくは湾曲形状内の内側部位においては隣接直交切断一方向強化繊維糸条束同士の端縁が当接する状態とすることにより、直交切断一方向強化繊維糸条束が果たすべき強度、剛性向上機能等を最大限発揮させることが可能となる。
上記直交切断一方向強化繊維糸条束の配置上の工夫は、湾曲形状の径方向(90°方向)以外の斜め方向に強化繊維が配向される強化繊維に対しても適用できる。例えば、上記湾曲周方向配向強化繊維層とは別の積層すべき強化繊維層の中の少なくとも1層を形成するに際し、
連続した強化繊維糸条を複数一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群と、前記強化繊維糸条と交差する方向に延在し複数の強化繊維糸条群を結束する補助糸条から構成された一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条と所定の鋭角を成す方向に切断することにより複数の鋭角切断一方向強化繊維糸条束を作製し、
該複数の鋭角切断一方向強化繊維糸条束を、各糸条束の強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向と所定の角度を成す方向に延びるように、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に配置するとともに、前記湾曲形状内の外側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を拡げ、前記湾曲形状内の内側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を狭めるように変形させて配置することができる。
あるいは、上記湾曲周方向配向強化繊維層とは別の積層すべき強化繊維層の中の少なくとも1層を形成するに際し、
(B)上記のように構成された一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条と所定の鋭角を成す方向に切断することにより複数の鋭角切断一方向強化繊維糸条束を作製し、
該複数の鋭角切断一方向強化繊維糸条束を、各糸条束の強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向と所定の角度を成す方向に延びるように、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に配置するとともに、前記湾曲形状内の外側部位においては、互いに隣接する前記鋭角切断一方向強化繊維糸条束の間に隙間を設け、前記湾曲形状内の内側部位においては、互いに隣接する前記鋭角切断一方向強化繊維糸条束の間の隙間を狭めるように配置することができる。
本発明におけるプリフォームは、湾曲形状を有する板状の強化繊維層が複数積層された湾曲形状強化繊維積層体の形態を有し、前記複数積層された強化繊維層の中に、前述の湾曲形状強化繊維基材を用いて形成された、強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列されてなる湾曲周方向配向強化繊維層が少なくとも1層含まれているとともに、強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向に沿う方向に並行に配列された強化繊維層および/または強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に対する角度が鋭角となる方向に並行に配列された強化繊維層とが含まれており、前記湾曲形状強化繊維積層体が、該積層体の長手方向と直交する積層体幅方向の断面で見て、前記湾曲形状の周縁に沿って折れ曲がったフランジ状部を有する形状に賦形されているものからなる。すなわち、前述の湾曲形状強化繊維基材を用いて形成された平板状のドライの湾曲形状強化繊維積層体が、フランジ状部を有する横断面形状に賦形されたものであり、所定の長尺湾曲形状を有する繊維強化複合材料成形のための中間形成体としてのプリフォームである。
上記プリフォームにおいては、前述の湾曲形状強化繊維積層体と同様、上記湾曲周方向配向強化繊維層は、強化繊維糸条が上記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列されたテープ状の強化繊維糸条束が、複数、湾曲形状の径方向に隣り合うように配列されて形成されていることが好ましい。
また、上記フランジ状部は、上記湾曲形状強化繊維積層体の幅方向片側のみに形成される形態も可能であるが、湾曲形状強化繊維積層体の幅方向両側に形成されている場合には、両フランジ状部のうち、湾曲形状の曲率半径が大きい側の湾曲形状の周縁に沿って折れ曲がったフランジ状部が、上記積層体の長手方向に複数のフランジ状部に分割されており、隣接する分割フランジ状部間に空間が形成されている構成とすることができる。このような構成においては、曲率半径が大きい側のフランジ状部に、折り曲げの際に皺が発生するおそれがあった場合にあっても、各分割フランジ状部間に空間が存在するため、皺のない状態に保たれ、良好な所定の横断面形状に保たれる。
また、プリフォームに賦形された際に、所定の横断面形状に保たれるためには、賦形プリフォームの素材である上記複数の板状の強化繊維層が、積層方向に互いに隣接する強化繊維層間に点状、線状または不連続状に付与された熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を介して強化繊維層同士が互いに接着されることにより一体化されていることが好ましい。この樹脂材料の好ましい付与形態は、前述した通りである。本発明の積層体を所定のプリフォームの形状に賦形した後は、プリフォームの形状を保持するために強化繊維基材同士が全面にわたり接着一体化されていることが好ましい。プリフォームの形状を保持できることにより、プリフォームの搬送が容易になり、かつ、賦形用とは別の成形用の型に高精度をもって配置することができる。
本発明に係るプリフォームの製造方法は、平面形状が湾曲形状である平板状の複数の強化繊維層として、前述の如き平面形状が湾曲形状であり、複数の強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列されており、該周方向の一方向に配列されている複数の強化繊維糸条と交差する方向によこ糸の補助糸条が配列されている湾曲形状強化繊維基材を用いて形成され、強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列されてなる湾曲周方向配向強化繊維層と、強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向に沿う方向に並行に配列された強化繊維層および/または強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に対する角度が鋭角となる方向に並行に配列された強化繊維層とを作製し、
作製された複数の強化繊維層を予め定められた所定の積層順に積層して湾曲形状強化繊維積層体を作製し、
該湾曲形状強化繊維積層体を、該積層体の長手方向と直交する積層体幅方向の断面で見て、前記湾曲形状の周縁に沿って折り曲げることにより、フランジ状部を有する形状に賦形し、
前記フランジ状部を、所定形状の成形型の両側にそれぞれ、独立して膨縮動作可能なブラダーを設け、前記成形型上に前記湾曲形状強化繊維積層体を配置し、配置された湾曲形状強化繊維積層体の各ブラダーの位置に対応する各部分を、各ブラダーの膨縮動作により前記成形型に沿う形状に賦形することにより、折り曲げ形成する、
ことを特徴とする方法からなる。
この方法においては、上記フランジ状部を賦形した状態で、例えば、上記湾曲形状強化繊維積層体を所定時間加熱することにより、樹脂材料を介して、基材同士を接着してプリフォームの賦形形態を固定することができる。賦形形態を加熱固定しておくことにより、プリフォーム全体として取り扱いやすくなるとともに、局部的な強化繊維の乱れの発生を防止することも可能になり、最終的に繊維強化複合材料に成形した場合の、機械特性の良好な均一性を保証できるようになる。
また、上記方法においても、上記フランジ状部を、湾曲形状強化繊維積層体幅方向の両側で折り曲げ形成することにより、横断面C形や横断面Z形のプリフォームの製造が可能である。また、この場合、湾曲形状強化繊維積層体幅方向の両側で折り曲げ形成すべきフランジ状部形成部のうち、湾曲形状の曲率半径が大きい側の湾曲形状の周縁に沿って折れ曲げ形成すべきフランジ状部形成部を、予め前記積層体の長手方向に複数のフランジ状部形成部に分割するとともに隣接する分割フランジ状部形成部間に空間を形成した後、各分割フランジ状部形成部を折り曲げてフランジ状部を有する形状に賦形することが好ましい。このように予め分割し空間を形成しておくことにより、曲率半径が大きい側の湾曲形状の周縁に沿ってフランジ状部を折り曲げ形成する際皺が発生しにくくなり、容易に所望のフランジ状部を折り曲げ形成できるようになる。湾曲形状強化繊維積層体幅方向の両側にフランジ状部を折り曲げ形成する場合、上記のような空間を設けていないフランジ部該当箇所を先に賦形した後に、空間が設けられているフランジ部該当箇所を賦形することにより、皺の発生をより効率よく抑制できるようになる。
