JP2002307364A - ロボットハンド部材及びその製造方法 - Google Patents
ロボットハンド部材及びその製造方法Info
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Abstract
る。 【解決手段】ロボットハンド部材16は、横断面が中空
矩形形状に形成され、長手方向に延びるFRP製の構成
部材16Aの内部空間に、横断面の相対する長辺間に亘
って延びかつ内部空間の長手方向に延びるリブ16Bが
少なくとも1つ形成された形状をなす。このため、横断
面の各長辺はリブ16Bを介して相互に連結され、その
実質長さが減少して剛性が向上する。そして、剛性向上
に伴い、長辺の略中央部における窪みが減少し、精度が
向上する。また、ロボットハンド部材16は、矩形断面
形状の芯材を矩形断面形状のリブ構成部材の両側に配置
して、矩形断面形状の複合構造体を形成し、その外周面
にプリプレグシートを所定厚さに積層し、これを所定温
度に加熱してリブ構成部材とプリプレグシートとが一体
となったFRPを形成した後、芯材を抜き取ることで、
容易に製造することができる。
Description
装着されるロボットハンドに関し、特に、ロボットハン
ド部材の精度及び剛性を向上させる技術に関する。
ンの自動化に伴い、産業用ロボットに装着されたロボッ
トハンドにより、ワークの搬送が行なわれている。そし
て、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレ
イパネル(PDP)、半導体ウェハ等の精密品の製造工
程で使用される基板搬送用のロボットハンドは、LCD
等の普及と共に大きくなるガラス基板に対応すべく、そ
のサイズが益々大きくなってきている。
鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属が使われてき
た。しかし、近年のロボットハンドの大型化に伴って軽
量化が求められ、繊維強化複合材料(Fiber Reinforced
Plastic:以下「FRP」という)が使われるようにな
ってきた。特に、基板搬送用のロボットハンドは、搬送
精度を高める必要があることから、曲げ剛性、耐熱性、
振動減衰性の優れた素材が要求されるので、炭素繊維強
化複合材料(Carbon Fiber Reinforced Plastic:以下
「CFRP」という)の無垢材が使用されることが多か
った。
大型化が進んでいる現状では、これまで使用されてきた
CFRPの無垢材では、ロボットハンドそのものが重く
なり、自重による撓みが大きくなってしまうおそれがあ
る。また、ロボットハンドが重くなると、ロボット駆動
系への負担も大きくなり、ロボットそのものの設計やコ
ストにも影響を及ぼしてしまうこともある。
部材の厚みを薄くしたり、ワーク支持面の幅を狭くした
りして軽量化することで、自重撓みをある程度減少させ
ることができる。しかし、この場合、ロボットハンドの
曲げ剛性が低下するので、ワークを支持した際の撓み
(荷重撓み)が大きくなってしまう。特に、長尺のロボ
ットハンド部材を片持ちとした場合には、この問題が顕
著に現れ、ワーク支持性能及び搬送性能に支障を来して
しまうおそれがあった。
CFRPを素材とする中空矩形形状のロボットハンド部
材を使用して、ロボットハンドを構成する技術も提案さ
れている。ところで、精密品を搬送するロボットハンド
部材には、ワークを傷付けないようにするため、十分な
平面性が要求される。しかしながら、ロボットハンド部
材を中空構造としただけでは、その中央部分に窪みが生
じ易くなってしまうため、精密品搬送用のロボットハン
ドにはそのままでは適用できなかった。この問題を解決
するには、ロボットハンド部材の肉厚を厚くする方法が
あるが、CFRPが高価であること、及び、重量増加に
伴って自重撓みが大きくなること等を考えると、適切な
解決方法ではない。
点に鑑み、中空構造のロボットハンド部材の内部空間に
リブを設けることで、精度及び剛性を向上させたロボッ
トハンド部材及びその製造方法を提供することを目的と
する。
のロボットハンド部材に係る発明では、繊維強化複合材
料からなり、横断面が中空矩形形状に形成され、長手方
向に延びる構成部材の内部空間に、前記横断面の相対す
る長辺間に亘って延び、かつ、前記内部空間の長手方向
に延びるリブが少なくとも1つ形成されたことを特徴と
する。
繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維等の強
化繊維に熱硬化性樹脂を含侵させたプリプレグシートを
所定形状に形成した後、所定温度に加熱して硬化させた
ものをいう。かかる構成によれば、繊維強化複合材料か
らなり、横断面が中空矩形形状に形成され、長手方向に
延びる構成部材の内部空間に、横断面の相対する長辺間
に亘って延び、かつ、内部空間の長手方向に延びるリブ
が少なくとも1つ形成される。このため、横断面を構成
する各長辺は、リブを介して相互に連結されることとな
り、長辺の実質長さが短くなることで、その剛性が向上
する。そして、横断面における長辺の剛性が向上するこ
とで、長辺の中央部における窪みが減少し、ロボットハ
ンド部材の平面性が向上する。
方法に係る発明では、横断面が矩形形状に形成され所定
温度以下では加熱非変形性を有する芯材を、横断面が矩
形形状に形成された強化繊維を含んで構成されるリブ構
成部材の両側面に配置し、全体として矩形断面形状の複
合構造体を形成する工程と、該複合構造体の外周面に、
強化繊維を含むプリプレグシートを所定厚さに積層する
工程と、該プリプレグシートが積層された複合構造体を
加熱し、前記リブ構成部材とプリプレグシートとが一体
となった繊維強化複合材料を形成する工程と、該繊維強
化複合材料から前記芯材を抜き取る工程と、を備えたこ
とを特徴とする。
ラス繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維等の繊維のこと
をいう。また、「強化繊維を含むプリプレグシート」と
は、強化繊維に熱硬化性樹脂を含侵させた未硬化状態の
シートのことをいう。一般的に、繊維強化複合材料は、
このプリプレグシートを原料素材として、積層及び熱硬
化させることで製造される。
は、芯材をリブ構成部材の両側面に配置して矩形断面形
状の複合構造体を形成し、その外周面にプリプレグシー
トを所定厚さに積層し、これを加熱してリブ構成部材と
プリプレグシートとが一体となった繊維強化複合材料を
形成した後、芯材を抜き取ることで製造される。このた
め、異なる寸法の芯材及びリブ構成部材を複数種用意し
ておけば、これらを任意に組み合わせることで、内部空
間にリブを備えた所定寸法のロボットハンド部材が容易
に製造される。そして、かかる製造方法により製造され
たロボットハンド部材は、その内部空間にリブが備えら
れるため、請求項1に記載の発明と同様な作用が奏され
ることとなる(以下同様)。
方法に係る発明では、横断面が矩形形状に形成され所定
温度以下では加熱非変形性を有する芯材の外周面に、強
化繊維を含むプリプレグシートを所定厚さに積層する工
程と、該プリプレグシートが積層された複数の芯材の一
側面同士を当接させ、全体として矩形断面形状の複合構
造体を形成する工程と、該複合構造体の外周面に、強化
繊維を含むプリプレグシートを所定厚さに積層する工程
と、該プリプレグシートが積層された複合構造体を加熱
し、前記芯材に積層されたプリプレグシートと前記構造
体に積層されたプリプレグシートとが一体となった繊維
強化複合材料を形成する工程と、該繊維強化複合材料か
ら前記芯材を抜き取る工程と、を備えたことを特徴とす
る。
は、芯材の外周面にプリプレグシートを所定厚さに積層
すると共に、その一面同士を当接させて矩形断面形状の
複合構造体を形成し、その外周面にプリプレグシートを
所定厚さに積層し、これを加熱して芯材に積層されたプ
リプレグシートと複合構造体に積層されたプリプレグシ
ートとが一体となった繊維強化複合材料を形成した後、
芯材を抜き取ることで製造される。このため、異なる寸
法の芯材を複数種用意しておけば、その中から任意の芯
材を選択すると共にその数を決定することで、内部空間
にリブを備えた所定寸法のロボットハンド部材が容易に
製造される。この場合、請求項2記載の発明に比べて、
リブ構成部材が不要であるという利点がある。
方法に係る発明では、前記プリプレグシートを所定厚さ
に積層する工程は、前記複合構造体又は芯材の各面に対
して、該面形状に合わせて形成されたプリプレグシート
を複数貼り合わせて積層することを特徴とする。かかる
構成によれば、複合構造体又は芯材の各面に対して面形
状に合わせて形成されたプリプレグシートを複数貼り付
けることで、プリプレグシートが所定厚さに積層され
る。
方法に係る発明では、前記プリプレグシートを所定厚さ
に積層する工程は、前記複合構造体又は芯材の外周面に
プリプレグシートを複数層巻き付けて積層することを特
徴とする。かかる構成によれば、複合構造体又は芯材の
外周面にプリプレグシートを複数層巻き付けることで、