また、上記フランジ状部は、例えば、所定形状の成形型上に上記湾曲形状強化繊維積層体を配置し、該湾曲形状強化繊維積層体上に弾力性を有するシートを被せて該湾曲形状強化繊維積層体を密封し、シート内部を減圧しシート外部との差圧によってシートで湾曲形状強化繊維積層体を前記成形型に沿わせて該成形型に向けて押圧することにより、折り曲げ形成することができる。プリフォームは、該湾曲形状強化繊維積層体を押圧した状態において、加熱することにより、強化繊維基材同士を全面にわたり接着一体化することも好ましい。
あるいは、上記フランジ状部を、所定形状の両面型内に上記湾曲形状強化繊維積層体を配置し、該両面型内で前記湾曲形状強化繊維積層体を押圧することにより、折り曲げ形成することもできる。この場合においても、プリフォームは、該湾曲形状強化繊維積層体を押圧した状態において、加熱することにより、強化繊維基材同士を全面にわたり接着一体化することも好ましい。
そして上記方法では、上記フランジ状部を、所定形状の成形型の両側にそれぞれ、独立して膨縮動作可能なブラダー(bladder) を設け、成形型上に上記湾曲形状強化繊維積層体を配置し、配置された湾曲形状強化繊維積層体の各ブラダーの位置に対応する各部分を、各ブラダーの膨縮動作により前記成形型に沿う形状に賦形することにより、折り曲げ形成するようにしている。
このブラダーを使用する方法においては、ブラダーが成形型の両側にそれぞれ設けられ、かつ、それぞれのブラダーが独立して膨縮動作可能であるので、成形型上に配置された湾曲形状強化繊維積層体の各ブラダーの位置に対応する各部分の、成形型に対する賦形方向は制限されず、賦形のタイミングも制限されない。したがって、C形断面等のフランジ状部が同じ方向へ屈曲賦形することが要求される場合、Z形断面等の互いに異なる方向への屈曲賦形が要求される場合のいずれの場合にも賦形が可能になる。また、両側に配置したブラダーの膨張動作のタイミングをずらすことにより、一方のブラダーの膨張動作による賦形時に賦形前の強化繊維積層体に皺やその他の不具合がたとえ発生しようとしたとしても、独立作動可能な他方のブラダーの膨張動作による賦形時にその皺やその他の不具合を解消するように伸ばしながら賦形することが可能になり、円滑にかつ容易に目標品質にて所望形状への賦形を行うことが可能になる。このように、ブラダーの膨張動作の順番を制御することで、湾曲形状強化繊維積層体の各ブラダーの位置に対応する各部分を、順に賦形することができ、それによって賦形時の皺等の不具合の発生を抑制することができる。
もちろん、湾曲形状強化繊維積層体の各ブラダーの位置に対応する各部分を、同時に賦形することも可能であり、皺等の不具合の発生のおそれが無いか少ない場合には、同時賦形によって賦形時間を短縮できる。
また、一つの成形型を用いて湾曲形状強化繊維積層体を賦形することも可能であるが、湾曲形状強化繊維積層体を成形型間に挟持し、成形型の両側に延在する部分を各ブラダーの膨張動作により賦形することもできる。湾曲形状強化繊維積層体を成形型間に挟持することで、積層体の各部分を賦形する際にも、積層体全体を所定姿勢に保持することが可能になり、所定形状への賦形の精度が向上する。
賦形は基本的には成形型に沿う形状になるように、湾曲形状強化繊維積層体の所定部分を成形型の対応部分に押し付ければよい。
また、ブラダーの膨張動作については、少なくとも各ブラダーを密閉可能なチャンバー内に収容し、該チャンバー内を減圧することにより各ブラダーを膨張させることができる。この場合には、例えば、チャンバー内の減圧時に各ブラダー内に大気を導入するようにすることができる。つまり、減圧されたチャンバー内圧と大気圧との差圧を利用してブラダー内に大気を導入することができる。
あるいは、各ブラダー内に加圧流体を導入することにより各ブラダーを膨張させることもできる。この場合には、上記のような減圧作動可能なチャンバーは不要である。上述の如く大気圧を利用するか、加圧流体を導入するかは、賦形される強化繊維基材の性状やサイズに応じて適宜決定すればよい。
また、上記賦形動作は、湾曲形状強化繊維積層体の長手方向に順に行うことも可能である。例えば、長手方向に所定の長さを賦形した後、積層体を引き抜いて賦形装置に対する相対位置をずらし、長手方向に隣接する箇所を続けて賦形することを繰り返す方法を採用できる。この方法では、真空チャンバーの気密を保持することが難しいので、加圧流体を導入する方法を採用することがより好ましい。とくに、賦形される湾曲形状強化繊維積層体が長尺の場合には有効であり、小型の賦形装置でもって、長尺の湾曲形状強化繊維積層体を順に所定形状に賦形していくことが可能である。
このようなブラダーによる賦形動作においては、独立作動可能なブラダーによる賦形動作のタイミングを賦形部分に応じてずらし、賦形の順番を制御することにより、皺の発生を抑える、または最終製品の形状外の箇所に皺を発生させて製品の形状内の皺の発生を抑える、または皺を分散させて大きな皺の発生を抑えることなどが可能になり、良好な品質での賦形が可能になる。
このようなブラダーを使用する方法では、用いる装置として、基本的に駆動系を必要としないか、大がかりな駆動系を必要とせず、簡単で安価な装置構造に構成可能であり、独立作動可能な各ブラダーの膨縮動作のみで、C形断面はもとよりZ形断面等の賦形のための屈曲方向が互いに異なる断面形状であっても、さらには本発明の如く長手方向に湾曲する部分を有する形状であっても、皺等の問題を発生させることなく円滑にかつ容易に所望形状の賦形を行うことができる。
本発明に係る繊維強化樹脂複合材料の製造方法は、上記のようなブラダーを用いた特定の方法により賦形されたプリフォームに樹脂を含浸し、
含浸した樹脂を硬化させることを特徴とする方法からなる。
この方法においては、例えば、上記フランジ状部を賦形した状態で、上記湾曲形状強化繊維積層体を所定時間加熱してプリフォームの賦形状態を固め、しかる後に樹脂を含浸することができる。加熱により、樹脂材料による接着を介してプリフォームの賦形状態を固めておくことにより、樹脂含浸時にもその形態が崩れることが防止され、最終的に目標とする形状の繊維強化樹脂複合材料が精度良く得られるようになる。
また、繊維強化樹脂複合材料の成形には、上記賦形されたプリフォームを成形型上に配置し、該プリフォームをバッグ材で覆って内部を密閉し、密閉された内部を吸引により減圧して減圧された内部に樹脂を注入し、注入された樹脂をプリフォームに含浸させ、含浸された樹脂を硬化させる方法を採用できる。
あるいは、繊維強化樹脂複合材料の成形には、上記賦形されたプリフォームを両面型からなる成形型内に配置し、該成形型内に樹脂を注入し、注入された樹脂をプリフォームに含浸させ、含浸された樹脂を硬化させる方法も採用できる。
本発明における繊維強化樹脂複合材料は、上記のような方法により製造されたものからなる。
本発明における繊維強化樹脂複合材料は、とくに軽量特性が要求される長尺の湾曲構造体に好適なものであり、例えば、航空機の胴体フレームとして好適なものである。
本発明によれば、長手方向に沿って所定の形状に湾曲し、その湾曲形状に沿って強化繊維が望ましい形態で精度良く配向された湾曲形状強化繊維基材を提供できる。また、この湾曲形状強化繊維基材を少なくとも1層の強化繊維として用い、複数の強化繊維層を積層することにより、全体として強化繊維が望ましい形態で精度良く配向されたドライの湾曲形状強化繊維積層体を提供できる。また、このような望ましい形態の強化繊維積層体を、効率よくかつ短時間で作製可能な湾曲形状強化繊維積層体の製造方法を提供できる。
また、上記湾曲形状強化繊維積層体を用いて、フランジ状部等を有する所定の横断面形状に精度良く賦形されたプリフォームを提供できる。また、このような望ましい形態のプリフォームを効率的に所定の横断面形状に短時間で賦形可能なプリフォームの製造方法を提供できる。また、このような望ましい形態のプリフォームを、簡単な構造で安価に構成可能な設備を使用して、C形断面はもとよりZ形断面等の賦形のための屈曲方向が異なる断面形状であっても、皺等の問題を発生させることなく円滑にかつ容易に所定横断面形状のプリフォームに賦形することが可能なプリフォームの製造方法も提供できる。
また、上記プリフォームを用いて、長手方向に沿って目標とする湾曲した形状に精度良く成形された比較的長尺の繊維強化複合材料と、その製造方法を提供できる。とくに、航空機の胴体フレーム等として好適な長尺の湾曲繊維強化複合材料を、安価にかつ大量生産に適した状態で提供できる。