プリプレグシートが所定厚さに積層される。
方法に係る発明では、横断面が中空矩形形状に形成され
た強化繊維を含んで構成される複数の単位構成部材の一
側面同士を当接させ、全体として矩形断面形状の複合構
造体を形成する工程と、該複合構造体の前記当接面に対
して交差する同一側の側面相互に亘り、強化繊維を含む
プリプレグシートを貼り付ける工程と、該プリプレグシ
ートが貼り付けられた複合構造体を加熱し、前記単位構
成部材とプリプレグシートとが一体となった繊維強化複
合材料を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
は、複数の単位構成部材の一側面同士を当接させて矩形
断面形状の複合構造体を形成し、その当接面に対して交
差する同一側の側面相互に亘りプリプレグシートを貼り
付けた後、これを加熱して単位構成部材とプリプレグシ
ートとが一体となった繊維強化複合材料を形成すること
で製造される。このため、異なる寸法の単位構成部材を
複数種用意しておけば、これらを任意に組み合わせるこ
とで、内部空間にリブを備えた所定寸法のロボットハン
ド部材が容易に製造される。
方法に係る発明では、前記プリプレグシートを貼り付け
る工程は、前記複合構造体の外周面にプリプレグシート
を巻き付けて貼り付けることを特徴とする。かかる構成
によれば、複合構造体の外周面にプリプレグシートが巻
き付けられるため、単位構成部材間の段差が目立たなく
なり、ロボットハンドの見栄えが良くなる。
方法に係る発明では、前記プリプレグシートが積層又は
貼り付けられた複合構造体の外周面に、強化繊維を含ん
で構成されるクロスプリプレグシートを巻き付けて被覆
する工程を備えたことを特徴とする。ここで、「クロス
プリプレグシート」とは、複数の方向に織り込んだ強化
繊維に熱硬化性樹脂を含侵させた未硬化状態のシートの
ことをいう。
は、クロスプリプレグシートにより被覆されるので、後
加工として切削や研磨したときに毛羽立ちが少なくな
り、ロボットハンド部材としての加工性が向上すると共
に、製品の美観が良くなる。
本発明を詳述する。図1は、本発明に係るロボットハン
ド部材を使用したロボットハンドの全体構成を示す。ロ
ボットハンド10は、図1(A)に示すように、取付孔
12Aを介して産業用ロボットへ取り付けられる取付部
材12と、ワーク14の支持部材となる一対のロボット
ハンド部材16と、を含んで構成される。
して、LCD、PDP、半導体ウェハ等のガラス基板を
支持搬送すべく、軽量性、平面性、曲げ剛性、耐熱性等
に優れたFRPから製造される。ロボットハンド部材1
6は、図1(B)に示すように、横断面が中空矩形形状
に形成され、長手方向に延びる構成部材16Aの内部空
間に、横断面の相対する長辺間に亘って延び、かつ、内
部空間の長手方向に延びるリブ16Bが少なくとも1つ
形成された形状をなす。そして、ロボットハンド部材1
6は、取付部材12にネジ止等により2本平行に取り付
けられる。
ス繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維等の強化繊維に熱
硬化性樹脂を含侵させたプリプレグシートを所定形状に
形成した後、所定温度に加熱して硬化させたものをい
う。なお、取付部材12とロボットハンド部材16と
は、一体的に形成されてもよい。また、リブ16Bによ
り区画されたロボットハンド部材16の内部空間は、ワ
ーク14を支持搬送するための空気吹出又は空気吸引を
行なうチューブなどの配置、ワーク14の存在又は保持
を検出するセンサ用の電気配線などにも利用することが
できる。
6の横断面を構成する各長辺は、リブ16Bを介して相
互に連結されることとなり、長辺の実質長さが短くなる
ことで、その剛性を向上することができる。そして、長
辺の中央部における窪みが減少し、ロボットハンド部材
16の平面性、即ち、精度を向上することができる。ま
た、この場合、ロボットハンド部材16の肉厚を厚くし
なくとも十分な強度が得られるので、重量増加による先
端部の撓み増加も防止することができる。
いて説明する。ロボットハンド部材は、強化繊維を含む
プリプレグシートを所定形状に積層した後、これを所定
温度(例えば、100〜190℃)に加熱して熱硬化さ
せることで製造される。「プリプレグシート」とは、強
化繊維を一方向に配向させた一方向平織物、一方向不織
シート等の一方向材や、強化繊維を二方向に配向させた
平織物、綾織物、朱子織物等の二方向材や、強化繊維を
三方向に配向させた三軸織物等の三方向材などをシート