さらに、長手方向に沿って湾曲した形状を有する長尺の繊維強化複合材料において、湾曲の周方向を基準の方向(0°方向)としてすべての強化繊維が所望の方向に配列している繊維強化複合材料およびその製造方法を提供できる。そして、湾曲の周方向に沿って0°配向強化繊維を配列することにより、周方向の物性を向上できること、また、周方向のいずれの箇所においても、実質的に湾曲の周方向に対して、同一の積層構成を有することができる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに、図面を参照しながら、より具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る湾曲形状強化繊維基材1を示している。図1に示す湾曲形状強化繊維基材1は、平面形状が幅Wで曲率半径Rの湾曲形状に形成されており、複数の(図示例では、7本の)強化繊維糸条2がこの湾曲形状の周方向3(0°方向)に沿う方向に並行に配列されており、該周方向の一方向に配列されている複数の強化繊維糸条2と交差する方向(図示例では、湾曲形状周方向3と直交する方向(90°方向))によこ糸の補助糸条4が配列されている。よこ糸の補助糸条4によって、基本的に複数の強化繊維糸条2の所定の湾曲形態が保持されているが、本実施態様では、強化繊維糸条2と並行する方向に、たて糸の補助糸条5が配列されており、このたて糸の補助糸条5と上記よこ糸の補助糸条4とは、好ましくは互いに交絡され、両補助糸条4、5によって複数の強化繊維糸条2の所定の湾曲形態が保持されている。このような湾曲形状強化繊維基材1は、例えば、複数の強化繊維糸条2を引き揃え、よこ糸の補助糸条4を配列させた状態において、湾曲形状の曲率半径Rに沿うようにテーパロールなどにより巻き出すことにより、所定の湾曲形状に形成することができる。
強化繊維糸条、よこ糸の本数は特に限定されるものではない。また、曲率半径Rは、図1では、湾曲形状強化繊維基材の幅方向の中心における曲率を示しているが、曲率半径Rは所定の設計に基づいて、該基材の幅方向の両端部のいずれか、または、幅方向のいずれかの箇所に設定することもできる。また、本発明の湾曲形状強化繊維基材の曲率半径Rは、1m以上であることが好ましい。より好ましくは2m以上である。曲率半径Rが1m未満であると、強化繊維糸条または、強化繊維糸条束の折曲、蛇行しわの発生などが生じやすくなるるため好ましくない。一方、曲率半径Rが10m以上になっても、本発明は適用できるが、曲率半径Rが大きくなればなる程、強化繊維糸条の配列が直線に近づくため、本発明の利点が小さくなる。例えば、航空機用の胴体の構成部材の製造に本発明を適用する場合を想定すると、構成部材の曲率半径Rとして1〜7mの範囲程度が求められるが、この程度の範囲の曲率半径Rの場合、本発明は最適に適用可能となる。
上記のような湾曲形状強化繊維基材は、例えば図2に示すような強化繊維糸条束の配列によって、より容易に作製することができる。例えば図2(A)に示すように、複数の強化繊維糸条2が一方向に並行に、かつ直線状に延びるように配列され、よこ糸の補助糸条4とたて糸の補助糸条5を有する一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条2に沿う方向に、つまり、よこ糸の補助糸条4を切断する方向に切断して、所定の幅を有する比較的狭幅の(幅W1の)テープ状の強化繊維糸条束11を複数作製する。次に、図2(B)に示すように、各テープ状強化繊維糸条束11を所定の曲率半径にて湾曲させ、湾曲テープ状強化繊維糸条束12に形成する。そして、図2(C)に示すように、湾曲テープ状強化繊維糸条束12を所定本数、湾曲形状の径方向に互いに隣り合うように配列することにより、平面形状として目標とする幅W2を有し、目標とする曲率半径Rの湾曲形状を有し、その湾曲形状の周方向3に沿って各強化繊維糸条2が並行に延びる、目標とする形態の強化繊維糸条2が0°方向(湾曲形状の周方向3)に並行に配列された0°配向湾曲形状強化繊維基材13を完成させることができる。
後述する本発明における湾曲形状強化繊維積層体においては、平面形状が曲率半径Rの湾曲形状である平板状の強化繊維層が複数積層されたものに構成され、複数積層される強化繊維層の少なくとも1層に、上記のような強化繊維糸条が湾曲形状周方向に沿って並行に延びる湾曲形状強化繊維基材が使用されるが、残りの強化繊維層には、例えば図3や図4に示すような、強化繊維糸条が異なる方向に並行に延びる湾曲形状強化繊維基材を使用することができる。
図3に示す湾曲形状強化繊維基材は、例えば次のように作製される。例えば図3(A)に示すように、複数の強化繊維糸条2が一方向に並行に、かつ直線状に延びるように配列され、よこ糸の補助糸条4とたて糸の補助糸条5を有する所定幅の一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条2と直交する方向に切断して、所定の幅と所定の長さを有する比較的狭幅の(幅W3の)強化繊維糸条束21を複数作製する。このような直交切断強化繊維糸条束21の矩形形状のままでは、複数配列しても全体として湾曲形状を形成することができないため、図3(B)に示すように、各強化繊維糸条2間の間隔を調整して強化繊維糸条束21を扇状に変形させ、扇状強化繊維糸条束22に形成する。各強化繊維糸条2間の間隔は、各強化繊維糸条2が重ならず、且つ3mm以内であることが好ましい。そのため使用する一方向強化繊維織物は、構成する強化繊維糸条の間にあらかじめ隙間を有している織物であることも好ましい。そして、図3(C)に示すように、扇状強化繊維糸条束22を所定個数、湾曲形状の周方向3に互いに隣り合うように配列することにより、平面形状として目標とする幅W4(実質的にW4はW3に同じ)を有し、目標とする曲率半径Rの湾曲形状を有し、その湾曲形状の周方向3と直交する方向に各強化繊維糸条2が並行に延びる、目標とする形態の強化繊維糸条2が90°方向(湾曲形状の周方向3と直交する方向)に並行に配列された90°配向湾曲形状強化繊維基材23を完成させることができる。この湾曲形状強化繊維基材23においては、隣接させて配列される各強化繊維糸条束22が図3(B)に示したような扇形形状に形成されていることから、強化繊維糸条束22内における強化繊維糸条2間の隙間24は、湾曲形状の径方向内側25よりも径方向外側26の方が拡げられていることになる。湾曲形状強化繊維基材は、図3(C)の内側25では、強化繊維糸条2の密度が大きく、外側26では、強化繊維糸条2の密度が小さくなる傾向にあるが、強化繊維糸条2間に隙間を設けることにより、湾曲形状強化繊維基材の全体に隙間を分散させ、局所的に大きな隙間を形成しないようにすることができるため好ましい。さらに、隣接する強化繊維糸条束22間の隙間27についても、湾曲形状強化繊維基材23の湾曲形状の径方向内側25よりも径方向外側26の方が拡げられるように形成することにより、湾曲形状強化繊維基材23全体として、より望ましい強化繊維糸条2の分布形態の達成が可能となる。この強化繊維糸条束22間の隙間27は、特に限定されないが、3mm以内になるように設定することが好ましい。3mm以内にすることにより、隙間があったとしても、複合材料において、顕著な物性低下が見られないため好ましい。
図4に示す湾曲形状強化繊維基材は、例えば次のように作製される。例えば図4(A)に示すように、複数の強化繊維糸条2が一方向に並行に、かつ直線状に延びるように配列され、よこ糸の補助糸条4とたて糸の補助糸条5を有する所定幅の一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条2の延在方向に対して鋭角を成す方向に切断して、所定の幅と所定の長さを有する比較的狭幅(幅W5の)の強化繊維糸条束31を複数作製する。このような鋭角切断強化繊維糸条束31の菱形形状のままでは、複数配列しても全体として湾曲形状を形成することができないため、図4(B)に示すように、各強化繊維糸条2間の間隔を調整して強化繊維糸条束31を扇状に似た形状に変形させ、変形強化繊維糸条束32に形成する。そして、図4(C)に示すように、変形強化繊維糸条束32を所定個数、湾曲形状の周方向3に互いに隣り合うように配列することにより、平面形状として目標とする幅W6を有し、目標とする曲率半径Rの湾曲形状を有し、その湾曲形状の周方向3に対し鋭角を成す方向に各強化繊維糸条2が並行に延びる、目標とする形態の強化繊維糸条2が0°方向(湾曲形状の周方向3)に対し鋭角の方向(例えば、+45°や−45°の方向)に並行に配列された鋭角配向湾曲形状強化繊維基材33を完成させることができる。この湾曲形状強化繊維基材33においては、隣接させて配列される各強化繊維糸条束32が図4(B)に示したような扇形に似た形状に形成されていることから、強化繊維糸条束32内における強化繊維糸条2間の隙間34は、湾曲形状の径方向内側35よりも径方向外側36の方が拡げられている。上記90°配向湾曲形状強化繊維基材23の場合と同様に、強化繊維糸条2間に隙間を設けることにより、湾曲形状強化繊維基材の全体に隙間を分散させ、局所的に大きな隙間を形成しないようにすることができるため好ましい。さらに、隣接する強化繊維糸条束32間の隙間37についても、湾曲形状強化繊維基材33の湾曲形状の径方向内側35よりも径方向外側36の方が拡げられるように形成することにより、湾曲形状強化繊維基材33全体として、より望ましい強化繊維糸条2の分布形態の達成が可能となる。この強化繊維糸条束32間の隙間37も、特に限定されないが、3mm以内になるように設定することが好ましい。