化したものに、予めマトリックス樹脂を含侵させ、少し
粘着性を有した未硬化状態にしたものをいう。この場
合、強化繊維には、剛性及び軽量性の観点から一般的に
は炭素繊維が使用される。しかし、炭素繊維以外にも、
ガラス繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維等も使用され
得る。即ち、積層される複数のプリプレグシートは、例
えば、炭素繊維プリプレグシートを主体として使用し、
ロボットハンド部材としての支持性能又は搬送性能を損
なわない限りにおいて、ガラス繊維等又は他の繊維を含
むプリプレグシートを一部に加えることも可能である。
アクリロニトリル(PAN)系炭素繊維及びピッチ系炭
素繊維がある。この場合、ピッチ系炭素繊維は、弾性が
高いという特性を有する一方、PAN系炭素繊維は、引
張強度が高いという特性を有する。マトリックス樹脂と
しては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマ
レイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される。この場
合、ゴム加硫等のような高温高湿環境に耐え得るものが
好ましい。また、耐衝撃性及び靭性を付与する目的で、
熱硬化性樹脂にゴムや樹脂からなる微粒子を添付したも
のや、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を溶解させたものを
使用してもよい。
ルゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、
ブタジエン−ニトリルゴム、アクリルゴム、ブチルゴム
等がある。一方、微粒子としての樹脂には、熱硬化性樹
脂、熱可塑性樹脂がある。熱硬化性樹脂には、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂、不飽和ボリエステル樹脂、アミ
ノ樹脂、ウレタン樹脂等がある。熱可塑性樹脂には、ポ
リイミド樹脂、ボリアクリレート樹脂、ポリ酢酸ビニル
樹脂、ボリアミド樹脂、ボリアラミド樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂等がある。さらに、熱硬化性樹脂に溶解させ
る熱可塑性樹脂には、ポリスルホン樹脂、ボリカーボネ
ート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイ
ミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリビニルホルマ
ール樹脂、ボリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等がある。
第1実施形態を示す。第1工程(図2(A)参照)で
は、横断面が矩形形状に形成され所定温度以下では加熱
非変形性を有する芯材20を、横断面が矩形形状に形成
された強化繊維を含んで構成されるリブ構成部材22の
両側面に配置し、全体として矩形断面形状の複合構造体
Aを形成する。
熱硬化させる所定温度よりやや高い温度以下では、加熱
により殆ど変形しない性質を有し、かつ、加熱硬化後の
FRPから容易に抜き取れる素材で形成されている。こ
こで、「加熱により殆ど変形しない」とは、加熱時に、
芯材20が溶融したり、反り、曲がり、撓み、捩れ、
皺、褶曲等の変形が生じないことをいう。芯材20の素
材としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等
の金属や、MCナイロン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂
等がある。金属や樹脂等は、FRPより熱膨張率が大き
いため、加熱後の冷却により収縮して、FRPからの抜
き取りが容易になる。また、必要に応じて、芯材20の
表面に離型材を施してもよい。離型材としては、スプレ
ー等による薬剤(例えば、界面活性材)の塗布、又は、
テフロン(登録商標)シート等の離型シートの使用など
いずれでもよい。
ラス繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維等の強化繊維を
含んで構成され、プリプレグシートの熱硬化時に、プリ
プレグシートと一体となる素材により形成される。リブ
構成部材22は、強化繊維の配向方向を異ならせて積層
したプリプレグシートを加熱硬化させて板状に形成した
FRPを、所定寸法に切断することで形成されることが