このように、図3(A)、図4(A)に示したような強化繊維糸条束に含まれる強化繊維糸条の本数および形状は、湾曲形状に強化繊維糸条束を配置したときに強化繊維糸条束間の隙間が少なくとも3mm以内になるようにすることが好ましい。
図5、図6に、比較のために、従来の強化繊維基材における強化繊維糸条の配向状態と、その基材から湾曲形状基材を切り出す場合の例を示す。図5に示すように、従来の一方向基材としては、強化繊維糸条2が0°方向に配向された0°配向基材41a(図5(A))や、強化繊維糸条2が90°方向に配向された90°配向基材41b(図5(B))、強化繊維糸条2が45°方向(または、−45°方向)に配向された45°配向基材41c(図5(C))が知られているが、強化繊維糸条2の配向形状が湾曲された長尺の基材を作製するためには、前述のような本発明における特別の工夫が必要である。仮に、図6に示すように、図5(A)に示したような0°配向基材41aから、図1に示したような湾曲周方向3に沿って単に湾曲形状基材42を切り出したのでは、強化繊維糸条2を湾曲周方向3に沿わせることはできない。
前述のような本発明における強化繊維糸条束を用いて湾曲形状強化繊維基材を作製するに際しては、従来技術で作製される一方向強化繊維織物を用いることができるため、特別な織物の製織技術が不要である。また、湾曲形状は、前述したように強化繊維糸条間の隙間を調整することにより形成可能であり、かつ、隙間1つあたりの大きさは小さくて済むため、材料均質化の観点からも好ましい形態の基材を作製することができる。
前述の図1に示したような形態の湾曲形状強化繊維基材について、実際に作製したものの例を図7に示す。図7に示す湾曲形状強化繊維基材は、複数の強化繊維糸条2を引き揃え、よこ糸の補助糸条4を配列させた状態の織物を、所定の湾曲形状の曲率半径Rに対応したテーパを有するロールの間に挟み、ロールを回転することによって、該織物を引き出すことにより作製した一枚の基材からなる湾曲形状強化繊維基材51を示したものである。
また、前述のような強化繊維糸条束を用いた方法で実際に作製された湾曲形状強化繊維基材について、図8に、図2に示した方法により0°配向湾曲形状強化繊維基材52を作製した例を、図9に、図4に示した方法により鋭角(−45°)配向湾曲形状強化繊維基材53を作製した例を、それぞれ示す。図8に示す0°配向湾曲形状強化繊維基材52においては、例えば4本の強化繊維糸条から構成された強化繊維糸条束12が、所定本数、湾曲径方向に配列されて、目標とする幅を有する湾曲形状強化繊維基材52が形成されている。図9に示す鋭角配向湾曲形状強化繊維基材53においては、例えば12本の強化繊維糸条から構成された鋭角切断強化繊維糸条束32が、所定本数、湾曲周方向に配列されて、目標とする幅を有する湾曲形状強化繊維基材53が形成されている。
上記のように作製された各強化繊維基材が強化繊維層として積層体へと積層される場合、平板状の各強化繊維層が積層状態にて一体化されていることが好ましく、とくに、樹脂材料による接着によって一体化されていることが好ましい。すなわち、前述したように、積層方向に互いに隣接する強化繊維層の少なくとも一方の少なくとも片面に(つまり、積層される湾曲形状強化繊維基材の少なくとも片面に)、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料が点状、線状または不連続状に付与されていることが好ましく、該樹脂材料を介して積層体の隣接する強化繊維層同士が互いに接着されている形態が好ましい。例えば、図10に、前述したような湾曲形状強化繊維基材へと形成される一方向強化繊維織物の一部61を示すように、一方向に並行に配列され強化繊維糸条62をよこ糸の補助糸条63およびたて糸の補助糸条64の結束により所定形態に保持した一方向強化繊維織物61に、点状、線状または不連続状に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料65が付与されている形態とすることができ、この樹脂材料65を介して、強化繊維積層体を形成する際に隣接する強化繊維層同士を互いに接着することができる。この樹脂材料65の付着量は、前述の如く、2g/m2 以上40g/m2 以下の範囲にあることが好ましく、樹脂材料のガラス転移温度が0℃以上95℃以下の範囲にあることが好ましい。このような樹脂材料65の付与により、湾曲形状強化繊維積層体としての形態が保たれやすくなり、かつ、積層体を取り扱いやすくなる。
上記のように作製された各湾曲形状強化繊維基材を、各強化繊維層として積層することにより、本発明に係る湾曲形状強化繊維積層体が作製される。図11は、本発明の一実施態様に係る湾曲形状強化繊維積層体の分解図を模式的に示している。本実施態様では、湾曲形状強化繊維積層体71は、平面形状が曲率半径Rの湾曲形状である平板状の強化繊維層72が複数積層されたものからなる。図示例では、強化繊維層72aとして、図1や図2に示したような、強化繊維糸条2が湾曲形状の周方向3に並行に配列された0°配向湾曲形状強化繊維基材が用いられ、強化繊維層72bとして、図3に示したような、強化繊維糸条2が湾曲形状の周方向3に対し直交する方向に並行に配列された90°配向湾曲形状強化繊維基材が用いられ、強化繊維層72c,72dとして、図4に示したような、強化繊維糸条2が湾曲形状の周方向3に対し鋭角を成す方向に並行に配列された−45°配向湾曲形状強化繊維基材および+45°配向湾曲形状強化繊維基材が用いられている。各強化繊維層72の少なくとも片面には、図10に示したように樹脂材料が付与されていることが好ましく、それによって各強化繊維層72が望ましい形態で接着一体化される。このような樹脂材料の付与により、湾曲形状強化繊維積層体71全体としての形態が保たれやすくなり、かつ、積層体を取り扱いやすくなる。また、次に述べるプリフォームに賦形する際、さらには、賦形されたプリフォームから繊維強化複合材料へと成形する際に、所望の特性が得られやすくなる。
上記のように作製された湾曲形状強化繊維積層体を用いて、フランジ状部を有する所定の横断面形状のプリフォームが賦形される。プリフォームは、例えば、図12〜14に示すような形状に賦形される。
図12に示すプリフォーム81においては、例えば図11に示したような積層により作製された湾曲形状強化繊維積層体71が、該積層体71の長手方向と直交する積層体幅方向の断面で見て、湾曲形状の周縁に沿って(つまり、曲率半径Rの湾曲形状の周方向3に沿って)折れ曲げ形成されたフランジ状部82a、82bを有する形状に賦形されている。両フランジ状部82a、82bは同方向に折り曲げ形成されており、プリフォーム81はC形の横断面形状を有している。フランジ状部82a、82bのウエブ部83に対する屈曲角としては、90度以外であってもよく、ウエブ部83に対するフランジ状部82a、82bの屈曲角が互いに異なっていてもよい。また、フランジ状部82a、82bのサイズについても、同一でも互いに異なっていてもよい。このプリフォーム81は、所定の長尺湾曲形状を有する繊維強化複合材料成形のための中間形成体としてのドライのプリフォームである。
図13に示すプリフォーム91においては、例えば図11に示したような積層により作製された湾曲形状強化繊維積層体71が、曲率半径Rの湾曲形状の周方向3に沿って折れ曲げ形成されたフランジ状部92a、92bを有する形状に賦形されている。本例では、両フランジ状部92a、92bはウエブ部93に対して互いに反対方向に折り曲げ形成されており、プリフォーム91はZ形の横断面形状を有している。
図14に示すプリフォーム101においては、例えば図11に示したような積層により作製された湾曲形状強化繊維積層体71が、曲率半径Rの湾曲形状の周方向3に沿って折れ曲げ形成されたフランジ状部102a、102bを有する形状に賦形されている。本例では、両フランジ状部102a、102bはウエブ部104に対して互いに反対方向に折り曲げ形成され、プリフォーム101はZ形の横断面形状を有している。そして本例では、両フランジ状部102a、102bのうち、湾曲形状の曲率半径が大きい側の湾曲形状の周縁に沿って折れ曲がったフランジ状部102bが、積層体71の長手方向に複数のフランジ状部102b’に分割されており、隣接する分割フランジ状部102b’間に空間103が形成されている。空間103は、図示の如く、適当な長さ分、ウエブ部104まで延びていることが好ましい。このように曲率半径が大きい側のフランジ状部102bを分割フランジ状部102b’と間に空間103を有する形状に形成することにより、折り曲げの際に皺が発生することを防止可能となる。
上記のようなプリフォームは、前述したように、成形型とその上に配する弾力性シートを用いる方法、両面型を用いる方法、ブラダーを用いる方法等の各種の方法によって賦形可能である。とくに前記のようなC形横断面を有する形状に賦形する場合には、弾力性シートを用いる方法が簡易で好適であり、その装置例を図15に示す。