好ましい。なお、プリプレグシートの強化繊維の配向方
向を異ならせて積層する理由等は後述する。
造体Aの外周面に、強化繊維を含むプリプレグシート2
4を所定厚さ(例えば、1〜7mm程度)に積層する。こ
の場合の積層厚さは、プリプレグシート24が加熱硬化
されるときの体積減少分を見越して、ロボットハンド部
材の要求肉厚よりも僅かに厚い程度が好ましい。ここ
で、プリプレグシート24を所定厚さに積層するには、
図3(A)に示すように、複合構造体Aの各面(上下左
右)に対して、各面の面形状に合わせて形成されたプリ
プレグシートを複数貼り合わせて積層すればよい。ま
た、図3(B)に示すように、複合構造体Aの外周面
に、プリプレグシート24を複数層巻き付けて積層して
もよい。プリプレグシート24の貼り合わせ及び巻き付
けは、気泡が入り込まないように、例えば、アイロンで
熱を加えながらできるだけ密着させて行なうことが好ま
しい。
シート24は、その強化繊維の配向方向を異ならせて積
層されることが好ましい。即ち、或る層の強化繊維の配
向方向を0度とし、他の層の強化繊維の配向方向を90
度とし、更に、これらのプリプレグシートに加えて、二
方向の強化繊維が配向角度90度又は±45度で交わっ
たクロスプリプレグシートを積層してもよい。
は、複合構造体Aに接する最下層のプリプレグシート
は、ロボットハンド部材の長手方向に対して、強化繊維
が90度に配向されたもの(以下「90度配向シート」
という。以下同様)とすることが、芯材20の抜き取り
易さの観点から好ましい。なぜならば、強化繊維はマト
リックス樹脂よりも熱収縮率が小さいので、強化繊維の
配向方向への収縮率は、その配列方向への収縮率より小
さくなるので、最下層に90度配向シートを使用するこ
とで、芯材20の外周を囲むように強化繊維が配向し、
熱硬化後に、中空形状のロボットハンド部材がそれほど
縮径しなくて済むからである。
レグシートには、ロボットハンド部材の長手方向の撓み
防止や、振動減衰特性を向上する目的から、0度配向シ
ートが使用される。第3層目のプリプレグシートには、
最下層及び第2層のプリプレグシートと合わせて、曲げ
剛性や振動減衰特性を向上すると共に、反り及び撓みを
防止する目的から、90度配向シートが使用される。即
ち、上層に積層されるプリプレグシートほど、ロボット
ハンド部材の特性(曲げ剛性等)への寄与が高いので、
0度配向シートを90度配向シートよりも上層に積層す
るのが、撓み防止の観点から好ましい。なお、これらの
プリプレグシートに加えて、±45度配向シートの層を
追加してもよい。この場合には、ロットハンド部材の捩
り剛性及び捩り振動減衰特性を向上することができる。
に、プリプレグシート24が積層された複合構造体Aの
外周面に、強化繊維を含んで構成されるクロスプリプレ
グシート26を巻き付けて被覆するようにしてもよい。
クロスプリプレグシート26は、強化繊維の織物で構成
されたプリプレグシートであって、強化繊維としては、
炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維又は炭化珪素繊維
等を使用することが好ましい。織り構造としては、平織
り、綾織り、朱子織り、三軸織り等が適宜使用され得
る。クロスプリプレグシート26で被覆することで、後
加工として切削や研磨を行なったときに、毛羽立ちが少
なくなり、ロボット部材としての加工性を向上できると
共に、製品の美観を良くすることができる。また、クロ
スプリプレグシート26は、複合構造体Aに積層された
プリプレグシート24の接合強化にも寄与する。
用すべきプリプレグシート24の組み合わせ及び積層順
序を決定すればよい。第3工程(図2(C)参照)で
は、プリプレグシート24が積層された複合構造体Aの
外周面に、所定形状を有する外型28A,28Bを押し
付け、その外面形状を所定寸法に成形する。外型28
A,28Bとしては、プリプレグシート24の積層形態
(図3参照)に応じて、内周面形状がコ字形に形成され
たチャンネル状の2つの外型(図示のもの)、板状の4
つの外型、などを使用すればよい。
合構造体Aを所定温度に加熱し、リブ構成部材22とプ
リプレグシート24とが一体となったFRPを形成す
る。このとき、複合構造体全体Aを、例えば、真空バッ
グに入れて加熱する。加熱温度条件は、例えば、室温か
ら2〜10℃/分の割合で加熱昇温させ、約100〜1
90℃で60分程度保持し、その後加熱を停止して、自
然冷却により室温まで降温させる。これにより、リブ構