図15は賦形装置とプリフォームの横断面を示している。まず図15(A)に示すように、賦形型111の所定の位置に、湾曲形状強化繊維積層体112を配置する。次に(B)に示すように、弾力性シート113で、湾曲形状強化繊維積層体112を覆い、シーラント114などにより、弾力性シート113と賦形型111との間に密閉する。次に(C)に示すように、密閉した内部を真空吸引手段115で真空吸引して、減圧することにより、大気圧116により湾曲形状強化繊維積層体112を賦形型111に押しあてて、C形断面プリフォーム117を作製する。
真空吸引した状態において、熱風オーブンなどを利用して、プリフォーム117を加熱することにより、湾曲形状強化繊維積層体112の強化繊維層の間を、樹脂材料を介して全面にわたり、接着一体化して、プリフォーム117の所定形状を保持することができる。また、真空吸引しながら加熱する時間及び温度を適切に調整することにより、接着一体化するだけでなく、プリフォーム117の厚みを調整することも可能である。加熱方法としては、図15に示すように、賦形型111に設けた熱媒の流路118に、温水や温油などの熱媒を循環させる方法の採用も可能である。
また、前述したようなZ形横断面を有する形状に賦形する場合には、後述の図20に示すような両面型を用いて賦形することも可能であるが、ブラダーを用いる方法が好適であり、その装置例と賦形例を図16に示す。
まず、図16(A)に示すように、チャンバー121内の所定位置に、成形型としてのマンドレル122、123と、マンドレル122、123に挟持された湾曲形状強化繊維積層体124と、マンドレル122、123の両側にそれぞれ配置された独立して膨縮動作可能なブラダー125、126を設ける。ブラダー125、126は、例えばシリコンゴムからなり、内部に相対的な加圧流体が導入されることにより膨張動作し、加圧流体が排出されることにより収縮動作する。
チャンバー121が密閉され、チャンバー121のブラダー125収容側部分の内部が減圧されることにより、図16(B)に示すように、ブラダー125内に外部から大気127が導入されるとともに、導入された大気127の圧力(大気圧)と減圧されたチャンバー121の内圧との差圧による相対的な加圧によりブラダー125が膨張する。この膨張したブラダー125により、積層体124の断面の一方側の端部128がマンドレル122に押し当てられ、マンドレル122の側面形状に沿うフランジ状部の形状に折り曲げられ賦形される。
次に、チャンバー121のブラダー126収容側部分の内部が減圧されることにより、図16(C)に示すように、ブラダー126内に外部から大気127が導入されるとともに、導入された大気127の圧力(大気圧)と減圧されたチャンバー121の内圧との差圧による相対的な加圧によりブラダー126が膨張する。この膨張したブラダー126により、積層体124の断面の他方側の端部129がマンドレル123に押し当てられ、マンドレル123の側面形状に沿うフランジ状部の形状に折り曲げられ賦形される。積層体124の断面における一方側の端部128がマンドレル122側に、他方側の端部129がマンドレル123側に、互いに反対方向に屈曲賦形されることにより、Z形断面プリフォーム130が形成される。
次に、図16(C)の状態で加熱して、積層体124を賦形形状をホールドさせるようにする。加熱は、チャンバー121内全体を加熱してもよく、マンドレル122、123を加熱媒体通液や電気ヒータ等により加熱してもよい。さらに、ブラダー125、126内への導入流体を加熱することも可能である。
上記のような賦形装置は、駆動系を有さず、大気圧を加圧源としているため、装置構成が非常にシンプルである。また、各ブラダー125、126による加圧の順番を制御することにより、賦形の順序を容易に制御することができる。また、各ブラダー125、126による賦形の順序を制御するとともに、長尺積層体に対して所定の賦形を行っていく場合、積層体を長手方向に適切にずらしながら賦形することができるので、皺などが生じにくくなる。このとき、図14に示したように、空間103を設けておき、空間103を間に分割フランジ状部102b’に賦形する場合、皺等を一層発生しにくくすることができる。さらに、長尺積層体に対して所定形状のフランジ状部を賦形する際、湾曲形状積層体における長手方向中央部を先に賦形した後、該中央部の長手方向両側部分を賦形することも好ましい。
なお、上記例では大気127をブラダー125、126内へ導入したが、前述したように、大気127以外の適当な加圧流体を導入することも可能である。その場合には、導入加圧流体でブラダー125、126を膨張させることができるので、密閉可能なチャンバーは不要である。ただし、ブラダー125、126が膨張して賦形方向に加圧力を発揮する際の反力を受ける部材は必要である。
さらに、このブラダーを使用する方法は、C形横断面への賦形にも適用可能である。例えば図16(A)〜(C)において、ブラダー125、126をマンドレル122または123に対し左右対象位置に配置すれば、容易にC形断面への賦形が可能になる。
このように所定断面形状に賦形されたドライのプリフォームを用いて、該プリフォームにマトリックス樹脂を含浸し、含浸した樹脂を硬化させることにより所望形状の繊維強化樹脂複合材料が成形される。この場合、プリフォームのフランジ状部を賦形した状態で、所定時間加熱してプリフォームの賦形状態を固め、しかる後に樹脂を含浸することもできる。加熱によりプリフォームの賦形状態を固めておくことにより、樹脂含浸時にもその形態が崩れることが防止される。湾曲形状繊維強化樹脂複合材料の成形は、例えば、RTM成形方法(Resin Transfer Molding)によって行うことができ、マトリックス樹脂(例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂)がプリフォームに含浸され、含浸された樹脂が所定温度に加熱されて硬化され、所望形状の繊維強化樹脂複合材料が製造される。
上記のように賦形されるプリフォームの例を図17、図18に示す。図17は、C型横断面に形成されたプリフォーム131を例示しており、図18は、Z型横断面に形成されたプリフォーム132を例示している。
湾曲形状繊維強化樹脂複合材料の製造方法としては、前述の如く、バッグ材を用いる方法、両面型を用いる方法のいずれも採用できる。図19は、バッグ材を用いる方法(いわゆる、真空アシストRTM成形方法)の一例を示している。前述の如く所定横断面形状に賦形されたプリフォーム141が成形型142上に配置され、プリフォーム141がシート状のバッグ材143で覆われて内部が密閉される。密閉された内部は、吸引により減圧され、減圧された内部にマトリックス樹脂が注入され、注入された樹脂がプリフォーム141に含浸される。含浸された樹脂は、例えば加熱により硬化される。このような成形方法では、下型としての成形型142さえ高精度に製作されていれば、バッグ材143としては所定の面積を有するものを使用すればよいので、極めて簡単に大型の湾曲形状繊維強化樹脂複合材料を成形できる。
また、図20に示す成形方法においては、前述の如く所定横断面形状に賦形されたプリフォーム151が、下型152と上型153の両面型からなる成形型154内に配置され、該成形型154内にマトリックス樹脂が注入され(減圧による吸引注入、加圧注入のいずれでもよい)、注入された樹脂がプリフォームに含浸され、含浸された樹脂が例えば加熱により硬化される。このような成形方法では、成形される繊維強化樹脂複合材料の形状が両面から規定されるので、より高精度で湾曲形状繊維強化樹脂複合材料を成形することが可能である。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明する。実施例及び比較例における材料としては次のものを用いた。
・強化繊維糸条:ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維糸条(24,000フィラメント、繊度1030tex、引張強度5.9GPa、引張弾性率294GPa)
・よこ糸の補助糸条:ガラス繊維糸条(繊度 4.2tex)
・たて糸の補助糸条:ガラス繊維糸条(繊度22.5tex)
・樹脂材料には次の材料から製造した粒子を用いた。
“スミカエクセル”5003P(ポリエーテルスルホン、住友化学(株)製)
“エピコート”806(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)
“NC−3000”(ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、日本化薬(株)製)
“TEPIC”−P(イソシアヌレート型エポキシ樹脂、日本化学工業(株)製)
“エピコート”806(23.5重量%)、NC−3000(12.5重量%)、“TEPIC”−P(4重量%)を100℃において均一になるまで混合し、エポキシ樹脂混合物を得た。次に“スミカエクセル”5003P(60重量%)、エポキシ樹脂混合物を2軸押出機にて溶融混練して相溶させた樹脂組成物を、冷凍粉砕して粒子にした。得られた粒子の平均粒子径は90μmであった(レーザー回折・散乱法を用いた(株)セイシン社製LMS34)。
〔実施例1〕
図21に示す湾曲形状強化繊維基材織機161を用いて、図1に示した湾曲形状の周方向に強化繊維糸条が配列した0°配向湾曲形状強化繊維基材162を作製した。基材162の形状は、曲率半径R:3m、基材の幅:200mm、長さ:4.7mである。図21に示すように、湾曲形状強化繊維基材織機161は、強化繊維糸条163およびたて糸の補助糸条164用のヘルド165、166、筬167、よこ糸の補助糸条168を挿入するよこ糸入れ機構169、上部、下部および中間マンドレル170、171、172から構成されている。これらマンドレルの後方には、樹脂材料散布装置173および更にその後方には赤外線加熱装置(図示せず)が取り付けられており、製織された湾曲形状強化繊維基材162の上に散布された樹脂粒子174を加熱し、湾曲形状強化繊維基材162に付着できるようになっている。湾曲形状強化繊維基材162は台座175上に送り出される。ここで上部および下部のマンドレル170、171はテーパー形状を有しており、テーパー度は1/50とした。強化繊維糸条163、よこ糸およびたて糸の補助糸条164、168は、上下マンドレル170、171間に導入され、各マンドレルは製織速度に応じた速度で回転しており、強化繊維糸条163およびたて糸の補助糸条164に適切な張力をかけることができる。
40本の強化繊維糸条163、強化繊維糸条間と該基材幅の両端の合計41本のたて糸164、1本のよこ糸168を該織機161に配置して、湾曲形状強化繊維基材162の製織を行った。マンドレルから引き出された湾曲形状強化繊維基材162の表面に、樹脂材料174の目付が27g/m2となるように、樹脂材料174を散布し、赤外線加熱装置を用いて、湾曲形状強化繊維基材162の表面温度を180℃に加熱して、樹脂材料174を付着させた。
作製された湾曲形状強化繊維基材は、図10に示したようなNCW構造であり、周方向の長手方向の全長に渡り、強化繊維糸条が曲率半径R=3mの周方向(0°方向)に沿って並行に配列していることを確認した。
〔実施例2〕
実施例1と同じ材料を用いて、作製された強化繊維糸条が一方向に並行に、かつ直線状に延びるように配列され、たて糸の補助糸条は強化繊維糸条の間に並行に配列され、よこ糸の補助糸条を実質的に強化繊維糸条およびたて糸の補助糸条に対して直交するように配列して、幅1mの一方向強化繊維織物を製織した。一方向強化繊維織物の表面に、樹脂材料の目付が27g/m2となるように、樹脂材料を散布し、赤外線加熱装置を用いて、湾曲形状強化繊維基材の表面温度を180℃に加熱して、樹脂材料を付着した。この一方向強化繊維織物を用いて図3(C)に示したような90°配向湾曲形状強化繊維基材を作製した。
まず、該一方向強化繊維織物を強化繊維糸条の長手方向が200mmとなるように強化繊維糸条と直交方向に切断して、図3(A)に示すような幅200mm、長さ1mの矩形形状の強化繊維糸条束を4枚と幅200mm、長さ0.7mの強化繊維糸条束1枚を作製した。すべての強化繊維糸条束は、構成している強化繊維糸条間の間隔を調節して、曲率半径3mの湾曲形状となるように変形させ、変形させた強化繊維糸条束同士を強化繊維糸条束の長手方向に、強化繊維糸条が重ならず且つ隙間が3mm以上生じないように配置して継ぎ合わせることにより、幅200mm、長さ4.7mの90°配向湾曲形状強化繊維基材を作製した。
作製された90°配向湾曲形状強化繊維基材は、図10に示したようなNCW構造であり、周方向の長手方向の全長に渡り、強化繊維糸条が曲率半径R=3mの周方向(0°方向)に対して、90°方向に配列していることを確認した。
「実施例3」
実施例2で準備したNCW構造を有する幅1mの一方向強化繊維織物を準備した。該一方向強化繊維織物を強化繊維糸条の配列方向に対して45°方向に切断し、さらに強化繊維糸条12本毎に強化繊維糸条間を切断して、図4に示したような12本の強化繊維糸条を有する幅200mmの強化繊維糸条束を56枚作製した。すべての強化繊維糸条束は、強化繊維糸条束間の間隔を調節して、湾曲形状に沿うように、湾曲形状の長手方向に、強化繊維糸条が重ならず且つ隙間が3mm以上生じないように配置して継ぎ合わせることにより、幅200mm、長さ4.7mの45°配向湾曲形状強化繊維基材を作製した。同様にして−45°配向湾曲形状強化繊維基材を作製した。
作製された45°および−45°配向湾曲形状強化繊維基材は、図10に示したようなNCW構造であり、周方向の長手方向の全長に渡り、強化繊維糸条が曲率半径R=3mの周方向(0°方向)に対して、45°、−45°方向に配列していることを確認した。
〔実施例4〕
実施例1〜3の方法で、0°、90°、±45°配向湾曲形状強化繊維基材を作製し、積層構成[(45/0/−45/90)]3Sに基づいて積層することにより積層体を作製した。まず実施例3の方法と同様に、45°配向湾曲形状強化繊維基材を作製し、45°配向湾曲形状強化繊維基材の上に実施例1の方法にて作製した0°配向湾曲形状強化繊維基材を積層し、さらにその上に実施例3の方法と同様に−45°配向湾曲形状強化繊維基材を作製して積層し、さらにその上に実施例2の方法と同様に90°配向湾曲形状強化繊維基材を作製して積層して、[45/0/−45/90]の積層体を作製した。同様の積層を2回繰返し、12plyからなる[45/0/−45/90]3を作製した。
12plyからなる[45/0/−45/90]3の積層体の上に、断面がφ3mmの圧子が25mm間隔で格子状に配列した圧子ジグを配置し、圧子が積層体を1kg/cm2 の圧力で加圧した状態にて、積層体を70℃に加熱、5分間保持することによって、積層体を構成する湾曲形状強化繊維基材間を部分的に接着して一体化することにより、積層体を作製した。同様にして、[90/−45/0/45]3の積層体を作製し、同様に基材間を部分的に接着して一体化することにより、積層体を作製した。これらの積層体を重ねることにより、[(45/0/−45/90)]3Sの積層体を作製した。積層体は基材同士が接着一体化しているため、積層体を成形型へ搬送する場合にも、基材がばらけたりせずに、積層体として良好に取り扱えることを確認した。
〔実施例5〕
実施例4で作製した積層体を、自動裁断機により、曲率半径の大きい側(図3(C)で示す外側26)の湾曲形状の周縁に沿って、図22に示すように、湾曲形状強化繊維積層体181の長手方向に、幅50mm、間隔150mm、高さ50mmの形状で切り欠いた(切欠き182)。図19に示した賦形型を兼ねた曲率半径R=3mで長手方向に湾曲している成形型142の上に、積層体を配置し、さらに積層体を厚み3mmのシリコン製シートで覆い、シリコン製シートと成形型の間を気密にシールした。その後にシリコン製シートの内部を真空吸引して減圧することにより、積層体を成形型に押し付けてC形断面で長手方向に湾曲した形状に賦形した。
真空吸引を継続した状態において、積層体を70℃に加熱して2時間保持することにより、湾曲形状強化繊維基材の間を全面に渡り接着一体化して、プリフォームを作製した。プリフォームはウェブ、フランジ共に顕著なシワはなく、品位のよいプリフォームであることを確認した。
プリフォームの作製完了後、シリコン製シート内の真空吸引を止め、シリコン製シートを成形型から取り外し、プリフォームへのマトリックス樹脂の注入・含浸に必要な副資材(ピールプライ、樹脂拡散媒体、樹脂注入路、樹脂排出路、真空吸引路)を配置し、バギングフィルムで覆い、バギングフィルムと成形型の間を気密にシールした。その後に、バギングフィルム内を真空吸引して減圧し、その状態において、70℃に加熱して粘度を低下させたエポキシ樹脂を、樹脂注入路から樹脂拡散媒体を介してプリフォームに注入・含浸した。プリフォームへのエポキシ樹脂の注入・含浸の完了後、余剰にプリフォームに注入・含浸したエポキシ樹脂を樹脂排出路より、真空吸引により排出した。排出完了後、180℃に加熱することにより、エポキシ樹脂を硬化させ、曲率半径R=3mの長手方向に湾曲形状を有するC形断面形状の繊維強化樹脂複合材料を作製した。
繊維強化樹脂複合材料の表層の45°層の強化繊維糸条の配向角度を目視にて確認した結果、強化繊維糸条は長手方向に渡り、湾曲形状の周方向(0°方向)に対して、45°±3°以内に収まっていることが確認された。
一方、繊維強化複合材料のウェブ部の長手方向の両端および中央から50×50mmの試験片を切り出し、計3枚の試験片を準備した。X線CTにより、試験片中の各層のたて糸の補助糸条(ガラス繊維)の配向角度を測定した。たて糸の補助糸条は強化繊維糸条に並行に配列しているため、たて糸の補助糸条の配向を強化繊維糸条の配向として評価した。
各試験片の各層のたて糸の補助糸条は、湾曲形状の周方向(0°方向)に対する各層の強化繊維の配向角度に対して、±3°以内に配向していることを確認し、各層の強化繊維糸条は湾曲形状の周方向(0°方向)に対して、積層構成に基づいた積層角度に配向していることを確認した。
〔実施例6〕