成部材22とプリプレグシート24とが熱硬化されて、
FRPが形成される。
加熱非変形性を有する素材からできているので、複合構
造体Aを加熱するときに殆ど変形せず、その断面形状を
正しく保つことができる。また、複合構造体Aを真空バ
ッグに入れるのは、プリプレグシート24を積層すると
きにシート間に封入された気泡等を吸引するためと、プ
リプレグシート24が積層された複合構造体Aに対して
外圧(大気圧)を略均等に作用させるためである。
から芯材20を抜き取り、内部空間にリブを備えたロボ
ットハンド部材Bが完成する。かかる製造方法によれ
ば、ロボットハンド部材Bは、芯材20をリブ構成部材
22の両側面に配置して全体として矩形断面形状の複合
構造体Aを形成し、その外周面にプリプレグシート24
を所定厚さに積層してから外型28A,28Bで成形
し、これを所定温度に加熱してリブ構成部材22とプリ
プレグシート24とが一体となったFRPを形成した
後、芯材20を抜き取ることで製造される。このため、
異なる寸法の芯材20及びリブ構成部材22を複数種用
意しておけば、これらを任意に組み合わせることで、内
部空間にリブを備えた所定寸法のロボットハンド部材B
を容易に製造することができる。
間にはリブが備えられるため、その横断面を構成する各
長辺は、リブを介して相互に連結されることとなり、長
辺の実質長さが短くなることで、その剛性を向上するこ
とができる。そして、長辺の中央部における窪みが減少
し、ロボットハンド部材Bの平面性、即ち、精度を向上
することができる。
を変更することで、内部空間の室数(分割数)を変える
ことができる。この場合、リブ構成部材22により区画
された内部空間は、ワークを支持搬送するための空気吹
出又は空気吸引を行なうチューブなどの配置、ワークの
存在又は保持を検出するセンサ用の電気配線などにも利
用することができる。なお、従来技術における中実断面
形状のロボットハンドでは、機械加工により空気吸引路
等を形成しているので、この機械加工に要する費用も削
減することができる。
第2実施形態を示す。第1工程(図5(A)参照)で
は、横断面が矩形形状に形成され所定温度以下では加熱
非変形性を有する芯材30の外周面に、強化繊維を含む
プリプレグシート32を所定厚さに積層する。このと
き、第1実施形態と同様に、芯材30の各面(上下左
右)に対して各面の面形状に合わせて形成されたプリプ
レグシートを複数貼り合わせて積層するか、芯材30の
外周面にプリプレグシートを複数巻き付けて積層すれば
よい(以下同様)。また、プリプレグシートの強化繊維
の配向方向等は、第1実施形態と同様な技術的思想をも
って決定すればよい(以下同様)。
レグシート32が積層された複数(本実施形態では2
つ)の芯材30の一側面同士を当接させ、全体として矩
形断面形状の複合構造体Aを形成する。第3工程(図5
(C)参照)では、複合構造体Aの外周面に、強化繊維
を含むプリプレグシート34を所定厚さに積層する。こ
のとき、第1実施形態と同様に、プリプレグシート34
が積層された複合構造体の外周面に、強化繊維を含んで
構成されるクロスプリプレグシートを巻き付けて被覆す
るようにしてもよい。
レグシート34が積層された複合構造体Aの外周面に、
所定形状を有する外型36A,36Bを押し付け、その
外面形状を所定寸法に成形する。外型36A,36Bと
しては、第1実施形態と同様に、プリプレグシート34
の積層形態に応じたものを使用すればよい。第5工程
(図示せず)では、成形された複合構造体Aを所定温度
に加熱し、芯材30に積層されたプリプレグシート32
と複合構造体Aに積層されたプリプレグシート34とが
一体となったFRPを形成する。なお、加熱温度条件等
は、第1実施形態と同様である(以下同様)。
から芯材30を抜き取り、内部空間にリブを備えたロボ
ットハンド部材Bが完成する。かかる製造方法によれ
ば、ロボットハンド部材Bは、芯材30の外周面にプリ
プレグシート32を所定厚さに積層すると共に、その一
側面同士を当接させて全体として矩形断面形状の複合構
造体Aを形成し、その外周面にプリプレグシート34を
所定厚さに積層してから外型36A,36Bで成形し、
これを所定温度に加熱して芯材30に積層されたプリプ
レグシート32と複合構造体Aに積層されたプリプレグ
シート34とが一体となったFRPを形成した後、芯材
30を抜き取ることで製造される。このため、異なる寸
法の芯材30を複数種用意しておけば、その中から任意
の芯材30を選択すると共にその数を決定することで、
内部空間にリブを備えた所定寸法のロボットハンド部材
Bを容易に製造することができる。この場合、先の第1
実施形態におけるリブ構成部材22が不要となる、とい
う利点がある。
第3実施形態を示す。第1工程(図6(A)参照)で
は、横断面が中空矩形形状に形成された強化繊維を含ん
で構成される複数の単位構成部材40の一側面同士を当
接させ、全体として矩形断面形状の複合構造体Aを形成
する。単位構成部材40は、例えば、板形状のFRPを
所定寸法の矩形形状に切断し、その両端面同士を接着剤
で連結することで形成する。また、単位構成部材40
は、先の実施形態で使用された技術を用い、横断面が矩
形形状に形成され所定温度以下では加熱非変形性を有す
る芯材の外周面に、プリプレグシートを積層した後、こ
れを所定温度に加熱してプリプレグシートを熱硬化させ
ることで形成してもよい。要するに、何らかの製造方法
を用いて、横断面が中空矩形形状の単位構成部材40を
形成すればよい。
造体Aの当接面に対して交差する同一側の側面相互(図
示の例では、上・下面)に亘り、強化繊維を含むプリプ
レグシート42を貼り付ける。なお、プリプレグシート
42に代えて、クロスプリプレグシートを貼り付けるよ
うにしてもよい。第3工程(図示せず)では、プリプレ
グシート42が貼り付けられた複合構造体Aを所定温度
に加熱し、単位構成部材40とプリプレグシート42と
が一体となったFRPを形成する。これにより、内部空
間にリブを備えたロボットハンド部材Bが完成する。
部材Bは、横断面が中空矩形形状に形成された複数の単
位構成部材40の一側面同士を当接させて全体として矩
形断面形状の複合構造体Aを形成し、その当接面に対し
て交差する同一側の側面相互に亘りプリプレグシート4
2を貼り付けた後、これを加熱して単位構成部材40と
プリプレグシート42とが一体となったFRPを形成す
ることで製造される。このため、異なる寸法を有する単
位構成部材40を複数種用意しておけば、これらを任意
に組み合わせることで、内部空間にリブを備えた所定寸
法のロボットハンド部材Bを容易に製造することができ
る。この場合、単位構成部材40の当接面により、リブ
が構成される。
42を貼り付ける第2工程では、図6(C)に示すよう
に、複合構造体Aの外周面にプリプレグシート42を巻
き付けて貼り付けるようにしてもよい。この場合、複数
の単位構成部材40からなる複合構造体Aの外面全周に
亘ってプリプレグシート42が貼り付けられるため、当
接部における段差が目立たなくなり、ロボットハンド部
材Bの見栄えがよくなり、その商品価値を高めることが
できる。また、プリプレグシート42が貼り付けられた
複合構造体Aの外周面に、クロスプリプレグシートを巻
き付けてこれを被覆するようにしてもよい。
は、図7に示すように、その先端部における荷重撓みを
抑制すべく、大きな曲げモーメントが作用する基端部を
多層にて構成してもよい。この場合、単位構成部材40
を多層に当接させて複合構造体Aを形成した後、その外
周面全体にプリプレグシート42を積層して、これを加
熱硬化させればよい。なお、かかる技術は、先の第2実
施形態にも適用可能である。
明によれば、横断面を構成する各長辺はリブを介して相
互に連結されることとなり、長辺の実質長さが短くなる
ことで、その剛性を向上することができる。そして、横
断面における長辺の剛性が向上することで、長辺の中央
部における窪みが減少し、ロボットハンド部材の平面
性、即ち、精度を向上することができる。
の芯材及びリブ構成部材を複数種用意しておけば、これ
らを任意に組み合わせることで、内部空間にリブを備え
た所定寸法のロボットハンド部材を容易に製造すること
ができる。請求項3記載の発明によれば、異なる寸法の
芯材を複数種用意しておけば、その中から任意の芯材を
選択すると共にその数を決定することで、内部空間にリ
ブを備えた所定寸法のロボットハンド部材を容易に製造
することができる。
又は芯材の各面に対して面形状に合わせて形成されたプ
リプレグシートを複数貼り付けることで、プリプレグシ
ートを所定厚さに積層することができる。請求項5記載
の発明によれば、複合構造体又は芯材の外周面にプリプ
レグシートを複数層巻き付けることで、プリプレグシー
トを所定厚さに積層することができる。
の単位構成部材を複数種用意しておけば、これらを任意
に組み合わせることで、内部空間にリブを備えた所定寸
法のロボットハンド部材を容易に製造することができ
る。請求項7記載の発明によれば、複合構造体の外周面
にプリプレグシートが巻き付けられるため、単位構成部