実施例2で準備したNCW構造を有する幅1mの一方向強化繊維織物を準備した。該一方向強化繊維織物を図2(A)のように、幅は4本のストランド(図2(A)では3本)を含む長さ4.7mの強化繊維糸条束を10枚作製した。すべての強化繊維糸条束は、湾曲形状に沿うように、湾曲形状の長手方向に、曲げながら配置した。すべての強化繊維糸条束は、強化繊維糸条が重ならず且つ隙間が3mm以上生じないように配置して継ぎ合わせることにより、幅200mm、長さ4.7mの0°配向湾曲形状強化繊維基材を作製した。作製された0°配向湾曲形状強化繊維基材は、図10に示したようなNCW構造であり、周方向の長手方向の全長に渡り、強化繊維糸条が曲率半径R=3mの周方向(0°方向)に対して、0°方向に配列していることを確認した。
〔実施例7〕
実施例4で用いた0°配向湾曲形状強化繊維基材を実施例6で作製した0°配向湾曲形状強化繊維基材にする以外は、実施例4と同様の方法により、積層体を作製した。さらにこの積層体を用いて、実施例5と同様の方法によりプリフォームを作製した。プリフォームはウェブ、フランジ共に顕著なシワはなく、品位のよいプリフォームであることを確認した。
更に実施例5と同様の方法により、曲率半径R=3mの長手方向に湾曲形状を有するC形断面形状の繊維強化樹脂複合材料を作製した。作製された繊維強化樹脂複合材料の表層の45°層の強化繊維糸条の配向角度を目視にて確認した結果、強化繊維糸条は長手方向に渡り、湾曲形状の周方向(0°方向)に対して、45°±3°以内に収まっていることが確認された。
一方、繊維強化複合材料のウェブ部の長手方向の両端および中央から50×50mmの試験片を切り出し、計3枚の試験片を準備した。X線CTにより、試験片中の各層のたて糸の補助糸条(ガラス繊維)の配向角度を測定した。たて糸の補助糸条は強化繊維糸条に並行に配列しているため、たて糸の補助糸条の配向を強化繊維糸条の配向として評価した。各試験片の各層のたて糸の補助糸条は、湾曲の周方向(0°方向)に対する各層の強化繊維の配向角度に対して、±3°以内に配向していることを確認し、各層の強化繊維糸条は湾曲形状の周方向(0°方向)に対して、積層構成に基づいた積層角度に配向していることを確認した。
〔比較例1〕
特許文献1に記載の方法にて、積層構成[(45/0/−45/90)]3Sの積層体を作製して評価した。繊維束配列用治具は、直径310mm、高さ300mmの円筒形状であり、高さ50mmおよび250mmの円周方向に48mm間隔でピンが配列されている。
まず、実施例3で用いた45°配向湾曲形状用の強化繊維糸条束をピンに刺して配置して、円筒表面を覆って、45°配向強化繊維層を作製した。0°配向強化繊維層用の強化繊維糸条束は実施例2で用いた一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条の配列方向を長手方向として、長さ940mm、幅200mmに裁断して準備した。この強化繊維糸条束を45°配向強化繊維層の上に配置して、0°配向強化繊維層を積層した。さらにその上に実施例3で用いた−45°配向湾曲形状用の強化繊維糸条束を、同様に0°配向強化繊維層の上に配置して、−45°配向強化繊維層を積層した。さらにその上に90°配向強化繊維層用の強化繊維糸条束は実施例2で用いた一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条の配列方向を幅方向として、長さ940mm、幅200mmに裁断して準備した。この強化繊維糸条束を−45°配向強化繊維層の上に配置して、−45°配向強化繊維層を積層した。同様に積層構成[(45/0/−45/90)]3Sになるまで、各層の積層を繰返した。積層完了後、積層体を繊維束配列用治具に配置した状態において、たて糸の補助糸条に用いたガラス繊維を用いて、積層体を厚み方向にステッチして一体化した。ステッチは積層体の長手方向に48mm、幅方向に48mmの間隔で行った。ステッチ完了後、積層体を幅方向に切断して、繊維束配列用治具から取り外した。積層体を平板状に置いたところ、図23に示すように、各強化繊維層191には大きなうねり192が発生して、プリフォームを作製できないことが分かった。
本発明は、とくに大型、長尺の湾曲形状繊維強化樹脂複合材料の成形、その成形に供するプリフォームの賦形、そのプリフォームの賦形に供する強化繊維積層体、その積層体の作製に供する強化繊維基材に好適なものであり、例えば、航空機の胴体フレームの成形に適用して好適なものである。
本発明の一実施態様に係る湾曲形状強化繊維基材の概略平面図である。 本発明の一実施態様に係る湾曲形状強化繊維基材の作製例を示す概略平面図である。 本発明における90°配向湾曲形状強化繊維基材の作製例を示す概略平面図である。 本発明における鋭角配向湾曲形状強化繊維基材の作製例を示す概略平面図である。 比較のために示した従来の強化繊維基材の概略構成図であり、(A)は0°配向基材、(B)は90°配向基材、(C)は45°配向基材を示している。 従来の0°配向強化繊維基材から湾曲形状の基材を切り出す場合の一例を示す概略構成図である。 湾曲周方向配向強化繊維基材の実際の作製例を示す平面図である。 湾曲周方向配向強化繊維基材の別の実際の作製例を示す平面図である。 鋭角配向強化繊維基材の実際の作製例を示す平面図である。 接着用の樹脂材料付与例を示す一方向強化繊維織物の部分斜視図である。 本発明の一実施態様に係る湾曲形状強化繊維積層体の各強化繊維層を分解して示した平面図である。 本発明の一実施態様に係るプリフォームの斜視図である。 本発明の別の実施態様に係るプリフォームの斜視図である。 本発明のさらに別の実施態様に係るプリフォームの斜視図である。 本発明における弾力性シートを用いたプリフォームの賦形の一例を示す賦形装置の概略断面図であり、(A)〜(C)は賦形の順序を示している。 本発明におけるブラダーを用いたプリフォームの賦形の一例を示す賦形装置の概略断面図であり、(A)〜(C)は賦形の順序を示している。 本発明におけるプリフォームの一例を示す斜視図である。 本発明におけるプリフォームの別の例を示す斜視図である。 本発明の一実施態様に係る湾曲形状繊維強化樹脂複合材料の製造方法を示す成形装置の概略斜視図である。 本発明の別の実施態様に係る湾曲形状繊維強化樹脂複合材料の製造方法を示す成形装置の概略斜視図である。 実施例1で用いた湾曲形状強化繊維基材織機の概略斜視図である。 実施例5で作製した切欠きを有する湾曲形状強化繊維積層体の概略平面図である。 比較例1で作製した強化繊維層を観察した図である。
符号の説明
1 湾曲形状強化繊維基材
2 強化繊維糸条
3 湾曲形状の周方向
4 よこ糸の補助糸条
5 たて糸の補助糸条
11 テープ状の強化繊維糸条束
12 湾曲テープ状強化繊維糸条束
13 0°配向湾曲形状強化繊維基材
21 強化繊維糸条束
22 扇状強化繊維糸条束
23 90°配向湾曲形状強化繊維基材
24 強化繊維糸条間の隙間
25 湾曲形状の径方向内側
26 湾曲形状の径方向外側
27 強化繊維糸条束間の隙間
31 強化繊維糸条束
32 変形強化繊維糸条束
33 鋭角配向湾曲形状強化繊維基材
34 強化繊維糸条間の隙間
35 湾曲形状の径方向内側
36 湾曲形状の径方向外側
37 強化繊維糸条束間の隙間
41a 0°配向基材
41b 90°配向基材
41c 45°配向基材
42 湾曲形状基材
51 0°配向湾曲形状強化繊維基材
52 0°配向湾曲形状強化繊維基材
53 鋭角配向湾曲形状強化繊維基材
61 一方向強化繊維織物
62 強化繊維糸条
63 よこ糸の補助糸条
64 たて糸の補助糸条
65 樹脂材料
71 湾曲形状強化繊維積層体
72、72a、72b、72c、72d 強化繊維層
81、91、101 プリフォーム
82a、82b、92a、92b、102a、102b フランジ状部
83、93、104 ウエブ部
102a’ 分割フランジ状部
103 空間
111 賦形型
112 湾曲形状強化繊維積層体
113 弾力性シート
114 シーラント
115 真空吸引手段
116 大気圧
117 C形断面プリフォーム
118 熱媒の流路
121 チャンバー
122、123 成形型としてのマンドレル
124 湾曲形状強化繊維積層体
125、126 ブラダー
127 大気
128 積層体の一方側の端部
129 積層体の他方側の端部
130 Z形断面プリフォーム
131、132、141、151 プリフォーム
142 成形型
143 バッグ材
152 下型
153 上型
154 両面型からなる成形型
161 湾曲形状強化繊維基材織機
162 0°配向湾曲形状強化繊維基材
163 強化繊維糸条
164 たて糸の補助糸条
165、166 ヘルド
167 筬
168 よこ糸の補助糸条
169 よこ糸入れ機構
170、171、172 マンドレル
173 樹脂材料散布装置
174 樹脂粒子
175 台座
181 湾曲形状強化繊維積層体
182 切欠き
191 強化繊維層
192 うねり

Claims (12)

  1. 平面形状が湾曲形状である平板状の強化繊維層を複数積層して積層体を製造するに際し、
    平面形状が湾曲形状であり、複数の強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列されており、該周方向の一方向に配列されている複数の強化繊維糸条と交差する方向によこ糸の補助糸条が配列されている湾曲形状強化繊維基材を用いて、複数の強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列された湾曲周方向配向強化繊維層を形成し、