材間の段差が目立たなくなり、ロボットハンド部材の見
栄えを良くすることができる。
ンド部材としての加工性を向上させると共に、製品の美
観を良くすることができる。
を示し、(A)はロボットハンドの全体構成図、(B)
は(A)におけるA−A断面図
を示し、(A)は第1工程の説明図、(B)は第2工程
の説明図、(C)は第3工程の説明図、(D)は第5工
程の説明図
複合構造体の各面に所定形状のシートを貼り付ける場合
の説明図、(B)は複合構造体の外周面にシートを巻き
付ける場合の説明図、(C)及び(D)はクロスプリプ
レグシートにより複合構造体を被覆した場合の説明図
図
を示し、(A)は第1工程の説明図、(B)は第2工程
の説明図、(C)は第3工程の説明図、(D)は第4工
程の説明図、(E)は第6工程の説明図
を示し、(A)は第1工程の説明図、(B)は第2工程
の説明図、(C)は第2工程の変形例の説明図
を示し、(A)はロボットハンド部材の側面図、(B)
は(A)におけるA−A断面図、(C)は(A)におけ
るB−B断面図、(D)は(A)におけるC−C断面図
Claims (8)
- 【請求項1】繊維強化複合材料からなり、横断面が中空
矩形形状に形成され、長手方向に延びる構成部材の内部
空間に、前記横断面の相対する長辺間に亘って延び、か
つ、前記内部空間の長手方向に延びるリブが少なくとも
1つ形成されたことを特徴とするロボットハンド部材。 - 【請求項2】横断面が矩形形状に形成され所定温度以下
では加熱非変形性を有する芯材を、横断面が矩形形状に
形成された強化繊維を含んで構成されるリブ構成部材の
両側面に配置し、全体として矩形断面形状の複合構造体
を形成する工程と、 該複合構造体の外周面に、強化繊維を含むプリプレグシ
ートを所定厚さに積層する工程と、 該プリプレグシートが積層された複合構造体を加熱し、
前記リブ構成部材とプリプレグシートとが一体となった
繊維強化複合材料を形成する工程と、 該繊維強化複合材料から前記芯材を抜き取る工程と、 を備えたことを特徴とするロボットハンド部材の製造方
法。 - 【請求項3】横断面が矩形形状に形成され所定温度以下
では加熱非変形性を有する芯材の外周面に、強化繊維を
含むプリプレグシートを所定厚さに積層する工程と、 該プリプレグシートが積層された複数の芯材の一側面同
士を当接させ、全体として矩形断面形状の複合構造体を
形成する工程と、 該複合構造体の外周面に、強化繊維を含むプリプレグシ
ートを所定厚さに積層する工程と、 該プリプレグシートが積層された複合構造体を加熱し、
前記芯材に積層されたプリプレグシートと前記構造体に
積層されたプリプレグシートとが一体となった繊維強化
複合材料を形成する工程と、 該繊維強化複合材料から前記芯材を抜き取る工程と、 を備えたことを特徴とするロボットハンド部材の製造方
法。 - 【請求項4】前記プリプレグシートを所定厚さに積層す
る工程は、前記複合構造体又は芯材の各面に対して、該
面形状に合わせて形成されたプリプレグシートを複数貼
り合わせて積層することを特徴とする請求項2又は請求
項3に記載のロボットハンド部材の製造方法。 - 【請求項5】前記プリプレグシートを所定厚さに積層す
る工程は、前記複合構造体又は芯材の外周面にプリプレ
グシートを複数層巻き付けて積層することを特徴とする
請求項2又は請求項3に記載のロボットハンド部材の製
造方法。 - 【請求項6】横断面が中空矩形形状に形成された強化繊
維を含んで構成される複数の単位構成部材の一側面同士
を当接させ、全体として矩形断面形状の複合構造体を形
成する工程と、 該複合構造体の前記当接面に対して交差する同一側の側
面相互に亘り、強化繊維を含むプリプレグシートを貼り
付ける工程と、 該プリプレグシートが貼り付けられた複合構造体を加熱
し、前記単位構成部材とプリプレグシートとが一体とな
った繊維強化複合材料を形成する工程と、 を備えたことを特徴とするロボットハンド部材の製造方
法。 - 【請求項7】前記プリプレグシートを貼り付ける工程
は、前記複合構造体の外周面にプリプレグシートを巻き
付けて貼り付けることを特徴とする請求項6記載のロボ
ットハンド部材の製造方法。 - 【請求項8】前記プリプレグシートが積層又は貼り付け
られた複合構造体の外周面に、強化繊維を含んで構成さ
れるクロスプリプレグシートを巻き付けて被覆する工程
を備えたことを特徴とする請求項2〜請求項7のいずれ
か1つに記載のロボットハンド部材の製造方法。
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