    該湾曲周方向配向強化繊維層を、積層すべき複数の強化繊維層の中の少なくとも1層として積層し、
    前記湾曲周方向配向強化繊維層を形成するに際し、
    連続した強化繊維糸条を複数一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群と、前記強化繊維糸条と交差する方向に延在し複数の強化繊維糸条群を結束する補助糸条から構成された一方向強化繊維織物を、複数の強化繊維糸条群の一部を含みかつ該強化繊維糸条群に並行になるように切断することにより、所定の幅を有する複数の一方向強化繊維糸条束を作製し、
    該複数の一方向強化繊維糸条束を、前記湾曲周方向配向強化繊維層の平面形状を完成するまで、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に所定本数互いに隣接させて配列することにより、前記湾曲周方向配向強化繊維層を形成し、
    前記湾曲周方向配向強化繊維層とは別の積層すべき強化繊維層の中の少なくとも1層を形成するに際し、
    (A)前記一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条と直交する方向に切断することにより複数の直交切断一方向強化繊維糸条束を作製し、
    該複数の直交切断一方向強化繊維糸条束を、各糸条束の強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向に延びるように、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に配置するとともに、前記湾曲形状内の外側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を拡げ、前記湾曲形状内の内側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を狭めるように変形させて配置する、または、
    (B)前記一方向強化繊維織物を、強化繊維糸条と所定の鋭角を成す方向に切断することにより複数の鋭角切断一方向強化繊維糸条束を作製し、
    該複数の鋭角切断一方向強化繊維糸条束を、各糸条束の強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向と所定の角度を成す方向に延びるように、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に配置するとともに、前記湾曲形状内の外側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を拡げ、前記湾曲形状内の内側部位においては、互いに隣接する強化繊維糸条の間の隙間を狭めるように変形させて配置する,
    ことにより前記湾曲周方向配向強化繊維層とは別の積層すべき強化繊維層の中の少なくとも1層を形成することを特徴とする湾曲形状強化繊維積層体の製造方法。
  2. 前記湾曲周方向配向強化繊維層とは別の積層すべき強化繊維層の中の少なくとも1層を形成するに際し、
    前記複数の直交切断一方向強化繊維糸条束を、各糸条束の強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向に延びるように、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に配置するとともに、前記湾曲形状内の外側部位においては、互いに隣接する前記直交切断一方向強化繊維糸条束の間に隙間を設け、前記湾曲形状内の内側部位においては、互いに隣接する前記直交方向一方向強化繊維糸条束の間の隙間を狭めるように配置する、請求項に記載の湾曲形状強化繊維積層体の製造方法。
  3. 前記湾曲周方向配向強化繊維層とは別の積層すべき強化繊維層の中の少なくとも1層を形成するに際し、
    前記複数の鋭角切断一方向強化繊維糸条束を、各糸条束の強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向と所定の角度を成す方向に延びるように、前記湾曲形状の周方向に沿う方向に配置するとともに、前記湾曲形状内の外側部位においては、互いに隣接する前記鋭角切断一方向強化繊維糸条束の間に隙間を設け、前記湾曲形状内の内側部位においては、互いに隣接する前記鋭角切断一方向強化繊維糸条束の間の隙間を狭めるように配置する、請求項1または2に記載の湾曲形状強化繊維積層体の製造方法。
  4. 平面形状が湾曲形状である平板状の複数の強化繊維層として、
    平面形状が湾曲形状であり、複数の強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列されており、該周方向の一方向に配列されている複数の強化繊維糸条と交差する方向によこ糸の補助糸条が配列されている湾曲形状強化繊維基材を用いて形成され、強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に沿う方向に並行に配列されてなる湾曲周方向配向強化繊維層と、強化繊維糸条が前記湾曲形状の径方向に沿う方向に並行に配列された強化繊維層および/または強化繊維糸条が前記湾曲形状の周方向に対する角度が鋭角となる方向に並行に配列された強化繊維層とを作製し、
    作製された複数の強化繊維層を予め定められた所定の積層順に積層して湾曲形状強化繊維積層体を作製し、
    該湾曲形状強化繊維積層体を、該積層体の長手方向と直交する積層体幅方向の断面で見て、前記湾曲形状の周縁に沿って折り曲げることにより、フランジ状部を有する形状に賦形し、
    前記フランジ状部を、所定形状の成形型の両側にそれぞれ、独立して膨縮動作可能なブラダーを設け、前記成形型上に前記湾曲形状強化繊維積層体を配置し、配置された湾曲形状強化繊維積層体の各ブラダーの位置に対応する各部分を、各ブラダーの膨縮動作により前記成形型に沿う形状に賦形することにより、折り曲げ形成する、
    ことを特徴とする、プリフォームの製造方法。
  5. 前記フランジ状部を賦形した状態で、前記湾曲形状強化繊維積層体を所定時間加熱することによりプリフォームの賦形形態を固定する、請求項に記載のプリフォームの製造方法。
  6. 前記フランジ状部を、前記湾曲形状強化繊維積層体幅方向の両側で折り曲げ形成する、請求項またはに記載のプリフォームの製造方法。
  7. 前記湾曲形状強化繊維積層体幅方向の両側で折り曲げ形成すべきフランジ状部形成部のうち、前記湾曲形状の曲率半径が大きい側の湾曲形状の周縁に沿って折れ曲げ形成すべきフランジ状部形成部を、予め前記積層体の長手方向に複数のフランジ状部形成部に分割するとともに隣接する分割フランジ状部形成部間に空間を形成した後、各分割フランジ状部形成部を折り曲げてフランジ状部を有する形状に賦形する、請求項に記載のプリフォームの製造方法。
  8. 前記フランジ状部を、所定形状の成形型上に前記湾曲形状強化繊維積層体を配置し、該湾曲形状強化繊維積層体上に弾力性を有するシートを被せて該湾曲形状強化繊維積層体を密封し、シート内部を減圧しシート外部との差圧によってシートで湾曲形状強化繊維積層体を前記成形型に沿わせて該成形型に向けて押圧することにより、折り曲げ形成する、請求項4〜7のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
  9. 前記フランジ状部を、所定形状の両面型内に前記湾曲形状強化繊維積層体を配置し、該両面型内で前記湾曲形状強化繊維積層体を押圧することにより、折り曲げ形成する、請求項4〜7のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
  10. 請求項4〜9のいずれかに記載のプリフォームの製造方法により賦形されたプリフォームに樹脂を含浸し、
    含浸した樹脂を硬化させることを特徴とする、繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  11. 前記賦形されたプリフォームを成形型上に配置し、該プリフォームをバッグ材で覆って内部を密閉し、密閉された内部を吸引により減圧して減圧された内部に樹脂を注入し、注入された樹脂をプリフォームに含浸させ、含浸された樹脂を硬化させる、請求項10に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
  12. 前記賦形されたプリフォームを両面型からなる成形型内に配置し、該成形型内に樹脂を注入し、注入された樹脂をプリフォームに含浸させ、含浸された樹脂を硬化させる、請求項10に記載の繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
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